JP2003528413A - 薄膜磁気ディスクおよびシリコンウェハ上の薄膜層の厚み、反射率、粗度、表面輪郭および磁気パターンを同時に測定するシステムおよび方法 - Google Patents

薄膜磁気ディスクおよびシリコンウェハ上の薄膜層の厚み、反射率、粗度、表面輪郭および磁気パターンを同時に測定するシステムおよび方法

Info

Publication number
JP2003528413A
JP2003528413A JP2001528415A JP2001528415A JP2003528413A JP 2003528413 A JP2003528413 A JP 2003528413A JP 2001528415 A JP2001528415 A JP 2001528415A JP 2001528415 A JP2001528415 A JP 2001528415A JP 2003528413 A JP2003528413 A JP 2003528413A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
lubricant
carbon
histogram
disk
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001528415A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3895596B2 (ja
Inventor
ダブリュ. ミークス,スティーブン
カディナー,ラスミン
Original Assignee
キャンデラ インストルメンツ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by キャンデラ インストルメンツ filed Critical キャンデラ インストルメンツ
Publication of JP2003528413A publication Critical patent/JP2003528413A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3895596B2 publication Critical patent/JP3895596B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B11/00Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
    • G01B11/30Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring roughness or irregularity of surfaces
    • G01B11/303Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring roughness or irregularity of surfaces using photoelectric detection means
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B11/00Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
    • G01B11/02Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness
    • G01B11/06Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material
    • G01B11/0616Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material of coating
    • G01B11/0641Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material of coating with measurement of polarization
    • G01B11/065Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material of coating with measurement of polarization using one or more discrete wavelengths
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/21Polarisation-affecting properties
    • G01N21/211Ellipsometry

