JP2003529343A - 6−0−α―D−グルコピラノシル−D−ソルビトールの調製方法 - Google Patents

6−0−α―D−グルコピラノシル−D−ソルビトールの調製方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明はイソマルツロースから6−0−α―D−グルコピラノシル−D−ソルビトール(1,6−GPS)の酵素的調製のための方法に関する。ソルビトール脱水素酵素(SDH)活性を有するユニットを含む反応水溶液にイソマルツロースを加えて保温し、続いて1,6−GPSを反応溶液から得るように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明はイソマルツロース又はスクロースからの6−0−α―D−グルコピラ
ノシル−D−ソルビトール(以下1,6−GPS)の酵素的調製のための方法及
びこの方法の実施のための手段に関する。
【0002】 スクロースからイソマルツロースへ酵素的変換し、得られたイソマルツロース
を、続いて化学的に水素化して2つの立体異性体1,6−GPS及び1−0−α
―D−グルコピラノシル−D−マンニット(以下1,1−GPM)を作る1,6
−GPSの調製方法が知られている。
【0003】 スクロースからイソマルツロースへの変換を触媒するスクロースイソメラーゼ
がドイツ国特許第4414185号明細書により知られている。
【0004】 Schiweck(alimenta 19(1980年)、5−16)はスクロースからイソ
マルツロースへの酵素的変換及び続いてラネー・ニッケル(Raney nickel)触媒
でイソマルツロースからPalatinit(登録商標)(イソマルト(isomal
t)ともいう)即ち1,6−GPSと1,1−GPMの等モル混合物への水素化
を開示する。この刊行物はプロタミノバクター・ルブルム(Protaminobacter ru
brum)によりスクロースを糖転移(transglucosidation)させることによるイソマ
ルツロースの調製方法を記載する。また、微生物によって産生されたイソマルツ
ロースをラネー・ニッケル触媒の存在で水素化して1,6−GPS及び1,1−
GPMに変換し、続いて蒸発及び低温結晶化により濃縮する方法を開示する。
【0005】 ドイツ国特許第19701439号明細書は担体に結合したニッケル触媒でイ
ソマルツロースを水素化して、1,6GPSと1,1−GPMの混合物を得る方
法を開示する。
【0006】 ドイツ国特許第19705664号明細書は1,6−GPS又は1,1−GP
Mに富む混合物の調製方法を記載する。この刊行物では1,6−GPS及び/又
は1,1−GPMに富む混合物を水素化イソマルツロース又は水素化イソマルツ
ロースを含む混合物から調製する方法が開示される。この方法によれば1,6−
GPSに富む混合液を所定の条件のもとで濃縮し、低温結晶化によって純粋な1
,6−GPSを調製することが可能である。
【0007】 ドイツ国特許第19523008号明細書は1,1−GPM及び1,6−GP
Sの調製方法を開示する。この文献は、50気圧以下の圧力で種々の触媒を使用
して、イソマルツロースの水素化により1,6−GPSと1,1−GPMの混合
物が得られることを記述する。イソマルツロースの変換に使われる開示された触
媒はルテニウム、ニッケル及びその混合物を含む。
【0008】 スクロースからイソマルツロース及びトレハルロースに酵素的に転位させ、続
いて水素化して1,1−GPM、1,6−GPS及び1−0−α―D−グルコピ
ラノシル−D−ソルビトール(1,1−GPS)を生成する、1,1−GPM及
び1,6−GPS含有糖アルコール混合物の調製方法が欧州特許第062557
8号明細書で明らかである。
【0009】 先行技術による方法は、とりわけ2つの理由から不利と見なされる。まず、従
来の方法では、1,6−GPSと1,1−GPMの混合物しか得られず、この混
合物から経費のかかる化学的及び物理的分離法により、対照とする物質(1,6
−GPSまたは1,1−GPM)を単離しなければならないことである。第二に
、スクロースから所望の最終生成物への変換の全プロセスを単一の処理ステップ
で行うことは不可能である。従って先行技術ではスクロースから1,6−GPS
を調製するためにかなり複雑なプロセス系列が必要であり、その際種々の反応装
置で様々な物理的、化学的、生物学的処理ステップを用いなければならない。先
行技術では、イソマルツロースの水素化のために、触媒、特殊な水素化反応装置
及び工業用水素が必要である。そこでイソマルツロースから1,6−GPS及び
1,1−GPMへの公知の水素化の重大な欠点は、技術的費用がかかるにある。
水素化のために約50〜100気圧の圧力が必要であることが多く、このため特
殊な装置構造が不可欠である。また得られる生成物は通常、食品工業で使用され
るから、例えば触媒の有毒物質が水素化反応の最終産物に入り込まないように、
処理操作を選定しなければならない。生成される製品は主成分が1,6−GPS
及び1,1−GPMである混合物であり、これから目的の物質をそれぞれに応じ
た化学的及び化学物理的精製法で分離しなければならない。従って、化学的に純
粋な1,6−GPS又は1,1−GPMを得るために、化学的水素化を行った後
に経費のかかる濃縮及び単離手順が必要である。この処理ステップの収量は不十
分なことが多い。
【0010】 そこで、本発明の根底にある技術的課題は、イソマルツロースから1,6−G
PSを簡単、安価かつ選択的に調製することができる方法及びその実施のための
手段を提供することである。
【0011】 本発明は、イソマルツロースから1,6−GPSの酵素的調製のための方法を
利用可能にすることによってこの技術的課題を解決する。その場合ソルビトール
脱水素酵素(SDH)活性を有するユニットを含む反応水溶液にイソマルツロー
スを加えて保温し、反応溶液から1,6−GPSを回収する。このようにして、
本発明では、SDH活性を有するユニットによりイソマルツロースを生化学的又
は酵素的に水素化して1,6−GPSを生成することができる。本発明に使用さ
れる、SDH活性を有するユニットは、イソマルツロースを特異的に1,6−G
PSに還元する。SDH活性を有するユニットは、イソマルツロース又はこれを
含む混合物を酵素的に1,6−GPS又はこれを含む混合物に変換できるのが特
徴である。イソマルツロースから1,6−GPSへの酵素的変換の利点は、それ
によって簡単な処理法が可能になるだけでなく、反応特異性、基質特異性及び立
体特異性が高く、反応生成物が単一で、エネルギーと原料が節約され、環境にや
さしいことである。
【0012】 このようにして本発明は特殊な酵素法によりイソマルツロースから極めて的確
に1,6−GPSを調製することができるという意外な説に関する。本発明によ
ればソルビトール脱水素酵素(SDH)活性を有するユニットを含む反応水溶液
に生成物イソマルツロースを加え、1,6−GPSが生成されるまで保温し、反
応溶液から在来の方法、例えば結晶化により1,6−GPSを得ることができる
【0013】 本発明において、反応水溶液とは、出発条件及び目標条件に応じて添加物、例
えば安定剤、指示薬、還元等価物、再生剤、栄養成分、塩、糖、糖アルコール等
が含まれた未緩衝化又は在来の緩衝系で緩衝化した水のことである。
【0014】 本発明の好ましい実施形態では、SDH活性を有するユニットはSDH酵素で
ある。イソマルツロースから1,6−GPSへの本発明による酵素的変換のため
に、SDH活性を有するユニット、即ちSDH酵素を精製、濃縮及び/又は分離
した形で反応溶液に入れることができる。酵素は、例えば天然由来のものである
