JP2003530886A - 組換え宿主細胞により対象タンパク質の発現を向上させる方法 - Google Patents

組換え宿主細胞により対象タンパク質の発現を向上させる方法

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    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression

Abstract

(57)【要約】 ヌクレオチド配列データを引き出す手法の使用が増加した結果、真核細胞中で組換えタンパク質を産生する効率的な方法に対する需要が拡大した。組換え宿主を産生するに先立ってin vitroで発現カセットを重合することにより組換えアミノ酸配列の合成を向上させる方策を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、一般には組換え宿主細胞により望みどおりのタンパク質の生成を増
大させる方法に関する。詳細には本発明は、in vitro重合した遺伝子で真核宿主
細胞を産生する新奇な方策に関する。
【0002】 発明の背景 ヌクレオチド配列データを引き出す手法の使用が増加した結果、組換えタンパ
ク質を産生する効率的な方法の必要性に光が当たった。組換えタンパク質の合成
に細菌を使用することが可能であるが、このアプローチはその活性を得るために
翻訳後の修飾を必要とする真核タンパク質に便利に応用することができない。そ
の上、外来タンパク質が細菌宿主特異的なプロテアーゼによってそれとして認識
される恐れがあり、低いタンパク質収率の原因となる。
【0003】 真核細胞によって高収率の組換えタンパク質を得る一つの方策は、遺伝子の用
量を増すことである。これは、細胞当たりの高いコピー数をもたらすウシの乳頭
腫ウィルス、サルウィルス40、およびエプスタイン・バーウィルスなどのウィル
ス性ベクターで達成することができる(例えば、DiMaio等の論文、Proc. Nat’
l Acad. Sci. USA 79:4030 (1982); Yates等の論文、Nature 313: 812 (1985)を
参照されたい)。しかしながらこれらのエピソーム系の使用は、ウィルスの複製
を支援することができる、ある種の許容宿主細胞に限られる。加えて、ベクター
の不安定性により発現が往々にして一過性である。
【0004】 ベクターが宿主細胞のゲノムDNAに組み込まれるとベクターの安定性は改良さ
れる。したがって別のアプローチは、ゲノムDNAへの組込み後に増幅されたベク
ター配列を含有する細胞を選択することである。一般にこの選択手順は、所望の
タンパク質をコードする遺伝子と、毒性薬剤に対する耐性を付与するタンパク質
をコードする遺伝子を細胞に移入することによって行われる。移入されたDNAの
同時増幅は、所望のタンパク質の発現を100〜1000倍に増加させることができる
【0005】 20を超える選択性のある増幅可能な遺伝子が記述されているが、増幅用の最も
一般的な選択マーカー遺伝子はジヒドロホレートレダクターゼ(dihydrofolate
reductase)(DHFR) 遺伝子である(Kaufmanの論文、Methods Enzymol. 185: 487
(1990))。このアプローチではDHFR遺伝子および関連する遺伝子のコピー数は
、DHFR酵素の競合的阻害剤であるメトトレキセート中で選択することによって増
加する。メトトレキセート濃度の段階的増加は、通常は遺伝子増幅による高レベ
ルのDHFRを発現することが多いクローンの選択、および同時増幅した遺伝子の発
現の増加をもたらす。DHFR同時増幅の一つの欠点は、DHFR欠失細胞株を必要とす
ることである。
【0006】 別の欠点は、メトトレキセートの用量が、各段階で選ばれ拡大するクローンと
ともに段階的増幅の小こざみな増分単位で増加されなければならないということ
である。その結果、高度に増幅されたクローンを得るには時間的にかなりの投資
が必要となる(例えば、Barsoumの論文、DNA and Cell Biology 9: 293 (1990)
を参照されたい)。実例としては、メトトレキセート濃度を増加することにより
DHFR遺伝子と一緒に宿主染色体中に組み込まれる組換え遺伝子を効率的に同時増
幅することができるため、チャイニーズハムスターDHFR-細胞を組換えタンパク
質の合成用に用いることが多い。しかしながらトランスフェクションの後、所望
量の組換えタンパク質を産生する細胞株を樹立するには通常6から10ヶ月を要す
る(例えば、Choo等の論文、Gene 46:277 (1986)を参照されたい)。
【0007】 遺伝子増幅はまた、アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase)遺伝子
、オルニチンデカルボキシラーゼ(ornithine decarboxylase)遺伝子、および
ヒト多剤耐性遺伝子すなわちMDR 1などの選択マーカー遺伝子を用いて得られた
(Kaufman等の論文、Proc. Mat’ l Acad. Sci. USA 83: 3136 (1982); Chiang
およびMcConlogueの論文、Mol. Cell. Biol. 8: 764 (1988); Germann等の論文
、J. Biol. Chem. 264: 7418 (1989); Kane等の論文、Mol. Cell. Biol. 8: 331
6 (1988))。Kaufmanの米国特許第5,238,820号では、2つ以上の異なる非相同の
選択性のある増幅可能なマーカー遺伝子を運ぶベクターを設計することにより、
多重増幅可能な遺伝子の利用しやすさを利用した。
【0008】 この目的は、高レベルの遺伝子増幅を達成することであった。このアプローチ
では、まず或る非相同の選択性のある増幅可能なマーカー遺伝子を選択し増幅す
るのに適した条件下で形質転換した細胞を成長させ、望ましいタンパク質遺伝子
のコピー数を増加させる。次いでこのコピー数は、選択に適した条件下で細胞を
成長させ、第二の非相同の選択性のある増幅可能なマーカー遺伝子を増幅するこ
とによりさらに増加する。このプロセスは、存在しうる各追加の選択マーカーに
ついて繰り返される。
【0009】 研究の結果は、プラスミドが宿主細胞の核に達するとプラスミドは切断され、
高分子量コンカテマーにスプライスされることを示す。In vivo遺伝子増幅は、
増幅される遺伝子の構造を制御することができず、成功を予測できないという欠
点を有する。Barsoumの論文、DNA and Cell Biology 9: 293 (1990) は、付着末
端を残した制限エンドヌクレアーゼで線状化された高濃度の発現ベクターによる
チャイニーズハムスター卵巣細胞の高コピー数エレクトロポレーションについて
記述した。導入されたDNAのかなりの部分が、混合配向中にベクターのコピーを
含む未知の長さの縦列反復の中に配置された。この方法はプラスミド切断部位の
制御を提供するが、In vivo連結反応および組込みの事象は制御されなかった。
【0010】 よりすぐれた制御を遺伝子増幅プロセスに負わせる一つの方策は、宿主細胞中
にDNAを導入する前に対象遺伝子をIn vitroで重合することである(例えば、Lea
hy等の論文、Bioconjugate Chem. 7: 545 (1996); Leahy等の論文、Nucl. Acids
Res. 25: 449 (1997)を参照されたい)。DNAフラグメントの縦列配列を生じさ
せる早期の試みは、DNAフラグメントを連結反応させて適切なベクターにするこ
とを必要とし、一般にこの単純なアプローチはフラグメントのランダム配向を引
き起こし、その結果直列および逆方向反復の両方を含有するポリマーを生じた(
例えば、Sadler等の論文、Gene 3: 211 (1978)を参照されたい)。ポリマー中の
逆方向反復の存在が宿主細胞の内部のDNAの不安定につながるのに対して、一連
の直列反復は安定な分子を形成することが分かった。
【0011】 フラグメントの配向を制御することの問題は、普通使用する制限酵素の多くが
回転の等しい末端を生じ、したがってそのような末端とDNAフラグメントの自己
連結反応がフラグメントの配向に関してランダムであることである。Hartleyお
よびGregoriの論文、Gene 13: 347 (1981)は、連結反応の間のフラグメントの配
向を制御する手法について報告しており、その手法はクローンフラグメントのど
ちらかの末端に隣接するAvaI部位の導入を必要とした(HartleyおよびGregoriの
米国特許第4,403,036号もまた参照されたい)。AvaIの切断は区別できる末端を
生じるので、フラグメントの自己連結反応は結果として頭と尾が向かい合う配向
の方に強い偏りを生ずることになる。これは、頭と頭が向き合うおよび尾と尾が
向き合う連結反応が塩基の誤対合を招くためである。次いで重合分子をベクター
に挿入し、大腸菌(E. coli)を形質転換するために使用した。
【0012】 同様のアプローチでIkeda等の論文、Gene 71: 19 (1988)は、SfiI切断部位に
より、隣接するヒトの主要組織適合抗原をコードするDNAフラグメントの頭と尾
が向かい合う縦配列を生成させた。SfiIは、回転が等しくない切断末端を生ずる
。増幅された遺伝子とハイグロマイシンB(hygromycin B)耐性付与およびdhfr
遺伝子を含有するコスミドベクターがマウス細胞株に移入するために用いられた
【0013】 SfiI部位はまた、細胞に移入するために用いることができる遺伝子発現カセッ
トと選択マーカーとのコポリマーを生成するために使用された(Monaco等の論文
、Biotechnol. Appl. Biochem. 20: 157 (1994); Asselbergs等の論文、Anal. B
iochem. 243: 285 (1996))。Monaco等の方法によれば、コポリマーをNotIで処
理して選択マーカー遺伝子の3′末端でDNAを切断する。このやり方では移入さ
れたDNA分子は、コポリマー当たりただ1個の選択マーカー遺伝子を含有すること
になる。
【0014】 クラスIIS制限酵素は、完全に非対称な部位および相補的付着末端を生ずるこ
とができる。KimおよびSzybalskiの論文、Gene 71: 1 (1988)は、クローンDNAの
どちらかの末端にクラスIIS制限酵素すなわちBspMIの部位を導入することによっ
てこの特質を利用した。クローンDNAの自己連結反応は、同じ配向中に反復単位
を含む多量体をもたらした。同様に、Takeshita等の論文、Gene 71: 9 (1988)は
、プラスミド中にヒトタンパク質Cをコードするフラグメントを挿入してフラグ
メント中に非対称の付着末端を導入することにより縦列遺伝子増幅を達成してい
る。
【0015】 この場合、クラスIIS酵素すなわちBstXIの部位が用いられた。次いで多量体を
クローニングしてneo遺伝子を含むコスミドベクターにし、パッケージングして
λファージ粒子にし、大腸菌(E. coli)中で増幅した。次いで、neo遺伝子を発
現した細胞について選択するためにG418で処理したチャイニーズハムスター卵巣
DHFR細胞中にコスミドベクターを導入した。Takeshita等はまた、コスミドベク
ターおよびヒトプロテインC遺伝子のコピーを含むパッケージングされていない
縦列の結合DNAによるトランスフェクションの後、低レベルにもかかわらず細胞
がヒトタンパク質Cを発現することを見出した。
【0016】 同様のアプローチはまた、Lee等の論文、Genetic Analysis: Biomolecular En
gineering 13: 139 (1996)にも記述され、これは標的DNAをクローニングしてベ
クターのクラスIIS制限酵素の切断部位にし、クラスIIS制限酵素で単量体挿入断
片を切除し、単量体挿入断片を切り離し、その挿入断片を自己結合させ、多量体
をクローニングしてベクターにすることによって縦列多量体として標的DNAを増
幅した。Lee等によればこの方式は、ペプチドの大量生産用に短いDNAフラグメン
トを重合するのに有用である。
【0017】 方向性連結反応を行わせる別の方式は、非対称付着末端を作り出すために用い
る合成リンカーまたはアダプターを工夫することである。例えば、Taylorおよび
Hagermanの論文、gene 53: 139 (1987)は、連結反応中のフラグメント配向全体
の完全な制御を確立するために合成した方向性アダプターをDNAフラグメントに
付着させることによってHartley/Gregoriのアプローチを改変した。重合に続い
て多量体を大腸菌(E. coli)の形質転換に適した線状ベクターと結合した。Sta
hl等の論文、Gene 89: 187 (1990)は、頭と尾が向かい合う配列にDNAフラグメン
トを重合する同様の方法について記述した。
【0018】 ここで合成オリゴヌクレオチドは、クラスIIS制限酵素BspMIの非対称切断部位
に相補的な5′突出末端を備えた、エピトープをもつペプチドをコードするよう
に設計された。重合後、ペプチドをコードするフラグメントをベクターのユニー
クBspMI切断部位に挿入し、大腸菌(E. coli)を形質転換するために用いられた
。ポリメラーゼ連鎖反応を用いてクローンをスクリーニングし、次いで大腸菌(
E. coli)中でペプチドを産生するためにサブクローニングして原核発現ベクタ
