JP2003508698A - 無段変速伝動システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 無段変速伝動システム（１）であって、それぞれＶ形の溝を規定する二つのディスクを持つ二つのプーリーセット（３，４）、前記溝の幅を変えるための駆動手段（１３）およびその溝内の前記プーリーセットの間に伸びるベルト（５）、並びに、プーリーセットの一つの軸に接続された正転・逆転制御装置（８）および前記正転・逆転制御装置に接続されたクラッチ（９）を有する無段変速伝動装置（２）を含み、前記プーリーセット、正転・逆転制御装置およびクラッチには、それぞれ、各アクチュエータが設けられている無段変速伝動システム。正転・逆転制御装置のおよびクラッチのアクチュエータは、電気機械式である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 ＜発明の属する技術分野＞ 本発明は、それぞれ、Ｖ形の溝を規定する二つのディスクをもち、かつ、前記
溝の幅を変えるための駆動手段を持つ二つのプーリーセットと、その溝内の前記
プーリーセットの間に張設されるベルトと、プーリーセットの一つの軸に接続さ
れた正転・逆転制御装置と、および前記正転・逆転制御装置に接続されたクラッ
チとを含み、前記プーリーセット、正転・逆転制御装置およびクラッチには、そ
れぞれ、各アクチュエータが設けられている無段変速伝動システムに関する。

【０００２】 ＜従来の技術＞ このような無段変速伝動システムは、例えば、自動車産業に応用されており、
一般に、速度伝達比を制御するための油圧式制御手段を有している。また、クラ
ッチは、一般に、油圧で制御される。正転・逆転制御装置は、純粋に機械式のも
のが多い。

【０００３】 自動車分野では、油圧式制御装置を電気または電気機械式制御装置で置き換え
る試みがなされている。このような置き換えは、先ず第一に、システムの総合効
率を高めることになろう。システムに高圧のポンプを設ける必要がなくなるから
である。また、作動油の必要がなくなるため、環境汚染の問題が解決するであろ
う。さらに、軽量で信頼性が高いシステムの方が好まれる。また、伝動管理で「
スマート」機能が得られる可能性は、電気または電気機械式制御装置の有利な特
徴である。

【０００４】 ＜発明の要約＞ 機械的に動作し、かつ、電気的に制御される無段変速伝動装置は、それ自体既
知であるが、完全に電気機械式のシステムは、存在しない。本発明の目的は、い
かなる油圧式制御装置も無い無段変速伝動システムを供給することである。この
目的は、正転・逆転制御装置の、および、クラッチのアクチュエータが、電気機
械式であることで達成される。

【０００５】 本発明による無段変速伝動システムの全ての制御機能は、今や、電気機械式で
あるため、速度伝達比、クラッチおよび正転・逆転制御装置に対する制御機能の
完全な一体化を成し遂げることが可能である。

【０００６】 クラッチは、電動機により駆動可能であるねじ機構を有するアクチュエータを
含んでいてよい。正転・逆転制御は、いくつかのやり方で行うことができる。好
適な実施形態によれば、正転・逆転制御装置は、少なくとも一つの太陽歯車、遊
星キャリヤに取り付けられた二つのセットの遊星歯車からなる遊星歯車システム
を含み、その第一のセットは、太陽歯車およびその第二のセットと係合し、前記
第二のセットは、リングギヤと係合し、該遊星歯車機構は、遊星キャリヤの回転
方向に対して逆の回転方向を太陽歯車に与え、さらに、太陽歯車を、遊星歯車を
介するか、あるいは、直接遊星キャリヤを介するかのいずれかで駆動するための
切換え手段を含んでいる。

【０００７】 本実施形態では、リングギヤを、自由に回動可能な位置と固定された位置との
間で切り換えるために第一のカップリングが設けられており、かつ、太陽歯車と
遊星キャリヤを、相互に固定された位置と相互に回動可能な位置との間で切り換
えるために第二のカップリングが設けられている。前記カップリングは、電気機
械式カップリングとして実施してよい。

【０００８】 さらに、各プーリーセットのアクチュエータは、ねじ機構を含んでいてよい。
プーリーセットは、前記プーリーセットの溝に存在する対称面に対して対称的で
あり、一方の側の一つのプーリーセットは、正転・逆転制御装置に結合されてお
り、対応する側の他のプーリーセットは、差動機構に結合されている。

