JP2003512306A - カチオン性dosperビロソーム - Google Patents

カチオン性dosperビロソーム

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JP2003512306A
JP2003512306A JP2001529418A JP2001529418A JP2003512306A JP 2003512306 A JP2003512306 A JP 2003512306A JP 2001529418 A JP2001529418 A JP 2001529418A JP 2001529418 A JP2001529418 A JP 2001529418A JP 2003512306 A JP2003512306 A JP 2003512306A
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ルドルフ ワルティ、エルンスト
グルック、ラインハルト
クライン、ピーター
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ニカ ヘルス プロダクツ リミテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、非センダイウイルス赤血球凝集素である少なくとも1つの活性融合誘導ペプチドを含むカチオン性ビロソームに関し、ここでのビロソーム膜は、全脂質に基づいて、5から30重量%の1,3−ジオレオイルオキシ−2−(6−カルボキシ−スペルミル)−プロピルアミド(DOSPER)を、ホスファチジルコリン(PC)またはその誘導体および所望によりホスファチジルエタノールアミン(PE)および/または他のカチオン性脂質を含む他の脂質と組合せて含む。ビロソームは、負に荷電した材料、特に核酸化合物の標的細胞への送達において高度に効率的である。本発明は、ビロソームの製造法、および、診断的、美容的、医学的または科学的目的のためのその使用にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、生化学、遺伝子バイオテクノロジーおよび遺伝子療法の分野にあり
、新規ビロソーム、すなわち、所望の材料、特に遺伝子材料の標的位置への高度
に効率的な導入のための、ウイルス糖タンパク質を膜に含む、正に荷電したリポ
ソーム小胞、およびその有用な適用に関する。本発明のカチオン性ビロソームは
、負に荷電した化合物、好ましくは遺伝子の、インビトロおよびインビボでの標
的細胞への特異的および非特異的な非感染性の送達に特に適している。
【0002】 背景技術 第WO92/13525号(この全内容をここで参考として取込む)は、イン
フルエンザウイルス由来のウイルススパイクタンパク質で、および、例えばモノ
クローナル抗体などの細胞特異的マーカーで標的化した、リン脂質二重層膜から
なるビロソームは、受容体媒介エンドサイトーシスによるウイルス様浸透機序に
因り、モデル膜および動物細胞と非常に効率的に融合することを報告する。これ
らのビロソームは、化学物質および所望の薬物の標的位置への送達に成功裡に適
用されるが、それらは、例えば負に荷電した核酸などの荷電分子の安定な取込み
および導入に関して特定の欠点がある。
【0003】 第WO97/41834号(この全内容をここに参考として取込む)は、イン
ビトロおよびインビボで標的細胞に遺伝子材料を効率的に細胞特異的に送達する
ためのカチオン性ビロソームを報告している。それはさらに、前記ビロソームの
製造法並びにこれらのビロソームの適用法を報告している。
【0004】 発明の開示 本発明は、第WO97/41834号に報告した本発明のさらなる発展であり
、その特異的膜組成に因り、任意の所望の負に荷電した材料、好ましくは長鎖お
よび短鎖DNAまたはRNA、オリゴデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド
、ペプチド核酸(PNA)、リボザイム(酵素活性を有するRNA分子)、遺伝
子、プラスミドおよびベクターを含む遺伝子材料を非常に効率的に添加し得る、
新規カチオン性ビロソームに関する。意外なことに、DOSPERをカチオン性
脂質として他の脂質と組合せて使用すると、第WO97/41834号のDOT
APビロソームのすでに高いトランスフェクション効率の10倍まで超える、高
性能ビロソームを産生できることが判明した。しかし、この驚くべき効果は、D
OSPERをカチオン性脂質として使用し、DOSPERを他の脂質と、第WO
97/41834号に明確に開示および特許請求したカチオン性脂質(DOTA
P)と他の脂質の既知の比とは異なる比で合わせた場合にのみ達成される。
【0005】 発明を実施するための最良の形態 本発明のビロソームは、典型的には、カチオン性脂質の存在に因り正の実効電
荷を有する小胞膜を含む、脂質小胞である。それらはさらに、ウイルス起源の融
合誘導ペプチド、主に、インフルエンザウイルス赤血球凝集素などのウイルスエ
ンベロープの糖ペプチド(このペプチドは、標的細胞による、受容体媒介浸透機
序を介したビロソームの取込みを引き起こす)を含む。それらは所望によりさら
に、インビボでの所望の標的細胞への好ましい付着のための細胞特異的マーカー
を装備し得る。
【0006】 膜中のホスファチジルエタノールアミン(PE)の存在は、前記の細胞特異的
マーカーを、ビロソームに、二機能性架橋剤によりアンカリングするのに好まし
い。細胞特異的なビロソームの標的化が必要ではないか(例えば、インビトロで
の規定の細胞培養液への適用のために)、または細胞特異的マーカーを、二官能
性架橋剤の方法以外で膜に付着する場合、PEは、所望によりビロソーム膜に存
在しなくてもよい。
【0007】 ビロソームのインビボでの適用に好ましい1つの実施形態において、本発明は
また、標的細胞の選択的検出および結合に有用な、モノクローナル抗体、抗体断
片、例えばF(ab’)2およびFab’断片、サイトカインおよび/または成
長因子を含むがこれに限定されない細胞特異的マーカーのカチオン性ビロソーム
への不可逆的な共有結合的連鎖にも関する。それらは、外に向かって伸びるよう
に小胞膜に連結し、受容体検出および結合に関して本質的に完全な機能的活性を
奏効する。細胞特異的マーカーの部位特異的架橋を含むビロソームの好ましい製
造法は、DOTAPビロソームについての第WO97/41834号の実施例1
に開示している。その方法によると、細胞特異的マーカーは、例えば、N−[4
−(p−マレイミド−フェニルブチリル]−ホスファチジルエタノールアミン(
MPB.PE)などの予め形成されたホスファチジルエタノールアミン−架橋剤
分子に、界面活性剤の存在下で結合する。
【0008】 最善の可能性ある結果を得るために、タンパク質分解的消化または分子内S−
S結合の還元による不活性化を回避するために、復元前にウイルス糖タンパク質
を注意深く単離および精製することが有利である。従って、コンジュゲートした
マーカー、例えばマーカー−MPB.PEは、活性化アガロースマトリックス、
好ましくは還元したチオプロピルセファロース6Bを用いてアフィニティクロマ
トグラフィーにより、コンジュゲートしていないホスファチジルエタノールアミ
ン−架橋剤分子(例えばMPB.PE)から分離することが好ましい。次いで、
精製しコンジュゲートしたホスファチジルエタノールアミン−架橋剤−マーカー
分子複合体のアリコートを、そのカチオン性ビロソームが形成される前に、溶解
した膜脂質、融合ペプチドおよび他の所望の成分の混合物を含む界面活性剤溶液
に添加する。
【0009】 ビロソームの調製前に、別々のプロセスで、リン脂質および細胞特異的マーカ
ーと二官能性架橋剤の結合手順を実施することが有利である。この手順により、