ーにした。
【0019】 要するにin vivo遺伝子増幅に依拠する方法は、時間がかかるばかりでなく組
み込まれ、増幅される遺伝子の最終構造の制御を欠いている。in vitro遺伝子増
幅の方法は、組み込まれた遺伝子の構造に対する若干の制御を提供するが、現行
の方法は一般に原核宿主中で多段クローニングステップを必要とする。加えて、
現在記述した方法は多くの場合、同時移入された遺伝子の酵素産物によって無害
にされる毒性薬剤による移入された細胞の選択を必要とする。十分なレベルのこ
の酵素活性を持つ細胞がまた、所望の組換えタンパク質の高レベルの発現をもた
らすのに十分な数の所望遺伝子のコピーを持つという保証はない。 したがって、組換え宿主細胞中で高レベルの遺伝子の発現を得る点での進歩に
もかかわらず、真核細胞中で高レベルの組換えタンパク質を産生する迅速かつ簡
単な方法を提供する方策の必要性はまだ存在する。
【0020】 発明の概要 本発明は、組換え宿主細胞によりペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質
を産生する改良された方法を提供する。本発明の一態様によれば、アミノ酸をコ
ードする配列を含む核酸分子がin vitroで重合される。次いで重合された核酸分
子は、原核細胞中での増殖を必要とせずに真核細胞中に導入される。
【0021】 発明の説明 1.概要 本明細書に記載のように本発明は、(a)対象遺伝子および選択マーカー遺伝
子を含む2種類以上の発現ベクターを切断して非パリンドローム末端またはパリ
ンドローム末端のどちらかを生じさせ、パリンドローム末端を有する切断した発
現ベクターをさらに処理して非パリンドローム末端を生じさせること、および(
b)非パリンドローム末端を有する切断した発現ベクターを結合して核酸ポリマ
ーを生成することを含む、対象アミノ酸配列の発現に適した核酸ポリマーを生成
する方法を提供する。
【0022】 パリンドローム末端を備えた発現ベクターは、発現ベクターを3′エキソヌク
レアーゼ活性を提供する酵素と共にインキュベートすることにより処理して非パ
リンドローム末端を生じることができる。3′エキソヌクレアーゼ活性は、T4 D
NAポリメラーゼ、E. coli DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノウフラ
グメント、DEEP VENT DNAポリメラーゼ、VENT DNAポリメラーゼなどによって得
ることができる。
【0023】 このような方法はさらに、機械的せん断を用いて核酸ポリマーを分断するステ
ップを含むことができる。その他の変形形態においてこのような方法はさらに、
結合のステップに先立って非パリンドローム末端を有する切断した発現ベクター
に、切断した発現ベクターの非パリンドローム末端と相補的な毒物オリゴヌクレ
オチドを加えるステップを含む。 これら方法のいくつかの変形形態において核酸ポリマーは、対象遺伝子の多重
コピーと選択マーカー遺伝子を1:1の比で含む。加えて発現ベクターは、ポリシ
ストロン性転写単位を含むことができる。
【0024】 好適な選択マーカー遺伝子には、滴定可能なタンパク質をコードするヌクレオ
チド配列がある。例えば、選択マーカー遺伝子の産物は、毒性分子で滴定可能で
あるかもしれない。好適な選択マーカー遺伝子には、ブレオマイシン(bleomyci
n)耐性遺伝子、メタロチオネイン(metallothionein)遺伝子、ハイグロマイシ
ンB-ホスホトランスフェラーゼ(hygromycin B-phosphotransferase)遺伝子、A
UR1遺伝子、アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase)遺伝子、アミノグ
リコシドホスホトランスフェラーゼ(aminoglycoside phosphotransferase)遺
伝子、ジヒドロホレートレダクターゼ(dihydrofolate reductase)遺伝子、チ
ミジンキナーゼ(thymidine kinase)遺伝子、キサンチン−グアニンホスホリボ
シルトランスフェラーゼ(xanthine-guanine phosphoribosyltransferase)遺伝
子などがある。滴定可能なタンパク質の追加の例には、グリーン蛍光タンパク質
、レッド蛍光タンパク質、アルカリ性ホスファターゼ、CD4、CD8、クラスI主要
組織適合複合タンパク質などがある。
【0025】 発現ベクターは、クラスIIS制限酵素で切断して非パリンドローム末端を提供
することができる。好適なクラスIIS制限酵素には、AccB7I、AceIII、AclWI、Ad
eI、AhdI、Alw26I、AlwI、AlwNI、ApaBI、AspEI、AspI、AsuHPI、BbsI、BbvI、B
bvII、Bce83I、BcefI、BciVI、BfiI、BglI、BinI、BmrI、BpiI、BpmI、BpuAI、B
saI、Bse3DI、Bse4I、BseGI、BseLI、BseRI、BsgI、BslI、BsmAI、BsmBI、BsmFI
、BspMI、BsrDI、Bst71I、BstAPI、Bst5I、BstXI、Bsu6I、DraIII、DrdI、DseDI
、Eam1104I、Eam1105I、EarI、EchHKI、Eco31I、Eco57I、EcoNI、Esp1396I、Esp
3I、FokI、FauI、GsuI、HgaI、HphI、MboII、MsiYI、MwoI、NruGI、PfiMI、PfiF
I、PleI、SfaNI、TspRI、Ksp632I、MmeI、RleAI、SapI、SfiI、TaqII、Tth111I
、Tth111II、Van91I、XagI、およびXcmIがある。
【0026】 非パリンドローム末端を生じるために用いることができる追加の酵素には、Av
aI、Ama87I、BcoI、BsoBI、Eco88I、AvaII、Eco47I、Bme18I、HgiEI、SinI、Ban
I、AccB1I、BshNI、Eco64I、BfmI、BstSFI、SfcI、Bpu10I、BsaMI、BscCI、BsmI
、Mva1269I、Bsh1285I、BsaOI、BsiEI、BstMCI、Bse1I、BseNI、BsrI、Cfr10I、
BsiI、BssSI、Bst2BI、BsiZI、AspS9I、Cfr13I、Sau96I、Bsp1720I、BlpI、Bpu1
102I、CelII、Bst4CI、BstDEI、DdeI、CpoI、CspI、RsrII、DsaI、BstDSI、Eco2
4I、BanII、EcoT38I、FriOI、HgiJII、Eco130I、StyI、BssT1I、EcoT14I、ErhI
、EspI、BlpI、Bpu1102I、Bsp1720I、CelII、HgiAI、BsiHKAI、Alw21I、AspHI、
Bbv12I、HinfI、PspPPI、PpuMI、Psp5II、SanDI、SduI、Bsp1286I、BmyI、SecI
、BsaJI、BseDI、SfcI、BfmI、BstSFI、およびSmlIがある。
【0027】 本発明はさらに、(a)対象遺伝子および選択マーカー遺伝子を含む2種類以
上の発現ベクターを切断して非パリンドローム末端またはパリンドローム末端の
どちらかを生じさせ、パリンドローム末端を有する切断した発現ベクターをさら
に処理して非パリンドローム末端を生じさせること、(b)非パリンドローム末
端を有する切断した発現ベクターを結合して核酸ポリマーを生成すること、(c
)核酸ポリマーを真核宿主細胞中に導入すること、および(d)組換え真核宿主
細胞を培養し、対象ペプチドまたはポリペプチドを産生することを含む、対象ペ
プチドまたはポリペプチドを発現する組換え真核宿主細胞を産生する方法を提供
する。これら方法のいくつかの変形形態において核酸ポリマーは、1:1の比の
対象遺伝子の多重コピーと選択マーカー遺伝子を含む。好適な真核宿主細胞には
、哺乳類の細胞、真菌の細胞、昆虫の細胞、およびトリの細胞がある。
【0028】 本発明にはまた、各発現カセットが対象遺伝子および選択マーカー遺伝子を含
む頭と尾が向かい合う配向を有する複数発現カセットを含む核酸ポリマーを真核
宿主細胞中に導入することを含む、対象ペプチドまたはポリペプチドを発現する
組換え真核宿主細胞を産生する方法が含まれる。特殊な実施形態において核酸ポ
リマーは、ほぼ1:1の比で対象遺伝子および選択マーカー遺伝子の多重コピー
を含む。選択マーカー遺伝子の実例は、滴定可能なタンパク質をコードするヌク
レオチド配列である。
【0029】 本発明にはさらに、発現カセットを含むが原核ベクター配列を欠く核酸配列を
導入することによって組換え宿主細胞を産生する方法が含まれる。本発明はまた
、発現カセットの多重コピーを含む核酸ポリマーを提供する。 本発明のこれらおよびその他の態様は、下記の詳細な説明を参照して明らかに
なるはずである。加えて、さまざまな参考資料が下記に関連づけられる。
【0030】 2.定義 下記の記述で複数の用語が拡大して用いられる。下記の定義は本発明の理解を
容易にするために提供される。 本明細書で用いる「核酸」または「核酸分子」は、デオキシリボ核酸(DNA)
またはリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチド;オリゴヌクレオチド;ポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)によって生ずるフラグメント;および連結反応、切断、
エンドヌクレアーゼ作用、およびエキソヌクレアーゼ作用のいずれかによって生
ずるフラグメントを意味する。
【0031】 核酸分子は、天然のヌクレオチド(DNA およびRNAなど)または天然のヌクレ
オチドの類似体(例えば、天然に産出するヌクレオチドのα鏡像異性体の形態)
または両方の組合せであるモノマーから構成することができる。修飾したヌクレ
オチドは、糖部分および/またはピリミジンもしくはプリン塩基部分の変更を有
することができる。糖の修飾には例えば、1または複数のヒドロキシル基のハロ
ゲン、アルキル基、アミン、およびアジド基による置換が含まれ、あるいは糖を
エーテルまたはエステルとして官能化してもよい。その上、全糖分子をアザ糖類
および炭素環式糖類似体などの立体的かつ電子的に類似の構造で置換することが
できる。
【0032】 塩基部分の修飾の例には、アルキル化プリンおよびピリミジン、アシル化プリ
ンおよびピリミジン、またはその他のよく知られているヘテロ環式置換体がある
。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合またはそのような連結の類似体によっ
て連結することができる。ホスホジエステル連結の類似体には、ホスホロチオア
ート、ホスホロジチオアート、ホスホロセレノアート、ホスホロジセレノアート
、ホスホロアニロチオアート、ホスホルアニリダート、ホスホルアミダートなど
がある。用語「核酸分子」にはまた、ポリアミド骨格に付着した天然に産出また
は修飾された核酸塩基を含む、いわゆる「ペプチド核酸」が含まれる。核酸は一
本鎖または二重鎖のどちらであってもよい。
【0033】 用語「核酸分子の相補体」とは、基準のヌクレオチド配列と比較して相補的ヌ
クレオチド配列および逆配向を有する核酸分子を意味する。例えば、5′ATGCACG
GG 3′ (配列番号:1)は、5′CCCGTGCAT 3′ (配列番号:2)と相補的である。 用語「contig」は、別の核酸分子と同一または相補的な配列の連続的な広がり
を有する核酸分子を表す。連続的な配列とは、核酸分子のそれら全体に、または
部分的広がりに沿って核酸分子の一定の広がりを「オーバーラップさせる」こと
を云う。
【0034】 用語「構造遺伝子」とは、メッセンジャーRNA(mRNA)中に転写される核酸分
子を意味し、それは次いで特定のポリペプチドのアミノ酸特性の配列に翻訳され
る。「対象遺伝子」は、構造遺伝子であることができる。 「相補的DNA(cDNA)」は、mRNAの鋳型から酵素の逆転写酵素によって形成さ
れる一本鎖DNAである。一般にmRNAの一部分と相補的なプライマーが逆転写の開
始に採用される。当業技術者はまた、用語「cDNA」をそのような一本鎖DNA分子
およびその相補的DNA鎖からなる二重鎖DNA分子を意味するために使用する。用語
「cDNA」はまた、RNAの鋳型から合成されるcDNAのクローンを意味する。
【0035】 「孤立核酸分子」は、生物のゲノムDNA中に組み込まれない核酸分子である。
例えば、細胞のゲノムDNAから分離された成長因子をコードするDNA分子は、孤立
DNA分子である。孤立核酸分子の別の例は、生物のゲノム中に組み込まれない化
学的に合成された核酸分子である。特定の種から分離された核酸分子は、その種
由来の染色体の完全なDNA分子よりも小さい。 「核酸分子構築物」は、自然には存在しない配置で結合され並置された核酸の
セグメントを含有するように人間の介入を通して修飾された一本鎖または二重鎖
いずれかの核酸分子である。
【0036】 「線状DNA」は、遊離の5′および3′末端を備えた非環状DNA分子を表す。線
状DNAは、酵素の消化または物理的な崩壊によってプラスミドなどの閉環状DNA分
子から調製することができる。 「方向性連結反応」は、固定された方向に配列されたモノマーを含む核酸ポリ
マーを生成する方法を意味する。例えば、方向性連結反応は、頭と尾が向かい合
