JP2016519955A - 選別可能な精子を有する動物を作製するための遺伝子技術 - Google Patents

選別可能な精子を有する動物を作製するための遺伝子技術 Download PDF

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Abstract

Xおよび/またはY染色体を示すように標識された精子を有する家畜。一方の性のみの子孫を生産する雄家畜。マーカーを有する精子。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年5月31日に出願された米国仮特許出願第61/829,672号明細書および2013年8月27日に出願された米国仮特許出願第61/870,586号明細書の優先権を主張し、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
連邦政府支援に関する記述
本明細書に記載の研究の諸側面は、農務省(USDA)−飲食農業研究所(National Institute of Food and Agriculture)のバイオテクノロジーリスク評価プログラム競争的助成金第2012−33522−19766号による支援を受けた。米国政府は本発明において一定の権利を有し得る。
技術分野は、遺伝子改変動物、特に性により選別するために遺伝子改変された精子を有する動物に関する。
精子を事前に選別してX染色体配偶子を有する精子からY染色体配偶子を有する精子を選別することができれば、動物交配および育成の実施が改善される。次いで、動物をその精子から所定の性を有するように作出することができる。
容易に選別可能な精子を有するファウンダー動物が提供される。精子は、効率的なエクスビボ選別法に好適である。実施形態は、マーカーにより標識された精子を含む。マーカーは、可視化および/または結合のためのタグを提供する。陽性および陰性選択の両方が提供される。精子を使用するエクスビボ選別法としては、例えば、可視化、マーカーベース選別、例えば、毒素による陰性選択に基づく技術または運動性に基づくアッセイが挙げられる。以下の特許出願は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれ、矛盾する場合、本明細書が優先する:米国特許出願公開第2010/0146655号明細書、米国特許出願公開第2010/0105140号明細書、米国特許出願公開第2011/0059160号明細書、および米国特許出願公開第2011/0197290号明細書。
遺伝子改変精子を有する動物を作出するための遺伝子ツールの使用を説明する。 精子外部および/または内部の改変部位を有する哺乳動物精子を説明する。 精子表面上のマーカーに結合するリガンドを有する固相を使用して精子を選別するための一実施形態を説明する。 性を示すように標識された精子を有する動物の作出を示す。 脊椎動物Y染色体の改変についての実験結果を示す。 イボイノシシからのp65S531P突然変異を慣用のブタ中に遺伝子移入するために使用されたCRISPR/Cas9媒介HDRを示す実施例6および7の実験結果のモンタージュである。パネルa)は、S531Pミスセンス突然変異を示し、パネルb)は、形質移入されたLandrace線維芽細胞のSURVEYORアッセイを示し、パネルcおよびd)は、3および10日目に試料採取された細胞のRFLP分析を示す。パネルaの配列の最上段の行および最下段の行は、ガイドRNA(gRNA)(配列番号1を有するP65_G1Sおよび配列番号2を有するP65_G2A)である。2段目の行は、野生型(Wt)P65配列、配列番号3である。3段目の行は、本実験において使用されたHDRテンプレート、配列番号4である。左側TALEN(配列番号5)および右側TALEN(配列番号6)を示す。 ブタAPCにおけるTALENおよびCRISPR/Cas9媒介HDRの比較を示す実験結果のモンタージュである。パネルa)は、野生型APC配列に対するAPC14.2TALENおよびgRNA配列APC14.2G1aを示す。下に、新規HindIII部位をもたらす4bp挿入(下線文字)を送達するHDRオリゴを示す。パネルb)は、RFLPおよびSURVEYORアッセイ結果を示すチャートを示す。パネルaの最上段の行は、APC14.2TALEN配列、配列番号7である。2段目の行は、野生型APCS配列、配列番号8である。第3行は、gRNA配列G1a、配列番号9を示す。最下段の配列は、HDRテンプレート、配列番号10である。 TALENおよびプラスミド相同性テンプレートを使用する2つの部位(AMELYおよびSRY)中の脊椎動物Y染色体を標的化する遺伝子を示す。相同性アームの外側の遺伝子座特異的プライマーおよび相同性テンプレート内のトランス遺伝子特異的プライマーを使用して個々のコロニーをスクリーニングする。相同性テンプレートの遺伝子座および配向を、それらの対応するウェル上部に示し、陽性対照を(+)で示す。 TALENおよびプラスミド相同性カセットによるクローン中のY標的化の分析結果を示す表である。 Y染色体中の3つの部位へのユビキチンEGPFの短鎖相同性標的化である。SRYの3’ジャンクションについてのプライマーは、TALENの有無にかかわらず非特異的バンドパターンも与えた。 TALENならびにAMELYおよびSRY部位に特異的な短鎖相同性テンプレートにより処理された細胞中のEGFPマーカーの発現を示す棒グラフである。 EGFPマーカーを発現するクローンのジャンクション分析である。 シスXベクターの一般的模式図を提供する。ブタSP10、ACE、またはCK15プロモーターのいずれかをシスXカセットの上流に配置した。このシスXカセットは、EGFPトランス遺伝子をフランキングするSmok15および3’UTRからなる。プロモーター−トランス遺伝子カセット全体をSleeping Beauty IRDRによりフランキングしてトランスポゼースSB100Xの資源の提供によるトランス遺伝子の酵素的挿入を容易にする。 最上段、Itga6に正規化されたマウス精巣中のEGFP転写物についてのqPCR。ファウンダー系列を、分析マウスがF0であったかF1であったかとともに下方に示す。トランス遺伝子のF0伝達を提供し、トランス遺伝子の総コピー数の推定を与える。 緑色蛍光タンパク質に対する抗体を使用するSP10プロモーター下のシス制限(cis restriction)により調節されるGFPを発現するマウス中の精巣組織の蛍光標識。 緑色蛍光タンパク質に対する抗体を使用するSP10プロモーター下のシス制限により調節されるGFPを発現する雄マウス中の精子の蛍光標識。
精子中の性染色体の性を示すように標識された精子を有する動物が提供される。高度に効率的なエクスビボ選別法を使用して標識精子を分離することができる。マーカーは、マーカーの画像化を使用する精子の選別に使用することができ、またはマーカーは、結合のための部位を提供し得る。陽性および/または陰性選択を使用することができる。精子を使用するエクスビボ選別法としては、例えば、可視化、マーカーベース選別、例えば、毒素による陰性選択に基づく技術が挙げられる。例えば、野生型遊泳精子から分離される遊泳が不十分な精子による運動性ベースアッセイも利用可能である。実施形態は、例えば、マーカーおよび精子構成要素の融合タンパク質を含む。融合タンパク質を作製するために改変することができるタンパク質および遺伝子を本明細書に詳述する。性染色体になされた改変を詳述するデータを含める。
精子の構造および形成
哺乳動物精細胞は、頭部、中片および尾部を有する。頭部は、雌卵への侵入に使用される酵素を含有する先体により前方で包囲された緻密にコイルされたクロマチン線維を有する核を含有する。中片は、雌頸部、子宮および卵管を通る遊走のためのATP生産に使用される多くのミトコンドリアが周辺にパックされている中心糸状コアを有する。尾部または「鞭毛」は、精母細胞を推進させる鞭様の移動を遂行する。
精子形成は、基底膜上に存在する精原細胞または精子母細胞から精細管内で精子が形成されるプロセスを指す。精子形成は、2つの区別される期を有する:精原細胞が精子細胞を形成する一連の分裂である精母細胞形成。第2期は、精子形成である:精子細胞が精子を形成する変態を受ける期。プロセス全体は、数週間、例えば、雄牛においては約60日間、雄羊においては約49日間を要する。
精母細胞形成は、4つの期を有する。第1期(一般に、約15日間の持続期間)は、精原細胞の減数分裂である。休眠精原細胞は、基底膜近くの生殖上皮中に残留してプロセスを後で繰り返す。活性精原細胞は、4回の減数分裂を受け、最終的に16個の一次精母細胞を形成する。第2期(約15日間の持続期間)は、染色体の数が半減する一次精母細胞の減数分裂である(第1減数分裂)。第3期(一般に、数時間)は、二次精母細胞の精子細胞への分裂である(第7減数分裂)。第4期は、4個の精子細胞がそれぞれの一次精母細胞から形成され、または64個がそれぞれの活性精原細胞から形成される場合に生じる。精母細胞形成に続き、精子細胞が完全に成熟して精子を形成する段階が生じる。
改変のための遺伝子
精子上または精子中で発現される種々の生物分子が存在する。哺乳動物精子タンパク質は、一般に十分に保存されており、その結果、ある哺乳動物の精子上のタンパク質は、別の種中の相当物を有する。当業者は、特定の種中のタンパク質が同定されたら、その相当物を種にわたるタンパク質に位置付けることに慣れている。1つのカテゴリーは、精子線維鞘タンパク質である。Chriva−Internati et al.,Cancer Immunity,2008,(8):8−13が、この群を概説している。精子の鞭毛は、(a)連結片;(b)ミトコンドリアを含む中片;(c)主部、および(d)短い終末部を有する。主要な細胞骨格構造は、軸糸、外側緻密線維、および線維鞘(FS)である。FSは、細胞膜下に存在し、軸糸および外側緻密線維を包囲する。FSは、糖分解酵素およびシグナリング分子のための足場として機能すると考えられる。FS中に局在するいくつかのタンパク質、例として、例えば、Sp17、CABYR、AKAP3、AKAP4、TAKAP−80、ロピリン(Rhopilin)、ロッポリン(Ropporin)、GSTM5およびフィブラウシーシン(fibrousheathin)が同定されている。
グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)は、精子表面において局在する、Hemachand et al.,J.Cell Science,2002,115(10):2053−2065参照。GSTは、多数のグルタチオン(GSH)依存性反応を触媒する酵素のファミリーであり、細胞内結合タンパク質としても機能し得る細胞質またはミクロソーム解毒酵素として主に記載されている。
Naaby−Hansenは、論文“Functional and immunological analysis of the human sperm proteome”,Dan Med J,2012,59(3):B4414において精子タンパク質を概説した。約200個の精子表面タンパク質が標識技術により同定された。これらのタンパク質を単離および使用してそれらの対応する遺伝子を同定することができる。実際、これらの一部は、実際に単離および微小配列決定され、微小配列の2つが使用されてSAMP14およびSAMP32と命名された2つの精子表面タンパク質のクローン化のためのプライマーが作製された。別の精子表面タンパク質は、PH−20(いくつかの哺乳動物種からの精子の表面全体上に局在化する)である。CD52は、タンパク質SAGA−1上のエピトープであり、精子結合モノクローナル抗体S19についての抗原でもあり;SAGA−1は、ヒト精子中の全ての表面ドメインにわたり局在している。血清アミロイドP成分(SAP)として同定されたタンパク質は、26.5kDaのMWを有する豊富なカルシウム結合表面タンパク質である。80K−Hは、別の精子表面タンパク質であり;これは、種々の機能、例として、PKC経路を有する多機能Ca2+センサである。さらに、カルシウム結合オプソニンSAPならびに3つのカルシウム結合HSP70シャペロンHYOU1、HSPA5およびHSPA2が、精子細胞膜の公知の構成要素である。
Naaby−Hansen and Herr,J.Reprod.Immunol.,2010,84(1):32−40は、質量分析およびエドマン分解を使用してビオチンおよび放射性ヨウ素より標識された精子表面から単離された精子タンパク質のアイデンティティを解明した。この研究者らは、HYOU1(ORP150)、HSPC1(HSP86)、HSPA5(Bip)、HSPD1(HSP60)を含む4つの異なる熱ショックタンパク質(HSP)ファミリー、および2つの精巣特異的HSP70シャペロンHSPA2およびHSPA1Lのいくつかのアイソフォームからの7つのメンバーが同定されたことを報告した。精巣特異的HSPA2シャペロンに対して生じた抗血清は、3つの65kDaのHSPA2アイソフォームおよび3つの高分子量表面タンパク質(78〜79kDa、84kDaおよび90〜93kDa)と反応した。これらのタンパク質は、7つの65kDa HSP70形態と一緒になって、ヒトにおける体外受精を遮断するヒト抗精子IgG抗体と反応した。これらの表面ビオチン化ヒト精子抗原の3つを、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)HSP70中の直鎖ペプチドエピトープに対して生じたウサギ抗血清により免疫沈降させた。結果は、多様なHSPシャペロンがヒト精子上の表面標識について接近可能であることを示した。
Fabrega et al.,Reproductive Biology and Endocrinology,2011,9(96):1−13は、精子表面タンパク質が、アルファ−フェルチリン(ADAM−1)およびベータ−フェルチリン(ADAM−2)と命名された2つの統合膜糖タンパク質(モルモットにおけるPH−30アルファおよびPH−30ベータ)から構成されるヘテロダイマー複合体のフェルチリンを含むことを記載し、いくつかの他のADAMは精子−卵母細胞認識および膜融合に関与することが報告された。ADAMは、「ア・ディスインテグリン・アンド・メタロプロテイナーゼ(A Disintegrin And Metalloprotease)」、規定の特徴、例として、プロドメイン、メタロプロテイナーゼ、ディスインテグリンおよびシステインリッチドメイン、EGF様リピート、膜貫通ドメインおよびカルボキシ末端細胞質テールを有するファミリーを意味する。Fabrega et al.は、雄ブタモデルにおけるADAMを研究した。
Larson and Miller,Biol Reprod.,1997,57:442−453。種々の哺乳動物種からの精子は、ベータ1,4ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalTase)をそれらの表面上で発現する。著者らは、6つの種からの精子に対してGalTase酵素アッセイを実施し、6つ全てがGalTaseをそれらの表面上で発現した。GalTaseの量は、種間で変動した。モルモット、マウス、およびラット精子は、ウシ、ブタ、およびウサギ精子より高いレベルのGalTaseを有した。
Dorus et al.,Mol.Biol.Evol.,2010,27(6):1235−1246は、精子タンパク質を調査し、精子中の膜上または他箇所における種々のタンパク質を報告した。細胞膜に、または精子全体に局在する精子タンパク質および遺伝子が同定され、互いに区別された。精子中または上の多くのタンパク質が公知である。Dorusは、多くのタンパク質、局在、およびそれらを発現する遺伝子の長い説明およびリストを提供する。
ある家畜種中の遺伝子は、他の家畜種中、ならびにヒトおよびマウス中のオルソログを常に有する。ヒトおよびマウス遺伝子は、家畜、特にウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、およびウサギ中のオルソログを常に有する。これらの種および魚類間の遺伝子オルソログは、遺伝子機能に応じて一致することが多い。生物学者らは、遺伝子オルソログを見出す方法に精通しているため、オルソログを列記せずに種の1つに関して遺伝子を本明細書に記載することができる。したがって、遺伝子の不活性化、標識、またはエピトープタグ化を記載する実施形態は、他の種中の同一または異なる名称を有するオルソログの不活性化、標識、またはエピトープタグ化を含む。一般的な遺伝子データベースならびに遺伝子オルソログの同定に特殊化されたデータベースが存在する。
