JP2013094121A - ユーカリ属の挿し木発根促進方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発根性を向上させ、ユーカリ属の効率的な挿し木苗生産を可能とする方法を提供する。
【解決手段】挿し穂基部にオーキシンとN,N′−ビス(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)尿素を処理することにより、挿し穂の発根が容易になる。
【選択図】なし

Description

本発明は、発根が困難とされるユーカリ属の挿し木増殖を可能にしたユーカリ属の挿し木発根促進方法に関し、より詳しくは植物発根促進剤を用いたユーカリ属の挿し木発根促進方法に関する。
ユーカリは種子植物で、被子植物の中の双子葉植物、離弁花類に属し、その1科であるフトモモ科(果樹のフェイジョアの属など約90属がある)の1属、ユーカリ(Eucalyptus)属の植物で、常緑性の広葉樹である。ユーカリ属植物は成長性に優れ、それに加えて、容積重やパルプ収率が高く、産業的に木材生産、パルプ材に適しており、世界各地で植林されている。
このうち、ユーカリ・グロブラス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・ナイテンス(Eucalyptus nitens)、ユーカリ・グランディス(Eucalyptus grandis)、ユーカリ・ユーロフィラ(Eucalyptus europhylla)、ユーカリ・ユーログランディス(Eucalyptus eurograndis)、ユーカリ・シトリオドーラ(Eucalyptus citriodora)、ユーカリ・カマルドレンシス(Eucalyptus camaldulensis)等は、世界で最も広範に、且つ多く造林されている樹種である。
このようにユーカリ属はパルプ材あるいは森林資源上、最重要樹種であり、世界各国に植林されている。しかしながら、例えばユーカリ・グロブラスは挿し木や組織培養による効率的な増殖が困難であるため(例えば、非特許文献1参照)、実生で苗を育成し植林しているのが現状である。実生の場合、遺伝的に均一でないため、生長が不揃いになり、収穫量が減少するか、あるいは収穫量が予測できない等の問題点を抱えている。
これらの問題を解決する方法として、ある基準で選抜された優良な実生苗を、クローン化技術を用いて苗を生産する方法が考えられる。高成長を示す個体をクローン化して苗を作製し、その苗を定植して育成できれば、収穫量の向上が可能になる。
挿し木は、切断された挿し穂の切り口を挿し床に入れ、そこで発根させ、独立した植物体を作り出す栄養繁殖方法である。この方法は草本から木本植物にいたるまで、母株と同一の遺伝的性質を備えたクローン苗を大量に作出する簡便な方法として普及している。従って、現実的には効率的なクローン増殖方法は挿し木に限定されるが、樹木のクローン増殖は困難なことが極めて多いのが現状である。
そのため、挿し木発根能はクローン苗生産性に大きな影響を与え、その向上は重要な課題である。発根性改良のためには外的要因と内的要因に着目する必要がある。外的要因では採穂母樹の管理方法、挿し木する際の温度、光、挿し床用土、水分管理等の環境操作に着目することで挿し木発根に最適な条件を見出し実現しようとする。
一方、内的要因に着目した検討では、挿し穂自体の発根性を向上させるべく検討を行う。このような挿し穂を得る方法として、例えば、暗黒状態で挿し穂を萌芽させる(黄化処理)、種々のオーキシンで挿し穂基部を処理する、樹齢の若い母樹から枝を採取し、挿し穂を調製する、採穂母樹をジベレリン生合成阻害剤で処理する方法がこれまでに報告されている。
内的要因に着目した検討のうち、多くの場合、オーキシンを用いると発根が良好になることが知られている(例えば、特許文献1および2参照)が、この用法によっても発根を促進することが困難、あるいは不可能な植物が多いことは良く知られている。特に木本類では発根させることが困難な場合が多い。オーキシンの代表的な化合物であるインドール酢酸およびインドール酪酸等のユーカリ・グロブラス挿し木への施用は、それ単体では発根促進性が充分に満足できるものとは言いがたいものがあった。
