JP2003520565A - ヒト膜チャネルタンパク質 - Google Patents

ヒト膜チャネルタンパク質

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JP2003520565A JP2000567698A JP2000567698A JP2003520565A JP 2003520565 A JP2003520565 A JP 2003520565A JP 2000567698 A JP2000567698 A JP 2000567698A JP 2000567698 A JP2000567698 A JP 2000567698A JP 2003520565 A JP2003520565 A JP 2003520565A
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バンドマン、オルガ
タング、ワイ・トム
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ヒルマン、ジェニファー・エル
ユエ、ヘンリー
ラル、プリーティ
コーレイ、ニール・シー
ゲグラー、カール・ジェイ
ゴルゴン、ジーナ
ボーグン、マライア・アール
アジムザイ、ヤルダ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規のヒト膜チャネルタンパク質(MECHP)と、MECHPを同定しコードするポリヌクレオチドとを提供する。また、本発明は、発現ベクター及び宿主細胞、抗体、アゴニスト、アンタゴニストを提供する。更に、本発明は、MECHPの発現に関連する疾患の診断または治療方法、予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、ヒト膜チャネルタンパク質の核酸及びアミノ酸配列、及び細胞増殖
の障害、免疫/炎症の異常、輸送/分泌の障害、浸透圧調節の障害、筋肉の障害
、心血管の障害、及び神経の障害の診断、処置、及び予防におけるこれらの配列
の利用に関するものである。
【0002】 発明の背景 チャネルタンパク質は、脂質二重層を貫通し得る水性の細孔を形成することに
よって膜を通しての水性分子の輸送を促進する。多くのチャネルは、複数のサブ
ユニットを組み合わせることによって形成されたタンパク質複合体からなり、そ
のようなサブユニットの少なくとも1つは、細孔の形成に役立つ膜内在性タンパ
ク質である。場合によっては、細孔は、1種類又は2〜3種類の一定の分子のみ
の通過を選択的に許容するように構成される。その分布及び選択性が著しく異な
る各種の膜チャネルとしては、(1)水を輸送するアクアポリン、(2)小胞体
膜を通してタンパク質を輸送するタンパク質誘導チャネル、(3)隣接する細胞
同士の間でのイオン及び小型の有機分子の拡散を促進するギャップジャンクショ
ン、及び(4)様々な膜を通してのイオンの誘導を調節するイオンチャネルが挙
げられる。
【0003】 アクアポリン アクアポリン(AQP)は、水、場合によっては尿素やグリセロールのような
非イオン性の小さい溶質を輸送するチャネルである。水の移動は、様々な生理学
的プロセスにとって重要なものであり、そのような生理学プロセスとしては、腎
における体液の濾過、眼房水の生成、脳における髄液の生成、及び肺における適
切な水分補給等が挙げられる。様々なアクアポリンが、高等動物、植物、及び微
生物において見出されてきた。哺乳動物のアクアポリンは、特定の組織において
選択的に発現されていると考えられ、AQP0は水晶体上皮に局在し、AQP1
は赤血球細胞、腎臓、目、肺、脈絡叢、胆管、及び血管上皮等の多くの組織に局
在し、AQP2は導管細胞を集めている腎臓の先端部膜に局在し、AQP3は腎
臓、結腸、気管、膀胱、皮膚、及び眼の強膜に局在し、AQP4は腎臓、結腸、
気管、胃、骨格筋、臍帯、脳、及び網膜に局在し、AQP5は外分泌組織の先端
膜に局在し、AQP6は腎臓に局在し、且つAQP7は精巣に局在している(Ki
ng, L.S.及びP. Agre (1996) Annu. Rev. Physiol. 58:619-648; Ishibashi, K.
他 (1997) J. Biol. Chem. 272:20782-20786)。AQP9は、末梢血の白血球に
おいて発現され、肝臓ではより少ない量発現され、肺及び脾臓において更に少な
い量発現され、胸腺組織では全く発現されない(Ishibashi, K.他 (1998) Bioch
em. Biophys. Res. Commun. 244:268-274)。
【0004】 アクアポリンは、膜輸送体の主要内在性タンパク質(MIP)ファミリーのメ
ンバーである。MIPファミリーのタンパク質は、4つのサブユニットからなり
、各サブユニットは膜を6回貫通するものであり得、そのN末端及びC末端が細
胞質側にある。細菌、酵母、植物、及び動物のタンパク質は、MIPファミリー
のメンバーであることが分かった(Reizer, J.他 (1993) Crit. Rev. Biochem.
28:235-257)。アクアポリンサブユニットは6個の膜貫通領域を有し、膜貫通領
域の間にあるループ領域において見出された2つの保存Asn−Pro−Ala
(NPA)ボックス(場合によってはAsn−Pro−Serとして見出される
)を有する内在性膜タンパク質である(King, 前出; Isbibashi, (1997)前出)
。アクアポリンの研究は、正常な生物学的状態及び疾病状態の両方における体液
バランス及び浮腫形成に関する知見との関連を有し得る(King, 前出)。AQP
2における変異によって、常染色体劣性腎性尿崩症が生ずる(Online Mendelian
Inheritance in Man (OMIM) * 107777 Aquaporin 2; AQP2)。骨格筋における
AQP4の発現の低下は、デュシェンヌ型筋ジストロフィとの関連を有し得る(
Frigeri, A.他 (1998) J. Gun. Invest. 102:695-703)。マウスにおいて、AQ
P0における変異が常染色体優性白内障の原因となる(OMIM * 154050 Major In
trinsic Protein of Lens Fiber; MIP)。
【0005】 タンパク質誘導チャネル 分泌性膜内在性タンパク質は、細胞質から小胞体膜に於けるタンパク質誘導チ
ャネル(Protein-couducting channel)を通して小胞体(ER)に輸送される。
このチャネルは、翻訳と同時の及び翻訳後の転移置のために用いられる。翻訳と
同時のプロセスでは、小胞体シグナル認識粒子(SRP)の作用により輸送が開
始され、SRPは形成されつつある発生時のポリペプチド上のシグナル配列を認
識し、且つ膜の上に位置するSRP受容体を介してそのポリペプチド−リボゾー
ム複合体をER膜に結合する。このリボソーム複合体は、接着性ポリペプチドと
共に膜に結合する。発生時に未完成ポリペプチド鎖がリボゾームから出ていくと
、それはチャネル内にER膜を通して導入される。翻訳後プロセスも転移置され
るタンパク質上のシグナル配列を必要とするが、SRPは必要としない。このタ
ンパク質はチャネルの中に入り、ERルーメン中のBiP、ATPアーゼ及び分
子シャペロンによるアデノシン三リン酸(ATP)の加水分解によりER膜を通
して誘導される。
【0006】 Sec61p複合体と称されるタンパク質誘導チャネルは、複数の、恐らく2
つの3種の膜タンパク質即ちSec61pのα、β、及びγサブユニットのヘテ
ロ三量体から構成される。Sec61p複合体は、電子顕微鏡(EM)によって
目視可能なリング構造を形成する。EM及び消光実験により、チャネルの直径は
20〜60Åであることが分かる。Sec61p複合体とリボソームの会合、及
びSec61p複合体とタンパク質Sec62p、Sec63p、Sec71p
、Sec72p、BiP、及びTRAM(転移鎖結合膜タンパク質)との結合に
は、幾つかのチャネルの機能が必要である。Sec61pαサブユニットは10
個の膜貫通セグメントを含み、ポリペプチド鎖の膜の一方の側から他方の側へ転
移置させる経路を形成することが分かった。イヌ及びラットのSec61pαの
遺伝子配列が決定された。哺乳動物のSec61pαのホモログは、酵母サッカ
ロミセスセレビシエ(Saccharomvces cerevisiae)において見出され(Sec6
1p)るとともに、細菌において見出される(SecYp)(Glirlich. D.他 (
1992) Cell 71:489-503; Matlack, KES.等 (1998) Cell 92:381-390参照)。
【0007】 タンパク質の細胞小器官又は細胞表面への輸送の異常は様々なヒトの疾病及び
疾患との関連を有する。そのような疾病としては、嚢胞性線維症、グルコース−
ガラクトース吸収不良症候群、高コレステロール血症、糖尿病、尿崩症、高脂血
症及び低脂血症、グレーブス病、甲状腺腫、クッシング病、及びアジソン病等が
ある。癌細胞は過剰量のホルモン又は他の生物学的に活性のペプチドを分泌する
【0008】 ギャップジャンクション ギャップジャンクション(コネクソンとも称される)は、多くの組織において
隣接する細胞の細胞質同士を化学的及び電気的に結合する機能を果たすチャネル
である。ギャップジャンクションは、興奮性組織における活動電位の細胞内伝搬
のための電気的シナプスとしての役目を果たす。非興奮性の組織では、ギャップ
ジャンクションは、組織のホメオスタシス、協調性の生理学的反応、代謝協力、
成長の制御、及び発達及び分化の調節において一定の役割を有する。ギャップジ
ャンクションは、心筋及び平滑筋の収縮を同期させること、神経伝達の速度を速
めること、及び細胞外シグナルの伝播を助ける。ギャップジャンクションは、特
定の刺激(例えばpH、Ca+2、及びcAMP)に応答して開閉し得る。ギャ
ップジャンクションの有効孔径は約1.5nmであり、この大きさによって小分
子(例えば1000ダルトン以下の大きさのもの)がその孔を通して自由に拡散
できるようになる。輸送される分子としては、イオン、小型の代謝物質、及び2
次メッセンジャー(例えばCa+2、及びcAMP)等が挙げられる。
【0009】 各コネクソンは、コネキシンと称される6個の同型のサブユニットから構成さ
れる。少なくとも13個の独立したコネキシンタンパク質が存在し、そのそれぞ
れは類似した構造を有するが組織分布が異なっている。構造的には、コネキシン
は4個の推定上の膜貫通領域を有する膜内在性タンパク質であり、N末端及びC
末端は細胞質の側にある。保存領域としては、膜貫通領域及び2つの細胞外ルー
プがある。2つの細胞質内ループ及びC末端領域である可変領域は、異なるコネ
キシンの調節に応答し得る(Hennemann, H.他 (1992) J. Biol. Chem. 267:1722
5-17233; PRINTS PR00206 connexin signature参照)。
【0010】 コネキシンは多くの疾病との関連を有する。コネキシン37(Cx37)を欠
くメスのマウスは、卵母細胞顆粒膜細胞シグナル伝達経路を欠くことから不妊で
ある。Cx43を欠くマウスは、生後短時間で死亡し、ヒトの肺動脈の狭窄の幾
つかの形態を連想させる心臓の欠陥を示す。Cx32に於ける変異は、シャルコ
ー・マリー・ツース病、即ち末梢神経系の運動神経及び感覚神経障害のX連鎖型
と関連を有する。Cx26は胎盤において発現され、Cx26欠損マウスは、母
胎から胎児へのグルコース類似体の循環の経胎盤性輸送の低下を示す。ヒトでは
、Cx26は非症候群性常染色体性感音難聴に関する初めに影響を受ける遺伝子
として同定された。Cx46は水晶体繊維細胞において発現され、Cx46欠損
マウスは、ヒトの核白内障に類似した早発性白内障を示す(Nicholson, SM.及び
R. Bruzzone (1997) Curr. Biol. 7: R340-R344参照)。
【0011】 イオンチャネル 細胞の電位は原形質膜を通してのイオンの移動の調節によって生成され維持さ
れる。イオンの移動にはイオンチャネルが必要であり、このイオンチャネルは膜
内のイオン選択的細孔を形成する。2つの基本的な種類のイオンチャネルが存在
し、1つはイオン輸送体、1つは開閉機構(ゲート)型イオンチャネルである。
イオン輸送体はATPの加水分解から得られたエネルギーを利用してイオンの濃
度勾配に対抗して能動的にイオンを輸送する。ゲート型イオンチャネルは、限定
された条件の下でイオンの電気化学的勾配に従って受動的にイオンを流動させる
。これらの2種類のイオンチャネルは、電気化学的勾配を生成し、維持し、かつ
利用する。このような電気化学的勾配が利用されるのは、(1)神経細胞の軸索
への電気的インパルスの伝導、(2)濃度勾配に逆らっての細胞内への分子の輸
送、(3)筋収縮の開始、及び(4)内分泌細胞による分泌の場合等である。
【0012】 イオンチャネルは構造的及び機械的特徴を共有している。チャネルは原形質膜
に樽形状に配置された4又は5個のサブユニット又はタンパク質モノマーから構
成される。各サブユニットは一般的に6個の膜貫通可能セグメント(S1、S2
、S3、S4、S5、及びS6)からなる。樽の中央部にはαヘリックス又はβ
シートによって画定された細孔を形成する。そのαヘリックス又はβ鎖を含むア
ミノ酸残基の側鎖が、チャネルの電荷(陽イオン又は陰イオン)選択性を確立す
る。選択性の程度、又はどの特定のイオンがチャネルを通過できるかは、細孔の
最も狭い部分の直径に左右される。
【0013】 イオン輸送体 イオン輸送体は、細胞の静止状態の電位を生成し維持する。ATPの加水分解
から得られたエネルギーを用いて、イオン輸送体はイオンの濃度勾配に逆らって
イオンを輸送する。これらの膜貫通ATPアーゼは、3つのファミリーに分割さ
れる。イオン輸送体の液胞(V)クラスは、例えばリソソームやゴルジ体のよう
な細胞内小器官上のHポンプを有する。Vクラスのイオン輸送体は、その機能
の発揮に必要な、これらの細胞小器官のルーメン内での低いpHを生成する機能
を担う。共役因子(F)クラスは、ミトコンドリアに於けるHポンプからなる
。Fクラスのイオン輸送体はプロトン勾配を利用して、ADP及び有機リン酸塩
(P)からATPを生成する。リン酸化(P)クラスのイオン輸送体は、Na −KATPアーゼ、Ca+2−ATPアーゼ、及びH−ATPアーゼを含
み、リン酸化事象によって活性化される。Pクラスのイオン輸送体は、Na
びCa+2の細胞質内濃度が低下し、かつKの細胞質濃度が高くなるように静
止状態の電位分布を維持する役目を担う。その細胞の静止電位は、担体タンパク
質及びゲート型イオンチャネルに関連する様々なプロセスにおいて利用される。
担体タンパク質は、静止電位を利用して、分子を細胞内に及び細胞内へ輸送する
。多くの細胞内へのアミノ酸及びグルコースの輸送は、ナトリウムイオンの共輸
送(シンポート)に結び付いており、従って電気化学的勾配に従ってNaが移
動することにより、他の分子が濃度勾配の上流へ輸送される。同様に、心筋では
、Ca+2の細胞外への移動とNaの細胞内への輸送(アンチポート)とを結
び付けている。
【0014】 ゲート型イオンチャネル ゲート型イオンチャネルは、細孔の開閉を調節することによってイオンの流れ
を制御する。様々な開閉機構(ゲート)を通してのイオンの流動を調節する能力
によって、イオンチャネルが、神経及び内分泌のシグナル伝達、筋収縮、受胎能
力、及びイオン及びpHバランスの調節のような様々なシグナル伝達及びホメオ
スタシスの機能を媒介することが可能になる。ゲート型イオンチャネルは、開閉
機能を調節する方式によって分類される。機械刺激開閉型チャネルは機械的圧力
に応じてその細孔を開き、電位開閉型チャネル(例えばNa、K、Ca+2 、及び、Clチャネル)は、膜電位の変化に応答してその細孔を開き、リガン
ド開閉型チャネル(例えばアセチルコリン、セロトニン、及びグルタミン酸塩開
閉型の陽イオンチャネル、及びGABA及びグリシン開閉型塩化物チャネル)は
、特定のイオン、ヌクレオチド、又は神経伝達物質の存在時にその細孔を開く。
特定のイオンチャネルの開閉特性(即ち開閉のため及び開閉中のその閾値)は、
補助的チャネルタンパク質との結合及び/又は例えばリン酸化のような翻訳後修
飾によって調節されることもある。電位開閉型及び神経伝達物質開閉型陽イオン
チャネルのサブユニットを形成する細孔は、2種の異なる、保存される複数の貫
通領域膜タンパク質のスーパーファミリーを形成する。
【0015】 電位開閉型Na及びKチャネルは、例えば神経細胞、内分泌細胞、及び筋
肉細胞のような電気的興奮性の細胞の機能に必要である。神経伝達物質の放出や
筋収縮を引き起こす活動電位は、Na及びKイオンに対する膜の透過性の、
一時的な大きな変化から生ずる。閾値電圧を超える膜の脱分極によって、電位開
閉型Naチャネルが開く。ナトリウムイオンが細胞内に流入し、膜を更に脱分
極させ、更に電位開閉型Naチャネルを開き、細胞の長さ方向に脱分極が伝播
する。脱分極は、電位開閉型Kチャネルも開く。この結果、カルシウムイオン
が外部へと流出し、膜の再分極が生ずる。電位開閉型チャネルは、電位の変化を
検知するのに、4番目の膜貫通セグメント(S4)に於ける荷電した残基を利用
する。開放状態は約1ミリ秒間持続し、次いでチャネルは自発的に、膜電位とは
無関係に開かれ得ない状態である不活性状態に転換する。不活性化は、チャネル
のN末端によって媒介され、これは細孔を塞ぐ栓の役目を果たす。不活性状態か
ら閉鎖状態への移行には静止電位に戻ることが必要である。
【0016】 ラットの脳組織から単離されたNaチャネルは、2つのより小形の補助的サ
ブユニットβ1及びβ2と結合する、260kDaの細孔形成αサブユニットか
らなるヘテロ三量体複合体である。β2サブユニットは、細胞外Igドメインを
有する膜内在性糖タンパク質であり、そのα及びβ1サブユニットとの結合は、
チャネルの機能の向上、チャネルのゲート開閉特性の変化、及び細胞全体のキャ
パシタンスの上昇との相互関係を有する(Isom, L.L.他(1995) Cell 83 :433-44
2)。
【0017】 Kチャネルは全ての種類の細胞に存在し、電圧、ATP濃度、Ca++及び
cAMPのような2次メッセンジャーによって調節され得る。非興奮性の組織で
は、Kチャネルは、タンパク質合成、内分泌の調節、及び膜の内外での浸透圧
平衡の維持に関与する。神経や他の興奮性の細胞では、活動電位の調節及び膜の
再分極に加えて、Kチャネルは、静止膜電位を設定する役目も担う。サイトゾ
ルは非拡散性の陰イオンを含み、この正味の負の電荷との平衡をとるために、そ
のような細胞はNa、K、及びClの再分配をもたらすイオンチャネル及
びNa−Kポンプを有する。このポンプは、Naを細胞外に、Kを細胞
内に3:2の比率で能動輸送する。原形質膜におけるイオンチャネルにより、K 及びClが受動的な拡散によって流れ得ることになる。サイトゾル内の高い
負の電荷のために、Clは細胞外に流出する。Kの流動は、Kを細胞内に
押し込む起電力、Kを細胞から押し出すKの濃度勾配によって平衡がとられ
る。従って、静止膜電位は、主としてKの流動によって調節される(Salkoff,
L.及びT. Jegla (1995) Neuron 15:489-492)。
【0018】 K細孔形成サブユニットは通常6個の膜貫通ドメインを有し、5番目と6番
目の膜貫通領域の間に膜電位を検知する短い領域を有し、そのアミノ末端及びカ
ルボキシ末端は細胞内に位置している。哺乳動物の心臓では、心室の活動電位に
ある時間がKの流動によって制御される。従ってKチャネルは、心臓の鼓動
の速度及び律動の調節の要となる。Kチャネルの機能障害は、高血圧症、低カ
リウム血症、及び関連するバーター症候群及びゲテルマン(Getelman)症候群等
の様々な腎疾患との関連を有するとともに、てんかんを含む神経疾患等との関連
を有する。Kチャネルは、老人斑の主要な成分、即ちβアミロイド又はAβが
、海馬のニューロンにおける電位開閉型カルシウムチャネルをブロックするとい
う観察結果から、アルツハイマー病にも関与していることがわかった(Antes, L
.M.他 (1998) Seminar Nephrol. 18:31-45; Stoffel, M.及びL.Y. Jan (1998) N
at. Genes. 18:6-8; Madeja, M.他 (1997) Eur. I. Neuroaci. 9:390-395; Good
, T.A.他 (1996) Biophys. J. 70:296-304参照)。
【0019】 電位開閉型Ca+2チャネルは、シナプス前神経伝達物質神経伝達物質の放出
、及び心筋及び骨格筋収縮に関与している。骨格筋の電位開閉型Ca+2チャネ
ル(L型チャネル)及び脳(N型チャネル)の電位開閉型Ca+2チャネルが精
製され、両者はその機能は全く異なっているが、類似のサブユニット組成を有し
ている。チャネルは3つのサブユニットからなる。αサブユニットは、膜細孔
及び電位センサを形成し、αδ及びβサブユニットは、電位依存性、ゲート開
閉特性、及びチャネルの流れの振幅を変調する。これらのサブユニットは、少な
くとも6個のα、1個のαδ、及び4個のβ遺伝子によってコードされる。
第4のサブユニットγは、平滑筋で同定された(Walker, D. 他 (1998) J. Biol
. Chem. 273:2361-2367; Jay, S.D. 他 (1990) Science 248:490-492参照)。
【0020】 塩素イオンチャネルは、内分泌及びサイトゾル、細胞小器官のpHの調節に必
要である。分泌性上皮細胞では、Cl、K/Na共輸送体を通して側底膜
を横断して細胞に入り、その電気化学的平衡濃度より高い濃度まで細胞に蓄積す
る。ホルモンによる刺激に応じての先端部表面からのClの分泌によってNa 及び水が分泌性のルーメン内に流れ込むことになる。嚢胞性線維症膜貫通調節
タンパク質(CFTR)は、嚢胞性線維症、即ちヒトの一般的に致死性の遺伝病
の遺伝子によってコードされる塩素イオンチャネルである。CFTRの機能の欠
損により経上皮水分泌が低下し、その結果、呼吸樹、膵管、及び腸をコーティン
グする粘液層が脱水され、浄化することが困難となる。このようにして、これら
の部位がブロックされることにより、膵臓の機能不全、「胎便」がみられるよう
になり、かつ劇症の「慢性閉塞性肺疾患」が起こる(AI-Awqati, Q.他 (1992) J
. Exp. Biol. 172:245-266)。
【0021】 多くの細胞内小器官は、サイトゾルから細胞小器官のルーメン内に陽イオンを
入れることによって、膜内外のpH及び電気化学的な差異を作り出すH−AT
Pアーゼポンプを有する。細胞小器官の膜は、他のイオンに対しては透過性であ
り、その電気化学的勾配はpHの差に影響を与えることなく消失し得る。実際に
、この電気化学的障壁を除去することによって、より多くのHが膜を通してポ
ンピングされ、pHの差が大きくなる。Clは、様々な細胞小器官、例えばク
ロム親和性顆粒、ゴルジ小胞、リソソーム、及びエンドソーム等におけるH
転位置に対する唯一の対イオンである。低い液胞pHを要求する機能としては、
クロム親和性顆粒における生体アミンのような小分子の取り込み、タンパク質分
解酵素によるプロホルモンのような空胞の成分の処理、及びリソソームにおける
タンパク質分解等が挙げられる(AI-Awqati, 前出)。
【0022】 リガンド開閉型チャネルは、細胞内外のメディエータがそのチャネルに結合し
たときにその細孔を開く。神経伝達物質開閉型チャネルは、神経伝達物質がそれ
らの細胞外ドメインに結合したときに開くチャネルである。これらのチャネルは
、神経又は筋肉細胞のシナプス後の膜に存在する。神経伝達物質開閉型チャネル
には2種類が存在する。ナトリウムチャネルは、アセチルコリン、グルタミン酸
塩、及びセロトニンのような興奮性神経伝達物質に応答して開く。これが開くこ
とによりNaの流入が生じ、電位開閉型チャネルを活性化し、活動電位を開始
させる初めの局所的な脱分極が生じる。塩素イオンチャネルは、γアミノ酪酸(
GABA)及びグリシンのような抑制性神経伝達物質に応答して開き、これによ
り膜の過分極が生じ、その後活動電位が生成される。
【0023】 リガンド開閉型チャネルは、細胞内2次メッセンジャーによって調節され得る
。カルシウム活性化Kチャネルは、内部のカルシウムイオンによって開閉され
る。神経細胞では、脱分極中のカルシウムの流入によってKチャネルが開き、
活動電位の大きさが変更される(Ishi, T.M.他 (1997) Proc. Natl. Acad. Sd.
