JP2003523770A - ファージ抗体によって検出される血管形成のマーカーとしての活性化ビトロネクチン - Google Patents

ファージ抗体によって検出される血管形成のマーカーとしての活性化ビトロネクチン

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JP2003523770A
JP2003523770A JP2001562704A JP2001562704A JP2003523770A JP 2003523770 A JP2003523770 A JP 2003523770A JP 2001562704 A JP2001562704 A JP 2001562704A JP 2001562704 A JP2001562704 A JP 2001562704A JP 2003523770 A JP2003523770 A JP 2003523770A
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ヨハン ブルーメンダル ヘンリ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、天然型と活性化型のビトロネクチンを識別する抗体断片を製造するための方法を提供し、それは血管形成のマーカーとして使用することができる。また、特に抗体により仲介された抗血管癌療法を標的とし、癌−内皮細胞及び血小板の接着及び移動を阻害する、前記断片からなる抗体とペプチド、及び治療方法もまた提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は全般的に医薬及び抗体の使用に関する。特に本発明は、活性化された
ビトロネクチンに対して、天然型のビトロネクチンより高い親和性を有する抗体
断片(およびその誘導体)に関する。前記の断片は血管形成の、または他のビト
ロネクチン関連疾患のマーカーとして使用することができる。
【0002】 抗体は、Bリンパ球といわれる免疫システムの細胞によって、細菌やウイルス
のような潜在的に有害な微生物と遭遇した反応として産生される蛋白質である。
抗体はそれらの生産を誘発した侵入微生物に結合することが可能であり、それら
の除去を助ける。侵入微生物に対する、抗体を産生する免疫システムのこの活性
はモノクローナル抗体の生産に役立っており、それはKohlerとMilstein(197
5)によって開発された技術である。モノクローナル抗体は、一個のBリンパ球
の子孫によって生産された全てのイムノグロブリン分子である。一般的にモノク
ローナル抗体はマウスを抗原で免疫し、脾臓又はリンパ節Bリンパ球を不死化し
たネズミの形質細胞(plasma cell)系列と融合することにより得られる。その
結果としてハイブリッド細胞系列(ハイブリドーマ)は両方の親の細胞型の特徴
を有し、それらは不死であり、かつマウスを免疫するのに使用された抗原に特異
的な、単一の種類のモノクローナル抗体を産生する。モノクローナル抗体の利点
は、予め規定された結合特異性を有するイムノグロブリン分子の均一な集団を表
すということである。何年にわたって、研究と診断においてモノクローナル抗体
は非常に有益な道具であると証明されてきた。
【0003】 ハイブリドーマ技術の発明のすぐ後に、ヒトの治療においてモノクローナル抗
体の大きな潜在性が実現された。それらの結合特異性が高いために、抗体は他の
中で、ウイルス、細菌及びそれらの毒性産物に結合し、それらの除去を促進する
ことが可能であるという仮説が言われてきた。他の出願において、モノクローナ
ル抗体は癌細胞に特異的に結合してそれらを根絶することを促進するか、免疫シ
ステムの細胞によって産生された可溶性分子に結合して、有害な慢性的な炎症状
態及び/又は自己免疫疾患においてそれらの活性を中和すると認識されている。
もちろんモノクローナル抗体は、広範囲のヒト疾患の治療において使用すること
ができる魔法の弾であると述べられてきた。
【0004】 通常はネズミ由来である非ヒトモノクローナル抗体を用いた多くの臨床研究に
おいて、それらの免疫原性の結果としてそれらの能力は貧しいものであり、ヒト
においてネズミ抗体を注入すると、ヒト免疫システムはネズミ抗体を異種蛋白質
であると認識し、結果としてネズミ蛋白質に対する免疫反応を誘発する。加えて
、ネズミ抗体はヒトにおける薬物動力学的な性質が貧しく、免疫システムの細胞
のエフェクター機能を強化するには無効である。これらの事項は、治療のために
更にヒト型の抗体を得るための替わりの戦略を開発することに拍車をかけた。
【0005】 よりヒト型の抗体を作製する一つのアプローチにおいて、ネズミ抗体をコード
している免疫グロブリン可変領域を、遺伝的にヒト免疫グロブリン定常領域に使
用する。得られるキメラ型の抗体はなお、30%以上のネズミのアミノ酸配列を
含んでいる。キメラモノクローナル抗体をヒトにおいて臨床的に適用したところ
、多くの場合にはこれらの蛋白質はそれらの免疫原生を維持することが示された
。他のアプローチにおいて、抗体特異性に関連している免疫グロブリン可変領域
配列のみがネズミ由来であり、可変領域のフレームワーク領域のみならず、免疫
グロブリン分子の定常領域もヒト由来である。これらの「ヒト化」モノクローナ
ル抗体を臨床的に適用したところ、これらの分子は一般的に有効性がより高く、
内在する毒性又は免疫原生を有さないか又は殆ど有さないことが示された。しか
し、ヒト化された型のネズミ抗体において、元来の親和性と特異性を再構成する
ことは時間を要する過程であり、あまりヒト型でない抗体を提供することになる
かもしれない。キメラ及びヒト化モノクローナル抗体についてのこれらの考察と
、設計されたモノクローナルの近年の臨床的な成功は、臨床的に適用するために
最も望ましい型の抗体である、十分にヒト型のモノクローナル抗体の単離と製造
のための効率的な方法の発達に拍車をかけた。
【0006】 ヒトモノクローナル抗体を得る一つの方法は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を
有している形質転換マウスを、従来のハイブリドーマ技術と組み合わせて採用す
る。これらのマウスにおいて、ヒト免疫グロブリン重鎖と軽鎖の遺伝子座の大き
な部分がマウス生殖細胞系に挿入されており、一方内在性のネズミ免疫グロブリ
ン遺伝子座は遺伝子ノックアウトされることによって鎮静化されている。これら
の形質転換マウスを抗原で免疫化すると、その抗原に対して特異的なヒト抗体が
生産されるという結果となる。ヒトモノクローナル抗体の産生細胞系列は、免疫
されたマウスの脾臓細胞と形質細胞(plasma cell)をインビトロで融合し、不
死化したモノクローナル抗体を分泌するハイブリフドーマを得ることによって得
ることが可能である。重要なことは、形質転換マウスにおけるヒト抗体の産生は
免疫化の手法に依存し、ネズミの免疫反応の拘束によって支配されている。結果
として、マウス自身の抗原(自己抗原)、ネズミ自己抗原に高い程度の相同性を
有する異種抗原、又はポリサッカライドのような免疫原性が低い抗原に対する抗
体を得ることは、不可能ではなくても困難である。これらの知見は、望ましい特
性を有するヒトモノクローナル抗体を得るために、免疫化と細胞不死化を必要と
することを避ける分子的なアプローチの発達に拍車をかけた。これらの戦略は、
それらを産生する細胞系列より、抗体をコードしている免疫グロブリン遺伝子の
「不死化」に基づいている。
【0007】 望みの結合能を有するヒトモノクローナル抗体を得るための替わりの方法は、
ファージディスプレイライブラリーを採用するものであり、体液性免疫反応の鍵
となる特徴を模倣する、インビトロの、組み換えDNAに基づいたアプローチであ
る。ファージディスプレイライブラリーを構築するために、ヒト抗体の重鎖と軽
鎖の可変領域遺伝子のコレクションが、一本鎖Fv(scFv)またはFabの型のいず
れかにおいて、バクテリオファージ微粒子の表面に発現している。抗体断片を発
現しているファージの大きなライブラリーは、典型的には109以上の抗体特異
性を含み、免疫された又は免疫されていない個体のBリンパ球に発現している免
疫グロブリンV領域から集められることがある。替わりに、ファージディスプレ
イライブラリーは、そのライブラリーに加えて抗体多様性を導入するために部分
的にインビトロで集められた免疫グロブリン可変領域から構成されることもある
(「半合成的な」ライブラリー)。例えばインビトロで集められた可変領域は、
合成によって作製され、ランダム化又は部分的にランダム化されたDNAのストレ
ッチを、その分子の抗体特異性に重要である領域に含む。そこで、天然のレパー
トリーには存在しない特異性を、抗体断片のファージティスプレイライブラリー
に加えることができる。
【0008】 望ましい特異性の抗体断片を発現している組み換えファージを、一つ又はいく
つかの方法で選抜することができる。標的の抗原を固相に固定し、続いてファー
ジライブラリーに曝して、固相に結合した抗原に特異的な抗体断片を発現してい
るファージと結合させる。結合してないファージを洗浄して取り除き、そして結
合したファージを固相から溶出して大腸菌(E.coli)に感染させ、続いて増殖さ
せた。標的の抗原に対するファージの結合特異性を十分に増すために、複数のラ
ウンドの選抜と増殖が通常は必要とされる。蛋白質の複合的な混合液又は全細胞
のような複合的な抗原に結合させる目的でも、ファージの選抜が行われる。全細
胞上で抗体を選抜することは、標的抗原がその天然型の配置で提示されていると
いう利点を有し、抗原を固相に固定化することによって導入される配置の変化に
よって乱されることはない。天然の免疫反応によって制約が強いられることと、
標的抗原の免疫原性の影響があるために、従来のハイブリドーマ技術によって任
意の抗原に対するモノクローナル抗体を単離することができない。ファージのア
プローチにおいて、これらの要因は役割を果たさず、自己抗原、炭水化物及び毒
性抗原のような「難しい」抗原に対するモノクローナル抗体を単離することがで
きる。
【0009】 一つの特異な選抜手法おいて、異種混合物中に存在する真核細胞の亜集団の原
形質膜上に発現した分子に対する抗体断片を単離するために、ファージディスプ
レイライブラリーをフローサイトメーター及びセルソーティングと組み合わせて
使用する。そこで、細胞の異種混合物をファージライブラリ−とインキュベート
し、異なった型の細胞にファージライブラリ−を結合させる。続いて、細胞を蛍
光色素ラベルしたモノクローナル抗体によって染色し、免疫蛍光解析とフローサ
イトメトリーによって標的細胞の亜種団を同定する。標的細胞と付着したファー
ジをフローサイトメトリーによって採集し、付着したファージを溶出して増殖さ
