JP2003336134A - ポリ乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工方法 - Google Patents
ポリ乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工方法Info
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Abstract
や、毛羽、糸切れ、染色斑等の発生がほとんどなく、得
られる加工糸を製編織しても、筋状欠点が生じないポリ
乳酸仮撚加工糸を、高速度で安定して製造することがで
きるポリ乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工方法
を提供する。 【解決手段】 ポリ乳酸マルチフィラメント高配向未延
伸糸を、2m以上の接触ヒータを有する摩擦式仮撚加工
機を用いて400m/分以上の速度で仮撚加工を行うに
際し、水系エマルジョンタイプの油剤を純分にして0.
5〜2.0質量%を付着させたマルチフィラメント糸を
用いて仮撚加工を行う。
Description
ィラメント糸を効率よく安定して仮撚加工する方法に関
し、摩擦式高速仮撚加工特有のサ−ジングの発生や、毛
羽、糸切れ、染色斑等がほとんどないポリ乳酸マルチフ
ィラメント糸の高速仮撚加工方法に関するものである。
解前の高強力と分解時の分解速度の速さなど優れた性能
が高く認められ、すでに土木用途などに用いられている
が、衣料用途、インテリア用途などへの展開は未だ不十
分である。衣料用途、インテリア用途に用いる場合、一
つの方法として仮撚捲縮を付与することにより、その目
的に合致した製品を得ることができる。
チフイラメント糸は、ポリエチレンテレフタレートなど
の汎用合繊マルチフイラメント糸とは異なって硬く、滑
りが悪いため、摩擦式高速仮撚加工、特に高配向未延伸
糸を2m以上の接触ヒータを有する摩擦式仮撚加工機を
用いて400m/分以上の高速度で仮撚加工を施すと、
通常の方法では毛羽立ち、糸切れが多く、特に摩擦仮撚
特有の張力変動(サ−ジング)が多く発生し、このため
得られる仮撚加工糸を製編織すると、筋状欠点を有する
ものとなり、品質、操業性の両面で実用的な工業生産を
行うことができなかった。
などへの展開を図るためには、ポリ乳酸マルチフィラメ
ント糸に仮撚捲縮を付与することは不可欠であり、高速
度で安定した、収率、操業性に優れた仮撚加工法が求め
られていた。
てなされたものであり、摩擦式高速仮撚加工特有のサ−
ジングの発生や、毛羽、糸切れ、染色斑等の発生がほと
んどなく、得られる加工糸を製編織しても、筋状欠点が
生じないないポリ乳酸仮撚加工糸を、高速度で安定して
製造することができるポリ乳酸マルチフィラメント糸の
高速仮撚加工方法を提供することを技術的な課題とする
ものである。
題を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするもので
ある。 (1) ポリ乳酸マルチフィラメント高配向未延伸糸を、2
m以上の接触ヒータを有する摩擦式仮撚加工機を用いて
400m/分以上の速度で仮撚加工を行うに際し、水系
エマルジョンタイプの油剤を純分にして0.5〜2.0
質量%を付着させたマルチフィラメント糸を用いて仮撚
加工を行うことを特徴とするポリ乳酸マルチフィラメン
ト糸の高速仮撚加工方法。 (2) 水系エマルジョンタイプの油剤が、アルキル型の油
剤であることを特徴とする上記(1) 記載のポリ乳酸マル
チフィラメント糸の高速仮撚加工方法。 (3) ポリ乳酸マルチフィラメント糸が、L−乳酸単位が
70〜100モル%であるL−乳酸を主成分とするポリ
乳酸からなることを特徴とする上記(1) 又は(2)記載の
ポリ乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工方法。 (4) ポリ乳酸の平均分子量が50,000〜200,000 であるこ
とを特徴とする上記(1)〜(3) のいずれかに記載のポリ
乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工方法。
する。本発明は、ポリ乳酸マルチフィラメント高配向未
延伸糸を2m以上の接触ヒータを有する摩擦式仮撚加工
機を用いて400m/分以上、好ましくは 500〜800m
/分の速度で仮撚加工を行うに際し、水系エマルジョン
タイプの油剤を純分にして0.5〜2.0質量%を付着
させたマルチフィラメント糸を用いて仮撚を行うもので
ある。
有する摩擦式仮撚加工機を用いて、400m/分以上の
速度で、好ましくは延伸しながら仮撚加工を行う場合を
対象としている。すなわち、上記の仮撚加工機を用い
て、ポリ乳酸マルチフィラメント糸を400m/分以上
の高速度で仮撚加工を行うと、通常の方法では毛羽立
ち、糸切れが多く、特に摩擦仮撚特有の張力変動(サ−
ジング)が多く発生し、このため得られる仮撚加工糸を
製編織すると、筋状欠点を有するものとなるが、加工速
度が400m/分未満では、本発明を適用しなくても上
記の問題は少ない。
糸の高配向未延伸糸を供給糸として用いる。このよう
に、高配向未延伸糸を用い、好ましくは延伸しながら仮
撚することにより安定した仮撚加工を行うことができ
る。供給糸となる高配向未延伸糸の伸度は特に限定され