USA 94:11651-11656)。サイクリックヌクレオチド開閉型(CNG)チャネルは
、サイトゾルのサイクリックヌクレオチドによって開閉される。これらの最も良
い例は、嗅覚に関係するcAMP開閉型Naチャネル、及び視覚に関係するc
GMP開閉型陽イオンチャネルである。両システムは、Gタンパク質結合受容体
のリガンド活性化に関与し、その受容体の活性化により細胞内のサイクリックヌ
クレオチドの濃度が変化する。嗅覚の場合には、臭気物質が受容体に結合するこ
とにより、アデニル酸シクラーゼが活性化され、サイトゾルのcAMPの濃度が
上昇する。cAMPはcAMP開閉型Naチャネルに結合し、これによってN
の流入、膜の脱分極、及び軸索を通して脳まで伝達される神経インパルスの
開始が生ずる。視覚の場合には、ロドプシンの光による活性化によって、cGM
Pホスホジエステラーゼが活性化され、これによりcGMPが加水分解される。
この結果、サイトゾルのcGMP濃度が低下し、cGMPがcGMP開閉型陽イ
オンチャネルから分離し、チャネルが閉じ、膜の過分極が生ずる(Zagotta, W.M
.及びS.A. Siegelbaum (1996) Annu. Rev. Neurosci. 19:235-263; Molday, R.S
.及びL.L. Molday (1998) Vision Res. 38:1315-1323参照)。
【0024】 イオンチャネルのサブユニット即ちモノマーは、同一のものか又は異なったも
のであり得る。例えば、CNGチャネルは、N末端の細胞質にあるテール(尾部
)が互いに異なるαサブユニット及びβサブユニットからなる。樽形状の構成に
よって形成された中央の細孔は、各サブユニット内に含められた逆平行βシート
、細孔(P)領域によって裏打ちされている。この領域はチャネルのイオン選択
性を特定する情報も含む。Kチャネルの場合、GYGトリペプチドがこの選択
性に関係する(Ishi他, 前出)。電位開閉型チャネルでは、膜貫通ドメインの1
つが、電位センサーとして作用する、規則的な間隔を置いて位置する正に荷電し
たアミノ酸を含む。CNGチャネルではC末端細胞質ドメインにおける領域が、
サイクリックヌクレオチド結合部位として作用する(Zagotta及びSiegelbaum,
前出)。イオンチャネルは、チャネルの不活化において機能するドメインを有す
る。CNG Kチャネルでは、不活性化ドメインが、βサブユニットのN末端
の細胞質内のテール(尾部)上に存在する。このドメインは、細孔を通してのイ
オンの流動を遮断する鎖付きボール栓の役目を果たす。このドメインは、可変ス
プライシングによって異なるタンパク質、即ち多グルタミン酸タンパク質(GA
RP)としても発現され、それは独立した細孔の活性の調節因子として作用し得
る(Sauster, A.他 (1997) Molec. Brain Res. 48:171-175)。
【0025】 イオンチャネルは、神経細胞におけるシグナル伝達、筋収縮、心臓の脈拍調節
、ホルモンの分泌、細胞の増殖等の様々な生理学的機能にとって必要不可欠であ
る。イオンチャネルは様々な組織において発現され、そこで様々なプロセスに関
与する。CNGチャネルは光受容体及び嗅覚細胞において多く発現されるが、腎
臓、肺、松果体、網膜神経節細胞、精巣、大動脈、及び脳においても見出される
。カルシウム活性化Kチャネルは、腎臓におけるブラジキニンの血管拡張効果
、及び脳毛細血管上皮細胞から血中への過剰なKの流入をもたらし得る。これ
らは、アゴニストの刺激による脱分極後の顆粒球の再分極にも関与する(Ishi他
, 前出)。イオンチャネルは、様々な薬物治療にとっての標的となった。神経伝
達物質開閉型チャネルは、不眠症、不安、うつ病、及び分裂病の治療における標
的となった。電位開閉型チャネルは、不整脈、虚血性発作、頭部外傷、及び神経
変性疾患の治療における標的となった(Taylor, C.P.及びL.S. Narasimhan (199
7) Adv. 15 Pharmacol. 39:47-98)。
【0026】 新規なヒト膜チャネルタンパク質及びそれをコードするポリヌクレオチドの発
見は、細胞増殖異常症及び免疫/炎症性疾患、輸送/分泌性疾患、浸透圧調節性
疾患、筋疾患、心血管疾患、神経障害疾患の診断、予防、及び処置において有用
な新規な組成物を提供することによって当分野における必要性を満たすものであ
る。
【0027】 発明の要約 本発明は、個別には「MECHP−1」乃至「MECHP−18」、総称して「MECHP」と呼
ぶヒト膜チャネルタンパク質である実質的に精製されたポリペプチドを提供する
。本発明の一実施態様では、SEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群か
ら選択されたアミノ酸配列を含む実質的に精製されたポリペプチドを提供する。
【0028】 更に本発明は、SEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択され
たアミノ酸配列の少なくとも1つと95%以上のアミノ酸同一性を有する実質的
に精製された変異体を提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:1−18及びそれらの
断片からなる一群から選択されたアミノ酸配を含むポリペプチドをコードする単
離され実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、SEQ ID
NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも95%以上のポリヌクレ
オチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列を提供
する。
【0029】 更に、本発明は、SEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択さ
れたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと厳密な条
件の下でハイブリダイズする単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。
また本発明は、SEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと相補的な配列
を含む単離され精製されたポリヌクレオチドとを提供する。
【0030】 本発明はまた、核酸を含むサンプルにおいて、ポリヌクレオチドを検出する方
法であって、(a)ポリヌクレオチド配列を、少なくとも1つのサンプルのポリ
ヌクレオチドとハイブリダイズして、ハイブリダイゼーション複合体を形成する
過程と、(b)そのハイブリダイゼーション複合体を検出する過程とを含み、そ
のハイブリダイゼーション複合体の存在とサンプルにおけるポリヌクレオチドの
存在とが相関性を有する、検出方法を提供する。本発明の一実施態様では、ハイ
ブリダイゼーションの前にポリヌクレオチドを増幅する過程を含む。
【0031】 本発明はまた、SEQ ID NO:19−36及びそれらの断片からなる一群から選択され
たポリヌクレオチド配列を含む単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する
。また、本発明は、SEQ ID NO:19−36及びそれらの断片からなる一群から選択さ
れたポリヌクレオチド配列と95%以上のポリヌクレオチド配列同一性を有する
単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列を提供する。更に本発明は、SEQ
ID NO:19−36及びそれらの断片からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配
列を含むポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離され精製されたポリヌク
レオチドを提供する。
【0032】 本発明は更に、SEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択され
たアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも
1つの断片を含む発現ベクターを提供する。別の実施態様では、発現ベクターは
宿主細胞内に含まれる 本発明はまた、ポリペプチドを製造する方法であって、(a)ポリペプチドの
発現に好適な条件の下、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの断片を有する発現
ベクターを含む宿主細胞を培養する過程と、(b)その宿主細胞の培地からその
ポリペプチドを回収する過程とを含む製造方法を提供する。
【0033】 本発明はまた、SEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択され
たアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組成物を
好適な医薬用担体と共に提供する。
【0034】 更に本発明は、SEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択され
たポリペプチドと結合する精製された抗体を提供する。また、本発明は、そのポ
リペプチドの精製されたアゴニスト及びアンタゴニストを提供する。
【0035】 本発明はまた、MECHPの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予
防が必要な患者にSEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択され
たアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組成物を
好適な医薬用担体と共に効果的な量投与することを含む、MECHPの発現または活
性の低下に関連した疾患の治療または予防方法を提供する。
【0036】 本発明はまた、MECHPの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予
防が必要な患者にSEQ ID NO:1−18及びそれらの断片からなる一群から選択され
たアミノ酸配列を有するポリペプチドのアンタゴニストを効果的な量投与するこ
とを含む、MECHPの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防方法
を提供する。
【0037】 本発明の記載について 本発明のタンパク質及び核酸配列、方法について説明する前に、本発明は、こ
こに開示した特定の装置及び材料、方法に限定されず、その実施形態を変更でき
ることを理解されたい。また、ここで用いられる用語は、特定の実施例のみを説
明する目的で用いられたものであり、後述の請求の範囲によってのみ限定され、
本発明の範囲を限定することを意図したものではないということも理解されたい
【0038】 本明細書及び請求の範囲において単数形を表す「或る」、「その(この等)」
は、文脈で明確に示していない場合は複数形を含むことに注意されたい。従って
、例えば「或る宿主細胞」は複数の宿主細胞を含み、その「抗体」は複数の抗体
は含まれ、当業者には周知の等価物なども含まれる。
【0039】 本明細書で用いた全ての科学技術用語は、別の方法で定義されていない限り、
本発明の属する技術分野の一般的な技術者が普通に解釈する意味と同じである。
本明細書で記述したものと類似、或いは同等の全ての装置及び材料、方法は本発
明の実施及びテストに使用できるが、好適な装置及び材料、方法をここに記す。
本明細書に記載の全ての文献は、本発明に関連して使用する可能性のある文献に
記載された細胞系、プロトコル、試薬、ベクターを記述し開示するために引用し
た。従来の発明を引用したからと言って、本発明の新規性が損なわれると解釈さ
れるものではない。
【0040】 定義 「MECHP」は、天然、合成、半合成或いは組換え体など全ての種(特にウシ、
ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及び好ましくは人類を含む哺乳動物)から得られる
実質的に精製されたMECHPのアミノ酸配列を指す。
【0041】 用語「アゴニスト」は、MECHPと結合したとき、MECHPの効果を増大する、或い
はその持続時間を延長する分子を指す。このアゴニストには、MECHPに結合して
その効果を変調するタンパク質、核酸、糖質、任意の他の分子を含み得る。
【0042】 「アレル変異配列」は、MECHPをコードする遺伝子の別の形を指す。アレル変
異配列は、核酸配列における少なくとも1つの変異によって生じ、変異mRNA
若しくは変異ポリペプチドになり、これらの構造や機能は変わる場合もあれば変
わらない場合もある。天然或いは組換え体のすべての遺伝子には、アレル形が存
在しないもの、1つ或いは多数存在するものがある。一般にアレル変異配列を生
じる変異は、ヌクレオチドの自然な欠失、付加、或いは置換による。これらの各
変異は、単独或いは他の変異と同時に起こり、所定の配列内で一回或いはそれ以
上生じる。
【0043】 MECHPをコードする「変異」核酸配列は、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、
或いは置換が起こっても、MECHPと同じポヌクレオチド或いはMECHPの機能特性の
少なくとも1つを備えるポリペプチドである。この定義には、MECHPをコードす
るポリヌクレオチド配列の正常の染色体の遺伝子座ではない位置でアレル変異配
列と不適当或いは予期せずハイブリダイゼーション、及びMECHPをコードするポ
リヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて、容易に検出可能
な或いは検出困難な多形性を含む。コードされたタンパク質も変異され得り、サ
イレント変化を生じMECHPと機能的に等価となるアミノ酸残基の欠失、挿入、或
いは置換を含み得る。意図的なアミノ酸置換は、生物学的或いは免疫学的にMECH
Pの活性が保持される範囲で、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及
び/または両親媒性についての類似性に基づいて成され得る。たとえば、負の電
荷をもつアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含み得り、正の電荷を
もつアミノ酸は、リジン及びアルギニンを含み得り、そして近い親水性値をもち
非電荷極性頭基を有するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシ
ン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラ
ニン及びチロシンを含みうる。
【0044】 用語「アミノ酸」及び「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリ
ペプチド、タンパク質配列、それらの任意の断片、天然の分子または合成された
分子を指す。MECHPの断片である「断片」及び「免疫原性断片」、「抗原性断片
」は、好ましくはアミノ酸約5〜約15個の長さであり、最も好ましくはアミノ
酸14個の長さであり、MECHPのある生物学的活性または免疫学的活性を保持す
る。ここでは、「アミノ酸配列は自然発生タンパク質分子のアミノ酸配列である
が、アミノ酸配列及び類似の用語は、列記したタンパク質分子に関連する完全で
元のままのアミノ酸配列に限定されるわけではない。
【0045】 「増幅」は、核酸配列の追加的な複製を生成することに関連する。増幅は、一
般にはこの技術分野では周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて行
われる。
【0046】 「アンタゴニスト」は、MECHPと結合したとき、MECHPの生物学的または免疫学
的活性の効果の程度を低下させたり、その持続時間を短縮する分子を指す。アン
タゴニストは、タンパク質、核酸、糖質、抗体またはMECHPの効果を減少させる
の他の分子である。
【0047】 用語「抗体」は、抗原決定基と結合可能なFab及びF(ab')2及びそれらの断片
などの、無傷の分子及びFv断片を指す。MECHPポリペプチドと結合する抗体は
、抗体を免疫する目的の小さなペプチドを含む無傷の分子またはその断片を用い
て調整可能である。動物(例えば、マウス、ラット、若しくはウサギ)を免疫化
するのに使用されるポリペプチド或いはオリゴペプチドは、RNAの翻訳から引
き出されたり、化学的に合成され得り、必要に応じて担体プロテインと結合する
ことも可能である。ペプチドと化学的に結合した一般に用いられる担体は、ウシ
血清アルブミン、チログロビン、及びキーホールリンペットヘモニアン(KLH
)を含む。次ぎに、この結合したペプチドを用いて動物を免疫化する。
【0048】 用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子のフラグメント(即ちエピ
トープ)を指す。タンパク質或いはタンパク質の断片が、宿主動物を免疫化する
のに用いられるとき、このタンパク質の種々の領域は、抗原決定基(タンパク質
上の所定の領域或いは三次元構造体)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得
る。抗原決定基は、抗体と結合するために無傷の抗原(即ち、免疫応答を引き出
すために用いられる免疫原)と競合し得る。
【0049】 用語「アンチセンス」は、特定の核酸配列のセンス鎖と相補的な核酸配列を含
む全ての組成物を指す。アンチセンス分子は、合成や転写を含む任意の方法で作
り出すことができる。相補的ヌクレオチドは、一度細胞に導入されると、細胞に
よって作られた天然の配列と結合して二重鎖を形成し、転写や翻訳を阻害する。
「マイナス(−)」という表現はアンチセンス鎖、「プラス(+)」という表現
はセンス鎖を指す。
【0050】 用語「生物学的活性」は、自然発生分子の構造的、調節的、或いは生化学的機
能を有するタンパク質を指す。同様に、「免疫学的に活性」とは、天然或いは組
換え体のMECHP、合成のMECHPまたはそれらの任意のオリゴペプチドが、適当な動
物或いは細胞の特定の免疫応答を誘発して特定の抗体と結合する能力のことであ
る。
【0051】 用語「相補的」及び「相補性」は、許容の塩と許容の温度条件の下で、塩基対
の形成によってポリヌクレオチドが自然に結合することを指す。例えば、配列「
A−G−T」と相補的な配列「T−C−A」と結合する。2つの一本鎖分子間の
相補性は、幾つかの核酸が結合するのみの部分的な場合、或いは一本鎖間に完全
な相補性が存在して完全な相補性となる場合があり得る。核酸鎖間の相補性の程
度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に大きな影響を与える
。このことは、核酸鎖間の結合に左右される増幅反応、並びにペプチド核酸(P
NA)分子の設計若しくは使用において特に重要である。
【0052】 「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」または「所定のアミノ酸配列を
含む組成物」は広い意味で、所定のヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列を含む
任意の組成物を指す。この組成物は、乾燥した製剤或いは水溶液、無菌組成物を
含み得る。MECHP若しくはMECHPの断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む
組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。このプローブ
は、凍結乾燥状態で保存可能であり、糖質などの安定化剤と結合可能である。ハ
イブリダイゼーションにおいて、プローブは、塩(例えば、NaCl)及び界面
活性剤(例えば、SDS)、その他の物質(例えば、デンハート液、乾燥ミルク
、サケ精子DNA等)を含む水溶液に展開され得る。
【0053】 「コンセンサス配列」は、不要な塩基を分離するために再配列された核酸配列
であって、XL−PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5'及び/
または3'の方向に延長されて再配列された核酸配列、或いはGELVIEW 断片構築
システム(GCG, Madison, WI)などのフラグメントの構築のためのコンピュータ
プログラムを用いて2つ以上のインサイトクローン社の重複配列から構築された
核酸配列を指す。延長及び構築の両方によってコンセンサス配列に構築されるも
のもある。
【0054】 用語「ポリヌクレオチドの発現と相関性を有する」は、ノーザン分析によるME
CHPをコードする核酸配列と同じ或いは関連する核酸の検出が、サンプル内のMEC
HPをコードする核酸の存在を示すことから、MECHPをコードするポリヌクレオチ
ドからの転写物の発現と相関性を有すること指す。
【0055】 「欠失」は、1個以上のアミノ酸残基若しくは核酸残基が欠如するアミノ酸配
列若しくは核酸配列の変化を指す。
【0056】 本明細用語「誘導体」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の
化学修飾のことである。ポリヌクレオチド配列の化学修飾には、例えば、アルキ
ル基、アシル基、或いはアミノ基による水素の置換がある。誘導体ポリヌクレオ
チドは、自然分子(未修飾の分子)の生物学的或いは免疫学的機能を少なくとも
1つ保持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドとは、もとのポリ
ペプチドの生物学的機能、或いは免疫学的機能を少なくとも1つ保持する、グリ
コシル化、ポリエチレングリコール化、或いは任意の同様のプロセスによって修
飾されたものである。
【0057】 「類似性」とは、相補性の程度を表す用語である。これには、部分的類似性と
完全な類似性とがあり得る。この「同一性」は「類似性」とも言える。同一の配
列が標的の核酸とハイブリダイゼーションするのを少なくとも部分的に阻止する
部分的に相補的な配列は、「実質的に同様」と呼ばれる。完全に相補的な配列と
標的の配列とのハイブリダイゼーションの抑制は、厳密性を低下させた条件の下
ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロッティング或いはノーザンブロッ
ティング法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検査される。実質的に同
様の配列或いはハイブリダイゼーションプローブは、厳密性を低下させた条件の
下、完全に相補的な配列と標的の配列との結合に対して競合して抑制する。これ
は、厳密性を低下させた条件では、2つの配列の互いへの結合が特異的(即ち、
選択的)に相互作用しなけらばならず、厳密性を低下させた条件の下では非特異
的な結合が許容されるということではない。部分的な相補性ともいえない(例え
ば、30%未満の類似性或いは同一性)第2の標的配列を用いて、非特異的結合
が存在しないことの検査が可能である。非特異的結合が存在しない場合は、実質
的に類似配列或いはプローブが第2の非相補的標的配列とハイブリダイゼーショ
ンしない。
【0058】 句「百分率同一性」又は「%同一性」とは、2つ以上のアミノ酸配列或いは核
酸配列の比較で見つかった配列類似性の百分率のことである。この百分率同一性
は、例えば、MEGALIGNプログラム(DNASTAR)など電子装置を用いて決定可能であ
る。このMEGALIGNプログラムは、様々な方法、例えば、クラスター方法 (例えば
、Higgins, D.G.及びP.M. Sharp (1988) Gene73:237-244.を参照)に従って、2
つ以上の配列間のアライメントを作り出すことが可能である。クラスターアルゴ
リズムが、全ての組の間の距離を測って、配列を各クラスターに分類する。これ
らのクラスターは、組によって整列され、次ぎにグループに分けられる。2つの
アミノ酸の配列間の百分率類似性、例えば配列Aと配列Bの百分率類似性は、配
列Aと配列Bの一致する残基の合計数を、配列Aの長さから配列Aのギャップ残
基数と配列Bのギャップ残基数とを差し引いたもので除し、それに100を掛け
ることによって得られる。2つのアミノ酸配列間の低い類似性或いは非類似性の
ギャップは、百分率類似性の決定には含まれない。核酸配列間の百分率同一性は
また、クラスター法或いはJotun Hein法などの当分野で周知の別の方法によって
カウント或いは計算することも可能である(例えば、Hein. J. (1990) Methods E
nzymol. 183:626-645.を参照)。配列間の同一性はまた、例えば、ハイブリダイ