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Investigating Materials By The Use Of Optical Means Adapted For Particular Applications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 薄膜より成る保護層の実質的にブルースター角ではない様々な角度にいて、各磁気的作像、光学的輪郭形成、および、薄膜磁気ディスクやシリコンウェハ表面の潤滑剤厚み並びに潤滑剤劣化、炭素摩耗、炭素厚み、表面粗度の測定を実施するためのシステムおよび方法。焦点合わせされると共に偏光性がPもしくはS偏光性の間で切換えられ得る光学的光は、薄膜磁気ディスクの表面に対して所定角度で入射する。これにより、薄膜ヘッドの相互作用に依る潤滑剤厚みの変化、絶対的潤滑剤厚み、および、潤滑剤の劣化が容易に測定され得る。これによれば更に、炭素厚みおよび絶対的炭素厚みの変化も測定され得る。表面粗度もまた測定され得る。本発明は、また、化学機械研磨プロセス(CMP)により磨かれたシリコンウェハの湾曲、摩耗を測定可能である。また、既述したあらゆる角度において面粗度が測定可能である。偏光した反射光の回転を測定してカー効果が特定可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明はシリコンウェハなどの薄膜の測定方法に関し、より詳細には、薄膜デ
ィスクの吸収層の非ブルースター角などの多くの角度にて薄膜ディスクに指向さ
れたレーザを用いて潤滑剤厚み、潤滑剤劣化、ならびに、薄膜の厚みおよび摩耗
を測定する方法に関する。
【0002】 (背景技術の説明) 被覆された薄膜ディスクは、種々の分野で使用される。ひとつの例は、コンピ
ュータ・ハードディスクの分野である。コンピュータ・ハードディスク(磁気記
憶デバイス)は、大量のデータを記憶し得る不揮発メモリデバイスである。ハー
ドディスクの製造業者が遭遇するひとつの問題は、如何にしてハードディスクの
作動寿命を最大化するかである。ハードディスクが故障したとき、その中に記憶
されたデータを復旧することは困難、不経済または不可能なこともある。
【0003】 図1には、磁気記憶デバイスで使用される薄膜ディスクの概略が示される。こ
の薄膜ディスクは、(典型的にはNiPメッキされたAl-Mg合金もしくはガラスであ
る)基板108上に析出された磁性薄膜(層)106を含む。磁性薄膜106は、たとえばそ
の厚みが典型的には50乃至200オングストローム(Å)である炭素の薄膜(炭素層)1
04により保護され得る。炭素層104は典型的に、フルオロカーボン潤滑剤(潤滑剤
層)102の薄層(10乃至30オングストローム)により被覆される。潤滑剤層102は、
以下に記述される如くたとえばディスク・ドライブが電源切断されたときなどの
様に特に磁気書込/読取ヘッドがディスクに接触するときに下側の炭素層104の
耐久性を高める役割を果たす。また、薄膜ディスクの開発および試験の間には、
薄膜磁気ディスクを書込/読取ヘッドの幾多の起動(start)および停止(stop)に
委ねる必要がある。上記の如く起動/停止を行うと、書込/読取ヘッドは起動/
停止領域として知られた薄膜ディスク100の限定領域において該薄膜ディスク100
と接触する。上記起動/停止領域上で薄膜ヘッドを停止および起動する動作によ
れば、フルオロカーボン潤滑剤層102の減損および/または劣化、炭素層104の摩
耗、および、表面粗度の変化を引き起こし得る。薄膜の特性を測定する従来の技
術は米国特許第4,873,430号で論じられているが、該米国特許は言及したことに
よりその全体が本明細書中に援用される。この米国特許は、膜のブルースター角
にて伝搬するP偏光平行化(非集束)レーザを使用して膜厚および表面粗度を測定
する技術を記述している。
【0004】 米国特許第5,726,455号は、薄膜磁気ディスクから反射された光の正反射成分(
specular component)のみを測定する光学システムを記述している。この米国特
許は、上記光学システムが潤滑剤被覆の厚みと被覆の摩耗を測定し得ると称して
いる。この光学システムは、(ペルチェ効果により冷却された)温度安定な光源と
、ディスクから遠隔配置された積分球検出器とを使用する。而して入射角は、上
記潤滑剤のブルースター角と近傍層のそれとの間である。この発明は、散乱光の
測定に対する準備を行わず、表面粗度を測定してもいない。
【0005】 表面粗度を測定する他の技術は、米国特許第5,608,527号、第5,196,906号、第
5,313,542号、第4,668,860号、第5,406,082号、および、1995年のワシントン州
、Bellingham、SPIEプレス、John C. Stoverによる著書“光散乱の測定および分
析”、第2版("Optical Scattering-Measurement and Analysis" second editio
n by John C. Stover, SPIE Press, Bellingham, WA)の第169〜170頁にて論じら
れているが、これらは全て言及したことによりその全体が本明細書中に援用され
る。これらの特許等は表面粗度の読み取りに関しているが、潤滑剤の厚みおよび
劣化、または、薄膜の厚みもしくは摩耗の識別に対処していない。
【0006】 特に上記米国特許第5,608,527号は、ひとつの散乱平面における正反射光(spec
ular light)および散乱光(scattered light)を測定する技術を記述している。上
記正反射光および散乱光は表面粗度を獲得すべく使用される。上記米国特許第5,
196,906号は、半球体に沿って位置された検出器の配列から表面粗度を決定する
モジュール式散乱計を記述している。上記米国特許第5,313,542号は、レーザ・
ダイオードおよび光ファイバ束からの非偏光を使用して部分的にまたは完全に半
球体的に散乱光を収集する散乱計を記述している。上記米国特許第4,668,860号
は、体積(bulk)および表面散乱の両者を有する光学要素の表面品質を評価する散
乱計を記述している。この特許は、光の偏光特性を用いて表面散乱および体積散
乱を分離するとされた技術を記述している。上記米国特許第5,406,082号は、検
査されるべき表面上に指向される広帯域赤外線光源を使用する表面検査/特性記
述システムを示している。反射光は数個の波長へと分離され、これらの信号は吸
収度などの特性により表面を特性記述すべく使用される。
【0007】 薄膜の厚みおよび表面粗度の測定値を組合せる技術は、台湾、台北のAHEAD光
電子社(AHEAD Optoelectronics, Inc., Taipei, Taiwan, R.O.C)によるパンフレ
ットに記述されているが、これは言及したことによりその全体が本明細書中に援
用される。これは、積分球偏光解析分析器(Integrating Sphere Ellipsometry A
nalyzer)と呼ばれる計測器を記述している。この計測器は、偏光解析器と積分球
分析器とを組合せたものである。而してこのパンフレットは、絶対的な膜厚およ
び屈折率の原位置外(ex situ)測定に対して偏光解析技術を使用する測定技術を
教示している。この技術はまた、可変角度にて表面の微小粗度を測定する積分球
も使用する。記述された上記システムは膜厚および表面の微小粗度の原位置外で
の測定に対して設計されており、原位置(in situ)での摩耗、潤滑剤および表面
粗度を測定し得ない。
【0008】 摩擦学に関するASME研究論文、第117巻(1995年1月)、第112〜118頁、S. Meeks
等による“薄膜ディスクのヘッド−ディスク界面の光学的表面分析”(S. Meeks
et. al., Optical Surface Analysis of the Head-Disk-Interface of Thin Fil
m Disks, ASME Transactions on Tribology, Vol. 117, pp. 112-118, (Jan.199
5))には、ブルースター角にて薄膜特性を測定する技術が記述されるが、これは
言及したことによりその全体が本明細書中に援用される。
【0009】 これらの文献はいずれも、上記した測定の全てを原位置で実施する単一のシス
テムおよび方法を教示していない。しかも、Meeks等およびJuliana等の文献は、
測定が実質的に炭素104のブルースター角にて生ずるべきことを教示している。
また上記米国特許第5,726,455号は、測定が潤滑剤のブルースター角と近傍層の
それとの間で生ずるべきことを教示している。この角度を用いた場合の利点は、
光信号が炭素104から反射される代わりに炭素104を直接的に通過して磁性体層10
6から反射されると述べられている。
【0010】 故に必要とされるものは、(1)潤滑剤厚みおよび厚み変化の量を測定し、(2)潤
滑剤劣化の程度を測定し、(3)炭素層の摩耗および厚みを測定し、(4)絶対的表面
粗度および表面粗度の変化を測定し、(5)磁気的作像を実施し、(6)光学的輪郭形
成(optical profiling)を実施し、且つ、(7)これらの測定が(a)同時に実施され
、(b)実質的にブルースター角とは異なる入射角にて実施されると共に(c)原位置
もしくは原位置外で実施され得るようにする、という薄膜ディスクの検証システ
ムおよび方法である。
【0011】 (発明の要約) 本発明は、実質的にブルースター角である必要の無い入射角にて薄膜ディスク
へと電磁放射線を送出する光学システムを用いて薄膜ディスク特性を測定するシ
ステムおよび方法である。本発明は、薄膜保護上側被覆(炭素)の実質的にブルー
スター角で無い角度にて、薄膜磁気ディスクの潤滑剤の厚みおよび劣化、炭素の
摩耗および厚みおよび表面粗度を測定する。焦点合わせされると共に偏光性がP
もしくはS偏光性の間で切換えられ得る光学的光は、薄膜磁気ディスクの表面に
対して所定角度で入射する。これにより、薄膜ヘッドの相互作用に依る潤滑剤厚
みの変化、絶対的潤滑剤厚み、および、潤滑剤の劣化が容易に測定され得る。こ
れによれば更に、炭素厚みおよび絶対的炭素厚みの変化も測定され得る。表面粗
度もまた測定され得る。
【0012】 (好適実施例の詳細な説明) 次に、同一の参照番号が同一のもしくは機能的に同様の要素を示す各図面を参
照して本発明の好適実施例を記述する。尚、これらの図において各参照番号の最
も左の桁は、その参照番号が最初に使用された図に対応している。
【0013】 図2は、本発明の好適実施例に係る薄膜の特性を測定する装置を示している。
該装置は焦点合わせされたレーザ光信号を用いるが、その伝搬角度は法線から0
°乃至法線から90°とされ得る。
【0014】 装置200の一実施例は:たとえばカリフォルニア州、サニーベール(Sunnyvale)
のHoetron社により平行化された、日本、東京のSonyから入手可能なたとえばSLD
104AUなどの習用のレーザ・ダイオード202;たとえばカリフォルニア州、アー
ヴィン(Irvine)のNewport社から市販されているたとえばPolarcorから作成され
た習用の直線偏光素子204;コロラド州、ロングモント(Longmont)のMeadowlark
社から市販されている習用の液晶可変遅延器206;カリフォルニア州、アーヴィ
ンのNewport社から市販されている習用の非偏光ビームスプリッタ208;ドイツの
Spindler Hoyer社から市販されている習用の拡散板210;日本、浜松市の浜松社(
Hamamatsu Corp.)から市販されている習用の帰還フォトダイオード212;カリフ
ォルニア州、サンフランシスコのAnalog Design社から市販されている帰還増幅
器/受信器前置増幅器214;カリフォルニア州、アーヴィンのNewport社から市販
されている習用の集束レンズ216;および、ニューハンプシャー州、ノースサッ
トン(North Sutton)のLabsphere社から市販されている約0.62インチ立方体アル
ミニウム・ブロックから成る特製の積分球218であって、中心から0.54インチ直
径の球状部分が除去されると共に、該球体に散乱光が進入するための底部におけ
る4mm直径孔、この光が光検出器に到達するための頂部の別の4mm直径孔、該球体
に正反射光が進入かつ退出するための各側部における2個の孔を有し、内側表面
はたとえばニューハンプシャー州、ノースサットンのLabsphere社から入手可能
なたとえばSpectralflectなどの、光を散乱する反射的表面により被覆された積
分球218を含む。積分球218はレーザ光線を遮断しない様にレーザ光線直径より僅
かに大寸に設計された入力孔を有し、上記出力孔の直径は上記光線が上記球体を
退出するのを許容するに十分なほど大寸に且つ式(3)に従い最小空間周波数の検
出を許容するに十分なほど小寸に選択されるものとし、上記各孔の直径および上
記球体の直径は、各孔の全表面積が好適には上記球体の全表面積の5%未満であ
る様に選択され、但しこれより大きな割合が使用され得る。積分球218は好適に
は入射光と同一の平面内で該積分球218の中心を通り延在するバッフルを有し、
該バッフルはその中心において、散乱光検出器に対して配備された上記孔と同一
の直径の円形領域を有する。上記バッフルによれば、ディスクからの一切の一次
反射が先ず上記積分球の表面に衝当しないで上記光検出器に到達することが防止
される。積分球218は好適には、光学的デバイス全体を小寸に維持すべく最小化
される。
【0015】 装置200の一実施例はまた:カリフォルニア州、アーヴィンのNewport社から市
販されている習用の平行化レンズ220;ドイツのSpindler Hoyer社から市販され
ている習用の拡散板222;日本、浜松市の浜松社から市販されている習用の正反
射光検出器224Aおよび散乱光検出器224B;ニューハンプシャー州、ノースサット
ンのLabsphere社から市販されている特製のバッフル226;液晶可変遅延器(LCVR)
ドライバ228;および、たとえばニューヨーク州、アーモンク(Armonk)のIBM社か
ら市販されているマイクロコントローラもしくはIBMパーソナルコンピュータな
どの習用のコンピュータ240であって、習用の入出力デバイス242と、たとえば分
析ユニット248などの独特のアプリケーションが記憶された習用のメモリ・モジ
ュール244とを有するコンピュータ240;および、たとえばカリフォルニア州、サ
ンタクララ(Santa Clara)のIntel社から市販されているPentium Proプロセッサ
などの習用のプロセッサ246;を含む。当業者であれば、装置200は本発明の好適
実施例であり且つ本発明から逸脱することなく代替的設計態様が使用され得るこ
とを理解し得よう。次に、装置200の作用が相当に詳細に記述される。
【0016】 レーザ・ダイオード202は、上記薄膜ディスクに向けて電磁的信号を発する。
好適実施例においてこの電磁的信号は780ナノメータの波長を有する光信号であ
るが、多様な波長が使用され得る。上記光信号の伝搬角度は、0°乃至90°間の
任意の角度である。但し好適実施例において、上記角度は必ずしも実質的に上記
薄膜の炭素に対するブルースター角である必要はない。すなわち上記伝搬角度は
上記炭素のブルースター角と2〜5°の最小値だけ異なり、たとえばこの角度では
、上記炭素に基づく上記薄膜の反射率の変化がブルースター角における反射率と
比較して相当に変化する。発せられた光は、直線偏光素子204を通過する。直線
偏光素子204は、レーザ光信号の直線偏光を改善する。上記偏光信号は液晶可変
遅延器(LCVR)206を通過する。LCVR206はLCVRドライバ228から受信した命令に応
じ、PおよびS直線偏光の間で上記光の偏光性を切換える。LCVRドライバ228は、
コンピュータ240の外部に配置され又はコンピュータ240と一体化され得る。以下
に記述される如く、PおよびS直線偏光により装置200は薄膜100の種々の特性を測
定し得る。次に、図3を参照して上記LCVRドライバの一例を記述する。
【0017】 図3は、本発明の好適実施例に係るLCVRドライバ228の更なる詳細図である。L
CVRドライバ228は、振幅制御モジュール302、正規分布ノイズ・モジュール(gaus
sian noise module)304、水晶発振子306およびローパス・フィルタ308を含む。
好適実施例において上記水晶発振子は、正規分布ノイズ・モジュール304により
生成される正規分布ノイズにより基本周波数がランダムに5%だけ変調されると
いう2kHz矩形波発振子である。2kHz矩形波の振幅は、PおよびS偏光が達成され得
る様にコンピュータ240から信号を受信する振幅制御モジュール302により2つの
状態に制御される。上記発振子の出力は、上記液晶に導向される前に約15kHzで
の遮断を有するローパス・フィルタ308により低域通過される。上記矩形波のラ
ンダム変調によれば、データ・サンプリングに対する装置200のクロストークの
同期の防止が助力される。
【0018】 上記直線偏光信号は、該直線偏光信号を分割する非偏光ビームスプリッタ208
により受信される。上記直線偏光信号の一部は分割され、拡散板210および帰還
光検出器212へと導向される。帰還光検出器212の出力は、帰還増幅器/受信器前
置増幅器214内の帰還増幅器により受信される。図4は、本発明の好適実施例の
帰還増幅システムを示す図である。好適実施例の帰還増幅システムは、帰還光検
出器212の出力を受信する負帰還増幅器402を含む。負帰還増幅器402は、レーザ
・ダイオード202の強度を正確に制御する信号を該レーザ・ダイオードに出力す
る。本発明の一実施例において、上記帰還ループの帯域幅は15Hzに制限される。
これによりレーザ出力は、DCと15Hzとの間で安定し得る。上記帰還ループの帯域
幅は15Hzより上では鋭角的に遮断され、電力周波数(60Hzおよびその高調波)が上
記レーザ出力を変調することを防止する。基準フォトダイオード212と協働する
外部のビームスプリッタ208の利点は、温度安定性が高められることである。こ
の様に高められた温度安定性が達成されるのは、基準フォトダイオード212が正
反射光検出器224Aおよび散乱光検出器224Bと同一だからである。基準フォトダイ
オード212の光学的感度の一切の温度変化は、正反射光検出器224Aおよび散乱光
検出器224Bにおけるのと同様の変化により実質的に補償される。
【0019】 レーザ出力を監視すべくレーザ・ダイオードが内部フォトダイオードを有する
ことは公知である。光強度を制御する帰還制御回路の別実施例は、レーザ・ダイ
オードの内部の斯かるフォトダイオードを使用することである。このレーザ・ダ
イオードは図4に示された回路に対し制御信号を帰還し、その様にすることでレ
ーザの強度を一定値に維持する。
【0020】 たとえば摩擦学に関するASME研究論文、第117巻(1995年1月)、第112〜118頁、
S. Meeks等による“薄膜ディスクのヘッド−ディスク界面の光学的表面分析”に
記述された習用のシステムは、外部光源からの干渉を最小化すべく光検出器上に
狭帯域通過フィルタ(NBPF)を使用することを記述している。上記NBPFによれば、
特定された波長のみが検出器に到達し得る。この方法のひとつの欠点は、レーザ
が上記特定波長で安定なことを要することである。レーザ波長は温度変化により
影響されるのでこれは困難であり、故に、システムが熱的に安定化されねばなら
ない。
【0021】 上記計測器に対する外部光の影響を排除すべく装置200の全体は、外部光が各
検出器に到達する可能性を排除する光密閉容器内に囲繞される。結果として、上
記NBPFは上記設計態様から排除され得る。上記NBPFを除去すると、信号振幅に対
する温度変化の影響は相当に減少する。これにより、上記システムの熱的安定性
が改善される。
【0022】 上記システムの安定性を改善する別の手段は、ブラック・スタンダード(black
standard)を用いて電子的なゼロ点移動を排除することである。ブラック・スタ
ンダードとは、到来する一切の光を吸収するデバイスである。ブラック・スタン
ダードのひとつの形態は円筒状キャビティであり、この円筒状キャビティは該円
筒の内側に尖頭円錐を備え、内側表面の全てが黒色の光吸収材料で被覆されてい
