JP2003517809A - 新規ペプチド - Google Patents

新規ペプチド

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JP2003517809A
JP2003517809A JP2000550501A JP2000550501A JP2003517809A JP 2003517809 A JP2003517809 A JP 2003517809A JP 2000550501 A JP2000550501 A JP 2000550501A JP 2000550501 A JP2000550501 A JP 2000550501A JP 2003517809 A JP2003517809 A JP 2003517809A
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ラファエル ゴロデトスキー
ジェラルド マークス
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Hadasit Medical Research Services and Development Co
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Hadasit Medical Research Services and Development Co
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    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/78Connective tissue peptides, e.g. collagen, elastin, laminin, fibronectin, vitronectin or cold insoluble globulin [CIG]
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • A61P17/02Drugs for dermatological disorders for treating wounds, ulcers, burns, scars, keloids, or the like
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

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Abstract

(57)【要約】 製薬組成物のために有用で、細胞培養及び細胞分離のために有用で更に、生体医用装置を含めて、新規細胞構造のために有用なペプチドを提供する。 【解決手段】 KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及びRGADYSLRAVRMKIRPLVTQから成る群から選択される配列を持つ新規ペプチドの群。また、これらのペプチドの組成物及び使用方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野と背景) 本発明は新規ペプチド、特にフィブリノゲンのカルボキシ末端の部分に相同な
新規ペプチド、ならびにこれらのペプチドについての潜在的な用途に関する。 フィブリノゲンは、血液が凝固するときに血餅を形成する血漿蛋白質である。
フィブリノゲンのアミノ酸配列と構造に関して多くの試験が実施されている(M
osesson,M.とDoolittle,R.(編集)「フィブリノゲンと
フィブリンの生物学(The biology of fibrinogen and fibrin)」、Ann.N.
Y.Acad.Sci.,408,1983、Henschen,A.ら、「フ
ィブリノゲンの構造(Structure of fibrinogen)」、Ann.N.Y.Acad
.Sci.,408,1983、Spraggon,G.ら、「ヒトフィブリノ
ゲンからのフラグメントDの結晶構造とフィブリンからのその架橋カウンターパ
ート(Crystal structure of fragment D from human fibrinogen and its cross
linked counterpart from fibrin)」、Nature,389:455−462
,1997、Murakawa,M.ら、「哺乳類フィブリノゲンAa鎖のカル
ボキシ末端領域の一次構造の多様性(Diversity of primary structures of the
carboxy-terminal regions of mammalian fibrinogen Aa-chains)」、Thro
mb.& Haemostat.,69:351−360,1993)。通常、
フィブリノゲン自体は分子量340kDaで、α、β及びγと称される3本のペ
プチド鎖の2組から構築される。フィブリノゲンの構成鎖は種間で高度に保存さ
れる。最近の研究で、αEフィブリノゲンと呼ばれるより長いα鎖を持つフィブ
リノゲン蛋白質も記述されており、これは同時に420kDaというより高い分
子量を持ち、発育において役割を果たすと考えられる(Fu,Y.とGrien
inger,G.「Fib420:2本の延長a鎖を持つフィブリノゲンの正常
ヒト変異体(Fib420: A normal human variant of fibrinogen with two extende
d a chains)」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:26
25−2628,(1994)、Fu,Y.ら、「ヒトフィブリノゲンαサブユ
ニットのカルボキシ末端延長変異体:β及びγサブユニットとの著しい相同性を
与える新規エクソン(Carboxy-terminal-extended variant of the human fibrin
ogen α subunit: A novel exon conferring marked homology to β and γ su
bunits)」、Biochem.,31:11968−11972,(1992)
)。従って、これら4つのタイプのフィブリノゲン鎖、α、β、γ及びαEは、
それぞれ610、410、391及び1096個のアミノ酸を持つ。
【0002】 フィブリン血餅は、カルシウムイオンの存在下でのフィブリノゲンとトロンビ
ンの反応に基づき、組織損傷部位においてin vivoで形成される。これら
の血餅は止血において重要な役割を持つ。血餅形成後、フィブリンは創傷床に細
胞が集積するための一時的な基質となる。常態では、創傷床に最も早く集積され
る細胞は、白血球そして特にマクロファージのように炎症性である。フィブリン
中に入り込むのに付随して、これらの炎症細胞は、プラスミン、金属蛋白質分解
酵素(MIP)及び/あるいは遊離基を生じることによってフィブリンの溶解に
関与する。それ故創傷床は、凝固開始の際にはトロンビンによって放出される実
質的な量のペプチドA及びB(FPA及びFPB)を含み、次いで溶解酵素又は
遊離基によって生成される数多くのフィブリン分解産物を含む(Gray,A.
J.,Reeves,J.T.,Harrison,N.K.,Winlove
,P.及びLaurent G.J.、「血餅形成後に残存する溶質中のヒト線
維芽細胞に関する成長因子(Growth factors for human fibroblasts in the sol
ute remaining after clot formation)」、J.Cell Sci.,96:2
71−274,(1990)、Marx G.、「フィブリノゲンのフェントン
断片化の免疫学的モニタリング(Immunological monitoring of Fenton fragment
ation of fibrinogen)」、Free Radicals Res.Comm.1
2:517−520(1991)、Francis,C.W.,Marder,
V.J.及びBarlow,G.H.、「架橋フィブリンの血漿分解(Plasmic d
egradation of crosslinked fibrin)」、J.Clin.Invest.,66
:1033−1043,(1980)、Cottrell,B.A.とDool
ittle,R.F.、「ヒトフィブリノゲンの血漿消化の際にα鎖のカルボキ
シ末端から放出される27残基のペプチドのアミノ酸配列(The amino acid sequ
ence of a 27-residue peptide released from α-chain carboxy-terminus dur
ing the plasmic digestion of human fibrinogen)」、Acad.Press.
,71:754−766,(1976))。
【0003】 その後、炎症細胞のあとには、フィブリンをさらに消化して細胞外基質(EC
M)と置き換える線維芽細胞のような間充織系列の細胞が移動してくる。内皮細
胞も創傷床に浸潤して、微小毛管構造を生じる。最終的にこれらの細胞は、仮の
フィブリン基質を実質細胞によって生じる顆粒組織とECM内の血管系に置き換
える。 細胞の接着と移動応答は特異的レセプタ(インテグリン)によって、あるいは
移動反応又は基質への細胞接着のいずれかの引き金となる細胞膜レセプタと相互
作用する細胞間接着分子(ICAM)によって制御される。これらの相互作用は
、細胞の活性、移動あるいは増殖の他の調節機序の引き金となりうる。成長因子
及びサイトカインは、これらの細胞レセプタに結合することによって活性化し、
その結果これらの細胞の応答を開始させる。
【0004】 様々なクラスのサイトカインが細胞活性と応答を調節し、細胞の生存、成長及
び分化を制御する。古典的内分泌性ホルモンを除いて、サイトカインは成長因子
、インターロイキン、リンホカイン及びインターフェロンとして様々に知られる
それらの族の細胞調節因子を包含する。 これまでに記述されているサイトカインはすべて50個以上のアミノ酸(aa
)から成る;大部分が100aa以上の長さである。X線結晶構造解析に基づく
と、サイトカインは8つの構造群を示し(Nathan C.& Sporn
M.、「コンテキストにおけるサイトカイン(Cytokines in context)」、J.C
ell Biol.113:981−986(1991))、インテグリンある
