JP2003519161A - 安定化されたイソチアゾロン組成物およびイソチアゾロンの安定化方法 - Google Patents

安定化されたイソチアゾロン組成物およびイソチアゾロンの安定化方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、安定化されたイソチアゾロン組成物およびイソチアゾロンの安定化方法に関し、具体的には、(a)化学式1で表わされるイソチアゾロン化合物、(b)硫酸および(c)溶媒を含む安定化されたイソチアゾロン組成物に関する。 化学式1中、R1およびR2は、各々互いに同一であるかまたは異なるものであって、水素原子、ハロゲン原子またはC1乃至C4のアルキル基であるか、またはR1およびR2が環化されたアリル基であり;R3は、水素原子;ハロゲン原子、ヒドロキシ基に置換されるかまたは置換されていないC1乃至C10アルキル基;ハロゲン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C1 0アルケニル基;ハロゲン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10のアルキニル基;または、C1乃至C10アルキル基;または、C2乃至C9アルコキシ基で置換されているか置換されていないアラルキル基である。

Description

【発明の詳細な説明】
発明の背景 (a) 発明の分野 本発明は、安定化されたイソチアゾロン組成物およびイソチアゾロンの安定化
方法に関し、より詳細には、(a)下記の化学式1、
【0001】
【化4】
【0002】 式中、R1およびR2は、各々互いに同一であるかまたは異なるものであって、
水素原子、ハロゲン原子またはC1乃至C4のアルキル基であるか、またはR1
よびR2が環化されたアリル基であり;R3は、水素原子;ハロゲン原子、ヒドロ
キシ基に置換されるかまたは置換されていないC1乃至C10アルキル基;ハロゲ
ン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10アルケニル基;
ハロゲン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10のアルキ
ニル基;または、C1乃至C10アルキル基;または、C2乃至C9アルコキシ基で
置換されているか置換されていないアラルキル基である、化学式で表わされるイ
ソチアゾロン化合物、(b)硫酸、および(c)溶媒を含む、安定化されたイソ
チアゾロン溶液に関する。 また、本発明は、前記化学式1のイソチアゾロンを
安定化させる方法に関する。
【0003】 (b) 関連技術の説明 イソチアゾロン化合物は、1965年に開発されて以来、染料、化粧品、繊維
、合成樹脂などの様々な産業分野において、産業用殺菌剤として広く用いられて
いる。 しかしながら、イソチアゾロン化合物は、非常に不安定であり、大気中
の湿気、熱および紫外線などによって容易に分解されるため、イソチアゾロン化
合物を添加した製品の保管時にイソチアゾロン成分が破壊されて、その殺菌効果
が減少するという問題点があった。
【0004】 イソチアゾロン化合物の安定性を向上させるための様々な方法が研究開発され
ており、現在多用されている方法は、金属塩安定化剤を用いるものである。
【0005】 かような例として、米国特許第3,870,795号および米国特許第4,067,878号では
、金属亜硝酸塩または金属硝酸塩を添加することでイソチアゾロン化合物の安定
化を試みているが、このような金属塩安定化剤は、ポリマーが分散しているラテ
ックスエマルジョン水溶液でエマルジョン成分と反応して沈殿物を発生させる問
題点があり、また、金属塩に結合している塩素イオンによってシステムの腐蝕を
誘発するだけでなく、安定化剤として用いられる金属イオンが水の硬度を高めて
スケールの発生を誘発するなどの問題点があるために、このようなシステムでの
金属塩の使用は好ましくない。
【0006】 また、製品状態では安定に殺菌効果を奏し、しかも、殺菌力を消耗した後に河
川に放流されても短期間の内に分解せずに2次的な環境問題も招かない安定化剤
の開発が、切実に待望されているのが実情である。
【0007】 発明の要旨 上記従来技術での問題点を解決するために、本発明では、殺菌剤および抗微生
物剤として有用で、安定性が優れており、しかも有効性分を高濃度に含有できる
安定化されたイソチアゾロン溶液を提供することを目的としている。
【0008】 また、本発明は、従来より一般的に使用されている鉄塩安定化剤に比べてイソ
チアゾロンを長期間安定化させることができ、ニトロサミン(Nitrosamine)の
形成を根源的に防止し、沈殿発生も皆無で、自然環境中への重金属の放出を根本