う配向を有するモノマーの縦列反復を含むポリマーを生成するために用いること
ができる。
【0037】 「プロモーター」は、構造遺伝子の転写を指示するヌクレオチド配列である。
一般にプロモーターは、構造遺伝子の転写開始部位に近い遺伝子の5′非解読領
域中に位置する。転写の開始において機能するプロモーター内の配列要素は、共
通ヌクレオチド配列によって特徴づけられることが多い。これらのプロモーター
要素には、RNAポリメラーゼ結合部位;TATA配列;CAAT配列;分化特異的な要素
(DSE;McGehee等の論文、Mol. Endocrinol. 7: 551 (1993));サイクリックAM
P応答要素(CRE);血清応答要素(SRE;Treismanの論文、Seminars in Cancer
Biol. 1: 47 (1990));グルココルチコイド応答要素(GRE);およびCRE / ATF
(O’ Reilly等の論文、J. Biol. Chem. 267: 19938 (1992))、AP2(Ye等の論
文、J. Biol. Chem. 269: 25728 (1994))、SP1、cAMP応答要素結合タンパク質
(CREB;Loekenの論文、Gene Expr. 3: 253 (1993))、および八量体因子(全般
的にはWatson等編、Molecular Biology of the Gene, 4th ed. (The Benjamin/C
ummings Publishing Company, Inc. 1987)、およびLemaigreおよびRousseauの論
文、Biochem. J. 303: 1 (1994) を参照されたい)などその他の転写因子の結合
部位がある。もしプロモーターが誘導性プロモーターならば、転写速度は誘発剤
に応答して増加する。これとは対照的にもしプロモーターが構成プロモーターな
らば、転写速度は誘発剤によって調節されない。抑制性プロモーターもまた知ら
れている。
【0038】 「コアプロモーター」は、TATAボックスおよび転写開始を含むプロモーター機
能にとって必須のヌクレオチド配列を含有する。この定義によりコアプロモータ
ーは、活性を高めることできるかまたは組織特異的な活性を付与することができ
る特異的な配列のない検出可能な活性を有しても、また有しなくてもよい。 「調節要素」は、コアプロモーターの活性を調節するヌクレオチド配列である
。例えば調節要素は、特定の細胞、組織、またはオルガネラ中で転写を排他的に
または優先的に可能にする細胞因子と結合するヌクレオチド配列を含有すること
ができる。これらの種類の調節要素は、通常「細胞特異的」、「組織特異的」、
または「オルガネラ特異的」なやり方で発現される遺伝子と関連する。 「エンハンサー」は、転写の開始部位に対してエンハンサーの距離または配向
と関係なく転写の効率を高める一種の調節要素である。
【0039】 「非相同DNA」は、与えられた宿主細胞内に自然には存在しないDNA分子または
DNA分子の集団を意味する。特定の宿主細胞に非相同のDNA分子は、宿主DNAが非
宿主DNA(すなわち外因性DNA)と結合するかぎり、その宿主細胞種(すなわち内
因性DNA)由来のDNAを含有してもよい。例えば、転写プロモーターを含む宿主DN
Aのセグメントと作用可能に連結したポリペプチドをコードする非宿主DNAセグメ
ントを含有するDNA分子は、非相同DNA分子であると考えられる。逆に非相同DNA
分子は、外因性プロモーターと作用可能に連結した内因性遺伝子を含むことがで
きる。別の実例として野生型細胞由来の遺伝子を含むDNA分子は、もしそのDNA分
子が野生型遺伝子がない突然変異細胞中に導入されるならば、非相同DNAである
と考えられる。
【0040】 「ポリペプチド」は、たとえ天然に生成されようと合成的に生成されようとペ
プチド結合によって接合したアミノ酸残基のポリマーである。約10個未満のアミ
ノ酸残基のポリペプチドは普通、「ペプチド」と呼ばれる。 「タンパク質」は、1または複数のポリペプチド鎖を含む巨大分子である。タ
ンパク質はまた、炭水化物の基などの非ペプチド成分を含んでもよい。炭水化物
およびその他の非ペプチド置換基は、その中でタンパク質が産生される細胞によ
ってタンパク質に加えることができ、細胞の種類によって変わることになる。タ
ンパク質は、本明細書ではそれらのアミノ酸骨格構造の観点から定義され、炭水
化物の基などの置換基は通常指定されないが、それでもなお存在してもよい。
【0041】 非宿主DNA分子によってコードされるペプチドまたはポリペプチドは、「非相
同」ペプチドまたはポリペプチドである。 「組み込まれる遺伝要素」は、その要素が人間の操作を通して細胞中に導入さ
れたのちに、宿主細胞の染色体中に組み込まれるDNAセグメントである。本発明
の中では組み込まれる遺伝要素は、最も一般的にはエレクトロポレーションまた
はその他の手法によって細胞中に導入される線状プラスミドから得られる。組み
込まれる遺伝要素は、最初の宿主細胞からその子孫に通り抜ける。
【0042】 「クローニングベクター」は、宿主細胞中で自己複製する能力を有するプラス
ミド、コスミド、またはバクテリオファージなどの核酸分子である。クローニン
グベクターは一般に、ベクターの必須の生物機能を失うことなく決定できるやり
方で核酸分子の挿入を可能にする1または少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部
位、ならびにクローニングベクターで形質転換された細胞の識別および選択に用
いるのに適したマーカー遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含有する。マー
カー遺伝子には、一般にテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を与える
遺伝子が含まれる。
【0043】 「発現ベクター」は、宿主細胞中で発現する遺伝子をコードする核酸分子であ
る。一般に発現ベクターは、転写プロモーター、遺伝子、および転写ターミネー
ターを含む。遺伝子発現は通常プロモーターの制御下に置かれ、このような遺伝
子はプロモーターに「作用可能に連結している」と云われる。同様に、もし調節
要素がコアプロモーターの活性を調節するならば、調節要素およびコアプロモー
ターは作用可能に連結している。
【0044】 本明細書で用いられる用語「多重」または「多量」は、2〜50コピー、2〜30
コピー、2〜20コピー、2〜15コピー、または2〜10コピーなど2つ以上の対象
遺伝子のコピーを意味する。さらに範囲の例には、3〜20コピー、3〜15コピー
、または3〜10コピーが含まれる。好都合には構築物は3以上のコピー(例えば
3〜7または5〜7)を含むことができる。7以上の範囲、例えば7〜30コピー
、7〜20コピー、または7〜15コピーもまた有用である。
【0045】 「ポリシストロン性転写単位」は、2つ以上の遺伝子が同じプロモーターの制
御下にある転写単位である。 「組換え宿主」は、クローニングベクターまたは発現ベクターなどの非相同核
酸分子を含有する細胞である。 「組込み形質転換細胞」は、非相同DNAが細胞のゲノムDNA中に組み込まれるよ
うになった組換え宿主細胞である。 用語「発現」は遺伝子産物の生合成を意味する。例えば構造遺伝子の場合、発
現は構造遺伝子のmRNAへの転写およびmRNAの1または複数のポリペプチドへの翻
訳を伴う。
【0046】 用語「分泌シグナル配列」は、より大きいポリペプチドの一成分として、その
中で合成される細胞の分泌経路を通るそのより大きいポリペプチドに指示するペ
プチド(「分泌ペプチド」)をコードするDNA配列を表す。より大きいポリペプ
チドは一般に切断され、分泌経路を通って移動する間に分泌ペプチドを除去する
【0047】 「分離ポリペプチド」は、炭水化物、脂質、または現存しているポリペプチド
と関連する他のタンパク質不純物などの汚染性細胞成分が本質的にないポリペプ
チドである。一般に分離ポリペプチドの調製は、高度に精製された形態、すなわ
ち少なくとも約80%純粋な、少なくとも約90%純粋な、少なくとも約95%純粋な
、95%を超える純粋な、または99%を超える純粋な形態でポリペプチドを含有す
る。特定のタンパク質調合物が分離ポリペプチドを含有することを示す一方法は
、タンパク質調合物のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)/ポリアクリルアミドゲ
ルの電気泳動およびゲルのクーマシーブリリアントブルー着色後のシングルバン
ドの出現による。しかしながら用語「分離」は、二量体あるいはグリコシル化ま
たは誘導体化した形態など別の物理的形態の同じポリペプチドの存在を排除しな
い。
【0048】 用語「アミノ末端」および「カルボキシル末端」は、本明細書ではポリペプチ
ド内の位置を表すために用いられる。状況が許す場合、この用語はポリペプチド
の特定の配列または部分に関して近接または相対位置を表すために用いられる。
例えば、ポリペプチド内の基準配列に対してカルボキシル末端に位置した或る配
列は、基準配列のカルボキシル末端に近接して配置されるが、必ずしも完全なポ
リペプチドのカルボキシル末端ではない。
【0049】 本明細書で用いられる用語「免疫モジュレーター」には、サイトカイン、幹細
胞成長因子、リンホトキシン、補助的刺激分子、造血因子、およびこれら分子の
合成類似体が含まれる。免疫モジュレーターの例には、腫瘍壊死因子、インター
ロイキン、コロニー刺激因子、インターフェロン、幹細胞成長因子、エリトロポ
イエチン、およびトロンボポイエチンがある。 「抗イディオタイプ抗体」は、免疫グロブリンの可変部ドメインと結合する抗
体である。 「抗体フラグメント」は、F (ab′)2、F (ab)2、Fab′、Fabなどの抗体の一部
である。構造に関係なく抗体フラグメントは、完全な抗体によって認識される同
じ抗原と結合する。
【0050】 用語「抗体フラグメント」にはまた、L鎖可変部からなるポリペプチド、Hお
よびL鎖可変部からなる「Fv」フラグメント、LおよびH鎖可変部がペプチドリ
ンカーによって結合している組換え一本鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質
」)、および高頻度可変部によく似たアミノ酸残基からなる最小の認識単位など
、特定の抗原と結合する合成または遺伝子工学によるポリペプチドがある。 「キメラ抗体」は、抗体分子の残りはヒトの抗体由来のものでありながら、げ
っ歯類の抗体由来の可変ドメインおよび相補性決定領域を含有する組換えタンパ
ク質である。 「融合タンパク質」は、少なくとも2つの遺伝子のヌクレオチド配列を含む核
酸分子によって発現するハイブリッドタンパク質である。
【0051】 用語「抗体融合タンパク質」は、抗体または抗体フラグメントと、治療薬を含
む組換え分子を意味する。このような融合タンパク質に適した治療薬の例には、
免疫モジュレーター(「抗体/免疫モジュレーター融合タンパク質」)および毒
素(「抗体/毒素融合タンパク質」)がある。毒素成分の実例には、Pseudomona
sエキソトキシン部分、ジフテリアトキシン部分、RNアーゼ部分、DNアーゼI部分
、ゲロニン部分、およびStaphylococcalエンテロトキシンA部分がある。
【0052】 用語「親和性標識」は本明細書では、第二のポリペプチドに付着して第二のポ
リペプチドの精製または検出をもたらすか、または第二のポリペプチドの基質と
の付着用部位をもたらすことができるポリペプチドセグメントを表す。主に、抗
体またはその他の特異的な結合剤が利用できる任意のペプチドまたはタンパク質
は、親和性標識として用いることができる。
【0053】 親和性標識には、ポリヒスチジン系、タンパク質A(Nilsson等の論文、EMBO J
. 4:1075 (1985);Nilsson等の論文、Methods Enzymol. 198: 3 (1991))、グル
タチオンSトランスフェラーゼ(SmithおよびJohnsonの論文、Gene 67: 31 (1988
))、Glu-Glu親和性標識(Grussenmeyer等の論文、Proc. Nat’l. Acad. Sci. U
SA 82: 7952 (1985))、P物質、FLAGペプチド(Hopp等の論文、Biotechnology 6
: 1204 (1988))、ストレプトアビジン結合ペプチド、あるいはその他の抗原性
エピトープまたは結合ドメインがある。全般的にはFord等の論文、Protein Expr
ession and Purification 2: 95 (1991)を参照されたい。親和性標識をコードす
るDNA分子は、市場の供給先(例えばPharmacia Biotech, Piscataway, NJ)から
入手できる。
【0054】 「抗原性ペプチド」は、主要な組織適合複合分子を結合させてT細胞によって
認識されるMHC/ペプチド複合体を形成することになるペプチドであり、T細胞に
対して提示されるとそれによって細胞障害性リンパ球応答を誘発する。したがっ
て抗原性ペプチドは、適切な主要組織適合複合分子と結合する能力、および細胞
溶解あるいは抗原を結合または発現させる標的細胞に対する特異的な細胞毒の放
出など、細胞毒性T細胞応答を誘発する能力がある。抗原性ペプチドは、抗原を
引き起こす細胞上または標的細胞上にクラスIまたはクラスIIの主要組織適合複