いはインターフェロンレセプタのような種々の細胞レセプタに結合する。細胞レ
セプタに結合することは、蛋白質の細胞内リン酸化を導く事象のカスケードの引
き金となり、それが遺伝子発現、細胞増殖、細胞分化、細胞形態や運動性及びア
ポトーシスの変化へと導入される。従って、サイトカインは発育や創傷治癒のよ
うな生理的過程において重要な役割を果たす。
【0005】 ヒト線維芽細胞は創傷床内における細胞外基質の再生の責任を担う重要な細胞
実体である。ヒト線維芽細胞はまた、フィブリノゲン及びトロンビンに対する特
異的膜レセプタを発現する。皮膚創傷の場合には、ヒト線維芽細胞は真皮の基質
を再形成する。例えば、切開皮膚創傷の治癒の過程において、ヒト線維芽細胞は
周辺組織から動員されてフィブリン血餅に入り込み、血餅を溶解するのを助け、
その後細胞外基質においてコラーゲンを生成ならびに再形成する。ヒト線維芽細
胞のこれらの特性に基づいて、損傷した皮膚の治癒過程を補足するために線維芽
細胞移植が提案された(Gorodetsky,R.ら、Radiat.Res
.,125:181−186,1991)。 このアプローチの1つの例は、創傷治癒のための、線維芽細胞及びケラチノサ
イトの担体として穴又は孔を有するベンゾイル化ヒアルロン酸(HA)シートの
使用である(Andreassi,L.ら、Wounds,3:116−126
,1991)。具体的には、HAシートを孔構造内で増殖するそのような細胞と
共に培養した。その後シートを熱傷部位に貼付すると、そこで細胞はシートから
移動し、最終的に創傷の肉芽化の速度を促進した。しかし、移植したHAシート
に関する重要な問題は、それらが組織によって代謝されず、また適用することが
機械的にやっかいであって、長期的には望ましくない免疫学的作用を引き起こし
うることである。
【0006】 1997年9月19日出願の米国出願第08/934,283号の中で、ある
種の細胞に関して化学走性作用と増殖作用の両方を持つものとしてフィブリンマ
イクロビーズ(FMB)が開示されている。それらの細胞は線維芽細胞と平滑筋
内皮細胞を含むが、代表的にはケラチノサイトを含まない。細胞は走化性によっ
てこれらのビーズ内へと移動し、その後ビーズ内で増殖することが示された。さ
らに、細胞はフィブリンマクロビーズ内で培養したとき長期間にわたって安定な
ままであることを示した。それ故、開示されたフィブリンマイクロビーズは細胞
の走化性と細胞増殖の両方を刺激すると思われた。 しかし、フィブリンマイクロビーズ自体は、それらの構造の故にある種の固有
の制限を有している。言い換えると、フィブリンマイクロビーズは架橋フィブリ
ン(フィブリノゲン)の三次元構造としてのみ特に有用である。他の構造を所望
する場合、特にそのような構造を持たないことを所望する場合には、フィブリン
マイクロビーズは特に有用ではないであろう。さらに、血漿蛋白質の使用を避け
るためにフィブリンマイクロビーズは特に有用ではないであろう。
【0007】 より有用なアプローチは、所望する走化及び走触特性の役割を担うフィブリン
(フィブリノゲン)の最小成分を同定することであろう。より大きなフィブリン
(フィブリノゲン)分子においてこれらの小さな成分を見出すための試みが為さ
れてきた。GPIIb/IIIaレセプタを通してのフィブリノゲン(γ400−4
11)の血小板への結合(例えばSavage B.,Bottini E.&
Ruggeri ZM.、「血小板接着の際のインテグリンαIIbβと多数の
フィブリノゲンドメインの相互作用(Interaction of integrin alpha IIb beta
with multiple fibrinogen domains during platelet adhesion)」、J.Bio
l.Chem.270:28812−7(1995)参照)、及びフィブリノペ
プチドBの放出後に接触するアミノBβ15−42末端の凝集活性を記述した多
大の文献が存在する。さらに、フィブリノゲンのgカルボキシ末端の配列の16
個のアミノ酸を含むペプチドが合成され、血小板インテグリンに結合することが
認められた(D’Souza,S.E.ら、J.Biol.Chem.,265
:3440−3446,1990)。しかし、他のいくつかのフィブリノゲン分
解産物の生物活性しか検討されていない。これら種々の分解産物の活性は極めて
多様であると思われる。
【0008】 例えばフラグメントEは、脈管形成特性を示し、ボイデンチェンバー化学走性
検定において内皮細胞の移動を阻害することが報告された(Thompson,
W.D.,Smith,E.B.,Stirk,C.M.,Marshall,
F.I.,Stout,A.J.及びKocchar,A.、「フィブリン分解
産物の脈管形成活性はフィブリンフラグメントEに位置する(Angiogenic activi
ty of fibrin degradation products is located in fibrin fragment E)」、J
.Pathol.,168:47−53(1992))。フラグメントDは、濃
度及び時間依存的プロセスで細胞外基質(ECM)の下層から培養内皮細胞の分
離を生じさせることが報告された(Savage B.,Bottini E.
& Ruggeri ZM.、「血小板接着の際のインテグリンαIIbβと多数
のフィブリノゲンドメインの相互作用(Interaction of integrin alpha IIb bet
a with multiple fibrinogen domains during patelet adhesion)」、J.Bi
ol.Chem.270:28812−7(1995))。トロンビンによるフ
ィブリノゲンの活性化の際に放出されるフィブリノゲンの分離成分の鎖(Aα1
、Aα2及びBβ)は対照を23−31%上回って線維芽細胞の増殖を刺激する
ことが認められたが、分離したγ鎖は作用を及ぼさなかった(Gray,A.J
.,Bishop,J.E.,Reeves,J.T.及びLaurent,G
.J.、「フィブリノゲンのAα及びBβ鎖はヒト線維芽細胞の増殖を刺激する
(Aa and Bβ Chains of fibrinogen stimulate proliferation of human fibrob
lasts)」、J.Cell Sci.,104:409−413,(1993))
。ヒト多形核白血球(PMN)は、γ鎖カルボキシ末端のデカマー(LGGAK
QAGDV)を通してGPIIb/IIIaレセプタに相同な3型(CD11b/C
D18)補体レセプタにより、フィブリン(フィブリノゲン)被覆表面に結合す
ることが示された。Bβ鎖の残基43−47とAα鎖の残基220−230に対
応する血管作用性ペプチドが同定された(Gray,A.J.,Bishop,
J.E.,Reeves,J.T.及びLaurent,G.J.、「フィブリ
ノゲンのAα及びBβ鎖はヒト線維芽細胞の増殖を刺激する(Aa and Bβ Chains
of fibrinogen stimulate proliferation of human fibroblasts)」、J.Ce
ll Sci.,104:409−413,(1993))。
【0009】 フィブリノゲン自体は、セファロースビーズに結合したとき、細胞増殖に有意
の影響を与えないが、ヒト(HF)又はマウス(MF)線維芽細胞、内皮細胞(
EC)及び平滑筋細胞(SMC)に関する接触走性/接着作用を及ぼした。分子
のカルボキシ末端に影響を及ぼさない、フィブリノゲン−セファロースビーズ(
FB)のトロンビン処理は、細胞応答を変化させなかったが、γカルボキシ末端
を切り取ってDドメイン配列を消化するプラスミンは、FBの細胞誘因特性をほ
ぼ完全に消失させた。 フィブリン分子のある部分が細胞結合特性を発現すると仮定されてきた。しか
し、フィブリン(フィブリノゲン)の化学走性及び細胞増殖作用の責任を担うす
べてのセグメントの同一性は明確にされていない。そのようなセグメントの同定
は、創傷治癒の過程、そして新しい治療組成物あるいは装置の開発へのより特異
的な参入を可能にするであろう。さらに、例えばそのようなセグメントの作用に
対する細胞の応答、あるいはその欠如に基づいて、新規診断試験が潜在的に開発
できるであろう。それ故、細胞活性を示すこれらの特異的セグメントあるいはペ
プチドの同定は大きな有用性を持つであろう。 細胞作用を及ぼすためにフィブリン分子全体の存在を必要としない、細胞増殖
及び走化特性のような特に定められた細胞作用を持つ単数又は複数のペプチドを
入手することの必要性が認識されており、それはまた極めて有益であろう。
【0010】 (発明の要旨) フィブリノゲンのカルボキシ末端内において特徴づけられる新規アミノ酸配列
を持つペプチドを提供することが本発明の1つの目的である。 製薬組成物のために有用であるそのようなペプチドを提供することが本発明の
もうひとつの目的である。 細胞培養及び細胞分離のために有用であるそのようなペプチドを提供すること
が本発明のさらにもうひとつの目的である。 生体医用装置を含めて、新規細胞構造のために有用であるそのようなペプチド
を提供することが本発明のさらにもうひとつの目的である。 本発明のこれら及びその他の目的を下記の説明、図面及び特許請求の範囲にお
いて詳述する。
【0011】 本発明の新規ペプチド配列はフィブリン分子の領域に相同であるが、例えば細
胞接着作用のような完全な分子の特定の所望特性を保持している。これらのペプ
チドは、 KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ(ペプチド−09)、 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV(ペプチド−70)及び RGADYSLRAVRMKIRPLVTQ(ペプチド−71) である。 本発明の教示によれば、KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQの配列
を持つアミノ酸の鎖を含むペプチドが提供される。さらに、LTIGEGQQH
HLGGAKQAGDVの配列を持つアミノ酸の鎖を含むペプチドが提供される
。またさらに、RGADYSLRAVRMKIRPLVTQの配列を持つアミノ
酸の鎖を含むペプチドが提供される。
【0012】 本発明のもうひとつの実施態様によれば、KGSWYSMRKMSMKIRP
