JP2003530078A - ヒトldl受容体ファミリータンパク質及びそれをコードするポリヌクレオチド - Google Patents

ヒトldl受容体ファミリータンパク質及びそれをコードするポリヌクレオチド

Info

Publication number
JP2003530078A
JP2003530078A JP2001530477A JP2001530477A JP2003530078A JP 2003530078 A JP2003530078 A JP 2003530078A JP 2001530477 A JP2001530477 A JP 2001530477A JP 2001530477 A JP2001530477 A JP 2001530477A JP 2003530078 A JP2003530078 A JP 2003530078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ldlp
gene
sequence
expression
antibodies
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001530477A
Other languages
English (en)
Inventor
ターナー,シー.,アレクサンダー
ザンブロウィックズ,ブライアン,ピー.
フリードリッヒ,グレン,エー.
サンズ,アーサー,ティー.
Original Assignee
レキシコン ジェネティックス インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by レキシコン ジェネティックス インコーポレーテッド filed Critical レキシコン ジェネティックス インコーポレーテッド
Priority claimed from PCT/US2000/028081 external-priority patent/WO2001027274A1/en
Publication of JP2003530078A publication Critical patent/JP2003530078A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 本発明は、LDLP、それをコードするヌクレオチド、並びに、開示したLDLPの制御された発現、結合、及び/又は阻害により調節可能な生物学的障害を治療するための方法及び組成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は1999年10月12日に出願された米国特許仮出願第60/159,005号の優先権
を主張するものである。米国特許仮出願第60/159,005号の全内容は、あらゆる目
的のために参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0002】1. 序論 本発明は、新規なヒトポリヌクレオチド配列及びそれによりコードされる新規
なポリペプチドの発見、同定、及び特徴付けに関する。本発明は、開示するポリ
ヌクレオチド、宿主細胞発現系、コードされたタンパク質又はポリペプチド、コ
ードされたタンパク質又はポリペプチドを含む融合タンパク質、コードされたタ
ンパク質又はポリペプチドのペプチド断片、コードされたタンパク質又はペプチ
ドに対する抗体、並びに開示された遺伝子を欠失しているか、又は開示された遺
伝子を過剰発現する遺伝子操作された動物、前記タンパク質のアンタゴニスト及
びアゴニスト、並びに診断、薬物スクリーニング、臨床試験のモニタリング、生
理学的もしくは行動学的障害の治療、又は患者の生活の質の改善に用いることが
できる開示された遺伝子によりコードされるタンパク質の発現又は活性を調節す
る他の化合物を包含する。
【0003】2. 発明の背景 生体は、疎水性脂質と、該脂質を体内に循環させる担体としてのリポタンパク
質とを複合体化させることにより、脂質を輸送している。血液中では、コレステ
ロールなどの脂質は、しばしば、密度により伝統的に分類されているリポタンパ
ク質の巨大分子集合体の内部に複合体化された状態で見出される。最も豊富なコ
レステロール輸送リポタンパク質は、低密度リポタンパク質すなわちLDLのクラ
スのものである。血液中で高いレベルで循環するLDLは、特にアテローム性動脈
硬化症、心臓病、高血圧、及び卒中に関連する。
【0004】3. 発明の概要 本発明は、新規なヒトLDL受容体ファミリー遺伝子をコードするヌクレオチド
の発見、同定、並びに特徴付け、及び開示された遺伝子によりコードされる対応
するアミノ酸配列に関する。本明細書に初めて開示する新規なヒトLDL受容体フ
ァミリータンパク質(LDLP)は、哺乳動物のLDL受容体タンパク質に見出される構
造モチーフを共有している。本明細書に開示する特定の新規なヒト核酸配列は、
それぞれ長さ345アミノ酸及び161アミノ酸(配列番号2及び4を参照)のタンパク
質をコードする。
【0005】 開示するLDLPのマウス相同体が同定され、米国特許出願第08/942,806号に記載
の方法、より具体的には、刊行物「Mouse Mutagenesis」、1998、第1版、Lexico
n Genetics, Inc.に記載の方法(これらの文献は双方とも参照によりその全体が
本明細書に組み入れられるものとする)を用いて、「ノックアウト」の胚性幹(ES
)細胞が作製された。あるいは、遺伝子工学的に操作された動物及び細胞を作製
するための従来の方法も用いることができる(例えば、1998年2月20日に出願され
たPCT出願第PCT/US98/03243号を参照のこと;これは参照により本明細書に組み
入れられるものとする)。従って、本発明のさらなる態様は、本明細書に開示す
るLDLPをコードする遺伝子に、遺伝子工学的に操作された突然変異を有するノッ
クアウト細胞及び動物を含む。
【0006】 本発明は、配列表に提示されるヌクレオチド、そのようなヌクレオチドを発現
する宿主細胞、そのようなヌクレオチドの発現産物、並びに(a) 具体的に開示す
るLDLP、及び関連するLDLP産物を含めて、開示する遺伝子の哺乳動物相同体をコ
ードするヌクレオチド、(b) 機能的ドメイン(限定するものではないが、細胞外
又は膜貫通ドメイン、アクセサリータンパク質/自己会合ドメインなどを含む)
に対応するLDLPの1つ以上の部分をコードするヌクレオチド、及び、限定するも
のではないが、任意の活性ドメインの新規な領域を含めて、そのようなヌクレオ
チド配列により特定されるポリペプチド産物、(c) 少なくとも1つのドメインの
全部又は一部が欠失又は変化している、変異型、遺伝子操作型、又は天然型の開
示するLDLPをコードする単離されたヌクレオチド、及び限定するものではないが
、シグナル配列の全部又は一部が欠失している可溶性タンパク質及びペプチドを
含めて、そのようなヌクレオチド配列により特定されるポリペプチド産物、(d)
別のペプチドもしくはポリペプチドに融合されたLDLPの全部もしくは一部、又は
そのドメインの1つ(例えば、細胞外又は膜貫通ドメイン、アクセサリータンパク
質/自己会合ドメインなど)を含むキメラ融合タンパク質をコードするヌクレオ
チドを包含する。
【0007】 本発明はまた、天然のLDLPと競合するか又はこれと結合する小分子、大分子、
突然変異LDLP、又はその一部を含めて、LDLPのアゴニスト及びアンタゴニスト、
LDLPと結合する抗体、並びにLDLPの発現を阻害するのに用いることができるヌク
レオチド配列(例えば、アンチセンス、二本鎖RNA、リボザイム分子、及び遺伝子
又は調節配列置換構築物)又はLDLPの発現を増強するのに用いることができるヌ
クレオチド配列(LDLP遺伝子を強力なプロモーター系の制御下に置く発現構築物)
、及びLDLPトランスジーンを発現するトランスジェニック動物、又は機能的LDLP
を発現しないように遺伝子操作された「ノックアウト」(条件付きであってもよ
い)を包含する。
【0008】 さらに、本発明は、LDLP発現及び/又はLDLP産物の活性を調節する、すなわち
アゴニストもしくはアンタゴニストとして働く化合物を同定するためのLDLP産物
の使用方法にも関する。そのような化合物は、生物学的障害又は平衡異常の様々
な症状のうちのいずれかを治療するための治療薬として使用することができる。
【0009】 本発明のさらなる実施形態は、LDLP遺伝子送達を介した治療及び処置である。
遺伝子送達は、体細胞又は幹細胞に対するものであってよく、ウイルス的方法(
すなわち、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルスなど)又は非ウイルス的方法(す
なわち、陽イオン脂質、「裸の」DNAを用いる製剤など)を用いて行うことができ
る。
【0010】4. 配列表及び図面の説明 配列表は特定のLDLP核酸の配列、及びそれによりコードされるアミノ酸配列を
提供する。
【0011】5. 本発明の詳細な説明 本明細書に初めて開示するLDLPは、特にヒト奇形癌細胞中に発現される新規な
タンパク質である。LDLPは、脂質代謝に関与し、エンドサイトーシスもしくはリ
ガンドの輸入、細胞のシグナル伝達を促進することにより生物学的作用を発揮し
、また、循環型のLDLPは、LDLP受容体リガンドの濃度及び/又は取込みを調節す
ることができる。
【0012】 LDL受容体ファミリータンパク質、及びその可溶性形態は科学的精査の中心で
あった(例えば、米国特許第5,521,071号及び同第5,723,438号を参照のこと;こ
れらの双方の文献は、その全体を参照により本明細書に組み入れるものとする)
【0013】 本発明は、開示するLDLPヌクレオチド、LDLP、及びそれに由来するペプチド断
片、並びに、LDLPと結合する(例えば、LDLPアゴニストもしくはアンタゴニスト
として働くことができる)抗体、好ましくはヒト化モノクローナル抗体、又はそ
の結合断片、ドメイン、もしくはその融合タンパク質、又はそれから誘導される
抗イディオタイプ変異体、結合活性もしくは発現を阻害する他のアンタゴニスト
、又はLDLP受容体活性を活性化させるか又はLDLPの発現、分泌もしくはプロセッ
シングを増加させるアゴニストの、疾患の診断及び/又は治療における使用を包
含する。
【0014】 特に、以下の小節に記載した本発明は、LDLPポリペプチド又はLDLPの機能的ド
メインに対応するペプチド断片、突然変異型、トランケート型、又は欠失型のLD
LP(例えば、1以上の機能的ドメイン又はその一部を失っているLDLP)、LDLP融合
タンパク質(例えば、LDLP又はその機能的ドメインが、免疫グロブリンの定常領
域、すなわち、IgFcなどの非関連タンパク質又はペプチドに融合されている場合
)、そのような産物をコードするヌクレオチド配列、及びそのようなLDLP産物を
産生し得る宿主細胞発現系を包含する。
【0015】 配列表に提示されるヌクレオチドの相同体は、配列表の配列とは異なる生物種
に見出されるLDLPをコードする配列表の配列とは異なるヌクレオチドを包含する
。相同体はまた、同一種内のLDLPファミリーの他のメンバーをコードするヌクレ
オチドをも包含する。用語「相同体」はまた、そのようなヌクレオチド相同体に
よりコードされるLDLPを記述するのにも用いることができる。
【0016】 配列表に提示されるヌクレオチドの変異体は、配列表の配列とは異なるヌクレ
オチドを包含し、これらは天然のものであっても、遺伝子操作されたものであっ
てもよい。用語「変異体」は、そのようなヌクレオチド変異体によりコードされ
るLDLPを記述するのにも用いることができる。
【0017】 本発明は、LDLPの抗体及び抗イディオタイプ抗体(Fabフラグメントなど)、ア
ンタゴニスト及びアゴニスト、並びに、LDLP遺伝子の発現を阻害する化合物もし
くはヌクレオチド構築物(転写因子インヒビター、アンチセンス及びリボザイム
分子、又は遺伝子もしくは調節配列置換構築物)、又はLDLPの発現を促進する化
合物もしくはヌクレオチド構築物(例えば、LDLPコード配列が、プロモーター、
プロモーター/エンハンサーなどの発現制御エレメントに機能し得る形で結合さ
れた発現構築物)をも包含する。本発明はまた、LDLP(又はその突然変異体)を発
現するように、又はLDLP遺伝子の動物相同体の発現を阻害もしくは「ノックアウ
ト」するように遺伝子工学的に操作された宿主細胞及び動物にも関する。
【0018】 LDLP又はそれから誘導されたペプチド断片及び融合タンパク質、LDLPヌクレオ
チド配列、抗体、アンタゴニスト及びアゴニストは、生物学的障害(高血圧、肥
満、気分の変化など)及び疾患を診断するための、突然変異型LDLP又は不適切に
発現されたLDLPの検出に有用である。LDLP産物又はペプチド断片、LDLP融合タン
パク質、LDLP(をコードする)ヌクレオチド配列、宿主細胞発現系、抗体、アンタ
ゴニスト、アゴニスト並びに遺伝子工学的に操作された細胞及び動物は、体内で
のLDLPの正常な機能を混乱させる症状又は表現型の発現を治療するのに有効な薬
物のスクリーニング(又は分子のコンビナトリアルライブラリーの高効率スクリ
ーニング方法)に用いることができる。遺伝子操作された宿主細胞及び/又は動
物の使用は、そのような系が内因性LDLPに結合する化合物の同定を可能にするだ
けでなく、LDLPを介する生物学的経路を促進又は阻害する化合物を同定すること
もできるという利点を提供する。
【0019】 特に興味深いのは、LDLP産物及び誘導体(LDLPペプチド断片、融合体など)をコ
ードする遺伝子操作されたヌクレオチド構築物又は発現ベクターである。そのよ
うなLDLP産物及びその誘導体をコードするヌクレオチド構築物を用いて、in viv
oでそのような産物を発現するように細胞を遺伝子操作することができ、これら
の遺伝子操作された細胞は、LDLP産物、LDLPペプチド断片、もしくはLDLP融合タ
ンパク質の連続的な(又は条件付きで発現された)供給を体内へ送達する体内の「
バイオリアクター」として機能する。機能的LDLP、突然変異型LDLP、並びにアン
チセンス及びリボザイム分子をコードするヌクレオチド構築物を、LDLP発現を調
節するための「遺伝子治療」の手法に用いることもできる。かくして、本発明は
、生物学的障害を治療するための医薬製剤及び方法をも包含する。
【0020】 開示するLDLPヌクレオチドの治療用遺伝子送達を、様々な方法により行うこと
ができる。例えば、レトロウイルスによるヒト遺伝子治療法が特に米国特許第5,
399,346号及び同第5,858,740号に記載されており、遺伝子治療/送達用のアデノ
ウイルスベクターが米国特許第5,824,544号に記載されており、アデノ随伴ウイ
ルスベクターが米国特許第5,843,742号、同第5,780,280号、及び同第5,846,528
号に記載されており、ヘルペスウイルスベクターが米国特許第5,830,727号に記
載されており、組換え体起源の外来遺伝物質を宿主哺乳動物、好ましくはヒトの
細胞に非ウイルス的に(例えば、ウイルスのキャプシドタンパク質により包膜さ
れていないポリヌクレオチド、「裸の」DNA、又は生体分解性ポリマーを用いて
製剤化されたDNA、又は脂質もしくは化学的複合体中のDNAにより)導入する他の
ベクター及び方法が米国特許第5,827,703号及び同第5,840,710号に記載されてお
り、これらは全て、その全体を参照により本明細書に組み入れるものとする。上
記の方法を、疾患を有する細胞中でLDLPを選択的に発現させるか、又はその発現
を阻害するのに適用する場合、開示する方法及び組成物を、例えば、癌、自己免
疫疾患、血管の疾患、高血圧、並びに他の疾患及び障害を治療するための治療薬
として用いることができる。本発明の様々な態様を、以下の小節でより詳細に説
明する。
【0021】5.1 LDLPをコードする核酸 特定のLDLP cDNA配列(配列番号1及び3)並びにこれらのLDLPの推定アミノ酸
配列(配列番号2及び4)を配列表に提示する。LDLP配列は、マウス遺伝子捕捉配
列タグから作製したプローブ及び/又はプライマーを用いて、ヒト腎臓cDNAライ
ブラリーから取得したものである。
【0022】 本発明による核酸としては、(a)配列表に提示されるヒトDNA配列及びさらに連
続的で機能的なLDLPのオープンリーディングフレーム(ORF)をコードする任意の
ヌクレオチド配列;高度にストリンジェントな条件(例えば、0.5 M NaHPO4、7%
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1 mM EDTA中、65℃にてフィルターに結合したDN
Aとのハイブリダイゼーション、0.1xSSC/0.1%SDS中、68℃にて洗浄(Ausbel F.M