発根促進のためのオーキシン処理において、オーキシンを単独で処理するだけでなく、他の化合物を併用することで効果がさらに向上した事例が報告されている。例えば、ジベレリン生合成阻害剤とオーキシンの併用であり、オリーブの発根性に対し相乗効果があったと報告されている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、矮化処理した母樹の管理が煩雑であり、ジベレリン生合成阻害剤の有する生長抑制効果により、採取できる枝の数は少なくなり、生産した挿し木苗の生育が遅くなるという問題点があった。
特開2003−55366号公報 特開2001−139405号公報
伊藤一弥、「ユーカリ グロブラスのクローン植林−優良木の選抜および試験植林−」、紙パ技協誌、紙パルプ技術協会、2006年、第60巻、第4号、p.476−485 Wiesman、Z.、Lavee、S.、Plant Growth Regulation 14、p.83−90、1994
本発明は、生産したユーカリ属植物の挿し木苗が、効率的に発根率を向上させる技術を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、ユーカリ属植物の挿し穂基部への薬剤処理により、挿し木発根率の向上を鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表されるウレア化合物がオーキシン存在下において、挿し穂の枯死、または腐敗を抑制し、挿し木苗の生存率を著しく改善し、優れた発根促進作用を有し、挿し穂の活着、挿し穂からの芽の成長が良好になることを見出した。
すなわち、本発明は、ユーカリ属の挿し穂基部をオーキシンと下記一般式(I)で表されるウレア化合物で処理し、且つ、該ウレア化合物の固体担体希釈の濃度が250mg/kg以上、16000mg/kg以下であること、または液体担体希釈の濃度が1mg/L以上、10000mg/L以下であることを特徴とするユーカリ属の挿し木発根促進方法である。
また、一般式(I)で示されるウレア化合物であるN,N′−ビス(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)尿素の濃度は固体担体で希釈した場合、1000から8000mg/kgであることが好ましく、液体担体で希釈した場合、100から1000mg/Lが好ましい。一方、挿し穂に使用するオーキシンにはインドール酪酸が好ましい。
さらに、挿し穂を採取する母樹としては、挿し木苗、接木苗、実生苗から選ばれるいずれかを用いることが好ましい。
本発明によれば、ユーカリ種の挿し穂からの発根性を向上させることができ、効率的な苗生産が可能となる。
挿し穂からの発根の様子を示した写真である。
上段の挿し穂はオーキシンであるインドール酪酸とウレア化合物であるN,N′−ビス(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)尿素を併用処理した(本発明内)もの、下段の挿し穂はインドール酪酸単体を処理した(本発明外)ものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、採穂母樹に用いるユーカリ属植物の形態について説明する。挿し穂を採取する母樹の形態としては、実生苗、接木苗、挿し木苗を用いることができる。1年生から2年生の若い母樹が好ましい。一般的に、発根能の高い挿し穂は、健全な採穂母樹より得られる。挿し穂母樹自体、適正な栄養条件、環境条件の下、栽培することが好ましい。母樹への潅水は、植物が萎れない程度に行い、施肥は週1回程度行うことが好ましい。肥料として、市販の液肥を用いることもできる。その濃度は、1〜2g/L程度を与える。温度は、20〜40℃に保つことが好ましい。1日の最低気温が5℃を下回る日が数日続くような環境は好ましくない。
その母樹の中で、挿し木苗に使用する挿し穂は、当年枝までの若い枝またはそこから発生した側枝で、材料となる枝を選択、採取する。採取した枝は、用意している水にただちに浸漬する。より好ましくは、植物の伸長成長が活発である夏季に採取することが望ましい。
採取した枝または側枝は、2枚の葉をつけた状態で、1節ごとの長さに切り分けていき、これを挿し穂とする。このとき挿し穂の長さは、1節で3mm以上が好ましい。なお、挿し穂となる枝の直径サイズに関しては、5mm以下が好ましい。
調製した挿し穂の切削基部に、オーキシンと併用して本発明に係るウレア化合物を処理する。本発明に係るウレア化合物は難水溶性であるため、処理方法としては、オーキシンの水溶液中に採穂を浸漬した後、本発明に係るウレア化合物を挿し穂基部に処理し、次いで挿し床に挿す方法、挿し穂の切削基部に薬剤を塗布する方法、または薬剤を担体と混合して、水溶液、乳剤、水和剤、粉剤、粒剤、錠剤、軟膏剤等に製剤し、そのまま、または一般の増量剤、すなわち液体または固体希釈剤で希釈して、茎葉散布、塗布、浸漬するなどの方法が有効である。いずれにおいても本発明に係るウレア化合物が安定であることが好ましい。