せた。この方法は迅速であり、標的抗原の免疫原性に依らず、分子に対する抗体
断片がそれらの天然型の配置で与えられる。異種混合物中の非常に小さい細胞集
団に対する特異的な抗体を得ることができる。
【0010】 無傷のヒトモノクローナル抗体を製造するために、望ましい特異性を有するsc
Fvを哺乳動物の発現ベクターに挿入することが可能であり、その発現ベクターは
ヒト免疫グロブリン定常領域をコードする遺伝子を含む。我々は最近、ファージ
ディスプレイライブラリーから得られたscFv抗体断片を、各免疫グロブリンアイ
ソタイプ及びサブクラスの、十分にヒト型のモノクローナル抗体に迅速に変換さ
せる、一連のコンストラクトを開発した。これらのコンストラクトを有するトラ
ンスフェクトされた細胞系列は、正しく作られてグリコシル化されたヒトモノク
ローナル抗体をインビトロで生産する。
【0011】 癌表面抗原に対して向けられたモノクローナル抗体又は抗体誘導体による治療
は、癌の免疫療法において合理的な戦略であることが証明された。癌における免
疫療法は、免疫システムの体液性及び/又は細胞性の機関を補強して癌細胞を全
滅させることを目的にしている。その終わりに、インビボ及びインビトロシステ
ムにおいて種々のアプローチが試験され、それには結合していない抗体、二特異
的抗体、イムノトキシン、放射ラベルされたモノクローナル抗体、イムノリポソ
ーム及び細胞毒性Tリンパ球が含まれる。例えば、Dukes C結腸直腸癌を切除した
患者の大きな集団を、結腸直腸癌細胞上に発現したEp-CAM分子に対するネズミ抗
体で処理したところ、非常に有効であることが証明された。7年間のフォローア
ップ評価おいて、患者の全体としての死亡率は32%に低下し、再発率は23%に低
下した。他の例において、25-30%の乳癌患者の癌細胞上で過剰発現しているHER
2/neu受容体に対するヒト化抗体は、癌成長の進行を遅らせることと、癌の縮小
を経験した患者のパーセンテージが増加することが示された。他の例において、
CD20抗原に対するキメラモノクローナル抗体は、再発した低いグレード又は濾胞
性のリンパ腫を有する患者の48%に反応を与えることが示された。
【0012】 上記の例において、患者をモノクローナル抗体で治療することは、臨床的な効
果としては十分である。標的抗原に対して抗体が結合することは、補体システム
の成分と、共同して癌細胞を殺す作用をする抗体定常領域のFc受容体を有する免
疫システムのエフェクター細胞が補充されるという結果となる。理由は未知であ
るが、細胞膜上の標的抗原に抗体が結合することは、常に癌細胞を殺すという結
果となるわけではない。いくつかの抗原においては、モノクローナル抗体が、毒
又は放射活性分子のような他の機構を介して癌細胞を殺す存在物を装備する必要
がある。
【0013】 これらのアプローチにおいて、採用した抗体の特異性は重要であり、理想的に
は、その抗体は癌細胞に特異的に結合し、正常細胞との交差反応性は最小である
べきである。キメラ抗CD-20モノクローナル抗体によって現されたように、この
基準に常に適合するわけではない。B細胞癌はCD-20抗原を発現するが、悪性では
ない未成熟又は成熟Bリンパ球もまた発現する。悪性でないBリンパ球が有するこ
の交差反応性にも関わらず、キメラ抗CD-20抗体による治療は副作用を殆ど引き
起こさず、臨床的な成功は注目に値する。
【0014】 細胞外基質は、細胞接着を支持することにより、細胞の生存、細胞の形態及び
組織のオルガニゼーションを制御する。細胞外基質のリモデリング(remodeling
)は、適切に組織化された血管、組織及び器官の発達において鍵となる過程であ
る。フィブロネクチンやコラーゲンファミリーのメンバーのような多くの細胞外
基質蛋白質、及びプラスミンやメタロプロテイナーゼのようなプロテアーゼは、
リモデリングの過程に関与している。細胞レベルにおいて、リモデリングは接着
受容体の「インテグリン」ファミリーのメンバーによって制御されており、接着
受容体は移動のための付着部位としての細胞外基質蛋白質を使用する。
【0015】 多くの研究が、基質のリモデリングと細胞の移動もまた、病理学的な過程にお
いて鍵となる役割を担っていると示唆した(Werb 1997; Liotta et al.1991)。
例えば、癌細胞の組織への侵入は、基質の蛋白分解に依存する。例えばウロキナ
ーゼ型のプラスミノーゲン活性化因子(”uPA”)又はメタロプロテイナーゼの
ようなプロテアーゼの阻害は、転移の形成を防止する(Jankun et al.1997; Min
et al.1996; Ignar et al 1998)。基質のリモデリング及びインテグリン依存
性の転移過程もまた、新たな血管の形成である血管形成に重要である(Friedlan
der et al.1995)。特にインテグリンαvβ3とαvβ5は、血管形成において重要
な働きを果たす(Brooks et al.1994a)。それらの発現は血管由来の内皮細胞で
上昇し、αvβ3のアンタゴニストは癌の生育を阻害して癌の後退を誘発する。
【0016】 ビトロネクチンは、細胞形態の制御、増殖、移動及び生存に関与している重要
な細胞外基質分子である。ビトロネクチンは、インビトロで細胞を培養するのに
使用される、血清(serum)における最も重要な接着蛋白質であるから、ビトロ
ネクチンは「血清伸長因子(serum spreading factor)」とも呼ばれている。ビト
ロネクチンはαvβ3とαvβ5インテグリンの主要なリガンドであり、血管形成と
癌の成長において重要な働きを果たす(Preissner et al.1997と1998)。ビトロ
ネクチンは主として肝臓において合成される75KDaの糖蛋白質であり、200-400mg
/Lの間の濃度で血漿に中に存在している(総論として、Preissner et al.1998;
Seiffert 1997; Schvartz et al.1999を見よ)。血漿(plasma)中において、ビ
トロネクチンは「天然の」配置で存在し、一方血清においては、ビトロネクチン
はその「活性化した」配置で存在している。ビトロネクチンの活性化はトロンビ
ン−抗トロンビンIIIの複合体によって仲介され、血管形成を含む病理学的な過
程の間に起こる。血管内皮細胞成長因子(”VEGF”)のような血管形成因子によ
って過剰浸透性(hyperpermeability)が誘導された時には、ビトロネクチンは
細胞外基質に沈着して臨時の基質の一部を形成する。
【0017】 接着機能に加えて、活性化ビトロネクチンは、セリンプロテアーゼプラスミン
の形成を制御する蛋白質に結合し、濃縮し、そして制御する。これらの蛋白質に
は、プラスミノーゲン、プラスミノーゲン活性化阻害剤I型(PAI-1)と、ウロキ
ナーゼ型プラスミノーゲン活性化受容体(uPAR, Kost et al.1992)が含まれる
。プラスミンによって制御された基質の蛋白分解とインテグリンによって仲介さ
れた移動の間を関連させることにより、活性化ビトロネクチンは、細胞外基質の
リモデリングと疾患において中心的な役割を果たすように思われる。
【0018】 いくつかの免疫組織化学的な研究により、正常な組織と、異なった病理学的な
由来を有する組織の両者において、ビトロネクチンが存在することが示されたが
、活性化ビトロネクチンの役割は今日まで明らかでなかった(Sumiyoshi et al.
1991; Carreiras et al.1996; Hayman et al.1983; Loridon-Rosa et al.1988;
Reilly and Nash 1988; Rosenblum and Carsons 1996; Sobel et al. 1995; Sum
ida et al.1990; Weller et al.1991)。活性化ビトロネクチンの役割に関する
研究は、天然型と活性化されたビトロネクチンの間を識別することが可能であっ
て、従って免疫組織化学的な解析に使用される抗体が存在しなかったために、ず
っと妨害されてきた。
【0019】 本発明において、ファージディスプレイ技術を用いて、活性化ビトロネクチン
に対する特異的な抗体断片(一本鎖)、及び前記断片を含む完全な抗体が作製さ
れた。これらの(scFv)抗体断片と抗体は、癌の成長を含むいくつかの病理学的
な過程において、活性化ビトロネクチンの役割を決定するために使用された。こ
れらの断片と抗体を用いて、種々の病理学的な状態における活性化ビトロネクチ
ンの存在と局在を解析した。正常な組織において活性化ビトロネクチンはほとん
ど検出されなかったが、種々の癌の細胞外基質において、そして急性の炎症を起
こした肺組織においてのみならず硬化した腎臓においても、活性化ビトロネクチ
ンは普遍的に見出された。活性化ビトロネクチンは主として、血管の周辺、大き
な繊維質の組織、そしてプラークに局在化している。これらの結果は、活性化さ
れた型のビトロネクチンは殆ど独占的に疾患部位に、特に血管形成が関与してい
る疾患部位に存在していると示唆している。
【0020】 従って本発明は、特異的な(一本鎖)抗体断片それ自身、これらの断片を含ん
でいる対応する抗体、その抗体を作り、そしてその抗体と断片を診断と疾患の治
療に利用する手段と方法を含む。治療されるべき疾患には、活性化ビトロネクチ
ンが沈着すること又は存在することが関与する全ての疾患が含まれ、それには例
えば関節炎、関節リューマチ、動脈硬化症、悪性腫瘍がある。本発明は更に抗体
又はそれらの活性な断片を含む、キットの部品を含む。
【0021】 一つの観点において、本発明は被験者における癌療法の方法を含む。その方法
は被験者に抗活性化ビトロネクチン抗体及び/又は抗体断片を投与することに関
連し、その抗体及び/又は抗体断片は、ビトロネクチンがその受容体に結合する
ことを防ぐことによって癌−内皮細胞の接着及び/又は移動に干渉し、それで抗
体により仲介された、抗血管癌療法を提供する。
【0022】 ビトロネクチンは重要な接着分子であり、活性化された状態において細胞外基
質の成分として、癌療法の潜在的な標的である。過去の免疫組織化学的研究は、
試験した多くの癌および多くの炎症状態において、ビトロネクチンの沈着物がか
なり存在していることを実証した(Carreiras et al.1996; Loridon-Rosa et al
. 1988; Dahlback et al.1988; Tomasini-Johansson et al.1988; Guettier et
al.1989; Gladson and Cheresh 1991; Jaskiewicz et al.1993; Jang et al.199
8)。しかし重要なことに、これらの初期の研究は天然型のビトロネクチンと活
