JP2003504801A - 主接点、中間接点及びアーク接点を備えた低電圧遮断器の開閉接触子装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 固定接触子（７）と、これと協働する可動接触子（１０）を備えた低電圧遮断器（１）の開閉接触子装置（５）において、固定接触子が各々協働する主接点（２０、２２）並びに中間接点（２１、２３）及びアーク接点（２６、３２）を備える。さらに両接触子は遮断アークを消弧室（６）に導くために各１つのアークホーン（２５、３１）を備える。アーク接点はアークホーン自体に形成される。主接点のみが接触層を持つ接点として形成され、他の接触位置は導体レール（３、４）もしくはアークホーンにより形成される。この開閉接触子装置は構成が簡単で、機械的及び電気的寿命が長いという長所を有する。さらに特に短い開閉時間を持つ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 この発明は、固定主接点、固定中間接点、固定アーク接点及び固定アークホー
ンからなる固定接触子と、閉路及び開路のためにこの固定接触子に相対的に可動
に配置された可動接触子と、この可動接触子に属し、可動主接点、可動中間接点
、可動アーク接点及び可動アークホーンを備え、接触力付与ばねの力に抗して旋
回可能に支承された接触子レバーとを備え、開路の際に接触子レバーの旋回によ
りアーク接点の開離が接点層によって形成された主接点の開離後に行われる低電
圧遮断器の開閉接触子装置に関する。

【０００２】 この種の開閉接触子装置はドイツ特許第１１１８３１７号明細書により公知で
あり、ただ１つ或いは２つの接触部を持つ構成と較べ、遮断容量が大きく、寿命
が長くかつ連続閉路の際の加熱が少ないという特長を有する。この装置は、それ
故、特に高い要求に対し、例えば数千Ａの定格電流で、約１０万Ａ迄の遮断容量
に設定される低電圧遮断器に使用される。この場合、開路は固定接触子からの可
動接触子の最終的な開離がアーク接点だけで行われるよう推移する。なお、この
アーク接点はその機能に応じアーク消弧接点、電弧接点とも或いはまた予備接点
とも呼ばれる。主接点はそれ以前に開離され、遮断アークにより全く或いは僅か
しか負荷を受けない。従って、主接点は多数の開閉にわたり良好な状態を維持し
、連続運転時の加熱が少なく電流容量も長時間にわたって維持される。

【０００３】 連続閉路状態で大きな連続電流が流れる場合、開閉接触子装置の加熱ができる
だけ少ないのが望ましいことは既に指摘した。主接点を遮断アークからアーク接
点により軽減する他、貴金属、特に銀と、所望の機械的硬度を上げ、協働する接
点との溶着をできるだけ少なくし、耐食性を上げるための他の添加物とを含む特
別な接点層によっても接触子装置の加熱を小さくできることは公知である。この
種接点層は費用のかかる製造方法を必要とし、その支持体にロウ付け或いは溶接
により永続的かつ全面にわたって結合せねばならない。開閉接点にこの種の接点
層を装着すると、従ってかなりの程度、遮断器の開閉接触子装置のコストを決定
する。前述のドイツ特許第１１１８３１７号明細書による開閉接触子装置では、
３つの全接点、即ち主接点、中間接点及びアーク接点を適当に形成した接点層と
して形成し、ただ可動接触子側で３つの接点を単一の、平坦で適当な長さの層に
纏めていた。その場合、閉路状態では主・中間両接点が接触している。開路時に
可動接触子レバーは中間接点を中心に旋回し、そのとき主接点は開離し、アーク
接点は互いに衝突する。開路が更に進むとアーク接点だけが接触し、その後アー
ク接点も遮断アークを形成しながら開離する。

