JP2002080378A - マクロファージを含む細胞製剤 - Google Patents
マクロファージを含む細胞製剤Info
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- JP2002080378A JP2002080378A JP2000264301A JP2000264301A JP2002080378A JP 2002080378 A JP2002080378 A JP 2002080378A JP 2000264301 A JP2000264301 A JP 2000264301A JP 2000264301 A JP2000264301 A JP 2000264301A JP 2002080378 A JP2002080378 A JP 2002080378A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 サイトカインの産生量の高い新規なマクロフ
ァージ製剤の提供。 【解決手段】 ヒト臍帯血由来単核球を分化させ、さら
に必要に応じて細胞活性化処理して得られる、サイトカ
インの含量の高いマクロファージを主成分とした細胞製
剤。各種サイトカインの産生量がきわめて豊富であり、
末梢血由来のマクロファージより有効に褥蒼などの組織
損傷、感染症、癌に対する治療に用いることができる。
ァージ製剤の提供。 【解決手段】 ヒト臍帯血由来単核球を分化させ、さら
に必要に応じて細胞活性化処理して得られる、サイトカ
インの含量の高いマクロファージを主成分とした細胞製
剤。各種サイトカインの産生量がきわめて豊富であり、
末梢血由来のマクロファージより有効に褥蒼などの組織
損傷、感染症、癌に対する治療に用いることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイトカイン産生
量の高いマクロファージ細胞製剤に関する。本発明の細
胞製剤は、褥蒼などの組織損傷、感染症、癌に対する治
療に有効に用いられる。
量の高いマクロファージ細胞製剤に関する。本発明の細
胞製剤は、褥蒼などの組織損傷、感染症、癌に対する治
療に有効に用いられる。
【0002】
【従来の技術】血液細胞は酸素運搬を担う赤血球、止血
作用を担う血小板、そして免疫作用を司る白血球から構
成される。この白血球は更にリンパ球、顆粒球、単球に
分類される。この単球が体内の各組織に移行し、分化し
てマクロファージとなる。マクロファージの機能は極め
て多様であるが、徳永ら編「マクロファージ実験マニュ
アル」講談社サイエンティフィク1992年刊 P.3の分類に
よると、大きく分けて、1)貪食清掃作用、2)分泌作用、
3)免疫の補助作用、4)その他に分けられる。
作用を担う血小板、そして免疫作用を司る白血球から構
成される。この白血球は更にリンパ球、顆粒球、単球に
分類される。この単球が体内の各組織に移行し、分化し
てマクロファージとなる。マクロファージの機能は極め
て多様であるが、徳永ら編「マクロファージ実験マニュ
アル」講談社サイエンティフィク1992年刊 P.3の分類に
よると、大きく分けて、1)貪食清掃作用、2)分泌作用、
3)免疫の補助作用、4)その他に分けられる。
【0003】マクロファージの多様な機能の中で特に注
目されるのが、分泌作用である。マクロファージはサイ
トカインなどの蛋白質のホルモン様分子のみならず、補
体成分、凝固因子、血小板活性化因子、酵素、酵素イン
ヒビターなどを分泌する。これらの分泌物は傷病の治癒
などの組織再生力の強化、感染症からの予防、治癒にと
って有効と考えられている。
目されるのが、分泌作用である。マクロファージはサイ
トカインなどの蛋白質のホルモン様分子のみならず、補
体成分、凝固因子、血小板活性化因子、酵素、酵素イン
ヒビターなどを分泌する。これらの分泌物は傷病の治癒
などの組織再生力の強化、感染症からの予防、治癒にと
って有効と考えられている。
【0004】マクロファージ細胞自身を細胞移植して、
疾病を治療する事については、例えば、Danon らの老齢
マウスに若年マウスのマクロファージを傷病部位への移
植実験から、傷病の回復が早まる事が知られている(Dan
on et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,86,2018-2020, 1