性化ビトロネクチンを識別できない抗体を用いて行われた。ここで確立されたよ
うに、血管形成におけるビトロネクチンの役割を評価するために、活性化ビトロ
ネクチンと循環している天然型の間を区別することが重要である。
【0023】 天然型ビトロネクチンの起源としての血漿の存在下で、尿素により活性化され
たビトロネクチンのサブトラクティブファージ選抜を行うことにより、2つの型
のビトロネクチンを識別するscFv抗体断片を我々は得た。そこで、ファージディ
スプレイは、蛋白質の活性化型と非活性化型を識別するscFv抗体断片を作製する
のに強力なツールであると証明された。
【0024】 我々は、試験した多くの癌と多くの炎症疾患においてビトロネクチンの沈着す
るという発見を、これらの沈着は実際に活性化ビトロネクチンにより形成される
と広げた。一時的な基質としての活性化ビトロネクチンの重要性は、正常な組織
において活性化ビトロネクチンが実際上存在しないことによって支持された。注
目すべきことに、活性化ビトロネクチンは血管の周囲に限定的に局在してはいな
いが、癌の全領域における細胞外沈着物において、更に巣状糸球体硬化及び肺炎
患者由来の肺組織の類似した領域において存在している。
【0025】 これらの領域におけるビトロネクチンの正確な役割はまだ完全に解明されてな
いが、ビトロネクチンは(癌)−内皮細胞の一時的な基質への接着(Carreiras
et al.1999a)し、uPA, uPAR,PAI-1及びプラスミノーゲンのような鍵化合物を補
足することにより、細胞表面上と細胞外基質上において蛋白分解活性を濃縮する
(Waltz et al.1997)ことにおいて、重要な役割を果たすと思われている。更に
ビトロネクチンは微小血管内皮細胞と癌細胞のアポトーシスを減少させる(Isik
et al.1998; Uhm et al.1999)。そこで、活性化ビトロネクチンは主として、
血管形成と癌細胞の転移が癌の成長に重要な役割を果たしていると思われている
部位に局在化しているとようである。更に、ビトロネクチンは通常は主として肝
臓において生成されており、またいくつかの癌細胞系列もまたビトロネクチンを
生成するという事実は更に、ビトロネクチンはこれらの状態において役割を担っ
ていることを示唆している(Carreiras et al.1999b; Tomasini-Johansson et a
l.1997; Yasumitsu et al.1993)。最後に、血小板も活性化ビトロネクチンを含
む(Seiffert and Schleef 1996)が、血小板は血管形成と癌の成長において重
要な役割を果たすと信じられており、病理学的な過程における活性化ビトロネク
チンの重要な役割が更に強調される(Pinedo et al.1998)。活性化ビトロネク
チンはαvβ3インテグリンのリガンドであり、αvβ3インテグリンは血管形成過
程においてアプレギュレートされ、血管形成の間の接着相互作用において重要な
役割を果たす(Brooks et al.1994b)。癌−内皮細胞の接着と移動に関与してい
る分子に対するモノクローナル抗体を阻害することは、癌を有するマウスの治療
において有望な結果を示した(Brooks et al.1995; Kobayashi et al.1994; Tsu
chiya et al.1995)。活性化ビトロネクチンは、プラスミノーゲン、PAI-1とuPA
Rのようなプロテアーゼに結合し、濃縮して制御するために(Kost et al.1992)
、活性化ビトロネクチンに特異的な抗体はこれらのプロテアーゼの結合を阻害し
、それによって蛋白分解と内皮細胞の侵入潜在力を阻害すると予測されるかもし
れない。これらの結果から外挿すると、ビトロネクチンとその受容体の結合を妨
害することにより、類似した結果が得られるかもしれないと予期される。これは
活性化された型のビトロネクチンを、抗体により仲介された抗血管癌療法のため
の潜在的な標的ならしめる。
【0026】 一つの観点において本発明は、天然型のビトロネクチンよりも活性化ビトロネ
クチン抗体に対してより高い親和性を有する抗体の重鎖の少なくともCDR3ドメイ
ンからなる抗体断片を提供する。
【0027】 好ましくは、前記抗体断片はヒト又はヒト様の抗体断片である。これは前記断
片をより有効ならしめ、かつ毒性又は免疫原性を低下させる。ヒトの又はヒト様
の抗体断片は免疫原性が全く無いか、又はほとんど無いと示唆されている。
【0028】 より好ましくは、前記抗体は天然型ビトロネクチンの起源としての血漿の存在
下で、尿素により活性化されたビトロネクチンにおけるサブトラクティブファー
ジ選抜によって取得可能である。一つの態様において、本発明の抗体断片が提供
され、その抗体断片は配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4のア
ミノ酸配列又はその機能を有する一部分、その誘導体及び/又は相同物からなる
V領域を有する。もちろん上記の配列において、質において(量においては必ず
しもそうではないが)前記配列の少なくとも一つの性質を保持しながら、一つ又
はそれ以上のアミノ酸置換を行うことが可能である。あるアミノ酸配列中におい
て、一つのアミノ酸を通常は類似の性質を有する(多きさと疎水性のような)他
のアミノ酸と置換しても、前記アミノ酸配列の全体としての機能の多くは変化し
ないことは、当業者に既知である。これは保存的な置換と呼ばれている。即ち、
グリシン残基をアラニン残基と置換することができる。そこで本発明は、配列番
号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配列又はその機能を有
する一部分、その誘導体及び/又は相同物と、少なくとも60パーセント、好まし
くは75パーセント、より好ましくは85パーセント、最も好ましくは好ましくは95
パーセントの相同性を有する抗体断片もまた提供する。
【0029】 本発明の抗体断片は、好ましくはヒトの活性化ビトロネクチンに向けられてい
る。しかし、前記抗体断片は、例えばニワトリの活性化ビトロネクチン(実施例
9)のような、他の種のビトロネクチンにも結合することが可能である。
【0030】 この中において抗体断片とは、少なくともCDR3の大きさの断片を、特に重鎖の
CDR3から得られた断片を意味するものとする。この断片は、質として(量におい
ては必ずしもそうではないが)前記抗体としての少なくとも一つの同じ性質を有
する。
【0031】 この中において、天然型のビトロネクチンよりも活性化ビトロネクチン抗体に
対する親和性がより高いということは、前記断片が両方の種類の同じ過剰量のビ
トロネクチンを反応させたときに、前記断片が天然型のビトロネクチンより活性
化ビトロネクチンに結合することを意味する。これは、同じ過剰量の活性化及び
天然型のビトロネクチンを含む混合液中で測定することが可能である。この混合
液は、同じ種類の抗体断片の一定量に提供することができる。インキュベーショ
ンをした後に、結合した活性化ビトロネクチンと結合した天然型ビトロネクチン
の量を測定することが可能である。そして前記抗体断片が天然型ビトロネクチン
より活性化ビトロネクチンに多く結合した、という結論になった場合には、前記
抗体断片は、天然型のビトロネクチンよりも活性化ビトロネクチン抗体に対する
親和性がより高いと見做される。
【0032】 蛋白質の機能を有する一部分、即ち抗体の機能を有する一部分は、この中にお
いて、質として(量においては必ずしもそうではないが)同じ種類の性質を有す
る一部分として規定される。前記性質は、例えば、特異的な抗原に結合する能力
である。蛋白質の機能を有する誘導体は、前記分子の性質が本質的に質として同
じ種類である(量においては必ずしもそうではないが)ように改変された蛋白質
として規定される。誘導体は多くの方法によって、例えば保存的アミノ酸置換を
通じて提供される。例えば、一つ又はそれ以上のグリシン残基が、前記蛋白質の
性質の多くを変換することがないアラニンに置換される。
【0033】 本技術分野の当業者は、例えば抗体のような蛋白質の類似した化合物を良く生
成することができる。例えば、これをペプチドライブラリーのスクリーニングを
通じて行うことができる。そのような相同物は、例えば結合する性質のような、
前記蛋白質の質として同じ性質(量においては必ずしもそうではないが)を本質
的に有する。
【0034】 更に本発明の抗体断片からなる抗体が提供された。好ましくは、前記抗体は個
体の血液循環に提供されるのに適するものである。その場合には、前記抗体の標
的分子は血液循環を通じて到達する。もちろん、前記抗体は、前記標的分子が到
達するまで血液循環で残るほどに十分に安定であるべきである。本技術分野の当
業者に知られているように、IgG抗体は被験者の血液循環に提供するのに非常に
適している。そこで、本発明の好ましい観点において、IgG抗体である本発明の
抗体を提供する。本発明の抗体断片からなるIgG1抗体の構築と作製は、実施例4
において述べられている。本発明の抗体又は断片は、例えば被験者から採取され
た生物学的サンプルにおける活性化ビトロネクチンの存在を検出することにより
、例えば被験者の病態を診断するのに使用することができる。
【0035】 本発明の他の観点において、本発明の抗体断片からなる薬剤組成物を提供する
。その様な組成物は、抗血管療法、好ましくは癌療法において使用することがで
きる。そこで本発明は、抗体により仲介された抗血管癌療法の標的としての、活
性化型のビトロネクチンの使用方法もまた提供する。一つの態様において、癌−
内皮細胞の接着及び/又は移動に干渉する、本発明の抗活性化ビトロネクチン抗
体断片又は抗体を患者へ投与することからなる、癌療法の方法が提供される。
【0036】 例えば癌のような特定の疾患の発達における活性化ビトロネクチンの役割は確
立されたので、活性化ビトロネクチンを前記疾患のマーカーとして使用すること
ができる。そこで、本発明の一つの観点において、本発明の抗体断片又は抗体を
使用することからなる、活性化ビトロネクチンの存在を検出する方法を提供する
。活性化ビトロネクチンの存在を検出するために、本発明の抗体断片又は抗体を
使用する方法もまたここで提供される。
【0037】 本発明の他の観点において、被験者から採取された生物学的なサンプル中にお
いて活性化ビトロネクチンの存在を検出することよりなる、被験者において病態
を診断するための方法を提供する。好ましくは、前記活性化ビトロネクチンは抗
体及び/又は抗体断片を用いて検出され、より好ましくは本発明の抗体及び/又
は抗体断片を用いて検出される。一つの態様において、活性化ビトロネクチンの
前記検出は、前記ビトロネクチンと結合した、前記抗体、前記断片、又はその一
部分の存在を検出することからなる。例えば活性化ビトロネクチンに結合した抗
