JP2003535653A - 化学架橋材料 - Google Patents

化学架橋材料

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暉夫 宮田
伊藤  博
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Koken Co Ltd
Nicem Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な抗原性/柔軟性のバランスを有する化学架橋材料を提供する。 【解決手段】一次架橋剤と促進剤化合物との組合せにより形成された架橋体を有する天然材料、あるいはその誘導体よりなる化学架橋材料であり、該促進剤化合物は、一次架橋剤単独で形成された架橋体に比較して、少なくとも一個の追加の水酸基及び/または少なくとも一個の追加の直鎖のエーテル結合を増加したものであることを特徴とする化学架橋材料である。本発明は、好ましい抗原性/柔軟性を持った化学的に架橋された材料を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、天然物材料またはその誘導体から選択される少なくとも1つを構成
要素の一部として有する材料を化学架橋した化学架橋材料である。更に詳しくは
、該化学架橋を導入した結果、二つの化合物の組合わせにより作られた架橋体が
新たに少なくとも一個の水酸基及び/または直鎖のエーテル結合を増加した化学
架橋材料に関する。本発明の化学架橋材料は、その天然材料特有の柔軟な物性や
、細胞親和性等の特性を実質的に活かして、医用材料を構成するための材料バイ
オマテリアルとして好適に使用可能である。
【0002】
【従来技術】
天然物材料またはその誘導体から選択される少なくとも1つを構成要素の一部
として有する材料、特にコラーゲンを主成分とする天然物材料またはその誘導体
は、バイオマテリアルとして重要な性質である生体適合性に優れていることから
、種々の利用法が考案されるとともにそれを原料とした医用材料の実用化も数多
く見られる。更にまた、天然物材料の特徴の一つである生体吸収性を利用し、体
内に埋め込み、埋め込み後に自家組織と置き換わるような医用材料も多く開発さ
れている。
【0003】 また、生体組織の有する特有の構造と物性とをそのまま生かして医用材料とす
ることも多く研究、開発されている。例えばブタの心臓弁をそのままの形態を残
したまま化学処理して、疾患のある心臓弁と置換するために利用するように工夫
した人工生体弁や、動物の血管や人の臍帯の血管をその形態を残したまま化学処
理した人工血管等が実際の手術現場で使われてきた。また、動物や人の心嚢膜、
脳硬膜も手術時に生体の一部として用いる代用膜として治療に用いられている。
このような生体由来組織を生体内で使用する場合、それが自家組織由来でない場
合には、免疫に基づく拒絶反応を誘発する可能性が大きい。したがって、従来よ
り使用されている生体由来組織の大部分は、その抗原性を低減する目的で化学架
橋が導入された後に臨床に使用されている。
【0004】 生体組織の主要な構成蛋白成分であるコラーゲンは個々のコラーゲン分子間に
共有結合による架橋が導入され、長腺維状あるいは束状もしくは網状を呈してい
るため、通常分散状態で得ることは困難である。しかしながらコラーゲン腺維の
架橋部位に特異的に作用するタンパク分解酵素の活用、あるいはアルカリによる
可溶化の技術が開発され、それによって可溶化されたコラーゲンを多量に得るこ
とが可能となり、その医療材料としての利用も広く行われている。
【0005】 特に、天然のコラーゲン分子の末端に位置するテロペプタイド部分を酵素可溶
化処理によって除去したコラーゲン、すなわちアテロコラーゲンは、その物性が
天然のテロペプタイドを持ったコラーゲンとほとんど変わらない上に更に強い抗
原性発現部位であるテロペプタイドが除去されているため、非常に抗原性が低く
、バイオマテリアルとして優れたものである。
【0006】 このアテロコラーゲン等の可溶化コラーゲンは溶液より種々の形状に成形する
ことが可能である。しかしながらその成形物は可溶性であるため、固形材料とし
ての使用にあたっては化学架橋を導入し不溶化することが行われている。
【0007】 例えば、皮膚形成の際に使用される注射用コラーゲンとしても、上記のアテロ
コラーゲンが使用されている。
【0008】 一方、コラーゲンを可溶化せずに、腺維状態の分散溶液を作成して、ある程度
成形を行なった後にこれを架橋処理によって不溶化して医用材料に使用する場合
もある。
【0009】 例えば、多孔性の布製人工血管やe−PTFE人工血管の布の編み目や折り目
等の多孔質部分からの出血を防止するために、コラーゲン腺維の分散液を布製人
工血管に塗布し、多孔質部分を目詰まりさせる処置が行われている。これに関す
る技術は米国特許第3,272,204号、米国特許第4,842,575号、
米国特許第5,197,977号、米国特許第4,193,138号、米国特許
第5,665,114号、および米国特許第5,716,660号等に記載され
ている。これらの中で使用されたコラーゲンやそれを熱変性させて得られるゼラ
チンの不溶化には、アルデヒド系の架橋剤による化学架橋が導入されている。
【0010】 一方、前述したように、生体組織をそのままの形態で使用する場合もある。例
えば、豚等の動物の心臓弁をグルタールアルデヒドのような化学架橋剤を用いて
化学架橋を充分に行なうことで、生体内の分解性、吸収性が大部分なくなり、年
余にわたって劣化することなく患者の体内で心臓弁としての機能を発揮するとと
もに、異種動物の抗原性等は押さえられ、問題とはならない。グルタールアルデ
ヒドを医用材料の架橋に用いる特許は米国特許第3,966,401号;米国特
許第4,247,292号;O'Brien et al.、の文献(J.Thoracic & Cardiovas
cular Surgery、 1967、53:392−397);Reed, J.の文献(Thorac
ic & Cardiovascular Surgery、1969、57、663−668);および Ca
rpentier et al.,の文献( J.Thoracic & Cardiovascular Surgery、1969、
58、467−483)等に記載されている。
【0011】 通常、生体組織を化学架橋すると、その生体組織には生体内での分解や吸収に
対して抵抗性が付与され、物理的強度を高め、抗原性を下げる、等の効果を期待
できるため多くの天然物材料を用いた医療材料では化学架橋が導入されており、
その結果現在ではヘバリン化のような、新たなる種々の工夫が加えられて多くの
分野でその応用が広がって今日に至っている。
【0012】 このような目的のため、グルタールアルデヒドのほかのアルデヒド化合物とし
てフォルムアルデヒドやジアルデヒド澱粉等が化学架橋剤として使用されており
、それぞれ良好な架橋効果が発揮されている。これらについての詳細は米国特許
第3,966,401号、米国特許第4,378,224号、米国特許第4,0
82,507号、米国特許第2,900,644号、米国特許第3,927,4
22号、米国特許第3,988,728号等に記載されている。
【0013】 化学架橋剤としてアルデヒド化合物についで多く使用されるのがイソシアナー
ト化合物であり、細胞毒性が少ないことで知られている。この架橋剤により架橋
された製品は広く臨床で使用されており、その特徴の詳細は米国特許第3,14
1,747号、米国特許第4,052,943号等に記載されている。前述の特
許の全内容を参考文献としてここに挙げる。
【0014】 その他架橋剤としてはポリエポキシ化合物があげられる。架橋剤エポキシ基と
アミノ基との反応は、グルタールアルデヒドのようなアルデヒドとアミノ基との
反応に比べると遅いが、時間と温度と水素イオン濃度を調整するこれによって充
分な架橋状態を得ることができる。その特徴の詳細は米国特許第3,931,0
27号、米国特許第5,124,438号、米国特許第5,134,178号、
米国特許第5,354,336号、米国特許第5,591,255号、米国特許
第5,874,537号、米国特許第5,880,242号等に記載されている
。前述の特許の全内容を参考文献としてここに挙げる。
【0015】 しかしながら、これらの化学架橋により得られた材料が理想的な医療材料であ
ったとは言えない。例えば、架橋することによって天然物材料特有な柔軟な物性
が消失することがある。すなわち、化学架橋によって材料が硬化する現象はさけ
ることができていない。また、架橋した化学架橋材料では植え込み後長期間経過
すると石灰化する現象もしばしば見られる。そのために、石灰化を防止する工夫
も多く提案されており、例えば、米国特許第4,323,358号、米国特許第
4,402,697号、米国特許第4,481,009号、米国特許第4,72
9,139号、米国特許第4,838,888号、米国特許第5,002,56
6号等に記載されているが、充分な石灰化防止の効果は得られていない。
【0016】 また、これらの架橋剤は必ずしも細胞にとって無害ではなくその細胞毒性に関
しては、Chvapil等のグループが述べているように(J.Biomed. Mater. Res.19
80、14:753−764)、植え込み後長時間にわたって生体内で材料から
未反応架橋剤が徐々に放出し、周囲組織や細胞への悪影響がでることが問題とな
っている。
【0017】 化学架橋された医用材料が本来の天然物材料の有する柔軟性を失って硬化する
(更には、石灰化、細胞毒性)ことは、例えば、コラーゲン等を多く含む生体組
織を架橋した場合に特に顕著な現象である。例えば、豚の心臓弁を化学架橋した
場合、天然の心臓弁はきわめて柔軟であって、わずかな圧力の差で弁は開閉する
。しかしながらグルタールアルデヒド当で架橋を行うと、弁は硬化し、そのよう
な小さな圧力差では開閉しなくなる。このように、柔軟性の欠如は大きな問題と
して取り上げられているが、その問題を解決する有効な手段はまだ開発されてい
ない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を極小化し解消した化学架橋材料を
提供することにあり、本発明の他の目的は、良好な抗原性/柔軟性のバランスを
有する化学架橋材料を提供することにある。
【0019】 本発明の好ましい実施態様の一つによれば、本発明の目的は、一次架橋剤と促
進剤化合物との組合せにより形成された架橋体を有する天然材料、あるいはその
誘導体よりなる化学架橋材料を提供することにあり、ここにおいて促進剤化合物
は、一次架橋剤単独で形成された架橋体に比較して、少なくとも一個の水酸基及
び/または少なくとも一個の直鎖のエーテル結合を新たに増加するものである。
【0020】 本発明の他の好ましい実施態様の一つによれば、本発明の他の目的は、その中
に形成された架橋体を有する天然材料またはその誘導体よりなる化学架橋材料を
提供するものである。前記架橋体は、アルデヒド類、イソシアネート類およびエ
ポキシ類から選ばれた一次架橋剤と、以下に示す化学式のうち一つによって示さ
れる促進剤化合物の組合せによって形成されるものである:H2N−R(OH)
−NH2、HO−R−NH2、H2N−R−O−R−NH2、H2N−R(OH)−
O−R−NH2およびHO−R−O−R−NH2であり、式中においてRは炭素、
酸素及び窒素から選択された1−8個の原子よりなる置換あるいは未置換の鎖で
ある。前記組合わせによって形成された架橋体は、一次架橋剤単独で形成された
架橋体に比較して、新たに増加した少なくとも一個の水酸基及び/または少なく
とも一個の直鎖のエーテル結合をする含むものである。
【0021】 本発明の他の好ましい実施態様の一つによれば、本発明の他の目的は、その間
にコラーゲン索条の間に複数の架橋体を持ったコラーゲン含有材料よりなる化学
架橋材料を提供するものである。前記架橋体は一次架橋剤と、促進剤化合物の組
合せによって形成された促進架橋体よりなるものである。該促進架橋体は、一次
架橋剤単独で形成された架橋体に比較して、新たに増加した少なくとも一個の水
酸基及び/または少なくとも一個の直鎖のエーテル結合を含有する。
【0022】 本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の目的は、化学架橋材料を製造す
る方法を提供するものである。該製造方法は、天然材料またはその誘導体を、一
次架橋剤および促進剤化合物と架橋させることを特徴とし、架橋によって形成さ
れた架橋体は、一次架橋剤単独で形成された架橋体に比較して、新たに増加した
少なくとも一個の水酸基及び/または少なくとも一個の直鎖のエーテル結合を含