989)。さらに、Danon らはこの手法を発展させてヒト末
梢血由来のマクロファージを用いて褥瘡潰瘍の治療へ臨
床応用し、効果があると報告している(Danon et al., E
xp.Gerontol., 32,633-641,1997)。
疾病を治療する事については、例えば、Danon らの老齢
マウスに若年マウスのマクロファージを傷病部位への移
植実験から、傷病の回復が早まる事が知られている(Dan
on et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,86,2018-2020, 1
989)。さらに、Danon らはこの手法を発展させてヒト末
梢血由来のマクロファージを用いて褥瘡潰瘍の治療へ臨
床応用し、効果があると報告している(Danon et al., E
xp.Gerontol., 32,633-641,1997)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、末梢血以外
の細胞ソースで産生され、疾病治療に有効なマクロファ
ージを見出し、これを主成分とした細胞製剤を提供する
ことを目的とする。
の細胞ソースで産生され、疾病治療に有効なマクロファ
ージを見出し、これを主成分とした細胞製剤を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な目的を達成するために、末梢血以外のヒトマクロファ
ージのソースについて検討を行った。末梢血以外のヒト
マクロファージのソースとしては、臍帯血と骨髄が挙げ
られる。本発明者らはこれらから調製したマクロファー
ジと末梢血由来のそれの機能を多方面から検討し、鋭意
検討した結果、臍帯血から作製されたマクロファージは
サイトカインの産生量が、従来知られていた末梢血から
のそれに比べて明らかに高く、効果的に褥瘡潰瘍の治療
などに用いられることを見出し、本発明を完成させた。
な目的を達成するために、末梢血以外のヒトマクロファ
ージのソースについて検討を行った。末梢血以外のヒト
マクロファージのソースとしては、臍帯血と骨髄が挙げ
られる。本発明者らはこれらから調製したマクロファー
ジと末梢血由来のそれの機能を多方面から検討し、鋭意
検討した結果、臍帯血から作製されたマクロファージは
サイトカインの産生量が、従来知られていた末梢血から
のそれに比べて明らかに高く、効果的に褥瘡潰瘍の治療
などに用いられることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、ヒト臍帯血由来単核
球を分化して得られた、サイトカイン産生量の高いマク
ロファージを主成分とした細胞製剤に関する。また、本
発明は、ヒト臍帯血由来単核球を分化し、さらに細胞活
性化処理して得られた、サイトカイン産生量の高いマク
ロファージを主成分とした細胞製剤に関する。本発明に
おいては、サイトカインの産生量は末梢血由来単核球を
分化して得られたマクロファージより1.5倍以上高い
ことが望ましい。さらに、産生されるサイトカインとし
てはインターロイキン-1β、インターロイキン-6、トラ
ンフォーミング成長因子−β、血小板由来成長因子、腫
瘍壊死因子−α、インターロイキン-1、インターロイキ
ン-12 などが挙げられる。本発明における単核球として
はその中に単球が含まれる。
球を分化して得られた、サイトカイン産生量の高いマク
ロファージを主成分とした細胞製剤に関する。また、本
発明は、ヒト臍帯血由来単核球を分化し、さらに細胞活
性化処理して得られた、サイトカイン産生量の高いマク
ロファージを主成分とした細胞製剤に関する。本発明に
おいては、サイトカインの産生量は末梢血由来単核球を
分化して得られたマクロファージより1.5倍以上高い
ことが望ましい。さらに、産生されるサイトカインとし
てはインターロイキン-1β、インターロイキン-6、トラ
ンフォーミング成長因子−β、血小板由来成長因子、腫
瘍壊死因子−α、インターロイキン-1、インターロイキ
ン-12 などが挙げられる。本発明における単核球として
はその中に単球が含まれる。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、ヒト臍帯血由来単核球を分化して得られたマク
ロファージとは、実施例に示した分離、分化の方法のみ