体の存在を検出するための、多くの技術が本技術分野において知られている。前
記抗体は、例えば蛍光ラベル又は放射ラベルにより標識される。前記抗体を活性
化ビトロネクチンに結合させた後に、結合していない抗体を一回又はそれ以上の
過程によって除去することができる。その後に、蛍光又は放射活性シグナルは結
合した抗体の存在と、従って、活性化ビトロネクチンの存在を明らかにするであ
ろう。もちろん、本技術分野の当業者は抗体を、例えば活性化ビトロネクチンに
結合した抗体の存在を検出する、多くの替わりの方法を考えることができる。
【0038】 活性化型のビトロネクチンを検出することが可能であることが示されたので、
本技術分野の当業者は、本技術分野において利用可能な手段又は方法を用いて、
活性化ビトロネクチンに特異的な結合分子を更に見出すための戦略を、彼/彼女
が組み立てられる位置に置かれている。そこで本発明は、活性化ビトロネクチン
の存在を検出するのに向けられた抗体又は抗体断片を製造する方法もまた提供す
る。その様な方法は、ファージディスプレイ法を用いたライブラリーからの選抜
によって得られた活性化ビトロネクチンの存在を検出するための装置の使用を含
むことができる。そこで本発明はその様な装置もまた提供する。他の態様におい
て本発明は、活性化ビトロネクチンの存在を検出するための装置であって、(1
)抗体又は抗体断片であって、当該抗体又は抗体断片は興味の対象である抗体又
は抗体断片と結合することが可能である尿素処理したビトロネクチンからなるラ
イブラリーからの選抜によってもたらされ、その様な結合は受容体複合体を形成
し、それによって結合相手と結びついた性質の変化を引き起こす、上記前記抗体
又は断片;及び(2)検出可能な変化を検出するための手段を使用する、前記装
置を提供する。好ましくは、その受容体複合体は抗体又はその抗体結合断片、ペ
プチド又はヌクレオチド配列からなる。他の好ましい態様において、その受容体
複合体は、ファージディスプレイ法を用いてライブラリーからの選によってもた
らされた、抗体又はその抗体結合断片からなす。
【0039】 本発明は更に、天然型のビトロネクチンよりも活性化ビトロネクチンに対して
より高い親和性を有している抗体の重鎖の少なくともCDR3ドメインからなる、単
離されたペプチド断片を提供する。好ましくは、前記ペプチド断片は、天然型の
ビトロネクチンの起源としての血漿の存在下において、尿素により活性化された
ビトロネクチンでのサブトラクティブファージ選抜によって取得可能である。本
発明のペプチドの変異体を、質として(量においては必ずしもそうではないが)
同じである結合特性について容易に試験することが可能であり、そこで本発明の
一部分でもある。
【0040】 活性化されたビトロネクチンは、血清において最も重要な接着蛋白質である。
そのために、本発明の抗体断片の前記ビトロネクチンへの結合は、前記ビトロネ
クチンが多くの異なった標的に結合する能力に影響する。前記標的は、例えば内
皮細胞であり、好ましくは癌の内皮細胞であるが、例えば血小板もまた標的であ
るかもしれない。そこで、本発明の一つの態様において、活性化ビトロネクチン
の接着活性を少なくとも部分的に変化させるための、本発明の抗体又は抗体断片
の使用を与える。
【0041】 前記接着性は好ましくは、内皮細胞、細胞外基質蛋白質、及び/又は血小板へ
の結合能である。より好ましい態様において、細胞外基質蛋白質への接着性の前
記変化は血管形成を妨害する。
【0042】 本発明の抗体断片を用いて、今や、活性化ビトロネクチンが内皮細胞及び/又
はコラーゲンに結合する能力の少なくとも一部分を変化させることができる。そ
こで、本発明の一つの態様は、内皮細胞の活性化ビトロネクチンへの接着を少な
くとも部分的に阻害する方法であって、前記ビトロネクチンに、本発明の抗体断
片、抗体又はペプチドを提供することからなる前記方法を提供する。
【0043】 本発明の他の態様は、活性化されたビトロネクチンとコラーゲン及び/又は内
皮細胞との相互作用を少なくとも部分的に低下させる方法であって、前記ビトロ
ネクチンに、本発明の抗体断片、抗体、又はペプチドを提供することからなる前
記方法を提供する。
【0044】 活性化ビトロネクチンの別の特性は、微小血管の内皮細胞及び腫瘍細胞アポト
ーシスを減少させる能力である(Isik等 1998; Uhm等1999)。これは、例えば、
腫瘍展開及び/又は血管形成を導く限定されない細胞成長及び分裂を導くことが
できる。細胞死を減少させる活性化ヒドロネクチンのこのかなり望ましくない影
響は、本発明の抗体断片、抗体及び/又はペプチドによって妨げることができる
。したがって、1つの側面において、本発明は、本発明による抗体断片、抗体又
はペプチドを提供することを含め、細胞外基質活性化ビトロネクチンを含む細胞
外基質と組み合わせた少なくともある程度内皮細胞の細胞死を誘発する方法を提
供する。前記細胞死は、アポトーシスを含むことができる。
【0045】 さらに別の側面において、本発明は、本発明による抗体断片、抗体、又はペプ
チドによって認識されるビトロネクチンエピトープを含む単離されたペプチドを
提供する。前記ペプチドは、例えば、前記エプトープへのそれらの結合特性に対
して、それゆえ、活性化ビトロネクチンに対してライブラリーをスクリーニング
するのに役立つことができる。実施例8で述べたように、ビトロネクチンH2領域
は、本発明の抗体断片に対する重要なエピトープである。したがって、好ましい
側面において、本発明は、ビトロネクチンH2領域の少なくとも1部を含む本発明
によるペプチドを提供する。
【0046】 本発明の抗体断片が提供された以上は、当業者は、前記抗体断片をコード化す
る核酸分子を生成する十分な能力を有する。前記ポリペプチドのアミノ酸配列か
ら出発してあるポリペプチドをコード化する核酸分子を生成する方法、及び異な
る組織におけるコドン使用法は、当業者に知られている。それゆえ、これは、こ
こでは更なる説明の必要性はない。したがって、本発明は、本発明による抗体断
片、抗体、又はペプチド、その機能ある部分、誘導体及び/又は相同物をコード
化する単離された組換え核酸分子を提供する。
【0047】 勿論、当業者は、本発明による抗体断片、抗体、又はペプチド、その機能ある
部分、誘導体及び/又は相同物によって認識されるビトロネクチンエピトープを
含むペプチドをコード化する核酸分子を生成する同様の十分な能力を有する。前
記核酸分子もここで提供される。
【0048】 好ましくは、前記エピトープは、ビトロネクチンH2領域の少なくとも1部を含
む。当該技術に知られた方法で、当業者は、本発明の核酸分子を含む融合遺伝子
を生成する能力も有する。前記融合遺伝子は、融合タンパク質をコード化するこ
とができる。それゆえ、1つの側面において、本発明は、本発明の核酸分子によ
ってコード化されたペプチドを含む融合タンパク質を提供する。
【0049】 本発明の核酸の少なくとも機能ある部分によって、前記核酸の部分は、本発明
の核酸として少なくとも1つの発現特性(同種のもので必ずしも量でない)を含む
少なくとも30塩基対長、好ましくは200塩基対長を意味する。
【0050】 血管形成及び腫瘍成長のプロセス中に、活性化されたビトロネクチンを含む血
小板は、重要な役割を演ずると考えられている。したがって、前記血小板は、抗
体仲介抗脈管腫瘍治療用の重要なターゲットでもある。実施例10で述べるよう
に、本発明の抗体は、血小板の活性化を減少させることができる。それゆえ、本
発明の1つの実施態様は、本発明の抗体断片、抗体又はペプチドを有する前記ビ
トロネクチンを提供することを含め、ビトロネクチンの存在下血小板凝集を少な
くとも一部阻害する方法を提供する。
【0051】 本発明の開示で、本発明の抗体断片、抗体又はペプチドは、薬剤の調整用に非
常に適することは明らかである。薬剤の調整用に本発明の抗体断片、抗体又はペ
プチドの使用も提供される。もちろん、前記薬剤は、上述した用途の少なくとも
1つに特に適する。したがって、1つの側面において、血小板凝集を少なくとも一
部阻害するための薬剤の調整用の本発明の抗体断片、抗体又はペプチドの使用を
提供する。別の好ましい側面において、活性化されたビトロネクチンのコラーゲ
ン及び/又は内皮細胞との相互作用を少なくとも1部減少させるための薬剤の調
整用の本発明の抗体断片、抗体又はペプチドの使用を提供する。別の好ましい実
施態様は、血管の展開を少なくとも一部変えるための薬剤の調整用の本発明の抗
体断片、抗体又はペプチドの使用を提供する。
【0052】 活性化されたビトロネクチンは、細胞形態学、増殖、移行、及び生存の制御に
関係する重要な細胞外基質タンパク質である。活性化ビトロネクチンは、例えば
、血管の展開を伴う。本発明の開示で、血管の前記展開を変えることが可能であ
る。これは、内皮細胞の細胞外基質の改変プロセスに影響を与えることによって
なすことができる。それゆえ、1つ実施態様は、内皮細胞の細胞外基質の改変プ
ロセスに影響を与えることを含む血管の展開を少なくとも1部変更する方法を提
供する。好ましい実施態様において、前記細胞外基質は、本発明による抗体断片
、抗体又はペプチドを具える。
【0053】 天然のビトロネクチンのものより活性化ビトロネクチンのより高い親和性を有
する抗体断片が提供された以上は、当業者は、同種で同様の結合特性を有し、必
ずしも量でない本発明の断片に好ましくは基づいた抗体断片を設計する十分な能
力を有する。当該断片は、本発明による抗体断片、抗体又はペプチドの活性化ビ
トロネクチンへの結合を少なくとも1部阻害する能力を有する。ここで、活性化
ビトロネクチンへの分子の結合を少なくとも一部阻害することは、もし阻害剤も
提供されるなら、より少ない分子は、活性化ビトロネクチンの限定された一定の
量に結合することを意味する。もし、活性化ビトロネクチンの限られた量が、前
記分子及び阻害剤の一定量を具えるなら、前記阻害剤の少なくとも1部は、前記
活性化ビトロネクチンに結合するであろう。阻害剤結合活性化ビトロネクチンは
、もはや前記分子に結合する能力がない。これは、阻害剤が提供されない状態と
比較して、ビトロネクチンに結合する前記分子の少ない量を生じる。
【0054】 したがって、一つの側面において、本発明は、本発明による抗体断片、抗体又
はペプチドの活性化ビトロネクチンへの結合を少なくとも1部阻害する能力を有
する抗体、又はその機能を有する部分、誘導体及び/又は相同物を提供する。
【0055】 材料及び方法 4.5×10特異度の大きさを有するファージミドpPVTでクローン化した
ファージ抗体ライブラリーを使用した。尿素処理ビトロネクチンを、初期に述べ
たように調整した(Yatohgo 等、1988))。天然のビトロネクチンは、Dr K.T.
