JP2003335606A - 花卉類の開花遅延剤および開花遅延方法 - Google Patents

花卉類の開花遅延剤および開花遅延方法

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JP2003335606A
JP2003335606A JP2002145772A JP2002145772A JP2003335606A JP 2003335606 A JP2003335606 A JP 2003335606A JP 2002145772 A JP2002145772 A JP 2002145772A JP 2002145772 A JP2002145772 A JP 2002145772A JP 2003335606 A JP2003335606 A JP 2003335606A
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oxo
acetate
pentenyl
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JP2002145772A
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Kazunori Watanabe
和紀 渡邉
Masami Koshiyama
雅巳 腰山
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】花卉類の開花時期を遅延させる優れた効果が得
られる花卉類の開花遅延剤および開花遅延方法を提供す
る。 【解決手段】下記式(1)で示されるジャスモン酸系化
合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする花卉
類の開花遅延剤、および該ジャスモン酸系化合物の少な
くとも1種を、花卉類に施用することを特徴とする花卉
類の開花遅延方法。 【化1】 (式中、Rは炭化水素基を表し、Rは水素原子又は
炭化水素基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジャスモン酸系化
合物を含有してなる花卉類の開花遅延剤および該ジャス
モン酸系化合物を用いる花卉類の開花遅延方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】植物、特に農作物や園芸作物などでは、
収穫や出荷時期の調整や育種の面から、開花時期を制御
することが重要な技術となっている。従来、植物の開花
や花芽分化の時期を制御する方法としては、植物体に対
して外的要因である日長や温度変化などの自然のサイク
ルを制御する方法が知られている。特に花卉類では、温
室栽培や冷房栽培技術、夜間の電照操作によってどの季
節でも花を咲かせることができる技術が確立されつつあ
る。しかしながら、このような人工的に環境を制御する
方法は、多大な設備費用が必要であるという問題があ
る。
【0003】また、2−クロロスルホン酸(一般名:エ
テホン)やジベレリン類等の植物ホルモンやそれと同等
の作用を有する植物成長調節剤を用いて、花芽分化の遅
延を誘導する方法が知られている。しかし、この方法に
おいては、花芽形成前から薬剤処理が必要であり、しか
も、特定の植物種にのみ効果があるものであるから、そ
の使用に限界がある。従って、上記のような問題のない
花卉遅延剤が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
実情の下でなされたものであり、花卉類の開花時期を遅
延させる優れた効果が得られる花卉類の開花遅延剤、お
よび花卉類の開花遅延方法を提供することを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討したところ、花卉類に、イネの開
花促進作用を有することが知られているジャスモン酸系
化合物(Journal of Plant Grow
th Regulations.,28巻,153−15
8頁,1999年)を施用すると、驚くべきことに、花
卉類の開花時期を極めて効果的に一定期間遅延させるこ
とができ、花卉類の出荷時期の調整が可能になることを
見出し、本発明を完成させるに到った。
【0006】かくして本発明の第1によれば、有効成分
として、式(1)
【0007】
【化2】
【0008】(式中、Rは炭化水素基を表し、R
水素原子または炭化水素基を表す。)で示されるジャス
モン酸系化合物の少なくとも1種を含有することを特徴
とする花卉類の開花遅延剤が提供される。
【0009】本発明の開花遅延剤は、前記ジャスモン酸
系化合物が、前記式(1)において、Rがn−ペンテ
ニル基であり、Rが水素原子またはアルキル基の化合
物であるのが好ましい。
【0010】本発明の第2によれば、前記式(1)で表
されるジャスモン酸系化合物の少なくとも1種を、花卉
類に施用することを特徴とする花卉類の開花遅延方法が
提供される。本発明の開花遅延方法は、前記式(1)で
表されるジャスモン酸系化合物の少なくとも1種を、花
卉類の根部に施用するものであるのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の花卉類の開花遅延
剤および開花遅延方法を詳細に説明する。 1)花卉類の開花遅延剤 本発明の花卉類の開花遅延剤は、前記式(1)で示され
るジャスモン酸系化合物の少なくとも1種を含有するこ
