JP2003507433A - 敗血症治療において治療に用いる対象としての外膜タンパク質a、ペプチドグリカン関連リポタンパク質およびムレインリポタンパク質 - Google Patents

敗血症治療において治療に用いる対象としての外膜タンパク質a、ペプチドグリカン関連リポタンパク質およびムレインリポタンパク質

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Abstract

(57)【要約】 本発明はグラム陰性菌中に保存された3種の外膜タンパク質、OmpA、PAL、およびMLPに関する。本発明はグラム陰性菌に対する受動免疫および能動免疫において有用なワクチンおよびポリペプチド、ならびにグラム陰性敗血症を予防および治療する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [関連出願] 本願は1999年8月20日に出願された米国仮特許出願第60/149,9
60号基礎とする優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書中に援用さ
れる。
【0002】 [発明の分野] 本発明はグラム陰性敗血症を予防および治療するために有用である医薬組成物
および方法に関する。特に、本発明は多くのグラム陰性菌の中に保存される3種
の外膜タンパク質の同定から生じ、これらに対する抗体に関する。
【0003】 [発明の背景] グラム陰性菌による感染症は、罹患および死亡の主要な原因である。しばしば
、最初は発熱、低体温、頻脈、または頻呼吸症として現れるグラム陰性敗血症、
すなわち、微生物侵襲に対する全身性炎症反応は、生命を脅かす低血圧症および
臓器不全に進行し得る。血流への微生物侵入は敗血症の進んだ段階でよく見られ
るが、局在化するグラム陰性感染症は、微生物シグナルの局部または全身性放出
に対する宿主応答に基づいたグラム陰性敗血症につながり得る。このような微生
物シグナルはエンドトキシンとしても公知である、リポ多糖体(LPS)などの
細菌性細胞壁成分から頻繁に生じる。
【0004】 保存された細胞壁成分に対する抗体でグラム陰性敗血症を治療する考えは、ラ
フ型変異細菌に対して生じたポリクローナル抗血清の投与が、異種グラム陰性菌
によって生じるグラム陰性敗血症を防御することを示す、ここ30年間にわたる
多くの研究によって支持されている。ケディッド(Chedid) Lら、「腸内細菌性病
原体への自然免疫に関する提案(proposed)機構」、J. Immunol 100:292-301 (19
68); ブラウド(Braude) AIら、「エンドトキシンに対する抗血清による血管内凝
固の治療と予防」、J Infect Dis 128:S157-S164 (1973); マックケイブ (McCab
e) WRら、「交差反応性抗原:グラム陰性菌に対する免疫化誘導免疫におけるそ
の潜在性」、J Infect Dis 136:S161-S166 (1997);マックケイブ(McCabe) WRら
、「サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)のラフ型変異体を使用する免
疫:R595(Re Chemotype)変異体に対するIgMおよびIgG抗体の保護活性
」、J Infect Dis 158:291-300 (1988); チーグラー(Zieglar) EJら、「変異大
腸菌(Escherichia coli)に対するヒト抗血清によるグラム陰性菌血症およびシ
ョックの治療」、Engl J Med 307:1225-1230 (1982); バウムガートナー(Baumga
rtner) Jら、「エンドトキシンコア糖脂質に対する抗体による外科手術患者のグ
ラム陰性ショックおよび死の予防」、Lancet 59-63 (1985)。
【0005】 大腸菌J5およびサルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)Re595な
どのラフ型変異体種に対する抗血清中の免疫グロブリン類が、リポ多糖体(LP
S)の保存コア成分(脂質Aおよびコア多糖体)への結合によって防御すると一
般に想定されている。しかしながら、抗コアモノクローナル抗体が1つのモノク
ローナル抗体、WN1222−5を例外として防御するとの直接的証拠は存在し
ていない。これは異種腸内グラム陰性菌由来のLPSのコア構造と結合し、ウサ
ギおよびマウスのエンドトキシン感染を防御すると報告されている。ダイ・パド
バ(Di Padova)FEら、「大腸菌およびサルモネラリポ多糖体へ広範囲に交差防御
するモノクローナル抗体結合性」、Infect Immun 61:3863-3872 (1993)。さらに
、大腸菌J5に対するポリクローナル抗血清中の免疫グロブリンによる異質グラ
ム陰性菌由来のLPSへの実質的に増大した結合性を直接に証明することは困難
である。サイバー(Siber) GRら、「大腸菌J5および他のグラム陰性菌のリポ多
糖体へのウサギ抗体の交差反応性」、J Infect Dis 152:954-964 (1985); ウオ
ーレン(Warren) HSら、「大腸菌J5および他のグラム陰性菌へのウサギ抗血清
を使用するエンドトキシン中和」、Infect Immun 55:1668-1673 (1987)がある。
それにもかかわらず、熱死滅ラフ型株に対して生じた抗血清が防御すると報告さ
れているが、この防御が生じる正確な機構は依然として理解されないままである
【0006】 本発明者らはこれらの血清中の免疫グロブリンG(IgG)が異質グラム陰性
株由来のLPSへわずかに弱く結合することを先に報告した。サイバー(Siber)G
Rら、「大腸菌J5および他のグラム陰性菌のリポ多糖体へのウサギ抗体の交差
反応性」、J Infect Dis 152:954-964 (1985);ウォーレン(Wallen) HSら、「大
腸菌J5および他のグラム陰性菌に対するウサギ抗血清によるエンドトキシン中
和」、Infect Immun 55:1668-1673 (1987)。抗脂質Aモノクローナル抗体の大き
な臨床上の失敗(これらの抗血清に基づく)は、この研究における興味を減少す
る結果となっている。
【0007】 本発明者らはまた最近、熱死滅大腸菌J5細菌(J5抗血清)に対して生じた
ポリクローナル抗血清中のIgGは、3種の保存グラム陰性菌外膜タンパク質(
OMP)に結合することを報告した。これらのOMPはヒト血清中でインキュベ
ートした細菌の表面上に露出し、LPSをも含む複合体のヒト血清中に放出され
る。ヘルマン(Hellman) Jら、「大腸菌J5に対する抗血清は異種グラム陰性菌
の外膜タンパク質と反応する抗体を含む。」J Infect Dis 176:1260-1268 (1997
)。J5抗血清が結合した抗原の正体は未知である。
【0008】 [発明の概要] 本発明はグラム陰性菌による感染症および敗血症を治療するための方法および
組成物を提供することによって、これらおよび他の課題を解決する。
【0009】 第1態様では、本発明は薬学的に適切な担体中に外膜タンパク質A(OmpA)
、ペプチドグリカン関連リポタンパク質(PAL)、ムレインリポタンパク質(
MLP)、およびこれらの免疫原性部分からなる群から選択される単離外膜タン
パク質(OMP)の有効量を含むワクチン組成物を提供する。このワクチンは多
種グラム陰性菌に対する活性免疫において有用であると考えられている。このワ
クチンは、好ましくはAl(OH)、AlPO、QS21、CpG、および
これらの組み合せから選択されるアジュバントを含むことができる。
【0010】 一態様では、単離OMPはOmpAである。他の態様では、単離OMPはPA
Lである。さらに他の態様では、単離OMPはMLPである。
【0011】 他の側面では、本発明は薬学的に許容される担体中にOmpA、PAL、ML
P、およびこれらの組み合せからなる群から選択される単離OMPの有効量を含
むアジュバントを提供する。このアジュバントはOmpA、PAL、MLP、お
よびこれらの免疫原性部分以外の他の抗原への曝露に関して使用することができ
る。
【0012】 他の態様では、本発明は薬学的に適切な担体中にOmpA、PAL、またはM
LPの少なくとも一部に対して特異的に結合する単離ポリペプチドの有効量を含
む医薬組成物を提供する。種々の態様では、単離ポリペプチドとしてはモノクロ
ーナル抗体、モノクローナル抗体の誘導体、ポリクローナル抗体、または合成ポ
リペプチドが挙げられる。抗体はヒト抗体またはヒト化抗体であり得る。好まし
くは、抗体または抗体誘導体は、ヒト抗体である。ポリクローナル抗体は死滅し
た全グラム陰性菌およびグラム陰性菌由来の未分画細胞壁に対して生じたポリク
ローナル抗体と区別される。好ましくは、合成ポリペプチドは合成ポリペプチド
の組み合せライブラリーの成員である。
【0013】 なおも他の態様では、本発明はOmpA、PAL、MLP、およびこれらの免
疫原性部分からなる群から選択される外膜タンパク質に特異的に結合するポリペ
プチドを分泌する不死細胞株を提供する。ある態様では、分泌ポリペプチドはモ
ノクローナル抗体である。他の態様では、分泌ポリペプチドはモノクローナル抗
体の断片を含む。好ましい態様では、モノクローナル抗体またはモノクローナル
抗体の断片はヒト由来のものである。別の好ましい態様では、モノクローナル抗
体またはモノクローナル抗体の断片はヒト化されている。
【0014】 本発明におけるこの側面の一態様では、単離OMPはOmpAである。他の実
施形態では、単離OMPはPALである。なおも他の実施形態では、単離OMP
はMLPである。
【0015】 本発明の他の側面は、グラム陰性菌による感染症に対して対象を免疫化する方
法であり、対象には、グラム陰性菌による感染症に対する防御を誘発するのに有
効な量にて、薬学的に適切な担体中のOmpA、PAL、MLP、およびこれら
の免疫原性部分からなる群から選択される単離外膜タンパク質抗原を投与する。
本発明におけるこの態様の一態様では、単離OMPはOmpAである。他の態様
では、単離OMPはPALである。さらに他の実施形態では、単離OMPはML
Pである。さらなる実施形態では、活性ワクチン化方法として、アジュバントの
投与を挙げることができる。好ましくは、アジュバントはAl(OH)、Al
PO、QS21、CpG、およびこれらの組み合せから選択される。ある態様
では、抗原は皮下投与される。別の態様では、抗原は皮内、筋肉内、または粘膜
から投与される。
【0016】 他の側面では、本発明はグラム陰性菌に感染した対象の治療方法を提供し、こ
の方法はグラム陰性菌に感染した対象に、この感染症を治療するのに有効な量に
て、OmpA、PAL、およびMLPからなる群から選択された外膜タンパク質
の少なくとも一部に特異的に結合する単離ポリペプチドを投与することを含む。
好ましい態様では、その量はグラム陰性菌敗血症を阻止するのに有効な量である
。他の好ましい態様では、その量はin vivoでグラム陰性菌の成長を阻止
するのに有効な量である。
【0017】 本発明におけるこの側面の種々の態様では、単離ペプチドはモノクローナル抗
体、モノクローナル抗体の誘導体、ポリクローナル抗体、または合成ポリペプチ
ドのライブラリーの成員である。
【0018】 ある態様では、ポリペプチドの投与量は、対象の血液からのグラム陰性菌のク
リアランスを増強するのに有効な量である。他の態様ではポリペプチドの投与量
は対象の血液からグラム陰性菌の不溶性断片のクリアランスを増強するのに有効
な量である。
【0019】 さらに他の態様では、ポリペプチドの投与量は対象の血液中のグラム陰性菌を
中和するのに有効な量である。他の態様では、ポリペプチドの投与量は対象の血
液中のグラム陰性菌の不溶性断片を中和するのに有効な量である。
【0020】 他の態様によると、ポリペプチドの投与量は対象の血液中のグラム陰性菌をオ
プソニン化するのに有効な量である。さらなる実施形態では、ポリペプチドの投
与量は対象の血液中のグラム陰性菌の不溶性断片をオプソニン化するのに有効な
量である。
【0021】 ある態様では、方法もまた免疫系賦活剤の有効量を投与することを含む。好ま
しい態様では、免疫系賦活剤はサイトカインである。他の好ましい態様では、免
疫系賦活剤はアジュバントである。
【0022】 さらなる側面では、本発明はグラム陰性敗血症の患者を治療する方法を提供し
、このような治療を必要とする患者には、対象の血液または組織中に少なくとも
1つの可溶性因子の敗血症関連放出を阻止するのに有効な量にて、OmpA、P
AL、およびMLPからなる群から選択される外膜タンパク質の少なくとも一部
に特異的に結合する単離ポリペプチドを含む組成物が投与される。
【0023】 本発明におけるこの側面のある態様では、可溶性因子は、血清に曝露したとき
、グラム陰性菌によって放出される。一態様では、可溶性因子はLPSである。
他の態様では、可溶性因子はOmpAである。別の態様では、可溶性因子はPA
Lである。さらに他の態様では、可溶性因子はMLPである。
【0024】 本発明におけるこの側面の他の態様では、可溶性因子は感染宿主細胞により放
出される。いくつかの実施形態では、可溶性因子はサイトカインである。さらに
他の態様では、放出される因子は、IL−1、IL−6、TNF−α、高移動性
基−1タンパク質(HMG−1)、遊走阻止因子(MIF)、ケモカイン、およ
び酸化窒素から選択される。
【0025】 さらに別の側面では、本発明はグラム陰性敗血症である対象を治療する方法で
あって、このような治療を必要とする対象に、対象の血液中へグラム陰性菌が放
出する少なくとも1つの敗血症関連可溶性因子のクリアランスを増強するのに有
効な量にて、OmpA、PAL、およびMLPからなる群から選択される外膜タ
ンパク質の少なくとも一部に特異的に結合する単離ポリペプチドを含む組成物を
投与することを含む方法を提供する。
【0026】 一態様では、可溶性因子はLPSである。他の態様では、可溶性因子はOmp
Aである。別の態様では可溶性因子はPALである。さらに他の態様では可溶性
因子はMLPである。
【0027】 本発明は、下記の図面および詳細な説明を参照して、より完全に理解されるで
あろう。
【0028】 [詳細な説明] 本発明はグラム陰性菌がヒト血清中でインキュベートされる際に、放出され3
種の外膜タンパク質に関する。同じ外膜タンパク質は敗血症の実験モデルで血液
循環中に放出され、これらは大腸菌J5(J5抗血清)に対して生じる交差防御
抗血清中のIgGに結合する。3種の外膜タンパク質が外膜タンパク質A(Om
pA)、ペプチドグリカン関連リポタンパク質(PAL)、およびムレインリポタ
ンパク質(MLP)であることが今や発見されている。
【0029】 OmpAはヘニング(Henning)および共同研究者によって1975年に初めて記述
された。ヒンデンナッハ(Hindennach) Iおよびヘニング(Heninng) U, Eur J Bio
chem 59:207-213 (1975); ガーテン(Garten) Wら、Eur J Biochem 59:215-221 (
1975)。これは325個のアミノ酸残基を有し、SDS−PAGEで熱修飾可能
な(heat-modifiable)電気泳動移動度を示す。チェン(Chen) Rら、Proc Natl Aca
d Sci USA 77:4592-4596 (1980);ナカムラ(Nakamura) Kおよびミズシマ(Mizush
ima) S, J Biochem 80:1411-1422 (1976)。OmpAのN−末端ドメインは17
7個のアミノ酸からなり、外膜を8回横断すると考えられている。クロース(Kl
ose) Mら、J Biol Chem 268:25664-25670 (1993)。C−末端ドメインは細胞周
辺膣中へ突出すると考えられている。OmpAは細菌の形態維持に関与し、ファ
ージ受容体およびF−媒介性結合の受容体として作用し、限られた細孔形成性を
有する。ソンタグ(Sonntag) Iら、J Bacteriol 136:280-285 (1978); スガワラ(
