JP2003332819A - アレーアンテナの制御方法 - Google Patents
アレーアンテナの制御方法Info
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- JP2003332819A JP2003332819A JP2002136984A JP2002136984A JP2003332819A JP 2003332819 A JP2003332819 A JP 2003332819A JP 2002136984 A JP2002136984 A JP 2002136984A JP 2002136984 A JP2002136984 A JP 2002136984A JP 2003332819 A JP2003332819 A JP 2003332819A
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- Aerials With Secondary Devices (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アレーアンテナ装置において参照信号を用い
ずに主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向に
ヌルを向ける。 【解決手段】 適応制御型コントローラ10は、無線信
号を受信する励振素子A0と、可変リアクタンス素子が
それぞれ接続された非励振素子A1乃至A6とを備えた
アレーアンテナ装置100において、各可変リアクタン
ス素子のリアクタンス値を順次摂動させ、各リアクタン
ス値に対する所定の目的関数の勾配ベクトルを計算し、
勾配ベクトルに基づいて目的関数の値が最大となるよう
に各リアクタンス値を計算して設定する。目的関数は4
個の変数を有する4次のキュムラントにおいて、変数と
して2個の同一のアレーアンテナの受信信号と2個の同
一の受信信号の複素共役の信号とを含む受信信号のキュ
ムラントを計算し、受信信号のパワーを計算し、計算さ
れた受信信号のパワーの2乗に対する受信信号のキュム
ラントの比の値を計算して演算される。
ずに主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向に
ヌルを向ける。 【解決手段】 適応制御型コントローラ10は、無線信
号を受信する励振素子A0と、可変リアクタンス素子が
それぞれ接続された非励振素子A1乃至A6とを備えた
アレーアンテナ装置100において、各可変リアクタン
ス素子のリアクタンス値を順次摂動させ、各リアクタン
ス値に対する所定の目的関数の勾配ベクトルを計算し、
勾配ベクトルに基づいて目的関数の値が最大となるよう
に各リアクタンス値を計算して設定する。目的関数は4
個の変数を有する4次のキュムラントにおいて、変数と
して2個の同一のアレーアンテナの受信信号と2個の同
一の受信信号の複素共役の信号とを含む受信信号のキュ
ムラントを計算し、受信信号のパワーを計算し、計算さ
れた受信信号のパワーの2乗に対する受信信号のキュム
ラントの比の値を計算して演算される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のアンテナ素
子からなるアレーアンテナ装置の指向特性を変化させる
ことができるアレーアンテナの制御装置及び制御方法に
関し、特に、指向特性を適応的に変化させることができ
る電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically
Steerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antenn
a;以下、エスパアンテナという。)の制御方法に関す
る。
子からなるアレーアンテナ装置の指向特性を変化させる
ことができるアレーアンテナの制御装置及び制御方法に
関し、特に、指向特性を適応的に変化させることができ
る電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically
Steerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antenn
a;以下、エスパアンテナという。)の制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】送信される複数の干渉波信号の中から所
望波信号を受信側端末装置で適応的にフィルタリングす
るために、複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナ
を受信側で適応制御することによって、所望波の方向に
主ビームを向けかつ干渉波の方向にヌルを形成する技術
が存在している。また、無線通信には、マルチパス伝搬
と、同一チャンネル干渉(CCI)とが、無線システム
に悪影響を及ぼす2つの問題として存在する。これらの
問題はそれぞれ、TDMA無線システムにおける周波数
の再使用に起因するシンボル間干渉(ISI)及び同一
チャンネル干渉、又はCDMA無線システムにおけるマ
ルチユーザアクセス干渉(MAI)として現れる。
望波信号を受信側端末装置で適応的にフィルタリングす
るために、複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナ
を受信側で適応制御することによって、所望波の方向に
主ビームを向けかつ干渉波の方向にヌルを形成する技術
が存在している。また、無線通信には、マルチパス伝搬
と、同一チャンネル干渉(CCI)とが、無線システム
に悪影響を及ぼす2つの問題として存在する。これらの
問題はそれぞれ、TDMA無線システムにおける周波数
の再使用に起因するシンボル間干渉(ISI)及び同一
チャンネル干渉、又はCDMA無線システムにおけるマ
ルチユーザアクセス干渉(MAI)として現れる。
【0003】無線通信において、アレーアンテナに基づ
く時空間適応型処理(従来技術文献1「K. Yang 他, "A
signal subspace-based subband approach to space-t
imeadaptive processing for mobule communications",
IEEE Transactions on Signal Processing, Vol. 49,
No. 2, pp. 401-413, 2001年2月」を参照)は、シ
ンボル間干渉(ISI)及び同一チャンネルユーザ干渉
(CCI)を共に抑圧することに効果を示している。特
に、TDMA又は直接拡散(シーケンス)CDMA(D
S−CDMA)無線通信システムに対して、時空間適応
型処理の方法が提案され、解析されている。しかしなが
ら、ハードウェア実装における大きな複雑さと高コスト
とのために、そのアプリケーションは制限されている。
く時空間適応型処理(従来技術文献1「K. Yang 他, "A
signal subspace-based subband approach to space-t
imeadaptive processing for mobule communications",
IEEE Transactions on Signal Processing, Vol. 49,
No. 2, pp. 401-413, 2001年2月」を参照)は、シ
ンボル間干渉(ISI)及び同一チャンネルユーザ干渉
(CCI)を共に抑圧することに効果を示している。特
に、TDMA又は直接拡散(シーケンス)CDMA(D
S−CDMA)無線通信システムに対して、時空間適応
型処理の方法が提案され、解析されている。しかしなが
ら、ハードウェア実装における大きな複雑さと高コスト
とのために、そのアプリケーションは制限されている。
【0004】最近、複数の非励振素子を使用する単一ポ
ートの電子制御導波器アレーアンテナ装置(ESPAR
(エスパ)アンテナ)が開発された。エスパアンテナ
は、例えば、従来技術文献2「T. Ohira, "Microwave s
ignal processing and devicesfor adaptive beamformi
ng," IEEE Antenna and Propagation society Internat
ional Symposium Vol. two, pp. 583-586, Salt Lake C
ity, Utah July 16-21,2000」や特開2001−244
31号公報において提案されている。このエスパアンテ
ナは、無線信号が送受信される励振素子と、この励振素
子から所定の間隔だけ離れて設けられ、無線信号が送受
信されない少なくとも1個の非励振素子と、この非励振
素子に接続された可変リアクタンス素子とから成るアレ
ーアンテナを備え、上記可変リアクタンス素子のリアク
タンス値を変化させることにより、上記アレーアンテナ
の指向特性を変化させることができる。このアレーアン
テナを受信側で適応制御する方法としては、送信側で各
無線パケットデータの先頭部分に学習シーケンス信号な
どの参照信号を予め含ませておき、当該学習シーケンス
信号と同一の信号を受信側でも発生させ、受信側におい
て、受信された学習シーケンス信号と、上記発生された
学習シーケンス信号との相互相関が最大となることを規
範(評価基準)として、上記可変リアクタンス素子のリ
アクタンス値を変化させてその指向特性を変化させ、こ
れにより、アレーアンテナの指向性を最適パターンとな
るように、すなわち所望波の方向に主ビームを向けかつ
干渉波の方向にヌルを形成するパターンとなるように適
応制御する。本発明者らは、特願2001−59981
号の特許出願において、アドホック無線通信システムの
ための、小さい複雑さと低いコストの、エスパアンテナ
に基づく時空間適応型フィルタリング(STAF)の制
御方法を提案した。
ートの電子制御導波器アレーアンテナ装置(ESPAR
(エスパ)アンテナ)が開発された。エスパアンテナ
は、例えば、従来技術文献2「T. Ohira, "Microwave s
ignal processing and devicesfor adaptive beamformi
ng," IEEE Antenna and Propagation society Internat
ional Symposium Vol. two, pp. 583-586, Salt Lake C
ity, Utah July 16-21,2000」や特開2001−244
31号公報において提案されている。このエスパアンテ
ナは、無線信号が送受信される励振素子と、この励振素
子から所定の間隔だけ離れて設けられ、無線信号が送受
信されない少なくとも1個の非励振素子と、この非励振
素子に接続された可変リアクタンス素子とから成るアレ
ーアンテナを備え、上記可変リアクタンス素子のリアク
タンス値を変化させることにより、上記アレーアンテナ
の指向特性を変化させることができる。このアレーアン
テナを受信側で適応制御する方法としては、送信側で各
無線パケットデータの先頭部分に学習シーケンス信号な
どの参照信号を予め含ませておき、当該学習シーケンス
信号と同一の信号を受信側でも発生させ、受信側におい
て、受信された学習シーケンス信号と、上記発生された
学習シーケンス信号との相互相関が最大となることを規
範(評価基準)として、上記可変リアクタンス素子のリ
アクタンス値を変化させてその指向特性を変化させ、こ
れにより、アレーアンテナの指向性を最適パターンとな
るように、すなわち所望波の方向に主ビームを向けかつ
干渉波の方向にヌルを形成するパターンとなるように適
応制御する。本発明者らは、特願2001−59981
号の特許出願において、アドホック無線通信システムの
ための、小さい複雑さと低いコストの、エスパアンテナ
に基づく時空間適応型フィルタリング(STAF)の制
御方法を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特許出願における時空間適応型フィルタリングの制御方
法では、エスパアンテナの非励振素子に関連したリアク
タンスと、縦続接続された時間領域等化器の重み係数と
を制御(トレーニング又は学習)するために、長い参照
信号が必要であり、この長い参照信号は、実際には、情
報ビットの減少と同期化のコストとをもたらす。また、
