JP2003505521A - 合成ポリアミドによる癌遺伝子転写の阻害 - Google Patents

合成ポリアミドによる癌遺伝子転写の阻害

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Abstract

(57)【要約】 癌遺伝子の転写の阻害能を有するポリアミドが提供される。芳香族カルボキサミド残基の少なくとも3の相補対を含む好ましいポリアミドは二本鎖DNAの小溝に結合する。各ポリアミドについて、いくつかのまたはすべてのポリアミド芳香族カルボキサミド残基を相補対合に付し、癌遺伝子のプロモーター領域にある同定されているdsDNA標的の標的ヌクレオチド配列を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、1998年9月11日に出願された米国仮特許出願第60/099
854号(本発明の一部として参照する)の優先権を主張する。 本発明は内因性癌遺伝子の発現を防止するための遺伝子のプロモータ領域内に
位置する二本鎖DNA(dsDNA)の小溝中の所定のヌクレオチド配列に結合
する特定のポリアミドに関する。
【0002】 (背景技術) チロシンキナーゼ膜成長因子受容体HER2/neuは、p185HER2と
もいい、卵巣、子宮内膜、卵管および子宮頚管などの女性生殖系腺癌を含むヒト
乳癌の20ないし30%において過剰発現され、増幅される同じ名前の細胞癌遺
伝子によりコードされる。Baert、J.L.ら、Int.J.Cancer
70、590−597(1997);Benz、C.ら、Oncogene
15、1513−1525(1997);Chang、C.H.ら、Oncog
ene 14、1617−1622(1997);Scott、G.K.ら、J
.Biol.Chem.269、19848−19858(1994);Pas
leau、F.ら、Oncogene 8、849−854(1993);Ta
l、M.ら、Molecular and Cellular Biology
7、2597−2601(1987)参照。
【0003】 neu癌遺伝子産物は、最初、齧歯類において化学的に誘発された(エチルニ
トロソ尿素)腫瘍において記載された。その後、ヒト同等物であるc−erbB
−2またはHer−2/neuがEGF受容体、蛋白チロシンキナーゼ活性を有
する185kDa膜貫通型蛋白と相同であることが見いだされた。HER2/n
euの過剰発現は、腫瘍が転移してその結果として患者の予後が悪くなる可能性
があることに関連する。Her−2/neu癌遺伝子の突然変異、増幅、および
過剰発現は乳癌進行、初期転移および予後不良と関連することが報告されている
。Her−2/neu遺伝子の増幅は、リンパ節転移と直接関連する。さらに、
動物モデルにおいて、突然変異の活性化は急速な腫瘍進行につながる。その結果
、Her−2/neu蛋白は細胞運動性に関与し、したがって転移に関与する可
能性があると考えられている。このように、DNAレベルでの直接的干渉による
Her−2/neu遺伝子発現の阻害は転移性疾患の有効な療法である可能性が
ある。
【0004】 いくつかの転写因子、例えばESX、AP−2およびTBPはこの受容体の発
現の調節において重要な役割を果たす。Baertら、前出;Benzら、前出
;Changら、前出;Bosher、J.M.ら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 92、744−747(1995)参照。これらの転写
因子はHER2/neuプロモーター内の部位との結合によりp185HER2
の発現を活性化する。HER2/neuプロモーターのヌクレオチド配列および
概略図を図1に示す。ESX結合部位とTBP結合部位(TATAボックス)は
互いに近接し、OB2−1(AP−2転写因子ファミリーの要素)部位は約18
0塩基対さらに上流に位置する。
【0005】 ESXは転写因子のEstファミリーに属する。Est蛋白はへリックス−タ
ーン−へリックスモチーフ(helix−turn−helix motif)
において結合部位の側面上の小溝に接するDNAの主溝に結合する。Karim
、F.D.ら、Genes and Development 1990、14
51−1453(1990);Donaldson、L.W.ら、EMBO J
ournal 15、125−134(1996);Graves.B.ら、N
ature 1996、384、322;Nye、J.A.ら、Genes a
nd Development 1992、975−990(1992);Ko
dandapani、R.ら、Nature、380、456−460(199
6)。
【0006】 対照的に、AP−2はDNAの主溝に二量体として結合する;すなわち、その
DNA結合領域はロイシンジッパー蛋白と同様にして構成される。Willia
ms、T.&Tjian、R.Science 251、1067−1071(
1991)。DNA結合ならびに蛋白/蛋白相互作用(二量化)の原因となる構
造要素はへリックス−スパン−へリックスモチーフ(helix−span−h
elix motif)からなると予想される。約80アミノ酸からなるスパン
サブユニットがDNAの小溝と接するかどうかは明らかではない。
【0007】 TBPはほとんどの蛋白コード化遺伝子の活性化に関与する転写因子である。
TBPは二本鎖DNA(「dsDNA」)の小溝と相互作用するDNA結合蛋白
である。ESX、AP−2、およびTBPとは別に、HER2/neuおよび他
の癌遺伝子プロモーター内に他の潜在的な転写因子結合部位があることに注意し
なければならない。 生体細胞における遺伝子発現を妨げる方法を考案するために、この研究から治
療法が得られることを期待して当業界においてかなりの工夫がなされてきた。こ
れらの方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞中に導入することによる
か、またはリボザイムによる特定のRNAの分解により、メッセンジャーRNA
の蛋白中への翻訳を妨害することを含む。遺伝子転写を直接阻害するいくつかの
方法が試みられてきた;これらは、三重らせんを形成するオリゴヌクレオチド、
所定の配列を認識するデザインされたかまたは選択された亜鉛フィンガーペプチ
ド、およびDNA結合カリシェミシンオリゴ糖を含む。
【0008】 遺伝子発現の妨害に基づく任意の治療法を効果的にするためには、治療薬はい
くつかの基準を満たさなければならない;第一に、薬剤は一般的な細胞毒性を有
してはならない;第二に、薬剤は細胞透過性でなければならず、DNA結合剤の
場合においては、化合物は核に移動し、細胞クロマチンに関してその標的配列に
高い親和性および特異性を持って結合しなければならない;第三に、薬剤のその
DNA標的配列への結合は、遺伝子転写を妨害しなければならない。前記の有効
な方法のそれぞれには独自の条件がある。たとえば、三重らせん形成オリゴヌク
レオチドは配列選択性についての可能性を有し、インビトロで有効に転写を阻害
できるが、これらの分子は細胞透過性が不十分で、有効な遺伝子阻害のためには
透過可能にされた細胞を用いられなければならない。同様に、亜鉛フィンガーペ
プチドは直接細胞中に侵入できないので、これらのペプチドは適当なウイルスま
たは非ウイルス発現ベクターを用いた遺伝子療法により導入されなければならな
い。対照的に、カリシェミシンオリゴ糖は細胞膜を通過するのに十分疎水性であ
るが、これらの分子は非常に制限された配列特異性(4bp)を有し、非常に低
い親和性でDNAと結合する(蛋白DNA相互作用には100μMまたはそれ以
上必要)。このように、高度のDNA配列特異性と親和性を有する新種の細胞透
過性分子がヒト遺伝子治療法を実行可能にするために必要である。
【0009】 さらなる方法は、特定のDNA配列を標的とする細胞透過性低分子を利用する
。これらの分子は遺伝子発現の調節に有用である。DNA二重らせん中の特定の
配列を認識する低分子合成DNA結合リガンドのデザインすることが化学の分野
での長い間の目標であった。三重らせんの形成により二重らせんDNAの主溝を
認識するオリゴデオキシヌクレオチドは広範囲の配列と高い親和性および特異性
で結合する。オリゴヌクレオチドおよびその類似体が遺伝子発現を妨害すること
が証明されているが、三重らせん法はプリントラックに限定され、細胞取り込み
が不十分である。
【0010】 他の低分子もDNA結合リガンドとして重要である。Wadeらは、二量体サ
イドバイサイドモチーフ(side−by−side motif)により5’
−(A,T)G(A,T)C(A,T)−3’配列の小溝において結合するペプ
チドのデザインを報告している(J.Am.Chem.Soc.114、878
3−8794(1992))。Mrksichらは、デザインされたペプチド1
−メチルイミダゾール−2−カルボキサミドネトロプシンによるDNAの小溝に
おける配列特異性認識のための逆平行サイドバイサイドモチーフを報告している
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、7586−7590
(1992))。Pelton、J.G.&Wemmer、D.E.は二次元N
MRによる2−1ジスタマイシンA−d(CGCAAATTTGGC)複合体の
構造の特徴化を報告している(Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86、5723−5727(1989))。
【0011】 Dervanと共同研究者らは、合成ピロール−イミダゾールポリアミドが優
れた特異性と多くの配列特異性転写因子の親和性を越える非常に高い親和性でD
NAと結合することを証明した(Traugerら、Nature 382、5
59−561(1996))。彼らは更に、1ナノモル以下の濃度でデザインさ
れたリガンドによるDNAの認識を記載する。DNA認識は小溝におけるイミダ
ゾール−ピロールまたはピロール−ピロール対のサイドバイサイドアミノ酸対合
に依存する。White、S.ら(1996)は、DNAの小溝におけるピロー
ル−イミダゾールポリアミド認識のA・T/T・A縮重の影響を報告している(
Biochemistry 35、6147−6152(1996))。Whi
teら(1997)は、ピロール−イミダゾールポリアミドによるDNAの小溝
における認識についての対合則を報告し(Chem.&Biol.4、569−
578)、小溝におけるポリアミド結合についての5’−3’−N−C配向優先
性を明らかにした。このように、ポリアミド分子は小溝において蛋白DNA相互
作用の阻害物質として作用する可能性を有する。
【0012】 N−メチルピロール(Py)およびN−メチルイミダゾール(Im)アミノ酸
由来の小溝結合ポリアミドについての対合則の発展により、配列特異性を賦与す
るさらなる意味が得られる。Im/Py対はG・CとC・Gを識別し、これらの
いずれをもA・TまたはT・A塩基対から識別し、一方Im/PyはC・G塩基
対を標的とする。Py/Py対はA・TとG・Cを特定するが、A・TとT・A
を識別しない。この配列特異性DNAリガンドの合理的デザイン法の一般性は直
接的NMR構造研究(Geierstanger、Science 266、6
46−650(1994))および見かけの解離定数が0.03nMである6塩
基対配列を標的とする8リングヘアピンポリアミドの合成に最近成功したことに
より支持される。さらに、1つのアミノ酸残基で配列が異なる2つの8リングピ
ロールーイミダゾールポリアミドはそれぞれ配列の1つの塩基対が異なる6塩基
対標的部位と特異的に結合する。1つの窒素原子をC−Hと置換することにより