【０００４】 開閉接触子装置での接点層のかなりのコスト比を考慮し、接点数や特別な接点
材料からなる接点層の装着を制限する試みがなされている。例えば各開閉接触子
装置に２つの接点、即ち主・アーク接点だけを設け、両接点だけを特別な接触材
料からなる接点層として形成することが公知である（ドイツ特許出願公開第１９
７２７６９６号明細書）。或いは、両主接点の他にアーク接点の１つだけに接点
層を設けることも公知である（ヨーロッパ特許明細書第０３２５７６７号）。接
点層を備えない接点位置は、その場合、直接遮断器の導電部、例えば導体レール
、接触子レバー及びアークホーンの、通常銅又は鋼からなる主体に設けられる。
最初に挙げたドイツ特許第１１１８３１７号明細書による接触子装置に内在する
特別の遮断容量は、従ってその達成が困難である。

【０００５】 この発明の課題は、このような事情の下に、その製造に著しく少ない費用しか
かからず、同時に寿命の長いことで優れている冒頭に挙げた３点接触の開閉接触
子装置を提供することにある。

【０００６】 本発明はこの課題を、 ・固定中間接点を固定主接点を担持する導体レールの端面によって形成し、 ・固定アーク接点を導体レールの端面を越えて突き出ている固定アークホーンの 湾曲部によって形成し、 ・可動中間接点を可動中間アークホーンの湾曲部によって形成し、 ・可動アーク接点を可動アークホーンの固定アークホーン側の側面の一部によっ て形成する ことにより解決する。

【０００７】 ３点接触の開閉接触子装置の利点は、かくして、唯１対の接点層を使用するだ
けで、既に今迄使用されたような開閉接触子装置の構成要素を特定に配置及び構
成又は変更することにより得られる。それ故、付加的な又は加工に費用のかかる
部品を必要としない。それにも係らず、長い寿命が得られる。と言うのは、接触
子レバーが閉路の際にアークホーンと共に固定接触子に捕捉され、さもなければ
発生する曲げ応力が大幅に軽減するからである。これにより、断面積の比較的小
さい接触子レバーが選べ、これは達成可能な開閉速度にとり有利である。

【０００８】 この発明の枠内で、接触子レバーは遮断器において旋回軸を中心に旋回可能な
接触子支持体に配置し、この接触子レバーの、接触子支持体に対して相対的なそ
の旋回軸を中心とする旋回を、ストッパにより制限するようにできる。これによ
り、閉路の際に接触子レバーの旋回角度はアーク接点の接触後及び中間接点の接
触に迄制限される。これは、最近の遮断器の高速開閉速度によりきわめて大きく
なっている接触子レバーの機械荷重に好都合に作用する。

【０００９】 この発明を、以下に、図面に示された実施例について詳しく説明する。

【００１０】 図１に概略断面で示す多極低電圧遮断器１は、ハウジング２と、このハウジン
グから背面側に突き出た導体レール３、４とを備える。全体を５で示す開閉接触
子装置は、このレール３、４に電気的に接続し、負荷（図示せず）の電流回路の
閉成及び開放を行う。ハウジング２には開閉接触子装置５の上方に、公知のよう
に遮断アークに対し直角方向に配置した消弧板を備える消弧室６を設けてある。
開閉接触子装置５は、上側の導体レール３と接続する固定接触子７並びに可撓導
体１１により下側の導体レール４に接続する可動接触子１０を備える。可動接触
子１０には、遮断器１のハウジング２に旋回可能に支承され、駆動装置１３によ
り閉・開路のために操作される接触子支持体１２を設けてある。この支持体１２
に旋回可能に支承された接触子レバー１４は、接触力付与ばね１５により固定接
触子７の方向に予圧されている。開閉軸１６は、駆動装置１３により供給された
駆動力をハウジング２に互いに並列に配置された複数の開閉接触子装置５に、そ
の各々に接続されたレバー機構１７を介し分配する機能を持つ。

【００１１】 以下の図２、３及び４で、図１と一致する部分には同じ符号が付してある。

【００１２】 図２の拡大図より明らかなように、固定接触子７はその導体レール３の端面に
固定主接点２０を形成する接点層を備える。主接点２０上の、導体レールの端面
部分は固定中間接点２１を形成する。固定主接点２０に、接触子レバー１４に設
けた接点層により形成された可動主接点２２が接触している。接触子レバー１４
の湾曲部は、可動中間接点２３として作用する。ねじ結合２４により導体レール
３に固定アークホーン２５が固定され、これはその湾曲部が導体レール３を越え
て突出し、その結果固定アーク接点２６を形成している。

