JP2003516134A - 性染色体特異的タンパク質、種特異的および精子特異的タンパク質、ならびにそれらの同定および単離の方法 - Google Patents

性染色体特異的タンパク質、種特異的および精子特異的タンパク質、ならびにそれらの同定および単離の方法

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JP2003516134A JP2001543580A JP2001543580A JP2003516134A JP 2003516134 A JP2003516134 A JP 2003516134A JP 2001543580 A JP2001543580 A JP 2001543580A JP 2001543580 A JP2001543580 A JP 2001543580A JP 2003516134 A JP2003516134 A JP 2003516134A
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スタン アール. ブレチャー
ジャクリーン デトマー
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    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
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Abstract

(57)【要約】 動物精子細胞膜に結合した性染色体特異的分子、およびそれらを単離する方法を記載する。SDS-PAGEにおいて32kDaの見かけの分子量を有するX染色体特異的分子、タンパク質を詳細に記載する。この方法は、動物精子細胞からの細胞膜画分を調製する段階;該細胞膜画分を、細胞膜画分中のXまたはY染色体特異的分子に結合する1つまたは複数の物質により処理し、XまたはY染色体特異的分子と該物質の間に複合体を形成する段階;該物質に結合しない細胞膜中の物質を分離し、性染色体特異的分子を含む亜画分を得る段階、を含む。精子の雌雄鑑別に関する性染色体特異的分子の使用法も記載する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の技術分野 本発明は、新規の性染色体特異的分子、種特異的および精子特異的タンパク質
に関し、さらに特にX性染色体特異的およびY性染色体特異的タンパク質、それら
を同定しかつ単離する方法、ならびにそれらの使用法に関する。
【0002】発明の背景 伴性遺伝疾患の発生を低下させるか、または動物の食料生産を増加させるため
に、哺乳類におけるYおよびX染色体保有(bearing)精子の分離に関する多くの
研究がなされている(Windsorら、1993;Gledhill、1988;および、Amann、1989
参照)。分離の試みは、YおよびX精子間の様々な明白な差異、例えば密度(Harv
ey、1946;SumnerおよびRobinson、1976)、pH感受性(Rothschild、1960)、遊
泳速度(Ericssonら、1973;Rhodeら、1973)、表面電荷(Kanekoら、1984;Car
twrightら、1993)、セファデックスへの精子吸着性(Steenoら、1975;Adimoel
ja、1987)、H-Y抗原含量(Goldbergら、1971;Peterら、1993;Sillsら、1998
)、運動特性(Sarkar、1984;Sarkarら、1984)、DNA含量(Pinkelら、1982;J
ohnsonら、1989)、大きさ、頭部形状および質量(Windsorらによる総説参照、R
eprod. Fert. Dev.、5:155(1993))を基になされている。
【0003】 これらの方法の中で、DNAに基づく技術のみが、現在までのところ一貫して再
現性があることが証明されている。選別された精子による人工受精(AI)または
インビトロ受精(IVF)の結果は、畜牛、ウサギおよびブタにおける性比が期待
される方向に変更されたことを示した(Morrellら、1988;Johnsonら、1989;Cr
anら、1993)。しかし、生存精子の収量が少なくかつ選別に長い時間が必要であ
るために、この方法でさえも産業的に有用ではない。加えて、DNAそれ自身が標
識されるような染色法、および精子が曝露されるレーザー光線のために、このよ
うな精子により産出される子孫の、突然変異の可能性および長期生存力の低下に
関する懸念が残る。また、必要とされる装置は、巨大で、固定され、かつ高価で
あり、高度に熟練した技師を必要とする。
【0004】 精子表面由来の性特異的タンパク質の同定および精製は、様々な研究者が試み
ているが、このようなタンパク質が精子表面に存在するかどうかは依然論議の的
である(Fennerら、1992;Cartwrightら、1993;Hcndricksenら、1996;Howesら
、1997)。「雄性特異的」抗原、いわゆるY染色体保有精子上のH-Y(組織適合性
、Y染色体)は、多くの哺乳類種、例えば畜牛、ヤギ、ブタ、ラットおよびヒツ
ジにおいて報告されている(Wachtelら、1988参照)。このH-Y抗原は、YおよびX
染色体保有精子の選別および分離のためのマーカーとして使用されている(Ali
ら、1990;Peterら、1993)。しかし、他の研究者らは、H-Y抗原マーカーを使用
したYおよびX染色体保有精子の選別が失敗したことを報告している(Hendriksen
ら、1993;Sillsら、1998)。H-Y抗原はXおよびY精子を分離することができない
というのが共通見解である。
【0005】 ファブリカント(Fabricant)ら(米国特許第4,722,887号)は、精子細胞表面
の硫糖脂質の示差的な発現に基づく高分子相分離により、XおよびY精子を分離す
る方法を開示している。
【0006】 スポールディング(Spaulding)(米国特許第5,021,244号)は、精子を濃縮し
たXおよびY染色体保有調製物への精子選別法を開示している。スポールディング
(Spaulding)は、これらの亜集団を分離するために、DNA含量および細胞選別技
術を使用している。スポールディング(Spaulding)はこれまでは、XまたはY精
子のいずれかを70%〜80%純度で得たのみである。Johnsonは、90%〜95%の純
度を達成することができた。スポールディング(Spaulding)は、細胞外タンパ
ク質を同定することを主張し、かつまだ同定されていないタンパク質の長いひも
(string)を提供することを主張している。さらにスポールディング(Spauldin
g)は、これらのタンパク質を用いて、抗体を作製することができることを示唆
しているが、彼自身の研究においては、このような抗体の存在を裏付けるデータ
を提供していない。さらに米国特許第5,021,244号に開示されたようなヘキスト
染色およびUV法は、DNAに変化を導入することがある。最後にスポールディング
(Spaulding)は、これらの亜集団は、各精子型について濃縮されると推定した
が、スポールディング(Spaulding)は分離された精子群のそれぞれが実際にX精
子およびY精子であることは確認しなかった。実際にハウエス(Howes)ら(1997
)およびヘンドリクセン(Hendricksen)(1996)が、米国特許第5,021,244号に
開示された方法を用いたが、精子から性特異抗原を同定することには失敗した。
彼らの研究の結論は、スポールディング(Spaulding)の精液雌雄鑑別のような
方法はおそらくうまくいかないとしている。
【0007】 ブレッチェル(Blecher)(国際公開公報第97/07399号)は、ウシ胎児の非性
特異抗原に対する抗体の産生のために、異種間の免疫化を用いる方法を開示して
いる。この非性特異抗原に対する抗体を用いて、抗原性物質の非性特異的成分を
除去し、次に残留する性特異的分子に対してこの抗原性物質を濃縮している。こ
の性特異的物質は、精製後、次に異種の反対の性の(雌性抗雄または雄性抗雌)
抗体を生成するために使用される。
【0008】発明の概要 本発明者らは、動物精子に由来する性染色体特異的タンパク質(X-SCSPまたは
Y-SCSP)を同定し、かつこのような動物精子に由来する性染色体特異的タンパク
質(X-SCSPまたはY-SCSP)を同定および単離する方法を開発している。SCSPは、
各性染色体上の遺伝子によりコードされるか、または別の染色体上にコードされ
た、性特異的染色体上の遺伝子の直接もしくは間接の制御下にある。本明細書に
おいて使用される「X染色体特異的分子」は、Y精子と比べて、X精子に特異的で
あるか、またはX精子中もしくはX精子上に主に存在する任意の分子またはエピト
ープを意味する。本明細書において使用される「Y染色体特異的分子」は、X精子
と比べて、Y精子に特異的であるか、またはY精子中もしくはY精子上に主に存在
する任意の分子を意味する。好ましくはこのような分子はタンパク質である。本
明細書において使用される「X精子」は、X性染色体保有精子を意味する。本明細
書において使用される「Y精子」は、Y性染色体保有精子を意味する。
【0009】 動物精子からの雄性および雌性の性染色体特異的分子の単離により、大量の
高親和性抗体を調製することができる。これらの抗体は、動物精子細胞の雌雄鑑
別において有用であり、かつ高特異性(すなわち、偽陽性をほとんど生じない)
および高感度(偽陰性をほとんど生じない)の両方を有する雌雄鑑別のための、
非侵襲的方法を提供すると考えられる。
【0010】 従って本発明は、以下の段階を含む、動物精子細胞膜に結合した性染色体特異
的分子を同定する方法を提供する: (a)第1種の動物(SP1)由来の全精子、または精子細胞画分を、第2および第
3の動物に注射する段階であって、第2および第3の動物が第2種(SP2)であり、
かつSP2動物がそれぞれ雄および雌の一方である段階; (b)第2および第3のSP2動物において生成された抗体を採取する段階; (c)第2および第3のP2動物由来の抗体を、SP1動物由来の精子細胞膜画分と別
々に反応させる段階; (d)第2および第3のSP2動物由来の各抗体について、抗体および結合した物質
から、抗体に結合していない細胞膜画分中の物質を分離する段階; (e)結合した物質を抗体から分離し、結合したおよび未結合の亜画分を作製
する段階; (f)第2のSP2動物抗体由来の結合した物質を、第3のSP2動物抗体由来の結合
した物質と比較し、かつ他方の動物抗体結合物質において存在しない、第2およ
び第3のSP2動物抗体の一方を性染色体特異的分子結合物質として同定する段階;
ならびに (g)性染色体特異的分子を単離する段階。
【0011】 好ましくは細胞膜画分は、ウシ精子の細胞膜から得られ、より好ましくはこの
細胞膜画分は形質膜画分である。使用されうる他の膜には、先体膜、ミトコンド
リア膜、または小胞体膜が含まれる。
【0012】 別の態様によると、本発明は以下のように特徴付けられる、精製および単離さ
れた性染色体特異的分子、好ましくはタンパク質を提供する:(a)X染色体特異
的であり;(b)ウシ精子細胞の細胞膜に結合し、好ましくはSDS-PAGEにおける
分子量約6kDa〜約40kDaを有する。
【0013】 本発明の好ましい態様によると、以下のように特徴付けられる、性染色体特異
的分子、好ましくはタンパク質が提供される:(a)X染色体特異的であり;(b
)ウシ精子組織由来の精子の形質膜に結合し;かつ(c)ドデシル硫酸ナトリウ
ム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により決定した、約32キロダ
ルトン(kDa)の分子量を有する。
【0014】 本発明の好ましい態様によると、以下の特徴を有する、精製および単離された
性染色体特異的タンパク質が提供される: (a)X染色体特異的であり; (b)ウシ精子細胞の細胞膜に結合し;かつ (c)SDS-PAGEにおける分子量およびpI範囲が以下からなる群より選択される
:24、5-5.5;23、4.8-5.3;21、5.3-5.8;20、5.3-5.8;14、4.8-5.3;および1
5、5-5.5。
【0015】 別の態様によると、本発明は以下のように特徴付けられる、精製および単離さ
れた性染色体特異的タンパク質を提供する:(a)Y染色体特異的であり;(b)
ウシ精子細胞の細胞膜に結合し、好ましくはSDS-PAGEにおける分子量が約5kDa〜
約50kDa、より好ましくは分子量範囲が約10kDa〜約25kDaであるタンパク質。
【0016】 本発明の好ましい態様に従い、以下の特徴を有する、精製および単離された性
染色体特異的タンパク質が提供される: (a)Y染色体特異的であり; (b)ウシ精子細胞の細胞膜に結合し;かつ、SDS-PAGEにおける分子量およびp
I範囲が以下からなる群より選択される:27、5-6.5;20、5-5.5;9、5-5.6;9、
5.3-5.8;および、5、5.3-5.8。
【0017】 さらに別の態様によると、本発明は以下のように特徴付けられる、精製および
単離された性染色体特異的分子、好ましくはタンパク質を提供する:(a)X染色
体特異的であり;(b)ブタ精子細胞の細胞膜に結合し、好ましくはSDS-PAGEに
おける分子量約20kDa〜約100kDaを有するタンパク質。
【0018】 本発明の好ましい態様によると、以下のように特徴付けられる、精製および単
離された性染色体特異的タンパク質が提供される:(a)X染色体特異的であり;
(b)ブタ精子細胞の細胞膜に結合し;かつ(c)以下からなる群に基づいて選択
される、分子量およびpI範囲を有する:99-100、5.3-5.7;43、5.3-5.7;53、6.