合分子の状況で結合することができる。 標準の分析方法が不正確のせいで、ポリマーの分子量および長さがおおよその
値であることが分かった。このような値が「約」Xまたは「おおよそ」Xとして
表される場合、Xの記された値は±10%の精度であることが分かるはずである。
【0055】 3.対象遺伝子の多重コピーを含有する核酸ポリマーの生成 本発明によれば細胞は、同じ配向中に存在する複数発現カセットを含む核酸ポ
リマーを移入される。このような縦列配列の発生は、宿主細胞のゲノムDNA中へ
の組込み後のポリマーの安定性を最大にする。各発現カセットは、(1)「対象
遺伝子」と呼ばれる対象アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と、(2)
選択マーカー遺伝子をコードするヌクレオチド配列とを含む。好適な選択マーカ
ー遺伝子には、下記に記述するように薬剤によって滴定可能なタンパク質をコー
ドするものが含まれる。このようなマーカー遺伝子の利点は、宿主細胞の薬剤耐
性のレベルが選択マーカー遺伝子発現のレベルの指標を提供することである。
【0056】 核酸ポリマーは、対象遺伝子:選択マーカー遺伝子、すなわちX:Yの比によ
って特徴づけることができ、Yが1の値の場合、Xは1〜10の整数であり、また
Xが1の値の場合、Yは1〜10の整数である。どちらの場合も1〜10の値の範囲
には、2〜9、3〜8、4〜7、5〜6、2〜6、5〜10などの小範囲が含まれ
る。
【0057】 いくつかの核酸ポリマーは、対象遺伝子:選択マーカー遺伝子の比が1:1であ
ることを特徴とする。対象遺伝子と選択マーカー遺伝子の相対量は予め決められ
るので、薬剤耐性はまた所望のタンパク質の発現のレベルの尺度を提供する。選
択マーカー遺伝子と対象遺伝子の発現の間のこの関係は、選択マーカー遺伝子産
物が薬剤によって滴定可能なタンパク質である場合、より強い。
【0058】 A.発現カセットの設計 発現カセットは、対象遺伝子および選択マーカー遺伝子を含む。対象遺伝子は
、任意の所望のアミノ酸配列をコードすることができる。アミノ酸配列の例には
、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、および融合タンパク質がある。ポリペ
プチドは、約10〜約20個のアミノ酸、約20〜約40個のアミノ酸、約40〜約100個
のアミノ酸、または100個を超えるアミノ酸からなることができる。
【0059】 タンパク質の実例には、抗体および抗体フラグメント、受容体、ホルモン類、
および有望な工業的または治療的な価値を有するその他のタンパク質がある。例
えば発現カセットには、因子VIIa、インスリン前駆体、インスリン、卵胞刺激ホ
ルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、腫瘍壊死因子、インターロイキン類
(例えば、インターロイキン1 (IL-1)、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7
、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL
-18、IL-19、IL-20、およびIL-21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニ
ー刺激因子および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、インターフェロン
(例えば、インターフェロンα、β、γ、ω、δ、τ、およびε)、幹細胞成長
因子、エリトロポイエチン、およびトロンボポイエチンなどの薬品として活性な
分子をコードする核酸分子がある。対象タンパク質の追加の例には、抗体、抗体
フラグメント、抗イディオタイプ抗体(またはそのフラグメント)、キメラ抗体
、ヒト化抗体、抗体融合タンパク質などがある。
【0060】 周辺の培地中に所望のタンパク質を分泌する組換え宿主細胞を産生することが
できる。したがって本発明は、「シグナルペプチド」、「リーダー配列」、「プ
レプロ配列」、または「プレ配列」としても知られる分泌シグナル配列をコード
するヌクレオチド配列を含む発現カセットを意図する。分泌シグナル配列は、2
つの配列が正しい読み枠中に接合され、位置決めされて新たに合成された対象タ
ンパク質を宿主細胞の分泌経路に向けるように対象遺伝子と作用可能に連結する
。いくつかの分泌シグナル配列は対象ヌクレオチド配列中のどこか違った場所に
位置してもよいが、分泌シグナル配列は普通、対象アミノ酸配列をコードするヌ
クレオチド配列に対して5′に位置する(例えば、Welch他の米国特許第5,037,7
43号;Holland他の米国特許第5,143,830号を参照されたい)。
【0061】 哺乳類の細胞によって産生されたタンパク質の分泌シグナル配列(例えば、米
国特許第5,641,655号に記載の、例えば組織プラスミノーゲン活性化因子のシグ
ナル配列)は組換え哺乳類宿主中の対象遺伝子の発現にとって有用だが、酵母細
胞中の発現には酵母のシグナル配列が好ましい。好適な酵母のシグナル配列の例
は、酵母接合型フェロモンα因子(MFα1遺伝子によってコードされる)、イン
ベルターゼ(SUC2遺伝子によってコードされる)、または酸性ホスファターゼ
(PHO5遺伝子によってコードされる)由来のものである。例えば、Romanos等の
記述、DNA Cloning 2: A Practical Approach, 2nd edition, Glover and Hames
(eds) (Oxford University Press 1995)中の「Expression of Cloned Genes in
Yeast」、p.123-167を参照されたい。
【0062】 発現カセットはまた、所望のタンパク質の精製を助けるためにペプチド標識を
コードするヌクレオチド配列を含むことができる。組換えポリペプチドを分離す
るのに有用なペプチド標識には、ポリヒスチジン標識(ニッケルキレート樹脂に
対する親和性を有する)、c-myc標識、カルモジュリン結合タンパク質(カルモ
ジュリン親和性クロマトグラフィで分離される)、P物質、RYIRS標識(抗RYIRS
抗体と結合する)、Glu-Glu標識、およびFLAG標識(抗FLAG抗体と結合する)が
ある。例えばLuo等の論文、Arch. Biochem. Biophys. 329: 215 (1996);Morgan
i等の論文、Biotechnol. Appl. Biochem. 23: 67 (1996);およびZheng等の論文
、Gene 186: 55 (1997)を参照されたい。このようなペプチド標識をコードする
核酸分子は、例えばSigma-Aldrich Corporation (St. Louis, MO)から入手可能
である。
【0063】 さまざまな選択マーカー遺伝子が入手可能である(例えばKaufmanの論文、Met
h. Enzymol. 185: 487 (1990);Kaufmanの論文、Meth. Enzymol. 185: 537 (199
0)を参照されたい)。現状況で適切な選択マーカー遺伝子は、高用量の毒性薬剤
に対する細胞の耐性が、細胞によって産生される選択マーカー遺伝子の数に関係
することになるという点で「滴定可能」である。選択マーカー遺伝子が大きな数
の酵素当たりの毒性薬剤分子を中和できる酵素である場合は、この特性を欠く。
【0064】 Sh ble遺伝子などのble遺伝子は、今記述した方法には特に有用な選択マーカ
ー遺伝子である。これらの遺伝子は、ZEOCINなどのブレオマイシン/フレオマイ
シン型薬剤の活性を阻害するタンパク質を産生する(Gatignol等の論文、Mol. G
en. Genet. 207: 342 (1987);Drocourt等の論文、Nucl. Acids Res. 18: 4009
(1990))。ブレオマイシン(Bleomycin)耐性遺伝子によってコード化されたタ
ンパク質は、ブレオマイシン型薬剤と1:1の比率で結合し、その結果毒性薬剤
を封鎖する(例えばGatignol等の論文、FEBS Lett. 230: 171 (1988)を参照され
たい)。化学量論的な結合に加えてこの系の別の利点は、ZEOCINが細菌、真菌、
植物、トリ、昆虫、および哺乳類の細胞を含む広範囲の細胞型に有毒であること
である。
【0065】 メタロチオネイン(Metallothionein)遺伝子は、カドミウム、亜鉛、および
銅などの毒性金属と高い親和性を有するタンパク質をコードする(BeachおよびP
almiterの論文、Proc. Nat’ l. Acad. Sci. USA 78: 2110 (1981);Huang等の
論文、EXS 52: 439 (1987);Czaja等の論文、J. Cell. Physiol. 147: 434 (199
1))。したがってMetallothionein遺伝子は、本明細書に記述した方法に適した
滴定可能なマーカーを提供する。
【0066】 追加の選択マーカーには、ヒグロマイシンB−ホスホトランスフェラーゼ、AU
R1遺伝子産物、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェ
ラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、チミジンキナーゼ、およびキサンチングア
ニンホスホリボシルトランスフェラーゼがある(例えば、SrivastavaおよびSchl
essingerの論文、Gene 103: 53 (1991);Romanos等の記述、DNA Cloning 2: Exp
ression Systems, 2nd Edition中の「Expression of Cloned Genes in Yeast」
、p.123-167 (IRL Press 1995);Markieの論文、Methods Mol. Biol. 54: 359
(1996);Pfeifer等の論文、Gene 188: 183 (1997);TruckerおよびBurkeの論文
、Gene 199: 25 (1997);Hashida-Okado等の論文、FEBS Letters 425: 117 (199
8)を参照されたい)。
【0067】 このような選択マーカー遺伝子をこの方法と共に使用する場合、好ましくは遺
伝子産物の活性を阻害して滴定可能な特性をもたらす毒性薬剤が選ばれる。この
ような薬剤には、選択マーカー遺伝子産物と高い親和性で、または共有結合によ
ってさえ結合する分子が含まれる。例えば、2,4−ジアミノ−5−[3,5−
ジメトキシ−4−(p−ブロモアセトアミドフェノキシ)ベンジル]ピリミジン
は、ナイセリア・ゴノロエア(Neisseria gonorrhoeae)ジヒドロ葉酸レダクタ
ーゼを不可逆的に阻害する(Tansik等の論文、J. Biol. Chem. 259: 12299 (198
4))。
【0068】 その上、Rosowsky等の論文、J. Med. Chem. 30: 1463(1987)には、L−グルタ
ミン酸エステル側鎖をL−リシンおよびL−オルニチンのNωハロアセチル誘導
体で置換することによって強いアルキル化活性を有するメトトレキセート類似体
を調製する方法が記載されている。Nε−(ブロモアセチル)−L−リシンおよ
びNδ−(ブロモアセチル)−L−オルニチン類似体は、カンジダ・アルビカン
ス(Candida albicans)およびネズミ白血病細胞のジヒドロ葉酸レダクターゼと
の共有結合と矛盾しない結果を与えた。追加の例には、9′−クロロ−EHNAおよ
び9′−フタルイミド−EHNAを含むエリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニ
ル)アデニン(EHNA)類似体などのアデノシンデアミナーゼ阻害剤がある(Bara
nkiewicz等の論文、J. Pharmacol. Exp. Ther. 283: 1230 (1997))。その他の
好適な毒性薬剤が当業者に知られている。
【0069】 代替アプローチは、対応する野生型酵素よりも活性の少ない突然変異酵素をコ
ードする選択マーカー遺伝子を使用することである。実例として、Munir等の論
文、Protein Eng. 7: 83 (1994)には、低い活性を有する突然変異体チミジンキ
ナーゼの設計が記載されている(また、LiuおよびSummersの論文、Virology 163
: 638 (1988);Mendel等の論文、Antimicrob. Agents Chemother. 39: 2120 (19
95)を参照されたい)。低活性突然変異体はまた、アデノシンデアミナーゼおよ
びジヒドロ葉酸レダクターゼについて記述されている(例えば、Prendergast等
の論文、Biochemistry 27: 3664 (1988);Jiang等の論文、Hum. Mol. Genet. 6:
2271 (1997);Ercikan-Abali等の論文、Mol. Pharmacol. 49: 430 (1996)を参
照されたい)。
【0070】 別の種類の選択マーカー遺伝子は、グリーン蛍光タンパク質、レッド蛍光タン
パク質、酵素(例えば、胎盤アルカリ性ホスファターゼ)、または抗体で検出で
きる細胞表面タンパク質(例えば、CD4、CD8、クラスI主要組織適合複合(MHC)
タンパク質など)などの容易に検出できるタンパク質を産生する遺伝子である。