Sugawara) Eおよびニカイドー(Nikaido) H, J Biol Chem 267:2507-2511 (1992)
; スガワラ(Sugawara) Eおよびニカイドー(Nikaido) H, J Biol Chem 269:17981
-17987 (1994)。OmpAはマクロファージ中へのLPS吸収を増強し、中枢神
経系の大腸菌侵入に関与すると報告されている。コーン(Korn) Aら、Infect Imm
un 63:2697-2705 (1995); プラサダラオ(Prasadarao) NVら、Infect Immun 64:1
46-153 (1996)。毒性細菌種である大腸菌18K1のOmpA−欠損変異体は、
新生児ラットおよび孵化鶏卵の敗血症モデル中のOmpA+親株よりも毒性が少
ないことが示されていた。バイザー(Weiser) JNおよびゴッツシュリッヒ(Gotsch
lich) EC, Infect Immun 59:2252-2258 (1991)。
【0030】 PALはミズノ(Mizuno)によって初めて特性化され、記述された。ミズノ(M
izuno) T, J Biochem 89:1039-1049 (1981)。これは173個のアミノ酸残基を
有し、ペプチドグリカン層に共有結合でなく、近接して会合している。ラッツァ
ロニ(Lazzaroni) J-Cおよびポータリエ(Portalier) R, Mol Microbiol 6:735-74
2 (1992); ミズノ(Mizuno) T, J Biochem 89:1039-1049 (1981); ミズノ(Mizuno
) T, J Biochem 86:991-1000 (1979)。 PALは外膜と相互作用するN−末端ド
メインに22個のアミノ酸の疎水性領域を有する。ラッツァロニ(Lazzaroni) J-
Cおよびポータリエ(Portalier) R, Mol Microbiol 6:735-742 (1992)。C−末端
ドメインはペプチドグリカン層との相互作用に関連している。ラッツァロニ(Laz
zaroni) J-Cおよびポータリエ(Portalier) R, Mol Microbiol 6:735-742 (1992)
【0031】 MLPはブラウン(Braun)によって初めて記述され、特性化された。ハンケ(Ha
ntke) Kおよびブラウン(Braun) V, Eur J Biochem 34:284-296 (1973); ブラウ
ン(Braun) Vおよびウォルフ(Wolff) H, Eur J Biochem 14:387-391 (1970); ブ
ラウン(Braun) Vおよびボッシュ(Bosch) V, Eur J Biochem 28:51-69 (1972)。
これは最も豊富な外膜タンパク質である。ブラウン(Braun) Vおよびウォルフ(Wo
lff) H, Eur J Biochem 14:387-391 (1970)。MLPは58個のアミノ酸残基を
有し、2つの形態、遊離形態および、C−末端ドメインによってペプチドグリカ
ンに共有結合している形態に存在する。ブラウン(Braun) Vおよびボッシュ(Bosc
h) V, Eur J Biochem 28:51-69 (1972);ブラウン(Braun) V, Biochim Biophys A
cta 415:335-377 (1975)。最近、チャン(Zhang)はMLPが遺伝的にLPSに対
して反応低下しているマウスの1種(C3H/HeJ)に致命的ショックを誘発
することを報告している。チャン(Zhang) Hら、J Immunol 159:4868-4878 (1997
)。さらに、彼らはMLPが致命的毒性についてLPSと相乗的であることを発
見した。
【0032】 本出願人らは先に、3つのタンパク質のエピトープはヒト血清中でインキュベ
ートされた細菌の表面に曝露され、大腸菌J5のラフ型変異ワクチンに対して生
じた抗血清が細菌表面上の同じ3つのタンパク質に結合する高い力価の抗体とな
ることを示している。これらのタンパク質の2つをPALおよびMLPとして同
定したことは、両タンパク質が深い細胞周辺空間に位置し、短N−末端セグメン
トのみが外膜と相互作用すると考えられるから、驚くべきことである。ラッツァ
ロニ(Lazzaroni) J-Cおよびポータリエ(Portalier) R, Mol Microbiol 6:735-74
2 (1992); スタイネマン(Steinemann) Sら、Arterioscler Thromb 14:1202-1209
(1994)。したがって、大腸菌J5に対する抗血清の注入による異種平滑細菌株
の増大したクリアランス(サクルラムラング(Sakulramrung) Rおよびドミニグ(D
omingue) G.J, J Infect Dis 151:995-1004 (1985))は、細菌表面上のOmpA
、PAL、およびMLPのエピトープに対するこの抗血清中の免疫グロブリンの
結合によって媒介される。
【0033】 細菌毒素を循環することは、グラム陰性敗血症の病原性において重要であると
考えられるが、実際には放出細菌成分の組成物については、ほとんど知られてい
ない。ほとんどの研究はLPSの放出に集中して向けられており、LPSがLP
Sモノマー中に次いで脱凝集する膜小疱に放出されると仮定されている。テシュ
(Tech) VLら、J Immunol 137:1329-1335 (1986); テシュ(Tesh) VLおよびモリソ
ン(Morrison) DC, J Immunol 141:3523-3531 (1988); ダナー(Danner) RLら、Ch
est 99:169-175 (1991); パーソン(Person) FCら、J Clin Microbiol 21:865-86
8 (1985); ウインチャーチ(Winchurch) RAら、Surgery 102:808-812 (1987); ヴ
ェッセルス(Wessels) BCら、Crit Care Med 16:601-605 (1988); ブラントザー
グ(Brandtzaeg) Pら、Regul Pept 24:37-44 (1989); ヴァンデベンター(van Dev
enter) SJら、Lancet 1:605-609 (1988); ナタンソン(Natanson) Cら、J Clin I
nvest 83:243-251 (1989); シェネプ(Shenep) JLら、J Infect Dis 157:565-568
(1988);ムンフォード(Munford) RSら、J Clin Invest 70:877-888 (1982)。先
の研究ではヒト血清中でインキュベートした生細菌はLPSのO−多糖体側鎖に
向けられた抗体を使用してアフィニティー精製され得るOMPとLPSを含む断
片(OMPLPS複合体)を放出することが示されている。ヘルマン(Hellman)
Jら、J Infect Dis 176:1260-1268 (1997);フロイデンバーグ(Freudenberg) MA
ら、Microb Pathog 10:93-104 (1991)。フロイデンバーグ(Freudenberg) らは、
抗−LPS IgGを使用して血清曝露ウマ流産菌(Salmonella abortus equi)
細菌の濾液からアフィニティー精製した試料もまた、OmpAおよび同定されな
かったMW17kDaの第2タンパク質を含むことを報告した。フロイデンバー
グ(Freudenberg) MAら、Microb Pathog 10:93-104 (1991)。
【0034】 本出願人はいま、少なくとも3種のOMPを含むOMPLPS複合体がグラム
陰性敗血症の感染症火傷モデルの血流中にin vivoで放出されることを見
出した。18kDa OPMもまた、OMPLPS複合体とは別個の形態で敗血
症ラット血液中に放出され、熱死滅大腸菌J5細菌に対して生じた抗血清中のI
gGによって選択的にアフィニティー精製される。
【0035】 多くの研究は、LPSに強固に会合するタンパク質は生物学的に活性であると
報告するが、敗血症の病原性におけるOMPの役割は本質的に明らかにされてい
ない。メルチャーズ(Melchers) Fら、J Exp Med 142:473-482 (1975); ドー(Doe
) WFら、J Exp Med 148:557-568 (1978); グッドマン(Goodman) GWおよびスルツ
アー(Sultzer) BM, J Immunol 122:1329-1334 (1979); グッドマン(Goodman) GW
およびスルツアー(Sultzer) BM, Infect Immun 24:685-696 (1979); チェン(Che
n) Yら、Infect Immun 28:178-184 (1980); ゴールドマン(Goldman) RCら、J Im
munol 127:1290-1294 (1981);ガルディエロ(Galdiero) Fら、Infect Immun 46:5
59-563 (1984); ビョルンソン(Bjornson) BHら、Infect Immun 56:1602-1607 (1
988); ジョンズ(Johns) MAら、Infect Immun 56:1593-1601 (1988); ハウシルト
(Hauschildt) Sら、Eur J Immunol 20:63-68 (1990); ポラト(Porat) Rら、Infe
ct Immun 60:1756-1760 (1992): マンガン(Mangan) DFら、Infect Immun 60:168
4-1686 (1992); ガルディエロ(Galdiero)Fら、Infect Immun 61:155-161(1993);
マンシー(Manthey) CLら、J Immunol 153:2653-2663 (1994); スナッパー(Snap
per) CMら、J Immunol 155:5582-5589 (1995); コーン(Korn) A ら、Infect Imm
un 63:2697-2705 (1995); チャン(Zhang)ら、J Immunol 159:4868-4878 (1997);
ジャンバルトロメイ(Giambartolomei) GHら、Infect Immun 67:140-147 (1999)
。これらの研究および先に記載したJ5抗血清の防御的効力を考えると、OMP
はグラム陰性敗血症の病原性においてある役割を果たすようである。
【0036】 本発明は一側面において、薬学的に適切な担体中で調製された、OmpA、P
AL、MLP、およびこれらの免疫原性部分から選択された少なくとも1つの単
離外膜タンパク質の有効量を含むワクチン組成物を提供する。
【0037】 関連した側面では、本発明は薬学的に適切な担体中にOmpA、PAL、ML
P、およびこれらの免疫原性部分から選択される少なくとも1つの単離外膜タン
パク質の有効量を投入する(placing)ことを含む、ワクチン組成物の作成方法を
提供する。
【0038】 本明細書中に使用される「有効量」との用語は、所望の生物学的効果を現実化
するに必要または十分な量をいう。例えば、ワクチン組成物の単離外膜タンパク
質の有効量は、OMPへの曝露時に抗原特異的免疫反応の発生を生じる、すなわ
ち防御を誘発するのに必要な量である。特定の用途における有効量は、投与され
る特定のOMP、抗原とともに使用される特定のアジュバント(もしあれば)、
投与経路、対象の大きさ、対象の免疫系の適格性、または疾患または症状の重症
度などの要因に応じて変更することができる。当業者は不必要な実験をなしに、
特定のOMP抗原の有効量を経験から決定することができる。
【0039】 本発明の処方剤は薬学的に許容される溶液として投与され、これは通常、薬学
的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性ある担体、アジュバント、お
よび任意に他の治療成分を含んでいてもよい。
【0040】 治療に使用するには、有効量のワクチン組成物または医薬組成物は、OMP抗
原を適当な標的細胞によって吸収させ得るモデルによって、対象に投与され得る
。本発明のワクチンまたは医薬組成物を「投与すること」は、当業者に公知であ
るいかなる手段によっても達成され得る。好ましい投与経路としては、経口、経
皮(例えば、パッチから)、非経口注射(皮下、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内
、くも膜下腔内など)、または粘膜から(鼻腔内、気管内、吸入、および直腸内
、膣内など)が挙げられるが、これらに限定されない。注射は大量瞬時投与また
は連続注入であってもよい。
【0041】 例えば、本発明のワクチンおよび医薬組成物は、ときには筋肉内または皮内注
射、または他の非経口手段によって、または微粒子銃である「遺伝子銃」(gene-
gun)の表皮への適用により投与される。これらはまた、鼻腔内適用、吸入、局所
、静脈内、経口、または移植として投与してもよく、また腸または膣からの使用
も可能である。適切な液体または固体医薬製剤の形態は、例えば、注射または吸
入のための水溶液または生理食塩水であるか、マイクロカプセル化、渦巻き状化
される(encochleated)か、微視的金粒子上に塗布、リポソーム中に含有、噴霧化
されるか、エアロゾル、皮膚中への移植のためのペレットであるか、または皮膚
中に傷をつける鋭い物体上に乾燥される。医薬組成物としてはまた、顆粒、粉末
、錠剤、被覆錠剤、(マイクロ)カプセル、坐薬、シロップ、乳化液、懸濁液、
クリーム、ドロップまたは活性化合物の遅延性放出を伴う製剤を挙げることがで
き、その調製において、賦形剤、および崩壊剤、結合剤、被覆剤、膨潤剤、滑剤
、芳香剤、甘味剤または可溶剤などの添加剤および/または補助剤を通例、上記
したように使用する。医薬組成物は種々の薬剤送達系における使用に適している
。薬剤送達に関する現在の方法の簡単な考察は、ランガー(Langer)、Science 24
9:1527-1533 (1990)を参照。これは本明細書に参照として組み込まれる。
【0042】 医薬組成物は、好ましくは用量単位で調製され、投与される。液体用量単位は
、注射または他の非経口投与用のバイアルまたはアンプルである。固体用量単位
は、錠剤、カプセルおよび坐薬である。患者の治療には、化合物の活性、投与方
法、免疫の目的(すなわち、予防または治療)、障害の性質および重症度、患者
の年齢および体重に応じて、異なった用量が必要である。所与用量の投与は、個
別用量単位または他のいくつかのより小さな用量単位の形態で両者を単一投与す
ることによって実施され得る。週または月毎の特定の間隔で用量を多数回投与す
ることは、通常、抗原特異的反応を追加免疫化するために行う。
【0043】 抗原およびアジュバントはそれ自体で(生で)または薬学的に許容される塩の
形態で投与してもよい。医薬として使用する場合、塩は薬学的に許容されるべき
であるが、非薬学的に許容される塩も、便宜上、その薬学的に許容される塩を調
製するために使用してもよい。このような塩としては、次の酸:塩酸、臭化水素
酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン
酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタ
レン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸から調製されるものが挙げら
れるが、これらに限定されない。また、このような塩は、カルボン酸基のナトリ
ウム、カリウムまたはカルシウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類塩と
して調製することができる。
【0044】 好ましい緩衝剤としては、酢酸および塩(1〜2w/v%)、クエン酸および
塩(1〜3w/v%)、硼酸および塩(0.5〜2.5w/v%)、およびリン
酸および塩(0.8〜2w/v%)が挙げられる。適切な保存剤としては、塩化
ベンザルコニウム(0.003〜0.03w/v%);クロロブタノール(0.