【００１３】 可動接触子１０は、前述のように、接触子支持体１２と接触子レバー１４を備
える。接触子支持体１２は固定の旋回軸２７を中心に回転可能であるが、接触子
レバー１４は接触子支持体１２に配置した旋回軸３０を中心に旋回可能である。
２つの平行な接触力付与ばね１５が接触子支持体１２に設けられ、接触子レバー
１４を固定接触子７に向かって予圧している。中間接点２３の上方で接触子レバ
ー１４はアークホーン３１として形成され、このアークホーン３１の部分が可動
アーク接点３２として作用している。これについてはなお説明する。

【００１４】 図２の開閉接触子装置５の閉路位置では、主接点２０、２２だけが互いに接触
している。この結果、遮断器１の主電流路は上側の導体レール３から接触子レバ
ー１４、可撓導体１１及び下側の導体レール４を介して閉成されている。

【００１５】 開閉接触子装置５の「開」位置への移行は、公知のごとく、開閉軸１６を回転
することで行う。そのとき、接触子支持体１２は時計方向に旋回するが、接触子
レバー１４は、接触力付与ばね１５の力を受け先ず固定接触子７と接触する迄反
時計方向に、その接触子支持体１２にある旋回軸３０を中心に回転する。最初の
固有の中間位置として図３の位置が生ずる。この位置では、主接点２０、２２も
中間接点２１、２３も接触している。これにより開閉接触子装置５を流れる電流
の中間接点への転流の準備ができている。

【００１６】 開路がさらに進むと、固定アーク接点２６によりアークホーン２５に、可動ア
ーク接点３２により接触子レバー１４のアークホーン３１に形成されている他の
接点位置が作用する。図４はその後の固有の中間位置として、主接点２０、２２
も、また中間接点２３、３２も互いに開離し、遮断される電流がなおアーク接点
２６、３２を介して流れる状態を示す。固定接触子７から接触子レバー１４が開
離すると遮断アークがアーク接点２６、３２に発生する。アーク接点は、前述の
ように、各々固定アークホーン２５と可動アークホーン３１の構成要素であるか
ら、遮断アークの移動とその消弧室（図１）への移行に対し特に好ましい条件が
成立する。この特性は驚くべき程短い開閉時間を可能にする。

【００１７】 閉路時は、上述の固有の中間位置が逆の順序で取られる。従って、先ず図４の
ように、アーク接点２６、３２が図３の位置を取る前に接触する。可動アーク接
点３２は、アークホーン３１の固定アークホーン２５側の側面に配置されている
ので、接触子レバー１４はその端部近くで機械的に捕捉される。これに対し従来
通常の接触子装置では、閉路の際最初の接触位置は接触子レバー１４の中心部の
近くにあり、接触子レバー１４にかなりの曲げ応力が加わる。このため、接触子
レバーの接触子支持体１２における旋回軸３０を中心とする旋回を、ストッパ３
３により制限するのが重要である。ストッパ３３を適当な位置に置くことで、ア
ーク接点２６、３２の接触後接触子レバーは、所望のように僅かしか旋回せず又
はアーク接点及び中間接点を適当に整合することでこの旋回は殆ど起こらない。
この結果、中間接点がアーク接点の直後又は殆ど同時に閉成することになる。こ
のため、開閉接触子装置の電気的並びに機械的寿命がかなり向上する。

