JP2003347615A - 圧電素子、及び、電歪アクチュエータ - Google Patents

圧電素子、及び、電歪アクチュエータ

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JP2003347615A
JP2003347615A JP2002165620A JP2002165620A JP2003347615A JP 2003347615 A JP2003347615 A JP 2003347615A JP 2002165620 A JP2002165620 A JP 2002165620A JP 2002165620 A JP2002165620 A JP 2002165620A JP 2003347615 A JP2003347615 A JP 2003347615A
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Shunka Cho
俊華 張
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層構造の圧電素子における変形効率を向上
させる。 【解決手段】 圧電素子17は、互いに積層された上層
圧電体34及び下層圧電体35からなる圧電体層31
と、この圧電体層31に付与される電場を発生する電極
層33,36,37とを備える。下層圧電体35と振動
板14との間に共通下電極37を、下層圧電体35と上
層圧電体34との間に駆動電極33をそれぞれ形成する
と共に、下層圧電体35とは反対側の上層圧電体34の
表面に共通上電極36を形成する。そして、上層圧電体
34の厚さtp1を下層圧電体35の厚さtp2よりも
薄く構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動信号の供給に
よって変形する圧電素子、及び、この圧電素子を駆動源
として用いた電歪アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子は、電気エネルギーの供給によ
って変形するものであり、例えば、液体噴射ヘッド、マ
イクロポンプ、発音体(スピーカ等)用の駆動素子とし
て広く用いられている。ここで、液体噴射ヘッドは、圧
力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口
から液滴を吐出させるものであり、例えば、プリンタ等
の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプ
レーの製造に用いられる液晶噴射ヘッド、カラーフィル
タの製造に用いられる色材噴射ヘッド等がある。また、
マイクロポンプは、極く微量の液体を扱うことができる
超小型のポンプであり、例えば、極く少量の薬液を送出
する際に用いられる。
【0003】このような液体噴射ヘッドやマイクロポン
プに用いられる重要な部品の一つに、振動板の表面に圧
電素子を設けた電歪アクチュエータがある。この電歪ア
クチュエータは圧力室となる空部を有する圧力室形成基
板に取り付けられ、圧力室の一部を振動板で区画する。
そして、液滴を吐出したり、液体を送出したりする際に
は、圧電素子に駆動パルスを供給してこの圧電素子及び
振動板(即ち、圧力室の変形部分)を変形させ、圧力室
の容積を変化させる。
【0004】これらの液体噴射ヘッドやマイクロポンプ
においては、圧電素子の高周波駆動に対する強い要請が
ある。これは、液滴の高周波吐出を実現したり、送液能
力を高めたりするためである。そして、圧電素子の高周
波駆動を実現するためには、上記変形部分のコンプライ
アンスを従来よりも小さくし、且つ、圧電素子の変形量
を従来よりも大きくする必要がある。これは、変形部分
のコンプライアンスを小さくすると応答性が向上するた
め、従来よりも高い周波数での駆動が可能となること、
及び、圧電素子の変形量を大きくすると圧力室の容積変
化量が大きくなるため、吐出される液滴の量や送出され
る液体の量を増やすことができることによる。
【0005】そして、変形部分のコンプライアンスと圧
電素子の変形量の相反する特性を充足するものとして、
多層構造の圧電素子が提案されている。例えば、特開平
2−289352号公報には、圧電体層を上層圧電体と
下層圧電体の2層構造とし、上層圧電体と下層圧電体の