有する架橋体よりなることを特徴とする。
【0023】 本発明の更に他の好ましい実施態様によれば、本発明の他の目的は、コラーゲ
ンまたはコラーゲン状組織を溶媒中に置き、それにより架橋材料が形成される架
橋形成材料を前記溶媒に加えることを特徴とする化学架橋されたコラーゲン状組
織を製造する方法を提供するものである。前記架橋形成材料は、アルデヒド類、
イソシアネート類およびエポキシ類から選ばれた一次架橋剤と、以下に示す化学
式のうち一つによって示される促進剤化合物により形成されるものである:H2
N−R(OH)−NH2、HO−R−NH2、H2N−R−O−R−NH2、H2
−R(OH)−O−R−NH2およびHO−R−O−R−NH2であり、式中にお
いてRは炭素、酸素及び窒素から選択された1−8個の原子よりなる置換あるい
は未置換の鎖である。一つの実施態様において、実質的に全ての促進剤化合物は
、一次架橋剤を加える前に、溶媒中に加えられ、約5から約30時間の間、溶媒
と接触状態に置かれる。他の実施態様においては、促進剤と一次架橋剤は一緒に
添加されるが、このような添加が同時に行なわれるか、一つづつ直ぐに続いて行
なわれるか、全部一度にか少しづづ分割して行なわれるかについては特に限定を
受けるものではない。 上記の方法は、また好ましくは架橋材料をグリシンで加工することを含む。
【0024】 好ましい促進剤としては、以下の化学式のうちの一つによって示される化合物
をあげることができる:H2N−R(OH)−NH2、HO−R−NH2、H2N−
R−O−R−NH2、H2N−R(OH)−O−R−NH2およびHO−R−O−
R−NH2であり、式中においてRは炭素、酸素及び窒素から選択された1−8
個の原子よりなる置換あるいは未置換の鎖である。このような好ましい促進剤と
しては、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、グルコサミン、ガラクト
サミン、トリエチレングリセロールジアミン、グリセロールグリシジルアミンお
よび2(2−アミノエトキシ)エーテル等を挙げることができる。好ましい一次
架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、ジアルデヒド澱粉
、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリエチレンジイソシアナート、グリセロ
ールトリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリ
シジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポ
リグリシジルエーテルおよびソルビトールポリグリシジルエーテル等を挙げるこ
とができる。 架橋される好ましい天然材料としては、血管、尿管、小腸、大腸、食道、気管、
神経鞘等の管状物、脳硬膜、心嚢膜、羊膜、角膜、腸間膜、腹膜、胸膜、肋膜、
横隔膜、膀胱膜、腱膜、卵膜等の膜状物、心臓弁、静脈弁等の弁状物、腱、皮膚
等のコラーゲン含有材料を挙げることができる。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは種々の化学架橋剤に基づく架橋反応と、結果として得られる生成物
(架橋化物)の種々の物性について鋭意検討した結果、該架橋化物に対して水酸
基および/又は直鎖のエーテル結合を新たに導入可能な架橋剤を使用した場合に
は、良好な抗原性/柔軟性のバランスが得られることを見出した。
【0026】 本発明の化学架橋材料は上記知見に基づくものであり、より詳しくは、天然物
材料またはその誘導体から選択される少なくとも1つを構成要素として含む材料
を化学架橋をしてなる化学架橋材料であって、該化学架橋により1分子あたり少
なくとも1個の水酸基および/又は直鎖のエーテル結合が新たに増加したことを
特徴とするものである。 上記した構成を有する本発明の化学架橋材料において、良好な抗原性/柔軟性
のバランスが得られる理由は、本発明者らの知見によれば、以下のように推定さ
れる。
【0027】 すなわち、従来の化学架橋材料において良好な抗原性/柔軟性のバランスが得
られなかったのは、架橋反応により親水性官能基(アミノ基等)が反応で消費さ
れるために、架橋化物全体の親水性が低下することに基づくと推定される。
【0028】 これに対して、本発明においては、架橋反応により親水性官能基(アミノ基等
)が反応で消費された場合にも、新たに導入される水酸基および/又は直鎖のエ
ーテル結合により、少なくとも架橋化物全体の親水性の程に関してもこれと匹敵
するレベルの親水性が導入され、したがって、架橋化物全体の親水性が低下せず
、結果として良好な抗原性/柔軟性のバランスが得られるものと推定される。
【0029】 架橋反応の時に新たに導入すべき親水性の基としては、アミノ基、カルボキシ
ル基も考えられるが、アミノ基を導入した場合導入したアミノ基も架橋反応によ
って消費されてしまう可能性がある。
【0030】 また、カルボキシル基を多量に導入すると、架橋化物の負荷電が増加して、後
述する石灰化等の副作用が生じる可能性がある。
【0031】 本発明において水酸基等が付加される場合には、アミノ基と同様に材料の親水
性が維持可能であって、前述した石灰化のような副作用も少ないことを、本発明
者らは見い出している。
【0032】 また、本発明において、直鎖状のエーテル結合を新たに架橋化物に導入した場
合にも良好な抗原性/柔軟性のバランスが得られる理由は、本発明者らの知見に
よれば、該エーテル結合のいわゆる「フリージョイント」性により該導入部分の
屈曲性が増大し、その結果、材料の架橋部分の屈曲性が維持可能であって、生体
材料特有の柔軟な物性の維持が可能であると推定される。
【0033】 ここに開示された材料および方法を裏付ける仮説についての説明と検討は、先
行技術のそれと同様に、その現在の研究と技術の理解の見解での、発明者の単な
る仮説に過ぎないことに留意しなければならない。このような検討は、ここで開
示された好ましい実施態様の成功と、特別の先行技術による方法と材料の失敗及
び/または欠点に関する一つの可能な説明として提供されているのである。
【0034】 先行技術 以下、従来の化学架橋材料において、良好な抗原性/柔軟性のバランスが得ら
れなかった理由について検討する。
【0035】 種々の化学架橋剤に基づく架橋化物の物性に関する実験および考察に基づく本
発明者の知見によれば、柔軟性の喪失は架橋剤の分子構造に関係するほか、架橋
された材料の含水性、吸水性、親水性と大きく関係していると推定される。
【0036】 例えば、グルタールアルデヒドの様に炭素分子が5つ連なる様な架橋剤では、
その化学骨格によって硬化性と疎水性とを同時に付与する結果となり、結果的に
含水性、吸水性が低下し、更に硬化が進むことになる。従って、グルタールアル
デヒドの様な炭素分子が直鎖状に連なる架橋剤を使用しないか、もしくは使用す
る場合には、柔軟性のある分子を架橋剤とは別に準備し、その存在下で架橋を行
うことで、架橋部分に柔軟性を持たせる工夫が必要となっている。
【0037】 また、分子量の小さな、つまり分子鎖の短い架橋剤で架橋すると、材料の可動
性が架橋剤の鎖の短いことによって制限されることから、材料の柔軟性が失われ
る。例えばホルムアルデヒドでは分子の鎖の長さが短くて、このような分子の稼
動域制限現象が生じている。従って、長い分子鎖の架橋剤を用いる必要があるが
、分子量が大きくなると、架橋剤が材料を構成する個々の分子間隙に浸透しにく
くなるために、充分に内部にまで架橋を導入することが困難となり、分子量を大
きくするだけでは課題の解決にはならない。
【0038】 そこで、架橋剤の分子鎖が短くとも、その架橋剤自体に柔軟性、屈曲性を持た
せておく必要が生じている。従って、従来の材料に関しては、このような架橋剤
の開発や選定、他の物質、例えば促進剤の共存下での架橋、及びその架橋条件の
設定が課題となっていた。
【0039】 親水性を保持するための手段としてカルボキシル基を導入する方法も知られて
いる。例えば、紙おむつ等では、繊維表面にカルボキシル基を大量に導入するこ
とによって、その繊維材料が水に濡れた場合にはカルボキシル基が負電荷となっ
てお互いに反発し、反発し合った負荷電部分の間隙には水の分子が多量に取り込
まれ、引き込まれた水はその間隙から出られなくなるほどに材料は含水性を発揮
する。これは紙おむつのみならず、すでに多くの分野で使用されている手法であ
る。
【0040】 しかしながら、医用材料の場合にはこのような荷電が強くなると、生体内の局
所のイオンバランスを崩すこととなる。例えば負荷電が強まると、生体内にイオ
ン状態で溶解しているカルシュームイオンは陽荷電であるため、容易にそのよう
な負荷電の強い部位に引きつけられ、高濃度となって析出し、後述する石灰化の
問題の一因ともなるために、カルボキシル基を増やすことで親水性と含水性を高
めることは、効率が良いにしても、新しい問題が生じていた。それゆえ、親水性
と含水性の双法を高めることは、極めて効果のあることである。
【0041】 石灰化の問題は、本発明者らの知見によれば、このような強い負荷電のみなら
ず、材料が疎水的になることでも助長される現象であると考えられる。グルター
ルアルデヒド処理したコラーゲン材料は、生体内で前述したような石灰化を生じ
やすいことがすでに知られている。この理由は、本発明者らの知見によれば、グ
ルタールアルデヒド処理によってコラーゲンを多く含む生体由来材料は架橋後に
疎水的になるために、材料内での水の流動性が低下するためと推定される。この
ような状況下でカルシュウムイオン等が核を作ると、その部分でのカルシュウム
イオンの濃度は低下するので、更にカルシュウムイオンが入り込むことが起きう
るそうなると前に作られた核となる部分に更に析出し、悪循環となってカルシュ
ウムが次々と析出し、石灰化現象として見られるようになると推定される。
【0042】 疎水性の医療材料が石灰化しやすい現象は生体由来材料のみならず、合成高分
子材料においても見られる現象である。例えば、e−PTFEはポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)を急激に延伸して、無数の亀裂を生じさせ、それによ
って材料に屈曲性、柔軟性を持たせているため、医用材料として広く使用されて
いる。しかしながら、Tomizawaら(ASAIO Journal,1998,44:496-500)によれば
,このe−PTFEにも石灰化があることが報告されている。
【0043】 従って、架橋処理を行っても、材料内部で生体材料の有するような親水的環境
下での流動的な水の動きが維持できるような状況を得る必要があり、従来の材料
に関してはいかにしてこの状況を得るかが、課題として残されていた。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の
記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とす
る。
【0045】 本発明の化学架橋材料は、天然物材料またはその誘導体を含む材料を化学架橋
をしてなる化学架橋材料である。本発明においては、この化学架橋により大多数
の形成された架橋1分子あたり少なくとも1個の水酸基および/又は直鎖のエー
テル結合が新たに増加する。
【0046】 本発明においては、架橋の結果として1分子あたり少なくとも1個の水酸基お
よび/又は直鎖のエーテル結合が新たに増加する限り、その手段は特に制限され
ない。このような水酸基またはエーテル結合は、好ましくはここに「促進剤」ま
たは「促進剤化合物」とするクラスの化合物によって提供される。このクラスの
化合物は構造、分子量、機能性およびその他の物性を変化させた種々の化合物を
含むものであるが、化合物それ自体にも、または結果として生じた(反応中に形
成された)架橋体のいずれにも水酸基またはエーテル結合を与えるという共通の
性質を有する。すなわち、水酸基の導入に関しては:例えば、架橋剤がその分子
内に水酸基を有する;架橋反応によって新たな水酸基を生成させる基を促進剤が
有する;少なくとも水酸基を有する促進剤を架橋時に加える;少なくとも一個の
エーテル結合を有する促進剤を含んだ架橋剤を架橋時にプレミックスする、等い
ずれの方法も使用可能である。
【0047】 同様に、直鎖のエーテル結合の導入に関しても:例えば、架橋剤自体がエーテ
ル結合を有する;架橋反応によって新たなエーテル結合を生成させる;あるいは
少なくとも一個のエーテル結合を有する促進剤を架橋時に組み込む;少なくとも
一個のエーテル結合を有する促進剤を含んだ架橋剤を架橋時にプレミックスする
