JP2003510014A - ヒトイオンチャンネルタンパク質 - Google Patents

ヒトイオンチャンネルタンパク質

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JP2003510014A JP2000615759A JP2000615759A JP2003510014A JP 2003510014 A JP2003510014 A JP 2003510014A JP 2000615759 A JP2000615759 A JP 2000615759A JP 2000615759 A JP2000615759 A JP 2000615759A JP 2003510014 A JP2003510014 A JP 2003510014A
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ターナー、アレクサンダー、シー.,ジュニア
オルソン、アンドリュー
ザムブロウィッツ、ブライアン
フリードリッヒ、グレン、エー.
サンズ、アーサー、ティー.
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レキシコン ジェネティックス インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明はヒトイオンチャンネルタンパク質(ICP)の新規のファミリーを提供する。本発明はさらに、ICPに特異的なアゴニスト、アンタゴニスト、抗体、アンチセンス分子を提供し、さらにICP用として遺伝子操作した発現ベクターおよびそのベクターを含んでいる宿主細胞を提供する。本発明はさらに、本明細書に開示されたICPもしくはそのICPをコードする遺伝子の使用を含んでいる、ICP活性に影響を及ぼす分子を同定/産生するためのプロセスを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】新規のヒトイオンチャンネルタンパク質 本出願は1999年5月5日出願の米国仮特許出願第60/132.541号に対して35 U.S.C
. §119(e)に従って優先権を主張するものであるが、この出願は本明細書中にそ
の全体を参照により組み入れることとする。
【0002】1. 緒言 本発明は、イオンチャンネルタンパク質と構造的な類似性を共有するタンパク
質をコードする新規のヒトポリヌクレオチドの発見、同定、およびそれの特性を
明らかにすることに関する。本発明は本明細書に記載のポリヌクレオチド、宿主
細胞発現系、コードされたタンパク質、融合タンパク質、ポリペプチドおよびペ
プチド、そのコードされたタンパク質およびペプチドに対する抗体、ならびに開
示された遺伝子のうちの少なくとも1つを欠くか、もしくは開示された遺伝子を
過剰に発現する遺伝子操作された動物、本明細書に記載のタンパク質のアンタゴ
ニストおよびアゴニスト、ならびに診断、医薬品のスクリーニング、臨床試験の
モニタリング、および/または生理学的障害もしくは行動障害の治療に用いるこ
とのできる、開示された遺伝子によってコードされるタンパク質の発現もしくは
活性をモジュレートするその他の化合物を包含する。
【0003】2. 本発明の背景 イオンチャンネルタンパク質はイオンの細胞の内部へもしくは外部への移動を
選択的に容易ならしめるものである。そのような機作は細胞性および代謝性ホメ
オスタシス、ニューロンの機能、およびシグナル伝達の維持、ならびに薬剤耐性
に重要な役割を果たしている。従って、イオンチャンネルタンパク質は新規の治
療薬剤の開発および研究のうってつけの標的となっている。
【0004】3. 本発明の要旨 本発明は新規のイオンチャンネル様タンパク質ICPをコードするヌクレオチド
、およびそれに対応する本明細書に記載の新規イオンチャンネル様タンパク質(I
CP)のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドの発見、同定、および特性を明ら
かにすることに関する。本明細書中で初めて記載されたICPはイオンの膜を通過
する移動に関与する膜結合タンパク質である。本明細書に記載のICPは種々のイ
オンチャンネルタンパク質、特にナトリウムもしくはカルシウムチャンネルタン
パク質と構造的類似性を共有する。類似のナトリウムもしくはカルシウムチャン
ネルタンパク質は興奮性膜の電位依存性のイオン透過性に関与することができる
【0005】 ICPをコードする配列は当初はヒト細胞中で作成されたキメラ遺伝子トラップ
転写産物を介して同定された。本明細書に記載の新規のヒトICPは長さがアミノ
酸約398個および417個の長さで(それぞれ配列番号2および4を参照せよ)、その各
々が少なくとも6個の別々の疎水性ドメインを有しているタンパク質をコードす
る。本明細書に記載のタンパク質の大きさは、例えばナトリウムチャンネルのβ
サブユニット(ナトリウムチャンネルαサブユニットにジスルフィド結合で付着
している)中に観察されるものと類似のものだが;本明細書に記載のタンパク質
はより大きなイオンチャンネルαサブユニットと広い類似性を共有している。従
って、本明細書に記載のタンパク質はイオンチャンネルタンパク質の新規のファ
ミリーを説明するものである。
【0006】 本発明は配列表に示されているヌクレオチド、そのヌクレオチドを発現してい
る宿主細胞、そのヌクレオチドの発現産物、および:(a)本明細書に特に記載し
たヒトICP遺伝子を含む本明細書に記載のICPの哺乳類の同族体をコードするヌク
レオチド;(b)ICPの機能性ドメインに対応する1つ以上の部分をコードするヌク
レオチド、ならびにそのヌクレオチド配列によって特定されるポリペプチド産物
で、そのドメインとしては、限定はされないが、細胞外ドメイン(ECD)、1つ以上
の膜貫通ドメイン(TM)、および細胞質ドメイン(CD)のいずれでも良いがその新規
領域を含んでいる;(c) ドメインのうちの少なくとも1つが全てもしくは一部分
欠失した、もしくは変えられた、本明細書に記載のICPの操作されたもしくは天
然に生ずる変異体をコードする単離されたヌクレオチド、ならびにそのヌクレオ
チド配列によって特定されるポリペプチド産物であり、そのようなものとしては
、限定はされないが、TMが全てもしくは一部欠失した可溶性レセプター、および
別のドメインが全てもしくは一部分欠失した非機能性レセプターが含まれる;(d
)別のペプチドもしくはポリペプチドと融合させたICP由来のコード領域、もしく
はそのドメインの1つ(例えば細胞外ドメイン)を含む融合タンパク質をコードす
るヌクレオチド、を包含する。
【0007】 本発明はまた、ICPのアゴニストおよびアンタゴニストを包含しており、その
ようなものとしては小分子、大分子、変異ICP、もしくはそれらの部分、および
抗体、ならびに本明細書に記載のICPの発現を阻害するために用いることのでき
る(例えば、アンチセンスおよびリボザイム分子、および遺伝子もしくは調節配
列置換構築物)、もしくは本明細書に記載のICP遺伝子の発現を増大させるために
用いることのできる(例えば、本明細書に記載の遺伝子を強力なプロモーターの
制御下に置いている発現構築物)ヌクレオチド配列、ならびにICPトランスジーン
を発現しているトランスジェニック動物、または機能性ICPを発現しない「ノッ
クアウト」動物(これは条件的なものとすることができる)(例えばPCT出願番号PC
T/US98/03243、1998年2月20日出願、これは本明細書中に参照により組み入れる
こととするが、この特許出願を参照せよ)。ノックアウト動物に加えて、本発明
のさらなる態様は、ICPの活性もしくは発現を修飾する、本明細書に記載の遺伝
子の少なくとも1つに遺伝子操作で作られた変異(すなわち、点突然変異、過剰発
現変異、その他)を有する動物を含むものである。
【0008】 さらに、本発明は本明細書に記載のICP遺伝子および/もしくはそれにコードさ
れるICPを、ICP遺伝子発現および/もしくはICP活性をモジュレートする、すなわ
ちアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用する化合物の同定のために用い
る方法にも関する。そのような化合物は生物学的障害もしくは不均衡の種々の症
状としての現れを治療するための治療薬として用いることができる。
【0009】4. 配列表の説明 配列表は、本明細書に記載のICPポリヌクレオチドの配列、およびそれによっ
てコードされるアミノ酸配列を提供する。
【0010】5. 発明の詳細な説明 本明細書で初めて記載されるヒトICPは、ヒト細胞中に存在する遺伝子によっ
て発現される新規のトランスポータータンパク質である。それらとイオンチャン
ネルタンパク質とは類似性があるので、本明細書に記載のICPは脂質二重層(すな
わち膜)を横切るイオンの移動におそらく関与しているものと思われる。イオン
チャンネルタンパク質は体内で広範な役割を直接的もしくは間接的に果たしてお
り、そのようなものとしては限定はされないが、ニューロトランスミッターのリ
サイクル、血液量/血圧の調節、分子輸送、栄養素および液体の吸収、エネルギ
ー産生、その他が挙げられる。従って、ICP機能の妨害、中和、もしくは増強は
広範囲の生理学的変化を引き起こす。イオンチャンネルタンパク質はその生物学
的重要性の故に、化学的な/商業的な精査が大いに行われてきた(例えば、米国特
許第5,380,836号を参照すればよいが、この特許は本明細書中にその全体を参照
により組み入れることとする)。
【0011】 本発明は本明細書に記載のICP遺伝子ヌクレオチド、ICP、ペプチドおよびそれ
から由来した融合物、ならびにICPに対する抗体、好ましくはヒト化モノクロー
ナル抗体、または抗体の結合フラグメント、ドメイン、もしくは融合タンパク質
(これらは例えばICPアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用することがで
きる)、ICP機能もしくはICP発現を阻害するアンタゴニスト、またはICP活性を活
性化する、もしくはICP発現を増加させるアゴニストの使用を包含し、または本
発明はICP関連疾患もしくは障害の診断および治療に用いることができる。その
ようなICP関連疾患の例としては、限定はされないが、脳卒中、精神疾患、痴呆
、アルツハイマー病、うつ病、腎疾患、高血圧もしくは低血圧、心肺疾患、感染
症の副作用、不妊、および不整脈が挙げられる。
【0012】 とりわけ、下記の小節で述べられている本発明は、ICP、ICPの機能性ドメイン
(例えば、ECD、TM、もしくはCD)に対応するICPポリペプチドもしくはペプチド、
ICPの変異型、末端切断型(truncated)もしくは欠失型(例えばICPの機能性ドメ
インもしくは部分の1つ以上が欠けている修飾型で、例えばΔECD、ΔTM、および
/もしくはΔCD)、ICP融合タンパク質(例えば、ICPもしくはECDなどのICPの機能
性ドメインをそれらとは関連のないタンパク質もしくはペプチド、例えば免疫グ
ロブリン定常領域、すなわちIgFcなどと融合させたもの)、そのような産物をコ
ードするヌクレオチド配列、ならびにそのようなICP産物を産生することのでき
る宿主細胞発現系を包含する。
【0013】 本発明は、抗体および好イディオタイプ抗体(Fabフラグメントを含む)、本明
細書に記載のICPのアンタゴニストおよびアゴニスト、ならびにICP遺伝子の発現
を阻害する化合物もしくはヌクレオチド構築物(転写因子インヒビター、アンチ
センスおよびリボザイム分子、または遺伝子もしくは調節配列置換構築物)、ま
たはICPの発現を促進する化合物もしくはヌクレオチド構築物(例えば、ICPコー
ド配列が発現制御エレメント、例えばプロモーター、プロモーター/エンハンサ
ー、その他などと機能しうる形で結合している発現構築物)をも包含する。本発
明はまた、遺伝子操作によってヒトICP(もしくはその変異体)を発現するように
、または動物の内因性ICP遺伝子の発現を阻害もしくは「ノックアウト」するよ
うにした宿主細胞および動物にも関する。そのようなノックアウト動物の別の変
種としては、動物遺伝子の内因性コピーが、宿主動物にもとからあったものでは
ない配列によってコードされる関連の活性によって置き換えられている「ノック
イン」動物が含まれる(例えば、ヒトオーソログが対応する内因性遺伝子を置換
するために用いられている場合)。
【0014】 本明細書に記載のICP、もしくはそれから由来するペプチド、ICP融合タンパク
質、ICPヌクレオチド配列、抗体、アンタゴニストおよびアゴニストはICP関連疾
患もしくは障害の診断のための、変異ICPもしくは不適切に発現されたICPの変異
体の検出のために有用なものとすることができる。ICP、もしくはそれから由来
するペプチド、ICP融合タンパク質、ICP遺伝子ヌクレオチド配列、宿主細胞発現
系、抗体、アンタゴニスト、アゴニスト、および遺伝子操作された細胞および動
物は、体内のICPの正常な機能を攪乱する症候もしくは表現型の出現の治療に有
効な薬剤のスクリーニング(もしくは化合物「ライブラリー」のハイスループッ
トスクリーニング)に用いることもできる。操作された宿主細胞および/もしくは
動物の使用によって、そのような系がICPのECDに結合する化合物の同定を可能に
するのみならず、そのICPの活性に影響を及ぼす化合物の同定をも行えるという
利点を提供しうる。
【0015】 最後に、ICP産物(特に、ICP ECDに対応するペプチド、もしくは1つ以上のTMド
メインを欠く末端切断型ポリペプチドなどの可溶性誘導体)および融合タンパク
質産物(特に、ICP-Ig融合タンパク質、すなわちICPもしくはICPのドメイン、例
えばECD、ΔTMとIgFcとの融合体)、抗体および抗イディオタイプ抗体(Fabフラグ
メントを含む)、アンタゴニスト、もしくはアゴニストは疾患の治療に用いるこ
とができる。例えば、可溶性ICP ECD、ΔTM、もしくはECD-IgFc融合タンパク質
、またはICP ECDを模倣した抗イディオタイプ抗体(もしくはそのFab)の有効量の
投与は、ICPエフェクター、モジュレーター、もしくはアクチベーター、リガン
ド、を掃討する(mop up)もしくは中和する、およびイオンチャンネルの発現およ
び/もしくは活性を防止もしくは低減する。あるいはまた、そのようなICP誘導体
は直接的に対応するイオンチャンネル巨大分子と結合し、例えば正常ICP機能/ア
センブリーと競合することによってイオンチャンネル機能に影響を及ぼしうる。
【0016】 そのようなICP産物をコードするヌクレオチド構築物は宿主細胞がin vivoでそ
の産物を発現するように遺伝子操作するために用いることができる;これらの遺
伝子操作された細胞は、ICP活性を増強するかもしくはICP活性を阻害するかのい
ずれかをすることのできるICP、ICPペプチド、可溶性ECDもしくはΔTMもしくはI
CP融合タンパク質を継続的に送達供給する体内の「バイオリアクター」として機
能している。機能性ICP、突然変異ICP変異体、ならびにアンチセンスおよびリボ
ザイム分子をコードするヌクレオチド構築物は従って、ICP発現のモジュレーシ
ョンのための「遺伝子治療」アプローチに用いることができる。従って、本発明
は、医薬剤型および生物学的障害を治療するための方法をも包含し、その方法に
は1つ以上の本明細書に記載のICP遺伝子もしくは産物を含んでいる。そのような
遺伝子治療もしくは遺伝子送達のための適切なベクター/系としては、限定はさ
れないが、レトロウイルス、レンチウイルス、SIV、HIV、アデノウイルス、アデ
ノ随伴ウイルス、脂質結合(および特に陽イオン性脂質結合)ポリヌクレオチド調
製品、マイクロキャリアービーズもしくは格子体、ヘルペスウイルスベクター、
肝炎ウイルスベクター、ポリヌクレオチド含有エマルジョン、「裸の」DNA含有
の製剤、その他が挙げられる。
【0017】 本発明の種々の態様は下記の小節で詳述する。
【0018】5.1 ICP遺伝子 本明細書に記載のヒトICPのcDNA配列およびそれから推論されるアミノ酸配列
は配列表に示している。配列番号1〜4は、特に脳、心臓、腎臓、骨、および精巣
を含む臓器をPCRでアッセイするときほぼあまねく発現されている新規のヒトイ
オンチャンネルタンパク質の変異体を記載している。ノーザン分析では、精巣中
で優勢に発現されている約1.9-2.1kbの主たる転写物が示されている。配列を調
べるために用いたcDNAは精巣のcDNAライブラリーから単離されたものである。発
現のパターンがあれば、ICP、もしくはそれを標的とする薬剤は不妊もしくはイ
ンポテンスの治療に、産児制限、もしくはアンドロゲン(すなわちテストステロ
ン、その他)産生の調節のためにも有用であろう。
【0019】 配列番号1から4を用いた相同性の研究では本明細書に記載の分子が特に種々の
哺乳動物のソースから得たナトリウムチャンネルタンパク質αサブユニットおよ
びショウジョウバエ(Drosophila paralytic)タンパク質と実質的な類似性を有す
ることを示している。配列番号3および4は別のICP配列を記している。
【0020】 本発明のICPは次のものを含んでいる:(a)配列表に示されているICPをコード
するヒトDNA配列、さらに隣接し機能性ICPオープンリーディングフレーム(ORF)
をコードするいかなるヌクレオチド配列をも意図しており、そのORFは配列表に
示したDNA配列の相補体と高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし
、また機能的に同等の遺伝子産物をコードするが、そのストリンジェントな条件
とは、例えば、65℃で0.5M NaHPO4、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM ED
TA中のフィルターに結合させたDNAとハイブリダイズさせ、68℃において0.1xSSC
/0.1% SDS中で洗浄する条件である(Ausubel, F.M.ら編, 1989, Current Protoco
ls in Molecular Biology, 第1巻, Green Publishing Associated, Inc. および
John Wiley & Sons, Inc. New York, p.2.10.3)。さらにまた、配列表に示され
ているアミノ酸配列をコードし発現するDNA配列の相補体と中等度にストリンジ
ェントな条件でハイブリダイズするいかなるヌクレオチド配列をも意図しており
、その条件とは例えば、0.2xSSC/0.1% SDS、42℃(Ausubelら, 1989, 同上)であ
り、そのようなヌクレオチド配列は機能的に等価なICP産物を依然としてコード
する。ICPの機能的に等価なものとしては、他の種の体内に存在する天然に生ず
るICP、および天然に生じたものもしくは操作されたもののいずれでもよいが突
然変異したICPを含んでいる。本発明は開示した配列の縮重変異体をも含んでい
る。
【0021】 本発明は本明細書に記載のICP遺伝子配列とハイブリダイズする、すなわちそ
れと相補的な核酸分子、好ましくはDNA分子をも含んでいる。そのようなハイブ
リダイゼーション条件は本明細書に記載のとおり、高度にストリンジェントな、
もしくはより高度でないストリンジェントなものとすることができる。該核酸分
子がデオキシリボヌクレオチド(「DNAオリゴ」)である場合には、その分子は典
型的には約16〜約100個、約20〜約80個、もしくは約34個〜約45個の塩基の長さ
、またはそれらの示された大きさを変えたもの、もしくは組み合わせのどのよう
なものでも良く、配列表に開示された配列の隣接領域を組み込んだものである。
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、ライブラリーのスクリーニング、クロ
ーンの単離、ならびにクローニングおよびシークエンシングの鋳型を調製するた
めのポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)で用いることができる。あるいはまた、該オ
リゴヌクレオチドはハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる
。オリゴヌクレオチドプローブのための高度にストリンジェントな条件としては
、例えば37℃(14塩基のオリゴ用)、48℃(17塩基のオリゴ用)、55℃(20塩基のオ
リゴ用)、および60℃(23塩基のオリゴ用)の6xSSC/0.05% ピロリン酸ナトリウム
中で洗うことを挙げることができる。該核酸分子、もしくはそのような配列を含
んでいるポリヌクレオチドは、例えば、ICP遺伝子調節に(および/もしくはICP遺
伝子核酸配列の増幅反応においてアンチセンスプライマーとして)有用なICPアン
チセンス分子をコードするもしくはICPアンチセンス分子として作用することが
できる。ICP遺伝子調節に関して述べれば、その技法は、本明細書に記載のICPに
よって影響を受ける生物学的機能の調節に用いることができる。さらに、そのよ
うな配列を、ICP遺伝子の調節にも有用なリボザイムおよび/もしくは三重らせん
配列の部分として用いることができる。
【0022】 低ストリンジェンシー条件は当業者にはよく知られており、ライブラリーおよ
び標識配列が由来した特定の生物体の如何によって予測しうる形で変わる。その
ような条件に関する手引きとして、例えば、Sambrookら, 1989, 「分子クローニ
ング、実験室のマニュアル」(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)(およ
びその定期的な改訂版), Cold Spring Harbor Press, N.Y.; およびAusubelら,
1989, 「分子生物学の最近のプロトコル」(Current Protocols in Molecular Bi
ology), Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.を参照せ
よ。
【0023】 あるいはまた、適切に標識されたICPヌクレオチドプローブは、適切なストリ
ンジェント条件、もしくはPCRを用いてヒトゲノムライブラリーのスクリーニン
グに用いることができる。ヒトゲノムクローンの同定と特性を明らかにすること
は多型性の同定、所与の遺伝子座/対立遺伝子のゲノム構造の決定、および診断
用試験のデザインのために有益である。例えば、ヒト遺伝子のイントロン/エキ
ソン境界に近接した領域から由来する配列を、エキソン、イントロン、スプライ
ス部位(例えば、スプライスアクセプターおよび/もしくはドナー部位)、その他
の内部の突然変異を検出するための増幅アッセイに用いるプライマーをデザイン