ならず複数の処理方法を経て得られたマクロファージも
意味する。例えば、臍帯血由来のCD34陽性細胞を培養し
て得られたマクロファージなども含まれる。特に、この
場合は、抗体を用いた細胞の分離操作を行ったほうが望
ましい。分離方法は、抗CD34抗体を用いた磁気ビーズ、
抗体固定化ビーズ、これらを充填したカラム、フローサ
イトメーターを利用し、行うことができる。単球への分
化は成書などに記載されている細胞表面抗原を参考にチ
ェックすることができる。また、培養においてはステム
セルファクター(SCF) 、エフエルティー3リガンド(FLT
-3L)などの造血未分化細胞の増殖に関わる因子を組み合
わせる方が望ましい。また、活性化処理としては、イン
ターフェロン−γ(INF-γ)、単球走化活性化因子(MC
P-1)、インターロイキン−1 (IL-1) 等を用いた細胞活
性化処理があげられる。
おいて、ヒト臍帯血由来単核球を分化して得られたマク
ロファージとは、実施例に示した分離、分化の方法のみ
ならず複数の処理方法を経て得られたマクロファージも
意味する。例えば、臍帯血由来のCD34陽性細胞を培養し
て得られたマクロファージなども含まれる。特に、この
場合は、抗体を用いた細胞の分離操作を行ったほうが望
ましい。分離方法は、抗CD34抗体を用いた磁気ビーズ、
抗体固定化ビーズ、これらを充填したカラム、フローサ
イトメーターを利用し、行うことができる。単球への分
化は成書などに記載されている細胞表面抗原を参考にチ
ェックすることができる。また、培養においてはステム
セルファクター(SCF) 、エフエルティー3リガンド(FLT
-3L)などの造血未分化細胞の増殖に関わる因子を組み合
わせる方が望ましい。また、活性化処理としては、イン
ターフェロン−γ(INF-γ)、単球走化活性化因子(MC
P-1)、インターロイキン−1 (IL-1) 等を用いた細胞活
性化処理があげられる。
【0009】マクロファージへの分化誘導の培養には、
実施例のRPMI-1640 培地のみならず、ダルベッコ改変イ
ーグル培地(DMEM)、イスコフ培地(IMDM)など、適当な市
販された培地を使用しうる。臨床的にはX-VIVO15培地(B
iowittaker社)等がより好ましい。血清は、 5〜20%程
度の牛血清、牛胎児血清、もしくはヒト血清などが使用
しうる。無血清で使用することが好ましいが、必要に応
じ牛アルブミン(BSA)、ヒトアルブミン(HSA) などを添
加しうる。必要に応じ適当な抗生物質、抗体、ピルビン
酸(0.1〜5mM)、グルタミン(0.5〜5mM)、2-メルカプトエ
タノール (10〜100 μM)を含んでいてもよい。これらの
培地にサイトカインなどの分化誘導剤を添加し、約37
℃、約5%炭酸ガス雰囲気下で5日〜21日程度培養す
る。しかし、7日〜14日程度の培養が望ましい。培養温
度(34〜38℃)、ガスの混合比(炭酸ガス2〜10%、さ
らには窒素ガス、もしくは酸素ガスを適宜混合しう
る。)は、適切な条件を設定し行うことができる。
実施例のRPMI-1640 培地のみならず、ダルベッコ改変イ
ーグル培地(DMEM)、イスコフ培地(IMDM)など、適当な市
販された培地を使用しうる。臨床的にはX-VIVO15培地(B
iowittaker社)等がより好ましい。血清は、 5〜20%程
度の牛血清、牛胎児血清、もしくはヒト血清などが使用
しうる。無血清で使用することが好ましいが、必要に応
じ牛アルブミン(BSA)、ヒトアルブミン(HSA) などを添
加しうる。必要に応じ適当な抗生物質、抗体、ピルビン
酸(0.1〜5mM)、グルタミン(0.5〜5mM)、2-メルカプトエ
タノール (10〜100 μM)を含んでいてもよい。これらの
培地にサイトカインなどの分化誘導剤を添加し、約37
℃、約5%炭酸ガス雰囲気下で5日〜21日程度培養す
る。しかし、7日〜14日程度の培養が望ましい。培養温
度(34〜38℃)、ガスの混合比(炭酸ガス2〜10%、さ
らには窒素ガス、もしくは酸素ガスを適宜混合しう
る。)は、適切な条件を設定し行うことができる。
【0010】マクロファージへの分化誘導には、適切な
誘導剤を使用する必要がある。誘導剤として、実施例で
述べた顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CS