、等のいずれの方法も使用可能である。
【0048】 水酸基/エーテル結合の増加の確認 本発明において、架橋化物における水酸基/エーテル結合の増加は、例えば後
述する接触角を測定することにより、親水性の増大として好適に確認することが
可能である。
【0049】 架橋化される材料 架橋化される材料については,天然物材料またはその誘導体から選択される少
なくとも1つを構成要素の一部として有する材料である限り、特に制限されない
。この原料となる天然物材料は、天然由来のものであってもよく、また該天然由
来材料と実質的に同等のものを人工的(例えば、合成、半合成、遺伝子操作、細
胞融合)に製造したものであってもよい。
【0050】 この天然物材料またはその誘導体としては、典型的には、ヒト、動物(必要に
応じて、遺伝子操作の後)より取り出された天然組織、あるいはコラーゲンまた
はその誘導体を含む溶液あるいは分散液から成形された成形物が挙げられる。
【0051】 天然組織の場合には生体より取り出された各種そ組織をそのまま、あるいは必
要に応じて、周辺組織(脂肪、細胞等)を取り除く等の処理を施した後に使用で
きる。具体的には、血管、尿管、小腸、大腸、食道、気管、神経鞘等の管状物、
脳硬膜、心嚢膜、羊膜、角膜、腸間膜、腹膜、胸膜、肋膜、横隔膜、膀胱膜、腱
膜、卵膜等の膜状物、心臓弁、静脈弁等の弁状物、腱、皮膚等の組織を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。動物の組織を利用した場合に
は異種間移植となるが、充分に洗浄、滅菌すれば使用に何ら問題なく、例えば、
ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ等を用いることができる。
【0052】 一方、コラーゲン成形物の原料としてはいかなる動物、組織由来のものでも使
用でき、また遺伝子組み換え等により得られるコラーゲンを用いることもできる
。皮膚、腱等の動物組織由来のものより単離されたコラーゲンをコラーゲン成形
物の原料とする場合は、不溶性、可溶性、あるいは可溶化されたコラーゲンを用
いることができる。
【0053】 コラーゲンの種類については特に限定されるものえではないが、例えば動物の
腱から採取したテンドンコラーゲン、動物の皮膚から採取したハイドコラーゲン
、動物組織中の酸可溶分を酸で溶解させた酸可溶性コラーゲン、塩可溶分である
塩可溶性コラーゲン、酵素で溶かし出した酵素可溶化コラーゲン、アルカリ性の
条件下で可溶化させたアルカリ可溶化コラーゲン等を挙げることができる。更に
は上記コラーゲンを化学修飾して得られる化学修飾コラーゲン、例えばサクシニ
ル化等のアシル化コラーゲン、メチル化コラーゲン等を用いることもできる。
【0054】 また、上記のコラーゲンまたはその誘導体を構成要素として含む溶液あるいは
分散液を原料とした膜状、板状、環状、筒状、球状、粉状、スポンジ状、糸状、
棒状等の成形物を用いることができる。更に、生体適合性を有する合成高分子材
料から成形した板状、膜状、環状、筒状、糸状、ひも状等の形状をとった無孔質
な構造体、あるいは織物、編物、延伸物、メッシュ等の多孔質の構造物に上記の
コラーゲンを構成要素として含む溶液あるいは分散液をコート、含浸あるいは練
合して得たものを用いることもできる。
【0055】 好ましい架橋方法 次に架橋の方法としては、今日用いられているアルデヒド系架橋剤、イソシア
ナート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等、いずれの架橋剤も架橋反応時の一次架橋
剤としてを用いても行うことができるが、これらに限定されるものではない。 良好な柔軟性その他の望みの物性を容易に得る点からは下記の促進剤化合物(
1)〜(5)のうちいずれか1つ以上を、これらの架橋反応に関与させることが
好ましい。 H2N−R(OH)−NH2 HO−R−NH22N−R−O−R−NH22N−R(OH)−O−R−NH2 HO−R−O−R−NH2 上記式中、Rは必要に応じてヘテロ原子(O、Hおよび/又はS)を含んでいて
もよく、また、必要に応じて分枝、二重/三重結合、環状構造を含んでいてもよ
い炭素鎖を表す。上記(1)−(5)を始めとする架橋剤の分子量(混合物、ポ
リマーないしオリゴマーの場合には平均分子量)は、1×104以下であること
が好ましく、更には、5×103以下(特に3×103以下)であることが好まし
い。
【0056】 このような促進剤化合物(1)−(5)を架橋反応に関与させる手段は、該促
進剤化合物(1)−(5)が原料たる天然物材料および/又は架橋剤の官能基の
少なくともー部と反応する限り、特に制限されない。 例えば、被架橋物である天然物材料の内部に促進剤化合物(1)−(5)をあ
らかじめ含浸させておき、その後に通常の架橋反応を行ってもよく、また、架橋
剤と化合物(1)−(5)を混合して混合溶液を作成しておき、これを用いて架
橋を一気に行ってもよい。架橋剤が化合物(1)−(5)により消費される可能
性を考慮すると、あらかじめ化合物を材料内に含侵させておく方が通常は効率は
良いため好ましい。架橋剤が促進剤化合物により消耗される可能性を考慮すると
、前述の一次の方法を用いた方がよい。しかしながら、また、第二の方法も本発
明の他の方法と同様に好適である。
【0057】 好ましい架橋剤(即ち、一次の架橋剤)として、例えばグルタールアルデヒド
、ホルムアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等のアルデヒド類;ヘキサメチレン
ジイソアナート、トリエチレンジイソシアナート等のイソシアナート類;グリセ
ロールとリグリシジエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジグリシジールエーテル、トリメチロールプロパンポリシ
ジールエーテル、ジグリセロールポリシジールエーテル、ポリグリセロールポリ
グリシジールエーテル、ソルビトールポリグリシジールエーテル等のエポキシ化
合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】 これらのうち、アルデヒド系とイソシアナート系の架橋剤を使用する場合には
、これらの一次の架橋剤はその構造の中にあるいは架橋体を形成した時に水酸基
もエーテル結合もないため、架橋反応時に化合物(1)〜(5)を含む促進剤を
関与させることが極めて好ましい。
【0059】 他方、エポキシ化合物の中には、そのもともとの形の中にも、架橋反応を行な
った形の中にも、水酸基やエーテル結合部分を有するものがある。例えばジグリ
セロールポリグリシジールエーテル、ポリグリセロールポリグリシジールエーテ
ル、ソルビトールポリグリシジールエーテル等はそれに相当する。従ってエポキ
シ化合物は単独で使用してもよいけれど、材料の特性は少なくとも一つの付加的
水酸基および/またはエーテル結合を供給する促進剤の使用により改良すること
ができる。
【0060】 更に、エポキシ基と天然物材料の内部にあるコラーゲン等のアミノ基との反応
を考えると、その反応によってエポキシ基が開環して水酸基が反応ごとに一つ生
じることになる。従って、ジグリセロールポリグルシジルエーテル、ポリグリセ
ロールポリグリシジールエーテル、ソルビトールポリグリシジールエーテル以外
のエポキシ化合物を使用した場合でも、化合物(1)−(5)を使用しない場合
にも、水酸基を材料内に増やすことが可能である。すなわち、このことから、促
進剤の使用は好ましいけれども、エポキシ化合物を使用した化学架橋の場合には
化合物(1)−(5)を使用しない場合にも、良好に水酸基を導入することが可
能である。
【0061】 しかしながら、化合物(1)−(5)を含む促進剤化合物を、ここに記載した
ような方法を用いて架橋時に関与させることが好ましい。このことは、あらかじ
め促進剤を材料内に含侵させる等の手段により、天然物材料に更に多量の水酸基
とエーテル結合を導入可能とする。
【0062】 化合物(1)としてはアミノ基を2つ以上有し、かつ水酸基を1つ以上有する
化合物であれば特に制限はないが、1,3−ジアミノ−2−ヒドロシキプロパン
[化学式:H2NCH2CH(OH)CH2NH2]およびキトサン等をあげること
が出来る。
【0063】 一般式(2)の化合物は、少なくとも一つの末端アミノ基と少なくとも一つの
水酸基を含む。そのような化合物としては、グルコサミンおよびガラクトサミン
をあげることが出来るが、これらに限定されるものではない。またセリン、スレ
オニン等等のアミノ酸もあげることが出来るが水酸基以外にカルボキシル基を有
するためにグルコサミン、ガラクトサミンのほうが望ましい。
【0064】 一般式(3)の化合物は、少なくとも2つの末端アミノ基を以上有し、かつ直
鎖状のエーテル結合を1つ以上有する化合物である。具体例としては、下記に示
す式[H2N(CH22OCH2CH2CH2O(CH22NH2]のトリエチレン
グリコールジアミンをあげることが出来るが、それに限定されるものではない。
【0065】 一般式(4)の化合物は、末端アミノ基を2つ以上有し、かつ直鎖状のエーテ
ル結合を1つ以上有し、同時に少なくとも1つの水酸基含有R基を有する化合物
であれば特に制限はない。具体例としては、下記に示す式[H2N(CH23
CH2CH(OH)CH2O(CH23NH2]のグリセロールグリシジルアミン
をあげることが出来る。
【0066】 一般式(5)の化合物は、末端アミノ基と水酸基を有し、かつ直鎖状のエーテ
ル結合を1つ以上有する化合物であり、更に水酸基を有する化合物であれば特に
制限はない。具体例として、下記に示す式[H2N(CH22O(CH22OH
]の2−(2−アミノエトキシ)エタノールをあげることが出来る。
【0067】 上述の一般式(1)から(5)に示す化合物においては、R基は好ましくは以
下に示す特徴のうち1つまたはそれ以上を持つ:長さがかなり短く、高い柔軟性
を有し、および/または親水性を有する。R基は、式中に記された以上の付加的
水酸基およびエーテル結合を含むものである。より優れた柔軟性には、アルケン
およびアルキンベースR基よりもアルカンベース基が好ましい。 各架橋剤の性質により架橋条件が異なる可能性がある。用いる架橋剤の種類、
架橋剤の濃度、促進剤および一次の架橋剤の濃度、架橋剤の溶液の反応温度、水
素イオン濃度や反応時間等が異なる可能性があるため、必要に応じて、これらを
調整することができる。
【0068】 架橋剤としてのエポキシ化合物 本発明において一次の架橋剤としてアルデヒド化合物やイソシアナート化合物
を用いた場合には、架橋反応が比較的速く進み、材料の表面が高度にしかも急速
に架橋される傾向がある。他方、エポキシ化合物はアルデヒド化合物やイソシア
ナート化合物に比べて、一般に反応速度が遅く、架橋後の柔軟性の維持、親水性
の保持、石灰化の防止等の効果を有する。したがって、材料の内部にまで架橋を
導入することが容易な点からは、エポキシ化合物を架橋剤として用いることが好
ましい。
【0069】 溶媒 架橋の際の溶媒としては、所望の架橋反応(水酸基および/又は直鎖のエーテ
ル結合が新たに増加する)が可能である限り特に制限されない。好適な溶媒の例
としては、例えば、グルタールアルデヒド、ホルムアルデヒド、ジアルデヒドデ
ンプン等のアルデヒド化合物では水、リン酸緩衝液、炭酸ナトリウム水溶液等の
水系溶媒、メタノールエタノール等を水と混合した有機溶媒、あるいはこれらの
混合溶液を用いることができる。
【0070】 ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート等のイソシ
アナート化合物の場合は、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、
ヘキサン、トルエン等の有機系溶媒を用いることが好ましい。
【0071】 またグリセロールトリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジル
エーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジールエーテル、トリメチロール
プロパンポリグリシジールエーテル、ジグリセロールポリグリシジールエーテル
、ポリグリセロールポリグリシジールエーテル、ソルビトールポリグリシジール
エーテル等のエポキシ化合物では水、リン酸緩衝液、炭酸ナトリウム水溶液等の
水系溶媒、メタノール、エタノール等水と混合する有機溶媒、あるいはその混合
溶媒を好適に用いることができる。
【0072】 好ましい架橋反応条件 架橋の際には天然物材料またはその誘導体を含有する溶媒に、好ましくは一般