当業者は、当技術分野において公知の技術を使用して融合タンパク質を調製することができる。実施形態は、細胞を形質移入し、それにより細胞を遺伝子操作して融合タンパク質をインビボで作製する(細胞を、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで形質移入し、細胞は、組織移植片のメンバーであり、またはそれから区別される)ためのベクター、およびその方法を含む。以下の米国特許出願は、全ての目的、例として、融合タンパク質を作製する目的のために参照により本明細書に組み込まれ、矛盾する場合は本明細書が優先する:米国特許第5227293号明細書、米国特許第5358857号明細書、米国特許第5885808号明細書、米国特許第5948639号明細書、米国特許第5994104号明細書、米国特許第6512103号明細書、米国特許第6562347号明細書、米国特許第6905688号明細書、米国特許第7175988号明細書、米国特許第7704943号明細書、米国特許出願公開第2002/0004037号明細書、米国特許第出願公開第2005/0053579号明細書、米国特許出願公開第2005/0203022号明細書、米国特許出願公開第2005/0250936号明細書、米国特許出願公開第2009/0324538号明細書。
選別
図2Aは、遺伝子改変精子:表面上で改変された精子;内部で改変された精子;内部および表面上の両方で改変された精子の実施形態を示す。内部改変は、可視化技術に基づく選別法または例えば、生存もしくは他の変化、例えば、運動性の変更に基づく他の選択法に有用である。マーカーは、それらがリガンドにより結合され、または特異的に結合されるように選択することができる。図2Bは、マーカーに結合するリガンドを含むビーズに結合するマーカーを発現する精子を示す。精子をビーズに曝露し、標識精子がリガンドを介してビーズに結合し、ビーズを未結合精子から、例えば、磁気、遠心分離、または重力により分離する。代替法としては、例えば、試料を受容するカラム中のビーズへのリガンドの固定化、リガンドによりコーティングされた計深棒の試料中への配置、およびリガンドによるビーカーまたは容器壁のコーティングが挙げられる。別の代替法は、複数のリガンドを可溶性材料に結合させ、材料が標識精子を架橋して物質相分離、または沈殿を作出することを可能とすることである。
他の選別法は、可視化に頼り、これは、画像を生成するための広義の用語である。可視化は、可視光、蛍光の波長におけるものであり得、または放射線不透過性に頼り得る。フローサイトメトリーなどのツールを使用することができる。マーカーは、可視化のために精細胞上または内側に存在し得る。
他の選別メンバーは、静電変化に頼る。細胞を電荷により分離するフローサイトメトリー装置が公知である。マーカーは、マーカーを発現しない細胞から、マーカーを有する細胞を選別するための表面電荷を生産するために静電的に活性であり得る。
別の選別の実施形態は、毒性因子をマーカーに結合させることによる精細胞の殺滅に頼る。毒性因子は、細胞死を惹起し、または毒もしくは他の生物学的手段、例えば、ナチュラルキラー細胞による破壊について細胞を標識する。毒性因子の例は、毒およびアポトーシス因子である。例えば、エンテロロキシンの融合物を作製することができ:エンテロトキシンは、種々の作用方式を有する。例えば、ジフテリア毒素は、宿主細胞膜中の穴、または細孔の形成を惹起する。細孔形成外毒素の別の例は、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)により生産されるアエロリシンである。第2のタイプのエンテロロキシンは、スーパー抗原毒素である。スーパー抗原毒素は、T細胞を刺激することにより機能する。スーパー抗原外毒素の例としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)からのものが挙げられる。プロトコルとしては、リガンド毒素融合分子を有する細胞の殺滅に応答性の免疫細胞のインビトロ調製を挙げることできる。例えば、補体媒介溶解系を使用し、マーカーを発現する精子を不能とすることができる、例えば、両アレルヌル細胞をFACSによりGGTA1依存性表面エピトープの不存在について濃縮することができる(Hauschild et al.,2011)参照。第3のタイプのエンテロトキシンは、A−B毒素である。A−B毒素は、一緒に機能する2つ以上の毒素サブユニットからなる。典型的には、Aサブユニットは、宿主細胞壁に結合し、膜を通るチャネルを形成する。チャネルにより、Bサブユニットが細胞中に到達することが可能となる。A−B毒素の一例は、コレラ菌(Vibrio cholerae)により生産されるエンテロトキシンである。マーカーを担持する精子と毒性因子に結合しているリガンドを混合する。マーカーはリガンドに結合し、その結果、毒性因子が細胞に近接する。
他の実施形態は、精細胞内側で発現させるべき毒性因子を提供する。細胞は結果として死滅する。したがって、毒性因子を発現するY染色体を有する配偶子は死滅し、X染色体を有する精子が残る。この実施形態は、2013年8月27日に出願された米国特許出願第61/870,558号明細書および2013年5月31日に出願された米国特許出願第61/829,656号明細書、ならびにさらには同時係属の2014年4月28日に出願された米国特許出願第14/263,408号明細書に詳述されており、これらのそれぞれは全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
別の実施形態は、毒に対する解毒剤の発現に関する。毒を含有する溶液中に精子を装入する。解毒剤を欠く精子は破壊される。
陽性および/または陰性選択を使用することができる。したがって、マーカーを使用して使用すべき精細胞、または使用に望まれないものを同定することができる。一部の場合においては、マーカーを有する性が好ましいことがある一方、別の場合においては、マーカーを有さない性が好ましいことがある。2つの異なるマーカーを異なる性染色体上で使用する場合、一方のマーカーを陽性選択することができる一方、別のマーカーを陰性選択する。性染色体は、1つ、または2つ以上のマーカーを発現し得る。
選択的結合部分
マーカーに選択的に結合する結合部分は、より一般的な相互作用、例えば、静電性、イオン性、または疎水性親和性により結合するリガンドまたは化学基であり得る。リガンドは、その標的への特異的結合を示す化学部分である。リガンド相互作用としては、酵素−基質、受容体−リガンド、および抗体−抗原結合イベントが挙げられる。
抗体は、タンパク質について容易に生成することができる。精子の表面において発現されるマーカーは、実験的に容易に生成することができる抗体により特異的に結合される可能性が極めて高い。標的についての結合親和性を有する抗体の一部を使用する方法が周知である。これに関して、抗原という用語は、抗原に応答する宿主免疫系により認識される部位を指す。抗原選択は、とりわけ抗体発生の分野において公知である。抗体断片という用語は、抗体の抗原結合機能を保持する抗体の一部を指す。断片は、文字通り、より大きい抗体の一部から作製することができ、またはデノボ合成することができる。抗体断片としては、例えば、単鎖可変断片(scFv)が挙げられる。scFvは、リンカーペプチド、例えば、約10〜約50アミノ酸と連結している免疫グロブリンの重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。リンカーは、VHのN末端をVLのC末端と連結させ得、またはその逆で連結させ得る。scFvという用語は、二価scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディおよび抗体断片の他の組合せを含む。抗体は、パラトープと称される抗原結合部分を有する。ペプチドリガンドという用語は、パラトープの部分でないペプチドを指す。
アプタマーは、一般に、マーカーに高親和性で特異的に結合するように作製することができる。DNAおよびRNAアプタマーを使用して非共有結合を提供することができる。これらはヌクレオチドのみから構成されるため、スクリーニング方法論が十分確立されており、それらは容易に化学合成され、それらの急速なインビボクリアランスに起因して限定された副作用毒性および/または免疫原性を提供するという点で有望な生体分子標的化部分である(Keefe,Pai,et al.,2010)。アプタマーは、特異的標的分子に結合するオリゴ核酸またはペプチドである。アプタマーは、通常、大きいランダム配列プールからそれらを選択することにより目的標的に結合するように作出される。アプタマーは、DNAアプタマー、RNAアプタマー、またはペプチドアプタマーとして分類することができる。核酸アプタマーは、標的、例えば、小分子、タンパク質、核酸、細胞、組織および生物に特異的に結合させるためにインビトロ選択または指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)(SELEX)法(Archemix,Cambridge,MA,USA)(Sampson,2003)の反復ラウンドを介して遺伝子操作された核酸種である。ペプチドアプタマーは、典型的には、タンパク質足場に両末端において付着している短鎖可変ペプチドドメインを有する。ペプチドアプタマーは、細胞内側の他のタンパク質相互作用を干渉するために設計されるタンパク質である。これらは、タンパク質足場に両末端において付着している可変ペプチドループからなる。この二重構造拘束は、抗体と同等になるようにペプチドアプタマーの結合親和性を大幅に増加させる。可変ループ長は、典型的には、約10〜約20個のアミノ酸から構成され、足場は、良好な溶解度を有する小型のタンパク質である。例えば、細菌タンパク質チオレドキシン−Aは足場タンパク質であり、可変ループは、還元活性部位内に挿入されており、これは野生型タンパク質において−Cys−Gly−Pro−Cys−ループであり、2つのシステイン側鎖は、ジスルフィド架橋を形成し得る。アプタマーを作製するための一部の技術は、Lu et al.,Chem.Rev.,2009,109(5):1948−1998、ならびにさらには米国特許第7,892,734号明細書、米国特許第7,811,809号明細書、米国特許出願公開第2010/0129820号明細書、米国特許出願公開第2009/0149656号明細書、米国特許出願公開第2006/0127929号明細書、および米国特許出願公開第2007/0111222号明細書に詳述されている。
ペプチド配列は、マーカーに特異的に結合するように生成することができる。結合タンパク質またはポリペプチドの親和性選択のためのいくつかの方法、例えば、ファージディスプレイ、酵母表面ディスプレイ、mRNAディスプレイまたはペプチドオンビーズディスプレイが存在する。Boder ET,Wittrup KD.Smith GP,Petrenko VA.Phage Display.Chem.Rev.,1997,97−2:391−410;Yeast surface display for screening combinatorial polypeptide libraries.Nat.Biotechnol.,1997,15−6:553−557;Xu L,Aha P,Gu K,Kuimelis RG,Kurz M,Lam T,Lim AC,Liu H,Lohse PA,Sun L,Weng S,Wagner RW,Lipovsek D.Directed evolution of high−affinity antibody mimics using mRNA display.Chem.Biol.,2002,9−8:933−942;Lam KS,Lebl M,Krchnak V.The“One−Bead−One−Compound”Combinatorial Library Method.Chem.Rev.,1997,97−2:411−448;Zacher AN,3rd,Stock CA,Golden JW,2nd,Smith GP.A new filamentous phage cloning vector:fd−tet.Gene,1980,9−1−2:127−140参照。
これらの場合の全てにおいて、タンパク質が精子の表面において接近可能である限り、タンパク質を精子中で発現させることができ、特異的結合エレメントをそれに結合するように生産することができる高い成功予測が存在する。
動物の遺伝子改変
配偶子形成において選択的に活性化されるプロモーターの制御下にある外因性遺伝子を含む染色体を含む細胞を含む遺伝子改変動物の一実施形態。動物は、細胞または胚の遺伝子改変により作出することができる。性染色体、すなわち、XまたはY染色体の一方または両方を改変する。外因性遺伝子により発現されるマーカーは、精子形成の段階に選択的な発現エレメントの制御下にある。発現エレメントは、例えば、プロモーター、マイクロRNAである。
精子に発達する細胞は細胞質を共有し、精子形成サイクルに入る。細胞質の共有は、娘細胞間の細胞質架橋が減衰したときに終了する。この共有が終了する前に遺伝子を発現する遺伝子改変は、効率的でない。これは、細胞質を共有する娘の一部はX染色体を有し、一部はY染色体を有するためである。本明細書に記載のある群の実施形態は、発現を制御するために遺伝子発現エレメント(プロモーターおよび/またはマイクロRNA)を使用する。別の群の実施形態は、細胞質架橋が消失した後に発現されるタンパク質、例えば、本明細書に記載のあるテールタンパク質上にマーカーを配置する。
図1および3は、動物の遺伝子改変を作製するプロセスを示す。例えば、クローン化技術により細胞を改変し、それを使用して胚を作製し、または胚を直接処理して細胞を改変する。細胞は、配偶子形成発現エレメントの制御下にある因子により改変する。因子は、X、Y、もしくは常染色体上の外因性遺伝子であり得、またはそれは遺伝子を調節/破壊するエレメントであり得る。配偶子形成が進行するにつれ、因子が活性化される。因子は、種々の効果、例えば、X染色体を有する配偶子における殺滅またはマーカーの発現、Y染色体を有する配偶子における殺滅またはマーカーの発現を有し得、マーカーは、本明細書に記載のとおりであり、例えば、可視化、陽性選択、陰性選択、同時選択、生存、リガンド、抗原である。
マーカーを定位置に残し、動物外でのその交配を可能とする方法を使用し、または動物中にマーカーを配置しない方法により、染色体改変について単アレルまたは両アレル性の動物を作製することができる。例えば、本発明者らは、相同依存性組換え(HDR)の方法を使用して動物の染色体の変化、または動物の染色体中への外因性遺伝子の挿入を作製した。ツール、例えば、TALENおよびリコンビナーゼ融合タンパク質、ならびに慣用の方法は、本明細書の他箇所で考察する。本明細書に開示の遺伝子改変を支持する実験データの一部を以下のとおりまとめる。本発明者らは、改変細胞の多遺伝子集団からクローン化する場合の例外的なクローン化効率を既に実証し、単離コロニーについての体細胞核移植(SCNT)によるクローン化効率の変動を回避するためにこのアプローチを推奨している(Carlson et al.,2011)。しかしながら、さらに、標的化エンドヌクレアーゼ、例えば、TALEN媒介ゲノム改変、およびリコンビナーゼ融合分子による改変は、単一世代における両アレル変更の達成を提供する。例えば、ノックアウト遺伝子についてホモ接合性の動物は、SCNTにより、ホモ接合性を生産するための同系交配なしで作製することができる。家畜、例えば、ブタおよびウシについての妊娠期間および生殖齢への成熟は、研究および生産に対する顕著な障壁である。例えば、クローン化および交配によるヘテロ接合性突然変異細胞(両方の性)からのホモ接合性ノックアウトの生成は、ブタおよびウシについてそれぞれ16および30ヵ月を要求する。一部は、遺伝子改変およびSCNT(Kuroiwa et al.,2004)の連続サイクルによりこの負荷を低減させているが、これは、技術的に困難であり、かなり費用を要する。SCNT前に両アレルKO細胞を定型的に生成する能力は、大型動物の遺伝子操作において顕著な発展である。両アレルノックアウトは、他の方法、例えば、ZFNおよび希釈クローン化を使用して不死細胞系において達成されている(Liu et al.,2010)。別のグループは、市販のZFN試薬を使用してブタGGTA1の両アレルKOを近年実証し(Hauschild et al.,2011)、両アレルヌル細胞をGGTA1依存性表面エピトープの不存在についてFACSにより濃縮することができる。これらの研究は、ある有用な概念を実証する一方、研究者らは動物または家畜を改変することができることを示していない。これは、単一クローン希釈は一般に初代線維芽細胞単離株に適しておらず(線維芽細胞は、低密度における成長が不十分である)、ヌル細胞についての生物学的濃縮が大多数の遺伝子に利用可能でないためである。
本発明者らは、非トランスジェニック線維芽細胞と150個の細胞/cm超の密度においてプレーティングした場合にトランスジェニック初代線維芽細胞を効率的に拡張させ、コロニーとして単離し、トランスポゾン同時選択技術を使用して薬物選択に供することができることを既に示している(Carlson et al.,2011、米国特許出願公開第2011/0197290号明細書)。6つのTALENペアにより処理された細胞についてピューロマイシン耐性コロニーを単離し、SURVEYORアッセイまたは標的部位をフランキングするPCR産物の直接配列決定によりそれらの遺伝子型について評価したことがさらに示された(2012年2月24日に出願された米国特許出願第13/404,662号明細書参照)。一般に、インデル陽性クローンの比率は、3日目の改変レベルに基づきなされた予測と類似した。両アレルKOクローンを6つのTALENペアの5つについて同定し、インデル陽性細胞の最大35%で生じた。特に、大多数のTALENペアについての両アレルKOクローンの頻度は、それぞれの染色体の開裂を独立イベントとして処理する場合に予測される頻度を超過する。