とを特徴とする。
【0012】(1)式(1)で表されるジャスモン酸系
化合物 前記一般式(1)において、R1は炭化水素基を表す。
炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキ
ル基、炭素数2〜20のアルケニル基などが挙げられ
る。
【0013】R1の具体例としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イ
ソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル
基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペン
チル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル
基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル
基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル
基、デシル基などの炭素数1〜20のアルキル基;アリ
ル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル
基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、トランス−
2−ペンテニル基、シス−2−ペンテニル基、1−ペン
テニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、5−ヘキセ
ニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、ヘプテ
ニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などの
炭素数2〜20のアルケニル基;が挙げられる。
【0014】これらの中でも、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、
2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシ
ル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メ
チルペンチル基、1−メチルペンチル基などの炭素数1
〜6のアルキル基;または、アリル基、2−ブテニル
基、3−ブテニル基、イソブテニル基、4−ペンテニル
基、3−ペンテニル基、トランス−2−ペンテニル基、
シス−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、3−メチ
ル−2−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、3−ヘキセ
ニル基、2−ヘキセニル基などの炭素数2〜6のアルケ
ニル基;が好ましく、n−ペンチル基、イソペンチル
基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、4−ペ
ンテニル基、3−ペンテニル基、トランス−2−ペンテ
ニル基、シス−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基な
どの炭素数4〜5のアルキル基または炭素数4〜5のア
ルケニル基がより好ましく、n−ペンテニル基が特に好
ましい。
【0015】R2は水素原子または炭化水素基を表す。
この炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜
20のアルキニル基等が挙げられる。また、Rの炭化
水素基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ
原子を含むものであってもよい。かかる炭化水素基とし
ては、例えば、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基
などが挙げられる。
【0016】前記R2の好ましい具体例としては、水素
原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル
基、2−メチルブチル基などの炭素数1〜8のアルキル
基;アリル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、4
−メチル−3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基などの
炭素数2〜8のアルケニル基;ブロパルギル基、3−ブ
チニル基、2−ペンチニル基、3−ヘキシニル基などの
炭素数2〜8のアルキニル基;ヒドロキシメチル基、2
−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3
−ヒドロキシプロピル基などの炭素数1〜8のヒドロキ
シアルキル基などが挙げられる。
【0017】前記式(1)で表されるジャスモン酸系化
合物には、不斉炭素原子に由来する光学異性体が存在し
得る。また、R1および/またはRがアルケニル基で
ある場合には、シス−トランスの立体異性体が存在し得
る。これらの化合物は、全て本発明で用いることができ
る。
【0018】前記式(1)において、R2が炭化水素
基、すなわちジャスモン酸エステル化合物の具体例とし
ては、メチル(2−n−ペンチル−3−オキソ−シクロ
ペンチル)アセテート、メチル〔2−(3−n−ペンテ
ニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセテート、エ
チル(2−n−ペンチル−3−オキソ−シクロペンチ
ル)アセテート、エチル〔2−(2−n−ペンテニル)
−3−オキソ−シクロペンチル〕アセテート、n−プロ
ピル(2−n−ペンチル−3−オキソ−シクロペンチ
ル)アセテート、n−プロピル〔2−(2−n−ペンテ
ニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセテート、n
−プロピル〔2−(3−n−ペンテニル)−3−オキソ
−シクロペンチル〕アセテート、n−プロピル〔2−
(2−メチル−n−ブチル)−3−オキソ−シクロペン
チル〕アセテート、n−プロピル〔2−(2,2−ジメ
チルプロピル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセテ
ート、イソプロピル(2−n−ペンチル−3−オキソ−
シクロペンチル)アセテート、
【0019】イソプロピル〔2−(2−n−ペンテニ
ル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセテート、イソ
プロピル〔2−(3−n−ペンテニル)−3−オキソ−
シクロペンチル〕アセテート、n−ブチル(2−n−ペ
ンチル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート、n
−ブチル〔2−(2−n−ペンテニル)−3−オキソ−
シクロペンチル〕アセテート、n−ブチル〔2−(3−
n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセ
テート、イソブチル(2−n−ペンチル−3−オキソ−
シクロペンチル)アセテート、イソブチル〔2−(2−
n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセ
テート、sec−ブチル(2−n−ペンチル−3−オキ
ソ−シクロペンチル)アセテート、sec−ブチル〔2
−(2−n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペンチ
ル〕アセテート、t−ブチル(2−n−ペンチル−3−
オキソ−シクロペンチル)アセテート、2−メチルブチ
ル(2−n−ペンチル−3−オキソ−シクロペンチル)
アセテート、
【0020】n−ペンチル(2−n−ペンチル−3−オ
キソ−シクロペンチル)アセテート、n−ペンチル〔2
−(2−n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペンチ
ル〕アセテート、n−ヘキシル(2−n−ペンチル−3
−オキソ−シクロペンチル)アセテート、n−ヘキシル
〔2−(2−n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペ
ンチル〕アセテート、n−ヘプチル〔2−(2−n−ペ
ンテニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセテー
ト、n−オクチル(2−n−ペンチル−3−オキソ−シ
クロペンチル)アセテート、n−オクチル〔2−(2−
n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセ
テート、n−デシル(2−n−ペンチル−3−オキソ−
シクロペンチル)アセテート、アリル(2−n−ペンチ
ル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート、2−ブ
テニル(2−n−ペンチル−3−オキソ−シクロペンチ
ル)アセテート、シス−2−ペンテニル(2−n−ペン
チル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート、トラ
ンス−2−ヘキセニル(2−n−ペンチル−3−オキソ
−シクロペンチル)アセテート、
【0021】4−メチル−3−ペンテニル(2−n−ペ
ンチル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート、シ
ス−3−ヘキセニル(2−n−ペンチル−3−オキソ−
シクロペンチル)アセテート、プロパギル(2−n−ペ
ンチル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート、2
−ペンチニル(2−n−ペンチル−3−オキソ−シクロ
ペンチル)アセテート、3−ブチニル(2−n−ペンチ
ル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート、3−ヘ
キシニル(2−n−ペンチル−3−オキソ−シクロペン
チル)アセテート、2−ヒドロキシエチル(2−n−ペ
ンチル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート、
【0022】2−ヒドロキシプロピル(2−n−ペンチ
ル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート、アリル
〔2−(2−n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペ
ンチル〕アセテート、プロパルギル〔2−(2−n−ペ
ンテニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕アセテー
ト、3−ブテニル〔2−(2−n−ペンテニル)−3−
オキソ−シクロペンチル〕アセテート、3−ブチニル
〔2−(2−n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペ
ンチル〕アセテート、シス−3−ヘキセニル〔2−(2
−n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕ア
セテートなどが挙げられる。これらのジャスモン酸エス
テル成分は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合
わせて用いることができる。
【0023】前記式(1)において、R2が水素原子、
すなわちジャスモン酸化合物の具体例としては、(2−
エチル−3−オキソ−シクロペンチル)酢酸、(2−n
−プロピル−3−オキソ−シクロペンチル)酢酸、(2
−イソプロピル−3−オキソ−シクロペンチル)酢酸、
(2−n−ブチル−3−オキソ−シクロペンチル)酢
酸、(2−sec−ブチル−3−オキソ−シクロペンチ
ル)酢酸、(2−t−ブチル−3−オキソ−シクロペン
チル)酢酸、(2−n−ペンチル−3−オキソ−シクロ
ペンチル)酢酸、(2−イソペンチル−3−オキソ−シ
クロペンチル)酢酸、〔2−(2−メチル−n−ブチ
ル)−3−オキソ−シクロペンチル〕酢酸、
【0024】〔2−(1−メチル−n−ブチル)−3−
オキソ−シクロペンチル〕酢酸、(2−n−ヘキシル−
3−オキソ−シクロペンチル)酢酸、(2−イソヘキシ
ル−3−オキソ−シクロペンチル)酢酸、〔2−(3−
メチル−n−ペンチル)−3−オキソ−シクロペンチ
ル〕酢酸、〔2−(2−メチル−n−ペンチル)−3−
オキソ−シクロペンチル〕酢酸、〔2−(1−メチル−
n−ペンチル)−3−オキソ−シクロペンチル〕酢酸、
(2−アリル−3−オキソ−シクロペンチル)酢酸、
〔2−(3−n−ブテニル)−3−オキソ−シクロペン
チル〕酢酸、(2−イソブテニル−3−オキソ−シクロ
ペンチル)酢酸、〔2−(4−n−ペンテニル)−3−
オキソ−シクロペンチル〕酢酸、
【0025】〔2−(3−n−ペンテニル)−3−オキ
ソ−シクロペンチル〕酢酸、〔2−(トランス−2−n
−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕酢酸、
〔2−(シス−2−n−ペンテニル)−3−オキソ−シ
クロペンチル〕酢酸、〔2−(1−n−ペンテニル)−
3−オキソ−シクロペンチル〕酢酸、〔2−(3−メチ
ル−2−n−ペンテニル)−3−オキソ−シクロペンチ
ル〕酢酸、〔2−(5−n−ヘキセニル)−3−オキソ
−シクロペンチル〕酢酸、〔2−(3−n−ヘキセニ
ル)−3−オキソ−シクロペンチル〕酢酸、〔2−(2
−n−ヘキセニル)−3−オキソ−シクロペンチル〕酢
酸などが挙げられる。これらのジャスモン酸系化合物
は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用
いることができる。
【0026】前記式(1)で表されるジャスモン酸系化
合物(以下、単に「ジャスモン酸系化合物」ともい
う。)はいずれも公知の化合物であり、常法に従い製造
することができる。例えば、前記式(1)においてR1
がn−ペンチル基で、R2がアルキル基であるジャスモ
ン酸エステルは、2−n−ペンチルシクロペンテン−1
−オンとマロン酸のアルキルエステルとをマイケル付加
させた後、脱炭酸させることにより容易に得ることがで
きる。また、このようにして製造したアルキルエステル
体を、常法に従いアルコール類とエステル交換させて別
種のエステル体を製造することもできる。また、ジャス
モン酸化合物は、例えば、ジャスモン酸エステル化合物
を塩基または酸で加水分解することにより得ることがで
きる。
【0027】(2)開花遅延剤 本発明の花卉類の開花遅延剤は、前記ジャスモン酸系化
合物の少なくとも1種を含有してなる。本発明の開花遅
延剤は製剤化されているのが好ましい。製剤の形態とし
ては、例えば、水溶液剤、有機溶液剤、乳剤、水和剤、
懸濁剤、粉剤、顆粒水和剤、ペースト剤、エアゾール剤
などが挙げられる。これらの中でも、水溶液剤、有機溶
液剤、乳剤、水和剤などの液剤が好ましい。
【0028】ジャスモン酸系化合物を含む製剤は、例え
ば、ジャスモン酸系化合物の1種および2種以上と、固
体担体、液体担体、分散剤などとを適宜組み合わせて製
造することができる。例えば、液剤の場合には、ジャス
モン酸系化合物、液体担体、分散剤および所望によりそ
の他成分を混合して調製することができる。
【0029】前記固体担体の具体例としては、カオリナ
イト群、モンモリロナイト群、アタパルジャイト群、ジ
ークライトなどで代表されるクレー群、タルク、雲母、
葉ロウ石、軽石、バーミキュライト、石こう、炭酸カル
シウム、ドロマイト、ケイソウ土、マグネシウム、石
灰、リン石灰、ゼオライト、無水ケイ酸、合成ケイ酸カ
ルシウムなどの無機物質;大豆粉、タバコ粉、クルミ
粉、小麦粉、木粉、澱粉、結晶セルロース、エステルガ
ム、コーパルガム、ダンマルガムなどの植物性有機物
質;クマロン樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化
ビニル、ケトン樹脂などの合成高分子化合物;カルナバ
ロウ、密ロウなどのワックス類;尿素類などが挙げられ