る。この形式のブラック・スタンダードは、ニューハンプシャー州、ノースサッ
トンのLabsphere社から市販されている。上記各電子機器は典型的には、熱的変
化、構成要素の経年変化、および他の要因に依り経時的に変動する。上記ブラッ
ク・スタンダードは、斯かる変動を測定して相殺すべく安定なゼロレベル基準を
提供する。スキャンを行うに先立ち、レーザ光線は上記ブラック・スタンダード
内に指向され、次に上記電子機器の各信号が測定されてゼロレベルが規定される
。この結果、上記システムのゼロレベルの長期変動における安定性が改善される
【0023】 非偏光ビームスプリッタ208を通過する直線偏光信号は集束レンズ216へと指向
され、該集束レンズ216は上記光信号を、積分球218(該積分球の断面図は図2に
示されている)の下方に配置された薄膜100の所定領域へと焦点合わせする。焦点
合わせされた光信号の第1部分は薄膜100から平行化レンズ220に向けて反射され
、第2部分は積分球218内で散乱する。次に、焦点合わせされた光信号の反射お
よび散乱の更に詳細な論議が示される。
【0024】 図5A乃至図5Cは、本発明の好適実施例に係るPおよびS偏光放射光(P and S
polarized radiation)の反射および散乱特性を示す図である。図5A乃至図5
Cの視点は、図2の視点と比較して逆角度視点である。図5Aは、薄膜100から
の、焦点合わせされた光信号の反射(P偏光)を示している。上述された如く焦点
合わせされたP偏光信号は、たとえば実質的にブルースター角でない角度にて薄
膜100に導向される。焦点合わせされたP偏光信号の幾分かは潤滑剤層102から反
射する。また、焦点合わせされたP偏光信号の幾分かは炭素104から反射する一方
、焦点合わせされたP偏光の幾分かは上記炭素層により吸収され且つ焦点合わせ
されたP偏光の幾分かは磁性体層106から反射する。図5Bは、焦点合わせされた
光信号(S偏光)の薄膜100からの反射を示している。上述された如く、焦点合わせ
されたS偏光信号もまた、実質的にブルースター角でない角度にて薄膜100へと導
向される。S偏光の反射は、上述のP偏光の反射と同様である。特に、焦点合わせ
されたS偏光信号の幾分かは潤滑剤層102から反射する。焦点合わせされたS偏光
信号の幾分かは炭素104から反射する一方、焦点合わせされたS偏光の幾分かは上
記炭素層により吸収され且つS偏光の幾分かは磁性体層106から反射される。
【0025】 反射(正反射)光信号ISPは、選択的な平行化レンズ220に向けて積分球218の開
口を通過する。上記平行化レンズは反射光信号を平行化することから、拡散板22
2および正反射光検出器224Aは薄膜ディスク100上の反射領域から、その他の場合
において可能であるよりも更なる距離に位置され得る。上記拡散板は、上記正反
射光検出器の位置感度が減少される如き様式で上記光線を拡開する。これにより
、上記ディスクの揺動により誘起される上記光線の動作に対する上記光検出器の
感度が減少する。拡散板222および正反射光検出器224Aは、反射光経路の法線か
ら僅かに(たとえば5°)離れた角度で位置される。この幾何学的位置関係によれ
ば、拡散板222および/または正反射光検出器224Aから反射されて上記積分球内
へと戻り伝搬して以下に記述される如く散乱光の検出に影響し得るという光信号
の量が減少される。すなわち光を平行化する平行化レンズ220を付加することで
経路長が増加されることから、正反射光検出器224Aおよび拡散板222の傾斜の量
が最小化され得る。正反射光検出器224Aおよび拡散板222の傾斜量が減少された
場合に上記正反射光検出器は上記反射信号の相当の部分を受信する、と言うのも
、拡散板222または正反射光検出器224Aからの反射に起因する正反射信号の量は
最小だからである。好適実施例において平行化レンズ220は、高分解能(短焦点距
離)の設計態様に使用される。低分解能システム(長焦点距離レンズ)は一般的に
上記正反射フォトダイオードと上記積分球との間の十分な長さを許容し、上記正
反射フォトダイオードの小さな傾斜のみを必要とする。上記正反射信号は上記積
分球に戻ることが許容されてはならない、と言うのも、正反射信号は散乱信号を
劣化して散乱信号および正反射信号の間にクロストークを引き起こすからである
。上記光学的本体における光ポートの直径は、上記正反射検出器領域における一
切の表面から上記積分球に向けて反射される光の殆どをブロックすべく最小値に
維持される。上記ポートの直径は、光線の直径自体よりも僅かだけ大きくされる
。これらの直径は、作製を容易とすべく(連続的なテーパではなく)段状とされ得
る。正反射光検出器224Aは受信された光の量を表す信号を、帰還増幅器/受信器
前置増幅器盤214の受信器前置増幅器へと出力する。受信された光は、コンピュ
ータ240により以下に記述される様式で解釈される。
【0026】 図5Cは、SもしくはP偏光信号の散乱効果を示している。焦点合わせされた光
信号が潤滑剤層102、炭素層104および/または磁性体層106に衝当する場合、光
の一部は入射角とは等しくない角度で散乱する。簡素化のために図5Cは、潤滑
剤層102からの反射のみを示している。上記光の散乱成分は、積分球218に取付け
られた散乱光検出器224Bにより測定される。積分球218の内部には、一切の一次
反射散乱光が散乱光検出器224Bに到達するのを許容しないバッフル226が在る。
このバッフル218は、上記ディスクから散乱光検出器224B内への直接反射により
引き起こされるホットスポット(hot spot)の測定を減少する。すなわちバッフル
218はこれを、薄膜ディスク100からの一切の反射が散乱光検出器224Bに到達する
前に該反射を2回以上反射させることで防止する。
【0027】 上述された如くLCVR206によれば、偏光性はPおよびS直線偏光間で切換えられ
る。P正反射光信号は主として、上記薄膜ディスク上の炭素層の厚みの変化もし
くは絶対的厚みに関する情報を与える。S正反射光信号は主として、上記炭素表
面に塗付された潤滑剤厚みの変化に関する情報を与える。上記散乱光は正反射光
と共に、薄膜ディスク表面の粗度の測定値を与える。薄膜ディスク100の特性を
測定すべくPおよびS偏光の正反射および散乱成分を用いる方法は、以下に記述さ
れる。
【0028】 図6は、本発明の好適実施例に係る光検出器224の更なる詳細図である。該光
検出器は、正反射光検出器224Aまたは散乱光検出器224Bである。好適実施例の光
検出器224は、バイアス・フォトダイオード602、相互コンダクタンス前置増幅器
604、バッファ増幅器606、(カナダ、トパンガのアナログデザイン社[Analog Des
ign, Inc. in Topanga, CA]から入手可能な)信号調整回路607、および、カナダ
、モントリオールのGAGEアプライド・サイエンス社(GAGE Applied Science, Inc
., Montreal, Canada)から市販されているたとえば型番CS1012/PCIなどのGAGEア
プライド・サイエンス社製アナログ/デジタル・ボード608を含む。バイアス光
導電体602は光信号を受信し、受信光の強度を反映する信号を生成する。バイア
ス・フォトダイオード信号は相互コンダクタンス前置増幅器604により増幅され
てバッファ増幅器606へと送信される。上記アナログ/デジタル・ボードにより
デジタル化される前に、上記信号は信号調整回路607を通過する。信号調整回路6
07は、上記信号のDCオフセットを減算し、該信号を可変アンチエイリアシング・
フィルタ(variable anti-aliasing filter)に通過させ、且つ、好適実施例にお
いては薄膜ディスク100を回転するスピンドルからのエンコーダ信号の64倍まで
の乗算値を提供する。乗算されたエンコーダ信号、および、上記スピンドルから
のインデックスは夫々、上記アナログ/デジタル・ボードに対するクロックおよ
びトリガとして使用される。上記正反射および散乱信号が調整された後、これら
の信号はアナログ/デジタル・ボード608へと受け渡されて其処でデジタル化さ
れる。デジタル化された信号は、分析のためにコンピュータ240へと送信される
。受信された信号を分析して薄膜ディスク100の特性を決定する方法は、以下に
示される。
【0029】 薄膜ディスク100全体の特性は、光信号を薄膜ディスク100の全ての領域上に焦
点合わせすることで測定され得る。これは、薄膜ディスク100を正確に移動しま
たは装置200を移動することで達成され得る。好適実施例において装置200は極め
て精度の高い(不図示の)ステッパ・モータに取付けられ、薄膜ディスク100の表
面の全体に亙り段階移動される。斯かるステッパ・モータの一例は、カリフォル
ニア州、アーヴィンのNewport社から市販されているNewport社製マイクロ精度ス
テージ(Mikroprecision stage)である。
【0030】 図7は、本発明の好適実施例に係る薄膜特性を測定する方法を示すフローチャ
ートである。好適実施例においては、実験作業の開始時に薄膜ディスクの基準画
像が作成されると共に、引き続く画像の各々から基準画像が減算される如き差分
技術(differential technique)が使用される。結果的な差分画像は、基準画像と
引き続く画像との間の期間にディスクに対する相互作用の結果として変化した処
のみを示す。基準画像はデータを分析するための要件ではないが、基準画像によ
ればディスク表面における一切の変化の識別が容易となり且つ変化に対する感度
も大きくなる。但し代替実施例においては、(たとえば実質的に炭素層104に対す
るブルースター角でない角度にて)一組(Ssp、Ssc、Psp、Psc)の画像のみが測定
されて、潤滑剤の厚みおよび劣化、炭素の摩耗ならびに表面粗度が決定される。
【0031】 装置200は、(上述された如く)実質的にブルースター角でない角度にて上記薄
膜ディスクの基準値を測定702する。これらの基準値としては、正反射光検出器2
24Aおよび散乱光検出器224Bにより夫々受信されたPおよびS偏光信号の正反射お
よび散乱成分が挙げられる。以下に記述される如く上記測定値は原位置もしくは
原位置外で獲得され得る。ユーザは次に、薄膜ディスク100上での動作を実施704
する。たとえば薄膜ディスク100は、書込/読取ヘッドのセラミック・スライダ
が薄膜ディスク100に反復的に接触する如く、反復的な起動および停止動作に委
ねられる。これはたとえば、ハードディスク・ドライブの電力のon/offサイクル
をシミュレートするものである。この接触により、潤滑剤減損、潤滑剤劣化およ
び炭素層摩耗が引き起こされ得る。たとえば1,000回の起動/停止シミュレーシ
ョンなどの最初の反復が薄膜ディスク100上で実施された後、上記装置は薄膜デ
ィスク100の新たな値を測定706する。これらの新たな値としては、正反射光検出
器224Aおよび散乱光検出器224Bにより夫々受信されたPおよびS偏光信号の正反射
および散乱成分が挙げられる。これらの値を表す信号はコンピュータ・メモリ・
モジュール244に記憶されると共に、該メモリ・モジュール内の分析ユニット248
はプロセッサ246と協働してこれらの値を分析する。分析ユニット248により実施
される機能は以下に記述される。
【0032】 分析ユニット248は、各基準値と、薄膜ディスク100の次続測定における対応値
との間の差を決定することで差分値を決定708する。上記差分値としては、S偏光
の正反射成分の差(すなわちデルタ)(ΔSSP)、P偏光の正反射成分のデルタ(ΔPSP )、S偏光の散乱成分のデルタ(ΔSSC)およびP偏光の散乱成分のデルタ(ΔPSC)が
挙げられるが、上記S偏光の正反射成分とはすなわちS偏光が薄膜ディスクに向け
て送出されたときに正反射光検出器224Aにより受信される反射率である。これら
の差分値は、以下に記述される如く薄膜特性を識別すべく使用される。炭素層10
4のブルースター角にて薄膜ディスク100に衝当するレーザ信号の反射率を測定す
るひとつの技術は、上記において言及することで援用された摩擦学に関するASME
研究論文、第117巻(1995年1月)、第112〜118頁、S. Meeks等による“薄膜ディス
クのヘッド−ディスク界面の光学的表面分析”に記述されている。
【0033】 基準画像および次続画像の減算は、該基準画像および次続画像の収集の間に熱
的変動が存在すると劣化する。この熱的変動は、周囲温度の変動による上記ディ
スクおよび他の構成要素の熱膨張により引き起こされる。上記熱的変動は、各画
像を他の画像に関して薄膜ディスクの径方向にシフトすることで補正され得る。
シフトされた各画像はシフトされると共に、2つの画像間の相互相関(cross cor
relation)が算出される。最大値に到達するまで、シフトの量は増加されると共
に相互相関が反復される。相互相関において上記最大値が生ずるシフトは最適シ
フトであり、すなわち、各構成要素の熱的変動を補正するシフトである。相互相
関を使用する代替例は、各画像を減算し、2つの画像間の分散(variance)または
標準偏差を算出することである。次に上記シフトが増加され、分散または標準偏
差が再び算出される。標準偏差または分散を最小化するシフトの量は、熱的変動
を補正する最適シフトである。
【0034】 次に、上記差分値の分析方法をより良く理解すべく、以下においては正反射光
検出器224Aおよび散乱光検出器224Bにより受信された光の量に対する上記潤滑剤
層の厚みおよび炭素層104の厚みの影響が記述される。
【0035】 図8は、本発明の好適実施例に係る、潤滑剤層102を有さない薄膜および深度
が10ナノメータの潤滑剤層102を有する薄膜からのPおよびS偏光放射光の反射率
を示すグラフである。図8は、薄膜ディスクに対する光信号の入射角に対してシ
ミュレートされたSおよびP偏光の正反射率を示している。この例において光信号
は、650nmの波長を有する。2つの曲線が示されるが、一方の曲線(太線)は炭素
表面に対して潤滑剤が塗付されず、他方の曲線(細線)は10nmの潤滑剤が塗付され
ている。この図においては、各曲線間の差分を例示すべく非現実的に厚寸の潤滑
剤層が示されている。2つの曲線間の差分は、潤滑剤に対するPおよびS偏光正反
射光の感度を表している。ディスクに潤滑剤が付加された場合、0°〜約53°の
角度でディスクの反射率はPおよびS偏光信号の両者に対して減少する。炭素表面
に対して潤滑剤が付加されたとき、約53°より大きな角度にてディスクの反射率
はS偏光に対しては減少し且つP偏光に対しては増加する。約53°にてP偏光は上
記表面上の潤滑剤に不感となる、と言うのも、これは潤滑剤のブルースター角だ
からである。80°近傍の角度にてP偏光は潤滑油に対する感度が最大値に達し、S
偏光の感度の約2〜3倍となる。53°の角度は、[潤滑剤の屈折率/空気の屈折率]
の逆正接(Arc Tan)として定義される潤滑剤のブルースター角の特定例である。
【0036】 図8に見られる如く、潤滑剤に対するP感度とS感度との間の比率は角度の関数
として変化する。固定入射角にてこの比率は、潤滑油の屈折率に関連する。故に
もし潤滑油が劣化したなら、屈折率もまた変化し、P偏光の正反射成分の変化(Δ
PSP)に対するS偏光の正反射成分の変化ΔSSPの比率が変化する。これは、薄膜デ
ィスク100上の潤滑油の劣化を測定するひとつの技術である。これに対して53°
の角度は特に良好である、と言うのも、潤滑油の屈折率の極めて僅かな変化でさ
えもデルタP(ΔPSP)に対するデルタS(ΔSSP)の比率の大きな変化を生成するから
である。
【0037】 図9は、本発明の好適実施例に係る、20ナノメータの炭素層104を有する薄膜
および15ナノメータの炭素層を有する薄膜からのPおよびS偏光放射光の反射率を
示すグラフである。太線の曲線は、存在する20nmの炭素への入射角に対するSお
よびP反射率を示している。細線の曲線は、5nmの炭素が除去されたときの同一の
曲線を示している。SおよびP偏光の両者が炭素摩耗の測定に使用され得るが、概
略的にPは炭素の摩耗に対して更に感応し且つ更に線形である。炭素が除去され
たとき、S反射率は全ての入射角にて増加する。P偏光は炭素除去に対し、約71°
未満の角度に対して増加し、約71°にてゼロであり、且つ、角度が71°より大き
いときに減少する。炭素厚みもしくは炭素摩耗に対する最大感度は、0°付近で
生ずる。71°の角度は、P偏光反射係数が炭素厚み変化に不感となる角度として
定義される“P偏光クロスポイント角度(P polarization crosspoint angle)”の
特定例である。
【0038】 好適実施例において上記入射角は、潤滑剤の特徴、炭素の厚みおよび摩耗なら
びに表面粗度の全てを測定すべく58°である。但し上述された如く、多くの角度
が使用され得る。58°にて操作すると、ユーザは炭素摩耗(SおよびP反射率が増
加)から潤滑剤厚み増加(P反射率は増加してSは減少、図8参照)を容易に分離し
得る。炭素摩耗を測定するこの技術は、炭素から成る上側被覆に制限されない。
本明細書中で論じられる実施例によれば、任意の吸収層の摩耗が測定され得る。
特に、たとえば酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、有機材料およびプラスチック
が使用され得る。もしこれらの代替的な上側被覆がそれらの上に潤滑剤を有する
なら、潤滑剤厚み、減損および劣化もまた測定され得る。
【0039】 ΔSSPおよびΔPSPに基づき炭素摩耗から潤滑剤厚み変化を識別するひとつの技
術は、2次元濃度ヒストグラム(two dimensional concentration histogram)を
使用することである。2次元濃度ヒストグラムを生成して使用する技術は、上記
において言及することで援用された摩擦学に関するASME研究論文、第117巻(1995
年1月)、第112〜118頁、S. Meeks等による“薄膜ディスクのヘッド−ディスク界
面の光学的表面分析”により記述されている。2次元ヒストグラムを構築すべく
、P、S平面(上記ヒストグラムの空間)内に一定のΔP×ΔS寸法を有する(バケッ
ト[bucket]として知られる)小領域の各々が定義される。実空間画像における各
座標対(x,y)が選択され、そのP、S座標が収まる対応バケットが識別される。画
像全体を完了した後、各バケットにおけるポイントの総数が識別されると共に、
バケット内のポイントの個数に基づきたとえば色が割当てられる。完成された2
次元画像は、2次元濃度ヒストグラムとして公知である。上記2次元濃度ヒスト
グラムは、潤滑剤貯留、減損、炭素摩耗および異物の各領域を別個の領域へと分
離する。異物(debris)は、ディスク上での摩耗プロセスの結果としての生成物で
ある。これに加え、上記ヒストグラムの勾配は、改変されつつある層の屈折率に
関している。以下に記述される如くヒストグラムの勾配は、潤滑剤減損と炭素減
損とを区別すべく使用され得る。図10乃至図13には、各々が本発明の異なる
実施例に対応するヒストグラムの幾つかの例が示される。
【0040】 図10は、本発明の一実施例に係る、放射光源の入射角が約53°乃至約71°で
あるときの薄膜測定に関してS偏光放射光の変化(ΔSSP)とP偏光放射光の変化(Δ
PSP)との間の関係を示すヒストグラムである。53°の角度は、[潤滑剤の屈折率
/空気の屈折率]の逆正接として定義される潤滑剤のブルースター角の特定例で
ある。71°の角度は、P偏光反射係数が炭素厚み変化に不感となる角度として定
義される“P偏光クロスポイント角度”の特定例である。
【0041】 好適実施例において分析ユニット248は、以下の様式で上記正反射差分値(ΔSS P 、ΔPSP)を用いて潤滑剤の貯留もしくは減損を識別710しまたは炭素摩耗を識別
712する。焦点合わせされた光信号が薄膜に衝当する入射角が約53°乃至71°で
ある場合、もしΔSSPの値が正であり且つΔPSPの値が負なら、分析ユニット248
は薄膜ディスク100が潤滑剤減損に遭遇したと決定する。これは図10に示され
たヒストグラムを使用すると、ΔSSP、ΔPSPが配置される象限を発見することで
決定されるが、この例においてデータは潤滑剤減損として識別される象限IIにお
いて発見される。分析ユニット248は、ΔSSPの値と、1オングストロームの潤滑