ビロソーム膜の表面密度を、特にそれに連結した細胞特異的マーカーの数に関し
て、より良好に制御および最適化することが可能である。膜に包埋または連結し
たタンパク質分子の濃度の制御の向上は重要である。なぜなら、ビロソーム膜上
での融合ペプチド(例えば赤血球凝集素)および細胞特異的マーカー(例えば抗
体Fab’断片)の不均衡な比により、その選択的特性は減少またはさらには破
壊され得、極端には、小胞の凝塊形成および沈降が生じ得るからである。
【0010】 全抗体分子の代わりに、細胞特異的マーカーとして抗体断片F(ab’)2お
よびFab’を使用する利点は、第WO97/41834号に広く考察されてい
る。本発明の細胞特異的ビロソームは、膜上のその細胞特異的マーカーに因って
種々の細胞型に対する選択性を奏効し、同時に、ウイルス融合誘導ペプチド、例
えば赤血球凝集素に因って、エンドサイトーシスによる高い細胞浸透能を奏効す
る。腫瘍関連抗原、例えばTAG72、CEA、17−1A、CA19−9また
は白血球関連抗原、例えばCD10(CALLA=共通急性リンパ性白血病抗原
)およびCD20を認識する、Fab’断片を有するビロソームは、選択的に、
すなわちより好ましくは、その細胞表面上に記載の抗原を有する腫瘍または白血
病細胞に結合する。
【0011】 新規小胞またはビロソームは、任意の所望の負に荷電した材料、好ましくは遺
伝子材料を、標的位置に、特に動物およびヒト細胞および組織にインビトロおよ
びインビボで導入するのに有用である。新規ビロソームは、増殖中の細胞、すな
わち複製中の細胞だけでなく、非増殖細胞、すなわち休止細胞にも浸透でき、こ
れにより、生命科学、薬理学および医学の分野に、研究および/または診断ツー
ルとしておよび医薬としての両方で幅広く適用可能であることを強調する。細胞
毒性剤または核酸材料を送達するためのシャトルとしての本発明のビロソームの
使用は、例えば、ウイルス感染、癌、腫瘍、白血病、または、遺伝子欠陥に起因
し、本発明のビロソームを使用した遺伝子療法に感受性であり得る疾病を含む他
の疾病などの種々の病的容態における適用に適している。
【0012】 本発明のビロソームは、インビトロまたはインビボで適用し得る。例えば、骨
髄の一掃は、急性および慢性白血病を含む、数個の新生物の処置における成分と
して使用される。現在、免疫試薬および化学療法薬などの種々の薬剤により髄か
ら白血病細胞を洗浄する。白血球細胞に増殖利点を付与する1つの発癌遺伝子に
対して標的化したビロソーム封入ODNは、治療的に有用であり、最も重要には
、正常前駆細胞を残しつつ白血病細胞を排除するのに、慣用的な化学療法剤より
も選択的であることが判明した。
【0013】 医薬として使用するために、本発明のビロソームは、有用な添加剤および医薬
的に適切な担体をさらに含む、医薬組成物の一部であり得る。医薬組成物は注射
溶液として調製されることが好ましいが、局所または全身投与用の、例えばエマ
ルション、クリーム、ゲル、軟膏などの他の調製形も、いくつかの適用において
有利であり得る。
【0014】 それ故、本発明の目的はまた、処置から利点を受け得る、動物またはヒト個体
の予防および/または治療処置に適した、医薬組成物の製造のために、本発明の
ビロソームを使用することである。本発明の別の目的は、インビトロおよびイン
ビボでの適用のための診断キットの製造のために、本発明のビロソームを使用す
ることである。
【0015】 本発明の小胞は、DOTAPをDOSPERで置換え、最終ビロソーム膜中の
DOSPER濃度を以下に定義したように適切に調整し、特に、ビロソームの全
脂質含量の30重量%を超えない以外は、第WO97/41834号の実施例1
から3に開示したDOTAPビロソームの製造プロセスのいずれか1つに類似し
たプロセスにより好ましくは得られる。基本的には、本発明のビロソームの調製
法は、以下の段階: a)非イオン性界面活性剤を含み、さらにDOSPERおよび他の脂質、およ
び、受容体媒介ファゴサイトーシスまたはエンドサイトーシスを通した標的細胞
による小胞の内在化を引き起こす、非センダイウイルス赤血球凝集素である、少
なくとも1つの活性融合誘導ペプチドを含む、緩衝溶液を調製し; b)脂質濃度を、全膜脂質に基づいて、5から30重量%のDOSPERに、
そして95から70重量%の収支の、ホスファチジルコリン(PC)またはその
誘導体および所望によりホスファチジルエタノールアミン(PE)および/また
はDOSPER以外のカチオン性脂質を含む前記の他の脂質に調整し;そして (c)界面活性剤を、透析により、または、溶液をマイクロキャリアビーズで
処理することにより除去し、前記の正に荷電した脂質二重層小胞を形成し;およ
び、好ましくは (d)標的細胞に送達するための、多数の所望の薬物または物質を小胞に取込
み、前記の所望の薬物または物質は、好ましくは負に荷電し、特に、ダイ、トレ
ーサー物質、美容剤、医薬的または生物学的に活性な物質、および核酸材料から
なる群から選択される、を含む。
【0016】 ビロソームのインビボ適用に好ましい本発明の別の実施形態において、適切な
二官能性架橋剤を適用し、細胞特異的マーカーを不可逆的に小胞膜に連結する。
細胞特異的マーカー(これは、ビロソームの細胞への選択的結合に関与する細胞
受容体に指向される)は、それが依然として完全に生物学的に活性であるような
様式で架橋剤に結合している。架橋剤は、予め形成された分子−複合体の形で使
用することが好ましく、ここでの架橋剤は、ホスファチジルエタノールアミン、
および、特許請求の範囲に定義したような細胞特異的マーカーに共有結合してい
る。
【0017】 「融合誘導ペプチド」なる語は、ビロソーム膜と標的細胞の脂質膜の間の融合
反応を誘導および/または促進できる、ペプチドまたはタンパク質を意味する。
大半の実施形態において、それは、融合ペプチドを含むウイルススパイク状糖タ
ンパク質、特にウイルス表面スパイクの完全赤血球凝集素トリマー、そのモノマ
ー、または、機能的融合ペプチドを含む、一方または両方の切断されたサブユニ
ットの糖ペプチドHA1およびHA2を意味する。本発明の別の実施形態におい
て、その語は、天然源から単離されるか、または合成的に製造された、純粋な融
合ペプチドそれ自体を意味する。本発明の特に好ましい実施形態において、融合
ペプチドを含むこれらのポリペプチドは、インフルエンザウイルス赤血球凝集素
、タンパク質A−H1N1サブタイプの1つを意味する。
【0018】 インフルエンザウイルス赤血球凝集素の代わりにまたはそれに加えて、他のウ
イルス由来の赤血球凝集素も、それらがインフルエンザ赤血球凝集素と実質的に
同じpH媒介細胞浸透機序を奏効する限り、本発明のビロソームの融合ペプチド
(タンパク質)として適切に使用し得る。候補赤血球凝集素は、例えば、WO9
7/41834号に開示されたような、ラブドウイルス、パラインフルエンザウ
イルスIII型、セムリキ森林熱ウイルス、およびトガウイルスを含む。
【0019】 「架橋剤」なる語は、本発明に従って調製した小胞表面に連結でき、ポリペプ
チドに結合できる、有機へテロ二官能性分子を意味する。本発明の好ましい実施
形態において、この分子は、ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基に結合
するためのN−ヒドロキシスクシンイミド基、および、例えばモノクローナル抗
体断片などの細胞特異的マーカーのコンジュゲートのためのマレイミド基を含む
。適切な架橋剤は、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘ
キサン−1−カルボキシレート、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシス
クシンイミドエステル、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスク
シンイミドエステル、スクシンイミジル4(p−マレイミドフェニル)−ブチレ
ート、スルホスクシンイミジル4(p−マレイミドフェニル)ブチレートを含む
か;または、架橋剤は、サイトカインンなどのマーカーに結合するための、N−
ヒドロキシスクシンイミド基および光反応性アジド基を含む分子、例えばN−ヒ
ドロキシスクシンイミジルスベレート(NHS−SA)、N−ヒドロキシスクシ
ンイミジル−4−アジドベンゾエート(HASAB)、N−スクシンイミジル−
6−(4’−アジド−2’−ニトロフェニルアミノ)ヘキサノエート(SANP
AH)、N−スルホスクシンイミジル−6−(4’−アジド−2−ニトロフェニ
ルアミノ)ヘキサノエートであり得る。架橋剤は、脂質と架橋剤と細胞特異的マ
ーカーの予め形成された分子複合体の形で使用することが好ましい。
【0020】 「細胞特異的タンパク質」または「細胞特異的マーカー」なる語は、架橋剤ま
たは架橋剤−脂質複合体にそれぞれ連結でき、さらに標的細胞の受容体に結合で
きる、タンパク質を意味する。本発明の好ましい実施形態において、この分子は
、モノクローナル抗体、抗体断片、サイトカインまたは成長因子を意味する。細
胞特異的マーカーは、標的細胞の選択的な検出および結合を提供し、従って、ビ
ロソーム膜に同時に存在する融合誘導ペプチドの作用を向上する。好ましい抗体
断片は、F(ab’)2およびFab’断片を含むが、細胞特異的マーカーは、
さらに、インターロイキンおよび他のサイトカイン、特に以下の表1に列挙した
ものを含む。
【0021】
【表1】
【0022】 本明細書に使用したような「カチオン性脂質」なる語は、カチオン性成分およ
び非極性尾、いわゆる頭−尾両親媒性物質、例えばN−[(1,2,3−ジオレ
オイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(D
OTMA)(Felgnerら;Proc Natl Acad USA 84
:7413〜7417、1987)、N−[1,2,3−ジオレオイルオキシ)
−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルスルフェート(DO
TAP);またはN−t−ブチル−N’−テトラデシル−3−テトラデシルアミ
ノプロピオンアミド(Ruysschaertら;Biochem.Bioph
ys.Res.Commun.203:1622〜1628、1994)を含む
有機分子を意味する。明確に特記しない限り、この語は、以下に定義したポリカ
チオン性脂質も含む。
【0023】 「ポリカチオン性脂質」なる語は、ポリカチオン性成分および非極性尾を含む
有機分子、例えば、リポスペルミン:1,3−ジパルミトイル−2−ホスファチ
ジルエタノールアミド−スペルミン(DPPES)およびジオクタデシルアミド
グリシルスペルミン(DOGS)(Behrら;Proc.Natl.Acad
.USA 86:6982〜6986、1989);2,3−ジオレオイルオキ
シ−N−[2(スペルミンカルボキシアミド)エチル]−N,N−ジメチル−1
−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);1,3−ジオレ
オイルオキシ−2−(6−カルボキシ−スペルミル)−プロピルアミド(DOS
PER);N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキ
シエチル)−2,3−ジオレオイルオキシ−1,4−ブタンジアンモニウムアイ
オダイド(THDOB)を意味する。
【0024】 本発明の全ビロソームが、DOSPER、および、正に荷電するか中性である
1つ以上の天然または合成脂質を含むことが必須である。「正に荷電」により、
脂質は、生理的pHで正の実効電荷を有することを意味する。従って、「正に荷
電した」脂質、膜またはビロソームは、生理的pHで正の実効電荷を有する脂質
、膜またはビロソームを意味する。「中性脂質」は、生理的pHで全く実効電荷
を示さず、コレステロールまたはその誘導体、および/または、互いの電荷を化
学量論的に打ち消す分子内に正および負に荷電した領域を有する、双性イオン型
のリン脂質などの脂質を含む。
【0025】 本明細書に使用したような「負に荷電した材料」なる語は、生理的pHで負の
実効電荷を有する、任意の所望の薬物または物質を含む。
【0026】 本明細書に使用したような「所望の薬物または物質」なる語は、美容的、診断
的、医薬、医学または任意の他の科学的目的のための、任意の化学物質、化合物
または化合物の混合物を含むと理解される。前記物質は、インビトロまたはイン
ビボで解析的にモニタリングできる化合物、例えばダイ、蛍光ダイ、放射性また
は別様に標識した化合物、トレーサーまたはマーカー物質を含み;しかし、それ
らはまた、タンパク質または非タンパク質薬物、または任意の他の医薬的または
生物学的に活性な物質、特に慣用的な抗ウイルスまたは抗癌剤を含むが、本明細
書に定義したような核酸成分も含む。本発明のビロソームは、生理的pHで正に
荷電しているので、それらに、中性または負に荷電した所望の薬物または物質を
添加することが好ましい。なぜなら、それらにより、ビロソームへの最も効率的
かつ安定な取込みが可能となるからである。
【0027】 本明細書に使用したような「核酸」または「遺伝子材料」なる語は、短鎖DN
AまたはRNA、デオキシリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド
、オリゴデオキシリボヌクレオチドセレノエート、オリゴデオキシリボヌクレオ
チドホスホロチオエート(OPT)、オリゴデオキシリボヌクレオチドホスホル
アミデート、オリゴデオキシリボヌクレオチドメチルホスホネート、ペプチド核
酸(PNA)、リボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、オリゴリボヌクレ
オチドホスホロチオエート、2’−Ome−オリゴリボヌクレオチドホスフェー
ト、2’−Ome−オリゴリボヌクレオチドホスホロチオエート、リボザイム(
酵素活性を有するRNA分子)、遺伝子、プラスミドおよびベクター(クローニ
ングベヒクル)を含む。
【0028】 本明細書に使用したような「ビロソーム」なる語は、その最も単純な形では、
カチオン性脂質および内部の好ましくは水性空間を含む、二重層膜を有するリポ
ソーム小胞を意味し、ここでの膜はさらに、ウイルスタンパク質、特にウイルス
糖タンパク質を含む。好ましい実施形態において、ウイルスタンパク質は、完全
な生物学的融合活性を有する少なくとも1つの融合誘導ペプチドまたはタンパク
質、特にスパイク状糖タンパク質赤血球凝集素および/またはインフルエンザA
(例えばA/シンガポール)ウイルスのノイラミニダーゼを含む。ウイルスタン
パク質はまた、本明細書に記載したようなインフルエンザウイルスの融合ペプチ
ドに対応するまたはそれに等しい、合成的に製造したアミノ酸配列も包含するこ
とが理解されるだろう。膜脂質は、上記に定義したカチオン性脂質を含むが、所
望によりさらに、他の天然および/または合成脂質、好ましくはリン脂質、例え
ばホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタノールアミン(PE
)も含み得る。
【0029】 本発明のカチオン性ビロソームは多くの場合、顕著にはインビトロでの細胞培
養実験において、膜上に細胞特異的マーカーを用いることなく成功裡に適用し得
るが、インビボ適用において、それらが、本明細書で前記に定義したような膜上
に少なくとも1つの細胞特異的マーカーをさらに含むことが特に好ましい。小胞
の平均直径は120〜180nmの範囲であり、これは、電子顕微鏡および動的