式(1)−(5)で示される促進剤化合物を、架橋剤と一緒に加えることも可能
である。その添加はどのように行なってもよく、一度に加えてもよし、一つづつ
順番に加えてもよし、二つの成分をあらかじめ混合しておいて、天然物材料また
はその誘導体を含有する溶媒に加えてもよい。更には、化合物のうち1つ、好ま
しくは促進剤を最初に材料内に含侵させておき、その後に架橋剤に接触させる方
法がある。促進剤を加える量としては架橋剤が有するアルデヒド、あるいはイソ
シアナート官能基の合計モル数に対して、アミノ基の合計モル数が10%から1
00%(好ましくは20〜80%)の範囲であることが望ましい。
【0073】 エポキシ化合物の場合は、前述の通り、化合物(1)−(5)を加えなくても
アミノ基とエポキシ基の反応によって水酸基を生じ、更にエーテル結合も導入で
きるため、必ずしも化合物(1)−(5)を加えなくとも良好な柔軟性を得るこ
とが可能である。化合物(1)−(5)を加えるほうがより効果的である。
【0074】 いずれの架橋剤でも水系溶媒では架橋反応時のpHはpH5から12の範囲が
好ましく、中性からアルカリ性(pH7から12)が特に好ましい。また架橋剤
の濃度としては0.01から10重量%が望ましい。反応時間は使用する架橋剤
により大きく異なり、例えばアルデヒド化合物であれば0.5から24時間の間
、エポキシ化合物であれば3から48時間の間が望ましい。
【0075】 いずれの架橋反応の後にもグリシンにより残留(未反応の)官能基を失活させ
ることにより、残留官能基の毒性を制御することが可能である。したがって、架
橋反応の後にグリシン処理することが望ましい。このグリシン処理の際の反応条
件は、架橋条件と同じ条件が好適に使用可能である。
【0076】 架橋反応時の温度は架橋を行う材料によって異なるが、生体組織を利用した成
形物の場合は生体内温度(37℃)以下であれば問題ない。コラーゲン溶液、あ
るいは分散液からの成形物を使用する場合は、変性温度より低い温度であれば問
題はなく、例えば酸可溶性コラーゲン、酵素可溶化コラーゲン等40℃付近に変
性温度を有するコラーゲンの場合は30℃以下、アルカリ可溶化コラーゲン、化
学修飾コラーゲン等35℃付近に変性温度を有するコラーゲンの場合は25℃以
下であれば反応中に変性する等の問題が起こらない。
【0077】 ただし、いずれの場合もあまり濃度が低すぎると反応効率が悪くなるため、1
5℃以上が望ましい。特にエポキシの反応は一般に温度依存性であって、温度が
高いほど短時間で反応が進行するため、20℃以上の温度が望ましい。したがっ
て、逆に、エポキシ化合物による架橋を用いる本発明の態様において、は、反応
の過程において反応度を制御するときに温度と時間を考慮して正確な反応率のコ
ントロールが容易という利点もある。
【0078】 ヘパリン化の態様 化学架橋を行う際にプロタミンを混ぜることによって、架橋化材料にプロタミ
ンを結合することが出来る。このプロタミンを結合した架橋化材料をヘパリン溶
液に漬けることにより材料表面にヘパリンを付けることが出来、その材料に抗血
栓性を付与することも可能である。用いるプロタミンはいかなる動物から採取さ
れたものであっても、あるいはリコンビナントのプロタミンでも良い。またヒス
トンを含有する物でも良いが無機あるいは有機酸と塩形成体が望ましく硫酸プロ
タミンあるいは塩酸プロタミンが望ましい。更にポリジンやアルギニンといった
、合成の塩基性ポリアミノ酸も使用可能である。
【0079】 この材料のヘパリン化方法は特開昭57−65054号、特開昭60−168
857号、特開昭60−177450号、米国特許第4,704,131号、米
国特許第4,833,200号等の技術の応用であるが、本発明によって化合物
(1)−(5)を加えることで材料に水酸基やエーテル結合を導入すれば、天然
物の本来から有する物性に近い状態で架橋と同時にプロタミンを共有結合させ、
更にヘパリンをイオン結合させ得るため、効果的な抗血栓性を生体材料の物性に
近い特性を有する材料に付与できる。
【0080】 このような態様においては、例えば、プロタミンを0.1から10%(好まし
くは0.3から5%)の濃度で溶液とした後にこの溶液を先に述べた架橋剤の溶
液に加えるか、あるいは架橋化する前にこのプロタミン溶液に架橋化する材料を
浸した後に、先に述べた架橋剤の溶液により架橋を行うことが好ましい。材料を
プロタミンに浸す時間は、30分以上(好ましくは30分から16時間程度)で
あることが好ましい。この際、例えば、20ないし50mmHg程度の圧力をか
けつつ浸すことにより、短時間で浸透を進行させることができる。
【0081】 組織の利用 本発明においては、動物等から取りだした組織をそのままの形態を維持したま
ま使用することが可能である。例えば、動物の心臓弁や静脈弁の弁構造を維持し
たまま、あるいは心膜等の膜構造を維持したまま化学架橋を行い、その形状のま
ま使用することができる。
【0082】 人工の心臓弁に代表されるような使用方法においては、化学架橋された医用材
料は生体内に植え込まれた後にも生体内で分解吸収されることなく、長時間にわ
たって機能を維持させる必要のあることが多い。このような用途に対しては、材
料内のアミノ基の少なくとも70%以上(好ましくは80%以上)が架橋に消費
される程度に高い架橋率であることが望ましい。
【0083】 有機体の利用 本発明は高分子材料の構造体とヒト、動物より取り出された腱、皮膚を原料と
した溶液あるいは分散液からなる材料との組み合わせによる医用材料も可能であ
る。高分子材料の構造体としてはいかなる形状の物でも可能であるが、通常は、
板状、膜状、環状、筒状、糸状、ひも状等の形状の無孔質な構造体、あるいは織
物、編み物、延伸物、メッシュ等の多孔質の構造物が好適に用いられる。この構
造物に上記の腱、皮膚を原料とした溶液あるいは分散液をコート、含浸あるいは
練合して使用することも出来る、
【0084】 溶液の場合には腱、皮膚の主要な構成成分であるコラーゲンを可溶化して取り
出し、それを溶液として用いることが出来る。その場合の可溶化には先に述べた
方法を用いることが出来る。また分散液の場合には腱、皮膚を機械的に粉砕し、
それを水、生理的食塩水等に分散させて用いる。なおこれら分散液ではpHによ
りその分散液の性質が異なる。通常、酸性では腱、あるいは皮膚に含まれるコラ
ーゲンが膨潤するために粘稠な液となるのに対して、中性ではコラーゲンの膨潤
が起こらないため、通常は粘性の低い液である。
【0085】 高分子材料としては合成高分子あるいは天然物材料、またはそれらの誘導体を
少なくとも一部含む材料を用いることが出来る。天然物材料またはそれらの誘導
体を少なくとも一部含む材料としては先に述べた組織由来等の材料をあげること
ができ、これら材料に更に腱、皮膚を原料とした溶液あるいは分散液をコート、
含浸あるいは練合して使用することが出来る。
【0086】 このような使用の態様においては、高分子材料である天然物材料またはそれら
の誘導体を少なくとも一部含む材料は哺乳動物の体内に埋め込まれたときに6ケ
月以内に分解吸収されることが望ましいことが多い。このような6ケ月以内に吸
収させれような使用方法を行う場合には、材料内部のアミノ基の少なくとも60
%以下(好ましくは50%以下)が架橋に消費される程度の低い架橋率であるこ
とが望ましい。
【0087】 このような吸収されることを前提として使用する場合には、自己組織への置き
換わりを阻害しない点からは、材料が6ケ月を越える長期にわたり体内に残存し
ないことが望ましい。
【0088】 生体内に永久に残存する合成高分子材料と併用して使用する場合には、その高
分子材料としてはその用途(例えば医療用)として使用可能なものであれば特に
制限はない。例えば、医療用用途としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リメチルペンテン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリス
チレン、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、カーボン樹脂、あるいはそ
れらの共重合体、混合物、あるいは誘導体等をあげることが出来る。
【0089】 これら合成高分子あるいはその誘導体は哺乳動物の体内に埋め込まれたときに
6ケ月以内に分解吸収されることは望ましくない。これは合成高分子構造体を基
本骨格とし、その周囲に腱、皮膚を原料とした溶液あるいは分散液をコート、含
浸あるいは練合して使用することによって、周囲組織との一体化を図るものであ
るため、その骨格である合成高分子構造体が6ケ月で分解吸収した場合には、そ
の構造物が形状を維持できなくなり目的を達成することが困難となる傾向がある
【0090】 しかしながら、合成高分子あるいはその誘導体を基本骨格とし、その周囲に腱
、皮膚を原料とした溶液あるいは分散液をコート、含浸あるいは練合させて使用
する生体由来材料の方は6ケ月以内に分解吸収されることが望ましい。この場合
は、その材料が生体内で分解され吸収された後は、宿主の細胞、組織がその部に
進入し、架橋されていた生体由来材料と置き換わることとなる。
【0091】 親水性 本発明では、架橋処理を行った後に新たに水酸基が導入され、あるいはエーテ
ル結合が導入されることとなる。その結果、従来の方法で行った架橋処理に比べ
て、架橋処理を行った材料の親水性の程度を高くすることができる。また、エー
テル結合の導入によって、従来の方法で架橋した材料に比べて、柔軟性を維持す
ることができる。
【0092】 親水性の程度の評価は、例えば液滴法による接触角に測定でおこなうことがで
きる。例えば馬の心膜の心臓側の面が平滑であることから、本発明における親水
性の評価においては、架橋後の接触角をこの平滑面で測定することができる。
【0093】 本発明の実験によれば、グルタールアルデヒドで架橋した心膜の接触角は約7
5度であった。他方水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合物の代
表として、グリセロールグルシジールアミンを含侵させた後にグルタールアルデ
ヒド架橋を行うと、その接触角は約45度となり、親水性度が高まっていること
が判明した。
【0094】 柔軟性 本発明では、架橋処理を行った後に新たに水酸基が導入され、あるいはエーテ
ル結合が導入されるために、架橋処理を行った材料の柔軟性の程度は、従来の方
法で行った架橋処理に比べて顕著に高まる。
【0095】 柔軟性の程度の評価は、例えば膜のカンチレバー法あるいは心臓弁等の開閉に
要する圧角差で表現することが可能である。
【0096】 本発明の実験によれば、グルタールアルデヒドで架橋した心膜のカンチレバー
法による剛/軟性の測定では、約41mmであった。他方、水酸基および直鎖状
のエーテル結合を共に有する化合物の代表として、グリセロールグルシジールア
ミンを含侵させた後にグルタールアルデヒド架橋を行うと、その剛/軟性は約3
6mmとなって、柔軟性が維持されていることが判明した。
【0097】 心臓弁等の柔軟性の測定には、弁を開閉させるに要する弁前後の圧格差を測定
することもできる。この方法によると、一般的には、正常な静脈弁は5mmHg
以下の圧力の差があれば開閉する。従来技術のグルタールアルデヒドによる架橋
を行った弁では、54mmHgであった。他方水酸基および直鎖状のエーテル結
合を共に有する化合物の代表として、グリセロールグルシジールアミンを含浸さ
せた後にグルタールアルデヒド架橋を行うと、その剛軟性は約39mmHgとな
り、柔軟性が維持されていた。
【0098】 用途 このようにして作成した化学架橋材料は、医用材料等、特に人工硬膜、人工結
合組織、人工胸膜、人工肋膜、人工皮膚、人工胸壁、人工腹壁、人工腹膜、癒着
防止膜、人工膀胱、人工心嚢膜、人工筋膜、創傷治癒促進材料等として好適に用
いることが出来る。
【0099】 更に本発明による架橋された化学架橋材料は、例えば心室壁、動脈壁、静脈壁
、気管、胆管、消化管、尿管、膀胱壁、腹壁、腱、筋膜、神経鞘、腱鞘等の生体
組織の代用物、あるいは癒着防止膜、創傷治癒促進材料、組織修復用膜等の手術
補助材としての利用も可能である。
【0100】 以下に本発明を実施例をもって本発明を明らかにするが、これら実施例によっ
て本発明は制約されるものではない。
【0101】
【実施例】
実施例1 馬の心膜を新鮮な状態で屠蓄場から得て、周囲の脂肪組織はできるだけ取り除
いた後に0.01%フイシンのリン酸溶液に24時間浸漬してコラーゲン以外の
タンパク質を除去し、リン酸緩衝液(pH=7.0;ストレプトマイシンを0.