【０００９】 差動機構が、歯車を介してそのプーリーセットに結合され、前記差動機構が、
前記プーリーセットに、歯車軸が、前記プーリーセットの隣に平行に延びるよう
にしてオーバーラップしている場合は、無段変速伝動システム全体の非常にコン
パクトな実施形態が、今や、得られる。別法として、駆動歯車軸は、前記プーリ
ーセットに対して垂直に延びていてもよい。

【００１０】 無段変速伝動システムのコンパクトさは、プーリーセットが、当該の溝に対し
て完全に対称的であり得ること、および、アクチュエータが、各プーリーの軸に
取り付けられていることで、さらに増大している。

【００１１】 ＜好適な実施形態の詳細な説明＞ 以下、図に示した実施形態を参照して、本発明をさらに説明する。

【００１２】 図１による無段変速伝動システムは、ハウジング１を含み、該ハウジングは、
無段変速伝動装置２を含んでいる。前記無段変速伝動装置２は、駆動プーリーセ
ット３、被駆動プーリーセット４、並びに前記プーリーセット３，４のＶ形溝６
，７に収容されたベルト５を含んでいる。

【００１３】 駆動プーリーセット３は、正転・逆転制御装置８を介して、並びにクラッチ９
を介して、機関（図示せず）に接続されている。

【００１４】 被駆動プーリーセット４は、歯車セット１１を介して、差動装置１０に接続さ
れている。

【００１５】 プーリーセット３，４には、それぞれ、内部ねじ機構（図示せず）が設けられ
ており、該内部ねじ機構は、それぞれ、制御機構１３により制御される。

【００１６】 図２に示した正転・逆転制御装置８は、電気機械式である。前記正転・逆転制
御装置８は、入力軸もしくは被駆動軸１８を有し、該被駆動軸は、クラッチ９に
接続されている。出力軸もしくは被駆動軸１４は、太陽歯車１５を保持し、該太
陽歯車は、遊星歯車の第一のセット１６に係合している。前記遊星歯車１６は、
遊星キャリヤ１７により保持されており、該遊星キャリヤは、これは今度は、正
転・逆転制御装置８の入力軸もしくは被駆動軸１８に接続されている。出力軸１
４は、駆動プーリーセット３に接続されている。

【００１７】 正転・逆転制御装置８は、さらに、遊星歯車の第二のセット１９を含み、該遊
星歯車の第二のセットは、一方、遊星歯車の第一のセット１６、並びに、リング
ギヤ２０に係合している。

【００１８】 遊星歯車の第一および第二のセット１６，１９は、軸２１，２２上で自由に回
動可能であり、該軸は、一方で遊星キャリヤ１７に結合されており、他方で第一
のカップリングディスク２３に接続されている。出力軸もしくは被駆動軸１４は
、第二のカップリングディスク２４を保持している。第一および第二のカップリ
ングディスク２３，２４は、第二の電気機械式カップリング２５により、互いに
他に対して、係合状態にし、あるいは、係合状態から外してよい。

【００１９】 さらに、第一の電気機械式カップリング２６が設けられており、リングギヤ２
０は、これにより、自由に回動可能な位置に入るかあるいはそれから出る。

【００２０】 第一および第二のカップリング２５，２６は、交互に係合するか、あるいは、
同時に解放されており、以下、これに関して説明する。図２では、第一の電磁カ
ップリング２５が係合しており、これは、リングギヤ２０が回動不能に保持され
ていることを意味する。第二の電磁カップリング２６は、その解放位置に在るが
、これは、第一のカップリングディスク２３は、第二のカップリングディスク２
４に対して、自由に回動可能であることを意味する。

【００２１】 入力軸もしくは被駆動軸１８は、今や、遊星歯車のセット１６，１９および回
動不能なリングギヤ２０を介して、出力軸もしくは被駆動軸１４を、逆方向に駆
動する。

【００２２】 対照的に、入力軸１８は、第一のカップリング２５が外れ、第二のカップリン
グ２６が係合している場合、出力軸１４を同じ方向に駆動する。その場合には、
リングギヤは、自由に回動することが可能であり、一方、第一および第二のカッ
プリングディスク２３，２４は、相互に接続されており、遊星キャリヤ１７によ
り、軸２１，２２を通して駆動される。

【００２３】 さらに、第一のカップリング２５および第二のカップリングは、共に、同時に
外れてよい。その場合は、中立位置となり、中立位置では、入力軸１８および出
力軸１４の間にいかなる接続も存在しない。