このような選択マーカー遺伝子の発現生成物を用いてFACS選別または磁気ビーズ
分離技術のような標準的な方法によって移入されていない細胞から移入された細
胞を選別することができる。
【0071】 対象アミノ酸配列または選択マーカーをコードする核酸分子は、標準的な手法
を用いてヒトcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって
得ることができる。別法ではこのような遺伝子は、相互初回免疫の長いオリゴヌ
クレオチドを用いて核酸分子を合成するか、または化学的なDNA合成によって得
ることができる。加えて、タンパク質をコードする多くの好適な核酸分子が市販
されている。
【0072】 対象遺伝子または選択マーカー遺伝子を発現するにはアミノ酸配列をコードす
る核酸分子を、転写の発現を制御する調節配列に作用可能に連結し、次いで宿主
細胞中に導入しなければならない。プロモーターおよびエンハンサーなどの転写
調節配列に加えて発現ベクターには、転写/翻訳調節配列を含めることができる
。哺乳類宿主の場合、転写/翻訳調節シグナルは、アデノウィルス、ウシ乳頭腫
ウィルス、サルウィルスなどのウィルス源から得ることができ、調節シグナルは
高いレベルで発現する特定の遺伝子と関連している。好適な転写/翻訳調節配列
はまた、アクチン、コラーゲン、ミオシン、およびメタロチオネイン遺伝子など
の哺乳類遺伝子から得ることもできる。
【0073】 好適な転写調節配列には、RNA合成の開始を指示するのに十分なプロモーター
領域が含まれる。好適な真核プロモーターには、マウスmetallothionein I遺伝
子(Hamer等の論文、J. Molec. Appl. Genet. 1: 273 (1982))、Herpesウィル
スのTKプロモーター(McKnightの論文、Cell 31: 355 (1982))、SV40初期プロ
モーター(Benoist等の論文、Nature 290: 304 (1981))、Rous肉腫ウィルスプ
ロモーター(Gorman等の論文、Proc. Nat’ l Acad. Sci. USA 79: 6777 (1982)
)、サイトメガロウィルスプロモーター(Foecking等の論文、Gene 45: 101 (19
80))、およびマウス乳癌ウィルスプロモーター(全般的には、Etcheverryの記
述、Protein Engineering: Principles and Practice;Cleland et. al. (eds.)
中の「Expression of Engineered Proteins in Mammalian Cell Culture」、p.1
63-181(John Wiley & Sons, Inc. 1996)を参照されたい)のプロモーターがあ
る。
【0074】 別法では、原核プロモーターが真核プロモーターによって調節される場合は、
バクテリオファージT3 RNAポリメラーゼプロモーターなどの原核プロモーターを
用いて哺乳類細胞中の対象遺伝子の発現を制御することができる(Zhou等の論文
、Mol. Cell. Biol. 10: 4529 (1990)およびKaufman等の論文、Nucl. Acids Res
. 19: 4485 (1991))。
【0075】 特定の発現カセットでは、選択マーカー遺伝子の開始コドンの上流に存在する
ヌクレオチド配列は、突然変異を誘発して翻訳開始にとって好ましくない状況を
もたらす。この型の改変の目的は、発現単位当たりの選択マーカー遺伝子の発現
レベルを減らすことである。このやり方では選択マーカー遺伝子の高いレベルの
発現は、宿主細胞によって伝えられるin vitro増幅単位の数をより正確に映し出
す。
【0076】 例えば3、6、および9位の少なくとも1つをチミジンヌクレオチドへ突然変
異することができる。その上、1、2、および5位の少なくとも1つに存在する
アデニンまたはシチジンヌクレオチドをグアノシンまたはチミジンへ突然変異し
て翻訳開始の効率をさらに減らすことができる。ヌクレオチド配列5′…TCCTGTT
GT ATG…3′ (配列番号:3)は開始コドンの上流に存在し、低効率の翻訳開始をも
たらすことができるヌクレオチド配列の一例である。当業者ならば追加のヌクレ
オチド配列の修飾を考え出すことができる。
【0077】 別の変更形態において、導入した配列を細胞クロマチンの望ましくない調節効
果から隔離するために発現カセットに隣接するヌクレオチド配列を含めることが
できる。実例として、このような絶縁配列をCMVプロモーターの上流に配置する
ことができる。例えばChung等の論文、Cell 74: 505 (1993)を参照されたい。
【0078】 或る種の選択マーカー遺伝子産物を細胞表面に発現させることが組換え宿主細
胞にとって有利であるかもしれない。例えばグリーン蛍光タンパク質は細胞表面
で発現することができる。さまざまなアプローチを用いて、選択マーカーおよび
別のタンパク質由来のトランスメンブレンドメインを含有する融合タンパク質を
産生させて融合タンパク質を細胞膜に固定することにより表面表示を達成するこ
とができる。実例としてpDisplay(商標)は、哺乳類の細胞表面でポリペプチドを
表示させるのに用いられる市販のベクターである(INVITROGEN Corp., Carlsbad
, CA)。
【0079】 このベクターでは複数クローニング部位が、2つの識別可能なペプチド、すな
わち血球凝集素Aおよびmycエピトープをコードする配列の間に存在する。ベク
ターにはまた、マウス免疫グロブリンκ鎖由来のN末端シグナルペプチドと、C
末端に位置する血小板由来増殖因子受容体のI型トランスメンブレンドメインと
をコードする配列が含まれる。このやり方では選択マーカー遺伝子産物は、トラ
ンスメンブレンドメインによって融合タンパク質C末端で原形質膜に固定された
細胞外融合タンパク質としての移入された細胞によって発現される。
【0080】 別法では、II型シグナルアンカードメインをコードするヌクレオチド配列を用
いて選択マーカー遺伝子産物の表面表示を得ることができる。このようなシグナ
ルアンカードメインを含むII型細胞表面タンパク質の例には、インフルエンザノ
イラミニダーゼ、パラミクソウィルスのサルウィルスの小型疎水性タンパク質、
パラミクソウィルスの血球凝集素−ノイラミニダーゼ、ヒトおよびラットのアシ
アログリコプロテイン受容体、ニワトリの肝臓レクチン、ヒトおよびウサギの神
経エンドペプチダーゼ、ヒトの腸アミノペプチダーゼ、ウサギのスクラーゼ−イ
ソマルターゼ受容体、ヒトトランスフェリン受容体、肝臓糖タンパク質受容体、
ヒトIgG受容体、マウス1,4−β−ガラクトシルトランスフェラーゼ、ヒトP
糖タンパク質受容体、クラスII組織適合抗原のヒト非変異鎖、ラットのナトリウ
ムチャンネルタンパク質、ラットの脳、筋、および肝臓グルコース輸送体タンパ
ク質、細菌リーダータンパク質、および腫瘍壊死因子/神経成長因子スーパーフ
ァミリーがある
【0081】 (例えば、Wolfe等の論文、J. Biol. Chem. 258: 12073 (1983);Chiacchiお
よびDrickamerの論文、J. Biol. Chem. 259: 15440 (1984);Hiebert等の論文、
J. Virol. 54: 1 (1985) ;Hiebert等の論文、J. Virol. 55:744 (1985);Schne
ider等の論文、Nature 311: 675 (1984);SpiessおよびLodishの論文、Proc. Na
t’ l Acad. Sci. USA 82: 6465 (1985);Strubin等の論文、EMBO J. 3: 869 (1
984);Semenzaの論文、Annu. Rev. Cell Biol. 2: 255 (1986);LippおよびDobb
ersteinの論文、J. Cell Biol. 106: 1813 (1988);Hartmann等の論文、Proc. N
at’ l Acad. Sci. USA 86: 5786 (1989)を参照されたい)。その上、Chouおよ
びElrodの論文、Proteins: Structure, Function, and Genetics 34: 137 (1999
)には、II型膜タンパク質152種が開示され、それらを用いてどのアミノ酸配列が
II型膜タンパク質構造を付与するかを予測する方法を考案した。
【0082】 発現カセットは、その各々が転写調節要素、解読領域、および転写ターミネー
ターを含む2つの「転写単位」を含むように設計することができる。この系では
1つの解読領域が対象アミノ酸配列をコードする一方で、第二の解読領域が選択
マーカーをコードする。両方の転写単位は、同一の転写調節要素を含有すること
ができる。
【0083】 別法では発現カセットは、対象アミノ酸配列と選択マーカーをコードする領域
を含むことができ、もしその解読領域の各々がそれ自体のリボソーム結合部位を
有するならば、解読領域は転写調節要素と転写ターミネーターの間に存在する(
例えばLee等の論文、Nucl. Acids Res. 12: 6797 (1984)を参照されたい)。こ
のような発現カセットは、ポリシストロン性転写単位を含む。実例としては、発
現カセットは内部リボソームエントリー部位に連結した選択マーカー遺伝子を含
むことができ、それは対象アミノ酸配列に関して解読領域の下流に存在する。
【0084】 B.発現カセットを含むベクターの設計 真核細胞中で所望のタンパク質を産生するのに適した発現ベクターは一般に、
(1)細菌宿主中での発現ベクターの成長および選択に備えるために細菌の複製
起点および抗生物質耐性マーカーをコード化する原核DNA要素、(2)プロモー
ターなどの転写の開始を制御する真核DNA要素、(3)転写の終結/ポリアデニ
ル化など、転写のプロセッシングを制御するDNA要素、および(4)真核細胞用
の選択マーカー、を含有する。上記で考察したように発現ベクターにはまた、異
種ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に向ける分泌配列をコードするヌクレオチ
ド配列が含まれる。その上、酵母中での高いレベルの発現用のベクターには、宿
主ゲノムDNA中の相同的組換えを促進させるためにターゲッティング配列が含ま
れてもよい。
【0085】 加えて、本明細書に記述した方法に用いるのに適した発現ベクターは、非パリ
ンドローム末端を提供する少なくとも1つの切断部位を含有することができる。
制限酵素によって認識される配列は、パリンドロームとして知られる一般には完
全に対称な逆方向反復である。すなわち、パリンドロームの2つの鎖が反対方向
に読み取られる場合、塩基の順序は同一である。パリンドローム末端は、自己相
補的でかつ自己結合することができるか、または反対の方向を向く同一の末端と
結合することができる。その結果、パリンドローム末端を有するベクターの自己
連結反応は、雑多な方向に配向した単位を含有するポリマーを生成することにな
る。
【0086】 制限エンドヌクレアーゼは、3つの包括的なクラスに属する。クラスI制限エ
ンドヌクレアーゼは、その認識部位から多種多様な距離のところで切断する。ク
ラスII制限エンドヌクレアーゼはその認識部位内で切断し、一方サブクラスすな
わちクラスIISはその認識部位の外側の正確な距離のところで切断する。クラスI
IS酵素と同様にクラスIII酵素は、別々の認識および切断ドメインを有する。し
かしながら、クラスIIS制限酵素とメチルトランスフェラーゼは別々の分子であ
るのに対し、クラスIIIの場合それらは単一のマルチドメイン部分を形成する。
【0087】 認識/切断部位は、クラスII酵素については同一であり、クラスIIS酵素につ
いては別個であるので、これら2つのクラスの産物は異なる特性を有する。クラ
スII酵素は対称認識部位内で切断し、両方の鎖で同一の5′から3′の配列を生
ずる。例えばEcoRIは下記のように切断する。
【0088】
【化1】
【0089】 対照的にクラスIIS制限エンドヌクレアーゼは、非対称認識部位の外側でその
部位から正確な距離のところで切断する。この非対称性のせいで5′から3′の
認識配列は各鎖で異なる。例えばBstXIは下記の配列、すなわち(CCANNNNNNTGG
(配列番号:4) / GGTNNNNNNACC (配列番号:5)、 ただし「N」は任意のヌクレオチ
ド)を切断する。
【0090】
【化2】 これらの非パリンドロームまたは「回転が等しくない」末端を含有するDNAフ
ラグメントが互いに結合する場合、フラグメントは方向性をもって挿入される。
【0091】 好適なクラスIIS制限酵素には下記の酵素およびそれらのアイソシゾマー(括
弧内に示す)など、5塩基連続配列を認識するこれらの酵素が含まれる。すなわ
ち、Alw26I (BsmAI)、AlwI (AclWI、BinI)、AsuHPI (HphI)、BbvI (Bst71I)、Bc
efI、BstF5I (BseGI、FokI)、FauI、HgaI、MboII、PleI、SfaNI、およびTspRI。
6塩基連続配列を認識する下記のクラスIIS酵素もまた用いることができる。す
なわち、AceIII、BbsI (BbvII、BpiI、BpuAI)、Bce83I、BciVI、BfiI (BmrI)、B
pmI (GsuI)、BsaI (Eco31I)、BseRI、BsgI、BsmBI (Esp3I)、BsmFI、BspMI、Bsr
