JP2003289856A - 造血細胞培養用培地 - Google Patents

造血細胞培養用培地

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JP2003289856A JP2002100270A JP2002100270A JP2003289856A JP 2003289856 A JP2003289856 A JP 2003289856A JP 2002100270 A JP2002100270 A JP 2002100270A JP 2002100270 A JP2002100270 A JP 2002100270A JP 2003289856 A JP2003289856 A JP 2003289856A
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Mutsumi Takagi
睦 高木
Toshiomi Yoshida
敏臣 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 造血幹細胞や造血前駆細胞等の造血細胞
を簡便に効率よく培養するための培地と造血細胞の効率
的な培養方法を提供する。 【解決手段】 造血幹細胞および造血前駆細胞を培養す
るための培地であって、サブスタンスPペプチドまたは
その関連ペプチドを含有することを特徴とする造血細胞
培養用培地とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、造血細胞
を培養するための培地とそれを用いた造血細胞の培養方
法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発
明は、サブスタンスPペプチドまたはその関連ペプチド
を含有することを特徴とする造血細胞培養用培地とそれ
を用いた造血細胞の効率的な培養方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術とその課題】癌の治療法としては、これま
で、抗癌剤の投与により癌細胞を死滅させる化学療法
や、患部を切除する外科療法、患部に放射線を照射する
放射線治療、さらには、白血病に侵された骨髄を正常な
骨髄に置換する造血幹細胞移植(骨髄移植)などが一般
的に行われている。化学療法において使用される抗生物
質や抗癌剤は、いずれも治療効果と同時に、悪心、嘔
吐、発熱、白血球や血小板の減少、脱毛、口内炎などの
強い副作用を伴う。また、外科療法は、癌が特定部位に
限定して存在している早期段階では効果を示すが、癌が
進行し、転移した場合や白血病には効果が小さい。放射
線療法も、同様に、局所療法といえ、全身性の癌には適
さない上、大きな副作用を伴う。このように、従来行わ
れてきた癌治療法はいずれも、効果と同程度、あるいは
それ以上に患者への負担が大きく、全身性の癌に対する
効果が低い等の問題があった。
【0003】一方、造血幹細胞移植法は、予め患者に大
量の抗癌剤を投与するか全身に放射線を照射して全身の
造血を抑えた後、正常な血液細胞を製造する造血幹細胞
や造血前駆細胞を供給する方法であり、白血病や重症再
生不良性貧血、さらには転移の見られる全身性の癌等に
高い効果を示す方法とされている。また、造血幹細胞移
植は、固形癌に対する化学療法の副作用として起こる造
血障害に対しても広く実施されている。
【0004】造血幹細胞が骨髄に多く含まれることか
ら、一般的に骨髄移植法と呼ばれているが、近年、骨髄
と同様に末梢血中にも造血幹細胞が含まれていることが
明らかになり、採取の際に全身麻酔が必要でないことか
ら臨床応用が盛んに行われている。さらに、最近になっ
て、臍帯血中に末梢血よりもはるかに高濃度に造血幹細
胞が含有されていることが明らかになり、これについて
も臨床応用が始まっている。
【0005】このような造血幹細胞移植法には、患者本
人の細胞を用いる自家移植と白血球型の一致した他人か
ら提供された細胞を用いる同種移植がある。自家骨髄移
植では、必要量の細胞を得ることが困難であり、同種骨
