JP2003342294A - タンパク質の失活を抑制する方法 - Google Patents

タンパク質の失活を抑制する方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】エンドトキシン含有タンパク質を界面活性剤で
処理してエンドトキシンを不活化する際、目的とするタ
ンパク質が分解、変性して、その活性が低下する場合が
ある。そこで、界面活性剤処理において、エンドトキシ
ンの不活化を抑制せず、タンパク質の失活を極力抑制す
るようなタンパク質の安定化方法を提供することにあ
る。 【解決手段】エンドトキシン含有タンパク質溶液に、安
定化剤としてアミノ酸、糖類またはポリオールを加え、
界面活性剤処理することにより、前記課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンドトキシンを
含むタンパク質溶液をエンドトキシン活性の低減を目的
として界面活性剤で処理する際、目的タンパク質の失活
を抑制する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞膜
構成成分であるリポ多糖とタンパク質の複合体であり、
哺乳動物の体内に入ると動物を発熱させたり毒性を示す
物質である。タンパク質を医薬品として用いる場合や、
タンパク質を動物試験に用いる場合、使用に先立ちその
タンパク質溶液がエンドトキシンを含まないようにする
か、または含まれているエンドトキシンを除去または不
活化することが重要である。しかし、タンパク質溶液中
にエンドトキシンが含まれないようにするとか、含まれ
ている場合にそれを除去または不活化することは容易な
ことではない。
【0003】従来エンドトキシンを除去する方法として
は、分画法、陰イオン交換体などを用いたクロマトグラ
フィー法など、エンドトキシンと目的タンパク質にそれ
ぞれ異なった挙動をとらせることによりエンドトキシン
をタンパク質から分画する方法が知られている。また、
エンドトキシンに特異的親和性を持つ、例えばポリミキ
シンBをリガンドとしたクロマトグラフィーを用いるこ
とも効果的である。しかしこれらの方法ではエンドトキ
シン画分と目的タンパク質画分を完全に分離することは
難しい。一方、エンドトキシンを失活化する方法として
は、タンパク質溶液を熱、酸、アルカリ、ある種の界面
活性剤で処理する等の方法があげられる。しかし、これ
らの処理は多くの場合、目的とするタンパク質が致命的
かつ不可逆的なダメージを受けてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、タン
パク質溶液中に含まれるエンドトキシンの活性を界面活
性剤を用いて低減する工程において、エンドトキシンの
活性を減弱化し、目的とするタンパク質の活性をなるべ
く高く保持できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため、界面活性剤処理による目的タンパク質
の変性を抑制する物質について種々研究を重ねた結果、
処理時にアミノ酸、糖類またはポリオールを存在させる
ことによってタンパク質が安定化させられることを知見
し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0006】すなわち本発明は、(1)エンドトキシン
を含むタンパク質溶液をエンドトキシン活性の低減を目
的として界面活性剤で処理する際、アミノ酸、糖類およ
びポリオールから選ばれた少なくとも一種を存在させる
ことを特徴とするタンパク質の失活を抑制する方法、
(2)界面活性剤が陰イオン界面活性剤、両性界面活性
剤または非イオン界面活性剤である(1)記載の方法、
(3)界面活性剤がステロイド骨格を持つ化合物を主成
分とする界面活性剤である(1)記載の方法、(4)界
面活性剤が、コール酸ナトリウム、3−[(3−コール
アミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン
スルホン酸(CHAPS)またはポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルである(1)記載の方法、
(5)界面活性剤の濃度が0.5〜5w/v%である
(1)記載の方法、(6)アミノ酸の濃度が5〜20w
