JP2005524399A - Alcamおよびalcam調節因子 - Google Patents

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Abstract

公知の抗原であるALCAMが、転移性悪性黒色腫以外の種々のヒト癌に存在することの発見についての開示が、本明細書に提供される。ALCAMに対する抗体を使用することにより、ALCAMを発現する癌を診断および処置する方法もまた、本明細書に提供される。本発明は、ALCAMに媒介される新血管形成を調節するための組成および方法もまた開示する。本明細書に開示される発明は、公知の抗原であるALCAMが、転移性悪性黒色腫以外の種々の原発性ヒト癌および転移性ヒト癌の両方に存在し、そして抗ALCAM抗体が、このような癌を処置するために使用され得るという発見に関係する。

Description

(関連出願に対する相互参照)
本出願は、米国仮特許出願第60/377,479号(2002年5月3日出願)の利益を主張し、これはその全体が参照として援用される。
(技術分野)
本発明は、生物学および免疫療法の分野にある。さらに具体的に言うと、本発明は、公知の抗原であるALCAMが、黒色腫以外の種々のヒト癌に関連することおよび、抗ALCAM抗体がこのような癌を処置するために使用され得ることという発見に関係する。本発明は、ALCAMに媒介される新血管形成にもまた関係する。
(本発明の背景)
活性化白血球接着分子(ALCAM)は、I型膜貫通タンパク質であり、免疫グロブリンスーパーファミリーの一員である。ALCAM(CD166、KG−CAM、またはニューロリンとも呼ばれ/としても知られる)は、短い細胞質内尾部、および5つのIgドメイン、2つのN末端可変型ドメイン、続いて3つの定常型Igドメインを有する細胞外部分を有する(Ohnedaら,(2001)Blood 98(7):2134−2142)。ALCAMは、ニワトリ接着分子BEN/SC1/DM−GRASPと90%を超える相同性を有し、そしてヒト黒色腫細胞接着分子Mel−CAM/MUC18/CD146と30%の同一性および50%の類似性を有する(Leonら,(2001)J Biol Chem 276(28):25783−25790)。
ALCAMは、活性化された白血球、線維芽細胞、ならびに表皮細胞および神経細胞の部分集合で発現することが見出され、そこでは、ALCAMの発現は、細胞のクラスター形成と相関した。ALCAMは、造血、胸腺発生、免疫応答系、神経突起伸長、神経細胞遊走、および骨形成を含む、発生における複数のプロセスに関与すると考えられる。
免疫組織学的研究により、ALCAMが胚性内皮および背部大動脈で発現することが示された。胚性内皮におけるALCAMの活性化は、造血、内皮細胞発生および内皮管の形成を生じる(Ohnedaら(2001).Blood 98(7):2134−2142)。胚性細胞が新血管形成、および造血を刺激する能力は、ALCAMを発現しない成体細胞においては存在しない。
新血管形成は、組織内での新しい血管の成長である。代表的には、新しい脈管構造は、主として内皮細胞(すなわち、血管で通常見出されて血管を構成する細胞)から構成され、これらの成長は、種々の血管形成因子によりシグナル伝達された。腫瘍、特に周囲の正常組織に比較して急速にかつ攻撃的に増殖しているこれらの癌においては、新しい脈管構造の成長が観察された。この新しい脈管構造は、腫瘍細胞により産生されるシグナル伝達因子の結果として産生され、そしてこのような因子は、恐らく腫瘍の中への血管の成長を刺激するように作用し得たと、いくつかの人が考えてきた。この新しい腫瘍脈管構造は、代表的には、血管と通常結合する内皮細胞から構成されると考えられてきた。研究グループは、通常の血管の形成を阻害する種々の因子(例えば、エンドスタチンおよびアンギオスタチン)によりこの腫瘍血管形成をブロックすることを試みた。
腫瘍血管形成をブロックすることの代替となるアプローチとしては、健常な組織における正常な血管の形成に影響せずに、腫瘍の中または周りの新脈管構造編成の形成を選択的にブロックする因子の同定が挙げられる。1つのこのようなアプローチは、「血管擬態」と命名されるプロセスにおいて、腫瘍の外側から入り込む内皮細胞から産生される新しい脈管構造ではなく、腫瘍細胞から産生される新しい脈管構造を見出すことに基づく(例えば、Hendrixら(2000)Breast Cancer Res.2:417−422を参照のこと)。
ALCAMは、始めはCD6のリガンドとして同定された。ALCAMとCD6との結合は、T細胞と、単球および他の活性化されたT細胞、ならびに上皮細胞、線維芽細胞および特殊化した細胞(例えば、膵島細胞)との相互作用に関与すると考えられる。ALCAMは、慢性関節リウマチで炎症を起こした個体の滑膜における単球系統細胞でもまた発現する(Levesqueら,(1998)Arthiritis Rheum 41(12):2221−9)。ALCAM−CD6相互作用の局在は、慢性関節リウマチのような状態において、慢性的な炎症応答の維持における役割を示唆する(米国特許番号第5,998,172号)。ALCAMに関する特定の相互作用は記載されていて、ALCAMに関連した事象は解明され始めようとしているが、ALCAMが作用する機構はいまだ決定されていない。ALCAMのシグナル伝達分子および他の分子との相互作用を可能にする事象の同定により、ALCAMの機能の理解がより促進され得、そしてALCAMの機能を調節し得る薬剤が提供され得る。このような薬剤は、種々の病理の処置および診断のために有用であり得、これらとしては上に記載のプロセスおよび次の段落に記載のプロセスに関連した薬剤が挙げられる。ALCAMのネイティブなリガンドとの相互作用を可能にする事象および結果として生じる生物学的事象、ならびにこれらの事象を調節し得るペプチドおよび他の構造のより大きな理解が必要とされる。
ヘテロタイプのALCAM−CD6細胞間相互作用に加えて、ALCAMは、ヒト転移性黒色腫細胞株において観察されるのと同様に、ホモタイプのALCAM−ALCAM相互作用を形成し得る。転移性悪性黒色腫細胞はALCAMを発現し、一方ALCAMは非転移性悪性黒色腫細胞においては検出されなかったことが、以前示されている。ALCAMの発現は、非侵襲性の放射方向増殖期(radial growth phase)から転移が可能な垂直方向増殖期(vertical growth phase)への黒色腫の進行と相関した。抗ALCAM抗体は、原発性悪性黒色腫腫瘍の進行の診断マーカーとして使用されてきた(Van kempenら,(2000)America J Path 156(3):769−774)。
診断薬に加えて、抗体は、治療剤として有用であり得る。例えば、免疫療法、または治療目的のための抗体の使用は、近年、癌を処置するために用いられてきた。受動的な免疫療法としては、癌の処置における抗体(通常はモノクローナル抗体)の使用が挙げられる。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology,第6版(2001)第20章 pp.495−508を参照のこと。これらの抗体は、腫瘍細胞の増殖もしくは生存の直接的阻害と、身体の免疫系の自然細胞殺傷活性を補充する能力との両方による、先天的な治療的生物活性を有し得る。これらの薬剤は、単独であるいは放射線または化学療法剤との併用で投与され得る。登録商標Rituxan(登録商標)およびHercepting(登録商標)で購販されたモノクローナル抗体(それぞれ、リンパ腫および乳癌の処置のために認可された)は、このような治療法の2つの例である。代替として、抗体は、この抗体が毒性の薬剤と連結され、そして腫瘍への特異的な結合によりこの薬剤を腫瘍へと指向させる抗体結合体を作製するために使用され得る。登録商標Mylotarg(登録商標)で購販された抗体結合体は、白血病の処置のために使用される認可された抗体結合体の例である。癌細胞と結合し、そして診断および治療のための使用の可能性を有するモノクローナル抗体は、出版物に開示されている。例えば、特に、標的タンパク質のいくつかの分子量を開示する以下の特許出願を参照のこと:米国特許番号第6,054,561号(200KD c−erbB−2(Her2)、および他の未同定の抗原(40−200KDの大きさ))ならびに米国特許番号第5,656,444号(50KDおよび55KD、癌胎児性タンパク質)。臨床試験中および/または固形腫瘍の処置のために認可された抗体の例としては以下が挙げられる:Herceptint(登録商標)(抗原:180kD、HER2/neu)、Panorex(登録商標)(D(抗原:40−50kD、Ep−CAM)、HMFG1(抗原>200kD、HMW Mucin)、C225(抗原:150kDおよび170kD、EGFレセプター)、Campath(登録商標)(抗原:21−28kD、CD52)、ならびにRituxan(登録商標)(抗原:35kD、CD20)。Herceptin(登録商標)(Her−2レセプター)の抗原標的(これは乳癌を処置するために使用される)および、いくつかの癌処置のための臨床試験中のC225(EGFレセプター)は、皮膚、結腸、肺、卵巣、肝臓、および膵臓を含む多数の正常成人組織上でいくらかの検出可能なレベルで存在する。これらの治療法の使用における安全性の限度は、おそらく、これらの部位でのこの抗体の発現のレベルの差異あるいはアクセスまたは活性の差異により提供される。2002年4月の時点で、ALCAMと特異的に結合することが公知である公に入手可能な抗体としては、Linscott’s Directory of Immunological and Biological Reagents(ISSN:0740−7394)に列記される、Antigenix America Inc.(New York)からのクローン18;Ancell Corporation,(Minnesota)からのクローン3A6;Chromaprobe Inc.(California)からのクローンj3−119;Caltag Laboratories Inc.(California)からのクローンL50;R&D Systems,Inc.(Minnesota)からのカタログ番号AF656;ならびにSanta Cruz Biotechnology,(California)からのカタログ番号sc−8548およびsc−8549が挙げられる。
非黒色腫癌細胞の表面の標的を特異的に認識する抗体および他の薬剤でこのような癌を処置するために使用され得る、非黒色腫癌細胞の表面上の新規の標的が必要となる。本明細書に開示される発見に基づいて、細胞の表面上の標的を特異的に認識する新規の抗体および他の薬剤(それは、ALCAMの新たに発見された新血管形成活性を、減少または増強することにより調節し得る)のためのさらなる必要性が、存在する。
(発明の要旨)
本明細書に開示される発明は、公知の抗原であるALCAMが、転移性悪性黒色腫以外の種々の原発性ヒト癌および転移性ヒト癌の両方に存在し、そして抗ALCAM抗体が、このような癌を処置するために使用され得るという発見に関係する。さらに、ALCAMアゴニストおよびALCAMアンタゴニストが、新血管形成を調節するために提供される。
1つの局面において、本発明は、癌細胞上に存在するALCAMに結合する抗ALCAM抗体を含有する組成物である。好ましい実施形態において、この癌細胞は、卵巣癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞、および乳癌細胞からなる群から選択される。ある実施形態において、この癌細胞は、単離される。ある実施形態において、この癌細胞は、生物学的サンプルの中にある。一般に、この生物学的サンプルは、個体(例えばヒト)由来である。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、治療剤または検出可能な標識と連結される。
ある実施形態において、本発明は、宿主細胞(ATCC受託番号PTA−4478)またはそれらの子孫により産生される抗ALCAM抗体mKID2である。
別の局面において、本発明は、抗ALCAM抗体または、抗ALCAM抗体のALCAMへの優先的な結合を競合的に阻害するポリペプチド(これは抗体であってもなくてよい)である。ある実施形態において、本発明は、他の抗ALCAM抗体のようにALCAM上の同じかまたは異なるエピトープと優先的に結合する抗体あるいはポリペプチド(これは抗体であってもなくてよい)である。
別の局面において、本発明は、抗ALCAM抗体のフラグメントまたは領域を含む抗体である。1つの実施形態において、このフラグメントは、この抗体の軽鎖である。別の実施形態において、このフラグメントは、この抗体の重鎖である。さらに別の実施形態において、このフラグメントは、この抗体の軽鎖および/または重鎖由来の1つ以上の可変領域を含む。さらに別の実施形態において、このフラグメントは、この抗体の軽鎖および/または重鎖由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。
別の局面において、本発明は、以下の任意のものを含むポリペプチド(これらは抗体であってもなくてもよい)を提供する:抗ALCAM抗体の、a)軽鎖または重鎖由来の1つ以上のCDR(もしくはこれらのフラグメント);b)軽鎖由来の3つのCDR;c)重鎖由来の3つのCDR;d)軽鎖由来の3つのCDRおよび重鎖由来の3つのCDR;e)軽鎖可変領域;f)重鎖可変領域。
別の局面において、本発明は、ヒト化抗体である。ある実施形態において、このヒト化抗体は、非ヒト抗ALCAM抗体の1つ以上のCDRを含む。ある実施形態において、このヒト化抗体は、他の抗ALCAM抗体のように、同じかまたは異なるエピトープに結合する。一般に、本発明のヒト化抗体は、同一および/または起源となる非ヒト抗ALCAM抗体のCDRに由来する1つ以上の(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはこれらのフラグメント)を含む。ある実施形態において、このヒト抗体は、他の抗ALCAM抗体のように同じかまたは異なるエピトープに結合する。別の局面において、本発明は、非ヒト抗ALCAM抗体の重鎖および軽鎖の可変領域に由来する可変領域ならびにヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域に由来する定常領域を含むキメラ抗体である。
さらに別の局面において、本発明は、モノクローナル抗体mKID2を産生する宿主細胞(ATCC受託番号PTA−4478)である。
別の局面において、本発明は、ATCC受託番号PTA−4478の宿主細胞またはそれらの子孫により産生される抗体mKID2をコードする単離されたポリヌクレオチドである。別の局面において、本発明は、任意のこれらの抗体(抗体フラグメントを含む)および本明細書に記載される任意の他のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
別の局面において、本発明は、本明細書に記載の任意のポリペプチド(本明細書に記載の任意の抗体を含む)またはポリヌクレオチドを含む薬学的組成物(例えば、化学療法剤と連結された抗ALCAM抗体を含有する薬学的組成物、抗ALCAM抗体のフラグメントを含む抗体、非ヒト抗ALCAM抗体のヒト化抗体、非ヒト抗ALCAM抗体の可変領域に由来する可変領域およびヒト抗体の定常領域に由来する定常領域を含むキメラ抗体、あるいは非ヒト抗ALCAM抗体の1つ以上の特性を有するヒト抗体、あるいは化学療法剤(例えば、放射性部分のような)、および薬学的に受容可能な賦形剤と連結された本明細書に記載の任意の抗ALCAM抗体)である。
別の局面において、本発明は、宿主細胞(ATCC受託番号PTA−4478)またはそれらの子孫を、抗体mKID2を産生が可能な条件下で培養すること、ならびにこの抗体mKID2を精製することを包む、抗体mKID2を作製する方法である。
別の局面において、本発明は、適切な細胞の中でこの抗体をコードする1つ以上のポリヌクレオチド(それらは単独の軽鎖または重鎖として別々に発現され得るか、あるいは軽鎖および重鎖の両方が1つのベクターから発現される)を発現させ、ほぼ続いて目的の抗体またはポリペプチドを回収ならびに/あるいは単離することにより、本明細書に記載のこれらの任意の抗体(またはポリペプチド)を作製する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、個体が癌を有するか否かを診断するための方法であって、この個体から選択された細胞上にALCAMの発現が存在するか否かを決定することを含み、この細胞上のALCAMの発現が、この癌を示す方法である。ある実施形態において、ALCAMの発現は、抗ALCAM抗体を使用して決定される。ある実施形態において、この方法は、細胞からのALCAM発現のレベルを検出することを含む。本明細書に使用される用語「検出」とは、対照への参照を伴うかもしくは対照への参照を伴わない、定性的検出(測定レベル)および/または定量的検出(測定レベル)を含む。
別の局面において、本発明は、個体が卵巣癌を有するか否かを診断するための方法であって、この方法は、この個体由来の卵巣細胞上にALCAMの発現が存在するか否かを決定することを含み、この細胞上のALCAMの発現が、該癌を示す方法である。ある実施形態において、ALCAMの発現は、抗ALCAM抗体を使用して決定される。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2である。ある実施形態において、この方法は、細胞からのALCAM発現のレベルを検出することを含む。本明細書に使用される用語「検出」とは、対照への参照を伴うかもしくは対照への参照を伴わない、定性的検出(測定レベル)および/または定量的検出(測定レベル)を含む。
別の局面において、本発明は、個体が肺癌を有するか否かを診断するための方法であって、この方法は、この個体由来の肺細胞上でALCAMの発現が存在するか否かを決定することを含み、この細胞上のALCAMの発現が、該癌を示す方法である。ある実施形態において、ALCAMの発現は、抗ALCAM抗体を使用して決定される。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2である。ある実施形態において、この方法は、細胞からのALCAM発現のレベルを検出することを含む。
別の局面において、本発明は、個体が前立腺癌を有するか否かを診断するための方法であって、この方法は、この個体由来の前立腺細胞上にALCAMの発現が存在するか否かを決定することを含み、この細胞上のALCAMの発現が、該癌を示す方法である。ある実施形態において、ALCAMの発現は、抗ALCAM抗体を使用して決定される。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2である。ある実施形態において、この方法は、細胞からのALCAM発現のレベルを検出することを含む。