ことが可能である。もちろん、本発明において使用されるSDHは、遺伝子工学
的に改変した生物から組換体として作られた本発明のSDHであることも可能で
ある。この反応の最適化のために、イソマルツロースから1,6−GPSへの変
換の速度論について研究を行うときは、単離したSDHを使用することが有利で
ある。特に、イソマルツロースから1,6−GPSへの変換の化学的平衡にかか
わるすべての事象は、単離した酵素を取扱いを必要とする。さもなければ、化学
量論、解離定数、酵素の阻害又は活性化の問題、協同作用、初期速度、立体配座
、リガンドの問題及び酵素速度論及び関連する結合データ等その他のすべての問
題を十分に正確に分析することができないからである。とりわけ反応を的確に調
節するには、SDH活性を有するユニットが単離された形であることが好ましい
。さもなければ反応溶液の他成分との相互作用によりpH値、イオン濃度及び温
度の改変の結果の再現性が得られず、精製、部分精製及び細胞結合性酵素が分析
の際に食い違った値を示すからである。
【0015】 従って、本発明はまた、微生物、特にグルコノバクター(Gluconobacter)属
の微生物、とりわけグルコノバクター・スブオキシダンス(Gluconobacter subo
xidans)からSDHを部分的又は完全に分離する方法に関する。その場合、第1
ステップで微生物を慣用の方法により分解し、ホモジナイズして粗抽出物とし、
第2ステップで陰イオン交換体クロマトグラフィーにより粗抽出物を分離し、第
3ステップで濾過、第4ステップで色素アフィニティークロマトグラフィーが行
われる。本発明に基づき色素アフィニティークロマトグラフィーの後に、得られ
た部分的精製酵素をクロマトフォーカッシングにより、又は別の好ましい実施形
態では別の色素アフィニティークロマトグラフィー及び続いて少なくとも1種の
還元等価物で親和溶出を行って単一物になるまで精製することが好ましい。
【0016】 本発明の特に好ましい実施形態では、本発明は第1の処理ステップで微生物を
消化し、ホモジナイズして粗抽出物とし、得られた粗抽出物を、第2の処理ステ
ップで陰イオン交換体クロマトグラフィー、第3の処理ステップで第1の色素ア
フィニティークロマトグラフィー、第4の処理ステップで第2の色素アフィニテ
ィークロマトグラフィーを行う微生物からのSDHの単離方法に関する。特に好
ましい実施形態では、本発明は第1の色素アフィニティークロマトグラフィーの
後かつ第2の色素アフィニティークロマトグラフィーの前に限外濾過を行う上記
方法に関する。特に好ましい実施形態では上記の方法に続いて、即ち第2の色素
アフィニティークロマトグラフィーの後に、純粋なSDHの親和性溶出を行うこ
ととし、そのために1種の還元等価物、特にNADHを使用する。
【0017】 別の好ましい実施形態では、SDH活性を有するユニットは、SDHを含む死
微生物又は生微生物もしくはその粗抽出物又はホモジネートである。本発明の好
ましい実施形態では、死微生物が好ましく、特に好ましくは乾燥した死微生物を
用いる反応は、SDH酵素溶液の存在下で標準的方法、例えばタンニン及び/又
はグルタルアルデヒドを添加することにより、該微生物を再水和した後に行うも
ので、可溶性酵素が高い濃度の固体条件の微生物に作用するので有利である。も
ちろん再水和化を水で行うこともでき、又は別個の再水和化をまったく行わない
で、死微生物をそのまま反応水溶液に入れることもできる。また本発明に基づき
行われる生微生物によるイソマルツロースの変換は、とりわけ比較的少ない費用
で行える利点がある。
【0018】 微生物を用いるバイオリアクターは通常に使用することができ、イソマルツロ
ースから1,6−GPSへの化学的触媒反応と比較して少ないエネルギー費及び
保守費で済む。もちろん微生物がイソマルツロースから1,6−GPSへの最適
な変換を行う能力をもつように、反応条件(pH値、イオン濃度、酸素/二酸化
炭素消費、微量成分、温度等)を選定しなければならない。この処理条件のもと
で自然の微細環境の、即ち細胞内の、SDHは、単離された酵素より高い安定性
と効率をもつことができる。また適当な条件のもとで細胞増殖、それとともにS
DH濃度の増加が可能である。製造に費用のかかる触媒と工業用水素を扱わねば
ならない先行技術に比して、微生物による酵素的変換は確実性、自動化及び単純
性並びにプロセスの最終製品の品質と収量に関して重大な利点を意味する。
【0019】 本発明の好ましい実施形態では、本発明に基づき細胞区画又はその一部を互い
に単離し又は精製することを意図している。これにより、SDH活性を有するユ
ニット又は酵素に肯定的又は否定的影響を及ぼし得る炭水化物構造、脂質又はタ
ンパク質及び/又はペプチド並びに核酸を精製又は分離することができる。こう
した影響を回避し、又は意図的に利用するために、微生物から粗抽出物を調製す
る。これは、超音波処理、プレス処理、ホモジナイゼーション、ガラスビーズと
の混合、界面活性剤、電界の作用、液体窒素中の機械的処理又は細胞膜又は細胞
壁の酵素消化によって行うことができる。得られた抽出物を別のステップで、遠
心分離して、好ましい実施形態で本発明による変換を上澄み液又は沈殿物を用い
て行うことができる。また粗抽出物の調製は、簡単な吸光測定により核酸と酵素
の比を決定できる利点がある。核酸との複合体はSDH活性を有するユニットと
共に存在し、イソマルツロースから1,6−GPSへの変換の効率を低下させ得
るので、適切な処理条件下で核酸を分離することが必要である。本発明における
粗抽出物の調製は、粗抽出物を安定化し、又はその触媒効果を最適化するすべて
の処置を含む。硫酸プロタミン、塩化マンガン及びリゾチームの添加及びイオン
強度の変更、並びにSDH活性を有するユニットが安定化させ、その効果が最適
化されるように本発明の粗抽出物のプロテアーゼ活性を改良するのに役立つすべ
ての処置がこれに含まれる。
【0020】 別の好ましい実施形態では、SDHを含む微生物又は完全もしくは部分精製S
DHの起源となるの生物は、グルコノバクター属、特にグルコノバクター・スブ
オキシダンス、特に好ましくはグルコノバクター・スブオキシダンスDSM20
03である。特に本発明に基づき好んで用いられる補酵素再生系との組合わせS
DH/FDH(ギ酸脱水素酵素)では、上記の株によって1,6−GPSの極め
て良好な収量が得られる。しかし微生物による酵素的変換は、決してこれらの2
つの株に限定されない。イソマルツロースを1つ又は複数のステップで1,6−
GPSに変換することができるすべての生物、特に微生物、例えば真菌、酵母、
細胞培養等も使用することができる。突然変異体、遺伝子工学的に改変し、もし
くはその他により調製又は分離した上記生物の誘導型、例えばSDHをコードす
るヌクレオチド配列の導入によりSDH活性を有する生物がこれに含まれる。ス
クロースムターゼ活性を有し、単一の生物種によりスクロースを酵素的に1,6
−GPSに変換することができる生物が好ましい。
【0021】 別の好ましい実施形態では、本発明によりSDH活性を有するユニット、特に
微生物、粗抽出物、その一部及び/又は濃縮もしくは分離した酵素が固定化され
ている。固定化によって酵素、細胞小器官及び細胞は反応領域を限定された不溶
の状態にされる。本発明によればSDH活性を有するユニットは、SDH酵素活
性がなるべく高くなる条件のもとで固定化される。本発明では、重合体への生細
胞の封入も意図される。固定化は(i)結合によっても(ii)封入によっても
行うことができる。SDH活性を有するユニットの結合固定化には、担体結合(
