JP2003340240A - 脱臭装置 - Google Patents

脱臭装置

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JP2003340240A
JP2003340240A JP2003099064A JP2003099064A JP2003340240A JP 2003340240 A JP2003340240 A JP 2003340240A JP 2003099064 A JP2003099064 A JP 2003099064A JP 2003099064 A JP2003099064 A JP 2003099064A JP 2003340240 A JP2003340240 A JP 2003340240A
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修三 徳満
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忠視 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の脱臭装置は、酸化触媒の温度上昇が遅
く、分解温度に達するまでに時間が長くかかるものであ
り、また発明者らが提案しているものは、排ガスが流入
した時の圧力損失が増加する等の課題を有している。 【解決手段】 金属パイプ6の径の10倍以下の帯幅を
有する帯状の金属薄板を前記金属パイプに対して直角方
向に螺旋状に巻回して形成したフィン7に触媒を担持さ
せて、フィン7の中心部と周辺部との温度差を少なくし
て、触媒の能力を効果的に発揮させる脱臭装置としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、厨芥処理器等から
発生する臭気成分や油煙などを浄化する脱臭装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来厨芥処理器に使用している脱臭装置
は、セラミック担体を用いたハニカム状の酸化触媒を使
用している。つまり、厨芥処理機の排ガス経路中にこの
酸化触媒を配置し、外部から加熱する構成としているも
のである。こうして排ガス中の臭気成分を酸化分解して
いるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成の脱臭
装置は、酸化触媒の温度上昇が遅く、分解温度に達する
までに時間が長くかかるという課題を有している。これ
は、ハニカム状の酸化触媒にセラミック担体を用いる構
成としているため、熱容量が大きく、また熱伝導率が低
くなっているためである。
【0004】この課題を解決するために、発明者らは触
媒を金属薄膜に担持させた構成のものを特願平7−32
2693号として提案しているものである。この構成と
することによって、セラミック担体のもつ温度上昇速度
が遅いという課題は解消できるものであるが、代わっ
て、排ガスが流入した時の圧力損失が増加する、排ガス
とフィンとの接触効率が悪い、フィンの内側と外側で温
度差がつく、また排ガスの流入時にはフィンと排ガスと
の熱交換によって吸気口部でフィンの温度が低下すると
いう現象が生じ、触媒の効果を十分に発揮できないとい
う課題が生じている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような新
たな課題を解決しようとするもので、触媒担体であるフ
ィンの形状を工夫して、触媒の能力を効果的に発揮させ
る脱臭装置としているものである。
【0006】
【発明の実施の形態】請求項1に記載した発明は、金属
パイプの径の10倍以下の帯幅を有する帯状の金属薄板
を前記金属パイプに対して直角方向に螺旋状に巻回して
形成したフィンに触媒を担持させて、フィンの中心部と
周辺部との温度差を少なくして、触媒の能力を効果的に
発揮させる脱臭装置としている。
【0007】請求項2に記載した発明は、帯状の金属薄
板の巻きピッチを帯幅に対して1/2〜2倍として、排
ガスが流通する通気抵抗と、触媒の処理速度とのバラン
スがとれた脱臭装置としている。
【0008】請求項3に記載した発明は、帯状の金属薄
板の巻数を5〜20回として、排ガスが流通する通気抵
抗と、触媒の処理速度とのバランスがとれた脱臭装置と
している。
【0009】請求項4に記載した発明は、フィンに複数
個の放射状のヒダを設けて、金属パイプとフィンとの間
の隙間を小さくして、隙間からリークする排ガス量を減
少させて、効率の高い脱臭処理ができる脱臭装置として
いる。
【0010】請求項5に記載した発明は、ヒダの高低差
を1ピッチ分の1/10〜1/2として、フィンの表面
に沿って流れる排ガスが触媒と効率的に接触して、触媒
の能力を効果的に発揮できる脱臭装置としている。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例である脱臭装置につい
て説明する。図1は、本実施例の脱臭装置の構成を示す
断面図である。本実施例の脱臭装置は、脱臭ヒータ4
と、脱臭ヒータ4の周囲に設けている断熱材5によって
構成している。
【0012】脱臭ヒータ4は、管状ヒータ8を装着した
金属パイプ6と、金属パイプ6の周囲に螺旋状に金属薄
板を巻き回して形成したフィン7と、フィン7に担持さ
せた触媒とから成っている。この脱臭ヒータ4の表面に
は、つまり、フィン7の表面にはパイプ状の金属薄板9
を設けており、触媒と排ガスとの接触を良くしている。
また、金属薄板9の外周には更に、下部に厨芥処理機の
排ガスが流入する吸気口1を、上部に処理後の排ガスが
流出する排気口2を有しているパイプ状のケース10
(以下単にケース10と称する)を設けている。このケ
ース10の表面には、前記断熱材5を配置して、脱臭ヒ
ータ4が外気による影響を受け難くしているものであ
る。
【0013】前記脱臭ヒータ4は、図2・図3に示すよ
うに、中空の金属パイプ6に両端部7a・7bを固定し
たフィン7を備えた構成となっているものである。この
ときフィン7は、図3に示しているように放射状の凹凸
を有する複数のヒダ7cを有している。また金属パイプ
6は、本実施例では22Cr−2Mo系耐熱鋼(住友金
属製NAR−FC−4)を、板厚0.4mm、内径8.
