JP2003511027A - 新規ヒト膜タンパク質 - Google Patents

新規ヒト膜タンパク質

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JP2003511027A JP2001528582A JP2001528582A JP2003511027A JP 2003511027 A JP2003511027 A JP 2003511027A JP 2001528582 A JP2001528582 A JP 2001528582A JP 2001528582 A JP2001528582 A JP 2001528582A JP 2003511027 A JP2003511027 A JP 2003511027A
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ターナー,シイ.,アレキサンダー
オルソン,アンドリュー
ネールス,ミッチェル
フリードリッヒ,グレン
ツァンボロウイッツ,ブライアン
サンズ,オーサー,ティー.
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レキシコン ジェネティックス インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 いくつかの新規ヒトGタンパク質共役受容体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】1.緒言 本発明は、膜会合タンパク質および受容体をコードする新規ヒトポリヌクレオ
チドの発見、同定および特性決定に関する。本発明は、開示したポリヌクレオチ
ド、宿主細胞発現系、コードされたタンパク質、融合タンパク質、ポリペプチド
およびペプチド、コードされたタンパク質およびペプチドに対する抗体、ならび
に開示の遺伝子が欠失しているか、または開示の遺伝子を過剰発現する遺伝子工
学的に操作された動物、あるいは前記タンパク質のアンタゴニストおよびアゴニ
スト、ならびに診断、薬物スクリーニング、臨床試験モニタリングおよび/また
は生理障害もしくは行動障害の治療に使用できる、開示の遺伝子によってコード
されるタンパク質の発現もしくは活性をモジュレートするその他の化合物を包含
する。
【0002】 本願は、1999年10月1日に出願された米国仮出願第60/156,996号についての優
先権を主張するものである。米国仮出願第60/156,996号の開示内容の全体は、あ
らゆる目的のために参照により本明細書に組み入れることとする。
【0003】2.発明の背景 膜受容体タンパク質は、細胞が細胞のホメオスタシスおよび機能を維持するだ
けでなく、その周囲の状況を感知する機構における構成成分である。したがって
、膜受容体タンパク質は、細胞生理機能、化学的伝達、および遺伝子発現を制御
するシグナル伝達経路に関与している場合が多い。膜受容体の特に関連のあるク
ラスは、典型的には、非保存性の親水性ループによって相互に連結されている7
つの保存性膜貫通ドメインの存在を特徴とする。そのような「7TM受容体」には
、Gタンパク質共役受容体(GPCR)として知られている受容体のスーパーファミリ
ーがある。GPCRは、通常、Gタンパク質またはPPGタンパク質が関与するシグナル
伝達経路に関与している。そのため、GPCRには、治療剤用の薬物ターゲットとし
て役立つことが知られている多くの受容体が含まれる。
【0004】3.発明の概要 本発明は、新規GPCRをコードするヌクレオチドの発見、同定および特性決定、
ならびにそれに対応する新規GPCR(NGPCR)アミノ酸配列に関する。本明細書にお
いて初めて開示されたNGPCRは、細胞膜に広がっており、リガンド結合後のシグ
ナル伝達に関与する膜貫通タンパク質である。開示のNGPCRは、7TM受容体ファミ
リーに見られる構造モチーフを有する。開示のNGPCRの発現は、とりわけ、脂肪
細胞およびリンパ節細胞において検出できる。本明細書に開示した特定の新規ヒ
トGPCRは、長さが、528、464、451、414、384、185、474、410、397、360、330
および131アミノ酸のタンパク質(それぞれ、配列番号2、4、6、8、10、12、
14、16、18、20、22および24を参照)をコードする。開示のNGPCRは、特徴的なリ
ーダー配列をもち、特徴的な複数の膜貫通領域(約20〜30アミノ酸)と、予測さ
れるいくつかの細胞質ドメインとを含む。スプライシングおよびその他の多形性
を示すクローンに加えて、開示のNGPCRの3'末端切断型が存在することを示すク
ローンが同定された。
【0005】 開示のNGPCRのマウス相同体の変異型対立遺伝子、すなわち「ノックアウト」
対立遺伝子を含むES細胞クローンを産生した。さらに、従来の方法(例えば、199
8年2月20日に出願されたPCT出願PCT/US98/03243参照。この出願は参照により本
明細書に組み入れられる。)を用いて産生させた「ノックアウト」ES細胞が意図
される。したがって、本発明のさらなる態様は、本明細書で開示したNGPCRをコ
ードする遺伝子中に遺伝子工学的操作による変異を有するノックアウト細胞およ
び動物を含む。
【0006】 本発明は、配列表に示したヌクレオチド、該ヌクレオチドを発現する宿主細胞
および該ヌクレオチドの発現産物、ならびに(a) 開示のNGPCRの哺乳動物相同体
(特に開示のヒトNGPCRなど)をコードするヌクレオチド、およびヒトNGPCR遺伝
子産物;(b) 機能ドメインに相当するNGPCRの1つ以上の部分をコードするヌク
レオチド、ならびに該ヌクレオチド配列によって特定されるポリペプチド産物(
例えば限定するものではないが、記載の細胞外ドメイン(ECD)の新規領域、本明
細書で初めて開示した1以上の膜貫通ドメイン(TM)、および細胞質ドメイン(CD)
);(c) ドメインの少なくとも1つの全部または一部が欠失または変更されてい
る、開示のNGPCRの遺伝子工学的に操作された変異体または天然の変異体をコー
ドする単離されたヌクレオチド、および該ヌクレオチド配列によって特定される
ポリペプチド産物(例えば限定するものではないが、TMの全部または一部が欠失
している可溶性受容体、およびCDの全部または一部が欠失している非機能性の受
容体:(d) 別のペプチドもしくはポリペプチドに融合した、NGPCRのコード領域
またはそのドメインのうちの1つ(例えば細胞外ドメイン)を含む融合タンパク質
をコードするヌクレオチドを包含する。
【0007】 本発明はまた、NGPCRのアゴニストおよびアンタゴニスト、例えば小分子、大
型分子、変異NGPCRタンパク質、天然NGPCRタンパク質と競合するその一部、抗体
、ならびに開示したNGPCRの発現を阻害するのに使用できるヌクレオチド配列(例
えばアンチセンスおよびリボザイム分子、ならびに遺伝子または調節配列置換構
築物)、または開示したNGPCR遺伝子の発現を高めるのに使用できるヌクレオチド
配列(例えば強力プロモーター系の制御下に開示した遺伝子が位置している発現
構築物)、およびNGPCRトランスジーンを発現するトランスジェニック動物または
機能NGPCRを発現しない「ノックアウト」も包含する。
【0008】 さらに、本発明は、NGPCR遺伝子発現および/またはNGPCR遺伝子産物活性をモ
ジュレートする、すなわちそれらのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用
する化合物の同定のための開示したNGPCR遺伝子および/またはNGPCR遺伝子産物
の使用方法にも関する。そのような化合物は、生物学的障害または異常の様々な
症候性表現の治療のための治療剤として用いることができる。
【0009】4. 配列表および図面の説明 配列表は一連のNGPCR ORF配列、およびそれによりコードされているアミノ酸
配列を示す。
【0010】5. 発明の詳細な説明 本明細書中で初めて記載されたヒトNGPCRは、特に脂肪細胞およびリンパ節細
胞で発現する新規な受容体タンパク質である。NGPCRは7TM受容体ファミリーの中
に含まれる膜貫通タンパク質である。他のGPCRと同様にリガンドが受容体と結合
する際にシグナル伝達が誘発される。天然リガンドの結合の阻害、またはリガン
ドの中和もしくは除去、あるいはNGPCRとの結合阻害はNGPCRに仲介されたシグナ
ル伝達を果たす。その生物学上の重要性のため、7TMおよび特にGPCRタンパク質
は化学的/商業上の鋭意精査が行われてきた(例えば、1997年3月19日出願の米国
出願第08/820,521号、および1997年4月17日出願の第08/833,226号を参照、両資
料とも参照によりそのまま本明細書に組み入れる)。
【0011】 本発明は、記載したNGPCRヌクレオチド、NGPCRタンパク質およびペプチド、な
らびにNGPCRに対する抗体、好ましくはヒトモノクローナル抗体、またはその結
合断片、そのドメインもしくはその融合タンパク質(例えば、NGPCRアゴニスト
またはアンタゴニストとして作用し得るもの)、受容体の活性または発現を阻害
するアンタゴニスト、または受容体活性を活性化させるか発現を増加させるアゴ
ニストの、診断および疾病の治療における使用を含んでなる。
【0012】 特に、下記のサブセクションに記載の本発明は、NGPCRの機能ドメイン(例えば
、ECD、TM、またはCD)、変異型、末端切断型もしくは欠失型のNGPCR(例えば、Δ
ECD、ΔTMおよび/またはΔCDなどの機能ドメインまたはその部分を1以上欠失し
たNGPCR)、NGPCR融合タンパク質(例えばNGPCR、または、ECDなど、免疫グロブリ
ン不変領域(例えばIgFc)などの関連のないタンパク質またはペプチドと融合した
NGPCRの機能ドメイン)、かかる産物をコードするヌクレオチド配列、およびNGPC
R産物を生じ得る宿主細胞発現系に対応するNGPCRポリペプチドまたはペプチドを
含む。
【0013】 本発明はまた、抗体および抗イディオタイプ抗体(Fabフラグメントを含む)、N
GPCRのアンタゴニストおよびアゴニスト、ならびにNGPCR遺伝子の発現を阻害す
る化合物またはヌクレオチド構築物(転写因子阻害剤、アンチセンスおよびリボ
ザイム分子、あるいは遺伝子または調節配列の置換構築物)、またはNGPCRの発現
を促進する化合物またはヌクレオチド構築物(例えば、NGPCRコード配列が、プロ
モーター、プロモーター/エンハンサー、などの発現制御エレメントに機能し得
る形で結合している発現構築物)を含む。本発明はまた宿主細胞およびヒトNGPCR
(またはその変異体)を発現するように、あるいは動物の内因性のNGPCR遺伝子の
発現を阻害または「ノックアウトする」ように遺伝子工学的に操作した宿主細胞
および動物に関する。
【0014】 NGPCRタンパク質またはペプチド、NGPCR融合タンパク質、NGPCRヌクレオチド
配列、抗体、アンタゴニストおよびアゴニストは疾患の診断のための変異型NGPC
Rまたは不適当に発現したNGPCRの検出に有用である。NGPCRタンパク質またはペ
プチド、NGPCR融合タンパク質、NGPCRヌクレオチド配列、宿主細胞発現系、抗体
、アンタゴニスト、アゴニストおよび遺伝子操作された細胞および動物は、体内
の通常のNGPCRの機能を摂動する症状または表現型の顕現の治療において有効な
薬剤のスクリーニング(またはコンビナトリアルライブラリーの高スループット
スクリーニング)に使用できる。遺伝子操作した宿主細胞および/または動物の
使用は、NGPCRのECDと結合する化合物の同定だけでなく、活性化したNGPCRによ
るシグナル伝達に影響する化合物の同定を可能にする系を提供できる点で有利で
ある。
【0015】 最後に、NGPCRタンパク質産物(特にNGPCR ECDに対応するペプチドまたは1以上
のTMドメインを欠く末端切断型ポリペプチドなどの可溶性誘導体)および融合タ
ンパク質産物(特にNGPCR-Ig融合タンパク質、すなわちNGPCRの融合体またはNGPC
Rのドメイン、例えばIgFcに対するECD 、ΔTM)、抗体および抗イディオタイプ抗
体(Fabフラグメントを含む)、アンタゴニストまたはアゴニスト(NGPCRに媒介さ
れるシグナル伝達経路の下流標的に働くシグナル伝達調節化合物を含む)はかか
る疾患の治療に使用できる。例えば、有効量の可溶性NGPCR ECD、ΔTM、あるい
はNGPCR ECDによく似たECD-IgFc融合タンパク質または抗イディオタイプ抗体(ま
たはそのFab)を投与すると、内因性のNGPCRリガンドが「一掃(mop up)」または
「中和」され、結合活性および受容体活性が抑制または低下する。かかるNGPCR
産物をコードするヌクレオチド構築物はin vivoでかかる生成物を発現させるた
めの宿主細胞の遺伝子操作に使用できる;これらの遺伝子操作された細胞は、体
内でNGPCRリガンドを一掃または中和するNGPCR、NGPCRペプチド、可溶性ECDまた
はΔTMまたはNGPCR融合タンパク質を継続的に供給する「バイオリアクター」と
して働く。機能NGPCR、変異NGPCR、ならびにアンチセンス分子およびリボザイム
分子をコードするヌクレオチド構築物は、NGPCR発現の調節に対する「遺伝子治
療」というアプローチで使用できる。このように、本発明はまた医薬製剤および
生物学的疾患の治療方法を含む。
【0016】 本発明の種々の態様を以下のサブセクション中で、より詳細に記載する。
【0017】5.1 NGPCR遺伝子 記載の特定のヒトNGPCRのcDNA配列および推定アミノ酸配列は配列表に示され
ている。
【0018】 本発明のNGPCRは、(a)配列表に示されたヒトDNA配列を含み、さらに高ストリ
ンジェント条件下で配列表に示されたDNA配列の相補配列とハイブリダイズし(例
えば、65℃にて0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中でフ
ィルターに結合させたDNAとハイブリダイズさせ、さらに0.1xSSC/0.1% SDS中68
℃で洗浄(Ausubel F. Mら編, 1989, Current Protocols in Molecular Biology,
Vol. I, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & sons, Inc.,
New York, P. 2.10.3))、かつ機能的に同等な遺伝子産物をコードする、連続す
る機能的NGPCRのオープン・リーディング・フレーム(ORF)をコードするあらゆる
ヌクレオチド配列を意図する。さらに、中程度のストリンジェント条件下で配列
表に示されたアミノ酸配列をコードし、発現するDNA配列の相補配列とハイブリ
ダイズする(例えば、42℃で0.2xSSC/0.1% SDS中で洗浄(Ausubelら, 1989, 上記)
)が、なお機能的に同等なNGPCR遺伝子産物をコードするようなヌクレオチド配列
も意図される。NGPCRの機能的に同等物としては、他の種に存在する天然のNGPCR
および、天然であれ遺伝子操作されたものであれ、変異したNGPCRが挙げられる
。本発明は開示した配列の縮重変異体も含む。
【0019】 さらに、NGPCR ORFをコードするポリヌクレオチド、または、配列番号1に対応
する領域に対して約99、95、90または約85パーセントの類似性(例えば、デフォ
ルト値パラメータを用いるGCG配列分析パッケージを使用してBLAST配列比較分析
により測定)を有するポリヌクレオチド配列によってコードされるその機能的同
等物も意図される。
【0020】 本発明はまた、記載のNGPCRヌクレオチド配列とハイブリダイズし、かつその
結果そのヌクレオチド配列の相補配列であるような核酸分子、好ましくはDNA分
子も含む。かかるハイブリダイゼーション条件は上記の通り高ストリンジェント
条件またはやや高いストリンジェント条件がよい。核酸分子がデオキシオリゴヌ
クレオチド(「DNAオリゴ」)であるような場合では、かかる分子(および特に約16
から約100塩基長、約20から約80、または約34から約45塩基長、または本配列表
に最初に開示した配列の連続領域を含む、示された大きさの変異体または組合せ
)は、ライブラリーのスクリーニング、クローンの単離、およびクローニングお
よび配列決定のテンプレート作成などのためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)と併
せて使用できる。あるいは、オリゴヌクレオチドは個々にまたはチップの形態で
ハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。例えば、記載の一連のNGPC
Rオリゴヌクレオチド配列、またはその相補配列を用いて記載のNGPCRの全てまた
は一部を表すことができる。典型的には約16から約40個(または述べた範囲内の
あらゆる数の個数)のヌクレオチドの長の該オリゴヌクレオチドは部分的に重な
り合っていてもよく、および/またはNGPCR配列は、重なり合わないオリゴヌク
レオチドを用いて表してもよい。従って、記載のNGPCRポリヌクレオチド配列は
、典型的にはそれぞれ記載の配列表で最初に開示した少なくとも約18個のヌクレ
オチド長のうち、少なくとも約2または3個の異なるオリゴヌクレオチド配列を含
むはずである。かかるオリゴヌクレオチド配列は配列表中の配列内に存在するど
のヌクレオチドから始まってもよく、記載配列に相対してセンス(5’→3’)方向
へもまたはアンチセンス方向へも進んでよい。オリゴヌクレオチドのプローブに
