JP2003506035A - 新規なアグロバクテリウム介在植物形質転換法 - Google Patents

新規なアグロバクテリウム介在植物形質転換法

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JP2003506035A JP2001514094A JP2001514094A JP2003506035A JP 2003506035 A JP2003506035 A JP 2003506035A JP 2001514094 A JP2001514094 A JP 2001514094A JP 2001514094 A JP2001514094 A JP 2001514094A JP 2003506035 A JP2003506035 A JP 2003506035A
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アームストロング,チヤールズ・エル
ラウト,ジヨテイ・アール
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、挿入物のコピー数が少なく、形質転換効率が改善された形質転換植物を形成する新規な形質転換系に関するものである。詳細には本発明は、アグロバクテリウム介在形質転換プロセス時における、アグロバクテリウムの成長を抑制し、標的植物ゲノムへのT−DNA転移を低減するアグロバクテリウム成長阻害剤の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、植物バイオテクノロジーの分野に関する。より具体的には本発明は
、T−DNA転移プロセスを有する植物への遺伝子成分の組み込み方法に関する
。詳細には本発明においては、トウモロコシ、米および小麦などの単子葉植物を
遺伝的に形質転換する系が提供される。
【0002】 (背景技術) 当該方法は、形質転換可能な植物の細胞または組織を用いて、アグロバクテリ
ウムの接種、共培養または浸潤を行う際の新規な条件を含むものである。その方
法の例としては、アグロバクテリウム介在形質転換プロセス時に細菌成長抑制剤
を用いる改良法などがある。この改良法は、各種の選択可能および/またはスク
リーニング可能なマーカー系を用い、多くの異なる植物種を用いて、形質転換可
能な細胞または組織に核酸を導入するのに用いることができる。本発明はさらに
、トランスジェニック植物、詳細にはトウモロコシ、米および小麦をも提供する
。他の態様において本発明は、安定に形質転換された植物、配偶子およびその植
物からの子孫の生産に関するものである。
【0003】 過去10年間に、広範囲の生物からの遺伝子を組換えDNA技術によって作物
植物に転移させることが可能となった。この進歩によって、害虫、疾患および除
草剤に対する植物の耐性を向上させ、生合成プロセスを変化させて植物生産物の
品質を変える機会が大きく広がった(Knutson et al., 1992; Piorer et al., 1
992)。しかしながら、経済的に重要な植物の大量生産に好適な有効なアグロバ
クテリウム介在形質転換法が利用可能な場合は限られている。詳細には、導入D
NAの宿主ゲノムへの簡単な組み込みパターン、より具体的には導入DNAの低
コピー数(1〜2個のコピー)の組み込みで複製可能な形質転換体を与える新規
な培養系が必要である。
【0004】 植物の形質転換を目的とした方法は多くあったが、非常に有効なものはごくわ
ずかである。さらに、非常に有効で、しかも単純な組み込みパターンおよび導入
DNAの低いコピー数にて形質転換体を生じる方法はほとんどない。コピー数と
は、宿主細胞に導入されたT−DNAの完全または不完全コピーの数を指す。D
NAを細胞に導入する方法は当業者には公知であり、(1)化学的方法(Graham
and van der Eb, 1973);(2)微量注入(Capecchi, 1980)、エレクトロポ
レーション(Fromm et al., 1985;米国特許5384253号)および遺伝子銃
(Christou, 1992; Fynan et al., 1993)などの物理的方法;(3)ウィルスベ
クター(Clapp, 1993; Lu et al., 1993; Eglitis and Anderson, 1988);(4
)受容体介在機序(Curiel et al., 1992);および(5)アグロバクテリウム
介在植物形質転換法など(これらに限定されるものではない)のカテゴリーに分
類することができる。
【0005】 最近まで、一部の単子葉植物で用いられる方法では、単離原形質体への直接D
NA転移およびマイクロプロジェクタイル(microprojectile)介在DNA導入
(Fromm et al., 1990)が行われていた。原形質体法は米で広く使用されており
、リポソーム、PEGおよびエレクトロポレーションを用いてDNAを原形質体
に導入するものである。いくつかの研究機関で非常に多くのトランスジェニック
植物が発見されたが(Datta et al., 1990)、原形質体法では、長期の胚形成懸
濁培養の確立が必要である。原形質体からの一部の再生体は、長期懸濁培養のた
めに、不稔であって、表現型的に異常である(Davey et al., 1991; Rhodes et
al., 1988)。米国特許5631152号には、単子葉植物および双子葉植物の
形質転換および再生のための迅速かつ有効なマイクロプロジェクタイル衝撃法が
記載されている。
【0006】 今日までのところ、微粒子およびアグロバクテリウム介在の遺伝子組み込みと
いう2つの方法が、最も一般的に用いられる植物形質転換法である。微粒子介在
形質転換とは、いくつかの方法によって標的組織に向けて推進される微粒子上に
コーティングされたDNAの組み込みを指す。この方法によると、コピー数が比
較的大きく、組み込みパターンが複雑で、挿入物が断片化した遺伝子導入となる
場合がある。アグロバクテリウム介在植物形質転換により、挿入物の複数のコピ
ーおよび複雑な組み込みパターンを有する形質転換植物が得られる場合がある。
T−DNA転移の回数を低下させることで、コピー数を減らすことが可能である
。従って、新規な培養条件を操作して、T−DNA転移の回数に影響を与えるこ
とができ、導入DNAの至適数コピーを含む形質転換事象が得られるようにする
ことができる。
【0007】 一貫して挿入物のコピー数が少なく、非常に広範囲の植物に適用可能な再現性
のあるアグロバクテリウム介在法が、多くの理由から望ましい。例えば、複数の
挿入物が存在すると、複数のコピー間での組換えなど(これに限定されるもので
はない)のいくつかの機序によって生じて、後に遺伝子損失を生じる可能性があ
る遺伝子サイレンシングと称される現象が起こる場合がある。さらに、複数コピ
ーによって、遺伝子発現レベルの低下が起こる場合があり、それによって遺伝子
産物が提供する特性が低下する可能性がある。特定の植物系に利用可能な形質転
換法の数は多くあっても、各種作物および各種形質転換可能組織に利用可能な遺
伝子を導入する方法を有することは有利であると考えられる。
【0008】 アグロバクテリウム介在形質転換は、アグロバクテリウム属に属する遺伝子操
作土壌細菌を使用することで行う。いくつかのアグロバクテリウム種が、遺伝子
操作を行うことで所望のDNA片を多くの植物に送り込むことができる「T−D
NA」と称される特異的DNAの転移に介在する。T−DNAが介在する病因の
プロセスを特徴づける主要な事象としては、毒性遺伝子の誘発、T−DNAのプ
ロセシングおよび転移がある。このプロセスは、多くの総覧のテーマとなってい
る(Ream, 1989; Howard and Citovsky, 1990; Kado, 1991; Hooykaas and Schi
lperoort, 1992; Winnans, 1992; Zambryski, 1992; Gelvin, 1993; Binns and
Howitz, 1994; Hooykaas and Beijersbergen 1994; Lessl and Lanka, 1994; Zu
pan and Zambryski, 1995)。
【0009】 植物のアグロバクテリウム介在形質転換にはいくつかの段階がある。第1の段
階は、アグロバクテリウムと植物細胞を先ず互いに接触させるものであり、一般
に「接種」と称される。接種段階の次には、アグロバクテリウムと植物細胞/組
織を、数時間から数日以上という期間にわたり、成長およびT−DNA転移に好
適な条件下で一緒に成長させるのが普通である。この段階は「共培養」と称され
る。共培養およびT−DNA組み込み後、多くの場合、植物細胞を殺細菌剤また
は静菌剤で処理して、アグロバクテリウムを殺す。非トランスジェニック植物細
胞に対するトランスジェニック植物細胞の優先的成長を促進する選択的薬剤の非
存在下でそれを行う場合、それは通常、「遅延」段階と称される。トランスジェ
ニック植物細胞を優先させる選択圧力存在下で行う場合、それは「選択」段階と
称される。「遅延」を用いる場合、その段階後に、1以上の「選択」段階を行う
。アグロバクテリウム細胞の成長は感染(接種および共培養)プロセス後には望
ましくないことから、「遅延」段階と「選択」段階のいずれにおいても、殺細菌
剤および/または静菌剤を用いて、残留するアグロバクテリウムを殺すのが普通
である。
【0010】 アグロバクテリウム介在形質転換によって生産されるトランスジェニック植物
は、微粒子介在遺伝子形質転換の場合と比較して、単純な組み込みパターンを有
するが、コピー数および挿入パターンは非常に多様である(Jones et al. 1987;
Jorgensen et al., 1987; Deroles and Gardner, 1988)。さらに、単一の植物
表現型内であっても、使用される外植片および形質転換系の種類により、各種の
T−DNA組み込みパターンが可能である(Grevelding et al., 1993)。T−
DNAコピー数を調節する要素については、あまり解明されていない。低コピー
数、好ましくは1個のT−DNAコピーでの植物生産の効率を高めるための再現
性があって広く利用可能な方法を、当業者は強く望んでいると考えられる。
【0011】 最近、アグロバクテリウム介在形質転換によって、単子葉植物の形質転換が成
功している。WO97/48814には、安定に形質転換された稔性小麦の生産
方法が開示されている。その方法では、各種外植片を用い、短時間でトランスジ
ェニック小麦が回収されると記載されている。アグロバクテリウム介在形質転換
では、実際に使用可能な衝撃法への代替法が提供され、その方法によって、トラ
ンスジェニック系のさらに有効な分子特性決定も可能となる。本発明は、形質転
換プロセス時におけるアグロバクテリウム成長の抑制に基づく改善されたアグロ
バクテリウム介在形質転換法である。より具体的には本発明は、T−DNA転移
が起こり得るアグロバクテリウム介在形質転換の段階におけるアグロバクテリウ
ム成長の抑制を主眼としたものである。
【0012】 アグロバクテリウム介在法を利用する現在の植物形質転換系における主要な欠
点には、その系の生産効率、遺伝子もしくは植物種の多様性および外植片の制限
によって形質転換が困難である点などがあるが、これらに限定されるものではな
い。WO94/00977には、単子葉植物の形質転換法であって、ある種類の
単子葉植物についての培養したばかりの未成熟胚芽および異なる単子葉植物につ
いての培養未成熟胚芽もしくはカルスの使用に基づく方法が記載されている。い
ずれの系でも、外植片は単離したばかりのものでなければならず、その方法は労
働集約型であり、遺伝子型および外植片によって制限される。他の報告は、特異
株またはベクターを用いて高効率形質転換を行うというものである。ある報告で
は、高効率形質転換を達成するには、特異的超バイナリーベクターを用いなけれ
ばならない(Ishida et al., 1996)。
【0013】 当業界では多くの形質転換法があるが、単一の作物種の表現型ならびに他の作
物種の表現型に広く利用可能な方法はほとんど開発されていない。当業界で欠け
ているものは、有効で、再現性があり、多くの植物系に利用可能であるアグロバ
クテリウム介在植物形質転換系ならびに単一の組み込みパターンおよび低いコピ
ー数を有する形質転換植物を効果的に与える形質転換系である。本発明は、形質
転換可能な植物細胞または組織を用いたアグロバクテリウムの接種および共培養
時に1以上の細菌培養阻害剤を用いる新規な培養条件であって、形質転換効率が
高くなり、いくつかの植物系に導入される遺伝子成分のコピー数が小さくなる条
件を提供するものである。本発明の方法によると、挿入物の数が少ない所望の遺
伝子導入事象が常に得られ、植物育種者、栽培者および消費者にとって、改良さ
れた生殖質の育種および導入のための至適な商業的系を確認することを目的とし
て数百の系についてスクリーニングを行う必要性が小さくなる。そこで本発明は
、従来のアグロバクテリウム介在形質転換法と比較して新規な改良を提供するも
のである。
【0014】 (発明の開示) 本発明は、形質転換プロセスの際にアグロバクテリウム細胞の成長を阻害する
条件下での、植物の安定かつ有効な新規な形質転換方法を提供する。
【0015】 1態様において本発明は、アグロバクテリウムによって植物細胞または植物組
織を形質転換する新規な方法であって、1以上の成長阻害剤の存在下に植物の細
胞または組織に転移可能な1以上の遺伝子成分を有する形質転換可能な細胞また
は組織を接種し;前記成長阻害剤の存在下または非存在下に共培養を行い;形質
転換植物細胞または組織を選択し;前記選択植物細胞または組織から遺伝子成分
を発現する形質転換植物を再生することで行う方法を提供する。
【0016】 1実施態様において、前記成長阻害剤は、銀などの重金属、またはカルベニシ
リンなどの抗生物質、または核酸、またはアグロバクテリウム細胞の成長を阻害
もしくは抑制することができる蛋白を含み、その成長阻害剤は、形質転換プロセ
スにおける接種段階では存在させるが、共培養段階では存在させない。
【0017】 別の実施態様では、アグロバクテリウム細胞成長に対して阻害性である成長阻
害剤を、形質転換プロセスの接種段階および共培養段階において存在させる。
【0018】 別の実施態様では、アグロバクテリウム細胞成長に対して阻害性である成長阻
害剤を、形質転換プロセスの接種段階では存在させないが、共培養段階では存在