イオン又は共有結合)と架橋結合(相互の架橋又は他の重合体との架橋)がある
。SDH活性を有するユニットの封入固定化では、ゲル構造(ビーズ、繊維等)
及び膜(マイクロカプセル及び膜リアクター)への封入が考えられる。従って、
固定化とは、SDH活性を有するユニットの移動度及び溶解度を生物学的、化学
的又は物理的に制限するためのすべての方法を意味する。これは特に、不活性化
又は荷電化、無機又は有機性の担体材料への吸着によって行うことができる。そ
の場合、無機材料は例えば多孔質ガラス、シリカゲル、酸化アルミニウム及びヒ
ドロキシアパタイト又は金属酸化物である。天然の重合体には、例えばセルロー
ス、デンプン、デキストラン又はアガロースがあり、合成重合体には、ポリアク
リルアミド、ポリビニルアルコール、ナイロン等がある。本発明のSDH活性を
有するユニットを、三次元ネットワーク構造物に封入することも考えられる。本
発明の一実施形態ではこれはゼラチン又は寒天である。また固定化を二官能試薬
、例えばグルタルジアルデヒド又はベンジジンとの架橋結合によって行うことも
考えられる。SDH活性を有するユニットのマイクロカプセル封入も可能である
。人工的又は生物学的膜により反応領域を制限するマイクロカプセル封入も可能
である。また本発明はフロキュレーション及び「架橋」並びに生及び/又は死細
胞と遊離もしくは固定化酵素の共固定化による担体を用いない固定化も包含する
。例えばデキストランとの結合による原子量の増加も本発明の意味の固定化に利
用される。固定化酵素とは、微生物の区画又は完全な生微生物又は乾燥微生物に
結合した酵素であってもよい。しかし本発明の意味における固定化とは、酵素が
単独で又は酵素が生物の区画と組合わされて担体に結合されていることも意味す
る。重要なのは、負荷された基質がイソマルツロースと接触して所望の酵素反応
が起こり、1,6−GPSが生じることである。しかし本発明は、もちろん、遊
離した、即ち固定化されていない形の、SDH活性を有するユニットの使用にも
関する。
【0022】 別の好ましい実施形態では、本発明の酵素的変換がpH調整とともに又はpH
調整なしで行われる。特に好ましい実施形態では、水素伝達体の形の還元等価物
が使用されるから、pH値の選択は化学反応の平衡にも1,6−GPSの全収量
にも影響する。従って、イソマルツロースから1,6−GPSへの酵素的変換は
pH調整が行われない反応と、pH調整が行われる反応に分けられる。pH値の
調整はpH値を引き上げ得る、引き下げ得る又は安定化させ得る物質の添加又は
供給によって行うことができる。本発明によれば、ローリー・ブレンステッド(l
owry-Bronsted)又はルイス・ピアソン(Lewus-Pearson)の定義による酸又は塩基
を使用することができ、その際プロトン、ヒドロニウムイオン、水酸化物イオン
又は遊離電子対を放出又は供給又は吸収することができる。pH値調整のための
手段として、例えば反応水溶液にCO2注入(酸の導入という形で)することがで
きる。pH値を酵素の活性にとって最適とされる範囲に調整するように努めるこ
とが好ましい。このpH最適値は種々のバッファーにより、又はpH低下又はp
H増加剤の添加によって実現することができる。しかし全体として、pH調整は
決して化学的方法(例えば錯体形成操作、滴定等)に限定されない。pH値を何ら
かの方法で調整または安定化させるように系に調整することはすべて、本発明の
におけるpH調整の実施といえる。本発明の有利な実施形態では、反応水溶液の
pH値が約6.0〜8.0、とりわけpH7.0であることが好ましい。
【0023】 本発明の好ましい実施形態では、特に精製又は単離したSDHを使用する場合
、SDH活性を有するユニットのほかに、還元等価物も反応水溶液に加えられる
。本発明においては、還元等価物とは、補酵素又は補欠分子族の形で存在し得る
水素伝達体又は電子伝達体である。このような還元等価物は例えばNAD/N
ADH、NADP/NADPH、FMN/FMNH2又はFDA/FDAH2
ある。補酵素及び補欠分子族は酸化物還元反応により解離可能な及び/もしくは
タンパク質に固結した水素ならびに/又は電子伝達体として使用される。しかし
、還元等価物として、水素原子又は電子を伝達することができる他の補酵素/補
欠分子族を使用することもできる。本発明では、特に環式テトラピロール、グル
タチオン、リポ酸、キノン、鉄−硫黄タンパク質、フラビンタンパク質、フラビ
ンヌクレオチド及び酵素触媒作用の際に官能基のプロトン、原子及び/又は電子
を伝達することができるその他のすべての物質が好適である。
【0024】 SDH活性を有する生細胞を1,6−GPSの酵素的調製のために使用するこ
とが好ましく、還元等価物を添加する必要がない。
【0025】 別の特に好ましい実施形態では、特に精製及び単離したSDHを使用する場合
に、イソマルツロースから1,6−GPSへの酵素的変換が再生剤(例えばギ酸
脱水素酵素(FDH)及び/又はギ酸)の存在下で行われる。SDH及びFDH
を反応水溶液に加えることによって、ギ酸がCO2に、イソマルツロースが1,
6−GPSに連続的に変換される化学反応が可能である。ギ酸のCO2への変換
はFDHによって行われる。同じく反応溶液中にある還元剤、例えばNAD
この酸化のときに吸収された水素原子は、平行して起こるイソマルツロースから
1,6−GPSへの還元で使用される。もちろん再生系の補酵素、FDHの代わ
りにまったく別の脱水素酵素又は異なる基質特異性をもつ酵素も、再生剤として
考えられる。例えば、他のカルボン酸又はその塩を再生剤として使用することが
できる。重要なのは、1,6−GPSの連続的生成が可能となるように、添加剤
、特にFDH/ギ酸が、水素伝達体、補酵素又は補欠分子族と反応して、電子及
び/又は水素原子が伝達されることである。SDH活性を有するユニットとして
生細胞を使用する場合は、再生剤及び還元等価物の添加を省くことができる。
【0026】 別の特に好ましい実施形態では、イソマルツロースから1,6−GPSへの変
換が連続法の中で行われる。本発明の連続法は、微生物の増殖と生成物の産生、
即ち1,6−GPSの合成が行われる、貫流式の反応装置で実施することができ
る。こうしてすこぶる大量の1,6−GPSを調製することができる。連続法を
使用することによって精製及び処理サイクルは自由に選択でき、特殊な発酵槽の
パラメータ又は微生物の特定の生理的性質に制約されない。なぜなら連続系では
生成物が絶えず排出され、基質が絶えず供給されるので、微生物を取り巻く環境
が消費される基質や生成する生成物によって変化しないからである。また連続法
ではバイオリアクター又は設備をはるかに小型かつ安価に設計することができる
。本発明における連続法には、基質の通過により系に急速に伝搬する恐れがある
他の生物による感染の危険を防止するためのすべての補足的処置も含まれる。こ
れは無菌及び非無菌条件を包含する。また本発明は、選ばれた極限条件(例えば
極めて低いpH値での緩衝又は抗生物質の使用)に基づき万一の感染に対しても
安定であるように、連続発酵を極限条件により構成するための処置及び手段にも
関する。その場合、本発明に基づきこの感染阻止条件に適応した上記SDH活性
ユニットの変異型又は修飾型、例えば抗生物質耐性微生物を使用することができ
る。また本発明における連続法には、一方では栄養溶液が供給され、他方では酵
素的に生成された1,6−GPSを含む培養液が抽出される、成長する細胞及び
触媒する酵素のあらゆる系が含まれる。この場合均質系も不均質系も取り上げら
れる。
【0027】 もちろん本発明は半連続式又は回分式のプロセス操作にも関する。
【0028】 別の好ましい実施形態では1,6−GPSへの変換反応の出発材料であるイソ