3〜0.9w/v%);パラベン(0.01〜0.25w/v%)およびチメロ
サール(0.004〜0.02w/v%)が挙げられる。
【0045】 本発明の医薬組成物は薬学的に適切な担体中に任意に包含される有効量の抗原
を含む。「薬学的に適切な担体」との用語は、ヒトまたは他の脊椎動物への投与
に適した、1種以上の適合性ある固体または液体充填剤、希釈剤または被包性物
質をいう。「担体」との用語は活性成分がこれに混合されて適用を容易にする有
機または無機成分、天然または合成成分をいう。この医薬組成物の成分もまた、
所望の医薬効果を実質的に損なう相互作用がないようにして、互いに本発明の化
合物と混合することが可能である。
【0046】 非経口投与に適した組成物は、便宜的に無菌水溶性調製物を含み、これはレシ
ピエントの血液と等張性である。許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リン
ガー(Ringer)溶液、リン酸緩衝生理食塩水、および等張性塩化ナトリウム溶液が
ある。さらに、滅菌固定油は、慣習的に溶媒または懸濁媒質として使用されてい
る。この目的には、無刺激固定鉱物油または非鉱物油は合成モノまたはジグリセ
ライドを含んで使用してもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は注射可能物
質の調製に使用できる。皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内などの投与に適した担体
処方剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company,
Easton, PAに見られる。
【0047】 この組成物は、便宜的には単位投与量形態であってもよく、また薬学分野で周
知である方法によって調製してもよい。全ての方法は化合物を1種以上の補助成
分を構成する担体と組み合わせる過程を含む。一般的には、組成物は化合物を液
体担体、微細に粉砕された固体担体、またはその両者に均一に結合して、次いで
、もしも必要なら製品に成形する。
【0048】 他の送達系としては経時放出、遅延放出または持続性放出送達系を挙げること
ができる。このような系は化合物の繰り返し投与を避けて、対象および医者の便
宜を増加させる。多くのタイプの放出送達系は入手可能であり、当業者に公知で
ある。これらはポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプ
ロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、
およびポリ無水物などのポリマー系システムを含む。薬剤を含む上記ポリマーの
マイクロカプセルは、例えば、米国特許第5,075,109号明細書に記載される。送
達系としては、コレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸などのス
テロールまたはモノ−、ジ−、およびトリ−グリセライドなどの中性脂肪を含む
脂質;ヒドロゲル放出系;シラスティック(sylastic)系:ペプチド系システム;
ワックス塗布剤;従来の結合剤および賦形剤を使用する圧縮錠剤;部分溶融移植
材なども挙げられる。具体的な例としては、(a)米国特許第4,452,77
5号、第4,675,189号、および第5,736,152号明細書に記載さ
れるものなどのマトリックス内に本発明の薬剤がある形態で含まれる浸食系、お
よび(b)米国特許第3,854,480号、第5,133,974号および第
5,407,686号明細書に記載されるようなポリマーから制御された速度で
活性成分が浸透する拡散系が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ポ
ンプ使用ハードウエア送達系が使用でき、そのうちのいくつかは、移植用に使用
される。
【0049】 OMPまたは他のポリペプチドに関して、本明細書中で使用される「単離」と
の用語は、十分に純粋な形態でその自然環境から分離されていることを意味し、
その結果、本発明の目的のいずれか1つのために処置または使用され得る。単離
化合物とは混合物中に存在する少なくとも10%の化合物を意味し、本明細書中
に記載されるものなど従来の生物学的分析で試験したとき、検出可能な(すなわ
ち統計的に有意である)生物活性を示す化合物をいう。好ましくは、単離化合物
は混合物の少なくとも50%;より好ましくは混合物の少なくとも80%;かつ
、最も好ましくは混合物の少なくとも90%または少なくとも95%の化合物を
意味する。すなわち、単離とは(i)抗体を産生および/または単離するために
、(ii)アッセイ用試薬として、または(iii)配列決定などに使用するに
は、十分に純粋であることを意味する。
【0050】 すなわち、好ましい実施形態では、単離外膜タンパク質は免疫原性があり、か
つ、診断および治療用途に使用する結合性ポリペプチド(例、抗体)を産生する
ために使用され得る。このような結合性ポリペプチドは、生物学的液体または生
検診試料などの試料中の特定OMPの存否および/または量を検出するためも有
用である。
【0051】 本発明はまた、既に公知であるコア酸がコードする単離OMP(全タンパク質
および部分タンパク質を含む)を提供する。外膜タンパク質は組織または細胞ホ
モジネートを含む生物学的試料から単離され、また、発現系に適した発現ベクタ
ーを構築し、この発現ベクターを発現系に導入し、組換え技術により発現したタ
ンパク質を単離することによって、種々の原コアおよび真コア発現系で組換え技
術によっても発現し得る。抗原性ペプチド(免疫認識において細胞表面上にMH
C分子によって提示されるなど)を含む短いポリペプチドは、ペプチド合成の十
分に確立された方法で化学的に合成することもできる。
【0052】 3種の特定のOMPである、OmpA、PAL、およびMLPに関連して、本
明細書中に使用される「外膜タンパク質」の用語は、ポリペプチド成分のみおよ
び脂質と会合するポリペプチド成分の両者が挙げられる。このように、「外膜タ
ンパク質」との用語は、PALおよびMLPはリポタンパク質として自然に生じ
るとの事実を包含することができる。ポリペプチド成分と脂質との会合は、共有
結合的または非共有結合的であり得る。
【0053】 本明細書中で使用される「OmpA」の用語は、外膜タンパク質AまたはOm
pAとして、当該技術分野で公知である異種グラム陰性菌から得た多くの免疫学
的交差反応性細胞壁ポリペプチド成分のいずれかをいう。本明細書中に使用され
るように、OmpAはLPSと区別され、大腸菌K12、Genbank受託番
号P02934のOmpAによって例示されるが、これに限定されない。Omp
AはLPSをも含む複合体中でin vitroおよびin vivoでヒト血
清中に放出され得ることが認められている。本明細書中に使用される「OmpA
」との用語は、ポリペプチド成分のみ、および脂質と会合したポリペプチド成分
の両者を含むものである。
【0054】 本明細書中に使用される「PAL」の用語は、ペプチドグリカン関連リポタン
パク質またはPALとして、当該技術分野で公知である異種グラム陰性菌由来の
多くの免疫学的交差反応性リポタンパク質の細胞壁成分のいずれかをいう。本明
細書に使用されるように、PALはLPSと区別され、大腸菌K12、Genb
ank受託番号、P07176のPALによって例示されるが、これらに限定さ
れない。PALはLPSをも含む複合体でin vitroおよびin viv
oでヒト血清中に放出され得ることが認められている。「PAL」の用語は、ポ
リペプチド成分のみ、および脂質と会合したポリペプチド成分の両者を含むべき
である。
【0055】 本明細書中に使用される「MLP」の用語は、リポタンパク質として、または
ブラウン(Braun)のリポタンパク質、ムレインリポタンパク質、またはMLPと
して、単に当該技術分野で公知である異種グラム陰性菌由来の多くの免疫学的交
差反応性リポタンパク質の細胞壁成分のいずれかをいう。本明細書中に使用され
るように、MLPはLPSと区別され、大腸菌K12、Genbank受託番号
P02937のMLPによって例示されるが、これに限定されない。MLPはL
PSをも含む複合体中でin vitroおよびin vivoでヒト血清中に
放出され得ることが認められている。使用される「MLP」の用語は、ポリペプ
チド成分のみおよび脂質と会合したポリペプチド成分の両者を含む。
【0056】 本明細書中で使用される「免疫原性部分」の用語は、適当な条件下に免疫反応
を誘発することができる単離OMPの断片をいう。抗体を含む免疫反応では、免
疫原性部分は抗体結合の標的である抗原決定基を含むであろう。タンパク質およ
びポリペプチドに関して、抗原決定基は特定の三次元構造において特定のアミノ
酸残基を含む。これらのアミノ酸残基は、免疫原性であるためには、タンパク質
またはポリペプチドの表面に曝露していなければならない。T細胞を含む免疫反
応では、タンパク質またはポリペプチドの免疫原性部分はもっとも頻繁には免疫
優性決定基であるか、またはそれに代わる潜在性決定基である(セルカルツ(Ser
carz)EEら、Annu Rev Immunol 11:729-766 (1993))。これらのタイプの決定基
の両者に対するT細胞反応は、抗原プロセシング(processing)、すなわち、タン
パク質またはポリペプチドの短いオリゴペプチドへの細胞内部分分解を含み、こ
のオリゴペプチドは続いて主要な組織適合性複合体(MHC)分子と会合して、
T細胞表面に提示される。
【0057】 「アジュバント」は、体液および/または細胞免疫反応を刺激するか、または
刺激を増大することができる分子または化合物をいう。アジュバントは通常、抗
原に対する免疫反応を高めるために抗原への曝露に関連して投与される。免疫系
刺激剤は免疫系細胞上で分裂促進効果を発揮し、脊椎動物のリンパ球によるサイ
トカイン発現の増大をもたらし得る。多くのアジュバントが当該技術分野で周知
である。これらには、例えば貯蔵効果を生じるアジュバント、免疫刺激アジュバ
ント、持続効果を生じ、かつ、免疫系を刺激するアジュバント、および粘膜アジ
ュバントが挙げられる。
【0058】 持続効果を生じるアジュバントは、抗原を体内でゆっくり放出させ、よって、
抗原への免疫細胞の曝露を延長させるアジュバントである。このクラスのアジュ
バントとしては、ミョウバン(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸化アルミニ
ウム);または鉱物油、非鉱物油、油中水または水中油乳化液、すなわち、モン
タニド(Montanide)アジュバント(例えば、Montanide ISA 720, AirLiquide,
Paris, France)のSeppic ISAシリーズ;MF−59(Span85およびTwe
en80で安定化された水中スクワラン乳化液; Chiron Corporation, Emeryvil
le, CA); およびPROVAX(安定化界面活性剤とミセル形成剤を含む水中油
乳化液; IDEC, Pharmaceuticals Corporation, San Diego, CA)などの水中
油乳化液を含む乳化液系処方剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】 免疫刺激アジュバントは、免疫系細胞の直接活性化を生じるアジュバントであ
る。これは、例えばサイトカインを産生および分泌する免疫細胞を生じてもよい
。このクラスのアジュバントとしてはQS21(HPLC分画で21番目のピー
クに溶出する糖脂質、Aquila Biopharmaceuticals, Inc., Worcester, MA)など
のQ.サポナリア(saponaria)木の樹皮から精製したサポニン;ポリ[ジ(カルボ
キシレートフェノキシ)ホスファゼン(PCPPポリマー;Virus Research Instit
ute, USA);モノホスホリル脂質A(MPL; Ribi ImmunoChem Resesarch, Inc.
, Hamilton, MT)、ムラミルジペプチド(MDP;ウサギ)およびスレオニル−ム
ラミルジペプチド(t−MDP;ウサギ)などのリポ多糖類の誘導体;OM−1
74(脂質Aに関連したグルコサミン二糖体; OM Pharma SA, Meyrin, Switzerl
and);レーシュマニア(Leishmaia)伸長因子(精製レーシュマニア(Leishmania)タ
ンパク質; Corixa Corporation, Seattle, WA);およびCpGDNA(WO96/0255
5)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】 持続効果を生じ、かつ、免疫系を刺激するアジュバントは、上記した機能のい
ずれをも有する化合物である。このクラスのアジュバントとしては、ISCOM
S(混合したサポニン、脂質を含み、抗原を保持できる孔を有するウイルスサイ
ズの粒子を形成する免疫刺激複合体; CSL, Melbourne, Australia);SB−
AS2(MPLおよびQS21を含む水中油乳化液であるSmithKline Beecham a
djuvant system #2; SmithKline Beecham Biologicals [SBB], Rixensart, Belg
ium);SB−AS4(ミョウバンとMPLを含むSmithKline Beecham adjuvant
system #4;SBB, Belgium):CRL1005などのミセルを形成する非イオン
性ブロックコポリマー(ポリオキシエチレン鎖が隣接する疎水性ポリオキシプロ
ピレンの線状鎖を含む; Vaxcel, Inc., Norcross, GA);およびSyntex
Adjuvant Formation(SAF,Tween80および非イオ
ン性ブロックコポリマーを含む水中油乳化液; Syntex Chemicals, Inc., Boulde
r, CO)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】 粘膜アジュバントは、抗原とともに粘膜表面に投与された場合に対象に粘膜性
免疫反応を誘発することができるアジュバントである。粘膜アジュバントとして
は、細菌性毒素、例えば、コレラ毒素(CT);CTBサブユニット(CTB)
(ウ(Wu)ら、1998、トチクボ(Tochikubo)ら、1998);CTD53(Val〜As
p)(フォンタナ(Fontana)ら、1995);CTK97(Val〜Lys)(フォンタ
ナ(Fontana)ら、1995);CTK104(Tyr〜Lys)(フォンタナ(Fontana)ら、1995
);CTK53/K63(Val〜Asp,Ser〜Lys)(フォンタナ(Fontana)ら、1995)
;CTH54(Arg〜His)(フォンタナ(Fontana)ら、1995);CTN107(His〜A
sn)(フォンタナ(Fontana)ら、1995);CTE114(Ser〜Glu)(フォンタナ(Fon
tana)ら、1995);CTE112K(Glu〜Lys)(ヤマモト(Yamamoto)ら、1997a)
;CTS61F(Ser〜Phe)(ヤマモト(Yamamoto)ら、1997a、1997b);CTS10
6(Pro〜Lys)(ドウス(Douce)ら、1997、フォンタナ(Fontana)ら、1995);および
CTK63(Ser〜Lys)(ドウス(Douce)ら、1997、フォンタナ(Fontana)ら、1995)
を含むが、これらに限定されないCT誘導体;閉鎖帯毒素(zot);大腸菌熱不安
定性エンテロトキシン(不安定毒素、LT);LTBサブユニット(LTB)(ヴ
ェルウェイジ(Verweij)ら、1998);LT7K(Arg〜Lys)(コマセ(Komase)ら、199
8、ドウス(Douce)ら、1995);LT61F(Ser〜Phe)(コマセ(Komase)ら、1998
);LT112K(Glu〜Lys)(コマセ(Komase)ら、1998);LT118E(Gly〜Glu
)(コマセ(Komase)ら、1998);LT146E(Arg〜Glu)(コマセ(Komase)ら、1998
);LT192G(Arg〜Gly)(コマセ(Komase)ら、1998);LTK63(Ser〜Lys)(
マルシェッティ(Marchetti)ら、1998;ドウス(Douce)ら、1997,1998;ディトマソ(
DiTommaso)ら、1996);およびLTR72(Ala〜Arg)(ギウリアニ(Giuliani)ら、
1998)を含むがこれらに限定されないLT誘導体;PT−9K129G(ロバーツ
(Roberts)ら、1995;クロプレイ(Cropley)ら、1995)を含む百日咳毒素(PT)(リ
ッケ(Lycke)ら、1992;スパングラー(Spangler)BD,1992;フレイタグ(Freytag)お
よびクレメンツ(Clemments)、1999;ロバーツ(Roberts)ら、1995;ウイルソン(Wil
son)ら、1995);毒素誘導体(ホルモグレン(Holmgren)ら、1993;ヴェルウェイジ(
Verweij)ら、1998;ラプオリ(Rappuoli)ら、1995;フレイタグ(Freytag)およびク