髄移植では、白血球型の一致率が兄弟で25%、両親や親
族では1%以下と低く、骨髄バンクに登録された血縁者以
外からの提供に頼らざるを得ない場合が多い。また、い
ずれの場合も提供者は、最低数日間入院する必要があ
り、輸血用の採血、全身麻酔、骨髄の採取、輸血等の大
きな負担を余儀なくされる。さらに、採取後には提供者
に痛みや発熱等の症状が現れることも多いため、提供者
の健康状態によっては採取が不可能な場合もある。
【0006】末梢血幹細胞を用いる場合には、提供者へ
の全身麻酔や輸血は必要ないものの、末梢血中の造血幹
細胞の含有率が通常はかなり低いため、抗癌剤や白血球
の増殖を引き起こすG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)
等のサイトカインを投与してその含有率を増大し、アフ
ェレーシスにより数時間かけて採取する方法が取られ
る。このような薬剤の投与は、提供者に対して5日間以
上行われるが、その長期的な副作用等については今のと
ころ明らかでないのが実情である。
【0007】したがって、従来の造血幹細胞移植法で
は、十分な量の造血幹細胞を採取し、患者に移植するた
めには、白血球型の一致が必要なだけでなく、提供者へ
の負担が大きいという問題があった。
【0008】一方、臍帯血幹細胞を用いる場合には、提
供者への負担はほとんどなく、ウィルス等の感染の危険
性もほとんどないが、出産時の胎盤からの血液を保存し
ておく必要があり、得られる細胞量が限られているた
め、移植可能な患者は子供に限られてしまうという問題
があった。
【0009】これらの問題を解決するために、近年、造
血幹細胞を提供者から必要量採取するのではなく、少量
の造血幹細胞を採取して体外で培養し、増殖する試みが
活発に行われている(例えば、特表平4-506153、特表平
6-508987、特表平7-504570、特表平7-503127他)。一
方、造血幹細胞はすべての血液細胞の源の細胞であるこ
とから、造血幹細胞を培養し、分化させて各種血液細胞
を製造する方法についても研究が進められている(例え
ば、特開平7-135969、特表平5-502385他)。しかし、こ
れらの方法は、いずれも操作が煩雑で効率的とは言い難
かった。
【0010】そこで、この出願の発明は、以上のとおり
の事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点
を解消し、造血幹細胞や造血前駆細胞等の造血細胞を簡
便に効率よく培養するための培地とそれを用いた造血細
胞の効率的な培養方法を提供することを課題としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、以上
のとおりの課題を解決するものとして、まず、第1に
は、造血幹細胞および造血前駆細胞を培養するための培
地であって、サブスタンスPペプチドまたはその関連ペ
プチドを含有することを特徴とする造血細胞培養用培地
を提供する。
【0012】この出願の発明は、第2には、サブスタン
スPペプチドまたはその関連ペプチドの濃度が10-12〜1
0-3 Mである前記の造血細胞培養用培地を提供する。
【0013】そして、第3には、この出願の発明は、培
地に布からなる支持体を設置し、ストローマ細胞を接
種、培養した後、サブスタンスPペプチドまたはその関
連ペプチドを10-12〜10-3 M含有する培地を加え、造血
細胞群を接種し、培養することを特徴とする造血細胞の
培養方法をも提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】この出願の発明者らは、鋭意研究
により、従来造血幹細胞の培養に使用される培地に神経
調節物質あるいはマスト細胞の脱顆粒誘発物質として知
られるサブスタンスPを添加することにより、造血幹細
胞が効率よく培養できることを見出し、本願発明に至っ
たものである。
【0015】すなわち、この出願の発明の造血細胞培養
用培地は、サブスタンスPペプチドまたはその関連ペプ
チドを含有することを特徴とするものである。サブスタ