するために用いることができ、そのプライマーは、診断および薬理ゲノミクスに
用いることができる。
【0024】 さらに、ICP遺伝子相同体は、本明細書に開示したICP産物中に存在するアミノ
酸配列に基づいてデザインされた2つの縮重オリゴヌクレオチドプライマープー
ルを用いたPCRを行うことによって、目的の生物体から得た核酸から単離するこ
とができる。PCR反応の鋳型は、例えば、ICP遺伝子を発現していることが既知の
、もしくは発現しているものと考えられるヒトもしくは非ヒト細胞系統または組
織から調製した、総RNA、mRNA、および/もしくはmRNAの逆転写によって得られた
cDNAとすることができる。
【0025】 PCR産物は、増幅された配列が所望のICP遺伝子の配列を示しているか確認する
ためにサブクローン化し、配列を調べることができる。次いでそのPCRフラグメ
ントを、種々の方法で完全長のcDNAクローンを単離するために用いることができ
る。例えば、増幅された断片を標識し、バクテリオファージのcDNAライブラリー
などのcDNAライブラリーのスクリーニングに用いることができる。あるいはまた
、その標識された断片はゲノムライブラリーのスクリーニングを行ってゲノムク
ローンを単離するために用いることができる。
【0026】 PCR技法は完全長cDNA配列を単離するためにも用いることができる。例えば、R
NAは標準的な方法を用いて適切な細胞性もしくは組織ソース(すなわち、例えば
精巣組織などのICP遺伝子を発現していることが既知の、もしくは発現している
ものと考えられるソース)から単離することができる。逆転写(RT)反応は第1の鎖
の合成のプライミングのために増幅された断片の最も5'末端に対して特異的なオ
リゴヌクレオチドプライマーを用いてRNA上で行うことができる。この結果得ら
れたRNA/DNAハイブリッドは次いで標準的なターミナルトランスフェラーゼ反応
を用いてテイルを付け、そのハイブリッドはRNaseHで消化することができ、次い
で第2の鎖の合成は相補的なプライマーを用いて開始することができる。従って
増幅された断片の上流のcDNA配列は容易に単離することができる。用いることの
できるクローニングの方策の総説としては例えば、Sambrookら, 1989, 前掲を参
照せよ。
【0027】 突然変異体ICP遺伝子のcDNAは、例えばPCRを用いて単離することができる。こ
の場合には、第1のcDNA鎖は、オリゴdTオリゴヌクレオチドと、突然変異体ICPを
コードしている対立遺伝子を有しているものと推測される個体中で、発現されて
いることが既知の組織または発現されていると考えられる組織から単離されたmR
NAとをハイブリダイズさせ、逆転写酵素によって新しい鎖を伸長させることによ
って合成することができる。次いでcDNAの第2の鎖は正常な遺伝子の5'末端と特
異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを用いて合成することができる。
続いてこれら2つのプライマーを用いて、産物をPCRで増幅し、適切なベクターの
いずれか中にクローン化し、当業者にはよく知られている方法によるDNA配列分
析にかける。突然変異体ICP対立遺伝子のDNA配列を対応する正常なICP対立遺伝
子のそれと比較することによって、突然変異体ICP産物の機能の喪失もしくは変
化の原因となる突然変異を確認することができる。
【0028】 あるいはまた、突然変異体ICP対立遺伝子を有していることが既知の固体また
は有しているものと思われる個体から得たDNAを用いてゲノムライブラリーを構
築することができ、または突然変異体もしくは別の様式でスプライスされたICP
対立遺伝子を発現していることが既知の組織または発現していると思われる組織
から得たRNAを用いて、cDNAライブラリーを構築することができる。続いて正常I
CP遺伝子または任意のその好適な断片を標識し、そのようなライブラリー中の対
応する突然変異体ICP対立遺伝子を同定するためのプローブとして用いることが
できる。次いで、突然変異体ICP遺伝子配列を含有しているクローンを精製し、
当業者にはよく知られている方法に従って配列分析にかけることができる。
【0029】 さらにまた、発現ライブラリーを、例えば、突然変異体ICP対立遺伝子を有し
ていることが既知の固体または有していると思われる個体中の、そのような突然
変異対立遺伝子を発現していることが既知の組織または発現していると思われる
組織から単離されたRNAから合成されたcDNAを用いて構築することができる。こ
の方法では、突然変異体を有していると推定される組織によって作られた遺伝子
産物を発現させ、標準的な抗体スクリーニング技法により、正常ICP産物に対し
て作製された抗体を用いて下記の第5.3節に記載のとおりスクリーニングするこ
とができる(スクリーニング技法については、例えば、Harlow, E.とLane編, 198
8, 「抗体:実験室マニュアル」(Antibody:A Laboratory Manual), Cold Spring
Harbor Press, Cold Spring Harborを参照せよ)。
【0030】 さらに、スクリーニングは標識ICP融合タンパク質、例えばAP-ICPもしくはICP
-AP融合タンパク質などを用いて行うことができる。ICP突然変異により機能に変
化のある遺伝子産物が発現される場合には(例えばミスセンスもしくはフレーム
シフト変異の結果として)、所与のICPに対するポリクローナル抗体のセットが対
応する突然変異体ICP遺伝子産物と交差反応するものと思われる。標識抗体との
反応によって検出されたライブラリークローンを精製し、当業者にはよく知られ
ている方法に従って配列分析にかけることができる。
【0031】 本発明は突然変異体ICP、ICPのペプチド断片、末端切断型ICP、およびICP融合
タンパク質をコードするヌクレオチド配列を包含する。これらのヌクレオチド配
列としては限定はされないが、後述の第5.2節に記載の突然変異体ICP;ICPのECD
、TM、および/もしくはCDドメイン、またはそれらのドメインの任意の部分の1つ
以上に対応するポリペプチドもしくはペプチド;ドメインの1つ以上が欠失して
いる末端切断型ICP、例えば、TM領域を欠失した、またはTMとCDの双方の領域を
欠失した可溶性ICP、または例えばCD領域の全部もしくは一部を欠失した、末端
切断型非機能性ICP、これらのものをコードするヌクレオチド配列が含まれる。
融合タンパク質をコードするヌクレオチドとしては、限定はされないが、無関係
のタンパク質もしくはペプチド、例えば、ICP ECDを細胞膜に固定する膜貫通配
列;結果として得られる融合タンパク質(例えば、ICP-Ig)の血流中の安定性およ
び半減期を増大させるIgFcドメイン;マーカーとして用いることのできる酵素、
蛍光タンパク質、発光タンパク質などに融合させた、完全長ICP配列、末端切断
型ICP、もしくはICPのペプチド断片をコードするヌクレオチドが挙げられる。
【0032】 本発明はまた、(a)ICPコード配列および/もしくはそれの相補体(すなわちアン
チセンス)のいずれかを含有するDNAベクター;(b)コード配列の発現を指令する
調節エレメントと機能しうる形で連結されたICPコード配列のいずれかの部分を
含むDNA発現ベクター;および(c)宿主細胞中でコード配列の発現を指令する調節
エレメントと機能しうる形で連結されたICPコード配列を含むように操作された
遺伝子操作された宿主細胞をも包含する。本明細書で用いている調節エレメント
とは、限定はされないが、誘導性および誘導性ではないプロモーター、エンハン
サー、オペレーター、およびその他の当業者には既知の、発現を駆動し調節する
エレメントが挙げられる。そのような調節エレメントとしては、限定はされない
が、サイトメガロウイルスhCMVの極初期遺伝子、調節可能な、ウイルス性(特に
レトロウイルスLTRプロモーター)SV40 アデノウイルスの初期もしくは後期プロ
モーター、lac系、trp系、tac系、trc系、λファージの主要オペレーターとプロ
モーター、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK
)のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、および酵母α-接合因子
のプロモーターが挙げられる。
【0033】5.2 ICP産物 ICP、それから由来するペプチド断片、突然変異型、末端切断型もしくは欠失
型のICPおよび/もしくはICP融合タンパク質は種々の使用のために調製すること
ができ、そのような使用としては、限定はされないが、抗体の作成、診断用アッ
セイにおける試薬として、ICPと関連または相互作用する他の細胞性遺伝子産物
の同定、精神的、生物学的、もしくは医学的な障害もしくは疾患の治療において
有用な医薬品となりうる化合物をスクリーニングするためのアッセイでの試薬と
しての使用が挙げられる。
【0034】 配列表は本明細書に記載のICP遺伝子でコードされるアミノ酸配列を開示する
。本明細書に記載のICPはイニシエーターのメチオニンをDNA配列のコンテクスト
中に有しており、これは翻訳開始部位と一致しその後に開始コドンがある。
【0035】 本発明のICP配列には、配列表に示されているヌクレオチドおよびアミノ酸配
列、ならびにそれらの類似体および誘導体を含む。さらに、他の生物種から得た
対応するICP相同体が本発明に包含される。事実、上記の第5.1節に記載されてい
るICP遺伝子のヌクレオチド配列によってコードされるICPタンパク質はいずれも
本発明の範囲内にあり、配列表に示されたアミノ酸配列の新規部分の全体または
一部のいずれかをコードする新規のポリヌクレオチド配列についても本発明の範
囲内にある。遺伝コードの縮重性はよく知られており、従って配列表に示されて
いる各アミノ酸は、よく知られた核酸の「トリプレット」コドン、または多くの
場合ではアミノ酸をコードするコドンの総称的な代表である。そのように、本明
細書で意図としているとおり、配列表に示されているアミノ酸配列は、遺伝暗号
と共に考慮するとき(例えば、「分子細胞生物学」(Molecular Cell Biology), 1
986, J. Darnellら編, Scientific American Books, New York, NY, これは本明
細書中に参照により組み入れることとする)、そのようなアミノ酸配列(ならびに
ヒトのコドン使用頻度表によって偏りを持たせた変異体)をコードする核酸配列
の種々の置換および組合せの総称的な代表を示している。
【0036】 本発明は、第5.1節に記載のヌクレオチド配列によってコードされるICPと機能
的に等価なタンパク質も包含するが、その等価であることは多数の判断基準のい
ずれかによって判断され、その判断基準としては限定はされないが、ICPのリガ
ンドを結合またはトランスファーする能力、同一または相補的な生物学的経路に
影響を及ぼす能力、細胞性の代謝(例えば、イオンフラックス、チロシンリン酸
化など)の変化に影響を及ぼす能力、またはICPの等価物が適切な細胞タイプ中に
存在する場合に表現型に同じ変化を及ぼすこと(例えば生化学的、生物物理学的
、もしくは明白な表現型の改良、予防、もしくは遅延など)が挙げられる。その
ような機能的に等価なICPとしては、限定はされないが、上記の第5.1節で記載し
たICP ICP遺伝子配列によってコードされるアミノ酸配列内でのアミノ酸残基の
追加もしくは置換であるが、変化はサイレントでそれ故に機能的に等価の遺伝子
産物が産生されるものが挙げられる。アミノ酸の置換は、極性の類似、電荷、溶
解性、疎水性、親水性、および/もしくは関与する残基の両性の性質に基づいて
行うことができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としてはアラニン、ロイシ
ン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、お
よびメチオニン;極性中性アミノ酸としてはグリシン、セリン、トレオニン、シ
ステイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミン;正電荷を有する(塩基
性)アミノ酸としてはアルギニン、リジン、およびヒスチジン;負電荷を有する(
酸性)アミノ酸としてはアスパラギン酸、およびグルタミン酸が挙げられる。
【0037】 ICP遺伝子DNAにランダムな突然変異を作る(当業者にはよく知られているラン
ダム突然変異誘発技法を用いて)ことができ、その結果得られる突然変異体ICPの
活性を調べることができるが、ICPコード配列の部位特異的突然変異を行わせて(
当業者にはよく知られている部位特異的突然変異誘発技法を用いて)、例えば輸
送基質への結合/輸送アフィニティーがより高いなどの機能が増大した、または
機能が低下した突然変異体ICPを作成することができる。そのような分析のため
の出発点の1つは、異なる種の間で保存されているアミノ酸配列およびモチーフ
を同定するために、他の哺乳動物から得た対応する遺伝子/タンパク質の配列と
開示されたヒト配列とのアライメントを行うことである。遺伝子操作によって、
機能、シグナル伝達能力、もしくはその双方を変えるために種々の位置で非保存
的変化を作ることができる。あるいはまた、機能を変えることが求められる場合
には、保存された領域(すなわち同一のアミノ酸)を欠失させるか、または非保存
的変更を加えることができる。例えば、種々の保存された膜貫通ドメインを欠失
させること、または非保存的なものへ変える(置換もしくは挿入)ことである。
【0038】 ICPコード配列へのその他の突然変異を、選択された宿主細胞における発現、
スケールアップなどをより適切なものとしたICPを作るために行うことができる
。例えば、ジスルフィド架橋を除去するためにシステイン残基を欠失させるか、
またはは別のアミノ酸で置換することができる;窒素に連結されたグリコシル化
部位は、例えば、N-結合部位を高度にグリコシル化することが知られた酵母宿主
から、より容易に回収して精製しうる均一な産物の発現を行うために変化させる
かもしくは除去することができる。この目的で、ECD中に存在するグリコシル化
認識配列(N-X-SもしくはN-X-T)のいずれか1つ以上の第1および第3のアミノ酸の
位置のうちの1つもしくは双方を種々のアミノ酸で置換すると、および/またはEC
D中のそのような認識配列の1つ以上の第2の位置で1個のアミノ酸を欠失させると
、修飾されたトリペプチド配列の位置でのICPのグリコシル化が防止される(例え
ばMiyajimaら, 1986, EMBO J. 5(6):1193-1197)。
【0039】 ICPの1つ以上のドメイン(例えばECD、TM、CDなど)、末端切断または欠失させ
たICP(例えば、ECD、TM、および/もしくはCD、またはそれらの部分のいずれかを
欠失させたICP)、ならびに完全長のICP、ICPペプチド、または末端切断型ICPを
無関係のタンパク質と融合させた融合タンパク質に対応するペプチドも本発明の
範囲内であり、ここに開示しているICP遺伝子ヌクレオチドおよびICPアミノ酸配
列に基づいてデザインすることができる。そのような融合タンパク質としては、
限定はされないが、ICPもしくはICPペプチドを安定化し、in vivoでの半減期を
延長するIgFc融合体;または、融合タンパク質が細胞膜に固定されECDを細胞表
面に提示するアミノ酸配列との融合体;またはマーカー機能を提供する酵素、蛍
光タンパク質、もしくは発光タンパク質との融合体が挙げられる。
【0040】 ICP、および対応するペプチドは化学的に合成することができるが(例えば、Cr
eighton, 1983, 「タンパク質:構造と分子の原理」(Proteins:Structures and
Molecular Principles), W.H. Freeman & Co., N.Y.)、ICPおよび特に完全長のI
CP産物から誘導した大きなポリペプチドを、タンパク質発現の当業界にはよく知
られている技法を用いて組換えDNA技法によって有利に産生できる。そのような
方法を用いて、第5.1節に記載のICP遺伝子ヌクレオチド配列および適切な転写お
よび翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築できる。それらの方法としては
、例えば、in vitro組換えDNA技法、合成技法、およびin vivo遺伝的組換えを挙
げることができる。例えば、Sambrookら, 1989, 前掲、およびAusubelら, 1989,
前掲を参照せよ。あるいはまた、ICP遺伝子配列によってコードされる転写物の
全体もしくは一部分に対応するRNAは、例えば合成機を用いて化学的に合成する
ことができる。例えば、「オリゴヌクレオチド合成」"Oligonucleotide Synthes
is", 1984, Gait, M.J.編, IRL Press, Oxfordを参照されたい。これは本明細書
中にその全体を参照により組み入れることとする。
【0041】 本発明のICP遺伝子ヌクレオチド配列を発現させるために種々の宿主-発現ベク
ター系を用いることができる。ICPペプチドもしくはポリペプチドが可溶性誘導
体である場合には(例えば、ECDに対応するICPペプチド;TMおよび/またはCDが欠
失された、末端切断型または欠失されたICP)、そのペプチドもしくはポリペプチ
ドは培養物から、すなわち、ICPペプチドまたはポリペプチドが分泌されない場
合には宿主細胞から回収することができ、ICPペプチドまたはポリペプチドが細
胞によって分泌される場合には培地から回収することができる。しかしそのよう
な発現系には、ICPまたは機能的に等価のものをin situで、すなわち細胞膜に固
定された状態で発現する遺伝子操作された宿主細胞も含まれる。そのような発現
系からのICPの精製および濃縮は、適切な界面活性剤および脂質ミセル、ならび
に当業者にはよく知られている方法を用いて行うことができる。しかしそのよう
な遺伝子操作された宿主細胞自体は、ICPの構造的および機能的特性を保持する
ことのみならず、生物学的活性を評価することもまた重要である状況で、例えば
薬剤スクリーニングアッセイなどで用いることができる。
【0042】 本発明の目的で用いることのできる発現系としては限定はされないが、ICPヌ
クレオチド配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコ
スミドDNA発現ベクターで形質転換させた細菌(例えば大腸菌、枯草菌)などの微
生物;ICPヌクレオチド配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換させた酵
母(例えばサッカロマイセス、ピヒア);ICPヌクレオチド配列を含む組換えウイ
ルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;ICPヌク
レオチド配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイ
クウイルス, CaMV;タバコモザイクウイルス, TMV)に感染させた、または組換え
プラスミド発現ベクター(例えばTi プラスミド)で形質転換した植物細胞;また
は哺乳動物細胞ゲノムに由来するプロモーター(例えばメタロチオネインプロモ
ーター)もしくは哺乳動物ウイルスのゲノムに由来するプロモーター(例えばアデ
ノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組
換え発現構築物を内部に含む哺乳動物細胞系(例えばCOS、CHO、BHK、293、3T3そ
の他)が挙げられる。
【0043】 細菌の系では、発現させようとするICP産物がどのように使用されるかによっ
て多数の発現ベクターのうち有利なものを選択することができる。例えば、ICP
を含む医薬組成物の作成のため、またはICPもしくは対応するペプチドに対する
抗体を作成するためにそのようなタンパク質を多量に産生させようとする場合に
は、例えば、容易に精製しうる融合タンパク質産物の高レベルでの発現を指令す
るベクターが望ましいであろう。そのようなベクターとしては、限定はされない
が、大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら, 1983, EMBO J. 2:1791)、このベクタ
ー中ではICP遺伝子コード配列をベクター中にlacZコード配列とインフレームで
連結させることができ、それによって融合タンパク質が産生される;pINベクタ
ー(InouyeとInouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109; Van HeekeとSch
uster, 1989, J.Biol.Chem. 264:5503-5509);などを挙げることができる。pGEX
ベクターも外来ポリペプチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融
合タンパク質として発現させるために用いることができる。一般的にはそのよう
な融合タンパク質は可溶性で溶解させた細胞からグルタチオン-アガロースビー
ズに吸着させ、次いで遊離のグルタチオンの存在下で溶出させることによって容
易に精製することができる。pGEXベクターはトロンビンまたは第Xa因子プロテア
ーゼ開裂部位を含むようにデザインされており、それによってクローン化された
標的遺伝子産物のGST部分の放出が可能となる。
【0044】 昆虫の系では、オートルラファ(Autographa californica)核多角体病ウイルス
(AcNPV)が外来遺伝子を発現させるベクターとして用いられる。このウイルスは
スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。ICP遺
伝子コード配列を個々にウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)中に
クローン化しAcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に
置くことができる。ICP遺伝子コード配列の挿入が成功すればポリヘドリン遺伝
子の不活化と非遮断(non-occluded)組換えウイルス(すなわち、ポリヘドリン遺
伝子によってコードされるタンパク質性の外套を欠くウイルス)の産生がもたら
される。続いてこれらの組換えウイルスを用いて、スポドプテラ・フルギペルダ