レメンツ(Clements)、1999);脂質A誘導体(たとえば、モノホスホリル脂質A、
MPL)(ササキ(Sasaki)ら、1998;バンコット(Vancott)ら、1998);ムラミル
ジペプチド(MDP)誘導体(フクシマ(Fukushima)ら、1996;オガワ(Ogawa)ら、
1989;ミカレク(Michalek)ら、1983;モリサキ(Morisaki)ら、1983);細菌性外膜
タンパク質(例えば、外表面タンパク質A(OspA);ボレリア・ブルグドルフェリ(
Borrelia burgdorferi)のリポタンパク質;ナイセリア・メニンギティディス(Nei
sseria meningitidis)の外膜タンパク質)(マリナロ(Marinaro)ら、1999;ヴァン
デバーグ(Van de Verg)ら、1996);水中油乳化液(例えば、MF59)(バーチ
フィールド(Barchfield)ら、1999; ベルシュール(Verschoor)ら、1999;オーハゲ
イン(O’ Hagan),1998);アルミニウム塩(イサカ(Isaka)ら、1998、19
99);およびサポニン(例えば、QS21)(Aquila Biopharmaceuticals, Inc
., Worcester, MA)(ササキ(Sasaki)ら、1998;マックニール(MacNeal)ら、1998)
;ISCOMS;MF−59(Span85およびTween80で安定化され
た水中スクワレン乳化液;Chiron Corporation, Emeryville, CA);Montan
ideアジュバントのSeppicISAシリーズ(例えば、Montanide ISA 72
0; AirLiquide, Paris, France);PROVAX(安定化界面活性剤およびミセ
ル形成剤を含む水中油乳化液; IDEC Pharmaceuticals Corporation, San Diego,
CA);Syntext Adjuvant Formulation(SAF;Sy
ntex Ckemicals, Inc., Boulder, CO);ポリ[ジ(カルボキシレートフェノキシ)
ホスファゼン(PCPPポリマー; Virus Research Institute, USA);およびレ
ーシュマニア(Leishmania)伸長因子(Corixa Corporation, Seattle, WA)が挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0062】 本発明は他の側面では、OmpA、PAL、MLP、およびこれらの組み合せ
から選択される少なくとも1つの単離外膜タンパク質の有効量を含むアジュバン
トを提供する。これらの化合物はアジュバント自体として有用であると考えられ
る。死滅した結核菌(M.tuberculosis)に加えて種々の死滅した全細菌がアジュバ
ントとして有用であることは、当該技術分野では周知である。LPSそれ自体は
、強力なアジュバントであるが、その有用性はその非常に有意な毒性によって大
きく制限されている。単離外膜タンパク質はLPSとは別な生物活性を有するよ
うであり、また、LPS調製物が一般的に少なくともいくつかの外膜タンパク質
を含むので、これらの外膜タンパク質自体はアジュバント活性を有すると考えら
れる。
【0063】 なおも他の側面では、本発明はグラム陰性菌に感染した対象を治療するために
有用である医薬組成物を提供する。このような医薬組成物は薬学的に適切な担体
中で調製された、OmpA、PAL、またはMLPの少なくとも一部に特異的に
結合する単離ポリペプチドを含む。医薬組成物と外膜タンパク質との間の結合相
互作用は、通常、これらの間の非共有結合を含むが、必ずしもそうではない。i
n vivoでの特異的結合の効果は、受動免疫となり得る。このような受動免
疫が効果を発揮すると考えられる機構は、以下に記述される。in vivoお
よびin vitroでの特異的結合の効果は、外膜タンパク質の機能的非活性
化ともなり得る。例えば、OMP上の生物学的活性部位を隔離させるか、あるい
は近づきにくくさせる。本発明のこの態様で考えられる医薬組成物のタイプは、
モノクローナル抗体、モノクローナル抗体断片、モノクローナル抗体またはその
断片から部分的に形成された試薬、ポリクローナル抗体、および合成ポリペプチ
ドであって、このようなポリペプチドの組み合せライブラリーの部分として産生
されてもよいものを含む。
【0064】 関連した側面では、本発明はさらにグラム陰性菌に感染した対象を治療するた
めに有用である医薬組成物を製造する方法を提供する。この方法は薬学的に適切
な担体中にOmpA、PAL、MLPから選択される外膜タンパク質の少なくと
も一部に選択的に結合する少なくとも1つの単離ポリペプチドの有効量を混合す
る(place)ことを含む。
【0065】 本明細書中で使用されるように「対象」という用語は、脊椎動物を指す。ある
態様では、対象は人間である。
【0066】 「グラム陰性菌に感染した対象」とは、生存してするグラム陰性菌が正常な解
剖学的および機能的防御障壁(例、皮膚、粘膜など)を破り、生き残って、正常
には無菌である対象内の組織、液体、または空間中で増殖する対象を指す。通常
、グラム陰性菌はグラム陰性菌に感染した対象から得た感染組織または体液から
培養することができるが、必ずしもそうではない。「グラム陰性菌に感染した対
象」はグラム陰性敗血症を有していてもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0067】 本明細書中に使用されるように「グラム陰性菌」という用語は、腸内細菌科(E
nterobacteriaceae)、非腸内グラム陰性菌、および嫌気性グラム陰性菌のメンバ
ーとして、当該技術分野で既知である細菌をいう。これらには、以下のものが挙
げられるが、これらに限定されない。
【0068】 腸内細菌科−ブッチアウゼッラ(Buttiauxella) 種、セデカ(Cedeca) 種、セデ
セア(Cedecea)種、シトロバクター(Citrobacter)種、エドワルドシエラ(Edwards
iella)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、エシェリヒア(Escherichia)種
、エビンゲラ(Ewingella)種、ハフニア(Hafnia)種、クレブシエラ(Klebsiella)
種、クルイヴェラ(Kluyvera)種、レクレルシア(Leclercia)種、レミノレル(Lemi
norell)種、モエレレラ(Moellerella)種、モルガネラ(Morganella)種、オベスム
バクテリウム(Obesumbacterium)種、プロテウス(Proteus)種、プロビデンシア(P
rovidencia)種、ラネラ(Rhanella)種、サルモネラ(Salmonella)種、セラチア(Se
rratia)種、シゲラ(Shigella)種、トラブルシエラ(Trabulsiella)種、ツタメラ(
Tutamella)種、ゼノルハブダス(Xenorhabdus)種、イェルシニア(Yersinia)種、
ヨケネラ(Yokenella)種、(およびなおも命名されていない種々の「腸内群」)
【0069】 非腸内グラム陰性菌−アシネトバクター(Acinetobacter)種、アクロモバクタ
ー(Achromobacter)種、アクチノバチルス(Actinobacillus)種、アエロモナス(Ae
romonas)種、アルカリゲネス(Alcaligenes)種、アーコバクター(Arcobacter)種
、ボルデテラ(Bordetella)種、ボレリア(Borrelia)種、ブランハメラ(Branhamel
la)種、ブルセラ(Brucella)種、カンピロバクター(Campylobacter)種、カプノサ
イトファーガ(Capnocytophaga)種、カルジオバクテリウム(Cardiobacterium)種
、クロモバクテリウム(Chromobacterium)種、コマモナス(Commamonas)種、エイ
ケネラ(Eikenella)種、フラビモナス(Flavimonas)種、フランシセラ(Francisell
a)種、ハエモフィルス(Haemophilus)種、ヘリコバクター(Helicobater)種、キン
ゲラ(Kingella)種、レジオネラ(Legionella)種、モラケラ(Moraxella)種、ナイ
セリア(Neisseria)種、オクロバクトラム(Ochrobactrum)種、オリゲラ(Oligella
)種、パステルエラ(Pasteruella)種、プレシオモナス(Plesiomonas)種、プロト
モナス(Protomonas)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、スフィンゴバクテリ
ウム(Sphingobacterium)種、ストレプトバチルス(Streptobacillus)種、ビブリ
オ(Vibrio)種、ウィークセル(Weeksell)種、キサントモナス(Xanthomonas)種、
イエルシニア(Yersinia)種。
【0070】 嫌気性グラム陰性菌−バクテロイデス(Bacteriodes)種、フソバクテリウム(Fu
sobacterium)種。 本発明はまた、OmpA、PAL、またはMLPから選択されるOMPの少な
くとも一部に選択的に結合することができる単離ポリペプチドを包含する。この
ようなポリペプチドは、例えば、抗体または抗体断片(「結合ペプチド」)を含
む。抗体としては、従来の方法論によって調製されるモノクローナル抗体および
ポリクローナル抗体を含む。例えば、Harlow&Lane、「抗体:研究室マニュアル
」、Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照。
【0071】 本明細書で使用される「抗体」との用語は、抗原に結合することができる免疫
グロブリン分子(W.E.ポール(Paul)著、「基本免疫学」、Lippincott-Raven, Ph
iladelphia, 1999, pp.37-74参照)の少なくとも一部を意味する。好ましくは、
この抗体は抗体のうち、免疫グロブリンG(IgG)クラスに属する。この定義に
よれば、「抗体」との用語は完全な抗体のみならず、軽および重鎖可変領域のみ
を含むFv断片、可変領域と定常領域の部分を含むFabまたは(Fab)’
片、単一鎖抗体などの修飾または変性抗体の種々の形態をも含む。バード(Bird)
他、Science 242:424-426 (1988); ヒューストン(Huston)他、Proc Natl Acad S
ci USA 85:5879-5883 (1988)。抗体は動物由来(特にマウスまたはラット)また
はヒト起源であってもよく、あるいはキメラであっても(モリソン(Morrison) S
他、Proc Natl Acad Sci USA 81:6851-6855 (1984))、またはヒト化されていて
もよい(ジョーンズ(Jones)他、Nature 321:522-525 (1986)および英国特許出願
第8,707,252号に記載)。本発明に使用するに適した抗体を産生する方法
は、当業者に周知であり、Harlow&Lane「抗体:研究室マニュアル」、Cold Spri
ng Harbor Laboratory, 1988などの刊行物に記載されることを見出すことができ
る。抗体鎖をコードする遺伝子は当業者に周知であるクローニング手順によって
cDNAゲノム体でクローン化される。例えば、マニアティス(Maniatis)他、「
分子クローニング:研究室マニュアル」、Cold Spring Harbor Laboratory, 198
2を参照。
【0072】 他の態様では、グラム陰性菌に感染した対象の治療に使用する医薬組成物は、
薬学的に適切な担体中で調製された、OmpA、PAL、またはMLPの少なく
とも一部に特異的に結合する単離ポリクローナル抗体を含むことができる。医薬
組成物と外膜タンパク質との間のこのような結合相互作用およびこのような結合
効果は、OmpA、PAL、またはMLPの少なくとも一部に特異的に結合する
単離ポリペプチドに関して上記したものであろう。
【0073】 本発明のこの側面によれば、ポリクローナル抗体はOmpA、PAL、MLP
、またはこれらのOMPの組み合せと結合するが、J5抗血清が結合する少なく
とも1つの他の成分とは結合しない。例えば、本発明のポリクローナル抗体は、
ある実施形態ではOmpA、PAL、またはMLPに結合するが、他のLPS関
連リポタンパク質には結合しない。
【0074】 本発明のこの側面では、ポリクローナル抗体は有効量の単離OmpA、PAL
、MLP、またはこれらのOMPの組み合せを使用して、動物、好ましくは哺乳
動物を免疫化して産生させる。このようにして調製したポリクローナル抗体は、
J5抗血清が熱死滅した全細菌に対して産生する限り、J5抗血清と異なり、し
たがって、OmpA、PAL、およびMLPにのみ関連するものに加えて抗原に
結合する。
【0075】 本発明のこの態様における特定の実施形態では、ポリクローナル抗体は有効量
の単離OmpA、PAL、MLP、またはこれらのOMPの組み合せを用いてヒ
トを免疫化することにより産生させることができる。得られたヒト抗血清はヒト
対象に有効に使用することができる。
【0076】 特定のOMPに選択的に結合する結合性ポリペプチドは、抗体技術以外の供給
源から誘導してもよい。例えば、このようなポリペプチド結合試薬は、細菌鞭毛
ペプチドディスプレーライブラリーとして、またはファージディスプレーライブ
ラリーとして、溶液中、固定化体形態として容易に調製され得る縮重ペプチドラ
イブラリーから提供され得る。組み合せライブラリーもまた1種以上のアミノ酸
を含むペプチドから合成され得る。ライブラリーはさらに、ペプチドおよび非ペ
プチド合成分子から合成することができる。
【0077】 ファージライブラリーは、本発明において有用である結合ペプチドを同定する
際に、特に有効である。簡単には、従来の手法を使用して4〜約80個のアミノ
酸残基の挿入物を表示するファージライブラリーを調製する(例えば、m13、
fd、またはラムダファージを使用して)。挿入物は例えば、完全に縮重または
バイアス配列を表すであろう。次いで、OMPに結合するファージ関連挿入物ま
たはOMP含有複合体を選択することができる。このプロセスはOMPまたは複
合体へ結合するファージの再選択を数回、繰り返すことができる。繰り返すと、
ファージ関連特定配列を富化することとなる。DNA配列分析は発現ポリペプチ
ドの配列を同定するために実施することができる。OMPまたは複合体に結合す
る配列の最小線状部分を決定することができる。最小線状部分の一部または全部
、およびその上流または下流の1種以上のさらなる縮重残基を含む挿入物を含有
するバイアスライブラリーを使用して、この手法を繰り返す。酵母2−ハイブリ
ッドスクリーニング法もまた、OMPに結合するポリペプチドを同定するために
使用してもよい。すなわち、本発明のOMP、またはその断片、またはOMPの
複合体は、ファージディスレーライブラリーを含むペプチドライブラリーをスク
リーニングするために、本発明のOMPに選択的に結合するポリペプチドに結合
するペプチドを同定および選択するために使用することができる。このような分
子は、スクリーニングアッセイのために、精製プロトコールのために、OMPの
機能に直接に干渉するために、および当業者に明白である他の目的のために、上
記したように使用することができる。
【0078】 OmpA、PAL、MLP、またはこれらの断片もまた、in vitroま
たはin vivoでOMPに会合する天然ポリペプチド結合パートナーを単離
するために使用することができる。最近、あるトール(Toll)様受容体(TLR)
がLPSおよびリポタンパク質を含む微生物産物に対する細胞反応の原因である
と理解されるようになってきた。ヒルシュフェルド(Hirschfeld) Mら、J Immuno
l 165:618-622 (2000)。TLR4およびTLR2はLPSシグナル伝達系と会合
し、C3H/HeJマウスのtlr4遺伝子中の点突然変異が、LPSに対する
その種の観察された反応低下を説明するために報告されている。すなわち、Om
pA、PALおよびMLPは、例えばTLR仲介シグナル伝達系ならびにLPS
シグナル伝達系に関与する他の受容体および経路の詳細をさらに明らかにするこ
とにおいて有用である。結合パートナーの単離は、周知方法によって行ってもよ
い。例えば、単離OmpA、PAL、またはMLPは基質に結合し、次いで、O
MP結合パートナーを含むと思われる溶液を基質に適用してもよい。もしもOm
pA、PAL、またはMLPの結合パートナーが溶液中に存在するなら、次いで
、それは基質結合OMPに結合するであろう。次いで、結合パートナーを同定と
さらなる研究のために単離する。OmpA、PAL、またはMLPの結合パート
ナーである他のタンパク質は、不当な実験を行うことなく、同様な方法で単離し
てもよい。
【0079】 他の側面では、本発明はOmpA、PAL、MLP、またはそれらの免疫原性
部分に特異的に結合するポリペプチドを分泌する不死細胞株を提供する。好まし
くは、分泌ポリペプチドはOmpA、PAL、またはMLPに対するモノクロー
ナル抗体である。別な態様では、この分泌ポリペプチドはOmpA、PAL、ま
たはMLPに対するモノクローナル抗体の断片だもあるか、あるいはこのような