1%、アンホテリシンBを0.1%含有)にて充分洗浄した。この膜を2cm×
10cmのサイズに切り出し、膜状の素材とした(素材1)。
【0102】 このようにして得られた(素材1)の膜を1.0%グルタールアルデヒド/リ
ン酸緩衝液(pH7.4)に入れ、室温で1時間反応させて架橋し、生理的食塩
水により充分に洗浄し、グルタールアルデヒド架橋膜を得た(GAI)。
【0103】 上記(素材1)の膜を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合物
の代表として、下記の構造式を有するグリセロールグルシジールアミンを1%含
む1.0%グルタールアルデヒド/リン酸緩衝液(pH7.4)に入れ、室温で
1時間反応させて架橋し、充分に洗浄し、水酸基および直鎖状のエーテル結合が
架橋部分に結合されたグルタールアルデヒド架橋膜を得た(GA2)。ここでい
うグリセロールグルシジールアミンの構造式は、H2N(CH23OCH2CH(
OH)CH2O(CH23NH2である。
【0104】 上記(素材1)の膜を凍結乾燥した。次に、この乾燥させた膜を1,3−ジア
ミノ−2−ヒドロキシプロパンを含む3.0%ヘキサメチレンジイソシアナート
/メタンール溶液に入れ、室温で3時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて充
分に洗浄し、イソシアナート架橋膜を得た(IC1)。
【0105】 (素材1)の膜を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合物の
代表としてグリセロールグルシジールアミンを選び、その1%溶液に室温で24
時間侵漬し、その後凍結乾燥した。次にこのような処置を行った膜を1,3−ジ
アミノー2−ヒドロキシプロパンを含む3.0%ヘキサメチレンジイソシアナー
ト/メタノール溶液に入れ、室温で3時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて
充分に洗浄し、水酸基およびエーテル結合が架橋部分に結合されたイソシアナー
ト架橋膜を得た(IC2)。
【0106】 (素材1)の膜を0.1M炭酸ソーダ50%エタノール溶液(pH11.5−
11.8)に入れ、そこに5.0%エチレングリコールジグリシジルエーテル(
EX810、ナガセ化成工業株式会社、日本)を加え5時間反応させて架橋し、
その後蒸留水にて充分に洗浄し、エポキシ架橋膜を得た(EX1)。
【0107】 (素材1)の膜を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合物の
代表としてグリセロールグルシジールアミンを選び、その1%溶液に室温で24
時間侵漬した。次にこのような処置を行った膜を0.1Mの炭酸ソーダ50%エ
タノール溶液(pH11.5−11.8)に入れ、そこに5.0%エチレングリ
コールジグリシジルエーテル(EX810、ナガセ化成工業株式会社、日本)を
加え5時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて充分に洗浄し、水酸基およびエ
ーテル結合が架橋部分に結合されたエポキシ架橋膜を得た(EX2)。
【0108】 実施例2 実施例1で得た(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX
1)および(EX2)の各膜の乾燥凍結による乾燥重量と、湿潤時(乾燥凍結前
)の重さから、個々の膜の乾燥重量に対する水分含量を測定したところ、(素材
1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX1)および(EX2)の
それぞれは、75%、65%、69%、72%、70%、74%および76%の
水分含量を有していた。
【0109】 この結果、グルタールアルデヒド及びイソシアナートを用いた心膜の架橋は含
水率を低下させるが、新たに水酸基およびエーテル結合を導入することにより、
含水率を向上させ、この傾向はエポキシ架橋を行った場合にも同様に効果的であ
ることが判明した。また、エポキシ架橋処理のみでも含水率が高まることが明ら
かとなった。
【0110】 実施例3 実施例1で得た(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX
1)および(EX2)の各膜の剛/軟性を測定するため、繊維布の剛/軟性測定
方法であるカンチレバー(図1)を用いる剛/軟度試験法による剛/軟度を測定
したところ、(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX1)
および(EX2)のそれぞれは、4mm、41mm、36mm、30mm、25
mm、7mm、および6mmでの剛/軟度を有していた。
【0111】 この結果、グルタールアルデヒド及びイソシアナートを用いた心膜の架橋は硬
化していることが明らかとなり、新たに水酸基およびエーテル結合を導入を行う
と、柔軟性を維持できることが明らかになった。また、エポキシ架橋を行った場
合にも同様に効果的であることが判明した。
【0112】 実施例4 実施例1で得た(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX
1)および(EX2)の各膜の引き裂き強度の評価を行うために、ANSI/A
AMI(American National Standards Institute/Association for the Advanc
ement of Medical Instrumentation)基準のsuture retention test により、耐
解れ強度を測定した。測定方法としては、各膜の切断端から2mmのところに縫
合糸をかけて引っ張り、膜がちぎれるまでに要する負荷を測定した。
【0113】 この測定の結果、(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(E
X1)および(EX2)の各膜を引きちぎるに要する力は、それぞれ0.7kg
、0.9kg、0.9kg、0.8kg、0.8kg、0.8kgおよび0.8
kgであった。
【0114】 この実験の結果、架橋を行うと、無処理の膜より力学的な強度は増すことが明
らかとなった。またグルタールアルデヒド及びイソシアナートを用いた心膜の架
橋はエポキシ処理のそれと同程度に強いことも明らかとなった。
【0115】 実施例5 実施例1で得た(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX
1)および(EX2)の各膜のコラーゲン部分におけるリジン残基のε(イプシ
ロン)−アミノ基の反応消費量から、架橋率の測定を行った。測定はTNBS法
(文献:Analytical Biochem., 27,273(1969))により行った。
【0116】 TNBS法によってアミノ基の消費された程度を(素材1)を基準に0%とし
て、他の膜のアミノ基の架橋反応による消費の比率から換算した。その結果、(
素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX1)および(EX2
)の各膜の架橋率はそれぞれ0%、85%、82%、90%、86%、79%お
よび76%であった。
【0117】 この結果、それぞれの架橋方法で、等しく70%以上の架橋率が得られている
ことが明らかとなった。また、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する
化合物の代表としてグリセロールグリシジルアミンを入れた例では、それぞれに
入れなかった試料に比べて架橋率が低くなることが明らかとなった。
【0118】 実施例6 実施例1で得た(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX
1)および(EX2)の各膜の親水性の程度を膜の接触角を液滴法によって測定
し、それぞれについて評価を行った。個々の膜は心臓面とその裏側があって、心
臓面はおおむね平滑であり、その裏側の面は詳細に観察すると細かな毛羽立ちが
あった。そこで、接触角の測定は心臓面である平滑な面で行った。
【0119】 液滴法による接触角測定では、(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(
IC2)(EX1)および(EX2)の各膜の接触角は、それぞれ15度、65
度、45度、68度、42度および18度であった。
【0120】 この結果から、グルタールアルデヒドとイソシアナートによる架橋は親水性を
低下させることが明らかとなった。一方、エポキシ架橋は親水性をごく僅か低下
させるだけであった。この評価においては、水酸基および直鎖状のエーテル結合
を共に有する化合物の代表としてグリセロールグルシジールアミンを入れた例で
は、それぞれに入いれなかった試料に比べて親水性の程度が顕著に高まることが
明らかになった。
【0121】 実施例7 実施例1で得た(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX
1)および(EX2)の各膜の製作段階において、架橋処理に5%のグリシンの
0.1M炭酸ソーダ溶液に入れ10時間処理を行った膜を作成し、それぞれ(素
材1’)(GA1’)(GA2’)(IC1’)(IC2’)(EX1’)およ
び(EX2’)と名付けた。これは架橋後に未反応の部分があれば、それをグリ
シンのアミノ基でマスクするという処理である。
【0122】 上記(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX1)および
(EX2)の各膜と、(素材1’)(GA1’)(GA2’)(IC1’)(I
C2’)(EX1’)および(EX2’)の各膜を、それぞれ1cm角に切って
、それらを生後4週令のラットの背部皮下組織内に無菌的に挿入した。
【0123】 挿入後4週間経過して、挿入していた膜をそれに付着した周囲組織と共に採取
し、10%ホルムアルデヒドで固定した後にパラフィンにて包埋し、光学顕微鏡
用の切片を作成し、ヘマトキシリン・エオジン染料を行って、異物反応度を定性
的に判定した。
【0124】 異物反応度を測定するにあたり、周囲組織壊死、マクロファージ出現度、異物
性巨細胞出現度、被包組織形成度等を観察し、これらの程度から総合的に判断し
て、その異物反応度を5段階に分類し、+5が最強に異物反応が強く、0を異物
反応なしという基準値を作り、これに沿って個々の試料の評価を行った。
【0125】 上記(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX1)および
(EX2)の各膜と、(素材1’)(GA1’)(GA2’)(IC1’)(I
C2’)(EX1’)および(EX2’)の各膜の異物反応は、それぞれについ
て、+1、+5、+4、+3、+2、+2、および+1と;+1、+4、+4、
+3、+2、+2、および+1であった。
【0126】 この結果、グルタールアルデヒド架橋では異物反応が強く現れ、ついでイソシ
アナート架橋が強い異物反応を示した。エポキシ架橋は前2者に比べて異物反応
は少なかった。また、グルシン処理は異物反応を多少軽減する効果があることが
判明した。
【0127】 実施例8 実施例1で得た(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX
1)および(EX2)の各膜と、(素材1’)(GA1’)(GA2’)(IC
1’)(IC2’)(EX1’)および(EX2’)の各膜をそれぞれ1cm角
に切って、それらを生後4週令のラットの背部に無菌的に挿入した実験から得ら
れた同様の試料について、光学顕微鏡の切片をフォンコッサ染色を行い、石灰化
度の評価を行った。
【0128】 石灰度の評価は石灰化の濃度、範囲の広さ等から5段階にわけ、+5が最強の
石灰化で0が石灰化なし、という基準で個々の試料についての評価を行った。
【0129】 上記(素材1)(GA1)(GA2)(IC1)(IC2)(EX1)および
(EX2)の各膜と、(素材1’)(GA1’)(GA2’)(IC1’)(I
C2’)(EX1’)および(EX2’)の各膜の石灰度は、それぞれについて
、前述の基準で判定すると、0、+2、+2、+1、+1,0、および0と、0
、+2、+1、+1、+1,0、および0であった。
【0130】 この結果、グルタールアルデヒド架橋では石灰化が強く現れ、ついでイソシア
ナート架橋が中程度に石灰化を示した。エポキシ架橋は石灰化は見られなかった
。また、グリシン処理は石灰化の防止という意味からは、効果を示さなっかた。
【0131】 実施例9 牛の頚動脈を新鮮な状態で屠蓄場で、周囲の脂肪組織を出来るだけ取り除いた
後に、蒸留水中に2時間浸漬して細胞成分を浸透圧によって緊満させた。つぎに
超音波処理を30秒間行い、緊満下細胞を選択的に破壊させ、コラーゲン線維や
弾性繊維は破壊させることなく、線維性の天然物の管を得た。
【0132】 このようにして得られた頚静脈由来の管において、管腔の内径は20mmであ
って、更に静脈弁で3つの弁葉を有するものを選び、その弁部分を含めて長さを
12cmにそろえ、天然物の弁付き導管を得た(素材3)。
【0133】 このようにして得られた(素材3)の管を1.0%グルタールアルデヒド/リ
ン酸緩衝液(pH7.4)に入れ、室温で1時間反応させて架橋し、充分に洗浄
し、グルタールアルデヒド架橋管を得た(CA3)。
【0134】 上記(素材3)の管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合
物の代表として、次の構造式H2N(CH23OCH2CH(OH)CH2O(C
23NH2、で表せるグリセロールグリシジルアミンを1%含む1.0%グル
タールアルデヒド/リン酸緩衝液(pH7.4)に入れ、室温で1時間反応させ
て架橋し、生理的食塩水により充分に洗浄し、水酸基およびエーテル結合が架橋
部分に結合されたグルタールアルデヒド架橋管を得た(GA4)。
【0135】 上記(素材3)の管を凍結乾燥した。この膜を1,3−ジアミノ−2−ヒドロ
キシプロパンを含む3.0%ヘキサメチレンジイソシアナート/メタノール溶液
に入れ、室温で3時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて十分に洗浄しジイソ
シアナート架橋管を得た(IC3)。
【0136】 上記(素材3)の管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合
物の代表としてグリセロールグリシジルアミンを選び、その1%溶液に室温で2
4時間浸漬し、その後凍結乾燥した。次にこのような処置を行った管を1,3−
ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンを含む3.0%へキサメチレンジイソシアナ