特異性および親和性を100倍阻害することができる。
【0013】 6塩基対配列はヒトゲノムにおいて非常に多い(4キロベースごとに1回ラン
ダムに起こるか、またはヒトゲノムにおいて500000倍)ので、ポリアミド
は非常に長い配列を認識するように合成される。たとえば、12リング二重ヘア
ピンポリアミドは12bp部位を標的とするようにデザインされ、ナノモル親和
性での結合が観察される。このような配列16000000塩基対ごとに1回の
みランダムに起こるか、またはヒトゲノムにおいて125倍である。このような
分子は、前記のような条件を満たすことができるならばインビボでの遺伝子転写
の特異的阻害物質として、またヒト治療薬として作用する可能性を有する。
【0014】 (発明の要約) 本発明は遺伝子、特に癌遺伝子の転写を低減することにより、遺伝子発現また
は過剰発現を調整または調節する方法および組成物に関する。特定の個々の標的
癌遺伝子の転写が低減されるかまたは阻害されることが好ましい。このような低
減は標的遺伝子のプロモーター領域内の二本鎖DNA(dsDNA)の小溝に結
合またはそれと相互作用するポリアミドを適用する結果として得られる。好まし
くは、結合または相互作用はプロモーター領域内の所定の標的核酸配列について
行われ、転写を阻害するかまたはダウンレギュレートする。
【0015】 本発明において、「プロモーター」または「プロモーター領域」とは、遺伝子
発現に必要な核酸配列を意味し、RNAポリメラーゼを結合させてプロモーター
に関連する遺伝子の転写を開始することに関与するDNAの領域を含む。転写を
開始するためにRNAポリメラーゼのDNAとの会合を促進する他の蛋白と結合
する配列も含む。プロモーターはエンハンサー領域も含むことができる。 本発明は、細胞透過性であり、癌遺伝子転写を阻害することができる配列特異
性DNA結合低分子を使用することにより遺伝子発現および過剰発現を低減する
。このような分子を適切に施用することにより、内因性癌遺伝子の異常な発現ま
たは活性化を阻害することができ、癌をはじめとする種々の疾患を治療する基本
的に新規な治療法が得られる。本発明の低分子は、標的遺伝子のプロモーター領
域内の核酸配列と結合するかまたは相互作用するポリアミドである。好ましくは
、これらの配列は1またはそれ以上の転写因子により認識されるか、または認識
されるものに類似している。
【0016】 本発明のポリアミド化合物は、ヌクレオチド塩基のポリアミドサブユニット認
識のための対合則にしたがってdsDNAと結合する。より詳細には、ピロール
、イミダゾール、3−ヒドロキシピロールの誘導体、および層状に位置する脂肪
族アミノ酸残基は、dsDNAの小溝において特定の標的ヌクレオチド塩基対を
認識する構造を形成する。選択された芳香族および脂肪族アミノ酸はポリアミド
中に組み込まれ、該残基は他のアミノ酸残基と対になっていないままである。ポ
リアミド分子は二本鎖DNAの小溝と複合体を形成できる三日月形である。NM
R研究により、これらの化合物はDNAと、2つのリガンドが逆平行に、互いに
近接して並んでいる2:1モチーフにおいて結合できることが判明した。Pel
ton、J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86、57
23−5727(1986);Mrksichら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA、86、5723−5727(1986);Mrksich
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、7586−759
0(1992);Wade、J.ら、Am.Chem.Soc.114、878
3(1992)。
【0017】 結合親和性を増大させるために、2つのポリアミドをγ−アミノ酪酸などのタ
ーンユニットにより共有結合させることができる。Mrksichら、J.Am
.Chem.Soc.116、7983(1994)。このようなポリアミドは
、DNA複合体においてヘアピン様構造をとるので「ヘアピンポリアミド」と呼
ばれる。ポリアミドにおけるイミダゾールおよびピロールカルボキサミドの配列
は前記のヌクレオチド対を認識するカルボキサミドのスキームにしたがってリガ
ンドのDNA配列特異性を決定する。場合によって、DNAとポリアミドの湾曲
を調節するために1またはいくつかのピロールカルボキサミド単位をβ−アラニ
ン部分と置換することが有用である。ターンユニットとしてγ−アミノ酪酸の代
わりにキラルR2,4−ジアミノ酪酸を有するポリアミドは更に高い親和性でD
NAと結合することが判明した。N−メチルイミダゾールおよびN−メチルピロ
ールカルボキサミドを含むポリアミドが真核細胞における遺伝子発現を阻害する
ことができることが最近明らかにされた。Gottesfeldら、Natur
e 387、203−204(1997)。
【0018】 芳香族アミノ酸、3−ヒドロキシ−N−メチルピロール(Hp)はポリアミド
中に組み入れることができ、相対するPyと対になって、A・Tヌクレオチド対
とT・Aヌクレオチド対とを区別するポリアミドDNA結合リガンドをデザイン
し、合成しうることが判明した。Hp/Py対合においてピロール上の1つの水
素原子をヒドロキシ基と置換することにより、親和性およびポリアミドの特異性
が10倍制限される。芳香族アミノ酸残基の4つの対(Im/Py、Py/Im
、Hp/Py、およびPy/Hp)においてHpをPyおよびImと共に用いる
ことにより、二本鎖DNAの小溝における4つのワトソン−クリック塩基対すべ
てを選択的に識別するポリアミドをデザインし、合成することができる。
【0019】 本発明はDNAの小溝と結合する向上したポリアミドならびに所望の標的DN
Aのヌクレオチド配列に対応し、これと選択的に結合する特定のポリアミドのデ
ザイン法および合成法を包含する。DNAの小溝における結合のためのポリアミ
ドの調製および使用は当業界において広く記載されている。本発明の好ましい態
様において、DNAの小溝においてT・A塩基対と結合するHp/Pyカルボキ
サミドまたはDNAの小溝においてA・T塩基対と結合するPy/Hpカルボキ
サミドを得るために、3−ヒドロキシ−N−メチルピロールを用いた改良ポリア
ミドが用いられる。
【0020】 好ましい態様において、本発明はdsDNAの小溝におけるA・T、T・A、
C・G、およびG・C塩基対を識別する3またはそれ以上のカルボキサミド結合
を有するポリアミドを提供する。本発明はγ−アミノ酪酸を有し、その各末端上
のそれぞれのカルボキサミド対の要素とともにヘアピンループを形成するポリア
ミドを包含する。好ましくは、γ−アミノ酪酸はキラル(R)−2,4−ジアミ
ノ酪酸である。
【0021】 本発明は、通常は特定のヌクレオチド対と対合するカルボキサミド結合対にお
いて用いられるPyと置換されたβ−アラニンを含むポリアミドも包含する。β
−アラニンは式においてβとして表す。βはカルボキサミド結合対のメンバーと
なり、隣接するアミノ酸部分のヌクレオチド対との水素結合を最適化するように
働く。本発明はさらにβ・β結合対の非Hp含有結合対との置換を包含する。こ
のように、結合対は、Hp/PyおよびPy/Hpに加えて、Py/Py、Im
/Py、Py/Im、Im/β、β/Im、Py/β、β/Py、およびβ/β
である。
【0022】 一般に、本発明は内因性癌遺伝子の転写を阻害するのに適したポリアミドを提
供し、該ポリアミドは、同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列に対応す
るように選択された芳香族カルボキサミド残基の少なくとも3つの相補対、グリ
シン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、R2,4−ジアミノ酪酸、および5−ア
ミノ吉草酸からなる群から選択される少なくとも2つの脂肪族アミノ酸残基、お
よび少なくとも1つの末端アルキルアミノ残基を含む。同定されたdsDNAの
ヌクレオチド配列に対応するように選択された芳香族カルボキサミド残基の相補
対は、ヌクレオチド対G/Cに対応するIm/Py、ヌクレオチド対C/Gに対
応するPy/Im、ヌクレオチド対T/Aに対応するHp/Py、ヌクレオチド
対A/Tに対応するPy/Hpからなる群から選択される(ここで、ImはN−
メチルイミダゾールであり、PyはN−メチルピロールであり、Hpは3−ヒド
ロキシ−N−メチルピロールである)。当業者に明らかなように、本発明のポリ
アミドはウイルス性癌遺伝子からの転写を防止、阻害、または低減するためにも
用いることができる。
【0023】 好ましくは、ポリアミドは、癌遺伝子の転写および発現を制御するプロモータ
ー領域中の二本鎖DNAの小溝と結合する。好ましい態様において、ポリアミド
は、5’−TGCTTGA−3’、5’−AGAATGA−3’、5’−TGA
GGAA−3’、5’−TGCTTGA−3’、5’−TGAGGAA−3’、
5’−AGGAAGT−3’、5’−ATGAAGT−3’、5’−AGTAT
AA−3’、5’−AGTATAA−3’、5’−AGGAAGT−3’、5’
−AGTATAA−3’、5’−AGTATAA−3’、5’−AACGGCT
−3’、5’−TGCAGGCA−3’、5’−AACGGCT−3’、5’−
TGCAGGCA−3’、および5’−AGGCAA−3’からなる群から選択
される同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列と結合する。好ましくは、
遺伝子の転写は、dsDNAの蛋白転写因子の結合を調整することにより阻害さ
れる。好ましい態様において、転写因子は、ESX、ETS,AP−2、OB2
−1、およびTBPである。
【0024】 好ましいポリアミドは、少なくとも1つのβ−アラニンである脂肪族アミノ酸
残基を含む。好ましい態様において、末端アルキルアミノ残基はN,N−ジメチ
ルアミノプロピル残基である。適当なポリアミドは、A/TおよびT/Aの群か
ら選択されるヌクレオチド対に対応する相補対残基を形成するように並べた少な
くとも2つのβ−アラニン残基を含むことができる。別法として、対応する対は
、たとえばIm/β、β/Im、Py/β、β/Pyなど脂肪族アミノ酸と芳香
族カルボキサミド間で形成される。好ましいポリアミドにおいて、ヘアピン分子
は、脂肪族アミノ酸残基、例えばγ−アミノ酪酸またはより好ましくはR2,4
−ジアミノ酪酸により形成される。
【0025】 適当なポリアミドは、少なくとも10−1のdsDNA標的配列での結合
親和性と少なくとも2の選択性を有し、選択性は、同定されたdsDNA標的配
列についての結合親和性の1塩基対ミスマッチdsDNA配列に対する結合親和
性の比と定義される。好ましい態様において、少なくとも90%の1つの塩基ミ
スマッチ配列に対する選択性は約10を越える。
【0026】 本発明は、同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列に対応するように選
択された芳香族カルボキサミド残基の少なくとも3の相補対、グリシン、β−ア
ラニン、γ−アミノ酪酸、R2,4−ジアミノ酪酸、および5−アミノ吉草酸か
らなる群から選択される少なくとも2つの脂肪族アミノ酸残基、少なくとも1の
末端アルキルアミノ残基を含む癌遺伝子の転写を阻害するのに適したポリアミド
であって、標的dsDNA配列で少なくとも10−1の結合親和性と少なく
とも2の選択性を有する(選択性は同定された標的dsDNA配列に対する結合
親和性の、1塩基対ミスマッチdsDNA配列に対する結合親和性に対する比と