FFPQQ、LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及びRGADYSLR
AVRMKIRPLVTQから成る群から選択される配列を持つペプチドを含む
組成物が提供される。好ましくは、組成物は製薬上許容される担体をさらに含む
。また好ましくは、組成物は、薬剤、ビタミン、ビタミン誘導体、成長因子、グ
ルココルチコステロイド、ステロイド、抗生物質、毒素、酵素、酵素阻害因子、
免疫調節剤、免疫グロブリン及びそのフラグメント、脂肪酸誘導体、多糖類、細
胞レセプタ結合分子、抗炎症薬、核酸、ならびにポリヌクレオチドから成る群か
ら選択される生物学的作用物質をさらに含む。 本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨
細胞、神経芽細胞腫細胞、腎細胞、肝細胞、膵細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、
平滑筋細胞、マウス乳癌細胞、骨又は軟骨形成細胞、及びそれらの組合せから成
る群から選択される細胞をさらに含む。好ましくは、細胞型は、線維芽細胞、平
滑筋細胞、内皮細胞、軟骨細胞、及びそれらの組合せから成る群から選択される
。より好ましくは、細胞型は線維芽細胞である。
【0013】 本発明のもうひとつの実施態様によれば、被験者において創傷の治癒を促進す
るための方法であって:(a)KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、
LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及びRGADYSLRAVRMKI
RPLVTQから成る群から選択される配列を持つペプチドを特徴とする組成物
を提供するステップと、そして(b)製薬上有効な量の組成物を被験者の創傷に
投与するステップとを含む方法が提供される。好ましくは、組成物は生物学的作
用物質をさらに含み、かかる生物学的作用物質は、薬剤、ビタミン、ビタミン誘
導体、成長因子、グルココルチコステロイド、ステロイド、抗生物質、毒素、酵
素、酵素阻害因子、免疫調節剤、免疫グロブリン及びそのフラグメント、脂肪酸
誘導体、多糖類、細胞レセプタ結合分子、抗炎症薬、核酸、ならびにポリヌクレ
オチドから成る群から選択される。 また好ましくは、組成物は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫
細胞、腎細胞、肝細胞、膵細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス
乳癌細胞、骨又は軟骨形成細胞、及びそれらの組合せから成る群から選択される
細胞をさらに含む。
【0014】 本発明のさらにもうひとつの実施態様によれば、:(a)KGSWYSMRK
MSMKIRPFFPQQ、LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及びR
GADYSLRAVRMKIRPLVTQから成る群から選択される配列を持つ
ペプチド;(b)ペプチドに結合した細胞;及び(c)細胞が構造によって支持
されるようにペプチドが構造に接着している、細胞を支持するための構造を含む
細胞構造が提供される。好ましくは、構造は生体医用装置である。さらに好まし
くは、生体医用装置はプロテーゼである。またさらに好ましくは、構造はゲルで
ある。その代わりとして、またより好ましくは、構造はコラーゲンのシートであ
る。 本発明のもうひとつの実施態様によれば、:(a)KGSWYSMRKMSM
KIRPFFPQQ、LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及びRGAD
YSLRAVRMKIRPLVTQから成る群から選択される配列を持つペプチ
ド;及び(b)ペプチドがレセプタに結合する能力がリポーターによって伝達さ
れるシグナルに従って測定される、シグナルを伝達するためのリポーターを含む
、レセプタへの結合を評価するための組成物が提供される。好ましくは、リポー
ターは蛍光部分及び放射性部分から成る群から選択される。また好ましくは、レ
セプタは蛋白質である。また、好ましくは、レセプタは細胞の内在性部分である
【0015】 本発明のさらにもうひとつの実施態様によれば、レセプタへのペプチドの結合
を測定するための方法であって:(a)シグナルを伝達するためのリポーターで
標識した、KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、LTIGEGQQH
HLGGAKQAGDV及びRGADYSLRAVRMKIRPLVTQから成
る群から選択されるペプチドを提供するステップと;(b)ペプチドをレセプタ
に接触させるステップと;そして(c)リポーターによって伝達されるシグナル
に従ってレセプタへのペプチドの結合を測定するステップとを含む方法が提供さ
れる。 本発明のさらにもうひとつの実施態様によれば、ペプチドに結合することがで
きる細胞を混合物から分離するための方法であって:(a)細胞がペプチドに結
合するように、KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、LTIGEGQ
QHHLGGAKQAGDV及びRGADYSLRAVRMKIRPLVTQか
ら成る群から選択されるペプチドと共に混合物をインキュベートするステップと
;そして(b)細胞が混合物から分離されるように、混合物からペプチドを除去
するステップとを含む方法が提供される。好ましくは、ペプチドを除去するステ
ップが支持体と混合物を分離することによって実施されるように、ペプチドは支
持体に接着している。より好ましくは、支持体はゲルクロマトグラフィーの基質
である。
【0016】 さらにもうひとつの実施態様によれば、:(a)細胞がペプチドに結合して、
構造上で増殖するように、KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、LT
IGEGQQHHLGGAKQAGDV及びRGADYSLRAVRMKIRP
LVTQから成る群から選択されるペプチドを接着させるための構造;及び(b
)細胞に栄養を供給するために細胞を接触させるための培地を含む、ペプチドに
結合することができる細胞を培養するための系が提供される。 本発明のもうひとつの実施態様によれば、:(a)各々のサブユニットが、K
GSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、LTIGEGQQHHLGGAK
QAGDV及びRGADYSLRAVRMKIRPLVTQから成る群から選択
される少なくとも1個のペプチドを特徴とする、複数のサブユニット;及び(b
)ポリマーを形成するために各々の複数サブユニットをもうひとつの複数サブユ
ニットに接着させるための複数のリンカー部分を含むポリマーが提供される。好
ましくは、ポリマーがペプチドポリマーであるように、サブユニットは少なくと
も1個のペプチドから成る。その代わりとして、好ましくは、ポリマーがコポリ
マーであるように、少なくとも1個のペプチドがサブユニットに接着している。 本文中以下では、「創傷治癒細胞」の語は、線維芽細胞、平滑筋内皮細胞及び
ケラチノサイトを含むがこれらに限定されない、創傷の治癒を促進する細胞をさ
す。
【0017】 「フィブリン(フィブリノゲン)」の語は、当該技術においてフィブリンとフ
ィブリノゲンの混合物として知られており、本文中ではこの定義に従って言及す
る。本文中以下では、「生物学的に活性」の語は、生物系に作用を及ぼすことが
できる分子あるいはその複合体をさす。本文中以下では、「フラグメント」の語
は、分子あるいはその複合体の全体よりも実質的に少ない、分子あるいはその複
合体の部分をさす。
【0018】 本文中以下では、「アミノ酸」の語は、天然及び合成のもうひとつの分子とペ
プチド結合を形成することができる、天然及び合成の両方の分子をさす。本文中
以下では、「天然アミノ酸」の語は、正規及び非正規の両方の天然アミノ酸を含
めて、天然に生じるすべてのアミノ酸をさす。本文中以下では、「正規天然アミ
ノ酸」の語は、通常蛋白質の成分として使用されるアミノ酸をさす。本文中以下
では、「非正規天然アミノ酸」の語は、通常真核生物あるいは原核生物によって
蛋白質の成分として使用されない、哺乳類又は哺乳類以外の真核生物によってあ
るいは原核生物によって産生される、天然に生じるアミノ酸をさす。本文中以下
では、「合成アミノ酸」の語は、人工的に生産され、真核生物あるいは原核生物
において天然には生じないが、上記に定義したアミノ酸の必要特性を満たすすべ
ての分子をさす。本文中以下では、「ペプチド」の語は、アミノ酸の配列の鎖と
、合成及び天然アミノ酸を有する類似体を含めて、実質的にそれと同様又は同一
の機能性を有する類似体及びミメティックの両方を含む。下記の表1に示すよう
に、ペプチド−07はフィブリノゲンのα鎖のC末端のアミノ酸配列を持つ。
【0019】 (発明の簡単な説明) 本発明は、新規ペプチド及びヌクレオチド配列、そして特に新規ペプチドのア
ミノ酸配列及び等価のヌクレオチド配列、ならびにこれらの配列についての潜在
的な用途に関する。例えば、これらのペプチド配列は、治療及び診断用途のよう
な潜在的医療用途を持つ。ペプチド配列はフィブリン分子の領域に相同であるが
、例えば細胞接着作用のように、完全な分子のある種の所望される特性を保持し
ている。 特に、これらのペプチドはカルボキシ末端のフィブリノゲン配列であり、中で
も正常なフィブリン(フィブリノゲン)のα、β及びγ鎖のカルボキシ末端の最
後の20個のアミノ酸、ならびに最近発見されたαE鎖、いわゆる延長αEセグ
メント(αE)(Fu,Y.とGrieninger,G.、「Fib420:
2本の延長α鎖を持つフィブリノゲンの正常ヒト変異体(Fib420: A normal huma
n variant of fibrinogen with two extended α chains)」、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,91:2625−2628,(1994))の
ものである。これらのペプチドの配列を下記の表1に示す。
【表1】 フィブリノゲンのカルボキシ末端に対応する合成ペプチド
【0020】 本文中以下では、「ペプチド」の語は、次のものから成る群から選択される配