細胞に感染させ、その細胞中で挿入遺伝子を発現させることができる(例えば、S
mithら, 1983, J. Virol. 46:584; Smith, 米国特許第4,215,051号を参照せよ)
【0045】 哺乳動物宿主細胞では、多数のウイルスをベースとした発現系を用いることが
できる。発現ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合には、ICP遺伝子から
のヌクレオチド配列をアデノウイルスの転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プ
ロモーターおよび3部分からなるリーダー配列に連結することができる。次いで
このキメラ遺伝子をin vitroもしくはin vivo組換えによってアデノウイルスゲ
ノム中に挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば領域E1も
しくはE3)への挿入によって、感染させた宿主細胞中でICP産物を発現させること
のできる、生存可能な組換えウイルスがもたらされることとなる(例えば、Logan
とShenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659)。挿入されたICPヌ
クレオチド配列の効率的な翻訳には特定の開始シグナルも必要とされる。そのよ
うなシグナルとしてはATG開始コドンおよび隣接配列を挙げることができる。そ
れ自体の開始コドンおよび隣接配列を含む完全なICP遺伝子もしくはcDNAが、適
切な発現ベクター中に挿入されている場合には、追加の翻訳制御シグナルは必要
ないであろう。しかし、ICPコード配列の一部分のみが挿入されている場合には
、外因性の翻訳制御シグナル、おそらくATG開始コドンを含むが、そのようなシ
グナルが提供されなければならない。さらに、全挿入物の翻訳を確保するために
は、開始コドンは所望のコード配列のリーディングフレームと同調していなけれ
ばならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および
合成の種々の起源のものとすることができる。発現の効率は適切は転写エンハン
サーエレメント、転写ターミネーターなどを含ませることによって増強できる(B
ittmerら, 1987, Methods in Enzymol. 153:516-544を参照せよ)。
【0046】 さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現をモジュレートする、または遺
伝子産物を所望の特定の様式で修飾およびプロセシングするものを選択すること
ができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えばグリコシル化)およびプロセ
シング(例えば開裂)は、そのタンパク質の機能にとって重要なものとなりうる。
種々の宿主細胞はタンパク質および遺伝子産物の翻訳後のプロセシングおよび修
飾のための特徴および特異的メカニズムを有している。発現された外来タンパク
質の正しい修飾およびプロセシングを確保するために適切な細胞系もしくは宿主
系を選択することができる。この目的のために、一次転写物の適切なプロセシン
グ、グリコシル化、および遺伝子産物のリン酸化のための細胞性機構を有してい
る真核細胞の宿主細胞を用いることができる。そのような哺乳動物宿主細胞とし
ては限定はされないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、およびW
I38細胞系が挙げられる。
【0047】 組換えタンパク質の長期間の高収率での産生のためには、安定な発現が好まし
い。例えば、ICPを安定に発現する細胞系を遺伝子操作により作り出すことがで
きる。ウイルス起源の複製起点を含む発現ベクターを用いるのではなく、宿主細
胞を、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー配列、
転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されるDNAおよび選
択マーカーで形質転換することができる。外来性DNAの導入後、遺伝子操作され
た細胞を栄養素に富む培地中で1〜2日間増殖させ、次いで選択培地に切り替える
。組換えプラスミド中の選択マーカーは選択に対する耐性を付与し、細胞がその
プラスミドをその細胞の染色体中に安定にインテグレートして増殖巣(foci)の形
成まで増殖できるようにし、その増殖巣をクローン化して細胞系にまで拡大でき
るものとする。この方法はICP産物を発現する細胞系を遺伝子操作するために用
いると有利である。そのような遺伝子操作された細胞系は、ICPの内因性の活性
に影響を及ぼす化合物のスクリーニングおよび評価において特に有用であろう。
【0048】 多数の選択システムを用いることができ、そのようなものとしては限定はされ
ないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら, 1977, Cell 11:223
)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskiとSz
ybalski, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:2026)、およびアデニンホスホ
リボシルトランスフェラーゼ(Lowyら, 1980, Cell 22:817)遺伝子をそれぞれ対
応するtk、hgprt、aprt細胞で用いることができる。また、代謝拮抗物質
耐性を次の遺伝子での選択の基礎として用いることができる:dhfr, これはメト
トレキサートに対する耐性を付与する(Wiglerら, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 77:3567;O'Hareら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);gpt,
これはミコフェノール酸に対する耐性を付与し(MulliganとBerg, 1981, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);neo, これはアミノグリコシドG-418に対する
耐性を付与し(Colberre-Garapinら, 1981, J.Mol.Biol. 150:1);およびhygro,
これはハイグロマイシンへの耐性を付与する(Santerreら, 1984, Gene 30:147)
【0049】 あるいはまた、いかなる融合タンパク質でも、発現されている融合タンパク質
に対して特異的な抗体を用いることによって容易に精製することができる。例え
ば、Janknechtらによって報告されている系では、ヒト細胞系統中で発現されて
いる非変性融合タンパク質を容易に精製することができる(Janknechtら, 1991,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972-8976)。このシステムでは、目的の遺伝子
はワクシニア組換えプラスミド中に、その遺伝子のオープンリーディングフレー
ムが翻訳しうる形でアミノ末端の6個のヒスチジン残基からなるタグと融合する
ようにサブクローン化される。組換えワクシニアウイルスを感染させた細胞から
得た抽出物をNi2+-ニトリロ酢酸-アガロースカラム上にロードし、ヒスチジン
タグを付加したタンパク質はイミダゾール含有バッファーで選択的に溶出される
【0050】 ICP産物はトランスジェニック動物中で発現させることもできる。どのような
種の動物でも、限定はされないが、虫(worm)、マウス、ラット、ウサギ、モルモ
ット、ブタ、ミニブタ、鳥類、ヤギ、イヌ、ネコ、および非ヒト霊長類、例えば
ヒヒ、サル、およびチンパンジーを、ICPトランスジェニック動物を作成するた
めに用いることができる。
【0051】 当業界で既知の技法のいずれかでICPトランスジーンを動物に導入してトラン
スジェニック動物の創始系統を作成するために用いることができる。そのような
技法としては限定はされないが、前核マイクロインジェクション(pronuclear mi
croinjection)(Hoppe, P.C.とWagner, T.E., 1989, 米国特許第4,873,191号);
レトロウイルス媒介性の生殖細胞系への遺伝子トランスファー(Van der Putten
ら, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6148-6152);胚性幹細胞中での遺伝
子ターゲティング(Thompsonら, 1989, Cell 56:313-321);胚の電気穿孔法(Lo,
1983, Mol.Cell Biol. 3:1803-1814);および精子媒介性の遺伝子トランスファ
ー(Lavitranoら, 1989, Cell 57:717-723);などが挙げられる。そのような技法
についての総説は、Gordon, 1989, 「トランスジェニック動物」(Transgenic An
imals), Intl. Rev.Cytol. 115:171-229を参照すればよく、これは本明細書中に
その全体を参照により組み入れることとする。
【0052】 本発明は、その動物の全ての細胞中にICPトランスジーンを有しているトラン
スジェニック動物、ならびにそのトランスジーンを動物の細胞全部ではなく一部
に有している動物、すなわちモザイク動物または体細胞トランスジェニック動物
を提供する。そのトランスジーンは単一のトランスジーンとして組み込むか、ま
たはコンカテマー中に例えばヘッド対ヘッド(head-to-head)タンデムもしくはヘ
ッド対テイル(head-to-tail)タンデムで組み込むことができる。そのトランスジ
ーンはまた、例えばLaskoら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-6236
の教示に従って特定の細胞タイプ中に選択的に導入し活性化することもできる。
そのような細胞タイプ特異的活性化に必要とされる調節配列は、目的とする特定
の細胞タイプの如何により、当業者には明白なものであろう。
【0053】 ICPトランスジーンが内因性ICP遺伝子の染色体部位中に組み込まれることを所
望する場合には、遺伝子ターゲティングが好ましい。簡潔に述べれば、そのよう
な技法を用いる際には、内因性ICP遺伝子と相同なヌクレオチド配列のいくつか
を含有するベクターは、染色体配列との相同組換えによって、内因性遺伝子の機
能を効果的に破棄する変異原性配列を、標的ICP遺伝子中に組み込むようにデザ
インされる(すなわち「ノックアウト」細胞および動物)。
【0054】 またトランスジーンを、例えばGuらの教示(1994, Science, 265:103-106)に従
って特定の細胞タイプ中に選択的に導入させて、その細胞タイプ中のみで内因性
のICP遺伝子が不活化されるようにすることができる。そのような細胞タイプ特
異的不活化に必要な調節配列は、目的とする特定の細胞タイプの如何により、当
業者には明白なものであろう。
【0055】 ひとたびトランスジェニック動物を作成すれば、組換えICP遺伝子の発現は標
準的な技法を用いてアッセイすることができる。最初のスクリーニングはサザン
ブロット分析またはPCRで動物組織を分析してトランスジーンがゲノム中に組み
込まれているかどうかを決定して行い得る。トランスジェニック動物の組織中の
そのトランスジーンによるmRNA発現のレベルは、限定されないが、その動物から
得られた組織サンプルのノーザンブロット分析、in situハイブリダイゼーショ
ン分析、およびRT-PCRなどの技法を用いて測定することができる。ICP遺伝子を
発現している組織のサンプルも、例えば、そのトランスジーンのICP産物に特異
的な抗体を用いる免疫細胞化学的方法を用いて評価することができる。
【0056】5.3 ICPに対する抗体 ICPのエピトープ、もしくはICPの保存された変異体のエピトープ、もしくはIC
Pのペプチド断片の1つ以上を特異的に認識する抗体も本発明に包含される。その
ような抗体としては、限定はされないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル
抗体(mAb)、ヒト、ヒト化、もしくはキメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、
F(ab')2フラグメント、Fab発現ライブラリーによって産生されるフラグメント
、抗イディオタイプ抗体(抗Id)、および本明細書に記載のもののいずれかのエピ
トープ結合フラグメントを挙げることができる。
【0057】 本発明の抗体は、例えば、生物学的サンプル中のICPの検出に用いることがで
き、従って、診断薬もしくは予後判定法の一部として用いることができるが、そ
れらの技法によって患者は異常な量のICP発現もしくは活性について試験される
。そのような抗体はまた、例えば下記の第5.5節に記載の化合物スクリーニング
スキームで供試化合物のICP産物の発現および/もしくは活性に及ぼす影響を評価
するために用いることもできる。さらに、そのような抗体は、例えば細胞による
正常なおよび/もしくは操作されたICPの発現を、それらの患者体内への導入前に
評価するために、遺伝子治療法と関連して用いることができる。そのような抗体
はさらにまた、異常なICP活性の阻害のための方法として用いることができる。
このように、これらの抗体はICPが関連する生物学的障害の治療法の一部として
用いることができる。
【0058】 抗体を産生させるために、種々の宿主動物にICP、ICPペプチド(例えば、ECD、
TM、もしくはCDなどの受容体の機能を有するドメインに対応するもの)、末端切
断型ICPポリペプチド(1個以上のドメイン、例えばTMもしくはCDが欠失しているI
CP、もしくはその一部分)、または、ICPの機能を有する等価物、またはICP突然
変異体を注射することによって免疫することができる。そのような宿主動物とし
ては限定はされないが、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、を少数ながら挙げるこ
とができる。宿主動物種の如何によって、免疫応答を増大させるために種々のア
ジュバントを用いることができ、そのようなアジュバントとしては、限定するも
のではないが、フロイント(完全もしくは不完全)、水酸化アルミニウムなどの無
機質ゲル、界面活性剤、例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、多価陰
イオン、ペプチド、油性エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジ
ニトロフェノール、および有用である可能性のあるヒトアジュバント、例えばBC
G(bacille Calmette-Guerin)、およびコリネバクテリウム パルバム(Cornebact
erium parvum)などが挙げられる。ポリクローナル抗体は免疫された動物の血清
に由来する抗体分子のヘテロな集団である。
【0059】 モノクローナル抗体は、特定の抗原と結合する抗体の均一な集団であり、抗体
分子を産生するためのいずれかの技術により、例えば、培養の細胞系によって取
得することができる。これらの技術は、限定されるものでないが、Kohlerおよび
Milsteinのハイブリドーマ技術(1975, Nature 256:495-497;および米国特許第
4,376,110号)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら, 1983, Immunology T
oday 4:72;Coleら, 1983,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030)、およ
びEBVハイブリドーマ技術(Coleら, 1985, Monoclonal Antibodies And Cancer
Therapy(モノクローナル抗体と癌治療), Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)が
挙げられる。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含むいずれの免疫
グロブリンクラスでも、またそれらのいずれのサブクラスでもよい。本発明のmA
bを産生するハイブリドーマは、in vitroでまたはin vivoで培養してもよい。高
力価mAbのin vivo産生ができるのでこれは本発明の好ましい産生方法である。
【0060】 さらに、標準の組換えDNA技術を利用して作り得るヒトおよび非ヒト部分の両
方を含んでなるキメラおよびヒト化モノクローナル抗体のような組換え抗体が、
本発明の範囲に入る。キメラ抗体はその異なる部分が異なる動物種から誘導され
た分子であって、例えばマウスmAbから誘導された可変部とヒトの免疫グロブリ
ン定常部とを有する(例えば、本明細書に参照によりその全文が組み入れられる
、Cabillyら,米国特許第4,816,567号;およびBossら,米国特許第4,816,397号を
参照)。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1以上の相補性決定領域(CDR)およびヒ
ト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有することを特徴とする非ヒ
ト種からの抗体分子である(例えば、本明細書に参照によりその全文が組み入れ
られる、Queen,米国特許第5,585,089号を参照)。そのようなキメラおよびヒト
化モノクローナル抗体は、当業界で公知のの組換えDNA技術により作製すること
ができ、例えば、次に記載の方法を利用する;PCT公開番号WO87/02671;欧州特
許出願184,187;欧州特許出願171,496;欧州特許出願173,494;PCT公開番号WO86
/01533;米国特許第4,816,567号:欧州特許出願125,023;Betterら, (1988) Sci
ence 240:1041-1043;Liuら, (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-344
3;Liuら, (1987) J. Immunol. 139:3521-3526;Sunら, (1987) Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 84:214-218;Nishimuraら, (1987) Canc. Res. 47:999-1005;Woo
dら, (1985) Nature 314:446-449;およびShawら, (1988) J. Natl. Cancer Ins
t. 80:1553-1559;Morrison(1985) Science 229:1202-1207;Oiら, (1986) Bio/
Techniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら, (1986) Nature 321:552-
525;Verhoeyanら, (1988) Science 239:1534;およびBeidlerら, (1988) J. Im
munol. 141:4053-4060。
【0061】 ヒト患者の治療処置用には完全なヒト抗体が特に望ましい。そのような抗体は
、例えば、内因性免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現できないがヒトの
重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを利用
して産生できる。トランスジェニックマウスを、選択した抗原、例えば本発明の
ポリペプチドの全部もしくは一部分を用いて通常の方法で免疫感作する。抗原に
対するモノクローナル抗体は、通常のハイブリドーマ技術を利用して取得しても
よい。トランスジェニックマウスにあるヒト免疫グロブリントランスジーンは、
B細胞分化中に再構成し、次いでクラススイッチおよび体細胞変異を受ける。従
って、この技術を利用して治療上有用なIgG、IgAおよびIgE抗体を産生すること
が可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概観については、Lonberg
およびHuszar(1995, Int. Rev. Immunol. 13:65-93)を参照のこと。ヒト抗体
およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術およびそのような抗体
を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、米国特許第5,62
5,126号;米国特許第5,633,425号;米国特許第5,569,825号;米国特許第5,661,0
16号;および米国特許第5,545,806号を参照すること。さらに、Abgenix Inc.(F
remont, CA)などの会社は、上記と同様な技術を使って選択した抗原に対するヒ
ト抗体の提供を請負っている。
【0062】 選択したエピトープを認識する完全なヒト抗体は「手引きによる選択(guided
selection)」と呼ばれる技術を利用して作製することができる。この手法では
、選択した非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス抗体を用いて、上記エピト
ープを認識する完全なヒト抗体の選択を手引きする(Jespersら, (1994) Bio/te
chnology 12:899-903)。
【0063】 あるいは、一本鎖抗体の作製について記載された技術(米国特許第4,946,778
号;Bird, 1988, Science 242:423-426;Hustonら, 1988, Proc. Natl. Acad. S
ci. USA 85:5879-5883;およびWardら, 1989, Nature 334:544-546)を適用して
ICP産物に対する一本鎖抗体を作製することができる。Fv部の重鎖および軽鎖フ
ラグメントをアミノ酸架橋を介して連結し、一本鎖ポリペプチドを得ることによ
って一本鎖抗体が形成される。
【0064】 特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは公知の技術によって作製する
ことができる。例えば、そのようなフラグメントとして、限定されるものでない