定義される)ポリアミドを提供する。
【0027】 関連した態様において、本発明は医薬上許容される賦形剤と転写阻害量の少な
くとも1つの本発明のポリアミドを含む組成物に関する。好ましくは、ポリアミ
ドは遺伝子、特に癌遺伝子の転写および発現を制御するプロモーター領域におけ
る二本鎖DNAの小溝と結合する。好ましくは、選択された癌遺伝子の転写は、
好ましくは遺伝子のプロモーター領域におけるdsDNAに対する蛋白転写因子
の結合を調整することにより阻害される。好ましい態様において、転写因子は、
ESX、ETS、AP−2、OB2−1、およびTBPである。
【0028】 HIV−1プロモータの転写活性の阻害に関する従来の研究により、ポリアミ
ドがTBPならびにEstファミリー転写因子の結合をブロックできることが明
らかになった(PCT公開出願PCT/US98/02444、WO98/35
072(その明細書は本発明の一部として参照される))。原則として、いずれ
の種類の転写因子もdsDNAの小溝と接するかまたは結合するポリアミドによ
り阻害することができる。小溝と接する蛋白のDNA複合化は直接的立体障害、
反発、排除または別法としてアロステリック効果により阻害される。たとえば、
主溝結合蛋白の結合は、ポリアミドにより誘発されるDNA立体配座の変化によ
り阻害することができる。もちろん、阻害は他の方法、例えばDNA開裂剤の所
望の部位を標的とするポリアミドとの接合、またはポリアミドに結合した化学的
反応性部分の用いたDNAを化学的修飾によっても達成することができる。
【0029】 このように、本発明のさらなる態様において、癌遺伝子の発現または過剰発現
は、dsDNAにおける特定のヌクレオチド塩基配列、特に特定の癌遺伝子のプ
ロモーター領域における標的配列を標的とするポリアミドを用いることにより低
減または阻害される。好ましくは、癌遺伝子は癌に関与するウイルス性または内
因性細胞癌遺伝子である。本発明の癌遺伝子の標的の一例はHER−2/neu
遺伝子であり、これはHER−2/neuプロモーター領域内の標的配列と結合
するポリアミドを使用することによりダウンレギュレーションまたは阻害するこ
とができる。好ましくは、ポリアミドにより標的とされる配列は、癌遺伝子プロ
モーター内の転写因子結合部位であるかまたはこれに近似している。ポリアミド
と標的配列間の相互作用または結合は標的癌遺伝子の転写を阻害することができ
る。癌遺伝子発現の阻害の程度は広範囲におよび、過剰発現の阻害を包含するの
で、病気でない状態に関連する発現のレベルが回復される。もちろん、個々の使
用によってはさらに高い阻害を達成することができる。本発明はさらに癌遺伝子
発現に関連する種々の腫瘍または癌(乳癌を含む)の治療にポリアミドを用いる
ことを包含する。
【0030】 適当なポリアミドは最も好ましくはdsDNA標的配列で少なくとも10 −1 の結合親和性および少なくとも約2の選択性を有する。選択性は、同定され
たdsDNA標的配列についての結合親和性の、1塩基対ミスマッチdsDNA
配列についての結合親和性の比と定義される。好ましい態様において、少なくと
も90%の1塩基ミスマッチ配列に対する選択性は約10を越える。
【0031】 本発明の関連する態様において、医薬上許容される賦形剤と転写阻害量の少な
くとも1つの本発明のポリアミドを含む組成物が提供される。各ポリアミドは少
なくとも3つの芳香族カルボキサミド残基の相補対を含み、該対はdsDNAの
同定されたヌクレオチド配列に対応するように選択される。好ましくは、ポリア
ミドは更に、グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、R−2,4−ジアミノ
酪酸、および5−アミノ吉草酸からなる群から選択される少なくとも2の脂肪族
アミノ酸残基、および少なくとも1つの末端アルキルアミノ残基を含み、ポリア
ミドは標的dsDNA配列で少なくとも10−1の結合親和性と少なくとも
2の選択性を有し、選択性は、同定された標的dsDNA配列に対する結合親和
性の、1つの塩基対ミスマッチdsDNA配列についての結合親和性の比と定義
される。
【0032】 本発明は更に細胞癌遺伝子の異常な発現に関連する状態の患者を治療するのに
適した方法を提供する。患者は好ましくはヒト患者であり、より詳細には、乳癌
または異常なHer2/neu癌遺伝子発現に関連する他の病気または症状に苦
しんでいる患者である。
【0033】 (発明の開示) (発明が解決しようとする技術的課題) 本発明は、癌遺伝子の転写、特に癌、特にヒト癌に関与する癌遺伝子の転写を
低減または阻害することにより、癌遺伝子発現または過剰発現を調整または調節
するための方法および組成物に関する。遺伝子転写の低減は、ポリアミドと標的
癌遺伝子のプロモーター領域内のdsDNAの小溝間の結合または他の相互作用
の結果として得られる。好ましくは、ポリアミドはプロモーター領域内の特定の
標的核酸配列と結合または相互作用して、癌遺伝子転写を阻害するかまたはダウ
ンレギュレートする。好ましくは、配列は、標的癌遺伝子のプロモーター領域と
結合するかまたは機能的に相互作用する1またはそれ以上の転写因子により認識
されるかまたは認識されるものに近似する。
【0034】 本発明において用いられる「癌遺伝子」とは、細胞内の発現により形質転換(
すなわち、腫瘍形成、または腫瘍原性状態への変換)を引き起こす遺伝子を意味
する。癌遺伝子は、起源がウイルスであったり、突然変異(点突然変異(たとえ
ば、置換、欠失、および挿入)、染色体配列換え(たとえば、挿入、転座、およ
びコピー数増幅)、または内因性細胞癌原遺伝子の異常な発現から生じることも
ある。現在のところ、約100の癌遺伝子が同定されている。癌遺伝子は活性に
基づいて分類され、転写因子に対して膜貫通型蛋白(例えば細胞表面受容体)で
あるものおよび他の核蛋白(例えば、腫瘍阻害因子、例えばp53)を包含する
。癌原遺伝子からの癌遺伝子の発生は、機能の変化、より典型的には機能の増加
または損失を示し、この場合、遺伝子は突然変異、構成発現、過剰発現、または
不適切な発現の阻害により引き起こされるように不当に活性化される。
【0035】 多くの癌遺伝子動物ウイルスが知られており、DNAおよびRNAウイルスの
いずれも包含する。例としては、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、肝炎ウ
イルス、およびレトロウイルスが挙げられる。レトロウイルス癌遺伝子の代表例
、およびこれに関連する疾患(かっこ内参照)としては、src(肉腫)、H−
ras(肉腫、赤白血病)、K−ras(肉腫、赤白血病)、mos(肉腫)、
fos(軟骨肉腫)、sis(肉腫)、fms(線維肉腫)、fes(線維肉腫
)、jun(線維肉腫)、fps(肉腫)、myc(癌腫、肉腫、骨髄球腫)、
abl(B細胞白血病)、rel(リンパ性白血病)、erbA(赤白血病、線
維肉腫)、erbB(赤白血病、線維肉腫)、myb(骨髄芽球性白血病)が挙
げられる。他の癌遺伝子としては、relおよびN−rasが挙げられる。細胞
性癌遺伝子の代表例としては、c−myc、c−abl、c−myb、c−er
bB、c−K−ras、およびmdm2が挙げられ、これらはすべて関連する種
々の腫瘍において(遺伝子のコピー数に関して)増幅される。別法として、癌遺
伝子の発現は特定の腫瘍において向上させることができるが、遺伝子のコーディ
ング配列は腫瘍によってはc−mycに関して起こるように変化しない。c−m
ycの発現は、たとえばレトロウイルスを遺伝子のビシニティーに挿入するなど
いくつかのメカニズムにより増加することが知られている。増加したc−myc
発現は、その有効なプロモーター配列またはエンハンサーによりウイルス長末端
反復配列(LTR)から開始される構成転写による結果と考えられる。レトロウ
イルスゲノムを組み込むことにより活性化される他の細胞癌遺伝子としては、限
定するものではなく、c−erbB、c−myb、c−mos、c−raf、c
−wnt1、c−int2、およびc−H−rasが挙げられる。c−myc発
現はさらに、腫瘍によっては、特に免疫系の腫瘍において、転座の結果、ならび
に遺伝子増幅により増加することが知られている。
【0036】 癌遺伝子または癌原遺伝子によりコードされる遺伝子産物は種々の細胞機能を
有する。これらの遺伝子産物には、成長因子(たとえば、c−sis、KS/H
ST、wnt1、およびint2)、成長因子受容体(例えば、c−erbB、
c−erbB−2(HER2/neuともいう)、erb2,3、c−fms、
c−kit、およびmasのウイルス性癌遺伝子相対物)、シグナル導入蛋白(
例えば、c−ras)、細胞内チロシンキナーゼ(たとえば、c−src、c−
abl、c−fps、v−src、v−yes、v−fgl、v−fps/fe
s、v−abl、およびv−ros)、細胞内セリン/トレオニンキナーゼ(た
とえば、c−rafおよびc−mos)、シグナル化蛋白(たとえば、crkお
よびvav)、または転写因子(たとえば、c−myc、c−myb、c−fo
s、c−jun、c−rel、およびc−erbA)がある。
【0037】 当業者により理解されるように、本発明のポリアミド、ならびにこれを用いた
組成物および方法は、現在公知であっても将来発見されるものであっても、任意
の癌遺伝子の発現を阻害するかまたはダウンレギュレートするために用いること
ができる。簡単に言うと、特定の癌遺伝子の制御に影響するDNA結合蛋白の認
識および/または結合配列は同定され、これらの配列を標的とするポリアミドが
デザインされ、合成され、その後これを所望により開示された組成物中に組み込
み、インビボであっても、インビトロであっても、所望の癌遺伝子の転写を阻害
するために用いることができる。
【0038】 ポリアミドは好ましくは細胞透過性であり、インビボ、インビトロ、または無
細胞系における遺伝子転写を阻害することができる。このようなポリアミド分子
は、癌を含む、種々の疾患の治療としてウイルス性または内因性癌遺伝子の発現
または過剰発現を阻害するために適切に用いることができる。
【0039】 好ましい態様において、ポリアミドは、標的癌遺伝子の転写および発現を制御
するプロモーター領域における二本鎖DNAの小溝と結合する。好ましい標的癌
遺伝子は、癌形成または進行に関与する内因性癌遺伝子である。動物、特に哺乳
動物、特にヒトおよび/またはウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、および/また
はブタに感染するウイルスのゲノムによりコードされる癌遺伝子も好ましい。好
ましくは、癌遺伝子の転写は,蛋白、例えば転写因子の、ポリアミドが結合また
は相互作用する同じプロモーター領域との結合を調整することにより阻害される
。特に好ましい態様において、転写因子は1またはそれ以上の下記に示すもので
ある:ESX;ETS;AP−2、およびTBP。
【0040】 HIV−1プロモーターでの転写活性の阻害は、ポリアミドがTBPならびに
Etsファミリー転写因子の結合をブロックできることを示す。WO98/35
702参照(ポリアミド合成の議論も包含する)。本発明は、特定の認識および
/または結合配列で転写因子の活性を阻害または調整するポリアミドの使用を包
含する。本発明の方法は、dsDNAの小溝と接するかまたは結合する1または
それ以上のポリアミドを使用することにより転写因子活性に影響する。このよう
な接触または結合は、直接的反発、アロステリック効果、または他のメカニズム
(たとえば、dsDNAの開裂または化学的修飾)により小溝におけるDNA転