ート/メタノール溶液に入れ、室温で3時間反応させて架橋し、その後蒸留水に
て充分に洗浄し、水酸基およびエーテル結合がっ京部分に結合されたイソシアナ
ート架橋管を得た。(IC4)。
【0137】 上記(素材3)の管を0.1Mの炭酸ソーダ50%エタノール溶液(pH11
.5−11.8)に入れ、そこに5.0%エチレングリコールジグリシジルエー
テル(ナガセ化成工業株式会社、EX810)を加え5時間反応させて架橋し、
その後蒸留水にて充分に洗浄シ、エポキシ架橋間を得た(EX3)。
【0138】 上記(素材3)の管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合
物の代表としてグリセロールグルシジールアミンを選び、その1%溶液に室温で
24時間浸漬した。次にこのような処置を行った管を0.1Mの炭酸ソーダ50
%エタノール溶液(pH11.5−11.8)に入れ、そこに5.0%エチレン
グリコールジルリシジルエーテル(ナガセ化成工業株式会社、EX810)を加
え5時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて充分に洗浄し、水酸基およびエー
テル結合が架橋部分に結合されたエポキシ架橋管を得た(EX4)。
【0139】 実施例10 上記実施例で得た(素材3)(GA3)(GA4)(IC3)(IC4)(E
X3)および(EX4)の各管の弁葉の柔軟性の観察をうるため、生理的食塩水
をそれぞれの管の中に流し、弁の前後での圧力の差違から弁の開閉状態を観察し
、弁葉の柔軟性を評価した。
【0140】 個々の評価方法による弁の開閉に要する弁前後の圧格差は(素材3)(GA3
)(GA4)(IC3)(IC4)(EX3)および(EX4)の各管について
は、2mmHg、39mmHg、45mmHg、42mmHg、5mmHg、お
よび4mmHgであった。
【0141】 この結果、グルタールアルデヒド及びイソシアナートを用いた弁の開閉には高
い圧力差が必要であり、弁葉が硬化していることが明らかであった。一方、水酸
基およびエーテル結合化の処置を行うと、すこし弁が柔軟性を有することとなっ
て、弁の開閉に要する圧格差は少なくてすむ。エポキシ架橋では無処理の素材の
弁と同程度に柔軟であって、含水率を向上させる処理も効果的であることが判明
した。
【0142】 実施例11 実施例9で得た(素材3)の管の内腔に1%の硫酸ポロタミン液を注入し内圧
を20mmHgに20分間保って、内腔面にプロタミンを浸透させた(素材4)。
【0143】 上記(素材4)を1.0%グルタールアルデヒド/リン酸緩衝液(pH7.4
)に入れ、室温で1時間反応させて架橋し、充分に洗浄し、グルタールアルデヒ
ド架橋管を得た。つぎのこの管を1%ヘパリン液、pH5.0に1時間浸漬し、
その後蒸留水にて2時間洗った後、70%アルコール内にて保存した。このよう
にしてグルタールアルデヒド架橋した弁付きヘパリン化導管を得た(GA5)。
【0144】 上記(素材4)の管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合
物の代表として、下記の構造式で表せるグリセロールグルシジールアミンを1%
含む1.0%グルタールアルデヒド/リン酸緩衝液(pH7.4)に入れ、室温
で1時間反応させて架橋し、充分に洗浄し、水酸基およびエーテル結合が架橋部
分に結合されたグルタールアルデヒド架橋管を得た。上記の構造式は、H2N(
CH23OCH2CH(OH)CH2O(CH23NH2で表わされる。次いで、
上記したようなヘパリン化およびグルタールアルデヒド架橋と同様に処理するこ
とによって、水酸基およびエーテル結合が結合されたグルタールアルデヒドで架
橋された弁付きヘパリン化導管を得た(GA6)。
【0145】 上記(素材3)の管を凍結乾燥した。この膜を1,3−ジアミノ−2−ヒドロ
キシプロパンを含む3.0%ヘキサメチレンジイソシアナート/メタノール溶液
にいれ、室温で3時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて充分に洗浄し、イソ
シアナート架橋管を得た。この管を用いて、蒸気したようなプロタミン浸透、ヘ
パリン化およびグルタールアルデヒド架橋と同様に処理することによってヘパリ
ン化の弁付き導管を得た(IC5)。
【0146】 上記(素材3)の管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合
物の代表としてグリセロールグルシジールアミンを選び、その1%溶液に室温で
24時間浸漬し、その後凍結乾燥した。次にこのような処置を行った管を1,3
−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンを含む3.0%ヘキサメチレンジイソシア
ナート/メタノール溶液に入れ、室温で3時間反応させて架橋し、その後蒸留水
にて充分に洗浄し、水酸基およびエーテル結合が架橋部分に結合されたイソシア
ナート架橋管を得た。次いで上記したようなプロタミン浸透、ヘパリン化および
グルタールアルデヒド架橋と同様に処理することによってヘパリン化の弁付き導
管を得た(IC6)。
【0147】 上記(素材3)の管を0.1Mの炭酸ソーダ50%エタノール溶液(pH11
.5−11.8)に入れ、そこに5.0%エチレングリコールジグリシジルエー
テル(ナガセ化成工業株式会社、EX810)を加え5時間反応させて架橋し、
その後蒸留水にて充分に洗浄し、エポキシ架橋管を得た。次いで上記したような
プロタミン浸透、ヘパリン化およびグルタールアルデヒド架橋を同様に処理する
ことによってヘパリン化された弁付き導管を得た(EX5)。
【0148】 上記(素材3)の管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有する化合
物の代表としてグリセロールグルシジールアミンを選び、その1%溶液に室温で
24時間侵漬した。次にこのような処置を行った管を0.1Mの炭酸ソーダ50
%エタノール溶液(pH11.5−11.8)に入れ、そこに5.0%エチレン
グリコールグリシジルエーテル(ナガセ化成工業株式会社、EX810)を加え
5時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて充分に洗浄し、水酸基およびエーテ
ル結合が架橋部分に結合されたエポキシ架橋管を得た。次いで上記したようなプ
ロタミン浸透、ヘパリン化およびグルタールアルデヒド架橋と同様に処理するこ
とによってヘパリン化の弁付き導管を得た(EX6)。
【0149】 実施例12 上記実施例によりヘパリンを付着させた(素材5)(GA5)(GA6)(I
C5)(IC6)(EX5)および(EX6)の各管の弁葉部分における抗血栓
性の評価を、ヘパリンを付着させていない上記(素材3)(GA3)(GA4)
(IC3)(IC4)(EX3)および(EX4)のそれと対比させて肉眼的及
び走査型電子顕微鏡的に観察した。
【0150】 個々の導管の中に、成犬から採取した新鮮な血液を注入し、30分間放置した
。その後血液を流し、更に各管を生理的食塩水中にて静かに濯いで、その後管を
長軸方向に切開して内腔面を肉眼的に観察した。その後走査型電子顕微鏡用の試
料を作成して内腔面、特に弁葉部分の血小板をフィブリンの付着を観察した。
【0151】 その結果、肉眼的にはヘパリン化を行った全ての管の内部には、弁葉部分を含
めて血栓の付着は認められなかった。これに対して、ヘパリン化を行っていない
全ての管では多少の差異はあるものの、血栓の付着が見られ、特に弁葉部分での
血栓の付着が著しかった。このうち、無処理の上記(素材3)及び(EX3)と
(EX4)では、血栓の付着が他のものよりも少なかった。
【0152】 この結果、架橋方法に関わらず、プルタミンを介してヘパリンを付着させる方
法は抗血栓性付与の点では効果的であることが肉眼的に明らかとなった。
【0153】 走査型顕微鏡(日本電子社製、商品名JSM−5310LV)による観察では
、ヘパリン化を行っていなかった全ての管では無数の赤血球を取り込んだフィブ
リン網が見られ、新鮮な血栓が内面を覆っていることを示していた。他方、ヘパ
リン化を行った全ての例ではフィブリンの付着は全く認められず、所々に血小板
が散在的に認められるのみであった。
【0154】 この結果、架橋方法に関わらず、プロタミンを介してヘパリンを付着させる方
法はフィブリンの析出を阻止することが判明した。
【0155】 実施例13 上記実施例で得た(GA3)(GA4)(EX3)(EX4)(GA5)(G
A6)(EX5)および(EX6)の各管を成犬の右心室動脈間の肺動脈弁付き
血液導管として植え込みを行い、生体内においての弁の機能と血栓の付着を観察
した。
【0156】 外科的手法としては、全身麻酔下に成犬の左側開胸を行い、心膜を開いて心臓
及び肺動脈を露出し、右心室に4cmの切開を加え、ここに用意した(GA3)
(GA4)(EX3)(EX4)(GA5)(GA6)(EX5)および(EX
6)の各導管を吻合し、導管の他端は肺動脈に吻合して、その後に本来の肺動脈
を結紮した。この処置によって、全ての血液が右心室から血液導管を通って肺動
脈に流れるようになった。
【0157】 各管の植え込みはそれぞれ容易であって、出血もなく、手術操作上における個
々の管の差異は見られなかった。植え込みを受けた動物は全例、術後は健康であ
った。4週間目にそれぞれの管は動物から摘出した。摘出時に超音波診断装置を
用いて弁の動きを監察した。取り出した個々の管は長軸方向に切開してその内面
を、肉眼的、光学顕微鏡(100−300倍)的、走査型顕微鏡(400−15
00倍)的に観察した。
【0158】 超音波診断装置(東芝社製、商品名カラードプラー超音波診断装置SSA−3
40A)による観察では、全ての弁は動いていたが、(GA3)の弁の動きはき
わめて悪かった。その他の弁の動きは良好であった。
【0159】 肉眼的観察では(GA3)(GA4)の弁に血栓の付着が認められた。特に(
GA3)の弁では巨大な血栓が弁に強く付着していて、このために導管がこの部
分で狭窄を来していた。これに対して(EX3)(EX4)ではごく微量の血栓
が弁の内側に一部、付着していたが、他の部分には血栓は診られなかった。ヘパ
リン化を行った(GA5)(GA6)(EX5)および(EX6)の弁では、血
栓の付着は全く認められなかった。
【0160】 光学顕微鏡的観察では、肉眼で認めた部分にそれぞれ赤血球を多量に有する新
鮮な血栓が(GA3)(GA4)に認められた。外膜測では、(GA3)(GA
4)(GA5)(GA6)のグルタールアルデヒド処理を行った全ての例で異物
性巨細胞が顕著に見られ、異物反応が強いことが明らかとなった。これに対して
(EX3)(EX4)(EX5)および(EX6)の弁では、異物反応は大部分
認められなかった。
【0161】 走査型顕微鏡による観察では、血栓の認めあれた例では全ての内面が厚さに差
はあるものの、一様に血栓によって覆われていた。これに対して、血栓の認めら
れなかった例において、ヘパリン化を行っていなかった(EX3)(EX4)で
は薄いフィブリンの層が内面を覆っていた。また、ヘパリン化を行った(GA5
)(GA6)(EX5)および(EX6)の弁では、内面にフィブリンの析出は
認められず、所々に血小板が付着しているのみであった。そかもこれらの血小板
は球状に近い形態をしており、破裂して付着した血小板は一つも認められなかっ
た。
【0162】 実施例14 アテロコラーゲン水溶液(ウシ真皮由来のペプシン可溶化コラーゲン、pH3
.0、コラーゲン濃度1.0%)の100mlを布製人工血管オリエステル人工
血管(knitted graft、内径10mm、長さ5cm、通水率3,000ml/m
in.)内に注入し、人工血管の繊維間隙の孔をコラーゲンして目詰まりさせた
。次にこの人工血管を自然乾燥させて、コラーゲンをポリエステル繊維に付着さ
せた(素材7)。
【0163】 このようにして得られた(素材7)のコラーゲン被覆人工血管を1.0%グル
タールアルデヒド/リン酸緩衝液(pH7.4)に入れ、室温で30分間反応さ
せて架橋し、充分に洗浄し、グルタールアルデヒド架橋コラーゲン被覆人工血管
を得た(GA7)。
【0164】 上記(素材7)の人工血管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有す
る化合物の代表として、下記の構造式、H2N(CH23OCH2CH(OH)C
2O(CH23NH2で表せるグリセロールグルシジルアミンを1%含む1.0
%グルタールアルデヒド/リン酸緩衝液(pH7.4)に入れ、室温で30分間
反応させて架橋し、生理的食塩水により充分に洗浄し、水酸基およびエーテル結
合が架橋部分に結合されたグルタールアルデヒド架橋コラーゲン被覆人工血管を
得た(GA8)。
【0165】 上記(素材7)の人工血管を凍結乾燥した。この人工血管を1,3−ジアミノ
ー2−ヒドロキシプロパンを含む3.0%ヘキサメチレンジイソシアナート/メ
タノール溶液に入れ、室温で1時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて充分に
洗浄し、イソシアナート架橋コラーゲン被覆人工血管を得た(IC7)。
【0166】 上記(素材7)の人工血管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有す
る化合物の代表としてグリセロールグルシジールアミンを選び、その1%溶液に
室温で24時間浸漬し、その後凍結乾燥した。次にこのような処置を行った人工
血管を1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンを含む3.0%ヘキサメチレ
ンジイソシアナート/メタノール溶液に入れ、室温で1時間反応させて架橋し、
その後蒸留水にて充分に洗浄し、水酸基およびエーテル結合が架橋部分に結合さ
れたイソシアナート架橋コラーゲン被覆人工血管を得た(IC2)。
【0167】 上記(素材7)の人工血管を凍結乾燥した。この人工血管を0.1Mの炭酸ソ
ーダ50%エタノール溶液(pH11.5−11.8)に入れ、そこに5.0%
イチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業株式会社、EX81
0)を加え2時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて充分に洗浄し、エポキシ
架橋コラーゲン被覆人工血管を得た(EX1)。
【0168】 上記(素材7)の人工血管を、水酸基および直鎖状のエーテル結合を共に有す
る化合物の代表としてグリセロールグルシジールアミンを選び、その1%溶液に
室温で24時間侵漬した。次にこのような処置を行った人工血管を0.1Mの炭
酸ソーダ50%エタノール溶液(pH11.5−11.8)に入れ、そこの5.