TALEN誘導相同組換えにより、選択マーカーの結合の必要性が排除される。TALENを使用して特異的アレルを相同性依存性修復(HDR)により家畜ゲノム中に正確に移植することができる。パイロット試験において、特異的11bp欠失(Belgian Blueアレル)(Grobet et al.,1997;Kambadur et al.,1997)をウシGDF8遺伝子座中に導入した(2012年2月24日に出願された米国特許出願第13/404,662号明細書参照)。btGDF8.1TALENペアは、単独で形質移入した場合、標的遺伝子座における染色体の最大16%を開裂した。11bp欠失を保有するスーパーコイルド相同性DNA修復テンプレートとの同時形質移入は、所望のイベントについての選択なしで3日目における最大5%の遺伝子変換頻度(HDR)をもたらした。遺伝子変換は、スクリーニングされた単離コロニーの1.4%で同定された。これらの結果は、TALENを使用して選択マーカーの結合の支援なしでHDRを効率的に誘導することができることを実証した。実施例1は、例えば、TALENを使用することによりY染色体、または他の染色体を遺伝的に変更することができることを示す実験データを提供する。TALENは、本明細書の他箇所でより詳細に考察する。
実施例1(図4参照)は、Y染色体における標的に指向されるTALENを記載する。3つのTALENペアが活性を示した。したがって、Y染色体上のインデルを有する細胞、およびその細胞からの動物を作製することができる。実施例2は、単一世代における両アレルノックアウトを達成するためのTALEN媒介ゲノム改変の方法を提供する。ブタおよびウシについての妊娠期間および生殖齢への成熟は顕著であり;例えば、クローン化および交配によるヘテロ接合性突然変異細胞(両方の性)からのホモ接合性ノックアウトの生成は、ブタおよびウシについてそれぞれ16および30ヵ月を要求する。両アレルノックアウトは、ZFNおよび希釈クローン化を使用して不死細胞系において達成されている(Liu et al.,2010)。別のグループは、市販のZFN試薬を使用してブタGGTA1の両アレルノックアウトを近年実証し(Hauschild et al.,2011)、両アレルヌル細胞をGGTA1依存性表面エピトープの不存在についてFACSにより濃縮することができる。これらの他の研究は有用である一方、研究者らは単純なクローン希釈を使用する。このような方法は、大多数の初代線維芽細胞単離株に適しておらず、ヌル細胞についての生物学的濃縮は、大多数の遺伝子に利用可能でない。しかしながら、実施例2において、両アレルノックアウトをスクリーニングするための個々のコロニーの拡張を許容する方法に基づき初代細胞を使用した。実施例3は、クローン化動物の作製に有用な細胞を改変する代替法を実証する。実施例4は、クローン化のための細胞を作製する他の方法、特に、HDRテンプレートとしての一本鎖オリゴヌクレオチドを含む方法を実証する。実施例5は、一本鎖オリゴヌクレオチド法を使用してある種からの遺伝子を、マーカーを有さない効率的な方法で別の種に移動させる。
実施例6〜8は、遺伝子のCas9/CRISPRヌクレアーゼ編集を記載する。実施例7および8は、目的部位における二本鎖分解の効率的な生産を示すCas9/CRISPR結果である。このような分解は、HDRテンプレート修復法による遺伝子編集のための機会を提供する。CRISPR/Cas9媒介HDRは、3日目において6パーセントより低く、10日目において検出未満であった(図5)。第2の遺伝子座ssAPC14.2におけるCRISPR/Cas9誘導標的化の分析は、かなり効率的であったが、依然としてこの部位においてTALENにより誘導されたHDRのレベルに達することはなく、約30%と60%であった(図6)。Cas9/CRISPRは、それらの実験により示されるとおり、効率的なツールであった。
実施例9および10は、プラスミドカセット(図7および8)または直鎖の短鎖相同性テンプレート(図9〜11)によるY染色体の標的化を記載する。両方の技術は、TALENを使用して目的標的化部位における二本鎖分解を作出し、相同性テンプレートは目的遺伝子を標的局在に指向させた。効率は1および24%の間であり、両方の方法は効率的であった。
実施例11(図12〜15参照)は、マウスとの比較データに基づき本出願人らのチームにより全て最初にクローン化されたブタACE、CK−15またはSP10プロモーターのいずれかの方向下で推定シス制限トランス遺伝子を担持するように作出された一連のベクターを記載する。qPCRの結果と一致して、シグナルはSP10ファウンダーからの精子中のみで検出された。本発明の実施形態は、配偶子中の、または配偶子形成に関与する1つ以上のシス制限トランス遺伝子をプロモーター、例えば、組織特異的プロモーターの方向下で含む。
本発明の実施形態は、遺伝子改変動物を作製する方法であって、胚または細胞を、標的化ヌクレアーゼ(例えば、メガヌクレアーゼ、亜鉛フィンガー、TALEN)をコードするベクターまたはmRNAに曝露させること(標的化ヌクレアーゼは、胚または細胞中の標的染色体部位に特異的に結合して細胞染色体の変化を作出する)、細胞を代理母中でクローン化し、または胚を代理母中に移植することを含み、それにより代理母はレポーター遺伝子なしで、標的化される染色体部位においてのみ遺伝子改変されている動物を妊娠する方法を含む。標的化される部位は、本明細書に記載のもの、例えば、本明細書に記載の種々の遺伝子であり得る。標的化されるヌクレアーゼ系としては、タンパク質−DNA結合、または核酸−DNA結合のいずれかによりコグネートDNAに結合するモチーフが挙げられる。本明細書に報告される効率は、顕著である。本発明者らは、これらの効率をさらに増加させるさらなる技術を他箇所に開示した。
配偶子形成および配偶子形成発現エレメント
配偶子形成は、生殖系列前駆細胞が細胞分裂および分化を受けて成熟半数体配偶子を形成する生物学的プロセスを指す。動物は、性腺中の減数分裂を介して配偶子を生産する。始原生殖細胞(PGC)は、発生の間に生殖原細胞を形成する。雌生殖原細胞は、卵母細胞形成、卵子細胞形成(ootidogenesis)および卵子を形成するための成熟(卵子形成と称されることもある)の下位プロセスを有する卵子形成を受ける。雄生殖原細胞は、精子形成を受ける。生殖原細胞は、一次精母細胞(二倍体)を生じさせる精原細胞(二倍体)を生産するための減数分裂を受ける雄一次精細胞(二倍体)の前駆体である。一次精母細胞は、減数分裂を受け、精細胞としても公知の成熟精子(半数体)に発達する精子細胞(半数体)を形成する二次精母細胞(半数体)を形成する。精巣の精細管は、このプロセスのための出発点であり、内管壁に隣接する幹細胞は壁から開始して求心方向で分裂し、最も内側の部分に進行して精子細胞を生産する。精子細胞の成熟は、精巣上体中で生じる。マウスまたはラットにおける研究は、第1の動物の精細管がドナー動物からの組織および/または精原細胞を受容し得、その結果、供与された細胞が機能的な精子に成熟することを示している。レシピエントの精細管は、ドナー細胞についての精子形成プロセスを効率的に受け入れ得る。
配偶子形成プロモーターは、配偶子形成プロセスに選択的なプロモーターである。一部の配偶子形成プロモーターは、配偶子形成の減数分裂段階前に作用する一方、他のものは配偶子形成のプロセスの種々の時点において特異的に活性化される。特に目的とするのは、細胞質共有が停止した後にのみ精子形成において活性となるプロモーターである。実施形態は、配偶子形成に選択的な、または卵母細胞形成、卵子細胞形成、卵母細胞成熟、精子形成、精原細胞への成熟、一次精母細胞への成熟、二次精母細胞への成熟、精子細胞への成熟、および精細胞への成熟からなる群から選択される1つ以上の配偶子形成下位プロセスの間に選択的に活性化されるプロモーターの制御下にある細胞または胚中に配置された外因性遺伝子を含む。一部のプロモーターは一般に配偶子形成の間に活性である一方、他のものはある下位プロセスにおいて開始して活性化されるが、配偶子形成の他の期を通して継続し得る。実施形態は、配偶子形成プロセスに選択的な組織特異的プロモーターの制御下にある細胞または胚中に配置された外因性遺伝子をさらに含み:例えば、組織特異的プロモーターは、精巣、精細管、および精巣上体からなる群から選択される組織中で選択的に活性である。減数分裂前および減数分裂後配偶子形成プロモーターは、太糸期の精母細胞中だけでなく、より早期の精子形成においても活性であるサイクリンA1プロモーターである(Mueller−Tidow et al.,Int J Mol Med.,2003 Mar,11(3):311−315;Successive increases in human cyclin A1 promoter activity during spermatogenesis in transgenic mice)。SP−10のプロモーター(−408/+28または−266/+28;SP−10プロモーターと称される)は、精子細胞特異的転写にのみ指向される。実際、トランスジェニックマウスにおいて、pan活性CMVエンハンサーに隣接するトランス遺伝子統合にかかわらず、−408/+28プロモーターは、精子細胞特異性を維持し、トランス遺伝子の異所性発現は得られない(P Reddi et al.,Spermatid−specific promoter of the SP−10 gene functions as an insulator in somatic cells;Developmental Biology(2003)262(1):173−182)。レチノイン酸遺伝子8(Stra8)プロモーター(Stra8プロモーターとして称される)により刺激される400bp調節領域は、減数分裂および減数分裂後生殖細胞中で選択的に活性であり、未分化生殖細胞中では活性でない(Antonangeli et al.,Expression profile of a 400−bp Stra8 promoter region during spermatogenesis;Microscopy Research and Technique(2009)72(11):816−822)。表1:HDアレルを有するコロニーの回収頻度参照。
本発明者らは、農業に、研究ツールに、または生物医学目的に有用な、ほぼ別々の家畜細胞および/または動物中の種々の遺伝子の正確な高頻度の編集を開発した。これらの家畜遺伝子編集方法は、例えば、プラスミド、rAAVおよびオリゴヌクレオチドテンプレートを使用するTALENおよびCRISPR/Cas9刺激相同性指向修復(HDR)を含む。レポーターおよび/または選択マーカーなしで遺伝子変化を作製することができるほど高い効率を達成するためのこれらの方法が、本発明者により開発された。さらに、この方法は、目的部位における目的変化のみを有する遺伝子改変動物を作製するためのファウンダー生成において使用することができる。例えば、ヌクレアーゼの標的化のための方法およびデータは、参照により本明細書に組み込まれる2014年1月14日に出願された米国特許出願第14/154,906号明細書に提供される。
相同性指向修復(HDR)
相同性指向修復(HDR)は、ssDNAおよび二本鎖DNA(dsDNA)損傷を修復するための細胞中の機序である。この修復機序は、損傷部位と顕著な相同性を有する配列を有するHDRテンプレートが存在する場合に細胞により使用され得る。特異的結合は、生物学分野において一般に使用される用語であり、非標的組織と比較して相対的に高い親和性で標的に結合し、一般に複数の非共有相互作用、例えば、静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合などを含む分子を指す。特異的ハイブリダイゼーションは、相補的配列を有する核酸間の特異的結合の形態である。タンパク質も、例えば、TALENもしくはCRISPR/Cas9系において、またはGal4モチーフによりDNAに特異的に結合し得る。アレルの遺伝子移入は、テンプレートガイド型プロセスにより内因性アレルを上回って外因性アレルをコピーするプロセスを指す。内因性アレルは実際に切り出され、一部の状況において外因性核酸アレルにより置き換えられ得るが、現在の理論は、このプロセスはコピー機序であるということである。アレルは遺伝子ペアであるため、それらの間には顕著な相同性が存在する。アレルは、タンパク質をコードする遺伝子であり得、またはそれは他の機能、例えば、生物活性RNA鎖をコードすることまたは調節タンパク質もしくはRNAを受容するための部位を提供することを有し得る。
HDRテンプレートは、遺伝子移入されているアレルを含む核酸である。テンプレートは、dsDNAまたは一本鎖DNA(ssDNA)であり得る。ssDNAテンプレートは、好ましくは、約20〜約5000残基であるが、他の長さを使用することができる。当業者は、明示範囲内の全ての範囲および値が企図されることを直ちに認識し;例えば、500〜1500残基、20〜100残基などである。テンプレートは、内因性アレルに隣接するDNAまたは置き換えるべきDNAとの相同性を提供するフランキング配列をさらに含み得る。テンプレートは、標的化されるヌクレアーゼ系に結合される配列も含み得、したがって、その系のDNA結合メンバーについてのコグネート結合部位である。コグネートという用語は、典型的には、相互作用する2つの生体分子、例えば、受容体およびそのリガンドを指す。HDRプロセスに関して、生体分子の一方は目的の、すなわち、コグネートDNA部位またはタンパク質部位と結合する配列を用いて設計することができる。
部位特異的ヌクレアーゼ系
ゲノム編集ツール、例えば、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)および亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、バイオテクノロジー、遺伝子療法および多くの生物における機能的ゲノム研究の分野に影響を与えた。ごく最近、RNAガイド型エンドヌクレアーゼ(RGEN)が、相補的RNA分子によりその標的部位に指向される。Cas9/CRISPR系は、RGENである。tracrRNAは、別のそのようなツールである。これらは、標的化されるヌクレアーゼ系の例であり:これらの系は、ヌクレアーゼを標的部位に局在化させるDNA結合メンバーを有する。次いで、部位はヌクレアーゼにより切断される。TALENおよびZFNは、DNA結合メンバーに融合しているヌクレアーゼを有する。Cas9/CRISPRは、標的DNA上で互いに遭遇するコグネートである。DNA結合メンバーは、染色体DNA中のコグネート配列を有する。DNA結合メンバーは、典型的には、目的部位における、またはその近くの核酸分解作用を得るように目的コグネート配列に照らして設計される。ある実施形態は、全てのそのような系、限定されるものではないが、例として、ヌクレアーゼ再開裂を最小化する実施形態、目的残基において正確にSNPを作製するための実施形態、およびDNA結合部位において遺伝子移入されているアレルの配置に適用可能である。
TALEN
本明細書において使用されるTALENという用語は広義であり、別のTALENからの支援なしで二本鎖DNAを開裂し得るモノマーTALENを含む。TALENという用語は、同一部位においてDNAを開裂するために一緒に機能するように遺伝子操作されたTALENのペアの一方または両方のメンバーを指すためにも使用される。一緒に機能するTALENは、DNAまたはTALENペアの掌性を参照する左側TALENおよび右側TALENと称することができる。
それぞれのDNA結合リピートが標的DNA配列中の1つの塩基対の認識を担うTALについての暗号が報告されている(PCT公開国際公開第2011/072246号パンフレット)。残基は、DNA配列を標的化するようにアセンブルすることができる。手短に述べると、TALENの結合のための標的部位を決定し、ヌクレアーゼおよび標的部位を認識する一連のRVDを含む融合分子を作出する。結合時、ヌクレアーゼがDNAを開裂し、その結果、細胞修復機構が作動して切断末端における遺伝子改変を作製することができる。TALENという用語は、転写活性化因子様(TAL)エフェクター結合ドメインおよびヌクレアーゼドメインを含むタンパク質を意味し、それ自体、機能的なモノマーTALENおよび別のモノマーTALENとのダイマー化を要求する他のものを含む。ダイマー化は、両方のモノマーTALENが同一である場合にはホモダイマーTALENをもたらし得、またはモノマーTALENが異なる場合にはヘテロダイマーTALENをもたらし得る。TALENは、2つの主要な真核DNA修復経路、非相同末端結合(NHEJ)および相同性指向修復により不死化ヒト細胞における遺伝子改変を誘導することが示されている。TALENは、ペアで使用されることが多いが、モノマーTALENも公知である。TALEN(および他の遺伝子ツール)における処理のための細胞としては、培養細胞、不死化細胞、初代細胞、初代体細胞、接合子、生殖細胞、始原生殖細胞、胚盤胞、または幹細胞が挙げられる。一部の実施形態において、TALエフェクターを使用して他のタンパク質ドメイン(例えば、非ヌクレアーゼタンパク質ドメイン)を特異的ヌクレオチド配列に標的化することができる。例えば、TALエフェクターは、限定されるものではないが、DNA20相互作用酵素(例えば、メチラーゼ、トポイソメラーゼ、インテグラーゼ、トランスポゼース、またはリガーゼ)、転写活性化因子もしくは抑制因子、または他のタンパク質、例えば、ヒストンと相互作用し、またはそれを改変するタンパク質からのタンパク質ドメインに連結させることができる。このようなTALエフェクター融合物の適用としては、例えば、エピジェネティック調節エレメントの作出または改変、DNA中の部位特異的挿入、欠失、または修復の作製、遺伝子発現の制御、およびクロマチン構造の改変が挙げられる。