剤変化当たりのΔSSP変化の量の較正とに基づき潤滑剤の減損もしくは貯留の量
を決定する。
【0042】 この入射角の範囲によれば、潤滑剤貯留/減損、炭素摩耗および異物間の測定
が容易に区別され得る。潤滑剤貯留、減損、炭素摩耗および異物は、上記2次元
ヒストグラムの異なる象限内に在ることから、データの分離を更に容易とする。
4個の象限の各々からの該データは、ディスク上における潤滑剤貯留、減損、炭
素摩耗および異物の箇所を表す元の画像(実空間におけるPおよびS画像)へと逆ト
レースされ得る。
【0043】 もしΔSSPおよびΔPSPの両者が正であれば、分析ユニット248は薄膜ディスク1
00が炭素摩耗に遭遇したと決定する。上記分析ユニットは、種々の技術を用いて
炭素摩耗の量を決定し得る。これらの技術の幾つかは以下に記述される。また、
もしΔSSPが負であり且つΔPSPが正なら、分析ユニット248は薄膜ディスク100が
潤滑剤貯留に遭遇したと決定する。上述された如く、ΔSSP/ΔPSPの比率は潤滑
油の屈折率に相関する。この比率の期待値は既知であると共にコンピュータ・メ
モリ・モジュール244に記憶される。もしΔSSP/ΔPSPの比率が該比率の期待値
に対応しないと分析ユニット248が決定したなら、該分析ユニットは潤滑剤層の
潤滑油が劣化したと決定714する。
【0044】 図11は、本発明の一実施例に係る、放射光源の入射角が約53°(概略的に潤
滑剤のブルースター角)であるときの薄膜測定に関してS偏光放射光の変化(ΔSSP )とP偏光放射光の変化(ΔPSP)との間の関係を示すヒストグラムである。この入
射角は、潤滑剤の屈折率における変化に対する感度を強化する。これは、潤滑剤
劣化の測定に対して最適化された実施例である。潤滑剤の屈折率における変化は
、潤滑油の劣化に関連する。
【0045】 図12は、本発明の一実施例に係る、放射光源の入射角が53°未満であるとき
の薄膜測定に関してS偏光放射光の変化(ΔSSP)とP偏光放射光の変化(ΔPSP)との
間の関係を示すヒストグラムである。この入射角の範囲は、潤滑剤、炭素厚み変
化および絶対的炭素厚みに対する感度を強化する。これは、潤滑剤貯留/減損、
炭素摩耗および炭素厚みの測定に対して最適化された実施例である。
【0046】 図13は、本発明の好適実施例に係る、放射光源の入射角が71°乃至90°であ
るときの薄膜測定に関してS偏光放射光の変化(ΔSSP)とP偏光放射光の変化(ΔPS P )との間の関係を示すヒストグラムである。この入射角の範囲は、特にP偏光が
潤滑剤厚み変化に最高の感度を有する。この実施例は、潤滑剤貯留/減損の測定
に対して最適化されている。この角度範囲の場合、測定された表面粗度の空間周
波数は、略々直角入射にて測定される空間周波数の約2倍である。これにより大
きな空間周波数粗度(小さな粗度)の測定が許容される。
【0047】 これらのヒストグラムを分析すべく使用される技術は、上述の記述と同様であ
る。図12に関し、ΔSSPおよびΔPSPの値が両者ともに潤滑剤減損および炭素摩
耗に対し正であることから、何が生じたかを識別するひとつの技術は図12に示
された如くヒストグラムの勾配が変化する点を決定することである。ΔPSP、ΔS SP ヒストグラムは、試験手順(起動/停止、薄膜ヘッドは飛翔もしくはドラッグ
する)の間に収集されたデータから(一切の試験が開始される前に獲得された)基
準画像を減算することで構築される。差分画像は前述の如く構築され、上述の分
析がヒストグラムに対して適用される。また、種々の時点にて基準画像から画像
を減算することで、ヒストグラムの時間シーケンスが構築され得る。この様にし
てヒストグラムの進展が、故にディスク表面の進展が、追随かつ分析され得る。
【0048】 分析ユニット248は、薄膜ディスク100の表面粗度を識別716する。粗度は、正
反射光および散乱光と同時に測定される。分析ユニット248は、式(1)を使用して
薄膜ディスク100の粗度のRMS(二乗平均)を決定する。
【0049】 RMS粗度=RQ=[(TIS)1/2×λ]/(4×π×cos(ψ)) (1) 式中、λは光信号の波長であり、ψは光信号の入射角であり、且つ、TISは光
信号の散乱部分の全積分であり且つ式(2)により定義される。
【0050】 TIS=SC/(SP+SC) (2) 式中、SCは全散乱光であり且つSPは全正反射光である。上記に示された如く、
上記式中の波長は入射光の波長である。好適実施例において波長は780nmまたは6
50nmのいずれかであるが、代替実施例において波長は任意の可視光もしくは非可
視光の波長とされ得る。粗度が測定される最大空間周波数は、たとえば式(3)に
従い光の波長および入射角により決定される。
【0051】 fg=(sin(ψ1)−sin(ψi))/λ (3) 式中、fgは最大空間周波数であり、ψ1は最大散乱角であり、且つ、ψiは入射
角である。上記最大空間周波数は、スポットサイズもしくは上記球体の退出孔の
内で大きな数を与える方により決定される。
【0052】 散乱光の測定値は、炭素摩耗および炭素厚みの量を測定すべく使用される。入
射強度(incident intensity)は式(4)により与えられる。式(4)は単にエネルギの
保存を記述している。
【0053】 Ii=IA+(ISP+ISC) (4) 式中、Iiは入射強度であり、IAは炭素膜の摩耗および炭素の厚みに関する吸収
強度であり、ISPは正反射強度であり且つISCは散乱強度である。上記入射強度は
固定維持されると共に、吸収強度を測定すべく、故に炭素摩耗または炭素厚みを
測定すべく所定入射角にて正反射光および散乱光の両者を測定する必要がある。
炭素摩耗を測定するアルゴリズムは2つの場合に分けられ得る。最初の場合は、
上述の原位置摩耗測定として知られている。図18は、原位置の場合に対して炭
素摩耗を決定するフローチャートを示している。該プロセスは、まさに実験作業
の開始時にディスクを試験スタンド内に載置して基準画像を獲得1802する段階を
含む。各基準画像は、ディスクの表面に対して何かが行われる前のSSP、SSC、PS P およびPSC画像である。次にディスクは、薄膜磁気ヘッドの起動/停止動作、ま
たは、炭素保護上側被覆の摩耗を引き起こし得る他の任意のプロセスに委ねられ
る1804。起動/停止の間、ディスクは摩耗プロセスを辿るべく数回に亙りスキャ
ン1806される。実験作業の完了時に、起動/停止動作の以前にディスク上で獲得
された各画像から基準画像を減算することで差分画像が構築1808される。上記2
次元濃度ヒストグラムは、ΔPSPおよびΔPSC(中間画像から基準画像を減算して
形成された差分画像)を合計すると共に、ΔSSCと合計された対応ΔSSPにより2
次元濃度ヒストグラムを作成することで構築される。上記各画像は必要に応じて
低域通過1810され且つ高域濾過1811され、上記2次元ヒストグラムが構築1812さ
れる。上記ヒストグラムは図10に示された如く現れることもあり、もしそうで
あれば第1象限内に存する領域は炭素摩耗に対応する。
【0054】 炭素摩耗は、図14に示された如き炭素摩耗に対するP正反射光の曲線により
較正され得る。図14は、nm単位の炭素層の厚みに対してP反射率の変化と絶対
的P反射率とを示す理論的グラフである。図14に示された理論的曲線は、ニュ
ージャージー州、プリンストンのFTGソフトウェア・アソシエーツ(FTG Software
Associates, Princeton, New Jersey)から市販されている“フィルムスター(Fi
lm Star)”と称される薄膜分析プログラムを用い、図1に示された薄膜ディスク
の各層の複素屈折率を知ることで算出されている。図14の各曲線を算出する代
替的手法はたとえば、1997年のケンブリッジ大学刊行物、第6版の第51頁で開始
する“光学の原理”(Principles of Optics" 6th Edition Cambridge Universit
y Press, 1997)にてBornおよびWolfにより、且つ、1987年の北ホラントの第270
〜315頁の“偏光解析法および偏光”("Ellipsometry and Polarized Light" Nor
th-Holland, 1987)にてAzzamおよびBasharaにより論じられている。また、吸収
層厚みに対する薄膜の反射率に関する各式は、たとえば上記で言及した“偏光解
析法および偏光”に見られる。BornおよびWolfにおいて言及されたこれらの式ま
たは同様の式は、ディスクの反射率から膜厚を自動的に予測するコンピュータ・
ソフトウェアに取入れられ得る。膜厚を予測するためには先ず、炭素層104およ
び磁性体層106の複素屈折率を知ることが必要である。上記ヒストグラムの第1
象限における各ポイントの反射率の変化は、図14に示された曲線などの反射率
目盛り(図14の右辺上)の理論的変化により炭素摩耗と関連付けられ得る。図1
4の左辺の絶対的反射率目盛は、炭素の絶対的厚みを算出すべく使用され得る。
炭素の絶対的厚みを算出するには、上記炭素層および磁性体層の複素屈折率を知
る必要がある。また、薄膜ディスクからのS偏光反射率により同様の曲線が算出
され得る。
【0055】 図14の左右の目盛上の反射率は、PSPおよびPSCの合計により実験的に測定さ
れた反射率である。光の正反射成分のみを使用するシステムは散乱された光を無
視することから、不正確な炭素厚みもしくは摩耗の測定値を与える。正反射およ
び散乱成分の合計を用いることの付加的な利点は、炭素摩耗からの信号が本質的
に倍加されることである。これは、炭素が摩耗するとP正反射成分およびP散乱成
分が増加するからである。P散乱成分が増加するのは、P光の殆どは吸収膜を貫通
して磁性体層106から散乱するからである。炭素が薄寸化するにつれて磁性体層1
06からの散乱光の量は増加する、と言うのも、上記磁性体層からの散乱光を吸収
する炭素が少ないからである。
【0056】 炭素摩耗の量を識別する代替方法は、上記炭素のk(屈折率の複素部分)を測定
し、1オングストロームの炭素摩耗当たりの百分率反射率変化を使用することで
ある。図15は、650nmの波長および58°の入射角を有する光信号に対する炭素
のkに関して炭素摩耗に対するP偏光反射率の感度を示すグラフである。図15は
、炭素の屈折率の虚数部分(k)と、炭素摩耗に対するP偏光の感度との間の関係を
示している。図14における曲線の初期勾配(200オングストローム厚み)は図1
5に示された縦座標に類似しており、図15において縦座標における変化は炭素
のkの変化に依るものである。横座標は炭素の上記kであり、且つ、縦座標は1オ
ングストロームの炭素摩耗当たりのP偏光反射率変化の百分率で表現された、炭
素厚みの変化に対するP正反射光の感度である。典型的な炭素は約0.4のk値を有
することから、上記感度を1オングストロームの炭素摩耗当たりで約0.07%とす
る。この技術によれば、反射率の0.01%の変化が、故に1オングストローム未満
の炭素摩耗の変化が検出され得る。図15のグラフは、炭素摩耗の近似測定値を
決定すべく使用され得る。図14の曲線の初期勾配は、図15に示されたk=0.4
の値として与えられる。図14を用いる上記第1の技術は、反射率対摩耗の非線
形性を考慮するという利点を有する。図15を使用する第2の技術は、簡素性の
利点を有する。炭素摩耗の分析は、一次元の摩耗ヒストグラムを用いて助力され
る。ヒストグラムには、炭素摩耗に対応する画像(もし入射角が58°なら第1象
限)における各ピクセルがプロットされる。この一次元ヒストグラムは縦座標と
してピクセルの個数を有し、且つ、横座標は上記の如く較正された炭素摩耗の量
である。上記ヒストグラムによればユーザは、摩耗の量に対して、摩耗された表
面の量(ピクセルの個数)を表示し得る。この様にしてユーザは、摩耗の量(横座
標上の点)を選択し、この摩耗の量を超えてまたはこの摩耗の量未満にて摩耗し
た表面積の百分率を決定し得る。これは、薄膜ヘッドにより誘起された摩耗に応
じて種々の炭素表面の比較を助力する。
【0057】 上記データの分析は、時間の関数として薄膜ディスクの画像を分析することで
達成される。上記ディスクは、上述された如くディスク表面を改変し得る薄膜ヘ
ッドの起動/停止などの一定の動作に委ねられる。ディスクの画像は一定の時間
間隔で反復され、これらの画像は2次元ヒストグラムを介してステップ702〜716
で分析される。図18には、原位置手順を用いる炭素摩耗分析の例が示される。
各画像を収集してそれらを分析するステップ702〜716は、実験作業が結論付けら
れるまで反復される。各画像は、極めて正確なステッパ・モータにより薄膜ディ
スクの半径に亙り装置200を移動する一方、ディスクを高速度(1,000〜2,000rpm)
で回転することで構築される。
【0058】 ディスクを高速度で回転するスピンドルは、たとえば360°の回転を行うとき
に1,024個のパルスを生成するエンコーダを含む。このエンコーダは、ディスク
の回りにおける円周方向位置を決定すべく使用される。本発明は好適には、ディ
スクの周縁部の回りにおける位置の極めて高分解能の決定を利用する。これは、
64倍までの選択可能な係数をエンコーダ信号に乗算すべく位相ロックループ(pha
se locked loop)を用いて達成される。1,024個のエンコーダ・パルスを乗算する
位相ロックループは、エンコーダにおける一切の速度ジッタを追尾する能力を有
する。この特徴によれば、横方向分解能(lateral resolution)の損失なしで反復
回転の平均が行われ得る。すなわち引き続く回転は相互に同相に在り、平均され
たときに結果的な画像は一切のジッタ効果により不鮮明とされない。平均化は、
信号/ノイズ比を改善すべく行われる。
【0059】 スピンドル・ジッタのスペクトルは、スピンドル回転の周波数に関連すると仮
定され、その一定の倍数に制限される。たとえばジッタは、モータ磁極からのト
ルクの変動に起因し得る。スピンドル周波数ジッタに関わらず、上記エンコーダ
の出力はディスク上のデータを厳密に追尾する。故に、データ獲得クロックをエ
ンコーダに同期するのが理想的である。実際問題としては、クロックがエンコー
ダを追尾し得る周波数に関する制限が在る。(エンコーダからアナログ/デジタ
ル変換器に対するクロックを生成する)位相ロックループにおいて、エンコーダ
は内部基準クロックと比較されて位相エラー・パルスが生成される。これらのパ
ルスのデューティ・サイクルは、内部基準がエンコーダ周波数に整合するかまた
は追尾を維持すべく調節されるべきかを表すエラー信号を構成する。これらのパ
ルスをエラー信号として有用な平均電圧へと変換するには、追尾帯域幅を制限す
るローパス・フィルタが必要である。対立するパラメータは、ローパス・フィル
タの遮断周波数が低下されるにつれて低下するエラー信号リップルである。エラ
ー信号のリップルは、乗算されたクロックの周波数の小さな変動につながる。各
エンコーダ期間の間におけるクロック周波数のこの上昇および下降は、スキャン
毎には一貫していることから平均化に対して脅威ではないが、もし振幅が大きけ
ればデータ特徴の外観を歪曲する。また、スピンドル・ジッタの反復可能な部分
は(画像を歪曲し得るが)平均化に対して脅威ではない。しかしジッタの反復不能
な部分は平均画像を不鮮明とすることから、該回路はこの不鮮明さを除去し、高
分解能および高信号/ノイズ画像に帰着する。
【0060】 エンコーダ周波数はスピンドル周波数の1,024倍であることから折衷案に行き
当たり、ローパス・フィルタの遮断周波数は、スピンドル周波数の約50〜100倍
速く且つエンコーダ周波数の約10〜20倍遅くされ得る。この様にして、スピンド
ル周波数の>50倍までのスピンドル・ジッタが追尾される一方、クロック周波数
は±数%以内で安定なままである。エンコーダ周波数は広範囲に変動することか
ら、ローパス・フィルタの遮断周波数は上記の比率を維持すべく調節されねばな
らない。本発明の一実施例の68:1エンコーダ周波数範囲は7個の2:1範囲に分割
され、その各々はアナログ・マルチプレクサを介して適切なコンデンサを切換え
ることで確立された個々の固定フィルタ設定を使用する。
【0061】 上述された如く好適実施例において薄膜ディスク特性の測定は原位置で行われ
る。代替実施例において薄膜特性の測定は、原位置外で行われる。図19は、本
発明に係る原位置外手順を用いて炭素摩耗を測定する方法を示すフローチャート
である。薄膜ディスク特性を原位置外で測定するひとつの技術は、薄膜磁気ディ
スクを別体の試験スタンド上で試験することである。これは、基準画像を獲得す
る必要が無いことを意味する。ユーザはスピンドル上にディスクを載置するとと
もに、図2に示された上記装置が炭素摩耗に関してそのディスクをスキャンする
。このスキャンにより、実験作業の完了時には炭素摩耗、潤滑剤減損、潤滑剤貯
留および表面粗度の測定値の変化が提供される。ユーザはPSP、PSC、SSPおよびS SC を測定1902する。各画像は一切の背景変動を除去すべく高域濾過1904されると
共に、画像の平均値をゼロに設定することで反射率のDC値が除去1906される。次
に、合計された画像PSP+PSCおよびSSP+SSCが算出1908され、必要に応じてノイ
ズを除去すべく低域通過1910される。次に2次元ヒストグラムが算出1912され、
炭素摩耗に対応する各ポイントが識別される。これらのポイントの強度は、図1
4および図15などの曲線によりオングストローム単位で炭素摩耗に関連付け19
14される。
【0062】 炭素の絶対的厚みは、図14に示された如き理論モデルを介してPSPおよびPSC の合計またはSSPおよびSSCの合計を炭素厚みに関連付けることで算出され得る。
この方法は炭素厚みの測定に限定されるものでなく、吸収性被覆により被覆され
た一切の反射性基板に適用され得る。
【0063】 製造業者は、公知の炭素の上側被覆厚みにより薄膜ディスクを作成する。炭素
厚みの制御基準は±10%のオーダーである。炭素の絶対的厚み及び複素屈折率を
知れば、図14および図15などの較正曲線を構築し、結果として炭素摩耗の量
を決定し得る。潤滑剤の厚みの変化は、上記2次元ヒストグラムの第2象限また
は第4象限から決定され得る。上述された如く、潤滑剤に対する較正係数は曲線
から獲得される。而して較正係数は、特定実施例がどの角度で動作するかに依存
する。もしその実施例が53°〜71°の角度で動作するなら、第4象限に収まるデ
ータは潤滑剤貯留に対応し、第2象限のデータは潤滑剤減損に対応する。潤滑剤
の絶対的厚みは、ディスク100上の潤滑剤の一部を適切な溶媒で除去することで
決定され得る。上記段部(step)に対応する反射率は、PもしくはS正反射率で測定
され得る。この反射率変化は、図8などの曲線により潤滑剤の厚みに関連付けら
れ得る。図8の如き曲線は、ニュージャージー州、プリンストンのFTGソフトウ
ェア・アソシエーツなどから市販されている“フィルムスター”などのソフトウ
ェアにより算出され得る。SもしくはP反射率のいずれも使用され得るがS反射率
が好適である、と言うのも、S反射率における潤滑剤に対する感度は炭素のkが1
未満のときにkに殆ど無関係だからである。
【0064】 その実施例が53°〜71°の角度で作動する場合、潤滑剤における段部の測定は
P画像に対するS画像の比率またはその逆を実施することで強化され得る。これは
2つの理由により潤滑剤に対する強化コントラストを与える:1)Sに対するPまた
はPに対するSの比率はディスク上における反射率変動の殆どを除去して潤滑剤に
おける段部のみを示し、2)潤滑剤段部に対するS光の応答はP光のそれの逆である
結果、比率画像は潤滑剤段部からの信号を増大するからである。潤滑剤に対する
S対P(またはP対S)の画像の比率の感度は、潤滑剤厚みに対してSまたはP正反射画
像が較正されるのと同様の様式で較正され得る。
【0065】 摩擦学者は薄膜ディスク100の表面上で潤滑剤が如何に移動するかを測定する
必要がある、と言うのも、炭素保護層の耐久性を決定する上で潤滑剤の動作は極
めて重要だからである。上記比率もまた、潤滑剤の動作(移動性)を観察すべく使
用され得る。上記比率は強化されたコントラストを与えると共に、上記で論じら
れた如く潤滑剤段部に無関係な反射率変動を除去する。この比率によればユーザ
はまた、潤滑剤段部と共にディスクを取り外してそれらを(湿度もしくは温度な