F)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF) が代表的
な例として挙げられるが、その他のサイトカイン類でマ
クロファージ、単球細胞へ分化を促す分子やマクロファ
ージ、単球以外の系統への分化を抑制する分子などから
選択して使用することもできる。
誘導剤を使用する必要がある。誘導剤として、実施例で
述べた顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CS
F)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF) が代表的
な例として挙げられるが、その他のサイトカイン類でマ
クロファージ、単球細胞へ分化を促す分子やマクロファ
ージ、単球以外の系統への分化を抑制する分子などから
選択して使用することもできる。
【0011】この培養に使用するサイトカインは、マウ
スなどの異種動物由来の因子も利用しうるものがある
が、望ましくはヒト由来の因子が望ましい。これらのサ
イトカインは、ベーリンガー社、PeproTech 社(免疫生
物研究所社扱い)など商業的に多数の会社から市販され
ているものも多く、それぞれ同様に使用しうる。用いら
れる因子は、天然由来または合成、例えば遺伝子組換え
にて調製されたものでもよい。単核細胞、リンパ球、も
しくはある種の細胞株の培養上清は、サイトカインの源
として用いることもできる。培養する際のサイトカイン
の濃度は1ng/mlから10μg/mlの濃度範囲で使用するのが
望ましく、特に10から1000ng/ml の濃度範囲がより望ま
しい。
スなどの異種動物由来の因子も利用しうるものがある
が、望ましくはヒト由来の因子が望ましい。これらのサ
イトカインは、ベーリンガー社、PeproTech 社(免疫生
物研究所社扱い)など商業的に多数の会社から市販され
ているものも多く、それぞれ同様に使用しうる。用いら
れる因子は、天然由来または合成、例えば遺伝子組換え
にて調製されたものでもよい。単核細胞、リンパ球、も
しくはある種の細胞株の培養上清は、サイトカインの源
として用いることもできる。培養する際のサイトカイン
の濃度は1ng/mlから10μg/mlの濃度範囲で使用するのが
望ましく、特に10から1000ng/ml の濃度範囲がより望ま
しい。
【0012】本発明の細胞製剤の特徴である産生量の高
いサイトカイン類は、実施例に示したようにインターロ
イキン-1β (IL-1β) 、インターロイキン-6 (IL-6) 、
トランスフォーミング成長因子−β (TGF-β) 、血小板
由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子−α (TNF-α) 、イ
ンターロイキン-1 (IL-1) およびインターロイキン-12
(IL-12)等であるが、これら以外の既知、新規の因子で
も、臍帯血由来のマクロファージでは同様に発現が高ま
っていると予想される。
いサイトカイン類は、実施例に示したようにインターロ
イキン-1β (IL-1β) 、インターロイキン-6 (IL-6) 、
トランスフォーミング成長因子−β (TGF-β) 、血小板
由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子−α (TNF-α) 、イ
ンターロイキン-1 (IL-1) およびインターロイキン-12
(IL-12)等であるが、これら以外の既知、新規の因子で
も、臍帯血由来のマクロファージでは同様に発現が高ま
っていると予想される。
【0013】本発明により製造される細胞製剤の有効成
分であるマクロファージを含む懸濁液は、ヒト体内に治
療用の細胞製剤として接種することから、その増殖性を
無くしておくとより安全である。細胞製剤として、より
安全に利用するため加熱処理、放射線処理、あるいはマ
イトマイシンC処理など、細胞製剤としての機能を残し
つつ、病原細胞のタンパク質が変性する程度の条件下で
処理をすることができる。例えば、X線照射を利用する
場合、X線照射器の管球の下にマクロファージを懸濁さ
せた生理食塩水を含むフラスコを置き、総放射線量1000
〜3300Radで照射する。マイトマイシンC処理法は、例
えば、マクロファージを1〜 3×107 個細胞/ml の密度