ヌクレアーゼという用語は、エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼを含む。エンドヌクレアーゼという用語は、DNAまたはRNA分子、好ましくは、DNA分子内の核酸間の結合の加水分解(開裂)を触媒し得る任意の野生型またはバリアント酵素を指す。エンドヌクレアーゼの非限定的な例としては、II型制限エンドヌクレアーゼ、例えば、FokI、HhaI、HindlII、NotI、BbvCl、EcoRI、BglII、およびAlwIが挙げられる。エンドヌクレアーゼは、典型的には約12〜45塩基対(bp)長、より好ましくは、14〜45bpのポリヌクレオチド認識部位を有する場合にレアカットエンドヌクレアーゼも含む。レアカットエンドヌクレアーゼは、規定の遺伝子座におけるDNA二本鎖分解(DSB)を誘導する。レアカットエンドヌクレアーゼは、例えば、ホーミングエンドヌクレアーゼ、遺伝子操作された亜鉛フィンガードメインと、制限酵素、例えば、FokIおよび化学的エンドヌクレアーゼの触媒ドメインとの融合物から得られるキメラ亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)であり得る。化学的エンドヌクレアーゼにおいて、化学またはペプチド性開裂因子は、核酸のポリマーまたは特異的標的配列を認識する別のDNAのいずれかにコンジュゲートされ、それにより開裂活性を特異的配列に標的化する。化学的エンドヌクレアーゼは、特異的DNA配列に結合することが公知のオルトフェナントロリン、DNA開裂分子、および三重鎖形成オリゴヌクレオチド(TFO)の合成ヌクレアーゼ様コンジュゲートも包含する。このような化学的エンドヌクレアーゼは、本発明による用語「エンドヌクレアーゼ」に含まれる。このようなエンドヌクレアーゼの例としては、I−SeeI、I−ChuLI−CreI、I−CsmI、PI−SeeLPI−TtiLPI−MtuI、I−CeuI、I−SeeIL1−SeeIII、HO、PI−CivI、PI−CtrLPI−AaeI、PI−BsuI、PI−DhaI、PI−DraLPI−MavLPI−MehI、PI−MfuLPI−MflI、PI−MgaLPI−MgoI、PI−MinLPI−MkaLPI−MleI、PI−MmaI、PI−30MshLPI−MsmI、PI−MthI、PI−MtuI、PI−MxeI、PI−NpuI、PI−PfuLPI−RmaI、PI−SpbI、PI−SspLPI−FaeLPI−MjaI、PI−PhoLPI−TagLPI−ThyI、PI−TkoI、PI−TspI、I−MsoIが挙げられる。
TALENまたは他のツールにより作製される遺伝子改変は、例えば、挿入、欠失、外因性核酸断片の挿入、および置換からなるリストから選択することができる。挿入という用語は、染色体中への文字どおりの挿入または修復のためのテンプレートとしての外因性配列の使用のいずれかを意味するために広義で使用される。一般に、標的DNA部位を同定し、その部位に特異的に結合するTALENペアを作出する。TALENは、細胞または胚に、例えば、タンパク質、mRNAとして、またはTALENをコードするベクターにより送達する。TALENは、DNAを開裂して二本鎖分解を作製し、次いでそれを修復し、多くの場合にインデルの作出がもたらされ、または染色体中に挿入され、もしくは改変配列による分解の修復のためのテンプレートとして機能する同伴する外因性核酸中に含有される配列もしくは多型が取り込まれる。このテンプレートドライブ型の修復は、染色体を変化させる有用なプロセスであり、細胞染色体の効率的な変化を提供する。
外因性核酸という用語は、細胞または胚に添加される核酸を意味し、核酸が細胞中に天然に存在する核酸配列と同一か異なるかを問わない。核酸断片という用語は広義であり、染色体、発現カセット、遺伝子、DNA、RNA、mRNA、またはそれらの一部を含む。細胞または胚は、例えば、家畜、偶蹄目、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ウサギ、および魚類からなる群から選択することができる。家畜という用語は、食料または生物学的材料のために商品として育成される飼育動物を意味する。偶蹄目という用語は、それぞれの足に通常2本または時に4本のこともある偶数の指を有する偶蹄目(Artiodactyla)の有蹄の哺乳動物を意味し、それとしては、ウシ、シカ、ラクダ、カバ、ヒツジ、およびヤギが挙げられる。
一部の実施形態は、TALENペアを家畜および/または偶蹄目細胞または胚中に導入し、TALENペアにより特異的に結合される部位における細胞または胚のDNAの遺伝子改変を作製し、細胞から家畜/偶蹄目を生産することを含む、遺伝子改変家畜動物および/または偶蹄目を作製する組成物または方法を含む。直接注入を細胞または胚に、例えば、接合子、線維芽細胞、または胚中に使用することができる。あるいは、タンパク質、RNA、mRNA、DNA、またはベクターの導入のための多くの公知技術のいずれかを使用してTALENおよび/または他の因子を細胞中に導入することができる。遺伝子改変動物は、公知の方法、例えば、妊娠宿主中への胚の移植、または種々のクローン化法により胚または細胞から作製することができる。語句「TALENにより特異的に結合される部位における細胞のDNAの遺伝子改変」などは、TALENがその標的部位に特異的に結合している場合、TALEN上のヌクレアーゼにより切断される部位において遺伝子改変が作製されることを意味する。ヌクレアーゼは、TALENペアが結合する場所を正確に切断するのではなく、2つの結合部位間の規定部位において切断する。
一部の実施形態は、動物のクローン化に使用される細胞の組成物または処理を含む。細胞は、家畜および/または偶蹄目細胞、培養細胞、初代細胞、初代体細胞、接合子、生殖細胞、始原生殖細胞、または幹細胞であり得る。例えば、実施形態は、TALENタンパク質または1つもしくは複数のTALENをコードする核酸に培養物中の複数の初代細胞を曝露することを含む、遺伝子改変を作出する組成物または方法である。TALENは、mRNAまたはベクター中のDNA配列によりコードされるタンパク質として、または核酸断片として導入することができる。
亜鉛フィンガーヌクレアーゼ
亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、亜鉛フィンガーDNA結合ドメインをDNA開裂ドメインに融合させることにより生成される人工的制限酵素である。亜鉛フィンガードメインは、所望のDNA配列を標的化するように遺伝子操作することができ、これにより、亜鉛フィンガーヌクレアーゼが複合体ゲノム内のユニーク配列を標的化することが可能となる。内因性DNA修復機構を利用することにより、これらの試薬を使用して高等生物のゲノムを変更することができる。ZFNは、遺伝子を不活性化させる方法において使用することができる。
亜鉛フィンガーDNA結合ドメインは、約30アミノ酸を有し、安定的構造にフォールドする。それぞれのフィンガーは、主としてDNA基質内のトリプレットに結合する。キー位置におけるアミノ酸残基は、DNA部位との配列特異的相互作用のほとんどに寄与する。これらのアミノ酸は、残りのアミノ酸を維持して必要な構造を保存しながら変化させることができる。より長いDNA配列への結合は、いくつかのドメインをタンデムで連結させることにより達成される。他の機能性、例えば、非特異的FokI開裂ドメイン(N)、転写活性化因子ドメイン(A)、転写抑制因子ドメイン(R)およびメチラーゼ(M)を、ZFPに融合させてそれぞれのZFN、亜鉛フィンガー転写活性化因子(ZFA)、亜鉛フィンガー転写抑制因子(ZFR、亜鉛フィンガーメチラーゼ(ZFM)を形成することができる。遺伝子改変動物の作製のために亜鉛フィンガーおよび亜鉛フィンガーヌクレアーゼを使用するための材料および方法は、例えば、米国特許第8,106,255号明細書、米国特許出願公開第2012/0192298号明細書、米国特許出願公開第2011/0023159号明細書、および米国特許出願公開第2011/0281306号明細書に開示されている。
ベクターおよび核酸
ノックアウト目的のため、遺伝子の不活性化のため、遺伝子の発現を得るため、または他の目的のために、種々の核酸を細胞中に導入することができる。本明細書において使用される核酸という用語は、DNA、RNA、および核酸アナログ、および二本鎖または一本鎖(すなわち、センスまたはアンチセンス一本鎖)である核酸を含む。核酸アナログは、例えば、核酸の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解度を改善するように塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格において改変することができる。デオキシリボースリン酸骨格は、それぞれの塩基部分が6員モルホリノ環に連結しているモルホリノ核酸、またはデオキシリン酸骨格がシュードペプチド骨格により置き換えられており、4つの塩基が保持されるペプチド核酸を生産するように改変することができる。
標的核酸配列は、調節領域、例えば、プロモーターに作動可能に連結させることができる。調節領域は、ブタ調節領域であり得、または他の種からのものであり得る。本明細書において使用される、作動可能に連結させるとは、標的核酸の転写を可能とし、または容易にするような核酸配列に対する調節領域の位置決めを指す。
あるタイプのプロモーターを標的核酸配列に作動可能に連結させることができる。マーカーを有する精子を作製する場合、配偶子形成プロモーターまたは他の発現エレメントが好ましいが、しかしながら、マーカーのより一般的な発現が効率的であり得る。プロモーターのタイプとしては、限定されるものではないが、組織特異的プロモーター、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、および特定の刺激に応答性または不応答性のプロモーターが挙げられる。他の実施形態において、顕著な組織または時間的特異性なしで核酸分子の発現を容易にするプロモーターを使用することができる(すなわち、構成的プロモーター)。例えば、ベータ−アクチンプロモーター、例えば、ニワトリベータ−アクチン遺伝子プロモーター、ユビキチンプロモーター、ミニCAGプロモーター、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、または3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターを使用することができるとともに、ウイルスプロモーター、例えば、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK)プロモーター、SV40プロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを使用することができる。一部の実施形態において、ニワトリベータアクチン遺伝子プロモーターおよびCMVエンハンサーの融合物をプロモーターとして使用することができる。例えば、Xu et al.,(2001)Hum.Gene Ther.,12:563;およびKiwaki et al.,(1996)Hum.Gene Ther.,7:821参照。
核酸構築物において有用であり得る追加の調節領域としては、限定されるものではないが、ポリアデニル化配列、翻訳制御配列(例えば、内部リボソーム進入セグメント、IRES)、エンハンサー、誘導性エレメント、またはイントロンが挙げられる。このような調節領域は、必須であり得ないが、それらはmRNAの転写、安定性、翻訳効率などに影響することにより発現を増加させ得る。このような調節領域は、細胞中の核酸の最適な発現を得ることが望まれる核酸構築物中に含めることができる。しかしながら、十分な発現をそのような追加のエレメントなしで得ることができることもある。
シグナルペプチドまたは選択マーカーをコードする核酸構築物を使用することができる。コードされるポリペプチドが特定の細胞局在(例えば、細胞表面)に指向されるようにシグナルペプチドを使用することができる。選択マーカーの非限定的な例としては、ピューロマイシン、ガンシクロビル、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(neo、G418、APH)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン−B−ホスフトランスフェラーゼ(phosphtransferase)、チミジンキナーゼ(TK)、およびキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)が挙げられる。このようなマーカーは、培養物中の安定的な形質転換体の選択に有用である。他の選択マーカーとしては、蛍光ポリペプチド、例えば、緑色蛍光タンパク質または黄色蛍光タンパク質が挙げられる。
一部の実施形態において、選択マーカーをコードする配列をリコンビナーゼ、例えば、CreまたはFlpなどについての認識配列によりフランキングさせることができる。例えば、選択マーカーは、選択マーカーを構築物から切り出すことができるようにloxP認識部位(Creリコンビナーゼにより認識される34bp認識部位)またはFRT認識部位によりフランキングさせることができる。Cre/lox技術の概説についてはOrban,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(1992)89:6861、およびBrand and Dymecki,Dev.Cell(2004)6:7参照。選択マーカー遺伝子により中断されるCreまたはFlp活性化可能トランス遺伝子を含有するトランスポゾンを使用してトランス遺伝子の条件的発現を有するトランスジェニック動物を得ることもできる。例えば、マーカー/トランス遺伝子の発現をドライブするプロモーターは、ユビキタスまたは組織特異的のいずれかであり得、それはF0動物(例えば、ブタ)におけるマーカーのユビキタスまたは組織特異的発現をもたらす。トランス遺伝子の組織特異的活性化は、例えば、マーカー中断トランス遺伝子をユビキタスに発現するブタと、CreもしくはFlpを組織特異的に発現するブタとを掛け合わせることにより、またはマーカー中断トランス遺伝子を組織特異的に発現するブタと、CreもしくはFlpリコンビナーゼをユビキタスに発現するブタとを掛け合わせることにより達成することができる。トランス遺伝子の発現の制御またはマーカーの切り出しの制御により、トランス遺伝子の発現が可能となる。
一部の実施形態において、外因性核酸は、ポリペプチドをコードする。ポリペプチドをコードする核酸配列は、コードされるポリペプチドの後続の操作を容易にするため(例えば、局在化または検出を容易にするため)に設計された「タグ」をコードするタグ配列を含み得る。タグ配列は、コードされるタグがポリペプチドのカルボキシまたはアミノ末端のいずれかにおいて局在するようにポリペプチドをコードする核酸配列中に挿入することができる。コードされるタグの非限定的な例としては、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)およびFLAG(商標)タグ(Kodak,New Haven,CT)が挙げられる。
核酸構築物は、SssI CpGメチラーゼ(New England Biolabs,Ipswich,MA)を使用してメチル化することができる。一般に、核酸構築物は、S−アデノシルメチオニンおよびSssI CpG−メチラーゼと緩衝液中で37℃においてインキュベートすることができる。高メチル化は、構築物を1単位のHinP1Iエンドヌクレアーゼと37℃において1時間インキュベートし、アガロースゲル電気泳動によりアッセイすることにより確認することができる。
核酸構築物は、任意のタイプの胚、胎児または生体偶蹄目/家畜細胞、例として、例えば、生殖細胞、例えば、卵母細胞または卵、前駆細胞、成体または胚性幹細胞、始原生殖細胞、腎細胞、例えば、PK−15細胞、島細胞、ベータ細胞、肝細胞、または線維芽細胞、例えば、皮膚線維芽細胞中に種々の技術を使用して導入することができる。技術の非限定的な例としては、トランスポゾン系、細胞に感染し得る組換えウイルス、もしくはリポソームまたは核酸を細胞に送達し得る他の非ウイルス法、例えば、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、もしくはリン酸カルシウム沈殿の使用が挙げられる。