させる。
【0019】 さらに別の実施態様では本発明は、アグロバクテリウム成長を抑制し、T−D
NA転移を低減することで導入DNAのコピー挿入を減らすだけの量での、接種
工程時における1以上のアグロバクテリウム成長阻害剤の存在に関するものであ
る。
【0020】 本発明のさらに別の態様は、1以上の成長阻害剤の存在下に植物の細胞または
組織に転移可能な1以上の遺伝子成分を有する形質転換可能な細胞または組織を
接種し;前記成長阻害剤の存在下または非存在下に共培養を行い;形質転換植物
細胞または組織を選択し;前記選択植物細胞または組織から遺伝子成分を発現す
る形質転換植物を再生することで製造される形質転換植物に関するものである。
【0021】 本発明のさらに別の態様は、本発明の方法によって製造される形質転換植物の
種子、または子孫に関するものである。
【0022】 本発明のさらに別の目的、利点および態様については、添付の図面および本発
明の説明から明らかになろう。
【0023】 図面の簡単な説明 図1は、pMON30100のプラスミドマップである。
【0024】 図2は、pMON18365のプラスミドマップである。
【0025】 図3は、pMON25457のプラスミドマップである。
【0026】 図4は、pMON25492のプラスミドマップである。
【0027】 図5は、pMON32092のプラスミドマップである。
【0028】 (詳細な説明) 本発明は任意の植物種に使用し得る。特に単子葉種に有用である。本発明を実
施するために特に好ましい種はトウモロコシ、コムギ及びイネである。
【0029】 本発明は、トランスジェニック植物、並びに、植物の細胞または組織を形質転
換し、形質転換した細胞または組織から分化した形質転換植物を再生する方法を
提供する。本発明による形質転換プロセスを開始させるためには先ず、植物の細
胞または組織に挿入すべき遺伝子成分を選択する必要がある。遺伝子成分は、本
発明による方法を使用して植物の細胞または組織に導入される任意の核酸を包含
する。遺伝子成分は非植物DNAまたは合成DNAを包含し得る。
【0030】 好ましい実施態様において、遺伝子成分は、少なくとも1つまたは複数の以下
のタイプの遺伝子成分を含む組換え二重鎖プラスミドまたはベクター分子のよう
なDNA組成物に組込まれる: (a)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起するプロモーター、 (b)農業用途の産生物をコードするRNA配列の産生を惹起する構造的DNA
配列、及び、 (c)RNA配列の3’末端にポリアデニル化ヌクレオチド配列を付加させるべ
く植物細胞中で機能する3’非翻訳DNA配列。
【0031】 ベクターは、植物の細胞または組織の形質転換を促進するため、及び、所望の
(1つまたは複数の)遺伝子の発現を調節するための多数の遺伝子成分を含有し
得る。1つの好ましい実施態様において、遺伝子成分はmRNAを発現させるよ
うに配向されており、該実施態様ではmRNAがタンパク質に翻訳され得る。二
重鎖形態で存在する植物の構造コーディング配列(遺伝子、cDNA、合成DN
Aまたはその他のDNA)の発現は、RNAポリメラーゼ酵素によってDNAの
一本鎖からメッセンジャーRNA(mRNA)を転写し、その後にmRNA一次
転写物を核内でプロセシングする過程を含む。このプロセシングには、mRNA
の3’末端にポリアデニル化ヌクレオチドを付加する3’−非翻訳領域が関与す
る。
【0032】 所望の遺伝子成分を含有するプラスミドまたはベクターの製造手段は当業界で
公知である。植物の形質転換に使用されるベクター及びこれらのベクターの製造
方法は、米国特許第4,971,908号、第940,835号、第4,769
,061号及び第4,747 011号に記載されている。これらの特許の記載
内容全部が参照によって本発明に含まれるものとする。ベクターは典型的には、
プロモーター配列、リーダー配列、イントロン配列及びターミネーター配列のよ
うな調節要素を非限定例とする多数の遺伝子成分から構成されている。調節要素
はまた、これらの要素のコントロール対象となる配列または(1つまたは複数の
)遺伝子に対する近位性次第で、シス−調節要素またはトランス−調節要素と呼
ばれる。
【0033】 mRNAへのDNAの転写は通常は“プロモーター”と呼ばれるDNAの領域
によって調節される。プロモーター領域は、RNAポリメラーゼをDNAに会合
させ、DNA鎖の1つを鋳型として使用してmRNAへの転写を開始させ、対応
するRNAの相補鎖を形成させるシグナルを与える塩基配列を含んでいる。
【0034】 植物細胞中で活性の多数のプロモーターが文献に記載されている。このような
プロモーターの非限定例は、Agrobacterium tumefacie
nsの腫瘍誘発プラスミドに担持されたノパリンシンターゼ(NOS)プロモー
ター及びオクトピンシンターゼ(OCS)プロモーター、カリフラワーモザイク
ウイルス(CaMV)19S及び35Sプロモーター、ゴマノハグサモザイクウ
イルス(FMV)35Sプロモーターのようなカウリモウイルスプロモーター、
エンハンストCaMV35Sプロモーター(e35S)、リブロースビスリン酸
カルボキシラーゼの小サブユニット(ssRUBISCO、極めて豊饒な植物ポ
リペプチド)に由来の光誘導プロモーターである。これらのプロモーターはいず
れも、植物体内で発現された多様なタイプのDNA構築物を作製するために使用
されている。例えば、PCT公開WO84/02913(Rogersら,Mo
nsanto、その記載内容全部が参照によって本発明に含まれるものとする)
参照。
【0035】 また、転写活性を増強するため(Hoffman,米国特許第5,106,7
39号)または所望の転写活性、誘導適性及び組織特異性または発生的特異性を
組合せるためにプロモーターハイブリッドを構築することもできる。植物体内で
機能するプロモーターの非限定例は、誘導プロモーター、ウイルスプロモーター
、合成プロモーター、構成的プロモーターであり(Poszkowskiら,1
989;Odello,1985に記載)、並びに、時間的に調節されるもの、
空間的に調節されるもの及び時空間的に調節されるものがある(Chauら,1
989)。組織増強的、組織特異的または発生的に調節される別のプロモーター
も当業界で公知であり、本発明の実施に有用であると期待できる。
【0036】 プロモーターは、植物体及び植物DNAウイルスのような多様なソースから得
ることができ、その非限定例は、CaMV35Sプロモーター及びFMV35S
プロモーター、並びに、ssRUBISCO遺伝子のよなう植物遺伝子から単離
されたプロモーターである。後述するように、選択された特定のプロモーターが
有益な遺伝子産物を有効量で産生させるべく十分な発現を惹起する能力を有して
いるのが好ましい。
【0037】 本発明のDNA構築物(即ち、キメラ/組換え植物遺伝子)に使用されるプロ
モーターが、所望の場合にはそれらのコントロール特性を変化させるように修飾
されてもよい。プロモーターはオペレーター領域との結合、ランダムなもしくは
コントロールされた突然変異誘発、などを介して誘発され得る。更に、プロモー
ターが遺伝子発現の向上を支援する多数の“エンハンサー配列”を含むように改
造されてもよい。このようなエンハンサー配列の例はKayら(1987)によ
って報告されている。
【0038】 本発明のDNA構築物によって産生されるmRNAはまた、5’非翻訳リーダ
ー配列を含み得る。この配列は遺伝子を発現させるために選択されたプロモータ
ーに由来してもよく、mRNAの翻訳を増進するように特異的に修飾できる。5
’非翻訳領域はまた、ウイルスRNA、適当な真核細胞遺伝子または合成遺伝子
配列から得られてもよい(Griffithsら,1993)。得られるmRN
Aの翻訳効率を増進または変更するためにこのような“エンハンサー”配列が望
ましい。本発明は、非翻訳領域がプロモーター配列に付随する5’非翻訳配列に
由来する構築物に限定されない。逆に、非翻訳リーダー配列が近縁でないプロモ
ーターまたは遺伝子に由来してもよい(例えば、米国特許第5,362,865
号参照)。遺伝子の発現増進に役立つかまたは転写もしくは翻訳に影響を与える
別の遺伝子成分も遺伝子成分に包含され得る。
【0039】 キメラ構築物の3’非翻訳領域は、転写ターミネーターまたは等価の機能をも
つ要素と、植物体内でポリアデニル化ヌクレオチドをRNAの3’末端に付加す
べく機能するポリアデニル化シグナルとを含んでいなければならない。適当な3
’領域の例は、(1)ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子のようなAgrob
acteriumの腫瘍誘発性(Ti)プラスミド遺伝子のポリアデニル化シグ
ナルを含む3’転写非翻訳領域、並びに、(2)ダイズ貯蔵タンパク質遺伝子及
びリブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(ssR
UBISCO)遺伝子のような植物遺伝子である。好ましい3’領域の一例は、
エンドウマメのssRUBISCO E9遺伝子に由来する(Fischhof
fら,欧州特許出願0385962、その記載内容全部が参照によって本発明に
含まれるものとする)。
【0040】 典型的には、ポリアデニル化部位の下流に数100塩基対が局在したDNA配
列は転写を終了させる機能を果たす。本文中ではこのようなDNA配列を転写終
結領域と呼ぶ。この領域は、転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)を効
率的にボリアデニル化するために必要であり、3’非翻訳領域として知られてい
る。RNAポリメラーゼはポリアデニル化が生じる部位を介してコーディングD
NA配列を転写する。
【0041】 1つの好ましい実施態様において、ベクターは選択可能、スクリーニング可能
またはスコアリング可能なマーカー遺伝子を含んでいる。これらの遺伝子成分は
形質転換植物の同定に役立つ産生物または農業用に役立つ産生物を生じさせるの
で、本文中ではこれらの遺伝子成分を機能性遺伝子成分とも呼ぶ。選択デバイス
として役立つDNAは再生可能な植物組織中で、普通なら毒性の化合物に対する
耐性を植物組織に与える化合物を産生すべく機能する。選択可能、スクリーニン
グ可能またはスコアリング可能なマーカーとして使用され得る有益な遺伝子の非
限定例は、GUS、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ(LUX)
、抗生物質または除草剤耐性遺伝子である。トランスポゾン及び関連する抗生物
質耐性遺伝子の例は、トランスポゾンTns(bla)、Tn5(nptII)
、Tn7(dhfr)、ペニシリン、カナマイシン(及びネオマイシン、G41
8、ブレオマイシン);メソトレキセート(及びトリメトプリム);クロラムフ
ェニコール;カナマイシン及びテトラサイクリンである。
【0042】 植物体内で選択可能マーカーとして有効な特性は微生物の使用に関する報告書
(Advisory Committee on Novel Foods a
nd Processes,July 1994)に概説されている。これらの
特性としては、 (i)最小数の非形質転換組織を伴う緊縮性選択が可能である; (ii)有意な再生妨害を全く伴わない多数の独立した形質転換イベントが可能
である; (iii)多数の種に適用することが可能である; (iv)マーカーの存在に基づく組織スコアリングアッセイを使用することが可
能である。
【0043】 カナマイシン耐性マーカー(nptII)、ヒグロマイシンB耐性マーカー(
aphIV)及びゲンタマイシン耐性マーカー(aac3及びaacC4)を含
む上述のような幾つかの抗生物質耐性マーカーはこれらの基準を満たす。
【0044】 多数の選択可能マーカー遺伝子が当業界で公知であり、本発明に使用し得る(
例えば、Wilmink and Dons,1993参照)。本発明に使用す
るための特に好ましい選択可能マーカー遺伝子は、カナマイシンのような抗生物
質(Dekeyserら,1989)及びグリホセートのような除草剤(Del
la−Cioppaら,1987)などの化合物に耐性を与える遺伝子を包含す
るであろう。また、別の選択デバイスを作製することもでき、その非限定例は、
ホスフィノトリシン、ビアラホス耐性及び陽性選択メカニズム(Joersbo
ら,1998)であり、これらも本発明の範囲内に包含されるであろう。
【0045】 本発明は、上述のような選択可能またはスクリーニング可能マーカーと関連調
節要素とを、特定の所望形質を与えるように十分に発現された1つまたは複数の
核酸と共に含む適当な任意の植物形質転換用プラスミドまたはベクターに使用さ
れ得る。本発明によって期待される農業的に有益な適当な構造遺伝子の非限定例
は、昆虫または害虫に耐性の遺伝子、除草剤耐性遺伝子、収量、栄養強化、環境
もしくはストレス耐性のような品質改良に役立つか、または、植物の生理学、成
長、発生、形態学または(1つまたは複数の)植物産生物の望ましい任意の変化
に役立つ遺伝子である。
【0046】 あるいは、DNAコーディング配列は、例えばアンチセンス−または同時抑制
−媒介メカニズムを介して内因性遺伝子の発現を標的阻害する翻訳不可能なRN
A分子をコードすることによってこれらの表現形質をもたらすこともできる(例
えば、Birdら,1991参照)。RNAはまた、所望の内因性mRNA産物
を開裂するように操作された触媒RNA分子(即ち、リボザイム)であってもも
よい(例えば、Gibson and Shillitoe,1997参照)。
このように、タンパク質を産生する任意の遺伝子または表現形質もしくは形態の
有益な変化を発現するmRNAが本発明の実施に有用である。
【0047】 本発明に包含される方法によって導入され得る代表的な核酸は例えば、別の種
に由来のDNA配列もしくは遺伝子、または、同じ種に由来もしくは存在するが
従来の繁殖もしくは育種技術でなく遺伝子操作方法によってレシピエント細胞に
組込まれた遺伝子もしくは配列を包含する。しかしながら、外因性という用語は
、形質転換される細胞中に正常には存在しない遺伝子、または、恐らく形質転換
性DNAセグメントもしくは遺伝子中に見られるような形態、構造などでは存在
しないというだけの遺伝子、または、正常に存在しているが例えば超発現させる