マルツロースがスクロースの酵素的変換によって調製される。本発明方法で使用
されるイソマルツロースは、スクロースムターゼ活性を有する精製又は濃縮酵素
、粗抽出物又は微生物により、スクロースから酵素的変換(糖転移)により調製
することができる。本発明におけるスクロースムターゼとは、スクロースをイソ
マルツロースに異性化することができ、スクロースイソメラーゼとしても知られ
ている酵素のことである。
【0029】 スクロースムターゼ活性を有するタンパク質に対しコードするヌクレオチド配
列を含む細胞の一例は特にプロタミノバクター属、エルウィニア属、霊菌属、ロ
イコノストック属、シュードモナス属、アグロバクテリウム属、クレブシエラ属
及びエンテロバクター属である。このような微生物の特殊な例はプロタミノバク
ター・ルブラム(Protaminobacter rubrum)(CBS 547,77)、エルウィニア・ラ
ポンティシ(Erwinia rhapontici)(NCPPB 1578)、セラティア・プリムチカ(
Serratia plymuthica)(ATCC 15928)、セラティア・マルセスセンス(Serrati
a marcescens)(NCIB 8285)、ロコノストック・メセンテロイド NRRL B-521f
(Leuconostoc mesenteroides NRRL B-521f)(ATCC 10830a)、シュードモナス
・メソアシドフィラ MX-45(Pseudomonas mesoacidophila MX-45)(FERM 11808
又はFERM BP 3619)、アグロバクテリム・ラジオバクター(Agrobacterium radi
obacter MX-232)(FERM 12379又はFERM BP 3620)、クレブシエラ亜種及びエン
テロバクター種である。
【0030】 スクロースムターゼ活性を有するタンパク質及びこれをコードするプロタミノ
バクター・ルブラム、エルウィニア・ラポンティシ、エンテロバクター種SZ62及
びシュードモナス・メソアシドフィラ由来の核酸の特定の例がPCT/EP95/00165号
明細書に記載されている。
【0031】 上記の細胞又はタンパク質又はこれらの細胞のヌクレオチド配列は本発明のS
DH活性ユニットとともに、例えばSDHをコードするヌクレオチド配列を制限
ユニットの制御のもとで上記の細胞に導入し発現することによって、スクロース
から1,6−GPSを調製するために使用することができる。
【0032】 特に好ましい実施形態では,スクロースからイソマルツロースへの酵素的変換
が好ましくは固定化したプロタミノバクター・ルブラム細胞(Protaminobacter
rubrum)もしくはプロタミノバクター・ルブラムの細胞消化物又は粗抽出物もし
くは部分的又は完全に精製したスクロースムターゼ(スクロースイソメラーゼと
もいう)によって行われる。この変換をイソマルツロースから1,6−GPSへ
のSDH依存性の変換と同時に1つの反応溶液で行うことが好ましい。
【0033】 スクロースからイソマルツロースへの再配列は、例えばDE 195 23 560 A1又は
DE 44 14 185 C1に記載されている。これらの特許明細書はそこに開示されてい
る微生物、DNA配列、酵素及びスクロースからイソマルツロースへの酵素的変
換による調製方法に関して、参照により本明細書に完全に組み入れられる。
【0034】 スクロースムターゼを有する細胞、例えばプロタミノバクター・ルブラム、そ
の細胞消化物又は分離された酵素(スクロースムターゼ)の固定化は、生物学的
、化学的及び/又は物理的手段において使用される生体触媒の移動度及び溶解度
を制限するために利用される。本発明の意味での固定化は様々な方法、例えば生
体触媒の相互の又は担体物質への結合、重合体基質の網状構造への定着、人工又
は天然の膜による包被(もちろん逆ミセルの使用を含む)によって行うことがで
きる。細胞、細胞消化物又は/及びスクロースムターゼの固定化によって生じた
生体触媒は再使用可能であるだけでなく、場合によっては別の反応、例えばイソ
マルツロースから1,6−GPSへの変換を触媒する別の触媒と場合によっては
置き換えるために、とりわけプロセスの後又は間にたやすく分離することができ
る。重要な利点は、固定化により細胞又は酵素をはるかに高い局部濃度で、とり
わけ連続的貫流系で使用できることである。この場合ポリアリルアミドへの封入
又はその他の方法により、セラミック担体、重合体、種々のゲル及びゼラチンに
固定化することができる。
【0035】 別の好ましい実施形態ではスクロースからイソマルツロースへ、イソマルツロ
ースから1,6−GPSへの変換が単一の処理ステップで行われる。即ち2つの
酵素的変換反応が同一の反応水溶液で同時に又は僅かな時間差で進行する。従っ
て2つの別々の変換反応が酵素により同じ又は類似する処理条件のもとで進行す
るから、スクロースから1,6−GPSへの変換を1つの処理ステップで行うこ
とができる。
【0036】 特に好ましい実施形態ではスクロースから1,6−GPSへの変換が単一のバ
イオリアクターで行われる(いわゆる「ワンポット反応」(one-pot reaction)
)。
【0037】 本発明のこの実施形態はスクロースからの1,6−GPSの直接酵素的変換を
包含し、その場合スクロースからイソマルツロースへの変換にも、イソマルツロ
ースから1,6−GPSへの変換にも、それぞれSDH及びスクロースムターゼ
活性を有する上記の未固定及び固定細胞、粗抽出物及び/又は酵素を使用するこ
とができる。
【0038】 本発明によれば回分及び/又は流加回分発酵(間欠発酵)でも変換が可能であ
る。その際所定の時期に栄養培地に接種し、制限基質例えばスクロース、その他
の基質又は酵素/補酵素の消費の後に、又は他の適当な時期に発酵を終了する。
しかし基質の制限的影響がほとんどないように、反応条件を選定することもでき
る。回分反応はいわゆる閉じた系で行うことができる。本発明によれば閉じた液
相に連続的に酸素、空気又はその他の気体又は気体混合物を供給する場合も、こ
の系は閉じているとみなされる。回分法では基質の減少ととりわけ1,6−GP
Sの増加、事情によっては細胞濃度の増加が起こるから、細胞の環境が絶えず変
化する。本発明の意味で上記の「ワンポット法」は1,6−GPSを絶えず排出
しながら、流量の均衡を保って連続的酵素触媒作用として行うことができる。
【0039】 別の好ましい実施形態では酵素的変換時の反応水溶液の温度は20℃〜40℃
、特に25℃である。精製されたSDHは25℃の温度で約1週間の安定性を有
する。従って長時間酵素触媒法を行うには、この範囲の温度が好適である。
【0040】 別の好ましい実施形態で本発明は、スクロースをまず酵素によりイソマルツロ
ースに変換し、続いてイソマルツロースを酵素により1,6−GPSに変換して
行うスクロースから1,6−GPSの調製方法に関する。この全過程は連続的、
半連続的又は非連続的に、単数又は複数のバイオリアクターで単数又は複数の処
理ステップで進行することが可能である。
【0041】 また本発明は、以下の; a)配列番号1に示したアミノ酸配列又はその相補鎖を有するタンパク質をコ
ードする核酸分子; b)配列番号2に示したヌクレオチド配列又はその相補鎖を含む核酸分子; c)(a)又は(b)に記載の核酸分子とハイブリダイズする核酸分子; d)遺伝子コードの縮重により核酸配列が(b)又は(c)に記載の核酸分子
の配列から誘導されたヌクレオチド配列を有する核酸分子; からなる群より選択される、ソルビトール脱水素酵素(SDH)活性を有する酵
素をコードする核酸分子に関する。