【００２４】 図３に示したクラッチ９は、図２による正転・逆転制御装置の入力軸１８に接
続されている（図１参照）。他方、クラッチ９は、モータ軸２７に接続されてお
り、該モータ軸は、摩擦板２９を有するフランジ２８を保持している。摩擦板３
０は、摩擦板２９と摩擦で係合し、前記摩擦板３０は、ディスクスプリング３１
を介して、摩擦板２９に締め付け保持されている。ディスクスプリング３１は、
スラスト軸受３２を介して、制御レバー３１に当てて支持されており、該制御レ
バーは、ピボットエンド３４により、クラッチハウジング３５に対して、支持さ
れている。

【００２５】 制御レバー３３は、その他端において、電気機械式ねじアクチュエータ３６に
より、動作する。

【００２６】 図３に示した位置では、ねじアクチュエータ３６は、後退しており、これは、
ディスクスプリング３１が、圧縮力を加えて、それにより、カップリングリング
３０が、摩擦板２９に押し付けられることを意味する。

【００２７】 電気機械式ねじアクチュエータ３６が動作すると、制御レバー３３は、図３の
左に旋回し、ディスクスプリング３１の中央部分を機関軸２７に向けて押す。し
たがって、ディスクスプリング３１の外側リング３７は、旋回支持体３８の旋回
支持の結果として、モータ軸２７から遠ざかる方向に動き、カップリングリング
３０を摩擦板２９から解放し、したがって、モータ軸２７と入力軸１８との結合
を解く。

【００２８】 電気機械式アクチュエータ３６は、電動機３９を含んでおり、該電動機は、ね
じ機構４０を駆動する。前記ねじ機構のねじ４１は、ボールジョイント４３によ
り、制御レバー３３と係合している。

【００２９】 ねじ機構は、ボールねじ機構かあるいはローラねじ機構のいずれかであってよ
い。

【００３０】 無段変速伝動システムは、全体として、図１に示した一体化された制御装置４
２により管理される。前記制御装置４２は、プーリーセット３，４の制御機構１
３に、並びに、正転・逆転制御装置８およびクラッチ９に接続されている。制御
装置４２は、これら部品に組み込まれたセンサーから信号を受け取り、該信号は
、制御装置４２内で処理されて、システム全体を管理するための適当な制御信号
を出力する。制御装置内で処理するため制御装置に送ってよいその他の信号とし
ては、車両の速度、機関の速度、アクセルのペダル位置、制動動作、車両の傾斜
、車両の加速度などがある。

【００３１】 図4では、無段変速伝動システムのモジュール式レイアウトを示してある。ク
ラッチ９、正転・逆転制御装置８および無段変速伝動装置２は、それぞれ、別個
のモジュールであり、出力軸１８により相互接続可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による無段変速伝動システムの一般的なレイアウトを示す。

【図２】 前記システムに応用された電気機械式クラッチを示す。

【図３】 前記システムに応用された電気式正転・逆転制御装置を示す。

【図４】 該システムの分解組立図を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ， ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ， ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＢＺ，Ｃ Ａ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ， ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，Ｋ Ｅ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ， ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ (72)発明者 ファン，ビンデン，ヨハネス，アルベルタ ス ドイツ連邦共和国、デー 69120 ハイデ ルベルグ、メンヒホーフシュトラッセ ３ ビー (72)発明者 ファン リューベン、ベルナルダス、ゲラ ルダス オランダ国、エヌエル 3437 ジェーエム ニューベガイン、ベルタス アーフィエ スホーフ １ (72)発明者 シュテューベンラオホ，アルノ ドイツ連邦共和国、デー 97491 アイド ハウゼン、アム ライヒェルトライン 19 (72)発明者 ヘルプスト，ヒューベルト ドイツ連邦共和国、デー 97503 ゲード ハイム アイヒェルベルクシュトラッセ 30エイ Ｆターム(参考） 3D039 AA02 AA04 AB01 AC03 AC34 AC39 AC45 AC74 3J050 AA02 BA08 BB05 3J062 AA02 AB06 AB22 AB34 AC03 AC04 AC07 BA11 CG03 CG14 CG32 CG37