.ら、(編)、1989、Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I、Green P
ublishing Associates, Inc.及びJohn Wiley & sons, Inc., New York, 2.10.3
頁))下で、配列表に提示されるDNA配列の相補体とハイブリダイズする任意のヌ
クレオチド配列;機能的に等価な遺伝子産物をコードする任意のヌクレオチド配
列が挙げられる。さらに、中程度にストリンジェントな条件(例えば、0.2xSSC/0
.1%SDS中、42℃にて洗浄(Ausubelら、1989、上掲))下で、配列表に提示される
アミノ酸配列をコードし、発現するDNA配列の相補体にハイブリダイズし、しか
も依然として機能的に等価なLDLP産物をコードする任意のヌクレオチド配列も包
含される。LDLPの機能的等価物としては、他の種に存在する天然のLDLP及び天然
のものでも遺伝子操作されたものでもよい突然変異型LDLPが挙げられる。本発明
はまた、開示されるLDLP核酸配列の縮重核酸変異体をも含む。
【0023】 本発明は、記載したLDLPヌクレオチド配列にハイブリダイズする、従って、そ
の相補体である核酸分子、好ましくはDNA分子をも含む。そのようなハイブリダ
イゼーション条件は、上記のように、高度にストリンジェントであっても、それ
ほど高度でないストリンジェントであってもよい。前記核酸分子がデオキシオリ
ゴヌクレオチド(「DNAオリゴ」)である場合、そのような分子は特に約16〜約100
塩基長、約20〜約80塩基長、もしくは約34〜約45塩基長であり、又は配列表に開
示される配列の連続した領域を組み込んだ本明細書に提示されるサイズの任意の
順列もしくは組合せである。そのようなオリゴヌクレオチドをポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)と組合せて用いて、ライブラリーをスクリーニングしたり、クローン
を単離したり、クローニング及び配列決定のための鋳型を調製することができる
。あるいは、そのようなLDLPオリゴヌクレオチドを、ライブラリーをスクリーニ
ングし、遺伝子の発現パターンを (特に、例えば、米国特許第5,925,525号及び
同第5,837,832号に考察されるようなマイクロアレイ又は高効率「チップ」形式
を用いて) 評価するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いることが
できる。
【0024】 典型的には、そのようなチップは、開示するLDLP配列の全部もしくは一部を提
示するための、一連のLDLPオリゴヌクレオチド配列、又はその相補体を含む。一
般的には長さ約16〜約40(又は上記の範囲内の任意の数)ヌクレオチドの該オリゴ
ヌクレオチドは、その一部が互いに重複していてもよく、又はLDLP配列は重複し
ないオリゴヌクレオチドを用いてチップ上に提示されていてもよい。従って、開
示するLDLPポリヌクレオチド配列は、典型的には、配列表に初めて開示された長
さが少なくとも約18、好ましくは約25ヌクレオチドの少なくとも約2又は3つの異
なるオリゴヌクレオチド配列を含む。そのようなオリゴヌクレオチド配列は、配
列表の配列内に存在する任意のヌクレオチドで始まってもよく、開示する配列に
関してセンス(5'から3')の方向にあってもアンチセンスの方向にあってもよい。
【0025】 オリゴヌクレオチドプローブについては、高度にストリンジェントな条件とは
、例えば、6xSSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中、37℃(14塩基のオリゴの場合)
、48℃(17塩基のオリゴの場合)、55℃(20塩基のオリゴの場合)、及び60℃(23塩
基のオリゴの場合)にて洗浄することを指す。これらの核酸分子は、LDLP遺伝子
のアンチセンス分子をコードするか、又は該分子として働き、例えば、LDLP遺伝
子の調節において(LDLP遺伝子の核酸配列の増幅反応におけるアンチセンスプラ
イマーのために及び/又は該プライマーとして)有用である。LDLP遺伝子調節に
関しては、そのような技術を用いて、生物学的機能を調節することができる。さ
らに、そのような配列を、LDLP遺伝子調節に有用でもあるリボザイム及び/又は
三重鎖配列の一部として用いることができる。
【0026】 さらに、阻害的アンチセンス又は二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも1
個の修飾塩基部分を含んでもよく、該修飾塩基は、限定するものではないが、5-
フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、
ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシ
ルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カル
ボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキ
ューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メ
チルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、
3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メ
チルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マ
ンノシルキューオシン、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウ
ラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)
、ワイブトシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル
-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラ
シル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チ
オウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、及び
2,6-ジアミノプリンからなる群より選択される。
【0027】 また、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定するものではないが、アラビ
ノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、及びヘキソースからなる群よ
り選択される少なくとも1個の修飾糖部分を含んでもよい。
【0028】 さらに別の実施形態においては、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例
えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミノチオエート
、ホスホルアミダート、ホスホルジアミダート、メチルホスホナート、アルキル
ホスホトリエステル、ホルムアセタールなどの少なくとも1個の修飾リン酸主鎖
、又は上記の任意の組合せを含む。
【0029】 さらに別の実施形態においては、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、α
-アノマーのオリゴヌクレオチドである。α-アノマーのオリゴヌクレオチドは、
通常のβユニットとは対照的に、鎖が互いに平行して走る、相補的RNAとの特異
的な二本鎖ハイブリッドを形成する(Gautierら、1987、Nucl. Acids Res. 15: 6
625-6641)。該オリゴヌクレオチドは、2'-O-メチルリボヌクレオチド(Inoueら、
1987、Nucl. Acids Res. 15:6131-6148)であるか、又はキメラRNA-DNA類似体(In
oueら、1987、FEBS Lett. 215:327-330)である。あるいは、二本鎖RNAを用いて
、標的LDLPの発現及び機能を破壊することができる。
【0030】 本発明のオリゴヌクレオチドを、当業界で公知の標準的な方法、例えば、自動
DNA合成装置(Biosearch、Applied Biosystemsなどから市販されているものなど)
の使用により合成することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレ
オチドを、Steinら(1988、Nucl. Acids Res. 16:3209)の方法により合成するこ
とができ、メチルホスホナートオリゴヌクレオチドを、制御された細孔ガラスポ
リマー支持体(Sarinら、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:7448-7451)
などの使用により調製することができる。
【0031】 低度のストリンジェンシー条件は、当業界で公知であり、ライブラリー及び標
識配列が誘導される特定の生物に応じて予想可能に変化する。そのような条件に
関するガイダンスについては、例えば、Sambrookら、1989、Molecular Cloning,
A Laboratory Manual(及びその定期的なアップデート版)、Cold Spring Harbor
Press, N.Y.;及びAusubelら、1989、Current Protocols in Molecular Biology
, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.を参照されたい
【0032】 あるいは、適当に標識されたLDLPヌクレオチドプローブを用いて、適度なスト
リンジェント条件を用いるか、又はPCRによりヒトゲノムライブラリーをスクリ
ーニングすることもできる。ヒトゲノムクローンの同定及び特徴付けは、多型性
の同定、所与の遺伝子座/対立遺伝子座のゲノム構造の決定、及び診断試験の設
計に役立つ。例えば、ヒト遺伝子のイントロン/エクソン境界に隣接した領域に
由来する配列を用いて、エクソン、イントロン、スプライス部位(例えば、スプ
ライス受容及び/又は供与部位)などにある突然変異を検出するための増幅アッ
セイにおけるプライマーを設計し、診断及び薬理遺伝学において用いることがで
きる。
【0033】 さらに、LDLP遺伝子相同体を、本明細書に開示するLDLP産物内のアミノ酸配列
に基づいて設計された2個の縮重又は「揺らぎ(wobble)」オリゴヌクレオチドプ
ライマーのプールを用いてPCRを実施することにより、目的の生物の核酸から単
離することができる。該反応のための鋳型は、全RNA、mRNA、及び/又は、例え
ば、LDLP遺伝子の対立遺伝子を発現することが知られているか、又は考えられる
前立腺又は乳腺などのヒトもしくは非ヒト細胞系又は組織から調製されたmRNAの
逆転写により得られたcDNAであってもよい。
【0034】 該PCR産物をサブクローニングし、配列決定することにより、増幅された配列
が所望のLDLP核酸の配列を表すことを確実なものとすることができる。次いで、
このPCR断片を用いて、様々な方法により完全長cDNAクローンを単離することが
できる。例えば、増幅断片を標識し、これを用いて、バクテリオファージcDNAラ
イブラリーなどのcDNAライブラリーをスクリーニングすることができる。あるい
は、標識断片を用いて、ゲノムライブラリーのスクリーニングによりゲノムクロ
ーンを単離することもできる。
【0035】 PCR技術を用いて、完全長cDNA配列を単離することもできる。例えば、適当な
細胞又は組織の供給源(すなわち、例えば、脳組織などのLDLP核酸を発現するこ
とが知られているか、又は考えられる供給源)から、標準的な手順に従って、RNA
を単離することができる。第1鎖合成のプライミングのために、増幅断片の最も5
'末端側に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、RNA上で逆転写(RT)
反応を行うことができる。次いで、得られたRNA/DNAハイブリッドを、標準的な
末端トランスフェラーゼ反応を用いて、「尾部付加(tail)」し、該ハイブリッ
ドをRNase Hを用いて消化した後、相補的プライマーを用いて第2鎖合成をプライ
ミングすることができる。かくして、増幅断片の上流のcDNA配列を容易に単離す
ることができる。用いることができるクローニング戦略の総説については、例え
ば、Sambrookら、1989、上掲を参照されたい。
【0036】 例えば、PCRを用いることにより、変異LDLP遺伝子のcDNAを単離することがで
きる。この場合、オリゴdTオリゴヌクレオチドを、変異LDLP対立遺伝子を担持す
ると推定される個体中で発現されることが知られているか、又は考えられる組織
から単離されたmRNAとハイブリダイズさせ、逆転写酵素を用いて新しい鎖を伸長
させることにより、第1のcDNA鎖を合成することができる。次いで、正常遺伝子
の5'末端に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを用いて、cDNAの第
2鎖を合成する。その後、これらの2つのプライマーを用いて、PCRを介して生成
物を増幅し、場合によっては、好適なベクター中にクローニングし、当業者には
公知の方法によりDNA配列分析にかける。変異LDLP対立遺伝子のDNA配列と、正常
LDLP対立遺伝子のDNA配列とを比較することにより、変異LDLP遺伝子産物の機能
の喪失又は変化に関与する突然変異を確認することができる。
【0037】 あるいは、変異LDLP対立遺伝子を担持することが考えられるか、もしくは知ら
れている個体(例えば、肥満、高血圧などのLDLP関連表現型を示す人)から得られ
たDNAを用いて、ゲノムライブラリーを構築することもできるし、変異LDLP対立
遺伝子を発現することが知られているか、もしくは考えられる組織から得たRNA
を用いて、cDNAライブラリーを構築することもできる。次いで、正常LDLP遺伝子
、又はその任意の好適な断片を標識し、これをプローブとして用いて、そのよう
なライブラリー中で対応する変異LDLP対立遺伝子を同定することができる。その
後、変異LDLP遺伝子配列を含むクローンを精製し、当業者には公知の方法に従っ
て配列分析にかけることができる。
【0038】 さらに、例えば、変異対立遺伝子などを担持することが考えられるか、もしく
は知られている個体中で、変異LDLP対立遺伝子を発現することが知られているか
、もしくは考えられる組織から単離されたRNAから合成されたcDNAを用いて、発
現ライブラリーを構築することができる。この方法では、推定される変異組織に
より作られた核酸産物を発現させ、以下の第5.3節に記載されるように、正常LDL
P産物に対する抗体と組合せた標準的な抗体スクリーニング技術を用いてスクリ
ーニングすることができる(スクリーニング技術については、例えば、Harlow, E
.及びLane(編)、1988、「Antibodies: A Laboratory Manual」、Cold Spring Ha
rbor Press, Cold Spring Harborを参照されたい)。
【0039】 さらに、例えば、AP-LDLP又はLDLP-AP融合タンパク質などの標識LDLP融合タン
パク質を用いてスクリーニングすることにより、スクリーニングを達成すること
ができる。LDLP変異によって、変化した機能を有する遺伝子産物が発現される(
例えば、ミスセンス又はフレームシフト変異の結果として)場合、LDLPに対する
ポリクローナル抗体はおそらく変異LDLP遺伝子産物と交叉反応する。そのような
標識抗体を用いたそれらの反応を介して検出されるライブラリークローンを精製
し、当業界で公知の方法に従って配列分析にかけることができる。
【0040】 本発明はまた、突然変異型LDLP、LDLPのペプチド断片、トランケート型LDLP、
及びLDLP融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列をも包含する。これらの
ものとしては、限定するものではないが、以下の第5.2節に記載される変異LDLP
をコードするヌクレオチド配列;LDLPの1個以上のドメインもしくはこれらのド
メインの一部に対応するポリペプチドもしくはペプチド;1個以上の該ドメイン
が欠失しているトランケート型LDLP、又はトランケート型の非機能的LDLPが挙げ
られる。融合タンパク質をコードするヌクレオチドとしては、限定するものでは