光散乱により決定した。
【0030】 遺伝子材料を含む所望の薬物または物質の担体として本発明のカチオン性リポ
ソームを使用することにより、毒性に因る副作用は、予防できるか、または少な
くともかなり減少できる。この有益な効果は、本発明のカチオン性ビロソームが
、これまでに知られているリポソームまたはビロソームに比べて、封入材料、特
に負に荷電した材料、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドの標的細胞への導
入についての、さらにより重要には、標的細胞によるトランスフェクト核酸材料
の発現についての、はるかに高い活性および効率を有するために達成される。
【0031】 従って、本発明の目的は、請求項1に定義したDOSPERビロソーム、およ
び、続く請求項2から11のさらなる実施形態に定義したようなその変形を提供
することである。本発明の目的はまた、例えば請求項12に定義したような種々
の適用における、適切な担体と共に新規ビロソームを含む組成物を提供すること
である。
【0032】 本発明の別の目的は、請求項14から24に定義した変形と共に、請求項13
に定義したような新規ビロソームを製造するプロセスを提供することである。
【0033】 本発明のさらに別の目的は、請求項25から29に定義したような、本発明の
ビロソームのより具体的な使用法を教義および請求することである。
【0034】 本明細書に記載の本発明をより完全に理解するために、以下の実施例を示す。
実施例は単に説明のためであり、いずれにしても本発明を限定するものではない
【0035】 実施例1:インフルエンザウイルス由来の完全な融合活性ウイルス赤血球凝集
素トリマーを有するDOSPERビロソームの調製 インフルエンザウイルスのA/シンガポール/6/86株の赤血球凝集素(H
A)を、SkehelおよびSchild(1971、)Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 79:968〜972に記載ように単離した。端的
には、ウイルスを、鶏卵の尿膜腔で増殖させ、スクロース勾配での超遠心分離に
より2回精製した。精製したウイルスを、7.9mg/mlのNaCl、4.4
mg/mlのクエン酸三ナトリウム−2H2O、2.1mg/mlの2−モルホ
リノエタンスルホン酸、および1.2mg/mlのN−ヒドロキシエチル−ピペ
ラジン−N’−2−エタンスルホン酸pH7.3を含む緩衝液中で安定化した。
1mlあたり345μgのHAを含む、ウイルス懸濁液53mlを、100,0
00×gで10分間の超遠心分離によりペレット化した。145mMのNaCl
、2.5mM HEPESおよび54mg/mlの非イオン性界面活性剤のオク
タエチレングリコールモノドデシルエーテル(OEG=C128)、pH7.4
を含む緩衝化界面活性溶液7.7mlを、インフルエンザウイルスペレットに添
加した。ペレットを、2分間室温で超音波処理を使用することにより完全に溶解
した。溶液を、100,000×gで1時間の超遠心分離にかけた。得られた上
清は、可溶化HAトリマー(1.635mg HA/ml)および微量のノイラ
ミニダーゼ、0.5〜2mgのDOSPERおよび5.5〜4mg(全脂質6m
gの収支とする)のジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)を、3.7
mlの上清(6mg HA)に添加し、溶解した。溶液を、0.2μmフィルタ
ーを通すことにより滅菌し、次いで、1.15gの滅菌マイクロキャリアービー
ズ、好ましくはバイオビーズSM−2を含むガラス容器に移した。容器を、He
idolph(ドイツ、Kelheim)のシェーカーREA×2を使用するこ
とにより1時間振盪した。必要であれば、この手順を、0.58mgのバイオビ
ーズを用いて、3回まで反復した。これらの手順後、僅かに透明なDOSPER
ビロソーム溶液が得られた。
【0036】 最善の結果は、4.5mgのDOPCあたり、1.5mgのDOSPER(全
脂質の25重量%)の脂質比を含む、ビロソーム調製物で得られた。より高濃度
のDOSPER濃度、例えば30〜35重量%以上では、界面活性剤の除去時に
適切なビロソームは形成されなかった。
【0037】 PE(ホスファチジルエタノールアミン)および/または他のカチオン性脂質
、例えばDOTAPまたはDOSPAによるDOPCの部分的置換は、トランス
フェクション活性が有意に減少することなく可能である。
【0038】 ホスホロチオエートオリゴデオキシリボヌクレオチドのDOSPERビロソー
ムへの取込み: L−myc遺伝子のアンチセンスおよびセンスオリゴデオキシリボヌクレオチ
ドホスホロチオエート(OPT)を、トランスフェクションにおけるカチオン性
ビロソームの高い効率の実証の例として使用した。5’−FITC−OPTを、
ホスホルアミジト化学反応を介して合成した(スイス、Balgach所在Mi
crosynth GmbH)。ペンタデカマー(5’−FITC−GTAGT
CCATGTCCGC−3’)およびペンタデカマー(5’−FITC−GCG
GACATGGACTAC−3’)を、アンチセンスOPTおよびセンスOPT
としてそれぞれ使用した。アンチセンスおよびセンスOPTとして同じ長さのヌ
クレオチドからなる混合配列制御(msc)OPTを合成した。
【0039】 1mlのDOSPERビロソームを、a)2mgのアンチセンスFITC−O
PT(1.3μmol)、b)3.4mgのセンスFITC−OPT(1.3μ
mol)およびc)3.1mgのmscFITC−OPT(1.3μmol)の
各々に添加した。
【0040】 FITC−OPTを溶かし、次いで、溶液を2分間26℃での超音波処理によ
り処理した。非封入FITC−OPTを、High Load Superde
x200カラム(ファルマシア、スウェーデン)でのゲルろ過によりビロソーム
から単離した。カラムを滅菌PBSで平衡化した。封入FITC−OPTを有す
るDOSPERビロソームを含む空隙容量画分を、PBSで溶出し、回収した。
ビロソーム封入FITC−OPT濃度を、ビロソームが完全に、0.1%(v/
v)トリトンX−100を含む0.1M NaOHに溶解した後に、蛍光的に決
定した。蛍光尺度の較正のために、上記の界面活性溶液に溶かした、空のDOS
PER−ビロソームの蛍光を、ゼロに設定した。
【0041】 予め形成したホスファチジルエタノールアミン−二官能性架橋剤分子複合体を
用いた、Fab’−断片のビロソームへの結合。2.8mlのクエン酸緩衝溶液
(100mM NaCl、40mMクエン酸、35mM Na2HPO4.2H
2O、2mM EDTA、pH5.5)に溶かした、ネズミモノクローナル抗C
D10(抗CALLA)抗体由来の新しく還元したFab’3mgを、0.5%
のn−オクチル−オリゴ−オキシエチレンを含む215μlの0.5%のクエン
酸緩衝液中の、0.524mgのN−[4−(p−マレイミド−フェニル)ブチ
リル]ホスファチジルエタノールアミン(MPB.PE)の溶液に添加した。次
いで、混合物を窒素下で16時間4℃で穏やかに撹拌しながらインキュベートし
た。インキュベート後、非結合MPB.PEを、400μlのバッチの新しく還
元したチオプロピルセファロース6B(ファルマシア、スウェーデン)により除
去した。混合物を4時間室温でインキュベートした。チオプロピルセファロース
6Bを遠心分離により除去し、得られた溶液をpH7.0に中和した。中和溶液
に、OEG(54mg/ml)を補充した。
【0042】 上記のように調製した溶液を、DOSPERビロソームの調製のための溶液に
添加した。Fab’−MPB.PE分子を、ビロソームの形成中、脂質二重層に
挿入した。
【0043】 DOSPERビロソームの顕微鏡写真により、約120から180nmの平均