写因子複合体の形成を阻害することができる。加えて、TBPなどの主溝DNA
結合蛋白の結合は、隣接する小溝との会合によりDNA構造においてポリアミド
により起こる変化により阻害することができる。
【0041】 本発明の好ましい態様において、癌遺伝子、特にウイルス性または内因性細胞
癌遺伝子の発現または過剰発現が標的とされる。好ましくは、癌遺伝子は癌に関
与するものであり、その発現または過剰発現は、癌遺伝子プロモーターの領域に
おける小溝と接触するかまたは結合するポリアミドにより阻害される。好ましく
は、プロモーター領域の接触または結合部分は、転写因子結合部位であるかまた
はこれに近似する。阻害の程度は、好ましくは大規模で、より好ましくは遺伝子
のコピー数が増加する場合に癌遺伝子の過剰発現さえも阻害するのに十分なもの
である。
【0042】 本発明の癌遺伝子標的の一例はHER−2/neu遺伝子であり、これはHE
R−2/neuプロモーター領域内の標的配列と結合するポリアミドを使用する
ことによりダウンレギュレートできるかまたは阻害できる。好ましくは、これら
の配列はHER−2/neuプロモーター内の転写因子結合部位であるかまたは
これに近似するものである。これらの転写因子としては、TBP、ESX、およ
びAP−2が挙げられる。ポリアミドと標的配列間の相互作用または結合により
、HER−2/neu遺伝子転写が阻害される。
【0043】 本発明は、遺伝子発現または過剰発現を阻害するための、医薬上許容される賦
形剤と転写阻害量の少なくとも1つのポリアミドを含む組成物を包含する。これ
らの組成物は、乳癌をはじめとする種々の腫瘍または癌の治療にも用いることが
できる。本発明はさらに遺伝子発現または過剰発現を阻害するためにこのような
組成物を投与する方法も提供する。該方法および組成物は好ましくは、細胞癌遺
伝子の異常な発現に関連する症状を有する患者を治療するのに適したものである
。患者は好ましくはヒト患者、特に癌、特に乳癌に苦しんでいる患者である。
【0044】 (ポリアミドのデザイン) ESX結合部位を含むHER−2/neuプロモーターの領域のヌクレオチド
配列を図2Aに示す。この領域をそれぞれ7塩基対からなる4つの重複する標的
部位に分割した。N−メチルイミダゾールカルボキサミド残基、N−メチルピロ
ールカルボキサミド残基、および0、または2つのβ−アラニン脂肪族アミノ酸
残基からなる2つのポリアミドをこれらの標的部位のそれぞれのDNA配列に対
応するようにデザインした(図2B)。N−メチルイミダゾールカルボキサミド
残基およびN−メチルピロールカルボキサミド残基の配列を前記の対合則にした
がって選択した。ポリアミド1は、ImPy−β−PyIm−2,4DA−Py
Py−β−ImPy−β−Dpの構造を有していた。ポリアミド2はImPyP
yPyPy−2,4DA−PyPyPyPyPy−β−Dpの構造を有していた
。ポリアミド3は、ImPy−β−PyPy−2,4DA−PyPy−β−Py
Py−β−Dpの構造を有していた。ポリアミド4は、ImPyPyPyIm−
2,4DA−PyPyPyImPy−β−Dpの構造を有していた。ポリアミド
5は、ImIm−β−PyIm−2,4DA−PyPy−β−PyPy−β−D
pの構造を有していた。ポリアミド6は、ImIm−β−PyIm−2,4DA
−PyPyPyPyPy−β−Dpの構造を有していた。ポリアミド7は、Im
−β−ImImPy−2,4DA−PyPyPy−β−Py−β−Dpの構造を
有していた。ポリアミド8は、Im−β−ImImPy−2,4DA−PyPy
PyPyPy−β−Dpの構造を有していた。
【0045】 (ポリアミドの調製) ポリアミドの固相合成に必要なビルディングブロックを確立された手順に従っ
て大規模(50ないし200g)で調製した。すべてのポリアミドを適当な置換
レベル(0.615ミリモル/g)において商業的に入手可能なBoc−β−ア
ラニン−PAM樹脂上で固相合成により調製した。ポリアミド1の合成を代表例
として図3に示す。すべてのポリアミドをMALDI−MSにより特徴づけ;実
験的に得られたデータは予想値と良好に一致した。図4はESX結合部位と結合
するようにデザインされた8つのポリアミドの構造式、ならびに各化合物を特徴
づけるMALDI−MSデータを示す。
【0046】 (医薬および治療用組成物) 本発明のポリアミド、ならびにその医薬上許容される塩は、医薬または治療用
組成物、処方、または製剤に処方することができる。本発明のポリアミド化合物
の医薬上許容される塩は、適当な場合には強または中程度、非毒性、有機または
無機酸または塩基を用いて当業界で公知の方法により形成される。本発明に含ま
れる塩の例は、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホ
ン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、
塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、および硝酸塩である。
【0047】 前記のように、本発明のポリアミド化合物は、多くの疾患または症状のいずれ
か、とりわけ癌の治療において利用される性質である癌遺伝子の発現または過剰
発現を阻害する能力を有する。本発明の組成物はそれ自体活性であってもよいし
、インビボで活性形態に変換される「プロドラッグ」として作用することもでき
る。 本発明の化合物、ならびにその医薬上許容される塩は、カプセル、埋込ウェフ
ァー、錠剤、または注射可能な製剤などの通常の剤型中に組み入れることができ
る。固体または液体の医薬上許容される担体を用いることができる。遅延放出す
るようにデザインされた医薬組成物も処方できる。
【0048】 好ましくは、本発明の化合物は、全身的に、例えば注射により投与される。使
用に際して、注射は任意の公知の経路によることができ、好ましくは、静脈内、
皮下、筋肉内、頭蓋内、または腹膜組織内である。注射可能な製剤は、溶液また
は懸濁液のいずれか、注射前に液体中溶解または懸濁するのに適した固体形態、
またはエマルジョンなどの公知形態に調製することができる。
【0049】 固体担体は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白陶土、シュ
ークロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグ
ネシウムおよびステアリン酸を包含する。液体担体は、シロップ、ピーナッツ油
、オリーブ油、食塩水、水、デキストロース、グリセロール等を包含する。同様
に、担体または希釈剤は任意の長期放出性物質、例えばグリセリルモノステアレ
ートまたはグリセリルジステアレートを単独またはワックスと共に含むことがで
きる。液体担体を用いる場合、製剤は、シロップ、エリキシル、エマルジョン、
ソフトゼラチンカプセル、液体を含むカプセル、滅菌注射液(例えば溶液)、例
えばアンプル、あるいは水性または非水性液状懸濁液の形態にすることができる
。このような医薬組成物の要約は、たとえば、Remington’s 、Ph
armaceutical Sciences、Mack Publishin
g Company、Eaton Pennsylvania(Gennaro
第18版、1990年)に記載されている。
【0050】 医薬製剤は、錠剤形態について必要ならば、混合、造粒および圧縮などの工程
、または適当ならば成分の混合、充填および溶解を含む薬化学の慣用技術にした
がって調製され、経口あるいは、局所、経皮、膣内、鼻内、気管支内、頭蓋内、
眼内、耳内および直腸投与をはじめとする非経口について望ましい製品が得られ
る。医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などの少量の非毒性補助物
質も含むことができる。 好ましい投与経路は全身投与であるが、医薬組成物は、局所的または経皮(例
えば、軟膏、クリームまたはゲル等として)、経口、直腸(例えば、座剤として
)、非経口、注射または注入により連続的に、膣内、鼻内、気管支内、頭蓋内、
耳内、または眼内投与することもできる。
【0051】 局所投与に関して、組成物はロウ膏または軟膏などの局所塗布されるビヒクル
中に組み込むことができる。活性成分の担体は、噴霧可能または非噴霧形態のい
ずれかである。非噴霧形態は、局所投与に固有の担体を含み、好ましくは水より
も大きな動的粘度を有する半固体または固体形態である。適当な処方としては、
これに限定されないが、溶液、懸濁液、エマルジョン、クリーム、軟膏、粉末、
リニメント、ロウ膏などが挙げられる。所望により、これらは滅菌したり、助剤
、たとえば保存剤、安定剤、湿潤剤、緩衝剤、または浸透圧に影響する塩などと
混合することができる。非噴霧局所製剤の好ましいビヒクルは、軟膏基剤、例え
ばポリエチレングリコール−1000(PEG−1000)、通常のクリーム、
たとえばHEBクリーム、ゲル、ならびに石油ジェリーなどを含む。
【0052】 化合物が、好ましくは化合物が固体または液状不活性担体物質と組み合わせて
圧搾ボトル中にパッケージされているか、または圧縮された揮発性物質、通常は
気体噴射剤との混合物である、噴霧可能なエアゾル製剤も局所塗布に適している
。エアゾル製剤は、本発明の化合物に加えて、溶媒、緩衝剤、界面活性剤、香料
、および/または酸化防止剤を含むことができる。
【0053】 好ましい局所適用について、特にヒトについては、有効量の化合物を標的領域
、例えば皮膚表面、粘膜、目などに投与するのが好ましい。この量は、治療され
る領域、症候群または疾患の重さ、および用いられる局所ビヒクルの性質によっ
て、一般に1回の投与あたり約0.001mgないし約1gである。 本発明の組成物は、疾患または症状を治療するために用いられる1またはそれ
以上のさらなる化合物と組み合わせて投与することもできる。癌を治療するため
には、ポリアミドおよび誘導体を抗腫瘍剤、たとえば分裂阻害剤、たとえばビン
ブラスチン;アルキル化剤、たとえばシクロホスファミド;葉酸阻害剤、例えば
メトトレキサート、プリトレキシムまたはトリメトレキサート;代謝拮抗剤、例
えば5−フルオロウラシルおよびシトシンアラビノシド;挿入抗生物質、例えば
アドリアマイシンおよびブレオマイシン;酵素または酵素阻害剤、例えばアスパ
ラギナーゼ、トポイソメラーゼ阻害剤、例えばエトポシド、または生物反応改良
剤、例えばインターフェロンと組み合わせて投与される。実際、任意の公知の癌
治療薬を本発明において開示するポリアミン類似体および誘導体と組み合わせて
なる医薬組成物は本発明に含まれる。
【0054】 本発明の化合物の典型的な単一用量は、体重1kgあたり約1ngと約10g
の間である。用量は好ましくは体重1kg当たり約0.01mgと約1gの間で
あり、最も好ましくは体重1kgあたり約0.1mgと約100mgの間である
。局所投与に関して、約0.01−20%の化合物濃度、好ましくは1−5%の
範囲の用量が示唆されている。約1−500mgの範囲の合計一日量が経口投与
について好ましい。しかしながら、前記範囲は示唆的であって、個々の治療計画
に関する変数の数は多く、これらの推奨される値から相当逸脱することが予想さ
れ、当業者により慣例的に行われている。
【0055】 疾患または症状を治療するための化合物の有効な量は、特定の疾患または症状
についての認識されたインビトロ系またはインビボ動物モデルを用いて決定する
ことができる。癌の場合、多くの当業界で認知されたモデルが公知であり、広範
囲におよぶヒト腫瘍の代表例である。多くのヒトまたはヒト以外の動物起源の腫
瘍細胞系のいずれかを用いた標準的検定を用いて、培地中の腫瘍細胞増殖の阻害