ないが、完全長LDLP配列、トランケート型LDLP、又は、例えば、得られる融合タ
ンパク質(例えば、LDLP-Ig)の血流中での安定性及び半減期を増大させるIgFcド
メインに融合したLDLPドメインなどの未関連のタンパク質もしくはペプチドに融
合したLDLPのペプチド断片をコードするヌクレオチド;又はマーカーとして用い
ることができる蛍光タンパク質もしくは発光タンパク質などの酵素が挙げられる
【0041】 本発明はまた、(a)上記LDLPコード配列及び/又はその相補体(すなわち、アン
チセンス)のいずれかを含むDNAベクター;(b)上記LDLPコード配列の発現を指令
する調節エレメントと機能し得る形で結合した該コード配列のいずれかを含むDN
A発現ベクター;(c)遺伝子工学的に操作された宿主細胞中で、上記LDLPコード配
列の発現を指令する調節エレメントと機能し得る形で結合した該コード配列のい
ずれかを含む該宿主細胞、並びに(d)内因的に導入された調節エレメントの制御
下(すなわち、遺伝子活性化)で、内因性LDLPコード配列を発現する遺伝子工学的
に操作された宿主細胞をも包含する。本明細書で用いられる調節エレメントとし
ては、限定するものではないが、誘導性及び非誘導性のプロモーター、エンハン
サー、オペレーター、並びに発現を駆動し、調節する当業者には公知の他のエレ
メントが挙げられる。そのような調節エレメントとしては、限定するものではな
いが、サイトメガロウイルスhCMV極初期遺伝子、調節可能なウイルスエレメント
(例えば、レトロウイルスのLTRプロモーター)、SV40アデノウイルスの初期もし
くは後期プロモーター、lac系、trp系、TAC系、TRC系、λファージの主要オペレ
ーター領域及びプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグ
リセリン酸キナーゼ(PGK)のプロモーター、酸ホスファターゼのプロモーター、
並びに酵母α交配因子のプロモーターが挙げられる。
【0042】 開示する新規なヒトポリヌクレオチド配列のさらなる用途は、例えば、ポリヌ
クレオチドシャッフリング又は関連する方法を用いた、開示する新規な配列によ
り少なくとも部分的にコードされるタンパク質の分子的突然変異誘発/進化にお
けるそれらの使用である。そのような手法は、米国特許第5,830,721号及び同第5
,837,458号に記載されており、これらの文献はその全体が参照により本明細書に
組み入れられるものとする。
【0043】5.2 LDLP並びにそれから誘導されるポリペプチド及びペプチド断片 LDLP、LDLPポリペプチド、LDLPペプチド断片、変異した、トランケートされた
、もしくは欠失した形態のLDLP、及び/又はLDLP融合タンパク質を、LDLPに関連
する他の細胞性遺伝子産物を同定するための診断アッセイにおける試薬としての
、治療剤としての、精神的、生物学的、もしくは医学的な障害及び疾患の治療的
処置のための薬剤として使用することができる化合物をスクリーニングするため
のアッセイにおける試薬としての、限定するものではないが、抗体の作製などの
様々な使用のために調製することができる。
【0044】 配列表は、特定の実施形態に従って開示したLDLP遺伝子によりコードされるア
ミノ酸配列を開示している。開示するLDLP配列は、翻訳開始部位(Kozak配列)と
一致して、DNA配列中に開始メチオニンを有する。
【0045】 本発明のLDLP配列は、配列表に提示されるヌクレオチド配列及びアミノ酸配列
、並びにその類似体及び誘導体を含む。さらに、他の種に由来する対応するLDLP
相同体も本発明に包含される。事実、上記の第5.1節に記載されたLDLPヌクレオ
チド配列によりコードされる任意のLDLPドメインは、配列表に提示されるアミノ
酸配列の全部又は任意の新規な部分をコードする任意の新規なポリヌクレオチド
配列であるので、本発明の範囲内にある。遺伝コードの縮重性は公知であり、従
って、配列表に提示される各アミノ酸は、公知の核酸「トリプレット」コドン、
又は多くの場合、所与のアミノ酸をコードし得るコドンを一般的に表す。本明細
書で意図されるように、配列表に提示されるアミノ酸配列は、遺伝コード(例え
ば、参照により本明細書に組み入れられる「Molecular Cell Biology」、1986、
J. Darnellら(編)、Scientific American Books、New York、NYの第109頁におけ
る表4-1を参照されたい)を考慮する場合、開示するアミノ酸配列又はその任意の
部分をコードする可能性のある核酸配列の様々な順序及び組合せを一般的に表す
【0046】 本発明はまた、限定するものではないが、ミトコンドリアもしくは他の細胞性
膜構造を区切る能力、及び脱共役活性に作用する能力、細胞の代謝を変化させる
能力(例えば、イオン流、チロシンリン酸化など)、又はLDLP等価物が同様のレベ
ルで発現されるか、もしくは適当な細胞型において変異している場合に表現型を
変化させる能力(例えば、生化学的、生物物理学的、もしくは明白な症状もしく
は表現型の改善、防止、又は遅延)などのいくつかの規準により判断されるよう
に、本明細書に記載されるヌクレオチド配列によりコードされるLDLPと機能的に
等価であるタンパク質をも包含する。そのような機能的に等価なLDLPタンパク質
としては、限定するものではないが、上記の第5.1節に記載されたLDLPヌクレオ
チド配列によりコードされるアミノ酸配列内のアミノ酸残基の付加もしくは置換
であるが、サイレントな変化をもたらし、従って、機能的に等価な遺伝子産物を
産生するものが挙げられる。含まれる残基の極性、電荷、可溶性、疎水性、親水
性、及び/又は両親媒性の類似性に基づいて、アミノ酸置換を行うことができる
。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシ
ン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンが
挙げられ、極性の中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、シス
テイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンが挙げられ、正に荷電した(
塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジン、及びヒスチジンが挙げられ、
負に荷電した(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げ
られる。類似性に基づくそのような置換は保存的アミノ酸置換と考えられる。
【0047】 LDLPをコードするDNAに対してランダム突然変異を行い(当業者には公知のラン
ダム突然変異誘発技術を用いて)、得られた変異LDLPの活性について試験するこ
とができるが、機能が増加した(例えば、より高い受容体結合親和性)変異LDLP、
機能が低下した変異LDLP、及び/又は生理学的半減期が増加し、シグナル伝達の
誘発が増加した変異LDLPを作製するために、LDLPコード配列の部位特異的突然変
異誘発を(当業者には公知の部位特異的突然変異誘発技術を用いて)行うことがで
きる。そのような分析の一つの開始点は、異なる種の間で保存されているアミノ
酸配列モチーフを同定するために、開示されるヒト配列を、例えば、他の哺乳動
物に由来する対応する遺伝子/タンパク質配列と共に整列させることによる。機
能、シグナル伝達能力、又はその両方を変化させるために、様々な位置で非保存
的変化を作製することができる。あるいは、機能の変化を望む場合、保存された
領域(すなわち、同一のアミノ酸)の欠失又は非保存的変化を行うことができる。
例えば、種々の保存された膜貫通ドメインの欠失又は非保存的変化(置換又は挿
入)を行うことができる。
【0048】 選択した宿主細胞における発現、スケールアップなどにさらに適したLDLPを作
製するために、LDLPコード配列に対し他の突然変異を作製することができる。例
えば、ジスルフィド架橋を除去するために、システイン残基を欠失させるか、又
は別のアミノ酸と置換することができ;例えば、N結合部位を多糖鎖付加するこ
とが知られている酵母宿主からより容易に回収、精製される均一の産物の発現を
達成するために、N結合糖鎖付加部位を変化させるか、又は除去することができ
る。この目的のために、細胞外ドメイン(ECD)(N-X-S又はN-X-T)中で起こる1個以
上の糖鎖付加認識配列の1番目又は3番目のアミノ酸位置の1つ又は双方での様々
なアミノ酸置換、及び/あるいはECD中の1個以上のそのような認識配列の2番目
の位置でのアミノ酸欠失は、改変されたトリペプチド配列でのLDLPの糖鎖付加を
防止する(例えば、Miyajimaら、1986、EMBO J. 5(6):1193-1197を参照されたい)
【0049】 LDLP、トランケート型LDLP又は欠失型LDLPの1個以上のドメインに対応するペ
プチド、並びに、完全長LDLP、LDLPペプチド、又はトランケート型LDLPが未関連
のタンパク質と融合した融合タンパク質も、本発明の範囲内にあり、本明細書に
開示されるLDLP遺伝子のヌクレオチド配列及びLDLPアミノ酸配列に基づいて設計
することができる。そのような融合タンパク質としては、限定するものではない
が、LDLPタンパク質もしくはLDLPペプチドを安定化させ、in vivoにおける半減
期を延長させるIgFc融合物;又は融合タンパク質を細胞膜に固定させる任意のア
ミノ酸配列との融合物;又はマーカー機能を提供する酵素、蛍光タンパク質、も
しくは発光タンパク質との融合物が挙げられる。
【0050】 LDLP及びペプチド断片は、化学的に合成してもよい(例えば、Creighton、1983
、Proteins: Structures and Molecular Principles、W.H. Freeman & Co., N.Y
.を参照されたい)。LDLPの遺伝子配列及び/又はコード配列を含有する核酸を発
現させるために、当業界で公知の技術を用いる組換えDNA技術により、完全長LDL
Pから誘導された大きいポリペプチドを有利に作製することができる。そのよう
な方法を用いて、第5.1節に記載のLDLPヌクレオチド配列、並びに適当な転写及
び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの
方法としては、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、及びin vitro遺伝
子組換えが挙げられる。例えば、Sambrookら、1989、上掲、及びAusubelら、198
9、上掲に記載された技術を参照されたい。あるいは、LDLP核酸配列によりコー
ドされる転写物の全部又は一部に対応するRNAを、例えば、合成装置を用いて、
化学的に合成することができる。例えば、「Oligonucleotide Synthesis」、198
4、Gait, M.J.(編)、IRL Press, Oxford(その全体が参照により本明細書に組み
入れられるものとする)に記載された技術を参照されたい。
【0051】 例えば、DNAシャッフリング又は米国特許第5,830,721号、同第5,837,458号、
及び同第5,837,500号に記載される(これらの文献は全て、その全体が参照により
本明細書に組み入れられるものとする)他の手段による指向性進化によって、変
異型のタンパク質を開発するための構造物として、開示するLDLP配列を用いるこ
ともできる。
【0052】 種々の宿主-発現ベクター系を用いて、開示するLDLPをコードするヌクレオチ
ド配列を発現させることができる。LDLP、又はそれに由来するペプチド断片もし
くはポリペプチドが、可溶性の誘導体(例えば、細胞外ドメイン(ECD)に対応する
LDLPペプチド;膜貫通(TM)ドメイン及び/もしくは細胞質ドメイン(CD)を欠失さ
せた、トランケート型、又は欠失型LDLPなど)である場合、培養物から、すなわ
ち、LDLPペプチドもしくはポリペプチドが分泌される場合には、宿主細胞から、
及びLDLPペプチドもしくはポリペプチドが該細胞により分泌される場合には、培
地から、該ペプチド又はポリペプチドを回収することができる。しかし、そのよ
うな発現系はまた、in situで、細胞膜中に固定されたLDLP、又はその機能的等
価物を発現する遺伝子操作された宿主細胞をも包含する。適当な界面活性剤及び
脂質ミセルを用いて、並びに当業者には公知の他の方法を用いて、そのような発
現系からのLDLPの精製又は濃縮を達成することができる。しかし、LDLPの構造的
及び機能的な特徴を保持するだけでなく、例えば、薬物スクリーニングアッセイ
において、生物学的活性を評価することが重要である状況では、そのような遺伝
子操作された宿主細胞自体を用いることができる。
【0053】 本発明の目的のために用いることができる発現系としては、限定するものでは
ないが、LDLPヌクレオチド配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミ
ドDNA又はコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌(例えば、大腸
菌、枯草菌)などの微生物;LDLPヌクレオチド配列を含む組換え酵母発現ベクタ
ーを用いて形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、
ピヒア属(Pichia));LDLP配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バ
キュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;LDLPヌクレオチド配列を含む組換え
ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコ
モザイクウイルス、TMV)に感染させるか、もしくは組換えプラスミド発現ベクタ
ー(例えば、Tiプラスミド)を用いて形質転換された植物細胞系;又は哺乳動物細
胞のゲノムから誘導されたプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモータ
ー)もしくは哺乳動物のウイルスから誘導されたプロモーター(例えば、アデノウ
イルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え
発現構築物を担持する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3)が挙
げられる。
【0054】 細菌系においては、発現させようとするLDLP産物のために意図される用途に応
じて、いくつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、LDLPの
医薬組成物、もしくはLDLPを含む医薬組成物の作製、又はLDLPに対する抗体の生
成のために、大量のそのようなタンパク質を製造する場合、容易に精製される高
レベルの融合タンパク質産物の発現を指令するベクターが望ましい。そのような
ベクターとしては、限定するものではないが、融合タンパク質を産生するように
、LDLPコード配列を、lacZコード領域とフレームを合わせてベクター中に個別に
連結することができる大腸菌発現ベクターpUR278 (Rutherら、1983、EMBO J. 2:
1791);pINベクター(Inouye & Inouye、1985、Nucleic Acids Res. 13:3101-310
9; Van Heeke & Schuster、1989、J. Biol. Chem. 264:5503-5509)などが挙げら
れる。pGEXベクター(Pharmacia及びATCCから入手可能)を用いて、グルタチオンS
-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現さ
せることもできる。一般的には、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グ
ルタチオン-アガロースビーズに吸着させた後、遊離グルタチオンの存在下で溶
出させることにより、溶解させた細胞から容易に精製することができる。クロー
ン化された標的遺伝子産物がGST部分から解離されるように、トロンビンもしく
は第Xa因子のプロテアーゼ切断部位を含むように、pGEXベクターを設計する。
【0055】 昆虫系においては、オートグラファ・カリフォルニア(Autographa californi