DI (Bse3DI)、Bsu6I (Eam1104I、EarI、Ksp632I)、Eco57I、FauI、MmeI、RleAI
、TaqII、およびTth111II。7塩基配列を認識するSapIおよび8塩基配列を認識
するSfiIもまた、発現ベクターを切断するために用いることができる。
【0092】 有用な酵素の更なる例には、4塩基対スプリット配列(例えば、Bse4I (BseLI
、MsiYI、BslI)、MwoI)を認識するものおよび6塩基対スプリット配列(例えば
、AccB7I (Esp1396I、PfiMI、Van91I)、AdeI (DraIII)、AhdI (AspEI、Eam1105I
、EchHKI、NruGI)、AlwNI、ApaBI (BstAPI)、AspI (PfiFI、Tth111I)、BglI、Bs
tXI、DrdI (DseDI)、EcoNI (XagI)、XcmI)を認識する酵素がある。追加の好適
なクラスIIS制限酵素が当業者に知られている(例えば、Szybalski等の論文、Ge
ne 100: 13 (1991)を参照されたい)。
【0093】 非パリンドローム末端を生ずるクラスIIS酵素ではないその他の酵素がある。
これらもまた今記述した方法に適している。このような酵素の例には、AvaI (Am
a87I、BcoI、BsoBI、Eco88I) 、AvaII (Eco47I、Bme18I、HgiEI、SinI) 、BanI
(AccB1I、BshNI、Eco64I) 、BfmI (BstSFI、SfcI) 、Bpu10I、BsaMI (BscCI、Bs
mI、Mva1269I) 、Bsh1285I (BsaOI、BsiEI、BstMCI) 、Bse1I (BseNI、BsrI、Cf
r10I) 、BsiI (BssSI、Bst2BI) 、BsiZI (AspS9I、Cfr13I、Sau96I) 、Bsp1720I
(BlpI、Bpu1102I、CelII) 、Bst4CI、BstDEI (DdeI) 、CpoI (CspI、RsrII) 、
DsaI (BstDSI) 、Eco24I (BanII、EcoT38I、FriOI、HgiJII) 、Eco130I (StyI、
BssT1I、EcoT14I、ErhI) 、EspI (BlpI、Bpu1102I、Bsp1720I、Cel1I) 、HgiAI
(BsiHKAI、Alw21I、AspHI、Bbv12I) 、HinfI、PspPPI (PpuMI、Psp5II) 、SanDI
、SduI (Bsp1286I、BmyI) 、SecI (BsaJI、BseDI) 、SfcI (BfmI、BstSFI)、お
よびSmlIがある。適切な酵素は6塩基配列、7塩基配列、または8塩基配列を認
識する。
【0094】 別の選択肢として、非パリンドローム末端を生ずることになる酵素切断部位の
ない発現ベクターを用いることができる。この場合適切な末端は、下記に記述す
るようにエキソヌクレアーゼ活性を有する酵素により生じる。
【0095】 発現ベクターを構築した後、ベクターを宿主細胞中で繁殖させて核酸ポリマー
生成用の核酸分子を合成する。ベクター繁殖は、便利には大腸菌(E. coli)ま
たはバシルス・ズブチリス(Bacillus subtilus)などの原核宿主細胞中で行わ
れる。大腸菌(E. coli)の好適な株には、BL21 (DE3)、BL21 (DE3)pLysS、BL21
(DE3) pLysE、DH1、DH4I、DH5、 DH5I、DH5IF、DH5IMCR、DH10B、DH10B/p3、D
H11S、C600、HB101、JM101、JM105、JM109、JM110、K38、RR1、Y1088、Y1089、C
SH18、ER1451、およびER1647がある(例えば、Brown編、Molecular Biology Lab
fax (Academic Press 1991)を参照されたい)。
【0096】 バシルス・ズブチリス(Bacillus subtilus)の好適な株には、BR151、YB886、
MI119、MI120、およびB170がある(例えば、Hardyの記述、DNA Cloning: A Prac
tical Approach, Glover (ed.)中の「Bacillus Cloning Methods」(IRL Press
1985)を参照されたい)。原核宿主細胞中でベクターを繁殖させる標準的な手法
は当業技術者によく知られている(例えば、Ausubel等編、Short Protocols in
Molecular Biology, 3rd Edition (John Wiley & Sons 1995)〔「Ausubel 1995
」〕;Wu等著、Methods in Gene Biotechnology (CRC Press, Inc. 1997)を参照
されたい)。
【0097】 C.核酸ポリマーの発生 一つのアプローチによれば発現ベクターは、制限酵素で切断されて非パリンド
ローム末端を生ずる。このやり方ではその後の連結反応が同一の配向を有するサ
ブユニットを含むポリマーを生成することになる。 発現ベクターをパリンドローム末端を生じる酵素で切断することもまた可能で
ある。しかしながら切断DNAは、非パリンドローム末端を創り出すために処理さ
れるべきである。例えばこの目的は、3′エキソヌクレアーゼ活性を提供する酵
素で処理することによって達成することができる。例示の酵素には、T4 DNAポリ
メラーゼ、E.coli DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメ
ント、DEEP VENT DNAポリメラーゼ、およびVENT DNAポリメラーゼがある。
【0098】 例えばKuijper等の論文、Gene 112: 147 (1992)に記述されているように、T4
DNAポリメラーゼの3′エキソヌクレアーゼ活性を用いてパリンドローム末端か
ら非パリンドローム末端を生じさせることができる。実例として、配列ACTGCACC
GAATTCTGTGCGTAGG (配列番号:6) / TGACGTGGCCTTAAGACACGCATCC (配列番号:7)は
、E.coli RIで切断されて下記のパリンドローム末端を生じることができる。
【0099】
【化3】 dTTPの存在下でのT4 DNAポリメラーゼによる処理は、酵素がdTヌクレオチドに
達するまでヌクレオチドを除去することになる。この点で酵素は、ポリメラーゼ
反応とエキソヌクレアーゼ反応の間で交替し始めることになる。結果として下記
の非パリンドローム末端が得られる。
【0100】
【化4】 このやり方で処理した発現ベクターは、頭と尾が向かい合う配向を有する縦列
反復としてのみ結合することになる。エキソヌクレアーゼ反応に適したデオキシ
ヌクレアーゼを選択することによって特定の非パリンドローム末端を設計するこ
とができる。
【0101】 制限酵素およびDNAポリメラーゼは、熱失活を含む標準の方法により不活性化
することができる。その上これらの酵素は、フェノール/クロロホルム溶液など
の有機溶液で抽出することにより切断DNA分子を含有する混合物から取り除くこ
とができる。 核酸分子を結合する一般的な方法は当業技術者には周知である。例えば、Ausu
bel等編、Short Protocols in Molecular Biology, 3rd Edition (John Wiley &
Sons 1995)を参照されたい。重合の後に核酸ポリマーのサイズを小さくするこ
とが望まれるかもしれない。これは、核酸ポリマーを機械的せん断を用いて分断
することにより達成することができる。
【0102】 別法では、連結反応の間にオリゴヌクレオチドを加えて核酸ポリマーのサイズ
を制限することができる。このアプローチでは「毒物オリゴヌクレオチド」の一
端は切断されたベクターと相補的な配列を有し、連結反応に関して別の切断され
たベクターと競合することができる。オリゴヌクレオチドのもう片方の末端は、
切断されたベクター配列に対する相補的な配列を欠き、また連結反応を支える5
′末端でリン酸基も欠く。したがって伸長しつつある核酸ポリマーによる毒物オ
リゴヌクレオチドの取込みは、ポリマーの更なる伸長を阻害する。このやり方で
は核酸ポリマーの長さは、連結反応中の毒物オリゴヌクレオチドと切断されたベ
クターのモル比を変えることによって制御することができる。
【0103】 毒物オリゴヌクレオチドに関する試験の結果、核酸ポリマー内のベクター単位
の数は毒物オリゴヌクレオチドに対するベクター単位のモル超過量に比例するこ
とになる。例えばモル比1:100(毒物オリゴヌクレオチド:ベクター)では、ベ
クター重合に及ぼす阻害効果はないように見えた。また毒物オリゴヌクレオチド
の量を2倍にしても高分子量のポリマーに終わった。これに反してモル比10:1(
毒物オリゴヌクレオチド:ベクター)では90%のレベルに重合を阻害するように
見えた。当業技術者は同様の試験を行って特定のベクターまたは発現カセットに
ついて重合を最適化することができる。
【0104】 毒物オリゴヌクレオチドは一本鎖でも二重鎖でもよい。二重鎖の形態は、相補
的末端のアクセスしやすさを低下させる可能性のある潜在的二次構造を最小限に
抑える。二重鎖毒物オリゴヌクレオチドは、2つの部分的に相補的なオリゴヌク
レオチドとして産生することができる。二重鎖毒物オリゴヌクレオチド中の相補
性の領域は安定性を与えるために長さを約15から約30塩基対まで変えることがで
き、その配列は鎖内ハイブリッド形成を促進させることになるパリンドローム配
列を欠いているべきである。一本鎖毒物オリゴヌクレオチドは、相補的末端のア
クセスしやすさを低下させることになる潜在的二次構造を最小限に抑えるために
長さをヌクレオチド10個未満にするべきである。
【0105】 毒物オリゴヌクレオチドは、標準的な手法を用いて合成することができる。例
えば毒物オリゴヌクレオチドは、2つの部分的に相補的なオリゴヌクレオチドと
して産生することができ、90℃まで加熱することにより変性され、DNAハイブリ
ッド形成に有利な条件下で二重鎖コンホメーションまでアニーリングされる。好
適な条件は、10mM NaCl、pH 8.0の存在下で72℃である。
【0106】 本発明にはまた、異なる遺伝子を含有する発現ベクターを含むヘテロポリマー
の生成が含まれる。実例としては、対象タンパク質用に翻訳後プロセシング酵素
をコードする遺伝子を細胞に移入することが必要であるかもしれない。この場合
、ヘテロポリマーを産生するために適切な酵素の遺伝子を含む線状発現ベクター
を結合することができる。プロセシング遺伝子は、類似の調節要素によって制御
することができる。その上、遺伝子の相対的な量は、さまざまな発現ベクターの
割合を変えることによって制御することができる。同様にヘテロポリマーは、多
量体タンパク質のサブユニットの発現をもたらすように、または代謝経路の多器
官を備えた組換え宿主細胞をもたらすように工夫することができ、それは宿主細
胞の特性を改変することができる。
【0107】 ヘテロポリマーの別の形態は、異なる選択マーカー遺伝子を含有する、各々が
同じ対象アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む2種類の発現カセッ
トを含む。この場合、組換え宿主細胞は、両方の選択マーカー遺伝子の高レベル
の発現による所望のアミノ酸配列の高い発現について選択される。このようなヘ
テロポリマーはベクター配列を含む必要がない。すなわちヘテロポリマーは、発
現カセットの重合によって生成することができる。
【0108】 別の一般的なアプローチによれば、発現カセットは真核細胞のトランスフェク
ション用の核酸ポリマーを提供するように重合される。このような核酸ポリマー
は任意のベクターヌクレオチド配列を欠くことができる。一般に、組換えタンパ
ク質の発現に使用する宿主細胞中に導入するのに十分な核酸を産生するには細菌
またはその他の中間細胞中でベクターを繁殖させることが必要である。しかしな
がら、この方法にはいくつかの欠点がある。
【0109】 (1)発現ベクターは、微生物細胞中の選択用薬剤耐性マーカーまたはDNA複
製用微生物起点などの細菌配列を含有する。産生宿主細胞中で通常は必要とされ
ないこれらの配列は、一部の細胞にとって阻害性であるかもしれず、または産生
宿主細胞中のDNAの安定性を低下させるかもしれない。 (2)真核宿主細胞中の微生物DNAの存在は、産生しつつある宿主細胞によっ
て運ぶことができる組換えタンパク質コード用の配列のコピー数を減少させる。
【0110】 (3)微生物の薬剤選択マーカーおよび発現カセットがベクター内に存在する
ので、互いにこれらの要素の比率を変えることはできない。これは、選択マーカ
ータンパク質が真核宿主にとって細胞毒性である場合、高レベルで蓄積されると
問題を呈する可能性がある。したがって、発現カセットに対する薬剤選択マーカ
ーの比率を下げて組換えタンパク質の収率を増加させるには有利である可能性が
ある。
【0111】 (4)作用可能に同一ベクター上に連結させたDNA要素を用いることの別の帰
結は、要素に対する任意の修飾もしくは導入、置換、欠失、または要素のリシャ
フリングが、宿主細胞に導入するに先立って調製したプラスミドおよびDNA全体
の再構築を必要とすることになることである。その後に、組換えタンパク質の収
率を改善するためにベクターの多変異型を作るのは勝手が悪い。