【0042】 本発明に関連してソルビトール脱水素酵素活性を有する酵素とは、イソマルツ
ロースから1,6−GPSへの変換を触媒することができるタンパク質又はペプ
チドを意味する。その場合、変換されるイソマルツロースはスクロースの酵素的
変換に由来する。
【0043】 本発明に係る核酸分子は天然起源、好ましくはグルコノバクター種から単離し
、又は公知の方法により合成することができる。慣用の分子生物学的技術により
種々の突然変異を本発明核酸分子に挿入し、こうして場合によっては変化した生
物学的性質を有する酵素を合成することが可能である。この酵素も本発明に含ま
れる。本発明の意味での突然変異は、また、短縮された酵素をもたらすすべての
失欠変異に関する。その他の分子機構、例えば挿入、複製、転位、遺伝子融合、
ヌクレオチド交換、さらには種々の微生物株と他の株との間の遺伝子転移により
、例えば酵素活性の修飾及び/又は酵素の制限を行うことができる。こうして例
えば改変されたKm値、Ki値又はKa値を有し、及び/又は細胞に通常ある制御
機構がもはや働かないか又は改変された形で働く突然変異酵素を調製することが
できる。また本発明によれば、改変された安定性、基質及び生成物特異性又は改
変された効果又はパターン又は修飾された活性、温度、pH値及び/又は濃度プ
ロファイルを有する突然変異酵素を調製することができる。また本発明の教示は
、改変された活性酵素濃度、サブユニットの修飾構造、例えばシグナル及び/又
は輸送ペプチド及び/又はその他の官能基の翻訳前及び翻訳後修飾を有する酵素
に関する。
【0044】 また本発明は、上記の本発明核酸分子とハイブリッド形成する核酸分子に関す
る。本発明の範囲内でハイブリダイゼーションはSambrookら(Molecular Clonin
g.A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,第2版、198
9年)に記載された在来のハイブリダイゼーション条件、好ましくはストリンジ
ェントな条件下のハイブリダイゼーションを意味する。本発明によれば1xSS
C及び0.1%SDSにより55℃、好ましくは62℃、特に好ましくは68℃
で1時間、特に0.2xSSC及び0.1%SDSで55℃、好ましくは62℃
、特に好ましくは68℃で1時間洗浄した後になお正のハイブリダイゼーション
シグナルが観察されるならば、ハイブリダイゼーションしたといえる。
【0045】 本発明に係るヌクレオチド配列は、このような洗浄条件のもとで配列プロトコ
ルに示されたヌクレオチド配列の1つとハイブリダイズするヌクレオチド配列で
ある。
【0046】 なおこのような核酸分子の同定と分離は、本発明の核酸分子又はこの分子もし
くは相補鎖の一部を使用して行うことができる。ハイブリダイゼーションプロー
ブとして、例えば配列番号2に示されたヌクレオチド配列又はこの配列の一部を
厳密に又はおおむね有する核酸分子を使用することができる。ハイブリダイゼー
ションプローブとして使用されるフラグメントには、慣用の合成技術により調製
され、その配列がおおむね本発明核酸分子の配列と一致する合成フラグメントも
含まれる。本発明の核酸分子とハイブリダイズする分子は、本発明に係る酵素を
コードする上記の核酸分子のフラグメント、誘導体及び対立遺伝子変異型も包含
する。なお「フラグメント」とは、上記の酵素をコードするのに十分な長さを有
する核酸分子の一部をいう。本発明において「誘導体」という用語は、この分子
の配列が上記の核酸分子の配列と単数又は複数の位置で相違するが、この配列に
対して高度の相同性を有することを意味する。なお相同性とは核酸レベルで少な
くとも40%の配列同一性、特に少なくとも60%、好ましくは80%以上、特
に好ましくは90%、95%、97%又は99%超の同一性を意味する。その場
合この核酸配列によりコードされた酵素は、配列番号1に示されたアミノ酸配列
に対してアミノ酸レベルで少なくとも80%、好ましくは85%、特に好ましく
は90%、95%、97%及び99%以上の配列同一性を有する。上記の核酸分
子との差異は、例えば失欠、置換、挿入又は組換えによって生じたものである。
これらは、天然に存在する変異、例えば他の生物の配列又は突然変異においても
起こり得る。この突然変異は自然に発生することが可能であり、又は意図的な突
然変異誘発(紫外線又はX線、化学薬品等)により導入することができる。また
この変異には、合成により調製された配列が含まれる。対立遺伝子変異型には自
然に生じる変異型も、合成により調製され又は組換えDNA技術により作られた
変異型も含まれる。本発明の核酸分子の種々の変異型によりコードされた酵素は
ある共通の特性例えば酵素活性、活性酵素濃度、サブユニット、翻訳後修飾、官
能基、分子量、免疫学的反応性、配座及び/又は物理的性質、例えばゲル電気泳
動での移動挙動、クロマトグラフィー挙動、沈降係数、溶解度、分光特性、安定
性、最適pH値、等電pH値、最適温度及び/又はその他の特性を有する。
【0047】 本発明に係る核酸分子はDNA及びRNA分子である。本発明に係るDNA分
子は例えばゲノムDNA又はcDNA分子である。
【0048】 また本発明は本発明に係る核酸を含むベクターに関する。好ましくはプラスミ
ド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ、シャトルベクター及び遺伝子工
学で慣用のその他のベクターが取り上げられる。本発明に係るベクターはさらに
ベクターの安定化及び/又は宿主生物への複製を生じさせ又はそれに寄与する別
の機能ユニットをもつことができる。
【0049】 特殊な実施形態では本発明に基づき原核及び/又は真核細胞の翻訳可能な核酸
分子の転写及び合成を保証する少なくとも1つの制御エレメントに本発明核酸分
子が機能的に結合されたベクターも含まれる。このような制御エレメントはプロ
モーター、エンハンサー、オペレーター及び/又は転写終結シグナルである。も
ちろんベクターはその安定性及び/又は複製のために必要な要素並びに抗生物質
耐性遺伝子、即ち選択マーカーも含むことができる。
【0050】 また本発明は少なくとも1つの制限要素に制御されてSDHをコードする核酸
配列のほかに、同じく少なくとも1つの制御エレメントに制御され、スクロース
ムターゼをコードする核酸配列を含む上記のベクターに関する。従ってこのよう
なベクターは、スクロースからイソマルツロースを経て1,6−GPSへの酵素
的変換のために必要な2つの酵素についての遺伝情報を有する。このようなベク
ターは、スクロースを1つの処理ステップで1,6−GPSに変換するために、
個々の宿主生物の代謝装置を特に簡単に利用することを可能にする。
【0051】 また本発明は本発明核酸分子の1つ又は本発明ベクターの1つを含み、もしく
はこれによって形質転換され、好ましくはSDH及び場合によってはスクロース
ムターゼを発現し、特に好ましくは1,6−GPSをイソマルツロース又はスク
ロースから調製することができる宿主細胞に関する。また本発明は本発明核酸分
子又は本発明ベクターにより形質転換された宿主細胞に由来するすべての宿主細
胞に関する。このようにして本発明は本発明核酸分子又はベクターを含む宿主細
胞に関するものであり、その場合宿主細胞とはin vitro組換え核酸分子を受容し
、場合によっては本発明核酸分子によりコードされた酵素を合成することができ
る生物を意味する。これは原核又は真核細胞であることが好ましい。とりわけ本
発明はイソマルツロース又はスクロースから1,6−GPSを調製するための酵
素の合成の能力を与える本発明ベクター、このベクターの誘導体又は一部を含む