別の局面において、本発明は、個体が膵臓癌を有するか否かを診断するための方法であって、この方法は、この個体由来の膵臓細胞上にALCAMの発現が存在するか否かを決定することを含み、この細胞上のALCAMの発現が、該癌を示す方法である。ある実施形態において、ALCAMの発現は、抗ALCAM抗体を使用して決定される。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2である。ある実施形態において、この方法は、細胞からのALCAM発現のレベルを検出することを含む。
別の局面において、本発明は、個体が結腸癌を有するか否かを診断するための方法であって、この方法は、この個体由来の結腸細胞上にALCAMの発現が存在するか否かを決定することを含み、この細胞上のALCAMの発現が、該癌を示す方法である。ある実施形態において、ALCAMの発現は、抗ALCAM抗体を使用して決定される。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2である。ある実施形態において、この方法は、細胞からのALCAM発現のレベルを検出することを含む。
別の局面において、本発明は、個体が乳癌を有するか否かを診断するための方法であって、この方法は、この個体由来の乳細胞上にALCAMの発現が存在するか否かを決定することを含み、この方法は、この細胞上のALCAMの発現が、該癌を示す方法である。ある実施形態において、ALCAMの発現は、抗ALCAM抗体を使用して決定される。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2である。ある実施形態において、この方法は、細胞からのALCAM発現のレベルを検出することを含む。
別の局面において、本発明は、個体における癌(例えば、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸癌、または乳癌であるがこれらに限定されない)の診断を補助する方法であって、この方法は、この個体からの生物学的サンプルでのALCAMの発現を決定することを含む。ある実施形態において、ALCAMの発現は、抗ALCAM抗体を使用して決定される。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2である。ある実施形態において、この方法は、細胞からのALCAM発現のレベルを検出することである。
さらに別の局面において、本発明は、化学療法剤を個体における癌細胞へ送達するための方法であって、この方法は、化学療法剤と会合した(連結したとも含めて)抗ALCAM抗体を含有する有効量の組成物をこの個体へ投与することを含む。ある実施形態において、これらの癌細胞は、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞である(しかしそれらに限定されない)。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2に由来するヒト化抗体(一般に、しかし必然的ではなく、この抗体mKID2の1つ以上の部分的なCDRまたはインタクトなCDRを含む)である。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、この抗体mKID2の1つ以上の特性を有するヒト抗体である。ある実施形態において、この化学療法剤(例えば、毒素または放射性分子)は、これらの卵巣癌細胞の中に送達される(内部移行される)。ある実施形態において、この薬剤は、サポリンである。
別の局面において、本発明は、個体における癌を処置するための方法であって、この方法は、化学療法剤と会合した(連結したとも含めて)抗ALCAM抗体を含有する有効量の組成物をこの個体へ投与することを含む。ある実施形態において、この癌は、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、結腸癌、または乳癌(しかし、これらに限定されない)からなる群から選択される。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2に由来するヒト化抗体(一般に、しかし必然的ではなく、この抗体mKID2の1つ以上のCDRを含む)である。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、この抗体mKID2の1つ以上の特性を有するヒト抗体である。ある実施形態において処置された癌は、卵巣癌であり、そしてこの化学療法剤(例えば、毒素または放射性分子)は、これらの卵巣癌細胞に送達される(内部移行される)。ある実施形態において、この薬剤は、サポリンである。
別の局面において、本発明は、インビトロでまたは個体における癌細胞の成長(growth)および/または増殖(proliferation)を阻害する方法であって、この方法は、化学療法剤と会合した(連結したことも含めて)抗ALCAM抗体を含有する有効量の組成物をこの細胞培養物またはサンプル、この個体へ投与することを含む。ある実施形態において、これらの癌細胞は、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞である(しかしそれらに限定されない)。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2に由来するヒト化抗体(一般に、しかし必然的ではなく、この抗体mKID2の1つ以上の部分的なCDRまたはインタクトなCDRを含む)である。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、この抗体mKID2の1つ以上の特性を有するヒト抗体である。ある実施形態において、これらの癌細胞は、卵巣癌細胞であり、そしてこの化学療法剤(例えば、毒素または放射性分子)は、これらの卵巣癌細胞に送達される(内部移行される)。ある実施形態において、この薬剤は、サポリンである。
別の局面において、本発明は、癌を有する個体における転移の発達を遅延させる方法であって、この方法は、化学療法剤と会合した(連結したとも含めて)抗ALCAM抗体を含有する有効量の組成物をこの個体へ投与することを含む。ある実施形態において、この癌は、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、結腸癌、または乳癌である。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2に由来するヒト化抗体(一般に、しかし必然的ではなく、この抗体mKID2の1つ以上のCDRを含む)である。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、この抗体mKID2の1つ以上の特性を有するヒト抗体である。ある実施形態において、この癌は、卵巣癌であり、そしてこの化学療法剤(例えば、毒素または放射性分子)は、これらの卵巣癌細胞に送達される(内部移行される)。ある実施形態において、この薬剤は、サポリンである。
本発明は、ALCAMの細胞質内シグナル伝達パートナーとの会合を増強させるかまたは減衰させるかのいずれかにより調節するための方法を、さらに提供する。ALCAMと細胞質内シグナル伝達パートナーとの会合は、細胞表面上に存在するALCAM分子と、このシグナル伝達パートナーのALCAMの結合を調節する薬剤とを接触させることにより、影響を与えられ得る。ALCAMとこれの結合パートナーおよび/またはシグナル伝達パートナーとの会合をブロックまたは減衰させる薬剤は、ALCAMに媒介される新血管形成に関与する生物学的プロセスおよび病理学的プロセスを調節するために使用され得る。この作用に関与する病理学的プロセスは、腫瘍関連血管成長を含む。
薬剤は、これらがALCAMと結合パートナー(例えば、抗ALCAM抗体またはCD6)との会合をブロック、減衰、増強、または別の方法で調節する能力について試験され得る。特に、薬剤は、このALCAM相互作用部位(典型的には、これがインタクトな生細胞上に存在するようなネイティブな高次構造にある)を含むペプチドを、結合パートナーおよび試験薬剤とともにインキュベートすること、ならびにこの試験薬剤がこの結合パートナーとこのALCAMペプチドとの結合を減衰または増強するか否かを決定することにより、このような相互作用を調節する能力について試験され得る。アゴニスト、アンタゴニスト、および他の調節因子は明白に熟慮される。
さらに別の局面において、本発明は、インビトロでまたは個体における血管生成を促進するための方法であって、この方法は、抗ALCAM薬剤を含有する有効量の組成物をこの個体へ投与することを含む方法である。
さらに別の局面において、本発明は、インビトロでまたは個体における血管生成を促進するための方法であって、この方法は、抗ALCAM抗体を含有する有効量の組成物をこの個体へ投与することを含む。
さらに別の局面において、本発明は、インビトロまたは個体における血管生成を阻害する方法であって、この方法は、拮抗性抗ALCAM薬剤を含有する有効量の組成物をこの個体へ投与することを含む。
さらに別の局面において、本発明は、インビトロまたは個体における血管生成を阻害する方法であって、この方法は、拮抗性抗ALCAM抗体を含有する有効量の組成物をこの個体へ投与することを含む。
さらに別の局面において、本発明は、新血管形成を促進する組成物であって、この組成物は、非内皮細胞上でALCAMに結合する薬剤を含有する。
さらに別の局面において、本発明は、新血管形成を阻害する組成物であって、この組成物は、非内皮細胞上でALCAMに結合するアンタゴニスト薬剤を含有する組成物である。
さらに別の局面において、本発明は、新血管形成を促進する組成物であって、この組成物は、非内皮細胞上でALCAMに結合する抗体を含有する組成物である。
さらに別の局面において、本発明は、新血管形成を阻害する組成物であって、この組成物は、非内皮細胞上でALCAMに結合する拮抗性抗体を含有する組成物である。
さらに別の局面において、本発明は、インビトロまたは個体における血管生成を阻害する方法であって、この方法は、血管新生促進分子に対する抗体を含有する有効量の組成物を個体へ投与することを含む。
さらに別の局面において、本発明は、インビトロまたは個体における血管生成を促進する方法であって、この方法は、少なくとも1つの血管新生促進分子を含有する有効量の組成物をこの個体へ投与することを含む。
(本発明の詳細な説明)
本明細書に開示される発明は、この抗原ALCAMが種々のヒト癌(卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、結腸癌、および乳癌が挙げられるがこれらに限定されない)上に存在することの発見に関する。本発明は、ALCAMと結合する抗体およびポリペプチドならびに、このような癌を診断してこれらの癌を処置するためにこれらの抗体およびポリペプチドを作製および使用する方法を提供する。抗ALCAM抗体は、インビトロで癌細胞の増殖を、この細胞の表面に存在するALCAMに結合して治療剤のこれらの癌細胞の中への内部移行を引き起こすことにより抑制することが見出された。
(I.一般的技術)
本発明の実施は、別の方法で示される場合を除き、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術を使用し得、これらは当該分野の技術範囲内である。これらの技術は、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(Sambrookら,1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,編,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,編,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney,編,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,およびD.G.Newell,編,1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell,編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos,編,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら,編,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullisら,編,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら,編,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:a practicalapproach(D.Catty.,編,IRL Press,1988−1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean,編,Oxford University Press,2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra,編,Harwood Academic Publishers,1995);ならびに、Cancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVitaら,編,J.B.Lippincott Company,1993)のような文献に完全に説明される。
(II.定義)
「抗体」とは、この免疫グロブリン分子の可変領域に位置される、少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、ポリペプチドのような標的と特異的に結合することが可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用されるように、この用語は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけでなく、これらのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(ScFv)、天然に存在する改変体、所要の特異性を持つ抗原認識部位を有する抗体部分を含む融合タンパク質、キメラ抗体(例えば、ヒト化抗体)、および所要の特異性を持つ抗原認識部位を含む、改変された立体配置の免疫グロブリン分子をもまた、含む。
「モノクローナル抗体」とは、天然に存在する改変体を含み得る本質的に均質な抗体集団を指し、このモノクローナル抗体は、抗原の選択的結合に関与するアミノ酸(自然発生および非自然発生)から構成される。モノクローナル抗体」は、高特異的で、単一の抗原性部位に対して指向される。この用語は、この抗体の由来元、またはこれが作製された手法(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などにより)に関して限定されることを意図しない。この用語は、免疫グロブリン全体および「抗体」の定義の下で上に記載のフラグメントなどを含む。
「ヒト化抗体」とは、一般には組換え技術を使用して調製される、非ヒト可変領域およびヒト定常領域を含有するキメラ分子を指す。このことにより、ヒト個体における免疫原としての定常領域が取り除かれるが、しかし外来性可変領域に対する免疫応答の可能性は、残ったままである(LoBuglio,A.F.ら,(1989)Proc Natl Acad Sci USA 86:4220−4224)。別のアプローチは、ヒト由来の定常領域を提供することに焦点を置くだけでなく、可変領域を、これらが可能な限りヒトの形態に近く再形成するように改変することに焦点を置く。重鎖および軽鎖両方の可変領域が、問題となる抗原への応答に変化を有して結合能力を決定する3つの相補性決定領域(CDR)、隣接して、4つのフレームワーク領域(FR)(これらは、所定の種において比較的保存され、これらのCDRの足場をおそらくは提供する)を含有することは、公知である。非ヒト抗体が特定の抗原に関して調製される場合、この可変領域は、非ヒト抗体に由来するCDRを改変されるべきヒト抗体に存在するFR上にグラフトすることにより「再形成」または「ヒト化」され得る。このアプローチの種々の抗体への適用は、Sato,K.,ら,(1993)Cancer Res 53:851−856.Riechmann,L.,ら,(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyen,M.,ら,(1988)Science 239:1534−1536;Kettleborough,C.A.,ら,(1991)Protein Engineering 4:773−3783;Maeda,H.,ら,(1991)Human Antibodies Hybridoma 2:124−134;Gorman,S.D.,ら,(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:4181−4185;Tempest,P.R.,ら,(1991)Bio/Technology 9:266−271;Co,M.S.,ら,(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2869−2873;Carter,P.,ら,(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:4285−4289;ならびに、Co,M.S.ら,(1992)J Immunol 148:1149−1154により報告された。ある実施形態において、ヒト化抗体は、すべてのCDR配列を保持する(例えば、マウス抗体由来の6つのCDRすべてを含有するヒト化マウス抗体)。他の実施形態において、ヒト化抗体は、この起源となる抗体に関して変更された1つ以上のCDR(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)を有し、これらは、この起源となる抗体由来の1つ以上のCDR「に由来する」1つ以上のCDRともまた呼ばれる。
抗体またはポリペプチドと「特異的に結合する」かあるいは「優先的に結合する」(本明細書中では相互転換可能に使用される)エピトープはまた、当該分野で周知であり、特異的または優先的結合をけっていする方法もまた当該分野で周知である。分子は、代替となる細胞もしくは基質と反応する場合よりも、より高頻度に、より急速に、より長い持続時間でおよび/またはより大きな親和性で特定の細胞もしくは基質と反応する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を呈示すると言われる。抗体は、他の基質と結合する場合よりも、より高い親和性で、より高い結合力で、より容易に、および/またはより長い持続時間で結合する場合、「特異的に結合する」か、または「優先的に結合する」。例えば、ALCAMエピトープと特異的に結合するかまたは優先的に結合する抗体は、他のALCAMエピトープまたは非ALCAMエピトープと結合する場合よりも、より高い親和性で、より高い結合力で、より容易に、および/またはより長い持続時間でこのALCAMエピトープと結合する抗体である。この定義を読むことにより、例えば、第1の標的と特異的にまたは優先的に結合する抗体(または部分またはエピトープ)は、第2の標的と特異的にまたは優先的に結合してもしなくてもよいこともまた、理解される。従って、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を必ずしも必要としない(しかし含み得る)。一般に、しかし必ずしもそうではなく、結合についての言及は、優先的結合を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「mKID2」、「抗体mKID2」および「モノクローナル抗体mKID2」は、ATCC番号PTA−4478の受託番号を有する宿主細胞またはこれの子孫により産生される免疫グロブリンを指すように相互転換可能に使用される