が、抗体分子のペプシン消化により作製し得るF(ab')2フラグメント、およびF(a
b')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって作製し得るFabフ
ラグメントのようなフラグメントが挙げられる。あるいは、Fab発現ライブラリ
ー(Huseら, 1989, Science, 246:1275-1281)を構築して、所望の特異性をもつ
モノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な同定を可能にしてもよい。
【0065】 ICPに対する抗体を利用し、当業界で周知の技術を使って、ICPを「模倣」する
抗イディオタイプ抗体を作製することができる(例えば、GreenspanおよびBona,
1993, FASEB J 7(5):437-444;およびNissinoff, 1991, J. Immunol. 147(8):2
429-2438を参照)。例えば、ICP ECDと結合して競合によりICPのリガンドもしく
は補助(accessory)分子の結合を阻害する抗体を利用して、ICP ECDを「模倣」
し、従って、リガンドもしくはICP補助分子と結合して中和する抗イディオタイ
プを作製してもよい。そのような中和作用のある抗イディオタイプ、またはその
ような抗イディオタイプ抗体のFabフラグメントを、ICP活性の調節に関わる治療
法に利用することができる。
【0066】5.4 ICPに関係する異常性の診断 ICP機能に関係する障害の診断および予後の評価のためにならびにそのような
障害の素因を有する被験者を同定するために、様々な方法を利用することができ
る。
【0067】 そのような方法は、例えば、第5.1節に記載のICPヌクレオチド配列もしくはそ
の部分、または第5.3節に記載のICP抗体などの試薬を利用することができる。特
定して挙げると、そのような試薬は、例えば、(1)ICP遺伝子突然変異の存在の検
出、または所与の表現型に関係するICP mRNAの過剰もしくは過小発現のいずれか
の検出;(2)所与の表現型に関係するICPの過剰もしくは過小存在量のいずれかの
検出;および(3)ICPが介在するトランスポーター機能の摂動もしくは異常の検出
を行うために使ってもよい。
【0068】 本明細書に記載の方法は、例えば、少なくとも1つの本明細書に記載の特定のI
CPヌクレオチド配列またはICP抗体試薬を含んでなり、かつ例えば、生物学的異
常性を示す患者を診断する臨床設定において便利に使用できる、プレパッケージ
された診断キットを利用して実施してもよい。
【0069】 ICP突然変異を検出するために、ゲノム核酸の出発供給源としていずれの有核
細胞を使ってもよい。ICP遺伝子発現またはICP産物を検出するために、例えば精
巣細胞などの、ICP遺伝子を発現するいずれの細胞型もしくは組織を利用しても
よい。
【0070】 核酸に基づく検出技術を以下の第5.4.1節に記載する。ペプチド検出技術を以
下の5.4.2節に記載する。
【0071】5.4.1 ICP遺伝子および転写産物の検出 ICP遺伝子内の突然変異は、複数の技術を用いて検出することができる。いず
れの有核細胞からの核酸でもそのようなアッセイ技術の出発点として使うことが
できるし、当業者が精通する標準の核酸調製法によって単離することができる。
【0072】 DNAを生物サンプルのハイブリダイゼーションもしくは増幅アッセイに使い、
点突然変異、挿入、欠失および染色体再配列などのICP遺伝子構造に関わる異常
性を検出することができる。そのようなアッセイには、限定されるものでないが
、サザン分析、一本鎖高次構造多形分析(SSCP)、およびPCR分析が挙げられる
【0073】 ICP遺伝子特異的突然変異を検出するためのそのような診断法は、例えば、患
者サンプルもしくは他の適当な細胞供給源から誘導されたサンプルから得た組換
えDNA分子、クローニング遺伝子またはそれらの縮重変異体などの核酸と、1以上
の標識した第5.1節に記載の組換えDNA分子、クローニング遺伝子またはそれらの
縮重変異体などの核酸試薬とを、これらの試薬がICP遺伝子内の相補的配列と特
異的アニーリングするのに都合の良い条件下で接触させかつインキュベートする
ことからなる。好ましくは、これらの核酸試薬の長さは少なくとも15から30個ま
でのヌクレオチドである。インキュベーション後に、アニーリングしない核酸の
全てを核酸:ICP遺伝子ハイブリッドから除去する。そこで、ハイブリダイズし
た核酸の存在が、もしそのような分子が存在すれば、検出される。そのような検
出スキームを利用する場合、対象の細胞型または組織からの核酸を、例えば膜、
遺伝子「チップ」基質、またはマイクロタイタープレートもしくはポリスチレン
ビーズのようなプラスチック表面などの固体支持体に固定してもよい。この場合
、インキュベーション後に、第5.1節に記載の型のアニーリングしない標識した
核酸試薬は容易に除去される。残留するアニーリングした標識したICP核酸試薬
の検出を、当業者が精通する標準の技術を使って実施する。核酸試薬がアニーリ
ングしたICP遺伝子配列を、正常な遺伝子配列から予想されるアニーリングパタ
ーンと比較して、ICP遺伝子突然変異が存在するかどうかを決定することができ
る。
【0074】 患者サンプルまたは他の適当な細胞供給源中のICP遺伝子特異的核酸分子を検
出する代わりの診断法は、例えばPCRによるそれらの増幅(Mullis, K.B., 1987,
米国特許第4,683,202号に示された実験の実施形態)と続く当業者が精通する技
術を用いる増幅分子の検出からなる。得た増幅配列を、もし増幅された核酸がIC
P遺伝子の正常なコピーだけを含有すれば予想される配列と比較して、ICP遺伝子
突然変異が存在するかどうかを決定することができる。
【0075】 さらに、周知の遺伝子型決定技術を実施して、ICP遺伝子突然変異を有する個
体を識別することができる。そのような技術には、例えば、使用する特定の制限
酵素に対する認識部位の1つにおける配列変異に関わる、制限断片長多型(RFLP
)の利用が挙げられる。
【0076】 さらに、ICP遺伝子突然変異の同定に利用しうるDNA多型を分析するための改良
法が記載されており、その方法は制限酵素切断部位間における可変数の短いタン
デム反復DNA配列の存在を利用する。例えば、Weber(本明細書参照によりその全
文が組み入れられる米国特許第5,075,217号)は、(dC-dA)n-(dG-dT)n短いタンデ
ム反復ブロックの長さ多型に基づくDNAマーカーを記載する。(dC-dA)n-(dG-dT)n
ブロックの平均分離は30,000〜60,000bpと予測される。非常に近接した間隔のマ
ーカーは高頻度の同時遺伝を示し、例えば、ICP遺伝子内の突然変異などの遺伝
子突然変異の識別、ならびにそのようなICP突然変異に関係する疾患および障害
の診断に非常に有用である。
【0077】 また、Caskeyら(本明細書に参照によりその全文が組み入れられる米国特許第
5,364,759号)は短いトリおよびテトラヌクレオチド反復配列を検出するためのD
NAプロファイリングアッセイ(DNA profiling assay)を記載している。その方
法は、ICP遺伝子などの対象のDNAを抽出し、抽出したDNAを増幅し、反復配列を
標識して個人のDNAの遺伝子型地図を作成することからなる。
【0078】 ICP遺伝子発現のレベルはまた、ICP転写を検出しかつ測定してアッセイするこ
ともできる。例えば、ICP遺伝子を発現することが知られているかまたは疑われ
る精巣などの細胞型もしくは組織からのRNAを単離して、上記のようなハイブリ
ダイゼーションもしくはPCR技術を使って試験してもよい。単離した細胞は、細
胞培養もしくは患者から誘導してもよい。培養から採取した細胞の分析は細胞の
評価に必要な工程であり、細胞に基づく遺伝子治療技術の部分として、あるいは
、化合物のICP遺伝子の発現に対する影響を試験するために使ってもよい。その
ような分析は、ICP遺伝子発現の活性化または不活性化を含めてICP遺伝子の発現
パターンの定量的および定性的両方の態様を示しうる。
【0079】 そのような検出スキームの一実施形態においては、対象のRNAから(例えば、R
NA分子のcDNAへの逆転写によって)cDNAを合成する。次いで、cDNA内の配列を、
PCR増幅反応などの核酸増幅反応用のテンプレートとして使う。本発明の方法の
逆転写および核酸増幅工程における合成開始試薬(例えば、プライマー)として
使う核酸試薬は、第5.1節に記載のICP遺伝子核酸試薬の中から選ばれる。そのよ
うな核酸試薬の好ましい長さは少なくとも9〜30個のヌクレオチドである。増幅
産物を検出するために、核酸増幅は、放射能によりまたは放射能によらずに標識
したヌクレオチドを使って実施してもよい。あるいは、十分な増幅産物を作って
、増幅産物を標準のエチジウムブロミド染色によるか、いずれかの他の適当な核
酸染色法によるか、または配列決定により可視化できるようにしてもよい。
【0080】 さらに、そのようなICP遺伝子発現アッセイを、「in situ」、すなわちバイオ
プシーもしくは切除から得た患者組織の(固定したおよび/または凍結した)組
織切片上で直接実施して、核酸精製を必要としないようにすることが可能である
。5.1節に記載の核酸試薬を、そのようなin situ方法用のプローブおよび/また
はプライマーとして使ってもよい(例えば、Nuovo, G.J., 1992, 「PCR In Situ
ハイブリダイゼーション:プロトコルと応用(PCR In Situ Hybridization: Pro
tocols And Applications)」, Raven Press, NYを参照)。
【0081】 あるいは、もし十分な量の適当な細胞を得ることができれば、標準のノーザン
分析を実施してICP遺伝子のmRNA発現のレベルを決定してもよい。
【0082】5.4.2 ICP産物の検出 第5.3節で考察した、野生型もしくは突然変異ICPまたは変種またはそれらのペ
プチド断片に対する抗体も、本明細書に記載の診断および予後に使うことができ
る。そのような診断法は、ICP遺伝子発現レベルの異常性、またはICPの構造的お
よび/もしくは一時的な組織、細胞、または細胞小器官における位置の異常性を
検出するために使用してもよく、また、例えばバイオプシー組織上などでin viv
oもしくはin vitroで実施してもよい。
【0083】 さらに、ICP ECDのエピトープに対する抗体をin vivoで使い、身体内のICP発
現のパターンおよびレベルを検出することができる。そのような抗体を、例えば
、放射線不透過性(radio-opaque)または他の適当な化合物を用いて標識し、被
験者中に注入して、X線、CATスキャンまたはMRIなどの方法を利用して身体内に
発現したICPとの結合を可視化してもよい。この目的には、標識した抗体フラグ
メント、例えば、抗原結合領域の最小部分を含むFabまたは一本鎖抗体が好まし
く、血液脳関門の通過を促進して脳に発現されるICPの標識化が可能になる。
【0084】 さらに、存在を検出できるいずれかのICP融合タンパク質またはICP複合タンパ
ク質を投与することができる。例えば、放射線不透過性または他の適当な化合物
を用いて標識したICP融合もしくは複合タンパク質を投与し、標識した抗体につ
いて上に述べたように、in vivoで可視化してもよい。さらに、ICP-Ap融合タン
パク質上のAP-ICPのようなICP融合タンパク質を、in vitro診断法に利用しても
よい。
【0085】 あるいは、上記のイムノアッセイまたは融合タンパク質検出アッセイをバイオ
プシーおよび剖検(autopsy)サンプルに対してin vitroで利用し、ICPの発現パ
ターンの評価を可能にすることができる。そのようなアッセイは、ICP ECDを規
定する抗体の使用に限定されるものでなく、ICPのいずれのドメイン、例えばECD
、TMおよび/またはCDのエピトープに対する抗体の使用も挙げることができる。
これらの標識した抗体のそれぞれまたは全てを使用することにより、翻訳および
細胞表面へのICPの細胞内輸送に関する有用な情報が得られ、プロセシングの欠
陥を確認することができる。
【0086】 分析される組織もしくは細胞型は、一般的に、例えば精巣細胞などのICP遺伝
子を発現することが知られているかもしくは疑われるものが挙げられる。本発明
で用いられるタンパク質単離法は、例えば、本明細書に参照によりその全文が組
み入れられる、HarlowおよびLane(Harlow, E.およびLane, D., 1988, 「抗体:
研究室マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)」. Cold Spring Harbo
r Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)に記載された方法であっ
てもよい。単離した細胞は、細胞培養からまたは患者から誘導してもよい。培養
から採取した細胞の分析は細胞の評価に必要な工程であり、細胞に基づく遺伝子
治療技術の部分として、あるいは、化合物のICP遺伝子の発現に対する影響を試
験するために使うことができる。
【0087】 例えば、本発明に有用な上の第5.3節に記載した抗体、または抗体のフラグメ
ントを利用し、ICPもしくは保存された変異体またはそれらのペプチド断片の存
在を定量的もしくは定性的に検出することができる。これは、例えば、蛍光標識
した抗体を利用する免疫蛍光技術(本節、以下を参照)を、光学顕微鏡、フロー
サイトメトリー、または蛍光光度検出と組合わせて実施してもよい。そのような
技術は、もしそのようなICP遺伝子産物が細胞表面に発現されれば、特に好まし
い。
【0088】 本発明に有用な抗体(またはそれらのフラグメント)またはICP融合もしくは
複合タンパク質は、さらに組織学的に利用して、例えば、免疫蛍光、免疫電子顕
微鏡または非免疫アッセイにおいて、ICPもしくは保存された変異体またはそれ
らのペプチド断片のin situ検出、またはICP結合研究(ICP補助タンパク質と結
合する標識融合タンパク質の場合に)を行うことができる。
【0089】 in situ検出は、患者から組織学的標本を除去し、それに標識した本発明の抗
体または融合タンパク質をアプライ(apply)して実施することができる。抗体
(またはフラグメント)または融合タンパク質は、好ましくは、標識した抗体(
またはフラグメント)を生物サンプル上に塗り重ねてアプライする。そのような
方法を使うことによって、ICP、または保存された変異体またはペプチド断片、
またはICP結合の存在だけでなく、試験組織中のその分布も決定することが可能
である。本発明を使用すると、様々な組織学的方法(染色方法など)のいずれか
を修飾してそのようなin situ検出を実施し得ることを、当業者は容易に理解す
るであろう。
【0090】 ICPもしくは保存された変異体またはそれらのペプチド断片に対するイムノア
ッセイおよび非イムノアッセイは、典型的には、生物液、組織抽出物、新しく回
収した細胞、または細胞培養でインキュベートした細胞の溶解物などのサンプル
を、ICPもしくは保存された変異体またはそれらのペプチド断片を同定する能力
がありかつ検出できるように標識した抗体の存在のもとでインキュベートし、そ
して当業界で周知の多数の技術のいずれかによって結合した抗体を検出すること
からなる。
【0091】 生物サンプルは、ニトロセルロースなどの固相支持体もしくは担体、または細
胞、細胞粒子もしくは可溶性タンパク質を固定できる他の固体支持体と接触させ
てその上に固定してもよい。次に、支持体を適当なバッファーを用いて洗浄し、
次いで検出できるように標識したICP抗体もしくはICPリガンド融合タンパク質を
用いて処理してもよい。次に、固相支持体をバッファーを用いて2度目の洗浄を
行い、未結合の抗体または融合タンパク質を除去してもよい。次に、固体支持体
上に結合した標識の量を通常の方法によって検出してもよい。
【0092】 用語「固相支持体もしくは担体」は、抗原または抗体と結合できるいずれかの
支持体を意図する。周知の支持体もしくは担体は、ガラス、ポリスチレン、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および
修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、斑レイ岩(gabbro)、磁鉄鉱(ma
gnetite)が挙げられる。担体の性質は、本発明の目的に対して、ある程度可溶
であるかまたは不溶であってもよい。支持体材料は、カップリングした分子が抗
原または抗体と結合することができる限り、実質的にいずれの可能な構造的立体
形状であってもよい。従って、支持体の立体形状はビーズのような球形、または
試験管の内面もしくは棒の外面のような円筒形であってもよい。あるいは、その
表面はシート、試験片などのように平らであってもよい。好ましい支持体はポリ
スチレンビーズが挙げられる。当業者であれば、抗体または抗原と結合するため
の多くの他の適当な担体を精通するか、または慣例的実験によって上記担体を確
認できるであろう。
【0093】 ICP抗体またはICPリガンド融合タンパク質の与えられたロットの生物活性は、
周知の方法によって決定することができる。当業者であれば、慣例的実験を利用
してそれぞれを決定するための操作しうる最適のアッセイ条件を決定できるであ
ろう。
【0094】 抗体については、ICP抗体を検出できるように標識する方法の1つは、上記抗体
を酵素イムノアッセイ(EIA)に使用し得る酵素と連結することである(Voller,
A., 「The Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA)」, 1978, Diagnostic
Horizons 2:1-7, Microbiological Associates Quarterly Publication, Walke
rsville, MD);Voller, A.ら, 1978, J. Clin. Pathol. 31:507-520;Butler,
J.E., 1981, Meth. Enzymol. 73:482-523;Maggio, E.(編), 1980, Enzyme Immu
noassay, CRC Press. Boca Raton, FL,;Ishikawa, E.ら, (編), 1981, Enzyme
Immunoassay, Kgaku Shoin, Tokyo)。抗体と結合した酵素は適当な基質、好ま
しくは色素生産性基質と反応して、例えば分光光度計、蛍光光度計または目視に
よって検出可能な化学的部分を生成するようにする。抗体を検出できるように標
識するために使用し得る酵素は、限定されるものでないが、リンゴ酸デヒドロゲ
ナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ-5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコ
ールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン
酸イソメラーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アス
パラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレア
ーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グル
コアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。検出は、酵素に
対する色素生産性基質を利用する比色法により実施することができる。検出はま
た、基質の酵素反応の程度を、同様に調製した標準と比較して目視比較により実
施してもよい。
【0095】 検出はまた、いずれかの他のイムノアッセイの変法を使って実施してもよい。
例えば、抗体または抗体フラグメントを放射標識して、ラジオイムノアッセイ(
RIA)を利用してICPを検出することが可能である(例えば、本明細書に参照によ
り組み入れられるWeintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh
Training Course on Radioligand Assay Techniques(ラジオイムノアッセイの
原理、ラジオリガンドアッセイ技術の第7回訓練コース), The Endocrine Soci
ety, March, 1986を参照)。放射性同位体は、γカウンターもしくはシンチレー
ションカウンターなどの使用によりまたはオートラジオグラフィにより検出でき
る。
【0096】 抗体を蛍光化合物を用いて標識することも可能である。蛍光標識した抗体を適
当な波長の光に曝すと、その存在は蛍光によって検出できる。最も通常に使われ
る蛍光標識化合物には、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィ
コエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒドおよ
びフルオレサミンがある。
【0097】 抗体はまた、152Euまたは他のランタニド系列などの蛍光放射金属を利用して
検出できるように標識してもよい。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢
酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属キレート基を利用
して抗体に結合させることができる。
【0098】 抗体はまた、化学発光化合物と結合させることにより検出できるように標識し
てもよい。次いで化学発光標識した抗体の存在を、化学反応の過程で生じる発光
の存在を検出することにより確認する。特に有用な化学発光標識化合物の例は、
ルミノール、イソルミノール、テロマチック(theromatic)アクリジニウムエス
テル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。
【0099】 同様に、生物発光化合物を使って本発明の抗体を標識してもよい。生物発光は
生物系に見られる化学発光の一形式であり、触媒タンパク質が化学発光の効率を
増加する。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することにより確認