的に防止し、しかも、マグネシウムイオン(Mg2+)のようなイオンが、工業用水な
どに含まれるPO4 3-、CO3 2-などのイオンと結合してハードスケール(Hard Scale)
を形成することを根本的に防止する可能な、鉄塩安定化剤を使用しないイソチア
ゾロンの安定化方法の提供を目的とする。
【0009】 前記目的を達成するために本発明は、(a)下記化学式1、
【0010】
【化5】
【0011】 式中、R1およびR2は、各々互いに同一であるかまたは異なるものであって、
水素原子、ハロゲン原子またはC1乃至C4のアルキル基であるか、またはR1
よびR2が環化されたアリル基であり;R3は、水素原子;ハロゲン原子、ヒドロ
キシ基に置換されるかまたは置換されていないC1乃至C10アルキル基;ハロゲ
ン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10アルケニル基;
ハロゲン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10のアルキ
ニル基;または、C1乃至C10アルキル基;または、C2乃至C9アルコキシ基で
置換されているか置換されていないアラルキル基である、化学式で表わされるイ
ソチアゾロン化合物、(b)硫酸、および(c)溶媒とを含む安定化されたイソ
チアゾロン組成物を提供する。
【0012】 また、本発明は、イソチアゾロンに安定化剤を混合してイソチアゾロンを安定
化させるイソチアゾロンの安定化方法において、前記イソチアゾロンが、化学式
1で示される化合物であり、前記安定化剤を硫酸とするイソチアゾロンの安定化
方法も提供する。
【0013】 また、本発明は、細菌および/または黴および/または藻類による汚染可能性
があるかまたは汚染された領域に殺菌剤組成物を投入して細菌および/または黴
および/または藻類を死滅や成長抑制する殺菌方法において、(a)化学式1で
表わされるイソチアゾロン化合物、(b)硫酸および(c)溶媒を含む安定化さ
れたイソチアゾロン溶液を投入する、工程を含む殺菌方法を提供する。
【0014】 詳細な説明および好ましい実施態様 本発明者らは、前述した従来のイソチアゾロンの安定化方法で認められていた
諸般の問題点を解決すべく鋭意努力した結果、イソチアゾロン化合物を含有した
組成物に硫酸を安定化剤として添加することで、イソチアゾロンの分解を防止で
きることを知見するに至り、本発明を完成したものである。
【0015】 本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液は、前記化学式1で表されるイソチ
アゾロン化合物、安定化剤として作用する硫酸、および溶媒を含むことを特徴と
する。
【0016】 前記イソチアゾロン化合物は、前記化学式1で表される化合物の中から選択さ
れた1種または2種以上の混合物であり、好ましくは、5−クロロ−2−メチル
−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
、4,5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ
−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−
n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびベンゾイソチアゾリン−3
−オンからなるグループから選択される1種または2種以上の混合物とする。
【0017】 より好ましくは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと
4、5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを個別単独に使
用したり、または、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物を用いるのが良い。 5
−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソ
チアゾリン−3−オンとを混合物の形態で使用する場合の好ましい混合比は、重
量比として50:50乃至99:1であり、より好ましい混合比は、重量比とし
て60:40乃至95:5である。
【0018】 また、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを主成分とし、かつ5−ク
ロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが少量混合されてなる混合物
も好ましく、このような場合の好ましい混合比は、重量比として99.5:0.
5乃至90:10であり、より好ましい混合比は、重量比として98:2乃至9
6:4である。
【0019】 また、本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液においては、安定化剤として
用いられる硫酸の純度が高いほど好ましい。
【0020】 また、本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液は、溶媒を含み、この溶媒は
、前記イソチアゾロン化合物と硫酸を効果的に分散させることができる溶媒なら
ばいずれでも使用可能である。 好ましくは、前記溶媒を水とする。 本発明に
あっては、前記溶媒の使用量を、安定化されたイソチアゾロン溶液の用途によっ
て弾力的に変化させることができ、また、保管のみを目的とする場合には前記溶
媒を使わないこともある。
【0021】 本発明による安定化されたイソチアゾロン溶液は、用途によって濃縮溶液また
は希釈溶液とすることができ、大量のイソチアゾロン溶液を船舶輸送するなどの
特殊用途の場合には、高度に濃縮された溶液を用いることができる。 前記イソ
チアゾロン溶液における前記構成成分の含有量は、前記化学式1で表わされるイ
ソチアゾロン化合物の中から選択された1種または2種以上の混合物が0.00
001乃至99重量%、安定化剤が0.00001乃至99重量%、そして溶媒
が99.99998重量%以下である。 好ましい組成比は、前記化学式1で表
わされるイソチアゾロン化合物の中から選択された1種または2種以上の混合物
が0.1乃至40重量%、安定化剤が0.1乃至99重量%、溶媒が99.8重
量%以下である。 最も好ましい組成比は、前記化学式1で表わされるイソチア
ゾロン化合物の中から選択された1種または2種以上の混合物が1乃至30重量
%、安定化剤が5乃至99重量%、溶媒が94重量%以下である。 従来の金属
塩安定化剤を使用するイソチアゾロン溶液が、有効成分であるイソチアゾロンの
含量を最大で14重量%まで含有できるのに対して、本発明の安定化されたイソ
チアゾロン溶液は、イソチアゾロンの含量を最大で40重量%まで含有すること
が可能である。
【0022】 本発明による安定化剤の使用量は、使用条件および混合物内のイソチアゾロン
濃度によって変化させることができ、前記安定化剤は、前記化学式1で表わされ
るイソチアゾロン1重量部に対して0.01乃至1000重量部混合するのが、
安定性および経済的観点からして好ましい。 濃縮溶液の場合、安定化剤はイソ
チアゾロンに対して1:0.02乃至1:50の重量比に混合されるのが好まし
く、それ以上の安定化剤を用いることもできるが、これは非経済的である。 非
常に希釈されたイソチアゾロン溶液(溶媒内約1ppm乃至1重量%程度の濃度)
の場合、安定化剤は、好ましくは、イソチアゾロンに対して1:0.1乃至1:
20の重量比、より好ましくは1:0.1乃至1:10の重量比の量とする。
【0023】 本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液は、既存の金属塩安定化剤を使用し
た製品と比較して、大気中でも非常に安定であり、比較的に長時間保管しても活
性成分が維持され、沈殿発生も少なく、本発明の安定化されたイソチアゾロン溶
液の有効量を、微生物によって汚染されたり、汚染されやすい領域に適用した際
に優れた抗菌力を示し、製品によるハードスケール(Hard Scale)の形成要因が
除去でき、特に、使用後に環境中に排出しても、既存の金属塩安定化剤を使用し
た製品で認められる金属塩安定化剤の分解による2次環境汚染の誘発を招かない
、という長所をも兼ね備えている。
【0024】 このように、本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液は、殺菌剤、衛生剤、
清浄剤、脱臭剤、液体石鹸および粉石鹸、オイルおよびグリス除去剤、食品処理
用化学製品、日用化学製品、食品保存剤、動物飼料用保存剤、木材保存剤、染料
、ラジュル(lazures)、香料、病院用を含む医療用防腐剤、金属用剤、染色液
、冷却水、空気清浄剤、製油所、紙処理、製紙工場でのスライム防止剤、石油製
品、接着剤、繊維、顔料スラリー、ラテックス、皮革処理剤、石油燃料、洗濯消
毒剤、農業用配合飼料、インク、採鉱品、不織布、石油貯蔵所、糊材、ゴム、製
糖品、タバコ、プール、化粧品、お手洗用品、ペースト、プラスチック、カード
ボード、医薬品、トイレットペーパー、家庭洗濯物、ディーゼル燃料添加剤、ワ
ックス、コルク、潤滑剤、建築用品、コンクリート配合剤または光沢剤などに広
く使用でき、または前述した形態に製造加工でき、さらには、細菌および/また
は黴および/または藻類による汚染可能性がある領域、汚染された領域およびそ
の他の好ましくない微生物の成長を許容する環境と接触する有機物および水分の
存在する領域のいずれでも使用が可能である。
【0025】 以下に、本発明の実施例を記載するが、以下の実施例は、本発明の例示目的に
過ぎず、本発明が以下の実施例の開示によって限定的に解釈されるべきでない。
【0026】 以下の実施例および比較例で製造したイソチアゾロン溶液は、それぞれ65℃
の恒温槽に放置した後に熱安定性を測定し、熱安定性測定時での分解度を、高速
液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定した。 本実施例では、65℃での熱
安定性を測定しているが、一般に、65℃の温度下での一週間は、25℃の温度
下での7ヶ月間に相当する。
【0027】 実施例1 金属塩が全く添加されていない5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン
−3−オンの塩酸塩と2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩との
混合物25重量%と、硫酸98重量%を含有している硫酸水溶液75重量%とを
混合して安定化されたイソチアゾロン溶液を製造し、製造された溶液の時間経過
による沈殿物形成の有無を肉眼で観察した。 時間経過による残留含量(%)と
沈殿物形成に関する実験結果を以下の表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】 実施例2 金属塩が全く添加されていない4,5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチア
ゾリン−3−オン25重量%と、硫酸を98重量%含有する硫酸水溶液75重量
%とを混合して安定化されたイソチアゾロン溶液を製造し、製造された溶液の時
間経過による沈殿物形成の有無を肉眼で観察した。 時間経過による残留含量(
%)と沈殿物形成に関する実験結果を、以下の表2に示した。
【0030】
【表2】
【0031】 実施例3 金属塩が全く添加されていない5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾロン
−3−オンの塩酸塩と2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩との
混合物25重量%と、硫酸98重量%を含有する硫酸水溶液65重量%と脱イオ
ン水10重量%とを混合して安定化されたイソチアゾロン溶液を製造し、時間経
過による残留含量(%)に関する実験結果を、以下の表3に示した。
【0032】
【表3】
【0033】 実施例4 金属塩が全く添加されていない5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン
−3−オンの塩酸塩と2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩との
混合物25重量%と、硫酸98重量%を含有する硫酸水溶液52重量%とリン酸
23重量%とを混合して安定化されたイソチアゾロン混合物を製造し、時間経過
による残留含量(%)に関する実験結果を、以下の表4に示した。
【0034】
【表4】
【0035】 実施例5 高濃度イソチアゾロン溶液の安定性を測定するために、金属塩が全く添加され
ていない5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩と2
−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩との混合物32重量%と、硫
酸98重量%を含有した硫酸水溶液68重量%とを混合してイソチアゾロン混合
物を製造し、製造された溶液の時間経過による沈殿物形成の有無を肉眼で観察し
た。 時間経過による活性成分の含量(%)と沈殿物形成に関する実験結果を、
以下の表5に示した。
【0036】
【表5】
【0037】 表5から明らかなように、本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液は、活性
成分を18重量%以上含有しても非常に安定である。 表5での当初値よりも、
14日乃至28日の間に活性成分の重量%が高い理由は、本実施例の安定性実験
が65℃の恒温槽で行われたために水分が蒸発してしまい、相対的に活性成分の
含量が高くなったことを示したものである。
【0038】 実施例6 金属塩が全く添加されていない5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン
−3−オンの塩酸塩と2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩との
混合物2重量%と、硫酸98重量%を含有した硫酸水溶液2重量%および脱イオ
ン水96%を混合してイソチアゾロン混合物を製造し、50℃熱安定性条件で時
間経過による残留含量(%)に関する実験結果を、以下の表6に示した。
【0039】
【表6】
【0040】 実施例7 金属塩が全く添加されていない5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン
−3−オンの塩酸塩と2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩との
混合物10重量%と、硫酸98重量%を含有した硫酸水溶液30重量%および脱
イオン水60重量%とを混合してイソチアゾロン混合物を製造し、50℃熱安定
性条件で時間経過による残留含量(%)に対する実験結果を、以下の表7に示し
た。
【0041】
【表7】
【0042】 比較例1 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩と2−メチ
ル−4−イソチアゾリン−3−オンの塩酸塩とが約3:1重量比に混合されたイ
ソチアゾロン混合物14重量%、安定化剤として金属硝酸塩が10重量%含まれ
ているイソチアゾロン溶液を製造し、時間経過による残留含量(%)の実験結果
を、以下の表8に示した。
【0043】
【表8】
【0044】 表1乃至8の結果から、本発明による安定化されたイソチアゾロン溶液と従来
の金属塩安定化剤を使用したイソチアゾロン溶液の双方が、相当期間にわたって
安定した形態で存在することがうかがえた。 しかしながら、従来の金属塩安定
化剤を使用したイソチアゾロン溶液は、活性イソチアゾロンを最大14重量%ま
でしか含有できないのに対して、本発明にあっては、実施例5に示されているよ
うに18重量%以上のイソチアゾロンを含有する溶液を製造することが可能であ
った。
【0045】 実験1:解離実験 本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液の水中での解離速度を確認するため
に、実施例1によって製造されたイソチアゾロン溶液と比較例1のイソチアゾロ
ン溶液を、活性成分のイソチアゾロンの濃度が100ppmになるように脱イオ
ン水に投入した後に、時間経過による残留濃度(ppm)を測定した。 本実験
の結果を、以下の表9に示した。
【0046】
【表9】
【0047】 表9から明らかなように、本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液は、金属
塩を安定化剤として用いた比較例のイソチアゾロン溶液に比べて水中での解離度
が非常に優れている。 この結果は、本発明のイソチアゾロン溶液が水中で一定
の時間の間だけ薬効を呈した後に、ほどなく解離されることを示すものであって
、環境汚染を起こす可能性が、比較例に比べて極めて少ないということを意味す
るものにほかならない。
【0048】 実験2:微生物に対するMIC実験 本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液の効能を確認するために、実施例1
によって製造されたイソチアゾロン溶液と比較例1のイソチアゾロン溶液を、活
性成分のイソチアゾロンの濃度が脱イオン水中で14重量%になるように調製し
た後、微生物に対するMIC(minimum inhibitory concentration:最小阻害濃
度)実験を実施し、本実験の結果を、下記の表10に示した。
【0049】 MIC試験は、96マルチウェルプレートを利用して、殺菌剤を2倍連続希釈
法によって希釈した後、104CFU/mlの濃度で微生物を接種し、30℃で48時間
培養した後に、微生物の成長の有無を濁度を基準にして肉眼判定する方法によっ
てで実施した。 培地は、細菌の場合、ディフコ社のトリプチックソイブロス(
Tryptic Soy Broth、Difco Co.)を使用して濁度を観察し、黴の場合には、ポテ
トデキストロースブロス(Potato Dextrose Broth、Difco Co.)を利用した。
【0050】 本実験では、菌株として、Staphylococcus aureus ATCC 6538、Escherichia c
oli ATCC 11229、Pseudomonas aeruginasa ATCC 15442、Pseudomonas oleoveran
s ATCC 8062、Aspergillus niger ATCC 9642、Rhizopus oryzae ATCC 10404、Pu
llularia pullulans ATCC 9384を使用した。
【0051】
【表10】
【0052】 表10の結果は、本発明の安定化されたイソチアゾロン溶液と従来のイソチアゾ
ロン溶液の双方が、全ての試験微生物に対して優れた殺菌力を呈していること、
それに、その程度が同等な水準であることを指し示すものである。
【0053】 前述したように、本発明は従来技術の金属塩安定化剤と比較して、沈殿発生が
なく、有効性分を長期間安定化させ、必要時に高濃度の安定化されたイソチアゾ
ロン溶液を製造することができる長所を有しており、従来技術の金属塩安定化剤
では、酸性条件下で使用する場合に、金属硝酸イオンに由来する亜硝酸イオンに
よって製品内にニトロサミン(Nitrosamine)が形成されるが、本発明はかよう
な金属塩安定化剤を全く使用せずにイソチアゾロン溶液を安定化できるので、製
品中のニトロサミンの形成を根絶できるのである。
【0054】 また、本発明によって製造されたイソチアゾロン溶液は、金属イオンを全く含
有しないので、従来のイソチアゾロン溶液と違って、Cu2+のような重金属イオン
の自然環境内への放出を完全に防止でき、また、Mg2+のような金属イオンが工業
用水中のPO4 3-、CO3 2-などのイオンと結合してハードスケール(Hard Scale)を
形成することも完全に防止するなど、2次的な環境汚染を招かないだけでなく、
ハードスケールが深刻な問題となる水処理分野において、より効率的に使用でき
るという長所をも兼ね備えているのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA, ZW (72)発明者 キム, ジン−マン 大韓民国 441−460 キュンキ−ドゥ ス ウォン−シ クウォンソン−ク クンゴク −ドン エルジー ビレッジ アパートメ ント 306−1303 (72)発明者 チョイ, キ−ション 大韓民国 437−070 キュンキ−ドゥ ウ イワン−シ オジョン−ドン 21 ジンダ レ アパートメント 103−302 (72)発明者 キム, サン−ファン 大韓民国 440−290 キュンキ−ドゥ ス ウォン−シ チャンアン−ク 563−13 パジャン−ドン 202 (72)発明者 パク, ジュン−ホ 大韓民国 440−301 キュンキ−ドゥ ス ウォン−シ チャンアン−ク ジュンジャ 1−ドン ドンシン アパートメント 201−1109 (72)発明者 ハ, ジャ−ミン 大韓民国 440−320 キュンキ−ドゥ ス ウォン−シ チャンアン−ク ユルジョン −ドン チョンロク アパートメント 6 −309 (72)発明者 キム, ジ−バイ 大韓民国 441−111 キュンキ−ドゥ ス ウォン−シ クォンソン−ク 246−27 セリュー 1−ドン Fターム(参考) 4H011 AA02 BA01 BA04 BB10 BC18 DA13 DD01 DE14 DF03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記の化学式1、 【化1】 式中、R1およびR2は、各々互いに同一であるかまたは異なるものであって、
    水素原子、ハロゲン原子またはC1乃至C4のアルキル基であるか、またはR1
    よびR2が環化されたアリル基であり;R3は、水素原子;ハロゲン原子、ヒドロ
    キシ基に置換されるかまたは置換されていないC1乃至C10アルキル基;ハロゲ
    ン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10アルケニル基;
    ハロゲン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10のアルキ
    ニル基;または、C1乃至C10アルキル基;または、C2乃至C9アルコキシ基で
    置換されているか置換されていないアラルキル基である、化学式で表わされるイ
    ソチアゾロン化合物、 (b)硫酸、および (c)溶媒、を含むことを特徴とする安定化されたイソチアゾロン組成物。
  2. 【請求項2】 前記イソチアゾロン化合物が、5−クロロ−2−メチル−4
    −イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4
    ,5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2
    −n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−
    オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびベンゾイソチアゾリン−3−オ
    ンからなるグループから選択される1種または2種以上の混合物である請求項1
    に記載の安定化されたイソチアゾロン組成物。
  3. 【請求項3】 前記イソチアゾロン化合物が、5−クロロ−2−メチル−4
    −イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを
    、重量比50:50乃至99:1で混合してなる混合物である請求項1に記載の
    安定化されたイソチアゾロン組成物。
  4. 【請求項4】 前記安定化されたイソチアゾロン組成物が、前記化学式1で
    表される化合物を0.1乃至40重量%、前記安定化剤を0.1乃至99重量%
    、および溶媒を99.8重量%以下含む請求項1に記載の安定化されたイソチア
    ゾロン組成物。
  5. 【請求項5】 イソチアゾロンに安定化剤を混合してイソチアゾロンを安定
    化させるイソチアゾロンの安定化方法であって、前記イソチアゾロンが、下記の
    化学式1、 【化2】 式中、R1およびR2は、各々互いに同一であるかまたは異なるものであって、
    水素原子、ハロゲン原子またはC1乃至C4のアルキル基であるか、またはR1
    よびR2が環化されたアリル基であり;R3は、水素原子;ハロゲン原子、ヒドロ
    キシ基に置換されるかまたは置換されていないC1乃至C10アルキル基;ハロゲ
    ン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10アルケニル基;
    ハロゲン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10のアルキ
    ニル基;または、C1乃至C10アルキル基;または、C2乃至C9アルコキシ基で
    置換されているか置換されていないアラルキル基である、化学式で表わされるイ
    ソチアゾロン化合物であり、および、 前記安定化剤が硫酸である、ことを特徴とするイソチアゾロンの安定化方法。
  6. 【請求項6】 前記イソチアゾロン組成物が、5−クロロ−2−メチル−4
    −イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4
    ,5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2
    −n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−
    オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびベンゾイソチアゾリン−3−オ
    ンからなるグループから選択される1種または2種以上の混合物である請求項5
    に記載のイソチアゾロンの安定化方法。
  7. 【請求項7】 前記イソチアゾロン組成物が、5−クロロ−2−メチル−4
    −イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを
    、重量比50:50乃至99:1で混合してなる混合物である請求項5に記載の
    イソチアゾロンの安定化方法。
  8. 【請求項8】 前記安定化剤である硫酸の使用量が、前記イソチアゾロン化
    合物1重量部に対して0.01乃至1000重量部である請求項5に記載のイソ
    チアゾロンの安定化方法。
  9. 【請求項9】 細菌および/または黴および/または藻類による汚染可能性
    があるかまたは汚染された領域に殺菌剤組成物を投入して細菌および/または黴
    および/または藻類を死滅や成長抑制する殺菌方法において、(a)下記の化学
    式1、 【化3】 式中、R1およびR2は、各々互いに同一であるかまたは異なるものであって、
    水素原子、ハロゲン原子またはC1乃至C4のアルキル基であるか、またはR1
    よびR2が環化されたアリル基であり;R3は、水素原子;ハロゲン原子、ヒドロ
    キシ基に置換されるかまたは置換されていないC1乃至C10アルキル基;ハロゲ
    ン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10アルケニル基;
    ハロゲン原子で置換されているかまたは置換されていないC2乃至C10のアルキ
    ニル基;または、C1乃至C10アルキル基;または、C2乃至C9アルコキシ基で
    置換されているか置換されていないアラルキル基である、化学式で表わされるイ
    ソチアゾロン化合物、(b)硫酸および(c)溶媒を含む安定化されたイソチア
    ゾロン溶液を投入する、ことを特徴とする殺菌方法。
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