a)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、外来遺伝子を発現させ
る。このウイルスは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)
細胞中で増殖する。LDLP遺伝子をコードする配列を、該ウイルスの非必須領域(
例えば、ポリヘドリン遺伝子)中に個々にクローニングし、AcNPVプロモーター(
例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。LDLP遺伝子
コード配列の挿入の成功によって、ポリヘドリン遺伝子の不活化及び非封入型組
換えウイルス(すなわち、ポリヘドリン遺伝子によりコードされるタンパク質性
外被を欠くウイルス)の産生がもたらされる。次いで、これらの組換えウイルス
を用いて、挿入遺伝子を発現するスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera fru
giperda)細胞に感染させる(例えば、Smithら、1983、J. Virol. 46:584; Smith
、米国特許第4,215,051号を参照されたい)。
【0056】 哺乳動物宿主細胞においては、いくつかのウイルスに基づく発現系を用いるこ
とができる。発現ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合、目的のLDLP遺伝
子ヌクレオチド配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プ
ロモーター及び三分節(tripartite)リーダー配列に連結することができる。次い
で、このキメラ遺伝子を、in vitro又はin vivoにおける組換えにより、アデノ
ウイルスのゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例え
ば、領域E1又はE3)への挿入は、感染させた宿主中で生存可能であり、LDLPを発
現することができる組換えウイルスをもたらす(例えば、Logan & Shenk、1984、
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659を参照されたい)。
【0057】 LDLP転写物の効率的な翻訳のために、特定の開始シグナルを用いることもでき
る。これらのシグナルとしては、ATG開始コドン及び隣接配列が挙げられる。開
始コドン及び隣接配列を含むLDLP遺伝子全体又はcDNAを適当な発現ベクター中に
挿入する場合、追加の翻訳制御シグナルは必要ない。しかし、LDLPコード配列の
一部のみを挿入する場合、おそらく、典型的にはATG開始コドンを含む外因性翻
訳制御シグナルを利用する。さらに、典型的には、挿入物全体の翻訳を確実にす
るために、開始コドンを所望のコード配列のリーディングフレームと一致させる
必要がある。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成
の様々な起源のものであってよい。適当な転写エンハンサーエレメント、転写タ
ーミネーターなどの封入により、発現の効率を増強させることができる(Bittner
ら、1987、Methods in Enzymol. 153:516-544を参照されたい)。
【0058】 さらに、挿入配列の発現を調節するか、所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾
し、プロセッシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物の
そのような修飾(例えば、糖鎖付加)及びプロセッシング(例えば、切断)は、該タ
ンパク質の機能にとって重要であり得る。別の宿主細胞は、タンパク質及び遺伝
子産物の翻訳後プロセッシング及び修飾のための特徴的で特異的な機構を有する
。発現される外来タンパク質の正確な修飾及びプロセッシングを確実にするため
に、適当な細胞系又は宿主系を選択することができる。この目的のために、一次
転写物の適切なプロセッシング、糖鎖付加、及び遺伝子産物のリン酸化のための
細胞機構を有する真核宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿
主細胞としては、限定するものではないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK
、293、3T3、WI38、及び特に、ヒト細胞系が挙げられる。
【0059】 組換えタンパク質の長期間にわたる高い収率の産生のためには、安定な発現が
好ましい。例えば、本明細書に開示するLDLPを安定に発現する細胞系を遺伝子工
学的に操作することができる。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いる
よりもむしろ、適当な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサ
ー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)により制御されるDNAと
、選択マーカーとを用いて、宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの
導入の後、遺伝子操作された細胞を富化培地中で1〜2日間増殖させ、次いで、選
択培地に変える。組換えプラスミド中の選択マーカーにより、選択に対する耐性
が付与され、細胞はプラスミドをその染色体中に安定に組み込み、増殖して、細
胞系中で同様にクローニングし、増殖させることができる増殖巣を形成する。こ
の方法は、LDLPを発現する細胞系を遺伝子操作するために用いることが有利であ
る。そのような遺伝子操作された細胞系は、LDLP産物の内因性活性に影響する化
合物のスクリーニング及び評価において特に有用となり得る。
【0060】 いくつかの選択系を用いることができ、限定するものではないが、単純ヘルペ
スウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerら、1977、Cell 11:223)、ヒポキ
サンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska & Szyb
alski、1962、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:2046)、及びアデニンホスホリボ
シルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowyら、1980、Cell 22:817)を、それぞれtk-
胞、hgprt-細胞、又はaprt-細胞において用いることができる。また、以下の遺
伝子:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wiglerら、1980、Natl. A
cad. Sci. USA 77:3567; O'Hareら、1981、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:152
7);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg、1981、Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);特に、アミノグリコシドG-418に対する耐
性を付与するneo(Colberre-Garapinら、1981、J. Mol. Biol. 150:1);及びヒグ
ロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerreら、1984、Gene 30:147)の選
択に基づいて代謝拮抗耐性を用いることができる。
【0061】 あるいは、発現させようとする融合タンパク質に特異的な抗体を用いて、任意
の融合タンパク質を容易に精製することができる。例えば、Janknechtらにより
記載された系により、ヒト細胞系で発現された非変性融合タンパク質の容易な精
製が可能となる(Janknechtら、1991、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972-897
6)。この系においては、目的の遺伝子のオープンリーディングフレームが6個の
ヒスチジン残基を有するアミノ末端タグと翻訳時に融合されるように、該遺伝子
をワクシニア組換えプラスミド中にサブクローニングする。組換えワクシニアウ
イルスに感染させた細胞からの抽出物を、Ni2+・ニトリロ酢酸-アガロースカラム
上に装填し、イミダゾールを含有するバッファーを用いて、ヒスチジンタグを付
したタンパク質を選択的に溶出させる。
【0062】 トランスジェニック動物中でLDLP産物を発現させることもできる。限定するも
のではないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、マイクロブタ、ウ
シ、ヒツジ、ヤギなどのげっ歯類及び飼育動物;虫;鳥;並びに、ヒヒ、サル、
及びチンパンジーなどの非ヒト霊長類などの任意の種の動物を用いて、LDLPトラ
ンスジェニック動物を作製することができる。
【0063】 当業界で公知の任意の技術を用いて、動物にLDLPトランスジーンを導入し、ト
ランスジェニック動物の始祖系統を作製することができる。そのような技術とし
ては、限定するものではないが、前核マイクロインジェクション(Hoppe, P.C.及
びWagner, T.E.、1989、米国特許第4,873,191号);生殖細胞系へのレトロウイル
スを介する遺伝子導入(Van der Puttenら、1985、Proc. Natl. Acad. Sci., USA
82:6148-6152);胚性幹細胞における遺伝子ターゲッティング(Thompsonら、198
9、Cell 56:313-321);胚のエレクトロポレーション(Lo, 1983, Mol Cell. Biol
. 3:1803-1814);及び精子を介する遺伝子導入(Lavitranoら、1989、Cell 57:71
7-723)などが挙げられる。そのような技術の総説については、Gordon、1989、Tr
ansgenic Animals, Intl. Rev. Cytol. 115:171-229(この文献はその全体が参照
により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
【0064】 本発明は、全細胞中にLDLPトランスジーンを担持するトランスジェニック動物
、並びに、全細胞ではないが、いくらかの細胞中に該トランスジーンを担持する
動物、すなわち、モザイク動物又は体細胞トランスジェニック動物を提供する。
このトランスジーンを、単一のトランスジーンとして、又はコンカテマー、例え
ば、頭部-頭部タンデムもしくは頭部-尾部タンデムの形態で組み込むことができ
る。また、このトランスジーンを、例えば、Laskoら、1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-6236の教示に従って、特定の細胞型に選択的に導入し、該細
胞型で活性化することもできる。そのような細胞型に特異的な活性化に必要とさ
れる調節配列は、目的の特定の細胞型に依存し、当業者には明らかであろう。
【0065】 内因性LDLP遺伝子の染色体部位にLDLPトランスジーンを組み込むことを望む場
合、遺伝子ターゲッティングが好ましい。簡単に述べると、そのような技術を用
いようとする場合、内因性LDLP遺伝子と相同ないくつかのヌクレオチド配列を含
むベクターを、染色体配列との相同的組換えを介して組み込み、内因性LDLP遺伝
子のヌクレオチド配列の機能の破壊する(すなわち、「ノックアウト」動物)ため
に設計する。逆に、本発明の別の実施形態は、内因性LDLP遺伝子をオルソロガス
なヒトLDLP遺伝子により置換した「ヒト化」抗体を包含する。
【0066】 前記トランスジーンを特定の細胞型に選択的に導入し、かくして、例えば、Gu
ら、1994、Science, 265:103-106の教示に従って、その細胞型でのみ内因性LDLP
遺伝子を不活化することもできる。そのような細胞型に特異的な不活化に必要と
される調節配列は、目的の特定の細胞型に依存し、当業者には明らかであろう。
【0067】 トランスジェニック動物を作製した後、組換えLDLP遺伝子の発現を標準的な技
術を用いてアッセイすることができる。トランスジーンの組込みが起こったかど
うかをアッセイするために動物の組織を分析するためのサザンブロット分析又は
PCR技術により、最初のスクリーニングを達成することができる。トランスジェ
ニック動物の組織におけるトランスジーンのmRNA発現のレベルを、限定するもの
ではないが、該動物から得られた組織サンプルのノーザンブロット分析、in sit
uハイブリダイゼーション分析、及びRT-PCRなどの技術を用いて評価することも
できる。LDLPを発現する組織のサンプルを、LDLPトランスジーン産物に特異的な
抗体を用いて免疫細胞化学的に評価することもできる。
【0068】5.3 LDLPタンパク質に対する抗体 1以上のLDLPのエピトープ、またはLDLPの保存変異体のエピトープ、またはLD
LPのペプチド断片を特異的に認識する抗体もまた本発明に包含される。そのよう
な抗体としては、限定するものではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナ
ル抗体(mAb)、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)2 断片、Fab発現ライブラリーから産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体
、およびエピトープと結合する上記のいずれかの断片が挙げられる。
【0069】 本発明の抗体は、例えば、生物学的サンプルにおけるLDLPの検出に用いること
ができ、したがって、異常量のLDLPに対して患者を検査し得る診断的技法または
予後的技法の一部として利用することができる。かかる抗体はまた、LDLP産物の
発現および/または活性に及ぼす試験化合物の影響の評価のために、例えば、下
記第5.5.節に記載の化合物スクリーニングスキームとともに利用することもでき
る。さらに、抗体は、例えば、通常および/または遺伝子操作されたLDLPを発現
する遺伝子改変した細胞を患者に導入する前にその細胞を評価するために、遺伝
子治療とともに使用することができる。さらに、該抗体は、異常に高いLDLP活性
を阻害するための手段、または、LDLP活性を刺激するための手段として使用する
ことも可能である。したがってこのように、本発明の抗体は治療方法の一部とし
て利用することができる。
【0070】 抗体の作製に対しては、LDLP、LDLPペプチド(例えば、LDLPの機能性ドメイン
に対応するもの)、トランケート型LDLPポリペプチド(1以上のドメインが欠失
しているLDLP)、LDLPの機能的等価物またはLDLPの変異体を注入することにより
様々な宿主動物を免疫することができる。そのような宿主動物としては、限定す
るものではなく、いくつかの例を挙げるとすれば、ウサギ、マウス、ラット、お
よびその他の齧歯動物、ヤギ、イヌ、ならびにネコが挙げられる。様々なアジュ
バントを、宿主の種に応じて、免疫応答を増大させるために使用することができ
る。そのようなアジュバントの例としては、限定するものではないが、フロイン
トアジュバント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル
、リゾレシチン、プルロニックポリオール(pluronic polyol)などの界面活性物
質、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、keyhole limpet hemocyani
n(KLH)、ジニトロフェノール、ならびに、BCG(bacille Calmette-Guerin)および
コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有用な
ヒトアジュバントが挙げられる。ポリクローナル抗体は、免疫した動物の血清に
由来する抗体分子の不均質な群である。
【0071】 モノクローナル抗体(これは特定の抗原に対する抗体の同質な群である)は、
培養中の連続細胞系によって抗体分子を産生させる任意の技法によって得ること
ができる。これらの技法としては、限定するものではないが、KohlerとMilstein