従来の制御方法では、この参照信号を予め送信側及び受
信側の両方で一致させておく必要があり、これにより、
適応制御のための回路が複雑になるという問題点があっ
た。実際には、例えば、パイロット信号の時間が限定さ
れるような移動体通信システム、又は通信の逆探知シス
テム、ソナーなどのアプリケーションシステムにおい
て、所望される信号源の参照信号の継続時間の長さが短
かったり、もしくは参照信号をまったく利用できないな
どの状況が存在する。この場合には、上述の適応制御の
方法を用いることができないという問題があった。従っ
て、参照信号(学習シーケンス)なしの方法、すなわち
ブラインドの方法を開発することが重要な問題となる。
特許出願における時空間適応型フィルタリングの制御方
法では、エスパアンテナの非励振素子に関連したリアク
タンスと、縦続接続された時間領域等化器の重み係数と
を制御(トレーニング又は学習)するために、長い参照
信号が必要であり、この長い参照信号は、実際には、情
報ビットの減少と同期化のコストとをもたらす。また、
従来の制御方法では、この参照信号を予め送信側及び受
信側の両方で一致させておく必要があり、これにより、
適応制御のための回路が複雑になるという問題点があっ
た。実際には、例えば、パイロット信号の時間が限定さ
れるような移動体通信システム、又は通信の逆探知シス
テム、ソナーなどのアプリケーションシステムにおい
て、所望される信号源の参照信号の継続時間の長さが短
かったり、もしくは参照信号をまったく利用できないな
どの状況が存在する。この場合には、上述の適応制御の
方法を用いることができないという問題があった。従っ
て、参照信号(学習シーケンス)なしの方法、すなわち
ブラインドの方法を開発することが重要な問題となる。
【0006】本発明の目的は以上の問題点を解決し、参
照信号を必要とせずに、制御回路が簡単であって、アレ
ーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波
の方向にヌルを向けるように適応制御することができる
アレーアンテナの制御方法を提供することにある。
照信号を必要とせずに、制御回路が簡単であって、アレ
ーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波
の方向にヌルを向けるように適応制御することができる
アレーアンテナの制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の態様
のアレーアンテナの制御方法は、無線信号を受信するた
めの放射素子と、上記放射素子から所定の間隔だけ離れ
て設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励振素
子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子と
を備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値
を変化させることにより、上記複数の非励振素子をそれ
ぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナ
の指向特性を変化させるアレーアンテナの制御方法にお
いて、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を
順次所定のシフト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に
対する所定の目的関数の勾配ベクトルを計算し、計算さ
れた勾配ベクトルに基づいて上記目的関数の値が最大と
なるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の
方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可
変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定す
るステップを含み、2以上の自然数であるm個の第1の
変数と、m個の第2の変数とを有する2m次のキュムラ
ントにおいて、第1の変数としてm個の同一の当該アレ
ーアンテナの受信信号を含み、第2の変数としてm個の
同一の上記受信信号の複素共役の信号を含む受信信号の
キュムラントを計算し、上記受信信号のパワーを計算
し、上記計算された受信信号のパワーのm乗に対する上
記受信信号のキュムラントの比の値を計算することによ
って上記目的関数は演算されることを特徴とする。
のアレーアンテナの制御方法は、無線信号を受信するた
めの放射素子と、上記放射素子から所定の間隔だけ離れ
て設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励振素
子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子と
を備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値
を変化させることにより、上記複数の非励振素子をそれ
ぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナ
の指向特性を変化させるアレーアンテナの制御方法にお
いて、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を
順次所定のシフト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に
対する所定の目的関数の勾配ベクトルを計算し、計算さ
れた勾配ベクトルに基づいて上記目的関数の値が最大と
なるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の
方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可
変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定す
るステップを含み、2以上の自然数であるm個の第1の
変数と、m個の第2の変数とを有する2m次のキュムラ
ントにおいて、第1の変数としてm個の同一の当該アレ
ーアンテナの受信信号を含み、第2の変数としてm個の
同一の上記受信信号の複素共役の信号を含む受信信号の
キュムラントを計算し、上記受信信号のパワーを計算
し、上記計算された受信信号のパワーのm乗に対する上
記受信信号のキュムラントの比の値を計算することによ
って上記目的関数は演算されることを特徴とする。
【0008】本発明に係る第2の態様のアレーアンテナ
の制御方法は、無線信号を受信するための放射素子と、
上記放射素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数
の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続
された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可
変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させること
により、上記複数の非励振素子をそれぞれ導波器又は反
射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化
させるアレーアンテナの制御方法において、上記アレー
アンテナにおいて受信された無線信号を複数の時間領域
のサブ信号に分割し、上記分割した複数のサブ信号に対
してそれぞれ所定の重み係数を乗算した後加算すること
により時間領域の信号処理を実行して出力信号として出
力するステップを含み、上記重み係数は、上記各可変リ
アクタンス素子のリアクタンス値が変化されるたびに、
上記各サブ信号と上記出力信号に基づいて、所定の目的
関数が最大化されるように演算され、上記各可変リアク
タンス素子のリアクタンス値を順次所定のシフト量だけ
摂動させ、各リアクタンス値に対する上記目的関数の勾
配ベクトルを計算し、計算された勾配ベクトルに基づい
て上記目的関数の値が最大となるように、上記アレーア
ンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方
向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリア
クタンス値を計算して設定するステップを含み、2以上
の自然数であるm個の第1の変数と、m個の第2の変数
とを有する2m次のキュムラントにおいて、第1の変数
としてm個の同一の上記出力信号を含み、第2の変数と
してm個の同一の上記出力信号の複素共役の信号を含む
出力信号のキュムラントを計算し、上記出力信号のパワ
ーを計算し、上記計算された出力信号のパワーのm乗に
対する上記出力信号のキュムラントの比の値を計算する
ことによって上記目的関数は演算されることを特徴とす
る。
の制御方法は、無線信号を受信するための放射素子と、
上記放射素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数
の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続
された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可
変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させること
により、上記複数の非励振素子をそれぞれ導波器又は反
射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化
させるアレーアンテナの制御方法において、上記アレー
アンテナにおいて受信された無線信号を複数の時間領域
のサブ信号に分割し、上記分割した複数のサブ信号に対
してそれぞれ所定の重み係数を乗算した後加算すること
により時間領域の信号処理を実行して出力信号として出
力するステップを含み、上記重み係数は、上記各可変リ
アクタンス素子のリアクタンス値が変化されるたびに、
上記各サブ信号と上記出力信号に基づいて、所定の目的
関数が最大化されるように演算され、上記各可変リアク
タンス素子のリアクタンス値を順次所定のシフト量だけ
摂動させ、各リアクタンス値に対する上記目的関数の勾
配ベクトルを計算し、計算された勾配ベクトルに基づい
て上記目的関数の値が最大となるように、上記アレーア
ンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方
向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリア
クタンス値を計算して設定するステップを含み、2以上
の自然数であるm個の第1の変数と、m個の第2の変数
とを有する2m次のキュムラントにおいて、第1の変数
としてm個の同一の上記出力信号を含み、第2の変数と
してm個の同一の上記出力信号の複素共役の信号を含む
出力信号のキュムラントを計算し、上記出力信号のパワ
ーを計算し、上記計算された出力信号のパワーのm乗に
対する上記出力信号のキュムラントの比の値を計算する
ことによって上記目的関数は演算されることを特徴とす
る。
【0009】上記アレーアンテナの制御方法において、
上記各サブ信号を成分とする受信信号ベクトルYの自己
相関行列Rを計算する第1のステップと、複数N個の上
記サブ信号に対して、複数N個の所定の重み係数をそれ
ぞれ乗算した後、乗算結果の各信号を加算した結果の出
力信号yを出力する第2のステップと、m個の第1の変
数と、(m−1)個の第2の変数と、1個の第3の変数
とを有する2m次のキュムラントにおいて、第1の変数
としてm個の同一の上記出力信号yを含み、第2の変数
として(m−1)個の同一の上記出力信号の複素共役の
信号y*を含み、第3の変数として上記受信信号ベクト
ルYの複素共役ベクトルY*を含むキュムラントベクト
ルdを計算する第3のステップと、上記計算された受信
信号ベクトルYの自己相関行列Rと、上記計算されたキ
ュムラントベクトルdとに基づいて、次式
上記各サブ信号を成分とする受信信号ベクトルYの自己