で懸濁し、細胞浮遊液1ml 当たりマイトマイシン Cを25
〜50μgの割合で添加して、37℃、30〜60分間保温処理
する。熱による細胞処理方法は、例えば、生細胞濃度を
1×107 個/ml に調製した細胞懸濁液を入れた遠心管を
50〜65℃で20分間加熱処理を行うことで実施しうる。
分であるマクロファージを含む懸濁液は、ヒト体内に治
療用の細胞製剤として接種することから、その増殖性を
無くしておくとより安全である。細胞製剤として、より
安全に利用するため加熱処理、放射線処理、あるいはマ
イトマイシンC処理など、細胞製剤としての機能を残し
つつ、病原細胞のタンパク質が変性する程度の条件下で
処理をすることができる。例えば、X線照射を利用する
場合、X線照射器の管球の下にマクロファージを懸濁さ
せた生理食塩水を含むフラスコを置き、総放射線量1000
〜3300Radで照射する。マイトマイシンC処理法は、例
えば、マクロファージを1〜 3×107 個細胞/ml の密度
で懸濁し、細胞浮遊液1ml 当たりマイトマイシン Cを25
〜50μgの割合で添加して、37℃、30〜60分間保温処理
する。熱による細胞処理方法は、例えば、生細胞濃度を
1×107 個/ml に調製した細胞懸濁液を入れた遠心管を
50〜65℃で20分間加熱処理を行うことで実施しうる。
【0014】本発明の細胞製剤は、あらゆる炎症、傷病
に利用可能であるが、特にマクロファージが効果がある
とされる褥瘡潰瘍の治療と感染症が挙げられ、また、免
疫力を高めると良いとされる癌なども挙げる事ができ
る。
に利用可能であるが、特にマクロファージが効果がある
とされる褥瘡潰瘍の治療と感染症が挙げられ、また、免
疫力を高めると良いとされる癌なども挙げる事ができ
る。
【0015】本発明の細胞製剤の投与量は、患者の年
齢、体重、性別、疾患の種類及び進行度、症状等により
異なり、一概に決定できないが、現在行われている癌に
対する細胞ワクチン療法で注入されるのと同程度の量が
患者に投与されればよい。たとえば、投与としては週に
一度、患者一人あたり1×107cellsを10週間にわたって
投与するプロトコールがあげられる。また投与手段は、
通常の細胞ワクチン療法で用いられる方法と同様に経
口、非経口的に投与される。
齢、体重、性別、疾患の種類及び進行度、症状等により
異なり、一概に決定できないが、現在行われている癌に
対する細胞ワクチン療法で注入されるのと同程度の量が
患者に投与されればよい。たとえば、投与としては週に
一度、患者一人あたり1×107cellsを10週間にわたって
投与するプロトコールがあげられる。また投与手段は、
通常の細胞ワクチン療法で用いられる方法と同様に経
口、非経口的に投与される。
【0016】本発明の細胞製剤は、細胞を移動保存させ
るのに効果的な容器に入れておくことが望ましい。例え
ば、クライオバイアル、凍結用血液バッグ、輸血用血液
バッグなどが有用である。ジメチルスルホキシドなどを
添加し、凍結用の保存液を調製することで、凍結保存す
ることも可能である。培養用の気相交換ができる血液バ
ッグを利用することで、閉鎖系で培養から、洗浄、回
収、保存など効率よく細胞製剤として調製、利用するこ
とができる。また、本発明では、マクロファージを主成
分とし、これに副成分としてぺプチド、生理活性細胞等
を用いてもよい。
るのに効果的な容器に入れておくことが望ましい。例え
ば、クライオバイアル、凍結用血液バッグ、輸血用血液
バッグなどが有用である。ジメチルスルホキシドなどを
添加し、凍結用の保存液を調製することで、凍結保存す
ることも可能である。培養用の気相交換ができる血液バ
ッグを利用することで、閉鎖系で培養から、洗浄、回
収、保存など効率よく細胞製剤として調製、利用するこ
とができる。また、本発明では、マクロファージを主成
分とし、これに副成分としてぺプチド、生理活性細胞等
を用いてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を用いてよ
り詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例
に限定されるものでない。
り詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例
に限定されるものでない。