ゼーションの条件を変えるなどの当分野で周知の別の方法によって決定すること
も可能である。
【0059】 「ヒト人工染色体(HAC)」は、6Kb〜10MbのサイズのDNA配列を
含み得り、安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全ての要素を含む直鎖状
の微小染色体である(Harrington, J.J.等 (1997) Nat Genet. 15:345-355を参
照)。
【0060】 用語「ヒト化抗体」とは、もとの結合能力を保持しつつよりヒトの抗体に似せ
るために、非抗原結合領域のアミノ酸配列が変異された抗体分子である。
【0061】 「ハイブリダイゼーション」とは、核酸の一本鎖が相補的な一本鎖と塩基対を
形成して結合する全てのプロセスである。
【0062】 用語「ハイブリダイゼーション複合体」とは、相補的な塩基対間の水素結合の
形成によって、2つの核酸配列間に形成された複合体のことである。ハイブリダ
イゼーション複合体は溶液中(例えば、CtまたはRt分析)で形成される
か、或いは溶液中の1つの核酸配列と固体の支持物(例えば、紙、膜、フィルタ
ー、チップ、ピン、或いはスライドガラス、または細胞及びその核酸を固定する
任意の適当な基板)に固定されたもう一つの核酸配列との間で形成され得る。
【0063】 用語「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子の配列に対して、1個以上の
アミノ酸残基或いはヌクレオチドがそれぞれ追加されるアミノ酸配列或いは核酸
配列の変化を指す。
【0064】 「免疫応答」とは、炎症性疾患及び外傷、免疫異常、感染症、遺伝病などと関
係する症状のことである。これらの症状は、細胞系及び全身防衛系に影響を及ぼ
すサイトカイン及びケモカイン、別の情報伝達分子などの様々な因子の発現によ
って特徴づけられ得る。
【0065】 本明細書において「マイクロアレイ」とは、基板上に配列された様々なポリヌ
クレオチドのアレイのことである。
【0066】 本明細書のマイクロアレイの記述における「エレメント」或いは「アレイエレ
メント」とは、基板の表面に配列されたハイブリダイゼーション可能なポリヌク
レオチドのことである。
【0067】 用語「変調」とは、MECHPの活性の変化のことである。変調の例として、MECHP
のタンパク質活性の特性、或いは結合特性、またはその他の生物学的特性、機能
的特性或いは免疫学的特性の変化がある。
【0068】 句「核酸」或いは「核酸配列」とは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポ
リヌクレオチド、或いはそれらの断片を指す。また、一本鎖若しくは二本鎖のセ
ンス鎖或いはアンチセンス鎖であるゲノム若しくは合成起源のDNA或いはRN
Aと、またペプチド核酸(PNA)や任意のDNA様物質、RNA様物質も指す。
本明細書において「断片(またはフラグメント)」とは、(例えば、同じゲノム
内の任意の別の配列とは異なる)SEQ ID NO:19−36を特別に同定する独特のポリ
ヌクレオチド配列の領域を含む核酸配列のことである。例えば、SEQ ID NO:19−
36は、ハイブリダイゼーション及び増幅技術に有用であり、更に、関連ポリヌク
レオチド配列からSEQ ID NO:19−36を区別する類似性の検査にも有用である。SE
Q ID NO:19−36の断片は、少なくともヌクレオチド15〜20個の長さである。
この断片に対応するSEQ ID NO:19−36の正確な長さ及びSEQ ID NO:19−36の領域
は、断片の使用目的に基づいた当分野で一般的な技術の1つを用いて日常業務的
に決定できる。また、断片は翻訳された場合、完全長のポリペプチドの抗原性な
どのいくつかの機能的特徴或いはATP結合部位などの構造的ドメイン特徴を維
持したポリペプチドを形成し得る。
【0069】 用語「機能的に関係した」及び「機能的に結合した」とは、機能的に関係する
核酸配列のことである。コードされたポリペプチドの転写をプロモータが制御す
る場合、そのプロモーターはコードする配列と機能的に関係する或いは機能的に
結合する。機能的に関係した或いは機能的に結合した核酸配列は近接して同じ読
み枠内に存在し得るが、リプレッサー遺伝子などのある種の遺伝子要素は、ポリ
ペプチドをコードする配列とは近接して結合していないが、ポリペプチドの発現
を調節するオペレーター配列とは結合したままである。
【0070】 用語「オリゴヌクレオチド」とは、PCR増幅、ハイブリダイゼーション、或
いはマイクロアレイに使用可能な核酸配列のことであり、その長さは少なくとも
6ヌクレオチドから60ヌクレオチドである。好ましくは約15から30ヌクレ
オチドであり、さらに好ましいくは約20から25のヌクレオチドである。本明
細書において、オリゴヌクレオチドは、当技術分野では同一と定義される「アン
プリマー」及び「プライマー」、「オリゴマー」と実質的に同じである。
【0071】 「ペプチド核酸」(PNA)とは、末端がリジンで終わるアミノ酸残基のペプ
チドバックボーンに結合した、約5ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌクレオチ
ドを含むアンチセンス分子又は抗遺伝子剤のことである。この末端のリジンによ
り、この組成物が溶解性を有する。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに
優先的に結合して転写物の伸長を止め、ポリエチレングリコール化して細胞にお
いて寿命を延ばし得る。(例えば、Nielsen, P.E.他(1993) Anticancer Drug De
s. 8:53-63を参照)。
【0072】 用語「サンプル」とは、その最も広い意味で用いられている。MECHPをコード
する核酸若しくはその断片、MECHP自体を含むと推測される生物学的サンプルに
は、体液と、細胞からの抽出物や細胞から単離された染色体や細胞内小器官、膜
と、細胞と、溶液中又は固体の支持物に固定されたゲノムDNA,RNA,cD
NAと、組織又は組織プリント等も含まれ得る。
【0073】 用語「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、タンパク質或いはペプ
チドとアゴニスト或いは抗体、アンタゴニストとの間の相互作用のことである。
この相互作用は、結合する分子によって認識される、例えば、抗原決定基つまり
エピトープなどのタンパク質の特定の構造の存在によって左右される。例えば、
抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、結合していない標識した「
A」及びその抗体を含む反応において、エピトープAを含むポリペプチドが存在
するか或いは結合していない無標識の「A」が存在すると、抗体と結合する標識
Aの量が減少する。
【0074】 用語「厳密な(stringent)条件」とは、ポリヌクレオチドと請求項に記載さ
れたポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが可能な条件である。厳密な
条件は、塩濃度及び有機溶剤(例えば、ホルムアミド)の濃度、温度、及び当分
野で周知の別の条件によって決められる。詳細には、塩の濃度を下げたり、ホル
ムアミドの濃度を上げたり、またハイブリダイゼーションの温度を上げることで
厳密性を高めることができる。
【0075】 用語「実質的に精製された」とは、自然の環境から取り除かれてから、単離或
いは分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合している構成
要素が少なくとも約60%以上除去されたものであり、好ましくは約75%以上
の除去、最も好ましいのは約90%以上除去されたものである。
【0076】 「置換」とは、一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドをそれぞれ別のアミノ
酸またはヌクレオチドに置き換えることである。
【0077】 「基板」とは、膜、フィルター、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁
気或いは非磁気のビード、ゲル、管、プレート、ポリマー、微細粒子、毛管を含
む好適な固体或いは半固体の支持物のことである。基板は、ポリヌクレオチドや
ポリペプチドが結合する壁及び溝、ピン、チャネル、孔などの様々な表面形態を
有する。
【0078】 「形質転換」とは、外来DNAが入り込み受容体細胞を変化させるプロセスの
ことである。形質転換は、当分野で周知の種々の方法により、自然或いは人工の
条件の下で起こり得り、原核宿主細胞若しくは真核宿主細胞の中に外来核酸配列
を挿入する任意の周知の方法によって行うことができる。この形質転換の方法は
、形質転換される宿主細胞のタイプによって選択される。この方法には、ウイル
ス感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、リポフェクション、及び微粒
子照射が含まれるが、限定されるものではない。「形質転換された」細胞には、
導入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは宿主染色体の一部
として複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる。さらに、限られ
た時間に一時的に導入DNA若しくは導入RNAを発現する細胞も含まれる。
【0079】 「変異体」とは、一つ以上のアミノ酸が変異したアミノ酸配列である。この変
異体には、例えばロイシンとイソロシンとの置換のような、置換されたアミノ酸
が類似の構造或いは類似の化学特性を有する「保存的」変異が含まれる。稀では
あるが、変異体には、グリシンをトリプトファンで置換する「非保存的」変異も
含まれる。また、類似の小さな変異には、アミノ酸の欠失、挿入、或いはその両
方が含まれる。当分野で周知の例えばLASERGENETMソフトウエアを用
いて、生物学的或いは免疫学的活性を損なうことなく、どのアミノ酸残基を置換
、挿入、或いは欠失させるかを決めることができるであろう。
【0080】 ポリヌクレオチド配列の文脈の中で用いられる用語「変異配列」とは、MECHP
に関連したポリヌクレオチド配列を含み得る。この定義は、例えば、「アレル」
、「スプライス」、「種」、「多形性」変異配列についてもあてはまる。スプラ
イ変異配列は基準分子と極めて同一性が高い可能性があるが、mRNAプロセシ
ング中のエキソンの交互のスプライシングによってポリヌクレオチドの数が多く
なったり、少なくなったりする。対応するポリペプチドは、機能ドメインが加わ
ったり、ドメインが減ったりし得る。種変異配列は、種によって異なるポリヌク
レオチド配列である。できたポリペプチドは、互いに高いアミノ酸同一性を有す
る。多形性変異配列は、所定の種と種の間の特定の遺伝子のポリヌクレオチド配
列における変異である。多形性変異配列はまた、ポリヌクレオチド配列の1つの
塩基が異なる「1つのヌクレオチド多形性」(SNP)も含み得る。SNPの存
在は、例えば、或る集団、病態、病態の特徴を表し得る。
【0081】 発明 本発明は、新規のヒト膜チャネルタンパク質(MECHP)、及びMECHPをコードする
ポリヌクレオチドの発見に基づいた、細胞増殖異常症及び免疫/炎症性疾患、輸
送/分泌性疾患、浸透圧調節性疾患、筋疾患、心血管疾患、神経障害疾患の診断
及び治療、予防におけるこれらの組成物の使用法に関する。
【0082】 表1は、MECHPをコードする完全長のヌクレオチド配列を得るために用いたイ
ンサイト社クローンのリストである。列1及び列2は、ポリペプチド及び核酸の
配列番号(SEQ ID NO)を示す。列3は、それぞれのMECHPをコードする核酸が同
定されたインサイト社クローンのクローンIDを示し、列4は、これらのクロー
ンを単離したcDNAライブラリを示す。列5は、インサイト社クローン、それ
ぞれに対応するcDNAライブラリを示す。cDNAライブラリが示されていな
いクローンは、プールされたcDNAライブラリに由来する。列5のクローンは
、各MECHPのコンセンサスヌクレオチド配列の構築に用いられ、ハイブリダイゼ
ーション技術における断片として有用である。
【0083】 表2の各列は、本発明の各ポリペプチドの様々な特性を示す。列1はアミノ酸
の配列番号(SEQ ID NO)、列2はそれぞれのポリペプチドのアミノ酸残基の数、
列3及び列4はそれぞれ、潜在リン酸化部位、潜在グリコシル化部位を示す。列
5はサイン配列及びモチーフを含むアミノ酸残基を示す。列6は、各ポリペプチ
ドの識別を示す。列7は各タンパク質の相同配列、列7は配列相同性及びタンパ
ク質モチーフによって各タンパク質を同定するために用いた分析方法をそれぞれ
示す。
【0084】 MECHP−1は、ラット多グルタミン酸タンパク質(GI 2924369; SEQ ID NO:37)
と化学的及び構造的な類似性を有する。詳細には、MECHP−1とラット多グルタミ
ン酸タンパク質の全体の同一性は15%である。図1に示されているように、BL
AST解析によって、MECHP−1の複数の領域とラット多グルタミン酸タンパク質と
の同一性は27〜30%であること判明した。これらの領域とは、MECHP−1のV1
2残基からT163残基と、P266からG344と、P461からE548と、E653からG709とであ
る。
【0085】 図2に示されているように、MECHP−2は、Drosophila電位開閉型カリウムチャ
ネル(GI 116443; SEQ ID NO:38)及びP. penicillatusカリウムチャネルαサブユ
ニット(GI 1763619; SEQ ID NO:39)と化学的及び構造的な類似性を有する。詳細
には、MECHP−2は、Drosophila電位開閉型カリウムチャネルとは18%、P. pen icillatus カリウムチャネルαサブユニットとは17%の同一性を有する。更に
、MECHP−2は、MECHP−2の初めの133残基即ち、M1からT133において、Drosop hila 電位開閉型カリウムチャネル及びP. penicillatusカリウムチャネルαサブ
ユニットと27%の同一性を有する。
【0086】 図3A及び図3Bに示されるように、MECHP−3は、ラットカルシウム活性化カ
リウムチャネルrSK3 (GI 2564072; SEQ ID NO:40)と化学的及び構造的な類似性
を有する。詳細には、MECHP−2とラットrSK3の同一性は40%である。更に、ME
CHP−3及びラットrSK3は、MECHP−3の残基W192からG213のGYGカリウムイオン選
択性配列を含む通常のイオン細孔(canonical ion pore)領域を共に有する。
【0087】 図4A及び図4B、図4Cに示されているように、MECHP−4は、Drosophila
位開閉型カリウムチャネル(GI 116443; SEQ ID NO:38)及びP. penicillatusカリ
ウムチャネルαサブユニット(GI 1763619; SEQ ID NO:39)と化学的及び構造的な
類似性を有する。詳細には、MECHP−4は、Drosophila電位開閉型カリウムチャネ
ルと28%の同一性、P. penicillatusカリウムチャネルαサブユニットと26
%の同一性を有する。MECHP−4及びDrosophila電位開閉型カリウムチャネル、P. penicillatus カリウムチャネルαサブユニットは、MECHP−4における残基G372
からG374のGYGカリウムイオン選択性配列を共に有する。
【0088】 図5A及び図5Bに示されているように、MECHP−5は、ラットアクアポリン7
(GI 2350843; SEQ ID NO:41)と化学的及び構造的な類似性を有する。詳細には、
MECHP−5とラットアクアポリン7の同一性は74%である。
【0089】 図6A及び図6Bに示されているように、MECHP−7は、マウスコネキシン30.3
(GI 192647; SEQ ID NO:42)と化学的及び構造的な類似性を有する。詳細には、
MECHP−7とマウスコネキシン30.3 (GI 192647) との同一性は84%である。
【0090】 図7に示されているように、MECHP−16は、ヒトCa2+活性化カリウムチャネル
βサブユニット(GI 1055345: SEQ ID NO:43)と化学的及び構造的な類似性を有す
る。詳細には、MECHP−16とヒトCa+活性化カリウムチャネルβサブユニットとの
同一性は40%である。
【0091】 図8A及び図8Bに示されているように、MECHP−17は、C. elegansカリウム
チャネルタンパク質相同体(GI 32929: SEQ ID NO:44)と化学的及び構造的な類似
性を有する。詳細には、MECHP−17と特定のC. elegansカリウムチャネルタンパ
ク質相同体との同一性は47%である。
【0092】 図9A及び図9Bに示されているように、MECHP−18は、ヒトアクアポリン9 (
GI 2887407: SEQ ID NO:45)と化学的及び構造的な類似性を有する。詳細には、M
ECHP−18とヒトアクアポリン9との同一性は46%である。
【0093】 表3の各列は、MECHPをコードするヌクレオチド配列に関連する組織特性及び
疾患、異常症、症状を示す。表3の列1はヌクレオチドの配列番号を示す。列2
は、MECHPを発現する組織、及び全組織におけるその組織の発現割合を示す。列
3は、MECHPを発現する組織と関連する疾患または異常症、症状を示す。列4は
、cDNAライブラリのサブクローニングに用いたベクターを示す。ノーザン分析に
よって、SEQ ID NO:34は、7個のライブラリのみで発現し、そのうちの6個(8
6%)が細胞増殖に関連することが判明した。これらライブラリの内の2個が脳
組織、1個がランゲルハンス島細胞、1個が腎臓組織、1個が胎児肺組織、1個が卵
巣組織、副腎組織に関連する。ノーザン分析によって、SEQ ID NO:36は、3個の
ライブラリのみで発現し、その内の1個が卵巣腫瘍組織、1個が発達中の肺組織、
1個が炎症に関連する胃腸組織に関連することが判明した。注目に値するのは、
神経組織及び神経内分泌組織にMECHPが多量に発現すること、及びSEQ ID NO:30
が神経組織に特異的に発現することである。
【0094】 表4の列には、MECHPをコードするcDNAクローンが単離されたcDNAライブラリ
の作製に用いた組織の説明を列記する。列1は、ヌクレオチドの配列番号、列2
はそれらのクローンが単離されたcDNAライブラリ、列3は、列2のcDNAライブラ
リに対応する組織の起源及びその他の説明を示す。
【0095】 以下に示すMECHPをコードするヌクレオチド配列の断片は、SEQ ID NO:19−36
を同定する、及びSEQ ID NO:19−36と関連ポリヌクレオチド配列とを区別するハ
イブリダイゼーションまたは増幅技術等に有用である。有用な断片は、SEQ ID N
O:19の概ねヌクレオチド764から808までの断片と、SEQ ID NO:20の概ねヌクレオ
チド523から582までの断片と、SEQ ID NO:21の概ねヌクレオチド628から669まで
の断片と、SEQ ID NO:22の概ねヌクレオチド779から826までの断片と、SEQ ID N
O:23の概ねヌクレオチド64から108までの断片と、SEQ ID NO:24の概ねヌクレオ
チド1133から1180までの断片と、SEQ ID NO:25の概ねヌクレオチド656から700ま
での断片と、SEQ ID NO:26の概ねヌクレオチド153から197までの断片と、SEQ ID
NO:27の概ねヌクレオチド2160から2219までの断片と、SEQ ID NO:28の概ねヌク
レオチド1275から1322までの断片と、SEQ ID NO:29の概ねヌクレオチド313から3
48までの断片と、SEQ ID NO:30の概ねヌクレオチド994から1041までの断片と、S
EQ ID NO:31の概ねヌクレオチド443から478までの断片と、SEQ ID NO:32の概ね
ヌクレオチド1175から1207までの断片と、SEQ ID NO:34の概ねヌクレオチド381
から425までの断片と、SEQ ID NO:35の概ねヌクレオチド17から61までの断片とS
EQ ID NO:36の概ねヌクレオチド54から98までの断片とである。SEQ ID NO:19乃
至SEQ ID NO:30及びSEQ ID NO:34乃至SEQ ID NO:36の断片によってコードされる
ポリペプチドは、例えば、免疫原性ペプチドとして有用である。
【0096】 本発明はまた、MECHPの変異体を含む。MECHPの変異体は、MECHPのアミノ酸配
列と好ましくは約80%以上の配列同一性、更に好ましくは約90%以上の配列
同一性、最も好ましくは約95%以上の配列同一性を有し、MECHPの機能的特性
或いは構造的特性のうちの少なくとも1つを含む。
【0097】 本発明はまた、MECHPをコードするポリヌクレオチドを含む。特定の実施例に
おいて、本発明は、MECHPをコードするSEQ ID NO:19−36からなる一群から選択
された配列を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0098】 本発明はまた、MECHPをコードするポリヌクレオチド配列の変異配列を含む。
詳細には、このようなポリヌクレオチド配列の変異配列は、好ましくはMECHPを
コードするポリヌクレオチド配列と約70%以上の配列同一性、更に好ましくは
約85%以上の配列同一性、最も好ましくは約95%以上の配列の同一性を有す
る。また本発明の特定の実施態様では、SEQ ID NO:19−36からなる一群から選択
された配列と少なくとも約70%の配列同一性、好ましくは約85%以上の配列
同一性、最も好ましくは約95%以上の配列同一性を有するSEQ ID NO:19−36か
らなる一群から選択された配列の変異配列を含む。上記の各ポリヌクレオチド変
異配列のすべてが、MECHPの機能的或いは構造的特徴の少なくとも1つを有する
アミノ酸配列をコードする。
【0099】 遺伝暗号の縮重により作り出され得るMECHPをコードする種々のポリヌクレオ
チド配列には、既知の自然発生する任意の遺伝子のポリヌクレオチド配列と最小
の類似性しか有しないものも含まれることを、当業者は理解するであろう。した
がって本発明には、可能なコドン選択に基づいた組み合わせの選択によって作り
出され得る可能なポリヌクレオチド配列の変異の全てが含まれ得る。これらの組
み合わせは、自然発生のMECHPのポリヌクレオチド配列に適用される標準的なト
リプレット遺伝暗号を基に作られ、全ての変異が明確に開示されていると考慮す
る。
【0100】 MECHPをコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は、好適に選択された
厳密な条件の下で、自然発生のMECHPのヌクレオチドとハイブリダイズ可能なこ
とが望ましいが、非自然発生のコドンを含めるなどの実質的に異なったコドンの
使用を有するMECHP又はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すこ
とは有益となり得る。特定のコドンが宿主によって利用される頻度に基づいてコ
ドンを選択して、ペプチドの発現が特定の真核細胞又は原核宿主に発生する割合
を高めることが可能である。コードされたアミノ酸配列を変えないで、MECHP及
びその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質的に変更する別の理由は、自
然発生の配列から作られる転写物より例えば長い半減期など好ましい特性を備え
るRNA転写物を作ることにある。
【0101】 本発明はまた、MECHP及びその誘導体をコードするDNA配列又はそれらの断
片を完全に合成化学によって作り出すことも含む。作製後にこの合成配列を、当
分野で良く知られた試薬を用いて、種々の入手可能な発現ベクター及び細胞系の
何れの中にも挿入可能である。更に、合成化学を用いて、MECHPまたはその任意
の断片をコードする配列の中に突然変異を導入することも可能である。
【0102】 更に本発明には、種々の厳密性条件の下で、請求項に記載されたポリヌクレオ
チド配列とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド配列が含まれる。詳しくは、
記載のSEQ ID NO:19−36またはその断片とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチ
ド配列が含まれる。(例えば、Wahl, G.M.及びS.L. Berger (1987) Methods Enzy
mol. 152:399-407; 及び Kimmel. A.R. (1987) Methods Enzymol. 152:507-511.