列を持つペプチド−09、70あるいは71: KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、LTIGEGQQHHLGGA
KQAGDVあるいはRGADYSLRAVRMKIRPLVTQ;ならびにそ
の類似体、等価物あるいはペプチドミメティック、あるいは上記に列挙した配列
の1つと実質的に同一又は同様の機能的活性を示すそのフラグメントをさす。 これらのペプチドの有糸分裂誘発作用を細胞培養系において試験した。ペプチ
ド−07に関しては全く作用を認めなかった。また、ペプチド−71だけが細胞
増殖作用を有していた。これらのペプチドを、ほぼ集密な細胞培養に置いたセフ
ァロースビーズ(SB)に結合したときの接着特性についても評価した。特に、
ペプチド−09は最大の接着能力を有していた。次に強力なペプチド/ビーズの
組合せはペプチド−71であった。ペプチド−70はECに関して接触走性であ
ると思われた。従って、細胞培養系において試験したとき、ペプチド−07を除
いて、ペプチドは細胞接着作用を持つことを明瞭に示し、1つのペプチドは同時
にある程度の細胞増殖作用も示した。 2つの最も強力なペプチド、ペプチド09と71は、YSXXMKIRP XXXの下線を付した配列を共有する。共有配列自体も、場合によっては適切
な幾何学的構造のための単数又は複数のスペーサー部分を付加して、本発明のペ
プチドとして想定される。 本発明のペプチドは多くの異なる用途が想定される。治療用途は、創傷床の治
療を含むがこれに限定されない。本発明のペプチドによる創傷床の治療のための
方法は下記の実施例3においてより詳細に述べる。さらに、本発明のペプチドを
含む治療組成物を下記の実施例4でより詳細に述べる。
【0021】 本発明のペプチドのさらなる用途は、細胞培養系における細胞の増殖と輸送、
混合細胞培養からのそれぞれのタイプの細胞の分離、及び組織あるいは細胞培養
への細胞の移植を含むが、これらに限定されない。これらの用途は下記の実施例
2においてより詳細に説明する。さらに、下記の実施例5でより詳細に説明する
ように、本発明のペプチドはまた、生物学的分析のため及びさらなる研究と開発
のためのツールとしても使用できる。 本発明のペプチドのこれらの想定用途は、例示としてのみを意図するものであ
り、いかなる意味においても限定を意味しない。 ペプチドのこれらの用途に加えて、等価ヌクレオチド配列も有用性を持つと想
定される。「等価ヌクレオチド配列」の語は、本発明のペプチドのアミノ酸配列
の少なくとも1つをエンコードしうるポリヌクレオチドの配列をさす。そのよう
なポリヌクレオチドは、例えばDNA(デオキシリボ核酸)あるいはRNA(リ
ボ核酸)でありうる。等価ヌクレオチド配列は、例えば被験者が適切に血餅を発
現し、溶解することができないことを診断するための診断キットにおいて使用で
きる。それ故、本発明の等価ヌクレオチド配列も本発明の範囲内で有用性を持つ
【0022】 (発明の詳細な説明) ここでは、単なる例示として、次のような添付の図面を参照して本発明を説明
する。 本発明は、フィブリンの新規ペプチド配列及びその関連ヌクレオチド配列を対
象とする。創傷治癒の促進のための方法ならびに診断方法を含めて、これらのペ
プチド及びヌクレオチド配列を使用する方法も想定されている。これらのペプチ
ド配列は、細胞接着のような、完全なフィブリン分子が示す望ましい特性を保持
している。 本発明によるフィブリンのそのようなペプチドアミノ酸配列及び関連ヌクレオ
チド配列の原理と操作は、下記の非制限的実施例を参照してよりよく理解される
であろう。
【0023】実施例1 ペプチドフラグメントの合成と作用の分析 本発明のペプチドを合成し、下記に述べるような細胞培養系において試験した
。実験手順は、「実験手順」と題する章で述べる。結果は、「実験結果」と題す
る章に示す。 基本的には、ペプチド−07、ペプチド−09、ペプチド−70及びペプチド
−71と称するペプチドは、それぞれSB−07、SB−09、SB−70及び
SB−71を形成する為に合成され、セファロースビーズに共有結合される。フ
ィブリノゲンもSB−Fibを形成する為に、セファロースビーズに共有結合さ
れる。次にビーズ−ペプチドの組合せを培養細胞と共にインキュベートした。そ
のデータを下記の「実験結果」の章に示す。要約すると、SB−09が結合に関
して最も強力であると思われ、フィブリン(フィブリノゲン)に結合するすべて
の細胞系(cell lines)についてSB−Fibよりもさらに高い潜在
能を示した。OV−1063、ケラチノサイト及び白血球系列から誘導した細胞
を除いて、試験したすべての細胞系がこれらの条件下でSB−09に結合した。
その次に強力なペプチド/ビーズの組合せはSB−71であり、以下の細胞系に
ついてSB−71に関する強い結合を認めた:HF、MF、EC及びEMT−6
。SB−71へのSMC細胞の弱い結合も認められた。SB−70は、おそらく
これらの細胞の継代と取扱いの間に特異的レセプタが分解したために、一定しな
い結合を認めたが、ECに特異的であると思われた。SB−07への細胞結合は
全く認めなかった。 興味深いことに、試験した4つのペプチドのうちでペプチド−71だけが細胞
増殖を誘導すると思われた。さらに、FITC標識したペプチド−71と09は
明らかに細胞膜に結合することができ、長期的な接触後、細胞質中に蓄積して、
核周囲領域と顆粒体に移動した。
【0024】実験手順 ペプチドの調製 カルボキシ末端フィブリノゲンのペプチド類似体を標準的手法(Synthe
tic Peptide Corp.,Dublin,California,
USA)に従って合成した。これらの類似体のアミノ酸配列は上記の表1に示さ
れている。各々のペプチドをフロオレセインあるいはEACA(εアミノカプロ
ン酸)のいずれかの蛍光標識で標識化した。標識化は、例えばペプチド自体の合
成の際に、当該技術において周知の方法に従って実施した。ペプチドあるいは蛋白質と結合したセファロースビーズの調製 アルブミン、フィブリノゲン及びトロンビンを結合するためにこれまでに使用
されている手法を用いて、ペプチドあるいはフィブリノゲンをCNBr活性化セ
ファロースビーズ(SB)(Pharmacia,Piscataway,NJ
)に共有結合した。簡単に述べると、CNBr活性化セファロース4B(Pha
rmacia)を1N HClで洗い、製造者から供給されるプロトコルに従っ
てカップリング緩衝液(pH8.3)に懸濁した。ペプチドをカップリング緩衝
液に透析してトリスを除去した。ペプチド(1mg)はあまり水に可溶性ではな
かった。ペプチドを1mLの70%エタノール又はジメチルホルムアミドに溶解
し、その後CNBr活性化セファロース1mLを含むカップリング緩衝液に混合
した。懸濁液をひと晩静かに撹拌し、その後500×gで遠心分離してビーズを
充填した。この手順は、溶液のAbs280読取りによる測定で95%以上のフ
ィブリノゲンあるいはペプチド−07及び09をビーズに共有結合する。SBに
結合したペプチドの濃度は次の通りであった:ペプチド07は7mg/mL、ペ
プチド09は5.2mg/mL、ペプチド70は9.6mg/mL、ペプチド7
1は6.0mg/mLであった。ビーズをトリス−食塩緩衝液で洗浄し、0.1
%アジ化合物と共に4℃で保存した。使用前に、ビーズを滅菌食塩水で3回洗浄
してアジ化合物のすべての痕跡を除去した。 細胞と共にインキュベートしたあと、4%グルタルアルデヒドで固定し、臨界
点乾燥して、四酸化オスミウムで被覆し、Au/Pdでスパッター被覆して、ビ
ーズのサンプルを走査電子顕微鏡(SEM)用に調製し、それからHitach
i S‐530走査顕微鏡で検査した。
【0025】細胞培養の調製 すべての細胞培養をこれまでに述べられているように調製した。正常ヒト皮膚
線維芽細胞(HF)を若年ヒト被験者の生検材料から分離した。皮膚の真皮層を
細切し、0.25%トリプシン/ベルセン(versen)で1時間消化した。
分離した細胞を洗い、10%ウシ胎児血清(FCS)、抗生物質及びグルタミン
を補足したDMEMの入ったプラスチック製ペトリ皿に塗布した。10時間後に
プレートを洗浄し、より良好に接着した線維芽細胞を選択した。3〜4継代で、
顕微鏡で判定したとき細胞は均質な個体群の線維芽細胞で構成された。モノクロ
ーナル抗ヒト線維芽細胞表面蛋白質による免疫組織学的検査で、この手順が均質
な線維芽細胞培養を生じることが確認される(Ronnov−Jessen L
,Celis JE,Van‐Deurs B,Petersen OW:「線
維芽細胞関連抗原:線維芽細胞における特性指摘と平滑筋分化間質細胞の免疫反
応性(A fibroblast-associated antigen: characterization in fibroblasts an
d immunoreactivity in smooth muscle differentiated stromal cells)」、J
.Histochem.Cytochem.40:475−486(1992)
)。正常マウス線維芽細胞(MF)を2〜3日齢の新生児C3Hマウスの皮膚か
ら、トリプシン/ベルセンによる各々2時間ずつの3段階消化によって分離した
。コラーゲンの架橋が弱い新生児マウスの使用は、蛋白質分解消化の際に細胞の
収率を高めるのに役立った。プロトコルの残りの部分についての詳細はHFの分
離と増殖に使用したものと同様である。これらの細胞は、増殖率の低下が起こる
までに少なくとも12〜14継代増殖することができた。細胞は第4継代から第
10継代までを使用した。
【0026】 ブタ平滑筋細胞(SMC)を若齢動物の胸大動脈から分離し、週に2回の培地
の交換で培養し続けて、1〜2週間に1回分割した。10継代までの細胞を使用
した。SMC培養の純度をモノクローナル抗筋肉特異的アクチンHHF−35を
用いた免疫組織学的検査によって確認した(Bar−Shavit R,Ben
ezra M,Eldor A,Hy−Am E,Fenton JW,Wil
ner GD & Vlodavsky I:「細胞外基質に固定したトロンビ
ンは血管平滑筋細胞の強力なマイトジェンである:非酵素的作用機構(Thrombin
immobilized to extracellular matrix is a potent mitogen for vascular smo
oth muscle cells: nonenzymatic mode of action)」、Cell Regul.