関して高ストリンジェント条件とは、例えば6xSSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム
中で、37℃(14塩基オリゴ)、48℃(17塩基オリゴ)、55℃(20塩基オリゴ)、および
60℃(23塩基オリゴ)にて洗浄することである。
【0021】 記載のオリゴヌクレオチドは、例えばNGPCR遺伝子調節において(および/ま
たはNGPCR遺伝子の核酸配列の増幅反応においてアンチセンスプライマーとして
)、有効なNGPCRアンチセンス分子をコードするか、またはアンチセンス分子と
して働きうる。NGPCR遺伝子の調節に関して、かかる技術は生物学的機能の調節
に利用できる。さらに、かかる配列はリボザイムの一部および/または三重らせ
ん配列として利用でき、NGPCR遺伝子の調節にも役に立つ。
【0022】 さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、5-
フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、
ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシ
ルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カル
ボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルケ
オシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチル
イノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メ
チルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチル
アミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノ
シルケオシン、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2
-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ウィブ
トキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル(pseudouracil)、ケオシン、2-チ
オシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-
メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢
酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウ
ラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンからなる群から選択される少なく
とも1つの修飾塩基部分を含み得る。
【0023】 またアンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、アラビ
ノース、2-フルオロアラビノース、キシルロースおよびヘキソースを含む群から
選択される少なくとも1つの修飾糖部分を含んでいてもよい。
【0024】 またもう1つの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロ
チオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチオエート、ホスホロアミ
デート、ホスホロジアミデート、ホスホン酸メチル、アルキルホスホトリエステ
ル、およびホルムアセタールまたはその類似体からなる群から選択される少なく
とも1の修飾リン酸主鎖を含む。
【0025】 またもう1つの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドはα-アノマー
オリゴヌクレオチドである。α-アノマーオリゴヌクレオチドは相補的RNAととも
に通常のβユニットとは逆に鎖が互いに平行に走る特有の二重鎖ハイブリッドを
形成する(Gautierら, 1987, Nucl. Acids Res. 15:6625-6641)。このオリゴヌク
レオチドは2’-0-メチルリボヌクレオチド(Inoueら, 1987, Nucl. Acids Res. 1
5:6131-6148)、またはキメラRNA-DNA類似体(Inoueら, 1987, FEBS Lett. 215:32
7-330)である。
【0026】 本発明のオリゴヌクレオチドは当業者に公知の標準法により、例えば自動DNA
合成装置(Biosearch、Applied Biosystemsなどから市販されているものなど)を
用いるなどして合成してよい。例を挙げると、ホスホロチオエートオリゴヌクレ
オチドはSteinら(1988, Nucl. Acids Res. 16:3209)の方法によって合成しても
よく、ホスホン酸メチルオリゴヌクレオチドは制御孔ガラスポリマー支持体(Sar
in ら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 85:7448-7451)を使用して製造で
きる。
【0027】 低ストリンジェント条件は当業者に十分公知であり、ライブラリーおよび標識
配列の由来する特定の生物に予測通りに依存する。かかる条件に関する手引きと
しては、例えばSambrookら, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual(
およびその定期的改訂版)、Cold Springs Harbor Press, N. Y. ;およびAusubel
ら, 1989, Current Protocols In Molecular Biology, Green Publishing Asso
ciates and Wiley Interscience, N.Y.を参照。
【0028】 あるいは、好適に標識されたNGPCRヌクレオチドプローブは適当なストリンジ
ェント条件を用いて、またはPCRによって、ヒトゲノムライブラリーのスクリー
ニングに用いてもよい。ヒトゲノムクローンの同定および特性決定は多形性の同
定、与えられた遺伝子座/対立遺伝子のゲノム構造の決定、および診断学的検査
の計画に役立つ。例えば、ヒト遺伝子のイントロン/エキソンの境界に隣接する
領域に由来する配列は、増幅アッセイに用いてエキソン、イントロン、スプライ
ス部位(例えば、スプライス受容部位および/または供与部位)、などの中にある
変異を検出するためのプライマーの設計に用いることができ、これは診断および
薬理ゲノミクスにも使用できる。
【0029】 さらに、NGPCR遺伝子の相同体は、本明細書中で開示されたNGPCR遺伝子産物の
中のアミノ酸配列をもとに設計した2つの縮重オリゴヌクレオチドプライマープ
ールを用いてPCRを実施して対象となる生物の核酸から単離してもよい。この反
応の鋳型は、例えばNGPCR遺伝子の対立遺伝子を発現すると知られている、また
は推測されるヒトまたは非ヒト細胞系または組織から製造したmRNAの逆転写によ
って得た全RNA、mRNA、および/またはcDNAであってよい。
【0030】 PCR産物は増幅した配列が所望のNGPCR遺伝子の配列を確実に表すようにサブク
ローニングおよび配列決定してもよい。次にPCR断片を種々の方法によって完全
長cDNAクローンの単離に用いてよい。例えば、増幅した断片を標識してバクテリ
オファージcDNAライブラリーなどcDNAライブラリーのスクリーニングに用いても
よい。あるいは、ゲノムライブラリーのスクリーニングを経て、標識した断片を
ゲノムクローンの単離に用いてもよい。
【0031】 PCR技術はまた完全長cDNA配列の単離に利用してもよい。例えば、標準法に従
い適当な細胞または組織(すなわち、例えば脳組織など、NGPCR遺伝子を発現する
と知られているかまたは推測されるところ)よりRNAを単離してもよい。逆転写(R
T)反応は、最初の鎖合成を誘導するための大抵の増幅断片の5’末端に特異的な
オリゴヌクレオチドプライマーを用いてRNA上で行なってよい。次いで得られたR
NA/DNAハイブリッドを標準の末端トランスフェラーゼ反応を用いて「末端を切断
」し、このハイブリッドをRNase Hで消化し、次いで相補的なプライマーで2番目
の鎖合成を誘導してもよい。このように、増幅断片の上流のcDNA配列は容易に単
離できる。用いるクローニング戦略の概説は、例えば、Sambrookら, 1989(前掲)
参照。
【0032】 変異NGPCR遺伝子のcDNAは例えばPCRを用いて単離できる。この場合、第1のcD
NA鎖は、変異型NGPCR対立遺伝子を有すると推測される個体中で発現することが
知られているまたは推測される組織から単離したmRNAとオリゴ-dTオリゴヌクレ
オチドをハイブリダイズし、また逆転写酵素で新しい鎖を伸長して合成してよい
。次にcDNAの2番目の鎖を通常の遺伝子の5’末端に特異的にハイブリダイズする
オリゴヌクレオチドを用いて合成する。これら2つのプライマーを用いて、産物
を次にPCRによって増幅し、所望により好適なベクター内にクローニングし、当
業者に十分公知の方法によってDNA配列分析を行う。変異型NGPCR対立遺伝子のDN
A配列と通常のNGPCR対立遺伝子のDNA配列とを比較することにより、変異型NGPCR
遺伝子産物の機能の欠失または改変の原因となる変異が確認できる。
【0033】 あるいは、ゲノムライブラリーは変異型NGPCR対立遺伝子を有すると思われる
、または知られている個体から得たDNAを用いて構築できるか、またはcDNAライ
ブラリーは変異型NGPCR対立遺伝子を発現すると知られている、または推測され
る組織由来のRNAを用いて構築できる。次いで通常のNGPCR遺伝子、または好適な
任意のその断片を標識してかかるライブラリー中の対応する変異型NGPCR対立遺
伝子を同定するプローブとして用いることができる。変異型NGPCR遺伝子配列を
含有するクローンはその後精製し、当業者に十分公知の方法に従って配列分析を
行うことができる。
【0034】 さらに、発現ライブラリーは、例えばmかかる変異型対立遺伝子を有すると推
測されるかまたは知られている個体中で、変異型NGPCRを発現すると知られてい
る、または推測される組織から単離したRNAから合成したcDNAを利用して構築で
きる。このように、変異していると推測される組織によって作られた遺伝子産物
は、下記5.3.節に記載の通り、通常のNGPCR遺伝子産物に対する抗体と併せて標
準抗体スクリーニング技術を用いて発現させ、スクリーニングしてもよい(スク
リーニング技術に関しては、例えば、Harlow, E, および Lane, 編, 1989, “Aa
ntibodies: A Laboratory MANUAL”, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring
Harbor参照)。
【0035】 さらに、スクリーニングは、例えばAP-NGPCRまたはNGPCR-AP融合タンパク質な
ど、標識したNGPCR融合タンパク質を用いるスクリーニングによって達成できる
。NGPCRの変異によって、機能が改変された(例えば、ミスセンスまたはフレーム
シフト変異の結果としての機能改変)遺伝子産物が発現するような場合、NGPCRに
対する一連のポリクローナル抗体は変異NGPCR遺伝子産物と交差反応しやすい。
かかる標識抗体との反応を通じて検出されるライブラリークローンは、当業者に
十分公知の方法に従い精製して配列分析を行うことができる。
【0036】 本発明はまた、変異NGPCR、NGPCRのペプチド断片、末端切断型NGPCR、およびN
GPCR融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。これには、限定され
るものではないが、変異NGPCR、つまりNGPCRの1以上のECD、TMおよび/またはCD
ドメインまたはこれらのドメインの部分に対応するポリペプチドまたはペプチド
;1または2のドメインが欠失している末端切断型NGPCR(例えば、TMまたはTMとCD
領域の双方を欠く可溶性NGPCR、または末端切断型の、CD領域の全てまたは一部
を欠く、機能しないNGPCR、をコードするヌクレオチド配列が含まれる。融合タ
ンパク質をコードするヌクレオチドには、限定されるものではないが、完全長NG
PCR配列、末端切断型NGPCR、あるいは関連のないタンパク質またはペプチド(例
えばNGPCE ECDを細胞膜に固定する膜貫通配列など);血流中で生じた融合タンパ
ク質(例えばNGPCR-Ig)の安定性および半減期を向上させるIgFcドメイン;または
マーカーとして使用できる酵素、蛍光タンパク質、発光タンパク質、と融合した
NGPCRのペプチド断片をコードするヌクレオチドが挙げられる。
【0037】 本発明はまた、(a)前述のNGPCRコード配列および/またはその相補配列(すな
わち、アンチセンス)のいずれかを含むDNAベクター;(b)コード配列の発現を指
令する調節エレメントと機能し得る形で結合した前述のNGPCRコード配列のいず
れかを含むDNA発現ベクター;および(c)宿主細胞内でコード配列の発現を指令す
る調節エレメントと機能し得る形で結合した前述のNGPCRコード配列のいずれか
を含む遺伝子工学的に操作された宿主細胞を含む。本明細書において、調節エレ
メントとしては、限定されるものではないが、誘導性および非誘導性プロモータ
ー、エンハンサー、オペレーターおよび発現を誘導および調節する当業者に公知
の他のエレメントなどがある。かかる調節エレメントとしては、限定されるもの
ではないが、サイトメガロウイルスhCMV前初期遺伝子、調節可能なウイルス(特
にレトロウイルスのLTR)プロモーター、SV40アデノウイルスの初期または後期プ
ロモーター、lac系、trp系、TAC系、TRC系、ファージAの主要なオペレーターお
よびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸
キナーゼ(PGK)に対するプロモーター、酸ホスファターゼのプロモーター、およ
び酵母α接合因子のプロモーターなどが挙げられる。
【0038】5.2 NGPCRタンパク質およびポリペプチド NGPCRタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド断片、NGPCRおよび/またはNG
PCR融合タンパク質の変異型、末端切断型または欠失型は、限定されるものでは
ないが、診断アッセイでの試薬として抗体の生成や、精神上、生物学上または医
学上の障害および疾病の治療的処置に有効な製薬上の試薬として使用できる化合
物のスクリーニングアッセイでの試薬としてNGPCRに関する他の細胞遺伝子生成
物の同定、など種々の用途のために調製可能である。
【0039】 配列表は記載した特定のNGPCR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列を開
示する。NGPCRはDNA配列中に翻訳開始部位と一致するイニシエーター・メチオニ
ンを有し、その後に膜会合タンパク質に特有の疎水性シグナル配列が続いている
。本明細書に示した配列データはNGPCRの選択的スプライシング形態が存在する
ことを示す(組織特異的であってもなくてもよい)。さらに、分析によって記載
のNGPCR配列中にいくつもの多形現象が明らかになった。例えば配列番号1の、84
6番目の位置で、CからTへのサイレント転位またはその逆が存在する可能性があ
り、AからGへの転位が記載の配列の5’ UTRに検出された。
【0040】 本発明のNGPCRアミノ酸配列には、配列表中に示したヌクレオチドおよびアミ
ノ酸配列ならびにその類似体および誘導体が含まれる。さらに、他の種由来の対
応するNGPCR相同体も本発明に含まれる。事実、上記のNGPCRヌクレオチド配列に
よってコードされるいずれのNGPCRタンパク質も本発明の範囲内にあり、配列表
に示したアミノ酸配列の全てまたは新規の部分をコードするいずれの新規なポリ
ヌクレオチド配列も同様である。遺伝コードの縮重性は公知であり、また従って
配列表に示した各アミノ酸は一般に十分公知の核酸の「トリプレット」コドン、
または多くの場合アミノ酸をコードするコドンを表すものである。従って、本明
細書においては、配列表に示したアミノ酸配列は、遺伝子コード(例えば、”Mo
lecular Cell Biology”, 1986, J. Darnellら編, Scientific American Books,
New York, NYの109頁の表4-1を参照、参照により本明細書に組み入れる)と考
え合わせると、一般的にかかるアミノ酸配列をコードし得る核酸配列の種々の置
換および組み合わせの全てを表すものである。
【0041】 本発明はまた、限定されるものではないが、NGPCRに対するリガンドと結合す
る能力、同一または補完的なシグナル伝達経路に作用(つまり細胞の代謝の変化(
例えばイオン流、チロシンのリン酸化反応など)またはNGPCR同等物が適当な細胞
型中に存在する場合の表現型の変化(生化学的、生物物理学的または明白な表現
型の改善、抑制または遅延など))に作用する能力などいくつかの判定基準のい
ずれかで判断した場合に、記載のヌクレオチド配列によってコードされるNGPCR
と機能上同等なタンパク質を含む。かかる機能上同等なNGPCRタンパク質は、限