どの)一定の環境ストレス下に置いてから、ディスクを元の場所に置いて潤滑剤
段部がどれだけ移動したかを測定し得る。これは上記比率を用いなければ不可能
である、と言うのも、絶対的画像は潤滑剤段部を見分けるに十分なコントラスト
を有さないからである。
【0066】 S画像に対するP画像の比率はまた、ディスク表面上の深いもしくは異常なテク
スチャ・ライン(texture line)を識別するためにも使用され得る。これは可能で
ある、と言うのも、これらの画像の比率は、光線によりサンプリングされつつあ
る領域の屈折率に関連付けられるからである。異常なもしくは深いテクスチャ・
ラインは自身上に炭素が少なくまたは自身内に汚染物を有する。結果として、上
記比率画像は異常なもしくは深いテクスチャ・ラインに対して強いコントラスト
を与える、と言うのも、炭素の欠如または汚染は屈折率を変化させる結果として
P対SまたはS対Pの比率を変化させるからである。S画像に対するP画像の比率はま
たディスク上の汚染を識別するためにも使用され得る、と言うのも、ディスク上
の汚染は光学的特性の変化を引き起こすからである。特に、膜の下方もしくは上
方の汚染により複素屈折率が変化され、P対Sの比率はこれをディスクの種々の領
域間のコントラストとして示す。個々の画像もまた反射率の変化として汚染を示
すがP対SもしくはS対Pの比率は変化を更に明瞭に示す、と言うのも、上記比率は
汚染が存在する領域を除き一定だからである。
【0067】 潤滑剤特性および炭素摩耗の測定に加え、本発明は上述の技術を用いて薄膜デ
ィスク100の表面粗度も同時に測定し得る。薄膜磁気ディスクの粗度の画像は、
位置によりディスクの粗度の変動を与える。ディスクの粗度もしくは滑らかさは
典型的には、事実上略々円周方向である研磨痕跡を生成する機械的研磨に依るも
のである。(式(1)により獲得された)粗度画像または各正反射画像の一方の高速
フーリエ変換(FFT)を作成することで略々円周方向研磨の空間周波数を空間周波
数領域に表示し得る。FFTは研磨ラインの角度的分布(angular distribution)を
測定すべく使用されるが、これは薄膜ディスクの製造における関心パラメータで
ある。粗度画像のFFTは、特定方向に延在するテクスチャ・ラインの粗度とテク
スチャ・ラインの粗度出力密度(roughness power density)を与える。図16は
、本発明の好適実施例により利用される粗度画像もしくは各正反射画像のひとつ
から獲得されるディスク・テクスチャのFFTを示す図である。このFFTを切断する
と、テクスチャ・ライン粗度分布(texture line roughness distribution)の角
度および角度幅に対してテクスチャ・ラインの粗度出力密度が提供される。図1
7は、ディスク・テクスチャ・ライン・パターンのテクスチャ角度、幅およびテ
クスチャ出力密度分布を示す上記高速フーリエ変換を通る切断面を示す図である
【0068】 本発明の別の特徴は、図2に示された装置200を自動的に焦点合わせする方法
である。自動焦点合わせは、上記計測器を備えたスピンスタンド上に、レーザ領
域が加工されたディスクを載置することで行われ得る。レーザ領域が加工された
ディスクは磁気薄膜ディスクであり、該ディスクは自身の内径付近に螺旋パター
ンで載置された一連のレーザ溶融隆起部を有している。上記レーザ溶融隆起部は
、ディスクが停止したときに薄膜ヘッドがディスクに突き刺さるのを防止する。
スピンスタンドはディスクが載置される試験スタンドであり、ディスクを回転し
てディスク・ドライブの動作をシミュレートする。図2に示された装置200は薄
膜磁気ディスクのレーザ加工された領域の上方に載置され、焦点が調節され乍ら
正反射出力および散乱出力がオシロスコープ上で観察される。上記計測器が焦点
に来たとき、上記レーザ用隆起部(laser bump)からの正反射および散乱信号が最
大値に到達する。
【0069】 潤滑剤の特性は湿度に敏感であることから、湿度が変化するときの潤滑剤特性
を測定することが重要である。多くの場合、装置200は高湿度環境で動作する。
光学機器を加熱すれば、本発明の該実施例の動作が高湿度環境で許容される。上
記計測器の光学機器は雰囲気温度よりも僅かに高く加熱されることから、湿度環
境で使用されたとき水分は上記光学機器上に凝縮しない。上記光学機器を加熱す
るひとつの技術は、上記光学的閉塞体内の電子機器により生成された熱を使用す
ることである。代替的技術は、光学的アセンブリ200内にまたはその近傍に小寸
のヒータを載置することである。
【0070】 本発明の代替実施例において上記の光学的表面分析装置および方法は、レーザ
用隆起部の高さと相関され得る薄膜ディスク磁気媒体上のレーザ用隆起部のRMS
粗度の高速測定に使用される。これは、薄膜ディスク上のレーザ用隆起部の製造
におけるプロセス制御フィードバックとして有用である。本発明の好適実施例は
小寸スポットサイズの散乱計(3ミクロンの分解能)を含むことから、個々のレー
ザ・テクスチャ隆起部(laser texture bump)からの散乱光を解像し得る。個々の
レーザ用隆起部のRMS粗度は、式(1)から算出される如く正反射光に対する散乱反
射光の比率から決定される。個々に解像されたレーザ用隆起部のRMS粗度は、各
レーザ用隆起部の高さの関数である。故にレーザ・テクスチャ隆起部のRMS粗度
の測定値は、レーザ・テクスチャ隆起部の高さおよび高さ分布の監視に使用され
得る。この技術は、レーザ用隆起部の高さを決定する従来の光学的もしくは機械
的な技術よりも数桁速いという極めて高速(10MHzのデータ速度)であるという独
特の利点を有する。
【0071】 本発明の代替実施例において上記の光学的表面分析装置および方法は、潤滑剤
層102および/または炭素層104上における光沢研磨ヘッド(burnish head)または
滑空ヘッド(glide head)の効果の識別を助力すべく使用される。光沢研磨ヘッド
は、ディスクの表面の近傍を飛翔する低速飛翔セラミック・スライダである。そ
れを行う上で該スライダは、ディスクの表面から凹凸を除去する。滑空ヘッドは
、好適実施例においては圧電センサを備えた低速飛翔セラミック・スライダであ
る。滑空ヘッドはディスクの表面の上方を飛翔せしめられ、凹凸に遭遇したとき
に欠陥がディスク上に存在することを表す信号を送信する。
【0072】 通常、潤滑剤層102または炭素層104上での光沢研磨ヘッドまたは滑空ヘッドの
効果を観察するのは困難である、と言うのも、これらの効果を原位置ですなわち
ディスクを光沢研磨もしくは滑空するプロセスの間に観察する従来のシステムま
たは方法が存在しないからである。本発明の一実施例は、薄膜ディスク特性を測
定する上述のシステムおよび方法を、以下に記述される様式での滑空のために、
磁気、摩擦、スティクション(stiction)、光沢研磨の各ヘッドおよび音響放射(a
coustic emission)と組合せる。この組合せにより、たとえば粗度、テクスチャ
および/または炭素層厚みなどの炭素層104上での光沢研磨および滑空の効果の
検査が許容される。
【0073】 薄膜スライダが薄膜ディスクのひとつの特定半径に長時間留まる時点であるト
ラック追随の間に、または、薄膜ディスクへのアクセスの間に、上記スライダが
潤滑剤層102を減損、貯留または劣化する可能性がある。本発明の該実施例は、
これらの影響が生ずる間に該影響を測定して分析する。たとえば劣化潤滑剤の層
は、長時間のトラック追随の結果としてディスク上に形成され得る。該実施例は
、潤滑剤における変化が磁気信号に対して有する効果を測定することで、潤滑剤
層102の特性を測定する。炭素厚みの変化の結果は、磁気信号の振幅の変化によ
り測定される。これに加え、全ての測定は原位置ですなわちディスクをスピンド
ルから除去せずに行われ得る。
【0074】 本発明の該実施例は、粗度、潤滑剤減損/貯留、潤滑剤劣化、表面異物および
炭素摩耗などの表面特性を特性記述するツールである。これはディスク表面を測
定して作像するものである。この点、ディスク・ドライブの動作をシミュレート
し得るべくスピンドルおよび回転アクチュエータを備えて“スピンスタンド(spi
nstand)”と一般的に知られたツールが在る。該ツールはまた、スピンドルの起
動および停止の間に磁気ヘッドがディスク表面に接触するときに該磁気ヘッドに
より行われる摩耗および裂開もシミュレートする。更に上記スピンスタンドは、
ディスクの他の特性を測定するツールも含み得る。たとえば、ディスクに対する
ヘッドのスティクション/摩擦、ディスクの磁気信号振幅、ヘッドとディスクと
の間の接触からの音響放射、および、ヘッドの平均飛翔高さの上方に突出する表
面形状を検出してマッピングするセンサなどである。
【0075】 一実施例においては上記の機能が組合され、各ツールからのデータが他のツー
ルの測定値に対して相関され得る。これによりユーザは各データを相関し得る、
と言うのも、種々の測定が同時にもしくは順次に且つ原位置で行われ得るからで
ある。これにより、上記ツールの有用性は相当に強化される。たとえば、スピン
ドルの起動/停止の間における薄膜ディスクの破損(failure)の原因となるメカ
ニズムがより良く理解され得る。これに加え、潤滑剤劣化/減損、炭素摩耗の進
展および表面粗度の変化は、スピンドルの起動/停止の回数の関数として追随さ
れ得る。
【0076】 本発明の該実施例を上記スピンスタンドと組合せる上で、本発明の光学構成要
素200とスピンスタンドの回転アクチュエータおよび磁気ヘッドは極めて接近さ
れる。最適には光学構成要素200はディスク領域の半分以上を占有してはならず
、さもなければスピンスタンドの回転アクチュエータと衝突してしまう。本発明
200は小寸形態であり特に上記積分球が小寸とされる、と言うのも、該積分球は
磁気ヘッドを保持する上記回転アクチュエータに最接近するからである。
【0077】 本発明の別実施例は、薄膜特性を測定する上述の装置および方法を、原子間力
顕微鏡(AFM)などの高分解能の光学的もしくは機械的ツールと組合せ、薄膜ディ
スク上の損傷領域を迅速かつ容易に識別する。たとえばカリフォルニア州、サン
タバーバラ(Santa Barbara)のデジタル・インスツルメント社(Digital Instrume
nts)からのモデルDI-5000などの習用の原子間力顕微鏡は、表面の極めて高分解
能の画像を提供し得るが、たとえば約100マイクロメータなどの極めて小さな検
出範囲(視認直径)を有する。故に、薄膜ディスクの損傷領域を習用のAFMを用い
て発見することは極めて困難である。しかし上述の装置200および方法は、薄膜
ディスク100上の損傷領域を容易かつ迅速に発見する。上述された如く本発明の
一実施例は、たとえば炭素摩耗、表面粗度、潤滑剤減損、潤滑剤貯留および潤滑
剤劣化などの形態で薄膜ディスク損傷を識別する。本発明の該実施例は光学分析
装置200を使用し、薄膜ディスク100の損傷部分を迅速かつ安価に発見する。装置
200は、損傷箇所を正確に識別する。上記AFMは、正確に識別された損傷箇所の検
証に関している。該実施例によれば上記AFMは、ディスクの損傷部分を発見して
極めて詳細な分析を実施し得る。故に本発明の該実施例によればユーザは、薄膜
ディスク100上の一個以上の損傷部分を迅速かつ安価に発見し得ると共に、習用
のシステムおよび方法を用いた場合に可能であるよりも相当に迅速にAFMを直接
的に損傷部分に導向し得る。
【0078】 特定例はレーザ用隆起部の炭素摩耗の考察であり、炭素摩耗を有する特定のレ
ーザ用隆起部(数百個〜数千個のレーザ用隆起部)を発見し得るのが望ましい。高
出力および高分解能の測定もしくは作像ツールにより、これらの摩耗隆起部を迅
速に発見してこれらのレーザ用隆起部を考察するのが好適である。本発明は、レ
ーザ用隆起部を迅速に発見し得るが、極めて詳細にレーザ用隆起部を考察する分
解能は有していない。逆に、原子間力顕微鏡(AFM)などの高分解能ツールは多数
の隆起部を分析するには遅すぎる。これらの2つの形式のツールを組合せると、
両ツールの利点が提供される。問題となる(炭素摩耗を有する)レーザ用隆起部は
本発明を用いて迅速に発見され得ると共に、ディスクを保持するスピンドルの位
置エンコーダは斯かる隆起部の箇所を追尾し得る。同一のスピンドルはまた、AF
Mの箇所に対する光線位置の相対位置も較正し得る。次にこれらのレーザ用隆起
部は、更なる考察のために(たとえばAFMなどの)高分解能ツール下に載置され得
る。
【0079】 本発明の別実施例は、高温膜測定を実施するシステムおよび方法である。図2
0は、本発明の一実施例に係る高温薄膜測定システム2000を示す図である。高温
システム2000は、図2の視点と比較して逆角度視点である。システム2000は、炭
素膜の厚みおよび摩耗、潤滑剤膜の厚みおよび厚み変動、表面粗度、および潤滑
剤の劣化を測定し得る。システム設計態様は、たとえば図2に関して上記に示さ
れた設計態様と類似している。ひとつの変更は、高温薄膜測定システム2000によ
ればたとえば80℃などの高温での動作が許容されることである。高温薄膜測定シ
ステム2000は、たとえばニューメキシコ州、アルバカーキー(Albuquerque, NM)
のCVI Laser社から入手可能な0次温度補償型クォーツ半波長板(zero order tem
perature compensated quartz half wave plate)2004、および、日本、京都のロ
ーム社(Rohm Co., LTD.)から入手可能な高温レーザ・ダイオード2002を使用する
。0次クォーツ半波長板2004は、ニューヨーク州、イーストロックウェイ(East
Rockway)のW.M.Berg社から市販されているギヤ2008を使用する、たとえばカリフ
ォルニア州、バーリンガム(Burlingame)のMaxon Precision Motors社の型式番号
118426などの小型モータにより45°まで回転され得る回転可能ハウジング内に取
付けられる。上記半波長板を45°に亙り回転すると、偏光性は90°まで回転され
る。高温薄膜測定システム2000はまた、図2に関して上述されたものと同様とさ
れ得る積分球218およびバッフル226も含む。積分球218は、立方体アルミニウム
・ブロックの内部の切欠である。高温薄膜測定システム2000はまた、図2に類似
した集束レンズ216および平行化レンズ220も含んでいる。高温薄膜測定システム
2000はまた図4に示されたのと実質的に同一の帰還回路も含むが、これは、図6
に示されたのと実質的に同一のレーザ強度、増幅、信号調整およびデジタル化を
行う電子機器を制御するためである。
【0080】 解決されるべきひとつの問題は、高温膜測定システムを開発することである。
ハードディスク・ドライブおよびディスクの製造業者は、たとえば80℃などの比
較的高温にて自身のディスク上の炭素および潤滑剤を試験する必要がある。これ
は、この温度にて作動し得る膜測定システムを作成することで達成され得る。こ
れを達成する手段は、高温レーザ・ダイオード2002と共に、機械的に回転可能な
温度補償型0次半波長板2004を使用することである。使用される上記レーザは、
日本、京都のローム社から入手可能であり且つ型式番号はRLD-78MAT1である。こ
れは、ノイズが低くて80℃で連続的に作動し得る780nmレーザ・ダイオードであ
る。上記温度補償型0次半波長板は、米国のニューメキシコ州、アルバカーキー
のCVI Laser社から入手可能である。他の全ての光学的および電気的構成要素は8
0℃より高温へと調節されることから、結果的なシステムは80℃まで作動し得る
と共に80%のRH(相対湿度)にて作動され得る。
【0081】 ディスク・ドライブ販売会社およびそのサプライヤは、たとえば80%の相対湿
度にて70℃までの環境で薄膜ディスクおよび完成されたディスク・ドライブを試
験する。習用のシステムは、ペルチェ冷却(Peltier cooled)されたまたは冷却さ
れない強度安定化レーザのいずれかのレーザを使用する。ペルチェ冷却されたレ
ーザには幾つかの問題が在り、すなわち、70℃の温度および80%の相対湿度のチ
ャンバ内で(たとえば25℃まで冷却された)冷却レーザを使用せんとする場合、冷
却されたレーザの表面上には水が凝縮することから光学的表面を損傷する。また
、50℃または60℃より高い温度でペルチェ冷却器を作動せんとすれば、習用のレ
ーザは損傷され得る。図20に示された実施例は、80℃の温度における連続的動
作に対して開発された非冷却レーザ2002を使用する。図20に示されたシステム
はまた80%の相対湿度にもて作動する、と言うのも、上記レーザは実際にその周
囲よりも僅かに高い温度で作動するからである。
【0082】 高温システムにおいて克服される必要のある別の問題は、PおよびS偏光間で偏
光性を切換える手段である。習用の液晶可変半波長板206は、50℃を超えると作
動し得ない。この問題に対する解決策は、熱的に補償された0次半波長板を使用
することである。波長板の形式は熱的補償を有することから、80℃を超えた温度
での作動が許容される。上記0次半波長板は、PおよびS状態間で偏光性を切換え
るべく機械的に回転される。これは、小型電気モータ2006およびギヤ2008により
達成される。上記電子機器に対する温度の影響を減少すべく、上記前置増幅器/
レーザ調整盤214は高温環境の外側に配置される。上記各光検出器および盤214の
間の接続は、ケーブルにより行われる。
【0083】 図20に示されたシステムは、図2に示されたのと同様の様式で作動する。こ
のシステムは積分球218に入力開孔2016を有するが、該開孔は光線よりも僅かに
大きいことから、光線は該開口により遮断されない。積分球218は底部に孔2022
を有するが、該孔により、光線はディスクに衝当してから開孔2024を介して上記
積分球から外方に反射し得る。開孔2024は上記光線より僅かに大寸であることか
ら、光線は遮断されずに通過し得る。開孔2024の箇所は、ディスクの表面から1c
m未満である。開孔2024の直径は、上記で論じられた式(3)に従い上記デバイスが
測定し得る粗度の最小空間周波数を制御し得る。上記積分球はその頂部に開口を
有することから、散乱光は散乱光検出器224Bに衝当し得る。而して正反射光線は
、光線が拡開するのを防止する平行化レンズ220へと導向される。光線は上記平
行化レンズを通過した後、開口2030を介して小型積分球2028内へと通過する。上
記積分球は、ディスクの歪曲および振れ(runout)に対する上記光検出器の感度を
減少する。歪曲されたディスクは、完全な平坦平面とは異なるディスクである。
製造プロセス、または、スピンドル上にディスクを挟持するプロセスがディスク
の歪曲を引き起こし得る。ディスクの振れは、スピンドルの不完全さにより引き
起こされる垂直方向のディスクの動き、および、ディスクの機械的振動である。
正反射強度は、上記小型積分球における孔2032を介して正反射光検出器224Aによ
り検出される。孔2030は、平行化された正反射光線よりも大きく設計されること
から、光線は該光線により遮断されない。積分球2028は紙面の平面内で僅かに回
転されることから、該積分球の進入ポートは光線に対し直交しない。このことは
、積分球2028の背部から反射された信号が散乱光積分球218内への光路へと逆反
射しないことを意味する。ここで逆反射とは、到来するレーザ光線の経路へと実
質的に直接的に反射することを意味する。積分球218内に入る反射光の量は、積
分球218と平行化レンズ220との間に載置された黒色不透明バッフル2026を用いて
更に減少される。ディスク歪曲に対する正反射光検出器224Aの感度を減少する別
の手段は、図2に示された如く正反射光検出器224Aの前方に拡散板222を載置す
ることである。
【0084】 たとえば上述の装置200、2000などの光学的表面分析器は、たとえば磁気ディ
スク媒体の反射的表面上の複数層の薄膜被覆の摩耗により誘起される厚み変化を
測定する。本発明の別の特徴は、2次元ヒストグラムを用いて薄膜の種々の層か
らの信号を分離して識別するシステムおよび方法である。該方法は、上記で言及
したことにより本明細書中に援用されると共に1995年1月に刊行された摩擦学に
関するASME刊行物、第117巻、第112頁でS. MeeksおよびH. Rosenにより詳細に記
述されている。