【００１８】 以上、各１つの接触子レバーについて説明したが、この発明は公知の多重接触
子システム（例えばドイツ実用新案第２９６１５５６６号、ヨーロッパ特許第０
４１０９０２号明細書参照）と関連しても使用できる。従って、固定アークホー
ン２５は固定中間接点２１と一体に形成でき（ヨーロッパ特許第０３２５７６７
号明細書参照）、又は付加的に導体レールと一体に形成できる（ヨーロッパ特許
出願公開第０８５９３８７号明細書参照）。他方、可動アークホーンは、公知の
如く別体部品として形成し、接触子レバーに固定してもよい（ヨーロッパ特許第
０３２５７６７号明細書参照）。同様に、接触子レバー１４の旋回角を制限する
ストッパを他の構成とすることもこの発明の目的に適う。

【図面の簡単な説明】

【図１】 開閉接触子装置を備えた低電圧遮断器を概略的に示す。

【図２】 この発明による開閉接触子装置を閉路状態で示す。

【図３】 図２の開閉接触子装置の主要部を遮断動作の第一の段階で示す。

【図４】 図２の開閉接触子装置の主要部を遮断動作の第二の段階で示す。

【符号の説明】

１ 低電圧遮断器 ２ 遮断器のハウジング ３、４ 導体レール ５ 開閉接触子装置 ６ 消弧室 ７ 固定接触子 １０ 可動接触子 １１ 可撓導体 １２ 接触子支持体 １３ 開閉駆動装置 １４ 接触子レバー １５ 接触力付与ばね １６ 開閉軸 １７ レバー機構 ２０ 固定主接点 ２１ 固定中間接点 ２２ 可動主接点 ２３ 可動中間接点 ２４ ねじ結合 ２５ 固定アークホーン ２６ 固定アーク接点 ２７、３０ 旋回軸 ３１ 可動アークホーン ３２ 可動アーク接点 ３３ ストッパ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ザイトラー‐シュタール、ギュンター ドイツ連邦共和国 デー‐13359 ベルリ ン シュテルンシュトラーセ 11 (72)発明者 シュミット、デトレフ ドイツ連邦共和国 デー‐12055 ベルリ ン リヒアルトシュトラーセ 61 (72)発明者 ティーデ、インゴ ドイツ連邦共和国 デー‐12159 ベルリ ン フレーゲシュトラーセ 76 (72)発明者 テュルクメン、ゼツァイ ドイツ連邦共和国 デー‐13629 ベルリ ン シュッケルトダム 334 Ｆターム(参考） 5G027 AA03 AA13 AA26 BB05 BC07 CA09 5G030 AA04 AA10 DE04 FB13 XX08

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定主接点（２０）、固定中間接点（２１）、固定アーク接点
   （２６）及び固定アークホーン（２５）からなる固定接触子（７）と、閉路及び
   開路のためにこの固定接触子（７）に対して相対的に可動に配置された可動接触
   子（１０）と、この可動接触子（１０）に属し、可動主接点（２２）、可動中間
   接点（２３）、可動アーク接点（２６）及び可動アークホーン（３１）を備え、
   接触力付与ばね（１５）の力に抗して旋回可能に支承された接触子レバー（１４
   ）とを備え、開路の際に接触子レバー（１４）の旋回によりアーク接点（２６，
   ３２）の開離が接点層によって形成された主接点（２０，２２）の開離後に行わ
   れる低電圧遮断器の開閉接触子装置において、 ・固定中間接点（２１）が固定主接点（２０）を担持する導体レール（３）端面 によって形成され、 ・固定アーク接点（２６）がこの導体レール（３）の端面を越えて突出す固定ア ークホーン（２５）の湾曲部によって形成され、 ・可動中間接点（２３）が可動アークホーン（３１）の湾曲部によって形成され
   、 ・可動アーク接点（３２）が可動アークホーン（３１）の固定アークホーン（２ ５）側の側面の一部によって形成された ことを特徴とする開閉接触子装置。
2. 【請求項２】接触子レバー（１４）が、遮断器（１）内で旋回軸（２７）を
   中心に旋回可能な接触子支持体（１２）にそれ自体旋回可能に設けられ、この接
   触子支持体に対し相対的に、旋回軸（３０）を中心とする接触子レバー（１４）
   の旋回がストッパ（３３）によって制限されたことを特徴とする請求項１に記載
   の開閉接触子装置。