定されるものではないが、上記のNGPCRヌクレオチド配列によってコードされる
が変化を生じず、従って機能上同等な遺伝子産物を生じるアミノ酸配列内のアミ
ノ酸残基の付加または置換を含むM。ある実施態様によれば、アミノ酸置換は、
関係する残基の極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性、および/または両親媒性
における類似点に基づいて行なわれる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸にはア
ラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリ
プトファン、およびメチオニンがあり、極性が中性のアミノ酸にはグリシン、セ
リン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが
あり、正の電荷を持つ(塩基性)アミノ酸にはアルギニン、リシン、およびヒスチ
ジンがあり、負の電荷を持つ(酸性)アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミ
ン酸がある。
【0042】 ランダム変異はNGPCR DNAにも作ることが可能であり(当業者らに十分公知のラ
ンダム変異誘発技術を用いる)、NGPCRコード配列の活性、特定部位の突然変異に
ついて試験した、生じた変異NGPCRコード配列は、機能の向上(例えば標的リガン
ドへの結合親和性の向上、および/またはシグナル伝達能力の増大)、または機
能の減少および/またはシグナル伝達能力の減少などを有する変異NGPCRを生成
するための操作が可能(当業者らに十分公知の特定部位の変異誘発技術を用いる)
である。かかる分析の1つの出発点は、例えば、違った種間で保存されるアミノ
酸配列モチーフを同定するため他の哺乳類から得た、対応する遺伝子/タンパク
質配列と、開示されたヒト配列とをアラインすることによる。保存されない変化
は種々の位置で機能、シグナル伝達能力、またはその双方を改変するための操作
が可能である。あるいは、機能の改変を所望する場合は、保存された領域(つま
り、同一アミノ酸)の欠失または保存されない改変が操作できる。例えば、多様
な保存された膜貫通ドメインの欠失または保存されない改変(置換または挿入)で
ある。
【0043】 記載のNGPCRポリヌクレオチド配列のさらなる応用は、例えば、ポリヌクレオ
チドのシャッフルまたは関連する方法を用いた、少なくとも部分的に記載の新規
の配列によりコードされたタンパク質の分子の変異誘発/発生における利用であ
る。かかるアプローチは米国特許第5,830,721号および同第5,837,458号に記載さ
れている。これらは参照によりそのまま本明細書に組み入れる。
【0044】 NGPCRコード配列のその他の変異は、選択された宿主細胞内での発現、スケー
ルアップなどにより適したNGPCR生成に使用できる。例えば、システイン残基を
欠失させるか、他のアミノ酸で置換することでジスルフィド架橋を除去すること
ができ;N-結合したグリコシル化部位を改変または除去することで、例えばN-結
合部位を高グリコシル化することが知られている酵母宿主からより容易に回収お
よび精製される相同産物の発現を達成することができる。この目的のために、EC
D(N-X-SまたはN-X-T)に存在する1以上のグリコシル化認識配列の1位または3位の
アミノ酸の片方または両方での種々のアミノ酸置換、および/またはECD中の1以
上のかかる認識配列の2位のアミノ酸の欠失によって、修飾されたトリペプチド
配列でのNGPCRのグリコシル化が防止される。(例えば、Miyajimaら, 1986, EMBO
J. 5(6):1193-1197を参照。) NGPCR(例えば、ECD、TM、CDなど)、末端切断型または欠失型のNGPCR(例えば、
ECD、TMおよび/またはCDの欠失したNGPCR)、ならびに、完全長NGPCR、NGPCRペ
プチド、または末端切断型NGPCRが関係のないタンパク質と融合している融合タ
ンパク質の1以上のドメインに対応するペプチドも本発明の範囲内にあり、本明
細書で開示したNGPCRヌクレオチドおよびNGPCRアミノ酸配列を基に設計できる。
かかる融合タンパク質には、限定されるものではないが、iv vivoでNGPCRタンパ
ク質またはペプチドを安定させ、半減期を延長するIgFc融合物;または融合タン
パク質を細胞膜に固定させてECDを細胞表面に表す任意のアミノ酸配列との融合
物;またはマーカー機能を持つ酵素、蛍光タンパク質または発光タンパク質との
融合物などがある。
【0045】 NGPCRポリペプチドおよびペプチドが化学的に合成できる(例えば、Creighton,
1983, Proteins: Structures and Molecular Principles, W. H.Freeman & Co.
, N. Y. 参照)一方で、NGPCRに由来する長いポリペプチドおよび完全長NGPCRは
、NGPCR遺伝子配列および/またはコード配列を有する核酸を発現するための当
業者に十分公知の技術を用い、組換えDNA技術により有利に製造できる。かかる
方法は、本明細書に記載のNGPCRヌクレオチド配列ならびに適当な転写および翻
訳制御シグナルを含有する発現ベクターの構築に利用できる。これらの方法とし
ては、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換え
などが挙げられる。例えば、Sambrookら, 1989(前掲)およびAusbel ら, 1989(前
掲)に記載の技術を参照。あるいは、NGPCRヌクレオチド配列によりコードされる
転写物の全てまたは一部に対応するRNAは、例えば合成装置を用いて化学的に合
成してもよい。例えば”Oligonucleotide Synthesis”, 1984, Gait, M. J. ed.
, IRL Press Oxfordに記載の技術を参照。これは参照によりそのまま本明細書に
組み入れる。
【0046】 種々の宿主発現ベクター系を、本発明のNGPCRヌクレオチド配列の発現に利用
できる。NGPCRペプチドまたはポリペプチドが、可溶性誘導体(例えばECDに対応
するNGPCRペプチド;TMおよび/またはCDが欠失した末端切断型または欠失型のN
GPCR)である場合、そのペプチドまたはポリペプチドは培養物から回収できる。
すなわち、NGPCRペプチドまたはポリペプチドが分泌されない場合は宿主細胞か
ら、またNGPCRペプチドまたはポリペプチドが細胞によって分泌される場合は培
地から回収できる。しかし、かかる発現系はまた、NGPCR、またはin situでの、
すなわち細胞膜に固定された機能上同等物を発現する、操作した宿主細胞も含む
。かかる発現系からのNGPCRの精製または濃縮は、適当な界面活性剤および脂質
ミセルならびに当業者らに十分公知の方法を用いて達成できる。しかし、かかる
操作した宿主細胞自身は、NGPCRの構造的および機能的特性を保持することが重
要な状況だけでなく、生物学的活性を評価することが重要な状況、例えば薬剤の
スクリーニングアッセイにおいて用いてもよい。
【0047】 本発明の目的に用いられる発現系としては、限定されるものではないが、NGPC
Rヌクレオチド配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたは
コスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌(例えば大腸菌(E.coli)、枯草菌(S
.subtilis))などの微生物;NGPCRヌクレオチド配列を含む組換え酵母発現ベクタ
ーで形質転換した酵母(例えばサッカロミセス・ピチア(Saccharomyces, Pichia)
);NGPCRヌクレオチド配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロ
ウイルス)を感染させた昆虫細胞系;NGPCRヌクレオチド配列を含む組換えウイル
ス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイク
ウイルス、TMV)を感染させた、またはNGPCRヌクレオチド配列を含む組換えプラ
スミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;または哺
乳類細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えばメタロチオネインプロモータ
ー)または哺乳類ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期
プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構
築物を有する哺乳類細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3)などが挙げられ
る。
【0048】 細菌系では、発現しているNGPCR遺伝子産物に対して意図した使用に応じてい
くつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、かかるタンパク
質を大量に産生させる場合、NGPCRタンパク質の医薬組成物を生成する目的、ま
たはNGPCRタンパク質に対して抗体を生じさせる目的には、例えば、容易に精製
できる高レベルの融合タンパク質産物の発現を指令するベクターが望ましい。か
かるベクターとしては、限定されるものではないが、NGPCRコード配列を、lacZ
コード領域を有する枠内で、融合タンパク質が産生されるように個々にベクター
と連結させ得る大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら, 1983, EMBO J. 2:1791);
pINベクター(Inoue & Inoue, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109; Van He
eke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem. 264:5503-5509)などが挙げられる。PGE
XベクターもグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)とともに融合タンパク質と
して外来のポリペプチドを発現するのに使用してもよい。一般に、かかる融合タ
ンパク質は可溶性で、グルタチオン-アガロースビーズへ吸着させた後、遊離型
グルタチオンの存在下で溶出して溶解細胞から容易に精製できる。PGEXベクター
は、クローニングされた標的遺伝子産物がGSTの部分から放出できるようにトロ
ンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されている。
【0049】 昆虫系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を外来遺伝
子を発現させるベクターとして用いる。ウイルスはSpodoptera frugiperda細胞
内で増殖する。NGPCR遺伝子のコード配列は個別にウイルスの非必須領域へクロ
ーニングすればよく、AcNPVプロモーター(例えばポリへドリンプロモーター)の
制御下に置いてよい。NGPCR遺伝子のコード配列が上手く挿入されると、ポリへ
ドリン遺伝子が不活性化され、非閉塞組換えウイルス(すなわち、ポリへドリン
遺伝子によってコードされるタンパク質外被が欠失したウイルス)が生じる。次
に、これらの組換えウイルスは、挿入された遺伝子が発現するSpodoptera frugi
perda細胞に感染させるのに用いる(例えば、Smithら, 1983, J. Virol. 46:584;
Smith.米国特許第4,215,051号参照)。
【0050】 哺乳類の宿主細胞では、いくつかのウイルスを基にした発現系が利用できる。
アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合では、対象となるNGPCRヌクレ
オチド配列はアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーターお
よび3つに分かれたリーダー配列に連結すればよい。次いでこのキメラ遺伝子をi
n vitroまたはin vivoでの組換えによってアデノウイルスゲノム中に挿入するこ
とができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えばE1またはE3領域)へ挿入するこ
とによって、感染宿主中で生存可能であり、かつNGPCR遺伝子産物を発現し得る
組換えウイルスが生じる(例えば、Logan & Shenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 81:3655-3659参照)。特定の開始シグナルは挿入したNGPCRヌクレオチド
配列の効率のよい翻訳を必要とする。これらのシグナルにはATG開始コドンおよ
び隣接する配列が含まれる。完全なNGPCR遺伝子またはcDNA(それ自身の開始コ
ドンおよび隣接する配列を含む)が適当な発現ベクターに挿入される場合には、
さらなる翻訳制御シグナルは必要ない。しかし、NGPCRコード配列の一部だけが
挿入された場合、おそらくはATG開始コドンを含む外因性の翻訳制御シグナルを
準備するのが一般的である。さらに、確実に全挿入部分を翻訳するためには、一
般的に開始コドンは所望のコード配列のリーディングフレーム内の同じ相になけ
ればならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは天然および
合成双方の種々の起源のものであってよい。発現効率は適当な転写エンハンサー
エレメント、転写ターミネーターなどを包含することにより向上する(Bittnerら
, 1987, Methods in Enzymol. 153:516-544参照)。
【0051】 さらに、宿主細胞系は、挿入した配列の発現を調節し、または所望の特定の方
法における遺伝子産物を修飾およびプロセッシングをするものを選択すればよい
。タンパク質産物のかかる修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセッシング(
例えば、切断)はタンパク質の機能に重要であり得る。種々の宿主細胞は、翻訳
後プロセッシングならびにタンパク質および遺伝子産物の修飾の特徴的かつ特異
的なメカニズムを有する。適当な細胞系または宿主系を選択することによって、
発現する外来のタンパク質を正確に修飾およびプロセッシングすることができる
。このために、遺伝子産物の一次転写、グリコシル化およびリン酸化を適切にプ
ロセッシングするための細胞機構を有する真核生物の宿主細胞を用いてよい。か
かる哺乳類の宿主細胞としては、限定されるものではないが、CHO、VERO、BHK、
HeLa、COS、MDCK、293、3T3、およびWI38細胞系などが挙げられる。
【0052】 高収率の組換えタンパク質を長期にわたって産生させるには、安定した発現が
好ましい。例えば、上記のNGPCR配列を安定して発現する細胞系を作出してもよ
い。ウイルス由来の複製を有する発現ベクターを用いるより、宿主細胞は適当な
発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー配列、転写ターミネ
ーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによって制御されるDNAで
形質転換することができる。外来DNAを導入した後に作製した細胞を1〜2日間富
化培地で増殖させ、次いで選択培地へ移す。組換えプラスミド中の選択マーカー
は選択に対する耐性を与え、細胞が安定してプラスミドを染色体へ組み込み、増
殖させて細胞増殖巣を形成させ、これを次ぎにクローニングして細胞系へと拡張
する。この方法はNGPCR遺伝子産物を発現する細胞系の作製に有利に用いること
ができる。かかる作製された細胞系はNGPCR遺伝子産物の内在性の活性に作用す
る化合物のスクリーニングおよび評価に特に有効である。
【0053】 限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler
ら, 1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシールトランス
フェラーゼ(Szybalska & Szybalski, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:20
26)、およびアデニンホスホリボシールトランスフェラーゼ(Lowyら, 1980, Cell
22:817)などをはじめとする多数の選択系をそれぞれtk-、hgprt-、またはaprt- 細胞に使用することができる。また、代謝拮抗物質耐性を以下の遺伝子:メトト
レキサートへの耐性を与えるdhfr(Wiglerら, 1980, Natl. Acad. Sci. USA 77:3
567; O’Hareら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);ミコフェノー
ル酸耐性を与えるgpt(Mulligan & Berg, 1981, Proc, Natl. Acad. Sci. USA 78
:2072);アミノグリコシドG-418耐性を与えるneo(Colberre-Garapinら, 1981, J.