する。標識の目的に用いる重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラ
ーゼ、およびエクオリンである。
【0100】5.5 ICP発現または活性を調節する化合物のスクリーニングアッセイ 次のアッセイは、ICP(限定されるものでないが、ICPのECDまたはCDを含む)
と相互作用する(例えば結合する)化合物、ICP(限定されるものでないが、ICP
のTMおよびCDを含む)と相互作用する(例えば結合する)細胞内タンパク質と相
互作用する化合物、ICPと、膜貫通もしくは細胞内タンパク質または細胞小器官
中に存在するタンパク質であってICPが介在する輸送に関連するタンパク質との
相互作用を妨害する化合物、および細胞におけるICP遺伝子の活性をモジュレー
トする(すなわち、ICP遺伝子発現のレベルを調節する)かもしくはICPの量をモ
ジュレートする化合物を同定するために設計する。アッセイをさらに利用して、
ICP遺伝子調節配列(例えば、プロモーター配列)と結合してICP遺伝子発現をモ
ジュレートできる化合物を同定してもよい。例えば、本明細書に参照によりその
全文が組み入れられるPlatt, K.A., 1994, J. Biol. Chem. 269:28558-28562を
参照。
【0101】 本発明によってスクリーニングできる化合物は、限定されるものでないが、記
載したICPのECDまたは小器官もしくは核膜の対応する非膜貫通ドメイン(ICPが
細胞内膜と関連する場合)と結合してICP活性を促進するかまたは阻害すること
を特徴とするペプチド、抗体とそのフラグメント、および他の有機化合物(例え
ばペプチドミメチックス);ならびに、ICP(またはその一部分)のドメインを
模倣してICP補助タンパク質と結合して「中和する」ことを特徴とするペプチド
、抗体もしくはそのフラグメント、および他の有機化合物が挙げられる。
【0102】 そのような化合物は、限定されるものでないが、例えば、限定されるものでな
いが、無作為ペプチドライブラリー(例えば、Lam, K.S.ら, 1991, Nature 354:
82-84;Houghten, R.ら, 1991, Nature 354:84-86)およびコンビナトリアル化
学で誘導されたD-および/またはL-立体配置アミノ酸からなる分子ライブラリー
のメンバーを含む可溶性ペプチドなどのペプチド、リンペプチド(限定されるも
のでないが、無作為もしくは部分変性した定方向リンペプチドライブラリーを含
み、例えば、Songyang, Z.ら, 1993, Cell 72:767-778、を参照)、抗体(限定
されるものでないが、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗イディオタ
イプ、キメラまたは一本鎖抗体、およびFab、F(ab')2およびFab発現ライブラリ
ー断片、およびそれらのエピトープ結合フラグメントを含む)、ならびに低分子
量の有機または無機分子が挙げられる。
【0103】 本発明によってスクリーニングできる他の化合物は、限定されるものでないが
、血液脳関門を通過し、適当な細胞(例えば、脈絡叢(choroid plexus)、視床
下部など)中に進入し、ICP遺伝子もしくはICPが介在する輸送機構に関わる他の
遺伝子の発現に影響を与える(例えば、ICP遺伝子発現に関わる調節領域または
転写因子と相互作用することによって)ことができる低分子量の有機分子;また
はICPの活性に(例えば、ICPの活性を抑制するか増強することによって)もしく
はICP活性に関連する他の細胞内因子の活性に影響を与える化合物が挙げられる
【0104】 コンピューターモデルおよび検索技術により、ICP発現もしくは活性をモジュ
レートできる化合物の同定または既に同定された化合物の改良が可能である。そ
のような化合物もしくは組成物を同定し終われば、活性部位または領域を同定す
る。そのような活性部位は、典型的にはリガンド結合部位でありうる。活性部位
は、当業界で周知の方法を使い、例えばペプチドのアミノ酸配列から、核酸のヌ
クレオチド配列から、または関連化合物もしくは組成物のその天然リガンドとの
複合体の研究から、同定することができる。後者の事例では、化学的もしくはX
線結晶学的方法を利用して、複合体リガンドが見出される因子上の場所を見付け
ることによって活性部位を見出すことができる。
【0105】 次に、活性部位の三次元幾何構造を決定する。これは公知の方法によって行う
ことができ、完全な分子構造を決定できるX線結晶学が挙げられる。他方、固相
または液相NMRを使ってある特定の分子内距離を決定してもよい。構造決定の他
のいずれかの実験的方法を使って部分的または完全な幾何構造を得てもよい。幾
何構造を天然または人工の複合体リガンドを用いて測定し、決定される活性部位
構造の精度を向上させることもできる。
【0106】 もし不完全なまたは十分に正確でない構造を決定した場合は、コンピューター
に基づく数値モデル法を使って構造を完成するかまたは正確度を改善することが
できる。よく知られているいずれのモデル法を使ってもよく、タンパク質もしく
は核酸などの特定の生物ポリマーに特定されたパラメーター化モデル、分子運動
の計算に基づく分子動力学モデル、熱的平衡に基づく統計学的機構モデル、また
は複合モデルが挙げられる。ほとんどのモデルのタイプについて、構成原子とグ
ループ間の力を表現する標準分子力場が必要であり、物理化学で知られている力
場から選択することができる。実験的構造が不完全であるかまたは正確度がより
低いと、これらのモデル法によって計算される完全なかつより正確な構造に対す
る制約となることがある。
【0107】 最終的に、活性部位の構造を、実験的に、モデルにより、または組合わせによ
り決定すると、化合物ならびにその分子構造情報を含むデータベースを検索する
ことによって、候補モジュレート化合物を同定することができる。そのような検
索は、決定した活性部位構造と整合する構造を有しかつ活性部位を規定するグル
ープと相互作用する化合物を探す。そのような検索は人手でできるが、好ましく
はコンピューターを利用する。この検索で見出された化合物はICPモジュレート
化合物である可能性がある。
【0108】 あるいは、これらの方法を利用して、既知のモジュレート化合物もしくはリガ
ンドから改良されたモジュレート化合物を同定することができる。上記の実験的
およびコンピューターモデル化方法を使い、新しい組成に適用して、公知の化合
物の組成を修飾してもよく、かつ修飾の構造的効果を確認してもよい。次に、改
変した構造をその化合物の活性部位構造と比較して、フィットまたは相互作用の
改善が生じたかを確認する。この方法によって、側鎖の変更によるような組成の
体系的変化を迅速に評価し、改善された特異性もしくは活性を有する修飾された
モジュレート化合物またはリガンドを得ることができる。
【0109】 当業者には、ICPの活性領域および関係する輸送補助因子の同定に基づく、モ
ジュレート化合物を同定するために有用なさらなる実験的およびコンピューター
モデル化方法が明らかであろう。
【0110】 分子モデルシステムの例は、CHARMmおよびQUANTAプログラム(Polygen Corpor
ation, Waltham, MA)がある。CHARMmは、エネルギー最小化および分子動力学関
数を実施する。QUANTAは、分子構造の構築、グラフィックモデルおよび解析を実
施する。QUANTAは、分子のお互いの挙動の相互作用的構築、修飾、可視化、およ
び解析を可能にする。
【0111】 複数の論文が、特定タンパク質と相互作用のある薬物のコンピューターモデル
を概説しており、例えば、Rotivinenら, 1988, Acta Pharmaceutical Fennica 9
7:159-166;Ripka, New Scientist 54-57(1988年6月16日);McKinalyおよびRoss
mann, 1989, Annu. Rev. Pharmacol. Toxiciol. 29:111-122;PerryおよびDavie
s, 「OSAR:薬物設計における定量的な構造-活性関係(OSAR: Quantitative Str
ucture-Activity Relationships in Drug Design)」 pp. 189-193 (Alan R. Li
ss, Inc. 1989);LewisおよびDean, 1989 Proc. R. Soc. Lond. 236:125-140お
よび141-162;ならびに核酸構成要素に対するモデル受容体については、Askewら
, 1989, J. Am. Chem. Soc. 111:1082-1090が挙げられる。化学品をスクリーニ
ングしかつグラフで描く他のコンピュータープログラムが、BioDesign, Inc. (P
asadena, CA)、Allelix, Inc.(Mississauga, Ontario, Canada)、およびHypercu
be, Inc.(Cambridhe, Ontario)などの会社から利用しうる。これらは、主に
特定のタンパク質に特異的な薬物に適用するために設計されているが、これらは
、DNAまたはRNA領域に特異的な薬物の設計にも、その領域が同定されていれば、
適用することができる。
【0112】 結合を改変しうる化合物の設計および作製について参照とともに上記したが、
天然産物または合成化学品、およびタンパク質を含む生物活性物質などの既知化
合物のライブラリーを、インヒビターもしくはアクチベーターである化合物に対
してスクリーニングしてもよい。
【0113】 また、細胞に基づく系を使って、記載のICPの1つと結合する化合物を同定し、
ならびに生存細胞のそのような結合に関連する活性の修飾を評価することができ
る。そのようなアッセイに対する特に重要な1つのツールは、とりわけ、本明細
書に参照により組み入れられる米国特許第5,625,048号に記載された緑色蛍光タ
ンパク質である。この細胞アッセイに利用できる細胞は、限定されるものでない
が、白血球、または白血球から誘導された細胞系、リンパ球、胚幹細胞を含む幹
細胞などが挙げられる。さらに、発現宿主細胞(例えば、B95細胞、COS細胞、CH
O細胞、OMK細胞、線維芽細胞、Sf9細胞)を遺伝子工学的に操作して機能性ICPを
発現させ、試験もしくは天然リガンドによる活性化に応答させ、そして化学的も
しくは表現型変化または他の宿主細胞遺伝子の誘導によって測定して、アッセイ
のエンドポイントとして使うことができる。
【0114】5.5.1 ICPと結合する化合物に対するin vitroスクリーニングアッセイ 記載したICP(限定されるものでないが、ICPのECDまたはCDを含む)と相互作
用する(例えば結合する)能力のある化合物を同定するためのin vitroシステム
を設計することができる。同定された化合物は、例えば、野生型および/または
突然変異ICP産物の活性をモジュレートするのに有用でありうるし;ICPの生物学
的機能を精査するのに有用でありうるし;正常なICP機能もしくは相互作用を破
壊する化合物を同定するスクリーニングに有用でありうるし;またはそのような
相互作用を自身で破壊しうる。
【0115】 ICPと結合または相互作用する化合物を同定するために使うアッセイの原理は
、ICPと試験化合物の反応混合物を、両成分が相互作用して結合する条件下でか
つ十分な時間をかけて調製し、そして複合体を形成させ、その複合体を除去しお
よび/または反応混合物中で検出するというものである。使用するICP種は、ス
クリーニングアッセイの目的によって変りうる。そのような適用に対しては、全
長ICP、または例えばTMおよび/またはCDを分子から除去した可溶性末端切断ICP
であってECDに対応するペプチド、またはアッセイシステムに利点(例えば、標
識付け、生成複合体の単離など)を与えるタンパク質もしくはポリペプチドと融
合した1つ以上のICP ECDを含む融合タンパク質を利用してもよい。細胞質ドメイ
ンと相互作用する化合物を同定するために探している場合は、ICP CDに対応する
ペプチドおよびICP CDを含む融合タンパク質を利用してもよい。
【0116】 スクリーニングアッセイは様々な方法で実施することができる。例えば、この
アッセイを実施する1つの方法では、ICP,ICPポリペプチド、ICPペプチドもしく
は融合タンパク質、または場合によっては試験物質を、固相上にアンカーし、反
応終了時に固相上にアンカーしたICP/試験化合物複合体を検出する。そのような
方法の一実施形態においては、ICP反応物を固相上にアンカーし、アンカーして
ない試験化合物を直接的にもしくは間接的に標識してもよい。
【0117】 実際には、マイクロタイタープレートを固相として利用するのが便利である。
アンカーする成分は非共有結合または共有結合付着によって固定することができ
る。非共有結合付着は、固体表面をタンパク質溶液で単純にコートし乾燥するこ
とにより実施してもよい。あるいは、固定すべきタンパク質に対して特異的な固
定した抗体、好ましくはモノクローナル抗体を使って、タンパク質を固相表面に
アンカーしてもよい。
【0118】 アッセイを実施するために、非固定成分を、アンカーした成分を含むコートし
た表面に添加する。反応が完了した後に、生成した任意の複合体が固相上に固定
されて残りうる条件下で、未反応成分を(例えば洗浄によって)除去する。固体
表面上にアンカーされた複合体の検出は複数の方法で実施できる。予め固定して
いない成分を前もって標識している場合、表面上に固定された標識の検出は生成
した複合体を示す。予め固定していない成分を前もって標識していない場合、間
接的標識を使って表面上にアンカーされた複合体を検出できる;例えば、予め固
定していない成分に対して特異的な標識した抗体を使う(抗体は、次々に、直接
的に標識してもまたは標識した抗Ig抗体を用いて間接的に標識してもよい)。
【0119】 あるいは、反応を液相で実施し、反応生成物を未反応成分から分離し、そして
複合体を検出することができる;例えば、ICP、ICPポリペプチド、ペプチドもし
くは融合タンパク質または試験化合物に対して特異的な抗体を使って液中に生成
した複合体をアンカーし、そして可能な複合体の他の成分に特異的な標識した抗
体を使ってアンカーした複合体を検出する。
【0120】 あるいは、細胞に基づいたアッセイを利用して、ICPと相互作用する化合物を
同定することもできる。この目的には、ICPを発現する細胞系、または遺伝子工
学的に操作して(例えば、ICP遺伝子DNAのトランスフェクションまたは形質導入
によって)ICPを発現する細胞系(例えば、COS細胞、CHO細胞、線維芽細胞など
)を使ってもよい。試験化合物と、例えば、宿主細胞により発現されたICPから
のECDとの相互作用を固有リガンドとの比較または競合によって決定することが
できる。
【0121】5.5.2 ICPと相互作用する細胞内タンパク質に関するアッセイ タンパク質-タンパク質相互作用を検出するために適当な任意の方法を、上記I
CPと相互作用する膜貫通タンパク質または細胞内タンパク質を同定するために利
用することができる。細胞溶解物または細胞溶解物から得たタンパク質について
、ICPと相互作用する溶解物中のタンパク質を同定するために利用できる伝統的
方法としては、共免疫沈降、架橋および勾配もしくはクロマトグラフィーカラム
を通しての共精製が挙げられる。これらのアッセイについては、使用するICP成
分は、全長ICP、膜アンカー領域を欠く可溶性誘導体(例えば、TMを欠失した末
端切断型ICPによって、CDと融合したECDを含有する末端切断分子を得る)、CDに
対応するペプチドまたは上記ICPからのCDを含有する融合タンパク質であってよ
い。単離すると、そのような細胞内タンパク質は同定できるので、次々に、標準
技術を一緒に使用して、それと相互作用するタンパク質を同定することができる
。例えば、ICPと相互作用する細胞内タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも一
部分を、エドマン(Edman)分解技術などの当業者が周知の技術を使って確認で
きる(例えば、Creighton, 1983, "Proteins: Structrues and Molecular Princ
iples(タンパク質:構造と分子原理)", W.H.Freeman & Co. N.Y., pp.34-49を
参照)。得たアミノ酸配列を手引きとして使ってオリゴヌクレオチド混合物を作
製して、それをそのような細胞内タンパク質をコードする遺伝子配列をスクリー
ニングするために利用してもよい。スクリーニングは、例えば、標準のハイブリ
ダイゼーションまたはPCR技術によって実施することができる。オリゴヌクレオ
チド混合物の作製およびスクリーニングの技術は周知である(例えば、Ausubel,
前掲およびPCR Protocol: A Guide to Methods and Applications(PCRプロトコ
ル:方法と応用の手引き), 1990, Innisi, M.ら編,Academic Press, Inc., New
York)。
【0122】 さらに、ICPと相互作用する膜貫通または細胞内タンパク質をコードする遺伝
子を同時に同定する方法を利用することができる。これらの方法は、例えば、λ
gt11ライブラリーの抗体プロービングの周知の技術に類似した方法で発現ライブ
ラリーをプロービングする方法が挙げられ、標識したICP、またはICPポリペプチ
ド、ペプチドもしくは融合タンパク質、例えば、マーカー(例えば、酵素、蛍光
、発光タンパク質もしくは染料)またはIg-Fcドメインと融合したICPポリペプチ
ドまたはICPドメインを利用するものである。
【0123】 in vivoで相互作用するタンパク質を検出する一方法であるツーハイブリッド
系を例示のために詳細に記載するが、この方法に限定されるものでない。この系
の1つのバージョンは記載されており(Chienら, 1991,Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 88:9578-9582)、Clontech(Palo Alto, CA)から市販されている。
【0124】 簡単に説明すると、この系を利用するには、2つのハイブリッドタンパク質を
コードするプラスミドを構築する。ここで1つのプラスミドは、ICPまたはICPポ
リペプチド、ペプチドもしくは融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と
融合した転写アクチベータータンパク質のDNA結合ドメインをコードするヌクレ
オチドからなり、そしてもう1つのプラスミドは、cDNAライブラリーの一部分と
してこのプラスミドに組換えられた未知タンパク質をコードするcDNAと融合した
転写アクチベータータンパク質の活性化ドメインをコードするヌクレオチドを含
むものである。DNA結合ドメイン融合プラスミドおよびcDNAライブラリーを、そ
の調節領域が転写アクチベーターの結合部位を含有するレポーター遺伝子(例え
ば、HBSまたはlacZ)を含有する酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株中に形
質転換する。いずれのハイブリッドタンパク質も単独ではレポーター遺伝子の転
写を活性化できない:DNA結合ドメインハイブリッドは活性化機能をもたないた
め活性化できないし、活性化ドメインハイブリッドはアクチベーターの結合部位
に局在化できないので活性化できない。2つのハイブリッドタンパク質が相互作
用すると、機能的アクチベータータンパク質が再構築されてレポーター遺伝子を
発現し、レポーター遺伝子産物に関するアッセイにより検出される。
【0125】 ツーハイブリッド系または関係する手法を利用し、活性化ドメインライブラリ
ーを、「ベイト(bait)」遺伝子産物と相互作用するタンパク質についてスクリ
ーニングすることができる。例として、限定するものでないが、ICPをベイト遺
伝子産物として使うことができる。全ゲノムまたはcDNA配列を、活性化ドメイン
をコードするDNAと融合させる。このライブラリーとDNA結合ドメインに融合した
ベイトICP産物のハイブリッドをコードするプラスミドとを酵母レポーター株中
に共形質転換して、得られた形質転換体を、レポーター遺伝子を発現するものに
ついてスクリーニングする。例えば、限定するものでないが、ICPのオープンリ
ーディングフレーム(またはICPの1つのドメイン)などのベイトICP遺伝子配列
をベクター中にクローニングして、GAL4タンパク質のDNA結合ドメインをコード
するDNAと翻訳によって融合させてもよい。これらのコロニーを精製して、レポ
ーター遺伝子発現に関わるライブラリープラスミドを単離する。次いで、DNA配
列決定を利用してライブラリープラスミドによりコードされたタンパク質を同定
する。
【0126】 ある細胞系のcDNAライブラリーからベイトICP産物と相互作用するタンパク質
を検出しようとする場合、そのライブラリーを当業界で日常的に実施する方法を
使って作ることができる。本明細書に記載の特定の系により、例えば、そのcDNA
断片をベクター中に挿入して、翻訳によってGAL4の転写活性化ドメインに融合さ
せることができる。このライブラリーを、ベイトICP遺伝子-GAL4融合プラスミド
と共に、GAL4活性化配列を含有するプロモーターにより駆動されるlacZ遺伝子を
含有する酵母株中に共形質転換することができる。GAL4転写活性化ドメインと融
合した、cDNAがコードするタンパク質は、ベイトICP産物と相互作用して、活性G
AL4タンパク質を再構築して、それによってHIS3遺伝子の発現を駆動する。HIS3
を発現するコロニーは、ヒスチジンを含まない半固体寒天ベースの培地を含有す
るペトリ皿上の増殖によって検出できる。次いで、cDNAをこれらの株から精製し
、これを使い、当業界で日常実施される技術を用いてベイトICP遺伝子と相互作
用するタンパク質を産生しかつ単離することができる。
【0127】5.5.3 ICP/細胞内またはICP/膜巨大分子相互作用を妨害する化合物のアッセイ ICPと相互作用する巨大分子を、本明細書においては、「結合パートナー」と
呼ぶ。これらの結合パートナーは、ICPが介在する輸送に関わるようである。従
って、そのような結合パートナーの相互作用を妨害するかまたは阻害して、ICP
の活性を調節しかつICP活性に関連する障害を制御するのに有用でありうる化合
物を同定することが望ましい。
【0128】 ICPと任意の1つ以上の結合パートナー(1種もしくは複数)との間の相互作用
を妨害する化合物を同定するために用いる本アッセイ系の基本原理は、上の5.5.