トランスポゾン系において、核酸構築物の転写単位、すなわち、外因性核酸配列に作動可能に連結している調節領域は、トランスポゾンの反転リピートによりフランキングされている。いくつかのトランスポゾン系、例として、例えば、Sleeping Beauty(米国特許第6,613,752号明細書および米国特許出願公開第2005/0003542号明細書参照);Frog Prince(Miskey et al.,(2003)Nucleic Acids Res.31:6873);Tol2(Kawakami(2007)Genome Biology 8(Suppl.1):S7;Minos(Pavlopoulos et al.,(2007)Genome Biology 8(Suppl.1):S2);Hsmar1(Miskey et al.,(2007))Mol Cell Biol.27:4589);およびPassportが、核酸を細胞、例として、マウス、ヒト、およびブタ細胞中に導入するために開発されている。Sleeping Beautyトランスポゾンが特に有用である。トランスポゼースは、外因性核酸と同一の核酸構築物上でコードされるタンパク質として送達することができ、別個の核酸構築物上で導入することができ、またはmRNA(例えば、インビトロ転写およびキャップ化mRNA)として提供することができる。
核酸は、ベクター中に取り込むことができる。ベクターは、担体から標的DNA中に移動するように設計された任意の規定のDNAセグメントを含む広義の用語である。ベクターは、発現ベクター、またはゲノムもしくは他の標的化されるDNA配列、例えば、エピソーム、プラスミド、もしくはさらにはウイルス/ファージDNAセグメント中へのDNA挿入を生じさせるために必要とされる構成要素のセットであるベクター系と称することができる。動物における遺伝子送達に使用されるベクター系、例えば、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび統合ファージウイルス)、および非ウイルスベクター(例えば、トランスポゾン)は、2つの基本構成要素を有する:1)DNA(またはcDNAに逆転写されるRNA)を含むベクターおよび2)トランスポゼース、リコンビナーゼ、またはベクターおよびDNA標的配列の両方を認識し、ベクターを標的DNA配列中に挿入する他のインテグラーゼ酵素。ベクターは、1つ以上の発現制御配列を含む1つ以上の発現カセットを含有することが最も多く、発現制御配列は、それぞれ別のDNA配列またはmRNAの転写および/または翻訳を制御および調節するDNA配列である。
多くの異なるタイプのベクターが公知である。例えば、プラスミドおよびウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターが公知である。哺乳動物発現プラスミドは、典型的には、複製起点、好適なプロモーターおよび任意選択のエンハンサー、ならびにさらには任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列、ならびに5’フランキング非転写配列を有する。ベクターの例としては、プラスミド(別のタイプのベクターの担体でもあり得る)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス(例えば、改変HIV−1、SIVまたはFIV)、レトロウイルス(例えば、ASV、ALVまたはMoMLV)、およびトランスポゾン(例えば、Sleeping Beauty、Pエレメント、Tol−2、Frog Prince、piggyBac)が挙げられる。
本明細書において使用される、核酸という用語は、RNAおよびDNAの両方、例として、例えば、cDNA、ゲノムDNA、合成(例えば、化学合成)DNA、ならびに天然存在および化学修飾核酸、例えば、合成塩基または代替骨格を指す。核酸分子は、二本鎖または一本鎖(すなわち、センスまたはアンチセンス一本鎖)であり得る。トランスジェニックという用語は、本明細書において広義に使用され、遺伝子操作技術を使用して遺伝子材料が変更された遺伝子改変生物または遺伝子操作生物を指す。したがって、ノックアウト偶蹄目は、外因性遺伝子または核酸がその動物またはその子孫中で発現されるか否かにかかわらず、トランスジェニックである。
遺伝子改変動物
動物は、TALENまたは他の遺伝子操作ツール、例として、リコンビナーゼ融合タンパク質、または公知の種々のベクターを使用して改変することができる。このようなツールにより作製される遺伝子改変は、遺伝子の破壊を含み得る。遺伝子の破壊という用語は、機能的遺伝子産物の形成の妨害を指す。遺伝子産物は、それがその通常の(野生型)機能を実行する場合にのみ機能的である。遺伝子の破壊は、遺伝子によりコードされる機能的因子の発現を妨害し、遺伝子によりコードされる配列中ならびに/または動物中の遺伝子の発現に必要なプロモーターおよび/もしくはオペレーターの1つ以上の塩基の挿入、欠失、または置換を含む。破壊される遺伝子は、例えば、動物のゲノムからの遺伝子の少なくとも一部の除去、遺伝子によりコードされる機能的因子の発現を妨害するための遺伝子の変更、干渉RNA、または外因性遺伝子によるドミナントネガティブ因子の発現により破壊することができる。遺伝子改変動物の材料および方法は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる2012年2月24日に出願された米国特許出願第13/404,662号明細書、2012年5月9日に出願された米国特許出願第13/467,588号明細書、および2009年11月10日に出願された米国特許出願第12/622,886号明細書にさらに詳述されており、矛盾する場合、本明細書が優先する。トランス作用という用語は、異なる分子からの標的遺伝子に対して(すなわち、分子間)作用するプロセスを指す。トランス作用エレメントは、通常、遺伝子を含有するDNA配列である。この遺伝子は、標的遺伝子の調節において使用されるタンパク質(またはマイクロRNAもしくは他の拡散性分子)をコードする。トランス作用遺伝子は、標的遺伝子と同一の染色体上に存在し得るが、活性は、中間タンパク質またはそれがコードするRNAを介するものである。ドミナントネガティブを使用する遺伝子の不活性化は、一般に、トランス作用エレメントを含む。シス調節またはシス作用という用語は、タンパク質もRNAもコードしない作用を意味し;遺伝子不活性化に関して、これは、一般に、遺伝子のコード部分、または機能的遺伝子の発現に必要なプロモーターおよび/もしくはオペレーターの不活性化を意味する。
当技術分野において公知の種々の技術を使用して遺伝子を不活性化してノックアウト動物を作製し、および/または核酸構築物を動物中に導入してファウンダー動物を生産し、ノックアウトまたは核酸構築物がゲノム中に統合されている動物系列を作製することができる。このような技術としては、限定されるものではないが、前核マイクロインジェクション(米国特許第4,873,191号明細書)、生殖系列中へのレトロウイルス媒介遺伝子導入(Van der Putten et al.,(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:6148−1652)、胚性幹細胞中への遺伝子標的化(Thompson et al.,(1989)Cell,56:313−321)、胚のエレクトロポレーション(Lo(1983)Mol.Cell.Biol.,3:1803−1814)、精子媒介遺伝子導入(Lavitrano et al.,(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14230−14235;Lavitrano et al.,(2006)Reprod.Fert.Develop.,18:19−23)、および体細胞、例えば、卵丘もしくは乳腺細胞、または生体、胎児、もしくは胚性幹細胞のインビトロ形質転換とそれに続く核移植(Wilmut et al.,(1997)Nature,385:810−813;およびWakayama et al.,(1998)Nature,394:369−374)が挙げられる。前核マイクロインジェクション、精子媒介遺伝子導入、および体細胞核移植が特に有用な技術である。ゲノム改変されている動物は、細胞の全て、例として、生殖系列細胞が遺伝子改変を有する動物である。遺伝子改変がモザイクである動物を生産する方法を使用する場合、動物を同系交配することができ、ゲノム改変されている子孫を選択することができる。細胞が胚盤胞状態において改変される場合、例えば、クローン化を使用してモザイク動物を作製することができ、単一細胞が改変される場合、ゲノム改変が生じ得る。特定の遺伝子がノックアウト改変により不活性化される場合、ホモ接合性が通常要求される。特定の遺伝子がRNA干渉またはドミナントネガティブ方針により不活性化される場合、ヘテロ接合性が適切であることが多い。
典型的には、前核マイクロインジェクションにおいて、核酸構築物を受精卵中に導入し;精子頭部および卵からの遺伝子材料を含有する前核が原形質内で可視的であるため、1または2つの細胞受精卵を使用する。前核段階の受精卵は、インビトロまたはインビボ(すなわち、ドナー動物の卵管から外科的に回収する)で得ることができる。体外受精卵は、以下のとおり生産することができる。例えば、ブタ卵巣を食肉処理場において回収し、輸送の間22〜28℃において維持することができる。卵巣を洗浄し、卵胞吸引のために単離することができ、4〜8mmに及ぶ卵胞を50mLのコニカル遠心管中に18ゲージ針を使用して真空下で吸引することができる。卵胞液および吸引された卵母細胞は、市販のTL−HEPES(Minitube,Verona,WI)によりプレフィルターに通してリンスすることができる。コンパクトな卵丘塊により包囲される卵母細胞を選択し、0.1mg/mLのシステイン、10ng/mLの上皮成長因子、10%のブタ卵胞液、50μMの2−メルカプトエタノール、0.5mg/mlのcAMP、10IU/mLの妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG)およびヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)のそれぞれが補給されたTCM−199卵母細胞成熟培地(Minitube,Verona,WI)中に加湿空気中で38.7℃および5%のCOにおいて約22時間配置することができる。続いて、卵母細胞をcAMPも、mPMSGも、hCGを含有しない新たなTCM−199成熟培地に移動させ、さらに22時間インキュベートすることができる。成熟卵母細胞をそれらの卵丘細胞から、0.1%のヒアルロニダーゼ中の1分間のボルテックス処理により剥がすことができる。
ブタについて、成熟卵母細胞を500μlのMinitube PORCPRO IVF培地系(Minitube,Verona,WI)中においてMinitube5ウェル受精ディッシュ中で受精させることができる。体外受精(IVF)についての調製において、新たに回収され、または冷凍された雄ブタ精液を洗浄し、PORCPRO IVF培地中で4×10個の精子に再懸濁させることができる。精子濃度は、コンピュータ支援精液分析(SPERMVISION,Minitube,Verona,WI)により分析することができる。最終的な試験管内授精は、雄ブタに応じて10μlの容量で約40個の運動性精子/卵子の最終濃度において実施することができる。全ての受精卵母細胞を、5.0%のCO雰囲気中で38.7℃において6時間インキュベートする。授精の6時間後、推定接合子をNCSU−23中で2回洗浄し、0.5mLの同一培地に移動させることができる。この系は、ほとんどの雄ブタにわたり、10〜30%の多精子授精率で20〜30%の胚盤胞を定型的に生産し得る。
直鎖化核酸構築物を前核の1つの中に注入することができる。次いで、注入された卵をレシピエント雌に(例えば、レシピエント雌の卵管中に)移植し、レシピエント雌中で発育させてトランスジェニック動物を生産することができる。特に、体外受精胚は、15,000×gにおいて5分間遠心分離して脂質を沈降させ、前核の可視化を可能とすることができる。胚は、Eppendorf FEMTOJET注入器を使用して注入することができ、胚盤胞形成まで培養することができる。胚分割および胚盤胞形成の速度ならびに質を記録することができる。
胚は、非同期レシピエントの子宮中に外科的に移植することができる。典型的には、5.5インチTOMCAT(登録商標)カテーテルを使用して100〜200(例えば、150〜200)個の胚を卵管の膨大部−峡部境界中に配置することができる。術後、妊娠のリアルタイム超音波試験を実施することができる。
体細胞核移植において、上記の核酸構築物を含むトランスジェニック偶蹄目細胞(例えば、トランスジェニックブタ細胞またはウシ細胞)、例えば、胚割球、胎児線維芽細胞、成体耳線維芽細胞、または顆粒膜細胞を、除核卵母細胞中に導入して複合細胞を樹立することができる。卵母細胞は、極体付近で部分的に透明帯を切開し、次いで切開区域において細胞質を押し出すことにより除核することができる。典型的には、鋭く斜めに切られた先端部を有する注入ピペットを使用してトランスジェニック細胞を、第2減数分裂において停止させた除核卵母細胞中に注入する。一部の慣用例において、第2減数分裂において停止させた卵母細胞を卵と称する。ブタまたはウシ胚を生産した後(例えば、卵母細胞の融合および活性化により)、活性化の約20〜24時間後に胚をレシピエント雌の卵管に移植する。例えば、Cibelli et al.,(1998)Science,280:1256−1258および米国特許第6,548,741号明細書参照。ブタについて、レシピエント雌は、胚の移植約20〜21日後に妊娠について確認することができる。
精原幹細胞は、家畜の遺伝子改変の第2の方法を提供する。遺伝子改変または遺伝子編集は、ドナー精巣から単離された精原幹細胞中でインビトロで遂行することができる。改変された細胞は、レシピエントの生殖細胞枯渇精巣中に移植する。移植された精原幹細胞は、人工授精(AI)または体外受精(IVF)を介する交配に使用してファウンダー動物を誘導することができる遺伝子改変を担持する精子を生産する。
標準的な交配技術を使用して最初のヘテロ接合性ファウンダー動物からの外因性核酸についてホモ接合性の動物を作出することができる。しかしながら、ホモ接合性は、要求されないこともある。本明細書に記載のトランスジェニックブタは、他の目的のブタと交配することができる。
一部の実施形態において、目的核酸および選択マーカーは、別個のトランスポゾン上で提供し、不等量で胚または細胞のいずれかに提供することができ、選択マーカーを含有するトランスポゾンの量は、目的核酸を含有するトランスポゾンを大幅に超過する(5〜10倍過剰)。目的核酸を発現するトランスジェニック細胞または動物は、選択マーカーの存在および発現に基づき単離することができる。トランスポゾンはゲノム中に正確に、および非連鎖で統合するため(独立転移イベント)、目的核酸および選択マーカーは、遺伝的に連鎖させず、標準的な交配を介する遺伝的分離により容易に分離することができる。したがって、公衆安全性の観点からの一部の懸念事項である、後続の世代における選択マーカーの保持が拘束されないトランスジェニック動物を生産することができる。
トランスジェニック動物を生成したら、標準的技術を使用して外因性核酸の発現を評価することができる。初回スクリーニングは、サザンブロット分析により達成して構築物の統合が生じたか否かを決定することができる。サザン分析の記載については、Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,second edition,Cold Spring Harbor Press,Plainview;NYのセクション9.37〜9.52参照。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を初回スクリーニングにおいて使用することもできる。PCRは、標的核酸を増幅させる手順または技術を指す。一般に、目的領域の末端またはその外側からの配列情報を用いて増幅させるべきテンプレートの逆鎖と配列が同一または類似のオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。PCRを使用してDNAおよびRNAからの特異的配列、例として、全ゲノムDNAまたは全細胞RNAからの配列を増幅させることができる。プライマーは、典型的には、14〜40ヌクレオチド長であるが、10ヌクレオチドから数百ヌクレオチド長に及び得る。PCRは、例えば、PCR Primer:A Laboratory Manual,ed.Dieffenbach and Dveksler,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1995に記載されている。核酸は、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、自律配列複製(self−sustained sequence replication)、または増幅核酸配列ベース増幅により増幅させることもできる。例えば、Lewis(1992)Genetic Engineering News,12:1;Guatelli et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1874;およびWeiss(1991)Science,254:1292参照。胚盤胞段階において、胚は、PCR、サザンハイブリダイゼーションおよびスプリンケレットPCRによる分析のために個々に処理することができる(例えば、Dupuy et al.,Proc Natl Acad Sci USA(2002)99:4495参照)。