/v%である(1)記載の方法、(7)アミノ酸がグル
タミン酸、リジンまたはグリシンである(1)または
(6)記載の方法、(8)糖類の濃度が5〜50w/v
%である(1)記載の方法、(9)糖類がショ糖または
マンニトールである(1)または(8)記載の方法、
(10)ポリオールの濃度が5〜50w/v%である
(1)記載の方法、(11)ポリオールがエチレングリ
コール、ポリエチレングリコールまたはグリセロールで
ある(1)または(10)記載の方法、および(12)
(1)記載の界面活性剤による処理の後に、タンパク質
溶液を限外ろ過膜を用いて界面活性剤を除去することを
特徴とするタンパク質含有水溶液の調製方法、である。
【0007】
【発明の実施の形態】界面活性剤処理の対象となるエン
ドトキシン含有タンパク質としては、たとえば血漿タン
パク質、遺伝子組換え生産タンパク質等があり、特に自
体生理活性を有するタンパク質としては、たとえばトロ
ンビン、アンチトロンビン、血液凝固第IX因子、プロテ
インC、プロテインSなど、原料またはいずれかの精製
工程においてエンドトキシンが混入してくる可能性のあ
るタンパク質が挙げられる。安定化剤として使用するア
ミノ酸の種類は特に限定されないが、グルタミン酸、リ
ジン、グリシン等が好ましい。その濃度は5〜20w/
v%が適当である。糖類としてはたとえば単糖、二糖、
寡糖、糖アルコールなどが用いられ、その代表的な例と
して、たとえばショ糖、マンニトールなどが挙げられ
る。その濃度は5〜50w/v%が適当である。
【0008】ポリオールとしてはたとえばエチレングリ
コール、分子量1,000〜20,000のポリエチレ
ングリコール、グリセロール等が例示され、それらの濃
度は、5〜50w/v%が適当である。界面活性剤の種
類は特に限定されないが、陰イオン界面活性剤、両性界
面活性剤、非イオン界面活性剤が好ましく、特に好まし
いものとしてコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナ
トリウム、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチ
ルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸(CHAP
S)などの分子中にステロイド骨格を持つ界面活性剤
や、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなど
の非イオン界面活性剤などが挙げられる。タンパク質溶
液中の界面活性剤の使用濃度は0.5〜5w/v%程度
が適当である。
【0009】界面活性剤によるエンドトキシンの失活化
反応の反応温度、反応時間、pH等の条件は、目的とす
るタンパク質の安定性に従い決定すればよいが、通常反
応温度は、4〜25℃、反応時間は1分〜24時間程
度、pH範囲は5〜9程度である。反応液は必要により
撹拌することができる。添加した界面活性剤を除去する
場合は、沈澱法、透析法、限外ろ過法等が好ましい。限
外ろ過膜の分画分子量は、界面活性剤の大きさ、ミセル
の状態、限界ミセル濃度、目的タンパク質の大きさなど
の情報から総合的に判断すればよい。本発明は、タンパ
ク質が高濃度の界面活性剤に曝露された場合のタンパク
質の失活化を極力防ぐための方法を提供することにあ
る。そのため、高濃度の界面活性剤にタンパク質が曝露
される環境ならば、エンドトキシンの失活化を目的とす
ることに限らず使用することができる。その一例とし
て、ウイルス不活化を目的とした溶媒・洗浄剤処理(S
/D処理)が挙げられる。この場合は、タンパク質の失
活化の程度とウイルス不活化の程度を総合的に評価し、
条件を設定すればよい。
【0010】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 実施例1 ヒト・アンチトロンビン-IIIの安定化剤の効果実験 (1)アンチトロンビン−IIIの調製 コーン低温エタノール分画の上清I約17.5リットル
を400mLのDEAE陰イオン交換体により処理した
後、未吸着画分をプールとして集めた。0.02Mのリ
ン酸緩衝液(pH7.3)で前もって平衡化したヘパリ
ン−セファロースゲル約370mLを充填したカラムに
前述のプール画分を負荷した。引き続き、0.02Mの
リン酸緩衝液、0.3M塩化ナトリウム溶液(pH7.
3)3.0リットルで洗浄した後、0.02Mリン酸緩
衝液、2.0M塩化ナトリウム溶液(pH7.3)3.
0リットルでアンチトロンビン−IIIを溶出した。
【0011】ついで、ヘパリン−セファーロースゲルか
ら溶出したアンチトロンビン−III画分を限外ろ過装置
(ポール社製 分画分子量10kDa)を用い、0.1
M以下の塩濃度になるよう脱塩し、約200mLになる
まで濃縮した。前記画分を0.01Mのリン酸緩衝液
(pH7.0)で約1.0リットルに希釈した。前もっ
て0.01Mのリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化し
たQ−セファロースFFゲル(トリメチルアミノメチル
/アガロース、アマシャムバイオサイエンス社製)約3
40mLに前述の希釈液を負荷した。次いで、0.01
Mのリン酸緩衝液、0.12M塩化ナトリウム溶液(p
H7.0)を6.0リットル送液して洗浄した後、0.
01Mのリン酸緩衝液、0.17M塩化ナトリウム溶液
(pH7.0)を3.0リットル送液しアンチトロンビ
ン−IIIを溶出した。
【0012】この溶出画分をさらに精製するため、再度
ヘパリン−セファロースゲル処理を行った。0.02M
のリン酸緩衝液(pH7.3)で前もって平衡化したヘ
パリン−セファロースゲル約370mLを充填したカラ
ムに前述のQ−セファロースFFゲルの溶出液を負荷し
た。引き続き、0.02Mのリン酸緩衝液、0.3M塩
化ナトリウム溶液(pH7.3)3.0リットルで洗浄
した後、0.02Mのリン酸緩衝液、2.0M塩化ナト
リウム溶液(pH7.3)3.0リットルでアンチトロ
ンビン−IIIを溶出した。得られたアンチトロンビン−I
II溶液のうち300mLを限外ろ過膜(セントリプレッ
プ−10 ミリポア社製)を用いて、20mMクエン酸
ナトリウム、150mM塩化ナトリウム溶液(pH7.
0)によりバッファーを交換した。得られた溶液中のア
ンチトロンビン−IIIの活性は120IU/mLであっ
た。
【0013】(2)エンドトキシンを含むアンチトロン
ビン−III溶液の調製 得られたアンチトロンビン−III溶液1mLに、終濃度
約100IU/mL程度となるよう、エンドトキシン溶
液を添加した。さらに、アンチトロンビン活性が約5I
U/mLとなるよう前記バッファーで希釈し、4℃に冷
却した。一方、表1の終濃度となるよう、pH調整を行
ったグルタミン酸ナトリウム、ショ糖、グリセロールの
前述バッファー溶解液に、終濃度1w/v%となるよう
5w/v%コール酸ナトリウム溶液を添加し、4℃に冷
却した。これを界面活性剤を含む安定化剤溶液とした。
次に、前述のエンドトキシン含有アンチトロンビン−II
I溶液0.1mLと、前述の界面活性剤含有安定化剤溶
液0.9mLを混合し、すばやく且つ充分に撹拌した。
次に、4℃において2時間反応させ、エンドトキシンの
失活化を行った。その後速やかに、アンチトロンビン活
性(テストチームATIII・2キット第一化学薬品製)
およびエンドトキシン活性(エンドスペシー 生化学工
業社製)の測定を行った。被検溶液を、測定系への影響
がないよう、それぞれの希釈緩衝液を用いて250また
は500倍に希釈し、各活性の測定を行った。この測定
結果を表1に示した。界面活性剤によりエンドトキシン
が全ての条件において十分に失活化していることが確認
され、さらに安定化剤を含まないものに比べ、安定化剤
を含有するものはアンチトロンビン活性が高率で保持さ
れ、安定化効果が奏されていることが確認された。
【0014】
【表1】
【0015】実施例2 ヒト・プロテインSを用いた安定化剤の効果実験 (1)ヒト・プロテインS溶液の調製 ヒト血漿またはコーン分画で得たSI画分を、あらかじ
め20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化し
たDEAE−セファロースCL6Bに負荷した。試料を
負荷した後、25mM塩化ナトリウムを含む平衡化緩衝
液で洗浄し、ついで300mM塩化ナトリウムを含む平