5mmのものとして使用している。またフィン7を構成
する金属薄板は、22Cr−2Mo系耐熱鋼(住友金属
製NAR−FC−4)を板厚が0.1mm、帯幅15m
mのものとして使用している。つまり、金属パイプ6と
フィン7とは同一材料を使用しているものである。
【0014】なお金属パイプ6・フィン7には、Ni−
Cr系耐熱鋼・インコロイ800相当品・インコネル6
00相当品・SUS309・SUS310等のオーステ
ナイト系耐熱ステンレス鋼も適している。いずれの材料
も加工性の観点から、焼鈍などの方法で軟質化処理を施
す必要がある。
【0015】以下本実施例の脱臭ヒータ4の製造法につ
いて説明する。まずパイプ6にフィン7を取り付ける。
この取り付けは、巻きはじめ部7aを溶接等によって金
属パイプ6に固定し、帯幅15mmの金属薄板をピッチ
10mmで金属パイプ6の周囲に螺旋状に巻回して、巻
きおわり部7bを溶接等によって金属パイプ6に固定し
て制作するものである。こうして巻きはじめ部7aを固
定した金属薄板を、金属パイプ6を中心にして金属パイ
プに直角方向に当て、図3に示している放射状とした複
数のヒダ7cを形成しながら螺旋状に巻回していくもの
である。
【0016】またこのとき、金属薄板の巻きはじめ部7
aは、管状ヒータ8の取り付け位置の端部から内側に入
った位置としている。こうして、この巻きはじめ部7a
を図1に示す吸気口1側に配置しているものである。こ
の場合、必ずしも巻きはじめ部7aを管状ヒータ8の挿
入位置に対して内側とする必要はなく、巻き終わり部7
bを管状ヒータ8の挿入位置に対して内側とし、この巻
き終わり部7bを吸気口1側に配置しても支障はないも
のである。
【0017】こうして制作した金属パイプ6とフィン7
の組立品を、950℃〜1100℃に設定した雰囲気炉
(都市ガスの燃焼ガス雰囲気)に15分放置して、フィ
ン7の表面に酸化皮膜を形成する。酸化皮膜の形成が終
了した段階でこの組立品を自然冷却し、酸化皮膜を触媒
担体として使用するものである。
【0018】また使用する触媒は、γアルミナ(アルミ
ナゾル)と20μm前後のαアルミナ粒子とを、固形分
として1〜3:9〜7の割合で混合したものをウォッシ
ュコートとして使用し、さらに白金硝酸塩(田中貴金属
工業製 PT−Pソルト)を塗布、乾燥したものを使用
している。つまり、前記ウォッシュコートを30μm前
後の膜厚になるように塗布し、乾燥後、500℃〜60
0℃で15分〜30分焼成し焼き付けた上から、白金硝
酸塩を白金の担持量が1g/リットルの割合になるように調
整して塗布し、乾燥後、500〜600℃で5分〜15
分焼成するものである。
【0019】なおこの場合、本実施例ではフィン7の表
面に酸化皮膜を形成し、この酸化皮膜を触媒下地層とし
て使用しているが、特に酸化皮膜を形成する必要がある
ということではなく、担持した触媒が剥離したりするこ
とがないものであれば、フィン7の表面に直接触媒を担
持させてもよいものである。
【0020】こうして触媒を担持させた金属パイプ6と
フィン7の組立品に、管状ヒータ8を挿入して、脱臭ヒ
ータ4が完成する。本実施例では管状ヒータ8として、
100V−200W、全長235mm、発熱長150m
m、パイプ径φ8.0mmのシーズヒータを使用してい
る。管状ヒータ8は、ヒータパイプ8eと、ヒータパイ
プ8e内に設けた端子棒8fと、端子棒8fに接続した
電熱線8gと、ヒータパイプ8e内に充填した絶縁粉末
であるマグネシア8hと、端部を封止するガラス封口材
8a・8bと、この外側に設けた絶縁碍子8c・8dに
よって形成している。なお管状ヒータ8としては、ミラ
クロンヒータ・コルツヒータ・石英管ヒータ・ハロゲン
ヒータ等を使用することができる。
【0021】以下本実施例の動作について説明する。管
状ヒータ8に通電すると、この発熱がフィン7に速やか
に伝達され、フィン7に担持された触媒は活性化され
る。吸気口1から流入した排ガスは、排出口2に接続し
た図示していない吸引ファンによってフィン7が形成し
ている螺旋状の流路に沿って上昇し、排気口2から排出
される。この間に、フィン7の表面に担持された触媒が
排ガスを浄化し、排気口2から排気されるときには清浄
なガスとなっているものである。
【0022】このとき本実施例によれば、フィン7の外
周に設けているパイプ状の金属薄板9と、この金属薄板
9の外側に設けた断熱材5とが、排ガスの排出経路を強
固に構成しているものである。このため排ガスは、フィ
ン7が構成する螺旋状の排出経路に従って螺旋状に上昇
する。このとき、排ガスはフィン7の表面に設けている
触媒と効率的に接触し、浄化されるものである。このよ
うにして本実施例は、浄化能力の高い脱臭装置を実現で
きるものである。
【0023】なお本実施例では、金属パイプ6にフィン
7を取り付けた構成として説明を加えているが、フィン
7は管状ヒータ8に直接取り付けた構成としても支障は
ないものである。
【0024】またこのとき本実施例では、フィン7を形
成している金属薄板の帯幅を15mmとし、金属パイプ
6の直径8mmの2倍弱に抑えているものである。つま