ンスPペプチドは、配列番号1の配列(Arg-Pro-Lys-Pr
o-Gln-Gln-Phe-Phe-Gly-Leu-Met-NH2)を有する公知の
ペプチド鎖(Marx, J.L., Science, 205, 886 (1979);C
hang, M., et al., Nature New Biol., 232, 86 (197
1))であり、NK-1拮抗剤等として市販されている(例え
ばSigma-Aldrich社、Invitrogen社他)。また、サブス
タンスP関連ペプチドとしては、サブスタンスPペプチ
ドのアミノ酸が1つ以上欠損、置換、または付加された
各種のものが市販されており、こらについても同様に適
用できる。具体的には、末端のアミノ基を有さない遊離
酸([Met-OH11]-Substance P)、サブスタンスPペプチ
ドの9番目のGlyをProに置換したもの([Pro9]-Substan
ce P)、8番目のPheをTyrに置換したもの([Tyr8]-Sub
stance P)、2番目のProと7番目のPheと9番目のGly
をそれぞれD-Pro、D-Trp、およびD-Trpに置換したもの
([D-Pro2, D-Trp7,9]-Substance P)、さらには、1〜
4番目のアミノ酸からなるもの([Fragment 1-4])、2
〜11番目のアミノ酸からなるもの([Fragment 2-1
1])など、公知の市販品(「シグマ総合カタログ、ライ
フサイエンス研究用試薬」Sigma-Aldrich社)が例示さ
れる。
【0016】この出願の発明の造血細胞培養用培地にお
いて含有されるサブスタンスPペプチドやサブスタンス
P関連ペプチドは、また、これらのサブスタンスPペプ
チドやサブスタンスP関連ペプチドを修飾したものであ
ってもよい。例えば、サブスタンスPペプチドをコラー
ゲン、ゼラチン、フィブロネクチンなどの天然の細胞外
マトリックスやエチレンビニルアルコール共重合体など
の非天然化合物に結合してもよい。また、サブスタンス
PペプチドやサブスタンスP関連ペプチドは、マイクロ
キャリアー、樹脂、ポリウレタン発泡材、不職布などの
細胞培養用担体の表面あるいは内部に結合、または包含
させたものであってもよい。
【0017】この出願の発明の造血細胞培養用培地は、
以上のとおりのサブスタンスPペプチドおよびサブスタ
ンスP関連ペプチドを、1種のみ含有するものであって
もよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。こ
のとき、サブスタンスPペプチドおよびサブスタンスP
関連ペプチドの濃度もとくに限定されないが、好ましく
は、合計で10-12〜10-3 Mの範囲とする。
【0018】この出願の発明の造血細胞培養用培地で
は、サブスタンスPペプチドまたはサブスタンスP関連
ペプチドが含有される培地は、通常動物細胞の培養で使
用されるイスコフ培地、RPMI培地、ダルベッコMEM培
地などの公知の培地から培養する血液細胞の種類に応じ
て適宜選択される。このような培地は、動物細胞培養に
適した条件に調整することが好ましく、例えばウシ血
清、ヒト血清、ウシ胎児血清等の血清成分や塩類、アミ
ノ酸類等を添加してもよい。さらに、血液細胞の製造に
有用とされる種々の造血増殖因子を添加してもよい。例
えばIL-1、IL-3/IL-6、MGF(SCF)、GM-CSF/IL-3から選択
される1種のサイトカイン(特表平6-508987)やIL-1、
IL-3、IL-6、EPOを組み合せたサイトカイン(特表平5-5
02385)、さらには、IL-3、IL-2、SCFを組み合わせたサ
イトカイン(特開平7-135969)等、種々の公知の組成と
してもよい。
【0019】この出願の発明の造血細胞培養用培地は、
以上のとおりのものであるが、この出願の発明では、こ
のような造血細胞培養用培地を用いて造血細胞を培養す
る方法をも提供する。
【0020】この出願の発明の造血細胞の培養方法で
は、まず、培地に布からなる支持体を設置し、ストロー