衡化緩衝液で溶出し、ヒト・プロテインSを含む画分を
得た。
【0016】(2)免疫吸着クロマトグラフィーによる
精製 ヒト・プロテインSを含む画分に塩酸ベンズアミジンを
終濃度が1〜10mMとなるように加え、さらに塩化カ
ルシウムを終濃度が2mMとなるように加えたのち、あ
らかじめ2mM塩化カルシウムおよび150mM塩化ナ
トリウムを含む平衡化緩衝液(pH7.4)で平衡化し
た。カルシウム存在下でのみヒト・プロテインSと結合
する単クローン抗体を不溶化したカラムに負荷した。カ
ラムを2mM塩化カルシウムおよび150mM塩化ナト
リウムを含む平衡化緩衝液で洗浄したのち、5mMED
TA緩衝液(pH7.3)で溶出した。得られたヒト・
プロテインS溶液30mLを限外ろ過膜(セントリプレ
ップー10:ミリポア社製)を用いて、20mMクエン
酸ナトリウム150mM、塩化ナトリウム溶液(pH
7.0)にてバッファー交換した。このプロテインS溶
液15mLに、終濃度80EU/mL程度となるよう、
エンドトキシン溶液を添加した。さらに、前記バッファ
ーで希釈し、4℃に冷却した。
【0017】一方、表2の終濃度となるようpH調整を
行った各安定化剤の前述バッファー溶解液に、終濃度1
w/v%となるよう5w/v%CHAPS溶液を添加
し、4℃に冷却した。これを界面活性剤を含む安定化剤
溶液とした。次に、前述のエンドトキシン含有プロテイ
ンS溶液1mLと、前述の界面活性剤含有安定化剤溶液
1mLを混合し、素早く、且つ十分に撹拌した。4℃に
おいて17時間反応させ、エンドトキシンの失活化を行
った。その後速やかに、プロテインS活性(スタクロッ
ト プロテインS:ロッシュ・ダイアグノスティックス
社製)およびエンドトキシン活性(エンドスペシー;生
化学工業社製)の測定を行った。被検溶液は、測定系へ
の影響が無いようそれぞれの希釈緩衝液で10倍以上希
釈した。この測定結果を表2に示した。界面活性剤によ
りエンドトキシンが全ての条件において十分に失活化し
ていることが確認され、さらに安定化剤を含まないもの
に比べ、安定化剤を有するものにはプロテインS活性が
高率で保持され、安定化効果を示していることが確認さ
れた。
【0018】
【表2】
【0019】実施例3 実施例1と同様にして、エンドトキシン含有アンチトロ
ンビン−III溶液を調製した。次に安定化剤として最終
濃度10w/v%のグリセロールを含み、さらに表3に
示す界面活性剤を含むように調製し、これを界面活性剤
含有安定化剤溶液とした。これらの液を10℃で保存し
た。次に前記エンドトキシン含有アンチトロンビン−II
I溶液1mLと界面活性剤含有安定化剤溶液1mLを混
合し、10℃、24時間反応させた後エンドトキシンの
失活化を行った。その後速やかに、アンチトロンビン−
III活性およびエンドトキシン活性の測定を行い、その
結果を表3に示した。同じ界面活性剤を用いても、安定
化剤の存否により残存アンチトロンビンIII活性に差の
あることが確認された。
【0020】
【表3】 +:安定剤添加 −:安定剤無添加
【0021】実施例4 実施例1と同様の方法で、エンドトキシン含有アンチト
ロンビン−III溶液を調製した。また、安定化剤として
最終濃度5、10または20w/v%のグルタミン酸ナ
トリウム、最終濃度5、20または50w/v%ショ
糖、最終濃度5、20または50w/v%のグリセロー
ルに界面活性剤として、最終濃度1w/v%コール酸ナ
トリウムを加えたものを界面活性剤含有安定化剤溶液と
した。これらの液を25℃で保存した。実施例1と同様
にして、前記エンドトキシン含有アンチトロンビン−II
I溶液0.1mLと界面活性剤含有安定化剤溶液0.9
mLを混合し、エンドトキシンの失活化を行った。つづ
いてアンチトロンビン−IIIおよびエンドトキシン活性
の測定を行い、その結果を表4に示した。この結果か
ら、同じ安定化剤を用いても、アンチトロンビンIIIの
安定効果は安定化剤の濃度に依存することが確認され
た。
【0022】
【表4】