【実施例1】臍帯血からのマクロファージの分離 臍帯血中の単核細胞からのマクロファージの調製法を以
下に示す。正常分娩後に摘出した健常者の胎盤より臍帯
血を採取し、フィコールで単核細胞層を回収した。フィ
コールで得た単核細胞をさらに培養シャーレ (Falcon
社)を用いて付着細胞を単球として回収した。得られた
単球は37℃、5%炭酸ガス雰囲気下で、10%牛胎児血清
(FBS:Intergen社)とantimycotic-antibiotics (Gibco
BRL社)を添加したRPMI-1640 培地を用いて、7日間培
養し、マクロファージへ分化させた。培養開始後7日間
は100ng/mlGM-CSFまたは 100ng/mlM-CSFを添加した。必
要に応じ培地の交換を行った。これにより、健常者の臍
帯血由来単球からのマクロファージの調製を行った。
下に示す。正常分娩後に摘出した健常者の胎盤より臍帯
血を採取し、フィコールで単核細胞層を回収した。フィ
コールで得た単核細胞をさらに培養シャーレ (Falcon
社)を用いて付着細胞を単球として回収した。得られた
単球は37℃、5%炭酸ガス雰囲気下で、10%牛胎児血清
(FBS:Intergen社)とantimycotic-antibiotics (Gibco
BRL社)を添加したRPMI-1640 培地を用いて、7日間培
養し、マクロファージへ分化させた。培養開始後7日間
は100ng/mlGM-CSFまたは 100ng/mlM-CSFを添加した。必
要に応じ培地の交換を行った。これにより、健常者の臍
帯血由来単球からのマクロファージの調製を行った。
【0018】
【実施例2】臍帯血由来マクロファージのサイトカイン
産生量 実施例1で調製して得たマクロファージから産生される
サイトカインの検出をエンザイムイムノアッセイ(ELIS
A)キット(R&D システム社)を用いて行った。実施例1
で調製したマクロファージを、FBS を含まない RPMI-16
40培地に置き換え、24時間培養した後、培養上清を回収
した。培養上清は測定するまでの間、−20℃で凍結保存
した。測定の際には、サンプルを解凍し室温に戻してか
らRPMI-1640培地を用いて、任意に希釈を行った。
産生量 実施例1で調製して得たマクロファージから産生される
サイトカインの検出をエンザイムイムノアッセイ(ELIS
A)キット(R&D システム社)を用いて行った。実施例1
で調製したマクロファージを、FBS を含まない RPMI-16
40培地に置き換え、24時間培養した後、培養上清を回収
した。培養上清は測定するまでの間、−20℃で凍結保存
した。測定の際には、サンプルを解凍し室温に戻してか
らRPMI-1640培地を用いて、任意に希釈を行った。
【0019】測定するサイトカイン類は、マクロファー
ジの分化増殖時に産生され、損傷組織の治癒に関わる、
インターロイキン−1ベータ (IL-1β) 、IL-6、トラン
スフォーミンググロースファクター−ベータ (TGF-β)
、血小板由来増殖因子(PDGF)について、臍帯血単球由
来マクロファージからの産生量を測定した。コントロー
ルとして、末梢血由来の単球から誘導したマクロファー
ジを用いた。表1にELISA による培養上清中のIL-1β、
IL-6、TGF-β、PDGFの産生量の測定結果を示す。いずれ
のサイトカインにおいても、末梢血単球から誘導したマ
クロファージに比べて、臍帯血単球由来マクロファージ
の方が、上記サイトカインの産生量が有意に多いことを
確認した。
ジの分化増殖時に産生され、損傷組織の治癒に関わる、
インターロイキン−1ベータ (IL-1β) 、IL-6、トラン
スフォーミンググロースファクター−ベータ (TGF-β)
、血小板由来増殖因子(PDGF)について、臍帯血単球由
来マクロファージからの産生量を測定した。コントロー
ルとして、末梢血由来の単球から誘導したマクロファー
ジを用いた。表1にELISA による培養上清中のIL-1β、
IL-6、TGF-β、PDGFの産生量の測定結果を示す。いずれ
のサイトカインにおいても、末梢血単球から誘導したマ
クロファージに比べて、臍帯血単球由来マクロファージ
の方が、上記サイトカインの産生量が有意に多いことを
確認した。
【0020】