マ細胞を接種、培養した後、サブスタンスPペプチドま
たはその関連ペプチドを10-12〜10-3 M含有する培地を
加え、造血細胞群を接種し、培養する。
【0021】このとき、布は接着性のストローマ細胞が
繊維上に伸展するための支持体として作用するものであ
り、繊維素材はどのようなものであってもよい。例え
ば、セルロースなどの天然繊維、ポリエステルやポリプ
ロピレンなどの合成繊維、あるいはこれらの混紡繊維、
さらには、繊維がコラーゲン、ゼラチン、フィブロネク
チン等の天然の細胞外マトリックスやエチレンビニルア
ルコール共重合体等の合成マトリックスによってコーテ
ィングされ、親水化されたものや、繊維がジエチルアミ
ン、ジエチルアミノエチルなどにより修飾されたり、プ
ラズマ放電処理などにより表面に荷電基が導入されたり
したものであってもよい。さらに、以上のとおりの布は
培地中に設置されていればよく、その形状はとくに限定
されない。例えば、円形、長方形などの任意の形状に切
断されていてもよいし、円柱状、環状、立方体状などに
成形されたり、複数枚重ねられたりしていてもよい。以
上のとおりの支持体としての布は、織布であっても不織
布であってもよいが、好ましくは、繊維間密度や布の厚
さを自在に制御できる不織布である。
【0022】この出願の発明の血液細胞の培養方法にお
いて、初めに接種されるストローマ細胞とは、体内の骨
髄や臍帯の中に存在する造血細胞や血液細胞以外の間質
細胞と呼ばれる接着性の細胞をいう。造血細胞表面のリ
ガンドとストローマ細胞表面の受容体を介して両者が接
触することにより、直接に細胞内にシグナルが伝達され
たり、サイトカインが産生されたりして、造血が調節さ
れていると考えられている。また、発明者らは、造血細
胞とストローマ細胞との共培養により造血を制御できる
ことを報告している(特願2000-371932)。
【0023】このようなストローマ細胞としては、造血
細胞群を増殖させることのできる哺乳動物由来の種々の
ものが例示される。具体的には、ヒト、サル、ウシ、ブ
タ、ヒツジ、ウマ、マウスなどの骨髄、臍帯、脾臓、子
宮、胎盤、血管等に由来する繊維芽細胞、内皮細胞、脂
肪細胞、マクロファージなどが挙げられる。また、これ
らの細胞は、初代細胞であっても、株化細胞であっても
よい。これらのストローマ細胞は、体内においては、骨
髄内部表面等に接着するものであるが、この出願の発明
の造血細胞の培養方法においては、接種された細胞は、
培養により布の繊維上に伸展する。ストローマ細胞を培
養する条件は、とくに限定されないが、例えば発明者ら
が報告しているストローマ細胞の接種濃度が1×102〜4
×105 cells/mlの範囲とすることができる(特願2000-3
71932)。その他の培養条件は、上記のとおりの種々の
培地において、一般的に動物細胞を培養する際に適用さ
れるpHや温度を選択すればよい。例えば培養温度は、20
〜39℃、好ましくは33〜37℃とすることができる。
【0024】また、この出願の発明の造血細胞の培養方
法において培養される「造血細胞」とは、自己再生可能
な造血幹細胞と造血幹細胞から分化した造血前駆細胞を
指す。このとき、造血前駆細胞とは造血幹細胞から分化
した血球のうち、分化の初期段階に含まれる細胞を意味
する。具体的には、骨髄球系前駆細胞、リンパ球系前駆
細胞、さらには、CFU-GEMM、CFU-Mix、CFU-GM、CFU-M、
CFU-E、BFU-E等の赤芽球系前駆細胞などが含まれる。患
者または提供者から採取された骨髄中の造血細胞が、培
地に接種された段階で造血幹細胞であるか造血前駆細胞
であるかを厳密に知ることはほとんど不可能である。そ
のため、この出願の発明では、これらの総称として「造
血細胞」と呼ぶ。つまり、この出願の発明の造血細胞の
培養方法においては、原料となる造血細胞としては、ヒ
トから採取された骨髄、末梢血、および臍帯血そのも
の、さらには、これらの血液から遠心分離器により分離
された細胞、フィルターにより不要細胞を除去した細
胞、免疫磁気ビーズ等のモノクローナル抗体固定細胞分
離器により不要細胞を除去した細胞、CD34陽性細胞に精