のが望ましい遺伝子を意味する。従って、“外因性”遺伝子またはDNAという
用語は、同様の遺伝子がレシピエント細胞中に既に存在しているか否かにかかわ
りなく、レシピエント細胞に導入される任意の遺伝子またはDNAセグメントを
包含する。外因性DNAに包含されるDNAのタイプは、植物細胞中に既に存在
しているDNA、別の植物に由来のDNA、異なる生物に由来のDNA、または
、遺伝子のアンチセンスメッセージを含むDNA配列もしくは遺伝子の合成もし
くは修飾された変形をコードするDNA配列のような外的に作製されたDNAを
包含する。
【0048】 本文の開示に基づいて、他の多くの選択可能及び/またはスクリーニング可能
なマーカー遺伝子、調節要素、及び、その他の有益な配列が当業者に明らかであ
ろう。従って、上記の検討は例示的であって網羅的でないことを理解されたい。
【0049】 植物形質転換用ベクターまたは構築物を構築した後、DNA組成物としてin
vitro調製した上記の核酸分子を大腸菌のような適当な宿主に導入し、A
grobacteriumのような別の適当な宿主に交配するか、または、コン
ピテントAgrobacteriumを直接に形質転換させる。これらの技術は
当業者に公知であり、ダイズ、綿及びコムギのような多数の植物系について記載
されている(例えば、米国特許第5,569,834号、第5,159,135
号及び国際特許WO97/48814参照、これらの特許の記載内容全部が参照
によって本発明に含まれるものとする)。
【0050】 本発明は1つまたは複数の遺伝子成分を植物に導入するための細菌株の使用を
包含する。Agrobacterium媒介形質転換法の有効性は当業者の認め
るところであろう。植物体内に遺伝子を導入するために、TiまたはRiプラス
ミドを保有されしているAgrobacterium tumefaciens
及びAgrobacterium rhizogenesの多数の失活させた(
disarmed)野生型菌株を使用し得る。好ましくは、Agrobacte
rium宿主が、ベクターとして使用される腫瘍形成または根粒形成をそれぞれ
生じる腫瘍遺伝子を含有しない失活させた(disarmed)Ti及びRiプ
ラスミドを含んでおり、以後に植物体内に導入される有益な遺伝子を含んでいる
。好ましい菌株の非限定例は、Agrobacterium tumefaci
ens C58、植物細胞へのDNA導入を媒介するために使用されるノパリン
型菌株、LBA4404のようなオクトピン型菌株、EHA101もしくはEH
A105のようなスクシンアモピン型菌株である。植物を形質転換するためにこ
れらの菌株を使用することは報告されており、その方法は当業者の熟知するとこ
ろである。
【0051】 本発明は任意の植物形質転換系に使用できる。本発明の実施に好適な植物ター
ゲットの非限定例は、アルファルファ、オオムギ、キャノーラ、トウモロコシ、
綿、エンバク、ジャガイモ、イネ、ライムギ、ダイズ、テンサイ、ヒマワリ、ナ
ス及びコムギなどである。特に好ましい双子葉植物ターゲットはダイズ、綿、キ
ャラまたはヒマワリである。特に好ましい単子葉植物ターゲットは、トウモロコ
シ、コムギ及びイネのような穀物である。
【0052】 本発明は任意の形質転換可能な細胞または組織と共に使用され得る。本文中に
使用した形質転換可能なという用語は、更に増殖して1つの植物のもとになり得
る細胞または組織を意味する。当業者は植物の多数の細胞または組織が形質転換
可能であり、外因性DNAを挿入した後に適当な培養条件で植物の細胞または組
織が分化植物に形成され得ることを認識している。これらの目的に適う組織の非
限定例は、未成熟胚、楯板組織、浮遊細胞培養物、カルス組織、胚軸組織、子葉
、根及び葉である。双子葉植物の好ましい外植体の非限定例は、葉、根、子葉、
カルス、花序、胚軸及び軸である。単子葉植物の好ましい外植体の非限定例は、
未成熟胚、胚形成性カルス、未成熟花序、根、苗条分裂組織、節、節状外植体及
び細胞浮遊液である。
【0053】 外植体は、単一遺伝子型から又は複数の遺伝子型の組合せからのものでありう
る。好ましい実施態様では、植物ハイブリッドからの上質の外植体が外植体とし
て使用できる。例えば、いくつかの遺伝子型を含むハイブリッド胚子を使用して
、高い培養応答(より高い胚仮骨形成頻度、成長速度、植物再生頻度、等々)を
有する迅速成長細胞系統をを生成することができる。好ましい実施態様では、交
雑育種のF1ハイブリッド又は第一世代子孫をドナー植物として使用し、もう1
つの別の遺伝子型と交雑することができる。例えば、近交系であるPa91をH
99のような第二の近交系と交雑し、生じたF1ハイブリッド植物を近交系A1
88と交雑する。当業者は、ここで「雑種強勢(hybrid bigor)」
とも称されるヘテローシスは、2つの近交系を交雑したときに起こることを認識
している。本発明は、それ故、少なくとも1つ又はそれ以上の近交系が高度に再
生可能であり、形質転換可能であって、三系雑種の形質転換及び再生頻度が個々
の近交系の頻度を上回る、三元又は「三系雑種」交雑から生じる外植体を包含す
る。他の組織も本発明の実施において有用性を持つと想定される。
【0054】 本発明の好ましい実施態様では、トウモロコシ、イネ及びコムギの未熟胚子(
IE)を、アグロバクテリア菌(Agrobacterium)を介した形質転
換のための外植体として使用する。例えばコムギでは、未熟胚子をコムギ小穂か
ら単離しうる。コムギ未熟胚子の単離はWeeksら(1993)及びVasi
lら(1993)によっても述べられている。同様に、トウモロコシの雌穂を受
粉の約8−16日後に採取し、未熟胚子のソースとして使用する。イネでは、開
花後に未熟えい果を採集し、これらのえい果から単離した未熟胚子を外植体とし
て使用する。本発明は、それ故、上述したような新鮮単離した胚子の使用を包含
する。もう1つの実施態様では、形質転換のための適当な植物材料として懸濁細
胞培養を使用することができる。もう1つの実施態様では、前培養した組織を形
質転換のための標的植物材料として使用する。ここで使用するとき「前培養した
」とは、アグロバクテリア菌を接種する前に植物組織の成長を助けるため適切な
培地中で細胞又は組織を培養することを意味する。アグロバクテリア菌の接種に
先立つ形質転換可能細胞又は組織の前培養はどのような期間であってもよく、例
えば1日から7日間でありうる。好ましくは、前培養期間は7日間未満である。
より好ましくは前培養期間は3日間又はそれ以内である。さらに一層好ましくは
、形質転換可能細胞又は組織の前培養は18−28時間である。
【0055】 どのような適当な植物培地も前培養に使用できる。前培養の適当な培地の例は
、ピクロラム(4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸)、2,4−D
(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)及びジカンバ(3,6−ジクロロアニス酸
)のようなオーキシン、BAP(6−ベンジルアミノプリン)及びキネチンのよ
うなサイトカイニン、及びジベレリンを含むがこれらに限定されない付加的な植
物成長調節因子を補足したMSベースの培地(MurashigeとSkoog
、1962)又はN6ベースの培地(Chuら、1975)を含むが、これらに
限定されない。他の培地添加物は、アミノ酸、マクロ元素、鉄、微量元素、ビタ
ミン及び有機物、炭水化物、カゼイン加水分解産物のような定義されていない培
地成分、所望に応じて低融点アガロース又はGelriteのような、ある種の
形態の寒天のような適当なゲル化剤を含みうるが、これらに限定されない。当業
者は、適切に補足したとき植物組織の成長と発達を助け、植物の形質転換及び再
生に適する様々な組織培地に精通している。これらの組織培地は、市販試料とし
て購入するか、又は注文して調製及び修正することができる。そのような培地の
例は、Murashige and Skoog(MurashigeとSko
og、1962)、N6(Chuら、1975)、Linsmaier and
Skoog(LinsmaierとSkoog、1965)、Uchiyam
a and Murashige(UchiyamaとMurashige、1
974)、Gamborg培地(Gamborgら、1968)、D培地(Du
ncanら、1985)、McCown木本培地(McCownとLoyd、1
981)、Nitsch and Nitsch(NitschとNitsch
、1969)、及びSchenk and Hildebrandt(Sche
nkとHildebrandt、1972)又は適切に補足したこれらの培地の
派生物を含むが、これらに限定されないであろう。当業者は、形質転換及び再生
において使用するための培地及び養分や成長調節因子のような培地補足物、並び
に対象とする特定標的作物について至適化することができる、インキュベーショ
ン中の光の強さ、pH、及びインキュベーション温度のような他の培養条件を認
識している。
【0056】 ひとたび形質転換可能植物組織が単離されれば、当該方法の次の段階は遺伝子
成分を植物組織に導入することである。この工程はここでは「形質転換」とも称
される。植物細胞を形質転換し、各々独立して形質転換した植物細胞を選択する
。独立した形質転換体はトランスジェニック体と称される。遺伝子成分を形質転
換可能植物組織に挿入するための多くの方法が報告されており、使用できる。
【0057】 主としてAgrobacterium tumefaciensを使用して双
子葉植物を形質転換し、トランスジェニック植物を得るための方法は、綿(米国
特許第5,064,863号;米国特許第5,159,135号;米国特許第5
,518,908号、WO97/43430号)、ダイズ(米国特許第5,56
9,834号;米国特許第5,416,011号;McCabeら(1988)
;Christouら(1988))、アブラナ(米国特許第5,463,17
4号)、落花生(Chengら(1996);De KathenとJacob
sen(1990))を含めた多くの作物について公表されている。 エレクト
ロポレーション、パーティクルガン、及びアグロバクテリア菌を使用する単子葉
植物の形質転換も報告されている。形質転換と植物再生は、アスパラガス(By
tebierら(1987))、オオムギ(WanとLemaux(1994)
、Tingayら(1997)、トウモロコシ(Rhodesら(1988);
Ishidaら(1996);Gordon−Kammら(1990);Fro
mmら(1990);Kozielら(1993);Armstrongら(1
995)、カラスムギ(Somersら(1992))、イネ(Toriyam
aら(1988);ZhangとWu(1988);Zhangら(1988)
;BattrawとHall(1990);Christouら(1991);
Hieiら(1994);Parkら(1996))、サトウキビ(Bower
とBirch(1992);Arencibiaら(1998))、tall
fescue(Wangら(1992))、及びコムギ(Vasilら(199
2);Weeksら(1993);Chengら(1997))において実現さ
れている。
【0058】 本発明はアグロバクテリア菌を介した形質転換を利用する。本発明の1つの利
点は、付加的な毒性遺伝子の存在を必要としないことである。検討したすべての
植物系で形質転換が達成された。スーパーバイナリーベクターを必要としないと
いう事実は付加的な有用性を提供するが、報告されているもう1つのトウモロコ
シ系(Ishidaら、1996)において高い形質転換を達成するために必須
であることが示された。
【0059】 好ましい実施態様では、成長阻害因子の存在下で形質転換可能組織にアグロバ
クテリア菌を接種する。ここで使用するとき成長阻害因子は、細菌細胞の成長を
抑制、抑圧、制限、又は阻害することができるあらゆる因子を意味する。好まし
くは、成長阻害因子はアグロバクテリア菌細胞の成長を阻害する。より好ましく
は、成長阻害因子はAgrobacterium tumefaciens細胞
の成長を阻害し、T−DNA転移プロセスを低減する。ここで言及する因子は化
学的又は生物学的因子でありうる。アグロバクテリア菌の成長を抑圧する又は阻
害するいかなる方法又は因子も想定される。アグロバクテリア菌に対して毒性(
静菌性又は殺菌性)であり、植物細胞に対してより毒性が低い因子が、選択ステ
ップまでの形質転換工程の段階に含まれうる。好ましくは1つ又はそれ以上の成
長阻害因子を、植物細胞の増殖に関して中立又は肯定的なままでありながらアグ
ロバクテリア菌の成長を抑制、抑圧又は阻害する上で有効な濃度で、アグロバク
テリア菌と共に含む。従って、植物の系及び培地成分に依存して、成長阻害因子
を含む有効濃度及び期間を変化させ、至適化することができる。例えば、当業者
に既知の方法を用いて種々の濃度、種々の培養条件、及び種々の植物系において
因子を試験することを含むがこれに限定されない何らかの方法によって、当該因
子のアグロバクテリア菌細胞増殖への作用に関して因子を試験することができる
。1つ又はそれ以上の成長阻害因子を含むこれらの段階は、アグロバクテリア菌
と植物細胞を一緒にする期間及びT−DNA転移が起こりうる期間中の、形質転
換工程のいずれの段階も包含する。特に好ましい形質転換段階は、接種、傷形成
、及びin planta形質転換法(Bechtoldら、1993;Clo
ughとBent、1988)の際の長期間の同時培養を含めた同時培養ステッ
プを含む。T−DNA転移は生物学的工程であり、接種、傷形成、同時培養、及
び/又は浸潤ステップの際にそのような成長阻害因子を含むことは、同時にT−
DNAのプロセシングと転移も阻害しうる。成長阻害因子は単独で又は他の成長
阻害因子と組み合わせて存在しうる。適当な成長阻害因子の例は、アンホテリシ
ンB、カルベニシリン、セフォタキシム、クロラムフェニコール、シクロヘキシ
ミド、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシンA、ゲネチシン、ヒグロマイシン
B、ヒドロキシキノリン、カナマイシン、メトトレキセート、ナリジクス酸、硫
酸ネオマイシン、ナイスタチン、パロモマイシン、ペニシリン、ペンタクロロニ
トロベンゼン、リファンピシン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラ
サイクリン、トリメトプリム、チアベンダゾール、チカルシリン、バンコマイシ
ン、スペクチノマイシンのような抗生物質、硝酸銀、チオ硫酸銀、亜硝酸銀、ジ
チオン酸銀、ステアリン酸銀、セレン酸銀、サリチル酸銀、シュウ酸銀、リン酸
銀、メタリン酸銀、正リン酸銀、モノH正リン酸銀、炭酸銀、プロピオン酸銀、
酢酸銀、クエン酸銀、ラウリン酸銀、レブリン酸銀、ピロリン酸銀又は他の銀含
有化合物のような重金属を含む化合物、カリウム、マグネシウム又はカドミウム
を含む化合物、蛋白質、ヌクレオチド、及び細胞抽出物、細胞滲出物、二次代謝
産物、サルファ剤、及び成長調節因子のような他の化学物質を含むが、これらに
限定されない。ここで使用するとき誘導体は、アグロバクテリア菌の成長を阻害
することができる、塩誘導体、無水誘導体、又は水和誘導体を含むがこれらに限
定されない他の形態の成長阻害因子を指す。特に好ましい成長阻害因子は、硝酸
銀、チオ硫酸銀、及びカルベニシリン、アンピシリン及びクロキサシリンのよう
なペニシリン、セフォタキシム及びセフォキシチンのようなセファロスポロン、
又はペニシリンとオグメンチンやチメンチンのようなクラブラン酸のような混合
型抗生物質を含む。成長阻害因子は、因子の性質に依存して、多くの方法によっ
て接種及び接種後の段階において「含まれ」うる。例えば化学物質は、原液から
の添加によって培地中に含まれる、又は固体形態で添加することができる。当該
因子は、濾紙片のような支持マトリックスに付着させて、半固体、固体支持体上
に置く又は液体媒質に加えることができる。当該因子はまた、真空浸潤媒質に又
は音波破砕援用アグロバクテリア菌仲介形質転換のプロセス中に加えることもで
きる(Trickら、1997)。
【0060】 もう1つの実施態様では、同時培養及と形質転換工程の間アグロバクテリア菌
細胞増殖を減速する又は阻害するために、イントロンのような核酸配列を選択マ
ーカー遺伝子に含めることができる。微生物由来のプロモーター、例えば35S
、NOS、等々はアグロバクテリア菌細胞において遺伝子の発現を調節しうるこ
とが報告されている。イントロンを含む抗生物質マーカー遺伝子、例えばnpt
II(カナマイシンに対する耐性を与える)、aphIV(ヒグロマイシンBに
対する耐性を与える)、acC3及びaacC4(ゲンタマイシンに対する耐性
を与える)又はaadA(スペクチノマイシン及びストレプトマイシンに対する
耐性を与える)を使用して、分別選択戦略を用いることによりアグロバクテリア
菌細胞を阻害することができる。例えば、植物細胞は25mg/Lの濃度のカナ
マイシンに対してほとんど感受性がないが、同じ濃度がアグロバクテリア菌に対
しては致死的である。
【0061】 別の実施形態において、増殖阻害剤は、アグロバクテリウム細胞の増殖を阻害
し、T−DNAのプロセシング、転移、および組込みを阻害する、ヌクレオチド
配列である。これは、アグロバクテリウム細胞への、センスまたはアンチセンス
遺伝子(群)の導入およびその発現の調節により行なうことができる。かかる遺
伝子または遺伝子(群)の選択的調節により、T−DNA媒介遺伝子送達を操作
することができる。適切な遺伝子は、炭水化物の代謝経路に関与する代謝遺伝子
を含むがこれに限定されない。
【0062】 増殖阻害剤を、アグロバクテリウム増殖に対する所望の効果を達成するに十分
な量で添加できる。薬剤の有効範囲を操作して、薬剤の最適濃度を決定できる。
増殖阻害剤の濃度は、使用する培地の成分および植物系を含むがこれに限定され
ない培養条件に応じて変化し得る。例えば、異なる培地成分は、阻害剤(群)と
相互作用し得、特定の植物組織系の特定の培養条件下で必要な薬剤の量に影響を
及ぼし得る。1つの実施形態において、1つまたはそれ以上の増殖抑制剤を合わ
せて、共に、または形質転換プロセスの異なる段階で含めることができる。好ま
しくは、アグロバクテリウム存在下での薬剤(群)の存在は、アグロバクテリウ
ムの密度が、薬剤の存在下で増加しない程度、効果的である。より好ましくは、
薬剤(群)の存在は、アグロバクテリウム増殖に対して負の効果を有し、植物成
長に対して中立または正の効果を有する。
【0063】 本発明のさらなる実施形態において、増殖阻害剤は、接種ステップにのみ、共
培養ステップにのみ、または、接種および共培養ステップの両方に含め得る。
【0064】 当業者は、植物形質転換プロセスの典型的なステップを認識している。アグロ
バクテリウムは、直接グリセロールからのルリア・ブルタニ(LB)培地などの
液体を接種するか、または、グリセロールからの固形培地にアグロバクテリウム
を画線し、適切な選択条件下で、一般に約26℃から30℃、より好ましくは約
28℃で細菌を増殖させ、プレートから1つのコロニーを採取し、選択剤を含む
液体培養培地を接種することにより調製できる。別に、1スプーンまたはスラリ
ーのアグロバクテリウムをプレートから採取し、液体に再懸濁し、接種に使用で
きる。当業者には、アグロバクテリウムの増殖手順および適切な培養条件、並び
に、その後の接種手順は公知である。接種に使用するアグロバクテリウム培養液
の密度およびアグロバクテリウム細胞と外植片の比は、系により異なり得、それ
故、任意の形質転換法におけるこれらのパラメータの最適化が期待される。
【0065】 典型的には、アグロバクテリウム培養液は、画線プレートまたはグリセロール
ストックから接種し、一晩増殖し、細菌細胞を洗浄し、外植片の接種に適切な培
養培地に再懸濁する。本発明に適切な接種培地は、1/2MSPLまたは1/2
MSVI(表3)を含むがこれに限定されない。好ましくは、接種培地に、増殖
阻害剤を補充する。増殖阻害剤の範囲および濃度は変化し得、薬剤および植物系
に依存する。本発明では、硝酸銀、チオ硫酸銀またはカルベニシリンが、好まし
い増殖阻害剤である。増殖阻害剤は、所望の効果を達成するのに必要な量で加え
る。硝酸銀は、好ましくは、約1μM(マイクロモル)から1mM(ミリモル)
、より好ましくは5μMから100μMの濃度で接種培地に使用する。接種培地
に使用するカルベニシリンの濃度は、約5mg/Lから100mg/L、より好
ましくは約50mg/Lである。アセトシリンゴンなどのアグロバクテリウム病
原性誘導物質も接種培地に添加できる。
【0066】 好ましい実施形態において、接種に使用するアグロバクテリウムは、アセトシ
リンゴン、炭水化物および選択的抗生物質を含む、適切な塩を有する、緩衝化培
地などの培地にプレ誘導する。好ましい実施形態において、形質転換に使用する
アグロバクテリウム培養液は、約28℃で、約200μMのアセトシリンゴンお
よび約2%のグルコースを補充したAB−グルコース最小培地中(Chilto
nら、1974;LichtensteinおよびDraper、1986)で
培養することによりプレ誘導する。プレ誘導培地中でのアグロバクテリウムの選
択的抗生物質の濃度は、選択に通常使用する濃度の約半分である。使用するアグ
ロバクテリウム細胞の密度は、約10から1010cfu/mlのアグロバク
テリウムである。より好ましくは、使用するアグロバクテリウム細胞の密度は、
約5×10から4×10である。接種前に、アグロバクテリウムを、1/2
MSなどの適切な培地で洗浄できる。
【0067】 形質転換プロセスの次段階は、接種である。この段階では、外植片およびアグ
ロバクテリウム細胞懸濁液を共に混合する。アグロバクテリウムおよび外植片(
群)の混合は、傷害段階前または後に行ない得る。本明細書に使用したような傷
害は、植物細胞を破壊し、それにより、アグロバクテリウムが植物細胞と相互作
用できるようにする任意の方法を意味する。当業者は、傷害の数多くの方法を認
識している。これらの方法は、植物組織の微粒子衝撃、超音波処理、真空吸引、
剪断、穿孔、突く、切断、または、メス、針または他の装置で植物組織を引裂く
ことを含むがこれに限定されない。接種の期間および条件およびアグロバクテリ
ウム細胞密度は、植物形質転換系に応じて変化する。接種は、一般に、約15℃
から30℃、好ましくは23℃から28℃、1分未満から約3時間までで実施す
る。接種はまた、真空吸引システムを使用しても実施できる。
【0068】 任意のアグロバクテリウム増殖阻害剤または薬剤の組合せを接種培地に含める
ことができる。本発明では、硝酸銀、チオ硫酸銀、またはカルベニシリンなどの
増殖阻害剤の例が、MSをベースとする接種培地に含まれる。接種培地中の硝酸
銀またはチオ硫酸銀の濃度の範囲は、1μMから1mM、より好ましくは5μM
から100μM、さらにより好ましくは約10μMから50μM、最も好ましく
は約20μMであり得る。接種培地中のカルベニシリンの濃度は、約5mg/L
から1000mg/L、より好ましくは約10mg/Lから50mg/L、さら
により好ましくは約50mg/Lである。
【0069】 接種後、任意の過剰のアグロバクテリウム懸濁液を除去し、アグロバクテリウ
ムおよび標的植物材料を共培養する。共培養は、接種後および遅延または選択培
地への移行前の時間を意味する。任意の数の植物組織培養培地を、共培養ステッ
プに使用できる。本発明では、1/2MSをベースとした共培養培地などの減塩
培地(表4)を使用し、培地は、カゼイン加水分解物などの定義されていない添
加剤、およびB5ビタミンおよび有機添加物を含むがこれに限定されない、複合
培地添加物を欠失している。アグロバクテリウムでの接種後の植物組織を、液体
培地で培養できる。より好ましくは、アグロバクテリウムでの接種後の植物組織
を、アガロース、より好ましくは低EEOアガロースなどのゲル化剤で固形化し
た、半固体培養培地上で培養する。共培養期間は、約1時間から72時間、好ま
しくは36時間未満、より好ましくは約6時間から35時間である。共培養培地
は、1つ以上のアグロバクテリウム増殖阻害剤(群)または増殖阻害剤の組合せ
を含むことができる。好ましくは、共培養培地は、硝酸銀、チオ硫酸銀、または
カルベニシリンなどのアグロバクテリウム増殖阻害剤を含む。硝酸銀またはチオ
硫酸銀の濃度は、好ましくは約1μMから1mM、より好ましくは約5μMから
100μM、さらにより好ましくは約10μMから50μM、最も好ましくは約
20μMである。共培養培地中のカルベニシリンの濃度は、好ましくは約5mg
/Lから100mg/L、より好ましくは10mg/Lから50mg/L、さら
により好ましくは約50mg/Lである。共培養は、典型的には、約1から3日
間、より好ましくは24時間未満、約18℃から30℃、より好ましくは約23
℃から25℃の温度で実施する。共培養は、光または光の制限された条件下で実
施できる。好ましくは、共培養は、光の制限された条件下で実施する。本明細書
に使用したような光の制限された条件により、植物/アグロバクテリウム混合物
を含む培養皿を布、ホイルで覆う、または、培養皿を黒いバッグに入れる、また
は、培養細胞を暗い部屋に置くことを含むがこれに限定されない、共培養期間中
の光を制限する任意の条件を意味する。光条件は、当業者に公知のような各植物
系について最適化できる。
【0070】 アグロバクテリウムと共培養した後、外植片を、選択培地に直接入れることが
できる。外植片は、連続的なステップまたは段階で、選択培地上で継代培養でき
る。例えば、第一選択培地は、少量の選択剤を含むことができ、次の継代培養液
は、高濃度の選択剤を含むことができ、その逆もある。外植片はまた、一定濃度
の選択剤上に直接入れることができる。別に、アグロバクテリウムと共に共培養
した後、外植片を、選択剤を含まない培地に入れることもできる。当業者は、植
物系および選択剤に応じて変化する、選択措置、培地、および増殖条件における
、数多くの変形を認識している。好ましい実施形態において、選択剤を用いずに
アグロバクテリウム増殖を阻害するために、抗生物質を含む非選択培地上でイン
キュベートした後、外植片を、選択増殖培地上で培養する。典型的な選択剤は、
ジェネテシン(G418)、カナマイシン、パロモマイシンなどの抗生物質、ま
たはグリフォセートなどの他の化学物質を含むがこれに限定されない。追加の適
切な培地成分を、選択または遅延培地に添加して、アグロバクテリウム増殖を阻
害できる。かかる培地成分は、カルベニシリンまたはセフォタキシムなどの抗生
物質を含むがこれに限定されない。
【0071】 アグロバクテリウム増殖を阻害する共培養ステップ後、好ましくは、外植片を
選択または遅延培地上に置く前に、それらを、β−グルクロニダーゼ(GUS)
をコードする遺伝子などのスクリーニング可能なマーカー遺伝子を含むがこれに
限定されない、形質転換ベクター上に含まれる、1つ以上の遺伝子(群)の存在
を検出するのに使用できる一過性アッセイにより、DNA送達の効率について分
析できる。選択した数の外植片についての青い斑点(GUS発現を示す)の総数
を、正のDNA導入効率相関として使用する。T−DNA送達の効率およびアグ
ロバクテリウム増殖阻害剤のT−DNA送達に対する効果および形質転換効率の
予測を、記載のような一過性分析で試験できる。T−DNA導入プロセスの減少
により、コピー数は減少し、複雑な組込みパターンのような組込みの複雑性が、
別々のT−DNAの共組込みから発生し得る(DeNeveら、1997)。T
−DNA導入および形質転換効率に影響を及ぼすことによる、コピー数の減少に
対する、アグロバクテリウム増殖阻害剤の効果は、一過性分析により、より好ま
しくは安定な形質転換植物で試験できる。組織化学的アッセイ、生物学的アッセ
イ、および分子分析を含むがこれに限定されない、任意の数の方法が適切である
【0072】 好ましい実施形態において、追加の実験を、アグロバクテリウム細胞に対する
増殖阻害剤の効果を評価するために実施でき、植物を、任意の植物の形質転換系
のために増殖できる。例えば、アグロバクテリウム増殖は、形質転換プロセスに
おいて、異なる濃度および異なる時点で、1つ以上の増殖阻害剤の存在下および
非存在下でモニタリングできる。1つの実施形態において、アグロバクテリウム
に対する増殖阻害剤の効果は、増殖阻害剤(群)と比較しておよび比較せずに、
プロセスにおけるステップ後のアグロバクテリウムの回収を定量することにより
モニタリングできる。
【0073】 別の実施形態において、植物細胞を、野生型腫瘍誘導アグロバクテリウム株で
感染し、腫瘍形成に対する1つ以上の増殖阻害剤の効果を、薬剤(群)の存在下
または非存在下での腫瘍形成を評価することにより評価できる。T−DNA導入
は、β−グルクロニダーゼ(GUS)アッセイ(Jefferson,R.A.