り、フィン7からの放熱を抑え、またフィン7自体の熱
容量も抑えているもので、管状ヒータ8の発熱によるフ
ィン7の温度分布が均一となるようにしているものであ
る。すなわち、管状ヒータ8に近いフィン7の中心部
と、管状ヒータ8から離れたフィン7の外周部との温度
差が小さくなっているものである。このため、全体とし
て触媒の加熱に必要な管状ヒータ8の発熱量を小さくす
ることができ、効率的な脱臭装置を実現するものであ
る。
【0025】またこのとき本実施例では、フィン7を金
属パイプ6に巻き付けるときの巻きピッチをフィン7の
帯幅15mmの3分の2である10mmに設定してい
る。発明者らの実験によれば、この巻きピッチはフィン
7の帯幅に対して1/2〜2倍程度が適当である。つま
り、この巻きピッチを適切に設定することによって、排
ガスの流れに対する通気抵抗を小さくでき、排ガスの流
路を確保することができるものである。すなわち、圧力
損失を小さくできて、排ガスの通気に使用するポンプ等
が小型のもので済む、あるいはポンプの使用電力を小さ
くすることができ、効率的な脱臭装置を実現するもので
ある。前記巻きピッチの設定は、金属パイプ6に巻き回
したフィン7の巻数ででも評価でき、フィン7の帯幅に
対して1/2〜2倍の設定は、巻数に換算した場合には
5〜20回となるものである。
【0026】また本実施例ではフィン7の長さを120
mmとしており、吸気口1から20mm離れた位置から
触媒を担持させた構成としている。発明者らの実験によ
れば、触媒は吸気口から1ピッチ分以上離れたフィンに
担持させる構成とすることが適切である。すなわち、吸
気口1から導入された排ガスは、吸気口1付近では温度
が低く、触媒によるよる浄化が期待できないものであ
る。従って本実施例では、この部分には触媒を担持させ
ないで、フィン7を排ガスの温度を上昇させるための熱
交換を行わせることに専念させているものである。こう
して、この部分によって温度上昇された排ガスが、フィ
ン7に担持された触媒によって効果的に浄化されるもの
である。
【0027】また前記効率的な排ガスの浄化は、フィン
7を金属パイプ6に巻き付けるときの巻きピッチの設定
に粗密を設けることによっても得ることができる。すな
わち、吸気口1付近を粗に、吸気口から離れた部分、つ
まり排気口2付近を密にするものである。
【0028】また本実施例では、フィン7に放射状のヒ
ダ7cを1ピッチあたり10個程度形成しながら金属パ
イプ6に巻回す構成としている。これによってフィン7
の内側の金属薄板と金属パイプ6との界面における隙間
を小さくすることができ、吸気口1から流入した排ガス
がこの隙間から漏れる漏れ量を小さく抑えることが可能
となる。このためガスとフィン上の触媒との接触を確実
なものとする事ができ、浄化能力の大きい脱臭装置を実
現するものである。
【0029】またこのとき本実施例では、ヒダ7cの凹
凸の高低差を3mm程度に設定している。発明者らの実
験によればこの高低差は、1ピッチ分の1/10〜1/
2の設定とすることが適切である。つまり、この範囲の
高低差を有するヒダ7cとして、排ガスの流れが乱流と
なって、排ガスとフィン7に担持させた触媒との接触が
良くなって、浄化能力の大きい脱臭装置を実現するもの
である。
【0030】以下、前記各効果を確認する実験の結果に
ついて報告する。
【0031】(実験例1)本実施例の脱臭装置は、台所
で発生する厨芥類を処理する厨芥処理機に使用するもの
である。厨芥処理機を作動すると、厨芥類が熱によって
分解し、いろいろな成分のガスを発生するものである。
よって、ここではたまねぎなどの野菜が分解して発生す
る硫化メチルを代表物質として、硫化メチルの残存率を
測定するものとした。
【0032】実験には、管状ヒータ8として容量100
V−200Wのシーズヒータを用いている。またフィン
7は、前記実施例で示したものを用いた。フィン7上に
担持させている触媒の担持量は、白金として1g/リットル
としている。実験に使用した硫化メチルガスは、濃度1
00ppmで、流量8l/minに設定している。こう
して、管状ヒータ8を収容している金属パイプ6の表面
温度を変化させたときの硫化メチルの残存率を求めた。
【0033】実験の結果、前記表面温度を350℃に制
御し、定常状態に達したときの硫化メチルの残存率は
0.1%以下であった。またセラミックハニカム触媒を
使用した比較例のものは、同一条件とするために触媒体
積を同等としSVを合わせて測定した結果、2.1%の
残存率であった。
【0034】また、表面温度を600℃に制御したとき
には、本実施例の脱臭装置は約5分で各部温度は定常に
なったが、セラミックハニカム触媒のものは、定常状態
になるまでに約10分の時間を要した。
【0035】このように本実施例の脱臭装置を使用すれ
ば、従来のセラミックハニカム触媒に比べ、極めて効率
的に効果を発揮できるものである。
【0036】(実験例2)次に、フィン7の帯幅を変え
た時の結果を報告する。ここではフィン7の幅を10m
m、20mm、30mmの3種類に設定し、ガス流入量
を8l/minとし、管状ヒータ8を収容している金属