1:453−463,1990)。他の細胞系は種々のソースから入手し、次の
参考文献に述べられているようにそれらの標準的条件で培養した:マウス線維芽
細胞系(3T3)及び正常ヒトケラチノサイト(Ben−Bassat H,E
ldad A,Chaouat M,Livoff A,Ron N,Neem
an Z,及びWexler MR:「複合皮膚移植片における変異の構造的及
び機能的評価:凍結保存真皮と培養ケラチノサイト(Structural and functional
evaluation of modifications in the composite skin graft: cryopreserved
dermis and cultured keratinocytes)」、Plastic & reconst
ructive Surgery 89:510−520(1992));マウ
ス肥満細胞(MC−9)(Razin E.とMarx G.、「培養骨髄から
誘導した肥満細胞のトロンビン誘導性脱顆粒(Thrombin-induced degranulation
of cultured bone marrow-derived mast cells)」、J.Immunol,13
3:3282−3285(1984));正常ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)
(Vlodavsky I,Greenburg G,Johnson LK及
びGospodarowicz D:「線維芽細胞成長因子の不在下に保持した
血管内皮細胞は、それらのin vivoでの分化特性に不適合な構造的及び機
能的変化を受ける(Vascular endothelial cells maintained in the absence of
fibroblast growth factor undergo structural and functional alterations
that are incompatible with their in vivo differentiated properties)」、
J.Cell Biol.83:468−486,1979);先に述べたよう
に分離して培養したブタ平滑筋細胞(Bar−Shavit R,Benezr
a M,Eldor A,Hy−Am E,Fenton JW,Wilner
GD & Vlodavsky I:「細胞外基質に固定したトロンビンは血
管平滑筋細胞の強力なマイトジェンである:非酵素的作用機構(Thrombin immobi
lized to extracellular matrix is a potent mitogen for vascular smooth mu
scle cells: nonenzymatic mode of action)」、Cell Regul.1:4
53−463,1990);マウス白血病細胞(P−388)(Ramu A,
Ramu N.& Gorodestsky R、「p388細胞における多剤
耐性の考えられる機序としてのウアバイン耐性カリウム侵入の低下(Reduced oub
ain resistant potassium entry as a possible mechanism of multidrug-resis
tance in p388 cells)」、Biochem.Pharmacol.,42:16
99−1704(1992));ヒト卵巣癌細胞(OV−1063)は、先に述
べられているように原発性腫瘍から分離して保持した(Horowitz AT
,Treves AJ,Voss R,Okon E,Fuks Z,Davi
dson L.及びBiran S.、「新しいヒト癌細胞系:腫瘍関連マーカ
ーの確立と分析(A new human carcinoma cell line: establishment and analys
is of tumor associated markers)」、Oncology 42:332−33
7(1985));マウス乳腺癌細胞(EMT−6)は標準的条件下で増殖させ
た(Rockwell S.、「in vivo及びin vitroでのEM
T6マウス乳腺癌細胞への酸素欠乏細胞感作物質の細胞傷害及び放射線増感作用
(Cytotoxic and radiosensitizing effects of hypoxic cell sensitizers on E
MT6 mouse mammary tumor cells in vivo and in vitro)」、Br J Can
cer 37:212−215(1978));ならびにマウスマクロファージ
様細胞(J774.2)(Ringel R,Roy SN.及びHorowi
tz SB.、「J774.2細胞におけるタキソール耐性に関連するホスホグ
リコプロテイン(A phosphoglycoprotein associated with taxol resistance in
J774.2 cells)」、Cancer Res.45:3856−3863(198
5))。 培地成分はすべてBiological Industries(Beit−
HaEmek,Israel)から購入し、ウシ胎児血清はGIBCO(Gra
nd Island,New York,NY,USA)から供給された。細胞
培養は、水で包被したCO2インキュベータにおいて37℃に保持し、迅速に増
殖する形質転換細胞については1:10、正常細胞型については1:4の分割率
で週に1〜2継代の割合でトリプシン/ベルセン溶液によって採集した。
【0027】細胞増殖に関するアッセイ 2つの異なる比色アッセイにより時間の関数として細胞密度を測定して、細胞
増殖を評価した。MTS比色アッセイ(PromegaによるCell Tit
re 96 Aqueous Assay)は、生存可能細胞によるMTS(メ
チルテトラゾリウム塩)の着色テトラゾリウム塩へのデヒドロゲナーゼ変換に基
づく(Ge M.,Tang,G.,Ryan,T.J.及びMalik,A.
B.、「フィブリノゲン分解産物、フラグメントDは細胞介在性フィブリン溶解
の活性化によって内皮細胞の剥離を誘導する(Fibrinogen degradation product
fragment D induces endothelial cell detachment by activation of cell-med
iated fibrinolysis)」、J.Clin.Inves.、90:2508−25
16(1992));メチレンブルー(MB)アッセイは、固定後の単層細胞の
染色と吸収された染料の吸光度の読取りに基づいている。 生存可能細胞に関するMTSアッセイを次のように実施した:新鮮調製したM
TS/PMS30μLを各々のウエルに加えた:37℃で2時間インキュベート
したあと、プレートをコンピュータ推進マイクロプレート読取り機(Antho
s HT−II,Salzburg,Austria)にのせ、1分間プレート
を振とうし、その後490nmで染料の光学密度(OD)を読み取るようにプロ
グラムした。4時間と6時間のインキュベーション後に測定を繰り返した。
【0028】 MBアッセイについては、実験の最後に10〜15分間2.5%グルタルアル
デヒド50μLを加えて細胞を固定した。次にプレートを脱イオン水で10回、
ホウ酸緩衝液(0.1M,pH8.5)で1回洗浄して乾燥し、MB(ホウ酸緩
衝液中1%溶液100μL)で染色して、室温で2時間インキュベートした。細
胞を十分に洗って結合していない染料を除去し、空気乾燥した。各々のウエル中
の細胞に結合したMB染料を0.1N HCl 200μLと共に37℃で1時
間インキュベートして抽出し、620nmで読み取った。各々の実験に関して、
試験した各々の条件について3ウエルを使用した。これまでに、メチレンブルー
アッセイによる正味吸収はプレート上の細胞密度に相関する(r>0.99)こ
とが示されている。各実験のそれぞれの点は3ウエルの読取りの平均値であった
;グラフ中のデータ点は両方のアッセイの2〜3回の反復実験を表す。 両アッセイについて代表的には、対照に比して加えたペプチドの作用は72時
間目と96時間目で同様であり、平均することができた。
【0029】セファロースビーズ(SB)に結合したペプチドへの細胞接着のアッセイ SBに共有結合した(フィブリノゲンのような)蛋白質あるいはペプチドへの
細胞の移動/接着応答を次のように測定した:細胞を6又は12ウエルプレート
で集密近くまで、あるいは懸濁液中で細胞がプレート表面の約1/2から2/3
を覆うまで増殖させた。その時点で、被験蛋白質あるいはペプチドで被覆した5
0%v/vSBを含む懸濁液約20〜150mLをプレートに加え、1分間静か
に振とうして分散させた。その後プレートをインキュベータに戻し、種々の時点
で倒立顕微鏡によって検査した。 SB(被覆あるいは被覆なし)は集密に近い細胞層に沈殿し、時としてプレー
ト上の細胞膜と物理的に接触した(ブラウン運動あるいは微量対流電流に帰せら
れた)。積極的な応答系では、これは細胞層へのSBの捕捉を生じさせ、種々の
時点で肉眼検査により検出することができた。代表的には、各ウエルで300(
200以上)のビーズが計数され、SBの総数に対する細胞結合SBの比率を計
算することができた。種々の時間間隔で細胞表面に接着したSBのパーセンテー
ジを計数することにより、被覆ビーズの細胞への接着の動態に関する定量的アッ
セイが得られた。被覆していないSBによる陰性対照あるいはSB−フィブリノ
ゲンに関する陽性対照を少なくとも3ウエルで使用し、各々について測定した。
総計数の平方根から統計誤差を計算した。電子顕微鏡検査 セファロースビーズに接着した細胞のサンプルを先に述べたように固定し、そ
の後Hitachi S−530走査顕微鏡(SEM)で検査した。蛍光顕微鏡検査 検査する細胞は、ほぼ集密に達するまでカバーガラス(cover slip
)上の6ウエルプレートで増殖させた。検査時に、カバーガラスを裏返して、カ
バーガラス上の細胞とスライドの間に細い間隙(〜2mm)が残るように2つの
細いスペーサーで支持した顕微鏡スライドの上に置いた。これを培地で満たした
。吸収を追跡するため、FITC標識ペプチド(09)10μg/mLを間隙の
培地に加えた。種々の時点で、培地を新鮮培地に交換し、Olympus蛍光顕