Preissnerから寄贈された(Bad Nauheim, Germany)。ビトロネクチンに対する
ウサギポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体13H1は以前に述べた(Preis
sner 等、1987)。モノクローナル抗体抗[VSV-G]ペルオキシダーゼ及び抗-[
c−myc]−ペルオキシダーゼをRocheから、抗CD31モノクローナル抗体EN4を
Monosanから得た。ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスポリクローナル抗体をD
akoから得た。
【0056】 ファージ選択方法 ファージ選択を、マイナー修飾で記載したように行なった(De Kruif等。1995
)。簡単に、免疫チューブ(Gibco BRL)を尿素処理した活性化ビトロネクチン(10
μg)で、一晩中、4℃で被膜し、2%粉ミルクでPBS(MPBS)中2時間閉塞した。
ファージを免疫チューブへ加える前に、それらを15分間50%ヒトプール血漿を
含むMPBSで閉塞し、非特異的結合ファージ及びファージ認識天然ビトロネクチン
を吸収した。免疫チューブをファージとともに2時間室温でインキュベートした
。0.1%Tween-20を含有するPBSで過剰洗浄した後、PBS単独で洗浄し、結合し
たファージを1ml0.1MHClで5分間室温で溶出した。混合物を500μl1Mトリス
HClph7.4で中和した。溶出したファージを、大腸菌XL1−ブルー(stratagene)
に感染させるのに使用して、バクテリアを、適当な抗生物質及びブルコースを含
むTYE培地上においた。37℃で一晩中培養後、バクテリアコロニーをこすり、バ
クテリアを次のライブラリーを調整するのに使用した。
【0057】 選別を3回繰り返した後、モノクローナルファージを感染したXL1-ブルー細胞
の単一のアンピシリン及びテトラサイクリン耐性コロニーから調整した。尿素処
理したビトロネクチンへの結合をファージ抗体検出モジュールを使用してエリザ
でテストした(Pharmacia、Inc.)。モノクローナル抗M13抗体(Pharmacia、Inc
.)を使用し、製造者の指示にしたがって測定を行なった。核酸配列分析を、自
動シークエンサー上でABI PRISM Dye Terminator Cycle シークエンス キ
ット(Perkin Elmer)で決定した。
【0058】scFv断片の調整と精製 pPVTファージミドのプラスミドをNotI及びNcoI制限酵素で消化し、scFvの
コード化領域を、6ヒスチジン残基(HIS−タグ)及びMycタグをscFv断片のカルボ
キシル末端へ加えたNotI/NcoI消化されたベクターIM3−HISにおいてサブクロー
ン化した(De Kruif等、1996)。ScFv断片を大腸菌非抑制株SF110において生成
した。ScFvのペリプラズマ調整をNi-NTAアガロースカラムに渡って精製して、イ
ミダゾールによって2ml分画に溶出した。精製したscFv抗体断片をPBSに対して
透析し、さらに使用するまで−20℃で貯蔵した。
【0059】ELISA scFv抗体断片(30μg/ml)又はコントロールポリクローナル抗ビトロネ
クチン抗体(5μg/ml)を96つのウエルプレート上で一晩中被膜した(Nunc Ma
xisorp)。精製した活性化又は天然ビトロネクチンを1時間室温で結合させた。P
BS/0.1%Tween20で洗浄後、結合したビトロネクチンを天然と活性型ビトロネ
クチンとの両方を認識するネズミモノクローナル抗体13H1をインキュベートす
ることによって決定した(Kost等、1992)。ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウス
ポリクローナル抗体で洗浄及びインキュベーション後、染色を2,2‘アジン−
ジ[3−エチル−ベンズチアゾリン−サルフェート](Roche)及び0.05Mクエン酸
中のH2O2で行なった。光学密度を405nmでマイクロタイタープレートリーダー
において読み取った(Molecular Decices Corp)。
【0060】 競合エリザに対して、血漿を天然ビトロネクチンの起源として、血清を活性化
ビトロネクチンの起源として使用した。尿素活性ビトロネクチン(5μg/ml)を9
6ウエルマイクロタイタープレートにおいて一晩中被膜した。ファージ又はsc
Fv’sを血漿又は血清で30分間予備インキュベートした。予備閉塞したファージ
及びscFv’sを、被膜したビトロネクチンへ1時間室温で結合させた。PBS/0.1%
Tween−20で洗浄した後、結合を、ペルオキシダーゼ結合モノクローナル抗―M
13抗体(ファージ)又は抗−myc(scFv’s)でインキュベーションによって決定した
。染色を行い上述のように測定した。エリザを2回又は3回行い、少なくとも2回
繰り返した。
【0061】免疫組織化学 免疫組織化学試験を、大腸、腎臓、及び肺癌をもつ患者、肺炎又は局所腎性硬
化の患者からの組織で行なった。出産間近の胎盤の組織も含む。組織サンプルを
、外科的切除後、液体窒素中で直ちに冷凍し、6μm厚の低温保持分画を調整し
た。アセトン/0.35%H2O2中で10分間固定後、分析を行なった。低温保持分画を
1時間空気乾燥させて、1時間4%MPBS/1%BSで閉塞した。次に分画を、scFv抗
体又はモノクローナル抗体EN4(aCD31)で1時間、インキュベートして、PBS/0
.1%Tween−20で洗浄し、その後、1時間ペルオキシダーゼ結合モノクローナル
抗体抗−VSV−タグ又はペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスポリクローナル抗
体でインキュベートした。抗サイログロブリンscFv抗体断片をネガティブコント
ロールとして使用した(De Kruif等、1995)。ジアミノベンジジンを使用して
共役を展開した(Graham and Karnobsky 1966) 。
【0062】親和性測定 センサーチップCM5、界面活性剤P20、Nヒドロキシスクシニミド(NHS)、Nech
iru-N’(ジメタニルアミノプロピル)炭化物イミド(EDC)、エタノールアミン塩
酸塩及び蟻酸塩緩衝液を含むアミノカップリングキット、を含むBiacore 2000シ
ステム及び試薬を、Pharmacia Biosensor AB(Uppsala、Sweden)から入手した。
全体の手順を製造者の指示にしたがって行った。簡単に、分離したBiaCoreフロ
ーセルにおいて、10mM蟻酸塩緩衝液(pH3.0中の精製した尿素処理ビトロネ
クチンのおよそ7000、5000及び2500レゾナンス ユニットを、NHS/EDCア
ミン結合化学反応を使用してCM5センサーチップへ結合した。結合と分離を、
10から100nMの抗ビトロネクチンhuMabsの濃度範囲を使用して30μl/
分の連続流下で測定した。結合を(Ln(d0・Dt)t)対濃度のプロットから決
定した。
【0063】内皮細胞の調整 ヒトへその血管内皮細胞(HUVEC)を、当業者に知られた特定のカニューレを使
用して血管に適用したトリプシン/EDTA溶液を使用してへその緒から単離した。
この溶液を血管において15分間インキュベートして、離れた内皮細胞を流し出し
、一般の抗体の多罪併用療法と20%(v/v)のヒト血清を補ったRPMI-1640培地
で一度洗浄した。以下に述べる接着及びアポトーシス測定に対して、第二通路の
HUVECを使用した。内皮細胞(HUVEC)は、トリプシンで縣濁を生じ、トリプシン
は、血清を含む培地において中和され、細胞を洗浄し、1%ウシ血清アルブミン
を含有するRPMI培地で再縣濁した。細胞をBurker-Turkチャンバーを使用してカ
ウントし、接着測定用に5×10細胞を、抗VN抗体又は制御抗体L1R3の存在
下、96ウエルプレート上にまいた。
【0064】接着測定 接着した細胞数を見積もるために、ユビキタス リソソーム酵素用の色素性基
質、ヘキソサミニダーゼを使用した。接着測定のプロトコールは、以前に説明し
た(Landegren 1984)。簡単に、尿素処理したビトロネクチンを96ウエ
ルプレートのウエルへ一晩中被膜した(5μg/ml)。プレートを1mM塩化カ
ルシウム、1mM塩化マグネシウム(PBS**)及び3%ウシ血清アルブミン(BS
A)を含む燐酸緩衝生理食塩水で2時間閉塞した。HUVEC細胞を、活性化ビトロネ
クチン又はコントロール抗体に対して抗体の存在下でウエル(5×10)に加
え、2時間、37℃で5%CO加湿インキュベーターで接着可能である。プレ
ートを4回PBS**/3%BSAで洗浄した。水溶液中の等しい体積の0.5%トリ
トンX−100を混合したpH5のクエン酸緩衝液中の百μlの7.5mM、p
ニトロフェノール−N−アセチル−β−D−グルコスアミニド[NPAG/TX100]を、
ウエルへ加え、90分間37℃で5%CO加湿インキュベーターでインキュベ
ートした。酵素活性を、5mMEDTAを含むpH10の150μl50mMグリシ
ン緩衝液を加えることによって停止した。吸光度を405nmでマイクロタイタ
ーリ
ーダーにおいて測定した(Molecular Dvice Corp, Sunnybale, CA, USA)。
【0065】アポトーシス測定 アネキシンVとヨウ化プロピジウムをアポトーシス測定に使用した。尿素処理
ビトロネクチンを一晩中48ウエルプレート(250μl、5μg/ml)のウエルへ被
膜した。HUVECを加え(5.10細胞/ウエル)、30分間接着させた。ついで
、抗ビトロネクチン抗体又はコントロール抗体を50μg/mlの濃度で加え37℃で
5%CO2加湿インキュベーター中でインキュベートした。異なる時間点で、細胞
を洗浄し、トリプシンで処理した。アポトーシスを、RocheからアネキシンVフル
オス(fluos)染色キットを使用してフローサイトメトリーによって決定した。
【0066】結合測定 PAI−1は、Dr Pannekoekから寄贈され(Amsterdam, The Netherlands)及び
uPARはDr Meijersから寄贈された(Amsterdam, The Netherlands)。50μg
/mlTATのストック溶液を20μg/mlのインキュベーションで5倍のモル過剰A
TIIIで形成した。VNのATII単独へのどの結合も観察されなかったので、過剰のAT
IIIは除去されなかった。ヒトコラーゲンタイプI(Sigma)を0.5M酢酸(1mg/ml
)に溶解し、さらにPBSで希釈した。プラスミノーゲンは、リシンセファロース(
Pharmacia)を使用して時間が経過した血漿から親和性精製した。ビトロネクチ
ンリガンドPAI-1、プラスミノーゲン、uPAR、TAT及びコラーゲンタイプIを一晩
中、PBS中の96ウエルプレートへ被膜した(5μg/ml)。フォスファチジル セ
リン(PS, Sigma)をメタノール中で50μg/mlの濃度で溶解し、50μl/ウエ
ルを空気乾燥した。被膜したリガンドを3%BSA及び0.1%Tween−20(PSの場
合、Tween−20を省略した。)を含むPBSで閉塞し、ついで、尿素処理したビトロ