抗体の抗原結合部分を組み入れた融合タンパク質である。
【0080】 本明細書中に使用される「不死細胞株」との用語は、適当な条件下に無制限に
増殖することができるハイブリドーマ、ミエローマ、またはトランスフェクトさ
れた細胞株をいう。好ましい実施形態では、不死細胞株は標準的技術に従って免
疫動物から得た脾臓細胞とミエローマとの間の細胞融合によって調製されたハイ
ブリドーマである。ケーラー(Kohler) G他、Eur J Immunol 6:292-295 (1976)。
他の態様では、不死細胞株は抗体、抗体断片、融合タンパク質などを操作可能な
ようにコードするコア酸をトランスフェクトしたミエローマまたは非免疫細胞で
ある。さらに他の態様では、不死細胞株は相同組換えにより所望のポリペプチド
を発現するように指示されたミエローマまたはハイブリドーマであり得る。
【0081】 本明細書で使用される「分泌する」の用語は、本発明の目的において単離する
ことができる形態でポリペプチドを発現することをいう。ハイブリドーマの例で
は、ポリペプチドが通常、発現して、ハイブリドーマが成長する培地中に放出さ
れる。細胞膜に会合して残存し、あるいは細胞内区画に(compartment)残存する
ポリペプチドとなる発現形態もまた、この用語の使用によって包含される。
【0082】 なおも他の側面では、本発明はさらにグラム陰性菌による感染に対して対象を
積極的に免疫化する方法を提供する。この方法は対象に、グラム陰性菌による感
染に対して対象の防御を誘発するのに有効な量にて、薬学的に適切な担体中で調
製されたOmpA、PAL、MLP、またはこれらの免疫原性部分から選択され
る単離OMP抗原を投与することに関する。この方法は3種のOMPのいずれか
、または組み合せに対する免疫を必要とし、さらにOmpA、PAL、またはM
LPと区別されるアジュバントとともにOMP抗原を投与することを必要とする
。このようなアジュバントの例としては上記列挙したものがある。ここでは、有
効量とは抗原に対する防御的免疫反応を誘発するのに十分な量である。これは抗
原に特異的な循環IgG抗体の力価として表され、少なくとも約1:16または
未曝露である非免疫対象にて測定したコントロール力価の少なくとも2倍である
。あるいは、これは抗原に再度曝露したとき、迅速な既往症反応として表れ得る
(抗原特異的IgG力価において増加を伴う)。
【0083】 「抗原」の用語は、いかなるタイプの分子、通常、ポリペプチドまたは多糖体
を広く含み、これは異物であるとして、宿主免疫系によって認識される。本明細
書中に使用される「OMP抗原」とは、そのOMPに特異的免疫反応を誘発する
ことができるOmpA、PAL、またはMLPの無処置形態または免疫原性断片
をいう。特異的免疫反応は通常、抗原の少なくとも1つのエピトープに特異的に
結合する抗体の産生に関与する。特異的免疫反応は主要な組織適合性複合体(M
HC)と共同して、抗原のペプチド断片を特異的に認識する抗原受容体を担うT
細胞による反応にも関与する。すなわち、OMP抗原に対する特異的免疫反応と
しては、OMP抗原の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する抗体の産
生、およびMHCと共同してOMP抗原のペプチド断片を特異的に認識する抗原
受容体を担うT細胞による反応を挙げることができる。
【0084】 本発明は、他の態様では、グラム陰性菌に感染した対象を治療する方法を提供
する。この方法はグラム陰性菌による感染を治療するのに有効な量にて、Omp
A、PAL、またはMLPに特異的に結合する単離ポリペプチドを、このような
治療を必要とする対象に投与することに関する。好ましくは、単離ポリペプチド
はin vivoでグラム陰性菌の成長を阻止するのに有効な量にて投与する。
この成長阻止効果は、例えば、ポリペプチドの存在下および不存在下に、感染体
液から採取した標準培養物中におけるコロニー形成単位の数を比較することを含
む、当該技術分野で周知である方法によって決定することができる。ポリペプチ
ドの存在による阻止効果は、ポリペプチドの非存在下の対応するコロニー数と対
比してコロニー数の減少または低下を伴うであろう。より好ましくは、単離ポリ
ペプチドをグラム陰性敗血症を阻止するのに有効な量にて投与する。単離ポリペ
プチドは、生体内でOmpA、PAL、またはMLPに特異的に結合するかぎり
、抗体または他のポリペプチド(上記したような)である。単離ポリペプチドは
薬学的に適切な担体にて投与する。
【0085】 「治療する」の用語は、治療中の障害または疾患の発症を予防、症状を軽減、
または進行を停止するために十分である治療上、有効な量の化合物を対象に投与
することと定義される。「治療上、有効な量」の語句は、治療中の障害または疾
患の発症を予防、症状を軽減、または進行を停止するために化合物の量を意味す
る。すなわち、本明細書に使用されるように、グラム陰性菌が引き起こす感染症
を治療するのに有効な量は、グラム陰性菌が引き起こす感染症の発症を予防、症
状を軽減、または進行を停止する有効量である。
【0086】 本明細書に使用される「グラム陰性敗血症を阻止する」の用語は、グラム陰性
菌による感染に対する全身性炎症反応に関連する多数の誘導および反応シグナル
および事象のいかなる態様をも阻止することをいう。これは初期および後期敗血
症の両方、すなわち心血管代償不全の段階の前および中、および器官機能障害お
よび外傷後の敗血症を包含することを意味する。敗血症の発症における初期事象
およびシグナルは、炎症誘発性サイトカイン、例えば、IL−1β、IL−6、
およびTNF−αの誘発、ならびにIL−8、ガンマインターフェリン(INF
−γ)、ケモカイン、遊走阻止因子(MIF)、一酸化窒素、キニン、補体、血
小板活性因子(PAF)などを含む他のサイトカインおよび媒介物の生成および
放出を含む。後期敗血症の敗血症関連機能障害および損傷を特に受け易い器官と
しては、肺、肝臓、および腎臓が挙げられる。後期敗血症においてしばしば遭遇
する他の問題は、皮膚、消化管、中枢神経系、骨髄、および心血管系の障害があ
る。
【0087】 特定の理論に固執する意図はないが、グラム陰性敗血症の阻止が達成すると考
えられるメカニズムは、クリアランス、中和およびオプソニン作用を含む。これ
らの種々のメカニズムは全細菌、細菌の不溶性断片、および細菌が放出する可溶
性因子に適用することができる。細菌が放出する可溶性因子としては、OMP自
体であって、遊離またはLPSとの複合体が挙げられる。
【0088】 本明細書中に使用される「クリアランス」の用語は、血液循環からの除去を意
味する。これは排泄、隔絶または分解などによるクリアランスを含むことができ
る。
【0089】 本明細書中において使用される「グラム陰性菌の不溶性断片」は、遠心分離に
よって血清から、または溶液から沈澱させ得る、グラム陰性菌由来の特定成分ま
たは成分の凝集体をいう。このような断片の例としては、細胞壁断片、膜小疱な
どが挙げられる。
【0090】 本明細書中に使用される「中和する」の用語は、生物学的に活性な分子とその
細胞性受容体との間の相互作用の立体的干渉による分子の生物学的活性抑止をい
う。全細菌に適用するには、「中和する」との用語は細菌上の生物学的活性分子
と感染宿主細胞上のそれらの受容体との間の相互作用の立体的干渉による全細菌
の生物学的活性の抑止をいう。同様に、細菌の不溶性断片に適用するには、「中
和する」の用語は断片上の生物学的活性分子と感染宿主細胞上のそれらの受容体
との間の相互作用の立体的干渉による断片の生物学的活性の抑止をいう。
【0091】 本明細書に使用される「オプソニン化する」の用語は、抗体とそれらの同族抗
原の免疫複合体の形成をいう。オプソニン化は、結合標的の食細胞活動、血液循
環から結合標的の除去および中和を生じる。全細菌に関しては、オプソニン化は
補体活性による細胞分解にもつながり得る。
【0092】 本発明のこの側面においては、グラム陰性敗血症を示す対象を治療する方法は
、さらに有効量の免疫刺激剤を対象に投与することを含む。免疫刺激剤としては
、アジュバント(上記したような)、サイトカイン、またはサイトカインまたは
同時刺激分子を誘発する物質が挙げられる。
【0093】 サイトカインとしてはインターロイキン、インターフェロン、ある種の成長因
子、およびコロニー刺激因子が挙げられる。これらのうち、例えば、インターロ
イキン(IL)−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、インター
フェロン(IFN)−γ、腫瘍壊死因子(TNF)−α、トランスフォーミング
成長因子(TGF)−β、および顆粒コロニー刺激因子(G−CSF)が挙げら
れる。
【0094】 同時刺激分子としては、例えば、CD2、CD28、CD40、CD48、C
D80(B7−1)、CD86(B7−2)、CD152(CTLA−4)が挙
げられる。
【0095】 ケモカインとしては、その構造に基づいて、4つのサイブファミリー:CXC
、CC、C、およびCXCの化合物が挙げられる。ケモカインの例としては、
とりわけMIP−1α、MIP−1β、RANTES、MCP−1、MCP−2
、IL−8、およびGROαが挙げられる。
【0096】 免疫グロブリン、サイトカイン、共刺激分子、およびケモカインのアッセイは
は当業者には周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,
John Wiley & Sons, New York, 1999 参照。多くの市販キット、特にELISA
は、これらのほとんどの分泌物に対して利用可能である。
【0097】 さらなる他の態様では、本発明はグラム陰性敗血症を示す対象を治療する方法
を提供する。この方法は対象の血液または組織中への少なくとも1つの可溶性因
子の敗血症関連放出を阻止するに有用な量にて、OmpA、PAL、またはML
Pに特異的に結合する単離ポリペプチドを投与することに関する。OmpA、P
AL、またはMLPの少なくとも一部に特異的に結合する単離ポリペプチドは、
抗体、抗体断片または上記した別のポリペプチドを含むことができる。
【0098】 対象の血液または組織中への少なくとも1つの可溶性因子の敗血症関連放出を
阻止するのに有効な量とは、少なくとも1つの可溶性因子が阻害剤の不存在下に
血液または組織中に正常に放出する条件下に対象に投与した場合、ポリペプチド
の存在下に血液または組織に少なくとも1つの可溶性因子の放出を阻止または放
出量を減少させるに十分な量である。敗血症に関連して放出される可溶性因子は
、感染細菌由来または宿主由来の因子を含む。グラム陰性菌から放出される可溶
性因子の例としては、OMPLPSおよび遊離脂質が挙げられる。宿主由来の可
溶性因子の例としては、サイトカイン(例、IL−1、IL−6、TNF−α)
、HMG−1(ワン(Wang H他、Science 285:248-251 (1999))、ケモカイン、M
IF、および一酸化窒素が挙げられる。
【0099】 本発明はさらに、グラム陰性敗血症を示す対象を治療する方法を提供する。こ
の方法はグラム因子敗血症を示す対象に、対象の血液中にグラム陰性菌が放出す
る少なくとも1つの敗血症関連可溶性因子のクリアランスを増強するのに有効な
量にて、OmpA、PAL、またはMLPの少なくとも一部に特異的に結合する
単離ポリペプチドをグラム陰性敗血症を示す対象に投与することに関する。Om
pA、PAL、またはMLPの少なくとも一部に特異的に結合する単離ポリペプ
チドとしては、抗体、抗体断片、または上記した別のポリペプチドが挙げられる
。好ましい実施形態では、ポリペプチドはOmpA、PAL、またはMLPに特
異的なモノクローナル抗体である。対象の血液中にグラム陰性菌が放出する敗血
症関連可溶性因子としては、LPS、OmpA、PAL、およびMLPのいずれ
か、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】 本発明は、次の例によってさらに説明されるが、これは決して、さらなる限定
として解釈されるべきではない。本願中に引用された参考資料全て(参考文献、
発行された特許、および公開された特許出願を含む)の全内容は、参照として本
願明細書中に援用される。
【0101】 [例] 細菌種、培地および成長条件 大腸菌J5は、J.C.サドッフ(Sadoff)(Walter Reed Army Institute of Resea
rch, Washington, DC)から好意により贈呈された。大腸菌O18K1:H7種Bor
t(大腸菌O18Kと表示)、大腸菌O18K1:G2A(O18:K1:H7
の非カプセル化誘導体、大腸菌O18Kと表示)、大腸菌O8:K45:H1
、大腸菌O16:K1:H6、および大腸菌O25:K5:H1は、A.クロス
(Cross) (University of Maryland Cancer Center, Baltimore) から好意により
贈呈された。OMP欠損大腸菌K12および大腸菌O18変異体および近接して
関連するOMP−含有細菌は、免疫ブロット研究のために使用した。大腸菌O1
8E91(大腸菌O18:K1:H7のOmpA−欠損誘導体)およびE69(大腸
菌O18:K1:H7のOmpA-回復誘導体)は、K.S. キム(Kim)(Los Angeles
Children’s Hospital)から好意により贈呈された。プラサダラオ(Prasadarao)N
V ら、Infect Immun 64:146-153 (1996)。大腸菌K12 1292(ラッツァロ
ニ(Lazzaroni)J-Cおよびポルタリエ(Portalier) R, Mol Microbiol 6:735-742 (
1992))、JC7752(1292のPAL−欠損誘導体)、および7752p417(
JC7752のPAL−回復変異体)は、J-C. ラッツァロニ(Lazzaroni)(Univer
site Claude Bernard, Lyon 1, France)から好意により提供された。大腸菌K1
2 p400、CH202(p400のPAL−欠損変異体)およびCH202
(pRC2)(CH202のPAL−回復誘導体)は、U. ヘニング(Henning)(M
ax-Planck-Institut fuer Biologie, Tuebingen, Germany)から好意により提供
された。チェン(Chen) Rおよびヘニング(Henning) U, Eur J Biochem 163:73-77
(1987)。
【0102】 大腸菌K12 AT1360(Lpp;変異体:DE[gpt−proA]
62、lacy1、tsx−29、gln V44[AS]、galK2[Oc
]、LAM−、aroD6、hisG4[Oc]、xylA5、mtl−1、a
rgE3[Oc]、thi−1)および大腸菌K12 JE5505(Lpp
;変異体:DE[gpt−proA]62、lacy1、tsx−29、gln
V44[AS]、galK2[Oc]、LAM−、lpp−254[del]
、pps−6、hisG4[Oc]、xylA5、mtl−1、argE3[O
c]、thi−1)は、E. coli Genetic Stock Center (New Haven, CT)から入
手した。ピッタード(Pittard) Jおよびウォーレス(Wallace) BJ, J Bactreiol 9
1:1494-1500 (1966); ヒロタ(Hirota) Yら、Proc Natl Acad Sci USA 74:1417-1
420 (1977)。同質遺伝子的ではないが、これらの2つの変異体はほとんど同じ変
異特性を有し、lpp(ムレインリポタンパク質をコードする遺伝子は大腸菌K
12 JE5505において欠失している)、aroD6(3−デヒドロクイナ
ーゼ、26kDaタンパク質をコードする遺伝子がLpp種において変異して
いる(ダンカン(Duncan) Kら、Biochem J 238:475-483 (1986))およびpps−6
(ホスホエノールピルベートシンセターゼ、およそ84kDaタンパク質をコー
ドする遺伝子がLpp種において変異している(ジース(Geerse) RH ら、Mol G
en Genet 218:348-352 (1989))においてのみ相違する。
【0103】 細菌は、トリプチカーゼ・ソイ・アガー(TSA, Difco)上に貯蔵したコロニーか
ら得たトリプチカーゼ・ソイ・ブロス(TSB, Difco, Detroit)中で培養した。培
地には、プラスミドを保持するために、大腸菌K12 CH202pRC2用カ
ナマイシン(50mg/ml)および大腸菌K12 JC7752p417用ア
ンピシリン(100mg/ml)を補充した。細菌は所望の成長相になるまで、
激しく攪拌しながら、37℃で培養し、収集し、滅菌規定生理食塩水で低速度遠
心分離により洗浄した(5000〜8000×g、8〜10分、4℃)。
【0104】実施例1 モノクローナル抗体 方法:先の研究では、抗−J5 IgGは細菌表面上に存在し、ヒト血清中に
OMP/LPS複合体として放出されるMW 35kDa、18kDa(既に、
それぞれ37kDaおよび24kDaとして推定されている:ヘルマン(Hellman
) Jら、J Infect Dis 176:1260-1268 (1997))および5−9kDaの3種のOM