に関して組成物を試験することができる。動物モデルを用いるこれらの方法の多
くは、Geran、R.I.ら、“Protocols for Screen
ing Chemical Agents and Natural Prod
ucts Against Animal Tumors and Other
Biological Systems(第3版)”、Canc.Chemo
ther.Reports、第3部、3:1−112に詳細に記載されている。
【0056】 (投与方法) 前記のように、本発明の治療法は、ポリアミド含有組成物の投与を意図する。
本発明のポリアミド含有製剤は全身的または局所的に投与することができ、単独
または成分の混合物として用いることができる。投与経路は、局所、静脈内、経
口、またはインプラントを用いることによる。例えば、ポリアミドは、これに限
定されないが、局所製剤、静脈内注射または注入、経口摂取、または皮内注射ま
たはインプラントの形態の局所投与をはじめとする手段により投与することがで
きる。さらなる投与経路は、本発明のポリアミドの慣用的または都合のよい形態
における皮下、筋肉内、または腹膜組織内注射である。リポソームまたは親油性
処方も所望により用いることができる。局所投与について、ポリアミドを、ロー
ション、懸濁液またはペーストをはじめとする標準的局所処方および組成物にす
ることができる。ポリアミドが経口経路により容易に標的細胞または組織に適用
できる場合には、適当な処方を経口投与することも適切である。
【0057】 ポリアミドの用量は、これに限定されないが、選択したポリアミド、これが運
ばれる物理的デリバリーシステム、患者、および熟練した医師の判断などの要因
により、当業者により最適化することができる。 本発明を一般的に記載したが、本発明は以下の例示的で、特記しない限り本発
明の範囲を限定しない、実験セクションを参照してさらに容易に理解できるであ
ろう。
【0058】 (DNA結合研究) HER2/neuプロモーターを含有するプラスミドDNA、これからPCR
(ポリメラーゼ連鎖反応)によりESX結合部位を含む5’−32P末端標識1
88塩基対DNAフラグメントを調製した。 定量的DNアーゼIフットプリント滴定(10mM、Tris−HCl、10
mM KCl,10mM MgCl、および5mM CaCl、pH7.0
、22−24C)を行い、各ポリアミド(1−8)のそれぞれのマッチ配列に対
する平衡会合定数(Ka)を求めた。ポリアミド1の滴定のオートラジオグラム
を図5Aに代表例として示す。
【0059】 (定量的DNアーゼIフットプリント滴定の結果) ポリアミド1ないし8についてのDNアーゼIフットプリンティング実験から
決定される平衡結合定数を図6に要約する。 部位1における、マッチおよびミスマッチ部位でのポリアミド1の「フットプ
リント」は図5Aのオートラジオグラムにおいて見ることができる。化合物1は
1ナノモル以下の親和性(Ka=1.8×1010−1)でそのマッチ部位(
5’−TGCTTGA−3’)と結合していた。しかしながら、ポリアミド1は
形式的な1塩基対ミスマッチ部位(5’−AGATGA−3’)と約3倍少な
い親和性で結合するのであまり選択的なリガンドではない。1のこのミスマッチ
部位との結合は、ETS蛋白の結合の減少につながることに注意しなければなら
ない。β−アラニン単位を含まないポリアミド4は、マッチおよびミスマッチ部
位のいずれに対してもわずかな結合しか示さず、いずれの場合においても[5]
が約5nMであった。
【0060】 部位3において、ポリアミド7は会合定数Kaが約10−1で1塩基対ミ
スマッチ部位(AGAAGT)と結合していた。ポリアミド7とマッチ部位(
5’−AGGAAGT−3’)の結合は観察されなかった([7]が<10nM
)。ポリアミド8はそのマッチ部位と弱く結合していた(Ka約5nM)。しか
しながら、DNAフラグメントとあまり選択的に結合せず、他の部位の中で、形
式的な1塩基対ミスマッチ部位5’−AGAAGT−3’と会合定数Ka約1
−1で結合していた。
【0061】 部位4において、ポリアミド2および3はいずれも同様に良好な会合定数(K
a(2)=9.5×10−1;Ka(3)=1.5×1010−1でその
マッチ部位(5’−AGTATAA−3’)と選択的に結合していた。それぞれ
プロモーターの部位2および3と結合するようにデザインされたポリアミド5な
いし8の不十分な結合はその領域のB−形態からのDNA構造の逸脱のためであ
る。
【0062】 (AP−2結合部位) 転写因子AP−2は低HER2/neu発現表現型の細胞においてほとんど検
出できないが、その濃度はHER2/neu過剰発現細胞において明らかに高い
。これらの知見により、ヒト乳癌においてこの転写因子は重要な役割を果たすこ
とがわかる。
【0063】 (ポリアミドのデザイン) AP−2結合部位のDNA配列および隣接する領域を図7Aに示す。ESX結
合部位の研究においてと同様に、この領域をそれぞれが6ないし8塩基対からな
る3つの標的部位に分割した。これらの部位のそれぞれについて、N−メチルイ
ミダゾールカルボキサミド残基、N−メチルピロールカルボキサミド残基、およ
び0、1または2のβ−アラニンアミノ酸残基からなる2つのポリアミドを調製
した(図7B)。N−メチルイミダゾールカルボキサミド残基、N−メチルピロ
ールカルボキサミド残基、およびβ−アラニンアミノ酸残基の配列は、前記の対
合則にしたがって選択した。ポリアミド9は、ImPy−β−PyIm−2,4
DA−PyPyImImPy−β−Dpの構造を有していた。ポリアミド10は
ImPy−β−ImPy−2,4DA−Py−β−ImImPy−β−Dpの構
造を有していた。ポリアミド11は、ImPyPy−β−ImPy−2,4DA
−ImPy−β−ImImPy−β−Dpの構造を有していた。ポリアミド12
は、ImPy−β−ImImPy−2,4DA−ImPyPy−β−ImPy−
β−Dpの構造を有していた。ポリアミド13は、ImImPyPy−2,4D
A−PyImPyPy−β−Dpの構造を有していた。
【0064】 (ポリアミドの合成) 固相合成によりポリアミドを合成した。その純度を、分析的HPLCにより確
認し、その構造を、MALDI−MSにより確認した。構造を図8に示す。 (DNA結合研究) PCRにより前記のHER2/neuプラスミドからAP−2結合部位を含む
5’−32P末端標識した189塩基対DNAフラグメントを得た。定量的DN
アーゼIフットプリント滴定(10mM、Tris−HCl、10mM KCl
,10mM MgCl、および5mM CaCl、pH7.0、22−24
℃)を行い、各ポリアミド(9−13)のそれぞれのマッチ配列に対する平衡会
合定数(Ka)を求めた。図9ないし11において、ポリアミド9、10、およ
び13の滴定のオートラジオグラムを代表例として示す。結果を図12にまとめ
る。
【0065】 ポリアミド9は部位1と全く結合しないが、ポリアミド10は2β−アラニン
単位を含有し、非常に高い親和性(Ka=8.7×1010−1)と選択性で
この部位と結合していた。部位3と結合するようにデザインしたポリアミド11
と12はいずれもあまり高い選択性は示さなかった。8リングポリアミド13は
ナノモル濃度で、選択的にそのそれぞれのマッチ部位と結合していた。 ポリアミド1、2および3をさらに詳細に研究し、公知の化合物ジスタマイシ
ンと比較した。
【0066】 (細胞培養) SKBR−3細胞をATCC(Rockville、MD)から購入した。細
胞を10%ウシ胎仔血清を含むマッコイ5a培地(GIBCO、Grand I
sland、NY)中で増殖させ、37℃、5%COで培養した。 (核抽出物調製) 準集密状態まで増殖させたSKBR−3細胞をリン酸緩衝塩溶液で2回リンス
し、掻き取り、1200rpmで5分間4℃で遠心分離(Sorvall RT
6000、Newtown、CT)することにより集めた。以下の工程を4℃で
行った。細胞ペレットをパックされた細胞体積の5倍の緩衝液A(10mM H
epes−KOH[pH7.9]、10mM KCl、0.1mM EDTA、
0.1mM EGTA、0.75mM スペルミジン、0.15mM スペルミ
ジン、および1mM ジチオトレイトールを含有)中に懸濁させ、続いて120
0rpmで5分遠心分離した。ペレットをペレット体積の5倍の緩衝液A中に再
懸濁し、Dounce’sホモジナイザー(乳棒)を用いて10ストロークで均
質化した。ホモジネート(約95%溶解細胞)を15000rpmで約1分間遠
心分離した(JA−17ローター、JA−21遠心分離器;Beckman、P
alo Alto、CA)。ペレットを緩衝液Bおよび20mM Hepes−
KOH(pH7.9)、20%グリセロール、0.2mM EDTA、20mM
EGTA、0.75mM スペルミジン、0.15mM スペルミジン、2m
M ジチオトレイトール、および1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド
中に再懸濁し、続いて0.75M NaClを含む等体積の緩衝液Bを滴下した
。20分間揺動した後、47500rpmで45分間遠心分離(SW−55ロー
ター、Beckman)することにより上清を集め、>100倍緩衝液C(20
mM Hepes−KOH[pH7.9]、20%グリセロール、100mM
KCI、0.2mM EDTA、0.2mM EGTA、12.5mM MgC
、2mM ジチオトレイトール、および1mM フェニルメチルスルホニル
フルオリド)に対して3時間透析した。沈殿した残骸を15000rpmで遠心
分離(JA−21遠心分離器、JA−17ローター;Beckman)すること
により除去し、核抽出物の蛋白含量をBio−Rad蛋白検定を用いて定量した
【0067】 (蛋白および抗体) 細菌発現されたESX蛋白を記載されたようにして調製した[Changら、
1997]。簡単に言えば、完全長ESXcDNAをpRSET his−ta
g発現プラスミド(Nhel−HindIII;Invitrogen)中にク
ローンした。ESX蛋白の発現を細菌細胞(BL21[DE3]pLysS感応
細菌細胞;Stratagene、La Jolla、CA))の形質転換によ
り処理し、IPTGの添加により誘発させた。His−標識されたESX蛋白を
、製造業者(Quiagen,Inc.、Chatsworth、CA)により
推奨されるようにニッケルキレート親和性クロマトグラフィーを用いて精製した
。AP−2蛋白をPromega Co.(Madison、WI)から購入し
た。AP−2に対する抗体をSanta Cruz Co.(La Jolla
、CA)から購入し、ESXに対する抗体を前記のようにして調製した。
【0068】 (オリゴヌクレオチド) ESX蛋白結合部位(HER2遺伝子プロモーター由来;TA5−オリゴ)を
含む34−merのオリゴヌクレオチド(オリゴ)およびその相補鎖をBiop
olymers facility(RPCI、Buffalo、NY)(配列
を図1Aに示す)から合成した。オリゴをゲル精製し、アニールし、T4−ポリ
ヌクレオチドキナーゼ(New England BioLabs、Bever
ly、MA)を用いて前記のようにして末端をγ−32P−[ATP]で標識し
た(10)。32Pで標識された5’−末端重複二本鎖オリゴをゲル移動度変位
分析においてプローブとして用いた。
【0069】 (移動度変位分析) そのコンセンサス結合配列と結合する蛋白の現出をゲル移動度変位分析により
行った。一般に、表示された濃度で蛋白および1nMの32P標識オリゴを、2
5mM Tris(pH7.5)、30mM KCI、5%グリセロール、0.