ネクチン(0〜100μg/ml)でインキュベートした。ビトロネクチンの結合
をポリクローナル抗体で、その後、ブタ抗ウサギIgG及びぺプロキシダーゼ基質
と結合したペプオキシダーゼ(オルト−フェニレン−ジアミン)で決定した。最大
値の半分のビトロネクチン結合を生産した濃度を計算した。比較試験において、
ビトロネクチンの最大値の半分の濃度を使用し、Vn18 IgG又はコントロールIg
G(0〜100μg/ml)の増加した量で予備インキュベート(30分間37℃)した。
ビトロネクチンの結合を上述したように決定した。VN18の影響を、コントロール
IgG存在下でのビトロネクチンのそのリガンドへの結合割合として表した。ヘパ
リン結合試験に対して、尿素処理したビトロネクチン(5μg/ml)を一晩中被
膜し、閉塞し、ビオチン化-ヘパリンの増加させた量で(0−100μg/ml)インキュ
ベートした。ヘパリン結合をペルオキシダーゼ基質の存在下でパルオキシダーゼ
結合ストレプトアビジンで決定した。最大値の半分のヘパリン濃度、VN18又はコ
ントロールIgG(0〜100μg/ml)の異なる濃度を使用した。残存ヘパリン結
合をコントロールIgGの結合割合として表した。
【0067】 実施例 実施例1 活性化ビトロネクチンを特異的に認識するファージ抗体の同定 活性化ビトロネクチンに対するscFv抗体を単離するために、尿素処理したヒト
ビトロネクチンで被膜した免疫チューブ上のファージ表示を使用した。尿素処理
は、血清中の活性化ビトロネクチンの形成と似ているビトロネクチンの多重成長
を導くことを以前示した(Yatohgo等、1988)。天然のビトロネクチンとも結
合するファージを取り除くために、ファージ選別を血漿の存在下で天然ビトロネ
クチンを起源として行なった。3回選別後、48つのモノクローナルファージ抗体
(mophabs)を、エリザによって尿素処理したビトロネクチンへの結合のために
テストした。3分の1のファージをプラスと記録し、更なる分析用に選別した。
これらのファージによってコード化されるV領域の拡散配列分析は、出願人によ
りVn1、Vn7、Vn18及びVn26と名づけられた4つの独立ファージ抗体の存在を明ら
かにした(表1)。 [表1] 表1:活性化ビトロネクチンに対するモノクローナルファージ抗体の配列分析 CDR3領域 アミノ酸配列 Vn1 CAR− ARRLRLFDY−WGQ(配列識別番号1) Vn7 CAR− DPRGPRSWLDY−WGQ(配列識別番号2) Vn18 CAR− DDRPRELDS−WGQ(配列識別番号3) Vn26 CAR− ANARAAFDS−WGQ(配列識別番号4)
【0068】 scFvが活性化ビトロネクチンを特異的に認識するモノクローナルファージ抗体
から誘導されたかどうかを調査した。最大結合を生産したscFv希釈を使用した。
天然のビトロネクチンがプラスチックに対する被膜上で活性化されるので、キャ
プチャーエリザを行なった。非特異的コントロールとして有益なウサギポリクロ
ーナル抗ビトロネクチン抗体を被膜し天然又は活性化ビトロネクチンを捕獲する
のに使用した。図2から明らかなように、scFv(Vn7)、scFv(Vn18)及びsc
Fv(Vn26)は、活性化ビトロネクチンを特異的に検出した。不幸にも、ファー
ジVn1から誘導されたscFvは、分析することができなかった。なぜなら、抗VSVモ
ノクローナル抗体はscFv(Vn1)を検出しなかったからである。可能性のある説
明は、VSVタグをコード化する配列の突然変異の存在である。予想されたように
、コントロールポリクローナル抗ビトロネクチン抗体は、活性化及び天然のビト
ロネクチンを同様に良く認識した。
【0069】 実施例2 血漿中に存在する天然ビトロネクチンと比較したとき血清中の活性化ビトロネ
クチンのモノクローナルファージ抗体及びscFv断片による認識
【0070】 抗ビトロネクチンモハブ(mohab)及びScFvが血清中に存在する活性化ビトロネ
クチンを認識するかどうかを調べた。ファージ及びscFvを血漿又は血清の不存在
又は存在下、被膜した尿素処理ビトロネクチンに結合させた。図3から分かるよ
うに、すべてのモハブ(mohab)及びscFvの結合は、血清に阻害されるが、血漿に
は阻害されなかった。これらの結果は、ファージ及びscFvも生理的に活性化した
血清ビトロネクチンも特異的に認識するが、天然の血漿ビトロネクチンは認識し
ないことを強く示唆する。
【0071】 実施例3 通常及び腫瘍組織部分のVn18によるビトロネクチンの認識
【0072】 scFv(Vn18)を、活性化ビトロネクチンのその存在及び貢献を、大腸、腎臓
及び肺のヒト悪性腫瘍、他の病理学の標本、及び対応する通常の器官において、
研究するために選別した。活性化ビトロネクチンは、大腸腺癌に非常に存在する
(図4A)一方、活性化ビトロネクチンは、通常の大腸にはほとんど検出すること
ができなかった(図4D)。scFv(Vn18)の染色パターンは、CD31、内皮特異的マ
ーカーに対する抗体での染色パターン(図4B)とかなり重複して、血管周辺の活
性化ビトロネクチンの存在を示唆した。血管周辺の染色に加えて、ビトロネクチ
ン堆積物の染色は、血管がまだ形成されていない細胞外環境、繊維組織に見られ
た。
【0073】 腎臓細胞悪性腫瘍において、活性化ビトロネクチンは、腫瘍のふちに主に存在
した(図4E)。これらの領域のscFv(Vn18)染色パターンは、血管周辺の活性化
ビトロネクチンの存在を示すCD31染色(図4F)と同様である。対照的に、腫瘍
の真中において、活性化ビトロネクチンはほとんど検出されなかったが、CD31染
色は、血管の存在を明らかにした(データは示さず)。腫瘍によって影響を受けな
い腎臓の領域において、活性化ビトロネクチンの染色はほとんど見られなかった
(図4H)。対照的に、糸球体硬化を有する腎臓においてかなり影響されたものは、
かなりプラスである一方(図4N)、通常のそれほど影響されていないものはマイ
ナスであった(図4O)。非小細胞肺がんにおいて、同様のscFv(Vn18)染色パター
ンを観察した(図4I-K)。結局、出産間近の胎盤において、繊維プラークが、小
さいキャピラリ−状構造と同様に活性化ビトロネクチンに対してプラスであった
(図4P)。
【0074】 実施例4 活性化ビトロネクチンに対する完全なヒトモノクローナルIgG/κの構築と生
【0075】 真核細胞発現ベクターの構築とヒトモノクローナル抗体(huMab)の生成は、他
で詳細に説明された(Hul等、1999)。簡単に、2段階クローニング手順において
、scFv領域をコード化するVH及びVL領域は、ベクターpLEADERの中へクローン化
され、T細胞受容体α鎖リーダーHAVT20リーダーペプチド配列及びスプライス供
与体部位を加えた。次に、リーダー及びスプライス供与体部位を含むVH及びVL
域を、pNUT−Cγ1又はpNUT−Cκ発現ベクターにおいてサブクローン化した。
HuMab Vn7、Vn18及びVn26を、安定にトランスフェクトしたBHK21細胞を確
立することによって生成した。37℃で、5%CO加湿インキュベーターにおいて
、10%FCS、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプ
トマイシンを含むIscoveの改良ダルベッコ培地において、細胞を保持した。組換
え抗体をおよそ2リットルの培養上清からタンパク質Aセファロースアフィニティ
ークロマトグラフィーによって精製し、SDS-PAGEゲルにかけ、前述の重鎖及び短
鎖の化学量論及び性質を確認した(Hul等、1999)。精製したhuMabの濃度を、
280nmでのスペクトル分光測定によって決定した。
【0076】 実施例5 内皮細胞接着のビトロネクチンへの阻害
【0077】 すべての実用的な研究用に、scFvは、無傷で、BHK細胞における完全なIgG1/
κ分子の合成用にVH及びVL領域を発現ベクターの中へ再クローニングすることに
よって完全なヒトIgG1モノクローナル抗体へ変えられた。精製した抗体は、エ
リザで評価したような活性化ビトロネクチンに対するそれらの特異性を保持した
。3つのhuMabの動的な結合、及び分離割合、親和性定数を、BiaCore上の表面プ
ラスモン共鳴によって決定した。結合及び分離定数は、それぞれ、1.5×10 -4.6×10M-1−1及び6.8×10−4−2.9×10−2−1
範囲であり、Vn7、Vn18及びVn26に対して4.5、9.3及び92nMの親和性定
数を産した。
【0078】 ビトロネクチンは、血管形成中に、重要な役割を演じると考えられる(Preiss
ner等、1997)。内皮の機能でのヒト抗ビトロネクチン抗体の活性化ビトロネク
チンへの結合の結果を評価するために、多くの測定を行なった。まず、内皮細胞
接着の影響を分析した。培養皿を活性化ビトロネクチン及び内皮細胞で被膜し、
抗ビトロネクチン抗体又はコントロール抗体のいくつかの希釈を同時に各ウエル
へ加えた。内皮細胞(HUVEC)を接着し、洗浄後、接着した細胞の数をユビキタス
リソソーム酵素用の 発色性基質をウエルへ加えることによって見積もった(Landegren1984)。 ビトロネクチン被膜プレートへの内皮細胞の接着性は、投与依存法における抗ビ
トロネクチン抗体で阻害された(図5A)。すべての3つの抗ビトロネクチン抗体は
、内皮細胞接着を阻害した(図5B)。内皮細胞結合の最大阻害は、50μg/mlの
抗ビトロネクチン抗体の濃度で80〜85%であった。
【0079】 実施例6 抗ビトロネクチン抗体の内皮細胞アポトーシスでの影響
【0080】 ビトロネクチンは、内皮細胞がアポトーシス経路に入るのを保護する(Isik等
、1998)。ヒト抗ビトロネクチン抗体Vn18の内皮細胞アポトーシスを誘発する際
の可能性のある影響を評価するために、抗ビトロネクチン抗体又はコントロール
抗体を、内皮細胞(HUVEC)のサブ合流層へ加えた。8時間後、細胞をヨウ化プロ
ピジウム及びアネキシンVで染色し、フローサイトメトリーによって分析した。
図6において、アポトーシス細胞の数がVn18抗体のビトロネクチン被膜プレート
への結合の結果として増加したことを示す。
【0081】 実施例7 ビトロネクチンの他の種からのエピトープ及び交差反応をマッピングしたビト
ロネクチン役割における抗ビトロネクチン抗体の影響 細胞接着の役割に加えて、ビトロネクチンは、共沈殿及び繊維化等のプロテア
ーゼカスケードの制御を伴う(Preissner等)。これらの系での潜在的な影響を評
価するために、ビトロネクチンとそのレガンドとの相互作用を阻害するための抗
ビトロネクチン抗体の能力を決定した(Preissner and Seiffert 1998; Schvart
z 等、1999)。結合測定を、材料と方法で本質的に述べたように行なった。
結果を図7に要約する。Vn18は、ビトロネクチンのコラーゲンへの結合を減少さ
せて、内皮細胞の接着をほとんど完全に阻害した。6つの他のビトロネクチンリ
ガンドの結合は影響を受けなかった。