を参照)。例えば、厳密な塩濃度は、通常は約750mM未満の塩化ナトリウム
と約75mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、好ましくは約500mM未満
の塩化ナトリウムと約50mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、最も好まし
くは約250mM未満の塩化ナトリウムと約25mM未満のクエン酸三ナトリウ
ムである。例えば、ホルムアミドなどの有機溶剤を使用しないと、厳密性の低い
ハイブリダイゼーションになり、約35%以上のホルムアミド、更に好ましくは
50%以上のホルムアミドを使用すると、厳密性の高いハイブリダイゼーション
になる。温度の厳密条件は、通常は約30℃以上であり、より好ましくは約37
℃以上であり、最も好ましくは約42℃以上である。その他の変更できるパラメ
ーターには、ハイブリダイゼーション時間、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
などの薬品の濃度、キャリアDNAの含有の有無があり、当分野の技術者には周
知である。必要な様々な条件を組み合わせることで、厳密性の程度を変えること
ができる。好適な実施例では、ハイブリダイゼーションは、温度が30℃で、7
50mMの塩化ナトリウムと75mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDSで
行う。より好適な実施例では、温度が37℃で、500mMの塩化ナトリウムと
50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、10
0μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)で行う。最も好適な実施例で
は、温度が42℃で、250mMの塩化ナトリウムと25mMのクエン酸三ナト
リウム、1%のSDS、50%のホルムアミド、200μg/mlのssDNA
で行う。これらの条件の有用な変更は、当分野の技術者には明らかである。
【0103】 ハイブリダイゼーションの後の洗浄過程にも、様々な厳密性の程度がある。洗
浄の厳密な条件は、塩濃度と温度によって決められる。上記したように、塩濃度
を下げること或いは温度を上げることで洗浄の厳密性を高めることができる。例
えば、洗浄過程での塩濃度の厳密な条件は、好ましくは約30mM未満の塩化ナ
トリウムと約3mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、更に好ましくは約15
mM未満の塩化ナトリウムと約1.5mM未満のクエン酸三ナトリウムである。
洗浄過程の温度の厳密な条件は、通常は約25℃以上であり、好ましくは約42
℃以上であり、更に好ましくは約68℃以上である。好適な実施例では、洗浄過
程は、温度が25℃で、30mMの塩化ナトリウムと3mMのクエン酸三ナトリ
ウム、0.1%SDSで行われる。より好適な実施例では、洗浄過程は、温度が
42℃で、15mMの塩化ナトリウムと1.5mMのクエン酸三ナトリウム、0
.1%SDSで行われる。最も好適な実施例では、洗浄過程は、温度が68℃で
、15mMの塩化ナトリウムと1.5mMのクエン酸三ナトリウム、0.1%S
DSで行われる。更なるこれらの条件の変更は、当分野の技術者には明らかであ
る。
【0104】 当分野で周知のDNAのシークエンシング方法を用いて、本発明の何れの実施
例も実行可能である。この方法には、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断
片、SEQUENASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin E
lmer)、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech Piscataway N
J)、或いはELONGASE増幅システム(Life Technologies, Gaithersburg MD)にみ
られるような校正エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとの組み合わせなどの酵素
が用いられる。好ましくは、Robbins Hydra マイクロディスペンサー(Robbins S
cientific, Sunnyvale CA) 及び Hamilton MICROLAB2200(Hamilton, Reno, NV
)、Peltier Thermal Cycler200(PTC200;MJ Research, Watertown MA)、ABI
CATALYST 800 (Perkin-Elmer) を用いて自動化する。次に、ABI 373または377 D
NAシークエンシングシステム(Perkin-Elmer)、MEGABACE 1000 DNAシークエンシ
ングシステム(Molecular Dynamics. Sunnyvale CA)、当分野で周知の方法を用い
てシークエンシングを行う。得られた配列を当分野で周知の様々なアルゴリズム
を用いて分析する(例えば、Ausubel, F.M. (1997) Short Protocols in Molecul ar Biology , John Wiley & Sons, New York NY, unit 7.7; Meyers, R.A. (1995
) Molecular Biology and Biotechnology, Wiley VCH, New York NY, pp. 856-8
53.を参照)。
【0105】 部分的なヌクレオチド配列を利用し、当分野で周知のPCR法をベースにした
種々の方法を用いてMECHPをコードする核酸配列を伸長し、プロモーターや調節
要素などの上流にある配列を検出する。例えば制限部位PCR法を利用する1つ
の方法では、一般的なプライマー及びネスト化プライマーを用いてクローニング
ベクター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する。(例えば、Sarkar, G. (
1993) PCR Methods Applic 2:318-322を参照)。逆PCR法を用いる別法では、
広範な方向に伸長して環状化した鋳型から未知の配列を増幅するプライマーを用
いる。この鋳型は、既知のゲノム遺伝子座及びその周辺の配列を含む制限断片に
由来する。(例えば、Triglia, T.等(1988)Nucleic Acids Res. 16:8186を参
照)。キャプチャPCR法を用いる第3の方法は、ヒト及び酵母菌人工染色体D
NAの既知の配列に隣接するDNA断片のPCR増幅を含む。(例えば、Lagers
trom, M.他(1991)PCR Methods Applic 1:111-119を参照)。この方法では、多
数の制限酵素による消化及びライゲ−ションを用いて、PCRを行う前に未知の
配列の領域の中に組換え二本鎖配列を挿入することが可能である。また、当分野
で周知の別の方法を用いて未知の配列を得ることも可能である。(例えば、Parke
r, J.D. 他 (1991)Nucleic Acids Res. 19:3055-3060を参照)。更に、PCR、
ネスト化プライマー、PROMTERFINDERライブラリを用いれば、ゲノムDNA内の
歩行が可能である(Clontech, Palo Alto CA)。この方法ではライブラリをスク
リーニングする必要がなく、イントロン/エキソン接合部を探すのに有用である
。全てのPCR法をベースにした方法では、プライマーは、市販のOLIGO 4.06 P
rimer Analysis software(National Biosciences社, Plymouth MN)或いは別の
好適なプログラムなどを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含有率が
50%以上、約68℃〜72℃の温度で鋳型に対してアニールするよう設計され
る。
【0106】 完全長cDNAのスクリーニングのときは、大きなcDNAを含むようにサイ
ズが選択されたライブラリを用いるのが好ましい。更に、オリゴd(T)ライブ
ラリが完全な長さのcDNAを産生できない場合は、遺伝子の5'領域を有する
配列を含むものが多いランダムに初回抗原刺激を受けたライブラリが有用である
。ゲノムライブラリは、5'非転写調節領域への配列の伸長に有用であろう。
【0107】 市販のキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシングまたはPC
R産物のヌクレオチド配列のサイズの分析、または確認が可能である。詳しくは
、キャピラリーシークエンシングには、電気泳動による分離のための流動性ポリ
マー、及び4つの異なったヌクレオチドに特異的なレーザーで活性化される蛍光
色素、放出された波長の検出に利用するCCDカメラを使用することが可能であ
る。出力/光強度は、適切なソフトウェア(例えば、GENOTYPER 及び SEQUENCE
NAVIGATOR, Perkin-Elmerを参照)を用いて電気信号に変換され、サンプルのロ
ーディングからコンピュータ分析までのプロセス及び電子データ表示がコンピュ
ータ制御可能である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存
在しない場合もあるDNAの小片のシークエンシングに特に適している。
【0108】 本発明の別の実施例では、MECHPをコードするポリヌクレオチド配列またはそ
の断片を組換えDNA分子に用いて、適切な宿主細胞内にMECHP、その断片また
は機能的等価物を発現させることが可能である。遺伝暗号固有の宿重により、実
質的に同じ或いは機能的に等価のアミノ酸配列をコードする別のDNA配列が作
られ得り、これらの配列をMECHPのクローン化及び発現に利用可能である。
【0109】 種々の目的でMECHPをコードする配列を変えるために、当分野で一般的に知ら
れている方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を組換えることができる。こ
の目的には、遺伝子産物のクローン化、プロセシング及び/または発現の調節が
含まれるが、これらに限定されるものではない。ランダムな断片によるDNAの
混合や遺伝子断片と合成オリゴヌクレオチドのPCR再組み立てを用いて、ヌク
レオチド配列の組換えが可能である。例えば、オリゴヌクレオチドの仲介による
定方向突然変異誘発を利用して、新しい制限部位を生成する突然変異の導入、グ
リコシル化パターンの変更、コドン優先の変更、スプライスバリアントの生成等
が可能である。
【0110】 別の実施例によれば、MECHPをコードする配列は、当分野で周知の化学的方法
を用いて、全体或いは一部が合成可能である(例えば、Caruthers. M.H.等(198
0)Nucleic Acids Res. Symp. Ser 7:215-223; 及びHorn, T.他(1980)Nucl. A
cids Res. Symp. Ser.225-232を参照)。別法として、化学的方法を用いてMECHP
自体またはその断片を合成することが可能である。例えば、ペプチド合成は種々
の固相技術を用いて実行可能である(例えば、Roberge, J.Y.等(1995) Science
269:202-204を参照)。また、合成の自動化は例えばABI 431Aペプチドシンセサ
イザ(Perkin Elmer)を用いて達成し得る。更にMECHPのアミノ酸配列または任
意のその一部は、直接的な合成の際の変更、及び/または化学的方法を用いた他
のタンパク質または任意のその一部からの配列との組み合わせにより、変異体ポ
リペプチドを作ることが可能である。
【0111】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Chiez, R.M.
及び F.Z. Regnier (1990)Methods Enzymol. 182:392-421を参照)を用いて実質
的に精製可能である。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸分析或いはシーク
エンシングにより確認することができる(例えば、Creighton. T. (1983) Protei ns, Structures and Molecular Properties , WH Freeman, New York, NYを参照)
【0112】 生物学的に活性なMECHPを発現させるために、MECHPをコードするヌクレオチド
配列またはその誘導体を好適な発現ベクターに挿入する。この発現ベクターは、
好適な宿主に挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要な要素を
含む。これらの要素には、ベクター及びMECHPをコードするポリヌクレオチド配
列におけるエンハンサー、構成型及び発現誘導型のプロモーター、5'及び3'の
非翻訳領域などの調節配列が含まれる。このような要素は、その長さ及び特異性
が様々である。特定の開始シグナルによって、MECHPをコードする配列のより効
果的な翻訳を達成することが可能である。このようなシグナルには、ATG開始
コドン及びコザック配列などの近傍の配列が含まれる。MECHPをコードする配列
及びその開始コドン、上流の調節配列が好適な発現ベクターに挿入された場合は
、更なる転写調節シグナルや翻訳調節シグナルは必要なくなるであろう。しかし
ながら、コーディング配列或いはその断片のみが挿入された場合は、インフレー
ムのATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが発現ベクターに含まれ
なければならない。外来性の翻訳要素及び開始コドンは、自然及び合成の様々な
ものから得ることが可能である。用いられる特定の宿主細胞系に好適なエンハン
サーを含めることで発現の効率を高めることが可能である。(例えば、Scharf, D
. 他 (1994) Results Probl. Cell Differ. 201−18-162.を参照)。
【0113】 当業者に周知の方法を用いて、MECHPをコードする配列、好適な転写及び翻訳
調節要素を含む発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法には、 in vitro 組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換え技術が含まれ
る。(例えば、 Sambrook, J. 他. (1989) Molecular Cloning. A Laboratory Ma nual , Cold Spring Harbor Press, Plainview NY, 4章及び8章, 及び16-17章;
及び Ausubel, F.M. 他. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, Jo
hn Wiley & Sons, New York NY, ch. 9章及び13章、16章を参照)。
【0114】 種々の発現ベクター/宿主系を利用して、MECHPをコードする配列の保持及び
発現が可能である。これらには、限定するものではないが、組換えバクテリオフ
ァージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌
などの微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換された酵母菌や、ウイルス発現
ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現
ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイク
ウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322
プラスミド)で形質転換された植物細胞系や、動物細胞系などが含まれる。本発
明は使用される宿主細胞によって限定されるものではない。
【0115】 細菌系では、多数のクローニングベクター及び発現ベクターが、MECHPをコー
ドするポリヌクレオチド配列の使用目的に応じて選択可能である。例えば、MECH
Pをコードするポリヌクレオチド配列の日常的なクローニング、サブクローニン
グ、増殖には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはpSPORT1プラスミ
ド(GIBCO BRL)などの多機能の大腸菌ベクターを用いることができる。ベクター
の多数のクローニング部位にHLORをコードする配列をライゲーションすると
lacZ遺伝子が破壊され、組換え分子を含む形質転換された細菌の同定のための
比色スクリーニング法が可能となる。更に、これらのベクターを用いて、クロー
ニングされた配列のin vitroでの転写、ジデオキシンスクリーニング、ヘルパー
ファージによる一本鎖の救出、入れ子状態の欠失を作り出すことが可能である。
(例えば、Van Heeke, G.及びS.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5
509.を参照)。例えば、抗体の産生のためなどに多量のMECHPが必要な場合は、ME
CHPの発現をハイレベルで誘導するベクターが使用できる。例えば、強力に発現
を誘発するT5またはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを使
用できる。
【0116】 MECHPの発現に酵母の発現系の使用が可能である。α因子やアルコールオキシ
ダーゼやPGHプロモーターなどの構成型或いは誘導型のプロモーターを含む多
種のベクターが、酵母菌サッカロミセス−セレビジエまたはPichia pastoris
使用可能である。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質の分泌か細
胞内への保持のどちらかを誘導し、安定した増殖のために宿主ゲノムの中に外来
配列を組み込む。(例えば、上記のAusubel.; 及びBitter, G.A. 他 (1987) Meth
ods Enzymol.153:51-794: Scorer. C. A. 他 (1994) Bio/Technology 121−181-
184.を参照) 植物系もMECHPの発現に使用可能である。MECHPをコードする配列の転写は、例
えば、CaMV由来の35S及び19Sプロモーターなどのウイルスプロモータ
ーが単独で、或いはTMV(Takamatsu, N.等(1987)EMBO J 6:307-311)由来
のオメガリーダー配列と組み合わせて促進される。これらの作製物は、直接のD
NA形質転換或いは病原体を介したトランスフェクションによって、植物細胞の
中に導入可能である。(例えば、The McGraw Hill Yearbook of Science and Te chnology (1992)McGraw Hill NY, pp.191-196を参照)。
【0117】 哺乳動物細胞では、多種のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウ
イルスが発現ベクターとして用いられる場合、後発プロモーター及び3連リーダ
ー配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳複合体にMECHPをコードする配列を
結合し得る。ウイルスのゲノムの非必須のE1またはE3領域への挿入により、
感染した宿主細胞にMECHPを発現する生ウイルスを得ることが可能である(Logan
, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659を参照)。さ
らに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用い
て、哺乳動物宿主細胞における発現を増大させることが可能である。タンパク質
を高レベルで発現させるために、SV40またはEBVを基にしたベクターを用
いることが可能である。
【0118】 ヒト人工染色体(HAC)を用いて、プラスミドで発現しそれに含まれているも
のより大きなDNAの断片を供給可能である。治療のために約6kb〜10Mb
のHACsを作製し、従来の輸送方法(リポソーム、ポリカチオンアミノポリマ
ー、またはベシクル)で供給する。(例えば、Harrington. J.J. 他 (1997) Nat
Genet.15:345-355.を参照)。
【0119】 哺乳動物系の組換えタンパク質の長期にわたる産生のためには、株化細胞にお
けるMECHPの安定した発現が望ましい。例えば、発現ベクターを用いて、MECHPを
コードする配列を株化細胞に形質転換することが可能である。このような発現ベ
クターは、ウイルス起源の複製及び/または内在性の発現要素や、同じ或いは別
のベクターの上の選択マーカー遺伝子を含む。ベクターの導入の後、細胞を選択
培地に移す前に、強化培地で約1〜2日の間増殖させる。選択マーカーの目的は
選択的な媒介物に対する抵抗性を与えるとともに、その存在により導入された配
列をうまく発現する細胞の増殖及び回収が可能となる。安定的に形質転換された
細胞の耐性クローンは、その細胞型に好適な組織培養技術を用いて増殖可能であ
る。
【0120】 任意の数の選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収することが可能であ
る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ
、それぞれtk又はapr細胞において使用される。(例えば、Wigler, M. 他 (1
977) Cell 11:223-232; 及びLowy, I. 他(1980) Cell 22:817-823を参照)。また
代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択のベースとして用いること
ができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノグ
リコシッドネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え、als或いはpatはクロル
スルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラー
ゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例えば、Wigl
er, M. 他. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570; Colbere-Garapin,
F. 他(1981) J. Mol. Biol. 150:1-14を参照)。さらに選択に利用できる遺伝子
、例えば、代謝のために細胞が必要なものを変えるtrpB及びhisDが文献に記載さ
れている(例えば、Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad
. Sci. 85:8047-51を参照)。アニトシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP;C
lontech)、βグルクロニダーゼ及びその基質GUS,ルシフェラーゼ及びその基
質ルシフェリンなどの可視マーカーが用いられる。緑色蛍光タンパク質(GFP
)(Clontech, Palo Alto, CA)も使用できる。これらのマーカーを用いて、トラ
ンスフォーマントを特定するだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性或
いは安定したタンパク質発現を定量することが可能である(例えば、Rhodes, C.
A.他(1995)Methods Mol. Biol. 55:121−791を参照)。
【0121】 マーカー遺伝子の発現の存在/不在によって目的の遺伝子の存在が示されても
、その遺伝子の存在及び発現の確認が必要な場合もある。例えば、MECHPをコー
ドする配列がマーカー遺伝子配列の中に挿入された場合、MECHPをコードする配
列を含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機能の欠落により特定可能であ
る。または、1つのプロモーターの制御下でマーカー遺伝子がMECHPをコードす
る配列と一列に配置することも可能である。誘導または選択に応答したマーカー
遺伝子の発現は、通常タンデム遺伝子の発現も示す。
【0122】 一般に、MECHPをコードする核酸配列を含み、MECHPを発現する宿主細胞は、当
業者に周知の種々の方法を用いて特定することが可能である。これらの方法には
、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、PCR法、
核酸或いはタンパク質の検出及び/または数量化のための膜系、溶液ベース、或
いはチップベースの技術を含むタンパク質生物学的試験法または免疫学的アッセ
イが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0123】 特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを用いるME
CHPの発現の検出及び計測のための免疫学的な方法は、当分野で周知である。こ
のような技法には、酵素に結合したイムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジ
オイムノアッセイ(RIA)、蛍光標示式細胞分取器(FACS)などがある。MECHP上
の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモ
ノクローナルベースイムノアッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay
)が好ましいが、競合の結合アッセイも用いることもできる。これらのアッセイ
及びその他のアッセイは、当分野では十分に知られている。(例えば、 Hampton.
R. 他.(1990) Serological Methods, a Laboratory Manual. APS Press. St Pa
ul. MN, Sect. IV; Coligan, J. E. 他Current Protocols in Immunology, Gree
ne Pub. Associates and Wiley-Interscience, New York. NY; 及びPound, J.D.