1節および5.5.2節に記載したICP、ICPポリペプチド、ペプチドもしくは融合タン
パク質と結合パートナーとを含有する反応混合物を、両者が相互作用して結合し
うる条件下で十分な時間をかけて調製し、そして複合体を形成することが含まれ
る。阻害活性について化合物を試験するために、反応混合物を、試験化合物の存
在および不在のもとで調製する。試験化合物は最初に反応混合物に含ませてもよ
いし、またはICP部分およびその結合パートナーの添加後に、或る時間をおいて
加えてもよい。対照の反応混合物は、試験化合物なしでまたはプラセボを用いて
インキュベートする。次いで、ICP部分と結合パートナー間の複合体形成の有無
を検出する。対照の反応物中に複合体が形成し、試験化合物を含有する反応混合
物中に形成しないことは、その化合物がICPと相互作用しうる結合パートナーと
の相互作用を妨害することを示す。さらに、試験化合物と正常ICPを含有する反
応混合物中の複合体形成を、試験化合物と突然変異ICPを含有する反応混合物中
の複合体形成と比較してもよい。この比較は、突然変異体または突然変異したIC
Pの相互作用を特異的に阻害するが、正常ICPの相互作用を阻害しない化合物を同
定することが所望である場合に重要である。
【0129】 上記ICPと結合パートナーとの相互作用を妨害する化合物のアッセイは、不均
一なまたは均一なフォーマットで実施できる。不均一アッセイは、ICP部分産物
または結合パートナーのいずれかを固相上にアンカーし、反応終了時に固相上に
アンカーした複合体を検出することが含まれる。均一アッセイでは、全反応を液
相中で実施する。いずれの方法においても、反応物の添加順序を変えて試験する
化合物についての様々な情報を取得することができる。例えば、競合によって相
互作用を妨害する試験化合物は、試験物質の存在のもとで、すなわち、試験物質
を、ICP部分および相互作用しうる結合パートナーの添加前に、または同時に、
反応混合物に加えることにより、反応を実施することによって同定することがで
きる。あるいは、予め形成された複合体を破壊する試験化合物、例えば、より高
い結合定数を有して複合体から構成成分の1つを置き換える化合物は、複合体が
形成された後に試験化合物を反応混合物に加えることによって試験することがで
きる。様々なフォーマットを以下に簡単に記載する。
【0130】 不均一アッセイ系においては、ICP部分または相互作用しうる結合パートナー
のいずれかを固体表面上にアンカーし、一方、アンカーしない種を直接的または
間接的に標識する。実際には、マイクロタイタープレートを利用するのが好都合
である。アンカーする種は非共有または共有結合によって固定してもよい。非共
有結合は、単純に固体表面をICP産物または結合パートナーの溶液を用いてコー
ティングし、乾燥することによって実施する。あるいは、アンカーする種に特異
的な抗体を固定して使い、固体表面にその種をアンカーしてもよい。表面を予め
調製して、保存してもよい。
【0131】 アッセイを実施するために、固定した種のパートナーを、試験化合物ありまた
はなしで、コーティングした表面に曝す。反応が完了した後に、未反応成分を(
例えば洗浄により)除去すると、形成した複合体が固体表面上に固定されて残る
であろう。固体表面上にアンカーされた複合体の検出は、複数の方法で実施する
ことができる。非固定種が予め標識されている場合、表面上に固定された標識が
検出されれば複合体が形成したことを示す。非固定種が予め標識されてない場合
、間接的な標識を使って表面上にアンカーされた複合体を検出することができる
;例えば、最初に非固定種に対して特異的な抗体を標識して使う(抗体は、直接
的に標識してもよいしまたは標識した抗Ig抗体を用いて間接的に標識してもよい
)。反応成分の添加順序に依って、複合体形成を阻害するかまたは予め形成した
複合体を破壊する試験化合物を検出することができる。
【0132】 その代わりに、液相において試験化合物の存在下又は不在下で反応を行い、反
応生成物を未反応成分から分離し、例えば、溶液中で形成されるあらゆる複合体
をアンカーするための、結合成分のうちの1つに特異的な固定化抗体、及びアン
カーした複合体を検出するための、他方のパートナーに特異的な標識抗体を用い
て、複合体を検出することができる。ここでもやはり、液相に反応物を添加する
順序に依り、複合体を阻害する試験化合物又は予め形成された複合体を破壊する
試験化合物を同定することができる。
【0133】 本発明の他の実施形態においては、均一アッセイを利用することができる。こ
の手法においては、ICP部分及び相互作用性結合パートナーの予備形成複合体を
調製するが、そこではICP又はその結合パートナーのいずれかが標識されている
が複合体の形成のためにその標識により生じるシグナルがクエンチされている(
例えば、この手法をイムノアッセイに用いる、Rubensteinによる米国特許第4,10
9,496号を参照)。予備形成複合体の一方の種と競合し、かつそれに取って代わ
る試験物質を添加することで、バックグランドを上回るシグナルが生じることに
なる。このようにして、ICP/結合パートナー相互作用を破壊する試験物質を同
定することができる。
【0134】 特定の実施形態においては、固定化のためにICP融合体を調製することができ
る。例えば、ICP又は、例えばCDに対応するペプチド断片を、融合ベクター、例
えばpGEX-5X-1を用いて、生じる融合タンパク質においてその結合活性が維持さ
れるようにグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子に融合させるこ
とができる。相互作用性結合パートナーを精製し、当該技術分野において慣例的
に実施され、かつ上記第5.3節に記載される方法を用いるモノクローナル抗体の
産生に用いることができる。この抗体を当該技術分野において慣例的に実施され
る方法により、例えば放射性同位体125Iで、標識することができる。不均一ア
ッセイにおいて、例えば、このGST−ICP融合タンパク質をグルタチオン−アガロ
ースビーズにアンカーさせることができる。その後、相互作用性結合パートナー
を、試験化合物の存在下又は不在下において、相互作用及び結合が生じるように
添加することができる。この反応期間の終了時に、未結合物質を洗い流し、標識
モノクローナル抗体を系に添加して複合体を形成する成分に結合させることがで
きる。ICP生成物と反応性結合パートナーとの相互作用は、グルタチオン−アガ
ロースビーズに結合したままである放射能の量を測定することによって検出する
ことができる。試験化合物により相互作用が阻害されると測定される放射能が減
少する。
【0135】 その代わりに、GST−ICP融合タンパク質及び相互作用性結合パートナーを、液
体中で、固体グルタチオン−アガロースビーズの不在下で混合することができる
。試験化合物は、これらの種を相互作用させる間又はその後のいずれでも添加す
ることができる。次に、この混合物をグルタチオン−アガロースビーズに添加し
、未結合物質を洗い流すことができる。ここでもやはり、ICP/結合パートナー
相互作用の阻害の程度は、標識抗体を添加してビーズに結合する放射能を測定す
ることによって検出することができる。
【0136】 本発明の別の実施形態においては、これらの同じ技術を、全長タンパク質の一
方又はその両者の代わりにICPの結合ドメイン及び/又は相互作用性パートナー
もしくは結合パートナー(結合パートナーがタンパク質である場合)に相当する
ペプチド断片を用いて行うことができる。当該技術分野において慣例的に実施さ
れるいくつかの方法を結合部位の同定及び単離に用いることができる。これらの
方法には、限定されるものではないが、タンパク質の1つをコードする遺伝子の
突然変異誘発及び免疫共沈降アッセイにおける結合破壊のスクリーニングが含ま
れる。次に、複合体中の第2の種をコードする遺伝子における補償的突然変異を
選択することができる。それぞれのタンパク質をコードする遺伝子の配列解析に
より相互作用性の結合に関与するタンパク質の領域に対応する突然変異が明らか
になる。その代わりに、上述の方法を用いて一方のタンパク質を固体支持体にア
ンカーさせ、トリプシンのようなタンパク質分解酵素で処理されている、標識さ
れたその結合パートナーと相互作用させて結合させてもよい。洗浄後、結合ドメ
インを含む比較的短い標識化ペプチドが固体材料と結合したまま残り、それを単
離してアミノ酸配列決定によって同定することができる。また、ひとたび細胞内
結合パートナーをコードする遺伝子が得られると、短い遺伝子セグメントを、そ
のタンパク質のペプチド断片を発現するように遺伝子操作することができ、次に
それを結合活性について試験し、精製又は合成することができる。
【0137】 例えば、決して限定するものではないが、ICP生成物を、上述のようにGST−IC
P融合タンパク質をマスクし、それをグルタチオンアガロースビーズに結合させ
ることによって固体材料にアンカーさせることができる。相互作用性結合パート
ナーは35Sのような放射性同位体で標識し、トリプシンのようなタンパク質分解
酵素で開裂させることができる。次に、開裂産物をアンカーGST−ICP融合タンパ
ク質に添加して結合させることができる。未結合ペプチドを洗い流した後、公知
の方法によって細胞内結合パートナー結合ドメインを表す標識化結合物質を溶離
し、精製し、アミノ酸配列について解析することができる。そのようにして同定
されたペプチドは合成によって生成することができるし、又は組換えDNA技術を
用いて適切な促進性タンパク質に融合させることができる。
【0138】5.6 モジュレート性、アンチセンス、リボザイム及び三重らせん手法 別の実施形態においては、公知のアンチセンス、遺伝子「ノックアウト」、リ
ボザイム及び/又は三重らせん法を用いることによってICP遺伝子調節のレベル
を低下させることができる。このような分子は、損なわれていない活性又は適切
であるならば変異配列の活性をモジュレートし、低下させ、又は阻害するように
設計することができる。このような分子を産生及び使用するための技術は当業者
に公知である。
【0139】 アンチセンスRNA及びDNA分子は、標的mRNAにハイブリダイズしてタンパク質翻
訳を妨げることによりmRNAの翻訳を直接ブロックするように作用する。アンチセ
ンス手法は、mRNA配列に相補的であるオリゴヌクレオチドの設計を含む。アンチ
センスオリゴヌクレオチドは相補的mRNA配列転写物に結合し、翻訳を妨げる。完
全な相補性は、それが好ましいものではあるが、必要とはされない。
【0140】 RNAの一部に「相補的」である配列は、本明細書で言及される場合、RNAとハイ
ブリダイズして安定な二本鎖を形成可能であるのに十分な相補性を有する配列を
意味する。二本鎖アンチセンス核酸の場合、その二本鎖DNAの一本鎖を試験する
ことができ、又は三重鎖形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズする
能力は、そのアンチセンス核酸の相補性の程度及び長さの両者に依存する。一般
には、ハイブリダイズする核酸が長ければ長いほど、それが含み、かつ依然とし
て安定な二本鎖(又は、場合によっては、三重鎖)を形成し得るRNAとの塩基ミ
スマッチが多くなる。当業者であれば、ハイブリダイズした複合体の融点を決定
する標準的な手順を用いることにより、ミスマッチの寛容され得る程度を確認す
ることができる。
【0141】 一実施形態においては、関心のある配列の非コード領域に相補的なオリゴヌク
レオチドをアンチセンス手法において用いて、内在性mRNAの翻訳を阻害しうる。
アンチセンス核酸は、長さが少なくとも6ヌクレオチドである必要があり、好ま
しくは、長さが6〜約50ヌクレオチドの範囲のオリゴヌクレオチドである。特定
の態様においては、このオリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド、少な
くとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド又は少なくとも50ヌクレオチ
ドである。
【0142】 標的配列の選択に関わりなく、まずin vitro研究を行ってmRNAの発現を阻害す
るアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力を定量化することが好ましい。これら
の研究はオリゴヌクレオチドのアンチセンス遺伝子阻害と非特異的生物学的作用
とを区別する対照を用いることが好ましい。加えて、アンチセンスオリゴヌクレ
オチドを用いて得られた結果を対照オリゴヌクレオチドを用いて得られた結果と
比較することも考えられる。対照オリゴヌクレオチドが試験オリゴヌクレオチド
とほぼ同じ長さのものであり、かつオリゴヌクレオチドの核酸が標的配列への特
異的ハイブリダイゼーションを防止する必要があるに過ぎないアンチセンス配列
とは異なることが好ましい。
【0143】 これらのオリゴヌクレオチドはDNAであってもRNAであってもよく、又はそれら
のキメラ混合物もしくは誘導体もしくは修飾体であってもよく、一本鎖であって
も二本鎖であってもよい。これらのオリゴヌクレオチドは、例えばその分子の安
定性、ハイブリダイゼーション等を改善するため、塩基部分、糖部分、又はリン
酸骨格が修飾されていてもよい。これらのオリゴヌクレオチドは他の付随基、例
えば、ペプチド(例えば、in vivoで宿主細胞受容体を標的とするためのもの)
、又は細胞膜(例えば、Letsinger, et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.
S.A. 86:6553-6556;Lemaitre, et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.