【表1】 サイトカイン産生量 (pg/ml 培養上清) ──────────────────────────────────── 末梢血単球由来マクロファージ 臍帯血単球由来マクロファージ (コントロール) (本 発 明) ──────────────────────────────────── IL-1β 305±75 610±54 IL-6 317±50 580±60 TGF-β 1030±110 1750±95 PDGF 620±85 930±48 ────────────────────────────────────
【0021】
【実施例3】IFN γ処理した臍帯血由来マクロファージ
のサイトカイン産生量 実施例1で調製したマクロファージを、FBS を含まない
RPMI-1640培地に置き換え、500 ユニット/ml インター
フェロンガンマ(IFNγ) で37℃、CO2インキュベーター
にて24時間刺激培養した後培養上清を回収した。培養上
清は測定するまでの間、-20 ℃で凍結保存した。測定の
際には、サンプルを解凍し室温に戻してから RPMI-1640
培地を用いて、任意に希釈を行った。
のサイトカイン産生量 実施例1で調製したマクロファージを、FBS を含まない
RPMI-1640培地に置き換え、500 ユニット/ml インター
フェロンガンマ(IFNγ) で37℃、CO2インキュベーター
にて24時間刺激培養した後培養上清を回収した。培養上
清は測定するまでの間、-20 ℃で凍結保存した。測定の
際には、サンプルを解凍し室温に戻してから RPMI-1640
培地を用いて、任意に希釈を行った。
【0022】測定するサイトカイン類は、感染防御効果
または抗腫瘍活性を持つ、腫瘍壊死因子 (TNF-α) およ
び、IL-1と、NK細胞、活性化T細胞増殖活性を持つ IL-
12とについて、臍帯血単球由来マクロファージからの産
生量を測定した。測定にはELISAキット(Genzyme社)を
用いて行った。コントロールとして、末梢血由来の単球
から誘導したマクロファージを用いて比較した。表2に
ELISA による培養上清中のTNF-α、IL-1、IL-12 の産生
量の測定結果を示す。IFN γ刺激後は、いずれのサイト
カインにおいても、末梢血単球から誘導したマクロファ
ージに比べて、臍帯血単球由来マクロファージの方が、
上記サイトカインの産生量が有意に多いことを確認し
た。
または抗腫瘍活性を持つ、腫瘍壊死因子 (TNF-α) およ
び、IL-1と、NK細胞、活性化T細胞増殖活性を持つ IL-
12とについて、臍帯血単球由来マクロファージからの産
生量を測定した。測定にはELISAキット(Genzyme社)を
用いて行った。コントロールとして、末梢血由来の単球
から誘導したマクロファージを用いて比較した。表2に
ELISA による培養上清中のTNF-α、IL-1、IL-12 の産生
量の測定結果を示す。IFN γ刺激後は、いずれのサイト
カインにおいても、末梢血単球から誘導したマクロファ
ージに比べて、臍帯血単球由来マクロファージの方が、
上記サイトカインの産生量が有意に多いことを確認し
た。
【0023】
【表2】 サイトカイン産生量 (pg/ml 培養上清) ──────────────────────────────────── 末梢血単球由来マクロファージ 臍帯血単球由来マクロファージ (コントロール) (本 発 明) ──────────────────────────────────── TNF-α 180±20 310±34 IL-1 370±16 820±25 IL-12 10±0.2 58±20 ────────────────────────────────────
【0024】
【実施例4】上記実施例で作製された臍帯由来マクロフ
ァージを生理食塩水に懸濁し、輸血用血液バッグに入れ
て、最終的に細胞製剤を作製した。
ァージを生理食塩水に懸濁し、輸血用血液バッグに入れ
て、最終的に細胞製剤を作製した。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、臍帯血に存在するマク
ロファージの前駆細胞から、創傷組織を効果的に治癒す
る活性を持ち、なおかつ感染防御、抗腫瘍活性を持つマ
クロファージを作成しうる。このマクロファージは、創
傷治癒、感染防御、抗腫瘍に関わるサイトカインを多く
産生しうることから、優れた細胞製剤として、褥蒼など
の組織損傷、感染症、癌に対する治療および予防に有効