【0085】 上記2次元ヒストグラムは計測器用ソフトウェアにより生成されるとともに該
2次元ヒストグラムによればユーザは、ヒストグラムにおける炭素摩耗信号など
の特定の関心領域を、該領域の回りのラインを手動でトレースすることで選択し
得る。次に上記ソフトウェアは画像源位置をトレースすることにより、画像上で
ヒストグラムの選択領域の位置を発見して強調する。2次元ヒストグラムを構築
すべく、P、S平面(上記ヒストグラムの空間)内に一定のΔP×ΔS寸法を有する(
バケットとして知られる)小領域の各々が定義される。実空間画像における各座
標対(x,y)が選択され、そのP、S座標が収まる対応バケットが識別される。画像
全体を完了した後、各バケットにおけるポイントの総数が識別されると共に、バ
ケット内のポイントの個数に基づきたとえば色が割当てられる。完成された2次
元画像は、2次元濃度ヒストグラムとして公知である。上記2次元濃度ヒストグ
ラムは、潤滑剤貯留、減損、炭素摩耗および異物の各領域を別個の領域へと分離
する。異物は、ディスク上での摩耗プロセスの結果としての生成物である。これ
に加え、上記ヒストグラムの勾配は、改変されつつある層の屈折率に関している
。2次元ヒストグラムを生成するひとつの技術は、1992年の顕微鏡観察法:重要
な研究ツール(Microscopy: The Key Research Tool)、第22巻、第21頁における
“濃度ヒストグラム作像:関連画像の定量的図示(Concentration Histogram Ima
ging: A Quantitative View of Related Images)”と称された論文においてBrig
htおよびMarinenkoによっても論じられている。
【0086】 本発明の3つの実施例の各々は、操作者の介在なしで炭素摩耗信号、劣化潤滑
剤、潤滑剤貯留/減損、異物および欠陥などの特定の関心領域を自動的に選択し
てからこの情報を用いて炭素もしくは潤滑剤のタイプを最適化しまたはディスク
・ドライブの障害を分析する方法を使用する。
【0087】 上記の3つの方法は、(1)中心軌跡[centroid]の回りにおける対称操作を実施
し、(2)基準ヒストグラムを減算し、且つ(3)基準ヒストグラムとAND/NOT演算を
実施する段階である。
【0088】 上記の3つの実施例は、たとえばパーソナルコンピュータ、マイクロコントロ
ーラ、単一チップコンピュータ、ネットワークなどの習用のコンピュータ・シス
テムにおいて実現され得る。一例として本発明のこれらの実施例は、たとえば図
21に示された如き習用のパーソナルコンピュータまたはマイクロコントローラ
などの習用のコンピュータ・システム上で実現され得る。図21に示されたコン
ピュータ・システムは、PentiumII 400MHzプロセッサなどの習用のプロセッサ、
習用の記憶ユニット2104、習用の入出力ユニット2106および習用のメモリ2108を
含む。本発明の一実施例においてメモリ2108は、ワシントン州、レドモンド(Red
mond)のMicrosoft社から市販されているWindows98などのオペレーティング・シ
ステム2110に関連するソフトウェアを含み得る。これに加え、本発明の一定の実
施例は、対称ユニット2112、ヒストグラム減算ユニット2114およびAND/NOTユニ
ット2116のひとつ以上を含み得る。対称ユニット2112、ヒストグラム減算ユニッ
ト2114およびAND/NOTユニット2116の更に詳細な記述は、以下に示される。
【0089】 本発明の一実施例は対称ユニット2112により、ヒストグラムの中心軌跡の回り
における対称操作を実施して中心軌跡回りの対称的ヒストグラムを生成する。図
22は、本発明の一実施例に係る対称ユニット2112の作用を示すフローチャート
である。対称ユニット2112はヒストグラムを受信2202する。上記2次元ヒストグ
ラムは、上述の様式で生成され得る。対称ユニット2112は、ヒストグラムの中心
軌跡を決定2204する。2Dヒストグラムの中心軌跡を識別するひとつの技術は、
以下に示される。上記対称ユニットは先ず2Dヒストグラムを、たとえば一切の
非ゼロ・ピクセル値が“1”となりその他の場合にピクセルは“0”の値を取ると
いう2進表示へと変換する。次に、この2進画像から骨格化/軸変換(skeletoni
zation/Medial Axis transformation)が実施される。骨格化は、2進画像を、元
の領域の範囲および接続性を殆ど保存する骨格残存物へと整理編集(reduce)する
プロセスである。また骨格化は、デジタル画像処理に対する一種の形態的フィル
タ(morphological filter)である。骨格化のプロセスの間に導入され得る擬似側
線の無い骨格を生成するためには、更なる処理(たとえば細線化処理[thinning]
または侵食[erosion]などの、簡潔化[pruning])が必要なこともある。次に、中
心軌跡のより良い表現を獲得すべく‘骨格化’に加えてまたはそれと別体的に他
の形態的フィルタが使用され得るが、斯かるフィルタとしては、2進画像形状を
本質的に単一ピクセル太さまで減少する細線化処理、および、元の領域の境界を
侵食除去するプロセスである侵食が挙げられる。この操作はたとえば、2Dヒス
トグラム画像上の小斑点ノイズを除去し得る。骨格化プロセスの一例は1997年の
McGraw-HillにおいてHoward E. Burdickにより‘デジタル作像(Digital Imaging
)’で詳細に記述されているが、これは言及したことによりその全体が本明細書
中に援用される。
【0090】 対称ユニット2112は、ヒストグラムの左側を中心軌跡線の回りで右側へと鏡映
2206し、ヒストグラムの右側から、鏡映された左側を減算2208する。結果的なヒ
ストグラムは上記ヒストグラムの非対称的部分を表し、これは、炭素摩耗、異物
、欠陥などを含むルックアップ・テーブルを介して識別され得る。関心領域が識
別されたなら、摩耗により覆われた表面積の百分率、摩耗の深度、劣化潤滑剤な
どのパラメータが自動的に計算され得る。
【0091】 図25は、本発明の実施例に従い簡素化された2次元ヒストグラムの例である
。(たとえば炭素摩耗などの)薄膜厚み変化からの信号は、陰影領域2502として示
される。目的は、ヒストグラムの非陰影部分をデータから除去することである。
この領域は、非陰影領域の対称線の忠実な近似である中心軌跡線2504を計算する
ことで、上記画像の残部から自動的に分離され得る。次に、ヒストグラム画像の
中心軌跡線2504に関して対称的である上記ヒストグラムの領域2506がデータから
除去され得る。この例においては、中心軌跡線2504の左のデータおよび中心軌跡
線2504の逆側におけるその対称部分は上記ヒストグラムから減算2208される。残
存するのは、摩耗領域からの信号である陰影領域2502である。炭素摩耗に対応す
るこの領域は、PSUM軸心上に投影され、適切な較正により炭素摩耗の定量的な量
を与え得る。炭素摩耗の量を算出する上では、本明細書において先に論じられた
同様の較正係数が使用され得る。この技術は、それ自体がデータの自動分析を与
える。たとえば、表面摩耗の百分率および炭素摩耗の1Dヒストグラムの自動分
析である。
【0092】 上記2Dヒストグラムは(x,y)格納位置[bin position]における値から成るが
、この格納位置の振幅(amplitude)は、該格納位置内に収まる振幅xおよびyの空
間的に同一な2個の画像からポイントの個数をカウントすることで与えられる。
格納位置は寸法Δx×Δyの小寸領域の位置であり、その目的は、特定の箇所にお
いてこれらの寸法内に収まるポイントの個数を蓄積かつカウントし得るバケット
としての役割を果たすことである。上記2Dヒストグラムは、同一の空間位置上
で測定された任意の2個の画像により形成され得る。
【0093】 上記ヒストグラムの対称部分の減算の後で残存する該ヒストグラムの各部分の
分析は、PSUMおよびSSUMに基づき分析され得る。図26は、本発明の一実施例に
係る分析技術を示す図である。
【0094】 もしPSUM/SSUMが両者ともに正でありすなわち各値が象限1内に収まるなら、
ディスクの試験領域は炭素摩耗のみを有する。もし各値が象限2に収まるなら、
試験領域は潤滑剤減損を有する。もし各値が象限3に収まるなら、ディスクの試
験領域は劣化潤滑剤および/または異物、または、異常なテクスチャ・ラインを
有する。もし各値が象限4に収まるなら、ディスクの試験領域は、炭素摩耗およ
び劣化潤滑剤、または、潤滑剤貯留もしくは有機物貯留の混合を有する。
【0095】 本発明の別実施例は、測定されるべきディスクのヒストグラムから減算される
基準ヒストグラムを使用する。図23は、本発明の一実施例に係るヒストグラム
減算ユニット2114の作用を示すフローチャートである。ヒストグラム減算ユニッ
ト2114は、測定されるべきディスクと極めて類似するが表面上に損傷を有さない
薄膜ディスクからの測定値を表し得る第1(基準)ヒストグラムを受信2304する。
たとえば上記第1ヒストグラムは、試験の以前におけるディスクもしくは同一の
バッチからのディスク(すなわちシスタ[sister]ディスク)のヒストグラム、また
は、たとえば試験されるべきディスクの非試験側からのヒストグラムとされ得る
【0096】 もし基準ヒストグラムがシスタ・ディスクから入手可能でなければ、基準ヒス
トグラムは幾通りかのひとつからも獲得され得る。第1の手法は、現在の画像(
試験下の表面)の部分集合から2Dヒストグラムを構築することである。上記部
分集合は試験下のディスクで損傷を有さない領域で選択されることから、未使用
表面のヒストグラムを提供する。代替的に、画像の非損傷領域上で‘順トレース
(traceforward)’操作を実施することでバックグラウンドの表現(基準ヒストグ
ラム)が獲得され、これは試験下のディスクの2Dヒストグラムを作成する。‘
順トレース’操作は、欠陥もしくは損傷が無いと見做される画像の部分集合上で
実施される。上記‘順トレース’操作は、1992年の顕微鏡観察法:重要な研究ツ
ール、第22巻、第21頁における“濃度ヒストグラム作像:関連画像の定量的図示
”と称された論文においてBrightおよびMarinenkoにより詳細に記述されている
。今や2Dヒストグラム領域内であるピクセルの結果的な集合は、その特定の画
像に対するバックグラウンド・ヒストグラムの代表的ピクセルとして使用され得
る。
【0097】 順トレースを計算するひとつの技術は、(1)先ず元の画像上で、順トレースが
所望される領域を獲得し、且つ、(2)2Dヒストグラムを形成すべく元の画像上
で順トレースに対して選択された上記領域の内側の各ピクセルに対し、第1画像
源および第2画像源のピクセル値から上記2Dヒストグラム内における箇所が計
算され得る。各ピクセル値は、夫々、上記2Dヒストグラム上で特定のx軸格納
箇所(x-axis bin)およびy軸格納箇所(y-axis bin)に収まる。
【0098】 ヒストグラム減算ユニット2114はまた、たとえば試験後のディスクを表す第2
ヒストグラムも受信2304する。ヒストグラム減算ユニット2114は、各ヒストグラ
ムから全てのポイントが選択されたか否かを決定2306する。もしそうでなければ
、ヒストグラム減算ユニット2114はたとえばA[x,y]およびB[x,y]などの各ヒスト
グラムにおけるポイントを選択2308する。次にヒストグラム減算ユニット2114は
、基準ヒストグラムのポイントA[x,y]から、試験下のヒストグラムからのポイン
トB[x,y]を減算2310し(または、図26を用いて分析に対して適切な改変を加え
て、その逆を行い)、結果的ヒストグラム(R)を生成する。結果的ヒストグラムは
、図26に関して上述された如く4個の別体の象限へと分離される。
【0099】 本発明の別実施例は、当該基準ヒストグラムとデータ・ヒストグラムとの間の
NOT演算が実施されてからAND演算が行われるという基準ヒストグラムを使用する
。図24、本発明の一実施例に係るAND/NOTユニット2116の作用を示すフローチ
ャートである。AND/NOTユニット2116は、たとえば基準ヒストグラム(B)、および
、データもしくは試験ヒストグラム(A)などの2つのヒストグラムを受信2402す
る。AND/NOTユニット2116は、各ヒストグラムにおいてポイント(x,y)を選択2404
する。もし基準ヒストグラムで選択されたポイントの値がゼロより大きければ、
AND/NOTユニット2116は結果的ヒストグラムにおける対応ポイントをゼロに等し
く設定2408する。もし基準ヒストグラムで選択されたポイントの値がゼロより大
きくなければ、AND/NOTユニット2116は結果的ヒストグラムにおけるポイントを
、試験ヒストグラムにおいて選択されたポイントに等しく設定し、すなわちR[x,
y]=A[x,y]とする。
【0100】 AND/NOTユニット2116は、当該基準ヒストグラムとデータ・ヒストグラムとの
間のAND演算が実施されてからNOT演算が行われるとう基準ヒストグラムを使用す
る。これにより、データ・ヒストグラムと基準ヒストグラムとの両者に共通でな
い領域のみを含む結果的ヒストグラムが得られる。
【0101】 結果的なand/notヒストグラムは次に、上記に示された如くセグメント化され
、各象限が上記の解釈により名称表示される。図27は、本発明の上記AND/NOT
ユニットに依るヒストグラム分析の一例を示している。各ヒストグラム象限から
のデータは、元のデータ画像へと逆トレースされる。元の画像において、図27
に示された領域の各々によりカバーされる表面積の量が算出かつ表示され得る。
たとえば、炭素摩耗を有する表面の総量が上記逆トレースから算出され得る。而
して炭素摩耗の深度は、反射率変化に対応する炭素摩耗の量を較正することで算
出され得る。
【0102】 上記のプロセスは、“PSUM=Pscattered+Pspecular”対“SSUM=Sscattered
+Sspecular”ヒストグラムに対し、または、“任意の組合せにおける構成要素P scattered 、Pspecular、Sscattered、Sspecularの任意のもの”対“他の任意の
組合せ”に対して適用され得る。上記基準ヒストグラムは上記で論じられた如く
、未試験のシスタ・ディスク、試験されるディスクの逆側、試験下のディスクの
非損傷領域から算出された部分的画像ヒストグラム、または、試験下のディスク
の非損傷領域に関して算出された順トレースから算出され得る。
【0103】 たとえば図28は、本発明の上記AND/NOTユニットに依りP正反射またはS正反
射に対してP散乱またはS散乱変数を用いたヒストグラム分析の一例を示す図であ
る。この場合、第2象限内へと延在するフィンガ2802は、ディスク表面上の腐食
生成物に対応する。このフィンガ2802の中心軌跡の勾配は、腐食生成物の屈折率
に関連付けられる。異なる材料は異なる屈折率を有するが故に異なる勾配を有す
ることから、ユーザは異物、腐食生成物およびテクスチャ・ラインを区分し得る
。図28の水平軸に沿う第2領域2806は、上記AND/NOT演算により除去された領
域である。異物もしくはテクスチャ・ラインにより覆われた表面の量は、象限II
のフィンガ領域2802に含まれたピクセルの個数を計算することで容易に算出され
る。フィンガ2808は、ディスク上の異物に対応する。このフィンガ2808の中心軌
跡2810の勾配は、ディスク表面上の異物の屈折率に関連付けられる。これにより
ユーザは、ディスク上における個々の粒子および腐食生成物を(上記中心軌跡の
勾配から)定量的に区別および識別し得る。P正反射光対S正反射光の2Dヒスト
グラムからは、実質的に同一の分析値が算出され得る。この場合、2個のフィン
ガ2802および2808は第3象限へと延在することになる。上記2つのフィンガは、
図28と実質的に同一の様式にて、異なる勾配により依然として区別される。
【0104】 上記の論議は、SおよびP偏光の大きさおよびそれらの適切な散乱成分を測定す
る手段に主眼を置いた。既存の技術の感度を改善する手段は、波のSおよびP成分
間の位相を測定する能力を付加することである。SおよびP成分間の位相シフトを
測定すると、薄膜および欠陥の測定に対する感度が4〜20倍改善される。これは
、たとえば光のPおよびS成分の両者を含む直線または楕円偏光により薄膜ディス
クを照射することで行われ得る。検出された光は次に、PおよびS成分間の位相シ
フトを測定すべく分析され得る。これと同時に、PおよびS成分の振幅、散乱成分
、および、磁気光学的カー回転(Magneto-Optic Kerr rotation)も測定し得る。
もし光学的設計態様に対して二重セル(bi-cell)または位置感応性検出器が付加
されたなら、表面上の特定形状の変位(高さまたは深度)も測定し得る。故に本発
明の一実施例は、膜厚測定、表面粗度測定、反射率測定、磁気的作像および光学
的輪郭形成を同時に実施する。この計測器の好適実施例は、図29に示される。
【0105】 図29は、本発明の一実施例に係る、反射率計、散乱計、位相シフト顕微鏡、
磁気光学的カー効果顕微鏡、および、光学的粗面計(optical profilometer)2900
の組合せを示している。本発明は、型式番号RLD-78MVとして日本、京都のローム
社から入手可能なマルチモード多重波長レーザ・ダイオード2902、および、P偏
光性に対し調節されてレーザの消光比を改善する偏光素子204とを使用する。次
の要素は、CVI Laser社から入手可能であると共に45度の間で偏光性を、且つ、P
もしくはS偏光性を回転すべく使用され得る機械的回転可能な半波長板2904であ
る。偏光性を回転する代替的技術は、レーザ・ダイオード2902を回転し、または
、Meadowlark Optics, Frederick社から入手可能な型式LPR-100などの液晶偏光
性回転器を使用することである。後者の実施例は、偏光性回転の純粋に電子的な
手段である結果、偏光性が回転されたときに光線が移動する可能性が無い、とい
う利点を有する。
【0106】 上記非偏光ビームスプリッタ208は、レーザ・ダイオードの強度を安定化すべ
く基準光線を提供すべく使用される。集束レンズ216は、薄膜ディスク100の表面
上に小寸スポットを生成する。積分球218は、表面粗度を算出すると共にディス
ク表面上の異物もしくは腐食を測定する目的で、散乱光を測定すべく使用される
。入力2920および出力2922における各孔は、正反射光線を通過させて散乱光を収
集すべく設計される。散乱光の空間周波数の下限は、退出孔2922の開孔直径によ
り決定される。散乱光は、上記積分球の頂部における退出孔2926に載置された光
検出器224Bにより測定される。積分球218はディスクに最も近い表面に孔2924を
有することから、光線は薄膜ディスク100の表面から反射され得る。
【0107】 ディスクから反射された後、光線は非偏光ビームスプリッタ208を通過すると
共に、光線の約半分がカリフォルニア州、HawthorneのUDT Sensors社から入手可
能な二重セル検出器2916へと通過される。本発明の一実施例において上記二重セ
ル検出器は、(典型的には25ミクロン未満の離間で)小寸距離だけ離間された同一
の2個の検出器を含む。上記二重セルの出力は、2つの出力を減算する差動増幅
器2918に受け渡される。減算された出力は2912および2910の出力の合計によりデ
ジタル的に正規化され、レーザ強度もしくはディスク反射率の一切の変動を除去
する。正規化された出力は、上記表面の勾配に比例する、と言うのも、差動検出
器2916は表面勾配の変動に依る光線の移動を測定するからである。結果的画像は
、表面の勾配の2次元マップである。表面の変位(高さまたは深度)は、位置対勾
配の信号を積分することで求められ得る。二重セル2916からの信号は、上記光信
号に対する自動焦点合わせ信号を提供するためにも使用され得る。上記光学的ア
センブリは、最初に組立てられるときに較正かつ焦点合わせされる。差動増幅器
2918からの電圧の読取値は、たとえばPCメモリなどの記憶デバイスに記録され得
る。異なる厚みのディスク100が上記光学機器の下方に載置されたとき、差動増
幅器2918の読取値が、該光学的アセンブリが最初に組立てられたときに当初に記
録されたのと同一の読取値となるまで、(不図示の)小寸モータが上記ヘッドを上