るものではないが、延伸倍率が好ましくは1.2倍以上
であり、かつ、高配向未延伸糸の物性の経時安定性の面
から1.6倍以下の延伸倍率が適用される伸度、具体的
には伸度60〜120%が好ましい。
ラメント糸を構成するフィラメント間に均等に浸透し、
糸条に優れた滑り性を付与することのできる水系エマル
ジョンタイプの油剤を純分にして0.5〜2.0質量
%、好ましくは0.6〜1.0質量%の範囲で付着させ
た高配向未延伸糸を供給糸として用いることであり、水
系エマルジョンタイプの油剤としては特にアルキル型エ
マルジョンタイプの油剤が好ましい。
は、マルチフィラメント上に粒状となって付着し、フィ
ラメント間への浸透性が悪くて油剤としての性能を充分
に発揮し得ないが、水系エマルジョンタイプの油剤は、
ポリ乳酸繊維とのなじみがよく、フィラメント間に比較
的に均等に浸透させることができ、ポリ乳酸マルチフィ
ラメント糸に優れた滑り性と優れた摩擦仮撚性を付与す
ることができる。
マルジョンタイプの油剤の中でも、特に、ポリオキシア
ルキレンモノアルキル、アルカンモノスルホン酸塩、エ
チレングリコ−ル等を水と共にエマルジョン化したアル
キル型エマルジョンタイプの油剤とのなじみがよく、こ
の油剤を付与すれば、糸走行に対する摩擦力低減と、糸
の直角方向、すなわち撚回を与える摩擦力の増大を図る
ことができる。なお、アルキル型エマルジョンタイプの
油剤は、ポリ乳酸繊維を堆肥化しても安全なものであ
る。
ジョンタイプの油剤とは、ポリオキシアルキレンモノア
ルキルエ−テルや、アルカンモノスルホン酸塩、アルキ
ルポリオキシアルキレンリン塩等の物質を含む油剤であ
り、油剤純分にして50質量%以上のアルキル基を有す
る塩もしくはエ−テル、ジオ−ル成分を有するものであ
って、これらの水系エマルジョンタイプの油剤をいう。
ト糸に油剤を付与して、糸走行に対する摩擦力低減と、
糸に撚回を与える摩擦力の増大を図るためには、水系エ
マルジョンタイプの油剤を純分にして0.5〜2.0質
量%の範囲で付着させた高配向未延伸糸を用いることが
必要であり、油剤の付着量がを純分にして0.5質量%
未満になると油剤の付与効果が得られず、高速加工を行
うと、毛羽、糸切れが多発し、またサ−ジングによる筋
状欠点が多発する。一方、油剤を純分にして2.0質量
%を超えて付着させると、油剤が充分に気化しないで、
ヒータ下部や各ガイドから液垂れし、やはり操業性低
下、品質不良の原因となる。
ルジョンタイプの油剤を純分にして0.5〜2.0質量
%の範囲で付着させると、摩擦による適切な撚回力が得
られると共に仮撚の張力が安定し、走行による摩擦は低
減し、サ−ジングや毛羽、糸切れの少ない安定した加工
ができる。
ント高配向未延伸糸を構成するポリ乳酸は、L−乳酸単
位が70〜100モル%であるL−乳酸を主成分とする
ことが好ましく、特にL−乳酸単位が95〜100モル
%、さらには99〜100モル%であることがより好ま
しい。すなわち、L−乳酸の純度が高く、D−乳酸の含
有量が少ないポリ乳酸マルチフィラメント糸ほど糸切れ
や毛羽立ちも少なく、安定した加工を施しやすいが、D
−乳酸を30モル%を超えて含むと、摩擦の影響を受け
て毛羽立ちや糸切れが発生しやすくなる。
ィラメント高配向未延伸糸は、高速下で高摩擦を受ける
ので、糸条を構成するポリ乳酸は、摩擦耐性に優れたL
−乳酸を主成分とし、平均分子量は50,000〜200,000 で
あることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸の平均分子量
が50,000未満になると、糸強力が充分には得られず、仮
撚加工を施すと毛羽立ちが強く、糸切れしやすくなる。
一方、ポリ乳酸の平均分子量が200,000 を超えると、紡
糸が不安定になり、得られる高配向未延伸糸自体に太さ
斑ができるなど糸切れや毛羽の要因となる。
ント高配向未延伸糸を、2m以上の接触ヒータを有する
摩擦式仮撚加工機を用いて400m/分以上の速度で仮
撚加工を行う際の仮撚加工条件は、特に限定されるもの
ではなく、通常の仮撚加工条件を採用すればよく、例え
ば仮撚ヒータ温度90〜120℃、延伸倍率1.2〜
1.6倍、摩擦板の周速度/糸速(D/Y)0.8〜
1.5を採用すればよい。
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。
のポリ乳酸(L−乳酸単位:98.2モル%、D−乳酸
単位:1.8モル%)を、2軸エクストルーダーを用
い、温度205〜225℃で約10分間溶融混練した
後、水中にストランド状に押し出しカッティングするこ
とによりチップを作製した。
℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸して120dtex /
36f の高配向未延伸糸とし、この糸条にアルキル型水系
エマルジョンタイプの油剤(アルキルポリエ−テル:4
0質量%、アルキルフェニ−ルエ−テル:40質量%、
エチレングリコ−ル:15質量%、アルキルホスフェ−
ト塩:5質量%をイオン交換水にて総濃度15%のエマ
ルジョンにしたもの。)を付着させて巻き取った。次い
で、摩擦式仮撚加工機として村田機械株式会社製No. 3
3Hマッハクリンパー(第1ヒータ長:2.5m)の1
08錘を用い、表1に示す条件で延伸仮撚加工を行い、
