JP2003342278A - 電界発光性亜鉛キレート、発光組成物及び有機電界発光素子 - Google Patents

電界発光性亜鉛キレート、発光組成物及び有機電界発光素子

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JP2003342278A
JP2003342278A JP2002158351A JP2002158351A JP2003342278A JP 2003342278 A JP2003342278 A JP 2003342278A JP 2002158351 A JP2002158351 A JP 2002158351A JP 2002158351 A JP2002158351 A JP 2002158351A JP 2003342278 A JP2003342278 A JP 2003342278A
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JP2002158351A
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Masashi Torii
昌史 鳥居
Masaomi Sasaki
正臣 佐々木
Shinichi Kawamura
慎一 河村
Takashi Okada
崇 岡田
Toshiya Kosaka
俊也 匂坂
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の電界発光素子用の発光材料として用い
られていた有機化合物と異なる発光色を呈することがで
き、且つ充分な輝度を発揮し得る新規な亜鉛キレートを
提供する。 【解決手段】 置換基を有していてもよい8−ヒドロキ
シキノリンからなる配位子と置換基を有していてもよい
炭素数6以上の脂肪酸からなる配位子を有することを特
徴とする亜鉛キレート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界発光性亜鉛キ
レート、該亜鉛キレートを含有する発光組成物及び該発
光組成物からなる発光層を有する有機電界発光素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】情報表示の分野においては、電界発光素
子が次世代の表示素子として脚光を浴びている。現在、
コンピューター端末機やテレビジョン受像機などの比較
的大型の情報表示機器においては、主として、ブラウン
管が用いられている。しかしながら、ブラウン管は体
積、重量ともに大きく、動作電圧も高いので、民生用機
器や携帯性を重視する小形の機器には適さない。小形機
器には、もっと薄く、軽量の平板状であって、動作電圧
が低く、消費電力の小さいものが必要とされている。現
在では、液晶素子が動作電圧が低く、消費電力の比較的
小さい点が買われて、多方面で汎用されている。しかし
ながら、液晶素子を用いる情報表示機器は、見る角度に
よってコントラストが変わるので、ある角度の範囲で読
み取らないと明瞭な表示が得られないうえに、通常、バ
ックライトを必要とするので、消費電力がそれほど小さ
くならないという問題がある。これらの問題を解決する
表示素子として登場したのが有機EL素子である。従
来、電圧を印加することによって電界発光を呈する発光
材料を使用した電界発光素子は、ワードプロセッサ等の
OA機器のディスプレイや自動車のメーター等のバック
ライトに使用されている。かかる電荷発光素子用の発光
材料としては、従来、無機化合物が採用されてきたが、
電界発光素子用の無機化合物から成る発光材料を高輝度
で発光させようとすると、駆動電圧を高電圧とすること
を要した。このため、最近では、駆動電圧を低電圧化し
得る電界発光素子用の有機化合物から成る発光材料につ
いての研究がなされている〔例えば、C.W.Tang
and S.A.VanSlyke:Appl.Phy
s.Lett.51.913(1987) 参照〕。
【0003】この様な有機化合物から成る発光材料に用
いた薄膜電界発光素子によれば、従来の電界発光素子用
の無機化合物から成る発光材料を使用した電界発光素子
に比較して、駆動電圧を低電圧化できる。しかしなが
ら、充分な輝度で発光し得る電界発光素子用の有機化合
物から成る発光材料は、その発光色が緑色であるものが
多いが、OA機器等のディスプレイのバックライトに使
用するためには、不適当な発光色である。また、青色発
光を呈する有機化合物も報告されている〔例えば、Jp
n.J.Appl.Phys.Vol.32(199
3)L511参照〕が、この発光有機化合物を使用した
電界発光素子は、OA機器のディスプレイのバックライ
ト用には、輝度が不充分である。更に、OA機器等のデ
ィスプレイ等の表示用に電界発光素子を使用するために
は、電界発光素子の多色化が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の課題
は、従来の電界発光素子用の発光材料として用いられて
いた有機化合物と異なる発光色を呈することができ、且
つ充分な輝度を発揮し得る新規な亜鉛キレートを提供す
ることにあり、第2の課題はこの亜鉛キレートを含む発
光組成物を提供することにあり、第3の課題は該発光組