パイプ6の表面温度を変化させたときの、吸気口1直後
のフィン7の周辺端部の温度を測定しているものであ
る。なお金属パイプ6の径は、2.5mmのものを使用
している。この測定結果を図4に示している。この結
果、帯幅が大きくなるにつれてフィン7の周辺部の温度
は低くなる。特に、帯幅30mmのものは、金属パイプ
6の表面温度を500℃としても、フィン7の吸気口1
周辺の外周部の温度は200℃以下であり触媒活性に必
要な温度を得られないものであり、結論として、フィン
7の帯幅は使用する金属パイプ6の径の10倍以下であ
ることが適切である。
【0037】(実験例3)次に、フィン7のピッチを変
えて、吸気口1側と排気口2側の間の差圧を測定した結
果について報告する。この実験では、フィン7の帯幅を
10mm、フィン7のピッチは3mm、5mm、20m
mの3種類としている。またここでも、触媒体積等の実
験条件は実験例1と同等としている。この測定結果を図
5に示している。ここでの差圧は、圧力損失つまり通気
抵抗と見なすことができ、差圧が小さい方がポンプ等の
能力が小さくて済むものである。
【0038】図5から判るように、ピッチが小さくなる
につれて圧力損失が増加するものである。ピッチ3mm
のものは、処理量8l/minで圧力損失が50mmH
2O以上となっている。これは例えば家庭用の厨芥処理
装置として用いるには大きすぎる値であり、小型の吸引
ポンプ等の能力が追いつかないものである。
【0039】従って結論として、フィン7の巻きピッチ
は帯幅に対して1/2〜2倍が適切な範囲である。
【0040】(実験例4)次に、触媒の担持範囲を変え
た場合の硫化メチルの転化率の変化を調べた結果につい
て、図6に基づいて報告する。図6中のaは、吸気口1
から1ピッチ分、この実験では吸気口1から10mm分
だけ触媒を担持させていない構成のものである。またb
は、0.5ピッチ分、吸気口1から5mm分だけ触媒を
担持させていないもの、cは全面に触媒を担持させてい
る構成のものである。この実験に使用している硫化メチ
ルの濃度は100ppmであり、流量は8l/minで
ある。
【0041】図6から分かるように、硫化メチルの転化
率についてはa・b・cのものについてほとんど変わら
ないものである。つまり、フィン7の吸気口1側の1ピ
ッチ相当分については、触媒による浄化作用を果たして
いないものである。従ってこの部分には触媒を塗布せず
に、フィン7の熱を排ガスに対して熱交換して排ガスの
温度を高めることに専念させる方が効率的である。また
触媒の使用量を節約することもできるものである。
【0042】(実験例5)次にフィン7の巻きピッチに
粗密の変化を設けた場合の、硫化メチルの転化率を調べ
た。図7は、この実験に用いた脱臭装置のピッチ間隔を
イメージで表現したものである。つまり、bとして示し
ているものは本実施例のものであり、吸気口1付近での
ピッチを20mmとし、排気口2に向かうにつれてピッ
チの間隔密度を増加させて排気口2直前でのピッチは5
mmとしているものである。またaに示しているもの
は、比較のために使用しているものでピッチは10mm
一定としている。この実験の結果は、前記図6のaとc
に示しているものと全く同様である。つまりピッチに粗
密を設けたものはaであり、ピッチを一定としたものは
cである。
【0043】つまり両者の間にはほとんど差が生じてい
ないものであり、従って結論として、ピッチに粗密の差
を設けた構成を採用する方が材料の使用料を減少でき有
利であると言える。すなわち、粗密の差を設けた構成と
したものはフィン7の全巻数が11回であり、ピッチを
一定としたものの全巻数は12回となるものである。ま
た従って使用する触媒の量も、粗密の差を設けた構成の
ものの方が節約できるものである。
【0044】(実験例6)次にフィン7に設けているヒ
ダ7cの数を変えた場合の硫化メチルの残存率について
実験している。ヒダ7cの数を8とした場合には、金属
パイプ6の表面温度を350℃とした場合には、1.0
%であり、ヒダ7cの数を13とした場合には0.1%
以下であった。このように、放射状のヒダ7cを形成す
ることによって、フィン7と金属パイプ6との間の隙間
を小さく抑えることができ、この結果フィン7と金属パ
イプ6間の隙間のガス漏れを防止でき、触媒の能力を効
果的に発揮できるものである。
【0045】(実験例7)次に、ヒダ7cに付けている
高低差を変化させた場合の硫化メチルの残存濃度の変化
を調べる実験結果について報告する。実験に使用してい
るサンプルのヒダ7cの高低差は約0.5mmのもの、
1.0mm、3.0mm、5.0mm、7.0mmのも
のに設定している。これをフィン7のピッチに対する比
としてみると、それぞれ1ピッチ分の1/20、1/1
0、3/10、1/2、7/10に相当している。この
それぞれについて、触媒体積・触媒量・ガス流量等の条
件を実験例1と同様に設定して、硫化メチルの残存濃度
を測定しているものである。
【0046】この結果、0.5mmのものは1.0%、
1.0mmのものは0.5%、3.0mmのものは0.
