JP2003504446A - 道路被覆用の添加物含有アスファルトおよび樹脂合成乳剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、少なくとも１種の樹脂を含む第１の乳剤とアスファルト系結合剤と樹脂架橋剤を含む第２の乳剤とを混合することによって得られ、石油由来物の破壊的な化学作用に対する道路表面の保護層用のアスファルト／樹脂乳剤を含む。顔料調剤および／または充填材または砂または細砂またはそれらを組み合わせて作られた添加物を、第１の乳剤、第２の乳剤または両乳剤の混合によりもたらされる乳剤化合物に混合できる。添加物含有乳剤化合物は、単層または複層の薄膜タイプの表面被覆層を実現可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （技術分野） 本発明は、石油由来物に対する道路表面の保護層を提供するための、アスファ
ルト系結合剤と１種または複数種の樹脂とをベースにした添加物含有合成乳剤に
関する。つまり本発明は土木分野および軍事分野へ適用できる。

【０００２】 （背景技術） 道路表面層の舗装に関し、従来、有機溶剤に可溶な物質を使用して被覆を行っ
てきたが一般的にこの被覆は石油、有機性油および含水炭素に対する耐性に劣る
。さらに、道路表面は損傷を及ぼす可能性がある物質を受け入れ易い。従って、
特に道路、工場フロア、駐車場、石油スタンドおよび飛行場の滑走路等に使用さ
れる被覆に関して一般的に有機性油、石油および含水炭素に対して優れた化学的
強度の被覆を提供する材料を使用することは価値がある。

【０００３】 従来技術で公知の多くの乳剤は、その効力に合わせて調剤されており、タール
や石炭から得られる他の生成物を多量に含有し有毒性が認められる。本発明に関
連して、毒性生成物は発ガン性物質を含有しており、現在フランスでの使用につ
いては法規に基づいて分類され区別されている。

【０００４】 今日に至るまでアスファルトと樹脂をベースにした生成物には、加熱塗装工の
後で蒸気が環境に悪影響を与える溶剤である、第３の成分が添加されている。

【０００５】 さらに、ヨーロッパ特許第２３１，１４７号には、水蒸気への浸透性および金
属接着性を改良するためにアスファルト乳剤および架橋剤と混合されるエポキシ
樹脂が説明されている。しかし、これは樹脂の性質を修飾するのを目的とする化
合物であり、乳化されておらず取扱いが難しいペースト状である。 フランス特許出願公開第３６６，３４２号には、同様の制限をもつ化合物が提
案されている。

【０００６】 本出願人のヨーロッパ特許第６９５，７８８号には、一般的に有機性油、石油
および含水炭素に対して優れた化学的強度をもち、製造中、施工中または使用中
に如何なる毒性も示さず、さらに環境に有害でありがちな溶剤および如何なる他
の化合物も含まない形の乳剤化合物が開示されている。この乳剤化合物は、進行
中の道路面に常温塗装工が可能である。この道路舗装や走行面用の乳剤化合物は
、アスファルト系結合剤と架橋剤とを含む第１の乳剤と、樹脂を含む第２の乳剤
とから得ることができる。アスファルト系結合剤と樹脂とは、それぞれ水性乳剤
の形で与えられる。

【０００７】 しかし、この乳剤化合物の性質は、時間の経過と共におよび／または環境サイ
クル（温度、湿度変動等）や交通機関に曝される場合には最適ではなくなる。層
は支持体から剥がれて多くの場所にひびが入る。これらの欠点は支持体の劣化を
引き起こし支持体が直接外界に露出する。さらに、薄膜に塗布された乳剤化合物
の残余の黒色色素が、特にエポキシ樹脂の存在に起因する太陽紫外線ビームによ
る作用で時間の経過と共に変化する。膜は退色して黄色っぽく色褪せて透明にな
ることもある。時間の経過に伴う外観の変化は特定の状況下で問題になる場合も
ある。