のハイブリドーマ技法(1975, Nature 256:495-497; および米国特許第4,376,110
号)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kosbor et al., 1983, Immunology Today 4
:72; Cole et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030)、ならび
に、EBVハイブリドーマ技法(Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies And C
ancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)が挙げられる。かかる抗体は、
IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびその任意のサブクラスなどのいずれの免疫グロ
ブリンクラスであってもよい。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、in vi
troまたはin vivoのどちらで培養してもよい。In vivoでの高力価のモノクロー
ナル抗体の作製が現在好ましい作製方法となっている。
【0072】 さらに、「キメラ抗体」の産生のために開発された技法(Morrison et al., 19
84, Proc. Natl. Acad. Sci., 81:6851-6855; Neuberger et al., 1984, Nature
, 312:604-608; Takeda et al., 1985, Nature, 314:452-454)を使用することが
できる。この技法は、適当な生物学的活性を有するヒト抗体分子の遺伝子と適当
な抗原特異性を有するマウス抗体分子の遺伝子とを一緒につなぎ合わせることに
よる。キメラ抗体は、ネズミmAb由来の可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域
を有するような、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。
【0073】 あるいは、一本鎖抗体の産生について記載されている技法(米国特許第4,946,7
78号;Bird, 1988, Science 242:423-426; Huston et al., 1988, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 85:5879-5883; およびWard et al., 1989, Nature 334:544-546
)をLDLP産物に対する一本鎖抗体を産生するために適合させることができる。一
本鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖フラグメントと軽鎖フラグメン
トとを連結し、一本鎖のポリペプチドを生じさせることにより形成される。
【0074】 特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは公知の技法により作製するこ
とができる。例えば、かかるフラグメントとしては、限定するものではないが、
抗体分子のペプシン消化により産生しうるF(ab’)2フラグメント、および、F(ab
’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより産生しうるFabフラ
グメントが挙げられる。あるいは、所望の特異性を有するモノクローナルFabフ
ラグメントの迅速かつ簡易な同定を可能にするためにFab発現ライブラリーを構
築してもよい(Huse et al., 1989, Science, 246:1275-1281)。
【0075】 かわって、当業者には公知の技法を用いて、与えられたLDLPを「模倣する」抗
イディオタイプ抗体を産生するためにLDLPに対する抗体を利用することができる
(例えば、Greenspan & Bona, 1993, FASEB J 7(5):437-444; およびNissinoff,
1991, J. Immunol. 147(8):2429-2438を参照されたい)。例えば、LDLPドメイン
と結合し、その同種のリガンドであるシャペロニン、またはアクセサリー分子と
LDLPとの結合を競合的に阻害する抗体を用いて、LDLPを模倣する(したがって、
受容体と結合し、活性化または中和する)抗イディオタイプ抗体を産生すること
ができる。このような抗イディオタイプ抗体またはかかる抗イディオタイプ抗体
のFabフラグメントは(他の抗LDLP抗体と同様に)、LDLPシグナル、調節、また
は代謝経路に関与する治療的処方計画において使用することができる。
【0076】5.4 LDLPに関連する異常の診断 LDLPの機能に関連する障害の診断的および予後的評価のために、ならびに、か
かる障害に対する素因を有する患者の同定のために、様々な方法を使用すること
ができる。
【0077】 かかる方法は、例えば、第5.1節に記載のLDLPヌクレオチド配列、および/ま
たは、第5.3節に記載のLDLP抗体などの試薬を利用することができる。具体的に
は、かかる試薬は例えば以下の検出のために使用することができる:(1)LDLP遺
伝子突然変異の検出、または、所与の表現型に関連するLDLP mRNAの過剰発現ま
たは過少発現いずれかの検出;(2)所与の表現型に関連するLDLP遺伝子産物の
過剰発現または過少発現いずれかの検出;ならびに、(3)LDLPが介在する任意
の代謝経路、生理学的経路、もしくは異化経路における摂動または異常の検出。
【0078】 本明細書中に記載する方法は、例えば、少なくともひとつの特定のLDLPヌクレ
オチド配列または本明細書中に記載のLDLP抗体試薬を含む予めパッケージされた
診断用キットを利用して行なうことができる。このキットは、例えば、体重障害
または行動障害を示す患者を診断するために(例えば、臨床環境において)便利
に使用することができる。
【0079】 LDLP突然変異の検出に対しては、任意の有核細胞をゲノム核酸の開始供給源と
して使用することができる。LDLP遺伝子発現またはLDLP遺伝子産物の検出に対し
ては、LDLP遺伝子が発現されている任意の細胞型または組織(例えば、腎臓細胞
等)を利用することができる。
【0080】 核酸に基づく検出技法について以下の第5.4.1.節において記述する。ペプチド
検出技法については以下の第5.4.2.節において記述する。
【0081】5.4.1 LDLP遺伝子および転写産物の検出 LDLP遺伝子内の突然変異はいくつかの技法を利用することにより検出すること
ができる。任意の有核細胞由来の核酸を、かかるアッセイ技法のためにアッセイ
開始時に使用することができ、また、当業者には公知である標準的核酸調製手順
にしたがって単離することができる。
【0082】 LDLP遺伝子構造が関与する異常(点突然変異、挿入、欠失および染色体再配列
を含む)を検出するためにハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイにおいて
DNAを使用し得る。このようなアッセイとしては、限定するものではないが、サ
ザン分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)解析、およびPCR分析を挙げることができ
る。
【0083】 LDLP遺伝子に特異的な突然変異の検出のためのかかる診断方法では、例えば、
核酸(患者からのサンプルまたは他の適当な細胞供給源に由来するような組換え
DNA分子、クローン化された遺伝子またはその変性変異体を含む)と、第5.1.節
に記載したような1以上の標識核酸試薬(組換えDNA分子、クローン化された遺
伝子またはその変性変異体を含む)とを、これらの試薬とLDLP遺伝子内における
その相補配列との特異的なアニーリングに適した条件下で、接触させてインキュ
ベートすることができる。好ましくは、これらの核酸試薬の長さは、少なくとも
約15〜約30ヌクレオチドである。インキュベーション後、アニーリングしていな
い全ての核酸を核酸:LDLP分子ハイブリッドから分離する。次に、ハイブリダイ
ズしている核酸の存在を、(いくらかでもそのような分子が存在する場合には)
、検出する。このような検出スキームを用いて、目的の細胞型または組織由来の
核酸を、例えば、膜などの固体支持体、または、マイクロタイタープレートもし
くはポリスチレンビーズ上などのプラスチック表面へ固定化することができる。
この場合、インキュベーション後に、第5.1節に記載されたタイプの標識核酸試
薬でアニーリングしていないものは容易に取り除かれる。残存しており、アニー
リングしている、標識LDLP核酸試薬の検出は、当業者には公知の標準的技法を用
いて達成される。核酸試薬がアニーリングしているLDLP遺伝子配列は、LDLP遺伝
子突然変異が存在するかどうかを調べるために、正常LDLP遺伝子配列から予想さ
れるアニーリングパターンと比較することができる。
【0084】 患者からのサンプルまたは他の適当な細胞供給源中のLDLP遺伝子における特定
の核酸分子の検出のための代わりの診断方法では、例えば、PCR(Mullis, K.B.,
1987, 米国特許第4,683,202号で示された実験実施形態)による核酸分子増幅、
また、それに続く、当業者には公知である技法を用いた増幅核酸分子の検出、と
を使用し得る。得られた増幅配列は、LDLP遺伝子突然変異が存在するかどうかを
調べるために、増幅される核酸がLDLP遺伝子の通常コピー数のみを含む場合に予
想される配列と比較することができる。
【0085】 さらに、公知の遺伝子型決定技法を行なうことにより、LDLP遺伝子突然変異を
有する個体を同定することができる。このような技法としては、例えば、制限断
片長多型(RFLP)(これは、使用する特定の制限酵素に対する認識部位の1ヶ所に
おける配列の多様性に関与する)の利用を含む。
【0086】 さらに、LDLP遺伝子突然変異の同定のために利用し得るDNA多型分析のための
改良方法について記載されており、該方法は制限酵素認識部位間の様々な数のシ
ョートタンデムリピートDNA配列の存在を利用する。例えば、Weber(米国特許第
5,075,217号、本文献は参照により本明細書にその全文を組み入れる)は、(dC-d
A)n-(dG-dT)nショートタンデムリピートのブロックにおけるDNA鎖の長さの多型
に基づくDNAマーカーについて記載している。平均的な分離される(dC-dA)n-(dG-
dT)nブロックは30,000-60,000bpであると推定される。非常に接近して配置され
るマーカーは高頻度でともに遺伝し、また、遺伝子の突然変異(例えば、LDLP遺
伝子内の突然変異等)の同定、ならびに、LDLP突然変異に関連する疾患および障
害の診断において極めて有用である。
【0087】 さらに、Caskeyら(米国特許第5,364,759号、本文献は参照により本明細書に
その全文を組み入れる)は、短いトリおよびテトラヌクレオチドリピート配列を
検出するためのDNAプロファイリングアッセイ(profiling assay)について記載し
ている。この方法は、個体DNAの遺伝子型マップを作成するために、目的のDNA(
例えば、LDLP遺伝子)を抽出すること、抽出したDNAを増幅すること、およびリ
ピート配列を標識することを含む。
【0088】 LDLP遺伝子の発現レベルもまた、LDLP転写を検出・測定することによりアッセ
イすることができる。例えば、LDLP遺伝子を発現することが知られているもしく
は発現すると思われる細胞型または組織(例えば、腎臓)に由来するRNAは、上
記のようなハイブリダイゼーション法もしくはPCR法を利用して単離・試験する
ことができる。単離する細胞は、細胞培養液または患者に由来することができる
。培養から得られた細胞の分析は、細胞に基づく遺伝子治療技法の一部として使
用するため、または、LDLP遺伝子の発現に化合物が及ぼす影響を試験するための
細胞の評価において必要なステップであり得る。かかる分析は、LDLP遺伝子の発
現パターン(LDLP遺伝子発現の活性化または不活性化を含む)の量的態様および
質的態様両方を明らかにし得る。
【0089】 かかる検出スキームの1実施形態においては、cDNAを目的のRNAから(例えば
、RNA分子からcDNAへの逆転写により)合成する。次に、cDNA内の配列をPCR増
幅反応等の核酸増幅反応のための鋳型として使用する。本方法の逆転写および核
酸増幅ステップにおける合成開始試薬として使用する核酸試薬は、第5.1節に記
載されているLDLP核酸試薬の中から選択される。かかる核酸試薬の好ましい長さ
は少なくとも9〜30ヌクレオチドである。増幅産物の検出のために、核酸増幅は
放射標識したまたは放射標識していないヌクレオチドを用いて行なうことができ
る。あるいは、該産物は、標準的エチジウムブロマイド染色によって、任意の他
の適切な核酸染色方法を利用することによって、または、配列決定によって、可
視化され得るように十分に増幅した産物を作製し得る。
【0090】 さらに、上記のLDLP遺伝子発現アッセイは、核酸の精製が不要なように、「in situ」で、すなわち、生検または切除によって得られた患者組織の組織切片(
固定および/または凍結された)の上で直接行なうことが可能である。第5.1.節
に記載したような核酸試薬は、上記のin situ手順のためのプローブおよび/ま
たはプライマーとして使用することができる(例えば、Nuovo, G.J., 1992, ‘
‘PCR In Situ Hybridization: Protocols And Applications’’, Raven Press
, NY)。
【0091】 あるいは、十分な量の適当な細胞が得ることができる場合、標準的ノーザン分
析を、LDLP遺伝子のmRNAの発現レベルを調べるために行なうことができる。
【0092】5.4.2 LDLP産物の検出 上記の第5.3.節のような野生型もしくは変異型LDLP、またはその保存的変異体
もしくはペプチド断片に対する抗体もまた、本明細書中で記載する診断薬および
予後薬として使用することができる。かかる診断方法は、LDLP遺伝子発現レベル
の異常、あるいは、与えられた組織もしくは細胞もしくは細胞小器官(ミトコン
ドリアを含む)内におけるLDLPの構造および/または一時的な位置の異常を検出
するために使用でき、例えば、生検組織上などのin vivoまたはin vitroで行な
うことができる。
【0093】 例えば、LDLPの1以上のエピトープに対する抗体を、体内におけるLDLPの発現
のパターンおよびレベルを検出するためにin vivoで使用することができる。こ
のような抗体は、X線、CATスキャンもしくはMRIなどの方法を用いて体内で発現
しているLDLPとの結合を可視化するために、例えば、放射線不透過性または他の
適切な化合物で標識し、被験体に注入することができる。この目的で、血液脳関
門の通過を促進し、脳または他の免疫免除領域で発現するLDLPの標識を可能にす
るためには、標識された抗体断片(例えば、抗原結合領域の最小部分を含むFab
または一本鎖抗体)が好ましい。
【0094】 さらに、その存在を検出しうる任意のLDLP融合タンパク質またはLDLPコンジュ
ゲートタンパク質を投与することができる。例えば、放射線不透過性または他の
適切な化合物で標識したLDLP融合タンパク質またはコンジュゲートタンパク質を
、上記標識抗体についての記載のように、投与しin vivoで可視化することがで
きる。さらに、かかるLDLP融合タンパク質(例えば、AP-LDLPまたはLDLP-AP等)
をin vitroでの診断手順のために利用することができる。
【0095】 あるいは、上記のようなイムノアッセイまたは融合タンパク質検出アッセイを
in vitroで生検サンプルおよび剖検サンプルに対して利用することにより、LDLP
の発現パターンの評価が可能となる。かかるアッセイはLDLPドメインを規定する
抗体の使用に限定されるものではなく、LDLPの任意のドメインのエピトープに対
する抗体の使用を含み得る。これらの標識抗体のそれぞれまたは全ての使用によ
り、翻訳およびLDLPの細胞内から細胞表面への輸送に関する有用な情報を得るで
あろうし、また、LDLPプロセシングの欠陥を同定し得る。
【0096】 分析すべき組織または細胞型は、LDLP遺伝子を発現することが知られている、
または、発現すると思われるものが通常含まれ、そのようなものとしては、例え
ば、上皮細胞、腎細胞、脂肪組織、心臓、脳細胞、前立腺、乳腺等が挙げられる
。本発明で使用するタンパク質単離方法は、例えば、HarlowとLane(Harlow, E.