直径を有する好ましい単ラメラ構造の小胞が確認され、これは、レーザー光散乱
により決定した。インフルエンザウイルスのHAタンパク質スパイクを明瞭に見
ることができる。
【0044】 本発明のDOSPERビロソームの完全な融合誘導活性は、Hoekstra
ら(1984)、Biochemistry 23:5675〜5681および
L.Luscherら(1993)、Arch.Virol.130:317〜
326に記載の蛍光脱消光に基づいた定量アッセイにより確認した。蛍光プロー
ブのオクタデシルローダミンBクロリド(R18)(米国ユージーン所在モレキ
ュラープローブ社から得る)を、高密度で、DOSPERおよびHAを含む緩衝
化OEG(C128)溶液を蛍光プローブの薄い乾燥フィルムに添加し、次いで
プローブを溶解するために5から10分間振盪し、次いで、「DOSPERビロ
ソームの調製・・・」で上記したように続けることにより、DOSPERビロソ
ーム膜に挿入した。消光ローダミンの希釈は、モデルリポソーム(DOSPER
/DOPC:リポソームリン脂質の比=1:20)と共に、ローダミンで標識し
たDOSPERビロソームをインキュベートすることにより観察された。蛍光は
、それぞれ560および590nmの励起および発光波長でパーキンエルマー1
000分光蛍光光度計により測定した。
【0045】 実施例2:細胞によるビロソームの取込み 3H標識プラスミドのDOSPERビロソームへの取込み: 基本的には、核酸化合物のビロソームへの取込みは、以下の3つの方法により
行なった。 1.透析:核酸化合物をビロソームの形成中に封入し、ここでの界面活性剤の
オクチル−POE(スイスのLaeufelfingenのAlexis社から
)は透析により除去した。 2.バイオビーズ:核酸化合物をビロソームの形成中に封入し、ここでの界面
活性剤のOEGはマイクロキャリア、例えばバイオビーズSM2により除去した
。 3.超音波処理:核酸化合物は、カチオン性脂質、好ましくはDOSPERに
より封入し、得られた核酸添加リポソームまたは脂質複合体、好ましくはDOS
PERリポソームまたは脂質複合体は、超音波処理によりDOSPERビロソー
ムと融合させた。
【0046】 最善の取込み率は、第三の方法により得られるので、核酸材料のビロソームへ
の取込みについての大半の実験は、この融合法を使用して実施した。
【0047】 プラスミドpGEEN LANTERN(登録商標)−I(ギブコ−BRL)
を、3H−メチルチミジンの存在下でE.coli中で産生し、トランスフェク
ション効率を正確に定量するための放射性標識プラスミドを得た。プラスミドの
比活性は6.625×1010dpm/g(=29.84mCi/g)であった。
【0048】 11.6μgの3H標識プラスミド(17.5μl)を、480μlのHEP
ES−NaCL−緩衝液に溶解した。116μgのDOSPER(1μg/μl
)の添加後、得られた混合物を、30秒間超音波処理により処理し、その後、1
5分間休ませた。この処理により、DOSPERおよびプラスミドからなる脂質
複合体が形成される。別法として、脂質複合体の代わりに、DOSPERリポソ
ームを、慣用的な方法により、例えば、DOSPERおよびプラスミドを含むO
EGの緩衝溶液から製造し、その後、透析または界面活性剤を使用して−マイク
ロキャリアで吸着して界面活性剤を除去し、所望により超音波処理すると、プラ
スミドの添加されたDOSPERリポソームが得られ得る。
【0049】 プラスミドの添加された脂質複合体またはリポソームを含む溶液に、93μl
の予め製造した(例えば実施例1に従って)空のDOSPERビロソームを添加
する。混合物を、1分間超音波処理し、DOSPERビロソームを、リポソーム
または脂質複合体と融合し、プラスミドをビロソームに取込む。所望の材料をビ
ロソームに取込むこの方法はまた、核酸材料以外の薬物または物質、好ましくは
負に荷電した物質の取込みに適用可能であり得る。
【0050】 DOSPERビロソームおよびDOSPERイポソームによる3H標識プラス
ミドのトランスフェクション効率の比較 33μgの標識プラスミドDNAを、DOSPERビロソームに、11.7μ
gを予め製造したDOSPERリポソームに封入した。懸濁培養液中で増殖して
いる、4つの異なる粘着細胞系、すなわちHeLa、293T、COS−1およ
びNIH3T3およびさらに細胞系K562およびP3/NS1/1−Ag4−
1を、DOSPERビロソームおよびDOSPERリポソームでトランスフェク
トした。
【0051】 5×105個の各細胞型の細胞を、25μlのプラスミド含有DOSPER−
ビロソームまたはプラスミド含有DOSPER−リポソーム溶液を含む、500
μl(=0.5ml)の培地中で、2、4、6および24時間37℃でインキュ
ベートした。添加されたDOSPER−ビロソームおよびDOSPER−リポソ
ームのアリコートは、放射能26,500dpm(=100%)に対応する、4
00ngの標識プラスミドを含んだ。インキュベート後、細胞を洗浄し、溶解し
、取り込んだ放射能をβカウンターで測定した。
【0052】 トランスフェクション時間(インキュベート期間)の長さの、取り込まれたプ
ラスミド−DNAの量に対する影響を評価し、結果を図1から6にグラフで示す
。上記の簡単な図面の説明は、各図の細胞系を要約する。
【0053】 図1〜6は、DOSPER−ビロソームは、全ての細胞型に関しておよび全て
のインキュベート時間に関して、トランスフェクションにおいてDOSPER−
リポソームより優れていることを明瞭に示す。6および24時間というDOSP
ER−リポソームを用いたより長いインキュベート時間により、DNA取込みは
非常に僅かに増加したのみであり、一方、DOSPER−ビロソームを用いたよ
り長いインキュベート時間により、かなりDNA取込み量は高くなった。この結
果により、HA媒介ビロソーム取込みは、細胞受容体へのウイルス結合リガンド
の補助が全くなくても、DOSPER−リポソームにより誘導される取込みより
もはるかにより効率的であることが示唆される。DOSPER−ビロソームの場
合、6〜24時間のインキュベート時間により、DNA取込みは飽和せず、DN
A取込みはさらに増加することは興味深く、この効果は、細胞表面上でのビロソ
ームの受容体媒介エンドサイトーシスによる膜受容体の除去後に、膜受容体が迅
速に交換されることに起因し得る。一般に、粘着細胞系(単層で増殖)は、懸濁
培養液中で増殖している細胞系よりも効率的にトランスフェクトされることが判
明した。
【0054】 実施例3:真核細胞によるプラスミドの時間依存的取込み 実施例2を、別の3H標識プラスミド、すなわちpcDNA3.1/HisB
/lacZ(供給業者:オランダのフローニンゲン所在インビトロゲン)を用い
て繰返した。細胞系COS−1、K562、293TおよびP3X63Ag8を
、このプラスミドを添加したDOSPERビロソームでトランスフェクトし、2
、4および72時間の期間インキュベートした。DOSPERリポソームとの比
較は、この実験では描かなかった。
【0055】 結果を図7にグラフで示す。図7から、インキュベート時間の延長により、本
発明のビロソームを使用した場合に、標識プラスミドの細胞取込みはさらに増加
することが分かる。実際、核酸材料の高性能導入系として本発明のDOSPER
ビロソームを使用すると、所望の標的細胞への核酸(例えばプラスミド)投入量
の全量の60〜80%を送達することが可能である。全試験細胞系は、ビロソー
ム、従ってプラスミド取込みに同等に感受性であった。
【0056】 実施例4:DOSPERビロソームとDOTAPビロソームの比較 ビロソームは、インフルエンザAウイルスで知られているHA駆動受容体媒介
機序により哺乳細胞に浸透する。ビロソーム膜の脂質二重層の化学的性質は、H