1-6.7;31、5-5.6;30、6-6.5;および25、7.5-9。
【0019】 さらに別の態様によると、本発明は以下のように特徴付けられる、精製および
単離された性染色体特異的タンパク質を提供する:(a)Y染色体特異的;(b)
ブタ精子細胞の細胞膜に結合し、好ましくはSDS-PAGEにおける分子量約5kDa〜約
50kDaを有するタンパク質。
【0020】 別の本発明の好ましい態様において、以下のように特徴付けられる、精製およ
び単離された性染色体特異的タンパク質が提供される:(a)Y染色体特異的であ
り;(b)ブタ精子細胞の細胞膜に結合し;かつ(c)それぞれ36〜37および6.2
〜6.8からなる群に基づいて選択される、分子量およびpI範囲を有する。
【0021】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子、またはそれらのアイソ
フォームもしくは一部は、タンパク質、ポリペプチドなどの他の分子と複合され
ることができ、および/またはグリコシル化され得る。
【0022】 本発明はさらに、本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子をコー
ドしている核酸分子に固有であるヌクレオチドプローブ、および従って性染色体
特異的分子、またはそれらのアイソフォームもしくは一部に固有であるヌクレオ
チドプローブの構築も可能にする。従って本発明はまた、本発明の方法を用いて
同定された、性染色体特異的分子をコードしているヌクレオチド配列を含むプロ
ーブにも関する。このプローブは、例えば検出可能な物質により標識することが
でき、かつヌクレオチド配列の混合物から、性染色体特異的分子またはその一部
をコードしているヌクレオチド配列を選択するために使用することができる。
【0023】 本発明の方法を用いて同定された分子は、組織から単離されるかまたは組換え
により産生されるが、これらは抗体の調製に使用することができる。従って本発
明は、本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子、または該分子のア
イソフォームもしくは一部の、エピトープに対する特異性を有する抗体をさらに
意図している。抗体は、検出可能な物質により標識することができ、かつこれら
は組織由来の試料中の性染色体特異的分子を検出するのに使用することができる
【0024】 本明細書に記載された方法を用いて同定された、性染色体特異抗原およびこの
ような性染色体特異的分子のエピトープに対する抗体を用いて、子孫が所望の性
である可能性、またはそれらが性染色体に連鎖した形質に関する遺伝子を保持す
るまたは保持しない可能性を増大することができる。
【0025】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子のエピトープに対する抗
体は、細胞膜、好ましくは形質膜に結合した性染色体特異的分子の存在の決定に
基づき、雄性胚および雌性胚を識別するのに有用である。従って本発明は、抗体
と性染色体特異的分子の間に複合体が形成されるような条件下で、本発明の方法
を用いて同定された性染色体特異的分子のエピトープに関して特異的な1つまた
は複数の抗体に、胚または胚の増殖培地を曝露する段階、および該複合体を検出
する段階を含む、雄と雌を識別する方法も意図している。雄特異的分子に対する
抗体との複合体を検出することによって、雄を決定し、かつ雌特異的分子に対す
る抗体との複合体を検出することによって、雌を決定する。
【0026】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子は、性染色体特異的分子
、好ましくは性染色体特異的タンパク質、より好ましくはSDS-PAGEで決定された
ように分子量約32kDaの雌性染色体特異的タンパク質をコードする配列を有する
、核酸分子の同定に使用することができる。従って、本発明の態様によると、本
発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子をコードしている配列を含む
、精製および単離された核酸分子が提供される。
【0027】 性染色体特異的分子をコードしている核酸分子、またはそれらの断片は、適当
な発現ベクター、すなわち挿入されたタンパク質コード配列の転写および翻訳に
必要なエレメントを含む、ベクターに挿入することができる。従って、本発明の
方法を用いて同定された分子をコードしている核酸分子、ならびに該核酸分子に
機能するように(operatively)連結された、1つまたは複数の転写および翻訳エ
レメントを含む、宿主細胞の形質転換に適合された組換えDNA分子を構築するこ
とができる。
【0028】 組換え分子は、本発明の核酸分子によりコードされた分子、またはその一部を
発現する、形質転換された宿主細胞を調製するために使用することができる。従
って、本発明は本発明の組換え分子を含む宿主細胞をさらに提供する。
【0029】 本発明はさらに、本明細書に説明された方法を用いて同定された、精製および
単離された核酸分子を利用する、性染色体特異的分子、またはそれらのアイソフ
ォームもしくは一部を調製する方法を提供する。
【0030】 本発明はさらに、本発明の方法を用いて同定された、性染色体特異的分子(複
数)に対する1つまたは複数の抗体で天然の精子を処理し、雄性または雌性決定
精子と抗体の間に複合体を形成させる段階、ならびに該複合体および抗体に結合
していない精子を単離する段階を含む、雄性および雌性決定精子を天然の精液か
ら分離する方法を意図している。
【0031】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子のエピトープに対する抗
体は、精子を不活性化させる細胞毒素と複合することもできる。例えば、これは
精子を被覆する抗体により達成することができ、その後細胞毒素は光活性化によ
り活性化される。または、磁気ビーズ法または凝集を利用することができる。容
易に認識されるように、当業者には明らかなこのような方法以外の任意のものを
使用することもできる。
【0032】 本発明は、本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子を免疫原性量
投与することにより、X精子、Y精子、またはその両方に対して雌を免疫し、これ
により特定の性の子孫の可能性を増加させるか、または受精能を低下させること
も意図している。本発明の性染色体特異的分子のエピトープに対する抗体、およ
び補体も、X精子またはY精子のインビトロまたはインビボにおける殺傷に使用す
ることができる。特に本発明の性染色体特異的分子のエピトープに対する抗体、
および補体を、交配してXまたはY精子を殺傷する前に、雌性動物の生殖器(repr
oductive tract)に配置することができる。
【0033】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子はまた、試料中の性染色
体特異的分子に特異的な抗体の存在を検出するために、使用することができる。
【0034】 本発明はまた、本発明の方法を用いて同定される性染色体特異的分子のエピト
ープに対する抗体、および本発明の方法の実施において有用な、適切な支持体を
含む、本発明の方法を実施するために有用なキットにも関する。
【0035】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明により明らかになると考え
られる。しかし、本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正は、この詳
細な説明から当業者には明らかであるので、詳細な説明および具体的な実施例は
本発明の好ましい態様を示しているが、単に例示のために示されることは、理解
されなければならない。
【0036】発明の詳細な説明 I.本発明の方法を用いて同定された分子の特徴付け 本発明者らは、本明細書に記載した方法を用いて、X性染色体特異的分子を同
定した。図1および図2に示したように、ウシの精子細胞の形質膜に結合すると特
徴付けられる精子物質中に、性染色体特異的タンパク質が同定された。この分子
は、SDS-PAGEにおいて分子量約32kDaである。本発明のX染色体特異的分子は、SD
S-PAGEで決定した分子量が約6kDa〜約40kDa、好ましくは約31kDa〜約33kDaであ
るものを含む。本発明のY染色体特異的分子は、SDS-PAGEで決定した分子量が約5
0kDa〜約200kDa、好ましくは約50kDa〜約90kDaを有するものを含む。
【0037】 本発明の方法は、性染色体特異的分子(複数)をコードする配列を有する、核
酸分子を単離するために使用することができる。例えば、部分的アミノ酸配列が
性染色体特異的分子について決定され、このアミノ酸配列を基にDNAプローブを
合成することができ、かつこのプローブを用いて、性染色体特異的分子を産生す
る細胞由来のmRNAから構築されたcDNAライブラリー、またはゲノムDNAライブラ
リーをスクリーニングすることができる。これらのプローブにハイブリダイズす
るcDNAまたはゲノムDNAを含むクローンを単離することができ、かつこの分子を
コードしているcDNAまたはゲノムDNA配列は、例えば配列決定により、または真
核生物発現系におけるcDNAの発現、および性染色体特異的分子に特異的な抗体に
結合するタンパク質を産生しているクローンの同定により、同定することができ
る。部分的アミノ酸配列を使用して、性染色体特異的分子をコードしている遺伝
子を増幅するためのPCRにおいて使用するためのプライマーを作製することもで
きる。PCRにより単離された遺伝子を、配列決定し、かつクローニングのために
発現ベクターに挿入することができる。
【0038】 ゆえに本発明の態様に従って、本発明の性染色体特異的分子をコードしている
配列を含む、精製および単離された核酸分子が提供される。
【0039】 核酸分子の断片が、本発明により意図されている。ある態様において、これら
の断片は少なくとも15個の塩基を有し、かつ本明細書に記載したようなストリン
ジェントなハイブリダイゼーション条件下で、性染色体特異的分子をコードして
いるヌクレオチド配列にハイブリダイズすることが可能である断片を含む。
【0040】 相補的ヌクレオチド塩基配列に水素結合された、本発明の核酸分子またはそれ
らの断片を含む、2本鎖ヌクレオチド配列、およびこのヌクレオチド配列の転写
により作製されたRNAが、本発明において意図されていることも認識されると考
えられる。
【0041】 さらに、本発明は本明細書に記載したものと実質的な配列同一性を有する他の
核酸配列またはアミノ酸配列を含むことも認識されると考えられる。用語「実質
的な配列同一性を有する配列」とは、わずかなまたは重要度が低い配列の変異を
有する、すなわち配列が実質的に同様に機能し、実質的に同じポリペプチドを実
際の配列として産生する、核酸配列およびアミノ酸配列を意味する。これらの変
異は、局所的突然変異、多型、または構造的修飾、もしくは交差種の相同性のわ
ずかな差異に起因しうる。
【0042】 ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、特異性を提供するのに十
分なストリンジェント性であり、不適切な対合数を減少させ、かつさらに許容で
きる効率で安定なハイブリッドの形成を可能にするために十分な柔軟性(flexib
ility)を有する。このような条件は当業者に公知であり、かつ例えばサムブル
ック(Sambrook)ら(1989年、「分子クローニング、実験マニュアル(Molecula
r Cloning、A Laboratory Manual)、コールドスプリングハーバー)に説明され
ている。
【0043】 本発明はさらに、本発明の性染色体特異的分子のアミノ酸配列およびこのアミ
ノ酸配列と実質的に同一性を有する配列を提供する。本発明はさらに、本発明の
性特異的分子に固有であるペプチドを提供する。好ましくは、このペプチドは、
長さが少なくとも10個〜20個のアミノ酸を有するが、5個のアミノ酸ほど短くて
もよい。
【0044】 本発明の核酸分子に含まれた核酸配列またはそれらの断片は、アンチセンス核
酸分子を作製するために、転写のための正常な提示に対して逆転される。このア
ンチセンス核酸分子は、当技術分野において公知の方法を用いる化学合成反応お
よび酵素による連結反応を用いて構築することができる。本発明のアンチセンス
核酸分子またはアンチセンス配列の断片は、好ましくは少なくとも15個の塩基を
含み、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増大させる
か、またはmRNAまたは遺伝子により形成された二重鎖の物理的安定性を増大させ
るように設計された、様々に修飾されたヌクレオチド、例えばホスホロチオネー
ト誘導されたまたはアクリジン置換されたヌクレオチドを用いて、化学的に合成
することができる。これらのアンチセンス配列は、アンチセンス配列が高効率調
節領域の制御下で作製されるような、組換えプラスミド、ファージミド、または
弱毒化ウイルスの形で細胞へ導入された発現ベクターを用いて生物学的に作製す
ることができ、その活性はベクターが導入される細胞種によって決まる。
【0045】II.性染色体特異的分子の同定法 前述のように、本発明は、動物精子細胞、好ましくは細胞膜、より好ましくは
精子細胞形質膜に結合した性染色体特異的分子を同定する方法に関する。本発明