and Lane, D. 1988, “Antibodies: A Laboratory Manual”, Cold Spring Harb
or Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)中に記載のようなもので
あってもよい。尚、この文献は参照によりその全文を本明細書に組み入れる。単
離される細胞は、細胞培養由来または患者由来のものであることができる。培養
から採取した細胞の分析は、細胞に基づく遺伝子治療技法の一部として、あるい
は、LDLP遺伝子の発現に対して化合物が及ぼす影響を調べるために使用し得る細
胞評価において利用することができる。
【0097】 例えば、本発明において有用な第5.3.節に上記したような抗体または抗体の断
片を用いて、LDLPまたは保存的変異体もしくはそのペプチド断片を、定量的また
は定性的に検出することができる。これは、例えば、光学顕微鏡、フローサイト
メトリーまたは蛍光光度計による検出と組み合わせて蛍光標識抗体(本節下記参
照)を使用する免疫蛍光技法によって達成し得る。かかる技法は、LDLP産物が少
なくとも一過性に細胞表面上に見出され得る場合に、特に好ましい。
【0098】 本発明において有用な抗体(もしくはその断片)またはLDLP融合タンパク質ま
たはコンジュゲートタンパク質は、LDLP遺伝子産物または保存的変異体またはそ
のペプチド断片のin situでの検出のため、あるいは、LDLP結合(標識LDLP融合
タンパク質の場合)をアッセイするための、免疫蛍光、免疫電子顕微鏡または非
免疫アッセイにおいて組織学的にさらに使用することができる。
【0099】 In situでの検出は、患者からの組織学的試料を取り出し、そこに本発明の標
識抗体または融合タンパク質を適用することによって達成し得る。抗体(もしく
は断片)または融合タンパク質は、標識抗体(もしくは断片)を生物学的サンプ
ルの上に載せることにより適用することが好ましい。このような手順の利用によ
って、LDLP産物もしくは保存的変異体もしくはそのペプチド断片またはLDLP結合
の存在ばかりでなく、試験組織におけるその分布も決定することが可能である。
本発明を利用することにより、当業者であれば、多種多様な組織学的方法(例え
ば、染色方法等)をそのようなin situ検出を達成するために改変し得ることが
容易に理解されるであろう。
【0100】 LDLPまたは保存的変異体またはそのペプチド断片に対する免疫アッセイまたは
非免疫アッセイは、通常、生物学的溶液、組織抽出物、新鮮に回収した細胞、ま
たは細胞培養液中でインキュベートした細胞の溶解物などのサンプルをLDLP産物
または保存的変異体またはそのペプチド断片を同定し得る検出可能に標識した抗
体の存在下でインキュベートすること、ならびに、結合した抗体を当技術分野で
公知の多数の技法のいずれかにより検出することを含む。あるいは、標識抗体は
、LDLPと直接的または間接的に結合している抗原性タグに対するものであり得る
【0101】 生物学的サンプルは、ニトロセルロースなどの固相支持体もしくは担体、また
は、細胞、細胞粒子、もしくは可溶性タンパク質を固定化し得るその他の固体支
持体上へ接触させて固定化することができる。次に、この支持体を適切なバッフ
ァーで洗浄してから、検出可能に標識したLDLP抗体またはLDLPリガンドまたはア
クセサリー分子融合タンパク質を用いて処理することができる。次に、固相支持
体をバッファーで洗浄して結合していない抗体または融合タンパク質を除去する
ことができ、その後固体支持体上に結合した標識の量を慣例的な方法により検出
することができる。
【0102】 「固相支持体または担体」には、抗原または抗体と結合し得る任意の支持体が
意図される。公知の支持体または担体には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および改変セ
ルロース、ポリアクリルアミド、ハンレイ岩ならびにマグネタイトが含まれる。
該担体の特性は、本発明の目的にとっては、ある程度可溶性であるか、または、
不溶性であることができる。支持体の材料は、結合する分子が抗原または抗体と
結合し得る限り、実質的に任意の可能な構造的立体配置を有することができる。
したがって、支持体の立体構造は、ビーズのような球形であってもよく、または
、試験管の内面もしくは棒の外面のように円筒状であってもよい。あるいは、こ
の表面は、シート、試験紙等のように平面であってもよい。好ましい支持体とし
ては、ポリスチレンビーズが挙げられる。当業者であれば、抗体もしくは抗原と
結合するための多くの他の適切な支持体を理解するであろうし、または、慣例的
な実験方法の使用により同じことが確認できるであろう。
【0103】 所定のロットのLDLP抗体またはLDLPリガンド融合タンパク質の結合活性は公知
の方法によって測定することができる。当業者であれば、慣例的実験方法を使用
することにより、各測定に対する効果的かつ最適なアッセイ条件を決定すること
ができるであろう。
【0104】 抗体に関して、LDLP抗体を検出し得るように標識し得る方法のひとつは、標識
を酵素に対して結合させることによる。そのような標識抗体は、エンザイムイム
ノアッセイ(EIA)において使用することができる(Voller, A., “The Enzyme Lin
ked Immunosorbent Assay (ELISA)”, 1978, Diagnostic Horizons 2:1-7, Micr
obiological Associates Quarterly Publication, Walkersville, MD ; Voller,
A. et al., 1978, J. Clin. Pathol. 31:507-520 ; Butler, J.E., 1981, Meth
. Enzymol. 73:482-523 ; Maggio, E.(編), 1980, Enzyme Immunoassay, CRC Pr
ess, Boca Raton, FL ; Ishikawa, E. et al.(編), 1981, Enzyme Immunoassay,
Kgaku Shoin, Tokyo)。抗体と結合している酵素は、分光光度計、蛍光光度計ま
たは目視により検出し得る化学成分を生成するように適当な基質(好ましくは、
色素産生性基質)と反応する。抗体を検出し得るように標識するために使用する
ことができる酵素には、限定するものではないが、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、
スタフィロコッカスヌクレアーゼ、Δ5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコー
ルデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸
イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパ
ラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアー
ゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコ
アミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。検出は、酵素に対
する色素産生性基質を使用する比色法によって達成することができる。また、検
出は、基質の酵素による反応の程度と、同様に調製した標準物質の酵素による反
応の程度とを比較する視覚的比較によって達成することができる。
【0105】 また、検出は、様々な他のイムノアッセイ法のいずれかを使用して達成するこ
とができる。例えば、抗体または抗体断片を放射標識することにより、ラジオイ
ムノアッセイ(RIA)の利用によりLDLPを検出することができる(例えば、Weintra
ub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radi
oligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986を参照された
い、尚、本文献は参照により本明細書に組み入れる)。ラジオアイソトープは、
γカウンターもしくはシンチレーションカウンターの使用等の方法、または、オ
ートラジオグラフィーによって検出することができる。
【0106】 また、蛍光化合物を用いて抗体を標識することもできる。蛍光標識した抗体を
適当な波長の光に曝露した場合、その存在を蛍光によって検出することができる
。いくつかの一般的に使用される蛍光標識化合物としては、フルオレセインイソ
チオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコ
シアニン、o-フタルアルデヒドおよびフルオレサミンが挙げられる。
【0107】 また、抗体は、152Euまたは他のランタン系列元素などの蛍光発光金属を使用
して検出し得るように標識することができる。これらの金属を、ジエチレントリ
アミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属とキレート
を形成する基を使用して抗体と結合させることができる。
【0108】 また、抗体は、化学発光化合物と結合することにより検出し得るように標識す
ることができる。次に、化学発光標識した抗体の存在は、化学反応中に生じる発
光の存在を検出することによって測定する。特に有用な化学発光標識化合物とし
ては、ルミノール、イソルミノール、テロマチック(theromatic) アクリジンエ
ステル、イミダゾール、アクリジン塩およびシュウ酸エステルが挙げられる。
【0109】 同様に、生物発光化合物を用いて、本発明の抗体を標識することができる。生
物発光は、生物系において見出された化学発光の一種であり、生物発光において
は触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増大させている。生物発光タンパク質
の存在は、発光の存在を検出することにより測定する。標識のための重要な生物
発光化合物としては、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンが挙げら
れる。
【0110】5.5 LDLP発現または活性を調節する化合物のスクリーニングアッセイ 次のアッセイは、LDLPと相互作用する(例えば、結合する)化合物、LDLPと、
あらゆるリガンド、受容体もしくは補助分子との相互作用を妨害する化合物、な
らびに、LDLP遺伝子発現の活性を調節する(すなわち、LDLP遺伝子発現のレベル
を調節する)、または身体中のLDLPのレベルを調節する化合物を識別するように
設計されている。さらに、LDLP遺伝子調節配列(例えば、プロモーター配列)に
結合することによって、LDLP遺伝子発現を調節することができる化合物を識別す
るアッセイを使用することもできる。例えば、Platt, K.A., 1994, J. Biol. Ch
em. 269:28558-28562を参照されたい。尚、この文献は、参照として本明細書に
その全文を組み込む。
【0111】 本発明に従いスクリーニングすることのできる化合物として、限定するもので
はないが、LDLPに結合し、天然の産物の活性を擬態する(すなわち、アゴニスト
)か、あるいは、天然のリガンド/補助分子の活性を抑制する(すなわち、アン
タゴニスト)いずれかであるペプチド、抗体およびそのフラグメント、およびそ
の他の有機化合物(例えば、ペプチド模擬物);ならびに、LDLP(またはその一
部)を擬態し、LDLPリガンド、受容体、もしくは補助タンパク質を「不活性化」
または「中和」するペプチド、抗体またはそのフラグメント、およびその他の有
機化合物が挙げられる。
【0112】 このような化合物としては、限定するものではないが、下記のものをあげるこ
とができる:例えば、限定するものではないがランダムペプチドライブラリー(
例えば、Lam, K.S.ら、1991, Nature 354:82-84;Houghten, R.ら、1991, Natur
e 354:84-86を参照)ならびに、D-および/またはL-立体配置アミノ酸からなる
コンビナトリアルケミストリー誘導分子ライブラリーのメンバーを含む可溶性ペ
プチド、ホスホペプチド(限定するものではないが、ランダムまたは部分的に縮
重した、定方向ホスホペプチドライブラリーのメンバーを含む;例えば、Songya
ng, Z.ら、1993, Cell 72:767-778参照)のようなペプチド、抗体(限定するも
のではないが、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗イディオタイプ、
キメラまたは一本鎖抗体、ならびに、Fab、F(ab’)2およびFab発現ライブラリー
フラグメント、およびそれらのエピトープ結合フラグメントを含む)、小さい有
機または無機分子。
【0113】 本発明に従いスクリーニングすることのできるその他の化合物として、限定す
るものではないが、下記のものが挙げられる:血液脳関門を通過し、適正な細胞
(例えば、脈絡叢、下垂体、視床下部等)へのエントリーを獲得し、LDLPが介在
する経路に関与するLDLP遺伝子またはその他の遺伝子の発現に作用する(例えば
、遺伝子発現に関与する調節領域または転写因子と相互作用することにより)小
さな有機分子;あるいはLDLPの活性もしくはLDLPが介在する異化または代謝経路
に関与するその他の細胞内因子の活性に影響を及ぼす、または該活性を置換する
ような化合物。
【0114】 コンピュータモデル化および検索技術により、LDLP発現または活性を調節する
ことができる化合物の識別、またはすでに識別された化合物の改良が可能である
。このような化合物または組成物を識別した後、活性部位または領域を識別する
。このような活性部位は、典型的には、リガンド結合部位である。活性部位は、
例えば、ペプチドのアミノ酸配列から、核酸のヌクレオチド配列から、あるいは
、関連化合物の複合体またはその天然リガンドを含む組成物の研究から、当業者
には公知の方法を用いて識別することができる。後者の場合、化学的またはX線
結晶学的方法を用いて、当該因子上に複合リガンドが存在する箇所をみつけるこ
とにより、活性部位をみいだすことができる。
【0115】 次に、上記活性部位の3次元の幾何学的構造を決定する。これは、完全な分子
構造を決定することができるX線結晶学等の公知の方法により達成することがで
きる。一方、固相または液相NMRを用いて、ある種の分子内距離を決定すること
ができる。構造を決定する他のあらゆる実験方法を用いて、部分的または完全な
幾何学的構造を求めることが可能である。天然または人工の複合リガンドを用い
て幾何学的構造を測定することもでき、これにより、決定された活性部位構造の
確度が高められる。
【0116】 不完全な、もしくは確度が不十分な構造を決定する場合には、コンピュータに
基づく数値モデル化を用いて、該構造を完全にする、あるいは、その確度を高め
ることができる。下記のようなあらゆる認められているモデル化方法を用いるこ
とができる:タンパク質または核酸等の特定のバイオポリマーに特異的なパラメ
ーター化モデル、分子運動の計算に基づく分子動力学モデル、熱的集合体(ther
mal ensembles)に基づく統計力学、もしくはこれらの組合せモデル。ほとんど
のタイプのモデルで、構成原子および基間の力を表す標準分子力場(standard m
olecular force fields)を用いることができ、物理化学分野で知られている力
場から選択することができる。不完全または確度の低い実験上の構造は、これら
のモデル化方法により計算された、完全でより確度の高い構造に対する制約条件
として役立つ。
【0117】 最後に、実験的に、モデル化により、あるいはそれらの組合せにより、活性部
位(または結合部位)の構造を決定したら、化合物およびその分子構造に関する
情報を含むデータベースを検索することにより、候補となる調節化合物を識別す
ることができる。このような検索により、決定された活性部位構造と適合し、活
性部位を画定する基と相互作用する構造を有する化合物を探す。このような検索
は、手を使った方法でもよいが、コンピュータを使ったほうがが好ましい。この
検索からみつけたこれらの化合物は、潜在的なLDLP調節化合物である。
【0118】 あるいは、これらの方法を用いて、すでに公知の調節化合物またはリガンドか
ら改良された調節化合物を識別することができる。既知の化合物の組成は修飾す
ることができ、修飾の構造的効果は、上述の実験的およびコンピュータモデル化
方法をその新しい組成に対し用いて、決定することができる。改変された構造を
その化合物の活性部位構造と比較し、適合性または相互作用が向上したか否かを
決定する。このようにして、側基の改変等による組成の系統的変化を迅速に評価
することにより、特異性あるいは活性が向上した修飾された調節化合物やリガン
ドを得ることができる。
【0119】 さらに、LDLPの活性部位(または結合部位)の識別に基づく調節化合物を識別
する上で有用な実験的およびコンピュータモデル化方法、ならびに、関連する形
質導入および転写因子は、当業者には明らかであろう。
【0120】 分子モデル化システムの例として、CHARMmおよびQUANTAプログラム(Polygen
Corporation, Waltham, MA)がある。CHARMmは、エネルギー最小化と分子動力学
関数計算を行う。QUANTAは、分子構造の構築、グラフィックモデル化および解析
を行う。QUANTAにより、分子同士の挙動のインタラクティブな構築、修正、視覚
化および解析が可能になる。