Aの天然状態および融合誘導活性が適切に維持されている限り、重要な役割を果
たし得るとは期待されなかった。それ故、DOSPERビロソームおよびDOT
APビロソームは、核酸材料の哺乳動物細胞へのほぼ同じトランスフェクション
効率を有すると考えられる。
【0057】 しかし、驚くべきことに、DOSPERおよびDOTAPビロソームのトラン
スフェクション効率の比較に設計された実験により、異なる結果、すなわち、期
待から顕著に逸脱した結果が得られた。実験は、封入およびトランスフェクショ
ンのためのトリチウム標識プラスミドpcDNA3.1/HisB/lacZを
使用し、実施例1および2に従って実施した。DOTAPビロソームを、第WO
97/41834号の実施例1に従って調製し、プラスミドの取込みは、DOS
PERビロソームと同じ手順を使用して本明細書で前記したように実施した。D
OSPER−ビロソームについて実施例2に記載したのと同じ量の3H標識プラ
スミドを、DOTAP−ビロソームに封入した。細胞系293T、K562、S
p2およびHeLaを、DOSPERおよびDOTAPビロソームと共に、実施
例2で上記したのと同じ条件下でインキュベートした。
【0058】 結果を図8〜11にグラフで示す。それらは、DOSPERビロソームのトラ
ンスフェクション効率は、DOTAPビロソームの1つの少なくとも2倍であり
、さらには10倍まで高くあり得ることを明らかに示す。特に、細胞系Sp2(
図10)などの懸濁培養液中で増殖している細胞系では、トランスフェクション
効率の差異は最も明瞭に見ることができる。その理由は依然として完全に解明さ
れていないが、少なくとも部分的には、2つの脂質の異なる化学的性質に起因し
得、ここでのDOSPER分子の極性頭は4つの遊離アミノ基を含むが、DOT
AP分子の極性頭は、ただ1つの遊離アミノ基を含む。我々は、理論により固め
ることなく、負に荷電した材料、例えばプラスミドの、DOSPER含有ビロソ
ームへの封入により、より多い量の有用なビロソームが得られ得ると考える。こ
れに対し、プラスミドのDOTAP−ビロソームへの封入により、低いトランス
フェクション能を有する欠陥小胞の数は多くなり得る。第二の仮説は、ビロソー
ムの、標的細胞の細胞膜への結合中のDOSPERの増強効果を示し、これは排
除できな見解である。
【0059】 従って結果により、ポリカチオン性脂質DOSPERの使用は、最も頻繁に使
用されるカチオン性脂質DOTAPに比べて、驚くべきほどに優れたトランスフ
ェクション効率を示すことが実証される。
【0060】 実施例5:本発明のビロソームによるトランスフェクション後の遺伝子発現 β−Galエライザキット(供給業者:ベーリンガーマンハイム)を使用した
、プラスミドpcDNA3.1/HisB/lacZをビロソームトランスフェ
クションにより受けた、実施例3の実験で標的細胞により実施される、β−ガラ
クトシダーゼ発現の定量的決定により、ビロソームにより送達されるプラスミド
のトランスフェクション率は、リポソームにより送達されるプラスミドの1つよ
りも優れているだけでなく、標的細胞におけるその発現も優れていることがさら
に確認された。実験により、プラスミドの標的細胞へのトランスフェクションに
おいて、DOSPERリポソームの代わりにDOSPERビロソームを使用した
場合に、β−ガラクトシダーゼの20から40倍高い発現が得られた(図12)
【0061】 しかし、ビロソーム内のプラスミド濃度に対するβ−ガラクトシダーゼ発現レ
ベルの強力な依存性もあることが観察された。
【0062】
【表2】
【0063】 調製物2のビロソームは、調製物1の僅か半分のプラスミドを含むが、ビロソ
ームの数は、両方の調製物において等しい。調製物1は、本明細書に記載の大半
の実験に使用された、好ましいビロソーム調製物に対応する。調製物3は、同じ
量のプラスミドを含むが、2倍の数のビロソーム内に分布している。調製物4は
、調製物1および2と同じ数のビロソームに封入された、さらに少ない量のプラ
スミドを含む。調製物5は、調製物1および3と同じ量のプラスミドを含むが、
調製物1の3倍の数のビロソーム内に封入されている。
【0064】 図13にグラフで示した結果は、経験的に得られた好ましいDOSPERビロ
ソーム製剤はかなり最適であり、さらに調製物2、3および4のプラスミド濃度
の減少により、発現レベルは増大しなかったことを証明する。それ故、上記の調
製物1に類似したビロソーム調製物でのトランスフェクションによる標的細胞の
過剰添加は、おそらく発現を阻害し得るだろうという仮説は、もはや論証できな
い。
【0065】 明細書中に使用した略称 2’−OMe 2’−Oメチル CALLA 共通の急性リンパ芽球白血病抗原 CAT クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ dpm 1分あたりの崩壊 DOSPER 1,3−ジオレオイルオキシ−2−(6−カルボキシ−スペル
ミル)−プロピルアミド DOTAP N−[(1,2,3−ジオレオイルオキシ)−プロピル]−N,
N,N−トリメチルアンモニウムメチル−スルフェート FITC−OPT フルオレセインイソチオシアネート標識オリゴデオキシリ
ボヌクレオチドホスホロチオエート G418 ジェネテシン(登録商標)ジスルファット(抗生物質G418) HA 赤血球凝集素 MPB.PE N−[4−(p−マレイミド)−フェニルブチリル]−ホスフ
ァチジルエタノールアミン(=架橋剤−リン脂質複合体) msc 混合配列制御 NA ノイラミニダーゼ オクチル−POE n−オクチル−オキシエチレン ODN オリゴデオキシヌクレオチド OEG オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル(C128) OPT オリゴデオキシリボヌクレオチドホスホロチオエート(群) PC ホスファチジルコリン PE ホスファチジルエタノールアミン PNA ペプチド核酸 SCLC 小細胞肺癌 SV40 シミアンウイルス40
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。0.5mlの培地中の5×105個のヒトの形質転換された一次胚
性腎細胞系293Tの細胞を、DOSPER−ビロソームおよびDOSPER−
リポソームを含む3H標識プラスミドpGreen Lanternでトランス
フェクトした。
【図2】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。5×105個のサル繊維芽細胞系COS−1の細胞を、DOSPE
R−ビロソームおよびDOSPER−リポソームを含む3H標識プラスミドpG
reen Lanternでトランスフェクトした。
【図3】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。0.5mlの培地中の5×105個のヒト類上皮子宮頸癌細胞系H
eLaの細胞を、DOSPER−ビロソームおよびDOSPER−リポソームを
含む3H標識プラスミドpGreen Lanternでトランスフェクトした
【図4】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。5×105個のマウス繊維芽細胞系NIH3T3の細胞を、DOS
PER−ビロソームおよびDOSPER−リポソームを含む3H標識プラスミド
pGreen Lanternでトランスフェクトした。
【図5】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。5×105個のヒト慢性骨髄性白血病細胞系K562の細胞を、D
OSPER−ビロソームおよびDOSPER−リポソームを含む3H標識プラス
ミドpGreen Lanternでトランスフェクトした。
