JP2003346672A - イオン源およびその運転方法 - Google Patents
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Abstract
低く抑えることができるようにする。 【解決手段】 このイオン源2aでは、プラズマ14を
生成するためのプラズマ生成容器6をイオン源フランジ
36から支持する支持体34a内に、プラズマ生成容器
6の近傍からイオン源フランジ36の近傍にかけて、空
洞40を設けている。この空洞40は、プラズマ生成容
器6の近傍まで冷媒48を流してプラズマ生成容器6を
冷却する冷媒流路になっている。この冷媒48によって
プラズマ生成容器6をそのすぐ近傍から冷却することが
できるので、プラズマ生成時のプラズマ生成容器6の温
度を低く抑えることができる。
Description
してそれからイオンビームを引き出すイオン源に関し、
特に、当該プラズマを生成するためのプラズマ生成容器
のプラズマ生成時の温度を低く抑えたり、低温運転用と
高温運転用とに切り換えることができるようにする手段
に関する。
のイオン源2は、ガスまたは蒸気のイオン種が導入され
それを電離させてプラズマ14を生成するプラズマ生成
部4を、複数本(通常は4本)の棒状の支持体(この例
では支柱)34によって、イオン源フランジ36から支
持した構造をしている。
を、イオン源チャンバーと呼ばれる真空容器内に取り付
けるためのものであり、このイオン源フランジ36の内
側(プラズマ生成部4側)は真空雰囲気にされる。また
このイオン源フランジ36は、真空シール用にパッキン
38を有していて、それを冷却して保護する等のために
通常は水冷構造にされている。
型と呼ばれるものであり、イオン引出し口8を有してい
て中でプラズマ14を生成するためのプラズマ生成容器
6内に、電子放出用のフィラメント10と電子反射用の
反射電極12とを相対向させて配置した構造をしてい
る。但し、プラズマ生成部4は、他の方式のもの、例え
ば棒状のフィラメントを有するフリーマン型等でも良
い。このプラズマ生成部4から(より具体的にはそのプ
ラズマ生成容器6から)、電界の作用でイオンビーム1
6を引き出すことができる。
ガス導入管18を経由して、イオン種(イオン化物質と
も呼ばれる。以下同じ)としての原料ガス20を導入す
ることができる。更にこの例では、ヒータ28によって
固体原料26を加熱して蒸気24を発生させる蒸気発生
炉(オーブン)22を有しており、この固体原料26か
ら発生させた蒸気24をイオン種として、ノズル23を
経由して、プラズマ生成容器6内に導入することもでき
る。蒸気発生炉22は、支持部30およびオーブンフラ
ンジ32を介して、イオン源フランジ36から支持され
ている。
6は、プラズマ14の発生に伴って、例えば数百℃〜1
000℃程度の高温になる。これは、フィラメント10
からの熱や、フィラメント10とプラズマ生成容器6と
の間で発生させるアーク放電の熱による。
ようにパッキン38の保護等のために、室温程度の低温
になるように冷却される。
オン源フランジ36への熱伝導を小さく抑えてプラズマ
生成容器6の高温を維持しつつ、プラズマ生成容器6を
イオン源フランジ36から機械的に支持するために、複
数本の棒状の支持体(支柱)34を用いている。
種が、例えばインジウム、フッ化インジウム、アンチモ
ン等のように融点の高い物質の場合は、プラズマ生成容
器6を高温に保持するのが好ましいので、前記構成で問
題はなかった。リン、ヒ素のように中温に保持するのが
好ましいイオン種の場合も、前記構成で問題はなかっ
た。
るイオン種が、例えばデカボラン(B10H14)のように
融点や昇華点の低い物質の場合は、プラズマ生成時のプ
ラズマ生成容器6が前記のような高温になると、プラズ
マ14の生成密度ひいてはイオンビーム16の引き出し
量の制御が困難になる。これは、プラズマ生成容器6の
温度が上記低温用のイオン種の融点や昇華点を遙かに超
えてしまい、プラズマ生成の制御が困難になるからであ
る。
料ガス20を導入する場合だけでなく、蒸気発生炉22
を使用する場合にも起こる。これは、蒸気発生炉22と
プラズマ生成容器6とはノズル23を介して接続されて
いて、蒸気発生炉22のヒータ28に供給する電流を下
げる、あるいは切っても、高温のプラズマ生成容器6か
らの熱伝導によって、蒸気発生炉22の温度が不所望に
高くなってしまうからである。プラズマ生成容器6から
の放射熱によっても、蒸気発生炉22の温度が不所望に
上昇する。
ラスターイオンビームの特徴を生かして、等価的に低エ
ネルギーかつ大電流ビームが得られ、基板のチャージア