1987)のアッセイを含むがこれに限定されない、一過性アッセイに基づいて
モニタリングできる。
【0074】 続いて培養物を形質転換された苗木の回収に適した培地に移す。当業者は形質
転換された植物の回収方法を多く知っている。植物形質転換およびトランスジェ
ニック植物の回収用の各植物系に関して種々の培地および移動の要件を実行し、
最適化できる。従って、本発明において開示されたかかる培地および培養条件を
修飾または栄養的に等価な成分、またはトランスジェニック体の選別および回収
のための類似の方法と置き換えることができ、これも本発明の範囲内になる。
【0075】 製造された形質転換体を続いて分析し、形質転換ベクターに含まれる目的の特
定の核酸の存在または不在を決定する。分子分析には、非限定例としては、サザ
ーンブロット(サザーン、1975)またはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)分
析、免疫診断研究法、およびフィールド評価などがある。これらのおよびその他
の公知の方法を実施して、開示する方法により製造された形質転換植物の安定性
を確認することができる。これらの方法は当業者に公知であり、文献報告されて
いる(例えばSambtookら、Molecular Cloning,A
Laboratory Manual(1989))。
【0076】 本発明により提供される方法および組成物の多くの利点は当業者には理解され
よう。以下の実施例は本発明の好ましい実施態様を示すために含まれている。実
施例に開示された技術は本発明の実行おいて十分に機能するために発明者により
見出された本技術に従い、故にそれを実行するための好ましい様式を構成すると
考えられることを当業者は理解すべきである。しかしながら、本開示を鑑み、開
示される具体的な実施態様に多くの変更が為され、本発明の精神および範囲から
逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを当業者は理解
すべきである。
【0077】 実施例 実施例1 細菌株およびプラスミド 使用したアグロバクテリウム(Agrobacterium)株および2価プ
ラスミドベクターを表1に列挙する。当業者に公知の標準的な分子生物学の技術
を用いてプラスミドベクターを構築した。簡単には、本明細書に記載する植物形
質転換ベクターは、非限定例としては、1つまたはそれ以上のT−DNAボーダ
ー配列(右ボーダー、RB;左ボーダー、LB)などを含んでなり、植物ゲノム
、複製エレメント、選別可能マーカーおよび1つまたはそれ以上の目的の遺伝子
への核酸分子の移動を促進する。試験したプラスミドーベクターを図1ないし図
5に示す。
【0078】 プラスミドの簡単な説明は以下のとおりである:e35Sプロモーターは,−
90ないし−300領域の二重体を含有するカリフラワーモザイクウイルス(C
aMV)の35SRNA35Sプロモーターに由来する35Sプロモーターの修
飾体である;nosプロモーターはアグロバクテリウム・ツメファシエンツ(A
grobacterium tumefacients)PTIT37に由来し
する;GUS遺伝子は出発コドンでNco部位を有するように修飾されたイー・
コリ(E.coli)に由来するβ−グルクロニダーゼコーディング配列である
;ST−LS1*NTはソラナム・ルベロサム(Solanum rubero
sum)由来のイントロンである;nptII遺伝子(kan)はネオマイシン
ホスホトランスフェラーゼをコードする;nos3’領域はアグロバクテリウム
・ツメファシエンツ(Agrobacterium tumefacients
)pTIT37のNOS遺伝子の下流の未翻訳配列およびポリAシグナルを含有
する;ori−Vは植物性の複製起点である;0ri−322は機能的複製起点
の公知の最小配列である;CP4遺伝子はEPSPシンターゼのコーディング配
列である(グリホサート除草剤に耐性を付与する);GFPは緑経口タンパク質
の修飾コーディング配列である。選別可能(nptII)およびレポーター遺伝
子(uidA)は増強35Sプロモーター(E35S:fig.)に誘導され、
未翻訳hsp70イントロンが続く(Rochesterら、(1986));
uidAはコーディング配列内に別のイントロンを有し、細菌発現を最小限にす
る(Vancannyetら、(1990));bar遺伝子は除草剤ビアラフ
ォスに対する抵抗性を付与する;gent遺伝子はゲンタマイシンに対する抵抗
性を付与する;P−ractIおよびractIイントロンは各々イネアクチン
プロモーターおよびイネアクチンイントロンと称される。
【0079】 Bio−Rad Gene Pulser(2.5kvおよび400オームで
操作)を用いるエレクトロポレーションにより、2価プラスミドを異なるアグロ
バクテリウム(Agrobacterium)株に導入した。接合完了体を適当
な構成物質を用いて半固体Luria−Bertani培地(LB)で選別した
【0080】
【表1】
【0081】 実施例2 アグロバクテリウム(Agrobacterium)の前誘導 AB基盤の誘導培地においてアセトシリンゴン(200μM)およびグルコー
ス(2%)により、形質転換に用いたアグロバクテリウム(Agrobacte
rium)培養物を前誘導する(特記するものを除く)。方法は以下のとおりで
あった: 第1工程: 新たに培養したプレートからループの多い細菌コロニーを採り、適当な抗生物
質を含有するLB培地50ml中28℃で15ないし24時間成長させた。培養
期間の終わりに細菌培養物の光学密度はA660で−1.4であった。
【0082】 第2工程: これらの細胞の10mlアリコートを適当な抗生物質を含む新鮮LB50ml
に移し、さらに6ないし8時間成長させた(光学密度〜1.2まで)。
【0083】 第3工程: アグロバクテリウム(Agrobacterium)細胞を3250gで4℃
で10分間遠心し、ペレットを前誘導培地に再懸濁し、最終光学密度A660で
0.2にし、28℃で12ないし15時間インキュベートした。
【0084】 第4工程: 形質転換に使用する前に、アグロバクテリウム(Agrobacterium
)細胞を3250gで4℃で10分間遠心した。上澄をデカンテーションした後
、ペレットを1/2MS洗浄培地に再懸濁し(アグロバクテリウム(Agrob
acterium)培養物1lに1/2MS洗浄培地少なくとも100mlを用
いた)、50ml遠心管に等分し、3250gで4℃で10分間細胞を遠心し、
上澄を除去し、ペレットの入った管を用時まで氷中で保存した(アグロバクテリ
ウム(Agrobacterium)細胞を氷上で4時間まで保存できる)。
【0085】 試薬は市販により入手でき、多くの提供者から購入できる(例えばSigma
Chemical Co.,St.Louis,MO)。
【0086】
【表2】
【0087】 前誘導培地の抗生物質濃度はLB培地で用いる濃度の0.5Xである。例えば
LB培地で成長させたEHA101(pMON25457)の選別に用いた抗生
物質濃度はKan100プラスGent100(μg/mlで)であり、誘導培
地で用いたレベルは50mg/l カナマイシンおよび50mg/l ゲンタマ
イシンである。C58−ABI株選別に用いる濃度は:LB培地中100mg/
l カナマイシン、100mg/l スペクチノマイシン、100mg/l ス
トレプトマイシン、および25mg/l クロラムフェニコール、並びに誘導培
地中50mg/l カナマイシン、50mg/l スペクチノマイシン、50m
g/l ストレプトマイシン、および25mg/l クロラムフェニコールであ
る。 最終濃度 実施例3 外植片調製 本研究ではいくつかの外植片を使用した: 1)カランコエの若い植物を温室で成長させた。この植物の葉を形質転換実験に
使用した。 2)最大−100セル/クランプの大きさで、倍化時間およそ2日のブラック・
メキシカン・スイート(Black Mexican Sweet:BMS)の
Zea mays L.セルラインの微細懸濁液をBMSを用いる実験で用いた
。BMS細胞を修飾液体ムラシゲ(Murashige)・アンド・スクーグ(
Skoog)培地(MS−BMS)中維持した(表9)。懸濁培養物を150r
pmの水平振盪機中暗闇内、28℃で維持し、新鮮培地50mlで細胞懸濁液5
mlを希釈することにより2日間隔で継代培養した。 3)未成熟胚:数種の穀物、例えばトウモロコシ、イネおよび小麦に由来する未
成熟胚を使用した。
【0088】 トウモロコシ H99、(H99 X Pa91)A188、H99 xA188、LH19
8 x Hi−IIなどのトウモロコシのいくつかの遺伝子型をこの研究で使用
した。受粉のおよそ10日後、未成熟胚を含有する穂を収穫し、用時まで4℃で
冷蔵した(収穫後5日まで)。形質転換のこの方法に好ましい胚の大きさは、ハ
イブリッド(Pa91xH99)A188には〜1.5ないし2.5mmである
。平均温度87°F、GE1000ワット高圧ナトリウムランプにより供給され
る光で補充して昼の長さを14時間にする成長条件に従って、通常温室内で受粉
した後10日でこの大きさに到達する。
【0089】 イネ 一般に入手できるカリフォルニア品種M202を使用した。平均温度78°F
昼/70°F夜で、GE1000ワット高圧ナトリウムランプにより供給される
光で補充して昼の長さ14時間で、温室中母株を成長させた。開花後7ないし1
2日の植物から未成熟穀果を回収した。IEを無菌的に切開し、形質転換に直接
用いるか、または接種前にMSカルス誘導培地(MSI)で予め培養した。全培
養物を23ないし25℃の温度でインキュベートした。
【0090】 小麦 春播き小麦トリチカム・アエスティバム(Triticum aestivu
m)栽培品種ボブホワイト(Bobwhite)を使用した。環境的に制御され
たチャンバー内で、高圧放電シルバニアライト(GTE Products C
orp.,Manchester,NH)により提供される800μモル m−
2 s−1で16時間の光周期で母株を成長させた。昼および夜の温度は18/
16℃であった。開花後14日の植物から未成熟穀果を回収した。IEを無菌的
に切開し、形質転換に直接用いるか、または接種前にMSカルス誘導培地(MS
I)で予め培養した。別のケースでは、培養物を23ないし25℃の温度でイン
キュベートした。
【0091】 その他の外植片 このセクションで記載しない他のいずれかの外植片については具体的な実施例
で詳細を記載する。
【0092】 実施例4 接種 接種期間と条件およびアグロバクテリウム細胞密度は本発明の経過を通じて変
化しており、また、特定の実施例において詳細に説明されている。
【0093】 以下の接種の方法は、BMS懸濁細胞以外のすべての組織片に適用される。B
MS細胞懸濁液形質転換に関する手順は表8に掲載される。アグロバクテリウム
懸濁液は、アセトシリンゴン(200μM)とその他の殺菌性化学物質を補充し
た1/2MS PL 培地を加えた (必要に応じて)、所望の光学密度(OD A660 1.0 = 10 cfu/ml)に再懸濁された。このアグロバ
クテリウム懸濁培養培地の3 mlsが、6−ウェルプレートの中に加えられた
(Coster未処理6−ウェルプレート、Corning社、マサチューセッ
ツ州アクトン市)。IEは分離されて直接各ウェルの中に10〜15分間入れ(
組織片として新たに分離されたIEを使用する場合)、接種はその分離期間後に
付け加えた1分間の間に実施された。
【0094】 その接種期間後に、そのアグロバクテリウム懸濁液の大部分は無菌移動ピペッ
トを使用してやさしく除去された。胚は無菌スパーテルでやさしく収集され、ま
た、〜50個の胚を単一共培養プレートに移動させた。共培養の間、胚を含んで
いるそのプレートは、23℃にて1〜3日間インキュベートされた。形質転換プ
ロセスの間、共培養プレートの光への曝露はホイールあるいは暗幕によりそのプ
レートを覆うことにより最小限度にされた。
【0095】
【表3】
【0096】 実施例5 共培養 共培養のための条件(接種後の期間、および遅延、延長された共培養(カラン
コエの葉)あるいは選択培地に組織片を移動する前)はその植物系統によりさま
ざまに変化した。その使用されたさまざまな培地は以下の諸表中に概要されてい
る。
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】 実施例6 トウモロコシ、小麦および米(さまざまな選択可能なマーカー)の形質転換の
諸方法
【0100】
【表6】
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
【表9】
【0104】
【表10】
【0105】
【表11】
【0106】
【表12】
【0107】
【表13】
【0108】
【表14】
【0109】
【表15】
【0110】 実施例7 T−DNA送出の効率 各研究での遺伝子導入事象の数は、特に指示されない限り植物が分析された後
に測定された。形質転換効率(事象の数/外殖片の数、例えば未熟な胚は、研究
から研究まで変化し、そして様々な処理条件および様々な遺伝子型の間で変化し
た。
【0111】 様々の細胞型に対するT−DNA送出の効率は、特定の実施例でいっそう詳細
に記述される。
【0112】 実施例8 トランスジェニック植物分析 上に記述されるとおりの適切な成長条件下で、植物を、温室で育成した。大半
の植物は、完全に受精していた。各植物を、以下の方法の1つまたはそれ以上に
よって試験した: a)植物の様々の部分を使用したGUS組織化学的アッセイ(Jeffers
on,1987年)。
【0113】 b)生物学的アッセイ(葉脱色アッセイ)。およそ2週齢の幼苗から得た葉サ
ンプル(葉打ち抜き)を、24穴細胞培養クラスター(コスター・コーポレーシ
ョン(Costar Corporation)、マサチューセッツ州ケンブリ
ッジ(Cambridge,MA))のウエルに載せた。各ウエルを、300m
g/Lパロモマイシン(シグマ(Sigma))および100mg/Lベンレー
ト(デュポンから製造された殺真菌剤)から構成される0.5mlの水性溶液で
満たした。100mg/Lベンレート単独を、対照として使用した。各植物の同