製した細胞等が例示される。
【0025】この出願の発明の造血細胞群の体外培養方
法においては、これらの造血細胞群を培養する条件は、
ストローマ細胞の培養条件と同様に、とくに限定されな
い。前記のとおりの温度範囲等、一般的に動物細胞の培
養方法として適用される条件を設定できる。例えば培養
温度は、20〜39℃、より好ましくは33〜37℃とすればよ
い。
【0026】この出願の発明の造血細胞の培養方法によ
って得られた造血細胞は、そのままの状態、あるいは遠
心分離やモノクローナル抗体固定細胞分離器による不要
細胞の除去を行った後、さらには、種々の公知の方法に
よる必要細胞の精製、遺伝子導入等の必要な操作をおこ
なった後、患者に輸注できるものである。好ましくは、
感染症等の予防のためにも、精製された状態のものを輸
注、あるいは輸血用に保存する。このような造血細胞
は、患者の体内において正常に作用し、分化して血液細
胞を製造できるものである。
【0027】以上のとおりのこの出願の発明の造血細胞
の培養方法では、培地にサブスタンスPペプチドまたは
その関連ペプチドを含有することにより、造血幹細胞を
好適に増幅できる。このような培養方法において、サブ
スタンスPペプチドまたはその関連ペプチドの詳細な作
用機構については、明らかでないが、サブスタンスP
(またはその関連ペプチド)によりストローマ細胞や造
血細胞が産生したIL-3、IL-6、GM-CSF、IL-1、SCF、あ
るいは前駆細胞の増幅に寄与する何らかのサイトカイン
が作用することによると考えられる。
【0028】以下、実施例を示してこの出願の発明につ
いてさらに詳細に説明する。もちろん、この出願の発明
は、以下の実施例に限定されるものではないことはいう
までもない。
【0029】
【実施例】<実施例1>12穴プレート(3.6 cm2 SUMILO
N, MS-80120R)に不織布担体4枚(NBS社製Fibra-Cel、
ポリエステル製、直径6 mm、厚さ0.7 mmの円盤状)を敷
き、ウシ胎児血清10%含有RPMI 1640培地を用いてマウス
ストローマ細胞株ST2(理研細胞銀行RCB224)を加え、
液量3 ml、37℃、5% CO2の雰囲気下で約1週間培養し
た。
【0030】培養後、各ウェルの上清を取り除き、マウ
ス(Balb/c、8-12週齢、オス)の大腿骨および脛骨の骨
髄より採取した造血細胞懸濁液を、ハイドロコーチゾン
(1mM)、ウシ胎児血清(12.5 %)、ウマ血清(12.5%)
を含むMcCoy's 5A粉末培地(GIBCO BRL)にサブスタン
スPを0〜10-7 M添加した培地を用いて1×105 cells/ml
の濃度で各ウェルに加え、液量3 ml、33℃、5% CO2雰囲
気下で1週間培養した。
【0031】培養液に含まれる浮遊細胞を回収し、トリ
パンブルー色素排除法により生存している造血細胞密度
を測定するとともに、メチルセルロース培地(ステムセ
ルテクノロジー社、Methocult GF M3434)を用いたコロ
ニーフォーミングユニットアッセイ法により造血細胞中
の前駆細胞(CFU-Mix)の割合を測定した。また、造血
細胞密度に前駆細胞の割合をかけることにより前駆細胞
の密度を計算した。
【0032】表1に結果を示した。
【0033】
【表1】
【0034】表1より、サブスタンスPを含まないコン
トロールの培養では、7日間の培養によって造血細胞密
度および前駆細胞(CFU-Mix)密度が、ともに造血細胞
添加時よりも減少した。一方、サブスタンスPを含む培
地を用いた場合には、造血細胞密度が若干増加し、とく
にサブスタンスP濃度が10-9 M以上で前駆細胞密度が約
3倍に増幅された。
【0035】以上より、サブスタンスPの添加により造
血細胞が効率的に培養できることが確認された。 <実施例2>接着細胞用12穴プレート(3.6 cm2 SUMILO
N, MS-80120)にマウス(Balb/c、8〜12週齢、オス)の
大腿骨および脛骨の骨髄より採取した造血細胞懸濁液を
播種しウシ胎児血清10%含有RPMI 1640培地を用いて1日