相関行列Rを計算する第1のステップと、複数N個の上
記サブ信号に対して、複数N個の所定の重み係数をそれ
ぞれ乗算した後、乗算結果の各信号を加算した結果の出
力信号yを出力する第2のステップと、m個の第1の変
数と、(m−1)個の第2の変数と、1個の第3の変数
とを有する2m次のキュムラントにおいて、第1の変数
としてm個の同一の上記出力信号yを含み、第2の変数
として(m−1)個の同一の上記出力信号の複素共役の
信号y*を含み、第3の変数として上記受信信号ベクト
ルYの複素共役ベクトルY*を含むキュムラントベクト
ルdを計算する第3のステップと、上記計算された受信
信号ベクトルYの自己相関行列Rと、上記計算されたキ
ュムラントベクトルdとに基づいて、次式
【数2】
を用いて、上記各重み係数を成分とする重み係数ベクト
ルWを計算して設定する第4のステップと、上記第2乃
至第4のステップを繰り返すことによって、所望波以外
の信号を抑圧するように上記時間領域の信号処理を実行
する第5のステップと、所定の反復で出力された出力信
号yに基づいて計算された目的関数の値と、上記所定の
反復の前回の反復で出力された出力信号yに基づいて計
算された目的関数の値との差が所定のしきい値よりも小
さいときに上記第5のステップの処理を停止する第6の
ステップとを実行することによって上記重み係数は演算
されることを特徴とする。
ルWを計算して設定する第4のステップと、上記第2乃
至第4のステップを繰り返すことによって、所望波以外
の信号を抑圧するように上記時間領域の信号処理を実行
する第5のステップと、所定の反復で出力された出力信
号yに基づいて計算された目的関数の値と、上記所定の
反復の前回の反復で出力された出力信号yに基づいて計
算された目的関数の値との差が所定のしきい値よりも小
さいときに上記第5のステップの処理を停止する第6の
ステップとを実行することによって上記重み係数は演算
されることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について説明する。
施形態について説明する。
【0011】<第1の実施形態>図1は本発明の第1の
実施形態に係るブラインド適応制御処理(又はブライン
ド空間ビーム形成)を実行するアレーアンテナの制御装
置のブロック図である。本実施形態のアレーアンテナの
制御方法は、特に、送信局で発生される学習シーケンス
信号と同一のデータ系列を有する学習シーケンス信号を
受信端末で発生させて参照することを必要とせず(本願
明細書では、このことをブラインドと呼ぶ。)、所望波
信号の到来方向にビームを向け、干渉波信号にヌルを向
けることを特徴としている。
実施形態に係るブラインド適応制御処理(又はブライン
ド空間ビーム形成)を実行するアレーアンテナの制御装
置のブロック図である。本実施形態のアレーアンテナの
制御方法は、特に、送信局で発生される学習シーケンス
信号と同一のデータ系列を有する学習シーケンス信号を
受信端末で発生させて参照することを必要とせず(本願
明細書では、このことをブラインドと呼ぶ。)、所望波
信号の到来方向にビームを向け、干渉波信号にヌルを向
けることを特徴としている。
【0012】図1に示すように、アレーアンテナの制御
装置は、1つの励振素子A0と6個の非励振素子A1乃
至A6とを備えてなる従来技術のエスパアンテナで構成
されたアレーアンテナ装置100と、上記アレーアンテ
ナ装置100で受信された無線信号に基づいてリアクタ
ンス値を計算し、アレーアンテナ装置100に出力して
設定する適応制御型コントローラ10とを備えたことを
特徴とする。
装置は、1つの励振素子A0と6個の非励振素子A1乃
至A6とを備えてなる従来技術のエスパアンテナで構成
されたアレーアンテナ装置100と、上記アレーアンテ
ナ装置100で受信された無線信号に基づいてリアクタ
ンス値を計算し、アレーアンテナ装置100に出力して
設定する適応制御型コントローラ10とを備えたことを
特徴とする。
【0013】アレーアンテナ装置100は、接地導体1
1上に設けられた励振素子A0及び非励振素子A1乃至
A6から構成され、励振素子A0は、半径rの円周上に
設けられた6本の非励振素子A1乃至A6によって囲ま
れるように配置されている。好ましくは、各非励振素子
A1乃至A6は上記半径rの円周上に互いに等間隔を保
って設けられる。各励振素子A0及び非励振素子A1乃
至A6の長さは、例えば、所望波の波長λの約1/4に
なるように構成され、また、上記半径rはλ/4になる
ように構成される。励振素子A0の給電点は同軸ケーブ
ル9を介して低雑音増幅器(LNA)1に接続され、ま
た、非励振素子A1乃至A6はそれぞれ可変リアクタン
ス素子12−1乃至12−6に接続され、これら可変リ
アクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値
は適応制御型コントローラ10からのリアクタンス値信
号によって設定される。
1上に設けられた励振素子A0及び非励振素子A1乃至
A6から構成され、励振素子A0は、半径rの円周上に
設けられた6本の非励振素子A1乃至A6によって囲ま
れるように配置されている。好ましくは、各非励振素子
A1乃至A6は上記半径rの円周上に互いに等間隔を保
って設けられる。各励振素子A0及び非励振素子A1乃
至A6の長さは、例えば、所望波の波長λの約1/4に
なるように構成され、また、上記半径rはλ/4になる
ように構成される。励振素子A0の給電点は同軸ケーブ
ル9を介して低雑音増幅器(LNA)1に接続され、ま
た、非励振素子A1乃至A6はそれぞれ可変リアクタン
ス素子12−1乃至12−6に接続され、これら可変リ
アクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値
は適応制御型コントローラ10からのリアクタンス値信
号によって設定される。
【0014】図2は、アレーアンテナ装置100の縦断
面図である。励振素子A0は接地導体11と電気的に絶
縁され、各非励振素子A0乃至A6は、可変リアクタン
ス素子12−1乃至12−6を介して、接地導体11に
対して高周波的に接地される。可変リアクタンス素子1
2−1乃至12−6の動作を説明すると、例えば放射素
子A0と非励振素子A1乃至A6の長手方向の長さが実
質的に同一であるとき、例えば、可変リアクタンス素子
12−1がインダクタンス性(L性)を有するときは、
可変リアクタンス素子12−1は延長コイルとなり、非
励振素子A1乃至A6の電気長が励振素子A0に比較し
て長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変リ
アクタンス素子12−1がキャパシタンス性(C性)を
有するときは、可変リアクタンス素子12−1は短縮コ
ンデンサとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A
0に比較して短くなり、導波器として働く。
面図である。励振素子A0は接地導体11と電気的に絶
縁され、各非励振素子A0乃至A6は、可変リアクタン
ス素子12−1乃至12−6を介して、接地導体11に
対して高周波的に接地される。可変リアクタンス素子1
2−1乃至12−6の動作を説明すると、例えば放射素
子A0と非励振素子A1乃至A6の長手方向の長さが実
質的に同一であるとき、例えば、可変リアクタンス素子
12−1がインダクタンス性(L性)を有するときは、
可変リアクタンス素子12−1は延長コイルとなり、非
励振素子A1乃至A6の電気長が励振素子A0に比較し
て長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変リ
アクタンス素子12−1がキャパシタンス性(C性)を
有するときは、可変リアクタンス素子12−1は短縮コ
ンデンサとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A
0に比較して短くなり、導波器として働く。
【0015】従って、図1のアレーアンテナ装置100
において、各非励振素子A1乃至A6に接続された可変
リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス
値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100
の平面指向性特性を変化させることができる。
において、各非励振素子A1乃至A6に接続された可変
リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス
値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100
の平面指向性特性を変化させることができる。
【0016】図1のアレーアンテナの制御装置におい
て、アレーアンテナ装置100は無線信号を受信し、上
記受信された信号は同軸ケーブル9を介して低雑音増幅
器(LNA)1に入力されて増幅され、次いで、ダウン
コンバータ(D/C)2は増幅された信号を所定の中間
周波数の信号(IF信号)に低域変換する。さらに、A
/D変換器3は低域変換されたアナログ信号をディジタ
ル信号にA/D変換し、A/D変換されたディジタル信
号を適応制御型コントローラ10と復調器(図示せ
ず。)とに出力する。次いで、適応制御型コントローラ
10は、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6
のリアクタンス値を順次所定のシフト量だけ摂動させ、
各リアクタンス値に対する所定の目的関数の勾配ベクト
ルを計算し、計算された勾配ベクトルに基づいて上記目
的関数の値が最大となるように、上記アレーアンテナの
主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌル
を向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス
値を計算して、上記リアクタンス値を表すリアクタンス
値信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6
に出力して設定する。
て、アレーアンテナ装置100は無線信号を受信し、上
記受信された信号は同軸ケーブル9を介して低雑音増幅
器(LNA)1に入力されて増幅され、次いで、ダウン
コンバータ(D/C)2は増幅された信号を所定の中間
周波数の信号(IF信号)に低域変換する。さらに、A
/D変換器3は低域変換されたアナログ信号をディジタ
ル信号にA/D変換し、A/D変換されたディジタル信
号を適応制御型コントローラ10と復調器(図示せ
ず。)とに出力する。次いで、適応制御型コントローラ
10は、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6
のリアクタンス値を順次所定のシフト量だけ摂動させ、
各リアクタンス値に対する所定の目的関数の勾配ベクト
ルを計算し、計算された勾配ベクトルに基づいて上記目
的関数の値が最大となるように、上記アレーアンテナの
主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌル
を向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス
値を計算して、上記リアクタンス値を表すリアクタンス
値信号を各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6
に出力して設定する。
【0017】次いで、本発明に係る実施形態のアレーア
ンテナの制御方法の基本原理について説明する。
ンテナの制御方法の基本原理について説明する。
【0018】初めに、P個のユーザ端末を擁し、N(N
>1)個の素子で構成されるアンテナアレーに到来する
信号のモデルについて考察する。本実施形態で用いるエ
スパアンテナは、特願2001−59981号の明細書
に開示されたアレーアンテナの制御装置で使われたもの
と同様のものであり、λを無線周波の波長として、半径
r=λ/4の円周に均等に分布された6つの非励振素子
と単一の出力ポートとしての励振素子を有している。マ
ルチパス波の存在下でのエスパアンテナであるアレーア
ンテナ装置100の出力信号(すなわち、A/D変換器