境界に駆動電極(個別電極)を形成すると共に、上層圧
電体の外表面と下層圧電体の外表面とにそれぞれ共通電
極を形成した構造の圧電素子が開示されている。同様
に、特開平10−34924号公報にも多層構造の圧電
素子が開示されている。
【0006】上記多層構造の圧電素子では、上層圧電体
と下層圧電体の境界に駆動電極が設けられているので、
各層の圧電体には、駆動電極から各共通電極までの間隔
(即ち、各層圧電体の厚さ)と、駆動電極と各共通電極
の電位差とによって定まる強さの電場が付与される。こ
のため、共通電極と駆動電極とで単層の圧電体を挟んだ
単層構造の圧電素子と比べた場合、圧電素子全体の厚さ
を多少厚くして変形部分のコンプライアンスを小さくし
ても、従来と同じ駆動電圧で大きく変形させることがで
きる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記多
層構造の圧電素子を単に用いただけでは、近年の高い要
請に応え得る程度の特性は得られなかった。このため、
実際の製品としては、単層の圧電体を共通電極と駆動電
極とで挟んだ単層構造の圧電素子を用いることを余儀な
くされている。これには種々の要因が考えられるが、圧
電素子の変形効率が十分でなかったことも一因と考えら
れる。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、多層構造の圧電素子における変形
効率を向上させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために提案されたものであり、請求項1に記載の
ものは、電場に応じて変形する圧電体層と該圧電体層に
付与される電場を発生する電極層とを備えた圧電素子に
おいて、前記圧電体層は、互いに積層された上層圧電体
と下層圧電体とを有し、前記電極層は、上層圧電体と下
層圧電体との間に形成され、駆動信号の供給源に導通さ
れる駆動電極と、駆動電極とは反対側となる下層圧電体
の下部に形成された共通下電極と、駆動電極とは反対側
となる上層圧電体の上部に形成され、前記共通下電極に
導通される共通上電極とを有し、前記上層圧電体の厚さ
を下層圧電体の厚さよりも薄くしたことを特徴とする。
【0010】ここで、「上、下」とあるのは、圧電素子
が設けられる振動板等の支持部材を基準とした位置関係
を示している。換言すれば、支持部材に接合される作用
面(変形により生じる力を出力する面)を基準とした位
置関係を示している。即ち、支持部材から近い側を
「下」とし、支持部材から遠い側を「上」として示して
いる。
【0011】請求項2に記載のものは、駆動源としての
圧電素子を振動板の表面に形成してなる電歪アクチュエ
ータにおいて、前記圧電素子は、電場に応じて変形する
圧電体層と該圧電体層に付与される電場を発生する電極
層とを備え、前記圧電体層を、互いに積層された上層圧
電体と下層圧電体とから構成すると共に、前記電極層
を、互いに導通された共通上電極及び共通下電極と、駆
動信号の供給源に導通される駆動電極とから構成し、下
層圧電体と上層圧電体との間に駆動電極を形成すると共
に、下層圧電体と振動板との間に共通下電極を、下層圧
電体とは反対側の上層圧電体の表面に共通上電極をそれ
ぞれ形成し、前記上層圧電体の厚さを下層圧電体の厚さ
よりも薄くしたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。ここでは、プリンタやプロッタ等
の画像記録装置に搭載される記録ヘッド(液体噴射ヘッ
ドの一種)を例に挙げて説明する。この記録ヘッドは、
例えば図5に示すように、複数個のヘッド本体1…を備
えており、これらのヘッド本体1…を取付ベース61に
取り付けることで構成されている。本実施形態では、取
付ベース61に4つのヘッド本体1…を取り付けてい
る。そして、1つのヘッド本体1は、2列のノズル列1
1,11を有するので、記録ヘッドは合計8列のノズル
列11…を備える。
【0013】次に、図1及び図2に基づき、ヘッド本体
1の基本的な構造を説明する。このヘッド本体1は、流
路ユニット2とアクチュエータユニット3とから概略構
成されている。
【0014】流路ユニット2は、インク供給口(オリフ
ィス)4及びノズル連通口5の一部となる通孔を開設し
た供給口形成基板6と、共通インク室7となる通孔及び