Mol. Biol. 150:1);およびハイグロマイシン耐性を与えるhygro(Santerreら,
1984, Gene 30:147):の選択の基準として用いることができる。
【0054】 あるいは、いずれの融合タンパク質も、発現される融合タンパク質に特異的な
抗体を利用することによって容易に精製できる。例えば、Janknechtらにより記
載された系は、ヒト細胞系で発現した非変性融合タンパク質の容易な精製が可能
である(Janknechtら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972-8976)。こ
の系では、その遺伝子のオープンリーディングフレームが6個のヒスチジン残基
を有するアミノ末端タグへ翻訳上融合されるように、対象となる遺伝子をワクシ
ニア組換えプラスミドにサブクローニングする。組換えワクシニアウイルスに感
染した細胞からの抽出物はNi2+ニトリロ酢酸-アガロースカラムに装填し、ヒス
チジンタグの付いたタンパク質をイミダゾールを含有するバッファーで選択的に
溶出する。
【0055】 NGPCR遺伝子産物はまたトランスジェニック動物内でも発現させることができ
る。限定されるものではないが、虫、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、齧
歯類、ブタ、マイクロピッグ、鳥類、ヤギ、家畜、ヒト以外の霊長類、例えば、
ヒヒ、サル、およびチンパンジーなどのいずれの種類の動物も、NGPCRトランス
ジェニック動物を作出ためにに使用できる。
【0056】 当業者に公知ないずれの技術を用いてNGPCR導入遺伝子を動物に導入してトラ
ンスジェニック動物の創始系を作り出してもよい。かかる技術としては、限定さ
れるものではないが、前核マイクロインジェクション法(Hoppe, P. C.およびWag
ner, T. E. 1989,米国特許第4,873,191号);レトロウイルス媒介による細菌系へ
の遺伝子導入(Van der Puttenら, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 82:6148
-6152);ES細胞への遺伝子ターゲティング(Thonpsonら, 1989, Cell 56:313-321
);胚のエレクトロポレーション法(Lo, 1983, Mol Cell. Biol. 3:1803-1814);
および精子媒介による遺伝子導入(Lavitranoら, 1989, Cell 57:717-723)などが
挙げられる。かかる技術の概説としては、Gordon, 1989, Transgenic Animals,
Intl. Rev. Cytol. 115:171-229を参照、なおこれは参照によりそのまま本明細
書に組み入れる。
【0057】 本発明は全ての細胞内にNGPCR導入遺伝子を有するトランスジェニック動物、
ならびに必ずしも全ての細胞ではないがいくつかの細胞に導入遺伝子を有する動
物、すなわちモザイク動物または体細胞トランスジェニック動物を提供する。導
入遺伝子は単独の導入遺伝子またはコンカテマー、例えばヘッド-ヘッドタンデ
ムまたはヘッド-テールタンデムとして組み込んでもよい。導入遺伝子はまた、
例えばLaskoら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-6236の教示により
選択的に特定の細胞型内へ導入し活性化させてもよい。かかる細胞型特異的活性
化に必要な制御配列は。対象となる特定の細胞型によって決まり、当業者には明
白である。
【0058】 NGPCR導入遺伝子を内在性のNGPCR遺伝子の染色体部位へ組み込もうとする場合
、標的遺伝子の組換えが好ましい。要するに、かかる技術を利用する場合、内在
性のNGPCR遺伝子と相同なヌクレオチド配列を含有するベクターを、染色体配列
との相同組換えによって内在性のNGPCR遺伝子のヌクレオチド配列の機能に組み
込み、分断する目的で設計する(すなわち、「ノックアウト」動物)。
【0059】 導入遺伝子はまた選択的に特定の細胞型へ導入でき、従って、例えば、Guら,
1994, Science, 265:103-106の教示により、内在性のNGPCR遺伝子はその細胞型
でのみ不活性化することができる。かかる細胞型に特異的な不活性化に必要な制
御配列は対象となる特定の細胞型によって決まり、当業者には明白である。
【0060】 一度トランスジェニック動物を作出すれば、組換えNGPCR遺伝子の発現は標準
法を用いてアッセイすることができる。一次スクリーニングは、導入遺伝子の組
み込みが起こったかどうかをアッセイする動物組織をサザンブロット分析または
PCR技術によって分析すればよい。トランスジェニック動物の組織内での導入遺
伝子のmRNA発現レベルは、限定されるものではないが、動物から得た組織サンプ
ルのノーザンブロット解析、in situハイブリダイゼーション解析、およびRT-PC
Rなどの技術を用いてアッセイすればよい。また、NGPCR遺伝子を発現する組織の
サンプルはNGPCR導入遺伝子産物に特異的な抗体を用いて免疫細胞化学的に評価
してもよい。
【0061】5.3 NGPCRタンパク質に対する抗体 NGPCRのエピトープ、またはNGPCRの保存された変異体のエピトープ、またはNG
PCRのペプチド断片の1つ以上を特異的に認識する抗体もまた本発明に含められる
。かかる抗体としては、限定されるものではないが、ポリクローナル抗体、モノ
クローナル抗体(mAb)、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント
、F(ab’)2フラグメント、Fab発現ライブラリーから得られるフラグメント、抗
イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグメン
トが挙げられる。
【0062】 本発明の抗体を、例えば生体サンプルのNGPCRの検出に用いてもよく、そうす
ることで患者のNGPCRの異常量を調べる診断または予後の予測の手法の一部とし
て使用してもよい。また、かかる抗体を、例えば以下の第5.5節に記載の試験化
合物のNGPCR遺伝子産物の発現および/または活性への影響の評価に関する、化
合物スクリーニング計画に関連して使用してもよい。さらに、かかる抗体を遺伝
子治療に関連して用い、例えば、遺伝子を患者に導入する前に正常および/また
は人為的操作したNGPCR発現細胞を評価することができる。また、かかる抗体を
異常なNGPCR活性を阻害する方法として用いてもよい。よって、こうしたことか
らかかる抗体を体重異常障害(weight disorder)治療法の一環として使用しても
よい。
【0063】 抗体の産生に関し、種々の宿主動物を、NGPCR、NGPCRペプチド(例えばECD、T
MまたはCDのような受容体の機能ドメインに対応するもの)、末端切断型NGPCRポ
リペプチド(1以上のドメイン、例えばTMまたはCDが欠失したNGPCR)、NGPCRの
機能的同等物またはNGPCRの変異体を注射することにより免疫化することができ
る。かかる宿主動物としては、限定されるものではないが、少し例を挙げればウ
サギ、マウス、およびラットが挙げられる。宿主の種によって有用である可能性
のある種々のアジュバントを用いて免疫応答を高めてもよい。アジュバントの例
としては、限定されるものではないが、フロイントアジュバント(完全および不
完全アジュバント)、水酸化アルミニウムのような無機質ゲル、リゾレシチンの
ような表面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エ
マルション、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および
BCG(カルメットーゲラン菌(bacille Calmette-Guerin))およびコリネバクテリ
ウム・パルバム(Corynebacterium parvum)などが挙げられる。ポリクローナル抗
体は免疫化した動物の血清に由来する異種抗体分子集団である。
【0064】 特定の抗原に対する同種抗体集団であるモノクローナル抗体を、連続培養細胞
系による抗体分子を産生するために提供される任意の手法によって得ることがで
きる。これらのものとしては、限定されるものではないが、KohlerおよびMilste
inのハイブリドーマ手法(1975, Nature 256: 495-497; および米国特許第4,376,
110号)、ヒトB細胞ハイブリドーマ手法(Kosborら, 1983, Immunology Today 4:
72; Coleら, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 2026-2030)、およびEBV-
ハイブリドーマ手法(Coleら, 1985, Monoclonal Antibodies And Cancer Therap
y, Alan R. Lias, Inc., pp. 77-96)が挙げられる。かかる抗体は、IgG、IgM、I
gE、IgA、IgDおよびそのいずれかのサブクラスをはじめとする任意の免疫グロブ
リンクラスのものであっていよい。本発明のmAbを産生するハイブリドーマをin
vitroまたはin vivoで培養することができる。in vivoで高力価のmAbを産生する
ことは、これが現在の好ましい産生方法である。
【0065】 さらに、好適な抗原特異性を有するマウス抗体分子由来の遺伝子を、好適な生
物学的活性を有するヒト抗体分子由来の遺伝子とともにスプライシングして、「
キメラ抗体」の作製を開発した手法(Morrisonら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci
., 81: 6851-6855; Neubergerら, 1984, Nature, 312: 604-608; Takedaら, 198
5, Nature, 314: 452-454)を用いてもよい。キメラ抗体は、マウスmAb由来の可
変部とヒト免疫グロブリン定常部とを有するもののように、分子内の異なる部分
が異なる動物種に由来する分子である。
【0066】 また、一本鎖抗体の作製について記載の手法(米国特許第4,946,778号; Bird,
1988, Science 242: 423-426; Hustonら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8
5: 5879-5883;およびWardら, 1989, Nature, 334: 544-546)を改変してNGPCR遺
伝子産物に対する一本鎖抗体を産生することもできる。一本鎖抗体は、Fv領域の
H鎖フラグメントとL鎖フラグメントとがアミノ酸架橋によって結合した結果、一
本鎖ポリペプチドとなることにより形成される。
【0067】 特定のエピトープを認識する抗体フラグメントを公知の手法から作製してもよ
い。例えば、かかるフラグメントとしては、限定されるものではないが、抗体分
子のペプシン消化により産生できるF(ab’)2フラグメントおよびF(ab’)2フラグ
メントのジスルフィド架橋の還元により得られるFabフラグメントが挙げられる
。また、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ簡易
な同定を可能にするために、Fab発現ライブラリーを構築してもよい(Huseら, 19
89, Science, 246: 1275-1281)。
【0068】 当業者には十分に公知な手法により、今度はNGPCRに対する抗体を使用して、
所与のNGPCRに「類似」した抗イディオタイプ抗体を作製することができる。(例
えば、Greenspan およびBona, 1993, FASEB J 7 (5): 437-444;およびNissinoff
, 1991, J. Immunol. 147 (8): 2429-2438参照)。例えば、NGPCR ECDに結合して
NGPCRのリガンドの結合を拮抗的に阻害する抗体を用いて、NGPCR ECDに「類似」
した、即ちリガンドに結合してこれを中和することができる抗イディオタイプを
作製することができる。、かかる中和抗イディオタイプまたはかかる抗イディオ
タイプのFabフラグメントを、NGPCRシグナリング経路を含む治療計画に用いるこ
とができる。
【0069】5.4 NGPCRに関連する異常症の診断 NGPCR機能に関連する障害の診断および予後の評価、ならびにかかる疾患の素
因を有する被験体の同定には種々の方法が使用できる。
【0070】 かかる方法では、例えば第5.1節に記載のNGPCRヌクレオチド配列および第5.3
節に記載のNGPCR抗体のような試薬を用いてもよい。特に、かかる試薬を、例え
ば:(1)NGPCR遺伝子変異の存在の検出、または所与の表現型に関連するNGPCR mRN
Aの過剰発現または過少発現のいずれかの検出;(2)所与の表現型に関連する過剰
のまたは十分に豊富ではないNGPCR遺伝子産物のいずれかの検出;および(3)NGPCR
によって媒介されるシグナル伝達経路の攪乱または異常の検出に用いてもよい。
【0071】 本明細書に記載の方法は、例えば、便宜的に、例えば臨床装置に用いて体重異
常障害(body weight disorder abnormality)を示す患者を診断する、本明細書に
記載の少なくとも1つの特定のNGPCRヌクレオチド配列またはNGPCR抗体試薬を含
んでなるプレパッケージされた診断キットを使用して、実施することができる。
【0072】 NGPCR突然変異の検出では、いずれもの有核細胞をゲノム核酸の起源として用
いることができる。NGPCR遺伝子発現またはNGPCR遺伝子産物の検出では、例えば
胃または脳の細胞など、NGPCR遺伝子を発現する任意の細胞型または組織を使用
してもよい。
【0073】 核酸に基づく検出手法については、以下の第5.4.1節に記載している。ペプチ
ド検出手法については、以下の第5.4.2節に記載している。
【0074】5.4.1 NGPCR遺伝子および転写産物の検出 NGPCR遺伝子の突然変異は数多くの手法によって検出することができる。任意
の有核細胞由来の核酸をかかるアッセイ手法の開始材料として用いることができ
、これは当業者には十分に公知な標準的核酸調製手順によって単離できる。
【0075】 DNAを生体サンプルのハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイに用いてNGP