の方法を用いて同定された分子、特に性特異的分子は、糖タンパク質、リポタン
パク質およびリンタンパク質、ポリペプチド、ならびにペプチドおよびこれらの
分子の複合体を含む。
【0046】 本明細書に記載された方法は、性特異的分子の十分な進化的保存があるような
、任意の群の動物に適用され、従って多種多様な動物に適用することができる。
例えばこれは、哺乳類、鳥類種、爬虫類、および魚類、好ましくは、畜牛、イヌ
、ネコ、ウマ、ブタおよびヒツジを含む商業上重要な哺乳類種に適用することが
できる。
【0047】 本発明の方法の一つの態様に従い、動物精子細胞膜に結合した性染色体特異的
分子は、動物からの全精子調製物(複数)を用いて同定することができる。全精
子調製物(複数)は、選別されないことが好ましく、すなわちXまたはY精子のい
ずれかを特に濃縮はしない。別の態様においては、同じ方法を選別された精子に
実施することができる。
【0048】 本方法に従い、全精子調製物を、第1動物、好ましくは畜牛またはブタから得
る。しかし前述のように、第1動物は、哺乳類、鳥類、爬虫類または魚類であっ
てもよい。次に第1のSP1動物由来の精子調製物を、雄の第2のSP2動物および雌の
第3のSP2動物に(またはその逆)に注射する。この雄および雌の第2および第3の
SP2動物は、同腹子(litter mate sibling)であってもよく、かつ近交系の同腹
子であってもよい。さらに、第2および第3のSP2動物は、ウサギ、ヒツジ、ラッ
ト、マウス、ウマ、ウシ、ヤギから選択することができ、および/または同様の
もしくは対応する研究方法を様々な家禽のような非哺乳類種に用いることができ
る。しかし、本明細書において使用されるような、第2および第3のSP2動物は、
動物界の全メンバーを含む。好ましい態様において、SP1動物は畜牛であり、か
つ第2および第3のSP2動物はウサギである。雄および雌のウサギがウシ精子で免
疫される態様に従って、免疫化により、雄ウサギ抗ウシ精子抗体および雌ウサギ
抗ウシ精子抗体が産生されると考えられる。SP1およびSP2が両方とも哺乳類種で
あるような好ましい態様において、これらの異種間の免疫化により調製された雌
性抗Y精子抗体および雄性抗X精子抗体の調製物は、さらにこれらの調製物が、そ
れぞれ雌性染色体特異的分子および雄性染色体特異的分子に対する抗体のみを確
実に含むように処理されうる。精子形質膜のXまたはY染色体特異的分子に結合す
る抗体は、抗体および対応する特異的分子の複合体を含む亜画分の分離を容易に
するために、不溶化することができる。同じく未処置の雄ウサギ抗ウシ精子抗体
および雌ウサギ抗ウシ精子抗体を、複合体を含む亜画分(複数)の分離を容易に
するために不溶化することができる。例えば、抗体は適当な担体に結合させるこ
とができる。適当な担体の例は、不溶化を実施する方法として以下に説明されて
いる。
【0049】 未処置の雄および雌のウサギ抗ウシ精子抗体を使用する態様に従い、雄ウサギ
抗ウシ精子抗体を、第1動物由来の精子細胞膜画分調製物と反応させる。別に、
雌ウサギ抗ウシ精子抗体も、第1動物由来の精子細胞膜画分と反応させる。第1動
物由来の精子細胞膜画分は、全精子調製物を提供するために使用されるものと同
じ動物でありうる。しかし、この方法の目的に関して、精子細胞膜画分は、同じ
第1動物に由来する必要はないが、しかし同じ種の別の第1動物由来であることが
できる。
【0050】 雄ウサギ抗ウシ精子抗体および雌ウサギ抗ウシ精子抗体間の、前述の各反応に
関して、結合した物質が未結合の物質から分離され、雄性および雌性の各抗体に
関して複合された調製物、ならびに各調製物に関して未結合の画分を提供する。
【0051】 次に複合体が、結合した物質を放出するように処理され、雄性および雌性の各
抗体に由来する物質の亜画分を作製する。
【0052】 その後選択的に、各亜画分を逆に由来する処理抗体と反応させる、すなわち雌
ウサギ抗ウシ精子抗体複合体から放出された亜画分を、雄ウサギ抗ウシ精子抗体
と反応させ;かつ、雄ウサギ抗ウシ精子抗体調製物からの放出された画分を、雌
ウサギ抗ウシ精子抗体調製物と反応させる。前述のように、未反応の物質は、複
合された物質を2つの別々の亜画分へ続いて放出することにより、複合体から分
離される。両方の場合において、亜画分はそれらの個々の成分を分析するための
適当な手段、例えばSDS-PAGEまたは二次元ゲル電気泳動、ゲル濾過およびイオン
交換クロマトグラフィーを含むタンパク質クロマトグラフィーなどに供される。
2個の亜画分の分析の結果を比較し、かつ一方の亜画分の一つの分析手段におけ
る分子の存在の指標は出現するが、他方の亜画分からの対応する分析においては
出現しない場合は、それは性染色体特異的分子として設計されると考えられる。
例えば、雄ウサギ抗ウシ精子抗体との複合体から放出された物質は、雌ウサギ抗
ウシ精子抗体から放出された物質と同様に、SDS-PAGEにかける。雄性抗体由来の
ゲル中に出現するが、雌性抗体由来の物質が流れるゲル中には出現しないバンド
、または雄性抗体由来のゲル中にはよりはっきりと出現し、かつ雌性抗体由来の
物質のゲル中ではあまりはっきりしないバンドは、X染色体特異的分子の存在を
反映していると考えられる。逆に、雌ウサギ抗ウシ精子抗体複合体由来のゲル上
を流れる物質中に出現するが、雄性抗体からのゲル上を流れる物質中には出現し
ないバンドは、Y染色体特異的分子の存在を反映すると考えられる。次にこのよ
うな分子は、本明細書に記載された技術に従い、単離することができる。
【0053】 この方法はさらに、動物からの精子組織試料の最初の調製に関連している。こ
の組織試料は、好ましくは細胞膜から、例えば、形質膜(外側の膜)、先体膜、
ミトコンドリア膜、および小胞体膜から、最も好ましくは形質膜から得られる。
例えば、形質膜画分は、以下のように得ることができる。精子膜溶解に関して、
クリント(Klint)(1985)、フェンナー(Fenner)(1992)およびヘンドリク
セン(Hendriksen)(1995)の論文に記載された方法を変更して使用することが
できる。例えば雄牛の射精液を、HEPES緩衝生理食塩水(ddH2O中の質量/L:NaCl
8.76g;HEPES 2.38g、pH7.2)で3回洗浄し、プールし、かつ600×g、25℃で10
分間遠心分離することができる。トリトンX-100を添加し、最終濃度を0.5%(v/
v)とする。洗浄した精子1mLにつき100Xタンパク質分解酵素阻害剤「カクテル」
(質量/mL ddH2O中:EDTA 30.2mg;フッ化フェニルメタンスルホニル357μg;NE
M 81.2mg;ペプスタチンA 811μg)10μLを添加する。その後チューブを氷上で
振盪し、107,000×g、4℃で1時間遠心分離し、かつそれについてタンパク質アッ
セイを行う。別の態様においては、膜小胞をキャビテーション(cavitation)、
好ましくは窒素キャビテーションを用いて単離することができる(例えば、Gill
isら、Prep. Biochem.、8:363-378(1978)参照)。次に、精子の頭部、尾部、
ならびに他の粒子由来の頭部細胞膜およびいくらかの尾部細胞膜から実質的にな
る細胞膜小胞を、遠心分離のペレット化、好ましくは2500×gで約30分間2回遠心
分離することにより得る。この細胞膜成分を含む上清を、次に遠心分離し(例え
ば、100,000×g)、本発明の方法において使用される物質が得られる。この物質
を、HEPES緩衝生理食塩水(10mM、pH7.2)中に再懸濁しかつ洗浄する。
【0054】 本発明の態様において、細胞膜画分は最初にXおよびY濃縮した精子画分を調製
することにより、精子調製物から得ることができる。濃縮された画分は、Xおよ
びY精子のDNA含量を基に調製することができる。この態様に従い、X精子はY精子
よりも多くのDNAを含み、かつX精子はDNA結合性蛍光染色後Y精子よりもわずかに
強い蛍光を示すという事実を基にしたフローサイトメトリーに、精子調製物を供
する(Hoechst 33342)。別の態様において、精子調製物を、雄性または雌性の
胚または胎児の抗原に対して生成された抗体で処理し、XおよびY精子濃縮された
調製物を得る。
【0055】 得られた膜画分は、免疫接種物の調製に使用される。例えば、雄および雌のSP
2動物は、SP1動物から単離された精子細胞膜画分で免疫される。これにより、雌
のSP2は抗Y性染色体特異的SP2抗体を産生し、かつ雄はSP2抗X性染色体特異抗体
を産生する。この第1および第2の動物種は、SP2動物が異性のSP1動物の性染色体
特異的分子に対する抗体は産生するが、同性の性染色体特異的分子に対する抗体
は産生しないのに同様に十分(十分な進化的保存)であるように選択される。し
かし、性特異的分子に対する抗体が産生され、かつ第3の種において生成される
ならば、その結果進化距離(evolutionary distance)基づいたSP2の選択に関す
る制限はない。
【0056】 第1および第2の動物種は、ウサギ、ヒツジ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、ヤ
ギ、畜牛およびブタから選択することができ、および/または同様のもしくは対
応する研究方法を、様々な家禽のような哺乳類以外の種に採用することができる
。しかし本明細書において使用されるように、動物は動物界の全メンバーを含む
。本発明の態様において、雄および雌のウサギを、ウシ精子細胞形質膜画分で免
疫し、雄ウサギ抗ウシ精子抗体および雌ウサギ抗ウシ精子抗体を産生する。
【0057】 これらの異種間の免疫化により調製された雌性抗Y精子抗体および雄性抗X精子
抗体の調製物は、これらの調製物が、それぞれ雌性染色体特異的分子および雄性
染色体特異分子に対する抗体のみを確実に含むようにさらに処理される。
【0058】 形質膜画分中のXまたはY染色体特異的分子に結合する抗体、またはそれらの一
部は、不溶化され、抗体およびXまたはY染色体特異的分子の複合体を含有する亜
画分と、性染色体非特異的分子を含む亜画分の分離を促進することができる。例
えば、これらの抗体は適当な担体に結合することができる。適当な担体の例は、
アガロース、セルロース、デキストラン、セファデックス、セファロース、カル
ボキシメチルセルロースポリスチレン、濾紙、イオン交換樹脂、プラスチックフ
ィルム、プラスチックチューブ、ガラスビーズ、ポリアミンメチルビニルエーテ
ルマレイン酸共重合体、アミノ酸共重合体、エチレンマレイン酸共重合体、ナイ
ロン、絹などがある。担体は、例えばチューブ、試験プレート、ビーズ、円盤、
球状などの形体であって良い。
【0059】 不溶化された抗体は、公知の化学的または物理的方法、例えば臭化シアンカッ
プリングなどを用いて、物質と適切な不溶性担体とを反応させることにより、調
製することができる。
【0060】 抗体およびXまたはY染色体特異的分子の複合体は、例えば塩析、クロマトグラ
フィー、電気泳動、ゲル濾過、分画、吸着、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、
凝集、またはこれらの組合せのような通常の単離技術により、性染色体非特異的
分子を含有する亜画分から単離される。抗体が不溶化されると、通常の方法を用
いて複合体を溶出することができる。
【0061】 本発明の態様において、性染色体特異的分子は、当技術分野において公知の技
術を用いて、分子サイズおよび/またはpIにより単離される。サムブルック(Sa
mbrook)らの論文(参照として本明細書に組み入れられる、「分子クローニング
、実験マニュアル(Molecular Cloning、A Laboratory Manual)、コールドスプ
リングハーバー・ラボラトリー出版、6.3-6.9項、1989年、)に記されているよ
うな標準の技法に従う電気泳動を用いて、性染色体特異的分子を分離し、例えば
ポリアクリルアミド、アガロースまたは他の重合体のゲルシートまたはスラブ(
slab)のような支持体を、典型的には支持媒体として使用することができる。好
ましくは、例えば分子サイズおよびpIのような2つの特性を基にタンパク質を分
離する二次元ゲルが使用され;最も好ましくは、SDS-ポリアクリルアミドゲル電
気泳動(SDS/PAGE)、または固定化(immobilized)pH勾配ゲルSDS-ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(IPG-SDS/PAGE)を使用し、性染色体特異的分子を分離す
ることができる。性染色体特異的分子は、Leeらの論文(Analyt. Biochem.、166
:308(1987))に記載されたような常法を用いてゲルから溶出または除去するこ
とができる。
【0062】III.本発明の方法を用いて同定された分子の調製 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子をコードしている核酸分
子またはそれらの断片は、前述の方法を用いて単離しかつ配列決定することがで
きるか、またはこれらは当技術分野において公知の手法を用いる化学合成反応お
よび酵素による連結反応により構築することができる。
【0063】 本発明の性染色体特異的分子、またはそれらのアイソフォームもしくは一部は
、組換えDNA法を用いて調製することができる。従って、性染色体特異的分子ま
たはそれらの断片をコードしている配列を有する核酸分子は、公知の方法により
、該分子、またはそれらのアイソフォームもしくは一部の良好な発現を確実にす