微鏡系を使用して蛍光を観察し、写真撮影した。
【0030】実験結果 フィブリノゲンあるいはペプチド被覆セファロースビーズの細胞への接着 SB−フィブリノゲンあるいはペプチド被覆ビーズをほぼ集密な細胞と共にイ
ンキュベートした。対照の「裸の」SBは細胞層と相互作用せず、長期間のイン
キュベーション後も培地中で自由に浮遊し、細胞への接着は0パーセントに終わ
った。細胞に接着したSB−Fib/ペプチドのパーセンテージ(4日目まで)
を表2の2〜6の欄に示す。 フィブリノゲンあるいはフィブリノゲンの4つのカルボキシ末端の合成ペプチ
ド類似体の1つで被覆したセファロースビーズは、表2および図2に示すように
、検討した大部分の細胞系の細胞を誘引し、結合する上で活性であった。例えば
、ペプチド09で被覆したセファロースビーズ(SB−09)は6種類の細胞系
のうち5つに結合し、SB−Fibよりも高い効率であった。ペプチド71で被
覆したセファロースビーズ(SB−71)は6種類の細胞系のうち4つに結合し
た。ペプチド70で被覆したセファロースビーズ(SB−70)は6種類の細胞
系のうち1つに結合した。ペプチド07で被覆したセファロースビーズ(SB−
07)はいずれにも結合しなかった。一部の場合に、内皮細胞(EC)への強い
結合が認められたが、この応答は再現性ではなかった。
【表2】 正常培養細胞へのペプチド被覆SBの結合 *応答は異なる細胞バッチによって変動があった。
【0031】 図2は、様々な細胞型に関する本発明のペプチドの接触走性作用(接着)を示
す。図2Aは、マウス及びヒト線維芽細胞へのSB−07、SB−09、SB−
フィブロネクチンあるいはSB−アルブミンの作用を示す。図2Bは、平滑筋細
胞へのSB−07、SB−09、SB−フィブロネクチンあるいはSB−アルブ
ミンの作用を示す。図2Cは、平滑筋細胞及びヒト線維芽細胞へのSB−70あ
るいはSB−71の作用を示す。フィブロネクチンは接触走性であることが知ら
れているが、アルブミンは接触走性ではない。SB−アルブミンとSB−07は
いずれの細胞型にも結合しない。SB−09とSB−フィブロネクチンは試験し
たすべての細胞型に結合した。SB−71は、SB−09よりも活性はいくぶん
低いが、ヒト線維芽細胞に結合し、一方平滑筋細胞には一過性にしか結合しなか
った。SB−70はヒト線維芽細胞及び平滑筋細胞にごくわずかしか結合しなか
った。 図3は、本発明のSB−ペプチドへの様々な細胞型の接着パーセンテージを示
す。SB−07はやはりいずれの細胞型にも結合しなかった。SB−09は、O
V−1063細胞系と肥満細胞を除いて、試験したすべての細胞型に結合した。
SB−70は内皮細胞にのみ結合した。SB−71は、SB−09に結合したす
べての細胞型に結合したが、その度合がより低かった。
【0032】細胞増殖へのペプチドの作用 1μg/mLあるいは100μg/mLフィブリノゲンあるいはトロンビン(
最終濃度)までのペプチドを培地に加えて、MTSアッセイを用いて3日目まで
の細胞数を測定した。観察された細胞数の変化を食塩水対照と比較した。被験ペ
プチド、フィブリノゲンとトロンビンの増殖作用をMTS比色アッセイで測定し
た。1μg/mLまでの用量(100μg/mLフィブリノゲンとほぼ等モル)
で試験した4つのペプチドのうちで、ペプチド−71はHF及びMFの細胞増殖
を促進することができたが、残りのペプチドは細胞増殖にほとんど作用を及ぼさ
なかった(表3及び図1)。
【表3】 培養細胞へのフィブリノゲン及びペプチドの増殖作用
【0033】細胞によるFITC−09及びFITC−71の取込み 培養したヒト線維芽細胞を10マイクロモルのペプチドFITC−71溶液に
接触させると、インキュベーションの1時間目(図4Aと4B)と2時間目(図
4C〜E)に、蛍光顕微鏡検査で示すようなヒト線維芽細胞による取込みを生じ
た。細胞質及び核周囲へのFITC−ペプチドの蓄積が明らかに認められた。 培養HF、EC及びSMC細胞を10マイクロモルのペプチドFITC−09
溶液に接触させると、ペプチド−71に関して認められたのと同様の有意の取込
みを生じた。細胞を5〜10マイクロモルのペプチドFITC−09に短期間接
触させると、FITC−ペプチドが細胞膜に結合することが認められた。1時間
以上のより長期的な接触後あるいは固定した細胞との接触後には、細胞質中と核
周囲へのFITC−ペプチドの蓄積が明瞭に認められた(データは示していない
)。ほとんどの場合、分離した細胞質小胞において蛍光が濃縮された。EC細胞
に関しては、取込みは濃度依存的であることが示された(図4F)。
【0034】FITC標識ペプチド−09、71、70及び07のFACS分析 EC及びHF細胞単層を洗い、トリプシン/ベルセンと共にインキュベートし
た。その後細胞を増殖培地で洗浄し、0.1%アルブミンを含む培地に懸濁した
。FITC標識ペプチド−09を、0.1%アルブミンを含む培地中で5×10 5 EC細胞(10マイクログラム/ml又は100マイクログラム/ml)ある
いは2.5×105HF細胞(100マイクログラム/ml)と共にインキュベ
ートした。FITC標識ペプチド−71、07及び70(10マイクログラム/
ml)を、0.1%アルブミンを含む培地中で5×105EC細胞と共にインキ
ュベートした。次に細胞をPBSと1%アルブミンで洗浄した。細胞をPBSと
1%アルブミンに懸濁し、その後FACS分析のためにメッシュを通して濾過し
た。その分析では、各々の細胞についてFITC蛍光を測定した。 図5は、FITC標識ペプチド−09(図5A−5C)、70(図5E)、7
1(図5D)及び07(図5F)のFACS分析を示す。x軸は任意の単位での
蛍光を示し、y軸は細胞数を示す。対照はFITC標識ペプチドを含まない(バ
ックグラウンド蛍光)。FITC標識ペプチド−09に関してはECとHF細胞
に同様の結合が認められた。より低い濃度のFITC標識ペプチド−09が最大
の活性でECに結合し、それに続いてFITC標識ペプチド−71、FITC標
識ペプチド−70がわずかな結合を示し、07はEC細胞に非特異的に結合した
【0035】実施例2 本発明のペプチドを使用した構造細胞系 本発明のペプチドは、例えば組織工学のための構造細胞系の一部として使用す
ることができるであろう。本発明の細胞系は、本発明の少なくとも1個のペプチ
ドに結合した少なくとも1つの細胞型を含む。適当な細胞型は、本発明の少なく
とも1個のペプチドに結合することができるいかなる細胞も包含する。そのよう
な細胞の例は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫細胞、黒色腫細
胞、腎細胞、肝細胞、膵細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス乳
癌細胞、骨又は軟骨形成細胞、及びそれらの組合せを含むが、それらに限定され
ない。 本発明の細胞系はまた、細胞培養系の一部として細胞を培養するためにも使用
できるであろう。少なくとも1つの細胞型は本発明のペプチドに結合されるだろ
う。次に細胞培養に適した条件下で細胞を培地において増殖させる。そのような
細胞培養系の利点は、本発明のペプチドを、セファロースビーズあるいは他の幾
何学的に適切な構造のような、適当な構造に結合できることである。本文中以下
では、「構造」の語は「基質」の語を含むが、それに限定されない。 その後、従来のペトリ皿ではなくむしろその構造上で細胞を増殖させる。従っ
て、細胞を培地から採取するときには、実質的に細胞を損傷(trauma)す
ることなく構造自体が取り出せる。これに対し、培地から細胞を採取するための
従来の方法はしばしばトリプシン処理を必要とし、これは細胞上のある種のレセ
プタを傷つけることがあり、またさもなければ細胞への損傷を引き起こしうる。
そのような構造あるいは基質を移動させることによって細胞をある環境から別の
環境に移すという能力はまた、細胞への損傷を最小限にとどめながら細胞を新鮮
な培地に再び接種することを可能にする。 本発明のペプチドを組み込んだそのような細胞培養系はまた、従来の細胞培養
よりも高い密度で細胞を培養するためにも使用できるであろう。そのような高密
度細胞培養は、組換え蛋白質の産生及び他の種類の細胞培養産物のために特に有
用である。本発明の細胞培養系は、これらの細胞培養産物の産生を促進するため
に、様々なベクター、ウイルス、核酸等で形質転換したあるいは形質移入した細
胞を培養するために使用できるであろう。
【0036】 本発明のペプチドはまた、そのようなペプチドに結合することができないそれ
らの細胞から、これらのペプチドの1又はそれ以上に結合することができる細胞
を分離するためにも使用できるであろう。例えば、本発明のペプチドを先に述べ
たような基質あるいは構造に結合できる。次にこの構造あるいは基質を、ペプチ
ドに結合することができるそれらの細胞の結合を可能にする適切な条件下で、溶
液中の細胞混合物と共にインキュベートできる。その後構造あるいは基質を、そ
れに結合した細胞と共に取り出せる。ペプチドに結合することができない細胞は
、それらの細胞が結合できない型であるためか、あるいは細胞が何らかの方法で
損傷されてしまったためであるかにかかわらず、残存するであろう。追加的な例
として、本発明のペプチドを実質的に固定した支持体(プロテーゼ装置の表面の
ような)に結合し、細胞の溶液をそれと接触した状態に置く。ペプチドに結合す
ることができるそれらの細胞は支持体に結合したままであるが、他の細胞は除去
される。従って、本発明のペプチドは、細胞の分離のため及びそのような装置の
表面を被覆するために使用できるであろう。 そのような分離はまた、診断目的に有用であることも明白であろう。例えば、
特定の型の細胞あるいは特定の細胞機能の存在又は不在を、細胞がペプチドに結
合するかどうかを調べることによって判定できる。本発明のペプチドの1又はそ
れ以上に結合する実質的にいかなる細胞型の存在又は不在も、そのような(蛍光
細胞選別機分析によるもののような)アッセイにおいて測定できる。診断される
細胞機能の例は、化学走性あるいは接着シグナルに対する応答能力を含むが、そ
れに限定されない。
【0037】 これらの機能は、ペプチド被覆構造への細胞結合を測定することによって評価
される。細胞結合の測定は、先に述べたように、種々の細胞型の溶液あるいは混