異なる生物学的機能は、抗ALCAM抗体と関連し、これらの異なる生物学的機能として、ALCAM(卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞が挙げられるがそれらに限定されない癌細胞上のALCAMを含む)と結合する能力;生細胞の表面上に露出したALCAMの部分とインビトロまたはインビボで結合する能力;化学療法剤をALCAMを発現する癌性細胞(例えば、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞)へ送達する能力;治療剤または検出可能なマーカーをALCAMを発現する癌細胞(例えば、卵巣癌細胞)の中に送達する能力が挙げられるがそれらに限定されない。本明細書中で考察される場合、本発明のポリペプチド(抗体を含む)は、これらの特徴の任意の1つ以上を有し得る。
「抗ALCAM等価抗体」または「抗ALCAM等価ポリペプチド」とは、抗ALCAM抗体に関連した1つ以上の生物学的機能(例えば、結合特異性のような)を有する抗体またはポリペプチドを指す。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すように本明細書中で相互転換可能に使用される。このポリマーは、直鎖状または分枝状であり得、改変されたアミノ酸を含有し得、非アミノ酸により妨害され得る。この用語は、自然にまたは介入により改変された(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、あるいは任意の他の操作または改変(例えば標識化組成物との結合体化))アミノ酸ポリマーをもまた含む。この定義の中にもまた含まれるものとして、例えば、アミノ酸の1つ以上のアナログ(例えば、不自然なアミノ酸などが挙げられる)を含有するポリペプチド、および他の当該分野で公知の改変もまたある。本発明のポリペプチドが抗体をベースとするので、これらのポリペプチドは単鎖または関連した鎖を生じ得ることが、理解される。
薬学的組成物の「有効量」とは、1つの実施形態において、有益な結果または所望の結果(臨床的結果(例えば、腫瘍の大きさの縮小、癌性細胞増殖の遅延、転移の発達を遅延させること、この疾患に起因する症状の減少、この疾患の罹患者の生活の質の向上、この疾患を処置するために必要となる他の医薬の投与量の減少、例えば標的化および/または内部移行を通じての別の医薬の効果を増強させること、この疾患の進行を遅延させること、ならびに/あるいは癌に関連した重篤な疾患を有する個体の生存の延長)を限定されずに含む)の効能をもたらすために十分な量である。別の実施形態において、有効量は、ALCAMアゴニストまたはアンタゴニストでの処置の場合において、新血管形成を調節する(促進または阻害する)ために十分な量である。有効量は、1つ以上の投与において投与され得る。本発明の目的のために、薬学的組成物の有効量は、直接的もしくは間接的に、癌性細胞の増殖(proliferation)を減少させ(または癌性細胞を破壊し)そして癌性細胞の転移の発達を減少および/または遅延させるために十分な量である。ある実施形態において、薬剤、化合物、または薬学的組成物の有効量は、別の薬剤、化合物、または薬学的組成物と組み合わせて達成されてもされなくてもよい。従って、「有効量」とは、1つ以上の化学療法剤を投与することの文脈において考慮され得、そして単独の薬剤は、1つ以上の他の薬剤との組み合わせにおいて、所望の結果が達成され得るか達成される場合、有効量で与えられるように考慮され得る。個々の必要量は変動する一方、各々の組成物の最適な範囲の有効量の決定は、当該分野の範囲である。代表的な投与量として、0.1〜100mg/kg/体重が挙げられる。好ましい投与量として、1〜100mg/kg/体重が挙げられる。最も好ましい投与量として、10〜100mg/kg/体重が挙げられる。
本明細書に使用される場合、「処置」または「処置する」とは、有益な結果または所望の結果(臨床的結果を含み、そして好ましくは臨床的結果)を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床的結果として、以下:癌性細胞もしくは他の疾患細胞の増殖(proliferation)の減少(または癌性細胞もしくは他の疾患細胞の破壊)、癌において見出される癌性細胞の転移の減少、腫瘍の大きさの縮小、この疾患に起因する症状の減少、疾患の罹患者の生活の質の向上、この疾患を処置するために必要となる他の医薬の投与量の減少、この疾患の進行を遅延させること、ならびに/あるいは癌を有する個体の生存の延長の中の、1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に使用される場合、「転移の発達を遅延させること(delaying)」とは、転移の発達を遅らせる(defer)、邪魔する(hinder)、遅延させる(retard)、安定化する(stabilize)、および/または延期させる(postpone)ことを意味する。この遅延は、この癌および/または処置される個体の履歴に依存して、時間の長さを変更させることであり得る。当業者にとって明らかとなる場合、十分なまたは有意な遅延は、事実上、個体が転移を発達させない予防を含み得る。
「生物学的サンプル」とは、個体から得られた種々のサンプル型を含み、そして診断的アッセイまたはモニタリングアッセイに使用され得る。この定義として、血液および生物学的起源の他の液体サンプル、生検標本のような固体組織サンプルもしくは組織培養物またはこれらに由来する細胞、ならびにこれらの子孫、例えば、癌を有する疑いのある個体から(好ましい実施形態においては、卵巣組織、肺組織、前立腺組織、膵臓組織、結腸組織、および乳房組織から)回収された組織サンプルから得た細胞が、挙げられる。用語「生物学的サンプル」とは、臨床的サンプルを含み、そして培養物中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、結成、血漿、生物学的液体、および組織サンプルもまた、挙げられる。
本明細書に使用される場合、核酸分子または薬剤、抗体、組成物あるいは細胞などは、核酸分子または薬剤、抗体、組成物あるいは細胞などが、これの起源となる供給元由来の夾雑した核酸分子、抗体、薬剤、組成物または細胞などから本質的に分離される場合、「単離される」と言われる。
「個体」とは、脊椎動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。哺乳動物として、家畜、競技動物、ペット(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類、マウスおよびラットが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に使用される場合、「薬剤」とは、生物学的、薬学的、または化学的化合物を指す。限定されない例として、単純なもしくは複雑な有機または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、あるいは化学治療化合物が挙げられる。種々の化合物(例えば、低分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、および種々のコア構造をベースとした合成有機化合物)は、合成され得る。さらに、種々の自然供給源(例えば、植物抽出物または動物抽出物など)は、スクリーニングのための化合物を提供し得る。当業者は、本発明の薬剤の構造的性質について制限がないことを、容易に認識し得る。
本発明の方法で使用される薬剤は、ランダムに選択され得るかあるいは、合理的に選択または設計され得る。本明細書に使用される場合、薬剤は、この薬剤が、ALCAMとこれのネイティブな結合パートナーもしくは既知の抗体との会合に関与する特異的な配列を考慮することなくランダムに選択される場合、ランダムに選択されると言われる。ランダムに選択された薬剤の例は、化学物質ライブラリーまたはペプチド組み合わせライブラリーの使用である。
本明細書に使用される場合、薬剤は、この薬剤が標的部位の配列および/またはこれの立体配置を、この薬剤の作用と結び付けて考慮に入れる非ランダム的根拠の上で選択される場合、合理的に選択または設計されると言われる。抗ALCAM薬剤に関しては、ALCAMに対する抗体が惹起され得る少なくとも3つのエピトープが存在し、従ってALCAM/抗ALCAM相互作用をブロックする薬剤のための少なくとも3つの作用部位が存在することが、現在考えられる。本発明は、ALCAMとそれのネイティブの結合パートナーとの間の相互作用部位で作用する薬剤(CD6として普通は知られる)もまた含む(他のネイティブなリガンドおよびこれらの活性のあるALCAM相互作用性部位は、現在公知であるか後に同定されるかに関わらず、本発明の範囲内にもまた含まれる)。薬剤は、レセプター/リガンド対および/またはALCAM/抗ALCAM抗体対の接触部位を作り上げるペプチド配列を利用することにより、合理的に選択されるかまたは合理的に設計される。例えば、合理的に選択されたペプチド薬剤は、アミノ酸配列が、ALCAMのネイティブな環境において生細胞の表面に露出された場合にALCAM上に現れるエピトープと同一であるペプチドであり得る。このような薬剤は、所望の場合、この抗ALCAM抗体との結合またはCD6との結合により、このALCAM抗体とALCAMとの会合、またはALCAMとCD6との会合を減少またはブロックする。
本明細書に使用される場合、用語「標識化された」(この抗体に対して)とは、放射活性薬剤または蛍光物質(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)またはフィコエリトリン(PE))のような検出可能な基質とこの抗体とをカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことによるこの抗体の直接的標識化、ならびに検出可能な基質との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識化を含むように意図される。
本明細書に使用される場合、用語「会合」(この抗体に対しての)とは、薬剤(例えば、化学療法剤)との共有結合的付着および非共有結合的付着あるいは結合が挙げられる。この抗体は、共通のプラットフォームに対する付着を通じての直接的結合または間接的結合により、薬剤(例えば、化学療法剤)と会合し得、これにより、この抗体は、この薬剤の、抗体が結合してこれらの抗体および薬剤が生理学的条件下で実質的に解離しない癌性細胞への局在化を指向させ、これにより、この薬剤は、この抗体が結合する同一の癌性細胞に対して標的化されないか、またはこの薬剤潜在能力は減少しない。
(III.抗ALCAM抗体の組成物)
活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)に特異的であるとして当該分野で公知の抗体は、存在し、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方が挙げられる。2002年4月の時点で、公に入手可能な抗ALCAM抗体は、R&D Systems,Inc.;Antigenix America Inc.,New Yorkからのクローン18;Ancell Corporation,Minnesotaからのクローン3A6;Chromaprobe Inc.,Californiaからのクローンj3−119;Caltag Laboratories Inc.,CaliforniaからのクローンL50;R&D Systems,Inc.,Minnesotaからのカタログ番号AF656(Linscott’s Directory of Immunological and Biological Reagents(ISSN:0740−7394)に列記される)およびSanta Cruz Biotechnologyからのポリクローナル抗体から入手可能である。これらの抗体を購入し得、あるいは代替として、抗原ALCAMを購入するかまたは別に従来の方法により取得し得て、ALCAMに対する追加の抗体を作製するための免疫原として使用し得る。ALCAMを免疫原として発現する細胞を使用する技術は、下にさらに詳細に記載される。
本発明はまた、抗ALCAM抗体、抗ALCAM抗体に由来するポリペプチド、抗ALCAM抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチド、および本明細書に記載される他の薬剤を含む組成物(薬学的組成物を含む)も含む。抗体mKID2は、本発明の実施における使用に適する抗ALCAM抗体である。これは、American Type Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd.,Manassas VA 20110−2209)(2002年6月21日、特許寄託指定番号PTA−4478)に寄託したハイブリドーマから産生される。本明細書に使用される場合、組成物は、1つ以上の抗体、ALCAMと結合するポリペプチドおよび/またはタンパク質、ならびに/あるいは1つ以上の抗体をコードする配列を含む1つ以上のポリヌクレオチド、ALCAMと結合するポリペプチドおよびタンパク質を、さらに含む。さらに下で考察されるように、本発明に含まれる組成物としては、ALCAMに媒介される新血管形成を増強または減少させる薬剤もまた挙げられる。作用のいかなる特異的な機構に限定されることなく、これらの新血管形成調節因子は、ALCAMに直接作用し得るかあるいはネイティブな結合パートナーまたは誘導された結合パートナーに作用し得る。CD6は、本発明の教えに従うと、ALCAMに媒介される新血管形成を増強または減少させる薬剤による調節に適する公知の結合パートナーの例である。本明細書に記載の所望の特性を有する抗CD6抗体は、本発明の実施において利用され得る。
薬理学的に活性の薬剤に加えて、本発明の組成物は適切な薬学的に受容可能なキャリアを含み得、これらのキャリアは賦形剤および助剤を含み、これらの賦形剤および助剤は、当該分野で周知であり、そして、活性のある化合物の、作用部位への送達のために薬学的に使用され得る調製の中でのプロセスを促進する。非経口投与のために適切な処方としては、水溶性形態での活性のある化合物の水溶液、例えば、水溶性塩が挙げられる。さらに、油性注射懸濁物のために適切な活性のある化合物の懸濁物は、投与され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油)、あるいは合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)が挙げられる。水性注射懸濁物は、懸濁物の粘性を増加させる物質を含み得、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが挙げられ得る。必要に応じて、懸濁物はまた、安定化剤も含み得る。リポソームはまた、細胞の中への送達のために薬剤をカプセル化するためにも使用され得る。
本発明に従っての全身投与のための薬学的処方は、経腸投与、非経口投与または局所的投与のために処方され得る。実際、3つの型の処方は、活性のある成分の全身投与を達成するために同時に使用され得る。
経口投与に適した処方としては、硬いもしくは軟らかいゼラチンカプセル、丸薬、錠剤(コートされた錠剤を含む)、エリキシル、懸濁物、シロップまたは吸入ならびにこれらの徐放形態が挙げられる。
本発明の抗体、薬剤、ポリペプチドおよびタンパク質は、以下の判定基準のいずれか(1つまたはそれ以上)によりさらに同定されそして特徴付けられる:(a)(癌細胞(卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞が挙げられるがこれらに限定されない)上のALCAMを含む)と結合する能力;(b)公知の抗ALCAM抗体のALCAMへの優先的な結合を競合的に阻害する能力(起源となる抗体が優先的に結合する同一のALCAMエピトープと優先的に結合する能力を含む);(c)生細胞の表面上に露出したALCAMの一部分とインビトロでまたはインビボで結合する能力;(d)生きている癌細胞(例えば、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞のような、しかしこれらに限定されない)の表面上に露出したALCAMの一部分と結合する能力;(e)化学療法剤または検出可能なマーカーをALCAMを発現する癌性細胞(例えば、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞のような、しかしこれらに限定されない)へ送達する能力;(f)治療剤をALCAMを発現する癌性細胞(例えば、卵巣癌細胞のような、しかしこれに限定されない)の中に送達する能力。
ある実施形態において、本発明の抗体は、ATCC番号PTA−4478の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫により産生される抗体mKID2である。本発明はまた、mKID2の種々の処方および等価な抗体またはポリペプチドフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、単鎖(ScFv)、これらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ならびに要求される特異性の抗原(ALCAM)認識部位を含むmKID2の任意の他の改変された立体構造も含む。本発明はまた、mKID2の1つ以上の生物学的特性を呈示するヒト抗体も提供する。mKID2の等価抗体(ヒト化抗体およびヒト抗体が挙げられる)、mKID2のポリペプチドフラグメント、ならびにこれらのフラグメントのいずれかを含むポリペプチドは、上記の5つの判定基準のいずれか(1つ以上)により同定および特徴付けされる。
ある実施形態において、ALCAMと結合する本発明の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、mKID2のALCAMとの優先的結合を競合的に阻害する抗体、ポリペプチドおよびタンパク質である。ある実施形態において、これらの抗体、これらのポリペプチドおよびこれらのタンパク質は、抗体mKID2が優先的に結合するものと同じALCAM上のエピトープと、優先的に結合する。