1% NP−40、ウシ血清アルブミン(100μg/ml)、および1mM
ジチオトレイトールを含む反応緩衝液中でインキュベートした。室温で30分間
インキュベートした後、サンプルをTBE緩衝液(44.5mM Tris−塩
基、44.5mM ホウ酸、1mM EDTA、pH8.3)を用いて操作する
5%ネイティブポリアクリルアミドゲル上にかけた。次に、ゲルを乾燥させ、K
odakフィルムに暴露した。蛋白−DNA複合体をコンピューティングレーザ
ーデンシトメーター(Molecular Dynamics、Sunnyva
le、CA)を用いて定量した。>90%の32P標識オリゴと複合体形成でき
る量の蛋白をほとんどの実験に用いた。反応物に蛋白に対して特異性の抗体を添
加することにより蛋白−DNA複合体の同定を確認した。
【0070】 (薬剤検定) ESX−DNA複合体の形成を妨害するポリアミドの能力をゲル移動度変位分
析により調べた。分析は、平衡条件下でポリアミドがESX−DNA複合体を阻
害する能力を定量するために行った。実験をセットアップしてポリアミドを32 P標識オリゴと共に室温で30分間インキュベートした後にESX−DNA蛋白
を添加するか、あるいはESX蛋白をプローブと複合体形成させた後にポリアミ
ドを添加した。ポリアミドによるESX−DNA複合体形成の阻害を、薬剤処理
したサンプルを薬剤処理されていないサンプルと比較することにより測定した。
ポリアミドのAP−2−DNA複合体を阻害する能力の調査を同様にして行った
。IC50(蛋白−DNA複合体形成を50%阻害するのに必要な薬剤濃度)を
用いてポリアミドの活性を表した。IC50の薬剤濃度をr値(薬剤のDNA塩
基対に対するモル比)としても表した。
【0071】 (インビトロ転写) 12mM Hepes−KOH(pH7.9)、60mM KCI、7.5m
M MgCl、12%グリセロール、0.12mM EDTA、0.12mM
EGTA、1.2mM DTT、および0.6mM PMSRを含む緩衝液中
でインビトロ転写を行った。ベクターpCDNA3−Leu(Invitrog
en、Carlsbad、CA)中HER2プロモーターからの挿入DNAフラ
グメントからなるCsCl−精製プラスミドDNA(RO6)を制限酵素Sph
l(New England Biolabs、Beverly、MA)で直線
状とし、DNA鋳型として用いた。25μl反応液中に、1μgのSphlで消
化したDNA、核抽出物、0.5μlの各ヌクレオチド(20mMのATP、G
TP、UTP、および100μM CTP)、10μCiのα−32P−[CT
P](800Ci/ミリモル;NEN、Boston、MA)、RNAsin(
40U/μL;Boerhinger Mannheim、Indianapo
lis、IN)、および1.4μLのEDTA(2.5mM)を30℃で60分
間インキュベートした。325μLの10mM Tris−塩基(pH8.0)
、7M 尿素、350mM NaCl、1% SDS、および100μg tR
NAを添加することにより反応を停止させ、続いてフェノール−クロロホルム−
イソアミルアルコール抽出とエタノール沈降を行った。サンプルをホルムアミド
−ローディングダイ中に再び懸濁させ、90〜95℃で1分間以上加熱した後、
4%7M尿素−ポリアクリルアミドゲルに付した。乾燥ゲルから得た32Pシグ
ナルをPhosphorimagerスクリーンを用いて可視化し、コンピュー
ティングレーザーデンシトメーター(Molecular Dynamics、
Sunnyvale、CA)を用いて定量化した。核抽出物を1μgのDNA鋳
型に対して滴定することにより反応を最適化し、飽和状態を薬剤研究に用いた。
【0072】 (インビトロ転写に対するポリアミドの効果) ポリアミドのインビトロ転写を阻害する能力を2通りで分析した。(i)DN
A鋳型をポリアミドとともに表示された濃度で、総体積10μL中30分間イン
キュベートした後、核抽出物およびヌクレオチドを添加した。(ii)核抽出物
およびDNA鋳型を15分間プレインキュベートし、続いてポリアミドをさらに
30分間総体積10μLになるよう添加し、次にヌクレオチドを添加した。すべ
ての実験を30℃で行い、転写反応を60分間進行させた。ポリアミドで処理し
たサンプルを未処理の対照と比較することにより転写阻害率(%)を測定した。
IC50およびr値を用いてポリアミドの活性を表した。T3転写物(250塩
基;Promega Co.、Madison、WI)を内部対照として用いた
【0073】 (薬剤の存在下での転写の時間経過) PA−2Eおよびジスタマイシンの存在下でのHER2プロモーターからの転
写のパターンを前記のように経時分析を用いて調べた。実験的に、DNA鋳型を
SKBR−3核抽出物と15分間30℃でインキュベートした後、薬剤(転写の
約30〜50%を阻害するために用いられる濃度)およびヌクレオチド(ATP
、CTP,GTP、UTP)を添加し、反応を異なる時間(すなわち、5、10
、30および60分)で停止させた。各サンプルからの転写物を内部対照に対し
て標準化し、未処理対照の相対転写率(%)で表した。
【0074】 (ゲル変位実験) 図13は、種々の濃度のポリアミド2(「PA−2E」)の存在下でのHER
2/neuプロモーターのESX結合部位を含むオリゴヌクレオチドとESX蛋
白との結合を示すゲル実験結果を示す。ポリアミド2、ImPyPyPyPy−
R2,4D−PyPyPyPyPy−β−Dpは、約1nMないし約100nM
の濃度範囲においてESX蛋白のDNAとの結合をブロックした。対照的に、ジ
スタマイシンは約1μMないし約10μMの濃度範囲においてESX蛋白のDN
Aとの結合をブロックした。
【0075】 PA−2EおよびジスタマイシンはESX DNA結合領域の類似した部分(
部位2)を標的とする。ゲル移動度変位分析を用いて薬剤のESX−DNA複合
体に関する活性を調べた。PA−2EとDNAをインキュベートし、続いてES
Xを添加すると、ESX−DNA複合体の形成が濃度に依存して阻害された。1
0nMのPA−2Eは95%まで複合体の形成を阻害したが、1nMでは複合体
について検出可能な減少があった(図13A、レーン2−4)。
【0076】 ジスタマイシンによるESX−DNA複合体形成の阻害パターンはPA−2E
によるものと類似しているが、非常に高い薬剤濃度が必要とされる。200nM
のジスタマイシンは複合体を約95%減少させた(図13B、レーン4)。10
0nMでのPA−2EはESX−DNA複合体形成をほとんど完全に阻害し、1
00nMのジスタマイシンは複合体形成に影響しなかった(図3A、レーン2お
よび図3B、レーン6)。図16におけるデータの定量から、複合体形成を50
%阻害するのに(IC50)2.2nMのPA−2Eと500nMのジスタマイ
シンが必要であることがわかる(表1)。各薬剤の転写因子−DNA複合体を阻
害する活性もr値(薬剤のDNA塩基対に対するモル比)として表す(表1)。
【0077】 表1 転写因子/DNA複合体形成に対する薬剤の影響 薬剤 転写因子 [nM] r値 PA−1E ESX 5 0.16 AP−2 48 1.55 PA−2E ESX 2.2 0.07 AP−2 >100 ND PA−3E ESX 18 0.58 AP−2 ND ND ジスタマイシン ESX 500 16.1 AP−2 6000 193.5 r値=薬剤のDNA塩基対に対するモル比 ND=行わなかった
【0078】 ESX−DNA複合体形成の阻害の定量的比較を図14に示す。 ポリアミド1(ImPy−β−PyIm−R2,4D−PyPy−β−ImP
y−β−Dp、「PA−1E」)およびポリアミド2(「PA−2E」)による
ESX−DNA複合体の阻害パターンを、ESXに暴露する前(「前」)または
ESX−DNA複合体形成後(「後」)のいずれかで表した。ポリアミド1に関
して50%阻害を生じる濃度にはほとんど差が見られないが、ポリアミド1がE
SX−DNA複合体形成の前に現出した場合、より低い濃度で幾分多くの阻害が
観察された(図14A)。対照的に、ESX−DNA複合体の形成前に現出した
場合、約2nMの濃度のポリアミド2により50%阻害が得られたが、ESX−
DNA複合体の形成後に適用した場合に、同じ阻害を得るためには約8nMの濃
度が必要であった(図14B)。
【0079】 HER2/neuプロモーターにより得られるインビトロ転写の阻害に対する
同様の相対的効果が観察された:前に適用したポリアミド2(図15B)はポリ
アミド1(前後いずれか、図15A)または後に適用されたポリアミド2よりも
有効であった。 ポリアミドのESX−DNA複合体形成を阻害する能力を平衡条件下で測定し
た。しかしながら、薬剤と転写因子のある組み合わせに対して、薬剤を転写因子
の前でなくあらかじめ形成された複合体に投与した場合に平衡はより高い薬剤濃
度を必要とする。このような場合、薬剤が転写因子DNA結合領域に競合する程
度は複合体阻害に関して平衡を確立するのに必要な時間または濃度に関連する。
【0080】 データから薬剤を転写複合体が形成される前または後のどちらに添加しても、
複合体形成を阻害する同様の条件下で等しい濃度のPA−1Eが平衡を確立した
ことがわかる(図14A)。たとえば、10nMの薬剤濃度で、いずれの反応に
おいても30分以内にほとんど同量の複合体が形成された(図14A)。比較と
して、薬剤を複合体形成後に添加した場合、複合体形成前に添加した場合に比べ
て平衡条件下で複合体形成を阻害するのにPA−2Eは19倍多い薬剤を必要と
した(図14B)。PA−1Eと比較してPA−2Eが平衡に達するのにより長
いインキュベーション時間が必要であることを証明するために、10nMのPA
−2Eについての経時分析を転写因子/DNA複合体状態の形成後に薬剤を添加
することにより行った。結果から、PA−2EによるESX−DNA複合体の阻
害率(%)はインキュベーション時間が長いと増加し、平衡状態に達するために
4時間以上必要であった(図14C)。
【0081】 AP−2とTA5−オリゴ中のGC−に富む配列の結合は抗体の不在または存
在下でのゲル移動度変位分析を用いて確認した。AP−2はTA5−オリゴと結
合し、AP−2に対する特異的抗体は蛋白−DNA複合体を除去し、非特異性抗
体または通常のイムノグロブリンは複合体形成に対して影響しなかった。
【0082】 AP−2は、ESX結合部位の2ないし3の塩基対上流にあるGCに富む配列
と相互作用するので、ESX結合部位を標的とするようにデザインされたポリア
ミドがAP−2のDNA結合に影響するかどうかを知ることは重要であった。ゲ
ル移動度変位分析を用い、図17Aは、濃度に依存した方法で、PA−1EがA
P−2のDNA結合を阻害でき、IC50が約48nMであることを示す(図1
7A、表1)。対照的に、PA−2Eは試験した最高の薬剤濃度(100nM)
でも複合体形成をブロックできなかった(図17B−本発明者らの条件下では1
00nMを越える薬剤濃度でDNAのスメアリングが起こった)。ジスタマイシ
ンによるAP−2/DNA複合体の阻害パターンは、AP−2/DNA複合体形