CR遺伝子構造(点突然変異、挿入、欠失および染色体再構成を含む)に関連する
、異常を検出できる。かかるアッセイとしては、限定されるものではないが、サ
ザン解析、一本鎖高次構造多型解析(SSCP)、およびPCR解析が挙げられる。
【0076】 例えば、NGPCR遺伝子特異的変異を検出するこのような診断法には、例えば患
者サンプルまたは他の好適な細胞に由来する、サンプルから得られた組換えDNA
分子、クローン化した遺伝子またはその縮重変異体を含む核酸と、第5.1章に記
載のように、組換えDNA分子、クローン化した遺伝子またはその縮重変異体を含
む1種以上の標識した核酸試薬とを、これらの試薬が所与のNGPCR遺伝子にあるそ
れらの相補配列へと特異的にアニーリングするのに好適な条件下で接触させ、イ
ンキュベートすることが含まれる。好ましくは、これらの核酸試薬の長さは、少
なくとも15〜30ヌクレオチドである。インキュベーション後、アニールされなか
った全ての核酸を核酸:NGPCR分子ハイブリッドから除去する。ハイブリダイズし
た核酸の存在は、かかる分子が存在する場合にはその後に検出される。かかる検
出計画を用いる場合、対象となる細胞種または組織由来の核酸を、例えば膜のよ
うな固相支持体、またはマイクロタイタープレートもしくはポリスチレンビーズ
上のもののようなプラスチック表面に固定化するとよい。この場合、第5.1章に
記載の種類の、アニールされなかった標識核酸試薬はインキュベーション後に簡
単に除去される。残存するアニールされた標識核酸試薬の検出は、当業者には十
分に公知な標準手法によって達成される。核酸試薬がアニーリングしたNGPCR遺
伝子配列と、正常なNGPCR遺伝子配列から推測されるアニーリングパターンとを
比較して、NGPCR遺伝子突然変異の存在を調べることができる。
【0077】 患者サンプルまたは他の好適な起源となる細胞中のNGPCR遺伝子特異的核酸分
子を検出する別の診断法には、例えばPCRによるそれらの増幅(実験的実施形態に
ついてはMullis, K. B.., 1987, 米国特許第4,683,202号に記載される)、それに
続く当業者には十分に公知な手法を用いた増幅分子の検出が含まれる。得られた
増幅配列と、核酸を増幅した場合にNGPCR遺伝子の正常なコピーだけが含まれて
いると考えられるものとを比較してNGPCR遺伝子変異の存在を調べることができ
る。
【0078】 さらに、十分に公知な遺伝子型決定手法により、NGPCR遺伝子突然変異を有す
る個体の同定を行うことができる。かかる手法としては、例えば、特定の制限酵
素の認識部位の1つに配列変異を含む制限酵素断片長多型(RFLP)の使用が挙げら
れる。
【0079】 さらに、NGPCR遺伝子突然変異の同定に使用し得る改良したDNA多型の解析方法
であって、制限酵素部位間の可変数の短い縦列反復DNA配列の存在を利用する方
法がある。例えば、Weber(参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,075,21
7号)は、(dC-dA)n-(dG-dT)nの短い縦列反復配列のブロックの断片長多型に基づ
いたDNAマーカーについて記載している。(dC-dA)n-(dG-dT)nブロック間の平均距
離は30,000〜60,000bpと推測できる。このように近距離にあるマーカーは高頻度
の共遺伝を示し、例えば所与のNGPCR遺伝子の突然変異のような遺伝子突然変異
の同定およびNGPCR突然変異に関連する病気および疾患の診断に極めて有用であ
る。
【0080】 また、Caskeyら(参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,364,759号)は
、短い3および4ヌクレオチドの反復配列を検出するDNAプロファイリングアッセ
イについて記載している。この方法には、NGPCR遺伝子のような対象となるDNAの
抽出、抽出されたDNAの増幅、および反復配列の標識による、個々のDNAの遺伝子
型マップの作成が含まれる。
【0081】 また、NGPCR遺伝子発現のレベルもNGPCR転写を検出して測定することによりア
ッセイできる。例えば、NGPCR遺伝子を発現することが知られているまたは発現
すると推測される細胞型または組織(脳など)由来のRNAを単離し、上記のよう
なハイブリダイゼーションまたはPCR手法を使用して調べてもよい。単離された
細胞は細胞培養物または患者から得ることができる。培養物から採取した細胞の
解析は、細胞に基づく遺伝子治療の一部として、または化合物のNGPCR遺伝子の
発現への影響を調べるために用いるべき細胞の評価に必要なステップであり得る
。かかる解析により、NGPCR遺伝子発現の活性化または不活性化をはじめとするN
GPCR遺伝子の発現パターンの定量的および定性的な両方の側面が提示され得る。
【0082】 かかる検出計画のある実施形態では、cDNAを対象となるRNAから(例えばRNA分
子のcDNAへの逆転写により)合成する。その後、cDNAの配列をPCR増幅反応他のよ
うな核酸増幅反応の鋳型として用いる。この方法の逆転写および核酸増幅ステッ
プの合成開始試薬(例えば、プライマー)として用いられる核酸試薬は、第5.1
章に記載されたNGPCR核酸試薬の中から選択できる。かかる核酸試薬の好ましい
長さは、少なくとも9〜30ヌクレオチドである。増幅産物の検出では、放射性ま
たは非放射性の標識を付したヌクレオチドを用いて核酸増幅を行ってもよい。ま
た、標準的臭化エチジウム染色、他のいずれの好適な核酸染色法、または配列決
定により、該産物を視覚化できるように十分な増幅産物を作製できる。
【0083】 さらに、かかるNGPCR遺伝子発現アッセイを「in situ」で、すなわち生検また
は切除術から得られた患者組織の組織片(固定化および/または冷凍したもの)
で直接行うことが可能であり、核酸を精製する必要がない。第5.1章に記載され
たものなどの核酸試薬をかかるin situ手法のプローブおよび/またはプライマ
ーとして用いてもよい(例えば、Nuovo, G. J., 1992, “PCR In Situ Hybridiza
tion: Protocols And Applications”, Raven Press, NY参照)。
【0084】 また、十分な量の好適な細胞が得られた場合、標準的ノーザン解析を行ってNG
PCR遺伝子のmRNA発現のレベルを測定することができる。
【0085】5.4.2 NGPCR遺伝子産物の検出 また、上記、第5.3節の野生型もしくは変異NGPCR遺伝子産物またはその保存さ
れた変異体もしくはペプチド断片に対する抗体を、本明細書において記載される
診断法および予後の予測法として用いてもよい。かかる診断法を用いてNGPCR遺
伝子発現のレベルの異常、またはNGPCRの構造および/もしくは時間的、組織、
細胞、もしくは細胞内の分布の異常性を検出してもよいし、例えば生検組織のよ
うなin vivoまたはin vitroで行ってもよい。
【0086】 例えば、NGPCR ECDのエピトープに対する抗体をin vivoで用いて体内のNGPCR
の発現パターンおよび発現レベルを検出することができる。かかる抗体を、例え
ば放射線不透過性または他の好適な化合物で標識して被験者に注射し、体内で発
現されるNGPCRとの結合をX線、CAT-スキャン、またはMRIのような方法を用いて
視覚化することができる。標識した抗体フラグメント、例えば抗原結合領域の最
小部分を含んでなるFabまたは一本鎖抗体が、脳血液関門の透過を促進し、脳で
発現されたNGPCRの標識を可能にするというこの目的に好ましい。
【0087】 さらに、その存在を検出し得るいずれものNGPCR融合タンパク質またはNGPCR結
合タンパク質を投与してもよい。例えば、放射線不透過性または他の好適な化合
物で標識したNGPCR融合または結合タンパク質を、標識抗体について上述したよ
うに投与してin vivoで視覚化することができる。NGPCR-AP融合タンパク質上のA
P-NGPCRのような他のこのようなNGPCR融合タンパク質をin vitroでの診断手順に
使用してもよい。
【0088】 また、上記のように免疫アッセイまたは融合タンパク質検出アッセイを生検お
よび剖検サンプルにin vitroで使用するとNGPCRの発現パターンの評価が可能と
なる。かかるアッセイは、NGPCR ECDを定義する抗体の使用に限定されるもので
はないが、NGPCRのあらゆるドメイン、例えばECD、TMおよび/またはCDのエピト
ープに対する抗体の使用も含むことができる。これらの標識抗体の各々または全
ての使用によりNGPCRの翻訳および細胞表面への細胞内輸送に関する有用な情報
を得て、プロセッシングにおける欠陥を特定することができる。
【0089】 解析しようとする組織または細胞型としては、一般にNGPCR遺伝子を発現する
ことが知られているまたは発現すると推測されるものが挙げられる。本明細書に
おいて使用されるタンパク質単離法は、例えば、参照により本明細書に組み入れ
るHarlowおよびLane(Harlow, E.およびLane, D., 1988, “Antibodies: A Labor
atory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,
Mew York)に記載されるものなどであってよい。単離細胞は、細胞培養物または
患者から得ることができる。培養物から採取した細胞の解析は、細胞に基づく遺
伝子治療の一部として、または化合物のNGPCR遺伝子の発現への影響を調べるた
めに用い得る細胞の評価に必要なステップであると考えられる。
【0090】 例えば、本発明において有用な、上記、第5.3節に記載のもののような抗体ま
たは抗体のフラグメントを用いて、NGPCR遺伝子産物またはその保存された変異
体もしくはそのペプチド断片の存在を定量的または定性的に検出することもでき
る。これは、例えば光学顕微鏡、フローサイトメトリー、または蛍光測定による
検出と組み合わせた、蛍光標識抗体(本章下記参照)を使用する免疫学的蛍光法に
より達成され得る。特に、かかるNGPCR遺伝子産物が細胞表面で発現される場合
にかかる手法が好ましい。
【0091】 さらに、本発明において有用な、抗体(もしくはそのフラグメント)またはNG
PCR融合もしくは結合タンパク質を、NGPCR遺伝子産物またはその保存された変異
体もしくはそのペプチド断片のin situ検出、あるいはNGPCR結合(標識されたNG
PCRリガンド融合タンパク質の場合)に、免疫蛍光検査法、免疫電子顕微鏡法ま
たは非免疫アッセイの場合のように、組織学的に使用してもよい。
【0092】 in situ検出は、患者由来の組織標本片をとり、それに本発明の標識抗体また
は融合タンパク質を使用して達成され得る。好ましくは、抗体(もしくはフラグ
メント)または融合タンパク質は、標識抗体(またはフラグメント)を生体サン
プルに重ねて使用する。かかる手順の使用により、NGPCR遺伝子産物、または保
存された変異体もしくはペプチド断片、またはNGPCR結合の存在だけでなく、試
験した組織におけるその分布も調べることができる。当業者ならば、本発明によ
り様々な種類の組織学的方法(染色手順のような)のいずれを改変してもかかる
in situの検出を達成できることが容易に分かるであろう。
【0093】 NGPCR遺伝子産物またはその保存された変異体もしくはそのペプチド断片の免
疫アッセイおよび非免疫アッセイには、典型的には生物体液、組織抽出液、新た
に回収した細胞または細胞培養でインキュベートした細胞の溶解物のようなサン
プルを、NGPCR遺伝子産物またはその保存された変異体もしくはペプチド断片を
同定し得る検出可能な標識抗体の存在下でのインキュベートすること、および当
技術分野で十分に公知な数多くの手法のうちの任意の方法により結合した抗体を
検出することが含まれる。
【0094】 生体サンプルを、ニトロセルロースのような固相支持体もしくは担体、または
細胞、細胞粒子もしくは可溶性タンパク質を固定化し得る他の固体支持体に接触
させて固定化する。次いで、支持体を好適なバッファーで洗浄した後検出可能な
標識NGPCR抗体またはNGPCRリガンド融合タンパク質で処置する。次いで、固相支
持体をバッファーで2回洗浄して結合していない抗体または融合タンパク質を除
去する。その後、常法により固体支持体の結合標識量を検出する。
【0095】 「固相支持体または担体」とは、抗原または抗体を結合し得るいずれの支持体
をも意味する。十分に公知な支持体または担体としては、ガラス、ポリスチレン
ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然お
よび改変セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩および磁鉄鉱が挙げられる。
担体の性質は、本発明の目的に対してある程度まで可溶または不溶のいずれかで
あってよい。支持体材料は、結合する分子が抗原または抗体と結合し得る限り、
事実上、可能な構造形状のどのようなものを有してよい。よって、支持体形状は
ビーズの場合のように球形であってよく、または試験管の内面もしくは棒材の外
面の場合のように円柱形であってよい。また、表面は板、試験ストリップなどの
ように平らであってよい。好ましい支持体としては、ポリスチレンビーズが挙げ
られる。当業者は、抗体または抗原を結合させる数多くの他の好適な担体を知っ
ており、また通常の試験によりこれを確かめ得るであろう。
【0096】 所与の数多くのNGPCR抗体またはNGPCRリガンド融合タンパク質の結合活性は十
分に公知な方法によって調べることができる。当業者は通常の試験により各々の
測定の実施および最適アッセイ条件を決めることができよう。
【0097】 抗体に関して、NGPCR抗体を検出可能なように標識し得る方法の1つに、NGPCR
抗体と酵素との結合により、酵素免疫アッセイ(EIA)で使用することができるも
のがある(Voller, A., “The Enzyme Linked Immunosorbent Assay (ELISA)”,
1978, Diagnostic Horizons 2:1-7, Microbiological Associates Quarterly Pu
blication, Walkersville, MD): Voller, A.ら, 1978, J. Clin. Pathol. 31: 5
07-520; Butler, J. E., 1981, Meth. Enzymol. 73: 482-523; Maggio, E. (ed.