る。これらの固体担体は、それぞれ単独で、あるいは2
種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】液体担体の具体例としては、ケロシン、鉱
油、スピンドル油、ホワイトオイル、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メチルナフタ
レンなどのパラフィン系、ナフテン系もしくは芳香族系
炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエ
チレン、モノクロロベンゼン、o−クロロトルエンなど
の塩素系炭化水素類;ジメチルエーテル、ジエチルエー
テル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル
類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、
ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサ
ノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;酢
酸エチル、酢酸アミル、エチレングリコールアセテー
ト、ジエチレングリコールアセテート、マレイン酸ジブ
チル、コハク酸ジエチルなどのエステル類;
【0031】メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ヘキサノール、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのア
ルコール類;エチレングリコールフェニルエーテル、ジ
エチレングリコールブチルエーテルなどのエーテル類;
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよび水
などが挙げられる。これらの中でも、炭化水素類、ケト
ン類、アルコール類または水の使用が好ましく、アルコ
ール類または水の使用がより好ましい。これらの液体担
体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0032】分散剤としては、通常の農薬分野で使用さ
れているものを使用できる。例えば、界面活性剤が挙げ
られる。界面活性剤としては、非イオン性、陽イオン
性、陰イオン性および両イオン性のいずれでもよいが、
非イオン性界面活性剤が好適である。これらの分散剤
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用
いることができる。
【0033】非イオン性界面活性剤としては、例えば、
2種以上のアルキレンオキシドのブロック縮重合体、ポ
リオキシアルキレンエーテル系化合物、ポリオキシアル
キレングリコール脂肪酸エステル系化合物、多価アルコ
ール系脂肪酸エステル化合物、ポリオキシアルキレン多
価アルコール系脂肪酸エステル化合物、ポリオキシアル
キレンアルキルアミン化合物、アルキルアルカノールア
ミド化合物などが挙げられる。
【0034】製剤中のジャスモン酸系化合物の濃度は、
通常、0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜80重
量%、より好ましくは0.5〜50重量%、特に好まし
くは1〜30重量%である。ジャスモン酸系化合物を含
む製剤は、そのまま対象植物に施用してもよいが、通
常、製剤を適当量の水で希釈し、得られる水希釈液を施
用する。
【0035】他の薬剤の具体例としては、ベンジルアデ
ニン、ジベレリン類、オーキシン類、インドール酢酸、
アブシジン酸、ブラシノステロイド類、2−クロロエチ
ルホスホン酸などが挙げられる。また、例えば、ブドウ
糖、庶糖などの糖類などの栄養剤;リン酸塩や硝酸塩の
ような肥料分;pH調節剤なども必要に応じて併用する
ことができる。ジャスモン酸系化合物を製剤化して使用
する場合には、これらの他の薬剤、栄養剤、肥料分、p
H調節剤を予め製剤に添加することができる。
【0036】2)花卉類の開花遅延方法 本発明の開花遅延方法は、ジャスモン酸系化合物の少な
くとも1種を花卉類に施用することを特徴とする。 (1)花卉類 本発明の適用対象となる花卉類は、観賞用に栽培される
花葉を有する植物であり、屋外で栽培されるものであっ
ても、温室や加温設備、電照設備を有する施設内で栽培
されるものであってもよい。
【0037】適用対象となる花卉類の具体例としては、
バラ、キク、ブバルディア、カーネーション、スイート
ピー、カスミソウ、ガーベラ、ユリ、リンドウ、ラン、
グラジオラス、トルコキキョウ、チューリップ、ストッ
ク、スターチス、シクラメン、ユキノシタ、ノースポー
ル、セイヨウクモマグサ、サクラ、ボケ、ウメ、さつ
き、つつじなどが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0038】(2)施用方法 ジャスモン酸系化合物は、花卉類の植物体全体に施用す
ることができるし、根部、茎葉部など植物体の一部に施
用することもできる。より優れた開花遅延効果を得るた
めには、花卉類の根部に施用するのが好ましい。
【0039】花卉類の植物体全体に施用する方法として
は、例えば、製剤を水で希釈した水希釈液を、対象植物
の全体へ散布、噴霧または塗布する方法が挙げられる。
花卉類の植物体の一部に施用する方法としては、製剤を