85dtex/36f の仮撚加工糸約800Kgを製造した(実
施例1)。
でそれぞれ約100Kg程度の延伸仮撚加工を行った。
実施例1及び比較例1〜3の供給糸仕様、仮撚条件及び
加工結果を併せて表1に示す。
ィラメント高配向未延伸糸を、摩擦式仮撚加工機として
帝人精機株式会社製SDS−8:第1ヒータ長2.0
m)の72錘を用いて、表2に示す条件で延伸仮撚加工
を行い、85dtex/36f の仮撚加工糸約800Kgを製造
した。
でそれぞれ約100Kg程度の延伸仮撚加工を行った。
糸仕様、仮撚条件及び加工結果を表1に示す。
び2で得られた仮撚加工糸は、毛羽、未解撚の発生もな
く、優れた嵩高性と伸縮性を有していた。
いため、走行による摩擦力が強くなりすぎ、張力変動
(サ−ジング)を多発し、毛羽、未解撚状の筋欠点のあ
る加工糸しか得られなかった。また、比較例2と5は油
剤の付着量が多すぎため、油剤が垂れてくる現象が発生
し、各錘の糸を少量筒編みし、染色を施して錘間の色度
を確認しところ、色度がばらついていた。次に、比較例
3と6は、油剤として鉱物油を用いているため、張力変
動(サ−ジング)を多発し、毛羽、未解撚状の筋欠点の
ある加工糸しか得られなかった。
い水系エマルジョンタイプの油剤、好ましくはアルキル
型エマルジョンタイプの油剤を純分にして0.5〜2.
0質量%の範囲で付着させたポリ乳酸マルチフィラメン
ト高配向未延伸糸を仮撚加工の供給糸として用いるの
で、油剤がマルチフィラメント間に均等に浸透し、供給
糸に優れた滑り性と摩擦仮撚性を付与することができ
る。
ジングの発生や、毛羽、糸切れ、染色斑等の発生がほと
んどなく、得られる加工糸を製編織しても、筋状欠点が
生じないないポリ乳酸仮撚加工糸を、高速度で安定して
工業的に製造することが可能となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 ポリ乳酸マルチフィラメント高配向未延
伸糸を、2m以上の接触ヒータを有する摩擦式仮撚加工
機を用いて400m/分以上の速度で仮撚加工を行うに
際し、水系エマルジョンタイプの油剤を純分にして0.
5〜2.0質量%を付着させたマルチフィラメント糸を
用いて仮撚加工を行うことを特徴とするポリ乳酸マルチ
フィラメント糸の高速仮撚加工方法。 - 【請求項2】 水系エマルジョンタイプの油剤が、アル
キル型の油剤であることを特徴とする請求項1記載のポ
リ乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工方法。 - 【請求項3】 ポリ乳酸マルチフィラメント糸が、L−
乳酸単位が70〜100モル%であるL−乳酸を主成分
とするポリ乳酸からなることを特徴とする請求項1又は
2記載のポリ乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工
方法。 - 【請求項4】 ポリ乳酸の平均分子量が50,000〜200,00
0 であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載のポリ乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002137052A JP4854166B2 (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | ポリ乳酸マルチフィラメント糸の高速仮撚加工方法 |
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Publications (2)
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JP4854166B2 JP4854166B2 (ja) | 2012-01-18 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005200800A (ja) * | 2004-01-19 | 2005-07-28 | Toray Ind Inc | ポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法 |
JP2006257600A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Unitica Fibers Ltd | ポリ乳酸系仮撚加工糸とその製造方法及び織編物 |
-
2002
- 2002-05-13 JP JP2002137052A patent/JP4854166B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP4525082B2 (ja) * | 2004-01-19 | 2010-08-18 | 東レ株式会社 | ポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法 |
JP2006257600A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Unitica Fibers Ltd | ポリ乳酸系仮撚加工糸とその製造方法及び織編物 |
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