ノズル連通口5の一部となる通孔を開設したインク室形
成基板8と、ノズル開口9…を副走査方向に沿って開設
したノズルプレート10から構成されている。これらの
供給口形成基板6、インク室形成基板8、及び、ノズル
プレート10は、例えば、ステンレス製の板材をプレス
加工することで作製されている。そして、流路ユニット
2は、インク室形成基板8の一方の表面(図中下側)に
ノズルプレート10を、他方の表面(同上側)に供給口
形成基板6をそれぞれ配置し、これらの供給口形成基板
6、インク室形成基板8、及び、ノズルプレート10を
接合することで作製される。例えば、シート状の接着剤
によって各部材6,8,10を接着することで作製され
る。
【0015】上記のノズル開口9は、図2に示すよう
に、所定ピッチで複数個列状に開設される。そして、列
設された複数のノズル開口9…によってノズル列11が
構成される。例えば、92個のノズル開口9…で1つの
ノズル列11が構成され、このノズル列11が横並びに
2列形成される。
【0016】アクチュエータユニット3は、ヘッドチッ
プとも呼ばれる部品である。このアクチュエータユニッ
ト3は、例えば、圧力室12となる通孔を開設した圧力
室形成基板13と、圧力室12の一部を区画する振動板
14と、供給側連通口15となる通孔及びノズル連通口
5の一部となる通孔を開設した蓋部材16と、圧電素子
17とによって構成される。これら各部材13,14,
16の板厚に関し、圧力室形成基板13、及び、蓋部材
16は、好ましくは50μm以上、より好ましくは10
0μm以上である。また、振動板14は、好ましくは5
0μm以下、より好ましくは3〜12μm程度である。
【0017】なお、このアクチュエータユニット3にお
いて、振動板14と圧電素子17が本発明の電歪アクチ
ュエータを構成する。また、振動板14は、圧電素子1
7が設けられる支持部材の一種である。
【0018】このアクチュエータユニット3は、圧力室
形成基板13の一方の表面に蓋部材16を、他方の表面
に振動板14をそれぞれ配置して各部材を接合し、その
後、振動板14の表面に圧電素子17を形成することで
作製される。これらの中で圧力室形成基板13、振動板
14、及び、蓋部材16は、アルミナや酸化ジルコニウ
ム等のセラミックスで作製されており、焼成によって接
合される。
【0019】これらの圧力室形成基板13,振動板1
4,蓋部材16の接合は、例えば、次の手順で行われ
る。まず、セラミックス原料、バインダー及び液媒等に
よってセラミックスのスラリーを調整する。次に、ドク
ターブレード装置やリバースロールコーター装置等の一
般的な装置を用いて、スラリーをグリーンシート(未焼
成のシート材)に成形する。その後、このグリーンシー
トに対して切削や打ち抜き等の加工を施して必要な通孔
等を形成し、圧力室形成基板13、振動板14、及び、
蓋部材16の各シート状前駆体を形成する。そして、各
シート状前駆体を積層及び焼成することにより、各シー
ト状前駆体を一体化して1枚のシート状部材を得る。こ
の場合、各シート状前駆体は一体焼成されるので、特別
な接着処理が不要である。また、各シート状前駆体の接
合面において高いシール性を得ることもできる。
【0020】また、1枚のシート状部材には、複数ユニ
ット分の圧力室12…やノズル連通口5…等が形成され
ている。換言すれば、1枚のシート状部材から複数のア
クチュエータユニット(ヘッドチップ)3…を作製す
る。例えば、1つのアクチュエータユニット3となるチ
ップ領域を1枚のシート状部材内にマトリクス状に複数
設定し、圧電素子17等の必要な部材を各チップ領域毎
に形成する。そして、必要な部材が形成されたシート状
部材(セラミックスシート)をチップ領域毎に切断する
ことで、複数のアクチュエータユニット3…を得る。
【0021】上記の圧力室12は、ノズル列11とは直
交する方向に細長い空部であり、ノズル開口9に対応す
る複数形成されている。即ち、図2に示すように、ノズ
ル列方向に列設されている。そして、各圧力室12…の
一端は、ノズル連通口5を通じて対応するノズル開口9
に連通する。また、ノズル連通口5とは反対側の圧力室
12の他端は、供給側連通口15及びインク供給口4を
通じて共通インク室7に連通している。さらに、この圧
力室12の一部は、振動板14によって区画されてい