【0023】実施例5 実施例4と同様にしてエンドトキシン含有アンチトロン
ビン−III溶液を調製した。また、安定化剤として最終
濃度20w/v%グリセロールを、界面活性剤として、
最終濃度1w/v%コール酸ナトリウムを含む界面活性
剤含有安定化剤液を調製した。次いで、実施例1と同様
にして、エンドトキシン含有アンチトロンビン−III溶
液0.1mLと界面活性剤含有安定化剤溶液0.9mL
を混合し、エンドトキシンの失活化を行った。つづい
て、緩衝液で40倍に希釈した後、分画分子量10kD
aの限外ろ過膜を用いて緩衝液を交換し、界面活性剤を
除去した。その後、エンドトキシンおよびアンチトロン
ビン−IIIの活性を測定し、表5に示す結果を得た。こ
の結果から限外ろ過膜により界面活性剤が高度に除去さ
れ、且つ界面活性剤除去後も、低エンドトキシン活性を
維持していることが確認された。
【0024】
【表5】
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、エンドトキシンを含有
するタンパク質を、界面活性剤で処理してエンドトキシ
ンを不活化または活性を低減するに際して、エンドトキ
シンの不活化、活性低下は抑制せず、タンパク質、特に
アンチトロンビン−IIIなどのように自体生理活性を有
するタンパク質の失活、活性低下を極力抑制し、タンパ
ク質の収率を高いレベルに維持することができる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンドトキシンを含むタンパク質溶液をエ
    ンドトキシン活性の低減を目的として界面活性剤で処理
    する際、アミノ酸、糖類およびポリオールから選ばれた
    少なくとも一種を存在させることを特徴とするタンパク
    質の失活を抑制する方法。
  2. 【請求項2】界面活性剤が陰イオン界面活性剤、両性界
    面活性剤または非イオン界面活性剤である請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】界面活性剤がステロイド骨格を持つ化合物
    を主成分とする界面活性剤である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】界面活性剤が、コール酸ナトリウム、3−
    [(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]
    −1−プロパンスルホン酸(CHAPS)またはポリオ
    キシエチレンオクチルフェニルエーテルである請求項1
    記載の方法。
  5. 【請求項5】界面活性剤の濃度が0.5〜5w/v%で
    ある請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】アミノ酸の濃度が5〜20w/v%である
    請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】アミノ酸がグルタミン酸、リジンまたはグ
    リシンである請求項1または6記載の方法。
  8. 【請求項8】糖類の濃度が5〜50w/v%である請求
    項1記載の方法。
  9. 【請求項9】糖類がショ糖またはマンニトールである請
    求項1または8記載の方法。
  10. 【請求項10】ポリオールの濃度が5〜50w/v%で
    ある請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】ポリオールがエチレングリコール、ポリ
    エチレングリコールまたはグリセロールである請求項1
    または10記載の方法。
  12. 【請求項12】請求項1記載の界面活性剤による処理の
    後に、タンパク質溶液を限外ろ過膜を用いて界面活性剤
    を除去することを特徴とするタンパク質含有水溶液の調
    製方法。
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