成を実質的に阻害するためにいずれの薬剤においてもマイクロモルの薬剤濃度が
必要である点でPA−2Eのものと類似していた(図17C;表1)。すべての
薬剤はAP−2よりもESXの複合体形成の阻害に有効であった。PA−2Eは
ESXの最も特異的な阻害物質である。
【0083】 転写因子−DNA複合体形成に対するポリアミドの影響の結果、生物的機能に
影響する能力が得られるかどうかを確認するために、インビトロ転写検定を行っ
た。SphIで直線化したプラスミドDNA(RO6)を、鋳型として用い、S
KPBR−3核抽出物を転写機構として用いて、〜760塩基の転写物が得られ
た。薬剤をDNA鋳型と共にインキュベートした後、核抽出物とヌクレオチドを
添加した。代表的なゲルは、PA−2Eが濃度に依存して760塩基の転写物の
合成をブロックすることを示した。5μMのPA−2Eは転写合成を95%阻害
し、1μMでは未処理の対照と比較して転写を50%未満でブロックした。より
高い薬剤濃度を用いた場合に部分転写物の産生の証拠が見られた。PA−1E、
PA−2E、PA−3Eおよびジスタマイシンによるインビトロ転写の阻害を図
19に示す。HER2/neuプロモーターからの転写の阻害の効力の順序は、
転写因子DNA複合体形成を阻害する効力と異なっていた:PA−2E>PA−
3E>PA−1E>ジスタマイシン。各薬剤についてのIC50を表2に列挙す
る。転写を50%阻害するために、PA−2Eについて1.4μM、PA−3E
について2.4μM、PA−1Eについて3.2μM、ジスタマイシンについて
7.4μMの薬剤濃度が必要であった。データはr値としても表し、各薬剤の転
写を阻害する能力についての活性を転写因子−DNA複合体の阻害と比較するこ
とができる。
【0084】 表2 インビトロ転写に対する薬剤の影響 IC50 薬剤 [μM] r値 PA−1E 3.2 0.02 PA−2E 1.4 0.009 PA−3E 2.4 0.015 ジスタマイシン 7.4 0.05
【0085】 図18において、ポリアミド1(「PA−1E」)、ポリアミド2(「PA−
2E」)またはポリアミド3(ImPy−β−PyPy−R2,4D−PyPy
−β−PyPy−Dp、「PA−3E」)によるESX/DNA複合体の形成の
阻害を比較した。ゲル移動度変位分析を用いてポリアミドの活性を試験した。P
A−1EとPA−2Eは、複合体形成を阻害するその能力において類似していた
(図18A)。PA−1EについてのIC50は5nMであり、PA−2Eにつ
いては2.2nMであった。比較として、PA−3Eは比較的弱いESX−DN
A複合体の阻害物質であり、PA−2Eと比較して50%複合体形成を阻害する
ために9倍高い薬剤濃度(18nM)を必要とした。(図18A、表1)。
【0086】 ESX−DNA複合体の形成の阻害における相対的有効性は、HER2/ne
uプロモーターにより起こるインビトロ転写の阻害における相対的有効性と一致
する。図19は、ポリアミド1(「PA−1E」)、ポリアミド2(「PA−2
E、ポリアミド3(「PA−3E」)またはジスタマイシン(「Dist」)の
各ポリアミドがESXに暴露される前に現出した場合の、HER2/neuプロ
モーターにより起こるインビトロ転写を阻害する能力の定量的比較を表したグラ
フである。最大阻害の半分を生じる濃度はそれぞれ約3μM、約1μM、約2.
3μMおよび約7.3μMであった。
【0087】 本明細書において記載したすべての文献はその内容を出典明示により本発明の
一部とする。 前記載事項は本発明を例示するためであって、限定するものではない。本発明
の種々の変更および修正を本発明の精神および範囲を逸脱することなく行うこと
ができる。本発明をその特定の具体例に関連して記載したが、さらに変更できる
と考えられる。本出願は、一般に本発明の原則に従った、当業界の公知または通
例的で、前記および添付の請求の範囲に記載されているような基本的特徴を適用
できる本発明からの逸脱を包含する本発明の任意の変更、使用、または適用を網
羅する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Her2/neuプロモーターを表す図であり、Aにおいては、
ESX、AP−2、OB2−1、およびTBP(「TATA」)転写因子の結合
部位を含むヌクレオチド配列を示し、Bの概略図(一定比率でない)において、
ESX、TBP、OB2−1結合部位を示す。
【図2】 Aにおいて、4つの重複ポリアミド標的部位を表示したESX結
合部位のヌクレオチド配列を示す図であり、Bにおいて、これらの標的部位1−
4のヌクレオチド配列と結合するようにデザインされた8つのポリアミド(1−
8)の構造概略図を示す図であり、図中、N−メチルイミダゾールカルボキサミ
ドは●、N−メチルピロールカルボキサミドは○、β−アラニンアミノ酸は◇、
2,4−ジアミノ酪酸はアミノ基を有する曲線、N,N−ジメチルアミノプロピ
ル置換基(およびC−末端)は正に荷電した半円により表す。
【図3】 一例としてポリアミド1を用いた典型的な固相合成スキームを表
す。
【図4】 ESX結合部位と結合するようにデザインされた8のポリアミド
の構造式、ならびに各化合物を特徴づけるMALDI−MSデータを示す。
【図5】 188の塩基対5’−末端標識DNAフラグメント上のポリアミ
ド1のDNアーゼIフットプリント滴定の結果を表すグラフであり、Aはオート
ラジオグラムであり;レーン1、反応;レーン2ないし12 20pM、40p
M、80pM、100pM、200pM、400pM、1nM、2nM、2nM
、4nM、10nM、20nMポリアミド1を表し、すべての反応は15kcp
mDNAフラグメント、10mM Tris HCl(pH7.0)、10mM
KCl、10mM MgCl、5mM CaClを含み、マッチおよび1
塩基対ミスマッチ部位をオートラジオグラムの右側に示し、Bはポリアミド1の
構造概略図を示す。
【図6】 DNアーゼIフットプリント滴定の結果をまとめた図であり、A
はESX結合部位を含むHER2/neuプロモーターのヌクレオチド配列の部
分を示す図(ポリアミド結合部位1−4を表示)であり、Bは、ポリアミド1−
8の概略図に対応する4つのポリアミド標的部位を示す図である。
【図7】 Aは、AP−2結合部位のヌクレオチド配列を示す図(3つの重
複ポリアミド標的部位を表示)であり、Bは、これらの標的部位1−3のヌクレ
オチド配列と結合するようにデザインされた5つのポリアミド(9−13)の構
造図である。
【図8】 AP−2結合部位のヌクレオチド配列と結合するようにデザイン
された5つのポリアミド化合物の構造式、ならびに各化合物を特徴づけるMAL
DI−MSデータを示す。
【図9】 188塩基対の5’−末端標識DNAフラグメントに関するポリ
アミド9のDNアーゼIフットプリント滴定の結果のグラフであり、Aにおいて
、オートラジオグラムを表し:レーン1、反応;レーン2ないし12、20pM
、40pM、80pM、100pM、200pM、400pM、1nM、2nM
、4nM、10nM、20nMポリアミド9であり、すべての反応は15kcp
mのDNAフラグメント、10mM Tris HCl(pH7.0)、10m
M KCl、10mM MgCl、および5mM CaClを含み、Bにお
いて、ポリアミド9の構造図を示す。
【図10】 188塩基対の5’−末端標識DNAフラグメントに関するポ
リアミド10のDNアーゼIフットプリント滴定の結果のグラフであり、Aにお
いて、オートラジオグラムを表し:レーン1、反応;レーン2ないし12、20
pM、40pM、80pM、100pM、200pM、400pM、1nM、2
nM、4nM、10nM、20nMポリアミド10であり、すべての反応は15
kcpmのDNAフラグメント、10mM Tris HCl(pH7.0)、
10mM KCl、10mM MgCl、および5mM CaClを含み、
Bにおいて、ポリアミド10の構造図を示す。
【図11】 188塩基対の5’−末端標識DNAフラグメントに関するポ
リアミド13のDNアーゼIフットプリント滴定の結果のグラフであり、Aにお
いて、オートラジオグラムを表し:レーン1、反応;レーン2ないし12、20
pM、40pM、80pM、100pM、200pM、400pM、1nM、2
nM、4nM、10nM、20nMポリアミド13であり、すべての反応は15
kcpmのDNAフラグメント、10mM Tris HCl(pH7.0)、
10mM KCl、10mM MgCl、および5mM CaClを含み、
Bにおいて、ポリアミド13の構造図を示す。
【図12】 DNアーゼIフットプリント滴定の結果を要約し、Aにおいて
AP−2結合部位を含むHER2/neuプロモーターのヌクレオチド配列の部
分(ポリアミド結合部位1−3を表示)を示し、Bにおいて、3つの結合部位と
対応するポリアミド9−13の概略図を示す。
【図13】 HER2/neuプロモーターのESX結合部位を含むオリゴ
ヌクレオチドとESX蛋白の種々の濃度のポリアミド2(「PA−2E」)また
はジスタマイシンの存在下での結合を示すゲルシフト実験の結果を表すグラフで
ある。
【図14】 ESX暴露前(「前」)またはESX/DNA複合体の形成後
(「後」)に現出するポリアミド1(「PA−1E」)およびポリアミド2(「
PA−2E」)によるESX/DNA複合体の阻害の定量的比較を表すグラフ。
【図15】 それぞれのポリアミドがESX暴露前(「前」)またはESX
/DNA複合体の形成後(「後」)に現出する場合のHER2/neuプロモー
ターにより行われるインビトロ転写を阻害するポリアミド1(A)および2(B
)の能力の定量的な比較を表すグラフ。
【図16】ポリアミド2(「PA−2E」)またはジスタマイシン(「Di
st」)によるESX/DNA複合体の阻害の定量的比較を表すグラフである。
【図17】 ポリアミド1(「PA−1E」)、ポリアミド2(「PA−2
E」)またはジスタマイシンによるESX/DNA複合体またはAP−2/DN
A複合体の形成の阻害の定量的比較を表すグラフである。
【図18】 ポリアミド1(「PA−1E」)、ポリアミド2(「PA−2
E」)またはポリアミド3(「PA−3E」)によるESX/DNA複合体の形
成の阻害の定量的比較を表すグラフである。
【図19】 ポリアミド1(「PA−1E」)、ポリアミド2(「PA−2
E」)、ポリアミド3(「PA−3E」)またはジスタマイシン(「Dist」
)がそれぞれESXへの暴露前に現出する場合の、HER2/neuプロモータ
ーにより起こるインビトロ転写を阻害する能力の定量的比較を表すグラフである
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZA,ZW (72)発明者 ピーター・ビー・ダーバン アメリカ合衆国91125カリフォルニア州パ サディナ、メール・ステーション16−30、 イースト・カリフォルニア・ブールバード 1200番、カリフォルニア・インスティテュ ート・オブ・テクノロジー Fターム(参考) 4B024 AA01 CA01 HA17 4C084 AA01 AA02 AA03 AA07 BA01 BA10 BA13 CA59 MA01 MA17 MA23 MA28 MA31 MA35 MA37 MA52 MA55 MA56 MA59 MA60 MA63 MA66 MA67 ZB262 ZC412 4J001 DA01 DB10 GE02 JB50