る。
【0022】上記の圧電素子17は、所謂撓み振動モー
ドの圧電素子であり、圧力室12とは反対側の振動板表
面に圧力室12毎に形成されている。この圧電素子17
の幅は圧力室12の幅と略等しく、長さは圧力室12の
長さよりも多少長い。そして、各圧電素子17…は、長
手方向の両端部が圧力室12の端を越えた状態で形成さ
れている。即ち、圧力室12の長手方向を覆うように形
成されている。この圧電素子17は、例えば、図3に示
すように、圧電体層31と共通電極32と駆動電極33
等によって構成される多層構造であり、駆動電極33と
共通電極32とによって圧電体層31を挟んでいる。な
お、この圧電素子17の詳細な構造については後述す
る。
【0023】上記の駆動電極33には駆動信号の供給源
(図示せず)が導通され、共通電極32は例えば接地電
位に調整される。この駆動電極33に駆動信号が供給さ
れると、駆動電極33と共通電極32との間には電位差
に応じた強さの電場が発生される。この電場は圧電体層
31に付与されるので、圧電体層31は付与された電場
の強さに応じて変形する。即ち、駆動電極33の電位を
高くする程、圧電体層31は電場と直交する方向に収縮
し、圧力室12の容積を少なくするように振動板14を
変形させる。一方、駆動電極33の電位を低くする程、
圧電体層31は電界と直交する方向に伸長し、圧力室1
2の容積を増やすように振動板14を変形させる。
【0024】そして、このアクチュエータユニット3と
上記の流路ユニット2とは、互いに接合される。例え
ば、供給口形成基板6と蓋部材16との間にシート状接
着剤を介在させ、この状態でアクチュエータユニット3
を流路ユニット2側に加圧することで接着される。
【0025】このように構成されたヘッド本体1には、
共通インク室7からインク供給口4、供給側連通口1
5、圧力室12、及び、ノズル連通口5を通じてノズル
開口9に至る一連のインク流路がノズル開口9毎に形成
されている。使用時においてこのインク流路内はインク
(液体の一種)で満たされている。そして、圧電素子1
7を変形させると、対応する圧力室12が収縮或いは膨
張し、圧力室12内のインクに圧力変動が生じる。この
インク圧力を制御することで、ノズル開口9からインク
滴を吐出させることができる。例えば、定常容積の圧力
室12を一旦膨張させた後に急激に収縮させると、圧力
室12の膨張に伴ってインクが充填され、その後の急激
な収縮によって圧力室12内のインクが加圧されてイン
ク滴が吐出される。
【0026】ここで、高速記録のためには、より多くの
インク滴を短時間で吐出させる必要がある。この要求に
応えるためには、圧力室12を区画している部分の振動
板14及び圧電素子17(即ち、圧力室12における変
形部分)のコンプライアンスと、圧電素子17の変形量
とを考慮する必要がある。即ち、上記変形部分のコンプ
ライアンスが大きくなる程、変形に対する応答性が悪く
なり、高い周波数での駆動が困難になるからである。ま
た、変形部分のコンプライアンスが小さくなるほどに変
形し難くなり、圧力室12の収縮量が少なくなって1滴
のインク量が減ってしまうからである。
【0027】このような観点から、既に実用化されてい
る撓み振動モードの圧電素子を用いた記録ヘッドでは、
圧電素子は単層の圧電体を共通電極と駆動電極とで挟ん
だ単層構造のものが用いられており、最大応答周波数は
25kHz程度、最大インク滴量は13pL(ピコリッ
トル)程度であった。
【0028】そして、本実施形態では、多層構造の圧電
素子17を用いて振動板14のコンプライアンスを小さ
くし、さらに、この圧電素子17の構造を改良すること
により、必要量のインク滴を効率よく吐出できるように
した。以下、この点について説明する。
【0029】まず、圧電素子17の構造について詳細に
説明する。図3に示すように、圧電体層31は、互いに
積層された上層圧電体(外側圧電体)34及び下層圧電
体(内側圧電体)35から構成される。また、共通電極
32は、共通上電極(共通外電極)36及び共通下電極
(共通内電極)37から構成される。そして、この共通
電極32と駆動電極(個別電極)33とが電極層を構成
する。
【0030】なお、ここでいう「上(外)」或いは「下
(内)」とは、支持部材としての振動板14を基準とし
た位置関係を示している。換言すれば、圧電素子17に