従って、本発明は、以下の中のいずれか(または以下の中のいずれかを含む組成物(薬学的組成物を含む))を提供する:(a)ATCC番号PTA−4478の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫により産生される抗体mKID2;(b)ヒト化した形態の抗体mKID2;(c)抗体mKID2の1つ以上の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む抗体;(d)抗体mKID2の重鎖および軽鎖の可変領域に相同なまたはこれに由来する可変領域、ならびにヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域に相同なまたはこれに由来する定常領域を含むキメラ抗体;(e)mKID2の1つ以上の軽鎖CDRおよび/または重鎖CDR(少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ)を含む抗体;(f)mKID2の重鎖および/または軽鎖を含む抗体;(g)mKID2と等価であるヒト抗体。ヒト化した形態の抗体は、mKID2、またはATCC番号PTA−4478の寄託番号を有する宿主細胞により産生される抗体と同一のCDRを有しても有さなくてもよい。CDR領域の決定は、当該分野の範囲内である。ある実施形態において、本発明は、mKID2の少なくとも1つのCDR、少なくとも2つのCDR、少なくとも3つのCDR、少なくとも4つのCDR、少なくとも5つのCDRと実質的に相同である(または、ある実施形態において、mKID2のすべての6つのCDRと実質的に相同であるか、またはmKID2に由来する)、少なくとも1つのCDRを含む抗体、あるいはATCC番号PTA−4478の寄託番号を有する宿主細胞により産生される抗体を、提供する。他の実施形態としては、mKID2の少なくとも2つのCDR、3つのCDR、4つのCDR、5つのCDRまたは6つのCDRと実質的に相同であるかまたはmKID2に由来する、少なくとも2つのCDR、3つのCDR、4つのCDR、5つのCDR、または6つのCDRを有する抗体、あるいはATCC番号PTA−4478の寄託番号を有する宿主細胞により産生される抗体が挙げられる。本発明の目的のために、結合特異性および/または全体的活性(化学療法剤を癌性細胞へまたは癌性細胞の中に送達して、癌細胞の増殖(growth)および/または増殖(proliferation)を減少させ、癌細胞においてアポトーシス性細胞死を誘導し、転移の発達を遅延させ、および/または一時的に緩和させて処置する点であり得る)が一般に保持されるが、活性の程度はmKID2と比較して変化し得る(より大きくなり得るかまたはより小さくなり得る)ことが、理解される。本発明はまた、これらの抗体のいずれかを作製する方法も提供する。抗体を作製する方法は、当該分野で公知であり、本明細書に記載される。
本発明はまた、mKID2のような本発明の抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドも提供する。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、この抗体の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域の1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、この抗体の軽鎖CDRおよび/または重鎖CDRの1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、この抗体の軽鎖および/または重鎖の3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、以下のいずれかを有する抗体のアミノ酸配列を含む:起源となる抗体の配列の少なくとも5個の連続したアミノ酸、少なくとも8個の連続したアミノ酸、少なくとも約10個の連続したアミノ酸、少なくとも約15個の連続したアミノ酸、少なくとも約20個の連続したアミノ酸、少なくとも約25個の連続したアミノ酸、少なくとも約30個の連続したアミノ酸(ここで、このアミノ酸の少なくとも3つは、この抗体の可変領域由来である)。1つの実施形態において、この可変領域は、起源となる抗体の軽鎖由来である。別の実施形態において、この可変領域は、この抗体の重鎖由来である。別の実施形態において、この5つの(またはそれより多い)連続したアミノ酸は、この抗体の相補性決定領域(CDR)由来である。
(IV.抗ALCAM抗体を産生する方法)
ALCAMに対する抗体を作製する方法は、当該分野で公知である。代表的には、モノクローナル抗体は、非ヒト種(たとえば、マウス)において開発される。この抗体は、ヒトALCAMを含む免疫原性量の細胞、細胞抽出物、またはタンパク質調製物(例えば、ヒト胸腺上皮細胞)によるマウスの免疫化により産生される。免疫原のために使用される細胞は、これらの免疫原としての使用の前にある期間(少なくとも24時間)の間培養され得る。細胞は、これ自体でまたは非変性アジュバント(例えば、Ribi)と組み合わせて免疫原として使用され得る。一般に、細胞は、免疫原として使用される場合に、インタクトでそして好ましくは生存して保たれるべきである。インタクトな細胞は、破裂した細胞においてよりもよりよく抗原を検出させ得る。変性アジュバントまたは荒いアジュバント、例えば、フロイントアジュバントの使用は、細胞を破裂させ得、そして従って望ましくない。免疫原は、周期的な間隔をおいて(例えば、隔週で、または一週間ごとに)複数の回数投与され得るか、または動物において生存性を維持するような方法で(例えば、組織組換えで)投与され得る。ハイブリドーマは、脾細胞とマウス腫瘍パートナーとを、例えば、一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を使用して融合することから調製される(KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497)。
細胞融合技術の別の代替として、EBV不死化B細胞は、本発明のモノクローナル抗体を産生するために使用され得る。このハイブリドーマを展開してサブクローニングし、望まれる場合に、上清を抗免疫原活性について従来のアッセイ手順(例えば、FACS、IHC、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、蛍光イムノアッセイなど)によりアッセイする。
別の代替において、この抗体は、組換え的に作製され得る。組換え抗体を作製するための方法は、当該分野で周知である。モノクローナル抗体mKID2および任意の他の等価な抗体は、塩基配列決定され得、インビトロで組換え的に産生され得る。1つの実施形態において、mKID2を配列決定し、次いで、このポリヌクレオチド配列を発現または伝播のためのベクターの中にクローン化される。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞においてベクターの中で維持され得、次いで、この宿主細胞を拡張して将来の使用のために凍結させる。別の代替において、抗体を、ファージディスプレイ技術により組換え的に作製し得る。例えば、米国特許番号第5,565,332号;同第5,580,717号;同第5,733,743号;同第6,265,150号;およびWinterら,Annu.Rev.Immunol.(1994)12:433−455を参照のこと。
抗体mKID2または目的の任意の他の抗体またはタンパク質は、Edman分解(当業者に周知である)による配列決定に供され得る。質量分析またはEdman分解から得られたペプチド情報は、目的のタンパク質をクローニングするために使用されるプローブまたはプライマー設計するために使用され得る。
目的のタンパク質をクローニングする代替の方法は、目的の抗体またはタンパク質を発現する細胞についてALCAMを使用する「パニング」による。「パニング」手順は、目的の抗体またはタンパク質を発現する組織または細胞由来のcDNAライブラリーを取得する工程、第2の細胞型の中でこれらのcDNAを過剰発現させる工程、ならびに第2の細胞型のトランスフェクトされた細胞をALCAMとの特異的な結合についてスクリーニングする工程により実施される。「パニング」により細胞表面タンパク質をコードする哺乳動物遺伝子をクローニングする工程において使用された方法の詳細な記載は、当該分野で見出され得る。例えば、Aruffo,A.およびSeed,B.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,8573−8577(1987)、ならびにStephan,J.ら,Endocrinology 140:5841−5854(1999)を参照のこと。
cDNAを、特定の細胞型由来のmRNAを、当該分野で標準的な方法に従って逆転写することにより獲得し得る。特に、mRNAは、種々の溶解性酵素もしくは溶解性化学溶液をSambrook,ら(上記)に開示される手順に従って使用して単離され得るか、または市販の核酸結合樹脂により、製造者(例えば、Qiagen、Invitrogen、Promega)により提供される付属の説明書に従って抽出される。次いで、合成したcDNAを発現ベクターの中に導入して、第2の型の細胞の中で目的の抗体またはタンパク質を産生する。発現ベクターは、宿主細胞の中でエピソームとしてまたは染色体DNAの切り離されない部分としてのいずれかで複製可能でなければならないことが、企図される。適切な発現ベクターとしては、プラスミド、ウイルスベクター(アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスが挙げられる)、およびコスミドが挙げられるがこれらに限定されない。
目的のポリヌクレオチドを含むベクターは、多数の適切な手段のいずれかにより宿主細胞の中に導入され得、適切な手段としては、電気穿孔法、塩化カルシウムを使用するトランスフェクション、塩化ルビジウムを使用するトランスフェクション、リン酸カルシウムを使用するトランスフェクション、DEAEデキストランを使用するトランスフェクション、または他の物質を使用するトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;ならびに感染(例えば、ここでベクターは、ワクシニアウイルスのような感染性薬剤である)が挙げられる。導入するベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、しばしば宿主細胞の特性に依存する。
異種DNAを過剰発現することが可能な任意の宿主細胞は、この抗体、ポリペプチドまたは目的のタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的のために使用され得る。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例としては、COS細胞、HeLa細胞、およびCHO細胞が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、宿主細胞は、これらのcDNAを、宿主細胞の中の(存在する場合に)対応する内因性の抗体または目的のタンパク質の場合より、約5倍の高さのレベルで、より好ましくは10倍の高さのレベルで、さらにより好ましくは20倍の高さのレベルで発現する。ALCAMとの特異的結合のために宿主細胞をスクリーニングすることは、イムノアッセイまたはFACSにより行われる。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現した細胞が、同定され得る。
本発明は、本発明の抗体(例えば、mKID2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の手順により作製され得る。これらのポリペプチドは、この抗体のタンパク質分解的分解または他の分解により、上に記載の組換え的方法(すなわち、単一ポリペプチドまたは融合ポリペプチド)により、あるいは化学合成により、生成され得る。この抗体のポリペプチド、特に約50アミノ酸までのより短いポリペプチドは、化学合成により簡便に作製される。化学合成の方法は、当該分野で公知であり、市販されている。例えば、mKID2ポリペプチドは、固相法を使用する自動化ポリペプチド合成機により生成され得た。
本発明はまた、本発明の抗体(例えば、mKID2)の単鎖可変領域フラグメント(「scFv」)も含む。単鎖可変領域フラグメントは、短い連結ペプチドを使用することにより軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を連結することにより作製される。Birdら(1988)Science 242:423−426。連結ペプチドの例は、(GGGGS)(配列番号1)であり、これは1つの可変領域のカルボキシ末端と他の可変領域のアミノ末端との間の約3.5nmを架橋する。他の配列のリンカーは、設計されて使用されている。Birdら(1988)。リンカーは、順次、付加的機能(例えば、薬剤の吸着または固体支持への吸着)のために改変され得る。単鎖改変体は、組換え的または合成的のいずれかで生成され得る。scFvの合成的生成のために、自動化合成機が使用され得る。scFvの組換え的生成のために、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む適切なプラスミドが、適切な宿主細胞(真核細胞(例えば、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞)または原核細胞(例えば、E.coli)のいずれか)の中に導入され得る。目的のこれらのScFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーションのようなルーチン的操作により作製され得る。生じたscFvは、当該分野で公知の標準的なタンパク質精製技術を使用して単離され得る。
本発明は、抗体(例えば、抗体mKID2および他の抗ALCAM抗体)に対する修飾を含み、機能的に等価な抗体およびこれらの特性に大きな影響を与えないポリペプチドならびに活性が増強または減少された改変体が挙げられる。ポリペプチドの修飾は、当該分野でルーチン的な実施であり、本明細書中に詳細に記載する必要はない。修飾されたポリペプチドの例としては、アミノ酸残基の保存的置換を有するポリペプチド、アミノ酸の機能的活性を顕著に有害に変化させない1つ以上の欠失または付加、または化学的アナログの使用が挙げられる。互いに保存的に置換され得るアミノ酸残基としては、以下:グリシン/アラニン;バリン/イソロイシン/ロイシン;アスパラギン/グルタミン;アスパラギン酸/グルタミン酸;セリン/トレオニン;リジン/アルギニン;およびフェニルアラニン/チロシン、が挙げられるがこれらに限定されない。これらのポリペプチドとしてはまた、グリコシル化ポリペプチドおよび非グリコシル化ポリペプチド、ならびに他の翻訳後修飾(例えば、異なる糖によるグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化のような)を有するポリペプチドも挙げられる。好ましくは、アミノ酸置換は、保存的であり、すなわち、置換したアミノ酸は、元のアミノ酸のものと同様な化学特性を有する。このような保存的置換は当該分野で公知であり、そして例が上に提供されている。アミノ酸修飾は、1つ以上のアミノ酸の変更または修飾から領域(例えば、可変領域)の完全な再設計までの範囲であり得る。可変領域における変更は、結合親和性および/または結合特異性を変化させ得る。修飾の他の方法としては、当該分野で公知のカップリング技術(酵素的手段、酸化的置換およびキレート化が挙げられるが、これらに限定されない)の使用が挙げられる。修飾は、例えば、イムノアッセイのための標識の接合(例えば、ラジオイムノアッセイのための放射活性のある部分の接合)のために使用され得る。修飾したmKID2ポリペプチドは、当該分野で確立された手順を使用して作製され、そして当該分野で公知の標準的なアッセイを使用してスクリーニングされ得る。
本発明はまた、本発明の抗体(例えば、mKID2)由来の1つ以上のフラグメントまたは領域を含む融合タンパク質もまた含む。1つの実施形態において、可変軽鎖領域の少なくとも10個の連続したアミノ酸および可変重鎖領域の少なくとも10個のアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供される。別の実施形態において、融合ポリペプチドは、異種の免疫グロブリン定常領域を含む。別の実施形態において、融合ポリペプチドは、mKID2の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。本発明の目的のために、mKID2融合タンパク質は、1つ以上のmKID2ポリペプチドならびに、ネイティブな分子の中で接合されない別のアミノ酸配列(例えば、別の領域由来の異種配列または相同配列)を含む。mKID2ポリペプチドは、当該分野で公知の方法により、例えば、合成的にまたは組換え的に作出され得る。
作製された抗体は、代表的にはマウスの抗体または他の非ヒト抗体であるので、これらのハイブリドーマから産生された抗体は、ヒト個体において免疫応答を誘発する。免疫応答を減少させるために、抗体を、「ヒト化」し得る。ヒト化抗体の生成のための技術は、当該分野で公知である。マウス抗ALCAM抗体由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン由来の定常領域を含むキメラ分子が、産生され得る。この免疫応答は、マウス抗体相補性決定領域(CDR)のみをヒト抗体可変フレームワーク上にグラフトすることによりさらに最小化され得るが、この改変は、生じるキメラ抗体における結合活性の減少を引き起こし得る。さらなる改良は、変化した抗体可変領域および増強された結合親和性の同定による抗体可変領域の最適化を含み得る(例えば、WO01/27160を参照のこと)。
ある実施形態において、重鎖および/または軽鎖が融合タンパク質であるmKID2キメラが提供される。ある実施形態において、これらの鎖の定常ドメインは、1つの特定の種および/またはクラス由来であり、かつ可変ドメインは、異なる種および/またはクラス由来である。例えば、キメラ抗体(ある実施形態において)は、定常領域がヒト起源に由来し、かつ可変領域が相同であるかまたはmKID2(すなわち、マウス)に由来するキメラ抗体である。ヒト化した可変領域を有する抗体であって、この中で(ある実施形態において)CDR領域がmKID2アミノ酸配列を含み、一方でフレームワーク領域がヒト配列に由来する抗体はまた、本発明の中で具体化される。ヒト化抗体の他の形態は、当該分野で公知であり、本明細書に記載される。キメラの機能的フラグメントもまた、具体化される。例としては、ヒト化Fabフラグメントであって、ヒトヒンジ領域、ヒト第一定常領域、ヒトκ軽鎖定常領域またはκ重鎖定常領域、ならびにmKID2由来の軽鎖および/または重鎖の可変領域を含む、ヒト化Fabフラグメントである。ヒト化mKID2Fabフラグメントは、順次、Fab二量体を形成するように作製され得る。代表的には、本発明のmKID2融合タンパク質およびmKID2キメラは、本明細書に記載の組換え的方法を使用して、これらをコードするポリヌクレオチドを調製して発現させることにより作製されるが、これらはまた、当該分野で公知の他の手法(例えば、化学合成が挙げられる)によっても調製され得る。例えば、米国特許番号第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第6,331,415号を参照のこと。