(1990) Immunochemical Protocols, Humans Press, Totowa NJ)。
【0124】 種々の標識方法及び結合方法が当業者には周知であり、様々な核酸アッセイお
よびアミノ酸アッセイに用いられ得る。MECHPをコードするポリヌクレオチドに
関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ或
いはPCRプローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーシ
ョン、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれ
る。別法として、MECHPをコードする配列、またはその任意の断片をmRNAプ
ローブを生成するためのベクターにクローニングすることも可能である。当分野
では周知であり市販されているこのようなベクターを、T7,T3,またはSP
6などの好適なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドの追加によって
in vitroでのRNAプローブの合成に用いることができる。これらの方法は、
例えば、Amersham Pharmacia Biotech及びPromega(Madison WI)、U.S. Bioche
mical Corp(Cleveland OH)が市販する種々のキットを用いて行うことができる
。容易な検出のために用い得る好適なレポーター分子或いは標識には、基質、コ
ファクター、インヒビター、磁気粒子、及び放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発
光剤、色素産生剤などが含まれる。
【0125】 MECHPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培地
でのこのタンパク質の発現及び回収に好適な条件の下で培養される。形質転換さ
れた細胞から産生されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用さ
れるその配列及び/またはそのベクターによる。MECHPをコードするポリヌクレ
オチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜及び真核細胞膜を透過するMECHPの分
泌を誘導するシグナル配列を含むように設計できることは、当業者には理解され
よう。
【0126】 更に、挿入した配列の発現調節能力または発現したタンパク質を所望の形にプ
ロセシングする能力によって宿主細胞株が選択される。このようなポリペプチド
の修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(
lipidation)、及びアシル化が含まれるが、これらに限定されるものではない。
タンパク質の「prepro」形を切断する翻訳後のプロセシングを利用して、標的タ
ンパク質、折りたたみ及び/または活性を特定することが可能である。翻訳後の
活性のための特定の細胞装置及び特徴のある機構をもつ種種の宿主細胞(例えば
、CHO、HeLa、MDCK、MEK293、WI38)がAmerican Type Culture Collection(ATC
C; Bethesda, MD)より入手可能であり、外来のタンパク質の正しい修飾及びプ
ロセシングを確実にするために選択される。
【0127】 本発明の別の実施例では、MECHPをコードする自然或いは変更された、または
組換えの核酸配列を上記した任意の宿主系の融合タンパク質の翻訳となる異種配
列に結合させる。例えば、市販の抗体によって認識できる異種部分を含むキメラ
MECHPタンパク質が、MECHPの活性のインヒビターに対するペプチドライブラリの
スクリーニングを促進し得る。また、異種タンパク質部分及び異種ペプチド部分
が、市販の親和性基質を用いて融合タンパク質の精製を促進し得る。このような
部分には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タン
パク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(
CBP)、6−His、FLAG、c−mc、赤血球凝集素(HA)が含まれる
が、これらに限定されるものではない。GST及びMBP、Trx、CBP、6
−Hisによって、固定されたグルタチオン、マルトース、フェニルアルシン酸
化物(phenylarsine oxide)、カルモジュリン、金属キレート樹脂のそれぞれで
同族の融合タンパク質の精製が可能となる。FLAG、c−mc、及び赤血球凝
集素(HA)によって、これらのエピトープ標識を特異的に認識する市販のモノ
クロナール抗体及びポリクロナール抗体を用いた融合タンパク質の免疫親和性の
精製ができる。また、MECHPをコードする配列と異種タンパク質配列との間にあ
るタンパク質分解切断部位を融合タンパク質が含むように遺伝子操作すると、ME
CHPが精製の後に異種部分から切断され得る。融合タンパク質の発現と精製の方
法は、Ausubel. (1995、前出 ch 10).に記載されている。市販されている様々な
キットを用いて、融合タンパク質の発現及び精製を促進できる。
【0128】 本発明の別の実施例では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚芽
抽出系(Promega)を用いてin vitroで放射能標識したMECHPの合成が可能である。
これらの系は、T7またはT3、SP6プロモーターと機能的に結合したタンパ
ク質をコードする配列の転写と翻訳をつなげる。翻訳は、好ましくは35Sメチ
オニンである放射能標識されたアミノ酸前駆体の存在の下で起こる。
【0129】 MECHPの断片は、組換え生成物だけでなく固相技術を用いて直接的なペプチド
合成によって作製され得る(例えば、前出のCreighton, pp. 55-60.を参照)。タ
ンパク質の合成は、手動或いは自動で行われ得る。自動合成は、例えば431Aペプ
チドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いて行うことが可能である。MECHPの種
々の断片は別々に合成して、次ぎに結合させて完全長分子を生成する。
【0130】 治療 例えば、配列及びモチーフにおける化学的及び構造的類似性が、MECHPとヒト
膜チャネルタンパク質との間に存在する。更に、MECHPの発現は、神経組織及び
生殖組織、胃腸組織、胎児発達、癌を含む神経障害、免疫/炎症性疾患、細胞増
殖異常症と密接な関係がある。従って、MECHPは、細胞増殖異常症及び免疫/炎
症性疾患、輸送/分泌性疾患、浸透圧調節性疾患、筋疾患、心血管疾患、神経障
害疾患において、ある役割を果たすと考えられる。MECHPの発現または活性の増
大に関連するする疾患の治療においては、MECHPの発現または活性を低下させる
ことが望ましい。また、MECHPの発現または活性の低下に関連する疾患の治療に
おいては、MECHPの発現または活性を増大させることが望ましい。
【0131】 従って、一実施例において、MECHPの発現または活性が低下する細胞増殖異常
症または分泌異常症に関連する疾患の治療または予防のために、患者にMECHPま
たはその断片や誘導体を投与することが可能である。限定するものではないが、
このような疾患の例には、細胞増殖異常症が含まれ、その中には、日光性角化症
及びアテローム性動脈硬化、滑液包炎、硬変、肝炎、混合型結合組織病(MCT
D)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血
小板血症、並びに腺癌及び白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形
癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化
管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液
腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、子宮の癌などが含まれ、また、免疫/炎症性疾患
も含まれ、その中には後天性免疫不全症候群(AIDS)及びアディソン病、成
人呼吸窮迫症候群、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、喘息、アテローム性動
脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性多腺性内分
泌カンジダ性外胚葉ジストロフィ(APECED)、気管支炎、胆嚢炎、接触皮
膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球毒
素性一時性リンパ球減少症、赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、
グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症
、過敏性大腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨関節
炎、骨粗しょう症、膵炎、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節
炎、強皮症、シェ−グレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマト
ーデス、全身性硬化症、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群、癌合
併症、血液透析、体外循環と、ウィルス感染症及び細菌感染症、真菌感染症、寄
生虫感染症、原虫感染症、蠕虫の感染症、外傷が含まれ、輸送/分泌性疾患も含
まれ、その中には、無動症、筋萎縮性側索硬化症、失調症、毛細血管拡張症、嚢
胞性繊維症、ベッカー型偽肥大性筋ジストロフィ、ベル麻痺、シャルコー‐マリ
ー‐ツース病、チェディアック‐東症候群、糖尿病、尿崩症、糖尿病神経障害、
高カリウム血性周期性麻痺、正常カリウム血性周期性麻痺、悪性高熱症、多剤耐
性 、筋緊張性ジストロフィ、緊張病、筋緊張異常(dystonias)、末梢神経疾患
、神経繊維腫症、ヘルペス後神経痛、三叉神経障害(trigeminal neuropathy)
、サルコイド症、鎌状赤血球貧血、毒素ショック症候群、ウィルソン病、白内障
、不妊症、肺動脈狭窄症(pulmonary artery stenosis)、感音性常染色体聴覚
障害(sensorineural autosomal deafness)、高血糖症、低血糖症、甲状腺腫、
クッシング病、グルコース‐ガラクトース吸収不全症候群、コレステロール過剰
血症、枯草熱、喘息、じんま疹等を含むアレルギーなどが含まれ、浸透圧調節性
疾患も含まれ、その中には、尿崩症、下痢症、腹膜炎、慢性腎不全、アディソン
病、ADH不適切症候群、低アルドステロン症、低ナトリウム血症、副腎機能不全
、甲状腺機能低下症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、バーター症候群(Ba
rter's syndrome)、代謝性アシドーシス、代謝性アルカローシス、エンセファ
ロパシー、浮腫、低血圧症、高血圧症などが含まれ、筋疾患も含まれ、その中に
は、心筋症、心筋炎、デュシェンヌ型筋ジストロフィ、ベッカー型偽肥大性筋ジ
ストロフィ、筋緊張性ジストロフィ、中心コア病、ネマリンミオパシーラネマリ
ン筋障害、中心核ミオパシー、脂質筋疾患(lipid myopathy)、ミトコンドリア
ミオパチー、感染性節炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、甲状腺中毒性ミ
オパシー、エタノール筋疾患(ethanol myopathy)などが含まれ、心血管疾患も
含まれ、その中には、動静脈瘻、アテローム硬化、高血圧、脈管炎、レイノー病
、静脈奇形、動脈解離、静脈瘤、血栓静脈炎及び静脈血栓、血管の腫瘍、血栓崩
壊の合併症、バルーン血管形成術(balloon angioplasty)、血管置換術(vascu
lar replacement)、大動脈冠動脈バイパス術移植手術(coronary artry bypass
graft suegery)、うっ血性心不全、虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞、高血圧
性心疾患、変性弁膜性心疾患、石灰化大動脈弁狭窄症、先天性2尖大動脈弁、僧
帽弁輪状石灰化(mitral annular calcification)、僧帽弁脱出、リウマチ熱、
リウマチ性心疾患、感染性心内膜炎、非細菌性血栓性心内膜炎、全身性エリテマ
トーデスの心内膜炎、カルチノイド心疾患、心筋症、心筋炎、心膜炎、腫瘍性心
疾患、先天性心臓疾患、及び心臓移植の合併症と、先天性肺異常(congenital l
ung anomalies)、肺拡張不全、肺うっ血及び肺水腫、肺動脈塞栓症、肺出血、
肺梗塞、肺高血圧症、血管硬化症、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患(restrictive
pulmonary disease)、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息
、細気管支拡張症、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎及びマイコプラズマ肺炎、肺膿
瘍、肺結核、びまん性間質性疾患(diffuse interstitial diseases)、塵肺症
、サルコイド症、特発性肺繊維症(idiopathic pulmonary fibrosis)、剥離性
間質性肺炎、過敏症肺炎(hypersensivitity pneumonitis)、肺好酸球増加閉塞
性細気管支炎―器質性肺炎(pulmonary eosinophilia bronchiolitis obliteran
s-organizing pneumonia)、びまん性肺出血症候群(diffuse pulmonary hemorr
hage syndromes)、グッドパスチャー症候群、特発性肺血鉄症、肺併発膠原血管
病(pulmonary involvement in collagen-vascular disorders)、肺胞たんぱく
症、肺腫瘍、炎症性及び非炎症性胸水(inflammatory and noninflammatory ple
ural effusions)、気胸症、胸膜腫瘍、薬物性肺病(drug-induced lung diseas
e)、放射線肺病(radiation-induced lung desease)及び肺移植の合併症など
が含まれ、神経障害も含まれ、その中には、癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、
脳腫瘍、アルツハイマー病、ピック病、ダウン症候群、ハンチントン病、痴呆、
パーキンソン病及び他の錐体外路障害、筋萎縮性側索硬化症及び他の運動ニュー
ロン疾患、進行性神経性筋萎縮症、色素性網膜炎、遺伝性運動失調、多発性硬化
症及び他の脱髄疾患、細菌性及びウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、硬
膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎及び神経根炎、ウイルス性中枢神
経系疾患と、クールー及びクロイツフェルト‐ヤコブ病、Gerstmann-Straussler
-Scheinker症候群を含むプリオン病(prion disease)と、致死性家族性不眠症
、神経系性栄養病及び代謝病、神経線維腫症、結節硬化症、小脳網膜血管芽腫(
cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳3叉神経血管症候群、中枢神経
系性精神薄弱及び他の発生障害、脳性麻痺、神経骨格異常症(neuroskeletal di
sorder)、自律神経系障害、脳神経障害、脊髄病と、脊髄筋肉萎縮症(spinal m
uscular atrophy)、手根管症候群、monomeuritis multiplexを含む神経筋疾患
(neuromuscular disorders)と、デュシェンヌ型筋ジストロフィ、筋緊張性顔
面肩甲上腕筋ジストロフィ(myotonic facioscapulohumeral muscular dystroph
y)、眼球咽頭型筋ジストロフィ、肩甲腓骨筋ジストロフィ(scapiloperpneal m
uscular dystrophy)、先天型筋ジストロフィ、末梢型筋ジストロフィ、眼筋型
筋ジストロフィのような筋ジストロフィと、先天性及び代謝性ミオパシー、ミオ
トニー、末梢神経系疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、遺伝性ミオパシー、代謝
性ミオパシー、内分泌性ミオパシー、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、
周期性四肢麻痺と、鬱病及び双極性障害、気分障害、不安障害、精神分裂病など
の精神病と、季節情動障害・SAD(seasonal affective disorder)と、静座
不能、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパシー、錐体外路性終末欠陥症候群、
ジストニー、妄想性精神病、帯状疱疹後神経痛、トゥーレット病と、カルシウム
、リン酸、マグネシウム、カリウムなどの電解質の異常と、甲状腺、副腎、副甲
状腺、下垂体の機能不全及び機能亢進と、原発性及び転移性新生物などが含まれ
る。
【0132】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むMECHPの発
現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、MECHPまたはそ
の断片や誘導体を発現し得るベクターを患者に投与することも可能である。
【0133】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むMECHP
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、実質的に精
製されたMECHPを含む医薬品組成物を好適な医薬用担体と共に患者に投与するこ
とも可能である。
【0134】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むMECHP
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、MECHPの活
性を調節するアゴニストを患者に投与することも可能である。
【0135】 更なる実施例では、MECHPの発現または活性の増大に関連した疾患の治療また
は予防のために、患者にMECHPのアンタゴニストを投与することが可能である。
このような疾患の例には、限定するものではないが上記した疾患が含まれる。一
実施態様では、MECHPと特異的に結合する抗体が直接アンタゴニストとして、或
いはMECHPを発現する細胞または組織に薬剤を運ぶ標的或いは運搬機構として間
接的に用いられ得る。
【0136】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むMECHPの発
現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、MECHPをコード
するポリヌクレオチドの相補体を発現するベクターを患者に投与することも可能
である。
【0137】 別の実施例では、本発明の任意のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニ
スト、相補的な配列、ベクターを別の好適な治療薬と組み合わせて投与すること
もできる。当業者は、従来の医薬原理にしたがって併用療法で用いる好適な治療
薬を選択可能である。治療薬との組み合わせにより、上に列記した種々の疾患の
治療または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法を用いて少ない量の各薬剤
で医薬効果をあげることが可能であり、広範囲な副作用の可能性を低減し得る。
【0138】 MECHPのアンタゴニストは、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可
能である。詳しくは、精製されたMECHPを用いて抗体を作ったり、治療薬のライ
ブラリをスクリーニングしてMECHPと特異的に結合するものを同定が可能である
。MECHPの抗体も、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能である。
このような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、
一本鎖、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリによって作られたフラ
グメントが含まれる。但し、これらに限定されるものではない。治療用には、中
和抗体(即ち、二量体の形成を阻害するもの)が特に好ましい。
【0139】 抗体の産生のためには、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト及びその他のも
のを含む種々の宿主が、MECHPまたは任意の断片、または免疫原性の特性を備え
るそのオリゴペプチドの注入によって免疫化され得る。宿主の種に応じて、種々
のアジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる。このようなアジュバン
トにはフロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲルアジュ
バント、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性
乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン、及びジニトロフェノールなどの界面
活性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒトに用いられるアジ
ュバントの中では、BCG(bacilli Calmette-Guerin)及びCorynebacterium p arvum が特に好ましい。
【0140】 MECHPに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド、
または断片は、約5以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列が望ましく、更に望ま
しいのは約10以上のアミノ酸からなるものである。これらのオリゴペプチド或
いはペプチド、またはそれらの断片は、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部
と同一であることが望ましく、小さな自然発生の分子のアミノ酸配列全体も含む
。MECHPアミノ酸の短い伸展部は、KLHなどの別のタンパク質の配列と融合し
、キメラ分子に対する抗体が産生され得る。
【0141】 MECHPに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって、抗
体分子を産生する任意の技術を用いて作製することが可能である。これらの技術
には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBV−ハイ
ブリドーマ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Kohl
er, G. 等. (1975) Nature 256:495-497; Kozbor, D. 等. (1985) .J. Immunol.
Methods 81−8-42; Cote, R.J. 等. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-
2030; Cole, S.P. 等. (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120を参照)。
【0142】 更に、「キメラ抗体」の作製のために発達したヒト抗体遺伝子にマウス抗体遺
伝子をスプライシングするなどの技術が、好適な抗原特異性及び生物学的活性を
備える分子を得るために用いられる(例えば、Morrison, S.L.他. (1984) Proc.
Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855; Neuberger, M.S.他. (1984) Nature 312:604
-608; Takeda, S.等. (1985) Nature 314:452,454を参照)。別法では、当分野
で周知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して、
MECHP特異性一本鎖抗体を生成する。関連する特異性を備えるが別のイディオタ
イプの組成の抗体は、ランダムな組み合わせの免疫グロブリンライブラリから鎖
混合によって生成することもできる(例えば、Burton D.R. (1991) Proc. Natl.
Acad. Sci. 88:11120-3を参照)。
【0143】 抗体は、リンパ球集団の中のin vivo産生を誘発することによって、または免
疫グロブリンライブラリのスクリーニング又は文献に示されているような、高度
に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって、産生すること
もできる(例えば、Orlandi, R. 他. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. 86: 3833
-3837; Winter, G. 他. (1991) Nature 349:293-299を参照)。
【0144】 MECHPに対する特異的な結合部位を含む抗体も産生することができる。例えば
、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab’
)2断片と、F(ab’)2断片のジスルフィド架橋を減じることによって生成
されるFab断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。別法では、
Fab発現ライブラリを作製することによって、所望の特異性とモノクローナル
Fab断片の迅速且つ容易な同定が可能となる(例えば、Huse, W.D. 等. (1989
) Science 254:1275-1281を参照)。
【0145】 種々のイムノアッセイを用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体
を同定する。隔離された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナ
ル抗体の何れかを用いる競合的な結合、または免疫放射線活性のための数々のプ
ロトコルが、当分野では周知である。通常このようなイムノアッセイには、MECH
Pとその特異性抗体との間の複合体調整の計測が含まれる。二つの非干渉性MECHP
エピトープに対して反応性のモノクローナル抗体を用いる、2部位モノクローナ
ルベースのイムノアッセイが好ましいが、競合的結合アッセイも利用することが
できる(Pound、前出)。
【0146】 ラジオイムノアッセイ技術と共にScatchard分析などの様々な方法を用いて、M
ECHP抗体の親和性を評価する。親和性を結合定数Kaで表すが、このKaは、平
衡状態の下でMECHP抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原のモル濃度で割
ったものである。多数のMECHPエピトープに対して親和性が不均一なポリクロナ
ール抗体試薬の測定値Kaは、MECHP抗体の平均親和性または結合活性を表す。
特定のMECHPエピトープに単一特異的なモノクロナール抗体試薬のKaは、親和
性の真の測定値を表す。Ka値が10〜1012L/molの高親和性抗体試
薬は、MECHP抗体複合体が激しい操作に耐えなければならないイムノアッセイに
用いるのが好ましい。Ka値が10〜10L/molの低親和性抗体試薬は
、MECHPが抗体から最終的に活性化状態で解離する必要がある免疫精製(immunop
urification)及び類似の処理に用いるのが好ましい。(Catty, D. (1988) Antib odies, Volume I: A Practical Approach . IRL Press, Washington, DC; Liddel
l, J. E. and Cryer, A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal Antibodies , John Wiley & Sons, New York NY)。
【0147】 ポリクロナール抗体試薬の抗体価及び結合活性を更に評価して、あるダウンス
トリーム適用に対するこのような試薬の品質及び適性を調べる。例えば、少なく
とも1〜2mg/mlの特異的な抗体、好ましくは5〜10mg/mlの特異的
な抗体を含むポリクロナール抗体試薬の使用は、MECHP抗体複合体を沈殿させな
ければならない処理に適している。様々な適用例における抗体の特異性及び抗体
価、結合活性、抗体の品質や使用法の指針は一般に入手可能である。(例えば、C
atty, 前出, 及びColigan 他、前出を参照)。
【0148】 本発明の別の実施例では、MECHPをコードするポリヌクレオチド、またはその
任意の断片または相補配列が、治療目的で使用することができる。ある実施形態
では、MECHPをコードするポリヌクレオチドの相補配列がmRNAの転写を阻止
するのに好適である場合、これを使用することができる。特に細胞は、MECHPを
コードするポリヌクレオチドと相補的な配列で形質転換することもできる。した
がって、相補的分子または断片は、MECHPの活性の調節、または遺伝子機能の調
節のために使用することができる。このような技術は当分野では周知であり、セ
ンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断片が、MECHPをコー
ドする配列の制御領域から、またはコード領域に沿ったさまざまな位置から設計
可能である。
【0149】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス又はワクシニア、又は様々な細菌
性プラスミド由来の発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列を標的の器官、組
織又は細胞集団に運ぶこともできる。当業者に周知の方法を用いてMECHPをコー
ドポリヌクレオチドと相補的な核酸配列を発現するベクターを作製することがで
きる(例えば、前出のSambrook 他、及び前出のAusubel 他によるものを参照)。
【0150】 MECHPをコードする遺伝子は、MECHPをコードするポリヌクレオチド又はその断
片を高いレベルで発現する発現ベクターで、細胞又は組織を形質転換することに
よって止めることができる。このような作製物を用いて翻訳できないセンス又は
アンチセンス配列を細胞の中に導入することができる。DNAの中に組み入れら
れない場合でも、このようなベクターは内在性のヌクレアーゼによって機能が損
なわれるまでmRNA分子を転写し続ける。非複製ベクターでも一過性の発現を
一ヶ月以上に亘って続け、好適な複製要素がベクター系の一部である場合はさら
に長く持続し得る。
【0151】 上記した通り、遺伝子の発現は、MECHPをコードする遺伝子の制御5’または
調節領域に対する相補的な配列またはアンチセンス分子(DNA或いはRNA、
PNA)を設計することによって調節することができる。転写開始部位、即ち開
始部位から−10と+10との間の領域に由来するオリゴヌクレオチドが好適で
ある場合と同様に、「三重らせん」と塩基対合法を用いて阻止することができる
。三重らせん構造は、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子、または調節分子の
結合のために十分に広がるのを阻止するため有益である。三重式DNAを用いる
最近の治療の進歩は文献に記載されている(例えば、Gee, J.E. 等. (1994) In:
Huber, B.E. 及び B.I. Carr, Molecular and Immunologic Approaches, Futur
a Publishing Co., Mt. Kisco, NYを参照)。相補的な配列またはアンチセンス
分子もまた、転写物がリボソームに結合するのを阻止することによってmRNA
の翻訳を阻止するように設計できる。
【0152】 酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒するために
用いることができる。リボザイム作用の機構には、相補的な標的RNAへのリボ
ザイム分子の配列特異性ハイブリダイゼーションが含まれ、ヌクレオチド鎖切断
が続く。例えば、MECHPをコードする配列のヌクレオチド鎖切断を、特異的且つ
効果的に触媒する組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子が含まれる。
【0153】 任意の潜在的RNA標的の中の特異的なリボザイム切断部位が、後続の配列G
UA、GUU、及びGUCを含むリボザイム切断部位に対して、標的分子をスキ
ャニングすることによって初めに同定される。一度同定されると、切断部位を含
む標的遺伝子の領域に対応する15個から20個のリボヌクレオチドの短いRN