【0121】 下記に挙げるように、多数の論文が、特定のタンパク質と相互作用性である薬
物のコンピュータモデル化について述べている:Rotivinenら、1998, Acta Phar
maceutical Fennica 97:159-166;Ripka, New Scientist 54-57(June 16, 1988
);McKnalyおよびRossmann, 1989, Annu. Rev. Pharmacol. Toxiciol. 29:111-
122;PerryおよびDavies, OSAR: Quantitative Structure-Activity Relationsh
ips in Drug Design pp.189-193(Alan R. Liss, Inc. 1989);LewisおよびDea
n, 1989 Proc. R. Soc. Lond. 236:125-140および141-162;ならびに、核酸成分
のモデル受容体に関しては、Askewら、1989, J. Am. Chem. Soc. 111:1082-1090
。薬品をスクリーニングし、図形表示するその他のコンピュータプログラムは、
BioDesign, Inc.(カリフォルニア州、パサデナ)、Allelix, Inc.(カナダ、オ
ンタリオ州、ミシソーガ)およびHypercube, Inc.(オンタリオ州、ケンブリッ
ジ)等の会社から入手可能である。これらは、特定のタンパク質に特異的な薬物
に適用するためにもともと設計されているが、いったんDNAまたはRNAの領域が確
認されれば、これらの領域に特異的な薬物の設計に適応させることも可能である
【0122】 以上、結合を改変することができる化合物の設計および作製に関して説明して
きたが、天然物質または合成薬品、ならびに、タンパク質のような生物学的に活
性の材料等の公知の化合物のライブラリーを、抑制剤またはアクチベーターであ
る化合物についてスクリーニングすることもできる。
【0123】 細胞に基づく系を用いて、LDLPに結合する(またはこれを擬態する)化合物を
識別すると共に、生存細胞におけるこのような結合と関連する、改変された活性
を評価することができる。このようなアッセイのための、特に興味深い手段の1
つとして、グリーン蛍光タンパク質があり、これは、中でも、米国特許第5,625,
048号に記載されている。尚、該文献は、参照として本明細書に組み入れるもの
とする。このような細胞アッセイに用いられる細胞としては、限定するものでは
ないが、白血球、あるいは、白血球、リンパ球、胚幹細胞のような幹細胞等に由
来する細胞系が挙げられる。さらに、目的とする機能的LDLPを発現し、かつ、試
験による活性化、もしくは薬品または表現型変化により測定される天然のリガン
ド、あるいは、別の宿主細胞遺伝子の誘導に応答するよう、遺伝子工学的に操作
された発現宿主細胞(例えば、B95細胞、COS細胞、CHO細胞、OMK細胞、線維芽細
胞、Sf9細胞)を、アッセイの終点として用いることができる。
【0124】 本明細書に記載したもの等のアッセイにより識別した化合物は、例えば、LDLP
の生物学的機能を解明する上で有用となり得る。このような化合物は、治療上有
効な用量を患者に投与することにより、多様な生理または精神障害のいずれをも
治療することができる。治療上有効な用量とは、あらゆる生物学的症状を改善、
妨害、予防または改変するのに十分な化合物の量である。
【0125】 このような化合物の毒性および治療効能は、例えば、LD50(集団の50%に対し
て致死の用量)およびED50(集団の50%に対して治療上有効な用量)を決定する
ための、細胞培養物または実験動物における標準的製剤手法により、決定するこ
とができる。毒性と治療効果との用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として
表される。治療指数が大きい化合物が好ましい。有毒な副作用を呈示する化合物
を用いてもよいが、特定の実施形態では、このような化合物を患部組織の部位に
ターゲッティングさせるような送達系を設計して、非患部細胞に対する潜在的損
傷を最小限に抑えることにより、副作用を低減するよう注意しなければならない
【0126】 細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータを用いて、ヒトに使用す
る用量の範囲を決めることができる。このような化合物の用量は、毒性が、ほと
んどまたはまったくないED50を含む、循環濃度の範囲内にあるのが好ましい。用
量は、使用する投与形態や、使用する投与経路に応じて、上記範囲内で変動する
。本発明の方法で用いられるあらゆる化合物について、治療に有効な用量は、初
め、細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養で決定されたように
、ID50(すなわち、症状の半最大(half-maxmal)抑制を達成する試験化合物の
濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成する用量を、動物モデルにおいて決定する
ことができる。このような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をさらに正確
に決定することが可能である。血漿中のレベルは、例えば、高性能液体クロマト
グラフィーにより測定することができる。
【0127】 本発明に従い使用する医薬組成物は、1以上の生理学的に許容される担体また
は賦形剤を用いて、従来の方法で製剤することができる。従って、上記化合物、
それらの生理的に許容される塩および溶媒化合物は、吸入または通気法(口もし
くは鼻のいずれかを介して)による投与、または経口、口腔、非経口、頭蓋内、
鞘内投与、あるいは、直腸投与用に製剤することができる。
【0128】 経口投与については、医薬組成物は、下記のような形態を取ることができる:
例えば、結合剤等の製薬上許容される賦形剤(例えば、予備ゼラチン化したトウ
モロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセル
ロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶質セルロースまたはリン酸水素
カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリ
カ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコール酸ナトリウムデン
プン);湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて、通常の手段によ
り調製された錠剤またはカプセル。また、錠剤は、当業者には公知の方法により
コーティングしてもよい。経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップま
たは懸濁液のような形態を取ることができる。あるいは、使用前に水もしくはそ
の他の適した賦形剤を用いて構成する乾燥製剤の形態をしていてもよい。このよ
うな液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体
または食用硬化油);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性
賦形剤(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは精留し
た植物油);ならびに、保存剤(例えば、パラヒドロキシ安息香酸メチルもしく
はプロピル、またはソルビン酸)等の製剤上許容される添加剤を用いて、通常の
方法により調製することができる。また、製剤は、必要に応じて、バッファー塩
、香味剤、着色剤および甘味料を含んでもよい。
【0129】 経口投与用の製剤は、活性化合物の制御されたおよび/または維持された放出
を実施するよう適切に調製することができる。
【0130】 口腔投与の場合、組成物は、通常の方法で調製された錠剤またはロゼンジの形
態をしていてよい。
【0131】 吸入による投与の場合、本発明に従って用いる化合物は、適した噴射剤、例え
ば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフ
ルオロエタン、二酸化炭素もしくは他の適したガスを用いて、加圧パックまたは
ネブライザーからのエーロゾル噴霧の形態で好適に送達する。加圧エーロゾルの
場合には、用量の単位は、計量された量を送達するための弁を設けることによっ
て、決定してもよい。吸入器またはインサフレーターに使用する例えば、ゼラチ
ンからなるカプセルおよびカートリッジは、上記化合物の粉末混合物や、ラクト
ースまたはデンプン等の適した粉末基材を装入して調製することができる。
【0132】 注射、例えば、ボーラス注射または連続輸液等による非経口投与用に化合物を
調製することも可能である。注射用の製剤は、保存剤を添加した、例えば、アン
プルもしくは多数回用量容器中の単位用量形態を取ることができる。組成物は、
油性または水性賦形剤中の懸濁液、溶液または乳液の形態を取ることができ、懸
濁化剤、安定化剤および/または分散剤等の配合剤を含有してもよい。あるいは
、活性成分は、使用前に、適した賦形剤、例えば、発熱物質を含まない滅菌水で
構成するための粉末状をしていてもよい。
【0133】 また、化合物は、坐剤または滞留型(retention)浣腸剤等の直腸内の組成物
、例えば、ココアバターもしくはその他のグリセリドのような通常の座薬基材を
含むものとして調製することもできる。
【0134】 以上記載した製剤以外に、上記化合物は、デポ剤として調製してもよい。この
ような持続的に作用する製剤は、インプラント(例えば、皮下もしくは筋肉内)
により、または筋肉内注射により投与することができる。従って、例えば、上記
化合物は、適したポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中の
乳剤等)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは、低可溶性(sparingly solu
ble)誘導体、例えば、低可溶性塩として調製することができる。
【0135】 上記化合物は、所望であれば、活性成分を含有する1以上の単位用量を含むパ
ックまたは調剤用包装・容器(dispenser device)中に入っていてもよい。該パ
ックは、例えば、ブリスターパックのように、金属またはプラスチックホイルか
らなる。パックまたは調剤用包装・容器には、投与のための説明を備えることが
できる。
【0136】5.5.1 LDLPに結合する化合物のin vitroスクリーニングアッセイ in vitroアッセイ系は、LDLPと相互作用する(例えば、結合する)または擬態
することのできる化合物を同定するように設計する。同定される化合物は、例え
ば、野生型および/または突然変異体LDLPの活性を調節するのに有用であり;LD
LPの生物学的機能を作製するのに有用であり;LDLPの正常な相互作用を破壊する
化合物を同定するスクリーニングに使用することができ;あるいは、この化合物
自体が、このような相互作用を破壊または活性化することもできる。
【0137】 LDLP、もしくはLDLPリガンド、受容体、または補助分子と結合する化合物を同
定するのに用いられるアッセイの原理は、LDLPと試験化合物との反応混合物を、
両成分が相互作用し、結合するのに十分な条件および時間で調製すること、また
、このようにして得られた複合体を回収および/または反応混合物中で検出する
こととを含む。用いられるLDLP種は、スクリーニングアッセイの目的に応じて異
なる。例えば、天然のLDLP補助分子またはリガンドのアゴニストが所望される場
合には、全長LDLP、もしくは可溶性トランケート型LDLP、LDLPペプチド、または
、アッセイ系(例えば、得られる複合体の標識、単離等)に利点をもたらすタン
パク質またはポリペプチドに融合した1以上のLDLP ドメインを含むLDLP融合タ
ンパク質を使用することができる。また、LDLPと直接相互作用する化合物が求め
られる場合には、LDLPに対応するペプチド、およびLDLPを含む融合タンパク質、
もしくはこれらの一部を用いることができる。
【0138】 スクリーニングアッセイは、多様な方法で実施することができる。例えば、こ
のようなアッセイを実施するひとつの方法は、LDLP、LDLPペプチドもしくはポリ
ペプチド、LDLP融合タンパク質、または試験物質を固相に固定し、反応終了時に
、固相に固定したLDLP/試験化合物複合体についてアッセイすることからなる。
このような方法の1実施形態では、LDLP反応体を固相表面に固定し、固定されて
いない試験化合物を直接または間接的に標識することができる。
【0139】 実際には、固相としてマイクロタイタープレートを好適に使用することができ
る。固定する成分は、非共有または共有結合により固定化することができる。非
共有結合は、タンパク質溶液で固体表面をコーティングした後、乾燥するだけで
達成できる。あるいは、固定化させようとするタンパク質に特異的な固定化抗体
、好ましくは、モノクローナル抗体を用いて、タンパク質を固体表面に固定して
もよい。上記表面は、事前に調製し、保存しておくことができる。
【0140】 アッセイを実施するため、固定した成分を含むコーティング済表面に、固定化
されていない成分を添加する。反応の完了後、形成された複合体がすべて、固体
表面に固定化された状態で残るような条件下で、未反応成分を除去する(例えば
、洗浄により)。固体表面上に固定された複合体の検出は、多数の方法によって
達成することができる。予め固定化されていない成分を前もって標識する場合に
は、表面に固定化した標識が検出されれば、複合体が形成されたことがわかる。
予め固定化されていない成分を前もって標識しない場合には、間接的標識を用い
て、表面に固定された複合体を検出することができる。例えば、予め固定化され
ていない成分に特異的な標識抗体を用いることによる(また、該抗体は直接標識
してもよいし、もしくは、標識抗Ig抗体で間接的に標識してもよい)。
【0141】 あるいは、反応を液相で実施し、反応生成物を未反応成分から分離した後、複
合体を検出することも可能である。例えば、LDLP、LDLPペプチドもしくはポリペ
プチド、LDLP融合タンパク質、または、試験物質に特異的な固定化抗体を用いて
、溶液中に形成されたあらゆる複合体を固定した後、考えられる複合体の他の成
分に特異的な標識抗体を用いて、固定された複合体を検出する。
【0142】 あるいは、細胞に基づくアッセイを用いて、LDLPと相互作用する化合物を同定
することができる。このため、LDLPを発現する細胞系、または、LDLPもしくはLD
LPリガンド/補助分子を発現するように遺伝工学的に操作された(例えば、LDLP
DNAを用いたトランスフェクションもしくは形質導入等により)細胞系(例えば
、COS細胞、CHO細胞、繊維芽細胞等)を用いることができる。試験化合物と、例
えば、宿主細胞により発現された、もしくは宿主細胞中に存在するLDLPリガンド
との相互作用は、ネイティブLDLPとの比較または競合により決定することができ
る。
【0143】5.5.2. LDLP受容体/細胞内またはLDLP/膜貫通巨大分子相互作用を妨害する化 合物のアッセイ LDLPと相互作用する巨大分子(限定するものではないが、受容体またはリガン
ド等)は、本明細書での説明のために、「結合パートナー」と呼ぶものとする。
これらの結合パートナーは、LDLPにより媒介される生物学的経路に関与すると考
えられる。従って、このような結合パートナーの相互作用を妨害または破壊する
化合物を同定することが望ましい。このような結合パートナーは、身体における
LDLP活性を調節もしくは増加する際、および/またはLDLP活性(もしくはその欠
損)に関連する障害を制御する際に有用であると思われる。
【0144】 LDLP、LDLPポリペプチド、ペプチド、または前記第5.5.1節に記載した融合物
(集合的に、LDLP成分と呼ぶ)と、その結合パートナーもしくは複数の結合パー
トナーとの間の相互作用を妨害する化合物を同定するのに用いられるアッセイ系
の基本原理は、LDLP成分と結合パートナーとを含む反応混合物を、両成分が相互
作用し、結合するのに十分な条件および時間で調製すること、また、その結果、
複合体を形成することとを含む。化合物の阻害活性について試験するために、試
験化合物の存在下または不在下で、上記反応混合物を調製する。試験化合物は、
初めに反応混合物に含有させてもよいし、あるいは、LDLP成分とその結合パート
ナーを添加した後に添加してもよい。対照反応混合物は、試験化合物を含まずに
、もしくは偽薬を含有させてインキュベートする。次に、LDLP成分と結合パート
ナーとの間に形成されたあらゆる複合体を検出する。複合体が対照反応物中には
形成されたが、試験化合物を含む反応混合物中には形成されない場合には、LDLP
成分と相互作用性結合パートナーとの相互作用を妨害することを示している。さ
らに、試験化合物と「正常な」LDLPを含む反応混合物における複合体形成を、試
験化合物と突然変異LDLPを含む反応混合物における複合体形成と比較することも
できる。この比較は、正常なLDLPとではなく、突然変異体、もしくは突然変異し
たLDLPとの相互作用を特異的に破壊する化合物を同定したい場合に、重要となり
うる。
【0145】 LDLP成分とその結合パートナーとの相互作用を妨害する化合物のアッセイは、
異種または均一フォーマットで実施することができる。不均一アッセイは、LDLP
成分または結合パートナーのいずれかを固相に固定し、反応の終了時に、固相に