Pと結合することが示されていた。モノクローナル抗体はJ5抗血清中でIgG
が結合する3種のOMPのそれぞれ、および大腸菌O18 LPSのO−多糖体
に対して調製した。抗−OMPモノクローナル抗体の産生には、BALB/cマ
ウス(Charles River Laboratories, Wilmington, MA)を記述されるように調製し
た熱死滅した凍結乾燥大腸菌J5ワクチンで免疫化した。シバー(Siber) GRら、
J Infect Dis 152:954-964 (1985)。ワクチンを滅菌規定生理食塩水(1mg/
ml)中に再懸濁した。用量を増加しつつ、週に3回、3週間、腹腔内注射した
(0.1mg、0.2mgおよび0.3mg)。追加免疫注射を1〜3ケ月間、
毎月行い、脾臓を収集する3日前に最終追加免疫を行った。脾臓細胞を収集し、
標準的研究プロトコールによって、ミエローマ細胞と融合した。ケーラー(Kohle
r) Gら、Eur J Immunol 6:292-295 (1976); Cold Spring Harbor Laboratory (1
988)「抗体:研究室マニュアル」、Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Ha
rbor。融合細胞は、グルコース(4.5mg/L)、L−グルタミン、20%熱
不活性化胎児牛血清(Mediatech)、ペニシリン(100単位/ml)、およびス
トレプトマイシン(100mg/ml)を補充したDulbecco’s Modification o
f Eagle’s Medium (DMEM, Mediatech Cellgro)中で培養した。
【0105】 前記3種のOMPをヒト血清中でインキュベートした後、細菌表面上に曝露さ
せる。ヘルマン(Hellman) Jら、J Infect Dis 176:1260-1268 (1997)。したがっ
て、モノクローナル抗体は最初、被覆抗原として異種血清-曝露平滑大腸菌単離
体(大腸菌O8:K45:H1、O16:K1:H6およびO25:K5:H1)
、および一次抗体としてハイブリドーマ培養上清を使用して、細菌ELISAに
よってスクリーニングした。ヘルマン(Hellman) Jら、J Inf Dis 176:1260-68 (
1997)。 細菌は550nmでの光学密度(A550)により測定した所望相にまで成長
させ、滅菌生理食塩水で洗浄し、A550が1.0になるまで血清または生理食
塩水中に懸濁し、所定時間(10分間〜1時間)、37℃でインキュベートした
。細菌を滅菌規定生理食塩水で3回、遠心分離して(5000〜8000×g、
8〜10分間、4℃)洗浄し、等量の炭酸緩衝液、pH9.6(50mM炭酸ナ
トリウム、EM Science, Cherry Hill, NJ)中に再懸濁した。ポリビニルマイク
ロタイタープレート(Dynatech Laboratories, Chantilly, VA)に細菌(10
菌/ml)を被覆し、4℃で一夜、インキュベートした。次いで、マイクロタイ
タープレートを3回、洗浄し(PBS、1mg/ml Tween 20、1m
g/mlウシ血清アルブミン[BSA]、2mg/ml MgCl)、BSA
(1mg/ml)含有PBSを使用して、4℃で一夜、ブロックし、再び洗浄し
た。正常ウサギ血清(NRS)または大腸菌J5に対するウサギ抗血清の希釈物
を添加し、プレートをインキュベートした(2時間、37℃)。さらに3回洗浄
した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗−ウサギIgG(Cappel, Durham, N
C)を添加し、プレートをインキュベートし(2時間、37℃)、洗浄した。ペル
オキシダーゼ基質(ABTS中、1mg/ml H、クエン酸、Na
PO)を添加し、プレートを室温で30分間、インキューベトし、A405
読み取った(ELISAリーダーEAR400;SLT Lab Instruments, Hillsbo
rough, NC)。力価を上記のようにして標準曲線を使用して測定した。ゾーリンガ
ー(Zollinger) WDおよびボスレゴ(Boslego) JW, J Immunol Methods 46:129-140
(1981)。標準曲線は公知濃度のウサギIgG(Cappel)を使用して作成した。全
てのアッセイは繰り返して行い、平均値を測定した。
【0106】 血清曝露細菌に結合した抗体を、次いで、抗原として大腸菌O25:K5:H
1細菌性分解物、および一次抗体として融合から得た上清を使用する免疫ブロッ
トによって、3種のOMPへの結合について分析した。免疫ブロットを使用して
、抗血清の結合性および洗浄細菌(10/ウェル)に対するモノクローナル抗
体および、血清曝露細菌の濾液からアフィニティ精製した細菌性抗原を検出した
。全ての試料は試料緩衝液(トリス塩基中、2.5%SDS、22%グリセロー
ル、0.5%β−メルカプトエタノール、および痕跡ブロモフェノールブルー)
中で調製した。試料を200mAの定電流を4℃で1時間、加えて(Hoefer Scie
ntific Instruments, San Francisco)、16%SDS−ポリアクリルアミドゲル
上で電気泳動させ、ニトロセルロース(BiO-Rad Laboratories, Hercules, CA)に
転写した。ほとんどの実験では、ニトロセルロースをTTBS中に(150mM
NaCl、50mM Tris、0.1% Tween−20、pH7.5)
1%粉末スキムミルクを使用してブロックし(室温で1時間または4℃で一夜)、
TTBSを使用して10〜15分間、洗浄し、一次抗体とともにインキュベート
し、3回、洗浄した。一次抗体は熱死滅大腸菌J5および大腸菌O18 O−多
糖体(ともにTTBS中で1:500に希釈されている)に対するウサギ抗血清
中のIgG、熱死滅大腸菌J5に対するマウス抗血清中のIgG、および前記3
種のOMP(濃度1μg/ml)それぞれに対するマウスモノクローナル抗体を
含んでいた。次いで、ブロットをビオチン−結合抗−ウサギまたは抗−マウスI
gG抗体(Vectastain, Vector Laboratories, Burlingame, CA)とともに30分
間、インキュベートし、TTBS中で1:240に希釈し、洗浄し、次いで、製
造者の指示書(Vectastain)に記述されるようにして、アビジンとビオチン化西洋
ワサビペルオキシダーゼ複合体の混合物中で、30分間、インキュベートした。
PBSで最終洗浄した後、ペルオキシダーゼ基質(3mg/ml 4−クロロ−
1−ナフトール2ML、PBS 8ml、10μlの30%H)を添加し
た。希釈水で繰り返し洗浄して、30分後に反応を停止させた。
【0107】 最初のスクリーニングに続いて、目的のハイブリドーマを各4ウェル中、1個
の細胞まで限界希釈してサブクローン化し、下記結合特性を有する抗体の強い成
長特性と高い生産性を有するサブクローンを引き出した。ポリクローナルマウス
抗-J5 IgGをポジティブコントロールとして使用し、免疫前血清をネガティ
ブコントロールに供した。
【0108】 2つの方法を使用して、上記のように単離したハイブリドーマ細胞株から多量
のモノクローナルIgGを調製した。 3種のOMPそれぞれに対するモノクロ
ーナル抗体および大腸菌O18 LPSのO−多糖体に対するモノクローナル抗
体(Mab抗−O18 IgG)は、マウスハイブリドーマ細胞株によるBALB
/cマウスの腹水中に産生した。Mab抗-O18 IgGを産生するハイブリド
ーマ細胞株は、A.クロス(Cross)から好意により寄贈された。キム(Kim) KS ら、
J Infect Dis 157:47-53 (1988)。プリスタン(Pristane)(Sigma, St, Loui
s MO)0.5mlを腹腔内点滴投与した後、10日目に5〜10×10個のハ
イブリドーマ細胞を収集し、Hank’s Balanced Salt Solution (Cellgro, Media
tech Inc., Herndon, VA)で2回洗浄し、腹腔内に注射した。腹水を2〜3日毎
に3回、吸引によって収集した。Cold Spring Harbor Laboratory (1988)「抗体
:研究室マニュアル」、Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor。18
kDa OMPに対するモノクローナル抗体もまた、人工的キャピラリー細胞培
養システム(Cellmax, Cellco, Laguna Hills, CA)にて産生した。カートリッジ(
Cellmax 011 module)を2.5×10個の生細胞とともにインキュベートした
。培養培地はグルコース(4.5mg/L)、L−グルタミン、2.5〜10%
熱不活性化胎児牛血清(Mediatech)、ペニシリン(10単位/ml)、およびス
トレプトマイシン(100mg/ml)を補充したイーグル培地のダルベッユ修
飾(DMEM、 Mediatech Cellgro)であった。人工的カピラリー細胞培養で産生
したIgG濃度は、ELISAで測定して0.3〜1.0mg/mlであった。
抗−OMP抗体は、免疫ブロットではLPSまたはヒト血清中のタンパク質と交
差反応を示さなかった。Mab抗−O18 IgGは免疫ブロットで他の生物体
から得たLPS、OMPまたはヒト血清中のタンパク質とは交差反応しない。
【0109】 IgGは硫酸アンモニウム沈澱後に腹水から、および過免疫血清から精製した
。Cold Spring Harbor Laboratory (1988)「抗体:研究室マニュアル」、Cold S
pring Harbor Press, Cold Spring Harbor; ウォーレン(Wallen) HSら、J Infec
t Dis 163:1256-1266 (1991); ゲ(Ge) Yら、J Infect Dis 169:95-104 (1994)。 簡単には、タンパク質G−セファロース(Sepharose) 4ファーストフロー(fast-
flow)カラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)上を通過させて、アフィニティークロ
マトグラフィーを行った。結合IgGを0.1Mグリシン(pH2.7)を使用
してカラムから溶出し、直ちに1M Tris緩衝液(pH9.0)を使用して
中和した。精製IgGをPBS(pH7.2)に対して透析し、−80℃で貯蔵
した。タンパク質濃度はELISAおよび280nmでの吸光によって測定した
。ゾリンガー(Zollinger) WDおよびボスレゴ(Boslego) JW, J Immunol Methods
46:129-140 (1981)。
【0110】 結果:10個の脾臓融合体から、ELISAによって異種血清曝露細菌の表面
に結合する9個の抗体が同定された。免疫ブロット分析は9個のIgGのうち7
個が3種のOMPのうちの1つに結合することを明らかにした。これらの抗−O
MPモノクローナルIgGのうち、3個(2D3、6D7、および1C7)が多
量生産のために選択された。それぞれは3種のOMPの1つに対して特異性を有
する。これらの3種のモノクローナルIgGおよびポリクローナル抗−J5 I
gGで染色した大腸菌O6細菌の分解物の代表的免疫ブロットは、図1に示され
る。
【0111】 抗原は16%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動され、ニトロセル
ロースへ転写した。免疫ブロットの一次抗体は、ポリクローナルマウス抗-J5
IgG(レーン1)、および大腸菌J5ワクチンで免疫化したマウスから誘導した
3種の別個のモノクローナル抗体、2D3(レーン2)、6D7(レーン3)、
および1C7(レーン4)を含む。バンドの推定分子量(kDa)は、図の左側
に示されている。
【0112】例2 OmpAの同定 我々は見かけの分子量およびバンドの電気泳動移動度が煮沸により変化するこ
とに基づき、35kDaタンパク質がOmpAであると仮定した。ヒンデンナッ
ハ(Hindennach) I およびヘニング(Hening) U, Eur J Biochem 59:207-213 (197
5)。このタンパク質を同定するために免疫ブロット研究を行った。
【0113】 組換え外膜タンパク質A(OmpA) 21個のアミノ酸シグナル配列を除いた325個のアミノ酸成熟OmpAタン
パク質のコード領域(GenBank受託番号#V00307)を、大腸菌O1
8:K1:H7の抽出物から得たDNAのPCR増幅によって作成した。Omp
A−特異的PCRプライマー、OmpABac1およびOmpABac2は、ト
ランスファープラスミドpBACgus−2cp(Novagen, Madison, WI)中にク
ローン化するための5’伸長部を含んでいた。 OmpA Bac1: 5’-GACGACGACAAGGCTCCGAAAGATAACACCTG-3’ (SEQ No.1) OmpA Bac2: 5’-GAGGAGAAGCCCGGTTAAGCCTGCGGCTGAGTTAC−3’ (SEQ No.2)
【0114】 次いで、OmpAコード配列を含むトランスファープラスミド(OmpA/p
BACgus−2cp)を製造者の指示書(Novagen, Madison, WI)に従って、
Sf9細胞中のBacVector−2000 Triple Cut バキュ
ロウイルス(Baculovirus)DNA中に形質導入した。ポジティブ組換え体は増大
し、高力価ウイルスを産生して、Sf9細胞中に最大タンパク質発現である感染
多重度が10〜20の範囲となった。最終バキュロウイルス(Baculovirus)構築
物は、エンテロキナーゼ認識配列、S−タンパク質結合部位およびポリヒスチジ
ン末尾を含むインフレームアミノ末端伸長部(融合配列はpBACgus−2c
pトランスファープラスミドによってコードされていた)を有するOmpAコー
ド配列を含んでいた。36.5kDaOmpA融合タンパク質(計算分子量)は、
製造者(Clontech, Palo Alto, CA)の指示書に従って、タロン(Talon)コバルト金
属親和性樹脂上のポリヒスチジンアフィニティークロマトグラフィーによって、
バキュロウイルス(Baculovirus)−感染Sf9細胞分解物から精製した。
【0115】 35kDaOMPはOmpAである。 大腸菌O18細菌の単離体であって、OmpA遺伝子が欠損し、次いで、この
種の中にもどされた単離体(プラサダラオ(Prasadarao)NVら、Infect Immun 64:1
46-153 (1996)および組換えOmpAは、16%SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル上で電気泳動し、ニトロセルロースへ移送し、上記のようにして行った免疫ブ
ロット分析では抗原として使用した。一次染色抗体は、抗−J5 IgGおよび
、35kDa OMP(2D3)に対するモノクローナルIgGを含んでいた。抗
−J5 IgGと2D3はOmpA遺伝子が欠失した細菌分解物中で35kDa
バンドと反応せず、野生型種および、遺伝子が再挿入された種中の35kDaバ
ンドと反応した(図2)。細菌種は、野生型OmpA大腸菌O18:K1:H7
(レーン1);E91、大腸菌O18:K1:H7のOmpA−欠失変異体(レー
ン2);E69、および大腸菌O18:K1:H7のOmpA−回復変異体(レー
ン3)である。分子量マーカー(kDa)は左側に示される。
【0116】 組換えOmpAは抗-J5 IgGおよび2D3で染色した(図3)。組換えO
mpA(各パネルのレーン1)および大腸菌O18:K1:H7細菌の分解物(各
パネルのレーン2)を、16%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動さ
せ、ニトロセルロースに移送した。一次抗体はポリクローナルマウス抗−J5
IgG(左パネル)およびモノクローナル抗体2D3(右パネル)を含んでいた。組
換えOmpAは、おそらく組換えタンパク質上に存在するポリヒスチジンタグゆ
えに、わずかに高い分子量で走行した。これらの結果は、35kDaOMPがO
mpAであり、2D3がモノクローナル抗−OmpAIgGであることを示す。
【0117】例3 PALの同定 方法:18kDaOMPの最終精製手段は、1)全細菌膜の調製、2)細菌膜
のトリトン(Triton)X−100抽出、3)6D7(抗−18kDaOMPモノク
ローナル抗体)に共役したセファロースビーズを使用するアフィニティークロマ
トグラフィー、および4)逆相HPLC分離からなる。精製工程は以下の通りで
ある。
【0118】 全細菌膜を上記のように本質的には大腸菌O18K細菌の中後期の対数期培
養物から調製した。ヘルマン(Hellman)Jら、J Infect Dis 176:1260-1268 (1997
); ムンフォード(Munford) RSら、J Bacteriol 144:630-640 (1980)。他に示さ
れない限り、全ての工程は4〜6℃で実施した。細菌培養物2Lを遠心分離して
集めて、得られたペレットを25%ショ糖(w/v)、0.2mMジチオスレイ
トール(DTT, Fisher Biochemcals, Fair Lawn, NJ)とともに、前もって冷却
した10mM HEPES緩衝液(pH7.4)全60mlに再懸濁した。RN