【図6】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。5×105個のマウスミエローマ細胞系P3の細胞を、DOSPE
R−ビロソームおよびDOSPER−リポソームを含む3H標識プラスミドpG
reen Lanternでトランスフェクトした。
【図7】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。5×105個の細胞系COS−1、293T、K562およびP3
X63Ag8の細胞を、DOSPER−ビロソームを含む3H標識プラスミドp
cDNA3.1/His B/lacZでトランスフェクトした。
【図8】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。0.5mlの培地中の5×105個のヒトの形質転換された一次胚
性腎細胞系293Tの細胞を、DOSPER−ビロソームおよびDOTAP−ビ
ロソームを含む3H標識プラスミドpcDNA3.1/His B/lacZ
his(0.4μgDNA;24’000dpm=100%)でトランスフェク
トした。
【図9】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。0.5mlの培地中の5×105個のヒトの慢性骨髄性白血病細胞
系K562の細胞を、DOSPER−ビロソームおよびDOTAP−ビロソーム
を含む3H標識プラスミドpcDNA3.1/His B/lacZ his(
0.4μgDNA;24’000dpm=100%)でトランスフェクトした。
【図10】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。0.5mlの培地中の5×105個の雑種の非分泌マウス細胞系S
p2を、DOSPER−ビロソームおよびDOTAP−ビロソームを含む3H標
識プラスミドpcDNA3.1/His B/lacZ his(0.4μgD
NA;24’000dpm=100%)でトランスフェクトした。
【図11】 取り込まれたDNA−プラスミドの量に対する、トランスフェクション時間の
長さの影響。5×105個のヒト類上皮癌細胞系HeLaの細胞を、DOSPE
R−ビロソームおよびDOTAP−ビロソームを含む3H標識プラスミドpGr
een Lanternでトランスフェクトした。
【図12】 それぞれDOSPERビロソームまたはDOSPERリポソームでトランスフ
ェクトしておいたNIH3T3細胞におけるβ−ガラクトシダーゼの発現;3つ
の実験A、BおよびCの平均値。
【図13】 異なる濃度のプラスミドpcDNA3.1/His B/lacZを使用して
DOSPERビロソーム(実験A)でトランスフェクトし、異なる数のビロソー
ムにより供給した、NIH3T3および293T細胞におけるβ−ガラクトシダ
ーゼの発現;4日後の値ng/タンパク質1mg。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/16 A61K 47/18 47/18 47/24 47/24 47/42 47/42 48/00 48/00 A61P 35/00 A61P 35/00 35/02 35/02 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 クライン、ピーター スイス国 ツェーハー−4438 ランゲンブ ルック、ヌーホフ Fターム(参考) 4C076 AA19 CC27 DD39F DD52F DD63F EE41F FF16 4C084 AA02 AA13 AA17 MA05 MA24 NA11 ZB261 ZB262 ZB271 ZB272 4C086 AA01 AA02 EA16 MA03 MA05 MA24 NA11 ZB26 ZB27

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生理的pHで正の実効電荷を有する二重層膜を有する脂質小
    胞であって、前記小胞はさらに、受容体媒介ファゴサイトーシスまたはエンドサ
    イトーシスを通した標的細胞による小胞の内在化を引き起こす、非センダイウイ
    ルス赤血球凝集素である、少なくとも1つの活性融合誘導ペプチドを含み、小胞
    膜は、全膜脂質に基づいて、5から30重量%の1,3−ジオレオイルオキシ−
    2−(6−カルボキシ−スペルミル)−プロピルアミド(DOSPER)、およ
    び、95から70重量%の収支の、ホスファチジルコリン(PC)またはその誘
    導体および所望によりホスファチジルエタノールアミン(PE)および/または
    DOSPER以外のカチオン性脂質を含む他の脂質を含むことを特徴とする、前
    記脂質小胞。
  2. 【請求項2】 小胞は、標的細胞に送達するための所望の薬物または物質を
    さらに含むことを特徴とし、前記の所望の薬物または物質は好ましくは負に荷電
    し、特に、ダイ、トレーサー物質、美容剤、医薬的または生物学的に活性な物質
    、および核酸材料からなる群から選択される、請求項1に記載の小胞。
  3. 【請求項3】 所望の薬物または物質は、短鎖DNAまたはRNA、デオキ
    シリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌ
    クレオチドセレノエート、オリゴデオキシリボヌクレオチドホスホロチオエート
    、オリゴデオキシリボヌクレオチドホスホルアミデート、オリゴデオキシリボヌ
    クレオチドメチルホスホネート、ペプチド核酸、リボヌクレオチド、オリゴリボ
    ヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチドホスホロチオエート、2’−Ome−オ
    リゴリボヌクレオチドホスフェート、2’−Ome−オリゴリボヌクレオチドホ
    スホロチオエート、リボザイム、遺伝子、プラスミドおよびベクターからなる群
    から選択される核酸材料であることを特徴とする、請求項2に記載の小胞。
  4. 【請求項4】 所望の薬物または物質は核酸材料であり、小胞は、1μgの
    DOSPERあたり、0.03から0.1、好ましくは0.045から0.06
    5μgの核酸材料の範囲の量で、前記核酸材料を含む、請求項1から3のいずれ
    か1項に記載の小胞。
  5. 【請求項5】 小胞の平均直径は、120から180nmの範囲であること
    を特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の小胞。
  6. 【請求項6】 小胞はさらに、小胞膜に付着した少なくとも1つの細胞特異
    的マーカーを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の小
    胞。
  7. 【請求項7】 小胞膜はさらに、ホスファチジルエタノールアミン(PE)
    、および、架橋剤の結合部位の1つで、PEの遊離アミノ基に、および、架橋剤
    の他の結合部位で細胞特異的マーカーに連結されている、二官能性架橋剤を含む
    ことを特徴とする、請求項6に記載の小胞。
  8. 【請求項8】 細胞特異的マーカーは、抗体、抗体断片、サイトカインおよ
    び成長因子からなる群から選択される、標的細胞の受容体に結合するための生物
    活性タンパク質であることを特徴とする、請求項6または7に記載の小胞。
  9. 【請求項9】 赤血球凝集素は、ラブドウイルス、パラインフルエンザウイ
    ルスIII型、セムリキ森林熱ウイルスおよびトガウイルスからなる群から選択
    されるウイルスから得られることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項