モノクローナル抗体をヒト化するための4つの一般的な工程がある。これらは、以下:(1)開始の抗体の軽可変ドメインおよび重可変ドメインのヌクレオチドおよび予測されるアミノ酸配列を決定する工程、(2)ヒト化抗体を設計する工程、すなわち、ヒト化プロセスの間にどの抗体のフレームワーク領域を使用するかを決める工程、(3)実際のヒト化方法論/技術、ならびに(4)このヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現、である。例えば、定常領域は、抗体がヒトにおける臨床試験および処置で使用される場合に免疫応答を回避するために、ヒト定常領域により似せて加工され得る。例えば、米国特許番号第5,997,867号および同第5,866,692号を参照のこと。
非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含む多数の「ヒト化」抗体分子は、記載されていて、齧歯類V領域または改変された齧歯類V領域ならびに、ヒト定常ドメインと融合された関連した相補性決定領域(CDR)を有する、キメラ抗体が挙げられる。例えば、Winterら Nature 349:293−299(1991)、Lobuglioら Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224(1989)、Shawら J Immunol.138:4534−4538(1987)、およびBrownら Cancer Res.47:3577−3583(1987)を参照のこと。他の参照は、ヒト支持フレームワーク領域(FR)の中へグラフトされ、次いで適切なヒト抗体定常ドメインと融合した齧歯類CDRを記載する。例えば、Riechmannら Nature 332:323−327(1988)、Verhoeyenら Science 239:1534−1536(1988)、およびJonesら Nature 321:522−525(1986)を参照のこと。別の参照は、組換え的にベニヤ張りされた齧歯類フレームワーク領域により支持される齧歯類CDRを記載する。例えば、欧州特許公開番号第519,596号を参照のこと。これらの「ヒト化」分子は、齧歯類抗ヒト抗体分子に対する望まれない免疫応答(ヒトレシピエントの中での、これらの部分の治療的適用の持続時間および効果を制限する)を最小化するように設計される。また利用され得る、抗体をヒト化する他の方法は、Daughertyら,Nucl.Acids Res.,19:2471−2476(1991)に、ならびに米国特許番号第6,180,377号;同第6,054,297号;同第5,997,867号;同第5,866,692号;同第6,210,671号;同第6,350,861号;およびPCT WO01/27160により開示される。
なお別の代替において、完全にヒトの抗体を、特異的なヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように加工された、市販のマウスを使用することにより取得し得る。より望ましい(例えば、完全にヒトの抗体)免疫応答またはより強い免疫応答を生成するように設計されたトランスジェニック動物はまた、ヒト化抗体またはヒト抗体の作製のために使用され得る。これらの技術の例は、Abgenix,Inc.(Fremont,CA)からのXenomouseTMならびにMedarex,Inc.(Princeton,NJ)からのHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC MouseTMである。
(V.ALCAMと結合する抗体をスクリーニングするための方法)
いくつかの方法は、ALCAMと結合するモノクローナル抗体をスクリーニングするために使用され得る。使用され得る1つの方法は、免疫組織化学(IHC)である。標準的な免疫組織学的技術は、当該分野で公知である。例えば、Animal Cell Culture Methods(J.P.MatherおよびD.Barnes,編,Academic Press,Vol.57,Ch.18および19,pp.314−350,1998)を参照のこと。
適切な抗ALCAM抗体について選択するためのIHCスクリーニングにおける第1の工程は、一次抗体の種々の組織または細胞との結合である。生物学的サンプル(例えば、組織)は、生検、死体解剖、または剖検から取得され得る。1つの実施形態において、組織サンプルは、異なる器官由来の凍結組織の切片である。凍結組織は、固定してまたは固定されずに、調製され得、切片化され得、そして当業者に公知の多数の方法のいずれかによりIHCを実施され得る。例えば、Stephanら Dev.Biol.212:264−277(1999)、およびStephanら Endocrinology 140:5841−54(1999)を参照のこと。別の実施形態において、組織サンプルは、新鮮な組織の切片である。細胞または組織サンプルは、癌性または非癌性のいずれかであり得る。
いくつかの異なる検出系は、抗体の組織切片への結合を検出するように有効化され得る。代表的には、免疫組織化学は、一次抗体の組織への結合、および続いての検出可能なマーカー(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスファターゼ)と結合体化した一次抗体由来の種に対して反応性の二次抗体との結合を含む。使用され得る1つの代替の方法は、ポリクローナル鏡像相補抗体またはpolyMICAである。polyMICA(ポリクローナル鏡像相補抗体)技術(D.C.ManghamおよびP.G.Isaacson(Histopathology(1999)35(2):129−33)により記載される)は、一次抗体の正常組織および癌性組織への結合を試験するために使用され得る。いくつかの種類のpolyMICA検出キットは、Binding Site Limited(P.O.Box 4073 Birmingham B29 6AT England)から市販されている。製品番号HK004.Dは、DAB色素原を使用するpolyMICATM検出キットである。製品番号HK004.Aは、AEC色素原を使用するpolyMICATM検出キットである。代替としては、一次抗体を、検出可能なマーカーで直接標識化し得る。
抗体がALCAMに特異的に結合するか否かを確認するために、この抗体を、ウェスタンブロットにおいてALCAMとの結合についてアッセイし得る(実施例1を参照のこと)。代替としては、抗体のALCAMとの特異的結合は、ALCAMを発現することが既知の組織上での結合によりアッセイされ得る。組織サンプルは、凍結の間に損傷を防止する固体または半固体の物質(例えば、アガロースゲルまたはOCT)の中に包埋され得、次いで染色のために切片化され得る。異なる器官由来でかつ異なる程度の癌は、抗体をスクリーニングするために使用され得る。スクリーニングの目的のために使用され得る組織の例としては、卵巣、肺、前立腺、膵臓、結腸、および乳房が挙げられるが限定されない。
なお別の代替において、癌性細胞株(例えば、SK−Ov−3(ATCC番号HTB77)、CFPAC−1(ATCC番号CRL1918)、およびHPAF−II(ATCC番号CRL−1997)のような、しかしこれらに限定されない)および正常細胞(例えば、卵巣上皮、気管支上皮のような、しかしこれらに限定されない)ならびにこれらのそれぞれの組織由来の活性化白血球は、ALCAMについて結合親和性を有するモノクローナル抗体についてスクリーニングするために使用され得る。ALCAMの発現がないことが既知の細胞培養物(例えば、MOLT−3(ATCC番号CRL−1552)およびSK−LMS−1(ATCC番号HTB88))は、陰性コントロールとして使用され得る。癌性または非癌性細胞を、スライドガラスもしくはカバーガラス上で、またはプラスチック表面上で増殖させ得、あるいは、CellArrayTM(WO01/43869に記載)の中で調製し得、そして組織のために上に記載したIHCを使用して、抗体の結合についてスクリーニングし得る。代替としては、細胞を、増殖表面から非タンパク質分解性の手段を使用して取り出し得、回転させてペレットにし得、次いで、このペレットを包埋し、上に記載のIHC分析のために組織として処理する。別の代替において、単一細胞を、一次抗体、蛍光分子と連結した二次レポーター抗体とともにインキュベートすることによりスクリーニングし得、そして次いで、蛍光活性化セルソーター(FACS)機器を使用して分析され得る。
ALCAMを発現する癌性細胞または組織と結合する抗体は、選択される。好ましい実施形態において、このモノクローナル抗体は、ヒト細胞と交差反応性である。2D4およびmKID2は、多数の異なる癌組織(卵巣組織、肺組織、前立腺組織、膵臓組織、結腸組織、および乳房組織が挙げられるがこれらに限定されない)上に存在する抗原ALCAMと結合する抗体の例である。
上に記載のモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマは、既知の抗ALCAM抗体が優先的に結合するALCAM上の同じエピトープに優先的に結合する抗体を産生するために、選別され得る。このような抗体を選別する方法は、当該分野で公知である。例えば、結合競合アッセイは、抗体が起源となる抗体と同じエピトープとの結合を競合的に阻害するか否かを決定するために、使用され得る。ALCAMとの結合についての抗体の別の抗体との競合は、この抗体が起源となる抗体が結合する同じエピトープと優先的に結合することを示す。細胞表面上にネイティブな環境およびネイティブな立体配置で存在する場合に、ALCAM上に見出される少なくとも2つ以上のエピトープがあることが、現在考えられる。従って、変化する結合特異性を有し得るがしかし本発明の望ましい生物学的効果を保持し得る抗ALCAM抗体は、本明細書中に含まれる。結合競合アッセイは、当該分野で周知である。
エピトープマッピングは、この抗体をさらに特徴付けるために使用され得る。市販のサービス(例えば、Pepscan Systems,P.O.Box 2098,8203 AB Lelystad,The Netherlands)は、抗原ALCAM上の抗体が結合するエピトープを決定するために使用され得る。
(VI.抗ALCAM抗体と化学療法剤との会合)
1つの実施形態において、ALCAMに対する抗体(またはこのフラグメント)は、化学療法剤と会合(連結することも含む)し得る。これらの化学療法剤は、これらの薬剤をこの抗体により認識される抗原を発現する癌細胞へ送達し、従って癌性細胞を排除するような処置が必要な個体へ投与される。化学療法剤としては、放射活性のある分子、毒素(細胞毒素または細胞毒性薬剤としても呼ばれ、癌性細胞の生存に有害である任意の薬剤が挙げられる)、薬剤、ならびに化学療法的化合物を含むリポソームまたは他の小胞が挙げられる。化学療法剤の例としては、カリチェアマイシン、メイタンシノイド、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、ミトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルチシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンならびにこれらのアナログもしくはホモログ、代謝アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化薬剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ミトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラザサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧名ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましい実施形態において、細胞毒素は、分裂している細胞または急速に分裂している細胞に特に効果的であり、従って非分裂細胞は、毒性効果から比較的逃れている。
本発明の抗体は、これらが結合する癌腫細胞(例えば、卵巣癌細胞)の中に内部移行され得、従って、治療的適用、例えば、有害な活性のために内部移行される必要がある細胞毒素のために、特に有用である。このような毒素の例としては、サポリン、カリケアマイシン、オーリスタチン、およびメイタンシノイドが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明のこの抗体またはポリペプチドは、放射性分子、毒素、または他の治療剤と、あるいは共有結合的もしくは非共有結合的に、直接もしくは間接的に治療剤を含むリポソームまたは他のビヒクルと会合(結合体化あるいは連結を含む)され得る。この抗体は、この抗体がこれの標的であるALCAMと結合する限りは、放射活性分子、毒素、または化学療法分子をこの抗体に沿った任意の位置に連結され得る。
毒素または化学療法剤は、適切なモノクローナル抗体と直接または間接的のどちらかで(例えば、リンカー基を経て、もしくは、代替としては、適切な接続部位を有する連結分子(例えば、米国特許番号第5,552,391号に記載のプラットフォーム分子、化学療法剤およびこの抗体とカップリングすることが可能な基))とカップリングされ得る(例えば、共有結合的に結合され得る)。本発明の毒素および化学療法剤は、当該分野で公知の方法を使用して直接特定の標的化タンパク質とカップリングされ得る。例えば、薬剤と抗体との間の直接の反応は、各々が他と反応することが可能な置換基を有する場合に、可能である。例えば、片方の上にある求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基)は、他方の上にあるカルボニル含有基(例えば、無水物または酸ハロゲン化物)と、あるいは良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含有するアルキル基と反応することが可能であり得る。
これらの抗体またはポリペプチドはまた、マイクロキャリアを介して化学療法剤とも連結され得る。マイクロキャリアとは、生分解性粒子または非生分解性粒子を指し、ここでこの粒子は、水に不溶性であり、大きさで約150μm、約120μmまたは100μmより小さい大きさを有し、より一般的には約50〜60μmより小さく、好ましくは約10μm、約5μm、約2.5μm、約2μmまたは約1.5μmより小さい。マイクロキャリアは、「ナノキャリア」(これらは、約1μmより小さい大きさを有するマイクロキャリア、好ましくは約500nmより小さい大きさを有するマイクロキャリアである)を含む。このような粒子は、当該分野で公知である。固相マイクロキャリアは、生体適合性の天然に存在するポリマー、合成ポリマーまたは合成コポリマーから形成された粒子であり得、これらはアガロースまたは架橋アガロース、ならびに当該分野で公知の他の生分解性物質から形成されたマイクロキャリアを含み得るかもしくは除外し得る。生分解性固相マイクロキャリアは、分解性であるポリマー(例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)およびこれらのコポリマー)あるいは腐食性であるポリマー(例えば、ポリ(オルトエステル)(例えば、3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU))またはポリ(無水物)(例えば、セバシン酸のポリ(無水物)))から哺乳動物の生理学的条件下で形成され得る。マイクロキャリアはまた、液層(例えば、油ベースのまたは脂質ベースの)、(例えば、リポソーム、抗原を含まないiscom(免疫刺激複合体、これらはコレステロール、およびリン脂質、アジュバント活性サポリンの安定な複合体である)、あるいは、水中油型エマルジョンもしくは油中水型エマルジョンにおいて見出される液滴またはミセル)であり得、マイクロキャリアが生分解性である液層を提供する。生分解性液層マイクロキャリアは、典型的に生分解性油(これらの多くは当該分野で公知であり、スクアレンおよび植物油が挙げられる)を取り込む。マイクロキャリアは、典型的に形状で球形であるが、しかし球形から誘導されるマイクロキャリアもまた、受容可能である(例えば、楕円形(elipsoid)、棒状など)。これらの不溶性の特性により(水に対して)、マイクロキャリアは、水および水ベースの(水性)溶液から濾過可能である。
本発明の抗体結合体またはポリペプチド結合体は、毒性薬物もしくは化学療法剤とカップリングすることが可能な基およびこの抗体とカップリングすることが可能な基の両方を含む二官能性リンカーを含み得る。リンカーは、結合能の阻害を避けるために、抗体を薬剤からの距離を保つスペーサーとして機能し得る。リンカーは、切断可能または切断不能であり得る。リンカーはまた、薬剤または抗体上の置換基の化学反応性を増加させる役目を果たし得、従ってカップリング効率を増加させ得る。化学反応性における増加はまた、薬剤または薬剤上の官能基の使用を容易にし得、このことは、逆に可能でない。二機能性リンカーは、当該分野で公知である手段によりこの抗体とカップリングされ得る。例えば、活性エステル部分を含むリンカー(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)は、この抗体においてアミド連結を経てリジン残基とカップリングするために使用され得る。別の例において、求核性アミンまたはヒドラジン残基を含むリンカーは、抗体の糖質残基の糖分解性酸化により産生されたアルデヒド基とカップリングされ得る。カップリングのこれらの直接的な方法に加え、リンカーは、アミノデキストランのような中間キャリアを用いて間接的にこの抗体とカップリングされ得る。これらの実施形態において、改変された連結は、リジン、炭水化物、または中間キャリアのいずれかを経る。1つの実施形態において、リンカーは、タンパク質の中の遊離チオール基と、部位選択的にカップリングされる。タンパク質上のチオール基との選択的カップリングに適切な部分は、当該分野で周知である。例としては、ジスルフィド化合物、α−ハロカルボニル化合物およびα−ハロカルボキシル化合物、ならびにマレイミドが挙げられる。求核性アミン官能基が同じ分子中にα−ハロカルボニル基またはカルボキシ基として存在する場合、アミンの分子内アルキル化を経て生じる環状化についての潜在性が、存在する。この問題を回避する方法は、例えばアミン基およびα−ハロ基が非可塑性基(例えば、アリール基またはトランスアルケン)(立体化学的に好ましくない、望まれない環状化を形成する)により分けられた分子の調製により、用業者に周知である。例えば、ジスルフィド部分を経たメイタンシノイドと抗体との結合体の調製については、米国特許番号第6,441,163号を参照のこと。