下し得る。これが行われたときにディスク100からの上記光学的アセンブリの距
離は一定のままとなり、該光学的アセンブリは焦点が合わせられる。
【0108】 上述の二重セルは、上記表面の円周方向の輪郭(profile)を測定する。上記表
面の円周方向および径方向の輪郭の両者を測定するためには、これもまたカリフ
ォルニア州、HawthorneのUDT Sensors社から入手可能な4重セル(quad-cell)が
使用され得る。上記4重セルは、図34に示された如き同一の4個の要素を備え
た4要素検出器である。円周方向に配向された2個の要素(図34の1および2)は
相互に合計されて二重セル検出器2916の半分を形成し、他の2個の要素(3および
4)は合計されて二重セル2916の他の半分を形成し得る。この配置構成は、上述の
円周方向輪郭を与える。もし要素1および3が合計され且つ2および4が合計された
なら、これらの2つの半体は径方向輪郭(radial profile)を与えるべく使用され
得る。この様にして、表面の単一のスキャンにより径方向輪郭および円周方向輪
郭の両者が求められ得る。
【0109】 上記非偏光ビームスプリッタを通過した後、光線の他の半分はレンズ220によ
り再び平行化される。この光線は次に、CVI Laser社から入手可能であり且つ機
械的回転可能な4分の1波長板2906を通過する。上記光線は次に、たとえばCVI La
ser社から入手可能なウォラストン(Wollaston)プリズム2908により偏光性分割さ
れ、各偏光成分は別体の光検出器により検出される。上記ウォラストン・プリズ
ムの平面(SおよびP成分の平面)は、入射の平面に対して45°に調節される。上記
光線のP成分はたとえば浜松社から入手可能な習用のフォトダイオード2912へと
導向され、S成分は習用のフォトダイオード2910へと導向される。これらのフォ
トダイオードは、残存する該フォトダイオードの位置感受性を減少すべく自身の
前方に載置された拡散板210を有する。上記各光検出器の間の差は、上記ウォラ
ストン・プリズムから到来するSおよびP波間の位相差のコサイン(cosine)に比例
する。結果として、この計測器は異なるモードで使用されたときに異なる形式の
情報を獲得し得る。
【0110】 偏光性がPへと調節されたときにはP正反射光およびP散乱光が測定されて、炭
素厚みおよび炭素摩耗の感応性測定に帰着する。P正反射信号は、入射偏光性がP
となる如く半波長板2904を回転することで得られる。P正反射信号は、2912およ
び2910からの信号の合計により与えられる。偏光性が45°(厳密にPおよびS偏光
の間)に調節されたときに上記計測器は、ディスク表面上の各薄膜の厚みの変化
により誘起される位相変化の測定値に対して最も感応的である。位相シフトモー
ドにおいて、上記計測器は薄膜ディスク上の潤滑剤厚みおよび炭素厚みを測定す
る。位相シフトは、2912および2910で測定された各信号間の差を取ることで測定
される。これにより、波のSおよびP成分間の位相差のコサインに比例する出力が
与えられる。4分の1波長板2906の配向は、潤滑剤および炭素摩耗もしくは厚みに
対する感度を最適化すべく調節される。個々の成分、すなわち45°偏光のSおよ
びP成分も測定され得る。これらは、位相シフトおよび散乱光と同時に測定され
る。
【0111】 45°直線偏光のSおよびP成分はSQおよびPQと称される。位相シフトのこれらの
成分が2次元濃度ヒストグラムにプロットされたとき、データの表現は図31に
示された如くとなる。炭素摩耗は第2象限に見られ、ディスク表面上の炭素厚み
の変化量(variation)は上記ヒストグラムの本体の長さであり、異物は第3象限内
であり、且つ、劣化潤滑剤および潤滑剤貯留は第4象限内に在る。
【0112】 偏光性がS偏光性へと調節されたときに上記計測器はS正反射光およびS散乱光
を測定し得る結果、サンプルの表面粗度および他の特性が得られる。S正反射信
号は、2912および2910からの信号の合計により与えられる。図29に示された入
射角は58°であるが、58°より大きいまたは小さい角度も同様に機能する。上記
計測器を任意の直線偏光すなわちP、Sまたは45°で動作させることにより、縦カ
ー効果(longitudinal Kerr effect)が測定され得る。磁気パターンに対する最大
感度を達成すべく4分の1波長板2906を回転すると、カー効果信号が最適化される
。カー効果を最適化する上記4分の1波長板の配向は、潤滑剤および炭素感度に対
して最適化する配向とは異なり得る。結果として上記4分の1波長板は着脱可能と
されることから、たとえば別個の且つ別体的に最適化された2枚のプレートが異
なるアプリケーションに対して使用され得る。異なる実施例は、カー効果もしく
は潤滑剤および炭素モードに対する信号を最適化するために上記4分の1波長板の
配向を回転すべく、小型モータを有する。最適化を達成するために、異なる偏光
性は異なる4分の1波長調節を必要とする。このモードにおいて上記計測器はカー
効果顕微鏡として機能する。好適実施例においてS偏光性は、縦カー効果を作像
すべく使用される。
【0113】 図29に示された上記計測器によりディスク上の欠陥が観察されたときには、
機械的刻印器(mechanical scribe)によりその欠陥の位置をマークし得るのが望
ましい。斯かる刻印器は、図30に示される。該刻印器を明示すべく、該図面か
らは積分球218および関連構成要素が除去されている。実際の計測器においては
、刻印器および積分球が存在する。上記刻印器は、支持装置3002、リニア・スラ
イド3004、ダイヤモンド刻印針3006および空気シリンダ・アクチュエータ3008か
ら成る。上記空気シリンダ・アクチュエータは、上記ダイヤモンド刻印針を解除
するとのコマンドをPCから受信するまで、上記ダイヤモンド刻印針を表面から離
間して保持する。上記刻印器は、図29の光学構成要素を保持するのと同一の光
学的本体に取付けられる。このことは、刻印プロセスの間において上記刻印器が
上記光学的本体と同一の直線的段階を使用し得ることを意味する。ディスクに対
して刻印をマークするプロセスは以下の如くである:(1)図29に示された上記
計測器を欠陥の箇所に配置し、(2)該欠陥はマーク(刻印)されるべき欠陥である
ことを、PCビデオモニタ上に表示された画像からソフトウェアに対して表示し、
(3)次にソフトウェアは、欠陥が刻印と同一角度となる様に、エンコーダを備え
た上記スピンドルに取付けられたディスク100を回転し、(4)上記刻印器は上記光
学的ヘッドを移動するステージにより上記欠陥の半径へと移動され、欠陥の極く
近傍に来たときに上記空気シリンダ・アクチュエータが起動されて該刻印器が上
記表面上へと降下され、(5)上記ディスクと接触する上記刻印器とともに上記ス
テージは特定距離だけ移動され、上記欠陥の近傍にマークを残す。このマークは
、引き続く分析のために上記欠陥を発見すべく使用され得る。所望であれば、上
記欠陥の近傍には複数のマークが載置され得る。
【0114】 図29および図30に示された上記計測器は、表面の光学的輪郭[optical pro
file](高さおよび深度)、反射率のSおよびP成分、PおよびS波間の位相シフト、
および、散乱光を同時に測定し得る。該計測器はまた磁性膜の磁気光学的カー効
果を測定し得ると共に、後時の分析のために欠陥を刻印する機能を有する。
【0115】 光波のSおよびP成分間の位相シフトを測定するには、ダイオード・レーザの長
期的位相ドリフトを安定化する手段が必要とされる。これは、基準ミラーを使用
して達成され得る。該基準ミラーは、金製ミラー、または、薄膜ディスクの一部
などの、安定な光学的表面である。上記基準ミラーは、上記計測器が最初に設定
されたときに該基準ミラーの位相シフトを測定かつ記録することで較正される。
上記計測器の初期較正の後の時点にては、サンプリングの測定に先立ち上記基準
ミラーが測定される。基準ミラーの読取値の一切の偏差は、記録されると共に、
サンプル読取値の測定値から減算される。これにより確実に、測定される表面(
薄膜ディスク100)からの位相シフト読取値は経時的に安定なままとなる。S正反
射信号およびP正反射信号の測定に対しても、同一の手順が適用され得る。この
場合には、上記計測器が較正されたとき、上記基準ミラー上で測定されたP正反
射信号およびS正反射信号が記録されると共に、これらの値からの偏差は正反射
データを補正すべく使用される。これにより、PおよびS正反射信号からの一切の
ドリフトが除去される。
【0116】 上記の論議は、垂直から略々60°の入射角を有する計測器に対して関連する。
60°より小さいまたは大きい角度で作動する機器に対しても同様の考えが適用さ
れ得る。入射角が変化したとき、上記ヒストグラムの種々の象限の解釈は先に与
えられた論議に従い変化する。
【0117】 上述された如く本発明は磁気ディスク上の薄膜を測定し得るだけでなく、シリ
コン半導体ウェハ上の同一のパラメータも測定し得る。より詳細は本発明は、膜
厚、表面輪郭(surface profile);欠陥、不都合な薄膜または粒子により汚染さ
れた領域からの表面散乱;および、欠落しまたは損傷された膜に依る反射率変化
を測定し得る。半導体用途の一例は、化学機械研磨プロセス(CMP)の特性の測定
である。CMPプロセスは、被覆されてパターン化されたシリコンウェハの表面を
平坦化すべく使用される。CMPプロセスを制御すべくエンジニアは、金属領域か
ら除去された材料の量を酸化物領域と比較して測定することを望む。酸化物およ
び金属領域は異なる物理的特性を有することから、それらは異なる速度で滑らか
になる。この結果、公知の“椀状変形”および“侵食”に帰着する。侵食は、CM
P研磨の結果として、研磨された金属ラインの平均変位量が周囲酸化物表面より
低位になることである。而して狭幅の各金属ライン間には酸化物が分散され、金
属ラインの変位の量が直近周囲の酸化物より低位となることは椀状変形として公
知である。その例は図32に示される。CMPプロセスのエンジニアは、椀状変形
および侵食の量を制御することを望む。図33は、パターン化されたシリコンウ
ェハ上のダイ上での位置に対する光学的位相シフトの測定による椀状変形および
侵食の測定を示している。図33に示された侵食は、金属の縁部の近傍、すなわ
ち位置93および2117にて最大である。これらと同一の位置にて、椀状変形は最小
である。光学的位相シフトは、酸化物の厚み変化を直接的に測定する。故に位相
シフト・モードにおいては、酸化物の下方の層は平坦であると見做される。同一
の椀状変形および侵食は上記の光学的粗面計2900により測定され得る。光学的粗
面計2900は、侵食および椀状変形による表面上の勾配変化を直接的に測定する。
上記勾配は積分され、実際の光学的輪郭を与える。上記光学的粗面計(optical p
rofiler)の利点は、下側の膜の一切の厚み変化とは無関係に、高さ変化を与える
ことである。
【0118】 習用のシステムは図33と同一のパラメータを測定すべく機械的粗面計を使用
して来たが、本発明の幾つかの利点は、略々1分以内にシリコンウェハ全体を測
定し得ると共に、習用の機械的粗面計により生成される如き単なる単一ライン・
スキャンと対照的に、3次元画像を生成し得ることである。ウェハ全体の3次元
画像によればユーザは、プロセス均一性の情報が与えられる。すなわちユーザは
、ウェハの直径に亙り研磨プロセスが如何に変化しているかを迅速に決定し得る
。この有益な情報の生成は、習用の機械的粗面計を用いたのでは極めて困難で時
間が掛かるものである。
【0119】 本発明の別の利点は、上記計測器は小さな載置箇所を有することから、既存の
シリコンプロセスもしくは度量衡機器内に一体化され得ることである。たとえば
それは、ウェハの平坦またはノッチ発見モジュールの代わりに、CMP機内に載置
され得る。これは、本発明が現在のプロセスまたは度量衡機器以上のクリーンル
ーム床面積を使用しないことを意味する。
【0120】 本発明は好適実施例および幾つかの代替実施例に関して詳細に示され且つ記述
されたが、当業者であれば本発明の精神および有効範囲から逸脱することなく形
態および詳細における種々の変更が為され得ることを理解し得よう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適実施例を用いて測定され得る薄膜を示す図である。
【図2】 本発明の好適実施例に係る薄膜の特性を測定する装置を示す図である。
【図3】 本発明の好適実施例に係る液晶可変遅延器(LCVR)ドライバの更なる詳細図であ
る。
【図4】 本発明の好適実施例の帰還増幅システムを示す図である。
【図5A】 本発明の好適実施例に係るPおよびS偏光放射光の反射および散乱特性を示す図
である。
【図5B】 本発明の好適実施例に係るPおよびS偏光放射光の反射および散乱特性を示す図
である。
【図5C】 本発明の好適実施例に係るPおよびS偏光放射光の反射および散乱特性を示す図
である。
【図6】 本発明の好適実施例に係るフォトダイオード電子機器の更なる詳細図である。
【図7】 本発明の好適実施例に係る薄膜特性を原位置で測定する方法を示すフローチャ
ートである。
【図8】 本発明の好適実施例に係る、潤滑剤を有さない薄膜および数ナノメータの潤滑
剤を有する薄膜からのPおよびS偏光放射光の反射率と入射角とを示すグラフであ
る。
【図9】 本発明の好適実施例に係る、20ナノメータの炭素を有する薄膜および15ナノメ
ータの炭素を有する薄膜からのPおよびS偏光放射光の反射率と入射角とを示すグ
ラフである。
【図10】 本発明の一実施例に係る、放射光源の入射角が53°乃至71°であるときの薄膜
測定に関してS偏光放射光の変化とP偏光放射光の変化との間の関係を示す2次元
濃度ヒストグラムである。
【図11】 本発明の一実施例に係る、放射光源の入射角が約53°であるときの薄膜測定に
関してS偏光放射光の変化とP偏光放射光の変化との間の関係を示す2次元濃度ヒ
ストグラムである。
【図12】 本発明の一実施例に係る、放射光源の入射角が53°未満であるときの薄膜測定
に関してS偏光放射光の変化とP偏光放射光の変化との間の関係を示す2次元濃度
ヒストグラムである。
【図13】 本発明の一実施例に係る、放射光源の入射角が71°乃至90°であるときの薄膜
測定に関してS偏光放射光の変化とP偏光放射光の変化との間の関係を示す2次元
濃度ヒストグラムである。
【図14】 P正反射率の変化とナノメータ単位の炭素層の厚みとを示す理論的グラフであ
る。
【図15】 650nmの波長および58°の入射角を有する光信号に対する炭素のkに関して炭素
摩耗に対するP偏光反射率の感度を示すグラフである。
【図16】 本発明の好適実施例により測定されたS正反射画像の2次元高速フーリエ変換
を示す図である。
【図17】 ディスク・テクスチャ・ライン・パターンのテクスチャ角度、幅およびテクス
チャ振幅分布を示す高速フーリエ変換を通る切断面を示す図である。
【図18】 本発明の実施例に係る原位置プロセスに対して炭素摩耗を測定する方法を示す
フローチャートである。
【図19】 本発明の実施例に係る原位置外プロセスに対して炭素摩耗を測定する方法を示
すフローチャートである。
【図20】 本発明の一実施例に係る高温薄膜測定システム2000を示す図である。
【図21】 本発明の実施例に係るコンピュータ・システムを示す図である。
【図22】 本発明の一実施例に係る対称ユニット2112の作用を示すフローチャートである
【図23】 本発明の一実施例に係るヒストグラム減算ユニット2114の作用を示すフローチ
ャートである。
【図24】 本発明の一実施例に係るAND/NOTユニット2116の作用を示すフローチャートで
ある。
【図25】 本発明の実施例に係る簡素化2次元(2D)ヒストグラム画像の例を示す図である
【図26】 本発明の一実施例に係る分析技術を示す図である。
【図27】 本発明の上記AND/NOTユニットに依るヒストグラム分析の一実施例を示す図で
ある。
【図28】 本発明の上記AND/NOTユニットに依りP正反射またはS正反射に対してP散乱また
はS散乱変数を用いたヒストグラム分析の一例を示す図である。
【図29】 厚み、反射率、粗度、磁気パターンおよび表面輪郭などの薄膜の特性を測定す
る装置の好適実施例を示す図である。
【図30】 薄膜の特性を測定すると共に欠陥を刻印する機能を有する装置の好適実施例を
示す図である。
【図31】 45°直線偏光に対するPQおよびSQの2次元濃度ヒストグラムにおける位相シフ
トデータの解釈を示す図である。
【図32】 CMP研磨されたシリコンウェハの侵食および椀状変形の概略図である。
【図33】 パターン化シリコンウェハ上のダイに対する(膜厚に比例する)位相シフトの実
際の測定値、ならびに、椀状変形および侵食の定義も示す図である。
【図34】 円周方向および径方向の光学的輪郭形成に使用される4重セル検出器の種々の
象限を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,C H,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI ,GB,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG ,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA ,ZW Fターム(参考) 2F065 AA30 AA50 AA51 AA54 BB03 BB16 CC19 CC31 DD04 FF04 FF41 FF49 GG04 GG07 HH12 HH13 JJ08 JJ26 LL12 LL21 LL26 LL46 MM04 QQ03 QQ24 QQ25 QQ31 QQ43 2G051 AA51 AA71 AA90 BA10 BA11 BB01 CA02 CB01 CB05 CC11 EA08 EA12 EC02 2G059 AA05 BB16 DD13 EE02 GG01 GG04 HH02 JJ16 KK01 MM01 MM02 MM09 5D112 JJ03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線偏光された光信号を垂直から0°および垂直から90°の
    間の角度である第1角度にて磁気ディスクに向けて送出して上記磁気ディスクに
    衝当することで、実質的に上記第1角度にて上記磁気ディスクから上記レーザ光
    の反射成分を反射させると共に、上記レーザ光の散乱成分を引き起こす段階と、 上記反射成分を受信する段階と、 上記散乱成分を受信する段階と、 上記反射成分および散乱成分に基づき潤滑剤厚みを決定する段階と、 反射された偏光の平面内における回転を測定することで、反射の箇所における
    上記磁気ディスクの磁気的特性を決定する段階と、 を備えた、炭素層を有する薄膜磁気ディスク上で縦カー効果および潤滑剤厚み
    を測定する方法。
  2. 【請求項2】 前記薄膜ディスクはシリコンウェハである、請求項1記載の
    方法。
JP2001528415A 1999-10-07 2000-10-06 薄膜磁気ディスクおよびシリコンウェハ上の薄膜層の厚み、反射率、粗度、表面輪郭および磁気パターンを同時に測定するシステムおよび方法 Expired - Fee Related JP3895596B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/414,388 1999-10-07
US09/414,388 US6665078B1 (en) 1997-09-22 1999-10-07 System and method for simultaneously measuring thin film layer thickness, reflectivity, roughness, surface profile and magnetic pattern in thin film magnetic disks and silicon wafers
PCT/US2000/027614 WO2001025718A2 (en) 1999-10-07 2000-10-06 System and method for simultaneously measuring thin film layer thickness