), 1980, Enzyme Immunoassay, CRC Press, Boca Raton, FL,; Ishikawa, E.ら
(eds.), 1981, Enzyme Immunoassay, Kgaku Shoin, Tokyo)。抗体と結合する酵
素は、好適な基質、好ましくは発色基質と、例えば分光測光法、蛍光測定法また
は視覚的手段により検出され得る化学的部分が得られるような様式で、反応する
。抗体を検出可能なように標識するために用い得る酵素としては、限定されるも
のではないが、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ状球菌ヌクレアーゼ、デルタ
-5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリ
ン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、セイヨウワサビペルオ
キシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシ
ダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリ
ンエステラーゼが挙げられる。検出は酵素に対して発色基質を使用する比色定量
法により達成され得る。また同様に調製した標準試料との比較において基質の酵
素反応の程度を視覚的に比較することによっても検出は達成され得る。
【0098】 さらに、数多くの他の免疫アッセイのいずれを用いても検出は達成され得る。
例えば、抗体または抗体フラグメントを放射性標識することにより放射免疫アッ
セイ(RIA)でNGPCRが検出できる(例えば、参照により本明細書に組み入れるWeint
raub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Ra
dioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986参照)。放
射性同位元素はγカウンターまたはシンチレーションカウンターを使用する手段
により、またはオートラジオグラフィーにより検出できる。
【0099】 また、蛍光化合物で抗体を標識することも可能である。蛍光標識した抗体を好
適な波長の光に曝すと、蛍光によりその存在が検出できる。最も一般に使用され
る蛍光標識化合物には、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フ
ィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒドおよび
フルオレサミンがある。
【0100】 また、抗体を152Euまたはランタン系列の他のもののような蛍光放射性金属を
用いて検出可能なように標識することもできる。これらの金属はジエチレントリ
アミンペンタ酢酸 (DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属キレ
ート基を用いて抗体と結合させることができる。
【0101】 また、抗体を化学発光性化合物と結合させることにより検出可能なように標識
することも可能である。化学発光性タグを付した抗体の存在は化学反応によって
誘導される発光の存在を検出することにより測定される。特に有効な化学発光性
標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、テロマティックアクリジニウ
ムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。
【0102】 同様に、生物発光性化合物を用いて本発明の抗体を標識してもよい。生物発光
は、生物系で見られる化学発光の一種であり、触媒タンパク質によって化学発光
反応の効率が高められるものである。生物発光性タンパク質の存在は発光の存在
を検出することにより測定される。標識を目的とする重要な生物発光化合物は、
ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンである。
【0103】5.5 NGPCR発現または活性をモジュレートする化合物のスクリーニングアッセイ 以下のアッセイを設計して、NGPCR(限定されるものではないが、NGPCRのECDま
たはCDなど)と相互作用する(例えば、結合する)化合物、NGPCR(限定されるもの
ではないが、NGPCRのTMおよびCDなど)と相互作用する細胞内タンパク質と相互作
用する(例えば、結合する)化合物、NGPCRが媒介するシグナル伝達に関与する膜
貫通タンパク質または細胞内タンパク質とのNGPCRの相互作用を妨げる化合物、
およびNGPCR遺伝子の活性をモジュレートする(すなわち、NGPCR遺伝子発現のレ
ベルをモジュレートする)またはNGPCRのレベルをモジュレートする化合物を同定
する。さらに、NGPCR遺伝子調節配列(例えばプロモーター配列)と結合し、NGPCR
遺伝子発現をモジュレートするであろう化合物を同定するアッセイを利用しても
よい。例えば、参照により本明細書に組み入れるPlatt, K. A., 1994, J. Biol.
Chem. 269: 28558-28562を参照。
【0104】 本発明に従ってスクリーニングできる化合物としては、限定されるものではな
いが、NGPCRのECDと結合して天然リガンドにより誘導される活性に類似したもの
にする(すなわち、アゴニスト)かまたは天然リガンドにより誘導される活性を阻
害する(すなわち、アンタゴニスト)かのいずれかのペプチド、抗体、およびその
フラグメント、ならびに他の有機化合物(例えば、擬似ペプチド)、さらにNGPCR
のECD(またはその一部)に類似し、かつ天然リガンドと結合してそれを中和する
ペプチド、抗体、およびそのフラグメント、ならびに他の有機化合物が挙げられ
る。
【0105】 かかる化合物としては、限定されるものではないが、限定されるものではない
が、ランダムペプチドライブラリー;(例えばLam, K. S.ら, 1991, Nature 54: 8
2-84; Houghten, R.ら, 1991, Nature 354: 84-86参照)、ならびにD-および/ま
たはL-アミノ酸で構成されたコンビナトリアル・ケミストリーによる分子ライブ
ラリーのメンバーを含む、例えば可溶性ペプチドのようなペプチド、ホスホペプ
チド(限定されるものではないが、ランダムまたは部分変性、特定のホスホペプ
チドライブラリー; Songyang, Z.ら, 1993, Cell 72 :767-778参照、のメンバー
を含む)、抗体(限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、
ヒト化、抗イディオタイプ、キメラまたは一本鎖抗体、ならびにFab、F(ab’)2
およびFab発現ライブラリーのフラグメント、ならびにそのエピトープ結合フラ
グメントを含む)、および有機または無機小分子が挙げられる。
【0106】 本発明に従ってスクリーニングできる他の化合物としては、限定されるもので
はないが、脳血液関門を通過し、好適な細胞(例えば、脈絡膜叢、視床下部他の)
に入って、NGPCRシグナル伝達経路に関与するNGPCR遺伝子または他のいくつかの
遺伝子の発現に作用する(例えば、遺伝子発現に関与する調節領域または転写因
子との相互作用による)ことが可能である小型有機分子;またはNGPCRの活性(例え
ば、CDの酵素活性を阻害するか、または促進させることによる、)、またはNGPCR
シグナル伝達経路に関与する他のいくつかの細胞内因子の活性に作用する、この
ような化合物が挙げられる。
【0107】 コンピュータモデリングおよび探索テクノロジーによって、NGPCR発現またはN
GPCRの活性をモジュレートし得る化合物の同定、または既に同定されているかか
る化合物の改良が可能になる。かかる化合物または組成物が同定されると、活性
部位または活性領域が同定される。かかる活性部位は典型的には、リガンド結合
部位と考えられる。該活性部位は当技術分野で公知な方法を用いて、例えば、ペ
プチドのアミノ酸配列から、核酸のヌクレオチド配列から、または関連する化合
物または組成物とその天然リガンドとの複合体の研究から同定できる。後者の場
合、因子のどこに複合体形成したリガンドが見つけられるかを見出すことにより
、化学またはX線結晶解析法を用いて活性部位を見出すことができる。
【0108】 次に、活性部位の三次元幾何学的構造を調べる。これについては、完全な分子
構造を決定し得る、X線結晶解析法などの公知の方法により行うことができる。
また、固相または液相NMRを用いて正確な分子内距離を測定することもできる。
構造決定についての他のいずれの試験法を用いても、部分的または完全な幾何学
的構造を得ることができる。天然または人工の複合体形成したリガンドを用いて
幾何学的構造を調べれば、決定される活性部位の構造の精度も高まるであろう。
【0109】 決定された構造が不完全または精度が不十分である場合には、コンピューター
による数値モデリング法を用いて構造を完成させるか、またはその精度を向上さ
せてもよい。タンパク質または核酸のような特定の生体高分子物質に特異的なパ
ラメーター化したモデル、分子運動の計算に基づく分子力学モデル、熱アンサン
ブル(thermal ensemble)に基づく統計力学モデル、または組合せモデルをはじ
めとするいずれの認知されたモデリング法を用いてもよい。ほとんどの種類のモ
デルでは、構成原子および官能基間の力を示す標準分子力の場が必要であり、物
理化学で知られている力の場から選択できる。試験に基づいた不完全なまたはよ
り精度の低い構造がこれらのモデリング法により計算され、完全かつより精度の
高い構造の制約条件となり得る。
【0110】 最後に、活性部位の構造が、試験によるモデリングかまたは組合せのいずれか
により決定されれば、化合物およびそれらの分子構造についての情報が収容され
ているデータベースの検索により候補モジュレート化合物が同定できる。かかる
検索により、決定された活性部位構造と適合し、かつ活性部位を規定する官能基
と相互に作用する構造を有する化合物を探索することができる。かかる検索は手
動で行うこともできるが、好ましくはコンピューターを使用する。この検索によ
り見つけられたこれらの化合物は、潜在的NGPCRモジュレート化合物である。
【0111】 また、これらの方法を用いて、既知のモジュレート化合物またはリガンドから
改良されたモジュレート化合物が同定できる。既知の化合物の組成を改変し、上
記の試験およびコンピュータモデリング法を新規な組成物に適用して改変による
構造上の影響を調べることができる。次いで、変化した構造と化合物の活性部位
構造とを比較して、結果として適合性または相互作用が改善されているか否かを
調べる。このように、側鎖基の改変などによる組成の系統的な変化を迅速に評価
して、改善された特異性または活性を有する改変モジュレート化合物またはリガ
ンドを得ることができる。
【0112】 NGPCRの活性部位の同定に基づくモジュレート化合物、および関連したシグナ
ル伝達因子および転写因子の同定に有用なさらなる試験およびコンピュータモデ
リング法については、当業者には明らかであろう。
【0113】 分子モデリングシステムの例には、CHARMmおよびQUANTAプログラム(Polygen C
orporation, Waltham, MA)がある。CHARMmはエネルギー最小化および分子力学関
数を実行するものである。QUANTAは分子構造の構成、図式モデリングおよび解析
を実行するものである。QUANTAは相互に作用する分子間の挙動の構成、改変、視
覚化、および解析を可能にする。
【0114】 Rotivinenら, 1988, Acta Pharmaceutical Fennica 97: 159-166; Ripka, New
Scientist 54-57 (1988年6月16日); MckinalyおよびRossmann, 1989, Annu. Re
v. Pharmacol. Toxiciol. 29: 111-122; PerryおよびDavies, OSAR: Quantitati
ve Structure-Activity Relationships in Drug Design pp. 189-193 (Alan R.
Liss, Inc. 1989); LewisおよびDean, 1989 Proc. R. Soc. Lond. 236: 125-140
および141-162;ならびに、核酸成分のモデル受容体に関するAskewら, 1989, J.
Am. Chem. Soc. 111: 1082-1090のような、数多くの論文では特定のタンパク質
と相互作用する薬剤のコンピュータモデリングについて再検討している。化学物
質をスクリーニングして図示する他のコンピュータプログラムについては、BioD
esigh, Inc.(Pasadena, CA.)、Allelix, Inc.(Mississauga, Ontario, Canada)
、およびHypercube, Inc.(Cambridge, Ontario)のような会社から入手可能であ
る。これらは主として特定のタンパク質に特異的な薬剤への適用に向けて設計さ
れているが、一度その領域が同定されれば、DNAまたはRNAの領域に特異的な薬剤
の設計にも適用できる。
【0115】 上記したが、結合を変えることができる化合物の設計および作製に関し、天然
産物または合成化学物質、およびタンパク質をはじめとする生物学的に活性な材
料を含めた公知の化合物のライブラリーを、阻害剤または活性化剤である化合物
についてスクリーニングしてもよい。
【0116】 また細胞に基づく系を用いてNGPCRと結合する化合物を同定し、さらに生細胞
中のかかる結合に関連する活性の変化を評価することができる。かかるアッセイ
で特に対象となる手段の1つは、とりわけ、参照により本明細書に組み入れる米
国特許第5,625,048号に記載される緑色蛍光タンパク質である。かかる細胞アッ
セイに用いてもよい細胞としては、限定されるものではないが、白血球、または
白血球に由来する細胞系、リンパ球、胚幹細胞をはじめとする幹細胞等が挙げら
れる。さらに、対象となる機能的NGPCRを発現し、化学的または表現型の変化に
より測定される試験または天然リガンドによる活性化または別の宿主細胞遺伝子
の誘導に応答するよう遺伝子工学的に操作した発現宿主細胞(例えば、B95細胞、
COS細胞、CHO細胞、OMK細胞、繊維芽細胞、Sf9細胞)を、アッセイの終点として
用いることができる。
【0117】 本明細書に記載されるもののようなアッセイによって同定される化合物は、例
えば、NGPCR遺伝子産物のある生物学的機能の考察に有用でありうる。かかる化
合物を治療上有効な用量で患者に投与して種々の生理学的または精神障害を治療
することができる。治療上有効な用量とは、いずれもの生物学的または明白な症
状のいずれかの改善、阻害、予防、または変質をもたらすに十分な化合物の量を
いう。
【0118】 かかる化合物の毒性および治療効果は、細胞培養物または実験動物での標準製
薬学的手法により、例えばLD50(集団の50%が死に至る量)およびED50(集団の50%
に治療上有効な量)を測定することにより決定することができる。毒性および治
療効果の用量比が治療指数であり、LD50/ED50比で示すことができる。治療指数
の高い化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を用いる場合、典型的にはか
かる化合物を作用する組織の部位にターゲティングする送達系を設計して、感染
していない細胞の可能性ある損傷を最小限にすることで副作用を弱めるよう取り
はからうべきである。
【0119】 細胞培養アッセイおよび動物実験で得られたデータをヒトに用いる用量範囲の
決定に用いることができる。かかる化合物の用量は、好ましくはほとんどまたは
全く毒性のないED50を含む循環濃度の範囲にある。用量は、使用する剤形および
利用する投与経路に応じてこの範囲内で変えてもよい。本発明の方法で用いるい
ずれの化合物に対しても、最初に細胞培養アッセイにより治療上有効な量を判断
することができる。用量を動物モデルで決定して、細胞培養物で決めたようにID 50 (すなわち症状の最大阻害の半分に達する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃
度範囲を得てもよい。かかる情報を用いてヒトに有用な量をさらに正確に決定す
ることができる。血漿レベルは、例えば高性能液体クロマトグラフィーにより測
定してもよい。
【0120】 本発明に従って使用する医薬組成物を、1以上の生理学上許容される担体また