【0082】 実施例8 Vn18によって認識されたビトロネクチン上のエピトープのマッピング 抗体のビトロネクチンへの結合用の特異的エピトープを決定するために、Yone
da等に(1998)によって記載されたようなビトロネクチン断片を使用した。組換え
ビトロネクチン断片の免疫ブロット分析は、Vn18抗体のヘモペキシンII領域(図8
)に位置するエピトープへの結合を明らかにした。これについて、いくつかのGST
融合タンパク質は精製されて、Vn18抗体との相互作用を導いた。ビトロネクチン
が存在する領域は、S(aa.1-42),C(aa.43-130),H1(aa.131-286),及びH2(aa.287-
459)である。これら4つの領域の中へのサブ分割を図7に示す。図8に示した結
果は、Vn18は、ビトロネクチンのN末端近傍の領域、すなわち、H2領域(aa.287-
459)を特異的に認識することを示唆する。
【0083】 実施例9 Vn18の他の種からのビトロネクチンとの交差反応 Vn18が、ビトロネクチンを他の種からも認識できるかどうかを決定するために
、ビトロネクチンをyatohgo等、(1988)の方法によってヒト及びニワトリ
血清から精製した。ヒト又はニワトリビトロネクチン(10μg/ml)を96つのウエ
ルプレート上に被膜して(Costar)、ウシ血清アルブミン(BSA)で閉塞して、エ
リザを行なった。Vn18のビオチン化IgG、コントロール(ファージ生成)IgG(L1R
3)又はビトロネクチンに対して直接的なポリクローナル抗体の結合を、ストレ
プトアビジンHRPで検出し、ついで、ペルオキシダーゼ基質で染色した。ヒト及
びニワトリビトロネクチンは、ヘモペキシンII(H2)領域の領域268〜336に
おいてのみ相同性を示し(Nagano等、1992)、Vn18用のエピトープが、この
領域に位置することを示す。図9は、Vn18がニワトリビトロネクチンを認識する
ことを示す。
【0084】 実施例10 VN18の血小板接着及び機能上の影響 活性化ビトロネクチンは、ガラスカバー片上に塗布し、単離した血液血小板の
接着をフロー下で試験した。赤血球を加えて、それによって血漿タンパク質が存
在しない4%ヒトアルブミン溶液(HAS)で単離した血小板を再構築した。洗浄した
血小板(以下参照)は、Hepes-Tyrode緩衝液(10mM Hepes、0.145mM Na
Cl、5mM KCL、0.5mM Na2HPO4 、1mMMgSO4、pH7.25)中で2×10血小板/μlの濃度へ再縣濁した。
凝集測定において、この血小板縣濁液500μlを37℃へ血小板凝集計において
4分間予備保温した。Vn18又はコントロールIgGL1R3(上記参照)の精製したIgG
を、刺激因子トロンビン(0.5 U/ml)の添加前に1分間予備インキュベート
した。凝集物を7分間攪拌の下でモニターした。図10(左パネル)は、これらの状
況下で、Vn18は、血小板接着での濃度依存阻害を引き起こす一方、コントロール
抗体の最大濃度は影響を与えないことを示す。Vn18の不存在下において、いくつ
かの血小板凝集物が存在した。図10(右パネル)は、Vn18添加が、凝集物形成を
主に阻害し、Vn18は、血小板の活性を減少させることができることを示す。この
潅流実験を外因性のビトロネクチンの不存在下で行なうので、Vn18は、血小板内
皮細胞プールを起源とするビトロネクチンと反応しなければならない。これを調
査するために、トロンビン(0.5U/ml)又はエピネフリン(100nM)での血小
板の穏やかな刺激後、血小板膜でのビトロネクチン発現をFACSにおいて測定した
。血小板リッチ血漿(PRP)をクエン酸塩とした全血液から遠心分離(10分間200xg
で20℃)で得た。クレブス−リンガー緩衝液の1容量(4mMKCl、107mM NaC
l、20mMNaHCO3、2mM Na2SO4、4.76mMクエン酸、14mM Na−クエ
ン酸塩、及び5mM d−グルコース、pH5.0)をPRPの1容量に加えた。最終
pHはおよそ6であった。血小板を、遠心分離(10分間500xg、20℃)に
よって得て、クレブス−リンガー緩衝液で再縣濁し(pH6)、遠心分離(10分間
500xg、20℃)によって2回洗浄した。2回目の洗浄後、血小板を4%ヒトア
ルブミン溶液(HAS)(4mMKCl,124mMNACl、20mM NaHCO3、2mM Na2SO4 、2.5mMCaCl2、1.5mM MgCl2、5mM d−グルコース、及び20U/ml LMWH,pH7.35)中に再縣濁し、37℃でエプネフリン(100nM)又はト
ロンビン(0.5U/ml)の不存在又は存在下でインキュベートした。FACS分析に
おいて、これらの血小板の5×10/ウエルを、10μg/mlのビオチン化Vn18
又はコントロール(ファージ表示発生した)IgG(L1R3)を、その後、ストレプトア
ビジン-PE使用して染色した。図11は、非刺激血小板が17.6%のプラスの血小
板を示し、洗浄手順は、血小板ビトロネクチンのいくつかのマイナー表面発現を
既に引き起こしたことを示す。エピネフリン刺激後、この量は、27%まで増加
した一方、トロンビン刺激は、47%VN発現血小板を生じた。コントロール抗体
(抗体?)は、血小板膜への非結合を示す。血小板のトロンビン(0.5U/ml)と
の穏やかな刺激後、Vn18の血小板凝集での影響を最終的に調査するために、別の
凝集物試験を上述したように行なった。図12は、Vn18の100μg/mlの存
在下で、血小板凝集は、20%で減少する一方、コントロール抗体(L1R3)は、影
響されなかったことを示す。
【0085】 本発明を一定の例証された実施例及び好ましい実施態様に関して説明したが、
本発明の範囲は、与えられたクレームを参照して決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 血管形成などの病理的プロセス中に生じるトロンビン−抗トロンビン
IIIの複合体によるビトロネクチンの活性化と、その仲介の概略的な表現。
【図2】 活性化及び天然のビトロネクチンの両方を認識するウサギポリクロー
ナル抗血清と比較したscFv断片Vn7、Vn18、及びVn26による活性化ビトロネクチ
ンの特異的検出。
【図3】 A)モノクローナルファージ抗体(mophab)及びB)血清中の活性化ビ
トロネクチンのscFv認識。ファージ及びscFvを血漿又は血清の存在又は不存在下
、被膜した尿素処理ビトロネクチンへ結合させた。すべてのMophab及びscFvの
結合は、血漿でなく、血清によって阻害することができ、ファージ及びscFvは、
天然の血漿ビトロネクチンではなく、生理的に活性化された血清ビトロネクチン
も特異的に認識することを強く示唆した。
【図4】 大腸、腎臓、肺及び他の病理片の悪性腫瘍における活性化ビトロネ
クチンの存在を説明する免疫組織化学。少し活性化したビトロネクチンを示す大
腸、腎臓、肺及び他の組織の通常の試験片も示された(明細書参照)。
【図5】 A)種々の濃度の抗ビトロネクチン抗体Vn18の存在下で分析された固定
化ビトロネクチンへの内皮細胞の結合。B) 50μg/mlの濃度での3つの抗ビト
ロネクチン抗体(Vn7,Vn18及びVn26)の存在下で分析された固定化ビトロネクチ
ンへの内皮細胞の結合。
【図6】 内皮細胞アポトーシスでの抗ビトロネクチン抗体Vn18の影響。アポト
ーシス細胞の数が、7.7%から12.1%へ増加した。
【図7】 ビトロネクチンの異なる部分での示されたリガンドの結合(−結合し
ない、+結合する)。Vn18の影響をコントロールIgG(ソマトメジンBに対するsmb)
と比較した阻害割合として表現した。既知の結合エピトープを概略的に表した(
上図)。
【図8】 Vn18の1組の異なる精製された融合タンパク質(GST−ビトロネクチン
検出突然変異)との生体外相互作用を示す免疫ブロット。S,C,H1及びH2は、ビト
ロネクチンの異なる領域である(明細書及び図7参照)。
【図9】 Vn18のニワトリビトロネクチンの相互作用。
【図10】 左パネル。Vn18抗体の増加した濃度の血小板接着上の影響。右パネ
ル。ビトロネクチン特異的IgGVn18の存在(+Vn18)又は不存在(−Vn18)下の血小
板凝集の形成。
【図11】 トロンビン及びエピネフリンによる刺激後の血小板発現ビトロネク
チンと結合したVn18でのFACS分析。
【図12】 トロンビンによる刺激後の血小板凝集物の形成におけるVn18の影響
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 43/00 111 43/00 105 C07K 14/52 111 16/24 C07K 14/52 19/00 16/24 G01N 33/53 V 19/00 33/574 B G01N 33/53 C12P 21/08 33/574 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 マルティン フランス ベン ヘラルト ヘッビンク オランダ国 3755 ハーエル エームネス ザートコーレル 34 (72)発明者 ヘンリ ヨハン ブルーメンダル オランダ国 3833 フェーエヌ レスデン ロッヘラント 8 (72)発明者 トン ロフテンベルフ オランダ国 3985 エムカー ヴェルクホ ーフェン ヤハトラストラーン 1 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA21 BA41 CA04 DA02 EA02 GA11 HA11 HA15 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA01 DA13 4C084 AA02 BA44 CA18 DC50 NA14 ZA362 ZA542 ZB212 ZB262 ZC022 4C085 AA13 BB12 CC14 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 BA17 CA40 DA01 DA75 EA28 EA50 FA74

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然型のビトロネクチンよりも活性化ビトロネクチン抗体に対し
    てより高い親和性を有する抗体の重鎖の少なくともCDR3ドメインからなる、抗体
    断片。
  2. 【請求項2】 天然型ビトロネクチンの起源としての血漿(plasma)の存在下で
    、尿素により活性化されたビトロネクチンにおけるサブトラクティブファージ選
    抜によって取得可能な、請求項1記載の抗体断片。
  3. 【請求項3】 配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸
    配列又はその機能を有する一部分、その誘導体及び/又は相同物からなるV領域
    を有する、請求項1又は2記載の抗体断片。
  4. 【請求項4】 配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸
    配列又はその機能を有する一部分、その誘導体及び/又は相同物と、少なくとも