0%エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業株式会社、EX
810)を加え3時間反応させて架橋し、その後蒸留水にて充分に洗浄し、水酸
基およびエーテル結合が架橋部分に結合されたエポキシ架橋コラーゲン被覆人工
血管を得た(EX2)。
【0169】 実施例15 上記実施例で得た(素材7)(GA7)(GA8)(IC7)(IC8)(E
X7)および(EX8)の各コラーゲン被覆人工血管のコラゲナーゼによる消化
の抵抗性を観察した。方法としては、0.01%のコラゲナーゼのリン酸緩衝液
pH7.4に上記(素材7)(GA7)(GA8)(IC7)(IC8)(EX
7)および(EX8)をそれぞれ個別に浸漬し、室温にて観察した。
【0170】 その結果、(素材7)に付着するコラーゲンは全て1日以内に消化されたが、
他の人工血管に付着したコラーゲンは3日経っても分解されなかった。しかしな
がら、毎日コラゲナーゼ液を交換し、スターラーにて液を撹拌し続けると、残り
の全ての人工血管に付着していたコラーゲンも14日以内に全て分解された。
【0171】 この結果、架橋剤のいかんにかかわらず、架橋によってコラーゲナーゼによる
分解性に抵抗を示しており、架橋の時間を少し短くすることによって、生体内で
も分解吸収させうることが示唆された。
【0172】 実施例16 上記実施例で得た(素材7)(GA7)(GA8)(IC7)(IC8)(E
X7)および(EX8)の各コラーゲン被覆人工血管の生体内の植え込みを行な
い、コラーゲン被覆人工血管としての評価を行なった。成犬の胸部下行大動脈を
約5cm切除し、(素材7)(GA7)(GA8)(IC7)(IC8)(EX
7)および(EX8)の各コラーゲン被覆人工血管を植え込んだ。その結果、全
ての人工血管は植え込みは容易であって、人工血管壁からの出血もなかった。
【0173】 植え込み後の経過では、(素材7)を植え込まれた犬が血胸状態で手術の翌日
に死亡した。陪検の結果、人工血管を覆っていたコラーゲンの被覆層がはずれ、
多くの部分では人工血管が露出しており、人工血管壁からの大量の出血が死因で
あった。
【0174】 その他の動物について、術後2ヶ月に動物から人工血管を取り出した。その結
果、大部分の例では内面には吻合部から連続的に内皮細胞が覆っていた。人工血
管中央部では厚い血栓が内面を覆っていた。
【0175】 光学顕微鏡(100−300倍)による検討では、(GA7)(GA8)(I
C7)(IC8)(EX7)および(EX8)の各コラーゲン被覆人工血管のう
ち、(GA7)(GA8)(IC7)(IC8)のコラーゲンが少量ではあるが
残存し、周囲に異物性の巨細胞が見られ、異物反応が出ていることを示していた
。しかしながら石灰化は認められなかった。一方、(EX7)および(EX8)
ではコラーゲンは全て吸収されており、その部分には異物反応は全く認められな
かった。また、更に石灰化も見られなかった。この結果、架橋時間を短くする等
で架橋の程度を低く押さえることができ、生体内で分解消失させることが可能で
あった。
【0176】 実施例17 上記結果で得た(素材7)、(GA7)、(GA8)、(IC7)、(IC8
)、(EX7)および(EX8)の各コラーゲン被覆人工血管を長軸方向に切開
し、3cm×5cmの広さのコラーゲンを被覆したポリエステルメッシュのパッ
チ材料を得た。そしてその生体内植え込みを行ない、コラーゲン被覆パッチとし
ての評価を行なった。
【0177】 成犬を左開胸し、心膜を露出し、これを部分的に切除し、上記(素材7)、(
GA7)、(GA8)、(IC7)、(IC8)、(EX7)および(EX8)
の各コラーゲン被覆パッチ材料を人工心膜として植え込んだ。その結果、全ての
パッチ材料の植え込みは容易であった。術後2ヶ月に動物からパッチ材料を取り
出したところ大部分の例で縫合部分に軽い癒着があるものの、膜面においては癒
着は大部分になく、内面には縫合部から連続的に漿膜細胞が覆っていた。
【0178】 光学顕微鏡(100−300倍)による検討では、(GA7)、(GA8)、
(IC7)、(IC8)、(EX7)および(EX8)の試料のうち、(GA7
)、(GA8)、(IC7)、(IC8)のコラーゲンが少量ではあるが残存し
、周囲に異物性の巨細胞がみられ、異物反応がでていることを示していた。石灰
化は認められなかった。
【0179】 一方、(EX7)および(EX8)ではコラーゲンは全て吸収されており、そ
の部分には異物反応は全く認められなかった。石灰化は見られなかった。
【0180】 この結果、架橋時間を短くする等で架橋の程度を低く押さえれば、生体内で被
覆に用いたコラーゲンを分解消失させることの可能な、コラーゲン被覆パッチ材
が可能であった。
【0181】 以上、本発明を適応した実施例について説明してきたが、本発明がこれらの実
施例に限定されるものではなく、形状、材質等本発明の要旨を逸脱しない限り変
更が可能である。
【0182】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、天然物材料またはその誘導体から選択される
少なくとも一つを構成要素として有する材料に化学架橋をした結果、新たに水酸
基および/または直鎖のエーテル結合が増大した化学架橋材料が提供される。本
発明の化学架橋材料は、このような新たな水酸基および/または直鎖のエーテル
結合の導入に基づき、良好な抗原性/柔軟性のバランスを得ることができる。
【0183】 更に本発明では、化学架橋の際にH2N−R(OH)−NH2、HO−R−NH2 、H2N−R−O−R−NH2、H2N−R(OH)−O−R−NH2およびHO
−R−O−R−NH2等の化合物を加え化学架橋することで水酸基および/また
は直鎖状のエーテル結合が付加された化学架橋材料が提供される。
【0184】 このような結果は、例えば、アルデヒド系、イソシアナート系、エポキシ系等
の架橋剤を使用することによっても得ることができる。
【0185】 本発明では動物から取り出された組織由来の物質、例えば血管、尿管、食道、
小腸、大腸、気管、神経鞘、腱鞘等の管状物であったり、脳硬膜、心嚢膜、羊膜
、角膜、腸間膜、腹膜、胸膜、肋膜、横隔膜、膀胱膜、筋膜、腱膜、卵膜等の膜
状物であったり、心臓弁、静脈弁等の弁状物であっても、その効果は変わること
なく、上記した特徴を有する化学架橋材料が提供される。
【0186】 更に本発明では、動物から取り出された物質が腱や皮膚等を粉砕した、例えば
、微細な繊維状のコラーゲン等であっても、それを架橋することにより上記の特
徴を有する化学架橋材料が提供される。更に必要に応じて、このような粉砕した
微細な腺維と、合成高分子材料との組み合わせ、例えば、コラーゲン被覆人工血
管やコラーゲン被覆パッチ材等を得てもよい。これらの化学架橋材料では、柔軟
性が従来の製品に比べて著しく改良されていたり、あるいは異物反応が少なくて
、しかも柔軟性に富む、といった特徴ある化学架橋材料として提供される。
【0187】 上述の通り、本発明には新規な化学架橋材料およびその製造方法が開示されて
いる。本発明は特定の実施例に従って記載されているが、それは単に内容の説明
であり、発明の範囲の限定を行なうものではない。ここに記されていることの広
範な修正、応用については、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲を逸脱するこ
となく、本発明の内容を再検討することで十分に可能である。本発明の範囲は、
特許請求の範囲とその語句によって明確に定義されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】材料の剛/軟度試験法に用いられるカンチレバー型試験機の斜視図
である。
【符号の説明】
1 試験片 2 スケール 3 斜面 4 くり抜き部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61L 27/00 A61L 33/00 T 33/10 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C081 AB01 AB12 AB13 AB15 AB16 AB17 AB18 AB19 AC02 BA12 BA16 BA17 BB07 BB08 CA18 CA21 CB05 CC05 CD06 CD12 CD34 DA02 DA03 DA05 DA06 DB03 EA11

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一次架橋剤と促進剤化合物との組合せにより形成された架橋体
    を有する天然材料、あるいはその誘導体よりなる化学架橋材料であり、該促進剤
    化合物は、一次架橋剤単独で形成された架橋体に比較して、少なくとも一個の追
    加の水酸基及び/または少なくとも一個の追加の直鎖のエーテル結合を増加した
    ものであることを特徴とする化学架橋材料。
  2. 【請求項2】促進剤が、H2N−R(OH)−NH2、HO−R−NH2、H2 N−R−O−R−NH2、H2N−R(OH)−O−R−NH2およびHO−R−
    O−R−NH2からなる群から選択された一つの化学式で表わされる化合物であ
    り、式中Rは炭素、酸素及び窒素から選択された1−8個の原子よりなる置換あ
    るいは未置換の鎖であることを特徴とする請求項第1項に記載の化学架橋材料。
  3. 【請求項3】促進剤が、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、グル
    コサミン、ガラクトサミン、キトサン、トリエチレングリセロールジアミン、グ
    リセロールグリシジルアミンおよび2(2−アミノエトキシ)エーテルからなる
    群から選択されたものであることを特徴とする請求項第2項に記載の化学架橋材
    料。
  4. 【請求項4】一次架橋剤が、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドおよ
    びジアルデヒド澱粉からなる群から選択されたアルデヒド化合物であることを特
    徴とする請求項第1項、第2項または第3項のいずれかに記載の化学架橋材料。
  5. 【請求項5】一次架橋剤が、ヘキサメチレンジイソシアナートおよびトリメ
    チレンジイソシアナートからなる群から選択されたイソシアナート化合物である
    ことを特徴とする請求項第1項、第2項または第3項のいずれかに記載の化学架
    橋材料。
  6. 【請求項6】一次架橋剤が、グリセロールトリグリシジルエーテル、エチレ
    ングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジール
    エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジールエーテル、ジグリセロール
    ポリグリシジールエーテル、ポリグリセロールポリグリシジールエーテル、ソル
    ビトールポリグリシジールエーテルからなる群から選択されたエポキシ化合物で
    あることを特徴とする請求項第1項、第2項または第3項のいずれかに記載の化
    学架橋材料。
  7. 【請求項7】化学架橋の反応後にグリシンにより処理してなる請求項4〜6
    のいずれかに記載の化学架橋材料。
  8. 【請求項8】天然物材料あるいはその誘導体が、ヒトもしくは動物あるいは
    その誘導体由来のものである請求項第1項記載の化学架橋材料。
  9. 【請求項9】天然物材料あるいはその誘導体が、血管、尿管、食道、小腸、
    大腸、気管、神経鞘および腱鞘の管状物である請求項第8項記載の化学架橋材料
  10. 【請求項10】天然物材料あるいはその誘導体が、脳硬膜、心嚢膜、羊膜、
    角膜、腸間膜、腹膜、胸膜、肋膜、横隔膜、膀胱膜、筋膜、腱膜、卵膜の膜状物
    である請求項第8項記載の化学架橋材料。
  11. 【請求項11】天然物材料あるいはその誘導体が、心臓弁、静脈弁等の弁状
    物である請求項第8項記載の化学架橋材料。
  12. 【請求項12】天然物材料あるいはその誘導体が、腱あるいは皮膚である請
    求項第8項記載の化学架橋材料。
  13. 【請求項13】腱あるいは皮膚が、粉砕された形状である請求項第12項記
    載の化学架橋材料。
  14. 【請求項14】天然物材料あるいはその誘導体が、コラーゲンまたはコラー
    ゲン誘導体よりなる溶液または分散液より形成された構造物である請求項第8項
    に記載の化学架橋材料。
  15. 【請求項15】構造物が、膜状、板状、筒状、球状、粉状、スポンジ状、糸
    状、ひも状の群から選択された一つの形態を有する請求項第14項に記載の化学
    架橋材料。
  16. 【請求項16】天然物材料にプロタミンが共有結合され、さらにそのプロタ