    に記載の小胞。
  10. 【請求項10】 小胞膜は、全膜脂質に基づいて、10から30重量%、好
    ましくは20から25重量%の濃度でDOSPERを含むことを特徴とする、請
    求項1から9のいずれか1項に記載の小胞。
  11. 【請求項11】 小胞膜は、全膜脂質に基づいて、25重量%のDOSPE
    Rおよび75重量%のPC、好ましくはジオレオイルホスファチジルコリン(D
    OPC)を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の小
    胞。
  12. 【請求項12】 美容的、医薬的または診断的適用に使用するための、適切
    な担体と組合せた、請求項1から11のいずれか1項に定義した複数の小胞を含
    む組成物。
  13. 【請求項13】 (a)非イオン性界面活性剤を含み、そして、さらにDO
    SPERおよび他の脂質、および、受容体媒介ファゴサイトーシスまたはエンド
    サイトーシスを通した標的細胞による小胞の内在化を引き起こす、非センダイウ
    イルス赤血球凝集素である、少なくとも1つの活性融合誘導ペプチドを含む、緩
    衝溶液を調製し; (b)脂質濃度を、全膜脂質に基づいて、5から30重量%のDOSPERに
    、および95から70重量%の収支の、ホスファチジルコリン(PC)またはそ
    の誘導体および所望によりホスファチジルエタノールアミン(PE)および/ま
    たはDOSPER以外のカチオン性脂質を含む前記の他の脂質に調整し;そして (c)界面活性剤を、透析により、または、溶液をマイクロキャリアビーズで
    処理することにより除去し、前記の正に荷電した脂質二重層小胞を形成する段階
    を含むことを特徴とする、請求項1に定義した脂質小胞の製造プロセス。
  14. 【請求項14】 プロセスはさらに、標的細胞に送達するための、多数の所
    望の薬物または物質を小胞に取込む段階を含むことを特徴とし、前記の所望の薬
    物または物質は、好ましくは負に荷電し、特に、ダイ、トレーサー物質、美容剤
    、医薬的または生物学的に活性な物質、および核酸材料からなる群から選択され
    る、請求項13に記載のプロセス。
  15. 【請求項15】 プロセスはさらに、ホスファチジルエタノールアミン(P
    E)、二官能性架橋剤、および細胞特異的マーカーからなるコンジュゲート分子
    複合体を、二官能性架橋剤が1つの結合部位でPEのアミノ基に連結し、他の結
    合部位で細胞特異的マーカーのチオール基に連結するような様式で調製し、非コ
    ンジュゲート材料を除去し、そして分子複合体を段階a)の溶液に添加する段階
    を含むことを特徴とする、請求項13または14に記載のプロセス。
  16. 【請求項16】 所望の薬物または物質の取込みは、段階(a)の溶液に、
    所望の薬物または物質を添加することにより行なわれ、その後、段階(c)で前
    記薬物または物質を含む小胞が形成されることを特徴とする、請求項14または
    15に記載のプロセス。
  17. 【請求項17】 所望の薬物または物質の小胞への取込みは、段階(c)か
    ら生じた小胞に所望の薬物または物質を添加し、混合物を超音波処理して薬物ま
    たは物質を小胞に取込み、そして組込まれていない材料を、好ましくはゲルろ過
    により除去することにより行なわれることを特徴とする、請求項14または15
    に記載のプロセス。
  18. 【請求項18】 所望の薬物または物質の小胞への取込みは、段階(c)か
    ら生じた小胞に所望の薬物または物質を添加した正に荷電した脂質複合体または
    リポソームを添加し、そして得られた混合物を超音波処理して、脂質複合体また
    はリポソームを前記小胞と融合し、薬物または物質を前記小胞に統合することに
    より行なわれることを特徴とする、請求項14または15に記載のプロセス。
  19. 【請求項19】 正に荷電した脂質複合体またはリポソームは、その全脂質
    含量に基づいて、50から100重量%のDOSPER脂質を含むことを特徴と
    する、請求項18に記載のプロセス。
  20. 【請求項20】 細胞特異的マーカーは、抗体、抗体断片、サイトカインお
    よび成長因子からなる群から選択される、請求項15から19のいずれか1項に
    記載のプロセス。
  21. 【請求項21】 所望の薬物または物質は、短鎖DNAまたはRNA、デオ
    キシリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボ
    ヌクレオチドセレノエート、オリゴデオキシリボヌクレオチドホスホロチオエー
    ト、オリゴデオキシリボヌクレオチドホスホルアミデート、オリゴデオキシリボ
    ヌクレオチドメチルホスホネート、ペプチド核酸、リボヌクレオチド、オリゴリ
    ボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチドホスホロチオエート、2’−OMe−
    オリゴリボヌクレオチドホスフェート、2’−OMe−オリゴリボヌクレオチド
    ホスホロチオエート、リボザイム、遺伝子、プラスミドおよびベクターからなる
    群から選択される核酸材料であることを特徴とする、請求項14から20のいず
    れか1項に記載のプロセス。
  22. 【請求項22】 核酸材料を、ビロソームに、1μgのDOSPER脂質あ
    たり、0.03から0.1、好ましくは0.045から0.065μgの核酸材
    料の濃度で取り込まれることを特徴とする、請求項21に記載のプロセス。
  23. 【請求項23】 非イオン性界面活性剤は、オクタエチレングリコールモノ
    ドデシルエーテル(C128)またはn−オクチル−オリゴオキシエチレンであ
    ることを特徴とする、請求項13から22のいずれか1項に記載のプロセス。
  24. 【請求項24】 架橋剤は、少なくとも1つのマレイミドおよび少なくとも
    1つのカルボキシル基を有するヘテロ二官能性有機分子であり、好ましくは、ビ
    ス−N−スクシンイミジル誘導体および光活性化可能なスクシンイミジル誘導体
    からなる群から選択される、請求項15から23のいずれか1項に記載のプロセ
    ス。
  25. 【請求項25】 特に、所望の薬物または物質を、休止または増殖標的細胞
    に送達するための、美容的、診断的または医学的適用用の組成物の製造における
    、請求項1に定義した小胞の使用。
  26. 【請求項26】 使用は、前記標的細胞を、インビトロで、前記小胞の存在
    下でインキュベートし、所望によりインキュベートした標的細胞を、インビボで
    生物に導入することを含むことを特徴とする、請求項25に記載の使用。
  27. 【請求項27】 標的細胞は、癌細胞、白血病細胞およびウイルス感染細胞
    からなる群から選択される、請求項25または26に記載の使用。
  28. 【請求項28】 前記標的細胞の代謝または増殖活性は、前記小胞の存在下
    でインキュベート時に減少する、請求項27に記載の使用。
  29. 【請求項29】 前記の所望の薬物または物質は、癌原遺伝子または発癌遺
    伝子のコードするmRNAを標的化する、少なくとも1つのアンチセンスオリゴ
    ヌクレオチド、好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、核酸材料で
    ある、請求項25から28のいずれか1項に記載の使用。
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