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無段変速伝動システム（１）であって、それぞれＶ形の溝（
   ６，７）を規定する二つのディスクをもつ二つのプーリーセット（３，４）と、
   前記溝の幅を変えるための駆動手段（１２，１３）およびその溝（６，７）内の
   前記プーリーセット（３，４）の間に張設されるベルト（５）と、プーリーセッ
   トの一つの軸に接続された正転・逆転制御装置と、前記正転・逆転制御装置（８
   ）に接続されたクラッチ（９）とを有する無段変速伝動装置を含み、前記プーリ
   ーセット、正転・逆転制御装置およびクラッチ（９）には、それぞれ、各アクチ
   ュエータが設けられている無段変速伝動システムにおいて、正転・逆転制御装置
   （８）のおよびクラッチ（９）のアクチュエータは、電気機械式であることを特
   徴とする無段変速伝動システム。
2. 【請求項２】 クラッチ（９）は、電動機（３９）により駆動可能であるね
   じ機構（４０）を有するアクチュエータ（３６）を含むこととする請求項１に記
   載の無段変速伝動システム。
3. 【請求項３】 正転・逆転制御装置（８）は、少なくとも一つの太陽歯車（
   １５）、遊星キャリヤに（１７）に取り付けられた二つのセットの遊星歯車（１
   ６，１９）からなる遊星歯車システムを含み、第一のセットは、太陽歯車と第二
   のセット（１９）の両方に係合し、前記第二のセットは、さらに、リングギヤ（
   ２０）と係合し、該遊星歯車機構は、遊星キャリヤ（１７）の回転方向に対して
   逆の回転方向を太陽歯車に与え、さらに、太陽歯車（１５）を、遊星歯車（１６
   ，１９）を介するか、あるいは、直接遊星キャリヤ（１７）を介するかのいずれ
   かで駆動するための切換え手段（２５，２６）を含むこととする請求項１または
   請求項２に記載の無段変速伝動システム。
4. 【請求項４】 リングギヤ（２８）を、自由に回動可能な位置と固定された
   位置との間で切り換えるために第一のカップリング（２５）が設けられており、
   かつ、太陽歯車（１５）と遊星キャリヤを、相互に固定された位置と相互に回動
   可能な位置との間で切り換えるために第二のカップリング（２６）が設けられて
   いることとする請求項３に記載の無段変速伝動システム。
5. 【請求項５】 カップリング（２５，２６）は、電気機械式カップリングで
   あることとする請求項４に記載の無段変速伝動システム。
6. 【請求項６】 各プーリーセットのアクチュエータは、ねじ機構を含むこと
   とする請求項１ないし請求項５のうちのいずれか一つに記載の無段変速伝動シス
   テム。
7. 【請求項７】 プーリーセット（３，４）は、前記プーリーセット（３，４
   ）の溝に存在する対称面に対して対称的であり、一方の側の一つのプーリーセッ
   ト（３）は、正転・逆転制御装置（８）に結合されており、対応する側の他のプ
   ーリーセット（４）は、差動機構（１０）に結合されていることとする請求項６
   に記載の無段変速伝動システム。
8. 【請求項８】 差動機構（１０）は、歯車（１１）を介してそのプーリーセ
   ット（４）に結合されており、前記差動機構（１０）は、歯車軸（４３）が、前
   記プーリーセット（４０）の隣に平行に延びているか、あるいは、前記プーリー
   セット（４０）に対して垂直になっているかのいずれかで前記プーリーセット（
   ４）にオーバーラップしていることとする請求項７に記載の無段変速伝動システ
   ム。
9. 【請求項９】 プーリーセット（３，４）は、それぞれ、ねじ機構（１２）
   を収容する中空軸を有していることとする請求項７または請求項８に記載の無段
   変速伝動システム。
10. 【請求項１０】 プーリーセット（３，４）の駆動手段（１２，１３）、正
    転・逆転制御装置（８）およびクラッチ（９）を制御するために、制御手段（４
    ２）が設けられていることとする上記請求項のうちのいずれか一つに記載の無段
    変速伝動システム。
11. 【請求項１１】 プーリーセット（３，４）の駆動手段（１２，１３）、正
    転・逆転制御装置（８）およびクラッチ（９）は、制御手段（４２）と閉ループ
    構成になっていることとする請求項１１に記載の無段変速伝動システム。
12. 【請求項１２】 正転・逆転制御装置、クラッチおよび無段変速伝動装置は
    、それぞれ、別個のモジュール内に含まれていることとする上記請求項のうちの
    いずれか一つに記載の無段変速伝動システム。
13. 【請求項１３】 ベルトは、金属または非金属の押しベルトまたは引きベル
    トであることとする上記請求項のうちのいずれか一つに記載の無段変速伝動シス
    テム。