おける振動板14との接合面(圧電素子17の変形を出
力するための作用面とも表現できる。)を基準とした位
置関係を示している。そして、「上(外)」とあるのは
振動板14から遠い側を示し、「下(内)」とあるのは
振動板14に近い側を示している。
【0031】上記の駆動電極33は、上層圧電体34と
下層圧電体35の境界に形成され、共通下電極37は下
層圧電体35と振動板14との間に形成される。また、
共通上電極36は下層圧電体35とは反対側の上層圧電
体34の表面に形成される。即ち、この圧電素子17
は、振動板側から、共通下電極37、下層圧電体35、
駆動電極33、上層圧電体34、共通上電極36の順で
積層された多層構造である。そして、圧電体層31の厚
さは上層圧電体34と下層圧電体35の2層を合計して
約17μmであり、共通電極32を含めた圧電素子17
の全体の厚さは約20μmである。なお、従来の単層構
造の圧電素子17にあっては、素子全体の厚さが約15
μmである。従って、圧電素子17の厚さが増したこと
から、その分だけ振動板14のコンプライアンスが小さ
くなっている。
【0032】上記の共通上電極36と共通下電極37
は、駆動信号に拘わらず一定の電位に調整される。本実
施形態において、これらの共通上電極36と共通下電極
37は互いに導通され、接地電位に調整される。上記の
駆動電極33は、駆動信号の供給源に導通され、供給さ
れた駆動信号に応じて電位を変化させる。従って、駆動
信号の供給によって、駆動電極33と共通上電極36と
の間、及び、駆動電極33と共通下電極37との間に
は、それぞれ向きが反対の電場が生じる。
【0033】そして、これらの各電極33,36,37
を構成する材料としては、例えば、金属単体、合金、電
気絶縁性セラミックスと金属との混合物等の各種導体が
選択されるが、焼成温度において変質等の不具合が生じ
ないことが要求される。本実施形態では、共通上電極3
6に金を用い、共通下電極37及び駆動電極33に白金
を用いている。
【0034】上記の上層圧電体34と下層圧電体35は
共に、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を主成分とする
圧電材料によって作製されている。そして、上層圧電体
34と下層圧電体35とは分極方向が反対である。この
ため、駆動信号印加時の伸縮方向が上層圧電体34と下
層圧電体35とで揃い、支障なく変形することができ
る。即ち、上層圧電体34及び下層圧電体35は、駆動
電極33の電位を高くする程に圧力室12の容積を少な
くするように振動板14を変形させ、駆動電極33の電
位を低くする程に圧力室12の容積を増やすように振動
板14を変形させる。
【0035】そして、この多層構造の圧電素子17を効
率よく変形させるべく、本実施形態では、図4に示すよ
うに、上層圧電体34を下層圧電体35よりも薄く構成
している。具体的には、上層圧電体34の厚さtp1を
8μmとし、下層圧電体35の厚さtp2を9μmと
し、上記したように全体の厚さ(tp1+tp2)を1
7μmとしている。
【0036】このように、上層圧電体34を下層圧電体
35よりも薄く構成すると、上層圧電体34と下層圧電
体35の厚さの差に応じ、駆動電極33から共通下電極
37までの間隔よりも駆動電極33から共通上電極36
の間隔の方が狭くなる。従って、駆動電極33と共通上
電極36との間で発生される電場が、駆動電極33と共
通下電極37との間で発生される電場よりも強くなり、
上層圧電体34の方が下層圧電体35よりも大きく撓
む。そして、上層圧電体34が下層圧電体35よりも相
対的に大きく撓むと、上層圧電体34の方が振動板14
から離隔しているため、その変形量が増幅されて振動板
14に作用し、振動板14の変形量を大きくすることが
できる。
【0037】例えば、上層圧電体34と下層圧電体35
の積層高さ(要するに圧電素子17の高さ)、幅、長さ
が同じであって、上層圧電体34の方が下層圧電体35
よりも厚い構造の圧電素子と比較すると、本実施形態の
圧電素子17は、相対的に変形量が大きい上層圧電体3
4が振動板14から離れて位置しているのに対し、比較
例の圧電素子では相対的に変形量が大きい下層圧電体3
5が振動板14の間近に位置する。そして、変形量が大
きい圧電体層が振動板14から離れている方が振動板1