る適切な発現ベクターに組み込むことができる。可能性のある発現ベクターは、
ベクターが使用される宿主細胞と適合性がある限りは、コスミド、プラスミド、
または修飾されたウイルスを含むが、これらに限定されない。
【0064】 従って本発明は、本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子をコー
ドしている核酸分子、またはそれらの断片、および挿入配列の転写および翻訳の
必須エレメントを含む組換え分子を意図している。適切な転写および翻訳エレメ
ントは、細菌、真菌、ウイルス、哺乳類、または昆虫遺伝子を含む、様々な供給
源に由来しうる。適当な転写および翻訳エレメントの選択は、選択された宿主細
胞に依存し、かつ当業者により容易に成される。このようなエレメントの例は以
下を含む:転写プロモーターおよびエンハンサーまたはRNAポリメラーゼ結合配
列、翻訳開始シグナルを含むリボソーム結合配列。さらに、選択された宿主細胞
および使用されるベクターに応じて、他の遺伝子エレメント、例えば複製起点、
追加のDNA制限酵素切断部位、エンハンサー、および転写の誘導性を付与する配
列を、発現ベクターに組み込むことができる。必要な転写および翻訳エレメント
は、天然の遺伝子および/またはその隣接領域により供給されることも認識され
ると考えられる。
【0065】 組換え分子はさらに、本発明の組換え分子により形質転換またはトランスフェ
クションされた宿主細胞の選択を容易にするレポーター遺伝子を含む。レポータ
ー遺伝子の例は、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトラン
スフェラーゼ、およびホタルルシフェラーゼのようなタンパク質をコードしてい
る遺伝子である。レポーター遺伝子の転写は、β-ガラクトシダーゼ、クロラム
フェニコールアセチルトランスフェラーゼ、およびホタルルシフェラーゼのよう
なレポータータンパク質の濃度の変化によりモニターされる。これにより、組換
え分子の発現を視覚化し、かつアッセイすることが可能になる。
【0066】 組換え分子は、形質転換、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーシ
ョンなどにより宿主細胞へ導入することができる。外来DNAを発現するために宿
主細胞に形質転換、トランスフェクションなど行う方法は、当技術分野において
公知である(例えば、Itakuraら、米国特許第4,704,362号;Hinnenら、PNAS USA
、75:1929-1933(1978);Murrayら、米国特許第4,801,542号;Upshallら、米国
特許第4,935,349号;Hagenら、米国特許第4,784,950号;Axelら、米国特許第4,3
99,216号;Goeddelら、米国特許第4,766,075号;およびSambrookら、「分子クロ
ーニング、実験マニュアル(Molecular Cloning、A Laboratory Manual)、第2
版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー出版、1989年、これらは全て参
照として本明細書に組み入れられる)。
【0067】 適切な宿主細胞は、細菌、哺乳類、酵母またはその他の真菌、ウイルス、植物
または昆虫細胞を含む、様々な原核生物および真核生物の宿主細胞を含む。
【0068】 性染色体特異的分子またはそれらのアイソフォームもしくは一部も、固相合成
(Merrifield、J. Am. Chem. Assoc. 85:2149-2154(1964))または均質溶液中
の合成(Houbenweyl、1987年、「有機化学の方法(Methods of Organic Chemist
ry)」、E. Wansch編、15巻IおよびII、ティーム、シュツットガルト)のような
タンパク質化学において公知の技術を用いる化学合成により、調製することがで
きる。
【0069】 本発明の性染色体特異的分子、またはそれらのアイソフォームもしくは一部は
、タンパク質またはポリペプチドのようなその他の分子と複合させることができ
る。組換え技術を用いて、性染色体特異的分子またはその一部の領域を、所望の
生物学的機能を伴う選択されたタンパク質またはマーカータンパク質と融合する
ことにより、融合タンパク質を調製することができる。融合タンパク質の調製に
使用することができるタンパク質の例は、細胞毒素および免疫原性タンパク質を
含む。これらはさらに、分子を特定の標的部位に直接局在化するために、抗体を
含む他の特異的分子と複合させることもできる。さらに、これらの分子をコード
している遺伝子は、位置特異的プロモーターの制御下で、発現ベクターの標的特
異的部位に挿入することができる。分子の抗原性を向上させるために、性特異的
分子のコード配列および強力な免疫原性分子の配列を含む遺伝子構築体を作製す
ることができる(TaoおよびLevy、Nature、362:755-758(1993))。
【0070】 本発明はさらに、主要組織適合性複合体分子により提示される性染色体特異的
分子のエピトープをスクリーニングする方法も意図している。これは、性染色体
特異的分子でパルスされた(pulsed)マクロファージまたは単球の形質膜調製物
の単離、および本明細書に記載された方法により得られた性染色体特異的分子に
特異的な抗体を用いるエピトープの単離により、成し遂げられる。
【0071】IV. 本発明の方法を用いて同定された分子の適用 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子をコードしている核酸分
子またはそれらの断片により、当業者は生物学的材料中のヌクレオチド配列を検
出する際に使用するためのヌクレオチドプローブを構築することができる。ヌク
レオチドプローブは、32P、3H、14Cなどの、適当なシグナルを提供しかつ十分な
半減期を有する放射性標識物のような、検出可能な物質で標識することができる
。他の使用することができる検出可能な物質は、特異的に標識された抗体により
認識される抗原、蛍光化合物、lacZのような酵素、標識された抗原に特異的な抗
体、および化学発光を含む。プローブの検出されるべきヌクレオチド配列へのハ
イブリダイゼーションおよび結合の速度、ならびにハイブリダイゼーションに利
用可能なヌクレオチドの量を考慮して、適当な標識を選択することができる。標
識されたプローブは、全般的にサムブルック(Sambrook)ら、1989年、「分子ク
ローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning、A Laboratory Manual)、第
2版に記載されているように、ニトロセルロースフィルターまたはナイロン膜の
ような固体支持体上の核酸にハイブリダイズすることができる。このヌクレオチ
ドプローブは、本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子をコードし
ている遺伝子を検出するために使用することができる。
【0072】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子、またはそれらのアイソ
フォームおよび一部を用いて、抗体を調製することができる。これらの分子に対
する特異性を有する抗体も同じく、前述のように宿主細胞において該分子をコー
ドしている核酸分子の発現により調製されたタンパク質に対して、生成されうる
【0073】 本発明の文脈において、抗体はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗
体断片(例えば、Fab、およびF(ab')2)ならびに組換えにより作製された結合パ
ートナーを含むと理解される。
【0074】 ポリクローナル抗体は、当業者によってウマ、畜牛、ブタ、様々な家禽、ウサ
ギ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、マウス、またはラットのような様々な恒温動物から
容易に作製されうる。簡単に述べると、性染色体特異的分子は、例えばニトロセ
ルロースを担体として使用する、腹腔内、筋肉内、眼内、静脈内、皮下、鼻腔内
、脾内移植により、またはフロイントの完全もしくは不完全アジュバントのよう
なアジュバントと組み合わせた皮下注射、または抗原性を増大させるために続い
て複合させるかもしくは化学的に修飾することにより、動物を免疫するために使
用される。数回の追加免疫後、血清検体を回収し、かつ性染色体特異的分子に対
する反応性について試験した。特に好ましいポリクローナル抗血清は、これらの
アッセイ法の一つにおいてバックグラウンドよりも少なくとも3倍大きいシグナ
ルを提供すると考えられる。一度動物の力価が、性染色体特異的分子に対するそ
の反応性に関して安定水準に達すると、より大量の抗血清が週1度の採血または
動物の全採血により、容易に得られる。
【0075】 モノクローナル抗体も、常法を用いて容易に作製することができる(参照とし
て本明細書に組み入れられる、KohlerおよびMilstein、Nature、256:495-497(1
975)参照、;同じく参照として本明細書に組み入れられる、「モノクローナル
抗体、ハイブリドーマ:生物学的分析における新たな一面(Monoclonal Antibod
y, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses)」、プレナム出版
、Kennett、McKearnおよびBechtol(編)、1980年、および「抗体:実験マニュ
アル(Antibody: A Laboratory Manual)」、HarlowおよびLane(編)、コール
ドスプリングハーバー・ラボラトリー出版、1988年、)。
【0076】 簡単に述べると、ある態様において、ラットまたはマウスのような対象動物に
は、性染色体特異的分子が注射される。この分子は、得られる免疫応答を増強す
るために、フロイントの完全または不完全アジュバントのようなアジュバントと
混合することができる。初回免疫後1週〜3週の間に、動物を別の追加免疫により
再免疫化し、かつ該分子に対する反応性について試験した。一度動物の該タンパ
ク質に対するその反応性が安定水準に達したならば、これを屠殺し、かつ脾臓お
よびリンパ節のように大量のB細胞を含む器官を採取する。
【0077】 免疫した動物から得られた細胞を、エプスタインバールウイルス(EBV)のよ
うなウイルスを用いたトランスフェクションにより、不死化することができる(
GlaskyおよびReading、Hybridoma、8(4):377-389(1989)参照)。または、採
取された脾臓および/またはリンパ節細胞の懸濁液は、モノクローナル抗体を分
泌する「ハイブリドーマ」を作製するために、適当な骨髄細胞と融合される。適
当な骨髄細胞株には、例えばNS-1(ATCC番号TIB 18)、およびP3X63-Ag8.653(A
TCC番号CRL 1580)が含まれる。
【0078】 融合後、これらの細胞をRPMI 1640またはDMEM(ダルベッコの改変イーグル培
地)(JRH Biosciences社、レネキサ、カンザス)のような適当な培地、ならび
に胎児ウシ血清(FBS、例えばHyclone社、ローガン、ユタ、またはJRH Bioscien
ces社)のような追加の成分を含む培養プレートに置く。さらに、この培地は融
合された脾臓および骨髄細胞の増殖を選択的に可能にするような試薬、例えばHA
T(ハイポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン)(Sigma Chemical社
、セントルイス、ミズーリ)を含まなければならない。約7日後、得られた融合
細胞またはハイブリドーマをスクリーニングし、性染色体特異的分子に対して反
応性である抗体の存在を決定することができる。性染色体特異的分子に対して反
応性である抗体の存在を決定するために、広範なアッセイ法を使用することがで
き、例えば蛍光活性化細胞の選別、向流免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ法
、ラジオイムノ沈降法、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)、ドットブロッ
トアッセイ法、阻害または競合アッセイ法、およびサンドイッチアッセイ法を含
む(米国特許第4,376,110号および第4,186,530号参照;また、「抗体:実験マニ
ュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)」、HarlowおよびLane(編)、コ
ールドスプリングハーバー・ラボラトリー出版、1988年も参照)。以下のいくつ
かのクローン性希釈および再アッセイ法に続いて、性染色体特異的分子に対して
反応性の抗体を産生するハイブリドーマを単離することができる。
【0079】 他の技術も、モノクローナル抗体を構築するために使用することができる(Wi
lliam D. Huseら、「λファージにおける、免疫グロブリンレパートリーの大規
模な組み合わせライブラリーの作製(Generation of a Large Combinational Li
brary of the Immunoglobulin Repertoire in Phage Lambda)」、Science、246
:1275-1281、1989年12月参照;また、L. Sastryら、「モノクローナル触媒抗体