じ葉から得られた3つの葉サンプルを、それぞれ、パロモマイシン足すベンレー
トを含む2つのウエルに、そしてベンレート単独を含有する1つのウエルに入れ
た。非形質転換植物から得た葉サンプルを、陰性対照として使用した。サンプル
を、5分間、社内真空システムを用いたデシケーターで真空浸透させ、そしてそ
の後、クラスターを、パラフィルムで密着して封入してから、光(140μMo
lm−2s−1)の下に置いた。結果は、60時間後に測定された。パロモマイ
シンに非常に耐性のある葉サンプルは、切断先端(<1mm幅)を除くほとんど
の領域で緑色のままであり、それは、その植物が、機能性nptII遺伝子を有
することを示した。遺伝子なし、または非機能性遺伝子を有する植物から得られ
る葉サンプルは、負の対照としてパロモマイシンによって完全に脱色されるか、
またはほんの小さなパッチの緑色の領域を示した。
【0114】 c)サザンハイブリダイゼーション分析(Southern,1975年)。
ゲノムDNAは、Shureら(1983年)の方法にしたがって植物の葉組織
から単離された。10から15ミリグラムのゲノムDNAを、適切な制限エンド
ヌクレアーゼで消化し、そして0.8%アガロースゲルで分画した。標準手段(
Sambrookら、1989年)によって、DNAを、ハイボンドN膜(アメ
シャム(Amersham)、イリノイ州アリントン・ハイツ(Arlingt
on Heights,IL))に移行させた。pMON18365(図2)お
よびpMON25457(図3)で形質転換したトウモロコシ植物についてのプ
ローブは、35s−hsp断片を含有する〜1.5kb断片をゲル精製すること
によって作製された。トウモロコシ系列のゲノムDNAを、EcoRIで消化し
た。pMON32902で形質転換した米系列から得られるDNAを、XhoI
で消化し、そしてCP4遺伝子を含有するpMON25492(図4)から得ら
れるゲル精製した〜1.6kb断片で釣上げた。ランダムプライマー標識キット
(プライム−ItII、カリフォルニア州ラホーラ(LaJolla,CA))
を用いて、プローブを、2.6×109cpm/mgの比活性まで、32P d
CTPで標識した。14時間、42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC、5
×デンバート溶液、0.5%SDSおよび100μg/ml tRNAを含有す
る溶液中で、膜を、ハイブリッド形成させた。最終洗浄液の状態は、60℃で、
15分間、0.1%SSCおよび0.1%SDSであった。
【0115】 実施例9 植物細胞の形質転換におけるアグロバクテリウム細胞の成長の間の成長阻害剤
の添加の効果 外殖片作製 2つの外殖片は、この研究のために使用される: 1)温室で育成されたカランコエ植物の幼生葉および 2)迅速に成長するBMS懸濁細胞。
【0116】 アグロバクテリウム細胞の作製 形質転換のために使用されたアグロバクテリウム細胞を、表2で記述されると
おりに予備誘導させた。カレンコエ葉の形質転換については、アグロバクテリウ
ム細胞を、なんら添加剤なしの(塩のみを用いた)MS接種培地で洗浄した。B
MS懸濁細胞の形質転換については、表8で記述されるとおりの標準プロトコー
ルに従った。 接種および同時栽培 BMS懸濁細胞の形質転換を、表8で記述されるプロトコールにしたがって行
った。カランコエ葉を形質転換するために、アグロバクテリウム株A281から
得られるカリス(caris)の懸濁液を、WhiteおよびNesterで記
述されるとおり機械的傷つけを行った後に塗布した。二重ベクターpMON25
457(図3)を宿すアグロバクテリウム株A136を、負の対照として使用し
た。
【0117】 T−DNA送出の効率 BMS細胞へのT−DNA送出の効率は、一過性GUS発現後期同時栽培によ
って、並びに同時培養の4週後のフィルターの単独片に現れるGUS陽性コロニ
ーを染色することによって測定された。
【0118】 カランコエ葉へのT−DNA送出の効率は、20mlのアグロバクテリウム株
A281懸濁細胞を用いて、接種の4週後に、発酵中の麦芽形成を評価すること
によって測定された。
【0119】 実施例10 アグロバクテリウム細胞の予備誘導の間の成長阻害剤の添加の効果 アグロバクテリウム細胞EHA101:pMON25457(BMS細胞を形
質転換させるために)およびA281(カランコエ葉を形質転換させるために)
を、AB培地中で上に記述されるとおり予備誘導した。予備誘導の間に、AgN
を、予備誘導培地に、2つの異なるレベル(20μMおよび40μM最終濃
度)で添加した。誘導の前の最終光学濃度を、A660(OD 0.2)に調節
した。アグロバクテリウム細胞を、15時間、予備誘導させた。光学濃度の測定
(成長の測定値)を、形質転換の直前に、予備誘導の終わりに行った。AgNO の不在下で予備誘導されたアグロバクテリウム細胞を、対照として使用した。
成長およびT−DNA移行における予備誘導段階の間のAgNOの効果は、表
16、表17および表18に示される。形質転換の前のアグロバクテリウム細胞
の成長の間のAgNOの存在は、アグロバクテリウム細胞の成長およびT−D
NA移行能力を阻害する。半固形LBプレート上でアグロバクテリウム細胞を平
板培養させることは、AgNOの存在下でのアグロバクテリウムの15時間の
培養期間が、アグロバクテリウム細胞に致命的であることを示した。したがって
、アグロバクテリウム細胞が、成長阻害剤AgNOで処理された場合に、安定
な形質転換体は得られなかった。対照は、腫瘍(カレンコエ植物組織における株
A281)およびGUS陽性カルス(BMS懸濁細胞での株EHA1010:p
MON25457)を生じた。
【0120】
【表16】
【0121】
【表17】
【0122】
【表18】
【0123】 実施例11 アグロバクテリウム細胞成長における同時培養の間の成長阻害剤の存在の効果 植物材料 種々のトウモロコシ外殖片、例えば受粉のおよそ10日後に単離された未成熟
胚、およびカルス由来の未成熟胚、両方とも、D培地で培養された;未成熟胚か
ら由来し、そして修飾N6培地(Armstrongら、1991年)で培養し
たカルス(Hi−II遺伝子型から由来したタイプIIカルス);先に記述され
たとおりBMS懸濁細胞は、この研究で使用された。 アグロバクテリウム株およびプラスミド 二重ベクターpMON18365(図2)を宿す無害化されたアグロバクテリ
ウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefacien
s)株C58(AB1)を、実施例で使用した。アグロバクテリウム株を、先に
記述されるとおり予備誘導させた。 接種および同時栽培 3mlの予備誘導アグロバクテリウム懸濁液(A660OD 1.0)を、6
穴組織培養プレートに添加した。外殖片を添加した後に、植物組織およびアグロ
バクテリウム懸濁細胞を、3時間、真空浸透にかけた。3時間の真空浸透の後、
アグロバクテリウム懸濁液を除去し、そして植物組織を、10μM AgNO (最終濃度)を含有する半固形培地に載せた。全ての組織を、暗所で、3日間イ
ンキュベートした。 アグロバクテリウム細胞成長における同時培養の間のAgNOの効果 同時培養の3日後に同時培養培地で、外殖片を囲むアグロバクテリウム細胞の
成長は観察されなかった。成長阻害剤なしに、全ての外殖片を、培地に移行させ
、そしてアグロバクテリウム成長の評価は、移行の7日後に観察された。アグロ
バクテリウム細胞の過多の成長が、外殖片の周囲で示された。したがって、同時
培養培地への成長阻害剤の添加は、ある種の細菌細胞の成長を阻害したが、しか
し、試験された条件下で全てのアグロバクテリウム細胞を死滅させはしなかった
【0124】 実施例12 アグロバクテリウムの回復における同時培養期間のの間の成長阻害剤の存在の
効果 別の実施例では、未成熟胚を、実施例3で記述されるとおり単離させた。二重
ベクターpMON25457(図3)を宿す無毒化されたアグロバクテリウム・
ツメファシエンス株EHA101が使用された。アグロバクテリウム株は、実施
例2に記述されるとおり予備誘導された。3mlの予備誘導アグロバクテリウム
懸濁液(A660OD 4.0)を、記述されるとおり、6穴組織培養プレート
に添加した。アグロバクテリウム懸濁細胞への外殖片の添加の後、接種を、15
分間行った。アグロバクテリウム懸濁液を除去し、そして胚を、AgNO3(2
0μM最終濃度)を伴うか、またはなしの半固形培地に載せた。全ての組織を、
暗所で3日間インキュベートさせた。アグロバクテリウム存在の量は、接種直後
に未成熟胚を任意にサンプル採取することによって、最初に、そして同時培養期
間の終わりに再度、概算されて、未成熟な胚外殖片当たり付着したアグロバクテ
リウム細胞の数を決定した。結果は、表19に表される。結果は、AgNO
封入が、アグロバクテリウムの成長を明らかに阻害することを表した。
【0125】
【表19】
【0126】 実施例13 アグロバクテリウムの予備誘導は、成長阻害剤の存在下で同時培養された場合
に、T−DNA送出を最適化する。
【0127】 トウモロコシ表現型H99×A188の未成熟胚および二重ベクターpMON
18365を宿すアグロバクテリウム株ABI(図2)を、使用した。アグロバ
クテリウム株を、先に記述されるとおりに予備誘導し、そして3mlの予備誘導
されたアグロバクテリウム懸濁液(A660OD 1.0、2.0、3.0およ
び4.0)を使用した。アグロバクテリウム懸濁細胞に外殖片を添加した後、1
5分間、接種を行った。アグロバクテリウム懸濁液を除去し、そして胚を、10
μM AgNO(最終濃度)で補足した1/2MSトウモロコシ同時培養培地
に載せた。同時培養期間は、暗所で3日間であった。T−NA送出の効率は、同
時培養の3日後、12−15時間、GUS染色緩衝液で直接胚をインキュベート
させ、そして未成熟胚外殖片当たりGUSフォーカスの数を計数することによる
一過性GUS分析によって概算された(表20)。アグロバクテリウム細胞の濃
度を増加させることは、アグロバクテリウム細胞が、LB培地で育成される場合
に、トウモロコシ組織へのT−DNA移行の頻度における影響は示さなかった。
予備誘導段階の処理について、一過性GUS発現によって測定されるとおりT−
DNA移行は、アグロバクテリウム濃度が、1.0のOD660から4.0に増
加した時に増加した。
【0128】
【表20】
【0129】 実施例14 T−DNA移行および植物細胞成長における同時培養中の成長阻害剤の存在の
効果 遺伝子型H99×A188の未成熟胚を、上に記述されるとおり単離した。二
重ベクターpMON18365を宿す無害化されたアグロバクテリウム株ABI
を使用した。アグロバクテリウム株を、上に示すとおり予備誘導し、そして3m
lの予備培養アグロバクテリウム懸濁液(A660OD 4.0)を、先に記述
されたとおり6穴組織培養プレートに添加した。3時間、真空下で接種を行った
。アグロバクテリウム懸濁液を除去し、そして胚を、種々の濃度のAgNO
0、10、20、40、60mM AgNO最終濃度)を含有する個々の半固
形培地に載せた。全ての組織を、暗所で、3日間インキュベートした。T−DN
A送出の効率は、未成熟胚外殖片当たりのGUSフォーカスの数を計数すること
により、同時培養の3日コロニー刺激因子に行われた一過性GUS分析によって
概算された(表21)。培養反応の効率は、胚を、遅延培地(500mg/Lカ
ルベニシリンで補足したD培地)に移行させ、そして移行の2週後に観察を行う
ことによって測定された。同時培養中の10μM AgNOの存在は、GUS
フォーカスおよび生存した組織の平均数によって測定されるとおりT−DNA移
行の頻度において正の効果を示した。AgNOのレベルを、20μMまで増加
させることは、T−DNA移行の数を減少させたが、培養に応答する胚の頻度を
増加させた。AgNOのレベルを、60μMまで増加させることは、T−DN
A移行に対して阻害性があることが分かったが、高いレベルは、培養反応をはっ
きりと分かるほど増加しなかった。結果は、AgNOのような成長阻害剤の濃
度が、滴定されて、T−DNA移行の所望の効率を得うることを示した。
【0130】
【表21】
【0131】 実施例15 成長阻害剤を用いた同時培養中のアグロバクテリウム密度の減少は、トウモロコ
シ、米および小麦の形質転換の頻度を増加させる 外殖片作製 この研究に使用された外殖片は、未成熟胚であり、そして先に記述されるとお
り作製された。 アグロバクテリウム形質転換および選択: 以下の形質転換プロトコールは、以下のパラメーターを含んだ:24時間未満
の間、予備培養された未成熟胚の使用:細菌接種密度>OD660で2.0。1
から3日間の同時培養期間。正常な組織培養中に要求されるより高い濃度のオー
キシン、または様々の型のオーキシン/成長調節剤の組合せの使用。作物および
選択スキームにより、同時培養(選択圧力なしの)当初の外殖片の予備培養なし
、段階的増加または減少に続く2−7日の遅延期間、および9−12週の間の形
質転換期間。
【0132】
【表22】
【0133】 実施例16 接種培地に対する成長阻害剤の効果 トウモロコシ遺伝子型LH198X Hi−IIを使用した。トウモロコシ未
成熟胚を、先に記述されるとおり単離した。およそ30個の未成熟胚に、各処理
について、5分間、プラスミドpMON18365を宿すアグロバクテリウム株
ABIを接種させ、そして2から3日間、同時培養培地に載せた。処理当たり4
重の複写物があった。4つの処理は、 処理1:成長阻害剤の不在(接種および同時培養培地の両方で) 処理2:接種培地中で剤の不在:同時培養培地で剤の存在(20μM硝酸銀) 処理3:接種培地中で剤の存在(20μM硝酸銀):同時培養培地で剤の不在 処理4:接種および同時培地の両方中で剤の存在(20μM硝酸銀) を含む。
【0134】 各処理内で、5個の未成熟胚を、一過性分析のために使用した。これは、各処
理内の全ての代表にわたって繰返された。GUSスポットの数は、表23に示さ
れるとおり胚盤の表面(胚盤側面上向き)の両方で測定され、そしてGUSスポ
ットの数は、表24で示されるとおり胚の軸側で測定された。結果は、接種培地