【０００８】 （発明の開示） 本発明は、石油由来物の破壊的な化学作用に対する道路表面の保護膜用のアス
ファルト／樹脂乳剤を使用してこれらの欠点を改善することを提案するものであ
り、膜は、第１の樹脂を含む第１の乳剤と、アスファルト系結合剤と樹脂架橋剤
を含む第２の乳剤とを混合して作られる。このタイプの保護膜はＡ．Ｋ．とも呼
ばれている。

【０００９】 本発明によれば、乳剤化合物はさらに添加物を含み、この添加物は規格ＸＰ
Ｐ １８−５４０により定義される以下の構成要素の少なくとも１つを単独で又
は組み合わせて含む： −充填材； −砂； −細砂。 用語「組み合わせ」は３つの添加物構成要素の全ての可能な混合物を言及する
。

【００１０】 規格ＸＰ Ｐ １８−５４０によれば以下の系統群を定義できる： Ｏ／Ｄ充填材について：０．０６３ｍｍを少なくとも７０％通り抜けるＤ＜２ｍ
ｍのもの； Ｏ／Ｄ細砂について：０．０６３ｍｍを少なくとも７０％通り抜けるＤ≦１ｍｍ
のもの； Ｏ／Ｄ砂について：１＜Ｄ≦６．３ｍｍ。 ここでＤはその材料の最大寸法を示す。

【００１１】 （発明を実施するための最良の形態） 種々の実施形態において、下記の特徴を個別に又は技術的に可能な全ての組み
合わせに従って与えることができる。 −添加物は無機物である。 −添加物は珪土である。 −添加物の含有率は、添加物含有乳剤化合物の１０から９０重量％の範囲にあ
る。 −添加物の含有率は、好ましくは添加物含有乳剤化合物の２５から５０重量％
の範囲にある。 −添加物の含有率は、添加物含有乳剤化合物の３５±５重量％で最適化される
。 −添加物はアスファルト系結合剤を含む乳剤に混合される。 −添加物は樹脂含有乳剤に混合される。 −添加物は乳剤化合物に混合される。 −添加物含有乳剤化合物はさらに顔料調剤を含む。 −顔料調剤は液体状、固体状またはペースト状着色生成物であり、好ましくは
暗色である。 −顔料調剤の比率は０．０５から２重量％の範囲にあり、百分率は添加物の重
量が加えられた添加物含有乳剤化合物に対して計算される。 −着色生成物はアスファルト系結合剤を含有する乳剤に混合される。 −着色生成物は樹脂を含有する乳剤に混合される。 −着色生成物は添加物に混合される。 −着色生成物は乳剤化合物に混合される。 −樹脂はエポキシ系である。 −樹脂は液状エポキシ樹脂と乳化固形エポキシ樹脂の中から選択される。 −添加物含有乳剤化合物の流動学的性状を調整するために、流動性が公知であ
る１種または複数種の樹脂が樹脂含有乳剤に使用される。 −樹脂含有乳剤中で１種または複数種の液状樹脂が１種または複数種の固形樹
脂と結合される。 −１種または複数種の乳化固形エポキシ樹脂が樹脂含有乳剤に使われる。 −架橋剤はアスファルト系結合剤を含む乳剤中で化学量論に対して過剰である
。 −架橋剤は化学量論に対して１．７から１．１の比率で注入される。添加物含
有乳剤化合物を作る際には、化学量論比率で架橋剤を加える場合に比較して架橋
が完全に終了する。実際には、架橋剤の一部分は添加物含有乳剤化合物の他の成
分と混合するので架橋しない。 −樹脂含有乳剤中の樹脂の百分率は、８０重量％に達することができる。 −樹脂含有乳剤中の樹脂の百分率は、好ましくは５０から８０重量％の範囲に
ある。 −添加物含有乳剤化合物は単層または複層の薄膜タイプの表面被覆層を作るた
めに与えられる。 −複層の場合、各々の新しい層は前の層が乾燥して重合した後でのみ塗布でき
る。 −１層の厚さは０．１から２ｍｍの範囲にある。 −１層の厚さは好ましくは０．５から１．２ｍｍの範囲にある。 −添加物含有乳剤化合物は５００ｇ／ｍ^２から１ｋｇ／ｍ^２の割合で与えられ
る。 −複数種の充填材を使用する。 −複数種の細砂を使用する。 −複数種の砂を使用する。