合物から細胞を分離する能力によって実施できる。 その代わりに、また好ましくは、ペプチドを蛍光あるいは放射性部分のような
リポーターで標識することができる。リポーターは、例えば、細胞型あるいは特
定の細胞機能が存在又は不在かを調べることが可能であるとき、ペプチドがいず
れの細胞に結合したかを測定するために使用される。 適当な蛍光部分の例は、FITC(フルオレセイン)、ローダミン及びテキサ
スレッドを含むが、これらに限定されない。適当な放射性部分の例は、リン32
、ヨウ素131及びトリチウムを含むが、これらに限定されない。リポーターは
、当該技術において周知の方法に従って、合成の際にあるいはその代わりに合成
後に、ペプチドに結合することができる。 本発明のペプチドはまた、細胞の治療的構造の形成のためにも有用であると想
定される。治療的構造の例は、ゲル、プロテーゼ装置、及びコラーゲンシートを
含むが、これらに限定されない。本発明の少なくとも1個のペプチドを、例えば
当該技術において周知であるような化学的架橋剤あるいはフィブリンにかわで形
成される共有結合によって、治療的構造に結合する。次に、例えば細胞培養を通
してあるいは上述した分離法によって、細胞を治療的構造上のペプチドに結合さ
せる。細胞の選択は、接触する組織の種類と所望する治療的構造に依存し、潜在
的には本発明の少なくとも1個のペプチドに結合することができるいかなる細胞
型も含みうる。
【0038】実施例3 本発明のペプチドによる処理のための方法 本発明のペプチドは、疾患状態が細胞の化学走性又は増殖を通して、あるいは
細胞の移植によって少なくとも部分的に改善あるいは治癒されうる、疾患状態を
有する被験者の治療のために有用であると想定される。そのような状態の例は、
創傷の存在及び細胞生成物の不在によって特徴づけられる疾患を含むが、これら
に限定されない。「創傷」の語は、被験者の器官の正常な完全性の崩壊を含む。
そのような器官の例は、皮膚、腹腔、腸、心臓、肺、血管、骨、膵臓、肝臓、腎
臓、生殖器あるいは胃を含むが、これらに限定されない。 創傷は手術介入の結果としてあるいは手術以外の介入の結果として存在しうる
。手術介入は計画されたものか、あるいは医学的緊急性の結果でありうる。手術
以外の介入は、熱傷、潰瘍、裂傷あるいは何らかの種類の偶発的損傷又は外傷で
ありうる。 手術介入のための本発明のペプチドによる治療の方法は、創傷治癒過程の効率
を高めるために、手術介入の部位に1又はそれ以上のペプチドを配置することを
含みうる。1又はそれ以上のペプチドは、手術の前、特に緊急手術については手
術中あるいは手術後に、手術介入部位に配置することができる。1又はそれ以上
のペプチドは、下記の実施例4で述べるように、治療組成物に含めることができ
る。 手術以外の介入の治療方法は、創傷治癒過程の効率を高めるために、手術以外
の介入の部位に1又はそれ以上のペプチドを配置することを含む。1又はそれ以
上のペプチドは、下記の実施例4で述べるように、やはり治療組成物に含めるこ
とができる。 本発明の1又はそれ以上のペプチドは、被った創傷の種類と重症度に依存して
、1回又は反復して手術又は手術以外の介入部位に配置することができる。反復
する場合、治療の濃度と割合は当該技術における通常技術の1つによって容易に
決定できる。
【0039】 細胞生成物の不在によって特徴づけられる疾患の例は、糖尿病、血友病A(第
VIII因子欠損症)、及び血友病B(第IX因子欠損症)を含むが、これらに限定さ
れない。これらの疾患は、(単数又は複数の)必要な細胞生成物を産生する細胞
を被験者に導入することによって改善あるいは治癒されうる。これらの細胞は、
例えば当該技術において周知であるような蛋白質あるいはペプチドをコードする
核酸配列を含むベクターを導入することによって調製できる。インスリンのよう
に、ペプチドあるいは蛋白質自体が所望する細胞生成物である場合もある。その
代わりに、また好ましくは、蛋白質は、例えば(単数又は複数の)酵素的反応を
通して、細胞に所望する細胞生成物を産生させることもできる。いかなる場合も
、細胞は、そのような調製後所望する細胞生成物を産生することができる。 ひとたび調製されれば、細胞を本発明のペプチドに結合し、つぎにそれを実施
例2で述べたような適当な細胞構造内に組み込む。細胞構造を被験者に投与し、
必要な細胞生成物を産生させる。本発明によるそのような細胞構造の利点は、所
望する場合細胞生成物は血流中に入り込むことができるが、細胞は実質的に限局
されたままであるということである。従って、本発明のペプチドを使用すること
により、細胞構造は、(単数又は複数の)必要な細胞生成物で疾患状態を治療す
るために使用されうる。
【0040】実施例4 ペプチドの投与のための適当な製剤 本発明のペプチドは、当該技術において周知の数多くの方法で被験者に投与す
ることができる。本文中以下では、「被験者」の語は、ペプチドを投与するヒト
あるいは下等動物をさす。例えば、投与は局所的(点眼、経膣、経直腸、経鼻を
含む)、経口的、あるいは非経口的、例えば静脈内滴注あるいは腹腔内、皮下、
あるいは筋肉内注射によって行うことができる。 局所投与のための製剤は、ローション剤、軟膏、ゲル、クリーム、坐剤、ドロ
ップ、液体、スプレー及び散剤を含みうるが、これらに限定されない。従来の製
薬上の担体、水、粉末あるいは油性基剤、増粘剤等が必要な又は望ましい場合も
ある。 経口投与のための組成物は、散剤又は顆粒剤、水又は非水性媒質中の懸濁液又
は溶液、小袋、カプセルあるいは錠剤を含む。増粘剤、希釈剤、香味料、分散補
助剤、乳化剤、あるいは結合剤が望ましい場合もある。 非経口投与のための製剤は、同時に緩衝液、希釈剤及び他の適当な添加物も含
みうる、滅菌水溶液を含みうるが、これに限定されない。 本発明のペプチドは、創傷治療のための組成物の一部として創傷床に配置する
ことができる。創傷治療のための組成物は適当な製薬上許容される担体を含みう
る。例えば、ペプチドをレーザー処理あるいは加熱処理したアルブミンに組み込
んで、創傷治癒を促進し、瘢痕形成を最小限に抑え、新しい細胞外基質の沈着速
度を促進し、新脈管形成を増大することができる。
【0041】 もうひとつの例として、本発明のペプチドの複数が結合してペプチドポリマー
を形成するように、本発明のペプチドの少なくとも1個から成るサブユニットで
ポリマーを作製することができる。ペプチドは、例えば化学的架橋部分で結合す
ることができる。2個以上の本発明のペプチドは、ポリマーを形成するために、
使用されうる。その代わりに、本発明のペプチドの少なくとも1個は、コポリマ
ーを形成するためにやはり適当な架橋部分を通して、生物学的に許容される合成
ポリマーに結合される。いずれの場合も、生じるペプチドポリマーあるいはコポ
リマーは、本発明による組成物に包含するか、あるいは上記の実施例2で述べた
ような細胞構造を形成するために使用できるミクロ粒子を製造するために使用す
ることができる。 創傷治療のための組成物はまた、少なくとも1つの生物活性物質も含むことが
できる。適当な生物活性物質は、薬剤、神経作用物質、ビタミン、ビタミン誘導
体、成長因子、グルココルチコステロイド、ステロイド、抗生物質、殺菌性及び
静菌性化合物を含めた抗菌性化合物、駆虫性化合物、殺腫瘍性化合物、腫瘍抑制
性化合物、毒素、酵素、酵素阻害因子、蛋白質、ペプチド、無機質、神経伝達物
質、リポ蛋白質、糖蛋白質、免疫調節物質、免疫グロブリン及びそのフラグメン
ト、脂肪酸誘導体、多糖類、細胞レセプタ結合分子、抗炎症薬、抗緑内障性化合
物、散瞳性化合物、麻酔薬、核酸、ポリヌクレオチド等を含むが、これらに限定
されない。
【0042】 治療組成物はまた、上記の実施例2で述べたような構造型の中に少なくとも1
つの細胞型を含むことができる。例えば、治癒過程の間創傷を保護し、創傷治癒
過程自体を促進するために、細胞培養のための先に述べたシート構造を創傷の上
に置くことができる。構造はまた先に述べたゲルであってもよく、これを、創傷
部位に細胞を移植するために創傷の上に置いて、創傷治癒過程を促進することが
できる。そのような構造細胞系の他の例はまた、創傷治癒のために本発明の治療
組成物の一部として使用することもできる。創傷治癒のために使用するとき、適
当な細胞型は、線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨又は軟骨形成
細胞、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。 治療組成物のこれら様々な成分の2又はそれ以上の組合せも、本発明の治療組
成物として可能である。 用量は、症状の重症度及び本発明のペプチド又はフラグメントに対する被験者
の応答性に依存する。当業者は至適用量、投与方法及び反復率を容易に決定する
ことができる。
【0043】実施例5 本発明にペプチドに関して実施した分析 本発明のペプチドはまた、他の系の分析を実施するため及びさらなる研究と開
発のためのツールとしても想定される。例えば、細胞レセプタを同定し、分離す
るためにペプチドを使用することができる。先に述べたように、蛍光あるいは放
射性部分のようなリポーターでペプチドを標識することができる。リポーターは
、例えば、細胞型あるいは特定細胞機能の存在又は不在かを調べることが可能で
あるとき、ペプチドがいずれかの細胞に結合したかを測定するために使用される
。 適当な蛍光部分の例は、FITC(フルオレセイン)、ローダミン及びテキサ
スレッドを含むが、これらに限定されない。適当な放射性部分の例は、リン32
、ヨウ素131及びトリチウムを含むが、これらに限定されない。リポーターは
、当該技術において周知の方法によって、合成の際にあるいはその代わりに合成
後に、ペプチドに結合することができる。ペプチドが新規レセプタあるいは他の
蛋白質に結合する能力は結合アッセイによって測定することができる。 さらに、本発明のペプチドは、これらのペプチドの非ペプチドミメティックの
ような類似体を設計するために使用することができる。そのような非ペプチドミ
メティックは、例えば治療目的に使用することができる。例えば、ペプチドは好
ましくは経鼻的あるいは非経口的に投与されるのに対し、非ペプチド化合物は潜
在的に経口投与することができるので、非ペプチド化合物は潜在的に投与がより
容易である。さらに、特異的類似体を設計することによって各々のペプチドの特