トランスジェニックブタの組織中のポリペプチドをコードする核酸配列の発現は、例えば、動物から得られた組織試料のノザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション分析、ウエスタン分析、免疫アッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ、および逆転写酵素PCR(RT−PCR)が挙げられる技術を使用して評価することができる。
干渉RNA
種々の干渉RNA(RNAi)が公知である。二本鎖RNA(dsRNA)は、相同遺伝子転写物の配列特異的分解を誘導する。RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)は、dsRNAを小さい21〜23ヌクレオチドの小分子干渉RNA(siRNA)に代謝する。RISCは、二本鎖RNアーゼ(dsRNアーゼ、例えば、ダイサー)およびssRNアーゼ(例えば、Argonaut2またはAgo2)を含有する。RISCは、開裂可能な標的を見出すためのガイドとしてアンチセンス鎖を利用する。siRNAおよびマイクロRNA(miRNA)の両方が公知である。遺伝子改変動物中の遺伝子を破壊する方法は、標的遺伝子および/または核酸の発現が低減するように標的遺伝子および/または核酸に対するRNA干渉を誘導することを含む。
例えば、外因性核酸配列は、ポリペプチドをコードする核酸に対するRNA干渉を誘導し得る。例えば、標的DNAと相同な二本鎖小分子干渉RNA(siRNA)または小分子ヘアピンRNA(shRNA)を使用してそのDNAの発現を低減させることができる。siRNAのための構築物は、例えば、Fire et al.,(1998)Nature,391:806;Romano and Masino(1992)Mol.Microbiol.,6:3343;Cogoni et al.,(1996)EMBO J.,15:3153;Cogoni and Masino(1999)Nature,399:166;Misquitta and Paterson(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96:1451;およびKennerdell and Carthew(1998)Cell,95:1017に記載のとおり生産することができる。shRNAのための構築物は、McIntyre and Fanning(2006)BMC Biotechnology,6:1により記載されているとおりに生産することができる。一般に、shRNAは、アニールし、短鎖ヘアピンを形成し得る相補的領域を含有する一本鎖RNA分子として転写される。
特異的遺伝子に指向される単一の個々の機能的siRNAまたはmiRNAを見出す確率は、高い。例えば、siRNAの特異的配列の予測可能性は、約50%であるが、少なくとも1つが効率的な良好な信頼性を有する多数の干渉RNAを作製することができる。
実施形態は、遺伝子、例えば、発生段階に選択的な遺伝子に対して指向されるRNAiを発現するインビトロ細胞、インビボ細胞、および遺伝子改変動物、例えば、家畜動物を含む。例えば、RNAiは、siRNA、shRNA、dsRNA、RISCおよびmiRNAからなる群から選択することができる。
誘導性系
誘導性系を使用して遺伝子の発現を制御することができる。遺伝子の発現の時空間的制御を可能とする種々の誘導性系が公知である。いくつかは、トランスジェニック動物中でインビボで機能的であることが証明されている。誘導性系という用語は、慣習的なプロモーターおよび誘導性遺伝子発現エレメントを含む。
誘導性系の一例は、核酸の転写を調節するために使用することができるテトラサイクリン(tet)−onプロモーター系である。この系においては、突然変異Tet抑制因子(TetR)を単純ヘルペスウイルスVP16トランス活性化因子タンパク質の活性化ドメインに融合させてテトラサイクリン制御性転写活性化因子(tTA)を作出し、これはtetまたはドキシサイクリン(dox)により調節される。抗生物質の不存在下では転写は最小限である一方、tetまたはdoxの存在下では転写が誘導される。代替的な誘導性系としては、エクジソンまたはラパマイシン系が挙げられる。エクジソンは、エクジソン受容体およびウルトラスピラクル遺伝子(USP)の産物のヘテロ二量体により生産が制御される昆虫脱皮ホルモンである。発現は、エクジソンまたはエクジソン類似体、例えば、ムリステロンAによる処理により誘導される。誘導性系を惹起するために動物に投与される薬剤は、誘導剤と称される。
より一般に使用される誘導性系には、テトラサイクリン誘導性系およびCre/loxPリコンビナーゼ系(構成的または誘導性のいずれか)がある。テトラサイクリン誘導性系は、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)/リバースtTA(rtTA)を含む。これらの系をインビボで使用する方法は、2つの系統の遺伝子改変動物を生成することを含む。1つの動物系統は、選択されたプロモーターの制御下で活性化因子(tTA、rtTA、またはCreリコンビナーゼ)を発現する。トランスジェニック動物の別のセットは、目的遺伝子(または改変すべき遺伝子)の発現がtTA/rtTAトランス活性化因子についての標的配列の制御下にある(またはloxP配列によりフランキングされている)アクセプターを発現する。2つのマウス株の交配は、遺伝子発現の制御を提供する。
テトラサイクリン依存性調節系(tet系)は、2つの構成要素、すなわち、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTAまたはrtTA)および下流cDNAの発現を制御するtTA/rtTA依存性プロモーターにテトラサイクリン依存的に頼る。テトラサイクリンまたはその誘導体(例えば、ドキシサイクリン)の不存在下では、tTAはtetO配列に結合し、tTA依存性プロモーターの転写活性化を可能とする。しかしながら、ドキシサイクリンの存在下では、tTAはその標的と相互作用し得ず、転写は生じない。tTAを使用するtet系は、テトラサイクリンまたはドキシサイクリンが転写下方調節を可能とするため、tet−OFFと称される。テトラサイクリンまたはその誘導体の投与により、インビボでのトランス遺伝子発現の時間的制御が可能になる。rtTAは、ドキシサイクリンの不存在下では機能的でないが、トランス活性化のためにリガンドの存在を要求するtTAのバリアントである。したがって、このtet系はtet−ONと称される。tet系は、例えば、レポーター遺伝子、癌遺伝子、またはシグナリングカスケードに関与するタンパク質をコードするいくつかのトランス遺伝子の誘導性発現にインビボで使用されている。
Cre/lox系はCreリコンビナーゼを使用し、これは、2つの区別されるCre認識配列、すなわち、loxP部位の間で入れ換わることによる部位特異的組換えを触媒する。2つのloxP配列の間に導入されたDNA配列(フロックスDNAと称される)がCre媒介組換えにより切り出される。空間的制御(組織特異的または細胞特異的プロモーターによる)または時間的制御(誘導性系による)のいずれかを使用するトランスジェニック動物におけるCre発現の制御は、2つのloxP部位間のDNAの切り出しの制御をもたらす。1つの適用は、条件的遺伝子不活性化(条件的ノックアウト)である。別のアプローチは、フロックス終止コドンがプロモーター配列および目的DNA間に挿入されるタンパク質過剰発現である。遺伝子改変動物は、Creが発現されてフロックス終止コドンの切り出しがもたらされるまでトランス遺伝子を発現しない。この系は、組織特異的腫瘍形成およびBリンパ球中のアンチジーン(antigene)受容体発現の制御に適用されている。誘導性Creリコンビナーゼも開発されている。誘導性Creリコンビナーゼは、外因性リガンドの投与によってのみ活性化される。誘導性Creリコンビナーゼは、元のCreリコンビナーゼおよび特異的リガンド結合ドメインを含有する融合タンパク質である。Creリコンビナーゼの機能的活性は、融合タンパク質中のこの特異的ドメインに結合し得る外部リガンドに依存的である。
実施形態は、誘導性系の制御下にある遺伝子を含むインビトロ細胞、インビボ細胞、および遺伝子改変動物、例えば家畜動物を含む。動物の遺伝子改変は、ゲノミックまたはモザイクであり得る。誘導性系は、例えば、Tet−On、Tet−Off、Cre−lox、およびHif1アルファからなる群から選択することができる。一実施形態は、本明細書に記載の遺伝子である。
ファウンダー動物、動物系統、形質、および生殖
ファウンダー動物は、クローン化および本明細書に記載の他の方法により生産することができる。ファウンダーは、接合子または初代細胞がホモ接合性の改変を受ける場合のように、遺伝子改変についてホモ接合性であり得る。同様に、ヘテロ接合性のファウンダーを作製することもできる。ファウンダーはゲノム的に改変されていてもよく、このことは、そのゲノムにおける細胞の全てが改変を受けていることを意味する。ファウンダーは、ベクターを胚における複数の細胞の1つに、典型的には胚盤胞段階において導入する場合に起こり得るように、改変についてモザイクであり得る。モザイク動物の子孫を試験してゲノム的に改変されている子孫を同定することができる。有性生殖させることができ、または生殖補助技術により生殖させることができ、異種またはホモ接合性の子孫が常に改変を発現する動物のプールが作出された場合、動物系統が樹立される。
家畜において、多くのアレルが、種々の形質、例えば、生産形質、体型形質、作業性形質、および他の機能的形質に結びつけられることが公知である。当業者はこれらの形質を監視し、定量化することに慣れている、例えば、Visscher et al.,Livestock Production Science,(1994)40:123−137、米国特許第7,709,206号明細書、米国特許出願公開第2001/0016315号明細書、米国特許出願公開第2011/0023140号明細書、および米国特許出願公開第2005/0153317号明細書。動物系統は、生産形質、体型形質、作業性形質、受精能形質、母性形質、および疾患耐性形質からなる群の形質から選択される形質を含み得る。さらなる形質としては、組換え遺伝子産物の発現が挙げられる。実施形態は、1つ以上のそのような形質、または遺伝子導入された形質を有する動物を選択し、標識精子を含むようにそのゲノムを改変することを含む。
リコンビナーゼ
本発明の実施形態は、標的化されるヌクレアーゼ系をリコンビナーゼ(例えば、RecAタンパク質、Rad51)またはDNA組換えに関連する他のDNA結合タンパク質と投与することを含む。リコンビナーゼは、核酸断片とフィラメントを形成し、事実上、細胞DNAを探索してその配列と実質的に相同なDNA配列を見出す。例えば、リコンビナーゼは、HDRについてのテンプレートとして機能する核酸配列と組み合わせることができる。次いで、リコンビナーゼをHDRテンプレートと組み合わせてフィラメントを形成し、細胞中に配置することができる。リコンビナーゼおよび/またはリコンビナーゼと組み合わさるHDRテンプレートは、細胞または胚中に、タンパク質、mRNAとして配置し、またはリコンビナーゼをコードするベクターにより配置することができる。米国特許出願公開第2011/0059160号明細書(米国特許出願第12/869,232号明細書)の開示が、本明細書により全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれ、矛盾する場合、本明細書が優先する。リコンビナーゼという用語は、細胞中で2つの比較的長いDNA鎖間の比較的短いDNA片の結合を酵素的に触媒する遺伝子組換え酵素を指す。リコンビナーゼとしては、Creリコンビナーゼ、Hinリコンビナーゼ、RecA、RAD51、Cre、およびFLPが挙げられる。Creリコンビナーゼは、loxP部位間のDNAの部位特異的組換えを触媒するP1バクテリオファージからのI型トポイソメラーゼである。Hinリコンビナーゼは、細菌のサルモネラ属(Salmonella)中に見出される198アミノ酸から構成される21kDのタンパク質である。Hinは、DNA開裂および組換えの開始を活性部位セリンに頼るDNAインベルターゼのセリンリコンビナーゼファミリーに属する。RAD51はヒト遺伝子である。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、DNA二本鎖分解の修復を支援するRAD51タンパク質ファミリーのメンバーである。RAD51ファミリーメンバーは、細菌RecAおよび酵母Rad51と相同である。Creリコンビナーゼは、loxP部位によりフランキングされる規定の配列を欠失させるための実験において使用される酵素である。FLPは、パン酵母の出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の2μプラスミドに由来するフリッパーゼ組換え酵素(FLPまたはFlp)を指す。
本明細書において、「RecA」または「RecAタンパク質」は、同一機能、特に:(i)DNAポリメラーゼによる後続の伸長のため、オリゴヌクレオチまたはポリヌクレオチドをその相同性標的上に適切に位置決めする能力;(ii)DNA合成のため、二重鎖核酸をトポロジー的に調製する能力;および(iii)相補的配列を効率的に見出してそれに結合するRecA/オリゴヌクレオチドまたはRecA/ポリヌクレオチド複合体の能力の本質的に全てまたはほとんどを有するRecA様組換えタンパク質のファミリーを指す。最良に特徴決定されたRecAタンパク質は、大腸菌(E.coli)からのものであり;このタンパク質の元のアレル形態に加え、いくつかの突然変異RecA様タンパク質、例えば、RecA803が同定されている。さらに、多くの生物、例として、例えば、酵母、ショウジョウバエ属(Drosophila)、ヒトを含む哺乳動物、および植物が、RecA様鎖転移タンパク質を有する。これらのタンパク質としては、例えば、Rec1、Rec2、Rad51、Rad51B、Rad51C、Rad51D、Rad51E、XRCC2およびDMC1が挙げられる。組換えタンパク質の一実施形態は、大腸菌(E.coli)のRecAタンパク質である。あるいは、RecAタンパク質は、大腸菌(E.coli)の突然変異RecA−803タンパク質、別の細菌源由来のRecAタンパク質または別の生物からの相同組換えタンパク質であり得る。
組成物およびキット
本発明はまた、例えば、部位特異的エンドヌクレアーゼ、CRISPR、Cas9、ZNF、TALENをコードする核酸分子、そのポリペプチドを含有する組成物およびキット、そのような核酸分子もしくはポリペプチド、または遺伝子操作細胞系を含有する組成物を提供する。示されるアレルの遺伝子移入について効率的なHDRを提供することもできる。このようなアイテムは、例えば、研究ツールとして、または治療的に使用することができる。
材料および方法、例として、TALENを作製する方法は、一般に、特に記載のない限り、2012年8月24日に出願された米国特許出願第13/594,694号明細書に記載されているとおりである。
実施例1:Y染色体改変のためのTALEN