微生物に関する。また本発明に係る宿主細胞は、導入された本発明核酸分子が形
質転換細胞に関して異型であり、即ち自然的にはこの細胞に現われないか、又は
自然的に現われる当該の配列と異なる部位又は異なるコピー数で遺伝子に局在す
ることを特徴とする。
【0052】 本発明の一実施形態ではこの細胞が原核細胞、好ましくはグラム陰性原核細胞
、特に好ましくは腸内細菌細胞である。その場合一方では独自のSDH及び/又
はスクロースムターゼ遺伝子を含まない細胞、例えば大腸菌を使用することがで
き、他方ではすでに1個又は2個のこのような遺伝子を染色体に含む細胞を使用
することもできる。適当な原核細胞の好ましい例は大腸菌、プロタミノバクター
・ルブラム、エルウィニア・ラポンティシ、腸内細菌科又はシュードモナス・メ
ソアシドフィラ細胞である。外性核酸配列による原核細胞の形質転換は分子生物
学の分野の当業者の熟知するところである。
【0053】 本発明の別の実施形態では、本発明に係る細胞が真核細胞、例えば菌細胞(例
えば酵母)又は動物細胞であることも可能である。核酸配列による真核細胞の形
質転換又はトランスフェクションの方法もまた分子生物学の分野の当業者の熟知
するところである。
【0054】 また本発明は本発明宿主細胞の少なくとも1つを有する細胞培養に関する。そ
の場合本発明に係る細胞培養は特にSDH及び場合によってはスクロースムター
ゼを産生することができる。
【0055】 また本発明は、SDHの生成が可能であり、これを得ることができる条件のも
とで本発明宿主細胞を培地で培養するSDHの調製方法に関する。
【0056】 本発明の別の実施形態は本発明核酸分子によりコードされるタンパク質及びそ
の調製方法である。その場合このタンパク質の合成が可能な条件のもとで本発明
宿主細胞を培養し、続いて培養した細胞及び/又は培地からタンパク質を分離す
る。
【0057】 また本発明は本発明に係るSDH活性ユニットの構造を同定し、場合によって
は結合することができるモノクローナル及びポリクローナル抗体に関する。この
構造はSDH活性を有するユニットに特異的に関係するタンパク質、炭水化物並
びに脂質複合体及び/又は糖脂質である。SDHの翻訳後修飾とみなされる構造
に向けられた抗体も本発明に含まれる。重要なのは、SDH活性を有するユニッ
トの生物学的、化学的及び物理的性質の推論が可能なように、立体的電子雲構造
が抗体により同定されることである。
【0058】 また別の特殊な実施形態で本発明は、本発明に係る上記の抗体と相互作用し、
特にこれを同定し、結合することができる抗体に関する。
【0059】 また本発明は生物学的、化学的及び物理的に修飾された上記の抗体に関する。
【0060】 配列番号1は、262個のアミノ酸を含むSDHのアミノ酸配列を示す。配列番
号2は、789個のヌクレオチドを含むSDHのヌクレオチド配列を示す。配列
番号3〜9は、SDHの部分アミノ酸配列を示す。
【0061】 次に本発明を実施例及び関連する図に基づいて説明する。
【0062】実施例1:SDHの調製 グルコノバクター・スブオキシダンス(Gluconobacter suboxidans)のバイオマ ス生産 グルコノバクター・スブオキシダンス DSM 20003のバイオマスを十分に供給す
るために、この株を実験室規模で発酵した。培養液1としてD−マンニトール(
50g/l)、カゼインからのペプトン(10g/l)、酵母抽出物(5g/l
)、CaCO3(20g/l)を使用した。培養液2の組成は次の通りである。
D−マンニット(75g/l)、カゼインからのペプトン(16g/l)、酵母
抽出物(8g/l)、CaCO3(1g/l)。予備培養としてグルコノバクタ
ー・スブオキシダンスDSM2003株の冷凍乾燥した保存物を1mlの培養液
1に懸濁し、寒天平板に培養液1を塗抹し、25℃で72時間培養した。次に寒
天平板培養の接種物を25mlの培養液1に入れ、振とうフラスコで25℃で4
8時間培養した。第1の予備培養とも称する培養を次に振とうフラスコ(容積1
リットル)中の250mlの培養液1で25℃で48時間培養した。こうして得
た第2の予備培養とも称する培養を次に発酵のための接種材料として使用した。
【0063】 発酵のために第2の予備培養を振とうフラスコから20l発酵槽中の15lの
培養液2に移し、25℃で下記の条件のもとで培養した。即ち、 pH値:6.9(5NのNaOHで滴定して一定に保持) 攪拌速度:350rpm 酸素飽和度:40%
【0064】 発酵のあいだ上記の条件を一定に保った。細胞成長の終了(高性能液体クロマ
トグラフィーにより基質消費で確認した)とともに発酵を終了した。
【0065】 こうして得た細胞マスを遠心分離(8000g、20分、4℃)により回収し
、0.9%NaCl溶液で洗浄し、50mMのトリスバッファ(pH7.0)で
1:3に希釈し、次にフレンチプレス法で分解した。生じた細胞破片を超遠心分
離(110,000g、20分、4℃)により除去した。透明な上澄み液(いわ
ゆる粗抽出物)を直ちに使用し、又は−30℃で貯蔵した。
【0066】SDHの精製 SDHの精製のために次の3ステップ構成を選んだ。
【0067】ステップ1: 粗抽出物を、50mMのトリス/HClバッファ(pH7.0)で平衡させた
DEAEセファロースカラム(2.6x9cm)に掛け、50mMのトリス/H
Clバッファ(pH7.0)で0.0〜0.5M NaClの直線勾配かつ50
cm/時間の流動率で溶出した。SDHを0.2MのNaClで溶出することが
できた。
【0068】ステップ2: 色素アフィニティークロマトグラフィー・カラムを次のように準備した。(i
)セファロース4B−CLゲルを基質として使用し(Boyer, P. M.及びHsu,J. T
.(1993年):Fiechter. A(編)、Advances in Biochemical Engineering[生
化学工学の進歩]49, 1-44)、(ii)色素ブルー160(Blue H-ERD)をNeuh
auser, W.ら、1997年(Biochem.J.,326,638〜692)の方法で固定化した。そ
のためにゲル1mlにつき10mgの色素を使用した。プールしたステップ1の
SDH含有画分を透析し、色素リガンドカラム(2.6x7.0cm、50mM
のトリス/HClバッファで平衡、pH7.0)に掛けた(ゲル1mlにつきタ
ンパク質約2〜5mg)。吸着されたタンパク質を50mMのトリス/HClバ
ッファ、pH7.0中で0.0〜0.5MのNaClの直線勾配により流動率2
.0ml/分で溶出した。SDHを0.1MのNaClで溶出することができた
【0069】ステップ3: プールしたステップ2の活性画分を透析し、限外濾過により濃縮し、再度色素
リガンドカラムに掛け(2.6x7.0cm、50mMトリス/HClバッファ
、pH7.0で平衡)、その際ゲル1mlにつき約0.5mgのタンパク質を用
いた。20mMトリス/HCl、pH7.0中で10mMのNADHにより流動
率10cm/時間で親和溶出を行った。続いて透析によりNADHを除去した。
【0070】 精製したSDHは−30℃で約8ヶ月間貯蔵することができ、+4℃ではSD
Hは約30日間安定である。
【0071】表1:SDHの精製の概要
【表1】
【0072】 上記の精製の概要、即ち陰イオン交換体クロマトグラフィーによる粗抽出物の
分離、次の第1の色素アフィニティークロマトグラフィー、限外濾過及び第2の
色素リガンドアフィニティークロマトグラフィーによって、粗抽出物の値に比し
て約50倍の濃縮が得られる。そして収率は約33%である。