3からの出力信号)は、次式のように表される。
>1)個の素子で構成されるアンテナアレーに到来する
信号のモデルについて考察する。本実施形態で用いるエ
スパアンテナは、特願2001−59981号の明細書
に開示されたアレーアンテナの制御装置で使われたもの
と同様のものであり、λを無線周波の波長として、半径
r=λ/4の円周に均等に分布された6つの非励振素子
と単一の出力ポートとしての励振素子を有している。マ
ルチパス波の存在下でのエスパアンテナであるアレーア
ンテナ装置100の出力信号(すなわち、A/D変換器
3からの出力信号)は、次式のように表される。
【0019】
【数3】
【0020】ここで、
【数4】
である。
【0021】パラメータθ1 p,τ1 p,ξ1 pはそれ
ぞれ、p番目のユーザ端末の信号のl番目の経路に対応
する到来角(AOA)、時間遅延、及び伝搬損失であ
り、Tはシンボル継続時間又はシンボル周期である。ま
た、sp(m),Lpはそれぞれ、p番目のユーザ端末
の信号に係るm番目の情報シンボル、マルチパス波の総
数であり、ρp(t)はTDMA又はCDMAシンボル
として使用可能な情報シンボルの波形信号であり、ω
(t)は雑音であり、また、gp(t)はp番目のユー
ザ端末の信号の時空間インパルス応答の波形信号であ
り、波形信号ρp(t)との比較で時空間シンボル波形
信号とも呼ぶことができる。さらに、Γ(θ)はエスパ
アンテナのパターンであり、非励振素子のリアクタンス
X1,…,X6の関数であって、パターンΓ(θ)は次
式のように表記することができる。
ぞれ、p番目のユーザ端末の信号のl番目の経路に対応
する到来角(AOA)、時間遅延、及び伝搬損失であ
り、Tはシンボル継続時間又はシンボル周期である。ま
た、sp(m),Lpはそれぞれ、p番目のユーザ端末
の信号に係るm番目の情報シンボル、マルチパス波の総
数であり、ρp(t)はTDMA又はCDMAシンボル
として使用可能な情報シンボルの波形信号であり、ω
(t)は雑音であり、また、gp(t)はp番目のユー
ザ端末の信号の時空間インパルス応答の波形信号であ
り、波形信号ρp(t)との比較で時空間シンボル波形
信号とも呼ぶことができる。さらに、Γ(θ)はエスパ
アンテナのパターンであり、非励振素子のリアクタンス
X1,…,X6の関数であって、パターンΓ(θ)は次
式のように表記することができる。
【0022】
【数5】
Γ(θ)=Γ(θ,X1,…,X6)=iTa(θ)
【0023】ここで、a(θ)はアレーアンテナのステ
アリングベクトルを表す。すなわち、次式を意味する。
アリングベクトルを表す。すなわち、次式を意味する。
【0024】
【数6】
【0025】iは電流ベクトルを表わすが、ビーム形成
の観点からすると重み係数ベクトルと等価とされ(従来
技術文献3「大平他, "Electrically steerable passiv
e array radiator antennas for low-cost analog adap
tive beamforming", Proceeding of IEEE Internationa
l Conference on Phased Array System and Technolog
y, pp. 101-104, Dana Point, CA 2001年5月21
−26日」)、次式のように導出される(従来技術文献
4「大平他, "Equivalent weight vector and array fa
ctor formulation for ESPAR antennas", Technical Re
port IEICE, pp.7-14, A.P200-44, SAT200-41, MW2000-
44」)。
の観点からすると重み係数ベクトルと等価とされ(従来
技術文献3「大平他, "Electrically steerable passiv
e array radiator antennas for low-cost analog adap
tive beamforming", Proceeding of IEEE Internationa
l Conference on Phased Array System and Technolog
y, pp. 101-104, Dana Point, CA 2001年5月21
−26日」)、次式のように導出される(従来技術文献
4「大平他, "Equivalent weight vector and array fa
ctor formulation for ESPAR antennas", Technical Re
port IEICE, pp.7-14, A.P200-44, SAT200-41, MW2000-
44」)。
【0026】
【数7】i=C(I+Y7×7X7×7)−1y0
【0027】ここで、以下の表記を用いた。
【0028】
【数8】y0=[y00,y10,y10,y10,y
10,y10,y10]T
10,y10,y10]T
【数9】
【数10】
【0029】Iは7×7の単位行列を示し、Xはアンテ
ナのパターンを調整するためのリアクタンス行列であ
り、R0=50Ωは無線周波受信機の入力インピーダン
スであり、X1,…,X6は、適応制御型コントローラ
10からリアクタンス値信号として出力されるパラメー
タである。Yはアンテナの素子間の相互結合を表すアド
ミタンス行列、y0は関連したアドミタンスベクトルで
あって、その成分は以下のものを含む。
ナのパターンを調整するためのリアクタンス行列であ
り、R0=50Ωは無線周波受信機の入力インピーダン
スであり、X1,…,X6は、適応制御型コントローラ
10からリアクタンス値信号として出力されるパラメー
タである。Yはアンテナの素子間の相互結合を表すアド
ミタンス行列、y0は関連したアドミタンスベクトルで
あって、その成分は以下のものを含む。
【0030】(a)y00は励振素子A0の自己入力ア
ドミタンスを表す。 (b)y10は励振素子A0と非励振素子A1乃至A6
との結合アドミタンスを表す。 (c)y11は非励振素子A1乃至A6の自己入力アド
ミタンスを表す。 (d)y21は互いに隣接する非励振素子A1とA2、
A2とA3、A3とA4、A4とA5、A5とA6、乃
至A6とA1の結合アドミタンスを表す。 (e)y31は間に1つの非励振素子をはさんで並ぶ2
つの非励振素子A1とA3、A2とA4、A3とA5、
A4とA6、A5とA1、乃至A6とA2の結合アドミ
タンスを表し、 (f)y41は励振素子A0をはさんで対向する2つの
非励振素子A1とA4、A2とA5、乃至A3とA6の
結合アドミタンスを表す。
ドミタンスを表す。 (b)y10は励振素子A0と非励振素子A1乃至A6
との結合アドミタンスを表す。 (c)y11は非励振素子A1乃至A6の自己入力アド
ミタンスを表す。 (d)y21は互いに隣接する非励振素子A1とA2、
A2とA3、A3とA4、A4とA5、A5とA6、乃
至A6とA1の結合アドミタンスを表す。 (e)y31は間に1つの非励振素子をはさんで並ぶ2
つの非励振素子A1とA3、A2とA4、A3とA5、
A4とA6、A5とA1、乃至A6とA2の結合アドミ
タンスを表し、 (f)y41は励振素子A0をはさんで対向する2つの
非励振素子A1とA4、A2とA5、乃至A3とA6の
結合アドミタンスを表す。
【0031】相反性とアレーアンテナ装置100の回転
対称性のために、以上のように6つの成分のみが独立で
ある。ベクトルy0及びアドミタンス行列Y7×7のす
べてのエントリは、表1に記載されている。
対称性のために、以上のように6つの成分のみが独立で
ある。ベクトルy0及びアドミタンス行列Y7×7のす
べてのエントリは、表1に記載されている。
【0032】
【表1】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
y00 0.00860035−0.0315844j
y10 −0.00372642+0.0072319j
y11 0.00962295−0.01656835j
y21 −0.000377459+0.0117867j
y31 0.00002720885−0.0063736j
y41 0.001779525+0.002208335j
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0033】また、Cはアンテナの利得に関するスケー
ルファクタである。スケールファクタCの理論的な結果
は次式に等しい。
ルファクタである。スケールファクタCの理論的な結果
は次式に等しい。
【0034】
【数11】C=2R0√D
【0035】ここで、D(=1.64)は半波長ダイポ
ールの指向係数である。図1に示したエスパアンテナの
場合、いくつかの実際の測定結果に基づいて、われわれ
は近似的にC=131.2を取得した。
ールの指向係数である。図1に示したエスパアンテナの
場合、いくつかの実際の測定結果に基づいて、われわれ
は近似的にC=131.2を取得した。
【0036】数3で示される信号モデルについて、次の
<A1>乃至<A4>が仮定されている。
<A1>乃至<A4>が仮定されている。
【0037】<A1>受信される信号は、分数間隔のシ
ンボルサイクルでサンプリングされる場合には広義の周
期的定常状態であり、シンボルレートでサンプリングさ
れる場合には広義の定常状態である。広義の周期的定常
状態の信号ベクトルは、次式で定義される。
ンボルサイクルでサンプリングされる場合には広義の周
期的定常状態であり、シンボルレートでサンプリングさ
れる場合には広義の定常状態である。広義の周期的定常
状態の信号ベクトルは、次式で定義される。
【0038】
【数12】E[x(t1)xH(t2)]=E[x(t
1+T)xH(t2+T)]
1+T)xH(t2+T)]
【0039】ここで、(・)Hは複素共役転置を示し、
E[・]は統計的期待値を示す。
E[・]は統計的期待値を示す。
【0040】<A2>情報シンボルsp(m),p=
1,…,Pはi.i.d.(独立かつ同一分布されてい
る)でありかつ非ガウス的に分布され、互いに統計的に
相関しない。すなわち、次式を満たす。
1,…,Pはi.i.d.(独立かつ同一分布されてい
る)でありかつ非ガウス的に分布され、互いに統計的に
相関しない。すなわち、次式を満たす。
【0041】
【数13】
E{sp(m)sq *(n)}=δp,qδm,n
【0042】ここで、(・)*は複素共役を示し、δ
p,qはクロネッカーのデルタを示す。
p,qはクロネッカーのデルタを示す。
【0043】<A3>時空間シンボル波形信号のチャン
ネル{gp(t),p=1,…,P}は線形であって、
関心を持たれた周期の間は有限の継続時間[0,D
pT]に対して時間不変である。
ネル{gp(t),p=1,…,P}は線形であって、
関心を持たれた周期の間は有限の継続時間[0,D
pT]に対して時間不変である。
【0044】<A4>相加性雑音は、次式を満たすゼロ
平均の白色雑音である。
平均の白色雑音である。
【0045】
【数14】E{ω2(t)}=0
【数15】E|ω(t)|2=σ2
【0046】ここで、σ2は雑音のパワーを表す。相加
性雑音はまた、すべてのユーザ端末の信号に対して相関
されない。
性雑音はまた、すべてのユーザ端末の信号に対して相関
されない。
【0047】次に、本発明において目的関数を計算する
ために用いられ、第2及び第3の実施形態ではさらに時
間領域の重み係数を計算するために用いられる「キュム
ラント」の定義について説明する。従来技術文献5「J.
M. Mendel, "Tutorial on higher-order statistics
(spectra) in signal processing and sysytem theory:
theoretical results and some applications", Proce
edings IEEE, Vol. 79,No. 3, pp.278-305, 1991年
3月」に従って、x1,x2,x3,x4がゼロ平均の
ランダム変数であると仮定する。それの、2次、3次及
び4次のキュムラントは以下のように定義される。
ために用いられ、第2及び第3の実施形態ではさらに時
間領域の重み係数を計算するために用いられる「キュム
ラント」の定義について説明する。従来技術文献5「J.
M. Mendel, "Tutorial on higher-order statistics
(spectra) in signal processing and sysytem theory:
theoretical results and some applications", Proce
edings IEEE, Vol. 79,No. 3, pp.278-305, 1991年
3月」に従って、x1,x2,x3,x4がゼロ平均の
ランダム変数であると仮定する。それの、2次、3次及
び4次のキュムラントは以下のように定義される。
【0048】
【数16】
cum(x1;x2)=E{x1x2}
【数17】
cum(x1;x2;x3)=E{x1x2x3}
【数18】cum(x1;x2;x3;x4)=E{x
1x2x3x4}−cum(x1;x2)cum
(x3;x4)−cum(x1;x3)cum(x2;
x4)−cum(x1;x4)cum(x2;x3)
1x2x3x4}−cum(x1;x2)cum
(x3;x4)−cum(x1;x3)cum(x2;
x4)−cum(x1;x4)cum(x2;x3)
【0049】4次よりも高い次数に対する、又はゼロで
ない平均を有するランダム変数に対する、より高次のキ
ュムラントの詳細については、従来技術文献5を参照せ
よ。本願明細書では、一般性を失なうことなく4次のキ
ュムラントについて考察する。
ない平均を有するランダム変数に対する、より高次のキ
ュムラントの詳細については、従来技術文献5を参照せ
よ。本願明細書では、一般性を失なうことなく4次のキ
ュムラントについて考察する。
【0050】次いで、適応制御処理の収束を評価するた
めの目的関数として用いる、アレーアンテナの制御装置
の逆フィルタ基準(IFC)について説明する。この逆
フィルタ基準の目的関数(IFC関数)は、本実施形態
の目的関数として用いられるとともに、本発明に係る第
2及び第3の実施形態においても目的関数として用いら
れる。数3では、受信信号y(t)を連続時間tの関数
として表記したが、以下では離散的なサンプル時間nに
基づく離散的な受信信号y(n)として表記する。キュ
ムラントに基づく逆フィルタ基準は、次式のように定義
される(従来技術文献6「O. Shalvi et al., "New cri
teria for blind deconvolution of nonminimum phase
systems (channels)", IEEE Transactions on Informat
ion Theory, Vol. 36, No. 2, pp. 312-321,1990年
3月」を参照)。
めの目的関数として用いる、アレーアンテナの制御装置
の逆フィルタ基準(IFC)について説明する。この逆
フィルタ基準の目的関数(IFC関数)は、本実施形態
の目的関数として用いられるとともに、本発明に係る第
2及び第3の実施形態においても目的関数として用いら
れる。数3では、受信信号y(t)を連続時間tの関数
として表記したが、以下では離散的なサンプル時間nに
基づく離散的な受信信号y(n)として表記する。キュ
ムラントに基づく逆フィルタ基準は、次式のように定義
される(従来技術文献6「O. Shalvi et al., "New cri
teria for blind deconvolution of nonminimum phase
systems (channels)", IEEE Transactions on Informat
ion Theory, Vol. 36, No. 2, pp. 312-321,1990年
3月」を参照)。
【0051】
【数19】
m=2,4,6,…
【0052】ここで、
【数20】
は、出力信号y(n)の次数2mのキュムラントであ
る。以下、上記逆フィルタ基準J(y(n))を、当該
システムに係る目的関数と呼ぶ。従って、上記目的関数
J(y(n))は、2以上の自然数であるm個の第1の
変数と、m個の第2の変数とを有する2m次のキュムラ
ントにおいて、第1の変数としてm個の同一の当該アレ
ーアンテナの受信信号y(n)を含み、第2の変数とし
てm個の同一の上記受信信号の複素共役の信号y
*(n)を含む受信信号のキュムラントC2 m{y
(n)}を計算し、上記受信信号のパワーE{|y
(n)|2}を計算し、上記計算された受信信号のパワ
ーのm乗に対する上記受信信号のキュムラントの比の値
を計算することによって演算される。
る。以下、上記逆フィルタ基準J(y(n))を、当該
システムに係る目的関数と呼ぶ。従って、上記目的関数
J(y(n))は、2以上の自然数であるm個の第1の
変数と、m個の第2の変数とを有する2m次のキュムラ
ントにおいて、第1の変数としてm個の同一の当該アレ
ーアンテナの受信信号y(n)を含み、第2の変数とし
てm個の同一の上記受信信号の複素共役の信号y
*(n)を含む受信信号のキュムラントC2 m{y
(n)}を計算し、上記受信信号のパワーE{|y
(n)|2}を計算し、上記計算された受信信号のパワ
ーのm乗に対する上記受信信号のキュムラントの比の値
を計算することによって演算される。
【0053】目的関数J(y(n))の分子の|C2m
{y(n)}|をC2m{y(n)}で置換した式もま
た、正規化された2m次のキュムラントと呼ぶことを注
意する。本実施形態では簡単化のために、m=2の場合
(すなわち4次のキュムラントに基づく目的関数)につ
いてのみ考察する。m=2に基づく結果は、m=4,
6,8,…に直接拡張することができる。出力信号y
(n)の関連する4次のキュムラントは、次式のように
なることが容易に分かる。
{y(n)}|をC2m{y(n)}で置換した式もま
た、正規化された2m次のキュムラントと呼ぶことを注
意する。本実施形態では簡単化のために、m=2の場合
(すなわち4次のキュムラントに基づく目的関数)につ
いてのみ考察する。m=2に基づく結果は、m=4,
6,8,…に直接拡張することができる。出力信号y
(n)の関連する4次のキュムラントは、次式のように
なることが容易に分かる。
【0054】
【数21】
C4{y(n)}=cum{y(n),y(n),y(n)*,y(n)*}
=E{|y(n)|4}−2(E{|y(n)|2})2
−|E{(y(n))2}|2
【0055】信号対雑音比(SNR)が無限大になって
いる場合(すなわち、σ2=0)には、目的関数J(y
(n))がいくつかの局所的な最小値を有することが示
されている(特願2002−81074号の明細書を参
照)。局所的な最小値の個数は、関連するシステムの自
由度に、又は完全処理の条件に依存する(従来技術文献
7「K. Yang et al., "A signal subspace-based subba
nd approach to space-time adaptive processing for
mobile communications", IEEE Transactoinson Signal
Processing, Vol. 49, No. 2, pp. 401-413, 2001
年2月」を参照)。有限のSNRの場合、システムの自
由度の個数が完全処理の条件に一致するときは、目的関
数値J(y(n))を最大化することは、最強の(ユー
ザ端末の)信号又は最強の信号成分が強化される一方
で、同一チャンネル間ユーザ干渉が抑圧されるか、又は
同一チャンネル間ユーザ干渉とシンボル間干渉の両方が
抑圧されることを意味する。本願明細書では、この目的
関数を使用してエスパアンテナに基づく適応ビーム形成
及びエスパアンテナに基づく時空間適応型フィルタリン
グを行う。
いる場合(すなわち、σ2=0)には、目的関数J(y
(n))がいくつかの局所的な最小値を有することが示
されている(特願2002−81074号の明細書を参
照)。局所的な最小値の個数は、関連するシステムの自
由度に、又は完全処理の条件に依存する(従来技術文献
7「K. Yang et al., "A signal subspace-based subba
nd approach to space-time adaptive processing for
mobile communications", IEEE Transactoinson Signal
Processing, Vol. 49, No. 2, pp. 401-413, 2001
年2月」を参照)。有限のSNRの場合、システムの自
由度の個数が完全処理の条件に一致するときは、目的関
数値J(y(n))を最大化することは、最強の(ユー
ザ端末の)信号又は最強の信号成分が強化される一方
で、同一チャンネル間ユーザ干渉が抑圧されるか、又は
同一チャンネル間ユーザ干渉とシンボル間干渉の両方が
抑圧されることを意味する。本願明細書では、この目的
関数を使用してエスパアンテナに基づく適応ビーム形成
及びエスパアンテナに基づく時空間適応型フィルタリン
グを行う。
【0056】マルチパス波が存在しない場合、数3にお
けるエスパアンテナの出力は、非励振素子の関連付けら
れたリアクタンスによって制御されるパターンΓ(θ,
X1,…,X6)に依存する。数5及び数7からは、パ
ターンがリアクタンスに関する非線形関数であることが
分かり、従って、ユーザ端末の信号の利得(これは、到
来方向に依存する)を、与えられた一定のレベルで維持
することはきわめて困難である。このことはまた、エス
パアンテナに基づく適応型空間ビーム形成に対してCM
A(定包絡線アルゴリズム、又は一定モジュラスアルゴ
リズム)を適用することはほとんど不可能であることを
意味している。
けるエスパアンテナの出力は、非励振素子の関連付けら
れたリアクタンスによって制御されるパターンΓ(θ,
X1,…,X6)に依存する。数5及び数7からは、パ
ターンがリアクタンスに関する非線形関数であることが
分かり、従って、ユーザ端末の信号の利得(これは、到
来方向に依存する)を、与えられた一定のレベルで維持
することはきわめて困難である。このことはまた、エス
パアンテナに基づく適応型空間ビーム形成に対してCM
A(定包絡線アルゴリズム、又は一定モジュラスアルゴ
リズム)を適用することはほとんど不可能であることを
意味している。
【0057】前述されたように、逆フィルタ基準は、基
本的に、すべての信号の正規化された2m次のキュムラ
ントが同一であるとき、最強の信号のみを強化する(又
は抽出する)(特願2002−81074号の明細書を
参照)。これは、逆フィルタ基準がエスパアンテナに基
づく適応ビーム形成に適していることを意味する。数1
9によって、m=2に対する目的関数は次式によって与
えられる。
本的に、すべての信号の正規化された2m次のキュムラ
ントが同一であるとき、最強の信号のみを強化する(又
は抽出する)(特願2002−81074号の明細書を
参照)。これは、逆フィルタ基準がエスパアンテナに基
づく適応ビーム形成に適していることを意味する。数1
9によって、m=2に対する目的関数は次式によって与
えられる。
【0058】
【数22】
【0059】数22は、リアクタンス値を各成分に含む
リアクタンスベクトルX=[X1,…,X6]Tを、次
の勾配型のアルゴリズム(最急勾配法)を用いて更新す
ることによって最大化される。
リアクタンスベクトルX=[X1,…,X6]Tを、次
の勾配型のアルゴリズム(最急勾配法)を用いて更新す
ることによって最大化される。
【0060】
【数23】X(u+1)=X(u)+α∇XJ(X)|
X=X(u)
X=X(u)
【数24】
【数25】
i=1,…,6
【0061】ここで、αは更新のステップサイズパラメ
ータであり、Δは正又は負の定数であるリアクタンスの
摂動のステップサイズパラメータであり、eiは6×6
の単位行列のi番目の列ベクトルを示し、∇XJ(X)