を作製するための、大腸菌(Escherichia coli)における免疫学的レパートリー
のクローニング:重鎖可変領域特異的cDNAライブラリーの構築(Cloning of the
Immunological Repertoire in Escherichia coli for Generation of Monoclon
al Catalytic Antibodies: Construction of a Heavy Chain Variable Region-S
pecific cDNA Library)」、Proc Natl. Acad. Sci USA、86:5728-5732、1989年
8月参照;また、Michelle Alting-Meesら、「モノクローナル抗体発現ライブラ
リー:ハイブリドーマの迅速な代替物(Monoclonal Antibody Expression Libra
ries: A Rapid Alternative to Hybridomas)」、Strategies in Molecular Bio
logy、3:1-9、1990年1月参照;これらの参考文献は、Stratacyte社(ラホヤ、カ
リフォルニア)から入手できる市販の系を説明しており、これは組換え技術によ
る抗体産生を可能にする。)。
【0080】 同様に、結合相手(partner)も、1つの遺伝子の可変領域および別の遺伝子の
定常領域、例えば非ヒト動物の可変領域およびヒトの定常領域などを組込むため
の組換えDNA技術を用いて、構築することができる。ある態様において、関心対
象のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ由来の可変領域をコードして
いる遺伝子は、可変領域のヌクレオチドプライマーを用いて増幅される。これら
のプライマーは、当業者により合成されるか、または商業的な供給源から購入さ
れる。マウスおよびヒトの可変領域のプライマーは、Stratacyte社(ラホヤ、カ
リフォルニア)から入手できる。これらのプライマーは、重鎖または軽鎖の可変
領域を増幅するために利用することができ、これらはそれぞれImmunoZAP(商標
)HまたはImmunoZAP(商標)L(Stratacyte社)のようなベクターに挿入するこ
とができる。これらのベクターは次に、発現のために大腸菌(E. coli)へと導
入される。これらの技術を用いて、VHおよびVL領域の融合を含む、1本鎖タンパ
ク質を大量に作製することができる(Birdら、Science、242:423-426(1988)参
照)。加えて、このような技術は、抗体の結合特異性を変更せずに、「マウス」
抗体を「ヒト」抗体へ変更するのに利用することができる。
【0081】 一度適当な抗体または結合相手が得られたならば、これらは、当業者に公知の
多くの技術により、単離または精製することができる(「抗体:実験マニュアル
(Antibodies: A Laboratory Manual)」、HarlowおよびLane(編)、コールド
スプリングハーバー・ラボラトリー出版、1958年参照)。適当な技術は、ペプチ
ドもしくはタンパク質親和性カラム、HPLCもしくはRP-HPLC、プロテインAもしく
はプロテインGカラム上での精製、またはこれらの技術の任意の組合せを含む。
【0082】 性染色体特異的分子に関する抗体の特異性または結合相手は、精製された抗
原調製物との反応により確認することができる。例えば、雌の性染色体特異抗原
に対する抗体の特異性は、雄性染色体特異抗原を含まない単為生殖体から調製し
た組織試料と該抗体との反応により確認することができる。
【0083】 本発明の一つの態様において、ウシ細胞膜に結合した雄性または雌性の染色体
特異的分子に対する抗体は、精製されたウシ性染色体特異的分子の適当な異種レ
シピエント動物、好ましくはウサギ、ヒツジおよびヤギへの注射により生成され
る。図1に示された一次元ゲル電気泳動における各バンドは、二次元電気泳動に
より示されるように、1つまたは複数のタンパク質を表す可能性が高い。従って
各バンドにより作製された抗体は、オリゴ特異的であり;すなわち、これらは少
数(例えば3つまたは4つ)の異なる抗原に対する反応性を有する。二次元電気泳
動を用いることにより、単独の分子は優先的に単離され、かつ単一特異性抗体が
産生される。特に、二次元ウェスタンブロット法を用い、最も抗原性が強く、性
特異的であり、かつ強力に(avidly)結合する分子が同定される。
【0084】 性染色体特異的分子に対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を
用いて、性染色体特異的抗原を精製し、かつ胚、様々な細胞および組織(例えば
精子細胞、脾臓、腎臓、卵巣、および精巣、抽出物および細胞)、ならびに生物
学的材料(例えば血液、尿、および割腔液のような体液、および破水)における
、性染色体特異的分子、またはそれらのアイソフォームもしくは一部を検出する
ことができる。これらの抗体はまた、特に細胞事象または病的状態におけるそれ
らの役割を決定するために、試料中の性染色体特異的分子、またはそれらのアイ
ソフォームもしくは一部の量の定量に使用することができる。特に、本発明のポ
リクローナル抗体およびモノクローナル抗体を、本発明の性染色体特異的分子を
検出するため、特定の細胞、組織、胚、および生物、ならびに特定の亜細胞位置
へ局在化するため、かつ発現レベルを定量するために、例えば細胞および亜細胞
レベルにおける免疫組織化学分析において使用することができる。
【0085】 これらの抗体はまた、組織培養およびハイブリドーマ試験において、特定種由
来の細胞を検出するために使用することができる。
【0086】 抗体が前述の検出可能な物質により標識される、直接法を使用することができ
る。一次抗原抗体反応が、性染色体特異的抗体に対する抗体反応性に特異性を有
する二次抗体の導入により増幅される、間接法も使用することができる。例とし
て、本発明の性染色体特異的分子に対する特異性を有する抗体がウサギIgG抗体
であるならば、二次抗体は、本明細書に記載された検出可能な物質で標識された
ヤギ抗ウサギ免疫グロブリンGである。一般に本発明の抗体は、検出可能な物質
で標識され、かつ本発明の性染色体特異的分子は、検出可能な物質の存在を基に
検出することができる。検出可能な物質の例は、様々な酵素、蛍光物質、発光物
質、ビオチン、磁気粒子、マイクロまたはマクロ粒子、および放射性物質を含む
。適当な酵素の例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファ
ターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼであり;適
当な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオロセイン、フルオロセインイソ
チオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオロセイン、ダ
ンシルクロリドまたはフィコエリトリンであり;発光物質の例は、ルミノールを
含み;および適当な放射性物質の例は、放射性ヨウ素I125、I131またはトリチウ
ムを含む。抗体はさらに、電子顕微鏡により容易に視覚化される、フェリチンま
たは金コロイドのような高電子密度物質と組合わせることができる。
【0087】 放射標識した物質は、クロラミンT法(Greenwoodら、Biochem. J.、89:114(1
963))、ラクトペルオキシダーゼ法(Marchaonisら、Biochem. J.、124:921(1
971))、ボールトン・ハンター(Bolton-Hunter)法(BoltonおよびHunter、Bi
ochem. J.、133:529(1973)およびBolton 総説、18、Amersham International
有限会社、バッキンガムシャイヤー、イングランド、1977年)、ヨードゲン(io
dogen)法(FrakerおよびSpeck、Biochem. Biophys. Res. Commun.、80:849(19
78))、ヨウ素ビーズ法(Markwell、Anal. Biochem.、125:427(1982))によ
125Iを用いて、または還元的メチル化によるトリチウム(Tackら、J. Biol. C
hem.、255:8842(1980))を用いて、調製することができる。
【0088】 公知のカップリング法(例えば、WilsonおよびNakane、「免疫蛍光および関連
する染色技術(Immunofluorescence and Related Staining Techniques)」、W.
Knappら編、215頁、Elscvier/North-Holland、アムステルダムおよびニューヨ
ーク、1978年;P. TijssenおよびE. Kurstak、Anal. Biochem.、136:451(1984
))は、酵素標識された物質を調製するために使用することができる。蛍光標識
された物質は、物質をウンベリフェロン、フルオロセイン、フルオロセインイソ
チアオシアネート、ジクロロトリアジニルアミンフルオロセイン、ダンシルクロ
リド、テトラメチルローダミンイソチオシアネートのようなローダミン誘導体、
またはフィコエリトリンと反応させることにより、調製することができる。
【0089】 標識された抗体が使用される場合、性染色体特異的分子は、標識された抗体抗
原複合体を測定することにより検出することができる。標識された複合体を測定
する適当な方法は、使用される検出可能な物質によって決まる。例えば、標識薬
剤が酵素である場合、性染色体特異的分子は、呈色系、発光系または蛍光系のた
めの適当な酵素基質を用いて検出することができる。標識薬剤が蛍光物質である
ならば、性染色体特異的分子の存在は、蛍光強度により測定することができ、か
つ標識薬剤が放射性物質であるならば、本発明の性染色体特異的分子はラジオオ
ートグラフィーにより場所を突き止めることができる。ラジオオートグラフィー
の結果は、様々な光学的方法または粒子の計測により、ラジオオートグラフにお
ける粒子密度の測定により定量することができる。
【0090】 性染色体特異的分子に対する抗体は、適当な担体への結合により不溶化するこ
とができる。適当な担体の例は本明細書に記載されている。不溶化された抗体は
、例えば臭化シアンカップリングのような、公知の化学的または物理的方法によ
り、物質を適切な不溶性担体と反応させることによって調製することができる。
【0091】 前述のような抗体および検出可能な物質で標識された抗体は、ELISA、ラジオ
イムノアッセイ法、阻害または競合アッセイ法、サンドイッチアッセイ法、ドッ
トブロットアッセイ法、ラジオイムノ沈降、または組織化学試験のような通常の
アッセイ法において、性染色体特異的分子の存在を検出するために使用すること
ができる。
【0092】 例として、これらの抗体を使用して、試験される物質の抽出物でプレートを被
覆し、抗体を被験溶液中の増加した量の抗原と反応させ、かつ試験溶液中の抗原
の存在を、前処理した抗体がプレート内の被覆した抗原と反応できる場合に生じ
る阻害量に相関して定量するような阻害アッセイ法において、細胞、組織または
生物学的物質中の性染色体特異的分子を検出することができる。別のサンドイッ
チ法または捕獲アッセイ法において、性染色体特異的分子に対する精製された抗
体はプレートに結合され、推定上の抗原の供給源の変動量が導入され、該プレー
トが洗浄され、かつ結合した抗原量がビオチンに複合された抗体およびアビジン
-ビオチン化されたペルオキシダーゼ指示薬を用いて測定される。
【0093】 性染色体特異的分子を検出するのに適した抗体および核酸プローブは、適当な
容器に梱包された必要な物質を提供する、簡易キットに梱包することができる。
例えば、このようなキットは性特異的分子に対する一連の抗体を含むことができ
る。このキットはさらに、本発明の方法の実施において有用な適当な支持体も含
むことができる。
【0094】 本発明の抗体、核酸プローブおよびキットは、多くの実践的用途を有する。本
明細書に記載された方法を用いて同定された性染色体特異的分子は、細胞の細胞
膜上に存在する。これらの性染色体特異的分子に対する特異的抗体に胚を曝露す
ることにより、例えば該抗体に結合することができる検出可能な物質を用いて、
胚の性別を確定することが可能である。この方法で選択された胚は回収すること
ができ、抗体を洗浄除去し、インビトロ培養を継続し、続いてウシに導入するこ
とができ、かつ結果として妊娠が成功する
【0095】 従って、本発明はまた、抗体および性染色体特異的分子の間に複合体が形成さ
れるような条件下で、本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子のエ
ピトープに特異的な1つまたは複数の抗体へ胚または胚の増殖培地を曝露する段
階、および該複合体を検出する段階含む、雄および雌を識別する方法を広範に意
図している。染色体特異的分子に対する抗体による複合体の検出は雄を決定し、
かつX染色体特異的分子に対する抗体による複合体の検出は、雌を決定する。抗X
染色体および抗Y染色体特異的分子抗体を別々に、組合わせて、または続けて、
雌雄を識別するために用いることができる。ELISA、ラジオイムノアッセイ法、
または組織化学的試験のような通常のアッセイ法において具体化されている、前
述の直接法および間接法を用いて胚を雌雄鑑別することができる。