抗体−薬物結合体の調製のために使用され得る切断可能なリンカーの1つは、シス−アコニット酸をベースとした酸不安定性リンカーであり、これは異なる細胞内区画(例えば、レセプター媒介性エンドサイトーシスの間に遭遇するエンドソームおよび、リソソーム)の酸性環境で有利である。例えば、ダウノルビシンと巨大分子キャリアとの結合体の調製については、Shenら,Biochem.Biophys.Res.Commun.102:1048−1054(1981)を;ダウノルビシンと抗ミエローマ抗体との結合体の調製については、Yangら,J Natl.Canc.Inst.80:1154−1159(1988)を;ダウノルビシンと抗T細胞抗体との結合体を同じ様式で調製するための酸不安定性リンカーの使用については、Dillmanら,Cancer Res.48:6097−6102(1988)を;ダウノルビシンと抗体とのペプチドスペーサーアームを経た連結については、Trouetら,Proc.Natl.Acad.Sci.79:626−629(1982)を参照のこと。
本発明の抗体(またはポリペプチド)は、当該分野で公知の任意の方法により放射性分子と結合体化(連結)され得る。抗体を放射標識するための方法の考察については、「Cancer Therapy with Monoclonal AntibodiesT」,D.M.Goldenberg編(CRC Press,Boca Raton,1995)を参照のこと。
代替としては、抗体を二次抗体と結合体化し得てSegal(米国特許番号第4,676,980号)により記載される抗体異種結合体を形成し得る。クロスリンク抗体の形成は、免疫系を細胞の特定の型例えば、ALCAMを発現する癌細胞に対して標的化し得る。
(VII.ALCAMは種々の非ミエローマ癌のためのマーカーである)
ALCAMは、転移性悪性ミエローマにおいて発現し、かつ非転移性細胞株において検出されないと開示された(Degenら,(1998)Am J Pathol 152:805−813)。抗ALCAMモノクローナル抗体2D4およびmKID2は、種々の非ミエローマ癌細胞(卵巣癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞、および乳癌細胞が挙げられる)をスクリーニングするために使用された。本発明者らは、転移性悪性黒色腫以外の特定の癌細胞(卵巣癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞、および乳癌細胞が挙げられる)がALCAMを発現することを発見した。抗ALCAM抗体の癌細胞についてスクリーニングするための使用は、同じ細胞型の癌細胞対正常細胞上でのALCAMの差示的な発現に依存する。1つの実施形態において、これらの方法は、生物学的サンプルを抗ALCAM抗体と接触させる工程、および試験サンプルにおけるALCAMの存在または非存在とコントロールサンプルにおけるALCAMの存在または非存在とを比較する工程を含む。原発性および転移性の卵巣癌組織および前立腺癌組織を、抗ALCAMモノクローナル抗体2D4でスクリーニングし、正常組織においてはALCAMの発現について陰性である細胞において、ALCAMが発現することを見出した。卵巣癌組織および前立腺癌組織、ならびに正常組織のパネルにおけるALCAMの発現レベルは、Medarex,Inc.(Princeton,NJ)により提供されたトランスジェニックマウスにより作製された抗ALCAMモノクローナル抗体、2D4を使用して、実施例2に示される。原発性および転移性の膵臓癌細胞株もまた、ALCAMの発現についてスクリーニングした。実施例3に示されるように、9つの膵臓癌細胞株のうち8つが、検出可能なレベルのALCAMを発現し、一方、正常膵臓においては管上皮細胞でのみALCAMが発現した。原発性扁平癌腫肺癌細胞株もまた、実施例4に示されるように、スクリーニングしてALCAMを発現すると見出された。結腸癌組織、肺癌組織、前立腺癌組織、および乳癌組織、ならびに皮膚正常組織、腎臓正常組織、肺正常組織、肝臓正常組織、膵臓正常組織、結腸正常組織、および十二指腸正常組織におけるALCAMの発現もまた、実施例6に示されるように、モノクローナル抗体mKID2を使用してスクリーニングした
(VIII.癌を診断する方法)
本明細書に開示される方法により作製されたモノクローナル抗体は、診断の目的のために、種々の細胞および組織(卵巣の、肺の、前立腺の、膵臓の、結腸の、または乳の細胞および組織が挙げられるがこれらに限定されない)において、抗原ALCAMを発現する癌細胞の存在または非存在を同定もしくは検出するために使用され得る。これは、生物学的サンプルにおけるALCAMのレベルを評価するための、ALCAMとALCAMに特異的に結合する抗体との間の複合体の形成に関連し得る。好ましい実施形態において、この抗体は、検出可能な標識を有する。使用され得る標識の例としては、放射性薬剤または発蛍光団(例えば、フルオロイソチアシアネートまたはフィコエリトリン)が挙げられる。このような複合体の形成は、インビトロでまたはインビボであり得る。モノクローナル抗体はまた、発生の異なる段階で癌性細胞を同定するためにも使用され得る。この抗体は、ALCAMを発現する、卵巣、前立腺および膵臓の原発性癌および転移性癌の両方、ならびに肺の原発性癌を認識し得る。本明細書に使用される場合、検出としては、定性的検出および/または定量的検出が挙げられ得、測定したレベルと正常細胞とを、癌性細胞において増加したレベルのALCAMの発現について比較する工程を含み得る。
本発明はまた、ALCAMと結合する任意の抗体およびALCAMの発現のレベルを決定するために使用され得る他の方法を使用して、個体において癌(例えば、卵巣癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、または乳癌)の診断を支援する方法も提供する。本明細書に使用される場合、「診断を支援する」ための方法とは、これらの方法が癌の分類または特性に関しての臨床的決定の実施において手助けとなり、決定的な診断に関して確証的であってもなくてもよいことを意味する。従って、癌の診断を支援する方法は、個体由来の生物学的サンプルにおけるALCAMのレベルを検出する工程および/またはサンプルにおけるALCAMの発現のレベルを決定する工程を含み得る。
本明細書に開示される方法により作製された抗ALCAM抗体はまた、癌を診断した個体がALCAMに対する抗体を使用する免疫療法のための候補であると判断し得るか否かを決定するためにも使用され得る。1つの実施形態において、癌性腫瘍または生検サンプルは、ALCAMに対する抗体を使用して、ALCAMの発現について試験され得る。ALCAMを発現する癌細胞を有する個体は、ALCAMに対する抗体を使用する免疫療法のための適切な候補である。免疫療法の候補のスクリーニングの目的のためにALCAMに対する抗体を使用する方法は、任意の形式の抗癌処置(例えば、化学療法または放射線療法)の前および後の両方で、所定の処置、個々の予後、腫瘍のサブタイプまたは転移性疾患の起源、ならびに疾患の進行または処置に対する応答に対して、どの腫瘍が最も応答しやすいかを決定するために有用である。
ALCAMの検出のためのインビトロ技術は、当該分野でルーチン的であり、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびウェスタンブロット分析が挙げられる。1つの実施形態において、癌性細胞を有する組織を取り出し、これらの組織を当該分野で周知の方法(例えば、固定してもしくは固定しないでの、凍結化合物の中に包埋する工程、凍結する工程および切片化する工程;抗原検索および対比染色の種々の方法を用いるかもしくは用いないでの固定およびパラフィン包埋)により免疫組織化学のために調製する。
別の実施形態において、ALCAMの発現は、非ミエローマ癌細胞において、モノクローナル抗体2D4、mKID2、または本明細書に記載の任意の他のALCAM結合実施形態を使用して検出される。簡単にするために、一般的に2D4またはmKID2に向けた参考が、これらの方法が本明細書に記載のALCAM結合の実施形態のいずれかに適用されることの理解とともに、作製される。抗ALCAMモノクローナル抗体である2D4およびmKID2は、ALCAMを発現する種々の癌細胞型(卵巣癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞、および乳癌細胞が挙げられるがこれらに限定されない)と特異的に結合する。卵巣癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞の中の必ずしもすべての細胞が、ALCAMを発現するわけではなく、そして他の組織の中の癌性細胞は、ALCAMを発現し得、従って、個体は、この個体における免疫療法の有効性を決定するために、癌性細胞上のALCAMの存在または非存在についてスクリーニングされるべきである。1つの実施形態において、正常前立腺上皮細胞は、抗ALCAM抗体による前立腺組織の染色により癌性前立腺上皮細胞から区別され得る。正常前立腺上皮細胞は組織学的に十分器質化され、一方で、癌性組織は極めて異なる形態を有する。抗ALCAM抗体による染色は、癌性組織を正常組織から区別するために使用され得る。
標識化した抗ALCAMモノクローナル抗体2D4は、膵臓癌細胞株のパネルをスクリーニングするために使用された。実施例3に示されるように、この抗ALCAM抗体2D4は、複数の系統の癌性膵臓細胞株(9つの膵臓癌細胞株のうち8つでALCAMを発現する)と結合する。モノクローナル抗体2D4は、転移性および原発性膵臓癌細胞株の両方と反応する。
別の実施形態において、モノクローナル抗体2D4以外の、ALCAMと特異的に結合するモノクローナル抗体は、非ミエローマ癌細胞および非ミエローマ癌組織におけるALCAMの存在をスクリーニングするために使用され得る。
ALCAMの検出のための1つの使用され得るインビボ技術は、標識化した抗ALCAM抗体を癌を診断された個体の中に導入することである。1つの実施形態において、この抗体を免疫療法候補のスクリーニングのために使用する方法は、この抗体と放射活性薬剤または放射不透過薬剤とを連結する工程、この抗体を個体へ投与する工程、ならびにx線または他の画像化機器を使用して標識化した抗体の既知の癌細胞(例えば、腫瘍)の位置への局在化を可視化する工程による、インビボ腫瘍画像化である。ある実施形態において、この抗ALCAM抗体は、mKID2または生物学的等価抗体あるいはALCAMと結合するポリペプチドである。
この抗原を認識する抗体(またはポリペプチド)はまた、生きているかまたは死んでいる癌細胞から放出または分泌された抗原を、体液(血液、唾液、尿、肺液、または腹水が挙げられるがこれらに限定されない)の中で検出するための診断的イムノアッセイを作り出すためにも使用され得る。実施例でさらに詳細に考察されるように、2D4およびmKID2は、異なる段階における組織(卵巣、乳、肺、前立腺、結腸、および膵臓が挙げられるがこれらに限定されない)由来の種々の形態の癌と結合し得る。本発明の抗体および薬剤を診断の目的のために使用する方法は、任意の形式の抗癌処置(例えば、化学療法または放射線療法)の前および後の両方で、所定の処置、個々の予後、腫瘍のサブタイプまたは転移性疾患の起源、ならびに疾患の進行または処置に対する応答に対して、どの腫瘍が最も応答しやすいかを決定するために有用である。
(IX.免疫療法のためにALCAMに対する抗体を使用する方法)
モノクローナル抗体、2D4、および本明細書に開示される方法により作製された他の抗ALCAM抗体(例えば、ヒト化抗体またはキメラ抗体)は、例えば、ALCAMを発現する癌細胞(卵巣癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞が挙げられる)を有する個体における治療的目的のために使用され得る。治療は、上に記載のインビトロでおよび/またはインビボの両方での抗ALCAM抗体とALCAMとの複合体の形成を包含し得る。好ましい実施形態において、ALCAMに対する抗体による治療は、上に記載の抗ALCAM抗体と化学療法剤または別の抗体との会合を包含し得る。
本発明は、本明細書に記載の組成物(結合体を含む)のいずれかをALCAM発現細胞(例えば、ALCAM発現癌細胞)へ送達する方法を提供する。これらの方法は、本明細書に記載の組成物(結合体を含む)の個体への投与を伴う。ある実施形態において、これらの方法は、例えば、結合体を標的細胞の中に導入することを提供する。さらに別の実施形態において、抗ALCAM抗体(例えば、ヒト化またはキメラ形態の抗ALCAM抗体ならびにこれらの抗体の種々の処方物)は、化学療法剤(例えば、放射性分子、毒素(例えば、サポリン、カリケアマイシン、オーリスタチン、もしくはメイタンシノイド)または他の化学療法分子)と、あるいは化学療法的化合物を含むリポソームまたは他の小胞と結合体化(連結を含む)され得、そしてこれらの化合物をこの抗体により認識される抗原を含む癌細胞へ標的化し、そして従って癌性細胞を排除するために個体へ投与され得る。ある実施形態において、この化学療法剤は、癌性細胞(例えば、卵巣癌性細胞)の中に送達される。
本発明はまた、抗ALCAM抗体または化学療法剤と連結したALCAMと結合する他の実施形態を使用して、前立腺癌細胞、肺癌細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、膵臓癌細胞、または結腸癌細胞の増殖(growth)および/または(proliferation)を阻害する方法も提供する。ある実施形態において、この抗体は、ヒト化またはキメラ形態の非ヒト抗ALCAM抗体である。
本発明はまた、抗ALCAM抗体または化学療法剤と連結したALCAMと結合する他の実施形態を使用して、個体の中での癌(前立腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、または結腸癌が挙げられるが、これらに限定されない)による転移の発達を遅延させる方法も提供する。ある実施形態において、この抗体は、ヒト化またはキメラ形態の非ヒト抗ALCAM抗体である。
さらに別の実施形態において、この抗体は、転移の発達を遅延させるためにこの抗原を発現する癌の外科的除去と同時にアジュバント治療として使用され得る。この抗体または化学療法剤と会合した抗体はまた、腫瘍の大きさを減少させて従って、手術を可能にするかもしくは単純化し、手術中に組織を傷つけず、および/または生じる美観損傷を減少させるために、この抗原を発現する腫瘍を有する個体において、手術(新アジュバント治療)の前に投与され得る。
さらに別の実施形態において、mKID2または、本明細書に記載のALCAM結合実施形態のいずれかは、ALCAM発現癌性細胞と結合し得、ALCAMを発現する癌性細胞に対する能動的免疫応答を誘導し得る。いくつかの場合において、能動的免疫応答は、癌性細胞の死を生じ得るか(例えば、癌細胞に結合してアポトーシス性細胞死を誘導する抗体)、または癌性細胞の増殖を阻害する(例えば、細胞周期の進行をブロックする)。別の場合において、mKID2または、本明細書に記載の抗体のいずれかは、癌性細胞と結合し得、そして抗体依存性細胞毒性(ADCC)は、mKID2が結合する癌性細胞を排除し得る。従って、本発明は、本明細書に記載の組成物のいずれかを投与することを含む、免疫応答を刺激する方法を提供する。
いくつかの場合において、抗体結合はまた、細胞性免疫応答および体液性免疫応答の両方を活性化し得、そしてより多くのナチュラルキラー細胞またはサイトカイン(例えば、IL−2、IFN−γ、IL−12、TNF−α、TNF−βなど)の増加した産生をリクルートし得、これらはさらに個体の免疫系を活性化させて癌性細胞を破壊する。さらに別の実施形態において、mKID2は癌性細胞と結合し得、マクロファージまたは他の貪食細胞は、癌性細胞をオプソニン化し得る。
化学療法剤と会合(連結を含む)されるALCAMに対する抗体またはフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)(例えば、キメラ抗体、単鎖(ScFv)、これらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、要求される特異性の抗原ALCAM認識部位を含む抗ALCAM抗体の任意の他の改変された立体配置)の種々の処方は、投与のために使用され得る。ある実施形態において、ALCAMに対する抗体またはこのフラグメントは、希釈されずに投与され得る。他の実施形態において、ALCAMに対する抗体またはこのフラグメント、ならびに薬学的に受容可能な賦形剤は、投与され、種々の処方の中にあり得る。薬学的に受容可能な賦形剤は、当該分野で公知であり、そして薬理学的に有効な物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形状または硬度を与え得るか、あるいは希釈剤として作用し得る。適切な賦形剤としては、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変化させるための塩、カプセル化剤、緩衝剤、ならびに皮膚透過増強因子が挙げられるが限定されない。賦形剤ならびに、経口および非経口薬物送達のための処方は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版,Lippincott,Williams&Wilkins,Publishingに記載される。
一般に、これらの薬剤は、注射(例えば、腹腔内に、静脈内に、皮下に、筋肉内に、など)による投与のために処方されるが、他の形態の投与(例えば、経口投与、粘膜投与、など)もまた、使用され得る。従って、ALCAMに対する抗体およびこの等価物は、好ましくは薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、生理的食塩水、リンガー液、ブドウ糖溶液など)と組み合わされる。特定の用量レジメン(すなわち、用量、機会および回数)は、特定の個体および個体の医学的履歴に依存する。一般に、以下の用量のいずれかが、使用され得る:少なくとも約50mg/kg(体重);少なくとも約10mg/kg(体重);少なくとも約3mg/kg(体重);少なくとも約1mg/kg(体重);少なくとも約750μg/kg(体重);少なくとも約500μg/kg(体重);少なくとも約250μg/kg(体重);少なくとも約100μg/kg(体重);少なくとも約50μg/kg(体重);少なくとも約10μg/kg(体重);少なくとも約1μg/kg(体重)、またはこれより多くの用量が、投与される。経験的な考慮(例えば、半減期)は、一般に用量を決定するために寄与する。ヒト免疫系(例えば、ヒト化抗体または完全にヒトの抗体)と適合性のある抗体は、この抗体の半減期を引き伸ばすためにそしてこの抗体が宿主の免疫系により攻撃されることを回避するために使用され得る。投与の頻度は、治療の過程の中で決定され得そして調整され得、そして、癌性細胞の数を減少させること、癌性細胞の減少を維持すること、癌性細胞の増殖(proliferation)を減少させること、または転移の発達を遅延させることに基づく。代替としては、ALCAMに対する抗体の継続した徐放処方が、適切であり得る。徐放を達成するための種々の処方物およびデバイスは、当該分野で公知である。