3%、5.0mmのものは0.5%、7.0mmのもの
は2.0%であった。つまりヒダ7cの高低差は、1ピ
ッチ分の1/10〜1/2が適当である。
【0047】このように、ヒダ7cに適切な高低差をも
たせることによって、排ガスが乱流状態となって、フィ
ン7上の触媒との接触度合いが増加して、触媒の能力を
効果的に発揮するものである。
【0048】
【発明の効果】以上のように請求項1〜5に記載の発明
によれば、フィンの中心部と周辺部との温度差を少なく
して、触媒の能力を効果的に発揮させる脱臭装置を実現
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である脱臭装置を示す断面図
【図2】同、フィンの構成を説明する断面図
【図3】同、図2のB−B’断面で示したフィンの構成
を説明する平面図
【図4】同、フィンの周辺部の温度を測定した結果を示
す特性図
【図5】同、フィンのピッチを変えた場合に吸気口と排
気口との間の差圧を示す特性図
【図6】同、脱臭装置の硫化メチルの除去能力を示す特
性図
【図7】(a)同、フィンのピッチを等間隔とした場合
のイメージを示す説明図 (b)同、フィンのピッチに粗密を設けた場合のイメー
ジを示す説明図
【符号の説明】
1 吸気口 2 排気口 3 パイプ状のケース 4 脱臭ヒータ 5 断熱材 6 金属パイプ 7 フィン 8 管状ヒータ 9 パイプ状の金属薄板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成15年4月18日(2003.4.1
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 脱臭装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、厨芥処理器等から
発生する臭気成分や油煙などを浄化する脱臭装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来厨芥処理器に使用している脱臭装置
は、セラミック担体を用いたハニカム状の酸化触媒を使
用している。つまり、厨芥処理機の排ガス経路中にこの
酸化触媒を配置し、外部から加熱する構成としているも
のである。こうして排ガス中の臭気成分を酸化分解して
いるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成の脱臭
装置は、酸化触媒の温度上昇が遅く、分解温度に達する
までに時間が長くかかるという課題を有している。これ
は、ハニカム状の酸化触媒にセラミック担体を用いる構
成としているため、熱容量が大きく、また熱伝導率が低
くなっているためである。
【0004】この課題を解決するために、発明者らは触
媒を金属薄膜に担持させた構成のものを特願平7−32
2693号として提案しているものである。この構成と
することによって、セラミック担体のもつ温度上昇速度
が遅いという課題は解消できるものであるが、代わっ
て、排ガスが流入した時の圧力損失が増加する、排ガス
とフィンとの接触効率が悪い、フィンの内側と外側で温
度差がつく、また排ガスの流入時にはフィンと排ガスと
の熱交換によって吸気口部でフィンの温度が低下すると
いう現象が生じ、触媒の効果を十分に発揮できないとい
う課題が生じている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような新
たな課題を解決しようとするもので、触媒担体であるフ
ィンの形状を工夫して、触媒の能力を効果的に発揮させ
る脱臭装置としているものである。
【0006】
【発明の実施の形態】請求項1に記載した発明は、金属
パイプの径の10倍以下の帯幅を有する帯状の金属薄板
を前記金属パイプに対して直角方向に螺旋状に巻回して
形成したフィンに触媒を担持させ、螺旋状に巻回したフ
ィンの両端のみを前記金属パイプに固定して形成し、フ
ィンの中心部と周辺部との温度差を少なくして、触媒の
能力を効果的に発揮させる脱臭装置としている。
【0007】請求項2に記載した発明は、帯状の金属薄
板の巻きピッチを帯幅に対して1/2〜2倍として、排
ガスが流通する通気抵抗と、触媒の処理速度とのバラン
スがとれた脱臭装置としている。
【0008】請求項3に記載した発明は、帯状の金属薄
板の巻数を5〜20回として、排ガスが流通する通気抵
抗と、触媒の処理速度とのバランスがとれた脱臭装置と
している。
【0009】請求項4に記載した発明は、フィンに複数
個の放射状のヒダを設けて、金属パイプとフィンとの間
の隙間を小さくして、隙間からリークする排ガス量を減
少させて、効率の高い脱臭処理ができる脱臭装置として
いる。
【0010】請求項5に記載した発明は、ヒダの高低差
を1ピッチ分の1/10〜1/2として、フィンの表面
に沿って流れる排ガスが触媒と効率的に接触して、触媒
の能力を効果的に発揮できる脱臭装置としている。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例である脱臭装置につい
て説明する。図1は、本実施例の脱臭装置の構成を示す
断面図である。本実施例の脱臭装置は、脱臭ヒータ4
と、脱臭ヒータ4の周囲に設けている断熱材5によって
構成している。
【0012】脱臭ヒータ4は、管状ヒータ8を装着した
金属パイプ6と、金属パイプ6の周囲に螺旋状に金属薄
板を巻き回して形成したフィン7と、フィン7に担持さ
せた触媒とから成っている。この脱臭ヒータ4の表面に
は、つまり、フィン7の表面にはパイプ状の金属薄板9
を設けており、触媒と排ガスとの接触を良くしている。
また、金属薄板9の外周には更に、下部に厨芥処理機の
排ガスが流入する吸気口1を、上部に処理後の排ガスが
流出する排気口2を有しているパイプ状のケース10
(以下単にケース10と称する)を設けている。このケ
ース10の表面には、前記断熱材5を配置して、脱臭ヒ
ータ4が外気による影響を受け難くしているものであ
る。
【0013】前記脱臭ヒータ4は、図2・図3に示すよ
うに、中空の金属パイプ6に両端部7a・7bを固定し
たフィン7を備えた構成となっているものである。この
ときフィン7は、図3に示しているように放射状の凹凸
を有する複数のヒダ7cを有している。また金属パイプ
6は、本実施例では22Cr−2Mo系耐熱鋼(住友金
属製NAR−FC−4)を、板厚0.4mm、内径8.