オーキシンとしてはインドール酢酸(IAA)、インドール酪酸(IBA)、ナフチル酢酸(NAA)および2,4−ジクロロフェノキシ酢酸などの単体または2種類以上併用したものを用いることができる。これらのオーキシンのうち、インドール酪酸を用いると発根率が高いので特に好ましい。
本発明に係る担体としては、植物の発根促進剤に通常使用される不活性鉱物質微粉末、不活性有機溶剤、または水などが使用される。すなわちタルク、クレー、バーミキュライト、珪藻土、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、白土、シリカゲルなどの無機質や小麦粉、デンプンなどの固体担体と水、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの液体担体を用いることができる。
また、製剤の性状を改善する、または薬剤の効果を高める目的で、種々の界面活性剤、高分子化合物等が適宜使用される。例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸などの陰イオン性界面活性剤、高級脂肪族アミンの塩類などの陽イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール多価アルコールアシルエステル、セルロース誘導体などの非イオン性界面活性剤、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴムなどの増粘剤、増量剤、結合剤などを適宜配合することができる。
さらに必要に応じて、公知の植物成長調整剤、例えば、安息香酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピペコリン酸などや、殺菌剤、肥料を、本発明に係るウレア化合物の効果を損なわない範囲で配合することができる。
薬剤処理した挿し穂を保水性、通気性に富むスポンジ状の多孔性物質(ココヤシ繊維を主成分にピートモスを主成分とする培土を加え、成型材として親水性ウレタンプレポリマーを添加し、スポンジ状に加工した成型培土)に挿し穂の最下位から1.5mmの所まで挿し付け、これを挿し木苗とする。この挿し床を用いることで、挿し木作業、発根確認、鉢上げ等の労働性を改善できる。
挿し床としては、赤土、鹿沼土、ピートモス、バーミキュライト、パーライト等、一般的な培養土を単独で、または適宜配合したものを用いることができる。この素材は、非常に乾きやすいため、ピート等の保水性の良い土で満たした排水口のある、高さ5.5cm、直径4.5cmのトレーに、この成型培土を埋め込んで、挿し木苗とする。
挿し木苗は、乾き過ぎないように、1日1〜2回程度の潅水管理を行い、6週間から8週間、静置する。
下記実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1〜7]
ユーカリ・グロブラスの腋芽枝を採取し、枝の5〜10節間をそれぞれ切り分けた。各枝における葉からの蒸散を抑えるため、葉面積が1/2から1/3になるように葉を切り、挿し穂とした。本実施例では、インドール酢酸(以下、IAAとする)/タルク粉体(有効成分濃度4000mg/kg)に、一般式(I)で示されるN,N′−ビス(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)尿素を混ぜ、ウレア化合物の濃度を250、500、1000、2000、4000、8000、16000mg/kgとし、挿し穂(100本)の切り口に塗布した。
それら挿し穂をスポンジ状の多孔性物質(ココヤシ繊維を主成分にピートモスを主成分とする培土を加え、成型材として親水性ウレタンプレポリマーを添加し、スポンジ状に加工した成型培土)に挿し、ピートモス/バーミキュライト=1:1(v/v)で満たしたトレー内に、この成型培土を入れて挿し木苗とした。温度26℃、湿度80%RHの温室にて静置させ、毎日潅水した。8週間後、発根率と芽の成長量を確認した。
発根率(%)は植え替えに充分な発根を示したものの数を挿し穂の数で割ったものである。活着した挿し穂から発生する芽の平均長さが2cm以上であった実験区には◎を、1cm以上、2cm未満の実験区には○を、1cm未満のものには△を記した。