1つの実施形態において、ALCAMに対する抗体の用量は、1つ以上の投与を受けた個体において経験的に決定され得る。個体は、増加する用量のALCAMに対する抗体を与えられる。このALCAMに対する抗体またはこのフラグメントの効力を評価するために、特異的な癌の病状は、方法(例えば、触診または視覚的観察を経た腫瘍の大きさの直接的測定、x線もしくは他の画像化技術による腫瘍の大きさの間接的測定、直接的腫瘍生検および腫瘍サンプルの顕微鏡的試験により評価されるような改善、間接的腫瘍マーカー(例えば、前立腺癌のためのPSA)、痛み、麻痺、話すこと、見ること、呼吸の不自由もしくは腫瘍に関連した他の不自由における減少、増加した食欲、あるいは受け入れられた試験により測定された生活の質の向上または生存性の延長の測定)により追従され得る。用量が、個体、癌の型、癌の段階、癌が個体における他の位置へ転移を始めたか否か、ならびに過去のおよび現在の使用された処置に依存して変化することは、当業者に明らかとなる。
他の処方としては、当該分野で公知の適切な送達形態(リポソームのようなキャリアが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。例えば、Mahatoら(1997)Pharm.Res.14:853−859を参照のこと。リポソーム性調製物としては、サイトフェクチン、多重膜小胞および単層小胞が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態において、1つ以上の抗体が、存在し得る。このような組成物は、例えば、卵巣癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞に対して反応性である、1つまたは1つより多くの抗体を含み得る(少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの異なる抗体を含み得る)。抗体の混合物(当該分野でしばしば示されるような)は、より広範囲にわたる個体の集団を処置することにおいて得に有用であり得る。
疾患の評価を、当該分野で標準的な方法(例えば、画像化方法および適切なマーカーのモニタリング)を使用して実施し得る。
(X.ALCAMは、新血管形成に関与する)
細胞表面上でALCAMを発現する細胞または組織(成人細胞および成人組織ならびにグラフトされた細胞およびグラフトされた組織が挙げられる)は、抗ALCAM抗体の投与の際に新血管形成を活性化する。実施例5に示されるように、ALCAMを発現する私有のヒト膵臓腫瘍細胞株であるRav9926を、ヌードマウスの中に植え付けた。抗ALCAMモノクローナル抗体、2D4の投与は、マウス血管によるヒト腫瘍の新血管形成を生じた。さらなる試験において、SKOV−3(ALCAMを発現するヒト卵巣癌細胞株)を、腎臓莢膜下でまたは皮下腫瘍として増殖させた。2D4の投与は、生じた卵巣腫瘍の増加した新血管形成を生じた。モノクローナル抗体2D4はマウスALCAMと結合しないので、MAb2D4は、ALCAMを発現する外来細胞(すなわち、ヒト膵臓腫瘍細胞)と結合してこれらの細胞を活性化し、血管増殖を引き起こした。理論によって束縛されないが、ALCAMの活性化により、血管生成を促進する血管新生促進分子の放出が生じる。
従って、1つの実施形態において、抗ALCAM薬剤(例えば、抗ALCAM抗体)は、組織において血管増殖を引き起こすために有効な量で個体へ投与され得る。1つの実施形態において、個体は組織移植物を受容し、組織移植物の血管新生を必要とし得る。有効量の抗ALCAM薬剤の投与は、新血管形成を達成するために使用され得る。
別の実施形態において、抗ALCAM抗体は、血管新生促進分子を同定するために使用され得る。例えば、抗ALCAM抗体は、細胞を新血管形成促進活性を生じるように刺激するために使用され得る。新血管形成または血管新生を促進する分子は、標準的な技術(例えば、アフィニティークロマトグラフィー)により、このような活性を呈示する細胞由来の細胞溶解物上で精製され得る。このような活性をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)は、標準的な技術(例えば、発現クローニング、ディファレンシャルディスプレイ、および遺伝子アレイ)を使用して単離およびクローン化され得る。1つの実施形態において、本発明は、腫瘍細胞を抗ALCAM抗体で刺激する工程、腫瘍細胞から放出された分子フラクション化する工程、および各々のフラクションを血管新生活性について分析する工程により、血管新生促進分子を同定し得、抗ALCAM抗体による刺激の際に腫瘍細胞から放出される血管新生促進分子を同定し得る。
別の実施形態において、血管新生促進分子は、組織において血管増殖を引き起こすために有効な量で個体へ投与され得る。血管新生促進分子に対する抗体は、以前に記載されたような当該分野で公知の標準的技術により調製され得る。別の実施形態において、薬剤(例えば、同定された血管新生促進分子に対する抗体)は、この血管新生促進分子の新血管形成活性を阻害するために有効な量で個体へ投与され得る。
動物モデル(例えば、実施例5に記載される動物モデル)は、ALCAMの新血管形成活性を阻害する1つ以上のアンタゴニスト剤(例えば、アンタゴニスト抗体)をスクリーニングするために使用され得る。候補アンタゴニスト剤(例えば、アンタゴニスト抗体)の投与の後に、この動物モデルを減少した新血管形成についてモニターする。新血管形成の量における減少は、この候補抗体が血管増殖に対する阻害的効果を有することを示す。
本明細書に記載の望まれる特性を有する抗CD6抗体は、本発明の実施において利用され得る。さらに、特定のCD6ペプチドおよびポリペプチドフラグメントならびにアナログ分子は、本発明の範囲の中に含まれ、好ましくは、主張したALCAMアゴニストおよびALCAMアンタゴニスト(ALCAMの血管新生関連活性を調節するこれらのペプチドが挙げられるがこれらに限定されない)と共通の生物学的活性を共有するCD6ペプチドおよびポリペプチドフラグメントならびにアナログ分子である。
この開示はしばしば、本発明の候補治療剤としての抗体を考察する一方で、本発明に含まれる組成物はまた、ALCAMに媒介される新血管形成を増強または減少させる非抗体薬剤も含む。いずれの特定の作用機構にも限定されることなく、これらの新血管形成調節因子は、ALCAMに対して直接作用し得るかあるいは、このネイティブの結合パートナーまたは誘導された結合パートナーに対して作用し得る。CD6は、本発明の教示に従うと、ALCAMに媒介される新血管形成を増強または減少させる薬剤による調節に適切である既知の結合パートナーの例である。薬剤は、ALCAMと結合パートナー(例えば、抗ALCAM抗体またはCD6)との会合を、ブロック、減少、増強または他の方法で調節するこれらの能力について試験され得る。特に、薬剤は、このような相互作用を調節する能力について、このALCAM相互作用部位を含むペプチド(代表的に、これがインタクトな生細胞上に存在するようなネイティブな高次構造で)を結合パートナーおよび試験薬剤とともにインキュベートすることならびにこの試験薬剤がこの結合パートナーとこのALCAMペプチドとの結合を減少するか増強するかを決定することにより、試験され得る。アゴニスト、アンタゴニスト、および他の調節因子は、明白に考慮される。
(XI.ALCAMと結合する抗体を含むキット)
本発明はまた、種々の癌、新血管形成またはALCAM発現組織の新血管形成の阻害の免疫療法を受け入れる候補としての個体をスクリーニングすることにおける使用のためのALCAMと結合する抗体を含むキットも提供する。従って、このキットは、ALCAMと特異的に結合し得、および/またはALCAMと複合体を形成する抗体を含み得る(例えば、卵巣癌性細胞、前立腺癌性細胞、膵臓癌性細胞、肺癌性細胞、結腸癌性細胞、または乳癌性細胞を検出するために有用である)。ある実施形態において、これらのキットは、抗体mKID2あるいはmKID2のALCAMとの優先する結合を完全に阻害する抗体(単独の薬剤としてまたは化学療法剤もしくはラベリング剤と連結されて使用される)を含む。これらのキットは、この抗体または本明細書に記載の任意の抗体もしくはポリペプチドの実施形態と化学療法剤またはラベリング剤とを連結させるための説明書ならびに/あるいは試薬をさらに含み得る。いくつかの局面において、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体など)の結合は、個体が免疫療法のための候補となるか否かをスクリーニングするために使用される。他の局面において、これらのキットは、例えば、癌を有する個体を処置するために使用され得る。ある実施形態において、癌を有する個体を処置するためのキットとしては、化学療法剤を癌性細胞(例えば、卵巣癌性細胞、前立腺癌性細胞、膵臓癌性細胞、肺癌性細胞、結腸癌性細胞、または乳癌性細胞のような、しかしこれらに限定されない)へ送達するためのキット、または化学療法剤を癌性細胞(例えば、卵巣癌性細胞のような、しかしこれに限定されない)の中に送達するためのキットが挙げられる。本発明のキットは、適切なパッケージの中にあり、必要に応じて、緩衝液のような追加の構成要素、ならびにALCAMへの結合を決定するための説明書(例えば、捕捉試薬、発色試薬、標識、反応表面、検出のための手段、コントロールサンプル、および解釈上の情報)を提供し得る。これらの説明書は、抗原結合の任意の測定(本明細書に記載のアッセイが挙げられるが、これらに限定されない)のためであり得る。ある実施形態において、上に記載の試薬は提供され、これにより、複数の計測がなされ得る(例えば、同じ個体において時間をかけての測定、または複数の個体の測定を可能にする)。この抗体の結合を検出するための任意の適切な手段(例えば、標識化した抗ヒト抗体)は、使用され得(そしてこれらのキットにおいて提供され得)、ここでこの標識は、酵素、発蛍光団、化学発光物質、放射性同位体または補酵素であり得る。他の実施形態において、この抗ALCAM抗体は、癌を有する個体の処置のために化学療法剤としての使用のための化学療法剤と会合され得る。
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、本発明を限定しない。
(実施例1 前立腺癌細胞におけるALCAMのウェスタンブロット分析)
LNCAP細胞(前立腺癌腫細胞(ATCC番号CRL−1740またはATCC番号CRL−10995))を、175cm培養ディッシュ上で集密となるまで増殖させた。集密な単層をハンクの平衡塩溶液(HBSS+、重炭酸ナトリウム、またはフェノールレッドを含有しない;10mMHEPES(pH7.4)で緩衝化、Sigma Chemicalsから入手)で3回洗浄し、200μgのスルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce Endogen)で30分間、室温でビオチン化した。これらの細胞を0.1MTris(pH7.4)含有HBSS+(Sigma Chemicals)でさらに3回洗浄し、0.1MTris(pH7.4)含有HBSS+の中で15分間、室温でインキュベートした。最後に、これらの細胞をHBSS+で3回洗浄し、5分間の氷上での溶解緩衝液(2% Triton X−100、2mM PMSF、0.1%アジ化ナトリウム、および5ml溶解緩衝液あたり1錠のEDTA非含有完全ミニプロテアーゼカクテルを含有するHBSS+(EDTA非含有完全ミニプロテアーゼカクテルはRoche Molecular Biochemicalsから入手、それ以外はすべてSigma Chemicalsから入手))の中でのインキュベーションにより溶解した。細胞を溶解緩衝液の中でかき取り、溶解物を回収した。溶解物を遠心(14,000×g 1時間、4℃)により清澄化した。まず、清澄化溶解物を2時間4℃で5μlのヒトIgG結合体化(1mg/ml)CNBr4MBセファロースビーズ(Amersham Pharmacia)によりプレクリア化した。ヒトIgGビーズを除去し、次いで、プレクリア化溶解物をCNBr4MBセファロースビーズと結合体化したモノクローナル抗体2D4(1mg/mlで結合体化)と共に2時間4℃でインキュベートした。2D4ビーズを2時間のインキュベーションの後に取り出した。ヒトIgGビーズおよび2D4ビーズの両方を1mlの溶解緩衝液で個々に3回洗浄し、続いて3回1mlのHBSS+で洗浄した。洗浄したビーズを、30μlのSDS−PAGEサンプル緩衝液の添加および99℃で5分間の煮沸により溶出した。同様に、ALCAMを、Ancell Corporation(Minnesota)製の抗ALCAMモノクローナル抗体クローン3A6を使用することにより、LNCAP細胞溶解物から免疫沈降した。これらのサンプルを4〜20%Novexグラジエントゲル(Invitrogen)上で分画し、0.2μmニトロセルロース(Invitrogen)上にトランスファーし、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ストレプトアビジン(Pierce Endogen)により可視化したかまたは5μg/ブロットの2D4でウェスタンブロットした。HRP結合体化ストレプトアビジンによる検出のために、まず、このニトロセルロースを1時間、ブロッキング緩衝液(5%脱脂乾燥ミルク(0.05%Tween−20含有リン酸緩衝化生理食塩水(PBST)中)、Sigma Chemicals)でブロックした。HRP結合体化ストレプトアビジンをPBSTの中に1μg/mlで希釈し、このニトロセルロースに30分間、室温でさらした。このニトロセルロースをPBSTで3回洗浄し、その後DAB基質で発色した。2D4によるウェスタンブロッティングのために、このニトロセルロースを同様に1時間ブロッキング緩衝液の中でブロックした。次いで、このニトロセルロースを、ブロッキング緩衝液中に希釈した1mlの5μg/ml2D4を含む熱密封プラスチックパウチの中でインキュベートした。このニトロセルロースをPBSTで3回洗浄し、その後10mlのlμg/mlHRP結合体化ロバ抗ヒトIgG(重鎖および軽鎖特異的、ウシの、ニワトリの、ヤギの、モルモットの、シリアンハムスターの、ウマの、ヒトの、ウサギの、ヒツジの血清タンパク質に対して交差吸着させた、Jackson Immunoreasearch,カタログ番号709−035−149)で1時間、室温でインキュベートした。最後に、このニトロセルロースをPBSTで3回洗浄し、DAB基質を使用する発色により可視化した。Santa Cruz(sc−8548およびsc−8549)由来のポリクローナル抗ALCAMによるウェスタンブロッティングのために、このニトロセルロースを同様にブロッキング緩衝液の中で1時間ブロックした。次いで、このニトロセルロースを、提供者の推奨に従って、ブロッキング緩衝液中に希釈した1mlの一次抗体を含む熱密封プラスチックパウチの中でインキュベートした。このニトロセルロースをPBSTで3回洗浄し、その後10mlのlμg/ml HRP結合体化ロバ抗ヤギIgG(重鎖および軽鎖特異的、Jackson Immunoresearch,カタログ番号705−035−147)で1時間、室温でインキュベートした。最後に、このニトロセルロースをPBSTで3回洗浄し、DAB基質を使用する発色により可視化した。
この結果は、2D4および3A6の両方がHRP−ストレプトアビジンにより検出された112kDaのビオチン化細胞表面タンパク質を免疫沈降したことを示した。2D4により免疫沈降したかまたは3A6により免疫沈降したかのいずれかのタンパク質の同じバンドをまた、抗ALCAMモノクローナル抗体2D4ならびにsc−8548およびsc−8549によりウェスタンブロットにおいて認識した。この結果は、共通の抗原である、ALCAM(これは、前立腺癌細胞株、LNCAPに存在する)と結合するこれらすべての抗体を確証した。
(実施例2 ビオチン化一次抗ALCAM抗体による組織切片におけるALCAMの免疫組織学的染色)
細胞切片を10ミクロンでLeica CM3050により切断し、スライド上に解凍マウントした。これらの切片を少なくとも30分間、室温で風乾させた。このスライドをエタノール(−20℃で前もって冷やした)中に浸すことによりこれらの切片を固定し、そして続いて一晩風乾させるかまたは4%パラホルムアルデヒドで5分間固定した。固定したスライドを直後に使用し得るかまたは、使用まで−80℃で冷凍庫に保存し得る。内因性ペルオキシダーゼ活性を不活性化するために、これらのスライドを1%過酸化水素(メタノール中)の中で30分間、室温でインキュベートした。一次抗体のインキュベーションの前に、これらのスライドを、5%ヤギ血清(PBSおよび0.1% Tween 20中)を伴う室温で60分間のインキュベーションにより、非特異的結合部位についてブロックした。
ビオチン化抗ALCAM抗体を以下のように調製した:精製したモノクローナル抗体をNaHCO緩衝液(pH9.0)に対して一晩透析した。50μlビオチン標識化試薬(N−ヒドロキシスクシニンミドビオチン(DMSO中で2mg/ml)、Pierceカタログ番号20217)を加え、混合した。この反応混合物を室温でロッキングプラットフォーム上で穏やかなロッキングにより一晩反応させ、次いで、PBSに対して透析して過剰な遊離ビオチンを除去した。この混合物を5%ヤギ血清および0.1%Tween20を含有するPBS中に約1μg/mlの終濃度で希釈し、このスライドへ全体の組織切片をカバーするために十分な量(通常1枚のスライドあたり0.5ml)で加えた。これらのスライドをPBSで飽和した加湿チャンバーの中で密封し、4℃で一晩インキュベートした。インキュベーションの終わりに、これらのスライドをPBSによる3回(各々、5分間)のすすぎにより洗浄して過剰な一次抗体を除去した。次いで、これらのスライドをストレプトアビジン−HRP溶液(Sigma,カタログ番号S−5512、10μg/ml(5%ヤギ血清および0.1% Tween 20含有PBS中))の中で1時間、室温でインキュベートした。再度、これらのスライドをPBSによる3回(各々、5分間)のすすぎにより洗浄して過剰なストレプトアビジン−HRPを除去した。最後に、これらのスライドをペルオキシダーゼ基質緩衝液(リン酸ナトリウム緩衝液、pH5.00)による2回のすすぎにより洗浄し、適切なコントラストが達成されるまで(通常は数分間)ペルオキシダーゼ基質DAB/H中で室温で発色した。この反応を水中のすすぎにより停止させ未反応の基質を除去した。これらのスライドをヘマトキシリンにより対比染色し、カバーガラスをこのスライド上に置き、その後顕微鏡的に試験した。染色の結果を試験してNikon顕微鏡(ModelE800)下で写真撮影した。結果を、弱い陽性染色について「+」として、中程度の陽性染色について「2+」として、強い陽性染色について「3+」として、および陰性染色について「−」として、表1および表2の中で記録した。表1は、抗ALCAM抗体の種々の卵巣癌組織および前立腺癌組織への結合を示す。番号1〜番号21の組織サンプルは、卵巣癌細胞組織であり、番号22〜番号27の組織サンプルは、前立腺癌組織サンプルである。表2は、抗ALCAM抗体の種々の正常ヒト組織への結合を示す。