成物を含む有機電界発光素子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく検討した結果、発光材料として、新規な亜
鉛キレートを含んで成る発光組成物を使用した電界発光
素子によれば、駆動電圧の印加によって、高輝度で青緑
色発光することを見いだし、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明によれば、以下に示す新規な
亜鉛キレート、発光組成物及び有機電界発光素子が提供
される。 (1)置換基を有していてもよい8−ヒドロキシキノリ
ンからなる配位子と置換基を有していてもよい炭素数6
以上の脂肪酸からなる配位子を有することを特徴とする
亜鉛キレート。 (2)前記(1)に記載の亜鉛キレートを含有すること
を特徴とする発光組成物。 (3)陽極と陰極との間に発光層を有する有機電界発光
素子において、該発光層が前記(2)に記載の発光組成
物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。 (4)陽極と陰極との間に発光層と電子注入層を有し、
該発光層は該陽極に隣接して配置され、該電子注入層は
該陰極に隣接して配置されている有機電界発光素子にお
いて、該発光層が前記(2)に記載の発光組成物を含有
することを特徴とする有機電界発光素子。 (5)陽極と陰極との間に正孔注入層と発光層と電子注
入層を有し、該正孔注入層は該陽極に隣接して配置さ
れ、該電子注入層は該陰極に隣接して配置されている有
機電界発光素子において、該発光層が前記(2)に記載
の発光組成物を含有することを特徴とする有機電界発光
素子。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の亜鉛キレートは、中心金
属に亜鉛を含有する亜鉛キレートにおいて、その配位子
として、(i)置換基を有していてもよい8−ヒドロキ
シキノリンと、(ii)置換基を有していてもよい炭素数
6以上の脂肪酸を用いることを特徴とする。
【0008】本発明において配位子として用いる置換基
を有していてもよい8−ヒドロキシキノリンにおいて、
その置換基には各種のものが包含される。このような置
換基には、脂肪族基、芳香族基、脂肪族基や芳香族基を
有する各種置換基の他、ハロゲン原子、アミノ基等が包
含される。
【0009】脂肪族基には、鎖状のもの及び環状のもの
が包含される。鎖状のものには、炭素数1〜12、好ま
しくは1〜6のアルキル基及びアルケニル基が包含され
る。環状のものには、炭素数3〜12、好ましくは5〜
8のシクロアルキル基及びシクロアルケニル基が包含さ
れる。
【0010】芳香族基には、炭素数6〜18、好ましく
は6〜12のアリール基及び炭素数7〜19、好ましく
は7〜13のアリールアルキル基が包含される。
【0011】前記脂肪族基や芳香族基を有する置換基に
は、前記アルキル基やアリール基、アリールアルキル基
を有する各種置換基(アルコキシ基、アリーロキシ基、
アリールアルコキシ基、アシル基、アシルオキシカルボ
ニル基など)が包含される。
【0012】ハロゲン原子には、塩素、臭素、ヨウ素及
びフッ素が包含される。
【0013】本発明で配位子として好ましく用いられる
置換基を有していてもよい8−オキシキノリンの具体例
としては、例えば、8−ヒドロキシキノリン、2−メチ
ル−8−ヒドロキシキノリン、7−n−プロピル−8−
ヒドロキシキノリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノ
リン、5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、7−クロ
ロ−8−ヒドロキシキノリン、5,7−ジクロロ−8−
ヒドロキシキノリン、5−ブロモ−8−ヒドロキシキノ
リン、7−ブロモ−8−ヒドロキシキノリン、5,7−
ジブロモ−8−ヒドロキシキノリン、5−ヨード−8−
ヒドロキシキノリン、5,7−ジヨード−8−ヒドロキ
シキノリン、7−ブロモ−5−クロロ−8−ヒドロキシ
キノリン、5−ブロモ−7−クロロ−8−ヒドロキシキ
ノリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、5−フ
ルオロ−8−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。
【0014】本発明において配位子として用いる脂肪酸
において、その炭素数は6以上、好ましくは12以上、
より好ましくは16以上である。その上限値は、特に制
約されないが、通常、26程度である。このような脂肪
酸の具体例としては、例えば、エナント酸、カプリル
酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリ
ン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、
パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデ
カン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙
げられる。これらの脂肪酸は置換基を有していてもよ
く、このような置換基としては、前記8−ヒドロキシキ