【００１２】 アスファルト系結合剤は、アスファルトのみから成るか、またはポリマーの添
加で変性されるか、または油で流動化される結合剤を指す。

【００１３】 樹脂は、適切な架橋剤と反応して３次元分子格子生成物を作る全ての化学的存
在物を意味する。これは２成分系である。この系は室温で活性であるよう選択さ
れる。明らかに架橋剤の性質は使用される樹脂の性質に依存している。これらの
樹脂はエポキシ系である。

【００１４】 エポキシタイプ樹脂は、液体または固体樹脂である。好都合なことに、それら
は線状エポキシ樹脂である。それらは通常、ビスフェノールＡまたはＦ誘導体と
エピクロロヒドリンとを含むアルカリ媒体中での重縮合によって得られる。この
誘導体はビスフェノールＡジグリシジルエーテルであることが好ましい。さらに
、柔軟なエポキシ樹脂はポリグリコール誘導体から得ることができる。本発明で
は２種または複数種の異なったエポキシ樹脂混合物も使用できる。エポキシ機能
性をもつこれらの樹脂は、アミン機能性をもつ架橋剤である化学成分と反応する
。この反応は室温（１０℃＞ｔ＞６０℃）で生じる。

【００１５】 エポキシ樹脂と架橋剤との架橋反応の化学量論は、架橋剤の活性水素をもつ樹
脂のエポキシ基の近位と一致する。

【００１６】 本添加物含有乳剤化合物の熱膨張係数は小さく、環境サイクルに対して良好な
性質をもつ。本添加物含有乳剤化合物は、交通機関に対して改善された機械的耐
性を示す。本添加物含有乳剤化合物は、製造コストと導入コストが安い。本添加
物含有乳剤化合物は、重合時間が長くなり取り扱いが容易であり作業可能な時間
が延びる。結果的に、エンドユーザは２種類の生成物を、予め乳剤の１つに添加
物が加えられていない場合は３種類の生成物を混合すれば良く容易に使用できる
。後者の場合、両方の乳剤は別々にポンプで注入されるように十分流動性がある
。

【００１７】 本発明は、添加物含有乳剤化合物の実施形態の詳細な説明によって良く理解で
き、図１は比較試験の結果を示す。

【００１８】 保護用薄膜は、アスファルト系被覆材料上または破壊的な化学作用に対して保
護される他の全ての支持体上に配置される。薄膜を得るのに必要な生成物は、両
方の乳剤と添加物である３成分キットの形である。添加物含有乳剤化合物は、ア
スファルト系結合剤と架橋剤とを含む第１の乳剤と、樹脂を含む第２の乳剤と、
添加物とを混合することにより作られる。添加物含有乳剤化合物の単層施工と化
学反応（架橋結合）の終了後、厚さ０．１から２ｍｍの保護膜を得ることができ
る。保護膜の目的は、破壊的な化学作用を及ぼす物質と基礎被覆との間の接触を
防ぐことにある。

【００１９】 Ａ．Ｋ保護膜に関して、本発明による添加物含有乳剤化合物と石炭ピッチ乳剤
との耐性を比べるための比較試験を行った。ジュラルミン（登録商標）プレート
の第１のセットを本発明の乳剤で覆い、第２のセットを石炭ピッチで覆った。プ
レートを４および４８時間石油中に放置して腐食減量を測定した。以下のグラフ
は腐食減量の値を％で示す。本発明による乳剤は、遙かに優れた耐性を示すこと
に留意されたい。図１において曲線Ｅは本発明の乳剤に対応し、曲線Ｂは石炭ピ
ッチに対応する。