【0073】実施例2:イソマルツロースからの1,6−GPSの調製 酵素・膜反応装置による1,6−GPSの連続酵素的調製 ステンレス鋼の反応装置(容積50ml)を用いてイソマルツロースから1,
6−GPSの連続調製を行った。酵素・膜反応装置には水冷式温度調整のための
二重外被、伝導度及びpH値電極の挿入のための穴、並びに圧力測定、基質供給
、生成物排出及び試料採取のための接続部があった。反応装置の内室にある外部
操作可能な磁気攪拌装置は、供給した基質の最適な混和を保証する。反応装置の
蓋は下側に金属焼結板を備え、これに限外濾過膜及びOリングが取付けられてい
た。反応装置を充填した後、蓋を下部にねじ止めした。基質の供給はピストンポ
ンプで行った。反応溶液の伝導度とpH値を連続的に直接測定し、その際制御系
が滴定によりpH値を一定に保った。限外濾過膜は補酵素の完全な保持を保証し
ないため、Nitto社の帯電膜(Nitto-Membrane NTR-7410)を使用した。こ
の静電気補酵素保持法は解離された補酵素でも所望の反応室内に留まることを保
証する。
【0074】 上記の膜反応装置を50mMトリス/HClバッファ、pH7.5(+0.1
%NaN3)に250mMのイソマルツロース及びグルコースを溶解した溶液で
満たした。万一の漏れ又はその他の問題を識別し、場合によっては除去するため
に、続いて2ml/時間の流量で反応装置を24時間「アイドリング」運転した。
次にSDH及び再生酵素FDHを、試料をクロマトグラフィーに掛けるために使
用されるスーパーループにより注入した。反応の初めに、完全に精製したSDH
(実施例1)及びGDH(バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由
来のグルコース脱水素酵素)をそれぞれ1U/mlずつ使用した。2.5μmの
NADの注入により反応を開始した。pH値は1Mのトリスで滴定してpH7
.0に一定に保った。連続式反応装置の使用時の重要なファクターは滞留時間分
布である。これは反応溶液の最適な混和を仮定して、式 t=[V]/V0 により算定される。ここにVは反応装置の容積、V0は体積流量である。4時間
のバッチテストの後に基質の供給を流量2ml/時間に調整し、平均滞留時間(
t)は25時間であった。試験時間は234時間で、その際規則的間隔で酵素活
性、アルカリ消費量、導電度、圧力、基質及び生成物容積を測定した。得た生成
物試料の組成を高性能液体クロマトグラフィーで調べ、1,6−GPSの生成を
検出した。
【0075】実施例3:スクロースから1,6−GPSを調製するための酵素式単一バイオリ
アクター法(ワンポット法) スクロースから1,6−GPSを直接酵素的調製するためにプロタミノバクタ
ー・ルブラムの固定化細胞とG.サボキシダンス 2003(G. suboxidans 2003)由
来の酵素SDH及びカンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)由来のFDHに
より下記の条件下でバッチテストを行った。この反応の基質はスクロースとギ酸
アンモニウムであった。
【0076】 容積: 10ml 温度: 25℃ スクロース: 500mM ギ酸塩: 500mM プロタミノバクター・ルブラム細胞: 1g SDH: 5ユニット FDH: 10ユニット NAD: 1mM
【0077】 この反応でpH値が上昇したので、1Mのギ酸でpH値7.0に一定に調整し
た。反応中の基質の消費をDC及びDNS法(スクロースからイソマルツロース
への変換に対して)並びに高性能液体クロマトグラフィー(イソマルツロースか
ら1,6−GPSへの変換に対して)によりモニターした。1つの反応容器内で
1つの処理ステップでスクロースから1,6−GPSが直接生成されることを示
すことができた。
【0078】実施例4:SDHの核酸及び誘導ペプチド配列 1.ペプチド配列の決定 部分アミノ酸配列の決定のために、実施例1に従って精製したグルコノバクタ
ー・スブオキシダンス DSM 2003のSDHをトリプシンで消化し、標準的方法で
分離した。得られた部分ペプチド配列は配列番号3〜9に示されている。
【0079】2.DNAプローブの作成 ペプチド配列決定で解析された配列に基づき、グルコノバクター・スブオキシ
ダンス 2003由来のSDHの全遺伝子のクローニングを行うことができるプライ
マーを調製した。
【0080】3.遺伝子バンクの作成とクローンの分離 上記のプライマー(配列番号3及び5)をPCR反応に使用し、SDHコード
配列のフラグメントを得た。得られたPCRフラグメントでDNAプローブを調
製した。プローブを標識した後、ゲノム・サザンブロッティングでハイブリダイ
ゼーションバンドを確かめた。pBluescrip SKに精製フラグメント族がある2つ
の独立のサブゲノム遺伝子バンク(ClaI消化の後〜9kbフラグメント、B
amHI消化の後〜3.5kbフラグメント、フラグメントの精製はスクロース
勾配遠心分離による)を作成した。上記の標識プローブを使ってサブゲノム・ク
ローンバンクをハイブリダイゼーションにより検査した。複数のクローンを同定
することができた。そのうちBamHI及びClaIバンクの各々1つのクロー
ンをさらに分析した。
【0081】4.配列決定 クローニングしたフラグメントの配列決定によりいずれの場合も同じDNA配
列が得られた。これからSDHのアミノ酸配列を決定することができた。この配
列は、コドン196の位置までは、ペプチド配列の配列と一致するが、ペプチド
5のペプチド配列がここで決定されたトリプトファン(W196)ではなくセリ
ン(S)である。
【0082】 グルコノバクター・スブオキシダンス DSM 2003のSDHのヌクレオチド配列
は配列番号2に示されており、789個のヌクレオチドからなる。
【0083】 グルコノバクター・スブオキシダンス DSM 2003のソルビトール脱水素酵素の
アミノ酸配列は配列番号1に示されており、262個のアミノ酸からなる。
【0084】5.大腸菌での発現 コーディング配列を5’末端で配列GAATTCTTにより、3’末端で配列
AAGCTTにより延長した。この配列をEcoRI及びHindIIIで処理
したベクターpBtac2(図1、J. Bosius(1988年)、Biotechnology 10, 2
05〜225)に組み込んだ。生じるプラスミドpHWG467(図2)はアンピシ
リン耐性遺伝子及びtacプロモータに制御されたSDHコード配列を有する。
プラスミドpHWG467を大腸菌JM109で形質転換した。この細胞はIP
TGによる誘導の後SDH活性を産生する。粗抽出物中の当該のタンパク質の活
性を決定することができる。この抽出物のSDSゲルでクーマシー・ブリリアン
トブルーにより主バンドとして28kDaで、タンパク質を着色することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、プラスミドpBtac2のプラスミドの略図である。
【図2】 図2は、pHWG467のプラスミドの略図である。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12P 19/44 9/04 C12N 15/00 ZNAA C12P 19/44 5/00 A (72)発明者 マッテス,ラルフ デンマーク国 70619 ストットガルト, フリードリッヒ−ツン−デル−シュトラー セ 14 (72)発明者 クルブ,クラウス,ディエター デンマーク国 エー−1180 ヴァイエン, ザリーリガッセ 20 Fターム(参考) 4B024 AA03 BA08 CA04 DA06 EA04 GA11 4B050 CC02 CC03 DD02 EE10 FF05E FF11C FF14C FF20 LL05 4B064 AF41 CA02 CA21 CB18 CC07 CD07 CD09 CE08 CE11 CE12 4B065 AA26X AA28Y AB01 AC14 BA02 BB16 CA28 4H045 AA10 AA11 BA10 CA11 DA75 DA89 FA74 GA23 GA26