ップが少ないイオンビーム照射(例えばイオン注入)を
行うことができる等の利点があるけれども、イオン種に
デカボランを用いる場合は、特に、プラズマ生成時のプ
ラズマ生成容器6の温度を低く抑える必要がある。例え
ば、室温〜100℃程度以下に抑える必要がある。この
ようなことは、前記のような従来のイオン源2では到底
困難である。
ズマ生成容器の温度を低く抑えることができるようにす
ることを主たる目的としている。
の温度を、相対的に低温で運転する場合と相対的に高温
で運転する場合とに切り換えることができるようにする
ことを他の目的としている。
は、前記支持体内に、前記プラズマ生成容器の近傍まで
冷媒を流して前記プラズマ生成容器を冷却する冷媒流路
を設けたことを特徴としている(請求項1)。
けた冷媒流路に流される冷媒によってプラズマ生成容器
を冷却することができるので、プラズマ生成時のプラズ
マ生成容器の温度を低く抑えることができる。
記支持体内であって前記プラズマ生成容器近傍から前記
イオン源フランジ近傍にかけての部分に空洞を設けてお
き、この支持体の空洞に冷媒を流す冷却モードと、当該
空洞を真空排気する排気モードとに切り換えて運転する
ことを特徴としている(請求項2)。
前記支持体内の空洞に流される冷媒によってプラズマ生
成容器を冷却することができるので、プラズマ生成容器
の温度が相対的に低い状態で運転することができる。ま
た、排気モード時は、前記支持体の空洞を真空排気する
ことによって、当該空洞における真空断熱作用を利用し
て、支持体の断熱効果を高めることができるので、プラ
ズマ生成容器の温度が相対的に高い状態で運転すること
ができる。「相対的に」というのは、前記二つのモード
時の温度を互いに比べて、という意味である。
り換えて運転することによって、1台のイオン源を、そ
のプラズマ生成容器の温度に関して広い温度領域で使用
することができるので、使用することのできるイオン種
の選択の自由度が非常に高くなる。
を生成するためのプラズマ生成容器を支持体によってイ
オン源フランジから支持した構造をしており、かつ当該
支持体内であってプラズマ生成容器近傍からイオン源フ
ランジ近傍にかけての部分に空洞を有するイオン源と、
このイオン源の支持体の空洞に冷媒を流すための冷媒供
給装置と、前記イオン源の支持体の空洞を真空排気する
ための真空排気装置と、前記イオン源の支持体の空洞
を、前記冷媒供給装置と前記真空排気装置とに切り換え
て通じさせる切換器とを備えることを特徴としている
(請求項3)。
て、前記支持体の空洞に冷媒供給装置から冷媒を流す運
転(冷却モード)と、当該空洞を真空排気装置によって
真空排気する運転(排気モード)とに切り換えることが
できるので、1台のイオン源を、そのプラズマ生成容器
の温度に関して広い温度領域で使用することができる。
従って、使用することのできるイオン種の選択の自由度
が非常に高くなる。
の一例を示す断面図である。図4に示した従来例と同一
または相当する部分には同一符号を付し、以下において
は当該従来例との相違点を主に説明する。
えているけれども、蒸気発生炉を備えていない場合の例
である。このイオン源2aでは、前記従来の支持体34
に対応する支持体34a内に、即ち前記プラズマ生成部
4のプラズマ生成容器6をイオン源フランジ36から支
持する支持体34a内に、プラズマ生成容器6の近傍か
らイオン源フランジ36の近傍にかけて、空洞40を設
けている。より具体的には、このイオン源2aでは、支
持体34aは、底面41を有する筒状のものであり、そ
の内部が空洞40になっている。支持体34aのイオン
源フランジ36外に位置する開口部には蓋42が設けら
れている。各部材の接合部は、パッキン38によって、
真空や冷媒のシールが行われている(図2の例も同
様)。
て、即ちこの例では冷媒導入パイプ44および冷媒導出
パイプ46によって、冷媒48が流される。従って、こ
の空洞40は、プラズマ生成容器6の近傍まで冷媒48
を流してプラズマ生成容器6を冷却する冷媒流路になっ
ている。冷媒導入パイプ44は、この例のように、空洞
40内に、その上部付近まで、即ちプラズマ生成容器6
の近くまで、挿入しておくのが好ましい。そのようにす
ると、導入された冷媒48をプラズマ生成容器6の近傍
まで効率良く供給して、プラズマ生成容器6を効率良く
冷却することができる。
が、その他の冷媒でも良い。この冷媒48の温度、流量
および種類等は、プラズマ生成時のプラズマ生成容器6
の温度が所望のものになるように選べば良い。また、イ
オン源2aの運転時には、イオン源フランジ36、支持
体34aおよびプラズマ生成容器6には高電圧(イオン
ビーム16を引き出すための高電圧)が印加されるの