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003528413A true JP2003528413A (ja) 2003-09-24
JP3895596B2 JP3895596B2 (ja) 2007-03-22

Family

ID=23641243

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001528415A Expired - Fee Related JP3895596B2 (ja) 1999-10-07 2000-10-06 薄膜磁気ディスクおよびシリコンウェハ上の薄膜層の厚み、反射率、粗度、表面輪郭および磁気パターンを同時に測定するシステムおよび方法

Country Status (4)

Country Link
US (2) US6665078B1 (ja)
JP (1) JP3895596B2 (ja)
AU (1) AU7996300A (ja)
WO (1) WO2001025718A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008541058A (ja) * 2005-05-06 2008-11-20 ケーエルエー−テンカー テクノロジィース コーポレイション ウエハー端部検査システム

Families Citing this family (47)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7688435B2 (en) * 1997-09-22 2010-03-30 Kla-Tencor Corporation Detecting and classifying surface features or defects by controlling the angle of the illumination plane of incidence with respect to the feature or defect
US7714995B2 (en) 1997-09-22 2010-05-11 Kla-Tencor Corporation Material independent profiler
US7630086B2 (en) 1997-09-22 2009-12-08 Kla-Tencor Corporation Surface finish roughness measurement
US6320609B1 (en) * 1998-07-10 2001-11-20 Nanometrics Incorporated System using a polar coordinate stage and continuous image rotation to compensate for stage rotation
US7295314B1 (en) * 1998-07-10 2007-11-13 Nanometrics Incorporated Metrology/inspection positioning system
IL146924A (en) * 2001-12-04 2007-03-08 Nova Measuring Instr Ltd Metal cmp process monitoring
US7139081B2 (en) 2002-09-09 2006-11-21 Zygo Corporation Interferometry method for ellipsometry, reflectometry, and scatterometry measurements, including characterization of thin film structures
US7869057B2 (en) 2002-09-09 2011-01-11 Zygo Corporation Multiple-angle multiple-wavelength interferometer using high-NA imaging and spectral analysis
US7324214B2 (en) 2003-03-06 2008-01-29 Zygo Corporation Interferometer and method for measuring characteristics of optically unresolved surface features
US7298494B2 (en) 2003-09-15 2007-11-20 Zygo Corporation Methods and systems for interferometric analysis of surfaces and related applications
SE526617C2 (sv) * 2003-10-01 2005-10-18 Sick Ivp Ab System och metod för att avbilda ett objekts egenskaper
TW200604695A (en) * 2004-05-18 2006-02-01 Zygo Corp Methods and systems for determining optical properties using low-coherence interference signals
US7397621B2 (en) * 2004-06-14 2008-07-08 Kla-Tencor Technologies Corporation Servo pattern characterization on magnetic disks
TWI428582B (zh) * 2005-01-20 2014-03-01 Zygo Corp 用於檢測物體表面之特性的干涉裝置以及干涉方法
US7884947B2 (en) 2005-01-20 2011-02-08 Zygo Corporation Interferometry for determining characteristics of an object surface, with spatially coherent illumination
US7161669B2 (en) * 2005-05-06 2007-01-09 Kla- Tencor Technologies Corporation Wafer edge inspection
US7355711B2 (en) * 2005-07-01 2008-04-08 Kla-Tencor Technologies Corporation Method for detecting an end-point for polishing a material
US7286229B1 (en) 2005-09-06 2007-10-23 Kla-Tencor Technologies Corporation Detecting multi-domain states in perpendicular magnetic media
US7295300B1 (en) 2005-09-28 2007-11-13 Kla-Tencor Technologies Corporation Detecting surface pits
CN1953083A (zh) * 2005-10-21 2007-04-25 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 机芯量测系统及方法
US7397553B1 (en) 2005-10-24 2008-07-08 Kla-Tencor Technologies Corporation Surface scanning
US20100002326A1 (en) * 2006-05-11 2010-01-07 Ade Technologies, Inc. Method and system for perpendicular magnetic media metrology
US20080109178A1 (en) * 2006-11-03 2008-05-08 Nikon Corporation Method and system for predicting and correcting signal fluctuations of an interferometric measuring apparatus
KR101519932B1 (ko) 2006-12-22 2015-05-13 지고 코포레이션 표면 특징물의 특성을 측정하기 위한 장치 및 방법
US7554654B2 (en) * 2007-01-26 2009-06-30 Kla-Tencor Corporation Surface characteristic analysis
US7889355B2 (en) 2007-01-31 2011-02-15 Zygo Corporation Interferometry for lateral metrology
US7656519B2 (en) * 2007-08-30 2010-02-02 Kla-Tencor Corporation Wafer edge inspection
US8072611B2 (en) 2007-10-12 2011-12-06 Zygo Corporation Interferometric analysis of under-resolved features
KR101274517B1 (ko) 2007-11-13 2013-06-13 지고 코포레이션 편광 스캐닝을 이용한 간섭계
WO2009079334A2 (en) 2007-12-14 2009-06-25 Zygo Corporation Analyzing surface structure using scanning interferometry
US8120781B2 (en) 2008-11-26 2012-02-21 Zygo Corporation Interferometric systems and methods featuring spectral analysis of unevenly sampled data
US8164760B2 (en) * 2010-03-11 2012-04-24 Western Digital (Fremont), Llc Method and system for interrogating the thickness of a carbon layer
US8298609B1 (en) 2010-06-14 2012-10-30 Wd Media, Inc. Method and system for interrogating the thickness of a carbon layer
US8896832B2 (en) * 2010-06-17 2014-11-25 Kla-Tencor Corp. Discrete polarization scatterometry
US8913251B2 (en) * 2012-08-27 2014-12-16 Canon Kabushiki Kaisha Estimating material properties using speckle statistics
US8994943B2 (en) * 2012-11-30 2015-03-31 Infineon Technologies Ag Selectivity by polarization
US9348000B1 (en) 2012-12-20 2016-05-24 Seagate Technology Llc Magneto optic kerr effect magnetometer for ultra-high anisotropy magnetic measurements
CN103868856A (zh) * 2014-03-28 2014-06-18 山东大学 利用光谱仪进行光谱式磁光克尔效应测试的装置及方法
US10152998B2 (en) 2014-04-07 2018-12-11 Seagate Technology Llc Features maps of articles with polarized light
US9372078B1 (en) 2014-06-20 2016-06-21 Western Digital (Fremont), Llc Detecting thickness variation and quantitative depth utilizing scanning electron microscopy with a surface profiler
US11493454B2 (en) 2015-11-13 2022-11-08 Cognex Corporation System and method for detecting defects on a specular surface with a vision system
CN109406528B (zh) * 2018-09-07 2021-03-02 昆明理工大学 一种用于检测钢筋腐蚀的光纤传感装置及其温度补偿方法
JP7210200B2 (ja) * 2018-09-21 2023-01-23 株式会社ディスコ 厚み計測装置、及び厚み計測装置を備えた研削装置
CN111121651A (zh) 2018-10-31 2020-05-08 财团法人工业技术研究院 光学测量稳定性控制系统
JP7420667B2 (ja) * 2020-07-03 2024-01-23 三星電子株式会社 エリプソメータ及び半導体装置の検査装置
CN113758878B (zh) * 2021-09-29 2022-05-17 长春理工大学 基于等效光学厚度的沉降水雾干扰抑制方法
US11892351B2 (en) * 2022-06-30 2024-02-06 Datacolor Inc. Instrument monitoring and correction

Family Cites Families (67)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3885875A (en) 1974-07-29 1975-05-27 Zygo Corp Noncontact surface profilometer
US4182259A (en) 1978-10-04 1980-01-08 The Dow Chemical Company Apparatus for measuring coating thickness on an applicator roll
JPS5593008A (en) 1979-01-09 1980-07-15 Canon Inc Signal formation unit
US4585348A (en) 1981-09-28 1986-04-29 International Business Machines Corporation Ultra-fast photometric instrument
US4668860A (en) 1985-10-09 1987-05-26 Optical Coating Laboratory, Inc. Scattermeter using polarized light to distinguish between bulk and surface scatter
US4870631A (en) 1986-05-30 1989-09-26 Finial Technology, Inc. Optical turntable system with reflected spot position detection
US4873430A (en) 1988-10-25 1989-10-10 International Business Machines Corporation Method and apparatus for optically measuring characteristics of a thin film by directing a P-polarized beam through an integrating sphere at the brewster's angle of the film
US5017012A (en) 1989-08-04 1991-05-21 Chapman Instruments, Inc. Viewing system for surface profiler
JPH03221804A (ja) 1990-01-26 1991-09-30 Nec Corp 磁性金属板の凹凸検知方法
US5196906A (en) 1990-06-29 1993-03-23 Tma Technologies, Inc. Modular scatterometer with interchangeable scanning heads
US5293216A (en) 1990-12-31 1994-03-08 Texas Instruments Incorporated Sensor for semiconductor device manufacturing process control
US5129724A (en) 1991-01-29 1992-07-14 Wyko Corporation Apparatus and method for simultaneous measurement of film thickness and surface height variation for film-substrate sample
JP3323537B2 (ja) 1991-07-09 2002-09-09 キヤノン株式会社 微細構造評価装置及び微細構造評価法
US5189481A (en) 1991-07-26 1993-02-23 Tencor Instruments Particle detector for rough surfaces
US5406082A (en) 1992-04-24 1995-04-11 Thiokol Corporation Surface inspection and characterization system and process
US5494829A (en) 1992-07-31 1996-02-27 Biostar, Inc. Devices and methods for detection of an analyte based upon light interference
US5610897A (en) 1992-08-31 1997-03-11 Canon Kabushiki Kaisha Optical information reproducing apparatus
US5313542A (en) 1992-11-30 1994-05-17 Breault Research Organization, Inc. Apparatus and method of rapidly measuring hemispherical scattered or radiated light
US5446549A (en) 1993-01-14 1995-08-29 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Method and apparatus for noncontact surface contour measurement
US5416594A (en) 1993-07-20 1995-05-16 Tencor Instruments Surface scanner with thin film gauge
US5463897A (en) 1993-08-17 1995-11-07 Digital Instruments, Inc. Scanning stylus atomic force microscope with cantilever tracking and optical access
EP0665577A1 (en) 1994-01-28 1995-08-02 Applied Materials, Inc. Method and apparatus for monitoring the deposition rate of films during physical vapour deposition
US6271916B1 (en) 1994-03-24 2001-08-07 Kla-Tencor Corporation Process and assembly for non-destructive surface inspections
DE4416298A1 (de) 1994-05-09 1995-11-16 Abb Research Ltd Verfahren und Vorrichtung zur optischen Ermittlung einer physikalischen Größe
US5864394A (en) 1994-06-20 1999-01-26 Kla-Tencor Corporation Surface inspection system
US5633747A (en) 1994-12-21 1997-05-27 Tencor Instruments Variable spot-size scanning apparatus
US6034378A (en) 1995-02-01 2000-03-07 Nikon Corporation Method of detecting position of mark on substrate, position detection apparatus using this method, and exposure apparatus using this position detection apparatus
US5586101A (en) 1995-03-01 1996-12-17 Eastman Kodak Company Magneto-optic data storage system with differential detection channels having separate gain control circuit
US6118525A (en) 1995-03-06 2000-09-12 Ade Optical Systems Corporation Wafer inspection system for distinguishing pits and particles
US5608527A (en) 1995-03-08 1997-03-04 Optical Dimensions, Llc Apparatus and method for dynamic measurement of surface roughness
US5903342A (en) 1995-04-10 1999-05-11 Hitachi Electronics Engineering, Co., Ltd. Inspection method and device of wafer surface
US5726455A (en) 1995-06-30 1998-03-10 Stormedia, Inc. Disk film optical measurement system
JP3140664B2 (ja) 1995-06-30 2001-03-05 松下電器産業株式会社 異物検査方法及び装置
US5694214A (en) 1996-01-08 1997-12-02 Hitachi Electronics Engineering Co., Ltd. Surface inspection method and apparatus
WO1997026529A1 (en) 1996-01-19 1997-07-24 Phase Metrics Surface inspection apparatus and method
US6028671A (en) 1996-01-31 2000-02-22 General Scanning, Inc. Method and system for suppressing unwanted reflections in an optical system
US5644562A (en) 1996-02-28 1997-07-01 Zygo Corporation Method and apparatus for measuring and compensating birefringence in rotating disks
US5798829A (en) 1996-03-05 1998-08-25 Kla-Tencor Corporation Single laser bright field and dark field system for detecting anomalies of a sample
EP0979398B1 (en) 1996-06-04 2012-01-04 KLA-Tencor Corporation Optical scanning system for surface inspection
US5880838A (en) 1996-06-05 1999-03-09 California Institute Of California System and method for optically measuring a structure
DE19733890C2 (de) 1996-08-04 2000-03-16 Matsushita Electric Ind Co Ltd Verfahren zum Vermessen eines Mediums und Vorrichtung dazu
US5777740A (en) 1997-02-27 1998-07-07 Phase Metrics Combined interferometer/polarimeter
US5951891A (en) 1997-03-24 1999-09-14 International Business Machines Corporation Optical apparatus for monitoring profiles of textured spots during a disk texturing process
JP4527205B2 (ja) 1997-03-31 2010-08-18 リアル・タイム・メトロジー,インコーポレーテッド 光学検査モジュール、及び統合プロセス工具内で基板上の粒子及び欠陥を検出するための方法
NL1006016C2 (nl) 1997-05-09 1998-11-10 Univ Delft Tech Ellipsometer met twee lasers.
JPH112512A (ja) 1997-06-11 1999-01-06 Super Silicon Kenkyusho:Kk ウェーハの光学式形状測定器
JPH11148807A (ja) 1997-07-29 1999-06-02 Toshiba Corp バンプ高さ測定方法及びバンプ高さ測定装置
US5985680A (en) 1997-08-08 1999-11-16 Applied Materials, Inc. Method and apparatus for transforming a substrate coordinate system into a wafer analysis tool coordinate system
US6107637A (en) 1997-08-11 2000-08-22 Hitachi, Ltd. Electron beam exposure or system inspection or measurement apparatus and its method and height detection apparatus
US6201601B1 (en) 1997-09-19 2001-03-13 Kla-Tencor Corporation Sample inspection system
US6134011A (en) 1997-09-22 2000-10-17 Hdi Instrumentation Optical measurement system using polarized light
US6157444A (en) 1997-11-28 2000-12-05 Hitachi, Ltd. Defect inspection apparatus for silicon wafer
KR100286288B1 (ko) 1997-12-30 2001-04-16 윤종용 핸들러에서 카세트 내의 웨이퍼 삽입 상태 감지 장치
US6248988B1 (en) 1998-05-05 2001-06-19 Kla-Tencor Corporation Conventional and confocal multi-spot scanning optical microscope
US6169601B1 (en) 1998-06-23 2001-01-02 Ade Optical Systems Method and apparatus for distinguishing particles from subsurface defects on a substrate using polarized light
US5978091A (en) 1998-06-26 1999-11-02 Hmt Technology Corporation Laser-bump sensor method and apparatus
US5986761A (en) 1998-07-06 1999-11-16 Internatioanl Business Machines Corporation Laser-based inspection tool for disk defects and curvature
US6353222B1 (en) 1998-09-03 2002-03-05 Applied Materials, Inc. Determining defect depth and contour information in wafer structures using multiple SEM images
US6804003B1 (en) 1999-02-09 2004-10-12 Kla-Tencor Corporation System for analyzing surface characteristics with self-calibrating capability
DE19909534B4 (de) 1999-03-04 2011-07-07 BYK-Gardner GmbH, 82538 Vorrichtung und Verfahren zur Bestimmung der Qualität strukturierter Oberflächen
US6091493A (en) 1999-03-30 2000-07-18 Scatter Works, Inc. Process for particle size measurement
US6088092A (en) 1999-06-21 2000-07-11 Phase Metrics, Inc. Glass substrate inspection apparatus
US6384901B1 (en) * 2000-01-21 2002-05-07 Hewlett-Packard Company Sheet media skew adjustment in a printer output
US6603542B1 (en) 2000-06-14 2003-08-05 Qc Optics, Inc. High sensitivity optical inspection system and method for detecting flaws on a diffractive surface
US6809809B2 (en) 2000-11-15 2004-10-26 Real Time Metrology, Inc. Optical method and apparatus for inspecting large area planar objects
US6630996B2 (en) 2000-11-15 2003-10-07 Real Time Metrology, Inc. Optical method and apparatus for inspecting large area planar objects
US6509966B2 (en) 2000-12-27 2003-01-21 Hitachi Electronics Engineering Co., Ltd. Optical system for detecting surface defect and surface defect tester using the same

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008541058A (ja) * 2005-05-06 2008-11-20 ケーエルエー−テンカー テクノロジィース コーポレイション ウエハー端部検査システム

Also Published As

Publication number Publication date
US6956658B2 (en) 2005-10-18
WO2001025718A3 (en) 2008-03-06
JP3895596B2 (ja) 2007-03-22
WO2001025718A2 (en) 2001-04-12
AU7996300A (en) 2001-05-10
US6665078B1 (en) 2003-12-16
US20040046959A1 (en) 2004-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3895596B2 (ja) 薄膜磁気ディスクおよびシリコンウェハ上の薄膜層の厚み、反射率、粗度、表面輪郭および磁気パターンを同時に測定するシステムおよび方法
US6392749B1 (en) High speed optical profilometer for measuring surface height variation
US6717671B1 (en) System for simultaneously measuring thin film layer thickness, reflectivity, roughness, surface profile and magnetic pattern
US20020015146A1 (en) Combined high speed optical profilometer and ellipsometer
US6515745B2 (en) Optical measurement system using polarized light
US5726455A (en) Disk film optical measurement system
US7532318B2 (en) Wafer edge inspection
US5777740A (en) Combined interferometer/polarimeter
US7161667B2 (en) Wafer edge inspection
JP5016194B2 (ja) 薄膜ディスクまたはウェハーの光学検査方法
KR100415123B1 (ko) 표면간거리의광학적측정방법및장치
Meeks et al. Optical surface analysis of the head-disk-interface of thin film disks
US5953125A (en) Optical gap measuring apparatus and method
US7630086B2 (en) Surface finish roughness measurement
JPH09236414A (ja) 回転ディスクにおける複屈折を測定し補償する方法及び装置
WO2003056305A1 (en) A material independent optical profilometer
US7286229B1 (en) Detecting multi-domain states in perpendicular magnetic media
US5898181A (en) Thin film optical measurement system
US7397621B2 (en) Servo pattern characterization on magnetic disks
EP1245922B1 (en) System for measuring phase differences in reflected light signals
US7295300B1 (en) Detecting surface pits
WO2001002802A9 (en) System for simultaneously measuring thin film layer thickness, reflectivity, roughness, surface profile and magnetic pattern
Klein et al. Measurements of thin film disks by surface reflectance analysis
Miller et al. Optical testing of hard disks

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050201

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20050428

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20050513

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060711

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061011

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091222

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101222

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111222

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121222

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121222

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131222

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees