JP2003518232A - 管状の折畳み部品を備えたスプリングまたはダンパ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低摩擦で実質的にメンテナンスフリーのディスプレーサを備えた組合せ型スプリングまたはダンパ装置を提供する。 【解決手段】 車体のホイールサスペンションまたはアクセルを支持するための組合せ型スプリングまたはダンパ装置は、外側ベル状部品とローリングピストンとの間に取り付けられる管状の折畳み部品を備え、折畳み部品のメニスカスが外側ベル状部品の円筒状の内壁領域上およびローリングピストンの外壁領域上を案内される。この場合、外側ベル状部品またはディスプレーサのローリングピストンは、少なくとも１つの関節式の支持部により車体とシャーシの間で支持される。折畳み空間は作動液で満たされ、シャーシ側または車体側に取り付けられた蓄圧器と連通している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は、ホイール支持用またはホイール案内用の連結部と車体側に位置する
連結部との間に配置され、外側ベル状部品とローリングピストンとの間に取り付
けられ、メニスカスが外側ベル状部品の円筒状の内壁領域上とローリングピスト
ンの円筒状の外壁領域上とに案内される管状の折畳み部品を有する、車体のホイ
ールサスペンションまたはアクセルを支持するための組合せ型スプリングまたは
ダンパ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ドイツ特許出願公開第４０ １８ ７１２ Ａ１号明細書には、このように設
計されたディスプレーサを備えたスプリングまたはダンパ装置が開示されている
。しかしながら、このディスプレーサは水平断面に非常に大きな構成空間を要す
る。

【０００３】 また、ドイツ特許発明明細書第２９７ ０２ ９２７ Ｃ１号には、折畳み部
品を有しないディスプレーサと、油圧蓄圧器と、そしてこれらの部品を連結する
油圧管路とから成るスプリングまたはダンパ装置が開示されている。油圧管路に
機械的な絞り弁が配置される。ハイドロニューマチックサスペンション装置の場
合に公知であるように、ディスプレーサが自動車のホイールサスペンションを車
体に接続する。また、装置は作動液で満たされている。自動車ホイールの圧縮中
、作動液は絞り弁を通じて油圧蓄圧器の中に移動する。絞り弁の流動抵抗が、制
振力を生じさせ、一方では油圧蓄圧器のガス容積の圧縮が、抵抗力を引き起こす
。ここに示されるディスプレーサの原理では、ディスプレーサのピストンがディ
スプレーサのシリンダに貫入している。この２部品は、案内用の密封ギャップの
中で互いに擦られるように動く。このような摩擦はスプリングまたはダンパ装置
の応答時間を遅くし、有害である。つまり、自動車に使用すると、この装置で支
持されるホイールは最適な転がり動作が得られない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】

本発明の基礎をなす課題は、管状の折畳み部品を使用し、構造が細長いことに
加え、シャーシのストロークにわたって不変の有効ピストン面積を有する低摩擦
のディスプレーサを含む組合せ型スプリングまたはダンパ装置を開発することで
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前述の問題は、主たる請求項の特徴によって解決される。

【０００６】 このために、ディスプレーサの外側ベル状部品（ｏｕｔｅｒ ｂｅｌｌ）また
はローリングピストンが車体に取り付けられる。外側ベル状部品またはローリン
グピストンは、少なくとも１°の旋回自在性を有するジョイントを介して、シャ
ーシ側または車体側に固定される。折畳み空間は作動液で満たされ、シャーシ側
または車体側に取り付けられた油圧または水圧蓄圧器と連通している。

【０００７】 ディスプレーサの折畳み部品のタイプ、シャーシまたは車体の連結部のタイプ
、およびガスを介して加圧される作動液で折畳み空間を充填することにより、長
手方向に機械的で摩擦性のある案内を備えない細長いディスプレーサを有するこ
とが可能になる。ディスプレーサの折畳み部品内の圧力は、折畳み部品のメニス
カスを介して、互いに関連して動かされるスプリング脚柱部品を、中央に配置し
、安定させるので、別個の長手方向の案内は不要である。

【０００８】 ディスプレーサに荷重を加えたり除いたりする間、作動液は、ディスプレーサ
と油圧または水圧蓄圧器との間を、断面が次第に狭くなる形の管路または孔を介
して行き来する。管路または孔の構成およびそこに配置される絞り部の性質は、
開いている断面の大きさおよび形状により装置の制振性に影響を及ぼす。この場
合、絞り部は、ノズルまたはダイヤフラムとして設計されてもよいし、少なくと
も１つの逆流防止式絞り弁であってもよい。逆流防止式絞り弁が使用されるとき
は、いずれの場合においても、流れの各方向毎に少なくとも１つの弁が、管路の
断面または孔の断面に配置される。

【０００９】 油圧または水圧蓄圧器のガスクッションが装置のばね運動を臨界的に形成する
。

【００１０】 管状の折畳み部品が使用されることにより、装置全体の機械的摩擦は、本質的
に折畳み部品の材料またはダイヤフラムの材料の内部摩擦まで減少する。これに
より、スプリングまたはダンパ装置は、スプリングおよびダンパの装置の一定範
囲全体にわたってほぼ理想的な応答挙動を呈する。

【００１１】 本発明の更なる詳細は、サブクレームおよび図によって示されている実施態様
に関する以下の説明から収集できる。

【００１２】

【発明の実施の形態】

図１は、ディスプレーサ１０と、蓄圧器３０と、これらの間に配置され、一体
型の絞り弁４７を備えた流動管路４０とを有する組合せ型スプリングまたはダン
パ装置を示す。

【００１３】 ディスプレーサ１０は、特に、外側ベル状部品１２、ローリングピストン２２
、およびこれら２つの部品を連結する管状の折畳み部品１１から構成される。外
側ベル状部品１２は、円筒状の内壁１３と外側で湾曲している底部とを備えた管
で構成されている軸受け筒のような中空体である。

【００１４】 ローリングピストン２２は、円筒状の外壁２３を有し、そして例えばその自由
外側端において、蓄圧器３０のハウジング３４を支える中空体である。その中空
の空間は、蓄圧器３０の作動液空間３５と連通する流動管路４０を形成する。例
示実施形態では、例えば、ねじ切りしたボルト２５がローリングピストン２２の
上端部に配置され、このねじ切りしたボルトにより、スプリングまたはダンパ装
置を、弾性中間要素を介して、堅固にまたは柔軟に車体に固定することができる
。

【００１５】 管状の折畳み部品１１は、ローリングピストン２２と外側ベル状部品１２の間
に固定される。このため、管の両端が開いている管状の折畳み部品１１の上端部
は、その内壁と共にローリングピストン２２の下端部に押し付けられ、例えば、
テンションリング１４を用いて滑り止め密封式に不確実に固定される。

【００１６】 図１中、管状の折畳み部品１１の下端部は、組付用キャップ１５のほぼ円筒状
の部分に固定される。このため、外側ベル状部品１２に取り付ける前に、管状の
折畳み部品１１の下端部の内壁は、組付用キャップ１５の外周に押し付けられ、
例えば、テンションリング２４を用いて滑り止め密封式に不確実にまたは確実に
固定される。組付用キャップ１５が外側ベル状部品１２に挿入された後、折畳み
部品１１の外壁は、少なくともキャップ１５の近傍で外側ベル状部品１２の内壁
１３に支えられる。組付用キャップ１５は、外側ベル状部品１２に固定してもよ
い。

【００１７】 スプリングまたはダンパ装置がすぐに取り付けられるような状態で、ローリン
グピストン２２が、管状の折畳み部品１１の上端部が内側に折り戻されて内向き
のメニスカス１８を形成するように外側ベル状部品１２に取り付けられる。その
結果、毎回の操作によって、外側ベル状部品１２およびローリングピストン２２
の間で生じる相対的な動きがある間、管状の折畳み部品１１の外壁１９は、ロー
リングピストン２２の外壁２３上と外側ベル状部品１２の内壁１３上とを転がり
ながら移動する。

【００１８】 メニスカス１８は、円筒状の前記外側ベル状部品の内壁１３および円筒状の前
記ローリングピストンの外壁２３の間でストロークの全範囲を動く。前記円筒状
の外側ベル状部品の内壁１３および前記円筒状のローリングピストンの外壁２３
の間の半径方向の平均距離は、メニスカス１８のストローク範囲では一定である
。この距離は、間隙幅に相当し、それは多くとも管状の折畳み部品１１の壁の厚
さの５倍である。これにより、細長いスプリング脚柱デザインが可能となり、管
状の折畳み部品１１のメニスカス領域にかかる荷重が低く維持できる。また、管
状の折畳み部品１１の内部摩擦が全ストロークにわたって一定となる。

【００１９】 ローリングピストンの外径は、この場合、例えばスプリング脚柱の有用総スト
ロークにほぼ等しいか、それより小さくする。管状の折畳み部品の長さは、例え
ば、管状の折畳み部品の直径の２倍に等しい。

【００２０】 それが適切であるのならば、外側ベル状部品を、下部領域、すなわち組付用キ
ャップ１５の領域またはその近傍の領域、が広くなるように製造してもよい。こ
の場合、そのような広がりは、メニスカスのストローク範囲外にある。前記広が
りにより、圧縮中、外側ベル状部品１２の中心線とローリングピストン２２の中
心線の間の角度のずれが大きくなることが防止され、ローリングピストン２２に
支えられる管状折畳み部品１１の内壁２０と外側ベル状部品１２に支えられる前
記管状折畳み部品の内壁２０とが接することはない。

【００２１】 外側ベル状部品１２とローリングピストン２２との間の折畳み空間５の外側に
ある後方空間７は、異物侵入防止用の折畳み部２８を用いて異物が侵入しないよ
うに密封されている。後方空間７は、図示されていない通気孔を介して周囲とつ
ながっている。

【００２２】 外側ベル状部品１２の下端部には旋回式のジョイント５０が配置されている。
スプリングまたはダンパ装置は、この旋回式のジョイント５０を介して関節式に
シャーシに取り付けられる。外側ベル状部品１２の中心線と直角に軸線が延びて
いる旋回式のジョイント５０は、２つのブッシュ（軸受け筒）５１と５３から構
成され、このブッシュ間に、例えば弾性体５２が加硫または接着剤で取り付けら
れる。弾性体５２により、ジョイント５０の関節結合の自在性を５°に上げるこ
とができる。

【００２３】 外側ブッシュ５１は、外側ベル状部品１２に直接溶着される。内側ブッシュ５
３は、例示実施形態では、シャーシへの固定具として機能する。

【００２４】 ローリングピストン２２の上方領域にあるのは、適切であるのならば閉じるこ
とができる、流動管路４０に流入する供給管路１７である。能動的なスプリング
またはダンパ装置として、またはレベリング（車高調整）に使用する場合、作動
液は供給管路１７を介してディスプレーサ１０に入れられたり抜かれたりする。
決まった量の作動液を供給および排出することにより、付加的な力を要望どおり
に生成させることができる。この追加量を出し入れすることにより、装置全体に
おけるダンパの力およびスプリングの力が変化する。

【００２５】 蓄圧器３０は、例えば、ブラダ型またはダイヤフラム型の蓄圧器として設計さ
れる。ブラダまたはダイヤフラム３１によって分割されたガスクッション３２が
、スプリングまたはダンパ装置のスプリング運動を形成する。互いに反対に作用
し、スプリングプレートバルブの形を取る２つの圧力弁が、流動管路４０から蓄
圧器３０のハウジング３４への移行部に配置されている。各逆流防止式絞り弁４
７は互いに異なる流動方向に開く。この場合、個々の逆流防止式絞り弁４７の絞
り動作は、適切であるのならば、調節可能すなわち制限可能な駆動装置によって
調整可能となるように設計してもよい。

【００２６】 設計によっては、例えば、ディスプレーサの流体搬送部品が油圧または水圧蓄
圧器の中に突出していたり、油圧または水圧蓄圧器で囲まれていたりする場合に
は、流動管路４０の長さを、孔にまで縮めてもよい。例えば外側ベル状部品１２
が、環状のハウジングで包囲されているとする。そのような場合、このハウジン
グと外側ベル状部品の外周との間に位置する環状の全体空間が、管状のダイヤフ
ラムによって、内側環状空間と外側環状空間とに分割される。外側環状空間には
ガスが充填されるが、図１の作動液空間３５に相当する内側環状空間は、少なく
とも１つの絞り弁を介して折畳み空間５と連通する。

【００２７】 スプリングまたはダンパ装置に使用される作動液１は、例えば、水とアルコー
ルの溶液である。室温で任意の所望の比率で水と混和できるすべてのアルコール
がこの溶液に適している。例えば、水またはエタノール溶液または水またはグリ
コール溶液が使用される。内燃機関の不凍冷却液としても使用されているような
一般的な水またはグリコール溶液は、例えば、エチレングリコールの含有量が３
３％から５０％である。５０％溶液を使用した場合、スプリングまたはダンパ装
置は−３５℃まで作動可能である。また、この溶液は、従来の弾性をもつ材料を
攻撃するものではない。ゴムの膨張も、純水中で発生する膨張と同等のものであ
る。

【００２８】 以上のように説明した実施形態の代わりに、装置内で使用される作動液が磁気
流動的な流体であるスプリングまたはダンパ装置も考えられる。そして、例えば
、流動管路４０の短い環状部が、電流で励磁される電磁コイルで囲まれている場
合、励磁された電磁コイルと作動液１とが組み合わされ、さまざまな絞り個所を
形成する。コイルに対する印加電流を増加させると、流動管路４０内の見掛け粘
度または動的粘度の増加によって流速が減少し、その結果、特に、装置全体の制
振挙動を特有の方法で変更することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 管状の折畳み部品を備えたスプリングまたはダンパ装置の図である。