で、これらが冷媒48を通して大地電位部と導通するこ
とを防止する等のために、冷媒48として水を用いる場
合は、電気抵抗の高い純水を用いるのが好ましい。
内に設けた空洞(冷媒流路)40に流される冷媒48に
よって、プラズマ生成容器6をそのすぐ近傍から冷却す
ることができるので、プラズマ生成時のプラズマ生成容
器6の温度を低く抑えることができる。例えば、冷媒4
8に室温の冷却水を用いることによって、プラズマ生成
時のプラズマ生成容器6の温度を、室温〜数十℃程度
に、高くても100℃程度以下に保つことができる。
容器6内に導入する原料ガス20を構成するイオン種が
融点や昇華点の低い物質であっても、例えば原料ガス2
0が前記デカボランを含むものであっても、プラズマ1
4の生成密度ひいてはイオンビーム16の引き出し量を
目的のものに制御することが可能になる。
ち角筒状)のものでも良いし、丸(即ち円筒状)のもの
でも良い。また、その底面41とプラズマ生成容器6の
底面7とは、この例のように互いに別体のものとして両
者間で分割できる構造にしても良いし、両底面41、7
を互いに一体のものとして一つの面で兼用できる構造に
しても良い。後述する図2の例においても同様である。
34aの空洞40に冷媒48を流す冷却モードと、当該
空洞40を真空排気する排気モードとに切り換えて運転
することもできる。空洞40の真空排気は、例えば、冷
媒導入パイプ44および冷媒導出パイプ46を経由して
行えば良い。
りである。
真空排気することによって、空洞40における真空断熱
作用を利用して、支持体34aの断熱効果を高めること
ができるので、プラズマ生成容器6の温度が冷却モード
時よりも高い状態(例えば数百℃〜1000℃程度)で
運転するのに適している。
り換えて運転することによって、1台のイオン源2a
を、そのプラズマ生成容器6の温度に関して広い温度領
域で使用することができるので、使用することのできる
イオン種の選択の自由度が非常に高くなる。つまり、1
台のイオン源2aで、融点や昇華点の低いイオン種か
ら、融点や昇華点の高いイオン種まで、広範囲に使用す
ることができる。
転するのであれば、支持体34a内であって少なくとも
プラズマ生成容器6の近傍に空洞40を設けておき、こ
の空洞40に冷媒流通パイプ、冷媒流通溝等の冷媒給排
手段によって冷媒48を流すようにしても良い。これで
も、プラズマ生成容器6を冷却するという目的を達成す
ることができる。後述する図2のイオン源2aの場合も
同様である。
を示す断面図である。このイオン源2aは、ガス導入管
18の他に蒸気発生炉22を備えている場合の例であ
る。ここでは、図1に示した例との相違点を主体に説明
する。
をイオン源フランジ36から支持する支持体34a内
に、プラズマ生成容器6の近傍からイオン源フランジ3
6の近傍にかけて、空洞40を設けている。そしてこの
空洞40に、前記と同様の冷媒導入パイプ44および冷
媒導出パイプ46を接続している。冷媒導入パイプ44
は、前記と同様に空洞40内に挿入している。この支持
体34aは、更に、その中心部に柱状の空間50を有し
ており、この空間50に、前述したような蒸気発生炉2
2を収納している。即ち、支持体34aは、この例で
は、中心部に空間50を有し、更にその周りを空洞40
が取り囲んでいる、言わば二重筒状の構造をしている。
原料26をヒータ28によって加熱して蒸気24を発生
させ、それをノズル23を経由してプラズマ生成容器6
内に導入するものである。支持部30を介して蒸気発生
炉22を支持するオーブンフランジ32は、支持体34
aのイオン源フランジ36外に位置するオーブン接続部
52に取り付けられている。
の場合と同様、支持体34aの空洞40に冷媒48を流
すことによって、即ち空洞40を冷媒流路とすることに
よって、プラズマ生成時のプラズマ生成容器6の温度を
低く抑えることができる。その作用効果の詳細は、前述
したとおりである。
プラズマ生成容器6を上記のように冷却することによっ
て、蒸気発生炉22もノズル23を経由してある程度冷
却されるので、この冷却作用とヒータ28による加熱と
を併用することができる。それによって、蒸気発生炉2
2の温度を低い温度領域(例えば数十℃〜100℃程
度)においても制御性良く制御することができる。これ
は、例えば固体原料26にデカボランを使用する場合等
に特に有効である。
2aの場合と同様、支持体34aの空洞40に冷媒48
を流す冷却モードと、当該空洞40を真空排気する排気
モードとに切り換えて運転することができる。その作用
効果は、前述したとおりである。
と排気モードとに切り換えて運転するのに適したイオン
源装置の一例を図3に示す。