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族カルボキサミド残基の少なくとも3の相補対であって
    、 同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列に対応するように選択された芳
    香族カルボキサミド残基の相補対; グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、R2,4−ジアミノ酪酸、および
    5−アミノ吉草酸からなる群から選択される少なくとも2の脂肪族アミノ酸残基
    ;および 少なくとも1つの末端アルキルアミノ残基 を含む遺伝子の転写の阻害に適したポリアミド。
  2. 【請求項2】 同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列に対応するよ
    うに選択される芳香族カルボキサミド残基の相補対が ヌクレオチド対G/Cに対応するIm/Py、 ヌクレオチド対C/Gに対応するPy/Im、 ヌクレオチド対A/Tに対応するPy/Py、 ヌクレオチド対T/Aに対応するPy/Py、 ヌクレオチド対T/Aに対応するHp/Py、および ヌクレオチド対A/Tに対応するPy/Hp (ここで、ImはN−メチルイミダゾールであり、PyはN−メチルピロールで
    あり、Hpは3−ヒドロキシN−メチルピロールである)からなる群から選択さ
    れる、請求項1記載のポリアミド。
  3. 【請求項3】 同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列が、 5’−TGCTTGA−3’、 5’−AGAATGA−3’、 5’−TGAGGAA−3’、 5’−TGCTTGA−3’、 5’−TGAGGAA−3’、 5’−AGGAAGT−3’、 5’−ATGAAGT−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGGAAGT−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AACGGCT−3’、 5’−TGCAGGCA−3’、 5’−AACGGCT−3’、 5’−TGCAGGCA−3’、および 5’−AGGCAA−3’ からなる群から選択される、請求項1記載のポリアミド。
  4. 【請求項4】 ESX、ETS、AP−2、およびTBPからなる群から選
    択される蛋白ファクターのdsDNAに対する結合を調節することにより遺伝子
    の転写が阻害される、請求項1記載のポリアミド。
  5. 【請求項5】 少なくとも1つの脂肪族アミノ酸残基がβ−アラニンである
    、請求項1記載のポリアミド。
  6. 【請求項6】 末端アルキルアミノ残基がN,N−ジメチルアミノプロピル
    残基である、請求項1記載のポリアミド。
  7. 【請求項7】 2つのβ−アラニン残基が、A/TおよびT/Aの群から選
    択されるヌクレオチド対に対応する相補対残基を形成する、請求項5記載のポリ
    アミド。
  8. 【請求項8】 1つの脂肪族アミノ酸残基がR2,4−ジアミノ酪酸である
    、請求項1記載のポリアミド。
  9. 【請求項9】 標的dsDNA配列に対して少なくとも10−1の結合
    親和性および少なくとも約2の選択性を有するポリアミドであり、選択性が同定
    された標的dsDNA配列についての結合親和性の1塩基対ミスマッチdsDN
    A配列についての結合親和性に対する比と定義される、請求項1記載のポリアミ
    ド。
  10. 【請求項10】 芳香族カルボキサミド残基の少なくとも3の相補対であり
    、同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列に対応するように選択された芳
    香族カルボキサミド残基の相補対;グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、
    R2,4−ジアミノ酪酸、および5−アミノ吉草酸からなる群から選択される少
    なくとも2の脂肪族アミノ酸残基;および少なくとも1つの末端アルキルアミノ
    残基を含む、癌遺伝子の転写の阻害に適したポリアミドであって、標的dsDN
    A配列に対して少なくとも10−1の結合親和性および少なくとも約2の選
    択性を有し、選択性が、同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列に対する
    結合親和性と1塩基対ミスマッチ配列dsDNAに対する結合親和性の比と定義
    されるポリアミド。
  11. 【請求項11】 同定されたdsDNAのヌクレオチド配列に対応するよう
    に選択される芳香族カルボキサミド残基の相補対が、 ヌクレオチド対G/Cに対応するIm/Py、 ヌクレオチド対C/Gに対応するPy/Im、 ヌクレオチド対A/Tに対応するPy/Py、 ヌクレオチド対T/Aに対応するPy/Py、 ヌクレオチド対T/Aに対応するHp/Py、および ヌクレオチド対A/Tに対応するPy/Hp (ここで、ImはN−メチルイミダゾールであり、PyはN−メチルピロールで
    あり、Hpは3−ヒドロキシN−メチルピロールである)からなる群から選択さ
    れる、請求項10記載のポリアミド。
  12. 【請求項12】 同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列が、 5’−TGCTTGA−3’、 5’−AGAATGA−3’、 5’−TGAGGAA−3’、 5’−TGCTTGA−3’、 5’−TGAGGAA−3’、 5’−AGGAAGT−3’、 5’−ATGAAGT−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGGAAGT−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AACGGCT−3’、 5’−TGCAGGCA−3’、 5’−AACGGCT−3’、 5’−TGCAGGCA−3’、および 5’−AGGCAA−3’ からなる群から選択される、請求項10記載のポリアミド。
  13. 【請求項13】 遺伝子の転写が、ESX、ETS、AP−2、およびTB
    Pからなる群から選択される蛋白ファクターのdsDNAに対する結合を調節す
    ることにより阻害される、請求項10記載のポリアミド。
  14. 【請求項14】 少なくとも1つの脂肪族アミノ酸残基がβ−アラニンであ
    る、請求項10記載のポリアミド。
  15. 【請求項15】 2つのβ−アラニン残基がA/TおよびT/Aの群から選
    択されるヌクレオチド対に対応する相補対残基を形成する、請求項14記載のポ
    リアミド。
  16. 【請求項16】 1つの脂肪族アミノ酸残基がR2,4−ジアミノ酪酸であ
    る、請求項10記載のポリアミド。
  17. 【請求項17】 末端アルキルアミノ残基がN,N−ジメチルアミノプロピ
    ル残基である、請求項10記載のポリアミド。
  18. 【請求項18】 カルボキサミド対の少なくとも1つのPyがβ−アラニン
    で置換されている、請求項10記載のポリアミド。
  19. 【請求項19】 医薬上許容される賦形剤と転写阻害量の少なくとも1つの
    ポリアミドを含んでなる組成物であって、各ポリアミドが、 芳香族カルボキサミド残基の少なくとも3の相補対であり、芳香族カルボキサ
    ミド残基の相補対が同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列に対応するよ
    うに選択され;および グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、R2,4−ジアミノ酪酸、および
    5−アミノ吉草酸からなる群から選択される少なくとも2つの脂肪族アミノ酸残
    基、および少なくとも1つの末端アルキルアミノ残基を含み、ポリアミドが標的
    dsDNA配列に対して少なくとも10−1の結合親和性および少なくとも
    約2の選択性を有し、選択性が同定された標的dsDNA配列についての結合親
    和性の1塩基対ミスマッチdsDNA配列についての結合親和性に対する比と定
    義される組成物。
  20. 【請求項20】 同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列に対応する
    ように選択される芳香族カルボキサミド残基の相補対が、 ヌクレオチド対G/Cに対応するIm/Py、 ヌクレオチド対C/Gに対応するPy/Im、 ヌクレオチド対A/Tに対応するPy/Py、 ヌクレオチド対T/Aに対応するPy/Py、 ヌクレオチド対T/Aに対応するHp/Py、および ヌクレオチド対A/Tに対応するPy/Hp (ここで、ImはN−メチルイミダゾールであり、PyはN−メチルピロールで
    あり、Hpは3−ヒドロキシN−メチルピロールである)からなる群から選択さ
    れる、請求項19記載の組成物。
  21. 【請求項21】 同定されたdsDNA標的のヌクレオチド配列が、 5’−TGCTTGA−3’、 5’−AGAATGA−3’、 5’−TGAGGAA−3’、 5’−TGCTTGA−3’、 5’−TGAGGAA−3’、 5’−AGGAAGT−3’、 5’−ATGAAGT−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGGAAGT−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AGTATAA−3’、 5’−AACGGCT−3’、 5’−TGCAGGCA−3’、 5’−AACGGCT−3’、 5’−TGCAGGCA−3’、および 5’−AGGCAA−3’ からなる群から選択される、請求項19記載の組成物。
  22. 【請求項22】 少なくとも1つの脂肪族アミノ酸残基がβ−アラニンであ
    る、請求項19記載の組成物。
  23. 【請求項23】 末端アルキルアミノ残基がN,N−ジメチルアミノプロピ
    ル残基である、請求項19記載の組成物。
  24. 【請求項24】 2つのβ−アラニン残基がA/TおよびT/Aの群から選
    択されるヌクレオチド対に対応する相補対残基を形成する、請求項23記載の組
    成物。
  25. 【請求項25】 1つの脂肪族アミノ酸残基がR2,4−ジアミノ酪酸であ
    る、請求項19記載の組成物。
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