および同時培養培地中のアグロバクテリウム成長阻害剤の存在が、接種または同
時培養培地のいずれかでの剤の存在、または阻害剤なしに比べて、GUSスポッ
トの数を減少させることを示した。したがって、接種段階中、および同時培養段
階中のアグロバクテリウム成長阻害剤の存在は、T−DNA移行およびコピー数
を減少させるために使用された。T−DNA移行は、組織(同時培養プレート上
の成長阻害剤に最も近い)の底面である組織の軸側におけるGUSスポットの数
おける減少によって示されるとおり、阻害剤の位置に関して組織の配向正によっ
ても影響された(表24)。
【0135】
【表23】
【0136】
【表24】
【0137】 実施例17 接種中の成長阻害剤の添加はコーンにおける形質転換効率を改善する 遺伝子型(HPPxPa91)A188の未熟胚を記載されているように単離
した。バイナリーベクターpMON25427(図3)を有するアグロバクテリ
ウム菌株EHA 101を使用した。アグロバクテリウム菌株を記載されている
ように前誘導し、20μM AgNOを補充した前誘導アグロバクテリウム懸
濁液(A660OD 6.5)3mlを上記したように6ウェル組織培養プレー
トに添加した。接種を15分間実施した。アグロバクテリウム懸濁液を除去し、
胚を20μM AgNO(最終濃度)を含有する半固体共培養培地上に置いた
。すべての組織を暗所で3日間インキュベートした。形質転換プロトコルは実施
例6に記載に従った。対照胚は、形質転換のすべてのステップでAgNOの非
存在下で培養した。形質転換効率をパロモマイシン耐性カルスを産生する胚の数
に基づいて計算した。結果は、接種中にAgNOのような成長阻害剤を添加す
ると形質転換効率が上昇することを示す。
【0138】
【表25】
【0139】 実施例18 アグロバクテリウムの成長に対する他の化学物質の効果 表26に示す各化学物質をMS−BMS培地に再懸濁し、アグロバクテリウム
(AB1菌株)の一晩培養物50mlに添加した(最終濃度50μM)。接種か
ら24時間後、アグロバクテリウムの成長に対する化学物質の効果を調べた。公
知の殺菌性化合物カルベニシリン(最終濃度50mg/L)及びAgNO(2
0μM)を対照として使用した。「成長なし」は、当該化学物質の殺菌または静
菌特性を示す細胞密度の増加が見られなかったことを示す。「ゆっくり成長」は
、細胞密度の僅かな増加が認められ、より高レベルでは死に至るおそれがある。
「成長」は、使用した濃度では対照培地に比較して細菌成長に対する効果はなく
、成長に対する効果を引き出すためにはより高濃度が必要である。
【0140】
【表26】
【0141】 実施例19 各種成長阻害剤との共培養中のアグロバクテリウム密度の低下によりコーンの形 質転換が改善する 遺伝子型(HPPxPa91)A188の未熟胚を記載されているように単離
した。バイナリーベクターpMON25457(図3)を有するアグロバクテリ
ウム菌株EHA 101を使用した。アグロバクテリウム菌株を記載されている
ように前誘導した。接種はA660OD 4.0の濃度を用いて記載されている
ように15分間実施した。後接種:アグロバクテリウム懸濁液を除去し、胚を各
種殺菌性化合物を補充した異なる半固体共培養培地上に置いた。すべての組織を
暗所で3日間インキュベートした。形質転換プロトコルは上記(コーンIE形質
転換)したように従った。ただし、50mg/L パロモマイシンを用いる第1
回選択を25mg/L パロモマイシン×2週間及び50mg/L パロモマイ
シン×更に2週間に変えた。形質転換効率を、上記した葉漂白剤アッセイ(leaf
bleach assay)で測定したようにnptII陽性植物を産生する胚の数に基づい
て計算した。形質転換から3週間後、各種成長阻害剤の存在下で共培養したIE
誘導カルスの品質及び成長特性を調べた。各種物質を含有する共培養培地に対す
る培養応答は以下の通りであった。50μM AgNOは最も多くのコンピテ
ントカルスを胚成長的に産生した>20M AgNO>カルベニシリン>添加
剤なし>KCrOは最も少ないコンピテントカルスを胚成長的に産生した。
結果は、硝酸銀のような成長阻害剤を共培養中に添加したときに高頻度の形質転
換が得られ得ることを示す。AgNOの濃度を20μMから50μMに増加さ
せたときに高い培養応答が達成されたが、形質転換レベルは低下した(T−DN
A転移の低頻度)。KCrOの添加は有害であった。これは多分、化学物質
のアグロバクテリウムに対する影響に加えて、化学物質は植物細胞健康に対して
非常に悪影響を与えるからである。データは、形質転換効率の増加は培養応答の
改善よりもむしろ共培養中のアグロバクテリウム成長の阻害に関連していること
を示した。
【0142】
【表27】
【0143】 実施例20 穀物のアグロバクテリウムでの形質転換のための新規外植片:3の遺伝子を含有 するハイブリッド胚を用いるコーンの形質転換の改善 形質転換を改善するための成長阻害剤の影響を調べるためにハイブリッドコー
ン胚を使用した。表28に示すデータは、より早く分裂する細胞系を使用すると
形質転換頻度が増加し得ることを示した。更に、より早く細胞分裂すると当該複
合体またはマルチコピーを有する形質転換事象を選択/排除することが可能であ
り得る。
【0144】 異なるコーン遺伝子型(例えば、H99、H99xA188及び(H99xP
a91)A188)の未熟胚を記載されているように単離した。バイナリーベク
ターpMON25457(図3)を有するアグロバクテリウム菌株EHA 10
1またはバイナリーベクターpMON18365(図2)を有するABIを使用
した。アグロバクテリウム菌株を記載されているように前誘導した。接種はA 60 OD 4.0の濃度を用いて記載されているように15分間実施した。接種
後、アグロバクテリウム懸濁液を除去し、20μM AgNOを補充した半固
体共培養培地上に胚を置いた。すべての組織を暗所で3日間インキュベートした
。前記した形質転換プロトコルに従った。ただし、遺伝子型H99に関して、5
0mg/L パロモマイシンでの第1回選択を25mg/L パロモマイシン×
2週間及び50mg/L パロモマイシン×更に2週間に変えた。形質転換効率
を、前記した葉漂白剤アッセイで測定したnprII陽性植物を産生する胚の数
に基づいて計算した。表28に示すデータから、3遺伝子型を含有するより早く
分裂する細胞を使用すると形質転換頻度がより高くなりることが明らかである。
【0145】
【表28】
【0146】 実施例21 共培養中の殺菌性化合物の使用による低コピー数インサートを有する形質転換事 象の産生 コーン及びコメの未熟胚を、上記した共培養中に成長阻害剤を含む方法を用い
てバイナリーベクターpMON 18365(図2)を有するアグロバクテリウ
ム菌株ABI 101及びバイナリーベクターpMON32092(図5)を有
するEHA 101で形質転換した。コピー数の分析は上記したサザンハイブリ
ダイゼーションを用いて実施した。表29に示すデータは、成長阻害剤を使用す
ると、今までに公開された他の形質転換系(Hieiら,1994及びIshi
daら,1996)を用いて達成された場合に比して非常に高い頻度でインサー
トの1〜2コピー数を有する植物が産生されたことを示す。
【0147】
【表29】
【0148】 実施例22 リポーター遺伝子の高い共発現を有する形質転換事象の産生 コーン及びコメの未熟胚を、上記した共培養中に成長阻害剤を含む方法を用い
てバイナリーベクターpMON 18365(図2)を有するアグロバクテリウ
ム菌株ABI 101及びバイナリーベクターpMON25457(図3)を有
するEHA 101で形質転換した。共形質転換効率を、上記した組織化学染色
を用いてGUSを発現するnptII陽性植物の数を測定することにより計算し
た。表30に示すデータは、成長阻害剤を使用すると植物が高い共発現頻度で産
生されたことを示した。
【0149】
【表30】
【0150】 実施例23 リポーター遺伝子の高い共発現での形質転換事象の産生 2つの異なる遺伝子型のコーンの未熟胚を、上記した共培養中に成長阻害剤を
含む方法を用いてバイナリーベクターpMON25457(図3)を有するアグ
ロバクテリウム菌株EHA 101で形質転換した。分離分析を、100mg/
L パロモマイシンを含有するMSOD培地においてコントロール受粉(戻し交
雑)後12〜14日にコーンの未熟胚を発芽させることにより実施した。表31
に示すデータは、成長阻害剤を使用すると単一座での移植遺伝子の存在下で植物
は高い事象で産生されたことを示す。この座の大部分が低いコピーインサート(
コメで>50%の単コピー、コーンで>87%の単コピー)を含むことの証拠は
既に提示されている。更に、前記結果から、3つ以上の遺伝子型を組み合わせる
とH99よりも単一分離座でより多数の植物が産生されたことも明らかである。
このことは、より早い細胞分裂により複合体またはインサートのマルチコピーを
含む形質転換事象が選択/排除され得るという本出願人の前記結果を裏付ける。
【0151】
【表31】
【0152】 実施例24 成長阻害剤の添加と共に高濃度のオーキシンはコメにおける形質転換効率を改善 する コメの未熟胚を、上記した共培養中に成長阻害剤20μM AgNOを含む
方法を用いてバイナリーベクターpMON25457(図3)を有するアグロバ
クテリウム菌株EHA 101で形質転換した。形質転換効率を、上記したよう
にnptII陽性事象/接種した胚の総数基づいて測定した。結果は、共培養中
にピコラムの添加とオーキシンまたは2mg/Lの2,4−Dを組み合わせると
形質転換効率が改善されることを示した。更に、上記したコーン形質転換プロト
コルは共培養培地中に3mg/Lの2,4−Dを使用した。このレベルは、コー
ンの胚形成カルスの誘導及びコーンの胚形成カルスの定期的維持のためにしばし
ば非常に高い。
【0153】
【表32】
【0154】
【参考文献】
【0155】
【表33】
【図面の簡単な説明】
【図1】 pMON30100のプラスミドマップである。
【図2】 pMON18365のプラスミドマップである。
【図3】 pMON25457のプラスミドマップである。
【図4】 pMON25492のプラスミドマップである。
【図5】 pMON32092のプラスミドマップである。
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月10日(2002.4.10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 前記成長阻害剤が抗生物質である請求項に記載の方法。
【請求項】 前記抗生物質がカルベニシリンである請求項に記載の方法
【請求項】 前記成長阻害剤が、アグロバクテリウム細胞成長およびT−
DNA転移プロセスを抑制することができる核酸である請求項に記載の方法。
【請求項】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、単子葉植物由来
のものである請求項1に記載の方法。
【請求項】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、双子葉植物由来
のものである請求項1に記載の方法。
【請求項】 前記単子葉植物が穀物である請求項に記載の方法。
【請求項】 前記単子葉植物が、トウモロコシ、小麦またはイネである請
求項に記載の方法。
【請求項10】 前記双子葉植物が、大豆、棉、カノーラまたはヒマワリで
ある請求項に記載の方法。
【請求項11】 アグロバクテリウム介在プロセスを用いる植物細胞または
植物組織の形質転換方法において、 植物の細胞または組織に転移可能な1以上の遺伝子成分を有するアグロバクテ
リウムを形質転換可能な植物細胞または組織に接種する段階; 前記遺伝子成分を発現する植物細胞もしくは組織の成長を抑制することがで 、さらに 成長阻害剤を含む培地であって、前記成長抑制剤が、抗生物質、蛋白質 、核酸、細胞抽出物、成長調節剤またはアグロバクテリウムの成長を阻害もしく は抑制することができる二次代謝物からなる群から選択される培地中において
接種後の前記形質転換可能な植物細胞または組織を共培養する段階; 形質転換植物細胞または組織を選択する段階; 前記選択植物細胞または組織から前記遺伝子成分を発現する形質転換植物を再
生する段階 を含む方法。
【請求項13】 前記成長阻害剤が抗生物質である請求項11に記載の方法
【請求項14】 前記抗生物質がカルベニシリンである請求項13に記載の
方法。
【請求項15】 前記成長阻害剤が、アグロバクテリウム細胞成長およびT
−DNA転移プロセスを抑制することができる核酸である請求項11に記載の方
法。
【請求項16】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、単子葉植物由
来のものである請求項11に記載の方法。
【請求項17】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、双子葉植物由
来のものである請求項11に記載の方法。
【請求項18】 前記単子葉植物が穀物である請求項16に記載の方法。
【請求項19】 前記単子葉植物が、トウモロコシ、小麦またはイネである
請求項16に記載の方法。
【請求項20】 前記双子葉植物が、大豆、棉、カノーラまたはヒマワリで
ある請求項19に記載の方法。
【請求項21】 アグロバクテリウム介在プロセスを用いる植物細胞または
植物組織の形質転換方法において、 1以上の成長阻害剤存在下に、植物の細胞または組織に転移可能な1以上の遺
伝子成分を有するアグロバクテリウムを形質転換可能な植物細胞または組織に接
種する段階(前記成長抑制剤は、抗生物質、蛋白質、核酸、細胞抽出物、成長調 節剤またはアグロバクテリウムの成長を阻害もしくは抑制することができる二次 代謝物からなる群から選択される) ; 前記遺伝子成分を発現する植物細胞もしくは組織の成長を抑制することができ
る培地であって、成長阻害剤をさらに含む培地にて、接種後の前記形質転換可能
な植物細胞または組織を共培養する段階(前記成長抑制剤は、抗生物質、蛋白質 、核酸、細胞抽出物、成長調節剤またはアグロバクテリウムの成長を阻害もしく は抑制することができる二次代謝物からなる群から選択される) ; 形質転換植物細胞または組織を選択する段階; 前記選択植物細胞または組織から前記遺伝子成分を発現する形質転換植物を再