はリアクタンスベクトルXに関するJ(X)の勾配ベク
トルを示す。リアクタンスベクトルの更新は、数22の
目的関数が変化しなくなるときに停止する。実際のアプ
リケーションでは、目的関数は、受信信号のデータブロ
ックの離散的なサンプルから評価されることが可能であ
る。すなわち、数22に代わって次式を用いる。
ータであり、Δは正又は負の定数であるリアクタンスの
摂動のステップサイズパラメータであり、eiは6×6
の単位行列のi番目の列ベクトルを示し、∇XJ(X)
はリアクタンスベクトルXに関するJ(X)の勾配ベク
トルを示す。リアクタンスベクトルの更新は、数22の
目的関数が変化しなくなるときに停止する。実際のアプ
リケーションでは、目的関数は、受信信号のデータブロ
ックの離散的なサンプルから評価されることが可能であ
る。すなわち、数22に代わって次式を用いる。
【0062】
【数26】
【0063】ここで、
【数27】
【数28】
であり、ml=Nt×l,l=1,…,Mt,であり、
Mtは連続するデータブロックの数を示す。ブロックサ
イズNtは、期待値Cd4{y(n)}及びEd{|y
(n)|2}がそれぞれキュムラントC4{y(n)}
及び分散E{|y(n)|2}をよく近似するように選
択される。
Mtは連続するデータブロックの数を示す。ブロックサ
イズNtは、期待値Cd4{y(n)}及びEd{|y
(n)|2}がそれぞれキュムラントC4{y(n)}
及び分散E{|y(n)|2}をよく近似するように選
択される。
【0064】適応制御型コントローラ10によって実行
されるブラインド適応制御処理は、原理的には、以下に
説明されるように、簡単なブロック更新アルゴリズムで
ある。すなわち、リアクタンスベクトルの初期値に基づ
いて目的関数値の最大値(ここでは初期値)Jmaxを
計算して設定し、次いで、反復ステップとして、受信信
号y(n)に基づいて数25及び数24から目的関数の
勾配を計算して、さらに数23を用いて更新されたリア
クタンスベクトルを計算し、上記リアクタンスベクトル
に基づく目的関数値を計算する。決定ステップとして、
計算された目的関数値が、目的関数値の最大値Jmax
よりも所定のしきい値だけ大きいときは、この計算され
た目的関数値を最大値Jmaxとして設定して反復ステ
ップに戻り、そうでないときは、処理を終了する。
されるブラインド適応制御処理は、原理的には、以下に
説明されるように、簡単なブロック更新アルゴリズムで
ある。すなわち、リアクタンスベクトルの初期値に基づ
いて目的関数値の最大値(ここでは初期値)Jmaxを
計算して設定し、次いで、反復ステップとして、受信信
号y(n)に基づいて数25及び数24から目的関数の
勾配を計算して、さらに数23を用いて更新されたリア
クタンスベクトルを計算し、上記リアクタンスベクトル
に基づく目的関数値を計算する。決定ステップとして、
計算された目的関数値が、目的関数値の最大値Jmax
よりも所定のしきい値だけ大きいときは、この計算され
た目的関数値を最大値Jmaxとして設定して反復ステ
ップに戻り、そうでないときは、処理を終了する。
【0065】図3に、本実施形態に係るブラインド適応
制御処理のフローチャートが示されている。ステップS
1で、ループの反復回数uを0に設定し、ステップS2
で、初期化ステップとして、反復制御数εと、ステップ
サイズパラメータα及びΔと、リアクタンスベクトルの
初期値X(0)=[X1(0),…,X6(0)]Tを
与えられたものとし、リアクタンスベクトルX(0)を
表すリアクタンス値信号の初期値X(0)を可変リアク
タンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。
ステップS3で、受信信号y(n)に基づき数26を用
いて目的関数値Jd(x(0))を計算し、目的関数の
最大値Jmaxの初期値として設定する。
制御処理のフローチャートが示されている。ステップS
1で、ループの反復回数uを0に設定し、ステップS2
で、初期化ステップとして、反復制御数εと、ステップ
サイズパラメータα及びΔと、リアクタンスベクトルの
初期値X(0)=[X1(0),…,X6(0)]Tを
与えられたものとし、リアクタンスベクトルX(0)を
表すリアクタンス値信号の初期値X(0)を可変リアク
タンス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。
ステップS3で、受信信号y(n)に基づき数26を用
いて目的関数値Jd(x(0))を計算し、目的関数の
最大値Jmaxの初期値として設定する。
【0066】次いで、ステップS4において目的関数の
勾配計算処理を実行する。本実施形態では、リアクタン
ス値を正に摂動させたときの勾配と負に摂動させたとき
の勾配とを用いて最急降下法によって次のリアクタンス
値を計算し、各リアクタンス値のうちで目的関数値をよ
り大きくするほうを、更新されたリアクタンス値に決定
する。従って、ステップS4では目的関数の2種類の勾
配を計算し、そのため、数23乃至数25の代わりに、
次式を用いる。
勾配計算処理を実行する。本実施形態では、リアクタン
ス値を正に摂動させたときの勾配と負に摂動させたとき
の勾配とを用いて最急降下法によって次のリアクタンス
値を計算し、各リアクタンス値のうちで目的関数値をよ
り大きくするほうを、更新されたリアクタンス値に決定
する。従って、ステップS4では目的関数の2種類の勾
配を計算し、そのため、数23乃至数25の代わりに、
次式を用いる。
【0067】
【数29】X+Δ(u+1)=X(u)+α∇X,+Δ
Jd(X)|X=X(u)
Jd(X)|X=X(u)
【数30】
【数31】
i=1,…,6
【数32】X−Δ(u+1)=X(u)+α∇X,−Δ
J(X)|X=X(u)
J(X)|X=X(u)
【数33】
【数34】
i=1,…,6
【0068】図4のサブルーチンを参照すると、ステッ
プS21において、リアクタンスベクトルX(u)を表
すリアクタンス値信号X(u)を可変リアクタンス素子
12−1乃至12−6に出力して設定し、受信信号y
(n)に基づき数26を用いて目的関数値Jd(X
(u))を計算する。ステップS22において、各可変
リアクタンス素子を表すパラメータiを1に設定し、次
いで、ステップS23において、第i成分のリアクタン
ス値を+Δ摂動させたリアクタンスベクトルを表すリア
クタンス値信号X(u)+Δ・eiを可変リアクタンス
素子12−1乃至12−6に出力して設定し、受信信号
y(n)に基づき数26を用いて目的関数値Jd(X
(u)+Δ・ei)を計算する。ステップS24で、す
でに、すべての摂動されたリアクタンス値に基づく目的
関数値Jd(X(u)+Δ・ei)(i=1,…,6)
がそれぞれ計算されていたならば、ステップS26に進
み、そうでないときは、ステップS25でパラメータi
を1だけインクリメントしてステップS23を繰り返
す。次いで、ステップS26において、数31及び数3
0を用いて目的関数の勾配∇X,+ΔJd(X)|
X=X(u)を計算する。
プS21において、リアクタンスベクトルX(u)を表
すリアクタンス値信号X(u)を可変リアクタンス素子
12−1乃至12−6に出力して設定し、受信信号y
(n)に基づき数26を用いて目的関数値Jd(X
(u))を計算する。ステップS22において、各可変
リアクタンス素子を表すパラメータiを1に設定し、次
いで、ステップS23において、第i成分のリアクタン
ス値を+Δ摂動させたリアクタンスベクトルを表すリア
クタンス値信号X(u)+Δ・eiを可変リアクタンス
素子12−1乃至12−6に出力して設定し、受信信号
y(n)に基づき数26を用いて目的関数値Jd(X
(u)+Δ・ei)を計算する。ステップS24で、す
でに、すべての摂動されたリアクタンス値に基づく目的
関数値Jd(X(u)+Δ・ei)(i=1,…,6)
がそれぞれ計算されていたならば、ステップS26に進
み、そうでないときは、ステップS25でパラメータi
を1だけインクリメントしてステップS23を繰り返
す。次いで、ステップS26において、数31及び数3
0を用いて目的関数の勾配∇X,+ΔJd(X)|
X=X(u)を計算する。
【0069】次に、ステップS27乃至ステップS31
において、+Δの摂動の代わりに−Δの摂動を用いてス
テップS22乃至ステップS26と同様の計算を実行す
る。その結果として、ステップS28では、パラメータ
i=1,…,6のそれぞれに対して目的関数値Jd(X
(u)−Δ・ei)が計算され、ステップS31では、
数34及び数33を用いて目的関数の勾配∇X,−ΔJ
d(X)|X=X(u )が計算される。
において、+Δの摂動の代わりに−Δの摂動を用いてス
テップS22乃至ステップS26と同様の計算を実行す
る。その結果として、ステップS28では、パラメータ
i=1,…,6のそれぞれに対して目的関数値Jd(X
(u)−Δ・ei)が計算され、ステップS31では、
数34及び数33を用いて目的関数の勾配∇X,−ΔJ
d(X)|X=X(u )が計算される。
【0070】図3に戻り、ステップS5において、ステ
ップS26で計算された目的関数の勾配∇X,+ΔJd
(X)|X=X(u)に基づき、数29を用いてリアク
タンスベクトルX+Δ(u+1)を計算し、これを表す
リアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−1乃
至12−6に出力して設定し、次いで、受信信号y
(n)に基づき数26を用いて目的関数値Jd(X+Δ
(u+1))を計算する。ステップS6でも同様に、ス
テップS31で計算された目的関数の勾配∇X,− ΔJ
d(X)|X=X(u)に基づき、数32を用いてリア
クタンスベクトルX −Δ(u+1)を計算し、これを表
すリアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−1
乃至12−6に出力して設定し、次いで、受信信号y
(n)に基づき数26を用いて目的関数値Jd(X−Δ
(u+1))を計算する。次いで、ステップS7におい
て、目的関数値Jd(X+Δ(u+1))とJd(X
−Δ(u+1))のうちの大きい値と、それに対応する
リアクタンスベクトル(X+Δ(u+1)又はX
−Δ(u+1))をそれぞれ、目的関数値Jd(X(u
+1))及びリアクタンスベクトルX(u+1)として
選択する。
ップS26で計算された目的関数の勾配∇X,+ΔJd
(X)|X=X(u)に基づき、数29を用いてリアク
タンスベクトルX+Δ(u+1)を計算し、これを表す
リアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−1乃
至12−6に出力して設定し、次いで、受信信号y
(n)に基づき数26を用いて目的関数値Jd(X+Δ
(u+1))を計算する。ステップS6でも同様に、ス
テップS31で計算された目的関数の勾配∇X,− ΔJ
d(X)|X=X(u)に基づき、数32を用いてリア
クタンスベクトルX −Δ(u+1)を計算し、これを表
すリアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−1
乃至12−6に出力して設定し、次いで、受信信号y
(n)に基づき数26を用いて目的関数値Jd(X−Δ
(u+1))を計算する。次いで、ステップS7におい
て、目的関数値Jd(X+Δ(u+1))とJd(X
−Δ(u+1))のうちの大きい値と、それに対応する
リアクタンスベクトル(X+Δ(u+1)又はX
−Δ(u+1))をそれぞれ、目的関数値Jd(X(u
+1))及びリアクタンスベクトルX(u+1)として
選択する。
【0071】ステップS8以降は決定ステップである。
本実施形態では、収束を保証するために、連続した8回
の反復で所定の収束条件が満たされることを条件として