A配列を、オリゴヌクレオチドの機能を不全にする二次的な構造の特徴について
評価することが可能である。候補標的の適合性も、リボヌクレアーゼ保護アッセ
イを用いて、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの容易性
をテストすることによって評価することが可能である。
【0154】 本発明の相補的なリボ核酸分子及びリボザイムは、当分野で周知の方法を用い
て、核酸分子の合成のために作製することができる。これらの方法には、固相ホ
スホラミダイト化合物などのオリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法が含ま
れる。別法では、RNA分子がin vitro及びin vivoでMECHPをコードするDNA
配列の転写によって生成され得る、このようなDNA配列はT7またはSP6等
の好適なRNAポリメラーゼプロモータを用いて、種々のベクターの中に組み入
れることが可能である。別法では、相補的なRNAを構成的または誘導的に合成
するこれらのcDNA作製物は、細胞株、細胞、または組織の中に導入すること
ができる。
【0155】 RNA分子を修飾することによって、細胞内の安定性を高め、半減期を長くす
ることができる。可能な修飾には、分子の5’及び/または3’端部でのフラン
キング配列の追加、または分子のバックボーン内でのホスホジエステラーゼ結合
よりむしろホスホロチオネート又は2’Oメチルの使用が含まれる、がこれらに
限定されるものではない。PNAの生成に固有のこの概念は、内在性のエンドヌ
クレアーゼによって容易には認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミ
ン、及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び同様の修飾形態だけで
なく、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)
などの従来のものでない塩基を含めることによって、これらの分子の全体に拡大
することができる。
【0156】 ベクターを細胞又は組織に導入する多数の方法が利用でき、in vivoin vitr o 、及びex vivoでの使用に等しく適している。ex vivoでの治療の場合、患者か
ら採取された肝細胞の中にベクターを導入して、自家移植で同じ患者に戻すため
にクローニング増殖される。トランスフェクション、リボソーム注入またはポリ
カチオンアミノポリマーによる運搬は、当分野で周知の方法を用いて実行するこ
とができる(例えば、Goldman, C.K. 他. (1997) Nature Biotechnology 15:462
-66:を参照)。
【0157】 上記したいかなる治療方法も、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル
、及び最も好ましいヒトなどの哺乳動物を含む、治療が必要な全ての被験者に適
用できる。
【0158】 本発明の別の実施例は、上記した全ての治療効果のために、医学上認められる
担体と共に医薬品或いは無菌組成物の投与に関連する。このような医薬品組成物
は、MECHP、MECHPに対する抗体、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、又はMECH
Pのインヒビターなどからなる。この組成物は、単体で、或いは安定剤などの1
種類以上の別の薬剤と共に、無菌の生体適合性医薬品担体に投与することができ
る。このような医薬品担体には、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖、及び水な
どが含まれるがこれらに限定されるものではない。この組成物は、単独或いは薬
物又はホルモンなどの別の薬剤と共に投与することができる。
【0159】 本発明に用いられる医薬品組成物は、任意の数の経路を用いて投与することも
できる。この経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下腔内
、心室内、経皮性、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、異所性、舌下、または直腸が
含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0160】 活性処方成分に加えて、これらの医薬品組成物には、活性化合物を医薬的に使
用可能な薬剤にするのを容易にする、医薬品添加物及び補助剤を含む好適な薬学
的に認められる担体が含まれ得る。製剤及び投与についての詳しい技術について
は、最新版のRemington's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing, PA)に
記載されている。
【0161】 経口投与用の医薬品組成物が、経口投与に好適な投与量において当分野で周知
の薬学的に許容される担体を用いて、製剤することができる。このような担体に
より、医薬品組成物が患者が摂取するために、錠剤、丸薬、糖衣剤、カプセル、
液体、ゲル状、シロップ剤、泥状物、懸濁液として製剤される。
【0162】 経口用に用いられる医薬品は、活性化合物と固体の薬品添加物とを混合し、得
られた顆粒の混合物を処理して、(所望に応じてすりつぶした後)タブレット或
いは糖衣錠コア(dragee cores)にする。好適な医薬品添加物とは、ラクトース
、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類、トウモロコシ、小
麦、米、ジャガイモ、又はその他の植物からのでんぷん、メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウ
ムなどのセルロース、アラビアゴム及びトラガカントゴムを含むゴム、ゼラチン
及びコラーゲンなどのタンパク質などの炭水化物又はタンパク質賦形剤である。
必要に応じて、例えば、架橋結合したポリビニルピロリドン、かんてん、アルギ
ン酸、またはその塩であるアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤が
加えられる。
【0163】 糖衣錠コアは、濃縮糖溶剤などの好適なコーティングと共に用いられる。この
ような濃縮糖溶剤には、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボ
ポルゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタ
ン、ラッカー溶剤、及び好適な有機溶媒または混合溶剤などが含まれ得る。染料
または色素が、製品の識別又は活性化合物の量、即ち薬用量を示すため、錠剤ま
たは糖衣錠に加えられる。
【0164】 経口用に用いられる医薬品製剤には、ゼラチンから作られたプッシュ−フィッ
ト型のカプセル、グリセロールまたはソルビトールなどのコーティングとゼラチ
ンからなる封入されたカプセルが含まれる。プッシュ−フィット型のカプセルに
は、ラクトース又はスターチなどの賦形剤や結合材、タルク又はステアリン酸マ
グネシウムなどの潤滑剤、所望に応じて安定剤と混合された活性処方成分が含ま
れる。ソフトカプセルでは、活性化合物が、安定剤と共に或いは安定剤なしで、
脂肪油、溶液、またはポリエチレングリコール溶液などの好適な溶液に溶解或い
は懸濁され得る。
【0165】 非経口投与用に好適な医薬品剤が、水溶液で製剤されるが、ハンクス液、リン
ガー液、生理緩衝食塩水などの生理学的に適合性のある緩衝剤が好ましい。水性
懸濁注射液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデ
キストランなどの懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。更に、活性化合物の懸
濁液は、好適な油性注入懸濁液として製剤され得る。好適な親水性溶液または媒
体には、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチル、トリグリセリド又はリボソー
ムなどの合成脂肪酸が含まれる。非脂質ポリカチオンアミノポリマーが、運搬目
的で使用される。随意選択により、懸濁液は高濃度の溶液が可能となるよう化合
物の溶解性を高める好適な安定剤または薬剤を含み得る。
【0166】 局部または鼻腔投与のために、特定の障壁に浸透する好適な浸透剤が製剤に用
いられる。このような浸透剤は当業者には周知である。
【0167】 本発明の医薬品組成物は、当分野で周知の方法、例えば従来の混合、溶解、顆
粒化、糖衣化、溶離(levigating)、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥
処理を用いて製造され得る。
【0168】 医薬品組成物は塩類として製剤され、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳
酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等の多くの酸と共に形成可能である。塩分は対
応する遊離塩基系よりも、水溶剤または他のプロトン溶剤に溶けやすい。別の場
合の好ましい薬剤の形態には、1から50mMヒスチジン、0.1%〜2%スク
ロース、及び2〜7%マンニトールの幾つか或いは全てを含み、pHの範囲が4
.5〜5.5であり、使用前に緩衝剤と結合する凍結乾燥粉末を用いることがで
きる。
【0169】 医薬品組成物が調合された後、それらは適当な箱に詰められ、指定した症状の
薬としてラベルが貼られる。MECHPの投与のため、このようなラベルには、量、
頻度、及び投与の方法が含まれるであろう。
【0170】 本発明に用いる好適な医薬品組成物には、目的を達成するため、効果的な量の
活性処方成分を含む組成物が含まれる。当業者は、自分の能力で十分に効果的な
服用量を決めることができる。
【0171】 どのような組成物であっても、治療に効果的な薬用量は、初めは、例えば腫瘍
細胞の腫瘍細胞アッセイで、或いは動物モデルのどちらかで推定することができ
る。通常、動物モデルには、マウス、ウサギ、イヌ、又はブタなどが用いられる
。動物モデルはまた、好適な濃縮範囲及び投与の経路を決めるのに用いることが
できる。このような治療をもとに、ヒトへの有益な薬用量及び投与経路を決定す
ることができる。
【0172】 医学的に効果的な薬用量は、症状や容態を回復させる、たとえばMECHP又はそ
の断片、MECHPの抗体、MECHPのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビター
などの活性処方成分の量に関連する。薬用有効度及び毒性は、たとえば、ED (服用に対して集団の50%に医薬的効果がある)またはLD50(服用に対
して集団の50%に致命的である)統計を計算するなど、細胞培養または動物実
験における標準的な薬剤手法によって決定することができる。毒性効果と治療効
果との薬用量比は治療指数であり、LD50/ED50と示すことができる。高
い治療指数を示す医薬品組成物が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から
得られたデータが、ヒトへの適用のために、薬用量の範囲を調剤するのに用いら
れる。このような組成物が含まれる薬用量は、毒性を殆ど或いは全く含まず、E
50を含む血中濃度の範囲であることが望ましい。薬用量は、用いられる投与
形態及び患者の感受性、投与の経路によって、この範囲内で様々である。
【0173】 正確な薬用量は、治療が必要な患者に関する要素を考慮して、実務者によって
決められるであろう。薬用量及び投与は、効果的なレベルの活性成分を与えるた
め或いは所望の効果を維持するために調節される。薬用量の要素として考慮され
るものには、疾患の重症度、患者の一般的な健康状態、年齢、体重、及び患者の
性別、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感受性、及び治療に対する応答
が含まれる。作用器官が長い医薬品組成物は、三日か四日に一度、一週間に一度
、二週間に一度、特定の製剤の半減期及びクリアランス率によって左右され、投
与され得る。
【0174】 通常の薬用量は投与の経路によって異なるが、約0.1〜100,000μg
までの最大約1グラムまでである。特定の薬用量及び運搬の方法に関するガイダ
ンスは文献に記載されており、一般に当分野の実務者はそれを利用することがで
きる。当業者は、タンパク質またはインヒビターとは異なったヌクレオチドの製
剤を利用するであろう。同様に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの運搬は、
特定の細胞、状態、位置などに対して特異的であろう。
【0175】 診断 別の実施例では、MECHPに特異的に結合する抗体が、MECHPの発現によって特徴
付けられる疾患の診断、またはMECHPやMECHPのアゴニストまたはアンタゴニスト
、インヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用いら
れる。診断に有用な抗体は、治療のところで記載した方法と同じ方法で製剤され
る。MECHPの診断アッセイには、抗体及び標識を用いてヒトの体液或いは細胞や
組織から採取されたものからMECHPを検出する方法が含まれる。これらの抗体は
、修飾をして或いはしないで使用され、レポーター分子の共有結合性或いは非共
有結合性の接着によって標識化され得る。当分野で周知の種々のレポーター分子
が用いられるが、その内の幾つかは上記した。
【0176】 MECHPを測定するためのELISA,RIA,及びFACSを含む種々のプロ
トコルは、当分野では周知であり、変わった或いは異常なレベルのMECHPの発現
を診断する元となるものを提供する。正常或いは標準的なMECHPの発現の値は、
複合体の形成に適した条件の下、正常な哺乳動物、好ましくはヒトである被験者
から採取した体液または細胞とMECHPに対する抗体とを結合させることによって
決定する。標準的な複合体形成の量は種々の方法で定量され得るが、測光法(ph
otometric)が好ましい。被験者のMECHPの発現の量、制御及び疾患、生検組織か
らのサンプルが標準値と比較される。標準値と被験者との間の偏差が、疾患を診
断するパラメーターとなる。
【0177】 別の実施例によれば、MECHPをコードするポリヌクレオチドを診断のために用
いることもできる。用いられるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列
、相補的なRNA及びDNA分子、及びPNAが含まれる。ポリヌクレオチドを
用いて、疾患と相関し得るMECHPを発現する生検組織における遺伝子の発現を検
出及び定量する。この診断アッセイを用いて、MECHPの不在、存在、及び過度の
発現を調べ、治療中のMECHPレベルの制御を監視する。
【0178】 ある実施形態では、MECHPまたは近縁の分子をコードする遺伝子配列を含むポ
リヌクレオチド配列を検出可能なPCRプローブを用いたハイブリダイゼーショ
ンによって、MECHPをコードする核酸配列を同定することが可能である。例えば
5'調節領域である高度に特異的な領域か、例えば保存されたモチーフであるや
や特異性の低い領域から作られているかのプローブの特異性と、ハイブリダイゼ
ーション或いは増幅の厳密性(最大、高い、中間、または低い)は、プローブが
MECHPをコードする自然界の配列のみを同定するかどうか、或いはアレルや関連
配列コードする自然界の配列のみを同定するかどうかによって決まるであろう。
【0179】 プローブはまた、関連する配列の検出に利用され、MECHPをコードする任意の
配列からのヌクレオチドを50%以上含むのが望ましい。目的の本発明のハイブ
リダイゼーションプローブには、DNAあるいはRNAが可能であり、SEQ ID N
O:19−36の配列、或いはMECHP遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロ
ンを含むゲノム配列に由来し得る。
【0180】 MECHPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプローブ
の作製方法には、MECHP及びMECHP誘導体をコードするポリヌクレオチド配列をm
RNAプローブの作製のためのベクターにクローニングする方法がある。このよ
うなベクターは市販されており、当業者には周知であり、好適なRNAポリメラ
ーゼ及び好適な標識されたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRN
Aプローブを合成するために用いられる。ハイブリダイゼーションプローブは、
例えば32P或いは35Sなどの放射性核種、或いはアビジン/ビオチン(biot
in)結合系によってプローブに結合されたアルカリホスファターゼなどの酵素標
識等の種々のレポーターの集団によって標識され得る。
【0181】 MECHPをコードするポリヌクレオチド配列を用いて、MECHPの発現に関連する疾
患を診断することが可能である。限定するものではないが、このような疾患の例
には、細胞増殖異常症が含まれ、その中には、日光性角化症及びアテローム性動
脈硬化、滑液包炎、硬変、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、
発作性夜間ヘモグロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに腺
癌及び白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌、具体的には、副
腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝
臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精
巣、胸腺、子宮の癌などが含まれ、また、免疫/炎症性疾患も含まれ、その中に
は後天性免疫不全症候群(AIDS)及びアディソン病、成人呼吸窮迫症候群、
強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫
性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性多腺性内分泌カンジダ性外胚葉
ジストロフィ(APECED)、気管支炎、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、
アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球毒素性一時性リンパ球
減少症、赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症
候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群
、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨関節炎、骨粗しょう症、
膵炎、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェ−
グレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化
症、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体
外循環と、ウィルス感染症及び細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、原虫感
染症、蠕虫の感染症、外傷が含まれ、輸送/分泌性疾患も含まれ、その中には、
無動症、筋萎縮性側索硬化症、失調症、毛細血管拡張症、嚢胞性繊維症、ベッカ
ー型偽肥大性筋ジストロフィ、ベル麻痺、シャルコー‐マリー‐ツース病、チェ
ディアック‐東症候群、糖尿病、尿崩症、糖尿病神経障害、高カリウム血性周期
性麻痺、正常カリウム血性周期性麻痺、悪性高熱症、多剤耐性 、筋緊張性ジス
トロフィ、緊張病、筋緊張異常(dystonias)、末梢神経疾患、神経繊維腫症、
ヘルペス後神経痛、三叉神経障害(trigeminal neuropathy)、サルコイド症、
鎌状赤血球貧血、毒素ショック症候群、ウィルソン病、白内障、不妊症、肺動脈
狭窄症(pulmonary artery stenosis)、感音性常染色体聴覚障害(sensorineur
al autosomal deafness)、高血糖症、低血糖症、甲状腺腫、クッシング病、グ
ルコース‐ガラクトース吸収不全症候群、コレステロール過剰血症、枯草熱、喘
息、じんま疹等を含むアレルギーなどが含まれ、浸透圧調節性疾患も含まれ、そ
の中には、尿崩症、下痢症、腹膜炎、慢性腎不全、アディソン病、ADH不適切症
候群、低アルドステロン症、低ナトリウム血症、副腎機能不全、甲状腺機能低下
症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、バーター症候群(Barter's syndrome
)、代謝性アシドーシス、代謝性アルカローシス、エンセファロパシー、浮腫、
低血圧症、高血圧症などが含まれ、筋疾患も含まれ、その中には、心筋症、心筋
炎、デュシェンヌ型筋ジストロフィ、ベッカー型偽肥大性筋ジストロフィ、筋緊
張性ジストロフィ、中心コア病、ネマリンミオパシーラネマリン筋障害、中心核
ミオパシー、脂質筋疾患(lipid myopathy)、ミトコンドリアミオパチー、感染
性節炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、甲状腺中毒性ミオパシー、エタノ
ール筋疾患(ethanol myopathy)などが含まれ、心血管疾患も含まれ、その中に
は、動静脈瘻、アテローム硬化、高血圧、脈管炎、レイノー病、静脈奇形、動脈
解離、静脈瘤、血栓静脈炎及び静脈血栓、血管の腫瘍、血栓崩壊の合併症、バル
ーン血管形成術(balloon angioplasty)、血管置換術(vascular replacement
)、大動脈冠動脈バイパス術移植手術(coronary artry bypass graft suegery
)、うっ血性心不全、虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、変性
弁膜性心疾患、石灰化大動脈弁狭窄症、先天性2尖大動脈弁、僧帽弁輪状石灰化
(mitral annular calcification)、僧帽弁脱出、リウマチ熱、リウマチ性心疾
患、感染性心内膜炎、非細菌性血栓性心内膜炎、全身性エリテマトーデスの心内
膜炎、カルチノイド心疾患、心筋症、心筋炎、心膜炎、腫瘍性心疾患、先天性心
臓疾患、及び心臓移植の合併症と、先天性肺異常(congenital lung anomalies
)、肺拡張不全、肺うっ血及び肺水腫、肺動脈塞栓症、肺出血、肺梗塞、肺高血
圧症、血管硬化症、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患(restrictive pulmonary dise
ase)、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、細気管支拡張
症、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎及びマイコプラズマ肺炎、肺膿瘍、肺結核、び
まん性間質性疾患(diffuse interstitial diseases)、塵肺症、サルコイド症
、特発性肺繊維症(idiopathic pulmonary fibrosis)、剥離性間質性肺炎、過
敏症肺炎(hypersensivitity pneumonitis)、肺好酸球増加閉塞性細気管支炎―
器質性肺炎(pulmonary eosinophilia bronchiolitis obliterans-organizing p
neumonia)、びまん性肺出血症候群(diffuse pulmonary hemorrhage syndromes
)、グッドパスチャー症候群、特発性肺血鉄症、肺併発膠原血管病(pulmonary
involvement in collagen-vascular disorders)、肺胞たんぱく症、肺腫瘍、炎
症性及び非炎症性胸水(inflammatory and noninflammatory pleural effusions
)、気胸症、胸膜腫瘍、薬物性肺病(drug-induced lung disease)、放射線肺
病(radiation-induced lung desease)及び肺移植の合併症などが含まれ、神経
障害も含まれ、その中には、癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、脳腫瘍、アルツ
ハイマー病、ピック病、ダウン症候群、ハンチントン病、痴呆、パーキンソン病
及び他の錐体外路障害、筋萎縮性側索硬化症及び他の運動ニューロン疾患、進行
性神経性筋萎縮症、色素性網膜炎、遺伝性運動失調、多発性硬化症及び他の脱髄
疾患、細菌性及びウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、硬膜外膿瘍、化膿
性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎及び神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、ク
ールー及びクロイツフェルト‐ヤコブ病、Gerstmann-Straussler-Scheinker症候
群を含むプリオン病(prion disease)と、致死性家族性不眠症、神経系性栄養
病及び代謝病、神経線維腫症、結節硬化症、小脳網膜血管芽腫(cerebelloretin
al hemangioblastomatosis)、脳3叉神経血管症候群、中枢神経系性精神薄弱及
び他の発生障害、脳性麻痺、神経骨格異常症(neuroskeletal disorder)、自律
神経系障害、脳神経障害、脊髄病と、脊髄筋肉萎縮症(spinal muscular atroph
y)、手根管症候群、monomeuritis multiplexを含む神経筋疾患(neuromuscular
disorders)と、デュシェンヌ型筋ジストロフィ、筋緊張性顔面肩甲上腕筋ジス
トロフィ(myotonic facioscapulohumeral muscular dystrophy)、眼球咽頭型
筋ジストロフィ、肩甲腓骨筋ジストロフィ(scapiloperpneal muscular dystrop
hy)、先天型筋ジストロフィ、末梢型筋ジストロフィ、眼筋型筋ジストロフィの
ような筋ジストロフィと、先天性及び代謝性ミオパシー、ミオトニー、末梢神経
系疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、遺伝性ミオパシー、代謝性ミオパシー、内
分泌性ミオパシー、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四肢麻痺と
、鬱病及び双極性障害、気分障害、不安障害、精神分裂病などの精神病と、季節
情動障害・SAD(seasonal affective disorder)と、静座不能、健忘症、緊
張病、糖尿病性ニューロパシー、錐体外路性終末欠陥症候群、ジストニー、妄想
性精神病、帯状疱疹後神経痛、トゥーレット病と、カルシウム、リン酸、マグネ
シウム、カリウムなどの電解質の異常と、甲状腺、副腎、副甲状腺、下垂体の機
能不全及び機能亢進と、原発性及び転移性新生物などが含まれる。MECHPをコー
ドするポリヌクレオチド配列は、サザーン法やノーザン法、ドットブロット法、
或いはその他の膜系の技術、PCR法、ディップスティック(dipstick)、ピン
(pin)、ELISA式アッセイ、及び変異MECHPの発現を検出するために患者か
ら採取した体液或いは組織を利用するマイクロアレイに使用することが可能であ
る。このような質的或いは量的方法は、当分野では周知である。
【0182】 特定の形態において、MECHPをコードするヌクレオチド配列は、関連する疾患
、特に上記した疾患を検出するアッセイにおいて有用であろう。MECHPをコード
するヌクレオチド配列は、標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション
複合体の形成に好適な条件の下、患者から採取した体液或いは組織のサンプルに
加えることができるであろう。好適な培養期間の後、サンプルを洗浄し、シグナ
ルを定量して標準値と比較する。患者のサンプルのシグナルの量が、制御サンプ
ルと較べて著しく変わっている場合は、サンプル内のMECHPをコードするヌクレ
オチド配列の変異レベルにより、関連する疾患の存在が明らかになる。このよう
なアッセイを用いて、動物実験、臨床試験、或いは個人の患者の治療を監視にお
ける、特定の治療効果を推定することが可能である。
【0183】 MECHPの発現に関連する疾患の診断の基準となるものを提供するために、正常
あるいは標準的な発現の概要が確立される。これは、ハイブリダイゼーション或
いは増幅に好適な条件の下、動物或いはヒトの何れかの正常な被験者から抽出さ
れた体液或いは細胞と、MECHPをコードする配列或いはその断片とを結合させる
ことにより達成され得る。標準的なハイブリダイゼーションは、正常な被験者か
ら得た値と周知の量の実質的に精製されたポリヌクレオチドが用いられる実験か
らの値とを比較することによって定量可能である。正常なサンプルから得た標準
的な値を、疾患の症状を示す被験者から得た値と比較可能である。標準値と被験
者の値との偏差を用いて疾患の存在を確定する。
【0184】 疾患の存在が確定され治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイを通常ベースで繰り返して、被験者における発現のレベルが正常な患
者に示される値に近づき始めたかどうかを推定することが可能である。繰り返し
行ったアッセイの結果を、数日から数ヶ月の期間の治療の効果を見るのに用いる
ことができる。
【0185】 癌では、個体からの生体組織における異常な量の転写物が、疾患の発生の素因
を示し、また実際に臨床的症状が出る前に疾患を検出する方法を提供することが
可能である。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防方法或いは積
極的な治療法を早くから利用して、癌の発生または進行を防ぐことが可能となる
【0186】 MECHPをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断へ
の利用には、PCRの利用が含まれ得る。このようなオリゴマーは、化学的な合
成、酵素を用いた生成、或いはin vitroで生成され得る。オリゴマーは、好まし
くはMECHPをコードするポリヌクレオチドの断片、或いはMECHPをコードするポリ
ヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドの断片を含み、最適な条件の下、特定
の遺伝子や条件を識別するために利用される。また、オリゴマーは、やや緩い厳
密性条件の下、近縁のDNA或いはRNA配列の検出及び/または定量のため用
いることが可能である。
【0187】 MECHPの発現を定量するために用いられ得る方法には、ヌクレオチドの放射標
識或いはビオチン標識、調節核酸の相互増幅(coamplification)、及び標準的
な曲線に結果が加えられたものが含まれる(例えば、Melby, P.C.等(1993) J. I
mmunol. Methods, 159:235-44;Duplaa, C.等(1993) Anal. Biochem. 229-236を
参照)。多数のサンプルの定量速度が、目的のオリゴマーが種々の希釈液に含ま
れ、分光光度法或いは非色応答により迅速に定量するELISA型のアッセイを
用いることによって加速された。
【0188】 別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド配列由来のオリ
ゴヌクレオチドまたはそれより長い断片を、マイクロアレイにおける標的として
用いる。マイクロアレイを用いて、同時に極めて多くの遺伝子の発現レベルを監
視し、遺伝子の変異、突然変異及び多形性を識別する。この情報は、遺伝子機能
の決定、疾患の遺伝的根拠の解釈、疾患の診断、及び治療薬剤の活性の監視及び
開発に有用である。
【0189】 当分野で周知の方法でマイクロアレイを準備して使用し、分析する。(例えば
、Brennan, T.M. 他 (1995) 米国特許第5,474,796号;Schena, M. 他 (1996) Pro
c. Natl. Acad. Sci. 93:10614-10619; Baldeschweiler 他(1995) PCT出願番号W
O95/251116; Shalon, D.他 (1995) PCT出願番号WO95/35505; Heller, R.A. 他(1
997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-2155; 及び Heller, M.J. 他 (1997) 米
国特許第5,605,662号を参照) 本発明の別の実施例ではまた、MECHPをコードする核酸配列を用いて、自然発
生のゲノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを
生成することが可能である。この配列は、以下のものに対してマッピングされる
。特定の染色体、染色体の特定領域または人工生成の染色体、例えば、ヒト人工
染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細
菌P1生成物或いは単一染色体cDNAライブラリである。(例えば、Harringt
on, 1.3. 他 (1997) Nat Genet. 15:345-355; Price, C.M. (1993) Blood Rev.