【0112】 したがって発現カセットを含み、外来性のベクター配列のない核酸ポリマーの
多変異型を作る便利な方法に対する必要性、ならびに比率、相対的な順序、およ
び機能性要素の組成を変える簡単な手段に対する必要性が存在する。例えば機能
性核酸要素の集団は、PCRによって合成するかまたはプラスミドから切り出すこ
とができる。次いで明確な予測しうる組成物中の要素の連結反応を媒介する一連
の非パリンドローム付着末端をこれら要素の末端上で設計することが可能である
。このやり方で有用な機能を有するさまざまな核酸ポリマーを容易に構築し、宿
主細胞中に導入することができる。核酸ポリマーは最終の真核宿主細胞に導入さ
れる以前には細菌またはその他の中間細胞中で繁殖しないので、DNAポリマーは
真核宿主細胞に有用な機能を提供しないDNAの複製または選択要素を含む必要は
ない。
【0113】 4.宿主細胞による組換えタンパク質の産生 対象タンパク質は、任意の原核または真核宿主細胞中で発現することができる
。対象タンパク質は、哺乳類の細胞、真菌細胞、昆虫細胞、トリの細胞などの真
核細胞によって産生することができる。好適な哺乳類の宿主細胞の例には、アフ
リカミドリザル腎臓細胞(Vero; ATCC CRL 1587)、ヒト胎児性腎臓細胞(293-H
EK; ATCC CRL 1573)、生まれたばかりのハムスターの腎臓細胞(BHK-21、BHK-5
70; ATCC CRL 8544、ATCC CRL 10314)、イヌ腎臓細胞(MDCK; ATCC CCL 34)、
チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-KI; ATCC CCL61; CHO DG44 (Chasin等の
論文、Som. Cell. Molec. Genet. 12: 555, 1986))、ラット下垂体細胞(GH1;
ATCC CCL82)、HeLa S3細胞(ATCC CCL 2.2)、ラット肝癌細胞(H-4-II-E; ATC
C CRL 1548)、SV40形質転換したサル腎臓細胞(COS-1; ATCC CRL 1650)、およ
びマウス胎児性細胞(NIH-3T3; ATCC CRL 1658)がある。
【0114】 核酸ポリマーは、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポソーム仲介ト
ランスフェクション、微小放射体仲介による送達、エレクトロポレーションなど
を含むさまざまな標準的な手法を用いて宿主細胞に導入することができる。移入
された細胞は、宿主細胞ゲノム中に安定的に組み込まれた対象遺伝子を含む組換
え宿主細胞を提供するために選択し、繁殖することができる。
【0115】 バキュロウィルス系は、対象クローン遺伝子を昆虫細胞中に導入するために効
率的な手段を提供する。好適な発現ベクターはオートグラファ・カリホルニカ(
Autographa californica)多核ポリヘドロシスウィルス(AcMNPV)に基づいてお
り、ドロソフィラ(Drosophila)ヒートショックタンパク質(hsp) 70プロモータ
ー、オートグラファ・カリホルニカ(Autographa californica)多形核ウィルス
中−初期遺伝子プロモーター(ie-1)およびdelayed early 39Kプロモーター、
バキュロウィルスp10プロモーター、ならびにドロソフィラ(Drosophila)メタ
ロチオネインプロモーターなどのよく知られたプロモーターを含有する。
【0116】 組換えバキュロウィルスを作る第二の方法は、Luckow(Luckow等の論文、J. V
irol. 67: 4566 (1993))によって記述されたトランスポゾンをベースとする系
を利用する。トランスファーベクターを利用するこの系は、BAC-to-BACキット(
Life Technologies, Rockville, MD)として販売されている。この系はトランス
ファーベクター、すなわちTn7トランスポゾンを含有するPFASTBAC(Life Techno
logies)を利用して、Zace2ポリペプチドをコードするDNAを「バクミド(bacmid
)」と呼ばれる巨大プラスミドとして大腸菌(E. coli)中に保持されたバキュ
ロウィルスゲノムの中に移動させる。Hill-PerkinsおよびPosseeの論文、J. Gen
. Virol. 71: 971 (1990);Bonning等の論文、J. Gen. Virol.75: 1551 (1994)
;ChazenbalkおよびRapoportの論文、J. Biol. Chem. 270: 1543 (1995)を参照
されたい。
【0117】 加えてトランスファーベクターには、発現したポリペプチドのCまたはN末端
にエピトープ標識、例えばGlu-Gluエピトープ標識をコードしたDNAを有するフレ
ーム内融合体を含めることができる(Grussenmeyer等の論文、Proc. Nat’ l. A
cad. Sci. 82: 7952 (1985))。当業界で周知の手法を用いて対象遺伝子を含有
するトランスファーベクターを大腸菌(E. coli)に形質転換し、組換えバキュ
ロウィルスを表示する分断LacZ遺伝子を含有するバクミドについてスクリーニン
グする。次いで、組換えバキュロウィルスゲノムを含有するバクミドDNAを普通
の手法を用いて分離する。
【0118】 組換えウィルスまたはバクミドが宿主細胞に移入するために用いられる。好適
な昆虫細胞には、IPLB-Sf-21;Sf9(ATCC CRL 1711)、Sf21AE、およびSf21など
のスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)さなぎ卵巣細胞株(I
nvitrogen Corporation, San Diego, CA);ならびにドロソフィラ(Drosophila
)Schneider-2細胞;およびトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)(米国特許
第5,300,435号)から得られるHIGH FIVEO細胞株(Invitrogen)がある。市販の
血清を含まない培地を用いて細胞を成長させ維持することができる。
【0119】 好適な培地は、Sf9細胞についてはSf 900II(商標)(Life Technologies)また
はESF 921(商標)(Expression Systems)、T. ni細胞についてはEx-cellO405(商
標)(JRH Biosciences, Lenexa, KS)またはExpress FiveO(商標)(Life Techno
logies)である。組換えウィルスを用いる場合、細胞は一般に約2〜5×105
胞の接種濃度から1〜2×106細胞濃度まで成長させ、その時点で組換えウィル
ス株が0.1〜10、より一般には約3の感染多重度で加えられる。
【0120】 バキュロウィルス系の中で組換えタンパク質を産生するための確立された手法
は、Bailey等の記述、Methods in Molecular Biology, Volume 7: Gene Transfe
r and Expression Protocols, Murray (ed.)中の「Manipulation of Baculoviru
s Vectors」、p.147-168 (The Humana Press, Inc. 1991)によって、Patel等の
記述、DNA Cloning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover at al. (eds
.) 中の「The baculovirus expression system」、p.205-244 (Oxford Universi
ty Press, 1995) によって、Baculovirus Expression Protocols, Richardson (
ed.)中のAusubelの記述(1995)、p.16-37〜16-57 (The Humana Press, Inc. 19
95) によって、またLucknowの記述、Protein Engineering: Principles and Pra
ctice, Cleland et. al. (eds.) 中の「Insect Cell Expression Technology」
、p.183-218 (John Wiley & Sons, Inc. 1996) によって提供される。
【0121】 酵母細胞を含む真菌細胞もまた、対象遺伝子を発現させるために用いることが
できる。これに関して特に興味のある酵母種には、サッカロミセス・セレビシエ
ー(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、お
よびピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)がある。酵母中で発現させるた
めの好適なプロモーターには、GAL1(ガラクトース)、PGK(ホスソグリセリン
酸キナーゼ)、ADH(アルコール脱水素酵素)、AOX1(アルコール酸化酵素)、H
IS4(ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ)などから得られるプロモーターがある
。多くの酵母クローニングベクターが設計されており、容易に利用できる。これ
らのベクターには、YIp5などのYIpをベースとするベクター、YRp17などのYRpベ
クター、YEp13などのYEpベクター、およびYCp19などのYCpベクターがある。
【0122】 サッカロミセス・セレビシエー(S. cerevisiae)細胞を外因性DNAで形質転換
し、それから組換えポリペプチドを産生する方法は、例えばKawasakiの米国特許
第4,599,311号、Kawasaki他の米国特許第4,931,373号、Brakeの米国特許第4,870
,008号、Welch他の米国特許第5,037,743号、およびMurray他の米国特許第4,845,
075号に開示されている。形質転換された細胞は、選択マーカーにより決定され
る表現型、すなわち普通は薬剤耐性、または特定の栄養(例えばロイシン)の不
在下で成長する能力によって選択される。 サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)に用いられるベ
クター系の例はKawasaki等(米国特許第4,931,373号)によって開示されたPOT1
ベクター系であり、これはグルコース含有培地中での成長により形質転換細胞の
選択を可能にする。酵母に用いられる追加の好適なプロモーターおよびターミネ
ーターには、解糖酵素遺伝子(例えばKawasakiの米国特許第4,599,311号、Kings
man他の米国特許第4,615,974号、およびBitterの米国特許第4,977,092号を参照
されたい)およびアルコール脱水素酵素遺伝子由来のものがある。米国特許第4,
990,446号、第5,063,154号、第5,139,936号、および第4,661,454号もまた参照さ
れたい。
【0123】 ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカロミセス・
ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyver
omyces lactis)、クルイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)
、ウスティラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、ピキア・パストリス(Pichi
a pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・グイレル
モンディー(Pichia guillermondii)、およびカンジダ・マルトサ(Candida ma
ltosa)を含むその他の酵母用の形質転換系が当業界で知られている。例えばGle
eson等の論文、J. Gen. Microbiol. 132: 3459 (1986)およびCreggの米国特許第
4,882,279号を参照されたい。アスペルギルス(Aspergillus)細胞をMcKnight他
の米国特許第4,935,349号の方法に従って利用することができる。Acremonium ch
rysogenumを形質転換する方法がSumino他の米国特許第5,162,228号に開示されて
いる。Neurosporaを形質転換する方法がLambowitzの米国特許第4,486,533号に開
示されている。
【0124】 例えば、組換えタンパク質産生用の宿主としてのPichia methanolicaの使用が
、Raymondの米国特許第5,716,808号、Raymondの米国特許第5,736,383号、Raymon
d等の論文、Yeast 14: 11-23 (1998)、および国際公開第WO97/17450号、第WO97/
17451号、第WO98/02536号、および第WO98/02565号に開示されている。ピキア・
メタノリカ(P. methanolica)の形質転換に用いるDNA分子は普通、二重鎖の環
状プラスミドとして調製されるはずであり、形質転換前に線状化することができ