である。
ロファージの前駆細胞から、創傷組織を効果的に治癒す
る活性を持ち、なおかつ感染防御、抗腫瘍活性を持つマ
クロファージを作成しうる。このマクロファージは、創
傷治癒、感染防御、抗腫瘍に関わるサイトカインを多く
産生しうることから、優れた細胞製剤として、褥蒼など
の組織損傷、感染症、癌に対する治療および予防に有効
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B065 AA94X AC20 CA24 CA44 4C087 AA01 BB37 DA19 NA14 ZA89 ZB26 ZB32
Claims (4)
- 【請求項1】 ヒト臍帯血由来単核球を分化して得られ
た、サイトカインの産生量の高いマクロファージを主成
分とした細胞製剤。 - 【請求項2】 ヒト臍帯血由来単核球を分化し、さらに
細胞活性化処理して得られた、サイトカイン産生量の高
いマクロファージを主成分とした細胞製剤。 - 【請求項3】 サイトカインの産生量が末梢血由来単核
球を分化して得られたマクロファージより 1.5倍以上高
い請求項1または2に記載の細胞製剤。 - 【請求項4】 サイトカインがインターロイキン-1β、
インターロイキン-6、トランフォーミング成長因子−
β、血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子−α、インター
ロイキン−1 およびインターロイキン-12 からなる群の
中から選ばれる少なくとも一つのサイトカインである請
求項1〜3のいずれかに記載の細胞製剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000264301A JP2002080378A (ja) | 2000-08-31 | 2000-08-31 | マクロファージを含む細胞製剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000264301A JP2002080378A (ja) | 2000-08-31 | 2000-08-31 | マクロファージを含む細胞製剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002080378A true JP2002080378A (ja) | 2002-03-19 |
Family
ID=18751738
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000264301A Withdrawn JP2002080378A (ja) | 2000-08-31 | 2000-08-31 | マクロファージを含む細胞製剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002080378A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016079178A (ja) * | 2014-10-14 | 2016-05-16 | 訊聯生物科技股▲分▼有限公司 | スキンケア用組成物、その製造方法および該組成物を含有する医薬品 |
JP2016079177A (ja) * | 2014-10-14 | 2016-05-16 | 訊聯生物科技股▲分▼有限公司 | 真皮乳頭細胞の成長を促進する組成物、その製造方法および該組成物を含有する医薬品 |
-
2000
- 2000-08-31 JP JP2000264301A patent/JP2002080378A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016079178A (ja) * | 2014-10-14 | 2016-05-16 | 訊聯生物科技股▲分▼有限公司 | スキンケア用組成物、その製造方法および該組成物を含有する医薬品 |
JP2016079177A (ja) * | 2014-10-14 | 2016-05-16 | 訊聯生物科技股▲分▼有限公司 | 真皮乳頭細胞の成長を促進する組成物、その製造方法および該組成物を含有する医薬品 |
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