【００２０】 本実施の形態と有用な実施例は、本発明を例示的に示すが限定するものではな
い。これら両乳剤と添加物は、容量や添加物含有乳剤化合物の最終用途に関連し
て変更できる。特に調剤キットの場合、成分数は固定されず、１つの実施例のよ
うに３つに限定されない。つまり２成分キットを検討することができ、この場合
添加物を予め１つの、可能であれば２つの乳剤に含有させる。もしくは、いくつ
かの充填物および／または細砂および／または、例えば有機砂および／または無
機砂、風砂および／または海砂、珪砂および／または炭酸砂等の異なる由来の砂
を、入手可能性および／または有利性に鑑みて組み合わせてもよい。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ， ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ， ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＢＺ，Ｃ Ａ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ， ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，Ｋ Ｅ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ， ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ (72)発明者 エリック ゴダエド フランス国 78990 エーラクール リュ デ ベルン ラ クレー デ サンピエ ール 18 (72)発明者 ジャン−フランソワ ガル フランス国 78180 モンティーニュ レ ブルトヌー リュ デ ラ マール オ カーラ ３ Ｆターム(参考） 2D051 AD01 AE01 AF01 AF09 AG14 AH02 EA06 EB06 4J002 AA00W AG00X CD00W DJ016 EN008 FD097 FD148 GL00

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも１種の樹脂を含む第１の乳剤と、アスファルト系
   結合剤と樹脂架橋剤を含む第２の乳剤とを混合することによって得られ、石油由
   来物の破壊的な化学作用に対する道路表面の保護層用のアスファルト／樹脂合成
   乳剤であって、この乳剤が添加物を含み、該添加物が規格ＸＰ Ｐ １８−５４
   ０で定義される充填剤、砂または細砂、または少なくとも１種のそれらの組み合
   わせを含むことを特徴とする乳剤。
2. 【請求項２】 前記添加物の割合が、前記添加物含有合成乳剤の１０〜９０
   重量％、好ましくは前記添加物含有合成乳剤の２５〜５０重量％であることを特
   徴とする請求項１に記載の乳剤。
3. 【請求項３】 前記添加物が、珪土であることを特徴とする請求項１または
   ２に記載の乳剤。
4. 【請求項４】 前記添加物が、さらに顔料調剤を含むことを特徴とする前記
   請求項のいずれか１項に記載の乳剤。
5. 【請求項５】 前記顔料調剤の比率が０．０５〜２重量％の範囲にあり、百
   分率は添加物の重量を加えた前記添加物含有合成乳剤に対して計算されることを
   特徴とする請求項４記載の乳剤。
6. 【請求項６】 前記添加物が、前記アスファルト系結合剤を含む前記乳剤に
   混合されることを特徴とする前記請求項のいずれか１項に記載の乳剤。
7. 【請求項７】 前記添加物が、前記樹脂を含む前記乳剤に混合されることを
   特徴とする前記請求項のいずれか１項に記載の乳剤。
8. 【請求項８】 前記添加物が、前記合成乳剤に混合されることを特徴とする
   請求項１〜５のいずれか１項に記載の乳剤。
9. 【請求項９】 前記樹脂がエポキシ系であり、液状エポキシ樹脂と乳化固形
   エポキシ樹脂とから選択されることを特徴とする前記請求項のいずれか１項に記
   載の乳剤。
10. 【請求項１０】 前記架橋剤が化学量論に対して１．７〜１．１の割合で注
    入されることを特徴とする前記請求項のいずれか１項に記載の乳剤。
11. 【請求項１１】 前記樹脂含有乳剤中の樹脂の百分率が８０重量％に達する
    ことができることを特徴とする前記請求項のいずれか１項に記載の乳剤。
12. 【請求項１２】 単層または複層の薄膜表面被覆層を作るために使用され、
    １層の厚さが０．１から２ｍｍの範囲にあることを特徴とする前記請求項のいず
    れか１項に記載の乳剤。