[比較例1]
実施例1に対し、一般式(I)で示されるウレア化合物を混ぜない、すなわちIAA単体を挿し穂に処理すること以外は、実施例1と同様にして試験を行った。
[比較例2]
実施例1に対し、一般式(I)で示されるウレア化合物100mg/kgをIAA/タルク粉体(有効成分濃度4000mg/kg)に混ぜること以外は、実施例1と同様にして試験を行った。
[比較例3]
実施例1に対し、一般式(I)で示されるウレア化合物20000mg/kgをIAA/タルク粉体(有効成分濃度4000mg/kg)に混ぜること以外は、実施例1と同様にして試験を行った。それぞれ得られた結果を表1に示す。
表1より、ウレア化合物の添加濃度が250から16000mg/kgのとき、挿し穂からの発根率が30%以上と高くなった。より好ましくは1000から16000mg/kgであり、40%前後の発根率を示した。比較例2のように250mg/kg未満の低い添加濃度では比較例1の結果と有意差がなく、反対に比較例3のように16000mg/kgより高い濃度で処理を行うと薬害により発根率は低下した。一方、芽の生育に着目したとき、比較例に比べ、良好であったウレア化合物の濃度範囲は500から16000mg/kgであり、より好ましくは1000から8000mg/kgであった。
[実施例8〜10]
供試植物として、ユーカリ・グロブラスを用いた。本実施例では、ナフチル酢酸(以下、NAAとする)/タルク粉体(有効成分濃度4000mg/kg)に、一般式(I)で示されるウレア化合物を混ぜ、このウレア化合物を任意の濃度(500、4000、8000mg/kg)に希釈し、挿し穂(100本)の切り口に塗布した。オーキシンの種類以外は実施例1と同様に挿し穂を調製、管理した。得られた結果を表2に示す。
表2より明らかなように、発根率については500mg/kgよりも4000および8000mg/kgでより高い値を示した。実施例1で使用したIAAとは異なるオーキシンであっても効果があり、NAAはIAAより高い発根促進効果を示した。
[実施例11〜15]
供試植物として、ユーカリ・グロブラスを用いた。本実施例では、インドール酪酸(以下、IBAとする)/タルク粉体(有効成分濃度4000、および8000mg/kg)に、一般式(I)で示されるN,N′−ビス(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)尿素を混ぜ、このウレア化合物を任意の濃度(1000、2000、4000、8000mg/kg)に希釈し、挿し穂(100本)の切り口に塗布した。オーキシンの種類、処理濃度以外は実施例1、2と同様に挿し穂を調製、管理した。得られた結果を表3に示す。
表3より明らかなように、発根率が50%以上を示すウレア化合物の添加濃度は1000から8000mg/kgであり、特にウレア化合物の添加濃度が4000mg/kgで最も高い発根率を示した。実施例1、2で使用したIAA、NAAよりIBAが最も高い発根促進効果を示した。一方、芽の成長具合に関しても良好であった。
[実施例16〜22]
供試植物として、ユーカリ・グロブラスを用いた。本実施例では、一般式(I)で示されるウレア化合物をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、任意の濃度(1、10、100、500、1000、5000、10000mg/L)を調製した。あらかじめ挿し穂(100本)の切り口をこの溶液に浸漬させた後、IBA/タルク粉体(有効成分濃度4000mg/kg)を塗布した。ウレア化合物の挿し穂への処理方法以外は実施例1から3と同様に挿し穂を調製、管理した。
[比較例4]
実施例16に対し、一般式(I)で示されるウレア化合物を混ぜない、すなわちIBA単体を挿し穂に処理すること以外は、実施例16と同様にして試験を行った。
[比較例5]
実施例16に対し、一般式(I)で示されるウレア化合物のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(0.5mg/L)に挿し穂を浸漬すること以外は、実施例16と同様にして試験を行った。
[比較例6]
実施例16に対し、一般式(I)で示されるウレア化合物のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(15000mg/L)に挿し穂を浸漬すること以外は、実施例16と同様にして試験を行った。それぞれ得られた結果を表4に示す。