【0096】 本明細書に記載された方法を用いて雌雄鑑別され得る胚は、畜牛、イヌ、ネコ
、ウマ、ブタ、ヤギおよびヒツジを含む、哺乳類種から得られる。同様のまたは
対応する研究方法を、鳥類種、魚類、および爬虫類を含む哺乳類でない動物にお
いて行うことができると考えられる。これらの動物の一部において、雌は異型配
偶子であり(哺乳類では雄が異型配偶子であるが)、その結果一部の哺乳類雄性
染色体特異的分子は、これらの非哺乳類種の一部の雌性染色体特異的分子と相同
であることができ、かつ逆の場合も同様である。
【0097】 これらの胚は、インビトロまたはインビボ受精された胚、または単為生殖体で
ありうる。
【0098】 胚は、通常の技術により得ることができる。例えば、胚は、過剰排卵したヒツ
ジ、ヤギ、ブタおよび畜牛から得ることができる。ヒツジ、ヤギ、ブタおよび畜
牛に、約3日間12時間間隔で漸減する分割量のFSH-Pを注射し、その後プロスタグ
ランジン類似体(例えば、Ono-1052、Ono Pharma.社、日本)を注射し得る。胚
は、ヤギおよびヒツジから腹腔鏡により採取することができる。ウシ胚は、発情
および人工授精の約6日〜7日目に過剰排卵したドナーの子宮のフラッシング(fl
ushing)により、手術せずに採取することができる。これらの胚は、10%bCS補
充したBMOC-3培地(Brinster, RL、1972年:「哺乳類胚の培養(Cultivation of
the mammalian embryo)」、In: G. Rothblat, VJ Cristfalo(編);「培養に
おける細胞の栄養および代謝(Nutrition and Metabolism of Cells in Culture
)」、第2巻、New York: アカデミック出版、pp252-286)中において、5%CO2
95%空気中、37℃で約6時間培養することができる。
【0099】 性染色体特異的分子のエピトープに特異的な抗体は、本発明の方法を用いて同
定され、本明細書に記載された方法を用いて調製され得る。抗体および性染色体
特異的分子の間の複合体の形成に使用することができるような条件は、当技術分
野において一般に公知である。この複合体形成に使用される抗体の量は、抗体の
種類、および性染色体特異的分子の特性を基に選択することができる。これらの
複合体は、例えば塩析、クロマトグラフィー、電気泳動、ゲル濾過、分画、吸着
、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、凝集、またはこれらの組合せのような、通
常の単離技術により分離することができる。
【0100】 以下の3つの技術またはそれらの組合せが、胚の分離に使用されることが好ま
しい: a)二重抗体法 胚が、1つまたは複数の性染色体特異的分子に対する抗体に続いて、蛍光標識
された抗γグロブリン二次抗体に曝露される。抗雄および抗雌抗体を順次使用し
、次にそれらの各抗体を使用することができる。この方法により、標識されない
胚から標識された胚を手動で分離することができる。
【0101】 b)ウツミ(Utsumi)ら(Mol. Reprod. Devel.、36:238(1993))に設定された
方法と類似の、性染色体特異的分子に対する抗体と共にインキュベーションした
場合、胚をそれらの形態を基に分離することができる。これらの抗体は、抗雄抗
体を使用した場合に、雄性胚の成長を可逆的に遅延することができるが、雌性胚
の成長は遅延できず、抗雌抗体を使用した場合には、その逆となる。これらの抗
体はさらに、一方の性の胚を不可逆的に抑制または殺傷し、実質的に他方の性の
純粋な培養物を残すために、例えば補体(complement)のような添加物を用いて
または用いずに使用することもできる。この方法も手動による分離を可能にする
【0102】 c)磁気ビーズ標識 この方法において、胚は市販の;この場合は適当な抗体で被覆された、顕微鏡
的に小さな磁気ビーズに曝露される、雄特異的または雌特異的抗体のいずれかで
ある(例えば、Olsakerら、Anim. Genet.、24:311(1993))。市販のヤギ抗ウ
サギ免疫グロブリンで被覆された磁気ビーズは、雄特異的または雌特異的抗体に
曝露される前に、胚に添加される。あるいは、これらのビーズを例えば抗ウサギ
免疫グロブリンで被覆し、次に雄特異抗体で被覆し、適当な容器内において、直
接胚懸濁液中に入れることができる。性特異的タンパク質は、内皮細胞表面に存
在するので、雄性胚はビーズ上の雄特異抗体に結合することができる一方で、雌
性胚は結合することができない。次にこれらのビーズおよび付着した胚は、磁石
を用いてその皿の側面に引き寄せられる。例えばプロテインAまたはプロテインG
被覆した磁気ビーズのような、市販の二次抗体およびアビジン-ビオチン増強し
た磁気ビーズの組合せも、使用することができる。
【0103】 分離された胚の性は、例えば染色体分析および/またはDNA法のような公知の
方法を用いて確認することができる。
【0104】 精子細胞膜は、本発明の方法を用いて産生されたY染色体特異的分子またはX染
色体特異的分子抗体と反応する分子を含む。雄性染色体特異的および雌性染色体
特異的な異なる分子が、それぞれYおよびXの精子の2種類において位置する。
【0105】 従って、本発明はさらに、本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分
子に対する1つまたは複数の抗体と天然の精子をインキュベーションし、雄性ま
たは雌性決定精子と抗体の複合体を形成する段階、ならびに複合体および複合体
に結合していない精子を単離する段階を含む、天然の精子から雄性および雌性決
定精子を分離する方法を意図する。この方法において使用される抗体は、精子細
胞形質膜調製物から単離された雄および雌染色体特異的分子に対する抗体である
【0106】 XまたはY染色体特異抗原に対する抗体は、それぞれXまたはY精子に結合しかつ
不活性化させ、ならびに特定の環境下で、これらが卵子と受精することを妨げる
ことができる。この抗体に結合していない精子細胞は、生存し続け、かつ卵子と
の受精に関して活性がある。従って、本発明は活性型のXまたはY精子が濃縮され
た精液試料を作製し、こうして子孫が所望の性を持つ可能性、または性染色体に
連鎖した形質に関する遺伝子を保持するまたはしない可能性を増大させる方法を
提供する。
【0107】 磁気ビーズ法(例えば、Olsakerら、上述、1993)を用いて、推定のXおよびY
精子を分離することができる。例えば雄染色体特異抗体で被覆されたビーズを、
適当な容器内で精子細胞の懸濁液中に入れることができる。性染色体特異的タン
パク質は精子細胞形質膜に存在するので、Y精子細胞は雄染色体特異的分子抗体
に結合する一方で、X精子は結合しない。次にこれらのビーズは、磁石を用いて
皿の側面に引き寄せられる。これら2つの精子細胞である、ビーズに接着するも
の(Y)および接着しないもの(X)が回収される。
【0108】 以下の方法も、雄性および雌性決定精子の分離に使用することができる。天然
の精子調製物は、雄染色体特異的分子に結合する第1の抗体に曝露することがで
きる。これらの曝露された精子は、独占的に第1の抗体に結合する第2の抗体およ
びタンパク質非含有希釈液中の免疫吸着基質の複合体と共に懸濁され、複合体/
精子調製物を形成し、これにより雄産生精子またはY染色体保有精子が該基質に
結合され得る。その後、この精子は基質との特異的結合により、基質から回収さ
れる。
【0109】 これらの方法は、機械的操作を必要とせず;非侵襲的であり;これらは細胞内
部構造との化学的結合を必要とせず;これらは最小の操作を伴い;装置および器
具についての必要条件は最小限であり;これらは容易かつ簡便に行われる。
【0110】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子に対する抗体も、インビ
ボにおいて子孫の性を制御するために使用することができる。例えば、本発明の
方法を用いて同定された性染色体特異抗原を含むワクチンを使用し、X精子、Y精
子またはそれら両方に対して雌を免疫することができ、これにより子孫が特定の
性である可能性を高めるか、または全体の受精能を低下させる。不要な精子を殺
傷するよう精子に影響を及ぼす/選択することために、XまたはY染色体特異的分
子それぞれに対する抗体、および補体を、性交前に子宮または生殖器内に配置す
ることにより、より多くの雌または雄を産生するように、動物(好ましくは哺乳
類の)子孫の性別を制御することができる。
【0111】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子のエピトープに対する抗
体は、精子を不活性化する細胞毒素と複合させることもできる。したがってこの
細胞毒素は、精子に特異的に標的化され得る。その結果これらの調製物は、避妊
薬として有用である。本明細書に記載された方法を用いて同定される雄および雌
特異的分子に対する抗体も、精子を抗雄抗体および抗雌抗体の両方と接触させる
ことにより、避妊薬として有用である。雄および雌特異的分子に対するアンチセ
ンス配列も、避妊薬として有用である。
【0112】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子は、試料内の性染色体特
異的分子に特異的な抗体の存在を検出するためにも、使用することができる。
【0113】 本発明の方法を用いて同定された性染色体特異的分子に特異的な抗体は、ヒト
において致死的な伴性遺伝疾患を予防するために、医療分野においても重要であ
る。例えば、XまたはY染色体特異的抗体を用いて、活性Y精子が濃縮された精液
試料を作製し、その結果子孫が性染色体に連鎖した形質に関する遺伝子を保持し
ない可能性を高めることができる。
【0114】 以下の限定的でない実施例は、本発明を例示するものである:
【0115】実施例 実施例の基本手法 精子からの形質膜の調製 新鮮な精子および凍結保存した精子(卵黄増量剤中)を、GenCor, Guclphから
入手した。ウェスタンブロットのために、窒素キャビテーション法を用いた(Bu
hr, M.M.ら、(1994);および、Buhr, M.M.私信)。精子膜可溶化については、
クリント(Klint)(1985);フェンナー(Fenner)(1992)およびヘンドリク
セン(Hendriksen)(1995)の方法を改変した。3頭の雄ウシ由来の射精液を、H
EPES緩衝生理食塩水(ddH2O中の質量/L:NaCl 8.76g;HEPES 2.39g、pH7.2)で3
回洗浄し、プールし、かつ600×gで10分間遠心分離した。トリトンX-100を、最
終濃度0.5%(v/v)となるよう添加した。洗浄した精子1mLにつき100Xタンパク
質分解酵素阻害剤「カクテル」(ddH2O中の質量/mL:EDTA 30.2mg;フッ化フェ
ニルメタンスルホニル357μg;NEM 81.2mg;ペプスタチンA 811μg)10μLを添
加した。チューブを氷上で1時間振盪し、107,000×g、4℃で1時間遠心分離し、
かつタンパク質アッセイを行った。
【0116】免疫ブロッティング(ウェスタンブロット法) Samnbrook(「分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning、A La
boratory Manual)、第2版、第3巻、pp18.60-18.75、1989年)に記載されたウェ
スタンブロット法を行った。結合した抗体は、プロテインA-ホースラディッシュ
ペルオキシダーゼ、基質としてジアミノベンジジンを用いて検出した。免疫ブロ
ッティングに使用した全ての一次抗体は、先にELISAにより分析して(Hudson、1
980)、力価を決定した。雌性抗原および雄性抗原を、1μg/ウェル(未精製の可
溶化されたタンパク質)または100ng/ウェル(精製途中のまたは精製されたSSP
)で被覆した。
【0117】電気泳動 タンパク質画分を、標準ミニゲル(MiniGel)法(BioRad社)を製造業者の指
示に従い使用し、SDS-PAGEにより分析した。ゲルは、0.2%(重量/体積)クーマ
シーブルーまたは銀染色により染色した。
【0118】胎児膜タンパク質に対する抗体 ニュージーランドホワイトウサギ、3.0〜3.5kg(Maple Lane Rabbitry and Ch
arles River Rabbitry、チャールズリバー、カナダ)を、4回の皮下(sc)注射
、それに続く筋肉内(im)ブースト(boost)により免疫した。抗血清は、以下
のようにギリシャ文字を割当てた:雌ウサギ抗雄組織-アルファ(α);雌ウサ
ギ抗雌ウシ-ベータ(β);雄ウサギ抗雌ウシ-ガンマ(γ);雄ウサギ抗雄ウシ
-デルタ(δ)。
【0119】精子膜タンパク質に対する抗体 雄および雌ウサギを、プールした新鮮なまたは凍結乾燥した精子により免疫し
た(4×皮下(sc)および1回の筋肉内(im))。精子細胞を、HEPES緩衝した生
理食塩水(HBS)精子TALP(Tyrodes、アルブミン、乳酸塩、ピルビン酸塩)で2
回洗浄し(Rieger, E.ら、J. Reprod. Fertil.、105:91-98(1995))、室温(R
T)で200×gで10分間遠心分離した。この比較的ストリンジェントでない処置を
、細胞の生存を保持するために用いた。精子数の計測は、血球計測器を用いて行
った。各sc注射は、39.9×106個のプールした精子+200μLのフロイント不完全
アジュバント(FIA)を含み;imブーストは、79.8×106個のプールした精子+20