84:648-652;1988年12月15日公開のPCT公開WO88/09810を参照)もしくは血液
−脳関門(例えば、1988年4月25日公開のPCT公開WO89/10134を参照)を通過し
ての輸送を促進する薬剤、ハイブリダイゼーション誘発(hybridization-trigge
red)開裂剤(例えば、Krol et al., 1988, BioTechniques 6:958-976を参照)
又は挿入剤(例えば、Zon, 1988, Pharm. Res. 5:539-549を参照)を含んでいて
もよい。この目的のため、オリゴヌクレオチドは、他の分子、例えば、ペプチド
、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発開
裂剤等に結合させることができる。
【0144】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾塩基部分を含んで
いてもよく、例えば、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウ
ラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシ
ン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミ
ノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒ
ドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニ
ルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン
、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシト
シン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5
−メトキシアミノエチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5
’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ
−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソ
シン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオ
ウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル
−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−
2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、
(acp3)w、及び2,6−ジアミノプリンを含むがこれらに限定されるものではな
い群より選択されるものが挙げられる。
【0145】 また、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アラビノース、2−フルオロアラ
ビノース、キシルロース、及びヘキソースを含むがこれらに限定されるものでは
ない群より選択される少なくとも1つの修飾糖部分を含んでいてもよい。
【0146】 さらに別の実施形態においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホ
ロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチオエート、ホスホロア
ミデート、ホスホロジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエ
ステル、及びホルムアセタール又はそれらの類似体からなる群より選択される少
なくとも1つの修飾リン酸骨格を含む。
【0147】 さらに別の実施形態においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドはα−アノ
マーオリゴヌクレオチドである。α−アノマーオリゴヌクレオチドは相補的RNA
と特定の二本鎖ハイブリッドを形成し、そこでは、通常のβ−ユニットとは対照
的に、鎖が互いに平行に伸びる(Gautier, et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15
:6625-6641)。このオリゴヌクレオチドは2’−O−メチルリボヌクレオチド(In
oue, et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15:6131-6148)、又はキメラRNA−DNA類
似体(Inoue, et al., 1987, FEBS Lett. 215:327-330)である。
【0148】 本発明のオリゴヌクレオチドは、当業者に公知の標準的方法、例えば、自動DN
Aシンセサイザー(例えば、Biosearch、Applied Biosystems等から市販されてい
るもの)を用いることによって合成することができる。例として、ホスホロチオ
エートオリゴヌクレオチドはSteinらの方法(1988, Nucl. Acids Res. 16:3209
)によって合成することができ、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは制御
化細孔ガラスポリマー支持体(Sarin, et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A. 85:7448-7451)等を用いることによって調製することができる。
【0149】 コード領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドを用いることもできるが、翻
訳、非翻訳領域に相補的なものが最も好ましい。
【0150】 アンチセンス分子は、その配列をin vivoで発現する細胞に送達されなければ
ならない。アンチセンスDNA又はRNAを細胞に送達するための幾つかの方法が開発
されている;例えば、アンチセンス分子を組織部位に直接注入することができる
し、又は望ましい細胞を標的とするように設計された修飾アンチセンス分子(例
えば、標的細胞表面上に発現する受容体又は抗原に特異的に結合するペプチド又
は抗体に連結されたアンチセンス)を全身投与することができる。
【0151】 内在性mRNAの翻訳を抑制するのに十分なアンチセンスの細胞内濃度を達成する
のに好ましい手法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なpol IIIもしく
はpol IIプロモーターの制御下に配置される組換えDNA構築体を用いるものであ
る。患者体内の標的細胞のトランスフェクションにそのような構築体を用いるこ
とで十分な量の一本鎖RNAの転写が生じ、それが内在性配列転写物と相補的塩基
対を形成し、それによりmRNA配列の翻訳が妨げられる。例えば、ベクターを、例
えばそれらが細胞によって取り込まれ、アンチセンスRNAの転写に向かうように
導入することができる。そのようなベクターは、それが転写されて所望のアンチ
センスRNAを産生する限り、エピソームに留まっているものであってもよいし染
色体に組み込まれるものであってもよい。そのようなベクターは当該技術分野に
おいて標準の組換えDNA技法によって構築することができる。ベクターはプラス
ミド、ウイルス、又は哺乳動物細胞における複製及び発現に用いられる当該技術
分野において公知の他のものであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の
発現は、哺乳動物、好ましくはヒト細胞において作用することが当該技術分野に
おいて公知であるあらゆるプロモーターによってなされ得る。そのようなプロモ
ーターは誘発性のものであっても構成性のものであってもよい。そのようなプロ
モーターには、これらに限定されるものではないが、SV40早期プロモーター領域
(Bernoist and Chambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの
3’末端長反復配列に含まれるプロモーター(Yamamoto, et al., 1980, Cell 22
:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner, et al., 1981,
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調
節配列(Brinster, et al., 1982, Nature 296:39-42)、等が含まれる。あらゆ
るタイプのプラスミド、コスミド、YAC又はウイルスベクターを、組織部位に直
接導入することができる組換えDNA構築体の調製に用いることができる。その代
わりに、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターを用いることもでき、
その場合には投与を別の経路(例えば、全身性)によって達成することができる
【0152】 標的遺伝子mRNA転写物を触媒活性によって開裂するように設計されたリボザイ
ム分子も、標的遺伝子mRNAの翻訳、したがって、標的遺伝子産物の発現の防止に
用いることができる。(例えば、1990年10月4日公開のPCT国際公開WO90/11364
;Sarver, et al., 1990, Science 247, 1222-1225を参照)。
【0153】 リボザイムはRNAの特定の開裂を触媒することが可能な酵素的RNA分子である(
概説は、Rossi, 1994, Current Biology 4:469-471を参照)。リボザイムの作用
機構には、相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーシ
ョンと、それに続くエンドヌクレアーゼ切断開裂事象が含まれる。リボザイム分
子の組成物は標的遺伝子mRNAに相補的な1つ以上の配列を含んでいなければなら
ず、mRNAの開裂に関与する公知の触媒性配列を含まなければならない。この配列
については、例えば、米国特許第5,093,246号(これは参照によりその全文が本
明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0154】 部位特異的認識配列でmRNAを開裂するリボザイムを標的遺伝子mRNAの破壊に用
いることができるが、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が好ましい。ハンマー
ヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的塩基対を形成するフランキング領域に
よって指示される位置でmRNAを開裂する。唯一の必要条件は標的mRNAが以下の2
塩基の配列、すなわち5’−UG−3’を有することである。ハンマーヘッド型リボ
ザイムの構成及び作製は当該技術分野において公知であり、Myers, 1995, Molec
ular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference, VCH Publ
ishers, New York(特に、833頁の図4を参照)、及びHaseloff and Gerlach, 19
88, Nature, 334:585-591(これらは参照によりその全文が本明細書に組み込ま
れる)に十分に記載されている。
【0155】 好ましくは、リボザイムは開裂認識部位が標的遺伝子mRNAの5’末端近傍に位
置するように、すなわち効率が増加し、かつ非機能性mRNA転写物の細胞内蓄積が
最小化されるように遺伝子操作する。
【0156】 本発明のリボザイムにはRNAエンドリボヌクレアーゼ(以下、「Cech型リボザ
イム」)、例えば、テトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophila)
において天然に生じ(IVS、又はL-19 IVS RNAとして知られる)、かつThomas Ce
ch及び共同研究者によって広範に記載されている(Zaug, et al., 1984, Scienc
e, 224:574-578;Zaug and Cech, 1986, Science, 231:470-475;Zaug, et al.,
1986, Nature, 324:429-433;University Patents Inc.による公開国際特許出
願WO 88/04300;Been and Cech, 1986, Cell, 47:207-216)ものも含まれる。C
ech型リボザイムは、標的RNA配列にハイブリダイズした後に標的RNAの開裂を生
じる8塩基対の活性部位を有する。本発明は、標的遺伝子中に存在する8塩基対の
活性部位配列を標的とするCech型リボザイムを包含する。
【0157】 アンチセンス手法と同様に、リボザイムは(例えば、安定性、ターゲッティン
グ等の改善のため)修飾オリゴヌクレオチドを含むものであってもよく、in viv
oで標的遺伝子を発現する細胞に送達されなければならない。好ましい送達方法
には、強力な構成性pol III又はpol IIプロモーターの制御下でリボザイムを「
コード」し、そのためトランスフェクト細胞が内在性標的遺伝子のメッセージを
破壊し、かつ翻訳を阻害するのに十分な量のリボザイムを産生するDNA構築体の
使用が含まれる。アンチセンス分子とは異なってリボザイムは酵素性であるため
、効率上必要とされる細胞内濃度はより低い。
【0158】 内在性標的遺伝子の発現は、標的化相同組換え法を用いて標的遺伝子又はその
プロモーターを不活性化又は「ノックアウト」することによって減少させること
もできる(例えば、Smithies, et al., 1985, Nature 317:230-234;Thomas and
Capecchi, 1987, Cell 51:503-512;Thompson, et al., 1989, Cell 5:313-321
を参照;これらの各々は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)。例え
ば、内在性標的遺伝子(標的遺伝子のコード領域又は調節領域のいずれか)に相
同的なDNAによりフランキングされる変異型非機能性標的遺伝子(又は完全に無
関係のDNA配列)を、選択可能マーカー及び/又は陰性選択可能マーカーと共に
、又はそれら無しに、in vivoで標的遺伝子を発現する細胞のトランスフェクシ
ョンに用いることができる。標的化相同組換え法によるDNA構築体の挿入によっ
て、標的遺伝子の不活性化が生じる。このような手法は、農業分野に特に適して
おり、不活性標的遺伝子を有する動物子孫の産生にES(胚性幹)細胞に対する修
飾を用いることができる(例えば、Thomas and Capecchi, 1987及びThompson, 1
989、前掲を参照)。しかしながら、この手法は、組換えDNA構築体を直接投与す
るか、又は適切なウイルスベクターを用いてin vivoで必要な部位を標的化する
のであれば、ヒトにおける使用に適合させることができる。
【0159】 その代わりに、標的遺伝子の調節領域(すなわち、標的遺伝子のプロモーター
及び/又はエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的化し
、体内の標的細胞において標的遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成する
ことによって内在性標的遺伝子の発現を減少させることができる。(一般には、
Helene, 1991, Anticancer Drug Des., 6(6):569-584;Helene, et al., 1992,
Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:27-36;及びMaher, 1992, Bioassays 14(12):807-8
15を参照)。
【0160】 転写を阻害するために三重らせん形成において使用すべき核酸分子は一本鎖の
ものであり、かつデオキシヌクレオチドを含んでなるものでなければならない。
これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成はHoogsteen塩基対合規則による三重ら
せん形成を促進するように設計されなければならず、この規則は、一般には、二
本鎖の一方の鎖に存在するプリン又はピリミジンのいずれかの大きなストレッチ
を必要とする。核酸はピリミジンベースのものであってもよく、これは生じる三
重らせんの3本の会合鎖全体にわたってTAT及びCGCトリプレットを生じる。こ
のピリミジンに富む分子は、二本鎖のうちの一本鎖のプリンに富む領域に対する
塩基相補性をその鎖に平行な方向に与えるものである。加えて、例えばG残基の
ストレッチを含む、プリンに富む核酸分子を選択することができる。これらの分
子は、プリン残基の大部分が標的化二本鎖の一本の鎖に位置する、GC対に富むDN
A二本鎖と共に三重らせんを形成し、三重鎖の3本の鎖全体にわたってGGCトリプ
レットを生じる。
【0161】 その代わりに、三重らせん形成を標的とし得る潜在的な配列を、いわゆる「ス
イッチバック」核酸分子を創製することによって増加させることができる。スイ
ッチバック分子は、それらがまず二本鎖の一方の鎖と、次いで他方と塩基対を形
成するように交互の5’−3’、3’−5’の様式で合成され、二本鎖の一方の鎖に
存在するべきプリン又はピリミジンのいずれかのかなり大きなストレッチの必要
性を排除するものである。
【0162】 本明細書に記載されるアンチセンス、リボザイム、及び/又は三重らせん分子
が変異型遺伝子発現の阻害に用いられる場合、その技術が正常な標的遺伝子座に
よって産生されるmRNAの転写(三重らせん)及び/又は翻訳(アンチセンス、リ
ボザイム)を効率的に減少又は阻害し、存在する正常な標的遺伝子産物の濃度が
正常な表現型に必要なものよりも低いものとなり得る可能性がある。したがって
、そのような場合、標的遺伝子の活性の実質的に正常なレベルが維持されること
を保証するため、以下に記載されるもののような遺伝子治療法によって、アンチ
センス、リボザイム、又は三重らせん治療のいずれが用いられても、それに対し
て感受性の配列を含まない、正常な標的遺伝子活性を示す標的遺伝子ポリペプチ
ドをコードし、かつ発現する核酸分子を細胞に導入することができる。その代わ
りに、標的遺伝子が細胞外タンパク質をコードする場合には、標的遺伝子活性の
必要なレベルを維持するため、正常な標的遺伝子タンパク質を同時投与すること
が好ましいこともある。
【0163】 本発明のアンチセンスRNA及びDNA、リボザイム、並びに三重らせん分子は、上
に論じられるように、DNA及びRNA分子の合成については当該技術分野において公
知のあらゆる方法によって調製することができる。これらには、当該技術分野に
おいて公知のオリゴデオキシリボヌクレオチド及びオリゴリボヌクレオチドを化
学的に合成するための技術、例えば、固相ホスホロアミダイト化学合成法が含ま
れる。その代わりに、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のin vitro及び
in vivo転写によってRNA分子を産生させることもできる。このようなDNA配列は
、T7又はSP6ポリメラーゼプロモーターのような適切なRNAポリメラーゼプロモー
ターが組み込まれている様々なベクターに組み込むことができる。その代わりに
、用いられるプロモーターに依存して構成的又は誘発的にアンチセンスRNAを合
成するアンチセンスcDNA構築体を細胞系に安定に導入してもよい。
【0164】5.6.1 遺伝子置換治療 ここで開示されるICP作用物質を用いるための代わりの手段には、その作用物
質をコードする遺伝子を標的細胞に直接挿入するベクターの使用(例えば、遺伝
子治療)が含まれる。
【0165】 核酸配列を、組換え核酸配列を細胞にトランスファーし、かつそれらの配列を
レシピエント細胞内で発現させるのに用いることができる。このような技術は、
例えば、細胞のマーキングにおいて、又は状態、障害、もしくは疾患の治療に用
いることができる。そのような治療は遺伝子置換治療の形態であり得る。具体的
には、正常配列又は正常配列の機能を示す配列産生物の産生を司るその配列の一
部の1つ以上のコピーを、細胞にDNAを導入するリポソームのような他の粒子に加
えて、限定されないが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス及びレトロウイル
スベクターを含むベクターを用いて、患者体内の適切な細胞に挿入することがで
きる。
【0166】 別の態様においては、送達のための技術には、例えばそのような配列の、その
配列を発現させようとする細胞の部位への定位的送達による、直接投与が含まれ
る。
【0167】 哺乳動物細胞における発現のために遺伝子を導入する方法は当該分野において
公知である。一般には、そのような遺伝子治療法のため、核酸をin vivoで標的
細胞又はレポーター遺伝子に作動可能に連結するSP−10プロモーターを発現する
トランスジェニックマウスに直接投与する。これは当該技術分野において公知の
あらゆる方法により、例えば、それを適切な核酸発現ベクターの一部として構築
し、例えば、欠損もしくは弱毒化レトロウイルス又は他のウイルスベクターを用
いる感染により(米国特許第4,980,286号を参照)、裸のDNAの直接注入により、
微粒子打ち込み(microparticle bombardment)の使用により(例えば、遺伝子
銃;Biolistic、Dupont)、脂質もしくは細胞表面受容体もしくは形質移入剤の
コーティングにより、リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセル内への封
入により、核に侵入することが知られるペプチドに連結した状態での投与により
、又は受容体介在食作用を受けるリガンドに連結した状態での投与により(例え
ば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照)(これは、それ
らの受容体を特異的に発現する標的細胞型に用いることができる)投与してそれ
を細胞内に存在するようにすることによって達成することができる。別の態様に
おいては、リガンドがエンドソームを破壊する膜融合ウイルスペプチドを含む核
酸−リガンド複合体を形成し、核酸のリソソーム分解を回避することができる。
さらに別の態様においては、特定の受容体を標的化することにより、in vivoで
核酸を細胞特異的取り込み及び発現の標的とすることができる(例えば、1992年
4月16日付のPCT公開WO 92/06180;1992年12月23日付のWO 92/22635;1992年11
月26日付のWO 92/20316;1993年7月22日付のWO 93/14188;1993年10月14日付
のWO 93/20221を参照)。
【0168】 本発明の配列の発現の全体的なレベルを高めるのに用いることができるさらな
る方法には、異種DNA調節要素をその調節要素が問題の内在性配列と作動可能に
連結するように挿入することによって細胞又は微生物内の内在性配列の発現特性
を修飾するのに上述した標的化相同組換え法を用いることが含まれる。したがっ
て、標的化相同組換えを「転写的にサイレントな」、すなわち、通常は発現しな
いか、もしくは通常は非常に低いレベルで発現する内在性配列の転写の活性化、
又は通常発現する内在性配列の発現の強化に用いることができる。
【0169】 さらに、配列の発現の全体的なレベルは、適切な配列発現細胞、好ましくは自
己細胞を、ICPが関与する状態、障害、又は疾患の症状を緩和するのに十分な位
置及び数で患者に導入することによって高めることができる。そのような細胞は
組換え体であっても非組換え体であってもよい。
【0170】 患者における配列の発現の全体的なレベルを高めるために投与することができ
る細胞のうちにあるものはその配列を発現する正常細胞である。その代わりに、
細胞、好ましくは自己細胞を、その配列を発現するように加工することができ、
次いでICPが関与する状態、障害、又は疾患の症状を緩和するのに適する患者の
位置に導入することができる。
【0171】 投与しようとする細胞が非自己細胞である場合、導入される細胞に対する宿主
の免疫応答の発生を防止する公知技術を用いてそれらを投与することができる。
例えば、細胞のすぐ外の環境との成分の交換は考慮されているものの、導入され
る細胞を宿主免疫系に認識させない封入形態で細胞を導入することができる。
【0172】5.7 医薬製剤及び投与方法 活性成分を哺乳動物体内におけるその作用物質の作用部位と接触させるあらゆ
る手段によって様々な疾患状態を阻害するため、本発明の化合物を処方して投与
することができる。これらは、個々の治療活性成分として、又は治療活性成分の
組み合わせの状態のいずれかで、医薬と共に用いるのに利用可能なあらゆる通常
の手段によって投与することができる。これらは単独で投与することができるが
、一般には、選択される投与経路及び標準的な医薬の実務に基づいて選択される
医薬担体と共に投与する。
【0173】 投与量は疾患の症状の緩和を生じるのに十分な化合物の治療上有効な量であり
、もちろん、それは公知の因子、例えば、特定の活性成分の薬力学的特性並びに
その投与様式及び経路;レシピエントの年齢、性別、健康及び体重;症状の性質
及び程度;併用治療の種類、治療の頻度及び所望の効果に依存して変化する。
【0174】 好ましくは、ICPの機能を調節する作用物質は実質的に特異的であるべきであ
る。本発明の目的上、実質的に特異的という用語は、所定の作用物質が過度の細
胞毒性を生じることなく所望の効果をもたらすように投与され得ることを意味す
る。
【0175】 当業者の1人は、医師又は患者の観点から、望ましくない症状(例えば、疾患
に関連する症状、環境因子に対する感受性、正常な老化等)のあらゆる緩和又は
予防が事実上望ましいことを認めるであろう。したがって、本願の目的上、本明
細書で用いられる「治療」、「治療用途」、又は「医療用途」という用語は、ど
のようなものであろうともあらゆる方法で疾患状態もしくは症状を治療し、又は
他の方法で疾患もしくは他の望ましくない症状の進行を予防し、妨害し、遅延さ
せ、もしくは逆転させる、請求される作用物質を含む組成物のあらゆる全ての使
用を指す。
【0176】 疾患の治療処置において用いられる場合、本明細書に記載される作用物質又は
それらの誘導体の適切な投与量は、幾つかの十分に確立された方法のいずれによ
っても決定することができる。例えば、動物の研究が、体重キログラム当たりの
生体活性物質の最大耐容用量、すなわち、MTDの決定に通常用いられる。一般に
は、試験される動物種の少なくとも1つは哺乳動物である。当業者は、通例、効
力及びヒトを含む他の種に対する毒性の回避のため、用量を推定する。ヒトに対
する効力の研究を行う前に、正常被験者における第1相臨床試験が安全な用量の
確立を助ける。
【0177】 加えて、生体活性作用物質を、例えば、その生体活性作用物質の安定性を高め
るか、又は他の方法でその薬理学的特性を強化する(例えば、in vivo半減期の
増加、毒性の低下等)、様々な十分に確立されている化合物又は構造体と複合体
化することができる。
【0178】5.7.1 用量決定 そのような化合物の毒性及び治療効力は、例えばLD50(集団の50%に致死的な
用量)及びED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するための、細
胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができ
る。毒性効果と治療効果との用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表す
ことができる。大きい治療指数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合
物を用いることもできるが、非感染細胞に対する潜在的な損傷を最小限に止め、
それにより副作用を減少させるため、そのような化合物の標的を罹患組織部位に
設定する送達系を設計するように注意を払うべきである。
【0179】 細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータをヒトにおいて用いるため