水で希釈した水希釈液を、対象植物の一部へ散布、噴霧
または塗布する方法などが挙げられる。
【0040】また、花卉類の根部に施用する方法として
は、より具体的には、圃場栽培の場合は、製剤を水で希
釈した水希釈液として潅水する方法、製剤を固体担体に
担持させたものを土壌中又は土壌表面におき、雨水や潅
水を通して施用する方法が挙げられる。また、水耕栽培
の場合は、製剤を水耕液に加え、切花の場合は、切り口
を製剤の水溶液等に浸漬する方法が挙げられる。
【0041】(3)施用時期、施用濃度など 施用時期は、品種や気象条件によって一様ではない。ま
た、施用回数は特に制約されず、1回でも複数回でもよ
い。より優れた開花遅延効果を得るためには、花芽分化
がなされた後から開花前までの時期に、毎日または2〜
3日おきに複数回施用するのが好ましい。
【0042】ジャスモン酸系化合物の施用濃度は、対象
となる花卉類の種類、施用形態、施用方法、施用時期な
どに応じて適宜選択することができる。例えば、ジャス
モン酸系化合物を含む製剤を水などに希釈して使用する
場合には、ジャスモン酸系化合物の濃度は、通常10〜
50,000ppm、好ましくは50〜10000pp
m、より好ましくは100〜5,000ppm、さらに
好ましくは200〜1,000ppmである。
【0043】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明
をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例によ
り何ら限定されるものではない。
【0044】製造例1 液剤Aの調製 n−プロピル(2−ペンチル−3−オキソ−シクロペン
チル)アセテート(一般名:プロヒドロジャスモン)5
部、およびポリオキシエチレンソルビタンのオレイン酸
エステル15部を、エタノール40部および水40部の
混合溶液に溶解して液剤Aを得た。
【0045】製造例2 液剤Bの調製 ジャスモン酸メチル5部およびポリオキシエチレンソル
ビタンのオレイン酸エステル15部を、エタノール40
部および水40部の混合溶液に溶解して液剤Bを得た。
【0046】実施例1 ユキノシタの1種であるセイヨ
ウクモマグサの開花遅延試験 市販の直径8cmの鉢に植えられた開花前のセイヨウク
モマグサ(Saxifraga rosacea)を屋
外で栽培した。開花前で、花蕾が多く存在する時期に、
製造例1で調製した液剤Aを500ppmの濃度に希釈
し、1鉢あたり5mlを土壌に潅注した。1区10鉢を
使用し、処理後2週間まで1日毎に開花数を計測し、溶
剤Aによる処理を全く行なわなかったものと比較した。
その結果を第1表に示す。
【0047】
【表1】
【0048】第1表からわかるように、液剤Aによる処
理により、セイヨウクモマグサの開花が7日間遅延し
た。また、その後の開花生育に影響はなかった。
【0049】実施例2 キクの1種であるノースポール
の開花遅延試験 市販の直径10cmの鉢に植えられた開花前のノースポ
ール(Chrysanthemum paludosu
)を屋外で栽培した。開花前で、花蕾が多く存在する
時期に、製造例2で調製した液剤Bを500ppmの濃
度に希釈し、鉢あたり10mlを土壌に潅注した。1区
10鉢を使用し、処理後2週間まで1日毎に開花数を計
測し、溶剤Bによる処理を全く行なわなかったものと比
較した。その結果を第2表に示す。
【0050】
【表2】
【0051】第2表から、液剤Bによる処理により、ノ
ースポールの開花が9日間遅延した。また、その後の開
花生育に影響はなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明の花卉類の開花遅延剤および開花
遅延方法によれば、花卉類の開花時期を効果的に遅延さ
せることができる。すなわち、花卉類の出荷時期を調節
することが可能となり、その商品価値を高めることがで
きる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有効成分として、式(1) 【化1】 (式中、Rは炭化水素基を表し、Rは水素原子また
    は炭化水素基を表す。)で示されるジャスモン酸系化合
    物の少なくとも1種を含有することを特徴とする花卉類
    の開花遅延剤。
  2. 【請求項2】前記ジャスモン酸系化合物が、前記式
    (1)において、Rがn−ペンテニル基であり、R
    が水素原子またはアルキル基である化合物を用いる請求
    項1に記載の花卉類の開花遅延剤。
  3. 【請求項3】前記式(1)で表されるジャスモン酸系化
    合物の少なくとも1種を、花卉類に施用することを特徴
    とする花卉類の開花遅延方法。
  4. 【請求項4】前記式(1)で表されるジャスモン酸系化
    合物の少なくとも1種を、花卉類の根部に施用すること
    を特徴とする花卉類の開花遅延方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100833547B1 (ko) 2006-03-03 2008-05-29 학교법인 포항공과대학교 식물체의 개화를 지연시키는 방법 및 그 방법에 의하여얻어진 식물체
CN103918492A (zh) * 2014-04-01 2014-07-16 重庆市中药研究院 一种闭蕾型灰毡毛忍冬有性繁殖方法及其应用

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