形質移入 − 線維芽細胞を培養し、既に記載されているヌクレオフェクションにより形質移入する(Carlson et al.,2011)。トランスポゾンは、実験中の合計1μgを構成する。相同性依存性修復(HDR)分析のため、二本鎖分解(DSB)誘導のための最良の実施条件を選択し、修復テンプレートをTALENプラスミドに等量、3および10倍過剰において添加する。細胞培養 − 個々のコロニーの単離は、所定密度における96ウェルプレート中の選択により実施してウェルの30〜50%中のコロニーをもたらす。インデル検出集団 − 約500bpのアンプリコンをもたらすように標的部位をフランキングするプライマーを設計する。PCRアンプリコンをSURVEYOR(登録商標)ヌクレアーゼ(Transgenomic,Omaha NE)により提案のとおりにより処理し、8〜10%のポリアクリルアミドゲル上で分解する。インデル陽性胚盤胞からのアンプリコンの一部をクローン化し、配列決定して突然変異を特徴決定した。インデル検出コロニー − 上記で使用される標的部位をフランキングするプライマーを、高解像度融解分析qPCRマスターミックス(Invitrogen)を使用する増幅に使用し、融解曲線分析を実施する。リアルタイムPCR産物の融解プロファイルの変動は、TALEN誘導突然変異を担持するクローンを野生型配列から区別する。アンプリコン由来非形質移入対照細胞の融解温度の通常の変動を参照として使用する。通常の変動外の融解プロファイルを有するアンプリコンをクローン化し、配列決定して突然変異を特徴決定する。Y標的化検出 − PCRアッセイを相同性アームの外側のプライマーおよびアーム内の1つのプライマーにより開発して相同組換えが生じた場合にのみ考えられる産物をもたらす。PCR陽性コロニーをホールゲノム増幅サザンブロッティングにより検証する。Y標的化を確認するためのWGAサザンブロッティング − REPLI−g Mini Kit(Qiagen,Valencia,CA)の半反応を「Amplification of Blood or Cells」プロトコルに従って使用してWGAを個々のクローンに対して実施する。サザンブロッティングのためのプローブをハイブリダイズさせて標的化される細胞の5’および3’ジャンクションを検証する。FACS−XおよびY担持精細胞のソーティングのために、Hoechst33342が6.25uMの濃度に添加された1mlのBTS中に1500万個の精子を装入することにより新たな精液を調製する。この調製物を35℃において45分間インキュベートする。精子ソーティングのための標準的な改変を有する改変フローサイトメーターを使用してXおよびY担持精子をDNA含有率によりソーティングする(Johnson et al.,1987;Johnson and Pinkel,1986)。ソーティングされた集団の精度は、XおよびY標的についての定量的PCRにより決定する。血清ホルモン計測 − Endocrine Technologies(Newark,CA)からの市販のELISAキットを使用してテストステロンおよびFSHの血清レベルを評価する。
Y染色体遺伝子付加についての2つの候補遺伝子座に対して指向される4つのTALENペアを作製した(図4)。第1の候補は、2つの最大ランキングポリアデニル化シグナル外でSRYの3’側1.7kbで局在する。第2の候補遺伝子座は、AMELY遺伝子のY特異的イントロンである。これらの遺伝子座は、ウシとの比較およびブタ:ウシ比較遺伝子マッピングデータに基づきSSCYの偽常染色体境界の外側に存在すると予測される(Quilter et al.,2002;Van Laere et al.,2008)。したがって、これらはSSCXまたは常染色体との組換えを受け得ず、したがって、多世代にわたりSSCY上で維持されることが予測される。試験された4つのTALENペアの3つにより、高い活性が明らかになった(図4)。
実施例2:単および両アレルKOクローンの単離。
Carlson et al.,2012は、トランスジェニック初代線維芽細胞を効率的に拡張させ、非トランスジェニック線維芽細胞(フィーダー細胞)と標準的密度(>150個の細胞/cm)においてプレーティングし、上記に適用されるトランスポゾン同時選択技術を使用する薬物選択に供した場合にコロニーとして単離する家畜における標的遺伝子の改変を記載している(Carlson et al.,(2011)Transgenic Res.,20:1125および2012年5月9日に出願された米国特許出願公開第2012/0220037号明細書)。これらの技術は、動物をクローン化するために使用することができる体細胞の遺伝子変化の作製に有用である。
一例として、6つのTALENペアにより処理された細胞についてピューロマイシン耐性コロニーを単離し、それらの遺伝子型を評価した。一般に、インデル陽性クローンの比率は、3日目の改変レベルに基づきなされた予測と類似した。両アレルノックアウトクローンは、7つの異なるTALENペアの6つについて同定され、インデル陽性細胞の最大35パーセント中で生じた。大多数の例において、インデルは、それぞれのアレル上のユニークなインデルではなくホモ接合性であり(それぞれのアレル上の同一のインデル)、このことは、姉妹染色分体テンプレート化修復が共通であることを示唆した。特に、改変クローンでは、大多数のTALENペアについての両アレル改変の頻度(17〜60%)は、染色体開裂を独立イベントとして処理する場合、3日目の改変レベル(10〜17%)に基づく予測を超過する。
実施例3:家畜細胞中のHDRのための標的としてのTALEN媒介DNA開裂。
ブタ低密度リポタンパク質受容体(LDLR)遺伝子の第4エキソンに標的化されるTALENペア(LDLR4.2)を、ブタLDLR遺伝子に対応する相同性アームおよびHDR時にネオマイシンホスホトランスフェラーゼの発現を可能とする遺伝子トラップを含有するスーパーコイルドプラスミドLdlr−E4N−stopと同時形質移入した。培養3日後、PCR分析により、抗生物質選択なしでも、HDRイベントに対応するバンドを30℃において標的化される遺伝子座において検出することができることが明らかになった。geneticin(G418)による14日間の培養細胞の集団の選択は、HDR細胞の顕著な濃縮をもたらした。
実施例4:テンプレート化のための一本鎖DNA。
Tan et al.2013は、遺伝子のテンプレートドライブ型改変の一本鎖DNAの使用を記載している。一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(ssODN)は、TALEN刺激HRのための効率的なテンプレートである。11塩基対のBelgian Blueウシ突然変異をWagyu細胞中に遺伝子移入させるように遺伝子座を標的化した。11塩基対を欠失するBB GDF8遺伝子のセンスまたはアンチセンス鎖のいずれかを模倣するように2つの76塩基対ssODNを設計した。4マイクログラムのTALENコードプラスミドをWagyu細胞中に形質移入し、0.3nMolのssODNをTALEN(N)と同時形質移入し、またはMirusLT1(M)試薬もしくはLipofectamine LTX試薬(L)のいずれかによりTALENヌクレオフェクションの24時間後に送達した。3日目における半定量PCRは、ssODNをTALEN形質移入の24時間後にLIPOFECTAMINE LTX試薬により送達した条件において最大5%のアレル変換頻度が送達されたことを示した。標的に対して設計されたセンスおよびアンチセンスssODN間でPCRシグナルの差は観察されなかった。
実施例5:オリゴHDRを使用してブタ(Ossabaw)細胞中に導入されるアレル。
Tan et al.,(2013)は、ある種中で天然に生じるアレルを別の種に配置する(種間移動)ためのmRNAコードTALENおよび一本鎖オリゴヌクレオチドの組合せによる細胞の改変を記載している。PiedmonteseGFD8SNP C313Yが、一例として選択され、Ossabowブタ細胞中に導入された。これらの細胞中では、いずれの段階においてもマーカーは使用されなかった。0.4nmolのssODNにおいてHDRの類似ピークがブタおよびウシ細胞間で観察されたが(示さず)、HDRは、Ossabaw線維芽細胞中のより高濃度のssODNによっては消失しなかった。
実施例6:CRISPR/Cas9設計および生産。
遺伝子特異的gRNA配列をChurch実験室gRNAベクター(Addgene番号:41824)中にその研究者らの方法に従ってクローン化した。Cas9ヌクレアーゼは、hCas9プラスミド(Addgene番号:41815)またはRCIScript−hCas9から合成されたmRNAのいずれかの同時形質移入により提供された。このRCIScript−hCas9は、hCas9プラスミド(hCas9cDNAを包含)からのXbaI−AgeI断片の、RCIScriptプラスミド中へのサブクローン化により構築した。mRNAの合成は、上記のとおり実施したが、但し直鎖化はKpnIを使用して実施した。
実施例7:CRISPR/Cas9
CRISPR/Cas9媒介HDRを使用してイボイノシシからのp65S531P突然変異を慣用のブタ中に遺伝子移入した。図5を参照すると、パネルa)において、S531Pミスセンス突然変異をブタp65(RELA)のヌクレオチド1591におけるT−Cトランシジョンにより引き起こした。S−P HDRテンプレートは、新規XmaI部位を導入し、RFLPスクリーニングを可能とする原因TCトランシジョン突然変異(大文字)を含む。2つのgRNA配列(P65_G1SおよびP65_G2A)を、予備実験において使用されるp65.8TALENとともに示す。パネルb)において、Landrace線維芽細胞を、S−P−HDRオリゴ(2μM)、hCas9をコードする2つの量のプラスミド(0.5μgと2.0μg);5つの量のG2A転写プラスミド(0.05〜1.0μg)により形質移入した。それぞれの形質移入からの細胞を60:40に分け、それぞれ30および37℃において3日間培養してから10日目まで37℃において培養を延長した。Surveyorアッセイにより、16〜30%に及ぶ活性が明らかになった。パネルcおよびd)3および10日目において試料採取された細胞のRFLP分析。191および118bpの予測開裂産物を黒色矢印により示す。DSBと標的SNPとの近接性にかかわらず、CRISPR/Cas9媒介HDRはS531Pの遺伝子移入についてTALENより効率的でなかった。それぞれのgRNA配列を使用して個々のコロニーも分析した。
実施例8:CRISPR/Cas9
ブタAPCにおけるTALENおよびCRISPR/Cas9媒介HDRの比較。図6を参照すると、パネルa)において、APC14.2TALENおよびgRNA配列APC14.2G1aを、野生型APC配列に対して示す。最下段に、新規HindIII部位をもたらす4bp挿入(文字参照)を送達するHDRオリゴを示す。次いで、2μMのオリゴHDRテンプレート、および1μgのTALENmRNA、hCas9をコードする1μgのそれぞれのプラスミドDNAおよびgRNA発現プラスミドのいずれか;またはhCas9をコードする1μgのmRNAおよび0.5μgのgRNA発現プラスミドにより形質移入されたブタ線維芽細胞を分け、30または37℃のいずれかにおいて3日間培養してから10日目まで37℃において拡張させた。パネルb)RFLPおよびSurveyorアッセイ結果を示すチャート。既に決定されたとおり、TALEN刺激HDRは30℃において最も効率的であった一方、CRISPR/Cas9媒介HDRが37℃において最も効率的であった。この遺伝子座について、TALENは、SURVEYORアッセイにより計測された類似DNA切断頻度にかかわらずHDRの刺激についてCRISPR/Cas9系より効率的であった。TALENとは対照的に、hCas9をプラスミドに対してmRNAとして送達した場合にHDRにほとんど差が存在しなかった。
実施例9:Y染色体の標的化
TALENおよびプラスミド相同性カセットの組合せを使用してmCaggs−EGFPカセットをY染色体に標的化した。この実験目的のため、陽性配向は、トランス遺伝子カセットの両方および内因性遺伝子(SRYまたはAMELY)が同一配向である場合であり、陰性配向は、それらを逆の配向である場合である。1マイクログラムのTALENmRNAと500ngの相同性カセットを、単一の100ulのエレクトロポレーションで600,000個の細胞と混合した。NEONエレクトロポレーション系(Life Technologies)を使用して細胞を形質移入し、30℃において3日間培養し、単一細胞由来コロニーの誘導のために低密度においてプレーティングした。相同性アームの外側の1つプライマーおよびトランス遺伝子カセット内の第2のプライマーを使用するジャンクションPCRによりY染色体の正確な標的化についてコロニーを分析した。いくつかのコロニーを予測アンプリコンについて陽性であった。図8は、図7に示される結果のまとめである。Y標的化について陽性のクローンは、6〜24パーセントに及んだ。トランス遺伝子カセットの配向は、Y標的化の効率に対するいくらかの効果を有すると考えられた。
実施例10:Y染色体の短鎖相同性標的化
プラスミド相同性カセットの代替法として、AMELYおよびSRY部位を標的化するように短鎖(50〜100bp)相同性アームを有する直鎖テンプレートを開発した。相同性テンプレートは、カセットの5’および3’末端に結合したプライマーを使用するユビキチンEGFPカセットのPCR増幅により作出し、Orlando et al.,2010(NAR;2010 Aug;38(15))に記載のとおり、想定TALEN誘導二本鎖分解の配列5’および3’に対応するテールを含んだ。プライマーは、内因性ヌクレアーゼによる分解を阻害するための第1の2つのヌクレオチド間のホスポルチオエート(phosporthioate)結合を含んだ。2マイクログラムのTALENmRNA(または対照としての不使用)およびそれぞれの部位に特異的な1ugの短鎖相同性テンプレートを、典型的な100ulのエレクトロポレーションに含めた。エレクトロポレーション後、細胞を30または33℃のいずれかにおける3日間の培養のために分割し、次いでジャンクションPCRによりY標的化について試験した。30または33℃において培養された細胞は、Y標的化が30℃においてより効率的であることを産物強度が示唆するにもかかわらず、5’および3’ジャンクションの両方におけるY標的化について陽性であった。それぞれの部位について、正確なY標的化に対応するアンプリコンは、TALENに依存的であり、SRY3’ジャンクション上段バンドが非特異的バックグラウンドシグナルであることに留意されたい。形質移入後14日間培養された細胞集団は、非統合テンプレートをもはや発現しないはずである。EGFPについてのFACsを14日目の集団に実施しTALENと短鎖相同性テンプレートの組合せがテンプレート単独に対してEGFP陽性細胞の比率を増加させるか否かを決定した。実際、EGFP陽性細胞は、TALENを含めた場合に約3倍濃縮されており、温度の効果はほとんど観察されなかった(図10)。個々のEGFP陽性コロニーを、Y標的化についてゲノタイピングした。AMELYについては、EGFP陽性コロニーの0/5(0%)および2/5(20%)が30または33℃においてそれぞれ最初に培養された細胞からのY標的化についても陽性であった(図11)。SRYについては、EGFP陽性コロニーの5/24(21%)および0/9(0%)が30または33℃においてそれぞれ最初に培養された細胞からのY標的化についても陽性であった(図11)。
実施例11
マウスとの比較データに基づき本出願人らのチームにより全て最初にクローン化されたブタACE、CK−15またはSP10プロモーターのいずれかの方向で推定シス制限トランス遺伝子を担持するように一連の3つのSleeping Beautyトランスポゾンを作出した。マウスをCarlson et al.,2011に記載のとおりSleeping Beautyトランスポゾンの前核注入により生産した(図12)。続いて、トランスジェニックマウスをF0またはF1で最初にqRT−PCRにより精巣中のEGFPトランス遺伝子について分析した(図13)。有意な発現はACEでもCK−15トランス遺伝子でも観察されなかった一方、SP10プロモーターを有するF0およびF1マウスにおいて有意な発現が存在した。この結果は、予測されなかった。これは、オルソロガスネズミACEおよびCK−15プロモーターは、マウス精原細胞中で確実に発現するためである(Langford,KG et al.,1991;Albanesi et al.,1996)。精巣中のEGFP発現の局在化は、免疫組織化学(IHC)検出により分析した。シグナルは、精細管の領域中で濃縮され、このことは精子形成の通常の進行に合致した(図14)。最後に、精巣上体精子をEGFPの発現についてIHCにより分析した。qPCRの結果と一致して、シグナルがSP10ファウンダーからの精子中でのみ検出された。ファウンダーSP10〜11が複数のコピーのシスXトランス遺伝子を有することが観察され、高いF1伝達頻度により示される。
免疫組織化学
精巣試料調製。安楽死雄マウスから回収された精巣組織を縦側で1回両断して長さ約40μm×直径40μmの二等分のものを形成した。組織をPBS、pH7.2中4%のPFA/10%のスクロース中で一晩配置し、−70℃においてOCT化合物中で包埋した。包埋組織をそれ以降−80℃において貯蔵した。冷凍切片を6μmにおいて切断し、帯電スライド上で少なくとも30分間空気乾燥させ、冷温アセトン中で5分間、後固定(post−fix)した。
染色。圧力調理器法を使用してスライドを抗原回復のためにクエン酸緩衝液、pH6.1(Dako)中で処理した。スライドをPBS中0.125%のTriton−X100中で5分間透過化し、PBS中で5分間1回洗浄してから、ブロッキング緩衝液[PBS中2.5%のヤギ血清(DGS)、2.5%のウシ胎児血清(FBS)]中で50分間浸漬した。スライドをPBS中で5分間1回洗浄し、それぞれ1.25%のDGSおよびFBSを有するPBS中で1:200に希釈した200μlの一次抗体、ポリクローナルウサギ抗GFP(Abcam ab290)を添加した。陰性(二次)対照として機能するスライドは、200μlのブロッキング緩衝液を受容した。スライドを加湿チャンバ中で4℃において一晩インキュベートした。スライドをPBS中で洗浄し(5回交換、それぞれ5分間)、4μg/mlにおいてALEXAFLUOR594(Invitrogen)にコンジュゲートしている200μlの二次抗体、ヤギ抗ウサギIgG F(ab’)を添加した。スライドを室温において暗所で1時間インキュベートした。スライドをPBS中で洗浄し(5回交換、それぞれ5分間)、DAPIを含有する水性マウンティング培地中でマウントし、顕微鏡観察法に記載のとおり試験した。