る。ピキア・メタノリカ(P. methanolica)中でのポリペプチド生成の場合、プ
ラスミド中のプロモーターおよびターミネーターは、ピキア・メタノリカ(P. m
ethanolica)アルコール利用遺伝子(AUG1またはAUG2)などのピキア・メタノリ
カ(P. methanolica)のものであってもよい。
【0125】 その他の有用なプロモーターには、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DHAS)
、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FMD)、およびカタラーゼ(CAT)遺伝子のものが含ま
れる。DNAの宿主染色体中への組込みを容易にするには、プラスミドの全発現セ
グメントを宿主DNA配列によって両端に隣接させることが好ましい。大規模の場
合、メタノール宿主細胞の使用を最小限に抑えることが望ましい工業的プロセス
を用いることができ、そこでは両方のメタノール利用遺伝子(AUG1およびAUG2)
が欠失される。
【0126】 分泌タンパク質の生産の場合、液胞型プロテアーゼ遺伝子(PEP4およびPRB1)
の欠失した宿主細胞を用いることができる。エレクトロポレーションは、対象ポ
リペプチドをP. methanolica細胞中にコードするDNAを含有するプラスミドの導
入を容易にするために用いられる。P. methanolica細胞は、電界の強さ2.5-4.5k
V/cm、好ましくは約3.75 kV/cm、および時定数(t)1-40ミリ秒、最も好ましく
は約20ミリ秒の指数関数的に減衰するパルス性電場を用いたエレクトロポレーシ
ョンによって形質転換することができる。
【0127】 核酸ポリマーもまた、植物原形質体、完全な植物組織、または分離した植物細
胞中に導入することができる。核酸分子を植物組織中に導入する方法には、アグ
ロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)による植物
組織の直接感染または共存培養、微小放射体仲介による送達、DNA注入、エレク
トロポレーションなどが含まれる。例えば、Horsch等の論文、Science 227: 122
9 (1985)、Klein等の論文、Biotechnology 10: 268 (1992)、およびMiki等の記
述、Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Glick et. al.
(eds.)中の「Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants」、p.67-8
8 (CRC Press, 1993)を参照されたい。
【0128】 核酸分子を細菌、酵母、昆虫、哺乳類、および植物細胞に導入する標準的な方
法は、例えばAusubel(1995)によって提供される。哺乳類の細胞系によって産
生された外来のタンパク質を発現させ、捕集する一般的な方法は、例えばEtchev
erryの記述、Protein Engineering: Principles and Practice, Cleland et.al.
(eds.)中の「Expression of Engineered Proteins in Mammalian Cell Culture
」、p.163 (Wiley-Liss, Inc. 1996)によって提供される。組換えタンパク質を
バキュロウィルス系から分離する確立された方法は、Richardson編、Baculoviru
s Expression Protocols (The Humana Press, Inc. 1995)に記述されている。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ, VN,YU,ZA,ZW

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象アミノ酸配列の発現に適した核酸ポリマーを生成する方
    法において、 (a)対象遺伝子と選択マーカー遺伝子とを含む発現カセットを含む2つ以上
    の発現ベクターを切断して非パリンドローム末端またはパリンドローム末端のど
    ちらかを生じさせ、パリンドローム末端を有する切断した発現ベクターをさらに
    処理して非パリンドローム末端を生じさせ、そして (b)非パリンドローム末端を有する切断した発現ベクターを連結して核酸ポ
    リマーを生成する、 ことを含む方法。
  2. 【請求項2】 前記核酸ポリマーが、対象遺伝子の多重コピーと選択マーカ
    ー遺伝子を1:1の比で含む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 さらに、機械的せん断を用いて核酸ポリマーを分断するステ
    ップを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 さらに結合のステップの前に、非パリンドローム末端を有す
    る切断した発現ベクターに、切断した発現ベクターの非パリンドローム末端と相
    補的な毒物オリゴヌクレオチドを加えるステップを含む、請求項1に記載の方法
  5. 【請求項5】 3′エキソヌクレアーゼ活性を提供する酵素と共に発現ベク
    ターをインキュベートすることにより、パリンドローム末端を含む発現ベクター
    を処理して非パリンドローム末端を生じさせる、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記3′エキソヌクレアーゼ活性を提供する酵素が、T4 DNA
    ポリメラーゼ、E. coli DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグ
    メント、DEEP VENT DNAポリメラーゼ、およびVENT DNAポリメラーゼからなる群
    から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記発現ベクターがポリシストロン性転写単位を含む、請求
    項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記選択マーカー遺伝子がタイトレーション可能なタンパク
    質をコードする、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記選択マーカー遺伝子産物が毒性分子によりタイトレーシ
    ョン可能である、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記選択マーカー遺伝子が、ブレオマイシン耐性(bleomy
    cin-resistance)遺伝子、メタロチオネイン(metallothionein)遺伝子、ハイ
    グロマイシンB-ホスホトランスフェラーゼ(hygromycin B-phosphotransferase
    )遺伝子、AUR1遺伝子、アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase)遺伝
    子、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(aminoglycoside phosphotran
    sferase)遺伝子、ジヒドロホレートレダクターゼ(dihydrofolate reductase)
    遺伝子、チミジンキナーゼ(thymidine kinase)遺伝子、キサンチン−グアニン
    ホスホリボシルトランスフェラーゼ(xanthine-guanine phosphoribosyltransfe
    rase)遺伝子からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記選択マーカー遺伝子が、グリーン蛍光タンパク質、レ
    ッド蛍光タンパク質、アルカリ性ホスファターゼ、CD4、CD8、およびクラスI主
    要組織適合複合タンパク質からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記発現ベクターがクラスIIS制限酵素で切断されて非パ
    リンドローム末端を生じる、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記クラスIIS制限酵素が、AccB7I、AceIII、AclWI、AdeI
    、AhdI、Alw26I、AlwI、AlwNI、ApaBI、AspEI、AspI、AsuHPI、BbsI、BbvI、Bbv
    II、Bce83I、BcefI、BciVI、BfiI、BglI、BinI、BmrI、BpiI、BpmI、BpuAI、Bsa
    I、Bse3DI、Bse4I、BseGI、BseLI、BseRI、BsgI、BslI、BsmAI、BsmBI、BsmFI、
    BspMI、BsrDI、Bst71I、BstAPI、Bst5I、BstXI、Bsu6I、DraIII、DrdI、DseDI、
    Eam1104I、Eam1105I、EarI、EchHKI、Eco31I、Eco57I、EcoNI、Esp1396I、Esp3I
    、FokI、FauI、GsuI、HgaI、HphI、MboII、MsiYI、MwoI、NruGI、PfiMI、PfiFI
    、PleI、SfaNI、TspRI、Ksp632I、MmeI、RleAI、SapI、SfiI、TaqII、Tth111I、
    Tth111II、Van91I、XagI、およびXcmIからなる群から選択される、請求項12に
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 AvaI、Ama87I、BcoI、BsoBI、Eco88I、AvaII、Eco47I、Bm
    e18I、HgiEI、SinI、BanI、AccB1I、BshNI、Eco64I、BfmI、BstSFI、SfcI、Bpu1
    0I、BsaMI、BscCI、BsmI、Mva1269I、Bsh1285I、BsaOI、BsiEI、BstMCI、Bse1I
    、BseNI、BsrI、Cfr10I、BsiI、BssSI、Bst2BI、BsiZI、AspS9I、Cfr13I、Sau96
    I、Bsp1720I、BlpI、Bpu1102I、CelII、Bst4CI、BstDEI、DdeI、CpoI、CspI、Rs
    rII、DsaI、BstDSI、Eco24I、BanII、EcoT38I、FriOI、HgiJII、Eco130I、StyI
    、BssT1I、EcoT14I、ErhI、EspI、BlpI、Bpu1102I、Bsp1720I、CelII、HgiAI、B
    siHKAI、Alw21I、AspHI、Bbv12I、HinfI、PspPPI、PpuMI、Psp5II、SanDI、SduI
    、Bsp1286I、BmyI、SecI、BsaJI、BseDI、SfcI、BfmI、BstSFI、およびSmlIから
    なる群から選択される酵素を用いて発現ベクターを切断して非パリンドローム末
    端を生じる、請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 対象ペプチドまたはポリペプチドを発現する組換え真核宿
    主細胞を産生する方法において、 (a)対象遺伝子と選択マーカー遺伝子とを含む発現カセットを含む2つ以上
    の発現ベクターを切断して非パリンドローム末端またはパリンドローム末端のど
    ちらかを生じさせ、パリンドローム末端を有する切断した発現ベクターをさらに
    処理して非パリンドローム末端を生じさせ、 (b)前記非パリンドローム末端を有する切断した発現ベクターを結合して核
    酸ポリマーを生成せしめ、 (c)前記核酸ポリマーを真核宿主細胞中に導入し、そして (d)組換え真核宿主細胞を培養して対象ペプチドまたはポリペプチドを産生
    する、 ことを含む方法。
  16. 【請求項16】 前記核酸ポリマーが、対象遺伝子の多重コピーと選択マー
    カー遺伝子を1:1の比で含む、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記真核宿主細胞が、哺乳類の細胞、真菌細胞、昆虫細胞
    、およびトリの細胞からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  18. 【請求項18】 核酸ポリマーを真核宿主細胞中に導入することを含む対象
    ペプチドまたはポリペプチドを発現する組換え真核宿主細胞を産生する方法であ
    って、前記核酸ポリマーが頭と尾が向かい合う配向を有する多重発現カセットを
    含み、各発現カセットが対象遺伝子と選択マーカーを含む、方法。
  19. 【請求項19】 核酸ポリマーが対象遺伝子の多重コピーと選択マーカー遺
    伝子を約1:1の比で含む、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 選択マーカー遺伝子が滴定可能なタンパク質をコードする
    、請求項18に記載の方法。
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