【符号の説明】

１ 作動液 ５ 折畳み空間 ７ 後方空間 １０ ディスプレーサ １１ 管状折畳み部品 １２ 外側ベル状部品 １３ 内壁 １４ テンションリング １５ 組付用キャップ １７ 供給管路 １８ メニスカス １９ 外壁 ２０ 内壁 ２２ ローリングピストン ２３ 外壁 ２４ テンションリング ２５ ボルト ２８ 異物侵入防止用の折畳み部 ３０ 蓄圧器 ３１ ダイヤフラム ３２ ガス ３４ ハウジング ３５ 作動液空間 ４０ 流動管路 ４７ 逆流防止式絞り弁 ５０ ジョイント ５１ 外側ブッシュ ５２ 弾性体 ５３ 内側ブッシュ

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１４年２月２８日（２００２．２．２８）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項１

【補正方法】変更

【補正の内容】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハンスペーター クランデール ドイツ連邦共和国 70329 シュトゥット ガルト アウグスブルガーストラッセ 727ａ (72)発明者 ダルコ メルジニコフ ドイツ連邦共和国 70771 ラインフェル デンエヒターディンゲン ブライトヴィー センストラッセ 13 (72)発明者 マティアス レーマー ドイツ連邦共和国 71155 アルトドルフ シラーストラッセ ８ (72)発明者 カールハインツ レス ドイツ連邦共和国 73061 エバースバッ ハ スデッテンヴェッグ ７ Ｆターム(参考） 3D001 AA02 DA02 DA03 3J069 AA61 CC33 EE11

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホイール支持用またはホイール案内用の連結部と車体側に位
   置する連結部との間に配置され、外側ベル状部品とローリングピストンとの間に
   取り付けられ、メニスカスが外側ベル状部品の円筒状の内壁領域上とローリング
   ピストンの円筒状の外壁領域上とに案内される管状の折畳み部品を有する、車体
   のホイールサスペンションまたはアクセルを支持するための組合せ型スプリング
   またはダンパ装置において、 前記外側ベル状部品（１２）または前記ローリングピストン（２２）が前記車
   体に取り付けられ、前記外側ベル状部品（１２）または前記ローリングピストン
   （２２）が、少なくとも１°の旋回自在性を有するジョイントを介して、シャー
   シ側または車体側に取り付けられ、折畳み空間（５）が作動液（１）で満たされ
   、シャーシ側または車体側に取り付けられた蓄圧器（３０）と連通することを特
   徴とする、組合せ型スプリングまたはダンパ装置。
2. 【請求項２】 前記ローリングピストン（２２）の円筒状の外壁（２３）と
   前記外側ベル状部品（１２）の前記円筒状の内壁（１３）との間の間隙幅が、前
   記管状の折畳み部品（１１）の転がる管状部分の壁の厚さの多くとも５倍である
   ことを特徴とする、請求項１に記載の組合せ型スプリングまたはダンパ装置。
3. 【請求項３】 前記外側ベル状部品（１２）が旋回式のジョイント（５０）
   を介してホイール支持用またはホイール案内用の部品に取り付けられることを特
   徴とする、請求項１に記載の組合せ型スプリングまたはダンパ装置。
4. 【請求項４】 前記蓄圧器（３０）がダイヤフラム型またはブラダ型の蓄圧
   器であることを特徴とする、請求項１に記載の組合せ型スプリングまたはダンパ
   装置。
5. 【請求項５】 少なくとも１つの絞り個所または少なくとも２つの逆流防止
   式絞り弁（４７）が、前記折畳み空間（５）と前記蓄圧器（３０）との間に配置
   されていることを特徴とする、請求項１に記載の組合せ型スプリングまたはダン
   パ装置。
6. 【請求項６】 前記逆流防止式絞り弁（４７）が圧力弁であることを特徴と
   する、請求項１に記載の組合せ型スプリングまたはダンパ装置。
7. 【請求項７】 前記作動液が水またはアルコール溶液であることを特徴とす
   る、請求項１に記載の組合せ型スプリングまたはダンパ装置。
8. 【請求項８】 能動的なスプリングまたはダンパ装置を形成するために、前
   記折畳み空間（５）が、駆動状況下で、供給管路（１７）を介して外部の作動液
   供給源に連結されていることを特徴とする、請求項１に記載の組合せ型スプリン
   グまたはダンパ装置。