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソマルツロースから6−0−α―D−グルコピラノシル−
    D−ソルビトール(1,6−GPS)の酵素的調製のための方法であって、ソル
    ビトール脱水素酵素(SDH)活性を有するユニットを含む反応水溶液にイソマ
    ルツロースを加え、保温し、続いて1,6−GPSを反応溶液から回収すること
    を特徴とする、上記方法。
  2. 【請求項2】 保温の前又は間に反応水溶液に還元等価物を加えることを特
    徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 SDH活性を有するユニットが単離されたSDHである、請
    求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 SDH活性を有するユニットがSDHを含む生微生物もしく
    は死微生物又はその粗抽出物である、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 SDHを含む微生物がグルコノバクター・スブオキシダンス
    DSM2003である、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 pH調整とともに又はpH調整なしで実施することを特徴と
    する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 保温の前又は間に反応水溶液に再生剤、特にギ酸塩脱水素酵
    素(FDH)及びギ酸塩を加えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 微生物、粗抽出物又は酵素が固定化されている、請求項3〜
    7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、連続的
    に実施することを特徴とする、上記方法。
  10. 【請求項10】 出発材料として使用されるイソマルツロースをスクロース
    からイソマルツロースへの酵素的変換により調製することを特徴とする、請求項
    1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 スクロースからイソマルツロースへの酵素的変換が固定化
    したプロタミノバクター・ルブラム細胞、単離したスクロースムターゼ及び/又
    はプロタミノバクター・ルブラムの細胞消化物によって行われることを特徴とす
    る、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 スクロースからイソマルツロースへ、及びイソマルツロー
    スから1,6−GPSへの酵素的変換が、単一の処理ステップで行われる、請求
    項10又は11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 スクロースからイソマルツロースへ、及びイソマルツロー
    スから1,6−GPSへの酵素的変換が単一のバイオリアクター中で行われる、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 酵素的調製が20℃〜40℃、特に25℃の温度で行われ
    る、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 【請求項15】 スクロースを酵素的にイソマルツロースに変換し、続いて
    又は同時にイソマルツロースを請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法に従
    って酵素的に1,6−GPSに変換することを特徴とする、スクロースから1,
    6−GPSの酵素的調製方法。
  16. 【請求項16】 第1の処理ステップで微生物を消化しホモジナイズして粗
    抽出物とし、得られた粗抽出物に第2の処理ステップで陰イオン交換体クロマト
    グラフィーを、第3の処理ステップで第1の色素アフィニティークロマトグラフ
    ィーを、第4の処理ステップで第2の色素アフィニティークロマトグラフィーを
    行う、微生物からSDHを単離する方法。
  17. 【請求項17】 色素アフィニティークロマトグラフィーの最後に少なくと
    も1種の還元等価物を用いて親和性溶出を行う、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 以下の; a)配列番号1に示したアミノ酸配列又はその相補鎖を有するタンパク質をコ
    ードする核酸分子; b)配列番号2に示したヌクレオチド配列又はその相補鎖を含む核酸分子; c)(a)又は(b)に記載の核酸分子とハイブリダイズする核酸分子; d)遺伝子コードの縮重により核酸配列が(b)又は(c)に記載の核酸分子
    の配列から誘導されたヌクレオチド配列を有する核酸分子; からなる群より選択される、ソルビトール脱水素酵素(SDH)活性を有する酵
    素をコードする核酸分子。
  19. 【請求項19】 DNA分子である、請求項18に記載の核酸分子。
  20. 【請求項20】 cDNA又はゲノムDNAである、請求項19に記載の核
    酸分子。
  21. 【請求項21】 RNA分子である、請求項18に記載の核酸分子。
  22. 【請求項22】 請求項18〜21のいずれか1項に記載の核酸分子を含む
    ベクター。
  23. 【請求項23】 核酸分子が少なくとも1個の調節エレメント、特にプロモ
    ーター、エンハンサー及び/又は転写終結シグナルと結合していることを特徴と
    する、請求項22に記載のベクター。
  24. 【請求項24】 請求項18〜21のいずれか1項に記載の核酸分子又は請
    求項22もしくは23に記載のベクターで形質転換した宿主細胞、あるいはかか
    る宿主細胞から誘導された細胞。
  25. 【請求項25】 宿主細胞が原核又は真核細胞である、請求項24に記載の
    宿主細胞。
  26. 【請求項26】 請求項25に記載の少なくとも1つの宿主細胞を含む細胞
    培養物。
  27. 【請求項27】 SDHが生成し得る条件下で培養培地中で請求項24又は
    25に記載の宿主細胞を培養し、SDHを回収することを特徴とする、SDHの調
    製方法。
  28. 【請求項28】 請求項16又は27に記載の方法で調製され得るか、又は
    請求項18〜21のいずれか1項に記載の核酸分子によりコードされる、SDH
    活性を有するタンパク質。
  29. 【請求項29】 請求項28に記載のSDH活性を有するユニットに対して
    特異的親和力を有する抗体、又は該抗体を産生する請求項24又は25に記載の
    宿主細胞。
  30. 【請求項30】 請求項29に記載の抗体に対して親和力を有する抗体。
  31. 【請求項31】 修飾されていることを特徴とする、請求項29及び30の
    いずれか1項に記載の抗体。
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