7:127-134, 及びTrask, B.J. (1991) Trends Genet. 7:149-154を参照) in sit蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッピング
技術及び遺伝マップデータと相関するであろう(例えば、Heinz-Ulrich, 他によ
る(1995) in Meyers, 前出, pp. 965-968.を参照)。遺伝子マップデータの例は
、種々の科学誌あるいはOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)のサイ
トで見付けることができる。物理的な染色体マップ上のMECHPをコードする遺伝
子の位置と特定の疾患との相関性、或いは特定の疾患に対する素因が、このよう
な疾患と関係するDNAの領域を決定するのに役立つ。本発明のヌクレオチド配
列を用いて、正常者と、保有者、及び感染した者との遺伝子配列における違いを
検出することもある。
【0190】 染色体標本のin sitハイブリダイゼーション、及び確定した染色体マーカーを
用いた結合分析などの物理的マッピング技術を用いて、遺伝子マップを拡張する
こともできる。マウスなどの別の哺乳動物の染色体上での遺伝子の配置により、
たとえ特定のヒト染色体の数或いはアームが分かっていなくても、関連するマー
カーが明らかになることが多い。新規の配列を、物理的なマッピングによって、
染色体アームに割り付けることもできる。このことは、位置クローニング或いは
別の遺伝子発見技術を用いて遺伝的疾患の研究をしている研究者にとって、価値
ある情報である。疾患或いは症候群の位置が、例えば血管拡張性失調症の11q22-
23などの特定の遺伝子領域に遺伝子結合によって大まかに決定されると、その領
域に対するどの配列マッピングも、さらなる調査のための関連する遺伝子或いは
調節遺伝子を表す(例えば、Gatti, R.A.他による(1988)Nature 336:577-580
を参照)。また、目的の本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、保有者、
即ち感染者の間の、転位置、反転などによる染色体位置の違いを検出することも
ある。
【0191】 本発明の別の実施例では、MECHP、その触媒作用断片或いは免疫原断片または
そのオリゴペプチドを、種々の任意の薬剤スクリーニング技術における化合物の
ライブラリのスクリーニングに用いることができる。このようなスクリーニング
に用いる断片は、溶液に遊離、固体支持物に固定、細胞の表面上に保持、或いは
細胞内に存在する。MECHPとテストされる薬剤との複合体を結合することによる
形成は計測されることもある。
【0192】 薬剤スクリーニングに用いる別の方法は、目的のタンパク質に対して、好適な
結合親和性を有する化合物のスクリーニング処理能力を高めるために用いられる
(例えば、Geysen,他による(1984) PCT出願番号 WO84/03564を参照)。この方法
では、相当な数の異なる小さな試験用化合物が、プラスチックピン或いは他の基
板の上に合成される。試験用化合物は、MECHP、或いはその断片と反応してから
洗浄される。次ぎに、結合されたMECHPが、当分野で周知の方法で検出される。
精製されたMECHPはまた、前記した薬剤をスクリーニングする技術に用いられる
プレート上で直接被覆することもできる。別法では、非中和抗体を用いて、ペプ
チドを捕らえ、固体支持物に固定することもできる。
【0193】 別の実施例では、MECHPと結合可能な中和抗体がMECHPと結合するため試験用化
合物と特に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる
。この方法では、抗体が、MECHPと1つ以上の抗原決定因子を共有するどのペプ
チドの存在も検出する。
【0194】 別の実施例では、発展途上の分子生物学技術にMECHPをコードするヌクレオチ
ド配列を用いて、限定はされないが、現在知られているトリプレット暗号及び特
異的な塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する新しい技術を提
供することができる。
【0195】 当分野の技術者であれば、更なる説明がなくても前述の説明だけで最大限に本
発明を利用できるであろう。したがって、以下に記載する特定の実施例は、例示
目的であって本発明を限定するものではない。
【0196】 前出及び以下に記載した全ての特許出願、特許、刊行物、特に米国出願(1998
年9月2日に提出した、代理人整理番号PF-0589P)、米国出願(1998年11月12日に
提出した、代理人整理番号PF-0632P)、米国出願(1998年12月9日に提出した、
代理人整理番号PF-0648P)、米国出願(1999年1月26日に提出した、代理人整理
番号PF-0664P)、米国出願(1999年2月10日に提出した、代理人整理番号PF-0671
P)、を引用することをもって本明細書の一部とする。
【0197】
【実施例】
1 cDNAライブラリーの作製 RNAはClontech社から購入したものか、表4に示した組織から単離したもであ
る。幾つかの組織をグアニジニウムイソチオシアネート溶液中にホモジナイズし
て溶解し、一方では別の組織をホモジナイズしてフェノールに溶解するか、或い
はTRIZOL(Life Technologies)、グアニジニウムイソチオシアネート及びフェ
ノールの単相溶液等の適切な変性剤の混合液に溶解した。結果として得られた溶
解物をCsClクッションでの遠心分離し、或いはクロロホルムで抽出した。イソプ
ロパノール或いは酢酸ナトリウムの何れかとエタノールで、或いは別の通常の方
法でこの溶解物からRNAを沈殿させた。
【0198】 RNAのフェノール抽出および沈殿を必要な回数繰り返してRNAの純度を高めた。
場合によっては、RNAをDNアーゼで処理した。殆どのライブラリーの場合、oligo
d(T)結合常磁性粒子(Promega)、OLIGOTEXラテックス粒子(QIAGEN, Chatswor
th CA)、又はOLIGOTEX mRNA精製キット(QIAGEN)を用いてpoly(A+) RNAを単離
した。或いは、例えばPOLY(A)PURE mRNA精製キット(Ambion, Austin TX)等の
別のRNA単離キットを用いてRNAを組織溶解物から直接的に単離した。
【0199】 場合によっては、Stratagene社にRNAを提供してそれに対応するcDNAライブラ
リーを作製した。そうでない場合は、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)又
はSUPERSCRIPT プラスミドシステム(Life Technologies)を用いて当業者に周
知の推奨された方法若しくは類似の方法でcDNAを合成してcDNAライブラリーを作
製した(例えば、Ausubel, 1997,前出, units 5.1-6.6を参照)。oligo d(T)又
はランダムプライマーを用いて逆転写を開始した。合成オリゴヌクレオチドアダ
プターを2本鎖cDNAに結合させてから、適切な(複数の)制限酵素でcDNAを消化
した。殆どのライブラリでは、SEPHACRYL S1000、 SEPHAROSE CL2B、若しくはSE
PHAROSE CL4Bカラムクロマトグラフィー(Amersham Pharmacia Biotech)、又は
分離用のアガロースゲル電気泳動法によってcDNAの大きさ(300〜1000bp)を選
択した。適切なプラスミド(例えば、PBLUESCRIPTプラスミド(Stratagene)、pSP
ORT1プラスミド(Life Technologies)、又はplNCY(Incyte Pharmaceuticals, Pal
o Alto CA)等)のポリリンカーの適合性制限酵素部位にcDNAを結合させた。組換
えプラスミドを、Stratagene社のXL1-Blue、XL1-BlueMRF、若しくはSOLR、又はL
ife Technologies社のDH5α、DH10B、若しくはElectroMAX DH10Bを含むコンピテ
ントE.coli細胞に形質転換した。
【0200】 2 cDNAクローンの単離 UNIZAPベクターシステム(Stratagene)又は細胞溶解を利用して、in vivo
の切除によって宿主細胞からプラスミドを回収した。Magic若しくはWIZARD Mini
preps DNA精製システム(Promega)、AGTC Miniprep精製キット(Edge Biosyste
ms, Gaithersburg MD)、及びQIAGEN社のQIAWELL 8 Plasmid、QIAWELL 8 Plus P
lasmid、QIAWELL 8 Ultra Plasmid 精製システム、R.E.A.L Prep 96プラスミド
精製キットのうちの少なくとも1つを用いてプラスミドを精製した。沈殿の後、0
.1mlの蒸留水に再懸濁して、凍結乾燥して或いは凍結乾燥しないで4℃で保管し
た。
【0201】 或いは、高スループットフォーマットの直接結合PCR法によって宿主細胞溶解
物からプラスミドDNAを増幅した(Rao, V.B. (1994) Anal. Blochem. 216:1-14
)。宿主細胞の溶解及び熱サイクリング過程を単一反応混合液で実施した。サン
プルを処理して384-ウエルプレートで保管し、増幅したプラスミドDNAの濃度をP
ICOGREEN色素(Molecular Probes, Eugene OR)及びFluoroskan II蛍光スキャナ
ー(Labsystems Oy, Helsinki, Finland)を用いて蛍光定量的に測定した。
【0202】 3 配列決定および分析 cDNA配列決定の反応は、標準的な方法或いはABI CATALYST 800 (Perkin-Elme
r)thermal cycler若しくはPTC-200 thermal cyclers(MJ Research)等の高ス
ループットの機器とHYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific)若し
くはMICROLAB 2200(Hamilton)liquid transfer systemとを共に用いて処理し
た。cDNA配列決定の反応は、Amersham Pharmacia Biotech社によって提供された
試薬か、又はABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reaction
kit(Perkin-Elmer)のようなABI配列決定キットに供給された試薬を用いて準備
した。cDNA配列決定反応の電気泳動的な分別および標識したポリヌクレオチドの
検出は、MEGABACE 1000 DNA配列決定システム(Molecular Dynamics)、ABI PRI
SM 373若しくは377配列決定システム(Perkin-Elmer)と標準的なABIプロトコル
及び塩基対呼び出しソフトウェアとの組合せ、又は当業者に周知の他の配列分析
システムを用いて実施した。cDNA配列の中の読み枠は、標準的な方法を用いて識
別した(Ausubelのレビュー, 1997, 前出, unit 7.7)。cDNA配列の幾つかを選
択して、本実施例の5に記載した方法で伸長した。
【0203】 cDNA配列決定から得られたポリヌクレオチド配列は、当業者に周知のアルゴリ
ズムを利用するソフトウェアプログラムを組合せて用いて構築および分析した。
表5は、利用したツール、プログラム、及びアルゴリズムの概要、並びに適切な
説明、引用文献、及び閾値パラメータを示す。表5の第1列は用いたツール、プ
ログラム、及びアルゴリズムであり、第2列はそれらの簡単な説明であり、第3列
は引用文献(それらの全てはここで言及することにより本明細書の一部とする)
であり、第4列は2つの配列間の一致の程度の評価に用いた適切なスコア、確率値
、及び他のパラメータである(スコアが高いほど2つの配列間の相同性が高い)
。配列は、MACDNASIS PROソフトウェア(Hitachi Software Engineering, South
San Francisco CA)及びLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて分析した
。ポリペプチド配列アライメントは、整列させた配列間のパーセント同一性を計
算するMEGALIGNマルチシーケンスアライメントプログラム(DNASTAR)に組込ま
れたclustalアルゴリズムによって特定されたデフォルトパラメータを用いて作
成した。
【0204】 ポリヌクレオチド配列の確証は、BLAST、動的計画法、及びジヌクレオチド最
近接分析に基づいたプログラム及びアルゴリズムを用いて、ベクター、リンカー
、及びpolyA配列を取除き、多義性の塩基対をマスクすることによって実施した
。次に、配列をBLAST、FASTA、及びBLIMPSに基づいたプログラムを用いてGenBan
kの霊長類、げっ歯類、哺乳類、脊椎動物、及び真核生物のデータベースやBLOCK
Sデータベース等の公共のデータベースでから選択した配列に対して問合わせて
注釈を得た。Phred、Phrap、及びConsedに基づいたプログラムを用いて配列を完
全長のポリヌクレオチドに構築し、GeneMark、BLAST、及びFASTAに基づいたプロ
グラムを用いて読取り枠に対してスクリーニングした。完全長のポリヌクレオチ
ド配列を翻訳して対応する完全長のアミノ酸配列を引き出し、続いてその完全長
のポリヌクレオチド配列をGenBankデータベース(前述)、SwissProt、BLOCKS、
PRINTS、Prosite、及び隠れマルコフモデル(HMM)に基づくPFAMなどのタンパク
質ファミリーデータベースに問い合わせることによって分析した。HMMは、遺伝
子ファミリーのコンセンサス1次構造を解析する確率的アプローチである(例え
ば、Eddy, S.R. (1996) Cur. Opin. Str. Biol. 6:361-365を参照)。
【0205】 完全長のポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の構築および分析のための上
述のプログラムは、SEQ ID NO:19−36からのポリヌクレオチド配列の断片の同定
にも使用した。ハイブリダイゼーション及び増幅に有用な約20から約4000までの
ヌクレオチドの断片については、前述の「発明」の部分で説明した。
【0206】 4 ノーザン分析 ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技
術であり、特定の細胞種或いは組織に由来するRNAが結合している膜と、標識さ
れたヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーションを伴う(例えば、Sambrookら
前出, ch.7;並びにAusubel, F.M.ら前出, ch.4および16.参照)。
【0207】 BLASTを使用する類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank或いはLIFESEQ(I
ncyte Pharmaceuticals, Palo Alto CA)のようなヌクレオチドデータベース内
の同一或いは関連する分子を検索する。この分析は、多くの膜をベースとしたハ
イブリダイゼーションに比べてより高速である。さらにコンピュータ検索の感度
を変更して、任意の特定の一致が、厳密な一致或いは類似の何れとして分類され
るかを決定することができる。 検索の基準は、以下で定義される積スコア(pro
duct score)である。 (配列同一性%×最大BLASTスコア%)/100 積スコアは、2つの配列間の類似度および配列一致の長さの両方を考慮に入れる
。例えば、積スコア40の場合、その一致は1〜2%誤差の範囲内の正確さであり、積
スコア70の場合は正確な一致となる。類似の分子は通常15〜40間の積スコアを示
す分子を選択することにより同定されるが、それより低いスコアでは関連した分
子として同定される。
【0208】 ノーザン分析の結果は、MECHPをコードする転写物が発生したライブラリーの
割合の分布として報告される。分析には、器官/組織並びに疾病によるcDNAライ
ブラリの分類が含まれる。器官/組織のカテゴリーには、心血管、皮膚、発生、
内分泌、胃腸、造血/免疫、筋骨格、神経、生殖、泌尿が含まれる。疾病/障害
/症状のカテゴリーには、癌、炎症/心的外傷、細胞増殖、神経が含まれ、そし
てプールされた。各カテゴリーについて、目的の配列を発現するライブラリーを
数えて、カテゴリー全体にわたるライブラリーの合計数で割った。各組織に特異
的な発現ならびに疾病、疾患、若しくは症状に特異的な発現の割合を表3に示し
た。
【0209】 5 MECHPをコードするポリヌクレオチドの伸長 SEQ ID NO:19−36の完全長の核酸配列は、完全長分子の適切な断片を伸長して
この断片から設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて作り出した。一方
のプライマーは既知の断片の5'の延長を開始するために合成し、他方のプライマ
ーは既知の断片の3'の延長を開始するために合成した。開始プライマーは、OLIG
O 4.06ソフトウェア(National Biosciences)或いは他の適切なプログラムを用
いて、約22〜30個のヌクレオチドからなる長さであって50%以上のGC含有物を有
し、且つ約68〜72℃の温度で標的配列にアニーリングするようにcDNAから設計し
た。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー2量体を生ずるようなヌクレオチ
ドの如何なる伸長も回避した。
【0210】 選択されたヒトcDNAライブラリーを用いてこの配列を伸長した。2段階以上の
伸長が必要であるか、又は望ましい場合には、プライマーの付加的或いはネスト
化した組を設計する。
【0211】 当業者に周知の方法を利用したPCR法で高い忠実度の増幅を実施した。PCRは、
PTC-200 thermal cycler (MJ Research, Inc.)用いて96ウェルプレートにお
いて行った。反応混合液には、DNA鋳型、200nmolの各プライマーと、Mg2+、(NH4 )2SO4、及びβ−メルカプトエタノールを含む反応緩衝液と、Taq DNAポリメラー
ゼ(Amersham Pharmacia Biotech)と、ELONGASE酵素(Life Technologies)と
、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)とが含まれる。プライマーの組PCI A及び
PCI Bに対して以下のパラメータを用いた。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管 或いは、プライマーの組T7及びSK+に対して以下のパラメータを用いた。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 57℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管 各ウェルのDNA濃度は、1X TE及び0.5μlの希釈していないPCR生成物に溶解し
た100μlのPICOGREEN定量試薬(0.25% (v/v) PICOGREEN; Molecular Probes, Eu
gene OR)を不透明な蛍光光度計プレート(Coming Costar, Acton MA)の各ウェ
ルに分配し、DNAが試薬と結合可能なようにして測定した。このプレートをFluor
oskan II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンして、サンプルの
蛍光を計測し、またDNA濃度を定量化する。反応混合物の5〜10μlの一定分量を1
%のアガロースミニゲル上での電気泳動法によって解析し、何れの反応物が配列
の伸長に成功したかを決定する。
【0212】 伸長したヌクレオチドを脱塩および濃縮し、384ウェルプレートに移し、CviJI
コレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison WI
)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する前に
音波処理またはせん断を実施した。ショットガン配列決定のために、消化したヌ
クレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上に分離し、断片を切除し
、寒天をAgar ACE(Promega)で消化した。伸長したクローンをT4リガーゼ(New
England Biolabs, Beverly MA)を用いてpUC 18ベクター(Amersham Pharmacia
Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で処理して制限部
位のオーバーハングを満たし、更にコンピテントE.coli細胞に形質移入した。形
質移入した細胞を抗生物質を含む培地で選択し、個々のコロニーを選択してLB/2
X carb培養液の384ウェルプレートに37℃で終夜培養した。
【0213】 細胞を溶解し、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu
DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下のパラメータでDNAをPCR増幅した。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 72℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を29回繰り返す ステップ6 72℃で5分間 ステップ7 4℃で保管 前述のようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNA回収
率の低いサンプルは、上記の条件で再度増幅した。サンプルを20%のジメチルス
ルホキシド(dimethysulphoxide)(1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC energy trans
fer sequencingプライマー並びにDYENAMIC DIRECTキット(Amersham Pharmacia
Biotech)若しくはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reac
tionキット(Perkin-Elmer)を用いて配列決定した。
【0214】 同様に、SEQ ID NO:19−36のヌクレオチド配列を使用し、上記手順、5’伸長
用に設計されたオリゴヌクレオチド、及び適切なゲノムライブラリーを用いて5
’調節配列が得られる。
【0215】 6 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識化及び使用 SEQ ID NO:19−36から得られたハイブリダイゼーションプローブを用いて、cD
NA、ゲノムDNA、又はmRNAをスクリーニングする。約20の塩基対からなるオリゴ
ヌクレオチドの標識について特に記載するが、より大きなヌクレオチド断片にも
概ね同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06ソフトウェア(Natio
nal Biosciences)のような当技術分野のソフトウエアを用いて設計し、50pmol
の各オリゴマー、250μCiの[γ-32P]アデノシン3リン酸 (Amersham Pharmacia
Biotech)、及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN, Boston MA)を結び
つけることにより標識する。標識されたオリゴヌクレオチドを、SEPHADEX G-25
超微細分子サイズ排除デキストランビーズカラム(Amersham Pharmacia Biotech
)を用いて実質的に精製する。毎分107カウントの標識されたプローブを含むア
リコットを、以下のエンドヌクレアーゼ、Ase I、Bgl II、Eco RI、Pst I、Xba1
、又はPvu II(DuPont NEN)の中の1つで消化されたヒトゲノムDNAの典型的な膜
ベースのハイブリダイゼーション解析に用いる。
【0216】 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲルに上で分画して、ナイロン膜(NyM
ECHPlus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に移す。ハイブリダイゼーション
は40℃で16時間実施する。非特異的シグナルを除去するために、0.1xクエン酸ナ
トリウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸ナトリウムまでの徐々に厳密性を増す条件
下で、ブロットを室温にて連続的に洗浄する。ハイブリダイゼーションパターン
をオートラジオグラフィーを利用して視覚化して比較する。
【0217】 7 マイクロアレイ 化学的結合プロシージャ及びインクジェット装置を用いることにより、基板の
表面上でアレイエレメントを合成することができる。(例えば、Baldeschweiler
, 前出 参照)。また、ドットブロット又はスロットブロット法に類似の所定の
アレイを用いて、熱、UV、化学的もしくは機械的結合プロシージャを利用して、
基板の表面にエレメントを配置及び結合させてもよい。標準的なアレイは、手製
で或いは手近な方法及び機械を用いて製作でき、また任意の適切な数のエレメン
トを含む。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズしていないプローブを取
除き、スキャナーを用いて蛍光のレベル及びパターンを判定する。マイクロアレ
イ上のエレメントとハイブリダイズする各プローブの相補性の度合及び相対的な
存在量は、スキャナーで読取られた画像を解析することにより評価する。
【0218】 完全長cDNA、発現された配列タグ(ESTs)、又はそれらの断片は、マイクロア
レイのエレメントを含み得る。ハイブリダイゼーションに適した断片は、当業者
に周知のLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)のようなソフトウェアを用いて選択
可能である。本発明のヌクレオチド配列の1つに対応する完全長cDNA、EST、若し
くはそれらの断片を、又は本発明に関連するcDNAライブラリーから無作為に選択
されたものを、例えばスライドガラスのような適切な基板に配置する。そのcDNA
を、例えばUV架橋の後に熱的および化学的に処置し、さらに乾燥することによっ
て、スライドガラスに固定する(例えば、Schena, M.ら (1995) Science 270:46
7-470; 並びにShalon, D.ら(1996) Genome Res. 6:639-645参照)。蛍光プロー
ブを作製し、基板上のエレメントとのハイブリダイゼーションに用いる。基板は
前述の方法によって解析する。
【0219】 8 相補的ポリヌクレオチド MECHPをコードする配列に相補的な配列、或いはその任意の一部を、自然発生M
ECHPの発現を検出し、低下させる、即ち抑制するために用いる。約15〜約30塩基
対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記載するが、より小さな、或いはよ
り大きな配列フラグメントの場合でも本質的に同じ方法が用いられる。OLIGO4.0
6ソフトウェア(National Biosciences)及びMECHPのコーディング配列を用いて
適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を抑制するために、相補オリゴヌク
レオチドを最も独特な5’配列から設計してコーディング配列へのプロモーター
の結合を防止するために用いる。翻訳を抑制するために、相補的なオリゴヌクレ
オチドを設計してMECHPをコードする転写物へのリボソームの結合を防ぐ。
【0220】 9 MECHPの発現 MECHPの発現及び精製は、細菌またはウイルスに基づく発現系を用いて実施さ
れる。細菌におけるMECHPの発現の場合、抗菌性の耐性遺伝子とcDNAの転写レベ
ルを高める誘導性のプロモーターとを含む適切なベクターにcDNAをサブクローニ
ングする。このようなプロモーターの例としては、以下に限定しないが、lacオ
ペレーター調節エレメントに関連するT5またはT7バクテリオファージプロモータ
ー及びtrp-lac(tac)ハイブリッドプロモーターが挙げられる。組換えベクターを
、BL21(DE3)などの適切な細菌性の宿主に形質転換する。抗生物質耐性菌が、イ
ソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)での誘発によりMECHPを発現
する。真核生物の細胞におけるMECHPの発現は、昆虫または哺乳動物の細胞株に
、一般にバキュロウイスルスとして知られているAutographica californica核多
角体ウイルス(AcMNPV)を感染させることによって行う。バキュロウイルスの非
必須ポリヘドリン遺伝子を、相同的組換え又は転移プラスミド中間体を含む細菌
媒介の遺伝子転移の何れかによって、MECHPをコードするcDNAと置換する。ウイ
ルスの感染力は維持され、強力なポリヘドリンプロモータによって高レベルのcD
NAの転写が行われる。多くの場合、組換え型バキュロウイルスは、Spodoptera fr ugiperda (Sf9)昆虫細胞の感染に用いられるが、場合によっては、ヒト肝細胞
の感染にも用いられる。後者の感染には、バキュロウイルスに対する更なる遺伝
的変更が必要となる。(例えば、Engelhard. E. K.ら(1994) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 91:3224-3227; Sandig, V.ら(1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945.