ノリンに関して示した各種のものが挙げられる。
【0015】本発明の発光組成物は、発光性化合物を含
む従来の発光組成物において、その発光性化合物とし
て、前記亜鉛キレートを含有するものである。
【0016】本発明の有機電界発光素子は、従来の発光
組成物を含有する有機電界発光素子において、該発光組
成物として、前記した本発明の発光組成物を含有するも
のである。この有機電界発光素子において、その層構成
は、正孔注入層及び/又は電子注入層との積層構造とす
ることが好ましい。このような積層構造とすることによ
り、発光層だけの単層型のものより発光強度を大幅に向
上させることができる。本発明の有機電界発光素子にお
ける積層構造には、(1)陽極/発光層/電子注入層/
陰極に順に積層、(2)陽極/正孔注入層/発光層/電
子注入層/陰極に順に積層、(3)陽極/正孔注入層/
発光層/陰極に順に積層あるいは(4)陽極/発光層/
陰極をこの順序で積層したものが包含される。なお、こ
れらの有機電界発光素子は、支持基板上に形成すること
が好ましい。
【0017】本発明の有機電界発光素子において使用で
きる基板は、透明性を有するものが好ましく、一般にガ
ラス、透明プラスチック、石英等が充当される。また、
電極(陽極、陰極)としては、金、アルミニウム、イン
ジウムなどの金属、合金、混合物あるいはインジウムチ
ンオキサイド(酸化インジウムと酸化錫の混合酸化物;
ITO)、SnO2、ZnO等の透明材料を用いること
が好ましい。なお陽極には、仕事関数の大きい金属また
は電気伝導性化合物が好適であり、また陰極には、仕事
関数の小さい金属または電気伝導性化合物が好適であ
る。これらの電極は、少なくとも一方が透明あるいは半
透明であることが好ましい。
【0018】本発明の有機電界発光素子では、正孔注入
層や電子注入層はなくてもよいが、両層を有するものが
更に好ましく、発光性能が一段と向上する。ここで、正
孔注入層は、ホール輸送材料よりなり、陽極より注入さ
れた正孔を、発光層に伝達する機能を持つ。この層を電
界発光素子の陽極と発光層間に挟むことにより低電圧で
より多くの正孔が発光層に注入され、素子の輝度は向上
する。ここで用いられる正孔注入層のホール輸送材料
は、電場を与えられた二個の電極間に配置されて陽極か
らの正孔の注入を容易にすると共に、正孔を適切に発光
層へ伝達することができる化合物である。正孔注入層を
陽極と発光層との間に挟むことにより、より低い電界で
多くの正孔が発光層に注入される。さらに、陰極や電子
注入層から発光層に注入された電子は、発光層と正孔注
入層の界面に存在する電子の障壁により、この発光層内
の界面付近に蓄積され発光効率が向上する。ホール輸送
層材料としては、これまでホール輸送層材料として従来
公知の材料をすべて利用することができるが、好ましく
は、少なくとも2つの芳香族3級アミンを含み、好まし
くは、芳香族3級アミンがモノアリールアミン、ジアリ
ールアミン、トリアリールアミンである。代表的な有用
な芳香族3級アミンとして、USP4,175,96
0、USP4,539,507、特開昭63−2646
92号公報によって開示されている化合物を利用するこ
とができる。また、USP4,720,432号明細書
に開示されているポルフィリン誘導体(フタロシアニン
類)も有用な化合物である。有用なホール輸送層材料の
具体例を以下に示す。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】これらのホール輸送材料から正孔注入層を
形成するが、この正孔注入層は一層からなってもよく、
あるいは上記一層と別種の化合物を用いた正孔注入輸送
層を積層してもよい。
【0025】一方、電子注入層は電子を伝達する化合物
よりなる。電子輸送層材料としては、これまで電子輸送
層材料として使用されてきた従来公知の材料をすべて利
用することができる。一つの好ましい電子輸送材料は、
電子輸送能の発現ユニットであるオキサジアゾール環を
少なくとも一つ以上含む化合物である。代表的な有用な
オキサジアゾール化合物は、Appl.Phys.Le
tt.55,1489(1989)および日本化学会誌
1540(1991)に開示されている。さらに、本発
明の電界発光素子の電子輸送層に使用するために好まし
い電子輸送層材料としては、1,4−ジフェルブタジエ
ンおよびテトラフェニルブタジエンのようなブタジエン
誘導体、クマリン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導
体、ビススチリルアントラセン誘導体、ベンズオキサゾ
ール誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘
導体、チアジアゾール誘導体、ナフタルイミド誘導体、
ペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体キナクリドン
誘導体等を挙げることができる。その具体的化合物を以
下に示す。
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】本発明における有機電界発光素子の陽極と
しては、4eV、好ましくは4.8eVより大きな仕事
関数を持つ金属、合金、酸化金属等が利用される。この