課し、さらに、収束条件が満たされないときは、ステッ
プサイズパラメータα及びΔを変化させて処理を繰り返
す。まず、ステップS8において、目的関数値Jd(X
(u+1))について次式が成り立つか否かが判断され
る。
本実施形態では、収束を保証するために、連続した8回
の反復で所定の収束条件が満たされることを条件として
課し、さらに、収束条件が満たされないときは、ステッ
プサイズパラメータα及びΔを変化させて処理を繰り返
す。まず、ステップS8において、目的関数値Jd(X
(u+1))について次式が成り立つか否かが判断され
る。
【0072】
【数35】Jd(X(u+1))−Jmax≧ε
【0073】この不等式が成り立つときは、ステップS
12で目的関数値Jd(X(u+1))を新しい最大値
Jmaxとして設定し、ステップS13でステップサイ
ズパラメータα及びΔにそれぞれ0.618を加算し、
次いで、ステップS14で、ループの反復回数uを1だ
けインクリメントしてステップS4に戻る。ステップS
8の不等式が満たされないときは、ステップS9におい
て、目的関数値Jd(X(u+1))が、その前回の反
復までにおける最大値Jmaxよりも小さいか否かが判
断される。YESのときは、ステップS15でステップ
サイズパラメータα及びΔにそれぞれ0.618を乗算
し、次いで、ステップS16で、ループの反復回数uを
1だけインクリメントしてステップS4に戻る。ステッ
プS9がNOであるときは、連続した8回の反復v(u
−7≦v≦u)に対して次式が成り立つか否かが判断さ
れる。
12で目的関数値Jd(X(u+1))を新しい最大値
Jmaxとして設定し、ステップS13でステップサイ
ズパラメータα及びΔにそれぞれ0.618を加算し、
次いで、ステップS14で、ループの反復回数uを1だ
けインクリメントしてステップS4に戻る。ステップS
8の不等式が満たされないときは、ステップS9におい
て、目的関数値Jd(X(u+1))が、その前回の反
復までにおける最大値Jmaxよりも小さいか否かが判
断される。YESのときは、ステップS15でステップ
サイズパラメータα及びΔにそれぞれ0.618を乗算
し、次いで、ステップS16で、ループの反復回数uを
1だけインクリメントしてステップS4に戻る。ステッ
プS9がNOであるときは、連続した8回の反復v(u
−7≦v≦u)に対して次式が成り立つか否かが判断さ
れる。
【0074】
【数36】Jd(X(v))−Jmax<ε
【0075】上式が成り立たないときは、ステップS1
2乃至S14を実行してステップS4に戻る。上式が成
り立つときは、リアクタンスベクトルX(u+1)を表
すリアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−1
乃至12−6に出力して設定し、処理を終了する。
2乃至S14を実行してステップS4に戻る。上式が成
り立つときは、リアクタンスベクトルX(u+1)を表
すリアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−1
乃至12−6に出力して設定し、処理を終了する。
【0076】このアルゴリズムが収束するとき、目的関
数値Jmaxに関連付けられた最適の受信信号y(n)
が取得される。上述の手順は、エスパアンテナに基づく
ブラインド適応制御処理の簡単な方法を示す。この方法
によれば、学習シーケンス信号などの参照信号を必要と
せずに、アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向
けかつ干渉波の方向にヌルを向けるようにビーム形成す
ることができる。また、この方法では、受信側端末装置
において、送信局で発生されるものと同一の参照信号を
発生させたり、送信される参照信号と受信側で発生され
る参照信号とを同期させたりすることを必要としないの
で、制御回路が簡単になる。
数値Jmaxに関連付けられた最適の受信信号y(n)
が取得される。上述の手順は、エスパアンテナに基づく
ブラインド適応制御処理の簡単な方法を示す。この方法
によれば、学習シーケンス信号などの参照信号を必要と
せずに、アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向
けかつ干渉波の方向にヌルを向けるようにビーム形成す
ることができる。また、この方法では、受信側端末装置
において、送信局で発生されるものと同一の参照信号を
発生させたり、送信される参照信号と受信側で発生され
る参照信号とを同期させたりすることを必要としないの
で、制御回路が簡単になる。
【0077】<第2の実施形態>図5は本発明の第2の
実施形態に係るブラインド時空間適応制御処理(又は、
ブラインド時空間適応フィルタリング(ブラインドST
AF))を実行するアレーアンテナの制御装置のブロッ
ク図である。本実施形態のアレーアンテナの制御装置
は、図1に示された第1の実施形態に係るアレーアンテ
ナの制御装置に加えて、アレーアンテナ装置100で受
信された無線信号を処理する時間領域信号処理部5をさ
らに備え、適応制御型コントローラ10に代わりに設け
られた時空間適応制御型コントローラ20は、可変リア
クタンス素子12−1乃至12−6を制御するだけでな
く、上記時間領域信号処理部5も制御して時間領域の信
号処理を実行することを特徴とする。
実施形態に係るブラインド時空間適応制御処理(又は、
ブラインド時空間適応フィルタリング(ブラインドST
AF))を実行するアレーアンテナの制御装置のブロッ
ク図である。本実施形態のアレーアンテナの制御装置
は、図1に示された第1の実施形態に係るアレーアンテ
ナの制御装置に加えて、アレーアンテナ装置100で受
信された無線信号を処理する時間領域信号処理部5をさ
らに備え、適応制御型コントローラ10に代わりに設け
られた時空間適応制御型コントローラ20は、可変リア
クタンス素子12−1乃至12−6を制御するだけでな
く、上記時間領域信号処理部5も制御して時間領域の信
号処理を実行することを特徴とする。
【0078】図5のアレーアンテナの制御装置におい
て、アレーアンテナ装置100からA/D変換器3まで
の構成と動作は、図1のアレーアンテナの制御装置と同
様である。次いで、時間領域信号処理部5は、アレーア
ンテナ装置100によって受信された無線信号y(n)
を複数の時間領域のサブ信号に分割し、分割した複数の
サブ信号からなる受信信号ベクトルYを時空間適応制御
型コントローラ20に出力し、また、分割された複数の
サブ信号に対してそれぞれ所定の重み係数を乗算した後
加算することにより時間領域の信号処理を実行して出力
信号yO(n)として出力する。ここで、重み係数は、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値が変化さ
れるたびに、受信信号ベクトルYと出力信号yO(n)
に基づいて、所定の目的関数が最大化されるように演算
される。そして、時空間適応制御型コントローラ20
は、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリ
アクタンス値を順次所定のシフト量だけ摂動させ、各リ
アクタンス値に対する上記目的関数の勾配ベクトルを計
算し、計算された勾配ベクトルに基づいて上記目的関数
の値が最大となるように各リアクタンス値を計算して設
定することにより、上記アレーアンテナの主ビームを所
望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるため
のブラインド時空間適応制御処理を実行する。
て、アレーアンテナ装置100からA/D変換器3まで
の構成と動作は、図1のアレーアンテナの制御装置と同
様である。次いで、時間領域信号処理部5は、アレーア
ンテナ装置100によって受信された無線信号y(n)
を複数の時間領域のサブ信号に分割し、分割した複数の
サブ信号からなる受信信号ベクトルYを時空間適応制御
型コントローラ20に出力し、また、分割された複数の
サブ信号に対してそれぞれ所定の重み係数を乗算した後
加算することにより時間領域の信号処理を実行して出力
信号yO(n)として出力する。ここで、重み係数は、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値が変化さ
れるたびに、受信信号ベクトルYと出力信号yO(n)
に基づいて、所定の目的関数が最大化されるように演算
される。そして、時空間適応制御型コントローラ20
は、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリ
アクタンス値を順次所定のシフト量だけ摂動させ、各リ
アクタンス値に対する上記目的関数の勾配ベクトルを計
算し、計算された勾配ベクトルに基づいて上記目的関数
の値が最大となるように各リアクタンス値を計算して設
定することにより、上記アレーアンテナの主ビームを所
望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるため
のブラインド時空間適応制御処理を実行する。
【0079】次に、図6乃至図8を参照して、図5の時
間領域信号処理部5についてより詳細に説明する。図6
は、時間領域信号処理部5の第1の実施形態であるTD
MA用時間領域信号処理部5−1のブロック図である。
TDMA用時間領域信号処理部5−1は、互いに縦続接
続された複数(J−1)個のシフトレジスタ(SR)1
3−1乃至13−(J−1)と、複数J個のダウンサン
プラ14−1乃至14−Jと、複数J個のトランスバー
サルフィルタ回路23−1乃至23−Jと、加算器17
とを備えて構成される。上記シフトレジスタ(SR)1
3−1乃至13−(J−1)はそれぞれ、入力されるク
ロックに基づいて入力信号を1シンボル期間だけ遅延し
て出力する。トランスバーサルフィルタ回路23−1乃
至23−Jは、重み係数の演算のために、複数の時間遅
延のサブ信号に分割された信号データDy1乃至DyJ
を時空間適応制御型コントローラ20に出力し、かつ、
時空間適応制御型コントローラ20によって演算された
重み係数データDw1乃至DwJを、入力された各信号
に乗算して出力する。
間領域信号処理部5についてより詳細に説明する。図6
は、時間領域信号処理部5の第1の実施形態であるTD
MA用時間領域信号処理部5−1のブロック図である。
TDMA用時間領域信号処理部5−1は、互いに縦続接
続された複数(J−1)個のシフトレジスタ(SR)1
3−1乃至13−(J−1)と、複数J個のダウンサン
プラ14−1乃至14−Jと、複数J個のトランスバー
サルフィルタ回路23−1乃至23−Jと、加算器17
とを備えて構成される。上記シフトレジスタ(SR)1
3−1乃至13−(J−1)はそれぞれ、入力されるク
ロックに基づいて入力信号を1シンボル期間だけ遅延し
て出力する。トランスバーサルフィルタ回路23−1乃
至23−Jは、重み係数の演算のために、複数の時間遅
延のサブ信号に分割された信号データDy1乃至DyJ
を時空間適応制御型コントローラ20に出力し、かつ、
時空間適応制御型コントローラ20によって演算された
重み係数データDw1乃至DwJを、入力された各信号
に乗算して出力する。
【0080】図5のA/D変換器3から出力された受信
信号y(n)は、ダウンサンプラ14−1と、シフトレ
ジスタ13−1に入力される。ダウンサンプラ14−1
は、入力された受信信号y(n)を、A/D変換器3の
サンプリング周波数の1/J倍のサンプリング周波数で
ダウンサンプリングし、処理後の信号を詳細後述するト
ランスバーサルフィルタ回路23−1を介して加算器1
7に出力する。シフトレジスタ13−1から出力された
信号は、ダウンサンプラ14−2と、シフトレジスタ1