Figure 2005524399
Figure 2005524399
(実施例3 抗ALCAM抗体の膵臓癌への結合)
抗ALCAMモノクローナル抗体2D4の膵臓癌細胞株(AsPC−1(ATCC番号CRL−1682)、Capan−1(ATCC番号HTB−79)、CFPAC−1(ATCC番号CRL−1918)、HPAF−11(ATCC番号CRL−1997)、HS700T(ATCC番号HTB−147)、HS766T(ATCC番号HTB−134)、PANC1(ATCC番号CRL−1469)、SU.86.86(ATCC番号CRL1837)、およびRav9926(私有の膵臓癌細胞株))への結合を、生細胞において蛍光表示式細胞分取器により分析した。図1に示される各々のヒストグラムにおいて、灰色の塗りつぶした曲線は、一次抗体を除いての、蛍光標識化抗ヒトIgG Fcの各々の細胞株との非特異的結合を表す。黒の曲線は、抗ALCAM抗体と結合した細胞のFACS分別を示す。黒の曲線の、灰色の曲線から右へのシフトは、抗ALCAM抗体のそれぞれの細胞株への特異的結合を示し、従ってこの細胞株が細胞表面上でALCAMを発現することを関係付けた。9つの試験した膵臓細胞株のうち8つが、ALCAMを発現する(Capan−1、CFPAC−1、HPAF−11、HS700T、HS766T、PANC1、SU−86−86、およびRav9926)。
(実施例4 抗ALCAMの肺癌への結合)
抗ALCAM抗体の肺癌細胞株SK−MES−1(ATCC番号HTB58)(原発性扁平細胞癌)への結合を、生細胞酵素連結イムノアッセイにより分析した。SK−MES−1細胞株を10%ウシ胎仔血清補充F12/DMEM培地の中で組織培養処理96ウェル組織培養プレート(Falconカタログ番号354075)の中で集密となるまで増殖させた。細胞を組織培養培地で洗浄し、次いで、10μg/mlの抗ALCAM抗体(MAb2D4)を加えてまたは加えずに、1%BSAおよび0.1%アジ化ナトリウムを含有するハンクの平衡塩溶液(HBSS)の中で1時間室温でインキュベートした。次いで、細胞を、3回、1ウェルあたり100μlのHBSSで洗浄し、引き続き1ウェルあたり50μlの、0.8μg/mlの濃度でHBSSに希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ロバ抗ヒトIgG重鎖特異的抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ロバ抗ヒトIgG軽鎖特異的抗体とともに30分間室温でインキュベートした。最後に細胞を3回HBSSで洗浄し、100μlTMB基質(KPLカタログ番号50−65−00およびカタログ番号50−76−01)の中で5分間インキュベートし、1ウェルあたり100μlの1Mリン酸の添加により停止した。発色したプレートをO.D.450nmで読み取った。この結果は、MAb2D4が、コントロールの(MAb2D4なし)O.D.450をブランクとしてセットした場合に0.356のO.D.450値(0.064の標準誤差値)を生じたことを示し、SK−MES−1細胞がALCAMを細胞表面上で発現したことを示した。
(実施例5 抗ALCAM抗体はヌードマウスの中のALCAM陽性細胞の移植物において血管新生を増強した)
Rav9926細胞(私有ヒト膵臓腫瘍細胞株)を、ヌード(nu/nu)マウスの中で腎臓莢膜の下に移植した。この移植片を、一週間増殖させた。抗ALCAMモノクローナル抗体であるクローン2D4を、100mg/kgの用量で2日おきに3回の注入で腹腔内に注入した。コントロールマウスには賦形剤を注入した。10日目に、これらの動物を安楽死させ、腎臓および移植片を試験した。図2は、コントロールマウスにおける細胞移植片トが白く半透明であり、一方で2D4モノクローナル抗体を注入したマウスにおける細胞移植片が密集した脈管構造でもつれた(矢印で示した)ことを示す。この結果は、2D4モノクローナル抗体が組織移植片の細胞において血管形成を増強したことを示した。
ALCAMは、内皮細胞の表面上に存在し得るので、ALCAM抗体の内皮細胞への添加の効果が、評価された。ヒト臍静脈微小血管内皮細胞(カタログ番号CC2519)、成人大動脈微小血管内皮細胞(カタログ番号CC2535)および新生児真皮微小血管内皮細胞(カタログ番号CC−2516)を、Bio WhittakerのClonetics部門から入手し、初期の継代で試験した。細胞を1ウェルあたり約1500細胞の密度で96ウェルプレートにプレートして、50μg/mlの2D4とともにかまたはこれを入れずに4日間インキュベートし、増殖をクリスタルバイオレットによる染色および光学密度の読み取りにより測定した。ALCAM抗体の存在は、これらの内皮細胞のいずれの増殖にも影響しなかった。従って、インビボでのALCAM抗体による処理の後に見られた増加した血管新生は、内皮細胞増殖上の直接的な効果が原因でない可能性が最も高かったことが、結論付けられ得る。追試は、2D4 MAbが種特異性を提示し、マウスALCAMと結合しないことを示した。本発明の特定の実施形態において、かつ特定の作用機構に限定することなく、インビボで観察された新血管形成は、腫瘍細胞による血管新生促進物質のALCAM抗体依存性の放出(これは二次的に新血管形成を生じる)に起因した。
(実施例6 組織切片におけるビオチン化抗ALCAM抗体mKID2によるALCAMの免疫組織学的染色)
組織切片を、実施例2に記載される方法を使用して、調製して抗ALCAM抗体mKID2により染色した。抗ALCAM抗体mKID2は、American Type Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd Manassas VA 20110−2209)に2002年6月21日に、特許寄託識別番号PTA−4478で寄託したハイブリドーマから産生した。染色の結果を試験してNikon顕微鏡(ModelE800)下で写真撮影した。結果を、弱い陽性染色について「+」として、中程度の陽性染色について「2+」として、強い陽性染色について「3+」として、および陰性染色について「−」として、表1および表2の中で記録した。表3は、抗ALCAM抗体mKID2の種々の結腸癌組織、肺癌組織、前立腺癌組織、および乳癌組織への結合を示す。
Figure 2005524399
+/−あいまいな染色
(実施例7 抗ALCAM抗体および毒素結合体化抗マウスIgGの内部移行)
MAb−ZAP(Advanced Targeting Systems,San Diego,CA)は、サポリン(タンパク質合成を阻害する毒素)と結合体化した抗マウスIgGである。この毒素は、細胞膜に対して非透過性である。モノクローナル抗体が、内部移行可能である細胞表面抗原と結合する場合、この毒素結合体は、この結合したモノクローナルと結合され得、内部移行され得、最終的に細胞を殺傷し得る。毒性活性の呈示のための内部移行に依存して、MAb−ZAPは、所定の表面抗原が内部移行に依存して細胞毒性効果を表す任意の毒素のための適切な標的としての役目を果たすか否かを評価するために、役目を果たし得る。従って、MAb−ZAPは、このような内部移行依存性毒素(例えばメイタンシノイドおよびカリケアマイシン)についてのモデルとしての役目を果たす。
抗ALCAM抗体およびサポリン結合体化抗マウスIgGの内部移行およびサポリンの内部移行の後の腫瘍細胞増殖の阻害の効果を試験するために、モノクローナル抗ALCAM抗体mKID2をこのアッセイに使用した。ヒト卵巣癌細胞、SKOV3(ATCC番号HTB77)を10mM EDTAを含むストックフラスコから取り出し、遠心した。細胞を50,000/mlで適切な培地に再懸濁し、1ウェルあたり100μlを96ウェルプレートにプレートした。直後に、抗体mKID2を適切なウェルに10×濃度として添加し、10μg/mlの最終濃度にした。室温で15分後、MAb−ZAP(カタログ番号IT−04,Advanced Targeting Systems,San Diego CA)を適切なウェルに10×濃度として添加し、0.001pM〜10pMの最終濃度にした。4日間の増殖の後、MTTを(5mg/ml PBSストック、ウェル中で1:10希釈)4時間37℃で添加した。次いで、培地をすべてのウェルから除去し、100μl/ウェルのDMSOを添加した。プレートを穏やかに旋回させて青色のMTT沈殿物を可溶化させ、プレートをプレートリーダー中で540nmで読み取った。
図3に示されるように、MAb−ZAPを100pMより多く添加した場合に、mKID2の非存在下での染色に比べてmKID2の存在下でのSKOV3細胞におけるMTT染色において減少が生じた。これは、ヒト卵巣細胞SKOV3の増殖がmKID2およびMAb−ZAPの存在下で阻害され、mKID2および毒素結合体化抗マウスIgGがSKOV3において内部移行されたことを提示した。
同様の試験を、ヒト卵巣癌細胞SKOV3において異なる濃度のmKID2で実施した。図4に示されるように、1μg/ml、10μg/ml、および20μg/mlのmKID2と10nMのMab−ZAPとの組み合わせの存在下で、SKOV3細胞の中でMTT染色における減少が生じた。
本明細書に記載の実施例および実施形態は、例示的目的のみのためであること、およびこれらを考慮に入れた種々の改変または変更が、当業者にとって示唆され、本明細書の精神および範囲の中に含まれるべきであることが、理解される。本明細書中に引用されたすべての出版物、特許および特許出願は、各々の個々の出版物、特許または特許出願が具体的にかつ個々に参考として援用されると示された場合と同じ程度に、すべての目的のために参考として全体が本明細書中に援用される。
本特許または本出願書類には色付きで描かれた図面が少なくとも1つ含まれている。色付きの図面を含む本特許または本特許出願公報の複写物は、要請があれば有料で特許庁によって提供される。
図1は、抗ALCAMモノクローナル抗体2D4の、9つの異なる膵臓癌細胞株との結合のヒストグラムプロットを示す。各々の細胞株の中の細胞を、蛍光活性化セルソーターを使用して分別した。各々のヒストグラムにおいて、灰色で塗りつぶした曲線は、一次抗体を除いた場合の、抗ヒトIgG Fcの各々の細胞株との非特異的結合を表す。黒線の曲線は、抗ALCAMの各々の膵臓癌細胞株との結合のヒストグラムを表す。 図2は、Rav9926細胞(私有のヒト膵臓腫瘍細胞株)を腎臓莢膜下にグラフトしたヌードマウスの血管新生を示す写真である。図2Aおよび図2Bは、賦形剤を注入したコントロールマウス腎臓莢膜の写真である。図2Cおよび図2Dは、抗ALCAM抗体クローン2D4を注入したマウス腎臓莢膜の写真である。 図3は、mKID2およびMAb−ZAP(サポリンとの抗IgG結合体)の、ヒト卵巣癌細胞SKOV3の増殖に対する効果を示すグラフである。 図4は、mKID2(1μg/ml、10μg/ml、および20μg/mlの濃度で)およびMAb−ZAPの、ヒト卵巣癌細胞SKOV3の増殖に対する効果を示すグラフである。

Claims (26)

  1. 実質的に精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントであって、活性化白血球接着分子(ALCAM)と特異的に結合し、かつ以下の特徴:
    a.癌細胞上のALCAMと結合する能力;
    b.生細胞の表面に露出したALCAMの一部分とインビトロまたはインビボで結合する能力;
    c.治療剤または検出可能なマーカーを、ALCAMを発現する癌細胞へ送達する能力;
    d.治療剤または検出可能なマーカーを、ALCAMを発現する癌細胞の中に送達する能力;
    e.個体における血管生成を増強させる能力;ならびに
    f.個体における血管生成を減少させる能力、
    のうちの少なくとも1つ以上を有する、ポリペプチドまたはフラグメント。
  2. 請求項1に記載の精製された免疫グロブリンポリペプチドまたは抗原結合フラグメントであって、前記癌細胞が、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、または乳癌細胞からなる群から選択される、ポリペプチドまたはフラグメント。
  3. 請求項1に記載の免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントをコードする、単離された核酸配列。
  4. 請求項3に記載の核酸であって、該核酸は、プロモーターに作動可能に連結されている、核酸。
  5. 請求項4に記載の核酸であって、前記プロモーターおよび該核酸は、発現ベクター中に含まれている、核酸。
  6. 請求項3に記載の核酸であって、前記ポリペプチドが、モノクローナル抗体である、核酸。
  7. 請求項3に記載の核酸を含むベクターによりトランスフェクトされたか、形質転換されたか、または感染された、細胞株。
  8. 実質的に精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントを産生する方法であって、
    a.請求項3に記載の核酸により形質転換された細胞株を、前記免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントが発現される条件下で増殖させる工程;ならびに
    b.該発現した免疫グロブリンポリペプチドまたはフラグメントを回収する工程、
    の工程を包含する、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記細胞株が、ハイブリドーマである、方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、前記ハイブリドーマが、ATCC受託番号PTA−4478である、方法。
  11. 請求項8に記載の方法であって、前記免疫グロブリンポリペプチドが、モノクローナル抗体である、方法。
  12. 治療的に有効な用量の、請求項1もしくは請求項15〜請求項16のいずれかに記載の精製された免疫グロブリンまたは抗原結合フラグメントを薬学的に受容可能なキャリアとともに含有する、薬学的組成物。
  13. 治療的に有効な用量の、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントを、薬学的に受容可能なキャリアとともに含有する薬学的組成物であって、該モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、ALCAMと特異的に結合し、かつ以下の特徴:
    a.癌細胞上のALCAMと結合する能力;
    b.生細胞の表面に露出したALCAMの一部分とインビトロまたはインビボで結合する能力;
    c.治療剤または検出可能なマーカーを、ALCAMを発現する癌細胞へ送達する能力;
    d.治療剤または検出可能なマーカーを、ALCAMを発現する癌細胞の中に送達する能力;
    e.個体における血管生成を増強させる能力;ならびに
    f.個体における血管生成を減少させる能力、
    のうちの少なくとも1つ以上を有する、薬学的組成物。
  14. 請求項13に記載の薬学的組成物であって、該組成物がさらなる治療的部分を含有する、薬学的組成物。
  15. 精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントであって、ALCAMと特異的に結合し、かつ新血管形成を減少させる、ポリペプチドまたはフラグメント。
  16. 精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントであって、ALCAMと特異的に結合し、かつ新血管形成を増強させる、ポリペプチドまたはフラグメント。
  17. ATCC受託番号PTA−4478として指定された単離された細胞株またはその子孫。
  18. 化学療法剤を癌細胞へ送達するための方法であって、該化学療法剤と会合して抗ALCAM抗体を含有する組成物を投与する工程を包含し、該癌細胞は、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、および乳癌細胞からなる群から選択される、方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、前記化学療法剤が、個体に投与される、方法。
  20. 請求項18に記載の方法であって、前記抗ALCAM抗体が、細胞株ATCC受託番号PTA−4478またはその子孫により発現される抗体である、方法。
  21. 個体における癌細胞の増殖を阻害する方法であって、化学療法剤と会合した抗ALCAM抗体を含有する有効量の組成物を該個体へ投与する工程を包含し、該癌細胞は、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、および乳癌細胞からなる群から選択される、方法。
  22. 請求項21に記載の方法であって、前記化学療法剤が、前記癌細胞の中に送達される、方法。
  23. 請求項21に記載の方法であって、前記抗ALCAM抗体が、細胞株ATCC受託番号PTA−4478またはその子孫により発現されるモノクローナル抗体である、方法。
  24. 個体における癌細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、該個体由来の細胞を抗ALCAM抗体と接触させる工程、および該細胞由来のALCAMと該抗体との複合体が存在する場合に該複合体を検出する工程、を包含し、該癌細胞は、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、および乳癌細胞からなる群から選択される、方法。
  25. ALCAMとALCAM結合パートナーとの間の以下の相互作用:
    a.癌細胞上のALCAMと結合する能力;
    b.生細胞の表面上に露出したALCAMの一部分とインビトロまたはインビボで結合する能力;
    c.治療剤または検出可能なマーカーを、ALCAMを発現する癌細胞へ送達する能力;
    d.治療剤または検出可能なマーカーを、ALCAMを発現する癌細胞の中に送達する能力;
    e.個体における血管生成を増強させる能力;ならびに
    f.個体における血管生成を減少させる能力、
    のうちの少なくとも一つをブロックする薬剤。
  26. 治療的に有効な用量の請求項25に記載の薬剤を薬学的に受容可能なキャリアとともに含有する、薬学的組成物。
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