を参照)。
【0221】 殆どの発現系において、MECHPは、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(
GST)、またはFLAG若しくは6-His等のペプチドエピトープ標識で融合タンパク質
として合成され、粗製の細胞溶解物からの組換え型融合タンパク質の親和性ベー
スの精製を迅速に1段階で行うことができる。Schistosoma japonicumからの26キ
ロダルトンの酵素のGSTによって、タンパク質の活性及び抗原性を維持した条件
の下で固定化されたグルタチオにおける融合タンパク質の精製が可能となる(Am
ersham Pharmacia Biotech)。精製の後に、特定の操作部位においてMECHPからG
ST部分をタンパク分解的に切断可能である。8個のアミノ酸のペプチドであるFLA
Gにより、市販のモノクロナール及びポリクロナール抗FLAG抗体を用いて免疫親
和性の精製が可能となる(Eastman Kodak)。6個の連続したヒスチジン残基のス
トレッチである6-Hisによって、金属キレート樹脂(QIAGEN)における精製が可
能となる。タンパク質の発現及び精製の方法については、Ausubelが(1995年,
前出, ch 10 and 16)論じている。これらの方法によって得られた精製されたME
CHPを、以下のアッセイで直接用いることができる。
【0222】 10 MECHP活性の実証 MECHPのアクアポリン活性は、MECHP cRNAを注入したXenopus laevisの卵母細
胞における浸透的水透過を誘発する能力として実証される(Ishibashi, K.ら(19
94) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6269-6273)。水を注入した卵母細胞を対
照標準として用いる。注入された卵母細胞は、200mosMから70mosMまでの変更さ
れたBarthバッファーに移されることによって低張性のショックが与えられる。2
4℃においてビデオマイクロスコピーによって観察された卵母細胞の浸透容量の
増大は、注入された卵母細胞におけるMECHPのアクアポリン活性に比例する。
【0223】 MECHPのタンパク質輸送活性 MECHPのタンパク質輸送活性は、in vivo系における新に合成されたプレプロラ
クチン(preprolactin)のプロテオリポソームへの移動を触媒する能力によって実
証される(Gorlich, D. and T.A. Rapoport (1993) Cell 75:615-630)。プロテ
オリポソームは、精製されたMECHP、精製されたイヌSec61pβ及びγ、精製され
たイヌSRP受容体、並びに天然のマイクロソームに見られるものに概ね対応する
リン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファ
チジルセリン、及びホスファチジルイノシトール)の混合物を包含させて準備す
る。プロテオリポソームは、小麦胚芽in vitro翻訳系においてインキュベートさ
れ、そこでSRP及び放射性アミノ酸の存在下において分泌タンパク質(プレプロ
ラクチン)が合成される。プレプロラクチンの翻訳および合成の後に、サンプル
の半分を500μg/mlのプロテイナーゼKで処理し、一方で残りの半分を処理せずに
置く。移動したプレプロラクチンは何れもプロテインキナーゼKに対して隔離さ
れ、一方で移動していないプレプロラクチンは分解され得る。プロテイナーゼK
での処理を受けたサンプル、或いはその処理を受けないサンプルにおけるプレプ
ロラクチンの量は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動の
後に蛍光画像分析を実施することによって決定される。プロテイナーゼKで処理
したサンプルにおけるプロテイナーゼKの消化から保護されるプレプロラクチン
の量は、MECHPのタンパク質輸送活性に比例する。
【0224】 MECHPのギャップジャンクション活性 MECHPのギャップジャンクション活性は、MECHP cRNAを注入した対をなすXenop us laevis の卵母細胞間の細胞間チャネルの形成を誘発する能力として実証され
る(Hennemann, 前出)。MECHP cRNAの実験的な注入の1週間前に、バックグラウ
ンドを低減するためにMECHPに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを卵母細
胞に注入する。MECHP cRNAを注入した卵母細胞を終夜インキュベートし、卵黄膜
を取除き、二重セル(dual cell)電位固定法による接合電流の記録のために対形
成する。測定されたコンダクタンスは、MECHPのギャップジャンクション活性に
比例する。
【0225】 MECHPのイオンチャネル活性 MECHPのイオンチャネル活性は、イオンコンダクタンスに対する電気生理学的
アッセイを用いて実証される。MECHPは、MECHPをコードする真核生物の発現ベク
ターで哺乳動物の細胞株(例えば、COS7、HeLa、又はCHO等)を形質転換するこ
とによって発現され得る。真核生物の発現ベクターは市販されており、それらを
細胞に導入する技術については当業者に周知である。多くの標識遺伝子の何れか
1つ(例えば、βガラクトシダーゼ)を発現する第2のプラスミドを細胞内に同時
形質転換し、外来性DNAを取込んで発現させるそれらの細胞の迅速な同定を可能
とする。形質転換の後に、その細胞を細胞株に適した条件下で48−72時間かけて
インキュベートしてMECHP及びβガラクトシダーゼの発現および蓄積を可能とす
る。
【0226】 当業者に周知の条件の下で適切な比色基質を培地に添加した場合には、βガラ
クトシダーゼを発現する形質転換された細胞が青色に染まる。染色された細胞は
、当業者に周知の電気生理学的な技術でカリウムイオンによって膜コンダクタン
スの差異が検査される。ベクター配列のみ、或いはβガラクトシダーゼ配列のみ
の何れかを含む形質転換されていない細胞及び/又は形質転換された細胞は、対
照標準として利用され、並行して検査される。MECHPを発現する細胞は、対照と
比べてより高い陽イオンコンダクタンスを有する。コンダクタンスに対するMECH
Pの寄与は、MECHPに特異的な抗体を用いて細胞をインキュベートすることによっ
て確認できる。抗体は、MECHPの細胞外側面に結合してイオンチャネルにおける
細孔を閉塞し、関連するコンダクタンスの障害となる。
【0227】 また、MECHPのイオンチャネル活性は、二電極電位固定法を用いてMECHP含有Xe nopus の卵母細胞膜を横切る電流の流れとして測定される(Ishiら, 前出; Jegla
, T.及びL. Salkoff (1997) J. Neurosci. 17:32-44)。MECHPを適切なXenopus
の卵母細胞発現ベクター(例えば、pBF)にサブクローニングし、0.5−5ngのmRN
Aを成熟段階IVの卵母細胞に注入する。注入された卵母細胞を18℃で1−5日かけ
てインキュベートする。全てのマクロパッチ(Inside-out macropatches)を、116
mMのKグルコン酸、4mMのKCl、及び10mMのHepes(pH7.2)を含む細胞内液の中に
取除く。細胞内液には、種々の濃度のMECHPメディエータ(例えばcAMP、cGMP、
又はCa2+(CaCl2の形態)等)を適宜補充する。電極抵抗を2−5Ωに設定し、メ
ディエータが欠如した細胞内液で電極を満たす。実験は、室温にて0mVの保持電
位から実施される。−100から100mVまでの電圧変化(Voltage ramps)(2.5s)が
、500Hzのサンプリング周波数において得られる。測定される電流は、アッセイ
におけるMECHPの活性に比例する。
【0228】 11 機能的アッセイ MECHPの機能は、哺乳類細胞培養系における生理学的に高められたレベルでのM
ECHPをコードする配列の発現によってアッセイする。高レベルでcDNAを発現する
強力なプロモーターを含む哺乳類の発現ベクターにcDNAをサブクローニングする
。選り抜きのベクターには、pCMV SPORT(Life Technologie)及びpCR3.1 (Inv
itrogen, Carlsbad, CA)が含まれ、その各々にはサイトメガロウイルスプロモ
ーターが含まれる。5〜10μgの組換えベクターを、リポソーム製剤或いは電気穿
孔法によって、好ましくは内皮若しくは造血由来のヒト細胞株に一過性に形質移
入する。また、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgの付加的なプラ
スミドを同時形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入された細胞
と形質移入されていない細胞とを区別することができ、また組換えベクターから
のcDNAの発現を確実に予測できる。選り抜きの標識タンパク質には、緑色蛍光タ
ンパク質(GFP; Clontech)、CD64、又はCD64-GFP融合タンパク質が含まれる。
自動化されたレーザー光学に基づいた技術であるフローサイトメトリー(FCM)
を用いて、GFP又はCD64-GFPを発現する形質移入された細胞を同定し、また細胞
のアポトーシスの状態及び他の細胞特性を評価する。FCMによって、先行する或
いは同時の細胞死の現象を診断する蛍光分子の取込みを検出及び定量化する。こ
れらの現象には、プロピジウムヨウ化物でのDNAの染色によって測定される核DNA
内容物の変化、ブロモデオキシウリジンの取込み量の低下によって測定されるDN
A合成の下方制御、特異的抗体との反応性によって測定される細胞表面および細
胞内のタンパンク質の発現の変化、並びにフルオレセイン結合アネキシンVタン
パク質の細胞表面への結合によって測定される原形質膜組成の変化が含まれる。
フローサイトメトリーの方法については、Ormerod, M. G.の (1994) Flow Cytom etry, Oxford, New York, NYに記載されている。
【0229】 遺伝子発現におけるMECHPの影響は、MECHPをコードする配列並びにCD64若しく
はCD64-GFPの何れかが形質移入された高度に精製された細胞集合を用いて評価す
ることができる。CD64及びCD64-GFPは、形質転換された細胞表面で発現し、ヒト
免疫グロブリンG(IgG)の保存された領域と結合する。形質転換された細胞を、
ヒトIgG若しくはCD64の抗体の何れかで被覆された磁気ビーズを用いて、形質転
換されていない細胞から分離することができる(DYNAL, Lake Success, NY)。m
RNAは、当業者に周知の方法で細胞から精製することができる。MECHP及び目的と
する他の遺伝子をコードするmRNAの発現は、ノーザン分析やマイクロアレイ技術
で解析することが可能である。
【0230】 12 MECHP特異的抗体の産生 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)(例えば、Harrington, M.G. (19
90) Methods Enzymol. 182:488-495参照)、或いは他の精製技術を使用して実質
的に精製されたMECHPを用いて、標準的なプロトコルに従ってウサギを免疫化し
て抗体を生成する。
【0231】 或いは、MECHPのアミノ酸配列をLASERGENE software(DNASTAR)を用いて解析
して免疫原性の高い領域を判定し、対応するオリゴポリペプチドを合成し、これ
を用いて当業者に知られた方法により抗体を産生させる。C-末端付近または親水
性領域内のエピトープのような適切なエピトープの選択方法の詳細については当
業者の文献に記載されている(例えば、Ausubel, 1995, 前出, ch.11参照)。
【0232】 通常、15残基の長さのオリゴペプチドを、fmoc法の化学作用を利用するABI 431
A Peptide Synthesizer(Perkin-Elmer)を用いて合成し、MBS(N-maleimidoben
zoyl-N-hydroxysuccinimide ester)を用いた反応によりKLH(Sigma, St.Louis,
MO)に結合させて免疫抗原性を増強させる(例えば、Ausubel前出 参照)。ウサ
ギをフロイント完全アジュバントにおけるオリゴペプチド-KLH複合体で免疫化す
る。その結果生じる抗血清は、例えば、プラスチックにペプチドを結合させ、1%
BSAでブロッキングし、ウサギ抗血清と反応させ、洗浄し、さらに放射性ヨウ素
標識したヤギ抗ウサギIgGと反応させることにより、抗ペプチド活性に対して検
査される。
【0233】 13 特異的抗体を用いる自然発生MECHPの精製 MECHPに特異的な抗体を用いるイムノアフィニティークロマトグラフィにより
、自然発生或いは組換えMECHPを実質的に精製する。イムノアフィニティーカラ
ムは、MECHP抗体を、CNBr-活性化セファロース(Amersham Pharmacia Biotech)
のような活性化されたクロマトグラフィー用樹脂に共有結合させることにより作
製する。結合の後、製造者の取扱説明書に従って樹脂をブロック及び洗浄する。
【0234】 MECHPを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、MECHPを優先的に吸
着させる条件下(例えば、界面活性剤の存在下における高イオン強度のバッファ
ー)でそのカラムを洗浄する。抗体/MECHP結合を分裂させる条件下(例えば、p
H2〜3のバッファー、又は尿素もしくはチオシアン酸塩イオンのような高濃度の
カオトロープ(chaotrope))でカラムを溶出させ、MECHPを回収する。
【0235】 14 MECHPと相互作用する分子の同定 125I Bolton-Hunter試薬を用いて、MECHP或いはその生物学的に活性な断片を
標識する(例えば、Bolton, A.E.及びW.M. Hunter (1973) Biochem.J.133:529参
照)。マルチウエルプレートのウエル内に予め配置した候補分子を、標識したME
CHPと共にインキュベートし、洗浄し、標識したMECHP複合体を有する任意のウエ
ルをアッセイする。種々のMECHP濃度で得られたデータを用いて、MECHPと候補分
子との会合、親和性、及び数についての値を計算する。
【0236】 上記の刊行物および特許出願の全ては、ここで言及することにより本明細書の
一部とする。当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本明細書に
記載した方法及びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。本発明を
特定の好適実施例に関して説明してきたが、請求する発明がそのような特定の実
施例に過度に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、記載した本
発明の実施のための方法の種々の改変は、分子生物学或いは関連する分野の当業
者には明らかであり、請求の範囲内に含まれることを意図するものである。
【0237】 表の簡単な説明 表1は、MECHPをコードする完全長の配列を構築するために用いた、ポリペプ
チド配列及びヌクレオチド配列の配列番号(SEQ ID NO)、クローンID番号、c
DNAライブラリ、cDNA断片を示す。
【0238】 表2は、潜在モチーフ及び相同配列を含む各ポリペプチド配列の特徴、及びME
CHPの同定に用いた方法及びアルゴリズムを示す。
【0239】 表3は、ノーザン分析によって決定された各核酸配列の組織特異的発現パター
ンと、これらの組織に関連した疾患や異常症、症状と、各DNAがクローニング
されたベクターとを示す。
【0240】 表4は、MECHPをコードするcDNAクローンを単離したcDNAライブラリ
を作製するために用いた組織を示す。
【0241】 表5は、MECHPの分析に用いたツール及びプログラム、アルゴリズム、及びそ
の説明、引用文献、閾値パラメーターを示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 BLAST検索ツールを用いて構築した、MECHP−1(1568324; SEQ ID NO: 1)とラッ
ト多グルタミン酸タンパク質(GI 2924369; SEQ ID NO:37)との間のアミノ酸配列
アラインメントを示す。
【図2】 LASERGENEソフトウェア(DNASTAR, Madison WI)のマルチシーケンスアラインメン
トプログラムを用いて構築した、MECHP−2 (4094907; SEQ ID NO:2)と、Drosoph ila 電位開閉型カリウムチャネル(GI 116443; SEQ ID NO:38)と、P. penicillatu s カリウムチャネルαサブユニット(GI 1763619; SEQ ID NO:39)との間のアミノ
酸配列アラインメントを示す。
【図3A】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−3 (518158; SEQ ID NO:3)とラットカルシウム活性化カリウム
チャネルrSK3 (GI 2564072; SEQ ID NO:40) との間のアミノ酸配列アラインメン
トを示す。
【図3B】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−3 (518158; SEQ ID NO:3)とラットカルシウム活性化カリウム
チャネルrSK3 (GI 2564072; SEQ ID NO:40) との間のアミノ酸配列アラインメン
トを示す。
【図4A】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−4 (602926; SEQ ID NO:4)と、Drosophila電位開閉型カリウム
チャネル(GI 116443; SEQ ID NO:38)と、P. penicillatusカリウムチャネルαサ
ブユニット(GI 1763619; SEQ ID NO:39)との間のアミノ酸配列アラインメントを
示す。
【図4B】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−4 (602926; SEQ ID NO:4)と、Drosophila電位開閉型カリウム
チャネル(GI 116443; SEQ ID NO:38)と、P. penicillatusカリウムチャネルαサ
ブユニット(GI 1763619; SEQ ID NO:39)との間のアミノ酸配列アラインメントを
示す。
【図4C】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−4 (602926; SEQ ID NO:4)と、Drosophila電位開閉型カリウム
チャネル(GI 116443; SEQ ID NO:38)と、P. penicillatusカリウムチャネルαサ
ブユニット(GI 1763619; SEQ ID NO:39)との間のアミノ酸配列アラインメントを
示す。
【図5A】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−5 (922119; SEQ ID NO:5)とラットアクアポリン7(GI 235084
3; SEQ ID NO:41)との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図5B】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−5 (922119; SEQ ID NO:5)とラットアクアポリン7(GI 235084
3; SEQ ID NO:41)との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図6A】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−7 (2731369; SEQ ID NO:7)とマウスコネキシン30.3 (GI 1926
47; SEQ ID NO:42)との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図6B】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−7 (2731369; SEQ ID NO:7)とマウスコネキシン30.3 (GI 1926
47; SEQ ID NO:42)との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図7】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−16 (2069907; SEQ ID NO: 16)とヒトCa+活性化カリウムチャ
ネルβサブユニット(GI 1055345: SEQ ID NO:43) との間のアミノ酸配列アライ
ンメントを示す。
【図8A】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−17 (2243917; SEQ ID NO: 17)とCaenorhabditis elegansのカ
リウムチャネルタンパク質の相同体(GI 3292929; SEQ ID NO:44) との間のアミ
ノ酸配列アラインメントを示す。
【図8B】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−17 (2243917; SEQ ID NO: 17)とCaenorhabditis elegansのカ
リウムチャネルタンパク質の相同体(GI 3292929; SEQ ID NO:44) との間のアミ
ノ酸配列アラインメントを示す。
【図9A】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−18 (2597476; SEQ ID NO: 18)とヒトアクアポリン9 (GI 2887
407: SEQ ID NO:45) との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図9B】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
構築した、MECHP−18 (2597476; SEQ ID NO: 18)とヒトアクアポリン9 (GI 2887
407: SEQ ID NO:45) との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 29/00 A61P 43/00 105 4H045 37/02 C07K 14/47 43/00 105 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A C12Q 1/68 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 60/155,225 (32)優先日 平成10年12月9日(1998.12.9) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/155,211 (32)優先日 平成11年1月26日(1999.1.26) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/155,263 (32)優先日 平成11年2月10日(1999.2.10) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 バンドマン、オルガ アメリカ合衆国カリフォルニア州94043・ マウンテンビュー・アンナアベニュー 366 (72)発明者 タング、ワイ・トム アメリカ合衆国カリフォルニア州95118・ サンノゼ・ランウィックコート 4230 (72)発明者 レディ、ルーパ アメリカ合衆国カリフォルニア州94086・ サニーベイル・ウェストマッキンレードラ イブ 1233 (72)発明者 ヒルマン、ジェニファー・エル アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#12・モンロードライ ブ 230 (72)発明者 ユエ、ヘンリー アメリカ合衆国カリフォルニア州94087・ サニーベイル・ルイスアベニュー 826 (72)発明者 ラル、プリーティ アメリカ合衆国カリフォルニア州95054・ サンタクララ・ラスドライブ 2382 (72)発明者 コーレイ、ニール・シー アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#30・デールアベニュ ー 1240 (72)発明者 ゲグラー、カール・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94025・ メンロパーク・オークランドアベニュー 1048 (72)発明者 ゴルゴン、ジーナ アメリカ合衆国カリフォルニア州95006・ ボールダークリーク・パインクレストドラ イブ 1253 (72)発明者 ボーグン、マライア・アール アメリカ合衆国カリフォルニア州94577・ サンレアンドロ・サンティアゴロード 14244 (72)発明者 アジムザイ、ヤルダ アメリカ合衆国カリフォルニア州94545・ ヘイワード・ロックスプリングスドライブ 2045 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA80 CA01 GA11 HA12 4B063 QA01 QA18 QQ42 QR32 QR55 QS34 QX01 4B064 AG01 AG27 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA03 AA07 BA02 BA08 BA22 BA23 CA18 CA25 DA40 NA14 ZA011 ZA361 ZA941 ZB021 ZB071 ZB211 ZC411 4H045 AA10 AA11 BA09 CA40 EA20 EA50 FA74

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SEQ ID NO:1乃至SEQ ID NO:18(配列番号:1−18)及びそ
    れらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含む実質的に精製された
    ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1のアミノ酸配列と95%以上のアミノ酸配列同一
    性を有する実質的に精製された変異体。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする単離され精製された
    ポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリヌクレオチドと95%以上のポリヌクレオ
    チド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列。
  5. 【請求項5】 厳密な条件の下で請求項3のポリヌクレオチドとハイブリ
    ダイズする単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離
    され精製されたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 ポリヌクレオチドを検出する方法であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドをサンプルの少なくとも1つの核酸とハイ
    ブリダイズさせて、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在が、前記サンプルに前記ポリヌクレオチドが存
    在することと相関性を有する、該過程とを含むことを特徴とする検出方法。
  8. 【請求項8】 前記ハイブリダイゼーションの前に前記ポリヌクレオチド
    を増幅する過程を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 SEQ ID NO:19乃至SEQ ID NO:36及びそれらの断片からなる
    一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む単離され精製されたポリヌクレ
    オチド。
  10. 【請求項10】 請求項9のポリヌクレオチドと95%以上のポリヌクレ
    オチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列。
  11. 【請求項11】 請求項9のポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単
    離され精製されたポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 請求項3のポリヌクレオチドの少なくとも1つの断片を
    含む発現ベクター。
  13. 【請求項13】 請求項12の発現ベクターを含む宿主細胞。
  14. 【請求項14】 ポリペプチドの製造方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に好適な条件の下で、請求項13の宿主細胞を
    培養する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと
    を特徴とする製造方法。
  15. 【請求項15】 好適な医薬用担体と共に請求項1のポリペプチドを含む
    医薬品組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1のポリペプチドと特異的に結合する精製された
    抗体。
  17. 【請求項17】 請求項1のポリペプチドの精製されたアゴニスト。
  18. 【請求項18】 請求項1のポリペプチドの精製されたアンタゴニスト。
  19. 【請求項19】 MECHPの発現または活性の低下に関連する疾患の治療ま
    たは予防が必要な患者に、請求項15の医薬品組成物を効果的な量投与する過程
    を含む、MECHPの発現または活性の低下に関連する疾患を治療または予防する方
    法。
  20. 【請求項20】 MECHPの発現または活性の増大に関連する疾患の治療ま
    たは予防が必要な患者に、請求項18のアンタゴニストを効果的な量投与する過
    程を含む、MECHPの発現または活性の増加に関連する疾患を治療または予防する
    方法。
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US60/155,226 1998-09-02
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US09/191,283 1998-11-12
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US60/155,225 1998-12-09
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US60/155,211 1999-01-26
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US60/155,263 1999-02-10
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WO2005095612A1 (ja) * 2004-03-31 2005-10-13 Daiichi Pharmaceutical Co., Ltd. グアニンヌクレオチド交換因子をコードする遺伝子およびその遺伝子産物
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