0μLのFIAを含んだ(Ambrose(J. Androl.、17:567-578(1996));Castle(Bi
ol. Reprod.、56:153-159(1997))およびHowes(1997)の変法)。雌および雄
ウサギからの抗精子抗血清は、以下のようにギリシャ文字を割当てた:それぞれ
、イプシロン(ε)およびゼータ(ζ)。これらは、それぞれ、推定の「抗Y」
および「抗X」抗血清である。これらの抗血清の精子膜タンパク質に対する特異
的を試験するために、免疫細胞化学法を、凍結保存した精子のメタノール固定し
た塗沫について行った。二次抗体は、フルオロセインイソチアシアネート(FITC)
-複合させたヤギ抗ウサギIgG(Sigma Chemical社)(ddH2O中1/10)であった。
スライドを、Zeiss(商標)IM35UV顕微鏡下で観察した。
【0120】胎児膜タンパク質の精製 可溶化した胎児形質膜タンパク質の事前浄化(preclearance)を、CNBr活性化
したセファロース4B親和性カラム(Amersharn Pharmacia Biotech社)を用い、
ウサギ予備免疫血清をリガンドとして行った。未結合および結合の溶出した画分
を回収した。これらの画分を吸光度(A280)、タンパク質アッセイ法(Pierce社
)、SDS-PAGEおよび高脂質、高界面活性剤、低タンパク質、非SSP画分の除去の
ための免疫ブロッティングにより分析した。
【0121】 SSPの免疫親和性の増強はHPLC(Beckman Instruments社/System Gold社:Ultr
affinity-EPカラム、0.5mlまたは5.0mlカラム容量)により行った。これらのカ
ラムを、製造業者の指示に従い誘導した。βおよびδIgGを、単一のカラム上で
組み合わせるか、または個々のカラムで順次使用した。事前浄化し、0.1Mリン酸
カリウム、pH7.0中に可溶化したタンパク質を、このカラムに通した。未結合の
画分を収集し;結合したタンパク質を、0.5M KClを含有する1.0Mリン酸カリウム
、pH2.7で溶出した。未結合および結合した画分を、3キロダルトン(kDa)カッ
トオフ値のCentriprep-3(登録商標)濃縮器(Amicon社)を用いて濃縮し、タン
パク質濃度決定、SDS-PAGE、ウェスタンブロットおよびELISAにより分析した。
【0122】 ゲル濾過を、HPLC(Beckman Instruments社)を用いて行った。Superdex 200
HiLoad 16/60調製グレードまたはSephacryl 16/60 HR-100 (Amersham Pharmaci
a Biotech社)を、製造業者の指示に従い、0.15M NaClを含有するO.05Mリン酸ナ
トリウム、pH7.0を用いて使用した。前段のように画分を濃縮しかつ分析した。
組み合わせた推定SSP画分はさらに、Superdex 75 HR 10/30カラム(Amersham Ph
armacia Biotech社)上で製造業者の指示に従い、サイズ排除することにより分
離した(溶出用緩衝液およびその後の分析は前述のもの)。
【0123】 DEAE Sephacrylカラム上の陰イオン交換クロマトグラフィー(Amersham Pharm
acia Biotech社)は、0.02M TrisヒドロキシメチルアミノメタンpH8.0を用いて
、1.0M NaClまでの連続した塩勾配により行った。結合および未結合の画分を、
前述のように分析した。さらなる分離は、塩勾配を伴う、pH7.0および5.0の製造
業者の指示した適当な緩衝液を用いて行った。結合および未結合の画分を、SSP
の存在について分析した。
【0124】実施例1 リガンドとして同性の抗体(βおよびδ型)を使用した、可溶化した膜タンパ
ク質の親和性クロマトグラフィーにより、予測されたように性典型的分子が濃縮
された(示していない)。この部分的に精製された物質(60%の非SSPが除去さ
れ、約20%を超える非SSP物質が予備免疫血清カラム上での浄化により除去され
る)を使用し、異性のウサギを免疫した。得られた血清をウェスタンブロットに
おいて用い、一次元電気泳動において雄および雌試料で認められた類似サイズの
分子が、性特異的であるかまたは特異的でないかを決定した。SSPのさらなる濃
縮を、ゲル濾過により、および次に続くイオン交換クロマトグラフィーにより実
施した。雄および雌のSSPについて、分子量範囲がそれぞれ、より高い(50kDa〜
60kDaおよびそれ以上)ならびにより低い(35kDaおよびそれ未満の)SDS-PAGE上
で反復可能な特徴的プロフィールを認めた。。
【0125】 精製された雄および雌胎児SSPに対して生成された抗体(それぞれ、SSABαお
よびγ)に加え、非SSAB(βおよびγ)を、精子膜タンパク質のウェスタンブロ
ットにおいて使用した。いくつかの雄および雌胎児SSPのものとほぼ同じサイズ
のバンドを、それぞれ、αおよびγ抗血清によりこれらのブロットにおいて検出
し(図1参照)、ここでは抗胎児抗体に対して反応した精子膜抗原が、ウェスタ
ンブロットで示された。レーンの意味を以下に示す:抗原:精子頭部(H)およ
び尾部および中片部(T)膜タンパク質。抗体:雌性抗雄(α)、雌性抗雌(β
)、雄性抗雌(γ)、雄性抗雄(δ)。矢印は、胎児SSPと同等の分子量のバン
ドを示す。
【0126】 図1は、記載したように、抗胎児抗体により検出された精子膜抗原を示してい
る。この図の調製法は、12%ポリアクリルアミドゲルにおいて電気泳動され、雌
性抗雄(α)、雌性抗雌(β)、雄性抗雌(γ)または雄性抗雄(δ)抗血清と
の免疫ブロッティング後に検出された、精子膜調製物の使用を含む。精子膜を、
頭部領域(H)または尾部および中片部領域(T)のいずれかから可溶化した。分
子量の標準(STD)を外側のレーンに示した。矢印は、胎児SSPについて以前に観
察されたものと同等の分子量を持つタンパク質を示す。
【0127】実施例2 精子形質膜上の性染色体特異的分子をさらに研究し、かつ最終的に単離した。
この研究方法において、発明者らは、雌ウサギおよび雄ウサギにおいて精子形質
膜表面分子に対する抗体を作製した。本発明者らは、これらの抗血清をそれぞれ
、イプシロン型(ε)およびゼータ型(ζ)と称した。これらの2つの免疫法は
、異なる抗体反応を生じ、すなわち異なる抗原(それぞれ、YおよびX染色体)を
認識する抗体を産生する。
【0128】 特に、雌ウサギの免疫化は、Y染色体特異的精子表面タンパク質(Y-SCSP)に
対する反応を生じ、一方X染色体特異的タンパク質(X-SCSP)に対する反応は生
じない。いずれの仮説にも拘束されることを所望しないが、作業仮説は、雌(こ
の実施例においてはウサギの)の免疫系が、雄に関連したY-SCSPを「非自己」と
して認識する一方で、ことによると雌性決定に関連するよう定められた精子X-SC
SPは、「自己」として認められると考えられる。この逆は、雄の免疫化に適用さ
れる。従ってこれら2種の免疫化によって、それぞれY-SCSPおよびX-SCSPを単離
するための、免疫親和性実験のリガンドとして使用することができる抗血清を産
生することができる。
【0129】実施例3 前述のように得られた抗Y(εとも称される)および抗X(ζとも称される)型
抗血清を用いて、親和性カラムを作製した。その後精子膜調製物を、これらのカ
ラムに通した。これにより、推定される性染色体特異的分子の示差的な結合が生
じると予想された。次にこれら2本の異なるカラムにより結合した物質および結
合していない物質を、それらのタンパク質含量について試験した。この方法で使
用したεおよびζカラムは、結合および未結合タンパク質の異なるアレイを生じ
た。
【0130】 予備試験において、本発明者らは1本のカラム(例えばε)に全精子膜タンパ
ク質を流した。その後結合したタンパク質を第1カラムから溶出し、その後未結
合の物質を他方のカラム(ζ)に流した。別の試料を、逆の順番で流した。これ
により本発明者らは、どのタンパク質が特定のカラムに特異的に結合したか、例
えばεには結合したがζには結合していないか、すなわちおそらくY特異的であ
るかを観察することができた。これらのカラム上での精子形質膜タンパク質のク
ロマトグラフィーに関する、本発明者らの予備試験は、本発明者らがεカラムか
らより大きな分子量(MW)の分子を増強し、かつζカラムからより小さなMWの分
子を増強することを示唆する、予備的結果を生じた。従って本発明者らは、差異
を認めるのみではなく;本発明者らの雄SSPは比較的高い分子量範囲にあり、か
つ雌SSPは比較的低い範囲にある(図1参照)ため、これらの差異はまた、胎児SS
Pの結果から推定される傾向にある。これらの結果は、この研究方法により精子S
CSPの単離が成功する可能性が高いことを示す。
【0131】 これらの実験においてこれまで認められた最も再現性のある結果は、約32kDa
(6回の実験における範囲は31.0kDa〜32.8kDa;平均32.2)の推定X-SCSPバンド
の出現である。このバンドは、ζカラムに結合しかつεカラムに結合しないタン
パク質が試料中に認められ(図2、レーン1)、ならびにεカラムには結合するが
ζカラムには結合しないタンパク質が試料中に存在しない(図2、レーン2参照)
ことに基づき、推定X-SCSPであることを意味している。6回の実験中5回において
、Y染色体特異的抗原を単離することを試み;5回中3回が、50kDa〜80kDaの範囲
のタンパク質の濃縮を示した。
【0132】 6個の約32kDaバンドのRf値(色素先端に対するタンパク質の移動度)について
計算された分散は、各実験で同じタンパク質であることがわかっている、サイズ
が最も近い2個のMW標準(26kDaおよび38kDa)の分散よりも小さかった。このこ
とは、各6回の実験において約32kDa分子が同じタンパク質であるという結論を裏
付けている。
【0133】 この性染色体特異的分子は、SDS-PAGEゲルにおいて繰り返し同定され、かつ更
なる二次元電気泳動およびウェスタンブロット試験のためにゲルから抽出され、
一次元電気泳動において認められた1本のバンドが、1つまたは複数の性特異的分
子を含むかどうかが立証される。個々の性染色体特異的分子を用いて単一特異性
抗体を生成することができ、かつアミノ酸配列を決定するために用いてPCR作業
のためのヌクレオチド配列を誘導することができる。
【0134】実施例4 SDS-PAGEゲルにおいて繰り返し同定された性染色体特異的分子を、更なる二次
元電気泳動およびウェスタンブロット試験のために抽出した。畜牛およびブタの
両方に関するこれらの試験の結果を、表1に示した。ウェスタンブロットを伴う
二次元ゲルの試料を、図3(ブタX精子試料を示す)、図4(ブタY精子試料を示す
)、図5(ウシ精子X試料を示す)、および図6(ウシ精子Y試料を示す)に提供す
る。これらの各図において見られる、表1に示したスポットの識別名は、各図面
でそれぞれ説明している。
【0135】実施例5 本明細書に記載されたように作製された抗体を用いて、2種類の精子細胞を分
離する方法を開発する。抗体の使用により細胞を分離する、確立された方法は、
例えば以下のように使用されると考えられる。市販の顕微鏡的に小さな磁気ビー
ズを、適当な抗体、この場合は雄染色体特異的または雌染色体特異抗体のいずれ
かで(または二次抗体、例えばヤギ抗ウサギIgG)で被覆する(Olsakerら、Anim
. Cenet.、24:311(1993))。例えばX染色体特異抗体で被覆したビーズを、例
えばガラス皿のような適当な容器内の精子細胞懸濁液中に入れる。性染色体特異
的タンパク質は細胞表面に存在するため、従ってX精子細胞はビーズ上の雌特異
抗体に結合し、一方Y精子は結合しないと考えられる。これらのビーズを次に、
磁石を用いて皿の側面に引き寄せる。ビーズに接着しているもの(Y)および接
着していないもの(X)の2種の精子細胞を回収する。精子細胞の凝集も利用する
ことができる。このような研究方法において、生存している選別されない精子を
、血清非含有インビトロ培養培地中に懸濁し、かつYまたはX染色体特異抗体のい
ずれかに曝露する(望ましいように)。この培地の処理後、ガラス綿フィルター
で濾過し、かつ濾液中の精子を用いて、インビトロ受精を行う。
【0136】考察 同じIgGリガンド(β、γまたは両方)を使用する雄および雌のタンパク質調
製物の親和性クロマトグラフィーは、これら二つの性について異なるMWの分子に
ついて示差的な濃縮をもたらした。これはSSP精製に関する基礎を提供した。
【0137】 抗雄および抗雌SSAB(αおよびγ)はそれぞれ、精子膜タンパク質がウェスタ
ンブロットにおいて、〜50-60kDaおよび〜または<35kDaのバンドを示し(図1)
、これらはSDS-PAGEにおいて見られた雄および雌の胎児膜タンパク質のサイズに
相当していた。このことは、SSABαおよびγにより検出可能なSCSPが、XおよびY
精子の表面に存在し得る可能性を裏付けている。
【0138】 実際、リガンドとしてεおよびζ抗血清を用いる親和性カラムは、異なる精子
タンパク質を濃縮した。X-SCSPを結合することが可能であると推定されるζカラ
ムは、一貫して〜32kDa(平均MW=32.2)の分子を単離した(6回の試行n=6)。こ
れらの6本のバンドのRfは、26kDaおよび38kDaのMW標準よりも小さな分散を有し
ていた。このことは、これらの6kDa〜32kDaバンドが同じ分子を示し、これが推
定X-SCSPタンパク質であると解釈すべきことを示唆している。εおよびζ抗血清