固定された複合体を検出することを含む。均一アッセイでは、全反応を液相で実
施する。いずれの手法においても、反応体の添加順序を変えることにより、試験
しようとする化合物に関する様々な情報を得ることができる。例えば、競合によ
り相互作用を妨害する試験化合物は、試験物質の存在下で反応を実施することに
より(すなわち、LDLP成分と相互作用性結合パートナーよりも前に、または、こ
れらと同時に反応混合物に試験化合物を添加することにより)、同定することが
できる。あるいは、予め形成している複合体を破壊する試験化合物(例えば、複
合体から成分の1つを置換する、より結合定数を有する化合物)を、複合体が形
成された後、反応混合物に試験化合物を添加することにより試験することも可能
である。以下に、多様なフォーマットについて簡単に説明する。
【0146】 不均一アッセイ系では、LDLP成分または相互作用性結合パートナーのいずれか
を固相に固定すると共に、固定されていない化学種は、直接または間接的に標識
する。実際には、マイクロタイタープレートが便利に使用される。固定した化学
種は、非共有または共有結合によって固定化することができる。非共有結合は、
LDLP成分または結合パートナーの溶液で固体表面をコーティングした後、乾燥す
るだけで達成できる。あるいは、固定しようとする化学種に特異的な固定化抗体
を用いて、当該化学種を固体表面に固定してもよい。この固体表面は、事前に調
製し、保存しておくことができる。
【0147】 アッセイを実施するため、固定した化学種のパートナーを、試験化合物を含む
、もしくは含まないコーティング済表面に露出させる。反応の完了後、未反応成
分を除去する(例えば、洗浄により)ことにより、形成された複合体がすべて固
体表面に固定化された状態で残る。固体表面に固定された複合体の検出は、多数
の方法で達成することができる。固定化していない化学種を前もって標識する場
合には、表面に固定化した標識が検出されれば、複合体が形成されたことがわか
る。固定化していない化学種を前もって標識しない場合には、間接的標識を用い
て、表面に固定された複合体を検出することができる。例えば、初め固定化して
いない化学種に特異的な標識抗体を用いることによる(また、該抗体は、直接標
識してもよいし、もしくは、標識抗Ig抗体で間接的に標識してもよい)。反応成
分の添加順序に応じて、複合体形成を阻害する試験化合物、または、前もって形
成された複合体を破壊する試験化合物を検出することができる。
【0148】 あるいは、試験化合物の存在下または不在下の液相において、反応を実施し、
反応生成物を未反応成分から分離した後、複合体を検出することも可能である。
例えば、結合成分の1つに特異的な固定化抗体を用いて、溶液中に形成されたあ
らゆる複合体を固定した後、他方のパートナーに特異的な標識抗体を用いて、固
定された複合体を検出する。ここでも、液相への反応体の添加順序に応じて、複
合体形成を阻害する試験化合物、または、前もって形成された複合体を破壊する
試験化合物を検出することができる。
【0149】 本発明の別の実施形態では、不均一アッセイを使用することができる。この手
法では、LDLP成分と相互作用性結合パートナーとの前もって形成した複合体を調
製する。その際、LDLP成分またはその結合パートナーのいずれかを標識するが、
標識により発生するシグナルは、複合体の形成によって、消光される(例えば、
この手法をイムノアッセイに用いる、Rubensteinによる米国特許第4,109,496号
を参照)。前もって形成した複合体からの化学種の1つと競合し、これと置換す
る試験物質の添加により、バックグラウンドよりも高いシグナルが発生する。こ
のようにして、LDLP/細胞内結合パートナー相互作用を破壊する試験物質を同定
することができる。
【0150】 具体的実施形態では、LDLP融合物を調製して、固定化する。例えば、LDLPまた
はLDLPペプチド断片を、pGEX-5X-1(PharmaciaおよびATCCから入手可能)のよう
な融合ベクターを用いて、グルタチオン-S-転移酵素(GST)遺伝子に融合し、得
られた融合タンパク質に、その結合活性が維持されるようにすることができる。
当業界で通常実施され、前記第5.3節に記載した方法を用いることにより、相
互作用性結合パートナーを精製し、モノクローナル抗体を作製することができる
。この抗体は、例えば、当業界で通常実施されている方法により、放射性同位体125 Iで標識してもよい。不均一アッセイでは、例えば、GST-LDLP融合タンパク質
をグルタチオン−アガロースビーズに固定することができる。次に、試験化合物
の存在下または不在下で、相互作用性結合パートナーを添加することにより、相
互作用および結合が起こるようにする。反応時間の終了時に、結合していない物
質を洗浄して除去し、標識モノクローナル抗体を上記系に添加することにより、
複合体化した成分と結合することができる。LDLP成分と相互作用性結合パートナ
ーとの相互作用は、グルタチオン−アガロースビーズに残存する放射能量を測定
することにより、検出することができる。試験化合物による相互作用の阻害が成
功すれば、放射能の測定量が減少するであろう。
【0151】 あるいは、固体グルタチオン−アガロースビーズの不在下で液体中に、GST-LD
LP成分融合タンパク質と相互作用性結合パートナーを一緒に混合してもよい。試
験化合物は、化学種を相互反応させる間、またはその後のいずれかに添加する。
次に、この混合物をグルタチオン−アガロースビーズに添加し、結合していない
物質を洗浄して除去する。ここでも、標識抗体を添加し、ビーズに含まれる放射
能を測定することにより、LDLP成分/結合パートナーの相互作用における阻害の
程度を検出することができる。
【0152】 本発明の別の実施形態では、前記と同じ技法を使用することができ、全長タン
パク質の一方または両方に代わり、LDLP成分および/または相互作用性もしくは
結合パートナー(結合パートナーがタンパク質の場合)の結合ドメインに対応す
るペプチド断片を用いる。当業界で通常実施されている多数の方法のいずれかを
用いて、結合部位を同定および単離することができる。これらの方法として、限
定するものではないが、タンパク質の1つをコードする遺伝子の突然変異誘発や
、共免疫沈降アッセイにおける結合の破壊に対するスクリーニングが挙げられる
。次に、複合体中の第2の化学種をコードする遺伝子における補償突然変異を選
択することができる。それぞれのタンパク質をコードする遺伝子の配列分析から
、相互作用性結合に関与するタンパク質の領域に対応する突然変異が明らかにな
るであろう。あるいはまた、前記の方法を用いて、1つのタンパク質を固体表面
に固定し、その標識結合パートナーと相互作用させて、結合させる。尚、該結合
パートナーは、トリプシンのようなタンパク質分解酵素で処理されている。洗浄
後、結合ドメインを含む比較的短い標識ペプチドが、固体材料に結合したまま残
り、これを単離した後、アミノ酸配列決定により同定することができる。また、
いったん細胞内結合パートナーをコードする遺伝子が得られたら、短い遺伝子セ
グメントを遺伝子操作して、タンパク質のペプチド断片を発現させた後、これを
結合活性について試験し、精製または合成することも可能である。
【0153】 例えば、制限する意図はないが、GST-LDLP成分融合タンパク質を作製し、これ
をグルタチオン−アガロースビーズと結合させることにより、LDLP成分を前述の
ように固体材料に固定することができる。相互作用性結合パートナーを35Sのよ
うな放射性同位体で標識し、トリプシンのようなタンパク質分解酵素で切断する
ことができる。次に、切断生成物を固定したGST-LDLP成分融合タンパク質に添加
し、結合させる。非結合ペプチドを洗浄により除去して、細胞内結合パートナー
結合ドメインを表示する標識結合物質を溶離、精製した後、公知の方法によりア
ミノ酸配列について分析する。このように同定したペプチドは、合成により作製
するか、または、組換えDNA技法を用いて適した促進タンパク質に融合すること
ができる。
【0154】5.5.3. ノーザンブロット 様々な組織で、ノーザンブロットを実施した。組織によって相対強度が変動す
る2つの転写物(約3.4 kbおよび約4.4 kb、それぞれ「下部(lower)」および
「上部(upper)」)がある。骨格筋における下部(3.4 kb)転写物は、非常に
明るい(オフスケール)。次に明るい組織は、甲状腺(下部のみ)、心臓(下部
の方が上部より明るい)、ならびに脊髄(上部の方が明るい)である。次に明る
いのは、脳(上部の方が明るい)、前立腺(上部の方が明るい)、精巣(上部の
み)、卵巣(上部のみ)、および結腸(下部)である。また、陽性は、膵臓(上
部のみ)、胎盤(上部)、小腸(上部)、末梢血液白血球(上部)、リンパ節(
上部)、気管(両方)、副腎(上部)、ならびに、骨髄(下部)である。恐らく
、残りの組織(胎盤、肺、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺、および胃)の上部バンドに
対応する非常に弱いシグナルが存在すると思われる。
【0155】 本発明は、本明細書に記載した具体的実施形態にその範囲が制限されるもので
はなく、これらの実施形態は、本発明の個々の態様を例示するために挙げたに過
ぎず、機能的に同等の方法および成分も、本発明の範囲に含まれる。実際、本明
細書に示し、説明したもの以外にも、以上の説明および添付の図面から、本発明
に対する様々な変更が当業者には明らかであろう。このような変更は、添付の請
求の範囲に含まれるものとする。また、本明細書に引用した出版物、特許および
特許出願等の文献はすべて、参照として本明細書にその全文を組み入れるものと
する。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/705 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 ザンブロウィックズ,ブライアン,ピー. アメリカ合衆国 77382 テキサス州,ザ ウッドランズ,ファイアーソーン プレ イス 18 (72)発明者 フリードリッヒ,グレン,エー. アメリカ合衆国 77381 テキサス州,ザ ウッドランズ,リフレクション ポイン ト 30 (72)発明者 サンズ,アーサー,ティー. アメリカ合衆国 77382 テキサス州,ザ ウッドランズ,ブリストル ベンド サ ークル 163 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA63 CA02 4C084 AA07 BA01 BA08 BA18 CA18 CA23 NA14 ZA36 ZA42 ZA45 ZC33 4H045 AA10 BA10 CA40 DA50 EA20 EA50

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1のヌクレオチド配列の少なくとも24個の連続した
    塩基を含む単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 以下のヌクレオチド配列: (a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、又は (b) ストリンジェントな条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列もしくはその
    相補鎖とハイブリダイズするヌクレオチド配列、 を含む単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 配列番号1のヌクレオチド配列の少なくとも約34個の連続し
    た塩基を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 配列番号3に示される配列を有する、請求項3に記載の単離
    された核酸分子。
  5. 【請求項5】 配列番号2の少なくとも12個の連続したアミノ酸を含む単離
    されたタンパク質、ポリペプチド、又はペプチド。
  6. 【請求項6】 配列番号2に示される配列を有する、請求項5に記載のタン
    パク質。
  7. 【請求項7】 配列番号4に示される配列を有する、請求項5に記載のタン
    パク質。
  8. 【請求項8】 以下のヌクレオチド配列: (a) 配列番号4に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、又は (b) ストリンジェントな条件下で、配列番号3のヌクレオチド配列もしくはその
    相補鎖とハイブリダイズするヌクレオチド配列、 を含む単離された核酸分子。
JP2001530477A 1999-10-11 2000-10-11 ヒトldl受容体ファミリータンパク質及びそれをコードするポリヌクレオチド Pending JP2003530078A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15900599A 1999-10-11 1999-10-11
US60/159,005 1999-10-12
PCT/US2000/028081 WO2001027274A1 (en) 1999-10-12 2000-10-11 Human ldl receptor family proteins and polynucleotides encoding the same

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003530078A true JP2003530078A (ja) 2003-10-14

Family

ID=29249921

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001530477A Pending JP2003530078A (ja) 1999-10-11 2000-10-11 ヒトldl受容体ファミリータンパク質及びそれをコードするポリヌクレオチド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003530078A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002541810A (ja) 新規リポキシゲナーゼタンパク質およびそれをコードするポリヌクレオチド
US20060293512A1 (en) Novel human uncoupling proteins and polynucleotides encoding the same
JP2003508076A (ja) ヒトgタンパク質と共役する7回膜貫通受容体およびそれをコードするポリヌクレオチド
JP2003527838A (ja) 新規ヒト膜タンパクおよびそれをコードするポリヌクレオチド
US20040038345A1 (en) Novel human seven-transmembrane receptors
JP2003510014A (ja) ヒトイオンチャンネルタンパク質
EP1226170B1 (en) Human chordin and polynucleotides encoding the same
US6806083B2 (en) Human LDL receptor encoding polynucleotides
JP2003530078A (ja) ヒトldl受容体ファミリータンパク質及びそれをコードするポリヌクレオチド
JP2003533215A (ja) 新規の7回膜貫通タンパク質および前記タンパク質をコードするポリヌクレオチド
EP1311544B1 (en) Human 7-transmembrane proteins and polynucleotides encoding the same
US20050234228A1 (en) Novel human seven transmembrane proteins and polynucleotides encoding the same
JP2004531209A (ja) 新規ヒト7tmタンパクおよびそれをコードするポリヌクレオチド
US6790667B1 (en) Human mitochondrial proteins and polynucleotides encoding the same
JP2003511027A (ja) 新規ヒト膜タンパク質
JP2004506447A (ja) 新規ヒト7tmタンパクおよびそれをコードするポリヌクレオチド
JP2003530075A (ja) ヒト7tmタンパク受容体およびそれをコードするポリヌクレオチド
JP2003529348A (ja) 新規ヒト膜タンパクおよびそれをコードするポリヌクレオチド
US20020061556A1 (en) Novel membrane proteins and polynucleotides encoding the same
US20050215776A1 (en) Novel human 7TM proteins and polynucleotides encoding the same
US20040077078A1 (en) Novel human membrane proteins
US20020031802A1 (en) Novel seven transmembrane proteins and polynucleotides encoding the same
JP2004533221A (ja) 新規ヒト7tmタンパクおよびそれをコードするポリヌクレオチド
EP1621621A1 (en) Human 7tm protein receptors and polynucleotides encoding the same