    ミンにヘパリンがイオン結合されている請求項第1項に記載の化学架橋材料。
  17. 【請求項17】人工脳硬膜、人工結合組織、人工胸膜、人工肋膜、人工皮膚
    、人工皮下組織、人工胸壁、人工横隔膜、人工腹壁、人工腹膜、人工腹壁、癒着
    防止膜、人工膀胱、人工心嚢膜、人工心臓壁、人工血管、人工気管、人工食道、
    人工腱、人工筋膜、創傷治癒促進材料から選ばれる一つとして適用される請求項
    第1〜16項のいずれかに記載の化学架橋材料。
  18. 【請求項18】膜状、板状、筒状、球状、粉状、スポンジ状、糸状、ひも状
    の群から選択された一つの形態を有する高分子材料と請求項第13項に記載の粉
    砕物との複合物からなる化学架橋材料。
  19. 【請求項19】高分子材料が天然物材料または少なくとも天然物材料の一部
    からなる請求項第18項に記載の化学架橋材料。
  20. 【請求項20】無孔質構造体もしくは、織物、編物、延伸物、メッシュ等の
    多孔質構造体である高分子材料と請求項第13項に記載の粉砕物との複合体から
    なる化学架橋材料。
  21. 【請求項21】高分子材料が、少なくともその一部が、H2N−R(OH)
    −NH2、HO−R−NH2、H2N−R−O−R−NH2、H2N−R(OH)−
    O−R−NH2およびHO−R−O−R−NH2からなる群から選択された一つの
    化学式で表わされる化合物であり、式中Rは炭素、酸素及び窒素から選択された
    1−8個の原子よりなる置換あるいは未置換の鎖であることを特徴とする請求項
    第18項ないし20項に記載の化学架橋材料。
  22. 【請求項22】高分子材料が、哺乳類の生体内に植え込まれた後、6ヶ月以
    内に生体内に分解吸収されるものであることを特徴とする請求項第18項ないし
    20項に記載の化学架橋材料。
  23. 【請求項23】高分子材料が、哺乳類の生体内に植え込まれた後、6ヶ月以
    内に生体内に分解も吸収もされないものであることを特徴とする請求項第18項
    ないし20項に記載の化学架橋材料。
  24. 【請求項24】架橋材料が人工脳硬膜、人工結合組織、人工胸膜、人工肋骨
    、人工皮膚、人工皮下組織、人工胸壁、人工横隔膜、人工腹膜、人工腹壁、癒着
    防止膜、人工膀胱、人工心嚢膜、人工心臓壁、人工血管、人工気管、人工食道、
    人工腱、人工筋膜、創傷治癒促進材料からなる群より選ばれる材料の形態の一つ
    である請求項第18項ないし20項に記載の化学架橋材料。
  25. 【請求項25】アルデヒド類、イソシアナート類およびエポキシ類からなる
    群より選ばれた一次架橋剤と; H2N−R(OH)−NH2、HO−R−NH2、H2N−R−O−R−NH2、H2 N−R(OH)−O−R−NH2およびHO−R−O−R−NH2、からなる群よ
    り選ばれる一つの化学式で表わされる促進剤化合物、ただし式中Rは炭素、酸素
    及び窒素から選択された1−8個の原子よりなる置換あるいは未置換の鎖、 との組合せにより形成された架橋体を有する天然材料、あるいはその誘導体より
    なる化学架橋材料であり、該促進剤化合物は、一次架橋剤単独で形成された架橋
    体に比較して、少なくとも一個の追加の水酸基及び/または少なくとも一個の追
    加の直鎖のエーテル結合を増加したものであることを特徴とする化学架橋材料。
  26. 【請求項26】促進剤が、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、グ
    ルコサミン、ガラクトサミン、キトサン、トリエチレングリセロールジアミン、
    グリセロールグリシジルアミンおよび2(2−アミノエトキシ)エーテルからな
    る群から選択されたものであることを特徴とする請求項第25項に記載の化学架
    橋材料。
  27. 【請求項27】一次架橋剤が、グリセロールトリグリシジルエーテル、エチ
    レングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジー
    ルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジールエーテル、ジグリセロー
    ルポリグリシジールエーテル、ポリグリセロールポリグリシジールエーテル、ソ
    ルビトールポリグリシジールエーテルからなる群から選択されたエポキシ化合物
    であることを特徴とする請求項第25項、または第26項のいずれかに記載の化
    学架橋材料。
  28. 【請求項28】コラーゲン含有材料よりなり、該コラーゲン含有材料はコラ
    ーゲン索条間に複数の架橋体を有し、 該架橋体は一次架橋剤と促進剤化合物の組合わせにより形成された促進架橋体よ
    りなるものであり、 該促進架橋体は一次架橋剤単独で形成された架橋体に比較して、少なくとも一個
    の追加の水酸基及び/または少なくとも一個の追加の直鎖のエーテル結合を増加
    したものであることを特徴とする化学架橋材料。
  29. 【請求項29】促進剤が、H2N−R(OH)−NH2 、HO−R−NH2
    2N−R−O−R−NH2、H2N−R(OH)−O−R−NH2およびHO−R
    −O−R−NH2からなる群から選択された一つの化学式で表わされる化合物で
    あり、式中Rは炭素、酸素及び窒素から選択された1−8個の原子よりなる置換
    あるいは未置換の鎖であることを特徴とする請求項第28項に記載の化学架橋材
    料。
  30. 【請求項30】促進剤が、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、グ
    ルコサミン、ガラクトサミン、キトサン、トリエチレングリセロールジアミン、
    グリセロールグリシジルアミンおよび2(2−アミノエトキシ)エーテルからな
    る群から選択されたものであることを特徴とする請求項第29項に記載の化学架
    橋材料。
  31. 【請求項31】一次架橋剤が、グリセロールトリグリシジルエーテル、エチ
    レングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジー
    ルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジールエーテル、ジグリセロー
    ルポリグリシジールエーテル、ポリグリセロールポリグリシジールエーテル、ソ
    ルビトールポリグリシジールエーテルからなる群から選択されたエポキシ化合物
    であることを特徴とする請求項第28項、第29項または第30項のいずれかに
    記載の化学架橋材料。
  32. 【請求項32】コラーゲン含有材料が、血管、尿管、食道、小腸、大腸、気
    管、会陰、腱膜、神経鞘、腱鞘、脳硬膜、心嚢膜、羊膜、角膜、腸間膜、腹膜、
    胸膜、肋膜、横隔膜、膀胱膜、筋膜、腱膜、卵膜、心臓弁、静脈弁、腱および皮
    膚なる群から選択されたものである請求項第28項記載の化学架橋材料。
  33. 【請求項33】天然物材料またはその誘導体を、一次架橋材料と促進剤化合
    物にて架橋する方法であって、架橋により形成される架橋体が、一次架橋剤単独
    で形成された架橋体に比較して、少なくとも一個の追加の水酸基及び/または少
    なくとも一個の追加の直鎖のエーテル結合を含む架橋体であることを特徴とする
    化学架橋材料の製造方法。
  34. 【請求項34】促進剤が、H2N−R(OH)−NH2 、HO−R−NH2
    2N−R−O−R−NH2、H2N−R(OH)−O−R−NH2およびHO−R
    −O−R−NH2からなる群から選択された一つの化学式で表わされる化合物で
    あり、式中Rは炭素、酸素及び窒素から選択された1−8個の原子よりなる置換
    あるいは未置換の鎖であることを特徴とする請求項第33項に記載の化学架橋材
    料の製造方法。
  35. 【請求項35】促進剤が、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、グ
    ルコサミン、ガラクトサミン、キトサン、トリエチレングリセロールジアミン、
    グリセロールグリシジルアミンおよび2(2−アミノエトキシ)エーテルからな
    る群から選択されたものであることを特徴とする請求項第34項に記載の化学架
    橋材料の製造方法。
  36. 【請求項36】一次架橋剤が、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドお
    よびジアルデヒド澱粉からなる群から選択されたアルデヒド化合物であることを
    特徴とする請求項第33項、第34項または第35項のいずれかに記載の化学架
    橋材料の製造方法。
  37. 【請求項37】一次架橋剤が、ヘキサメチレンジイソシアナートおよびトリ
    メチレンジイソシアナートからなる群から選択されたイソシアナート化合物であ
    ることを特徴とする請求項第33項、第34項または第35項のいずれかに記載
    の化学架橋材料の製造方法。
  38. 【請求項38】一次架橋剤が、グリセロールトリグリシジルエーテル、エチ
    レングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジー
    ルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジールエーテル、ジグリセロー
    ルポリグリシジールエーテル、ポリグリセロールポリグリシジールエーテル、ソ
    ルビトールポリグリシジールエーテルからなる群から選択されたエポキシ化合物
    であることを特徴とする請求項第33項、第34項または第35項のいずれかに
    記載の化学架橋材料の製造方法。
  39. 【請求項39】架橋後、グリシンで加工することを特徴とする請求項第33
    項から第38項までのいずれかに記載の化学架橋材料の製造方法。
  40. 【請求項40】コラーゲンあるいはコラーゲン組織を溶剤中に入れ、該溶剤
    中に、 アルデヒド類、イソシアナート類およびエポキシ類からなる群より選ばれた一次
    架橋剤と; H2N−R(OH)−NH2、HO−R−NH2、H2N−R−O−R−NH2、H2 N−R(OH)−O−R−NH2およびHO−R−O−R−NH2、からなる群よ
    り選ばれる一つの化学式で表わされる促進剤化合物、ただし式中Rは炭素、酸素
    及び窒素から選択された1−8個の原子よりなる置換あるいは未置換の鎖、 とからなる架橋形成材料を入れ、架橋材料を形成することを特徴とする、化学架
    橋されたコラーゲン状材料の製造方法。
  41. 【請求項41】促進剤が、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、グ
    ルコサミン、ガラクトサミン、キトサン、トリエチレングリセロールジアミン、
    グリセロールグリシジルアミンおよび2(2−アミノエトキシ)エーテルからな
    る群から選択されたものであることを特徴とする請求項第40項に記載の化学架
    橋材料の製造方法。
  42. 【請求項42】一次架橋剤が、グリセロールトリグリシジルエーテル、エチ
    レングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジー
    ルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジールエーテル、ジグリセロー
    ルポリグリシジールエーテル、ポリグリセロールポリグリシジールエーテル、ソ
    ルビトールポリグリシジールエーテルからなる群から選択されたエポキシ化合物
    であることを特徴とする請求項第40項または第41項のいずれかに記載の化学
    架橋材料の製造方法。
  43. 【請求項43】一次架橋剤の添加より約5から30時間前に、全促進剤化合
    物を実質的に添加し接触せしめることを特徴とする請求項第40項ないし第42
    項のいずれかに記載の化学架橋材料の製造方法。
  44. 【請求項44】促進剤と一次架橋剤を同時に添加することを特徴とする請求
    項第40項ないし第42項のいずれかに記載の化学架橋材料の製造方法。
  45. 【請求項45】架橋された材料をプロタミンおよびヘパリン溶液中に浸漬す
    ることを特徴とする請求項第40項ないし第44項のいずれかに記載の化学架橋
    材料の製造方法。
  46. 【請求項46】架橋された材料をグリシンにて加工することを特徴とする請
    求項第40項ないし第44項のいずれかに記載の化学架橋材料の製造方法。
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