精子試料調製。精子のアリコートを安楽死雄マウスの精子上体から、標準的な精子冷凍保存培地中に回収し、−80℃において保存した。20マイクロリットルのそれぞれの試料を1mlのPBS中で洗浄した(800×g、10分間)。精子を200μlのPBS中で再懸濁させた。12mmポリ−D−リジンコートカバースリップ(BD BIOCOAT/Corning)を、24ウェルプレートのウェル中に配置した。50μlの再懸濁させた精子をそれぞれのカバースリップ上に広げた。カバースリップを37℃において乾燥(dry down)させ、100%のメタノール中で35秒間固定した。カバースリップを乾燥させておき、−20℃において貯蔵した。
染色。カバースリップに固定された精子試料をPBS中0.1%のTRITON−X100中で40分間さらに透過化し、それぞれ2.5%のDGSおよびFBSを含有するPBS中で1時間ブロッキングした。カバースリップを1mlのPBS中で5分間1回洗浄し、それぞれ1.25%のDGSおよびFBSを有するPBS中で1:200に希釈した200μlの一次抗体、ポリクローナルウサギ抗GFP(Abcam,ab290)をそれぞれのウェルに添加した。陰性(二次)対照として機能するカバースリップは、200μlのブロッキング緩衝液を受容した。24ウェルプレート中に含有されたカバースリップを、4℃において一晩インキュベートした。カバースリップをPBS中で洗浄し(5回交換、それぞれ5分間)、4μg/mlにおいてALEXAFLUOR594(Invitrogen)にコンジュゲートしている200μlの二次抗体、ヤギ抗ウサギIgG F(ab’)をそれぞれのウェルに添加した。スライドを暗所で室温において1時間インキュベートした。スライドをPBS中で洗浄した(5回交換、それぞれ5分間)。カバースリップを慎重にウェルから取り出し、DAPIを含有する10μlの水性マウンティング培地を使用してスライド上にマウントし、顕微鏡観察法に記載のとおり試験した。
顕微鏡観察法。Photometrics COOLSNAP MYOモノクロカメラおよびHPコンピュータにインストールされたNikon ELEMENTS ARソフトウェア(64ビット)を使用して透過光、DIC、落射蛍光、落射偏光、およびハイパースペクトルモードで画像化するように構成されたモータ駆動ステージを備えたNikon E800正立顕微鏡上で、精巣および精子試料を含有するスライドを試験した。X−Cite120LEDランプ源により照射された蛍光シグナルを、U/B/G(DAPI/FITC/Texas Redの三重)狭帯域キューブを介して得た。Nikon Elements ARソフトウェアを使用して同一曝露時間(Texas Redについて16秒間/DAPIについて30秒間)において20倍対物レンズを使用してそれぞれの試料について組織切片画像(図13)を回収した一方、40倍対物レンズおよびそれぞれのチャネルにおける20秒間の曝露時間を使用して精子画像(図14)を回収した。
定量的PCR
精巣試料調製。安楽死雄マウスから回収された精巣組織を縦側で1回両断して長さ約40μm×直径40μmの二等分のものを形成した。1つの精巣の2分の1をRNALATER(Invitrogen)中に配置し、−80℃において貯蔵した。
RNA単離およびcDNA生成。精巣試料をRNAlaterから取り出し、製造業者の指示書(Qiagen,RNEASY)に従ってβ−メルカプトエタノールを含有するRLT緩衝液中でポリトロン装置を使用して破壊した。トータルRNAは、RNeasyキットを使用して精製した。プライマーとしてのオリゴdTおよびランダムヘキソマーの専売混合物を取り込む2ステップcDNAキット(Quanta Biosciences)を使用して1マイクログラムのトータルRNAをcDNAに変換した。
定量的PCR(qPCR)。レポーターとしてSYBRグリーンを使用するqPCRにおけるテンプレートとして等量のcDNAを使用した。反応は、EGFPおよび正規化のための精原幹細胞のマーカーのインテグリンアルファ6(Itga6)に対するプライマーを使用してBioRad CFX Connect Real−time System上で実行した。
配列
シス−Xカセット−EGFPに下線を付し、EGFPの前後の配列は、Smok15および3’UTRである。
Figure 2016519955
Figure 2016519955
Figure 2016519955
Figure 2016519955
本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、および特許は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれ、矛盾する場合、本明細書が優先する。
さらなる開示
実施形態は、例えば、以下を含む:
1.精細胞により発現される外因性配列を含むX染色体またはY染色体を含む遺伝子改変精細胞。配列は、シス制限、例えば、シス制限トランス遺伝子であり得る。実施形態は、実施例11に記載のものを含む。2.前記X染色体を含む、1の精細胞。3.前記Y染色体を含む、1の精細胞。4.前記外因性配列が、静電選別剤をコードする、1〜3のいずれかの精細胞。5.前記外因性配列が、可視化剤をコードする、1〜3のいずれかの精細胞。6.前記可視化剤が、蛍光マーカー、色素、DNAインターカレート蛍光色素、カルシウム活性化色素、および放射線不透過剤からなる群から選択される、0の精細胞。7.前記外因性配列が、毒性分子をコードする、1〜3のいずれかの精細胞。8.前記毒性分子が、毒素、ヌクレアーゼ、アポトーシス因子、および致死ドミナントネガティブからなる群から選択される、0の精細胞。9.前記毒性分子が、毒素遺伝子、ベルナーゼ、ジフテリア毒素A、チミジンキナーゼ、およびリシン毒素からなる群から選択される毒素または毒性遺伝子産物である、0の精細胞。10.前記外因性配列が、毒素に対する解毒剤をコードする、1〜3のいずれかの精細胞。11.前記解毒剤/毒素の組合せが、ベルナーゼ/バルスター(Barstar)を含む、0の精細胞。12.前記外因性配列が、抗原に結合する抗体の少なくとも一部をコードする、1〜3のいずれかの精細胞。13.前記外因性配列が、外因性エピトープをコードする、1〜3のいずれかの精細胞。14.前記外因性配列が、ビオチン、アビジン、またはポリHisをコードする、1〜3のいずれかの精細胞。15.前記外因性配列が、精子運動性を効率的に損傷させる、1〜3のいずれかの精細胞。16.前記外因性配列が、融合タンパク質の一部である、1〜13のいずれかの精細胞。17.前記融合タンパク質が、外因性配列および精子の細胞膜(精細胞外部の細胞膜を指す)に局在化するためのタンパク質をコードする配列の融合物である、0の精細胞。18.前記融合タンパク質が、前記外因性配列および頭部、中片、尾部、鞭毛、終末部、主部、および頸部からなる群から選択される精子の一部に選択的に局在化するタンパク質をコードする配列の融合物である、0の精細胞。19.前記外因性配列が、前記精細胞外部上で発現される、1〜0のいずれかの精細胞。20.前記外因性配列が、前記精細胞内部中で発現される、1〜0のいずれかの精細胞。21.請求項1〜0のいずれかの精細胞を生産する遺伝子改変動物。22.1〜0のいずれかの精細胞を発現する、0の動物の子孫。23.0または0の動物から生産された精子。24.1〜0のいずれかの動物を作出することを含む、精子を選別する方法。25.少なくとも1つの生物発現マーカーの存在または不存在に基づき、Y染色体を含む精子からX染色体を含む精子を分離することを含む、精子を選別する方法。26.前記精子を生産するファウンダー動物を作出することをさらに含む、0の方法。27.前記生物発現マーカーが、蛍光マーカー、色素、DNAインターカレート蛍光色素、カルシウム活性化色素、および放射線不透過剤、可視光波長の色、蛍光波長の色、蛍光、放射線不透過性、外因性エピトープ、結合リガンド、ならびに抗体の少なくとも一部からなる群から選択される、0の方法。28.前記マーカーを有する精子を可視化することを含む、0または0の方法。29.FAC−SORTまたは精子選択装置の使用を含む、0または0の方法。30.前記生物発現マーカーを、前記マーカーに特異的に結合するリガンドと結合させることを含む、0または0の方法。31.前記生物発現マーカーを、前記マーカーに特異的に結合するリガンドを含む固体表面と結合させること、または前記発現マーカーに特異的に結合する複数のリガンドを発現する架橋剤を介して複数の精子を互いに結合させることを含む、0または0の方法。32.前記分離が、精子運動性に基づく、0の方法。33.前記分離が、生存/死亡アッセイを含む、0の方法。34.前記マーカーが、毒性物質および解毒剤からなる群から選択される、0の方法。35.マーカーを発現するX染色体を含む精子、またはマーカーを発現するY染色体を含む精子、または第1のマーカーを発現するX染色体を含む精子と第2のマーカーを発現するY染色体を含む精子との混合物;および前記マーカーに選択的に結合する結合部分、例えば、前記マーカーについての特異的結合を有するリガンドまたは実質的に前記マーカーにのみ結合し、他の精子には結合しない物質を含む精子選別のための系。36.前記結合部分が、固体表面またはポリマーに固定化されている、0の系。37.前記結合部分が、前記リガンドにより結合される精細胞を損傷させる毒性物質に付着している、0の系。38.前記結合部分が、アビジン、ビオチン、前記マーカーに結合する抗体の少なくとも一部、前記マーカーに特異的に結合するペプチド、アプタマー、および前記マーカーに特異的に結合する核酸からなる群から選択されるリガンドである、0の系。39.前記マーカーが、陰性選択のためのものである、0の系。あるいは、前記マーカーは、陽性選択のためのものである。40.マーカーを発現するX染色体を含む精子、またはマーカーを発現するY染色体を含む精子、または第1のマーカーを発現するX染色体を含む精子と第2のマーカーを発現するY染色体を含む精子との混合物を含む精子選別のための系であって、前記マーカーが可視化による分離を提供する系。41.X染色体またはY染色体上の外因性遺伝子を含む遺伝子改変家畜動物であって、前記遺伝子が、前記動物中の精子中でマーカーを発現する動物。42.前記外因性遺伝子が、配偶子形成において選択的に活性化される遺伝子発現エレメントの制御下にある、40または41の動物。43.前記外因性遺伝子が、誘導性プロモーターの制御下にある、0の動物。44.前記染色体が、Y染色体である、0または0の動物。45.前記染色体が、X染色体である、0または0の動物。46.前記遺伝子発現エレメントが、サイクリンA1プロモーター、Stra8、SP−10プロモーター、Stra8プロモーター、C−Kit、ACE、およびプロタミンからなる群から選択されるプロモーターを含む、0〜0の動物。47.前記外因性遺伝子が、前記因子およびマイクロRNAの融合物をコードする、0〜0の動物。48.それぞれの精子中の性染色体の性を示すように標識された精子を有する動物。49.前記性染色体が、Xであり、前記X染色体が、前記マーカーを担持する、0の動物。50.前記性染色体が、Yであり、前記Y染色体が、前記マーカーを担持する、0の動物。51.1〜50のいずれかの使用。1〜50のいずれかを作製するためのキット。
Figure 2016519955

Claims (32)

  1. X染色体を有する精子またはY染色体を有する精子の選択のためのマーカーを含む精子を生産する、遺伝子改変家畜動物。
  2. 前記X染色体が、前記マーカーをコードする外因性遺伝子を含む、請求項1に記載の動物。
  3. 前記Y染色体が、前記マーカーをコードする外因性遺伝子を含む、請求項1に記載の動物。
  4. 前記マーカーが、誘導性プロモーターの制御下にある外因性遺伝子により発現される、請求項1に記載の動物。
  5. 前記マーカーが、配偶子形成において選択的に活性化される遺伝子発現エレメントの制御下にある外因性遺伝子により発現される、請求項1に記載の動物。
  6. 前記遺伝子発現エレメントが、サイクリンA1プロモーター、Stra8、SP−10プロモーター、Stra8プロモーター、C−Kit、ACE、およびプロタミンからなる群から選択されるプロモーターを含む、請求項5に記載の動物。
  7. 前記マーカーが、前記マーカーおよびマイクロRNAの融合物をコードする外因性遺伝子により発現される、請求項1に記載の動物。
  8. 前記マーカーが、外因性遺伝子により発現され、かつ前記マーカーが、選択マーカー、静電選別剤、可視化剤、および外因性抗原からなる群から選択される、請求項1に記載の動物。
  9. 前記マーカーが、可視化剤であり、かつ蛍光マーカー、色素、DNAインターカレート蛍光色素、カルシウム活性化色素、および放射線不透過剤からなる群から選択される、請求項8に記載の動物。
  10. 前記マーカーが、前記選択マーカーである、請求項8に記載の動物。
  11. 前記選択マーカーが、毒性分子を含む、請求項10に記載の動物。
  12. 前記毒性分子が、毒素、ヌクレアーゼ、アポトーシス因子、および致死ドミナントネガティブからなる群から選択される、請求項11に記載の動物。
  13. 前記毒性分子が、毒素遺伝子、ベルナーゼ、ジフテリア毒素A、チミジンキナーゼ、およびリシン毒素からなる群から選択される毒素または毒性遺伝子産物である、請求項11に記載の動物。
  14. 前記選択マーカーが、毒素に対する解毒剤を含む、請求項10に記載の動物。
  15. 前記マーカーが、抗原であり、前記抗原が、ビオチン、アビジン、およびポリHisからなる群から選択される、請求項8に記載の動物。
  16. 前記マーカーが、精子運動性を損傷させる因子を含む、請求項1に記載の動物。
  17. 前記マーカーが、前記精子の外部上で発現され、かつ二分子因子についての特異的結合を有する、請求項1に記載の動物。
  18. 前記マーカーが、前記精子に天然に存在するタンパク質を含む融合タンパク質の一部である、請求項1に記載の動物。
  19. 前記精子に天然に存在する前記タンパク質が、外部タンパク質、内部タンパク質、頭部、中片、尾部、鞭毛、終末部、主部、および頸部からなる群から選択される、請求項18に記載の動物。
  20. 請求項1に記載の動物の精子。
  21. 生物発現マーカーの存在または不存在に基づき、Y染色体を含む精子からX染色体を含む精子を分離することを含む、精子を選別する方法。
  22. 前記生物発現マーカーが、蛍光マーカー、色素、DNAインターカレート蛍光色素、カルシウム活性化色素、および放射線不透過剤、可視光波長の色、蛍光波長の色、蛍光、放射線不透過性、外因性エピトープ、結合リガンド、ならびに抗体の少なくとも一部からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. マーカーを発現するX染色体を含む精子、または
    マーカーを発現するY染色体を含む精子、または
    第1のマーカーを発現するX染色体を含む精子と第2のマーカーを発現するY染色体を含む精子との混合物;
    および
    前記マーカーに選択的に結合する結合部分または前記マーカーを使用して前記精子を選別する装置
    を含む精子選別のための系。
  24. 精細胞により発現される外因性配列を含むX染色体またはY染色体を含む遺伝子改変精細胞。
  25. 前記X染色体を含む、請求項24に記載の精細胞。
  26. 前記Y染色体を含む、請求項24に記載の精細胞。
  27. 前記外因性配列が、静電選別剤、可視化剤、マーカー、毒素、リガンド、抗原、解毒剤をコードする、請求項24〜26のいずれか一項に記載の精細胞。
  28. 前記可視化剤が、蛍光マーカー、色素、DNAインターカレート蛍光色素、カルシウム活性化色素、および放射線不透過剤からなる群から選択され、
    前記毒性分子が、毒素、ヌクレアーゼ、アポトーシス因子、致死ドミナントネガティブ、毒素遺伝子、ベルナーゼ、ジフテリア毒素A、チミジンキナーゼ、およびリシン毒素からなる群から選択され、または
    前記解毒剤/毒素が、ベルナーゼ/バルスターを含む、
    請求項27に記載の精細胞。
  29. 前記外因性配列が、抗原に結合する抗体の少なくとも一部、外因性エピトープ、ビオチン、アビジン、またはポリHisをコードする、請求項24〜26のいずれか一項に記載の精細胞。
  30. 前記外因性配列が、精子運動性を効率的に損傷させる、請求項24〜26のいずれか一項に記載の精細胞。
  31. 前記外因性配列が、融合タンパク質の一部である、請求項24〜26のいずれか一項に記載の精細胞。
  32. 前記外因性配列が、シス制限性である、請求項24〜26のいずれか一項に記載の精細胞。
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