aseおよびDNase(Sigma, St. Louis)をそれぞれ最終濃度4μg/mlに
なるまで添加した。氷上で懸濁液を超音波処理して細胞を破砕した(マイクロチ
ップ、60〜90秒毎に30〜60秒のバースト、全超音波時間4分間)。未破
砕細菌および他の細片は、超遠心分離して除去し(10,000×g、40分間
)、上清を収集した(容量60ml)。EDTA(25mM)およびDTT(0
.2mM)を含むHEPES緩衝液(pH7.4)15mlを60mlに添加し
て、ショ糖濃度を20%(w/v)およびEDTA濃度を5mMにまで調整した
。試料を60%(w/v)ショ糖クッション上に載置し(4.5mlクッション
毎に7.5ml試料)、超遠心分離した(100,000×g、3時間、6℃)
。界面のぼんやりした白/黄色バンド中に存在する細菌膜は20ゲージ針でチュ
ーブ側部を穿刺して収集し、1mlシリンジで徐々に吸引した(約0.5ml/
チューブ、最終容量5ml)。全膜はトリス(Tris)−HCl(20mM、pH8
)に対して、一夜、透析し(2L)、次いで、新鮮な緩衝液に対して48時間、
透析した(4L)。透析物の最終容量は、原料細菌培養物の約15ml/2Lで
あった。
【0119】 原料細菌培養物8リッターから得た透析全膜60mlを窒素加圧システムおよ
びDiaflo限外濾過膜、YM30フィルター(Millipore Company, Danvers, MA)を
使用し、製造者の指示書に従って、36mlまで濃縮し、トリトン(Triton)X−
100にて抽出した。プロテアーゼ阻害剤4−(2−アミノエチル)−ベンゼン
スルホニルフルオライド(SIgMa)およびEDTAを含む、トリス(Tris)H
Cl(20mM、pH8.4)中の10%トリトン(Triton)X−100のストッ
ク溶液12mlをこの膜へ添加した(最終濃度:2.5%トリトン(Triton)X−
100、0.5mM 4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオラ
イド、5mM EDTA)。試料を室温で30分間、インキュベートし、次いで
、超遠心分離した(TH641スイングバケットローター、100,000×g
、2時間、6℃)。得られた上清(48ml)を貯蔵した。
【0120】 界面活性剤抽出膜上清は、CNBr活性化セファロース(Sepharose)4Bビー
ズを共有結合した18kDaOMPに対するマウスモノクローナルIgG(6D
7)の5.5mlカラム中を9〜10ml/時にて、一夜循環させた(4℃)。
未結合物質は200mM NaPhos、0.5M NaCl、pH6.8中の
2.5%トリトン(Triton)X−100の36mlを使用してカラムから洗浄した
。結合抗原はSDSの濃度を増加させながら溶出した(200mMphos、0
.5M NaCl、pH6.8中、0.125、0.25、0.5、および1%
)。各濃度のSDS3mlをカラムに適用し、続いて洗浄緩衝液9mlを流した
。タンパク質は0.5%および1%SDS溶出試料中に検出された。0.5%お
よび1%SDSで溶出した物質は、一緒にして、CentriconPluS−
20遠心分離フィルター装置(10kDaカットオフ、Biomax−8シリー
ズ、Millipore Corporation)で遠心分離によって4mlまで濃縮した。
【0121】 濃縮アフィニティー精製試料3mlを分析C4逆相HPLCカラム(Vydac, He
speria, CA)にかけて、5〜95%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸
/Hの直線濃度勾配を使用して流速1ml/分で溶出した。画分を2倍濃
度のSDS−PAGE試料緩衝液(トリス(Tris)塩基中、5%SDS、44%グ
リセロール)20μl中に、1分毎に収集し、凍結乾燥した。凍結乾燥試料をβ
−メルカプトエタノール(0.5%)および微量ブロモフェノールブルーを使用
して、水40μl中に再懸濁し、加熱した(100℃、5〜10分間)。画分を
電気泳動にかけ、一次抗体として抗−J5 IgGまたは6D7(モノクローナ
ル抗−18kDa OMP IgG)を使用して、免疫ブロットを行って、18
kDaOMPについて分析した。
【0122】 C4 HPLC分離から得たピーク画分を16%SDS−ポリアクリルアミド
ゲル上で電気泳動にかけ、クーマシー(Coomassie)ブリリアントブルーで染色し
た。次いで、かすかに染色した18kDaバンドをゲルからカットし、2回、洗
浄し(50%アセトニトリル、0.5ml、3分間)、凍結した。ゲル中のタン
パク質をトリプシン分解した2つのペプチドの配列分析はHarvard Microchemist
ry Facilityで、FinniganLCQ四極子イオントラップ質量分析計を使
用するタンデム質量分析(MS/MS)により実施した。
【0123】 18kDa OMPはPALである。 2つのペプチド配列が得られ(配列1および配列2、それぞれ10および14個の
アミノ酸)、それぞれがPALと相同性100%を有して位置づけられていた。 配列1: VTVEGHADER (SEQ ID:3) 配列2: [G][V]SADQ*I*VSYGK* (SEQ ID:4) 括弧([ ])はアミノ酸が合理的確信をもって同定されたことを示す。星印(
*)はアミノ酸が等圧性(isobaric)であり、質量分析配列決定によって明白に差
別化され得ない。全てのアミノ酸は、もっとも高い確信をもって割り当てられた
【0124】 PALの同定は、免疫ブロット研究によって確認した。図4では、PAL遺伝
子(excC)を欠失、または欠失に次いで置換した大腸菌K12細菌の分解物
は、一次抗体として抗-J5 IgG(左パネル)またはモノクローナル抗-18k
Da OMP IgG 6D7(右パネル)を使用して免疫ブロットした。図4の両
パネルの細菌種は、PAL含有大腸菌K12p400(レーン1);CH202、
大腸菌K12p400のPAL欠失変異体(レーン2);CH202prC2、C
H202のPAL−回復変異体(レーン3);PAL−含有大腸菌K12 12
92(レーン4);JC7752、1292のPAL−欠失変異体(レーン5)
;およびJC7752p417、JC7752のPAL−回復変異体(レーン6
)である。抗−J5 IgGおよび6D7はPAL−欠失細菌の分解物中の18
kDaバンドと反応しなかったが、野生型種と、再挿入した遺伝子を有する種の
18kDaバンドと反応した(図4)。これらの結果は18kDa OMPがP
ALであり、6D7はモノクローナル抗−PAL抗体であることを示す。
【0125】例4 MLPの同定 5〜9kDaOMPはムレインリポタンパク質(MLP)である。 我々は、5〜9kDaOMPがその低分子量およびサイズの不均一性に基づい
てMLPであると仮定した。ハンケ(Hantke) Kおよびブラウン(Braun) V, Eur J
Biochem 34:284-296 (1973)。したがって、ムレインリポタンパク質(lpp)
遺伝子が欠失した大腸菌K12の単離体、MLPを含有する非常に密接して関連
した変異体種、および標準的研究種、大腸菌O18(MLPも含有)を同じ免疫ブ
ロットにおいて抗原として使用した。図5では、左パネルの免疫ブロットは抗−
J5 IgGを使用して展開し、右パネルの免疫ブロットは5〜9kDaOMP
(1C7)に結合するモノクローナルIgGを使用して展開した。図5に示された
2つの免疫ブロットの種々のレーンは、MLPを含有する大腸菌O18K(レ
ーン1); MLP-欠失大腸菌K12 JE5505(レーン2);およびMLPを
含有する近接関連大腸菌K12 AT1360(レーン3)に対応する。抗−J5
IgGおよび1C7 IgGは、MLP欠失種の細菌性分解物の5〜9kDa
バンドと反応しなかった(レーン2)。これらの結果は、低分子量交差反応性OM
PがMLPであり、モノクローナル抗体1C7はMLPと反応することを示す。
【0126】 上記のように、LppおよびLpp大腸菌K12単離体の変異特性はほと
んど同じであり、lpp(MLPをコードする遺伝子)の欠失およびLpp
離体のaroD6(26kDaタンパク質をコードする遺伝子)およびLpp 単離体のppS−6(84kDaタンパク質をコードする遺伝子)の変異が相違
する。ピッタード(Pittard) J およびウォーレス(Wallace) BJ, J Bacteriol 91
:1494-1500 (1966);ヒロタ(Hirota) Yら、Proc Natl Acad Sci USA 74:1417-142
0 (1977)。aroDおよびppS−6の未変異遺伝子産物は、MLPの分子量よ
りもかなり大きい分子量を有し(MLPにおける5〜9kDaに対して、それぞ
れ26および84kDa)、MLPが示す分子量と同じ不均一性を示すと記載さ
れていない。ダンカン(Duncan) Kら、Biochem J 238:475-483 (1986); ジース(G
eerse) RHら、Mol Gen Genet 218:348-352 (1989)。すなわち染色パターンにお
ける相違は、lpp以外の変異体によるものであるとは断定できない。
【0127】例5 ヒト血清中でインキュベートした細菌から放出されたOMPの同定 先の研究では、ヒト血清中でインキュベートした大腸菌およびサルモネラ(Sal
monella)細菌は、O−鎖特異的抗−LPS IgGを使用してアフィニティー精
製できるOMPおよびLPSの複合体を放出することが示されている。ヘルマン
(Hellman) Jら、J Infect Dis 176:1260-1268 (1997); フロイデンバーグ(Freud
enberg) MAら、Microbial Pathogensesis 10:93-104 (1992)。OmpA、PAL
、およびMLPがヒト血清中に、細菌が放出したOMPLPS複合体中に存在す
るとの仮定を試験するために、ポリクローナル抗−O18 IgGを上記のよう
に、大腸菌O18K細菌とインキュベートしたヒト血清の無菌濾液から、LP
Sをアフィニティー精製するために使用した。
【0128】 方法:下記IgGを製造者の指示書に従い、かつ先に記載したようにして(ヘ
ルマン(Hellman) Jら、J Infect Dis 176:1260-1268 (1997))、磁性粒子(BioMa
g Amine Terminated 8-4100, PerSeptive Diagnostics, Cambridge, MA)に共有
結合させた。大腸菌O18 LPSのO−多糖体に対するマウスモノクローナル
IgGおよび未関連マウスIgG1(ATCC, Rockville, MD)、大腸菌O18
O−多糖体ワクチンおよび熱死滅大腸菌J5に対するウサギ抗血清からのIgG
、および正常ウサギ血清からのIgG(正常ウサギIgG)。簡単には、磁性粒子
を5%グルタルアルデヒド中でインキュベートして活性化し、洗浄し、5mg I
gG/mlにて透析IgGとともにインキュベートした。粒子に共有結合したI
gGの割合は、85〜95%であった。ヘルマン(Hellman) J ら、J Infect Dis
176:1260-1268 (1997)。
【0129】 大腸菌O18K細菌を中対数期相まで成長させ、収集し、洗浄した。得られ
た細菌ペレットをアンピシリン(200μg/ml)とともに等量の正常ヒト血
清中に再懸濁し(10細菌/ml)、回転ドラム上で2時間、37℃でインキ
ュベートした。血清を0.45ミクロンフィルター中を通過させて濾過し、未処
理細菌を除去した。次いで、血清濾液を抗体結合磁性粒子とともにインキュベー
トした。これらのアフィニティー精製研究に使用した抗体としては、ポリクロー
ナル抗−O18 IgG、J5血清から得たIgG、および正常ウサギ血清から
得たIgGが挙げられる。200μlの各試料を、既に洗浄し、800μlのP
BS(IgGの最終濃度100μg/ml)中に再懸濁してあるIgG結合ビー
ズとともにインキュベートした。反応混合物を逆転(end-over-end)混合しながら
、16〜20時間、4℃でインキュベートした。抗原を付着した抗体結合ビーズ
は、次いで、強磁場に試験管をおいて、1:4希釈血清から分離し、ビーズをP
BSで3回、洗浄した。抗原はSDS−PAGE試料緩衝液(トリス(Tris)塩基
中、2.5%ドデシル硫酸ナトリウム、22%グリセロール)100μl中でビ
ーズを加熱して(5分間、100℃)、溶出した。上清を注意深くビーズから分
離し、β−メルカプトエタノール(0.5%)および微量ブロモフェノールを添
加した。次いで、各試料20μlを16%ゲルのレーン上で電気泳動にかけ、ニ
トロセルロースに転写した。ブロットをマウス抗−J5 IgG、Mab抗−O
18 IgG、およびOMPのそれぞれ(2D3、1C7、および6D7)に対
するマウスモノクローナル抗体で染色した。ブロットを二次抗体としてビオチン
化ウマ抗−マウスIgGを使用して、上記のように展開した。
【0130】 捕捉した抗原は、OmpA(2D3)、MLP(1C7)およびPAL(6D7)に
対するマウスモノクローナルIgG、Mab抗−O18、およびマウスポリクロ
ーナル抗−J5 IgGを使用して免疫ブロットした。
【0131】 結果:OmpA、PAL、およびMLPはポリクローナル抗-O18 IgGを
使用してアフィニティー精製した試料中ですべて検出され、細菌がこれらのOM
PおよびLPSを含む複合体を放出することを示す。図6では、OmpA(2D
3)、PAL(6D7)、およびMLP(1C7)に対するマウスモノクローナルI
gGで染色した溶出試料は、3つの左パネルに示され、ポリクローナルマウス抗
−J5 IgGおよび、大腸菌O18 LPSのO−多糖体鎖に対するマウスモ
ノクローナルIgGで染色した試料は、2つの右パネルに示される。種々のレー
ンの試料は、ウサギ抗−J5 IgG(レーン1);ウサギO−鎖特異的抗−L
PS IgG(レーン2);および正常ウサギIgG(レーン3)でアフィニテ
ィー精製されたものに対応する。分子量マーカーは、2セットのパネルの左に示
されたものである。OmpAまたはMLPではなく、PALもまた抗−J5 I
gGを使用してアフィニティー精製された試料中でも検出された(図6)。OM
Pは正常ウサギ血清から得たIgGを使用してアフィニティー精製した試料の免
疫ブロット中で検出されなかった。OMPはヒト血清を使用せずにアンピシリン
ともにインキュベートした細菌の無菌濾液から調製した試料の免疫ブロット中で
も検出されなかった。
【0132】例6 火傷ラットのグラム陰性敗血症モデル OMPの放出は、マウス敗血症モデルから改造したラットの感染火傷モデルで
検討した。スティーブンス(Stevens) EJら、「火傷における浸潤性シュードモナ
ス(Pseudomonas)感染症の定量的モデル」、J Burn Care Rehabil 15:232-235 (1
994)。
【0133】 方法:体重225〜250gmの雄スプラーグドーリー(Sprague-Dawley)ラッ
トをエーテル(SIgMa)で麻酔をかけ、加熱した黄銅バーを用いて、全体表
面の15%を全層火傷に処した(100℃、15秒間)。次いで、ラットの火傷
領域中に大腸菌O18K(10〜100CFU)を皮下注射によって、播種し
た。72時間で、全てのラットは菌血症となり、尾静脈から静脈用量のセフタジ
ジム(80mg/kg)を投与した。血液を3時間後に心臓穿刺によって、5m
M EDTA(凝固を阻止するために)中へ採取し、PBSで4倍希釈した。血
漿は遠心分離して(200×g、5分間、4℃)、次いで、濾過し(0.45ミ
クロン)、未処理細菌を除去した。
【0134】 敗血症ラットから得た濾過血漿を、ポリクローナルウサギ抗−J5 IgG、
抗原非特異的コントロールIgG、および抗−O−鎖特異的IgGを共有結合し
た磁性ビーズとともにインキュベートした。抗体結合ビーズを洗浄し、濾過ラッ
ト血漿500μl中に再懸濁し(IgGの最終濃度100μg/ml)、一夜、
インキュベートし、上記のようにPBSで洗浄した。抗原を50μlのSDS−
PAGE試料緩衝液中でビーズを加熱して溶出し、試料をさらに上記のように処
理した。溶出抗原を含む各試料20μlを16%SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル上で電気泳動させ、ニトロセルロースへ転写した。捕捉細菌性抗原は、一次抗
体として3種のOMPのそれぞれに対するマウスモノクローナル抗体(2D3、
6D7、および1C7)の混合物を使用して免疫ブロットし、より感度の高い化
学発光法によって発光させた。転写後、ニトロセルロースをTTBS中の5%粉
末スキムミルクでブロックし、洗浄し、次いで上記したように一次および二次抗
体とともに、かつ、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼとともにインキュベ
ートした。次いで、ブロットをTTBSで3回、すすぎ洗いし、等量(それぞれ
1〜2ml)の増強ルミノールと酸化試薬(Renaissance Chemiluminescence Rea
gents, NEN Lifesciences Products, Boston, MA)を使用して発色させた。フィ
ルム(Reflection Autoradiography, NEN Lifesciences Products)を30秒〜1
分間、露光した。