5mmのものとして使用している。またフィン7を構成
する金属薄板は、22Cr−2Mo系耐熱鋼(住友金属
製NAR−FC−4)を板厚が0.1mm、帯幅15m
mのものとして使用している。つまり、金属パイプ6と
フィン7とは同一材料を使用しているものである。
【0014】なお金属パイプ6・フィン7には、Ni−
Cr系耐熱鋼・インコロイ800相当品・インコネル6
00相当品・SUS309・SUS310等のオーステ
ナイト系耐熱ステンレス鋼も適している。いずれの材料
も加工性の観点から、焼鈍などの方法で軟質化処理を施
す必要がある。
【0015】以下本実施例の脱臭ヒータ4の製造法につ
いて説明する。まずパイプ6にフィン7を取り付ける。
この取り付けは、巻きはじめ部7aを溶接等によって金
属パイプ6に固定し、帯幅15mmの金属薄板をピッチ
10mmで金属パイプ6の周囲に螺旋状に巻回して、巻
きおわり部7bを溶接等によって金属パイプ6に固定し
て制作するものである。こうして巻きはじめ部7aを固
定した金属薄板を、金属パイプ6を中心にして金属パイ
プに直角方向に当て、図3に示している放射状とした複
数のヒダ7cを形成しながら螺旋状に巻回していくもの
である。
【0016】またこのとき、金属薄板の巻きはじめ部7
aは、管状ヒータ8の取り付け位置の端部から内側に入
った位置としている。こうして、この巻きはじめ部7a
を図1に示す吸気口1側に配置しているものである。こ
の場合、必ずしも巻きはじめ部7aを管状ヒータ8の挿
入位置に対して内側とする必要はなく、巻き終わり部7
bを管状ヒータ8の挿入位置に対して内側とし、この巻
き終わり部7bを吸気口1側に配置しても支障はないも
のである。
【0017】こうして制作した金属パイプ6とフィン7
の組立品を、950℃〜1100℃に設定した雰囲気炉
(都市ガスの燃焼ガス雰囲気)に15分放置して、フィ
ン7の表面に酸化皮膜を形成する。酸化皮膜の形成が終
了した段階でこの組立品を自然冷却し、酸化皮膜を触媒
担体として使用するものである。
【0018】また使用する触媒は、γアルミナ(アルミ
ナゾル)と20μm前後のαアルミナ粒子とを、固形分
として1〜3:9〜7の割合で混合したものをウォッシ
ュコートとして使用し、さらに白金硝酸塩(田中貴金属
工業製 PT−Pソルト)を塗布、乾燥したものを使用
している。つまり、前記ウォッシュコートを30μm前
後の膜厚になるように塗布し、乾燥後、500℃〜60
0℃で15分〜30分焼成し焼き付けた上から、白金硝
酸塩を白金の担持量が1g/リットルの割合になるよう
に調整して塗布し、乾燥後、500〜600℃で5分〜
15分焼成するものである。
【0019】なおこの場合、本実施例ではフィン7の表
面に酸化皮膜を形成し、この酸化皮膜を触媒下地層とし
て使用しているが、特に酸化皮膜を形成する必要がある
ということではなく、担持した触媒が剥離したりするこ
とがないものであれば、フィン7の表面に直接触媒を担
持させてもよいものである。
【0020】こうして触媒を担持させた金属パイプ6と
フィン7の組立品に、管状ヒータ8を挿入して、脱臭ヒ
ータ4が完成する。本実施例では管状ヒータ8として、
100V−200W、全長235mm、発熱長150m
m、パイプ径φ8.0mmのシーズヒータを使用してい
る。管状ヒータ8は、ヒータパイプ8eと、ヒータパイ
プ8e内に設けた端子棒8fと、端子棒8fに接続した
電熱線8gと、ヒータパイプ8e内に充填した絶縁粉末
であるマグネシア8hと、端部を封止するガラス封口材
8a・8bと、この外側に設けた絶縁碍子8c・8dに
よって形成している。なお管状ヒータ8としては、ミラ
クロンヒータ・コルツヒータ・石英管ヒータ・ハロゲン
ヒータ等を使用することができる。
【0021】以下本実施例の動作について説明する。管
状ヒータ8に通電すると、この発熱がフィン7に速やか
に伝達され、フィン7に担持された触媒は活性化され
る。吸気口1から流入した排ガスは、排出口2に接続し
た図示していない吸引ファンによってフィン7が形成し
ている螺旋状の流路に沿って上昇し、排気口2から排出
される。この間に、フィン7の表面に担持された触媒が
排ガスを浄化し、排気口2から排気されるときには清浄
なガスとなっているものである。
【0022】このとき本実施例によれば、フィン7の外
周に設けているパイプ状の金属薄板9と、この金属薄板
9の外側に設けた断熱材5とが、排ガスの排出経路を強
固に構成しているものである。このため排ガスは、フィ
ン7が構成する螺旋状の排出経路に従って螺旋状に上昇
する。このとき、排ガスはフィン7の表面に設けている
触媒と効率的に接触し、浄化されるものである。このよ
うにして本実施例は、浄化能力の高い脱臭装置を実現で
きるものである。
【0023】なお本実施例では、金属パイプ6にフィン
7を取り付けた構成として説明を加えているが、フィン
7は管状ヒータ8に直接取り付けた構成としても支障は
ないものである。
【0024】またこのとき本実施例では、フィン7を形
成している金属薄板の帯幅を15mmとし、金属パイプ
6の直径8mmの2倍弱に抑えているものである。つま
り、フィン7からの放熱を抑え、またフィン7自体の熱
容量も抑えているもので、管状ヒータ8の発熱によるフ
ィン7の温度分布が均一となるようにしているものであ
る。すなわち、管状ヒータ8に近いフィン7の中心部
と、管状ヒータ8から離れたフィン7の外周部との温度
差が小さくなっているものである。このため、全体とし
て触媒の加熱に必要な管状ヒータ8の発熱量を小さくす
ることができ、効率的な脱臭装置を実現するものであ
る。
【0025】またこのとき本実施例では、フィン7を金
属パイプ6に巻き付けるときの巻きピッチをフィン7の
帯幅15mmの3分の2である10mmに設定してい
る。発明者らの実験によれば、この巻きピッチはフィン
7の帯幅に対して1/2〜2倍程度が適当である。つま
り、この巻きピッチを適切に設定することによって、排
ガスの流れに対する通気抵抗を小さくでき、排ガスの流
路を確保することができるものである。すなわち、圧力
損失を小さくできて、排ガスの通気に使用するポンプ等
が小型のもので済む、あるいはポンプの使用電力を小さ