ような電極材料の具体例としては、金、白金、パラジウ
ム、銀、タングステン、ニッケル、コバルト、ITO、
CuI、SnO2、ZnO等の透明電極の利用が挙げら
れる。特に好ましくはITO基板が好適である。ITO
基板の場合、表面の平滑なものが好ましく、また表面の
汚れを良く洗浄して使用する。洗浄法としては既知の方
法でよいがオゾン雰囲気下での紫外線照射や酸素雰囲気
下でのプラズマ処理を行ったものが好適である。
【0033】一方、陰極としては、仕事関数の4eVよ
り小さい金属、合金等が利用される。このような物質の
具体例としては、ナトリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、リチウム、アルミニウム、サマリウム及びこれらの
合金等が利用できる。有機電界発光素子を面発光素子と
して使用する場合は、これらの電極は少なくとも一方が
素子の発光波長領域において十分透明であり、その反対
側は発光波長領域において十分反射率が大きいことが望
まれる。端面発光の場合には透明である必要は無い。透
明電極としては先に述べたITOが好ましく、その基板
も透明なガラス板やプラスチック板が使用される。
【0034】前述した(1)陽極/発光層/電子注入層
/陰極の構成の有機電界発光素子を作成するには、例え
ば次の如き手順にしたがえばよい。即ち、まず、基板上
に電極を蒸着もしくはスパッタ法にて製膜する。この
際、膜状の電極の膜厚は、一般に10nm〜1μm、特
に200nm以下が、発光の透過率を高める上で好まし
い。次に、この電極の上に発光材料を薄膜状に形成して
発光層とする。この際の薄膜化方法は、スピンコート、
キャスト、蒸着法等があるが、均一な膜が得やすいこ
と、及びピンホールが生成しないことから、とりわけ真
空蒸着法が好ましい。薄膜化に際して蒸着法を採用する
場合、その蒸着の条件は、例えばボート加熱温度50〜
400℃、真空度10-5〜10-3Pa、蒸着速度0.0
1〜50nm/秒、基板温度−50〜+300℃の範囲
で膜厚5nm〜5μmとなるように選定すればよい。な
お、上述した条件は、化合物の種類及び分子堆積膜の目
的とする結晶構造、会合構造等により異なり、一義的に
定めることはできないが、ボートの加熱温度を化合物が
分解しない温度にとどめることが好ましい。この発光層
の形成後、電子注入材料を例えば真空蒸着法により、上
記発光層の上に積層薄膜化する。この際の蒸着条件は、
前記発光層の形成の際の条件と同様である。その後、対
向電極を蒸着法やスパッタ法にて膜厚50〜200nm
で形成すれば、目的の有機電界発光素子が作成される。
【0035】また、(2)陽極/正孔注入層/発光層/
電子注入層/陰極の構成の電界発光素子を作成するに
は、まず電極、正孔注入輸送層、発光層を上記(1)の
有機電界発光素子と同様に形成し、その後、電子注入材
料(電子伝達化合物)を蒸着法にて薄膜化することによ
り、発光層上に電子注入輸送層を形成し、最後に上記
(1)の有機電界発光素子を作成する場合と同様に、対
向電極を形成すれば、目的とする上記(2)の構成の有
機電界発光素子が作成される。ここで、正孔注入層/発
光層/電子注入層の順序を、電子注入層/発光層/正孔
注入層に変えて、電極/電子注入層/発光層/正孔注入
層/電極の順に作製してもよい。
【0036】さらに、(3)陽極/正孔注入層/発光層
/陰極の構成の有機電界発光素子を作成するには、前述
の(2)の構成の有機電界発光素子を作成する際に、電
子注入層の形成を省略すればよい。
【0037】(4)陽極/発光層/陰極の構成の有機電
界発光素子を作成するには、前述の(2)の構成の有機
電界発光素子を作成する際に、正孔注入層及び電子注入
層の形成を省略すればよい。また、一対の電極間に正孔
注入層、発光層、電子注入層を混合させた形で挟持させ
た陽極/発光層/陰極からなる素子の場合の作製方法と
しては、例えば適当な基板の上に、陽極用物質からなる
薄膜を形成し、正孔注入材料、発光材料、電子注入材
料、ポリビニルカルバゾール等の結着剤等からなる溶液
を塗布するか、又はこの溶液から浸漬塗工法により薄膜
を形成させ発光層とし、その上に陰極用物質からなる薄
膜を形成させるものがある。ここで、作製した発光層上
に、さらに発光層の材料となる素子材料を真空蒸着し、
その上に陰極用物質からなる薄膜を形成させてもよい。
【0038】得られた有機電界発光素子の環境の温湿
度、雰囲気に対する安定性向上のために素子の表面に保
護層を設けたり、シリコンオイル等を封入して素子全体
を保護することが有効である。このようにして得られた
本発明の有機電界発光素子に陽極にプラスを陰極にマイ
ナスを接続し、電圧を印加するとEL発光が観測でき
る。
【0039】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら
限定されるものではない。
【0040】実施例1 酸化スズ−インジウム(ITO)陽極を有するガラス基
板上に前記HTL−1で示されるトリフェニルアミン誘
導体よりなる厚さ40nmのホール輸送層、2−メチル
−8−ヒドロキシキノリンおよびステアリン酸を配位子
とした亜鉛キレートよりなる厚さ15nmの発光層、前
記ETL−1で示されるオキサジアゾール化合物よりな
る厚さ20nmの電子輸送層、前記ETL−6に示され
るトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以
下、Alq3)よりなる厚さ25nmの電子注入層、原
子比10:1のMgAg合金よりなる厚さ200nmの
陰極を順次真空蒸着により積層して電界発光素子を作製
した。蒸着時の真空度は約0.7×10-6torrであ
り、基板温度は室温である。このようにして作製した素
子の陽極および陰極にリード線を介して直流電源を接続
し電圧を印加したところ、発光波長が499nmの青緑
色の明瞭な発光が確認され、非常に明るい素子であっ
た。
【0041】実施例2 発光層として、2−メチル−8−ヒドロキシキノリンお
よびステアリン酸を配位子とした亜鉛キレートの代わり
に8−ヒドロキシキノリンおよびカプリン酸を配位子と
した亜鉛キレートを用いた以外は、実施例1と同様にし
て電界発光素子を作製した。このようにして作製した素
子の陽極および陰極にリード線を介して直流電源を接続
し電圧を印加したところ、青緑色の明瞭な発光が確認さ
れ、非常に明るい素子であった。
【0042】実施例3 電子輸送層、電子注入層を設けなかった以外は実施例1
と同様にして電界発光素子を作製した。このようにして
作製した素子の陽極および陰極にリード線を介して直流
電源を接続し電圧を印加したところ、青緑色の明瞭な発
光が確認され、非常に明るい素子であった。
【0043】実施例4 ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層を設けなかった
以外は実施例1と同様にして電界発光素子を作製した。
このようにして作製した素子の陽極および陰極にリード
線を介して直流電源を接続し電圧を印加したところ、青
緑色の明瞭な発光が確認され、非常に明るい素子であっ
た。
【0044】比較例1 実施例1において、発光層として2−メチル−8−ヒド
ロキシキノリンおよびステアリン酸を配位子とした亜鉛
キレートに代えて、前記したJpn.J.Appl.P
hys.Vol.32(1993)L511において青
色発光の発光材料として示されている下記式(I)に示
すアゾメチン亜鉛錯体を使用した他は、実施例1と同様
にして電界発光素子を作成した。
【化12】
【0045】次いで、本比較例で作成した電界発光素子
と、実施例1で作成した電界発光素子との各々に、電圧
を印加し、両者の発光色と発光程度とを肉眼で比較し
た。その結果、実施例1で作成した電界発光素子の発光
色が青緑色であるのに対し、本比較例で作成した電界発
光素子の発光色は青色であった。また、発光色の輝度に
ついても、実施例1で作製した電界発光素子が、本比較
例で作製した電界発光素子よりも明らかに高輝度であっ
た。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、従来の電界発光素子用
の発光材料として用いられていた有機化合物とは異なる
発光色を呈するために、電界発光素子の多色化に寄与す
る。本発明の電界発光素子は、OA機器のディスプレイ
等に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河村 慎一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 岡田 崇 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 匂坂 俊也 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 3K007 AB03 DB03 4H048 AA01 AA03 AB91 VA20 VB10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 置換基を有していてもよい8−ヒドロキ
    シキノリンからなる配位子と置換基を有していてもよい
    炭素数6以上の脂肪酸からなる配位子を有することを特
    徴とする亜鉛キレート。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の亜鉛キレートを含有す
    ることを特徴とする発光組成物。
  3. 【請求項3】 陽極と陰極との間に発光層を有する有機
    電界発光素子において、該発光層が請求項2に記載の発
    光組成物を含有することを特徴とする有機電界発光素
    子。
  4. 【請求項4】 陽極と陰極との間に発光層と電子注入層
    を有し、該発光層は該陽極に隣接して配置され、該電子
    注入層は該陰極に隣接して配置されている有機電界発光
    素子において、該発光層が請求項2に記載の発光組成物
    を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
  5. 【請求項5】 陽極と陰極との間に正孔注入層と発光層
    と電子注入層を有し、該正孔注入層は該陽極に隣接して
    配置され、該電子注入層は該陰極に隣接して配置されて
    いる有機電界発光素子において、該発光層が請求項2に
    記載の発光組成物を含有することを特徴とする有機電界
    発光素子。
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