生する段階 を含む方法。
【請求項22】 接種および共培養時に前記成長阻害剤を存在させて、アグ
ロバクテリウムのT−DNA転移プロセスを低下させる請求項21に記載の方法
【請求項23】 前記成長阻害剤が抗生物質である請求項21に記載の方法
【請求項24】 前記抗生物質がカルベニシリンである請求項23に記載の
方法。
【請求項25】 前記成長阻害剤が、アグロバクテリウム細胞成長およびT
−DNA転移プロセスを抑制することができる核酸である請求項21に記載の方
法。
【請求項26】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、単子葉植物由
来のものである請求項21に記載の方法。
【請求項27】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、双子葉植物由
来のものである請求項21に記載の方法。
【請求項28】 前記単子葉植物が穀物である請求項26に記載の方法。
【請求項29】 前記単子葉植物が、トウモロコシ、小麦またはイネである
請求項26に記載の方法。
【請求項30】 前記双子葉植物が、大豆、棉、カノーラまたはヒマワリで
ある請求項27に記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AE,AL,A M,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY ,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK, DM,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W Fターム(参考) 2B030 AA00 CA04 CA07 CA15 CA17 CA19 CD05 CD07 CD11 4B065 AA88X AA88Y AB01 BA02 BB40 BD22 BD35 CA53

Claims (66)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アグロバクテリウム介在プロセスを用いる植物細胞または植
    物組織の形質転換方法において、 1以上の成長阻害剤の存在下に植物の細胞または組織に転移可能な1以上の遺
    伝子成分を有するアグロバクテリウムを形質転換可能な植物細胞または組織に接
    種する段階; 前記遺伝子成分を発現する植物細胞もしくは組織の成長を抑制することができ
    る培地であって、成長阻害剤を含まない培地にて、接種後の前記形質転換可能な
    植物細胞または組織を共培養する段階; 形質転換植物細胞または組織を選択する段階; 前記選択植物細胞または組織から前記遺伝子成分を発現する形質転換植物を再
    生する段階 を有することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 接種時に前記成長阻害剤を存在させて、アグロバクテリウム
    のT−DNA転移プロセスを低下させる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記成長阻害剤が、抗生物質、重金属イオンを含む化合物、
    ならびに蛋白、核酸、細胞抽出物、成長調節剤、またはアグロバクテリウムの成
    長を阻害もしくは抑制することができる二次代謝物からなる群から選択される請
    求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記重金属イオンを含む化合物が、銀、カリウム、マンガン
    またはカドミウムを含む請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記重金属イオンが銀である請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記成長阻害剤が硝酸銀である請求項3に記載の方法。
  7. 【請求項7】 硝酸銀の濃度が約5μM〜約50μMである請求項6に記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 硝酸銀の濃度が約20μMである請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記成長阻害剤がチオ硫酸銀である請求項3に記載の方法。
  10. 【請求項10】 チオ硫酸銀の濃度が約5μM〜約50μMである請求項9
    に記載の方法。
  11. 【請求項11】 チオ硫酸銀の濃度が約20μMである請求項10に記載の
    方法。
  12. 【請求項12】 前記成長阻害剤が抗生物質である請求項3に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記抗生物質がカルベニシリンである請求項12に記載の
    方法。
  14. 【請求項14】 前記成長阻害剤が、アグロバクテリウム細胞成長およびT
    −DNA転移プロセスを抑制することができる核酸である請求項3に記載の方法
  15. 【請求項15】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、単子葉植物由
    来のものである請求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、双子葉植物由
    来のものである請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記単子葉植物が穀物である請求項15に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記単子葉植物が、トウモロコシ、小麦または米である請
    求項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記双子葉植物が、大豆、棉、カノーラまたはヒマワリで
    ある請求項17に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記単子葉植物がトウモロコシである請求項18に記載の
    方法。
  21. 【請求項21】 前記単子葉植物が小麦である請求項18に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記単子葉植物が米である請求項18に記載の方法。
  23. 【請求項23】 アグロバクテリウム介在プロセスを用いる植物細胞または
    植物組織の形質転換方法において、 植物の細胞または組織に転移可能な1以上の遺伝子成分を有するアグロバクテ
    リウムを形質転換可能な植物細胞または組織に接種する段階; 前記遺伝子成分を発現する植物細胞もしくは組織の成長を抑制することができ
    る培地であって、成長阻害剤をさらに含む培地にて、接種後の前記形質転換可能
    な植物細胞または組織を共培養する段階; 形質転換植物細胞または組織を選択する段階; 前記選択植物細胞または組織から前記遺伝子成分を発現する形質転換植物を再
    生する段階 を有することを特徴とする方法。
  24. 【請求項24】 共培養時に前記成長阻害剤を存在させて、アグロバクテリ
    ウムのT−DNA転移プロセスを低下させる請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記成長阻害剤が、抗生物質、重金属イオンを含む化合物
    、ならびに蛋白、核酸、細胞抽出物、成長調節剤、またはアグロバクテリウムの
    成長を阻害もしくは抑制することができる二次代謝物からなる群から選択される
    請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記重金属イオンを含む化合物が、銀、カリウム、マンガ
    ンまたはカドミウムを含む請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記重金属イオンが銀である請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記成長阻害剤が硝酸銀である請求項25に記載の方法。
  29. 【請求項29】 硝酸銀の濃度が約5μM〜約50μMである請求項28に
    記載の方法。
  30. 【請求項30】 硝酸銀の濃度が約20μMである請求項29に記載の方法
  31. 【請求項31】 前記成長阻害剤がチオ硫酸銀である請求項25に記載の方
    法。
  32. 【請求項32】 チオ硫酸銀の濃度が約5μM〜約50μMである請求項3
    1に記載の方法。
  33. 【請求項33】 チオ硫酸銀の濃度が約20μMである請求項32に記載の
    方法。
  34. 【請求項34】 前記成長阻害剤が抗生物質である請求項25に記載の方法
  35. 【請求項35】 前記抗生物質がカルベニシリンである請求項34に記載の
    方法。
  36. 【請求項36】 前記成長阻害剤が、アグロバクテリウム細胞成長およびT
    −DNA転移プロセスを抑制することができる核酸である請求項25に記載の方
    法。
  37. 【請求項37】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、単子葉植物由
    来のものである請求項23に記載の方法。
  38. 【請求項38】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、双子葉植物由
    来のものである請求項23に記載の方法。
  39. 【請求項39】 前記単子葉植物が穀物である請求項37に記載の方法。
  40. 【請求項40】 前記単子葉植物が、トウモロコシ、小麦または米である請
    求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 前記双子葉植物が、大豆、棉、カノーラまたはヒマワリで
    ある請求項38に記載の方法。
  42. 【請求項42】 前記単子葉植物がトウモロコシである請求項40に記載の
    方法。
  43. 【請求項43】 前記単子葉植物が小麦である請求項40に記載の方法。
  44. 【請求項44】 前記単子葉植物が米である請求項40に記載の方法。
  45. 【請求項45】 アグロバクテリウム介在プロセスを用いる植物細胞または
    植物組織の形質転換方法において、 1以上の成長阻害剤存在下に、植物の細胞または組織に転移可能な1以上の遺
    伝子成分を有するアグロバクテリウムを形質転換可能な植物細胞または組織に接
    種する段階; 前記遺伝子成分を発現する植物細胞もしくは組織の成長を抑制することができ
    る培地であって、成長阻害剤をさらに含む培地にて、接種後の前記形質転換可能
    な植物細胞または組織を共培養する段階; 形質転換植物細胞または組織を選択する段階; 前記選択植物細胞または組織から前記遺伝子成分を発現する形質転換植物を再
    生する段階 を有することを特徴とする方法。
  46. 【請求項46】 接種および共培養時に前記成長阻害剤を存在させて、アグ
    ロバクテリウムのT−DNA転移プロセスを低下させる請求項45に記載の方法
  47. 【請求項47】 前記成長阻害剤が、抗生物質、重金属イオンを含む化合物
    、ならびに蛋白、核酸、細胞抽出物、成長調節剤、またはアグロバクテリウムの
    成長を阻害もしくは抑制することができる二次代謝物からなる群から選択される
    請求項45に記載の方法。
  48. 【請求項48】 前記重金属イオンを含む化合物が、銀、カリウム、マンガ
    ンまたはカドミウムを含む請求項47に記載の方法。
  49. 【請求項49】 前記重金属イオンが銀である請求項48に記載の方法。
  50. 【請求項50】 前記成長阻害剤が硝酸銀である請求項47に記載の方法。
  51. 【請求項51】 硝酸銀の濃度が約5μM〜約50μMである請求項50に
    記載の方法。
  52. 【請求項52】 硝酸銀の濃度が約20μMである請求項51に記載の方法
  53. 【請求項53】 前記成長阻害剤がチオ硫酸銀である請求項47に記載の方
    法。
  54. 【請求項54】 チオ硫酸銀の濃度が約5μM〜約50μMである請求項5
    3に記載の方法。
  55. 【請求項55】 チオ硫酸銀の濃度が約20μMである請求項54に記載の
    方法。
  56. 【請求項56】 前記成長阻害剤が抗生物質である請求項47に記載の方法
  57. 【請求項57】 前記抗生物質がカルベニシリンである請求項56に記載の
    方法。
  58. 【請求項58】 前記成長阻害剤が、アグロバクテリウム細胞成長およびT
    −DNA転移プロセスを抑制することができる核酸である請求項47に記載の方
    法。
  59. 【請求項59】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、単子葉植物由
    来のものである請求項45に記載の方法。
  60. 【請求項60】 前記形質転換可能な植物細胞または組織が、双子葉植物由
    来のものである請求項45に記載の方法。
  61. 【請求項61】 前記単子葉植物が穀物である請求項59に記載の方法。
  62. 【請求項62】 前記単子葉植物が、トウモロコシ、小麦または米である請
    求項61に記載の方法。
  63. 【請求項63】 前記双子葉植物が、大豆、棉、カノーラまたはヒマワリで
    ある請求項60に記載の方法。
  64. 【請求項64】 前記単子葉植物がトウモロコシである請求項62に記載の
    方法。
  65. 【請求項65】 前記単子葉植物が小麦である請求項62に記載の方法。
  66. 【請求項66】 前記単子葉植物が米である請求項62に記載の方法。
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