照して説明したようなイオン源2aと、このイオン源2
aの支持体34aの空洞40に冷媒48を流すための冷
媒供給装置60と、イオン源2aの支持体34aの空洞
40を真空排気するための真空排気装置62と、イオン
源2aの支持体34aの空洞40を、冷媒供給装置60
と真空排気装置62とに択一的に切り換えて通じさせる
切換器54とを備えている。
好ましくは純水供給装置である。
の前記冷媒導入パイプ44を冷媒供給装置60側と真空
排気装置62側とに択一的に切り換えて通じさせる2位
置切換弁56と、イオン源2aの前記冷媒導出パイプ4
6を冷媒供給装置60側と真空排気装置62側とに択一
的に切り換えて通じさせる2位置切換弁58とから成
る。両切換弁56、58は、例えば互いに連動するよう
にしている。
支持体34aの空洞40やそれにつながる配管等に窒素
ガス66を供給して水分を窒素ガスによってパージする
ための窒素ガス源64および弁68を備えている。但し
これは、この発明に必須のものではない。
に示す。
るとき 切換器54を、即ち2位置切換弁56および58を冷媒
供給装置60側に切り換えて、イオン源2aの支持体3
4aの空洞40に冷媒供給装置60から冷媒48を流
す。
るとき 先にイオン源2aを冷却モードで運転した場合は、窒素
ガスでパージを行うのが好ましい。その場合は、切換器
54を冷媒供給装置60側に切り換えたままにしてお
き、弁68を開いて窒素ガス源64から窒素ガス66を
支持体34aの空洞40やそれにつながる配管等に供給
して、それらの内部に残存する水分を冷媒供給装置60
側に押し戻してパージする。こうすると、余分な水分を
排気しなくて済むので、次の真空排気に必要な時間を短
縮することができる。
56および58を真空排気装置62側に切り換えて、イ
オン源2aの支持体34aの空洞40内を真空排気装置
62によって真空排気する。
るので、次のような効果を奏する。
持体内に設けた冷媒流路に流される冷媒によってプラズ
マ生成容器を冷却することができるので、プラズマ生成
時のプラズマ生成容器の温度を低く抑えることができ
る。従って、プラズマ生成容器内に導入するイオン種が
融点や昇華点の低い物質であっても、プラズマの生成密
度ひいてはイオンビームの引き出し量を目的のものに制
御することが可能になる。
ード時はプラズマ生成容器の温度が相対的に低い状態で
運転することができ、排気モード時はプラズマ生成容器
の温度が相対的に高い状態で運転することができ、この
ような冷却モードと排気モードとを切り換えて運転する
ことによって、1台のイオン源を、そのプラズマ生成容
器の温度に関して広い温度領域で使用することができる
ので、使用することのできるイオン種の選択の自由度が
非常に高くなる。
換器によって、前記支持体の空洞に冷媒供給装置から冷
媒を流す運転モードと、当該空洞を真空排気装置によっ
て真空排気する運転モードとに切り換えることができる
ので、1台のイオン源を、そのプラズマ生成容器の温度
に関して広い温度領域で使用することができる。従っ
て、使用することのできるイオン種の選択の自由度が非
常に高くなる。
ある。
である。
系統図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 プラズマを生成するためのプラズマ生成
容器を支持体によってイオン源フランジから支持した構
造のイオン源において、前記支持体内に、前記プラズマ
生成容器の近傍まで冷媒を流して前記プラズマ生成容器
を冷却する冷媒流路を設けたことを特徴とするイオン
源。 - 【請求項2】 プラズマを生成するためのプラズマ生成
容器を支持体によってイオン源フランジから支持した構
造のイオン源において、前記支持体内であって前記プラ
ズマ生成容器近傍から前記イオン源フランジ近傍にかけ
ての部分に空洞を設けておき、この支持体の空洞に冷媒
を流す冷却モードと、当該空洞を真空排気する排気モー
ドとに切り換えて運転することを特徴とするイオン源の
運転方法。 - 【請求項3】 プラズマを生成するためのプラズマ生成
容器を支持体によってイオン源フランジから支持した構
造をしており、かつ当該支持体内であってプラズマ生成
容器近傍からイオン源フランジ近傍にかけての部分に空
洞を有するイオン源と、 このイオン源の支持体の空洞に冷媒を流すための冷媒供
給装置と、 前記イオン源の支持体の空洞を真空排気するための真空
排気装置と、 前記イオン源の支持体の空洞を、前記冷媒供給装置と前
記真空排気装置とに切り換えて通じさせる切換器とを備
えることを特徴とするイオン源装置。
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