培養したあと、浮遊細胞を培養液上清とともに除去し、
接着細胞のみをトリプシン処理により回収して初代スト
ローマ細胞とした。
【0036】浮遊細胞用12穴プレートに不職布担体4枚
(NBS社製Fibra-Cel、ポリエステル製、直径6 mm、厚さ
0.7 mmの円盤状)を敷き、ウシ胎児血清10%含有RPMI 16
40培地を用いて初代ストローマ細胞を加え、液量3 ml、
37℃、5% CO2の雰囲気下で約1週間培養した。
【0037】この後、各ウェルの上清を取り除き、ハイ
ドロコーチゾン(1 mM)、ウシ胎児血清(12.5 %)、ウ
マ血清(12.5%)を含むMcCoy's 5A粉末培地(GIBCO BR
L)にサブスタンスPを0〜10-9 M添加した培地を用い
て、マウス(Balb/c、8〜12週齢、オス)の大腿骨およ
び脛骨の骨髄より取得した造血細胞懸濁液を1×105 cel
ls/mlの濃度で各ウェルに加え、液量3 ml、33℃、5% CO
2雰囲気下で1週間培養した。
【0038】培養液に含まれる浮遊細胞を回収し、トリ
パンブルー色素排除法により生存している造血細胞密度
を測定するとともに、メチルセルロース培地(ステムセ
ルテクノロジー社、Methocult GF M3434)を用いたコロ
ニーフォーミングユニットアッセイ法により造血細胞中
の前駆細胞(CFU-Mix)の割合を測定した。
【0039】また、造血細胞密度に前駆細胞の割合をか
けることにより前駆細胞の密度を計算した。表2に結果
を示した。
【0040】
【表2】
【0041】表2より、サブスタンスPを含まないコン
トロールの培養では、7日間の培養によって造血細胞密
度および前駆細胞(CFU-Mix)密度が、ともに造血細胞
添加時よりも減少した。一方、サブスタンスPを10-9 M
含む培地を用いた場合には、造血細胞密度が若干増加
し、前駆細胞密度は4倍に増幅した。
【0042】以上より、サブスタンスPの添加により造
血細胞が効率的に培養できることが確認された。
【0043】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明により、造血幹細胞や造血前駆細胞を簡便かつ効率
的に増幅するための造血細胞培養用培地とそれを用いた
造血細胞の培養方法が提供される。この発明の造血細胞
培養用培地は、従来報告されているサイトカインを使用
する培養用培地に比べ安価であり、有用性が高い。
【0044】
【配列表】 <110> Japan Science and Technology Corporation <120> Medium for the Cultivation of hematopoietic stem cel <130> NP02049-SH <160> 1 <210> 1 <211> 11 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Synthesized Oligopeptide <400> 1 Arg Pro Lys Pro Gln Gln Phe Phe Gly Leu Met 11 1 5 10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 造血幹細胞および造血前駆細胞を培養す
    るための培地であって、サブスタンスPペプチドまたは
    その関連ペプチドを含有することを特徴とする造血細胞
    培養用培地。
  2. 【請求項2】 サブスタンスPペプチドまたはその関連
    ペプチドの濃度は、10-12〜10-3 Mである請求項1の造
    血細胞培養用培地。
  3. 【請求項3】 培地に布からなる支持体を設置し、スト
    ローマ細胞を接種、培養した後、サブスタンスPペプチ
    ドまたはその関連ペプチドを10-12〜10-3 M含有する培
    地を加え、造血細胞群を接種し、培養することを特徴と
    する造血細胞の培養方法。
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