の一連の投与量の処方に用いることができる。このような化合物の投与量は、好
ましくは、僅かな毒性を伴うか、もしくは毒性を伴わずにED50を含む循環濃度の
範囲内にある。投与量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に依存してこ
の範囲内において変化し得る。本発明の方法において用いられるあらゆる化合物
について、治療上有効な量をまず細胞培養アッセイから確立することができる。
細胞培養物において決定されたように、IC50(すなわち、症状の半最大阻害を達
成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を達成する用量を動物モデ
ルにおいて処方することができる。そのような情報は、ヒトにおいて有用な用量
をより正確に決定するのに用いることができる。血漿中の濃度は、例えば、高速
液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0180】 特定の投与量は抗体にも利用することができる。典型的には、好ましい投与量
は0.1 mg/体重kgないし100 mg/体重kg(一般には、10 mg/kgないし20 mg/kg
)であり、抗体が脳内で作用する場合には50 mg/kgないし100 mg/kgが通常適
切である。抗体が部分的にヒト又は完全にヒトである場合、それは一般には他の
抗体よりも長いヒト体内での半減期を有する。したがって、部分的にヒト又は完
全にヒトの抗体はより少ない投与量がしばしば可能である。抗体のさらなる安定
化にさらなる修飾を用いることができる。例えば、抗体の安定化並びに取り込み
及び(例えば脳内への)組織浸透性の強化に脂質付加を用いることができる。抗
体の脂質付加の方法は、Cruikshankら((1997) J. Acquired Immune Deficiency
Syndromes and Human Retrovirology 14:193)に記載されている。
【0181】 タンパク質又はポリペプチドの治療上有効な量(すなわち、有効投与量)は、
約0.001ないし30 mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし25 mg/体重kg、より好
ましくは約0.1ないし20 mg/体重kg、さらにより好ましくは約1ないし10 mg/体
重kg、2ないし9 mg/体重kg、3ないし8 mg/体重kg、4ないし7 mg/体重kg、又
は5ないし6 mg/体重kgの範囲である。
【0182】 さらに、治療上有効な量のタンパク質、ポリペプチド又は抗体を用いる被験者
の治療は一回治療又は、好ましくは、一連の治療を含み得る。好ましい例におい
ては、被験者を、約0.1ないし20 mg/体重kgの範囲の抗体、タンパク質、又はポ
リペプチドを用いて、毎週1回で約1ないし10週、好ましくは2ないし8週、より好
ましくは約3ないし7週、さらにより好ましくは約4、5もしくは6週治療する。
【0183】 本発明は、さらに、発現又は活性を調節する作用物質を包含する。作用物質は
、例えば、小分子であり得る。例えば、そのような小分子には、限定されるもの
ではないが、ペプチド、ペプチド模倣体、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌク
レオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、モル
当たり約10,000グラム未満の分子量を有する有機もしくは無機化合物(すなわち
、ヘテロ有機及び有機金属化合物を含む)、モル当たり約5,000グラム未満の分
子量を有する有機もしくは無機化合物、モル当たり約1,000グラム未満の分子量
を有する有機もしくは無機化合物、モル当たり約500グラム未満の分子量を有す
る有機もしくは無機化合物、並びにそのような化合物の塩、エステル、及び他の
薬学的に許容し得る形態が含まれる。
【0184】 小分子作用物質の適切な用量が当業者、例えば、医師に公知の幾つかの因子に
依存することは理解される。小分子の用量は、例えば、被験者又は試験するサン
プルの正体、大きさ、及び状態に依存して変化し、さらに、適用可能であるなら
ば、組成物を投与する経路に依存して変化し、本発明の核酸又はポリペプチドに
ついて小分子が有することを医師が望む効果に依存して変化する。例示的な用量
には、被験者又はサンプル重量のキログラム当たりミリグラム又はマイクログラ
ムの量が含まれる(例えば、キログラム当たり約1マイクログラムないしキログ
ラム当たり約500ミリグラム、キログラム当たり約100マイクログラムないしキロ
グラム当たり約5ミリグラム、又はキロラム当たり約1マイクログラムないしキロ
グラム当たり約50マイクログラム)。
【0185】5.7.2 製剤及び使用 本発明に従って用いるための医薬組成物は、通常の様式で、1種類以上の生理
学的に許容し得る担体又は賦形剤を用いて処方することができる。
【0186】 したがって、化合物並びにそれらの生理学的に許容し得る塩及び溶媒和物を(
口もしくは鼻のいずれを通しての)吸入もしくは吹き入れによる投与又は経口、
頬、非経口もしくは直腸投与用に処方することができる。
【0187】 経口投与については、医薬組成物は、例えば、通常の手段によって薬学的に許
容し得る賦形剤、例えば、結合剤(例えば、予備ゼラチン化トウモロコシデンプ
ン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロオキシプロピルメチルセルロース);
充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースもしくはリン酸水素カルシウム
);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);崩
壊剤(例えば、ジャガイモデンプンもしくはグリコール酸デンプンナトリウム)
;又は湿潤剤(例えば、硫酸ラウリルナトリウム)を用いて調製した錠剤又はカ
プセルの形態を取ることができる。錠剤は当該技術分野において公知の方法によ
ってコートすることができる。経口投与用の液体調製品は、例えば、溶液、シロ
ップもしくは懸濁液の形態を取ることができるか、又は使用前に水もしくは適切
なビヒクルで構成するための乾燥生成物として提示することができる。このよう
な液体調製品は、通常の手段によって薬学的に許容し得る添加物、例えば、懸濁
剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体もしくは水素化食用脂肪
);乳化剤(例えば、レシチンもしくはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例え
ば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコールもしくは分画植物油);及び保存
剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートもしくはソ
ルビン酸)を用いて調製することができる。これらの調製品は、適切であるなら
ば、バッファ塩、香料、着色料及び甘味料を含んでいてもよい。
【0188】 経口投与用の調製品は、活性化合物の制御放出がもたらされるように適切に処
方することができる。
【0189】 頬投与については、組成物は通常の様式で処方された錠剤又はロゼンジの形態
を取ることができる。
【0190】 吸入による投与については、本発明に従って用いられる化合物は、適切な噴霧
剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ
テトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切な気体を用いる加圧パック又は
噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で都合よく送達される。加圧エアロゾル
の場合、投与量単位は秤量された量を送達するために弁を提供することによって
決定することができる。吸入器又は吹き入れ器において用いるための、例えばゼ
ラチンの、カプセル及びカートリッジは、化合物の粉末混合物及び適切な粉末基
体、例えば、ラクトース又はデンプンを含めて処方することができる。
【0191】 化合物を注射、例えば、大量瞬時注射又は連続輸液による非経口投与用に処方
することができる。注射用の処方は、例えばアンプル又は多用量容器内の、保存
剤を添加した単位剤形で提示することができる。組成物は油性もしくは水性ビヒ
クル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンのような形態を取ることができ、配合剤
、例えば、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤を含むことができる。その代わり
に、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質非含有水で
構成するための粉末形態であってもよい。一般には、水、適切な油、生理食塩水
、水性デキストロース(グルコース)、及び関連糖溶液並びにグリコール、例え
ば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールが非経口溶液に適する担
体である。非経口投与用の溶液は、好ましくは、活性成分の水溶性塩、適切な安
定化剤及び、必要であるならば、バッファ物質を含む。単独又は組み合わせられ
た酸化防止剤、例えば、重硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム又はアスコルビン
酸が適切な安定化剤である。クエン酸及びその塩並びにナトリウムエチレンジア
ミンテトラ四酢酸(EDTA)も用いられる。加えて、非経口溶液は保存剤、例えば
、ベンズアルコニウム塩化物、メチル−もしくはプロピル−パラベン及びクロロ
ブタノールを含むことができる。適切な医薬担体は、この分野における標準的な
参考文献であるRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
【0192】 化合物は、例えばカカオ脂又は他のグリセリドのような通常の座剤基剤を含む
、座剤又は保持浣腸剤のような直腸組成物の形態で処方することもできる。
【0193】 前述の処方に加えて、化合物をデポー製剤として処方することもできる。この
ような長期間作用する処方は移植(例えば、皮下もしくは筋肉内)又は筋肉内注
射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物を適切なポリマ
ーもしくは疎水性材料(例えば、許容し得る油中のエマルジョンとして)又はイ
オン交換樹脂と共に、又は可溶性に劣る誘導体、例えば、可溶性に劣る塩として
処方することができる。
【0194】 加えて、作用の持続を制御するのに標準的な薬学的方法を用いることができる
。これらは当該技術分野において公知であり、それには制御放出調製品が含まれ
、それには適切な巨大分子、例えば、ポリマー、ポリエステル、ポリアミノ酸、
ポリビニル、ピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース又は硫酸プロタミンが含まれうる。制御放出するため、
組み込み方法に加えて巨大分子の濃度を調整することができる。加えて、作用物
質をポリマー材料、例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(
乳酸)又はエチレンビニルアセテート共重合体の粒子に組み込むことができる。
組み込みに加えて、これらの作用物質をマイクロカプセルにおける化合物の捕捉
にも用いることができる。
【0195】 本発明の別の側面にはICPアンタゴニストの徐放に備えた処方が含まれる。そ
のような徐放性処方の例には、生体適合性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)、ポ
リ(乳酸−co−グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲン
等の複合体が含まれる。薬物送達ビヒクルにおける分解性ポリマーの構造、選択
及び使用は、A. Domb et al., Polymers for Advanced Technologies 3:279-292
(1992)を含む幾つかの刊行物において論評されている。医薬製剤においてポリ
マーを選択及び使用する上でのさらなる指針は、M. Chasin and R. Langer (eds
.), "Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems, " "Drugs and the P
harmaceutical Sciences," M. Dekker, New York, 1990の45巻による教科書に見
出すことができる。ICPアンタゴニストの徐放に備えるのにリポソームを用いる
こともできる。関心のある薬物のリポソーム製剤の使用及び製造方法に関する詳
細は、とりわけ、米国特許第4,944,948号;米国特許第5,008,050号;米国特許第
4,921,706号;米国特許第4,927,637号;米国特許第4,452,747号;米国特許第4,0
16,100号;米国特許第4,311,712号;米国特許第4,370,349号;米国特許第4,372,
949号;米国特許第4,529,561号;米国特許第5,009,956号;米国特許第4,725,442
号;米国特許第4,737,323号;米国特許第 4,920,016号に見出すことができる。
徐放性製剤は、高局所濃度のICPアンタゴニストをもたらすことが望ましい場合
に特に関心の高いものである。
【0196】 本明細書に記載される作用物質又はそれらの誘導体の診断、治療又は医療用途
が意図される場合、その生体活性作用物質を幾つかの確立された方法のいずれか
によってin vivoで導入することができる。例えば、作用物質は、吸入により;
皮下により(sub−q);静脈内(I.V.)、腹腔内(I.P.)、もしくは筋肉内(I.
M.)注射;又は局所塗布剤(経皮パッチ、軟膏(ointments)、クリーム、軟膏
(salves)、点眼剤等)として投与することができる。
【0197】 所望であれば、組成物を、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を収容する
ことができるパック又はディスペンサ装置内に入れて提示することができる。パ
ックは、ブリスターパックのように、例えば、金属又はプラスチックホイルを含
む。パック又はディスペンサ装置には投与の指示書が添付されていてもよい。
【0198】 本発明の化合物の投与に有用な医薬剤形は以下のように説明することができる
: カプセル:カプセルは、標準ツーピース硬ゼラチンカプセルの各々を所望の量
の粉末化活性成分、175ミリグラムのラクトース、24ミリグラムのタルク及び6ミ
リグラムのステアリン酸マグネシウムで充填することによって調製する。
【0199】 軟ゼラチンカプセル:ダイズ油中の活性成分の混合物を調製し、容量型ポンプ
によってゼラチン内に注入して所望の量の活性成分を含む軟ゼラチンカプセルを
形成する。次に、それらのカプセルを洗浄して乾燥させる。
【0200】 錠剤:錠剤は、通常の手順により、その剤形が所望の量の活性成分、0.2ミリ
グラムのコロイド状二酸化ケイ素、5ミリグラムのステアリン酸マグネシウム、2
75ミリグラムの微結晶セルロース、11ミリグラムのコーンスターチ及び98.8 ミ
リグラムのラクトースであるように調製する。適切なコーティングを塗布して嗜
好性を増大させ、又は吸収を遅延させることができる。
【0201】 注射剤:注射による投与に適する非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を10
容積%のプロピレングリコール及び水中で攪拌することによって調製する。この
溶液を塩化ナトリウムで等張にし、無菌化する。
【0202】 懸濁液:水性懸濁液は、経口投与用に、各5ミリメートルが100ミリグラムの微
粉砕活性成分、200ミリグラムのナトリウムカルボキシメチルセルロース、5ミリ
グラムの安息香酸ナトリウム、1.0グラムのソルビトール溶液U.S.P.及び0.025ミ
リメートルのバニリンを含むように調製する。
【0203】 遺伝子治療投与:適切である場合には、遺伝子治療ベクターを固体、半固体、
液体又は気体形態の調製品、例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液
、座剤、注射剤、吸入剤、及びエアロゾルに、それらそれぞれの投与経路に通常
の方法で配合することができる。組成物の放出及び吸収を、標的器官に到達する
まで防止するのに、又は組成物の時限放出を保証するのに、当該技術分野におい
て公知の手段を用いることができる。本発明の組成物を無効にすることがない薬
学的に許容し得る形態を用いるべきである。医薬剤形においては、組成物を単独
で、又は他の薬学的に許容し得る活性化合物と、組み合わせる他に、適切に会合
させて用いることができる。
【0204】 したがって、本発明の医薬組成物を様々な経路を介して動物体内の様々な部位
に送達し、特定の効果を達成することができる(例えば、Rosenfeld et al. (19
91)、前出;Rosenfeld et al., Clin. Res., 3 9(2), 31 1A (1991 a);Jaffe e
t al.、前出;Berkner、前出を参照)。当業者は、2つ以上の経路を投与に用い
ることができるものの、特定の経路が別の経路よりも即時かつ有効な反応をもた
らし得ることを認めるであろう。局所又は全身送達は、体腔への製剤の適用もし
くは注入、エアロゾルの吸入もしくは吹き込みを含む投与により、又は局所投与
の他に筋肉内、静脈内、皮下、皮内を含む非経口導入により達成することができ
る。
【0205】 本発明の組成物は単位剤形で提供することができ、ここで各剤形単位、例えば
、茶さじ一杯、錠剤、溶液、又は座剤は予め決定された量の組成物を単独で、又
は他の活性剤との適切な組み合わせで含む。「単位剤形」という用語は、本明細
書で用いられる場合、投与単位としてヒト及び動物被検体に適する物理的に別個
の単位を指し、各単位は予め決定された量の本発明の組成物を、単独で、又は所
望の効果を生じるのに十分な量に算出された他の活性剤と組み合わせて、適切で
あるならば、薬学的に許容し得る希釈剤、担体、又はビヒクルと共に含む。本発
明の単位剤形の仕様は、達成しようとする効果及び特定の宿主における医薬組成
物に関連する特定の薬力学に依存する。
【0206】 したがって、本発明は、治療用遺伝子を宿主にトランスファーする方法であっ
て、本発明のベクターを、好ましくは組成物の一部として、前記投与経路のいず
れか又は当業者に公知であり、かつ特定の用途に適する代替経路を用いて投与す
ることを含む方法も提供する。「有効量」の組成物は宿主において望ましい効果
を生じるようなものであり、それは当業者に公知の幾つかの終点を用いて監視す
ることができる。本発明による宿主細胞へのベクターの有効な遺伝子トランスフ
ァーは、治療効果(例えば、治療している疾患に伴う幾つかの症状の緩和)の点
から、又は、さらに、トランスファーされた遺伝子の証拠もしくは宿主内でのそ
の遺伝子の発現によって監視することができる(例えば、配列決定を伴うポリメ
ラーゼ連鎖反応、ノーザンもしくはサザン・ハイブリダイゼーション、又は宿主
細胞内で核酸を検出する転写アッセイを用いる、あるいは免疫ブロット分析、抗
体介在検出、mRNAもしくはタンパク質の半減期研究、又はトランスファーされた
核酸によってコードされるか、もしくはそのようなトランスファーのためレベル
もしくは機能が影響を受けているタンパク質もしくはポリペプチドを検出する特
殊化アッセイを用いる)。
【0207】 本明細書に記載される方法は決して全てを包括するものではなく、特定の用途
に適するさらなる方法は当業者には明らかであろう。さらに、所望の効果を発揮
することが知られる化合物からの類推により、組成物の有効量をさらに概算する
ことができる。
【0208】 さらに、実際の用量及びスケジュールは、組成物が他の医薬組成物と組み合わ
せて投与されるかどうかに依存して、又は薬物動態、薬物の性質、及び代謝にお
ける個体間の相違に依存して変化することがある。同様に、in vitro用途におい
ては、(例えば、細胞表面上に存在するアデノウイルス受容体の数、又は遺伝子
のトランスファーに用いられるベクターの、その細胞株において複製する能力に
基いて)利用される細胞株に依存して、量が変化することがある。さらに、細胞
当たり添加しようとするベクターの量は、おそらくはそのベクターに挿入されて
いる治療用遺伝子の長さ及び安定性に加えてその配列の性質に伴って変化し、と
りわけ経験的に決定することが必要なパラメータであり、かつ本発明の方法に固
有ではない因子(例えば、合成に伴う費用)のために変えられることがある。当
業者は、特定の状況の緊急性に従い、必要なあらゆる調整を容易になすことがで
きる。
【0209】 本発明は本明細書に記載される特定の態様によって範囲が限定されるものでは
なく、これらの態様は本発明の個々の側面の1つの説明であることが意図されて
おり、機能的に等価の方法及び成分は本発明の範囲内にある。実際、本明細書に
示され、かつ説明されるものに加えて、本発明の様々な変形が前記説明及び添付
の図面から当業者には明らかになるであろう。このような変形は添付の請求の範
囲の範囲内にあることが意図されている。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 48/00 4C084 A61P 25/00 4C085 48/00 43/00 105 4C086 A61P 25/00 111 4C087 43/00 105 C07K 14/47 4H045 111 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12Q 1/02 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/50 Z C12Q 1/02 C12P 21/02 C G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A // C12P 21/02 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 オルソン、アンドリュー アメリカ合衆国 77382 テキサス州、ス プリング、ノース ウォルデン エルムス サークル 43 (72)発明者 ザムブロウィッツ、ブライアン アメリカ合衆国 77382 テキサス州、ザ ウッドランズ、ファイアーソーン プレ イス 18 (72)発明者 フリードリッヒ、グレン、エー. アメリカ合衆国 77004 テキサス州、ヒ ューストン、ハーマン ドライブ 2207 (72)発明者 サンズ、アーサー、ティー. アメリカ合衆国 77382 テキサス州、ザ ウッドランズ、ブリストル ベンド サ ークル 163 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA36 FB03 4B024 AA01 AA11 BA44 BA80 CA04 GA11 HA01 HA12 HA15 4B063 QA01 QA18 QQ20 QQ79 QR59 QR69 QR80 QS24 QS28 4B064 AG01 AG31 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA01 AA07 BA01 BA22 CA01 CA18 ZA121 ZA161 ZA181 ZA311 ZA361 ZA421 ZA431 ZA811 4C085 AA02 AA11 BB11 4C086 EA16 NA14 ZA12 ZA16 ZA18 ZA31 ZA36 ZA42 ZA43 ZA81 4C087 BB33 BB45 BC83 NA14 ZA12 ZA16 ZA18 ZA31 ZA36 ZA42 ZA43 ZA81 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA40 DA76 DA86 EA21 EA23 EA29

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2もしくは配列番号4のアミノ酸配列を有するイオン
    チャンネルタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子
  2. 【請求項2】 配列番号1もしくは配列番号3の核酸配列を含む請求項1の単
    離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 請求項1の核酸分子の相補体を含む単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 請求項2の核酸分子、もしくはその相補体の少なくとも24個
    の連続した塩基を含む単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 配列番号2もしくは配列番号4に示されているアミノ酸配列の
    うちの少なくとも30個の連続したアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含む
    単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のうちの1項に示す核酸分子に、高度にストリン
    ジェントな条件でハイブリダイズする単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のうちの1項に示す核酸分子に、中程度にストリ
    ンジェントな条件でハイブリダイズする単離された核酸分子。
  8. 【請求項8】 請求項6の核酸分子を含むベクター。
  9. 【請求項9】 宿主細胞中で核酸の発現を調節する制御核酸と機能しうる形
    で結合させた請求項6の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項6の核酸分子を発現するように遺伝子操作された宿
    主細胞。
  11. 【請求項11】 宿主細胞中で核酸の発現を調節する制御核酸と機能しうる
    形で結合させた請求項6の核酸分子を発現するように遺伝子操作された宿主細胞
  12. 【請求項12】 請求項6の核酸分子を含むトランスジーンを含有するよう
    に遺伝子操作されたトランスジェニック非ヒト動物。
  13. 【請求項13】 配列番号2もしくは配列番号4のアミノ酸配列を含む単離さ
    れたポリペプチド。
  14. 【請求項14】 請求項6の単離された核酸分子によってコードされるアミ
    ノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項2の単離された核酸分子によってコードされるアミ
    ノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  16. 【請求項16】 請求項6の単離された核酸分子によってコードされるアミ
    ノ酸配列を含む単離されたポリペプチドと結合する抗体。
  17. 【請求項17】 新規のイオンチャンネルタンパク質の発現をモジュレート
    する化合物を同定するための方法であって: (a) 試験化合物をICPを発現している細胞に接触させること; (b) 該細胞中のICP発現レベルを測定すること;および (c) 試験化合物の存在下での該細胞中のICP発現レベルを、試験化合物が存在し
    ない条件下での該細胞のICP発現レベルと比較すること; を含む方法で、試験化合物の存在下での該細胞中のICP発現量が試験化合物が存
    在しない条件下での該細胞中のICPの発現レベルとは異なる場合には、ICPの発現
    をモジュレートする化合物が同定される、方法。
  18. 【請求項18】 新規イオンチャンネルタンパク質(ICP)を細胞にトランス
    ファーする方法であって該ICPが細胞中にトランスファーされるように該細胞をI
    CPを含んでいる核酸と接触させることを含む方法。
  19. 【請求項19】 ICPが該細胞中で発現されている請求項17の方法。
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