【0135】 結果:2匹のラットから得た代表的データは、図7に表されるブロットとして
示される。3つのバンドは9匹のラットのうち、3匹において、抗−O−鎖特異
的IgGでアフィニティー精製した試料中に存在し、少なくとも1〜2バンドは
、9匹のラットのうち、6匹に存在していた。図7のレーンは、セフタジジムの
静脈投与直前の菌血症ラットから採取した血漿(レーン1)およびその3時間後
(レーン2、3、4)に対応する。濾過した血漿は、ポリクローナルウサギ抗−
J5 IgG(レーン1、2)、正常ウサギIgG(レーン3)、および大腸菌
O18 LPSのO−多糖体側鎖に対するポリクローナルウサギIgG(レーン
4)でアフィニティー精製した。ブロット右の黒矢印は、5〜9kDa、18k
Da、および35kDaOMPを示す。ブロットは交差反応性IgGバンドを増
幅するより感度の高い化学発光技術によって発色させた(図の右の白矢印が示す)
。18kDa OMPは9匹のラットのうち、7匹において、抗−J5 IgG
(レーン1および2)を使用してアフィニティー精製した試料中に存在していた
。9匹のラットのうち、2匹には、抗−J5 IgGによる5〜9kDaおよび
35kDa OMPのいくらかの捕捉も存在していた。
【0136】 前述した明細書の記載は、当業者が本発明を実施することができるには十分で
あると考えられる。例は本発明の1つの側面の単なる例示であり、他の機能的に
均等な実施形態は本発明の範囲内にあるため、本発明は示された例によって範囲
を限定されるべきではない。本明細書中に示され、かつ、説明されたものに加え
て、本発明の種々の変更は先の説明から当業者には明白となり、添付する請求項
の範囲内に含まれるであろう。本発明の利点と課題は、本発明の各態様により必
ずしも包含されない。
【0137】 本願中に記載した全ての参考資料、特許および特許公報は、参照としてその全
体を本明細書中に援用される。
【0138】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 抗原として中対数期大腸菌O6細菌の溶菌液を使用するモノクローナル抗体の
免疫ブロット(ミリブロット(Milliblot))分析を示す。免疫ブロットにおける
一次抗体は、ポリクローナルマウス抗−J5 IgG(レーン1)およびモノク
ローナル抗体2D3(レーン2)、6D7(レーン3)、および1C7(レーン
4)を含む。バンドの推定分子量(kDa)は左に示される。
【図2】 OmpA欠損細菌の免疫ブロット分析を示す。中対数期細菌は、16%SDS
−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、ニトロセルロールに移行させる。染
色抗体は、ポリクローナルウサギ抗−J5 IgG(左パネル)、および35k
DaOMPに対するモノクローナル抗体(2D3、右パネル)を含む。細菌性種
は、野生型OmpA大腸菌O18K1:H7(レーン1):E91、大腸菌O
18K1:H7のOmpA−欠損変異体(レーン2);E69、および大腸菌O
18K1:H7のOmpA−回復変異体(レーン3)である。分子量マーカー(
kDa)は左に示されるものである。
【図3】 組換えOPMAの免疫ブロット分析を示す。一次抗体はポリクローナルマウス
抗−J5 IgG(左パネル)および35kDaOMPに対するモノクローナル
抗体(2D3、右パネル)を含む。
【図4】 PAL−欠損細菌の免疫ブロット分析を示す。染色抗体はポリクローナルウサ
ギ抗−J5 IgG(左パネル)、およびモノクローナル抗体6D7(右パネル
)を含む。細菌種は、PALを含む大腸菌K12 p400(レーン1);CH
202、大腸菌K12 p400のPAL−欠損変異体(レーン2);CH20
2 prC2、CH202のPAL−回復変異体(レーン3);PALを含む大
腸菌K12 1292(レーン4);JC7752、1292のPAL−欠損変
異体(レーン5);およびJC7752 p417、JC7752のPAL−回
復変異体(レーン6)である。
【図5】 MLP−欠損細菌の免疫ブロット分析を示す。染色抗体はポリクローナルウサ
ギ抗−J5 IgG(左パネル)、およびモノクローナル抗体1C7(右パネル
)を含む。細菌種は、大腸菌O18K+(レーン1);大腸菌K12 JE55
05、大腸菌K12のMLP−欠損変異体(レーン2);および大腸菌K12A
T1360、MLPを含む大腸菌K12の近接関連単離体(レーン3)である。
【図6】 ヒト血清中に放出されたOMP−含有試料の免疫ブロット分析を示す。溶出試
料をOmpA(2D3)、PAL(6D7)、およびMLP(1C7)に対する
マウスモノクローナルIgG(左3つのパネル)、およびポリクローナルマウス
抗−J5 IgGおよび大腸菌O18 LPSのO−多糖体鎖に対するマウスモ
ノクローナルIgG(右2つのパネル)で染色した。各パネルの試料はウサギ抗
−J5 IgG(レーン1)、ウサギO−鎖特異抗−LPS IgG(レーン2
)、および正常ウサギIgG(レーン3)でアフィニティー精製した。分子量マ
ーカーは示された通りである。
【図7】 大腸菌O18K敗血症により火傷ラットの血液中に放出された細菌断片の免
疫ブロット分析を示す。2つの代表的ラットから得たブロットを示す。レーンは
セフタジジムの静脈投与前(レーン1)および3時間後(レーン2、3、4)の
菌血症ラットから採取したアフィニティー精製血漿から得た試料に対応する。抗
原はポリクローナルウサギ抗−J5 IgG(レーン1および2)、正常ウサギ
IgG(レーン3)、および大腸菌O18 LPSのO−多糖体側鎖に対するポ
リクローナルウサギIgG(レーン4)から溶出し、3つのOMP(2D3、6
D7、および1C7)のそれぞれに対するモノクローナル抗体の混合物で展開し
た(develop)。ブロットの右の黒矢印は、5〜9kDa、18kDa、および3
5kDa OMPを示す。図の右の白矢印は(より感受性ある化学発光技術によ
って増幅した)交差反応IgGバンドを示す。分子量マーカー(kDa)は左に
示される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 ヘルマン,ジュディス アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 02445、ブルックライン、アディントン ロード 128 (72)発明者 カーニック,ジェームス ティー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 01890、ウィンチェスター、ハイランド アベニュー 142 Fターム(参考) 4B065 AA90X AA90Y AB04 BA06 CA25 4C085 AA03 AA13 AA14 BB13 CC22 CC23 DD86 FF02 FF03

Claims (62)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬学的に適切な担体中に、OmpA、PAL、MLP、およ
    びその免疫原性部分からなる群から選択される有効量の単離外膜タンパク質を含
    むワクチン。
  2. 【請求項2】 アジュバントをさらに含む、請求項1に記載のワクチン。
  3. 【請求項3】 アジュバントがAl(OH)、AlPO、QS21、C
    pG、およびこれらの組み合せからなる群から選択される、請求項2に記載のワ
    クチン。
  4. 【請求項4】 単離外膜タンパク質が、OmpAである、請求項1に記載の
    ワクチン。
  5. 【請求項5】 単離外膜が、PALである、請求項1に記載のワクチン。
  6. 【請求項6】 単離外膜が、MLPである、請求項1に記載のワクチン。
  7. 【請求項7】 薬学的に適切な担体中に、OmpA、PAL、MLP、およ
    びこれらの組み合せからなる群から選択される有効量の単離外膜タンパク質を含
    むアジュバント。
  8. 【請求項8】 薬学的に適切な担体中に、OmpA、PAL、およびMLP
    からなる群から選択される外膜タンパク質の、少なくとも一部分に特異的に結合
    する有効量の単離ポリペプチドを含む、グラム陰性菌に感染した対象を治療する
    ための医薬組成物。
  9. 【請求項9】 ポリペプチドが、モノクローナル抗体である、請求項8に記
    載の組成物。
  10. 【請求項10】 ポリペプチドが、モノクローナル抗体の断片を含む、請求
    項8に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 ポリペプチドが、ポリクローナル抗体である、請求項8に
    記載の組成物。
  12. 【請求項12】 ポリペプチドが、合成ポリペプチドのコンビナトリアルラ
    イブラリーの成員である、請求項8に記載の組成物。
  13. 【請求項13】 モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体である、
    請求項9に記載の組成物。
  14. 【請求項14】 モノクローナル抗体が、ヒト化モノクローナル抗体である
    、請求項9に記載の組成物。
  15. 【請求項15】 モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体である、
    請求項10に記載の組成物。
  16. 【請求項16】 モノクローナル抗体が、ヒト化モノクローナル抗体である
    、請求項10に記載の組成物。
  17. 【請求項17】 OmpA、PAL、MLPおよびその免疫原性部分からな
    る群から選択される外膜タンパク質に、特異的に結合するポリペプチドを分泌す
    る不死細胞株。
  18. 【請求項18】 ポリペプチドが、モノクローナル抗体である、請求項17
    に記載の不死細胞株。
  19. 【請求項19】 ポリペプチドが、モノクローナル抗体の断片を含む、請求
    項17に記載の不死細胞株。
  20. 【請求項20】 外膜タンパク質が、OmpAである、請求項17に記載の
    不死細胞株。
  21. 【請求項21】 外膜タンパク質が、PALである、請求項17に記載の不
    死細胞株。
  22. 【請求項22】 外膜タンパク質が、MLPである、請求項17に記載の不
    死細胞株。
  23. 【請求項23】 モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体である、
    請求項18に記載の不死細胞株。
  24. 【請求項24】 モノクローナル抗体が、ヒト化抗体である、請求項18に
    記載の不死細胞株。
  25. 【請求項25】 グラム陰性菌による感染症に対して対象に免疫性を与える
    方法であって、グラム陰性菌による感染症に対する保護を誘発するのに有効な量
    にて、薬学的に適切な担体中のOmpA、PAL、MLP、およびこれらの免疫
    原性部分からなる群から選択される単離外膜タンパク質抗原を対象に投与するこ
    とを含む、前記方法。
  26. 【請求項26】 抗原が、OmpAである、請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 抗原が、PALである、請求項25に記載の方法。
  28. 【請求項28】 抗原が、MLPである、請求項25に記載の方法。
  29. 【請求項29】 さらに、アジュバントの投与を含む、請求項25に記載の
    方法。
  30. 【請求項30】 アジュバントが、Al(OH)、AlPO、QS21
    、CpG、およびこれらの組み合せからなる群から選択される、請求項29に記
    載の方法。
  31. 【請求項31】 抗原が、皮下投与される、請求項25に記載の方法。
  32. 【請求項32】 抗原が、皮内投与される、請求項25に記載の方法。
  33. 【請求項33】 抗原が、粘膜から投与される、請求項25に記載の方法。
  34. 【請求項34】 抗原が、筋肉内投与される、請求項25に記載の方法。
  35. 【請求項35】 グラム陰性菌に感染している対象を治療する方法であって
    、感染症を治療するのに有効な量にて、OmpA、PAL、およびMLPからな
    る群から選択される外膜タンパク質の少なくとも一部に特異的に結合する単離ポ
    リペプチドをグラム陰性菌に感染している対象に投与することを含む、前記方法
  36. 【請求項36】 量が、グラム陰性敗血症を阻止するのに有効な量である、
    請求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 量が、in vivoでのグラム陰性菌の成長を阻止する
    のに有効な量である、請求項35に記載の方法。
  38. 【請求項38】 ポリペプチドが、モノクローナル抗体である、請求項35
    に記載の方法。
  39. 【請求項39】 ポリペプチドが、モノクローナル抗体の断片を含む、請求
    項35に記載の方法。
  40. 【請求項40】 ポリペプチドが、合成ポリペプチドのコンビナトリアルラ
    イブラリーの成員である、請求項35に記載の方法。
  41. 【請求項41】 ポリペプチド投与量が、対象の血液からのグラム陰性菌ク
    リアランスを増強するために有効な量である、請求項35に記載の方法。
  42. 【請求項42】 ポリペプチド投与量が、対象の血液からのグラム陰性菌の
    不溶性断片のクリアランスを増強するために有効な量である、請求項35に記載
    の方法。
  43. 【請求項43】 ポリペプチド投与量が、対象の血液中のグラム陰性菌を中
    和するために有効な量である、請求項35に記載の方法。
  44. 【請求項44】 ポリペプチド投与量が、対象の血液中のグラム陰性菌の不
    溶性断片を中和するために有効な量である、請求項35に記載の方法。
  45. 【請求項45】 ポリペプチド投与量が、対象の血液中のグラム陰性菌をオ
    プソニン化するために有効な量である、請求項35に記載の方法。
  46. 【請求項46】 ポリペプチド投与量が、対象の血液中のグラム陰性菌不溶
    性断片をオプソニン化するために有効な量である、請求項35に記載の方法。
  47. 【請求項47】 有効量の免疫系賦活剤を投与することをさらに含む、請求
    項35に記載の方法。
  48. 【請求項48】 免疫系賦活剤が、サイトカインである、請求項47に記載
    の方法。
  49. 【請求項49】 免疫系賦活剤が、アジュバントである、請求項47に記載
    の方法。
  50. 【請求項50】 グラム陰性敗血症である対象を治療する方法であって、こ
    のような治療を必要とする対象に、対象の血液または組織中に少なくとも1つの
    可溶性因子の敗血症関連放出を阻止するために有効な量にて、OmpA、PAL
    、およびMLPからなる群から選択される外膜タンパク質の少なくとも一部に特
    異的に結合する単離ポリペプチドを含む組成物を投与することを含む、前記方法
  51. 【請求項51】 少なくとも1つの可溶性因子が、グラム陰性菌の血清への
    露呈時にグラム陰性菌により放出される、請求項50に記載の方法。
  52. 【請求項52】 少なくとも1つの可溶性因子が、LPSである、請求項5
    1に記載の方法。
  53. 【請求項53】 少なくとも1つの可溶性因子が、OmpAである、請求項
    51に記載の方法。
  54. 【請求項54】 少なくとも1つの可溶性因子が、PALである、請求項5
    1に記載の方法。
  55. 【請求項55】 少なくとも1つの可溶性因子が、MLPである、請求項5
    1に記載の方法。
  56. 【請求項56】 少なくとも1つの可溶性因子が、サイトカインである、請
    求項50に記載の方法。
  57. 【請求項57】 少なくとも1つの可溶性因子が、TNF−α、MIF、ケ
    モカイン、および一酸化窒素からなる群から選択される因子である、請求項50
    に記載の方法。
  58. 【請求項58】 グラム陰性敗血症である対象を治療する方法であって、こ
    のような治療を必要とする対象に、対象の血液中にグラム陰性菌が放出する少な
    くとも1つの敗血症関連可溶性因子のクリアランスを増強するために有効な量に
    て、OmpA、PAL、およびMLPからなる群から選択される外膜タンパク質
    の少なくとも一部に特異的に結合する単離ポリペプチドを含む組成物を投与する
    ことを含む、前記方法。
  59. 【請求項59】 可溶性因子が、LPSである、請求項58に記載の方法。
  60. 【請求項60】 可溶性因子が、OmpAである、請求項58に記載の方法
  61. 【請求項61】 可溶性因子が、PALである、請求項58に記載の方法。
  62. 【請求項62】 可溶性因子が、MLPである、請求項58に記載の方法。
JP2001518084A 1999-08-20 2000-08-18 敗血症治療において治療に用いる対象としての外膜タンパク質a、ペプチドグリカン関連リポタンパク質およびムレインリポタンパク質 Withdrawn JP2003507433A (ja)

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