は賦形剤を用いて常法で処方してもよい。よって、化合物ならびにそれらの生理
学上許容される塩および溶媒化合物を、吸入もしくは通気(口または鼻のいずれ
かから)による投与、または経口、口内、非経口、頭蓋内、くも膜下、もしくは
直腸投与用に処方してもよい。
【0121】 経口投与用の医薬組成物は、例えば常法により結合剤(例えば予めゼラチン化
したトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピル
メチルセルロース);充填剤(例えばラクトース、微晶質セルロースもしくはリン
酸水素カルシウム);滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルクもしくは
シリカ);崩壊剤(例えばジャガイモデンプンもしくはグリコール酸ナトリウムデ
ンプン);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のような製薬上許容さ
れる賦形剤とともに製造される錠剤またはカプセル剤の形態をとってもよい。錠
剤は当技術分野で周知の方法により被覆してもよい。経口投与用の液体製剤は例
えば液剤、シロップ剤、懸濁剤の形態をとってもよく、またそれらを使用前に水
または他の好適なビヒクルで構成する乾燥製品として提供してもよい。かかる液
体製剤は、常法により懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導
体もしくは水素添加食用脂);乳化剤(例えばレシチンもしくはアカシア);非水性
ビヒクル(例えば扁桃油、油状エステル、エチルアルコールもしくは分別植物油)
;および防腐剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソル
ビン酸)のような製薬上許容される添加剤とともに製造してもよい。また、要す
れば、製剤に緩衝塩、香味剤、着色剤、および甘味剤を含めてもよい。
【0122】 経口投与用の製剤を、活性化合物の制御放出が得られるよう好適に処方しても
よい。
【0123】 口内投与用の組成物は、常法により処方される錠剤またはロゼンジの形態をと
ってもよい。
【0124】 吸入による投与用の、本発明に従って使用される化合物は、好適な噴射剤、例
えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフ
ルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスを使用して加圧包装またはネブ
ライザーからエアゾールスプレー剤として便宜に送達される。加圧エアゾールの
場合、用量単位を、計量した量を送達するバルブを提供することで決定すること
ができる。吸入器または吹き入れ器で使用する、例えばゼラチンのカプセルおよ
びカートリッジは、化合物とラクトースまたはデンプンのような好適な粉末基剤
との粉末混合物を入れて処方してもよい。
【0125】 化合物を、注射、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与のため
に処方してもよい。注射用の製剤は、防腐剤を添加した単位剤形、例えばアンプ
ルまたは複数用量を封入した容器で提供してもよい。組成物は懸濁液、溶液また
は油性もしくは水性ビヒクル中のエマルジョンのような形態をとってもよく、懸
濁化剤、安定化剤および/または分散剤のような配合剤(formulatory agent)を
含んでいてもよい。また、活性成分は使用前に好適なビヒクル、例えば滅菌発熱
物質非含有水で構成する粉末形態であってもよい。
【0126】 さらに、化合物を、例えばカカオ脂または他のグリセリドのような通常の坐剤
基剤を含む坐剤または停留(retention)浣腸剤のような直腸組成物に処方しても
よい。
【0127】 上記の製剤に加え、組成物をデポー製剤として処方してもよい。かかる長時間
作用性製剤は、埋め込み(例えば皮下または筋肉内)により、または筋肉内注射に
より投与してもよい。よって、例えば組成物を好適な重合または疎水性材料(例
えば許容される油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂とともに、
または緩やかに溶解する誘導体、例えば緩やかに溶解する塩として処方してもよ
い。
【0128】 所望する場合、組成物を、活性成分を含んだ1以上の単位剤形を含有すること
ができるパックまたはディスペンサー装置で提供してもよい。パックは、例えば
ブリスターパックのように金属またはプラスチックホイルを含んでいてもよい。
パックまたはディスペンサー装置には投与についての説明が添付されうる。
【0129】5.5.1 NGPCRと結合する化合物についてのin vitroスクリーニングアッセイ in vitro系を設計して、NGPCR(限定されるものではないが、NGPCRのECDまたは
CDなど)と相互作用し得る(例えば、結合し得る)化合物を同定することができる
。同定された化合物は、例えば野生型および/または突然変異体のNGPCR遺伝子
産物の活性をモジュレートするのに有用であり、NGPCRのある生物学的機能の考
察に有用であり、正常なNGPCRの相互作用を混乱させる化合物の同定するための
スクリーニングに使用でき、またはそれ自身がかかる相互作用を混乱させるもの
と考えられる。
【0130】 NGPCRと結合する化合物の同定に用いられるアッセイの原理には、2成分を相互
作用させて結合させ得るに十分な条件下および時間でNGPCRと試験化合物との反
応混合物を調製し、その結果、反応混合物中において除去しおよび/または検出
することができる複合体を形成することが含まれる。用いるNGPCRの種類はスク
リーニングアッセイの目的に応じて様々であってよい。例えば、ある実施形態で
は、天然リガンドのアゴニストが求められる場合、全長NGPCR、もしくは可溶性
末端切断型NGPCR(例えばTMおよび/またはCDが分子から欠失したもの)、ECDに対
応するペプチド、またはアッセイ系を有利にする(例えば、得られた複合体の標
識、単離など)タンパク質またはポリペプチドと融合した1以上のNGPCR ECDを含
む融合タンパク質を使用することができる。細胞質ドメインと相互作用する化合
物を同定することが求められる場合、NGPCR CDに対応するペプチドおよびNGPCR
CDを含む融合タンパク質を使用することができる。
【0131】 スクリーニングアッセイは種々の方法によって行うことができる。例えば、か
かるアッセイを行うための1つの方法には、NGPCRタンパク質、ポリペプチド、ペ
プチドもしくは融合タンパク質または試験物質を固相に固定し、反応の終了時に
固相上に固定されたNGPCR/試験化合物複合体を検出することが挙げられ得る。か
かる方法のある実施形態では、NGPCR反応物を固体表面に固定し、固定されない
試験化合物を直接的または間接的のいずれかで標識することができる。
【0132】 実際には、マイクロタイタープレートを便宜に固相として使用してもよい。固
定される成分は非共有または共有結合により固定化されうる。非共有結合は、固
体表面をタンパク質溶液で単純に被覆して乾燥させることにより達成されうる。
あるいは固定化抗体、好ましくは固定化されるタンパク質に特異的なモノクロー
ナル抗体を用いてタンパク質を固体表面に固定してもよい。この表面は予め調製
して保存しておくことができる。
【0133】 アッセイを行うために、固定化されない成分を固定された成分を含む被覆表面
に加える。反応が完了した後に、未反応成分を、形成されたいずれもの複合体が
固体表面に固定化された状態で残るような条件下で除去(例えば洗浄により)する
。固体表面に固定された複合体の検出は数多くの方法で達成され得る。予め固定
化されない成分を予備標識する場合には、表面に固定化された標識の検出により
複合体が形成されたことが示される。予め固定化されない成分を予備標識しない
場合には、間接標識を用いて、例えば予め固定化されない成分に特異的な標識抗
体を用いて表面に固定された複合体を検出することができる(その抗体は直接標
識してもよいし、または標識した抗Ig抗体で間接的に標識してもよい)。
【0134】 あるいは、液相で反応を行い、例えば溶液中に形成されるいずれもの複合体を
固定するためのNGPCRタンパク質、ポリペプチド、ペプチドもしくは融合タンパ
ク質または試験化合物に特異的な固定化抗体、および固定された複合体を検出す
るための可能性ある複合体の他の成分に特異的な標識抗体を用いて、反応生成物
を未反応成分から分離し、複合体を検出することができる。
【0135】 あるいは、細胞に基づくアッセイを用いてNGPCRと相互作用する化合物を同定
することができる。この目的のために、NGPCRを発現する細胞系、またはNGPCRを
発現するように遺伝子工学的に操作した(例えば、NGPCR DNAのトランスフェクシ
ョンまたは形質導入によって)細胞系(例えばCOS細胞、CHO細胞、繊維芽細胞など
)を用いることができる。試験化合物と、例えば宿主細胞により発現されるNGPCR
のECDとの相互作用は、天然リガンドとの比較または競合により決定することが
できる。
【0136】5.5.2 NGPCRと相互作用する細胞内タンパク質に関するアッセイ タンパク質間相互作用を検出するために好適な方法ならいずれも、NGPCRと相
互作用する膜貫通タンパク質または細胞内タンパク質を同定するために使用でき
る。NGPCRと相互作用する細胞溶解物中のタンパク質を同定するために使用でき
る常法の中には、細胞溶解物もしくは細胞溶解物から得られたタンパク質とNGPC
Rとの共免疫沈降、架橋、ならびに勾配もしくはクロマトグラフィーカラムによ
る同時精製がある。これらのアッセイについて使用されるNGPCR成分としては全
長NGPCR、膜結合領域を欠く可溶性誘導体(例えば、CDと融合したECDを含む末端
切断型分子が生じる、TMが欠失した末端切断型NGPCR)、CDに対応するペプチド、
またはNGPCRのCDを含む融合タンパク質であってよい。一度単離すれば、かかる
細胞内タンパク質を同定することができ、次ぎに標準技法とともに用いてそれが
相互作用するタンパク質を同定することができる。例えば、NGPCRと相互作用す
る細胞内タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも一部は、エドマン分解法による
など、当業者に周知の技法を用いて確認することができる(例えば、Creighton,
1983, 「Proteins: Structures and Molecular Principles」, W.H.Freeman & C
o., N.Y., pp.34-49を参照)。得られたアミノ酸配列は、かかる細胞内タンパク
質をコードする遺伝子配列をスクリーニングするために使用できるオリゴヌクレ
オチド混合物の作製のための指標として用いてよい。スクリーニングは、例えば
標準的なハイブリダイゼーションまたはPCR技法によって達成することができる
。オリゴヌクレオチド混合物の作製技法およびスクリーニング法は周知である(
例えば、Ausubel, 上記およびPCR Protocols: A Guide to Methods and Applica
tions, 1990, Innis, M.ら編, Academic Press, Inc., New Yorkを参照)。
【0137】 さらに、NGPCRと相互作用する膜貫通または細胞内タンパク質をコードする遺
伝子が同時に同定される方法を用いてもよい。これらの方法には、例えば標識NG
PCRタンパク質もしくはNGPCRポリペプチド、ペプチドまたは融合タンパク質(例
えばマーカー(例えば、酵素、蛍光、発光タンパク質、または色素)またはIg-Fc
ドメインと融合させたNGPCRポリペプチドもしくはNGPCRドメイン)を用いた、λg
t11ライブラリーの周知な抗体プロービング技法と同様の発現、ライブラリーの
プロービングが含まれる。
【0138】 in vivoにおけるタンパク質相互作用を検出する1つの方法であるツー・ハイブ
リッド系を単に説明のために詳細に記載するが、これに限定されるものではない
。この系の一形態が記載されており(Chienら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA, 88:9578-9582)、Clontech(Palo Alto, CA)から市販されている。
【0139】 簡潔に言えば、かかる系を用いてツー・ハイブリッドタンパク質をコードする
プラスミドを構築するのであるが、一方のプラスミドは、NGPCR、NGPCRポリペプ
チド、ペプチドまたは融合タンパク質をコードするNGPCRヌクレオチド配列と融
合した転写アクチベータータンパク質のDNA結合ドメインをコードするヌクレオ
チドを有し、もう一方のプラスミドは、cDNAライブラリーの一部としてこのプラ
スミドに組み換えられた未知のタンパク質をコードするcDNAと融合した転写アク
チベータータンパク質の活性化ドメインをコードするヌクレオチドを有する。こ
のDNA結合ドメイン融合プラスミドおよびcDNAライブラリーを、その調節領域が
転写アクチベーターの結合部位を含むリポーター遺伝子(例えば、HBSまたはlacZ
)を含む酵母サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)株へ形
質転換する。いずれのハイブリッドタンパク質も単独ではリポーター遺伝子の転
写を活性化することができず、DNA結合ドメインハイブリッドは活性化機能を与
えないことから、また活性化ドメインハイブリッドはアクチベーターの結合部位
へ局在化することができないことから可能ではない。ツー・ハイブリッドタンパ
ク質の相互作用は機能的アクチベータータンパク質を再構成し、それによりリポ
ーター遺伝子を発現させ、これがリポーター遺伝子産物に関するアッセイによっ
て検出される。
【0140】 ツー・ハイブリッド系または関連の方法論を、「餌(bait)」遺伝子産物と相互
作用するタンパク質についての活性化ドメインライブラリーをスクリーニングす
るのに用いてもよい。例としては、限定されるものではないが、NGPCRを餌遺伝
子産物として用いてもよい。全ゲノムまたはcDNA配列は活性化ドメインをコード
するDNAと融合させる。このライブラリーおよびDNA結合ドメインと融合した餌NG
PCR遺伝子産物のハイブリッドをコードするプラスミドを、酵母リポーター株に
同時形質転換し、得られた形質転換体をリポーター遺伝子を発現するものについ
てスクリーニングする。例えば、限定されるものではないが、NGPCR(またはNGPC
Rのドメイン)のオープンリーディングフレームなどの餌NGPCR遺伝子配列を、そ
れがGAL4タンパク質のDNA結合ドメインをコードするDNAと翻訳上融合するように
ベクターにクローニングすることができる。これらのコロニーを精製し、リポー
ター遺伝子発現を担うライブラリープラスミドを単離する。次にDNA配列決定分
析を用いてライブラリープラスミドによってコードされるタンパク質を同定する
【0141】 餌NGPCR遺伝子産物と相互作用するタンパク質が検出される細胞系のcDNAライ
ブラリーは当技術分野で通常行われる方法を用いて作製することができる。例え
ば本明細書に記載の特定の系によれば、cDNA断片を、それらがGAL4の転写活性化
ドメインと翻訳上融合するようにベクターに挿入することができる。このライブ
ラリーを、餌NGPCR遺伝子-GAL4融合プラスミドとともに、GAL4活性化配列を含む
プロモーターにより駆動されるlacZ遺伝子を含む酵母株に同時形質転換すること
ができる。餌NGPCR遺伝子産物と相互作用する、GAL4転写活性化ドメインと融合
したcDNAコードタンパク質は活性型GAL4タンパク質を再構成し、それによりHIS3
遺伝子の発現を駆動するであろう。HIS3を発現するコロニーは、ヒスチジンを欠
く半固形寒天を基本とする培地を含むペトリ皿での増殖により検出することがで
きる。次にこれらの株からcDNAを精製し、これを用いて当技術分野で通常行われ
ている技法を用いて餌NGPCR遺伝子相互作用タンパク質を産生および単離するこ
とができる。
【0142】5.5.3 NGPCR/細胞内高分子またはNGPCR/膜貫通高分子相互作用を阻害する化合
物に関するアッセイ NGPCRと相互作用する高分子を、この考察のためには、「結合パートナー」と
呼ぶ。これらの結合パートナーはおそらくNGPCRシグナル伝達経路に関与するも
のと思われる。従って、NGPCRの活性を調節し、かつ、NGPCR活性に関連する疾患
を制御するのに有用であり得るかかる結合パートナーの相互作用を阻害または崩
壊する化合物を同定することが望ましい。例えば、それらの発現パターンが得ら
れれば、記載のNGPCRは肥満、炎症、免疫疾患、糖尿病、心疾患および冠状動脈