定の特性を選択するあるいは増大させることができる。それ故、本発明のペプチ
ドは潜在的に、多くの新しい様々なタイプの治療薬剤を生成することができるで
あろう。 本発明を限られた数の実施態様に関して述べたが、本発明の多くのバリエーシ
ョン、修正及び他の適用が為されうることは明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウス線維芽細胞(MF)に対して本発明のペプチドによる増殖作用がないこ
とを示すもので、Aはペプチド−07の作用の欠如、Bはペプチド−09に関し
て、Cはペプチド−71に関して、そしてDはペプチド−70に関しての作用の
欠如を示している。
【図2】 様々な細胞型に関してセファロースビーズ(SB)に共有結合した本発明のペ
プチドの接触走性作用(接着)を示すもので、Aはマウス及びヒト線維芽細胞へ
のSB−07、SB−09、SB−フィブロネクチンあるいはSB−アルブミン
の接着の度合を示し、Bは平滑筋細胞へのSB−07、SB−09、SB−フィ
ブロネクチンあるいはSB−アルブミンの接触走性作用、そしてCは平滑筋細胞
及びヒト線維芽細胞へのSB−70あるいはSB−71の接触走性作用を示す。
【図3】 本発明のSB−ペプチドへの試験した種々の細胞型の接着パーセンテージを示
す。
【図4】 インキュベーションの1時間目(図4Aと4B)と2時間目(図4C〜E)の
、ヒト線維芽細胞によるFITC標識ペプチド−71の結合と取込み、ならびに
EC細胞についてのFITC標識ペプチド−09の取込みの濃度依存性を示す。
【図5】 FITC標識ペプチド−09(図5A〜5C)、70(図5E)、71(図5
D)及び07(図5F)のFACS分析を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 7/00 C07K 1/20 14/00 C12N 15/00 ZNAA C12N 5/06 A61K 37/02 // C07K 1/20 C12N 5/00 E (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA63 CA01 HA11 HA17 4B065 AA90X BC46 CA44 4C084 AA02 AA06 AA17 BA01 BA18 BA19 BA23 CA23 CA25 CA34 DC50 MA02 NA14 ZA332 ZA892 ZB212 4H045 AA10 AA30 BA17 BA50 BA60 BA70 CA42 EA20 EA50 FA20 GA22 HA03

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQの配列を持つ
    アミノ酸の鎖を含むペプチド。
  2. 【請求項2】 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDVの配列を持つア
    ミノ酸の鎖を含むペプチド。
  3. 【請求項3】 RGADYSLRAVRMKIRPLVTQの配列を持つア
    ミノ酸の鎖を含むペプチド。
  4. 【請求項4】 KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、LTIGE
    GQQHHLGGAKQAGDV及びRGADYSLRAVRMKIRPLVT
    Qから成る群から選択される配列を持つペプチドを含む組成物。
  5. 【請求項5】 製薬上許容される担体をさらに含む、請求項4の組成物。
  6. 【請求項6】 生物学的作用物質をさらに含む、請求項4の組成物。
  7. 【請求項7】 線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫細胞、腎細
    胞、肝細胞、膵細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス乳癌細胞、
    骨又は軟骨形成細胞、及びそれらの組合せから成る群から選択される細胞をさら
    に含む、請求項4の組成物。
  8. 【請求項8】 前記細胞型が、線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、軟骨細
    胞、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項7の組成物。
  9. 【請求項9】 前記細胞型が線維芽細胞である、請求項8の組成物。
  10. 【請求項10】 被験者において創傷の治癒を促進するための方法であって
    : (a)KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及び RGADYSLRAVRMKIRPLVTQ から成る群から選択される配列を持つペプチドを特徴とする組成物を提供するス
    テップと、そして (b)製薬上有効な量の前記組成物を被験者の創傷に投与するステップとを含
    む方法。
  11. 【請求項11】 前記組成物が生物学的作用物質をさらに含む、請求項10
    の方法。
  12. 【請求項12】 前記組成物が、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽
    細胞腫細胞、腎細胞、肝細胞、膵細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、
    マウス乳癌細胞、骨又は軟骨形成細胞、及びそれらの組合せから成る群から選択
    される細胞をさらに含む、請求項11の方法。
  13. 【請求項13】 (a)KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及び RGADYSLRAVRMKIRPLVTQ から成る群から選択される配列を持つペプチド; (b)前記ペプチドに結合した細胞;及び (c)前記細胞が前記構造によって支持されるように、前記ペプチドが前記構
    造に接着している、前記細胞を支持するための構造を含む細胞構造。
  14. 【請求項14】 前記構造が生体医用装置である、請求項13の細胞構造。
  15. 【請求項15】 前記生体医用装置がプロテーゼである、請求項14の細胞
    構造。
  16. 【請求項16】 前記構造がゲルである、請求項13の細胞構造。
  17. 【請求項17】 前記構造がコラーゲンのシートである、請求項13の細胞
    構造。
  18. 【請求項18】 (a)KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及び RGADYSLRAVRMKIRPLVTQ から成る群から選択される配列を持つペプチド;及び (b)前記ペプチドがレセプタに結合する能力が前記リポーターによって伝達
    される前記シグナルに従って測定される、シグナルを伝達するためのリポーター
    を含む、レセプタへの結合を評価するための組成物。
  19. 【請求項19】 前記リポーターが蛍光部分及び放射性部分から成る群から
    選択される、請求項18の組成物。
  20. 【請求項20】 レセプタが蛋白質である、請求項18の組成物。
  21. 【請求項21】 レセプタが細胞の内在性部分である、請求項18の組成物
  22. 【請求項22】 レセプタへのペプチドの結合を測定するための方法であっ
    て: (a)シグナルを伝達するためのリポーターで標識した、 KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及び RGADYSLRAVRMKIRPLVTQ から成る群から選択されるペプチドを提供するステップと; (b)ペプチドをレセプタに接触させるステップと;そして (c)前記リポーターによって伝達される前記シグナルに従ってレセプタへの
    ペプチドの結合を測定するステップとを含む方法。
  23. 【請求項23】 ペプチドに結合することができる細胞を混合物から分離す
    るための方法であって: (a)細胞がペプチドに結合するように、 KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及び RGADYSLRAVRMKIRPLVTQ から成る群から選択されるペプチドと共に混合物をインキュベートするステップ
    と;そして (b)細胞が混合物から分離されるように、混合物からペプチドを除去するス
    テップとを含む方法。
  24. 【請求項24】 ペプチドを除去するステップが前記支持体と混合物を分離
    することによって実施されるように、ペプチドが支持体に接着している、請求項
    23の方法。
  25. 【請求項25】 前記支持体がゲルクロマトグラフィーの基質である、請求
    項24の方法。
  26. 【請求項26】 (a)細胞がペプチドに結合し、前記構造上で増殖するよ
    うに、 KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及び RGADYSLRAVRMKIRPLVTQ から成る群から選択されるペプチドを接着させるための構造;及び (b)細胞に栄養を供給するために細胞を接触させるための培地を含む、ペプ
    チドに結合することができる細胞を培養するための系。
  27. 【請求項27】 (a)各々のサブユニットが、 KGSWYSMRKMSMKIRPFFPQQ、 LTIGEGQQHHLGGAKQAGDV及び RGADYSLRAVRMKIRPLVTQ から成る群から選択される少なくとも1個のペプチドを特徴とする、複数のサブ
    ユニット;及び (b)ポリマーを形成するために各々の前記複数サブユニットをもうひとつの
    前記複数サブユニットに接着させるための複数のリンカー部分を含むポリマー。
  28. 【請求項28】 ポリマーがペプチドポリマーであるように、前記サブユニ
    ットが少なくとも1個の前記ペプチドから成る、請求項27のポリマー。
  29. 【請求項29】 ポリマーがコポリマーであるように、少なくとも1個の前
    記ペプチドが前記サブユニットに接着している、請求項27のポリマー。
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