一般式(I)で示されるウレア化合物の濃度が1から10000mg/Lのとき、処理した挿し穂の発根率は30%以上となり、発根率が向上した。特に100から1000mg/Lのとき、発根率は55から60%と非常に高くなり、芽の成長も良好であった。一方、比較例5に示されるように0.5mg/Lの濃度で処理した挿し穂の発根率、および芽の成長は、比較例4の結果と有意な差がなかった。反対に、処理したウレア化合物の濃度が15000mg/L以上と高濃度の場合、発根率は著しく低下した。本実施例で示すように、液体担体でウレア化合物を処理する方法の特徴として、固体担体での処理方法に比べて、高発根率を示すウレア化合物の使用量が低くなる利点が挙げられる。
本発明の方法に従うと、製紙用パルプ原料となるユーカリ属の挿し木が非常に容易になり、この植物の挿し木苗大量生産時に利用可能である。
このうち、ユーカリ・グロブラス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・ナイテンス(Eucalyptus nitens)、ユーカリ・グランディス(Eucalyptus grandis)、ユーカリ・ユーロフィラ(Eucalyptusrophylla)、ユーカリ・ユーログランディス(Eucalyptusrograndis)、ユーカリ・シトリオドーラ(Eucalyptus citriodora)、ユーカリ・カマルドレンシス(Eucalyptus camaldulensis)等は、世界で最も広範に、且つ多く造林されている樹種である。
内的要因に着目した検討のうち、多くの場合、オーキシンを用いると発根が良好になることが知られている(例えば、特許文献1および2参照)が、この用法によっても発根を促進することが困難、あるいは不可能な植物が多いことは良く知られている。特に木本類では発根させることが困難な場合が多い。オーキシンの代表的な化合物であるインドール酢酸およびインドール酪酸等のユーカリ挿し木への施用は、それ単体では発根促進性が充分に満足できるものとは言いがたいものがあった。
採取した枝または側枝は、2枚の葉をつけた状態で、1節ごとの長さに切り分けていき、これを挿し穂とする。このとき挿し穂の長さは、1節で3cm以上が好ましい。なお、挿し穂となる枝の直径サイズに関しては、5mm以下が好ましい。
薬剤処理した挿し穂を保水性、通気性に富むスポンジ状の多孔性物質(ココヤシ繊維を主成分にピートモスを主成分とする培土を加え、成型材として親水性ウレタンプレポリマーを添加し、スポンジ状に加工した成型培土)に挿し穂の最下位から1.5cmの所まで挿し付け、これを挿し木苗とする。この挿し床を用いることで、挿し木作業、発根確認、鉢上げ等の労働性を改善できる。

Claims (7)

  1. ユーカリ属の挿し穂基部をオーキシンと一般式(I)で表されるウレア化合物で処理し、且つ、該ウレア化合物の固体担体希釈の濃度が250mg/kg以上、16000mg/kg以下であることを特徴とするユーカリ属の挿し木発根促進方法。
  2. ユーカリ属の挿し穂基部をオーキシンと一般式(I)で表されるウレア化合物で処理し、且つ、該ウレア化合物の液体担体希釈の濃度が1mg/L以上、10000mg/L以下であることを特徴とするユーカリ属の挿し木発根促進方法。
  3. 一般式(I)で表されるウレア化合物の固体担体希釈の濃度が1000mg/kg以上、8000mg/kg以下であることを特徴とする請求項1記載のユーカリ属の挿し木発根促進方法。
  4. 液体担体希釈の濃度が100mg/L以上、1000mg/L以下であることを特徴とする請求項2記載のユーカリ属の挿し木発根促進方法。
  5. オーキシンの種類がインドール酪酸である請求項1から4のいずれか記載のユーカリ属の挿し木発根促進方法。
  6. 挿し穂を採取する母樹として、挿し木苗、接木苗、実生苗から選ばれるいずれかを用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載のユーカリ属の挿し木発根促進方法。
  7. ユーカリ属が、ユーカリ・グロブラス、ユーカリ・ナイテンス、ユーカリ・グランディス、ユーカリ・ユーロフィラ、ユーログランディス、ユーカリ・シトリオドーラまたはユーカリ・カマルドレンシスである請求項1から6のいずれかに記載のユーカリ属の挿し木発根促進方法。
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