4を大きく変形できるので、本実施形態の圧電素子17
の方がより振動板14を大きく変形させることができ
る。なお、圧電素子17の高さ、幅、長さが同じである
ことから、静電容量については、本実施形態の圧電素子
17と比較例の圧電素子17で同じである。
【0038】そして、振動板14を大きく変形できるこ
とから、収縮時における圧力室12の容積をより小さく
できる。従って、単に多層構造の圧電素子17を用いた
場合よりも、圧力室12の膨張時と収縮時の容積差を広
げることができ、インク滴の吐出量を増やすことができ
る。これにより、インク滴の吐出効率を向上させるとが
できる。
【0039】なお、以上は、記録ヘッドに用いられる圧
電素子及び電歪アクチュエータに本発明を適用した例を
説明したが、これに限定されるものではない。本発明
は、例えば、液晶噴射ヘッドや色材噴射ヘッド等といっ
た他の液体噴射ヘッド用の圧電素子及び電歪アクチュエ
ータにも適用できる。また、マイクロポンプ用の圧電素
子及び電歪アクチュエータにも適用できる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果を奏する。即ち、上層圧電体を下層圧電体より
も薄く構成したので、駆動信号の供給に伴う上層圧電体
の変形度合いを、下層圧電体の変形度合いよりも大きく
することができる。そして、上層圧電体の方が下層圧電
体よりも支持部材から遠いので、この支持部材の変形量
を大きくすることができる。その結果、圧電素子の変形
効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘッド本体の基本構造を説明する断面図であ
る。
【図2】ヘッド本体をノズルプレート側から見た図であ
る。
【図3】アクチュエータユニットの構造を説明する図で
あり、圧力室長手方向で切断した断面図である。
【図4】アクチュエータユニットの構造を説明する図で
あり、圧力室幅方向で切断した断面図である。
【図5】複数のヘッド本体を備えた記録ヘッドを説明す
る図である。
【符号の説明】
1 ヘッド本体 2 流路ユニット 3 アクチュエータユニット 4 インク供給口 5 ノズル連通口 6 供給口形成基板 7 共通インク室 8 インク室形成基板 9 ノズル開口 10 ノズルプレート 11 ノズル列 12 圧力室 13 圧力室形成基板 14 振動板 15 供給側連通口 16 蓋部材 17 圧電素子 31 圧電体層 32 共通電極 33 駆動電極 34 上層圧電体 35 下層圧電体 36 共通上電極 37 共通下電極 61 取付ベース

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電場に応じて変形する圧電体層と該圧電
    体層に付与される電場を発生する電極層とを備えた圧電
    素子において、 前記圧電体層は、互いに積層された上層圧電体と下層圧
    電体とを有し、 前記電極層は、上層圧電体と下層圧電体との間に形成さ
    れ、駆動信号の供給源に導通される駆動電極と、駆動電
    極とは反対側となる下層圧電体の下部に形成された共通
    下電極と、駆動電極とは反対側となる上層圧電体の上部
    に形成され、前記共通下電極に導通される共通上電極と
    を有し、 前記上層圧電体の厚さを下層圧電体の厚さよりも薄くし
    たことを特徴とする圧電素子。
  2. 【請求項2】 駆動源としての圧電素子を振動板の表面
    に形成してなる電歪アクチュエータにおいて、 前記圧電素子は、電場に応じて変形する圧電体層と該圧
    電体層に付与される電場を発生する電極層とを備え、 前記圧電体層を、互いに積層された上層圧電体と下層圧
    電体とから構成すると共に、前記電極層を、互いに導通
    された共通上電極及び共通下電極と、駆動信号の供給源
    に導通される駆動電極とから構成し、 下層圧電体と上層圧電体との間に駆動電極を形成すると
    共に、下層圧電体と振動板との間に共通下電極を、下層
    圧電体とは反対側の上層圧電体の表面に共通上電極をそ
    れぞれ形成し、 前記上層圧電体の厚さを下層圧電体の厚さよりも薄くし
    たことを特徴とする電歪アクチュエータ。
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