    60パーセントの相同性を有する抗体断片。
  5. 【請求項5】 配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸
    配列又はその機能を有する一部分、その誘導体及び/又は相同物と、少なくとも
    95パーセントの相同性を有する抗体断片。
  6. 【請求項6】 前記ビトロネクチンがヒトビトロネクチンである、請求項1−5
    のいずれか一つの請求項記載の抗体断片。
  7. 【請求項7】 請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片からなる抗
    体。
  8. 【請求項8】 IgG1抗体である請求項7記載の抗体。
  9. 【請求項9】 請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、及び/又
    は請求項7又は8記載の抗体からなる薬剤組成物。
  10. 【請求項10】 被験者において病態を診断する方法であって、前記被験者から
    採取された生物学的なサンプルにおいて活性化ビトロネクチンの存在を検出する
    ことからなる前記方法。
  11. 【請求項11】 前記活性化ビトロネクチンが抗体及び/又は抗体断片を用いて
    検出された、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記抗体が請求項7又は8記載からなり、及び/又は前記抗体
    断片が請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片からなる、請求項1
    1記載の方法。
  13. 【請求項13】 活性化ビトロネクチンの前記検出が、前記ビトロネクチンと結
    合した前記抗体、抗体断片、又はその一部分の存在を検出することからなる、請
    求項11又は12記載の方法。
  14. 【請求項14】 ファージディスプレイ法を用いたライブラリーからの選抜によ
    り由来する、活性化ビトロネクチンの存在を検出するための装置。
  15. 【請求項15】 請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、又は請
    求項7又は8記載の抗体を用いることよりなる、活性化ビトロネクチンの存在を
    検出する方法。
  16. 【請求項16】 活性化ビトロネクチンの存在を検出するために、請求項1−6
    のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、又は請求項7又は8記載の抗体を使用
    する方法。
  17. 【請求項17】 抗体により仲介された抗血管癌療法のための標的として、活性
    化型のビトロネクチンを使用する方法。
  18. 【請求項18】 癌を治療する方法であって、癌−内皮細胞の接着及び/又は移
    動に干渉する、請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗活性化ビトロネク
    チン抗体断片、及び/又は請求項7又は8記載の抗体を患者へ投与することから
    なる、前記方法。
  19. 【請求項19】 活性化ビトロネクチンの存在を検出することに向けられた、抗
    体又は抗体断片を製造する方法。
  20. 【請求項20】 活性化ビトロネクチンの存在を検出するための装置であって、
    (1)抗体又は抗体断片であって、当該抗体又は抗体断片は興味の対象である抗
    体又は抗体断片と結合することが可能である尿素処理したビトロネクチンからな
    るライブラリーからの選抜によってもたらされ、その様な結合は受容体複合体を
    形成し、それによって結合相手と結びついた性質の変化を引き起こす、上記前記
    抗体又は断片;及び(2)検出可能な変化を検出するための手段を使用する、前
    記装置。
  21. 【請求項21】 前記受容体複合体が、ファージディスプレイ法を用いたライブ
    ラリーからの選抜によってもたらされる抗体又はその抗体結合断片からなる、請
    求項20記載の装置。
  22. 【請求項22】 天然型のビトロネクチンよりも活性化ビトロネクチンに対して
    より高い親和性を有している抗体の重鎖の少なくともCDR3ドメインからなる、単
    離されたペプチド断片。
  23. 【請求項23】 天然型のビトロネクチンの起源としての血漿の存在下において
    、尿素により活性化されたビトロネクチンでのサブトラクティブファージ選抜に
    よって取得可能な、請求項22記載のペプチド断片。
  24. 【請求項24】 活性化ビトロネクチンの接着性を少なくとも部分的に変化させ
    るために、請求項7又は8記載の抗体又は請求項1−6のいずれか一つの請求項
    記載の抗体断片を使用する方法。
  25. 【請求項25】 前記接着性が、内皮細胞、細胞外基質蛋白質、及び/又は血小
    板への結合能である、請求項24記載の使用方法。
  26. 【請求項26】 細胞外基質蛋白質への結合能の前記変化が血管形成を防ぐ、請
    求項25記載の使用方法。
  27. 【請求項27】 内皮細胞の活性化ビトロネクチンへの接着を少なくとも部分的
    に阻害する方法であって、前記ビトロネクチンに、請求項1−6のいずれか一つ
    の請求項記載の抗体断片、請求項7又は8記載の抗体、又は請求項22又は23
    記載のペプチドを提供することからなる、前記方法。
  28. 【請求項28】 活性化ビトロネクチンからなる細胞外基質と結びついた内皮細
    胞の細胞死を少なくとも部分的に誘導する方法であって、前記基質に、請求項1
    −6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、請求項7又は8記載の抗体、又は
    請求項22又は23記載のペプチドを提供することからなる、前記方法。
  29. 【請求項29】 前記細胞死がアポトーシスである、請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 活性化されたビトロネクチンとコラーゲン及び/又は内皮細胞
    との相互作用を少なくとも部分的に低下させる方法であって、前記ビトロネクチ
    ンに、請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、請求項7又は8記
    載の抗体、又は請求項22又は23記載のペプチドを提供することからなる、前
    記方法。
  31. 【請求項31】 単離されたペプチドであって、請求項1−6のいずれか一つの
    請求項記載の抗体断片、請求項7又は8記載の抗体、又は請求項22又は23記
    載のペプチドによって認識されるビトロネクチンエピトープからなる、前記ペプ
    チド。
  32. 【請求項32】 少なくとも一部分がビトロネクチンH2ドメインからなる、請求
    項31記載のペプチド。
  33. 【請求項33】 請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、請求項
    7又は8記載の抗体、又は請求項22又は23記載のペプチド、又はその機能を
    有する一部分、その誘導体及び/又は相同物をコードする、単離された又は組み
    換えられた核酸分子。
  34. 【請求項34】 請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、請求項
    7又は8記載の抗体、又は請求項22又は23記載のペプチド、又はその機能を
    有する一部分、その誘導体及び/又は相同物によって認識される、ビトロネクチ
    ンエピトープからなるペプチドをコードする、単離された又は組み換えられた核
    酸分子。
  35. 【請求項35】 前記エピトープがビトロネクチンH2ドメインの少なくとも一部
    分を含む、請求項34記載の核酸分子。
  36. 【請求項36】 請求項33−35のいずれか一つの請求項記載の核酸分子によ
    ってコードされるペプチドからなる、融合蛋白質。
  37. 【請求項37】 ビトロネクチンの存在下で少なくとも部分的に血小板凝集を阻
    害するための方法であって、前記ビトロネクチンに、請求項1−6のいずれか一
    つの請求項記載の抗体断片、請求項7又は8記載の抗体、又は請求項22又は2
    3記載のペプチドを提供することからなる、前記方法。
  38. 【請求項38】 医薬を調製するために、請求項1−6のいずれか一つの請求項
    記載の抗体断片、請求項7又は8記載の抗体、又は請求項22又は23記載のペ
    プチドを使用する方法。
  39. 【請求項39】 血小板凝集を少なくとも部分的に阻害する医薬を調製するため
    に、請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、請求項7又は8記載
    の抗体、又は請求項22又は23記載のペプチドを使用する方法。
  40. 【請求項40】 活性化ビトロネクチンとコラーゲン及び/又は内皮細胞の相互
    作用を少なくとも部分的に低下させる医薬を調製するために、請求項1−6のい
    ずれか一つの請求項記載の抗体断片、請求項7又は8記載の抗体、又は請求項2
    2又は23記載のペプチドを使用する方法。
  41. 【請求項41】 血管の発達を少なくとも部分的に変化させる医薬を調製するた
    めに、請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、請求項7又は8記
    載の抗体、又は請求項22又は23記載のペプチドを使用する方法。
  42. 【請求項42】 内皮細胞の細胞外基質をリモデリングする(remodeling)過程
    に影響する、血管の発達を少なくとも部分的に変化させる方法。
  43. 【請求項43】 前記細胞外基質に、請求項1−6のいずれか一つの請求項記載
    の抗体断片、請求項7又は8記載の抗体、又は請求項22又は23記載のペプチ
    ドを提供することからなる、請求項42記載の方法。
  44. 【請求項44】 請求項1−6のいずれか一つの請求項記載の抗体断片、請求項
    7又は8記載の抗体、又は請求項22又は23記載のペプチドが、活性化ビトロ
    ネクチンに結合することを少なくとも部分的に阻害することが可能である、抗体
    又はその機能を有する一部分、その誘導体及び/又は相同物。
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JPWO2011148669A1 (ja) * 2010-05-25 2013-07-25 株式会社島津製作所 大腸がんマーカービトロネクチン、及び採血試料中のビトロネクチン濃度の分析方法

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