疾患、代謝障害、ならびに癌の治療処置に有用な化合物を同定する方法に特に有
用であると考えられる。
【0143】 NGPCRとその結合パートナー間の相互作用を阻害する化合物を同定するのに用
いるアッセイ系の基本原理は、第5.5.1節および第5.5.2節で上記したように、両
者が相互作用して結合するに十分な条件下、十分な時間でNGPCRタンパク質、ポ
リペプチド、ペプチドまたは融合タンパク質と結合パートナーを含む反応混合物
を調製して複合体を形成することを含む。阻害活性に関して化合物を試験するに
は、試験化合物の存在下および不在下で反応混合物を調製する。試験化合物は最
初に反応混合物に含めてもよいし、あるいはNGPCR部分およびその結合パートナ
ーの添加に次いで添加してもよい。対照反応混合物は試験化合物を含まず、また
はプラシーボとともにインキュベートする。次に、NGPCR部分と結合パートナー
間の複合体の形成を検出する。対照反応では複合体が形成するが、試験化合物を
含む反応混合物では形成しなければ、その化合物はNGPCRと相互作用する結合パ
ートナーの相互作用を阻害することを示す。さらに、試験化合物と正常NGPCRタ
ンパク質を含む反応混合物内での複合体の形成はまた、試験化合物と突然変異体
NGPCRを含む反応混合物内での複合体の形成とも比較することができる。この比
較は突然変異体、または突然変異したNGPCRの相互作用を特異的に崩壊するが、
正常NGPCRの相互作用は崩壊しない化合物を同定することが望まれる場合に重要
でありうる。
【0144】 ある実施形態によれば、NGPCRとその結合パートナーとの相互作用を阻害する
化合物に関するアッセイは不均質または均質形式で行うことができる。不均質ア
ッセイはNGPCR部分産物または結合パートナーのいずれかを固相に固定し、反応
の終了時に固相に固定された複合体を検出することを含む。均質アッセイでは、
全反応を液相で行う。いずれのアプローチでも、反応物の添加の順序は試験する
化合物に関して種々に情報を得るために変更してもよい。例えば、競合により相
互作用を阻害する試験化合物は試験物質の存在下で反応を行うこと、すなわち試
験物質をNGPCR部分および相互作用する結合パートナーの前に、または同時に反
応混合物に加えることで同定することができる。あるいは、すでに形成していた
複合体を崩壊する試験化合物、例えば、複合体から成分の1つを置換させるより
高い結合定数を有する化合物は、試験化合物を複合体が形成した後に反応混合物
に加えることで試験することができる。ある実施形態による種々の形式を以下に
簡単に記載する。
【0145】 不均質アッセイ系ではNGPCR部分または相互作用する結合パートナーのいずれ
かを固体表面に固定し、固定しない種を直接的または間接的に標識する。実施上
、通常はマイクロタイタープレートを用いる。固定する種は非共有結合または共
有結合によって固定化することができる。非共有結合はNGPCR遺伝子産物または
結合パートナーの溶液で固体表面を被覆して乾燥することで簡単に達成できる。
あるいは、固定される種に特異的な固定化抗体を用いて固体表面にその種を固定
してもよい。これらの固体表面は予め作製して保存しておいてもよい。
【0146】 アッセイを行うには、固定化種のパートナーを、試験化合物とともにまたは試
験化合物なしで被覆表面に曝す。反応が完了した後、未反応成分を除去し(例え
ば、洗浄による)、生じた複合体はいずれも固体表面に固定化されたままとする
。固体表面に固定された複合体の検出は多くの方法で達成することができる。固
定化されない種を予備標識する場合、表面に固定化された標識の検出により、複
合体が形成したことが示される。固定化されない種を予備標識しない場合には、
間接標識を用いて、例えば最初に固定化されない種に特異的な標識抗体(この抗
体は次に直接標識してもよいし、あるいは標識した抗Ig抗体で間接的に標識して
もよい)を用いて、表面に固定された複合体を検出することができる。反応成分
の添加の順序に応じて、複合体の形成を阻害する、またはすでに形成している複
合体を崩壊する試験化合物を検出することができる。
【0147】 あるいは、反応は試験化合物の存在下または不在下で液相で行うことができ、
例えば溶液中で形成した複合体を固定するための結合成分の1つに特異的な固定
化抗体および固定された複合体を検出するためのもう一方のパートナーに特異的
な標識抗体を用いて、未反応成分から反応生成物を分離して複合体を検出するこ
とができる。ここでも反応物の液相への添加の順序に応じて、複合体を阻害する
、またはすでに形成している複合体を崩壊する試験化合物を同定することができ
る。
【0148】 本発明のある実施形態では、NGPCR部分および相互作用する結合パートナーの
すでに形成した複合体を調製し、その場合NGPCRまたはその結合パートナーのい
ずれかが標識されているが、その標識によって生じるシグナルが複合体の形成の
ために消滅される均質アッセイを使用できる(例えば、イムノアッセイにこのア
プローチを用いるRubensteinによる米国特許第4,109,496号を参照)。すでに形成
されている複合体と競合してそれから1つの種を置換させる試験物質を添加する
と、バックグラウンドを超えるシグナルが生じるであろう。このようにしてNGPC
R/細胞内結合パートナーの相互作用を崩壊する試験物質が同定できる。
【0149】 ある実施形態では、固定化のためにNGPCR融合物を作製することができる。例
えば、NGPCRまたは例えばCDに対応するペプチド断片は、pGEX-5X-1のような融合
ベクターを用い、その結合活性が生じる融合タンパク質で保持されるようにグル
タチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)遺伝子と融合させることができる。相互作
用する結合パートナーは精製可能であり、当技術分野で通常行われている、第5.
3節で上記した方法を用いて、モノクローナル抗体を作製するために使用するこ
とができる。この抗体は例えば当技術分野で通常に行われている方法により、放
射性同位元素125Iで標識することができる。不均質アッセイでは、例えばGST-NG
PCR融合タンパク質を、グルタチオン-アガロースビーズに固定することができる
。次に相互作用する結合パートナーを、相互作用および結合が起こるように試験
化合物の存在下および不在下で添加することができる。反応が終了したら未結合
物質を洗い去り、標識したモノクローナル抗体をその系に添加して、複合体を形
成した成分に結合させることができる。NGPCR遺伝子産物と相互作用する結合パ
ートナーとの間の相互作用は、グルタチオン-アガロースビーズと会合したまま
である放射活性の量を測定することで検出することができる。試験化合物によっ
て相互作用が上手く阻害されれば放射活性測定値が減少するであろう。
【0150】 あるいは、GST-NGPCR融合タンパク質および相互作用する結合パートナーは固
体グルタチオン-アガロースビーズの不在下の溶液にともに混合することができ
る。試験化合物はその種が相互作用している際か、または相互作用した後かのい
ずれかに添加することができる。次にこの混合物をグルタチオン-アガロースビ
ーズに添加することができ、未結合物質を洗い去る。ここでもNGPCR/結合パート
ナーの相互作用の阻害程度は標識抗体を添加し、ビーズに会合した放射活性を測
定することで検出することができる。
【0151】 本発明のある実施形態では、これらの同様の技法は一方または双方の全長タン
パク質の代わりに、NGPCRおよび/または相互作用するもしくは結合するパート
ナー(結合パートナーがタンパク質である場合)の結合ドメインに対応するペプチ
ド断片を用いて使用することができる。当技術分野で通常行われているいずれの
方法を用いても結合部位を同定および単離することができる。これらの方法とし
ては、限定されるものではないが、タンパク質の1つをコードする遺伝子の突然
変異誘発、および共免疫沈降アッセイにおける結合崩壊に関するスクリーニング
が含まれる。次に複合体の第2の種をコードする遺伝子の補償突然変異(compensa
tory mutation)を選択することができる。それぞれのタンパク質をコードする遺
伝子の配列決定分析により相互作用する結合に関わるタンパク質領域に対応する
突然変異が明らかとなるであろう。あるいは、上記の方法を用いて一方のタンパ
ク質を固体表面に固定し、トリプシンのようなタンパク質分解酵素で処理し、標
識したその結合パートナーと相互作用して結合させることができる。洗浄後、結
合ドメインを含む比較的短い標識ペプチドは固体材料と会合を維持することがで
き、かつ単離してアミノ酸配列決定分析により同定することができる。また、一
度細胞内結合パートナーをコードする遺伝子が得られれば、短い遺伝子セグメン
トを操作してそのタンパク質のペプチド断片を発現させることができ、次いでこ
れを結合活性に関して試験し、精製または合成することができる。
【0152】 例えば、限定されるものではないが、上記のように、GST-NGPCR融合タンパク
質を作製し、それをグルタチオンアガロースビーズに結合させることにより、NG
PCR遺伝子産物を固体材料に固定することができる。相互作用する結合パートナ
ーは、35Sのような放射性同位元素で標識し、さらにトリプシンのようなタンパ
ク質分解酵素で切断することができる。次に切断産物を固定したGST-NGPCR融合
タンパク質に添加し、結合させることができる。未結合ペプチドを洗い去った後
、細胞内結合パートナーの結合ドメインを表す標識された結合物質を周知の方法
により溶出し、精製しおよびアミノ酸配列決定分析を行うことができる。このよ
うにして同定されたペプチドは合成によって生産することもできるし、あるいは
組換えDNA技術を用いて適当な補助タンパク質と融合させることもできる。
【0153】 本発明は本明細書に記載の特定の実施形態により範囲を限定されるものではな
く、これらの実施形態は本発明のある実施形態の個々の態様の例示を意図するも
のであって、機能的に等価な方法および成分は本発明の範囲内にある。実際、当
業者にとっては以上の記載および添付の図面から本明細書で示され、記載された
ものの他に本発明の種々の改変が明らかであろう。かかる改変も添付の特許請求
の範囲内にあるものと意図される。全ての参照刊行物、特許および特許出願はい
ずれの目的についても参照により本明細書に組み入れる。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 オルソン,アンドリュー アメリカ合州国 77382 テキサス州 ス プリング,ウァルデン エルムス サーク ル 43 エヌ (72)発明者 ネールス,ミッチェル ドイツ連邦共和国 82131 ストックドル フ ポール−ケラー−シュトラーセ 6 (72)発明者 フリードリッヒ,グレン アメリカ合州国 77004 テキサス州 ホ ウストン,ハーマン ドライブ 2207,ブ レランド アンド ブレランド (72)発明者 ツァンボロウイッツ,ブライアン アメリカ合州国 77382 テキサス州 ザ ウッドランズ,ファイアソーン プレイ ス 18 (72)発明者 サンズ,オーサー,ティー. アメリカ合州国 77382 テキサス州 ザ ウッドランズ,ブリストル ベンド サ ークル 163 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 DA13 DA36 FB02 FB07 4B024 AA01 BA63 CA02 HA01 4B064 AG20 CA19 CC24 DA01 4B065 AB01 BA02 CA24 CA44 4H045 AA10 AA20 AA30 CA40 DA50 EA27 FA74

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に示されたヌクレオチド配列のうちの少なくとも
    22個の連続塩基を含む、単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 (a) 配列番号2、4、6、8または14に示されたアミノ酸配
    列をコードするヌクレオチド配列、または (b) ストリンジェント条件下で配列番号1に示されたヌクレオチド配列もしく
    はその相補配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列、 を含む、単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 ヌクレオチド配列が、配列番号2に示されたアミノ酸配列を
    コードするものである、請求項2に記載の単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 ヌクレオチド配列が、配列番号4に示されたアミノ酸配列を
    コードするものである、請求項2に記載の単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 ヌクレオチド配列が、配列番号6に示されたアミノ酸配列を
    コードするものである、請求項2に記載の単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 ヌクレオチド配列が、配列番号8に示されたアミノ酸配列を
    コードするものである、請求項2に記載の単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 ヌクレオチド配列が、配列番号14に示されたアミノ酸配列を
    コードするものである、請求項2に記載の単離された核酸分子。
  8. 【請求項8】 (a) 配列番号2、4、6、8または14に示されたアミノ酸配
    列をコードするヌクレオチド配列、または (b) ストリンジェント条件下で配列番号1に示されたヌクレオチド配列もしく
    はその相補配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列、 を含む単離された核酸分子を含有する、組換え宿主細胞。
  9. 【請求項9】 ヌクレオチド配列が、配列番号2に示されたアミノ酸配列を
    コードするものである、請求項8に記載の組換え宿主細胞。
  10. 【請求項10】 ヌクレオチド配列が、配列番号4に示されたアミノ酸配列
    をコードするものである、請求項8に記載の組換え宿主細胞。
  11. 【請求項11】 ヌクレオチド配列が、配列番号6に示されたアミノ酸配列
    をコードするものである、請求項8に記載の組換え宿主細胞。
  12. 【請求項12】 ヌクレオチド配列が、配列番号8に示されたアミノ酸配列
    をコードするものである、請求項8に記載の組換え宿主細胞。
  13. 【請求項13】 ヌクレオチド配列が、配列番号14に示されたアミノ酸配列
    をコードするものである、請求項8に記載の組換え宿主細胞。
  14. 【請求項14】 新規Gタンパク質共役受容体(NGPCR)の製造方法であって、
    請求項8に記載の組換え宿主細胞を該宿主細胞がNGPCRを発現するような条件下
    で培養することを含む方法。
  15. 【請求項15】 発現したNGPCRを採取することをさらに含む、請求項14
    に記載の方法。
  16. 【請求項16】 (a) 配列番号2、4、6、8または14に示されたアミノ酸
    配列をコードするヌクレオチド配列、または (b) ストリンジェント条件下で配列番号1に示されたヌクレオチド配列もしく
    はその相補配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列、 によってコードされるポリペプチドを含む、精製された新規Gタンパク質共役受
    容体(NGPCR)。
  17. 【請求項17】 配列番号2に示されたアミノ酸配列を含む、請求項16に
    記載のNGPCR。
  18. 【請求項18】 配列番号4示されたアミノ酸配列を含む、請求項16に記
    載のNGPCR。
  19. 【請求項19】 配列番号6示されたアミノ酸配列を含む、請求項16に記
    載のNGPCR。
  20. 【請求項20】 配列番号8示されたアミノ酸配列を含む、請求項16に記
    載のNGPCR。
  21. 【請求項21】 配列番号14示されたアミノ酸配列を含む、請求項16に記
    載のNGPCR。
  22. 【請求項22】 体脂肪含量の治療に有用な治療化合物を同定するための、
    配列番号2、4、6、8、10、12および14からなる群より選択される配列番号に
    示されるタンパク質の使用。
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