が完全な生存している精子の注射により生成され;B細胞は、細胞傷害性T細胞と
は対照的に、表面分子に優先的に反応すると予想されたので、このデータはこれ
が細胞表面分子であることを示唆している。免疫細胞化学的に、得られる抗血清
は実際に細胞表面タンパク質(および先体)と優先的に反応した。
【0139】 いずれかの理論に拘束されることを所望しないが、XおよびY精子の表面上の異
なるSCSPの存在は、これらの分子の減数分裂後の転写および/または翻訳(PMT/
T)を意味し、ならびにこれらが精細胞内部細胞質ブリッジ(bridge)を横断し
ないことを意味している。現在、PMT/Tが生じ(例えば、Hendriksenら、1995)
、かつ明らかに全てのPMT/T分子が細胞質ブリッジを横断するするとは限らない
こと(Zheng, Y.ら、第8回精子学(Spermatology)国際シンポジウム、モントリ
オール、カナダ、1998年、要約p1-31)の十分な証拠が存在する。先に示唆した
ように、これらの分子の存在に関して選択的優位性が存在するならば、これらの
ブリッジを通過しないものについての選択圧も存在すると考えられる。これを確
証する一つの機構は、形質膜に行先が定められた分子は合成直後にそこに位置さ
れる(Caldwell, KA.、Proc. Nat. Acad. Science, USA、88:2407-2411(1991)
)ということである。または、SCSP転写産物は、「一過性抑制状態」において精
細胞に貯蔵され(Steger, K.、Anat. Embryol (Berl)、199:471487(1999))
、かつこの状態から適当な精子細胞において放出される。最後に、性染色体は減
数分裂を通じて主にヘテロクロマチン性であり;関連する遺伝子座が不活性化さ
れ、かつブリッジが閉じた後にのみ転写が起こることが可能である。
【0140】 好ましい態様において本発明の原理を例示しかつ説明したが、当業者は本発明
をこのような原理から逸脱することなく、計画および詳細において変更すること
ができることを認識すべきである。本発明者らは、特許請求の範囲の範囲内に生
じる全ての変更を主張する。
【0141】 本明細書に引用された全ての刊行物、特許および特許出願は、各個別の出版物
、特許および特許出願が具体的かつ別々にその全体が参照として本明細書に組み
入れられることを示されるように、その全体が参照として本明細書に組み入れら
れる。
【0142】参考文献
【0143】
【表1】
【図面の簡単な説明】
本発明は図面を参照することでより理解されると考えられる:
【図1】 胎児組織に対して生成された抗体に反応する、精子膜抗原を示す
ウェスタンブロットである。
【図2】 精子膜画分のSDS-PAGE分析である。
【図3】 ブタX精子試料の二次元ポリアクリルアミドゲル分析である。
【図4】 ブタY精子試料の二次元ポリアクリルアミドゲル分析である。
【図5】 ウシX精子試料の二次元ポリアクリルアミドゲル分析である。
【図6】 ウシY精子試料の二次元ポリアクリルアミドゲル分析である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年7月5日(2001.7.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA43 BA80 CA04 CA07 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 FA02 GA01 GA11 HA01 HA03 HA11 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA00 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74 GA26 HA04 HA05 HA06 HA15 HA16 HA17 HA18

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のように特徴づけられる、精製および単離された性染色
    体特異的タンパク質:(a)X染色体特異的であり;(b)ウシ精子細胞の細胞膜
    に結合し;かつ、(c)SDS-PAGEにおける分子量約32kDaを有する。
  2. 【請求項2】 以下の特徴を有する、精製および単離された性染色体特異的
    タンパク質: (a)X染色体特異的であり; (b)ウシ精子細胞の細胞膜に結合し;ならびに、 (c)SDS-PAGEにおける分子量およびpI範囲が、24、5-5.5;23、4.8-5.3;21
    、5.3-5.8;20、5.3-5.8;14、4.8-5.3;および、15、5-5.5からなる群より選択
    される。
  3. 【請求項3】 以下の特徴を有する、精製および単離された性染色体特異的
    タンパク質: (a)Y染色体特異的であり; (b)ウシ精子細胞の細胞膜に結合し;ならびに、 (c)SDS-PAGEによる分子量およびpI範囲が、27、5-6.5;20、5-5.5;9、5-5.
    6;9、5.3-5.8;および、5、5.3-5.8からなる群より選択される。
  4. 【請求項4】 以下のように特徴づけられる、精製および単離された性染色
    体特異的タンパク質:(a)X染色体特異的であり;(b)ブタ精子細胞の細胞膜
    に結合し;ならびに、(c)分子量およびpI範囲が、99-100、5.3-5.7;43、5.3-
    5.7;53、6.1-6.7;31、5-5.6;30、6-6.5;および、25、7.5-9からなる群に基
    づいて選択される。
  5. 【請求項5】 以下のように特徴づけられる、精製および単離された性染色
    体特異的タンパク質:(a)Y染色体特異的であり;(b)ブタ精子細胞の細胞膜
    に結合し;ならびに、(c)分子量およびpI範囲が、それぞれ36-37および6.2-6.
    8からなる群に基づいて選択される。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4、または5のいずれか一項記載の分子をコ
    ードしている、単離および精製された核酸配列。
  7. 【請求項7】 以下の段階を含む、動物精子細胞膜に結合する性染色体特異
    的分子を同定する方法: (a)SP1動物由来の全精子を、第2および第3のSP2動物に注射する段階であっ
    て、ここで第2および第3の動物が、それぞれ雄および雌の一方である段階; (b)第2および第3のSP2動物で生成された抗体を採取する段階; (c)第2および第3のSP2動物由来の抗体を、SP1動物由来の精子細胞膜画分と
    別々に反応させる段階; (d)第2および第3のSP2動物由来の各抗体について、抗体および結合した物質
    から、抗体に結合していない細胞膜画分中の物質を分離する段階; (e)結合した物質を抗体から分離し、結合および未結合の(unbound)亜画分
    を作製する段階; (f)第2のSP2動物抗体由来の結合した物質を、第3のSP2動物抗体由来の結合
    した物質と比較し、かつ他方の動物抗体結合物質においては存在しない、第2お
    よび第3のSP2動物抗体の一方を性染色体特異的分子結合物質として同定する段階
    ;ならびに (g)性染色体特異的分子を単離する段階。
  8. 【請求項8】 以下の段階を含む、動物精子細胞膜に結合した性染色体特異
    的分子を同定する方法: (a)SP1動物由来の精子細胞画分を、第2および第3のSP2動物に注射する段階
    ; (b)第2および第3のSP2動物で生成された抗体を採取する段階; (c)第2および第3のSP2動物由来の抗体を、SP1動物由来の精子細胞膜画分と
    別々に反応させる段階; (d)第2および第3のSP2動物に由来の各抗体について抗体および結合した物質
    から、抗体に結合していない細胞膜画分中の物質を分離する段階; (e)結合した物質を抗体から分離し、結合および未結合の亜画分を作製する
    段階; (f)第2のSP2動物抗体由来の結合した物質を、第3のSP2動物抗体由来の結合
    物質と比較し、かつ他方の動物抗体結合物質においては存在しない、第2および
    第3のSP2動物抗体の一方を性染色体特異的分子結合物質として同定する段階;な
    らびに (g)性染色体特異的分子を単離する段階。
  9. 【請求項9】 細胞膜画分が、ウシまたはブタの精子細胞の細胞膜から得ら
    れる、請求項7または8記載の方法。
  10. 【請求項10】 細胞膜画分が、形質膜、先体膜、ミトコンドリア膜または
    小胞体膜の画分である、請求項7、8または9のいずれか一項記載の方法。
  11. 【請求項11】 抗X染色体特異的分子抗体が、第1の動物種の雄性動物を、
    第2の動物種の精子細胞から得られた精子細胞膜画分で免疫することにより産生
    される、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 抗Y染色体特異的抗体が、第1の動物種の雌性動物を、第2
    の動物種の精子細胞から得られた精子細胞膜画分で免疫することにより産生され
    る、請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 性染色体特異的分子のエピトープに対する特異性を有する
    抗体を調製する段階をさらに含む、請求項7〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の方法に従って同定された、性染色体特異的
    分子のエピトープに対する抗体。
  15. 【請求項15】 被験試料を請求項10記載の抗体と反応させる段階、および
    該抗体に結合する被験試料中の抗原に関してアッセイする段階を含む、性染色体
    特異的分子のスクリーニング法。
  16. 【請求項16】 抗体が、検出可能な物質により標識されている、請求項15
    記載の方法。
  17. 【請求項17】 天然の精液を、請求項13記載の方法に従って同定した性染
    色体特異的分子のエピトープに対する1つまたは複数の抗体で処理して、天然の
    精液中の雄または雌を決定する精子および該抗体の間で複合体を形成する段階、
    ならびに該複合体および抗体に結合しない精子を単離する段階を含む、天然の精
    液から雄および雌を決定する精子を分離する方法。
  18. 【請求項18】 性染色体特異的分子のエピトープに対する抗体、および本
    発明の方法を実施するのに有用な適切な支持体を含む、請求項17記載の方法を実
    施するためのキット。
  19. 【請求項19】 (a)精子を不活性化する細胞毒素と複合された(conjuga
    ted)、請求項7もしくは8記載の方法に従って同定された性染色体特異的分子;
    または、(b)請求項11記載の抗体を含む、避妊薬。
  20. 【請求項20】 以下のように特徴付けられる、精製および単離された性染
    色体特異的タンパク質:(a)X染色体特異的であり;(b)ウシ精子細胞の細胞
    膜に結合する。
  21. 【請求項21】 以下のように特徴付けられる、精製および単離された性染
    色体特異的タンパク質:(a)X染色体特異的であり;(b)ウシ精子細胞の細胞
    膜に結合し;かつ(c)SDS-PAGEにおける分子量約6kDaから約40kDaを有する。
  22. 【請求項22】 以下のように特徴付けられる、精製および単離された性染
    色体特異的タンパク質:(a)Y染色体特異的であり;(b)ウシ精子細胞の細胞
    膜に結合する。
  23. 【請求項23】 以下のように特徴付けられる、精製および単離された性染
    色体特異的タンパク質:(a)Y染色体特異的であり;(b)ウシ精子細胞の細胞
    膜に結合し;かつ(c)SDS-PAGEにおける分子量約5kDaから約50kDaを有する。
  24. 【請求項24】 分子量の範囲が約10kDaから約25kDaである、請求項23記載
    のタンパク質。
  25. 【請求項25】 以下のように特徴付けられる、精製および単離された性染
    色体特異的タンパク質:(a)X染色体特異的であり;(b)ブタ精子細胞の細胞
    膜に結合する。
  26. 【請求項26】 以下のように特徴付けられる、精製および単離された性染
    色体特異的タンパク質:(a)X染色体特異的であり;(b)ブタ精子細胞の細胞
    膜に結合し;かつ(c)SDS-PAGEにおける分子量約20kDaから約100kDaを有する。
  27. 【請求項27】 以下のように特徴付けられる、精製および単離された性染
    色体特異的タンパク質:(a)Y染色体特異的であり;(b)ブタ精子細胞の細胞
    膜に結合する。
  28. 【請求項28】 以下のように特徴付けられる、精製および単離された性染
    色体特異的タンパク質:(a)Y染色体特異的であり;(b)ブタ精子細胞の細胞
    膜に結合し;かつ(c)SDS-PAGEにおける分子量約5kDaから約50kDaを有する。
  29. 【請求項29】 請求項7〜13のいずれか一項記載の方法に従って調製され
    た分子。
  30. 【請求項30】 請求項20〜28のいずれか一項記載の分子をコードしている
    、単離および精製された核酸配列。
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