くすることができ、効率的な脱臭装置を実現するもので
ある。前記巻きピッチの設定は、金属パイプ6に巻き回
したフィン7の巻数ででも評価でき、フィン7の帯幅に
対して1/2〜2倍の設定は、巻数に換算した場合には
5〜20回となるものである。
【0026】また本実施例ではフィン7の長さを120
mmとしており、吸気口1から20mm離れた位置から
触媒を担持させた構成としている。発明者らの実験によ
れば、触媒は吸気口から1ピッチ分以上離れたフィンに
担持させる構成とすることが適切である。すなわち、吸
気口1から導入された排ガスは、吸気口1付近では温度
が低く、触媒によるよる浄化が期待できないものであ
る。従って本実施例では、この部分には触媒を担持させ
ないで、フィン7を排ガスの温度を上昇させるための熱
交換を行わせることに専念させているものである。こう
して、この部分によって温度上昇された排ガスが、フィ
ン7に担持された触媒によって効果的に浄化されるもの
である。
【0027】また前記効率的な排ガスの浄化は、フィン
7を金属パイプ6に巻き付けるときの巻きピッチの設定
に粗密を設けることによっても得ることができる。すな
わち、吸気口1付近を粗に、吸気口から離れた部分、つ
まり排気口2付近を密にするものである。
【0028】また本実施例では、フィン7に放射状のヒ
ダ7cを1ピッチあたり10個程度形成しながら金属パ
イプ6に巻回す構成としている。これによってフィン7
の内側の金属薄板と金属パイプ6との界面における隙間
を小さくすることができ、吸気口1から流入した排ガス
がこの隙間から漏れる漏れ量を小さく抑えることが可能
となる。このためガスとフィン上の触媒との接触を確実
なものとする事ができ、浄化能力の大きい脱臭装置を実
現するものである。
【0029】またこのとき本実施例では、ヒダ7cの凹
凸の高低差を3mm程度に設定している。発明者らの実
験によればこの高低差は、1ピッチ分の1/10〜1/
2の設定とすることが適切である。つまり、この範囲の
高低差を有するヒダ7cとして、排ガスの流れが乱流と
なって、排ガスとフィン7に担持させた触媒との接触が
良くなって、浄化能力の大きい脱臭装置を実現するもの
である。
【0030】以下、前記各効果を確認する実験の結果に
ついて報告する。
【0031】(実験例1)本実施例の脱臭装置は、台所
で発生する厨芥類を処理する厨芥処理機に使用するもの
である。厨芥処理機を作動すると、厨芥類が熱によって
分解し、いろいろな成分のガスを発生するものである。
よって、ここではたまねぎなどの野菜が分解して発生す
る硫化メチルを代表物質として、硫化メチルの残存率を
測定するものとした。
【0032】実験には、管状ヒータ8として容量100
V−200Wのシーズヒータを用いている。またフィン
7は、前記実施例で示したものを用いた。フィン7上に
担持させている触媒の担持量は、白金として1g/リッ
トルとしている。実験に使用した硫化メチルガスは、濃
度100ppmで、流量8l/minに設定している。
こうして、管状ヒータ8を収容している金属パイプ6の
表面温度を変化させたときの硫化メチルの残存率を求め
た。
【0033】実験の結果、前記表面温度を350℃に制
御し、定常状態に達したときの硫化メチルの残存率は
0.1%以下であった。またセラミックハニカム触媒を
使用した比較例のものは、同一条件とするために触媒体
積を同等としSVを合わせて測定した結果、2.1%の
残存率であった。
【0034】また、表面温度を600℃に制御したとき
には、本実施例の脱臭装置は約5分で各部温度は定常に
なったが、セラミックハニカム触媒のものは、定常状態
になるまでに約10分の時間を要した。
【0035】このように本実施例の脱臭装置を使用すれ
ば、従来のセラミックハニカム触媒に比べ、極めて効率
的に効果を発揮できるものである。
【0036】(実験例2)次に、フィン7の帯幅を変え
た時の結果を報告する。ここではフィン7の幅を10m
m、20mm、30mmの3種類に設定し、ガス流入量
を8l/minとし、管状ヒータ8を収容している金属
パイプ6の表面温度を変化させたときの、吸気口1直後
のフィン7の周辺端部の温度を測定しているものであ
る。なお金属パイプ6の径は、2.5mmのものを使用
している。この測定結果を図4に示している。この結
果、帯幅が大きくなるにつれてフィン7の周辺部の温度
は低くなる。特に、帯幅30mmのものは、金属パイプ
6の表面温度を500℃としても、フィン7の吸気口1
周辺の外周部の温度は200℃以下であり触媒活性に必
要な温度を得られないものであり、結論として、フィン
7の帯幅は使用する金属パイプ6の径の10倍以下であ
ることが適切である。
【0037】(実験例3)次に、フィン7のピッチを変
えて、吸気口1側と排気口2側の間の差圧を測定した結
果について報告する。この実験では、フィン7の帯幅を
10mm、フィン7のピッチは3mm、5mm、20m
mの3種類としている。またここでも、触媒体積等の実
験条件は実験例1と同等としている。この測定結果を図
5に示している。ここでの差圧は、圧力損失つまり通気
抵抗と見なすことができ、差圧が小さい方がポンプ等の
能力が小さくて済むものである。
【0038】図5から判るように、ピッチが小さくなる
につれて圧力損失が増加するものである。ピッチ3mm
のものは、処理量8l/minで圧力損失が50mmH
2O以上となっている。これは例えば家庭用の厨芥処理
装置として用いるには大きすぎる値であり、小型の吸引
ポンプ等の能力が追いつかないものである。
【0039】従って結論として、フィン7の巻きピッチ
は帯幅に対して1/2〜2倍が適切な範囲である。
【0040】(実験例4)次に、触媒の担持範囲を変え
た場合の硫化メチルの転化率の変化を調べた結果につい
て、図6に基づいて報告する。図6中のaは、吸気口1
から1ピッチ分、この実験では吸気口1から10mm分
だけ触媒を担持させていない構成のものである。またb
は、0.5ピッチ分、吸気口1から5mm分だけ触媒を
担持させていないもの、cは全面に触媒を担持させてい
る構成のものである。この実験に使用している硫化メチ
ルの濃度は100ppmであり、流量は8l/minで
ある。
【0041】図6から分かるように、硫化メチルの転化
率についてはa・b・cのものについてほとんど変わら
ないものである。つまり、フィン7の吸気口1側の1ピ
ッチ相当分については、触媒による浄化作用を果たして
いないものである。従ってこの部分には触媒を塗布せず
に、フィン7の熱を排ガスに対して熱交換して排ガスの
温度を高めることに専念させる方が効率的である。また
触媒の使用量を節約することもできるものである。
【0042】(実験例5)次にフィン7の巻きピッチに
粗密の変化を設けた場合の、硫化メチルの転化率を調べ
た。図7は、この実験に用いた脱臭装置のピッチ間隔を
イメージで表現したものである。つまり、bとして示し
ているものは本実施例のものであり、吸気口1付近での
ピッチを20mmとし、排気口2に向かうにつれてピッ
チの間隔密度を増加させて排気口2直前でのピッチは5
mmとしているものである。またaに示しているもの
は、比較のために使用しているものでピッチは10mm
一定としている。この実験の結果は、前記図6のaとc
に示しているものと全く同様である。つまりピッチに粗
密を設けたものはaであり、ピッチを一定としたものは
cである。
【0043】つまり両者の間にはほとんど差が生じてい
ないものであり、従って結論として、ピッチに粗密の差
を設けた構成を採用する方が材料の使用料を減少でき有
利であると言える。すなわち、粗密の差を設けた構成と
したものはフィン7の全巻数が11回であり、ピッチを
一定としたものの全巻数は12回となるものである。ま
た従って使用する触媒の量も、粗密の差を設けた構成の
ものの方が節約できるものである。
【0044】(実験例6)次にフィン7に設けているヒ
ダ7cの数を変えた場合の硫化メチルの残存率について
実験している。ヒダ7cの数を8とした場合には、金属
パイプ6の表面温度を350℃とした場合には、1.0
%であり、ヒダ7cの数を13とした場合には0.1%
以下であった。このように、放射状のヒダ7cを形成す
ることによって、フィン7と金属パイプ6との間の隙間
を小さく抑えることができ、この結果フィン7と金属パ
イプ6間の隙間のガス漏れを防止でき、触媒の能力を効
果的に発揮できるものである。
【0045】(実験例7)次に、ヒダ7cに付けている
高低差を変化させた場合の硫化メチルの残存濃度の変化
を調べる実験結果について報告する。実験に使用してい
るサンプルのヒダ7cの高低差は約0.5mmのもの、
1.0mm、3.0mm、5.0mm、7.0mmのも
のに設定している。これをフィン7のピッチに対する比
としてみると、それぞれ1ピッチ分の1/20、1/1
0、3/10、1/2、7/10に相当している。この
それぞれについて、触媒体積・触媒量・ガス流量等の条
件を実験例1と同様に設定して、硫化メチルの残存濃度
を測定しているものである。
【0046】この結果、0.5mmのものは1.0%、
1.0mmのものは0.5%、3.0mmのものは0.
3%、5.0mmのものは0.5%、7.0mmのもの
は2.0%であった。つまりヒダ7cの高低差は、1ピ
ッチ分の1/10〜1/2が適当である。
【0047】このように、ヒダ7cに適切な高低差をも
たせることによって、排ガスが乱流状態となって、フィ
ン7上の触媒との接触度合いが増加して、触媒の能力を
効果的に発揮するものである。
【0048】
【発明の効果】以上のように請求項1〜5に記載の発明
によれば、フィンの中心部と周辺部との温度差を少なく
して、触媒の能力を効果的に発揮させる脱臭装置を実現
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である脱臭装置を示す断面図
【図2】同、フィンの構成を説明する断面図
【図3】同、図2のB−B'断面で示したフィンの構成
を説明する平面図
【図4】同、フィンの周辺部の温度を測定した結果を示
す特性図
【図5】同、フィンのピッチを変えた場合に吸気口と排
気口との間の差圧を示す特性図
【図6】同、脱臭装置の硫化メチルの除去能力を示す特
性図
【図7】(a)同、フィンのピッチを等間隔とした場合
のイメージを示す説明図 (b)同、フィンのピッチに粗密を設けた場合のイメー
ジを示す説明図
【符号の説明】 1 吸気口 2 排気口 3 パイプ状のケース 4 脱臭ヒータ 5 断熱材 6 金属パイプ 7 フィン 8 管状ヒータ 9 パイプ状の金属薄板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 忠視 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 延藤 吉保 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4D048 AA22 AB03 BA30X BB06 CA01 CA03 CC43 CC53 CC55

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管状ヒータを装着した金属パイプと、金
    属パイプの径の10倍以下の帯幅を有する帯状の金属薄
    板を前記金属パイプに対して直角方向に螺旋状に巻回し
    て形成したフィンと、このフィンに担持した触媒とを有
    する脱臭ヒータと、脱臭ヒータの外側に密着させたパイ
    プ状の金属薄板と、この金属薄板の外側に設けた断熱材
    と、脱臭ヒータとパイプ状の金属薄板と断熱材とを配置
    する吸気口と排気口とを有するパイプ状のケースとを備
    えた脱臭装置。
  2. 【請求項2】 帯状の金属薄板の巻きピッチを帯幅に対
    して1/2〜2倍とした請求項1記載の脱臭装置。
  3. 【請求項3】 帯状の金属薄板の巻数を5〜20回とし
    た請求項1記載の脱臭装置。
  4. 【請求項4】 フィンは、複数個の放射状のヒダを有す
    る請求項1記載の脱臭装置。
  5. 【請求項5】 ヒダは1ピッチ分の1/10〜1/2の
    範囲の高低差を有する請求項4記載の脱臭装置。
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