3−2に入力される。ダウンサンプラ14−2は、入力
された信号を、A/D変換器3のサンプリング周波数の
1/J倍のサンプリング周波数でダウンサンプリング
し、処理後の信号をトランスバーサルフィルタ回路23
−2を介して加算器17に出力する。以下同様に、シフ
トレジスタ13−j(j=2,3,…,J−1)から出
力された信号は、ダウンサンプラ14−(j+1)と、
シフトレジスタ13−(j+1)に出力される。ダウン
サンプラ14−(j+1)は、入力された信号を、A/
D変換器3のサンプリング周波数の1/J倍のサンプリ
ング周波数でダウンサンプリングし、処理後の信号をト
ランスバーサルフィルタ回路23−(j+1)を介して
加算器17に出力する。さらに、加算器17は、入力さ
れた複数J個の信号を加算し、加算結果の信号を出力信
号yO(t)として出力する。
信号y(n)は、ダウンサンプラ14−1と、シフトレ
ジスタ13−1に入力される。ダウンサンプラ14−1
は、入力された受信信号y(n)を、A/D変換器3の
サンプリング周波数の1/J倍のサンプリング周波数で
ダウンサンプリングし、処理後の信号を詳細後述するト
ランスバーサルフィルタ回路23−1を介して加算器1
7に出力する。シフトレジスタ13−1から出力された
信号は、ダウンサンプラ14−2と、シフトレジスタ1
3−2に入力される。ダウンサンプラ14−2は、入力
された信号を、A/D変換器3のサンプリング周波数の
1/J倍のサンプリング周波数でダウンサンプリング
し、処理後の信号をトランスバーサルフィルタ回路23
−2を介して加算器17に出力する。以下同様に、シフ
トレジスタ13−j(j=2,3,…,J−1)から出
力された信号は、ダウンサンプラ14−(j+1)と、
シフトレジスタ13−(j+1)に出力される。ダウン
サンプラ14−(j+1)は、入力された信号を、A/
D変換器3のサンプリング周波数の1/J倍のサンプリ
ング周波数でダウンサンプリングし、処理後の信号をト
ランスバーサルフィルタ回路23−(j+1)を介して
加算器17に出力する。さらに、加算器17は、入力さ
れた複数J個の信号を加算し、加算結果の信号を出力信
号yO(t)として出力する。
【0081】図7は、図3のトランスバーサルフィルタ
回路23−1の構成を示すブロック図である。トランス
バーサルフィルタ回路23−1は、ダウンサンプラ22
−1を通過して入力される信号を、例えば1シンボルの
1/4乃至1/2の時間だけそれぞれ遅延させ互いに縦
続接続された複数(M−1)個の遅延回路25−1乃至
25−(M−1)と、複数M個の乗算器26−1乃至2
6−Mと、加算器27とを備えて構成される。トランス
バーサルフィルタ回路23−1に入力される信号は、サ
ブ信号のデータとして時空間適応制御型コントローラ2
0に出力され、かつ、重み係数w1,1の乗算係数を有
する乗算器26−1を介して加算器27に出力されると
ともに、互いに縦続接続された(M−1)個の遅延回路
25−1乃至25−(M−1)と、重み係数w1,Mの
乗算係数を有する乗算器26−Mとを介して加算器27
に出力される。ここで、重み係数wの添え字は、第1の
添え字でトランスバーサルフィルタ回路23−1乃至2
3−Jのシリアル番号1乃至Jを、第2の添え字で上記
各トランスバーサルフィルタ回路23−1乃至23−J
内の乗算器のシリアル番号1乃至Mを表す。また、遅延
回路25−1から出力される信号は、時空間適応制御型
コントローラ20に出力されるとともに、重み係数w
1,2の乗算係数を有する乗算器26−2を介して加算
器27に出力され、さらに、遅延回路25−2から出力
される信号は、時空間適応制御型コントローラ20に出
力されるとともに、重み係数w1,3の乗算係数を有す
る乗算器26−3を介して加算器17に出力される。以
下同様にして、遅延回路26−ma(ma=3,…,M
−1)から出力される信号は、時空間適応制御型コント
ローラ20に出力されるとともに、重み係数w
1,ma+1の乗算係数を有する乗算器26−(ma+
1)を介して加算器27に出力される。そして、加算器
27は入力されるM個の信号を加算し、加算結果の信号
を加算器17に出力する。
回路23−1の構成を示すブロック図である。トランス
バーサルフィルタ回路23−1は、ダウンサンプラ22
−1を通過して入力される信号を、例えば1シンボルの
1/4乃至1/2の時間だけそれぞれ遅延させ互いに縦
続接続された複数(M−1)個の遅延回路25−1乃至
25−(M−1)と、複数M個の乗算器26−1乃至2
6−Mと、加算器27とを備えて構成される。トランス
バーサルフィルタ回路23−1に入力される信号は、サ
ブ信号のデータとして時空間適応制御型コントローラ2
0に出力され、かつ、重み係数w1,1の乗算係数を有
する乗算器26−1を介して加算器27に出力されると
ともに、互いに縦続接続された(M−1)個の遅延回路
25−1乃至25−(M−1)と、重み係数w1,Mの
乗算係数を有する乗算器26−Mとを介して加算器27
に出力される。ここで、重み係数wの添え字は、第1の
添え字でトランスバーサルフィルタ回路23−1乃至2
3−Jのシリアル番号1乃至Jを、第2の添え字で上記
各トランスバーサルフィルタ回路23−1乃至23−J
内の乗算器のシリアル番号1乃至Mを表す。また、遅延
回路25−1から出力される信号は、時空間適応制御型
コントローラ20に出力されるとともに、重み係数w
1,2の乗算係数を有する乗算器26−2を介して加算
器27に出力され、さらに、遅延回路25−2から出力
される信号は、時空間適応制御型コントローラ20に出
力されるとともに、重み係数w1,3の乗算係数を有す
る乗算器26−3を介して加算器17に出力される。以
下同様にして、遅延回路26−ma(ma=3,…,M
−1)から出力される信号は、時空間適応制御型コント
ローラ20に出力されるとともに、重み係数w
1,ma+1の乗算係数を有する乗算器26−(ma+
1)を介して加算器27に出力される。そして、加算器
27は入力されるM個の信号を加算し、加算結果の信号
を加算器17に出力する。
【0082】また、図6のトランスバーサルフィルタ回
路23−2乃至23−Jは、互いに縦続接続された複数
(M−1)個の遅延回路と、複数M個の乗算器と、加算
器とを備えて、トランスバーサルフィルタ回路23−1
と同様に構成される。時間領域信号処理部5は、各トラ
ンスバーサルフィルタ回路23−1乃至23−Jから出
力された信号データDy1乃至DyJを、受信信号ベク
トルYを表す信号に合成して時空間適応制御型コントロ
ーラ20に出力する。また、時間領域信号処理部5は、
時空間適応制御型コントローラ20から入力された重み
係数ベクトルWを表す信号を重み係数データDw1乃至
DwJに分解して、各トランスバーサルフィルタ回路2
3−1乃至23−Jにおいてそこに入力された信号と乗
算する。
路23−2乃至23−Jは、互いに縦続接続された複数
(M−1)個の遅延回路と、複数M個の乗算器と、加算
器とを備えて、トランスバーサルフィルタ回路23−1
と同様に構成される。時間領域信号処理部5は、各トラ
ンスバーサルフィルタ回路23−1乃至23−Jから出
力された信号データDy1乃至DyJを、受信信号ベク
トルYを表す信号に合成して時空間適応制御型コントロ
ーラ20に出力する。また、時間領域信号処理部5は、
時空間適応制御型コントローラ20から入力された重み
係数ベクトルWを表す信号を重み係数データDw1乃至
DwJに分解して、各トランスバーサルフィルタ回路2
3−1乃至23−Jにおいてそこに入力された信号と乗
算する。
【0083】<第3の実施形態>図8は、本発明の第3
の実施形態に係るアレーアンテナの制御装置の構成の一
部を示す図であって、図6のTDMA用時間領域信号処
理部5−1に取って代わる、時間領域信号処理部5の第
2の実施形態であるCDMA用時間領域信号処理部5−
2のブロック図である。本実施形態においては、図6の
トランスバーサルフィルタ回路23−1乃至23−Jの
代わりに、複数J個のマッチドフィルタ(matched filt
er;整合フィルタともいう。)15−1乃至15−J
と、上記各マッチドフィルタ15−1乃至15−Jに接
続されたサブ信号処理回路16−1乃至16−Jとを備
えたことを特徴とし、それ以外の構成は図6のTDMA
用時間領域信号処理部5−1と同様であり、その詳細な
説明は省略する。
の実施形態に係るアレーアンテナの制御装置の構成の一
部を示す図であって、図6のTDMA用時間領域信号処
理部5−1に取って代わる、時間領域信号処理部5の第
2の実施形態であるCDMA用時間領域信号処理部5−
2のブロック図である。本実施形態においては、図6の
トランスバーサルフィルタ回路23−1乃至23−Jの
代わりに、複数J個のマッチドフィルタ(matched filt
er;整合フィルタともいう。)15−1乃至15−J
と、上記各マッチドフィルタ15−1乃至15−Jに接
続されたサブ信号処理回路16−1乃至16−Jとを備
えたことを特徴とし、それ以外の構成は図6のTDMA
用時間領域信号処理部5−1と同様であり、その詳細な
説明は省略する。
【0084】図8において、互いに縦続接続されたJ−
1個のシフトレジスタ13−1乃至13−(J−1)
と、J個のダウンサンプラ14−1乃至14−Jとは、
TDMA用時間領域信号処理部5−1と同様に構成され
る。ダウンサンプラ14−1から出力された信号はマッ
チドフィルタ15−1に入力され、マッチドフィルタ1
5−1は、ダウンサンプリングされた信号を、受信機の
コントローラ(図示せず。)から入力される所望波のユ
ーザ端末の拡散符号のデータDcpに基づいて、白色雑
音の中にうずもれた所望波信号を最大のSN比で検出
し、具体的には、拡散符号の1周期毎にパルス信号を出
力する。次いで、マッチドフィルタ15−1からの信号
は、詳細後述するサブ信号処理回路16−1を介して加
算器17に出力される。また、ダウンサンプラ14−2
から出力された信号は、マッチドフィルタ15−2及び
サブ信号処理回路16−2を介して加算器17に出力さ
れる。以下同様に、各マッチドフィルタ15−j(j=
3,4,…,J)は、ダウンサンプラ14−faから出
力された信号を、サブ信号処理回路16−jを介して加
算器17に出力する。
1個のシフトレジスタ13−1乃至13−(J−1)
と、J個のダウンサンプラ14−1乃至14−Jとは、
TDMA用時間領域信号処理部5−1と同様に構成され
る。ダウンサンプラ14−1から出力された信号はマッ
チドフィルタ15−1に入力され、マッチドフィルタ1
5−1は、ダウンサンプリングされた信号を、受信機の
コントローラ(図示せず。)から入力される所望波のユ
ーザ端末の拡散符号のデータDcpに基づいて、白色雑
音の中にうずもれた所望波信号を最大のSN比で検出
し、具体的には、拡散符号の1周期毎にパルス信号を出
力する。次いで、マッチドフィルタ15−1からの信号
は、詳細後述するサブ信号処理回路16−1を介して加
算器17に出力される。また、ダウンサンプラ14−2
から出力された信号は、マッチドフィルタ15−2及び
サブ信号処理回路16−2を介して加算器17に出力さ
れる。以下同様に、各マッチドフィルタ15−j(j=
3,4,…,J)は、ダウンサンプラ14−faから出
力された信号を、サブ信号処理回路16−jを介して加
算器17に出力する。
【0085】次いで、図8のサブ信号処理回路16−1
の詳細構成について説明する。サブ信号処理回路16−
1は、それぞれ所定の遅延時間Tcを有して縦続接続さ
れた複数(Nc−1)個の遅延回路21−1乃至21−
(Nc−1)と、複数Nc個のダウンサンプラ22−1
乃至22−Ncと、複数Nc個のトランスバーサルフィ
ルタ回路23−1乃至23−Ncと、加算器24とを備
えて構成される。マッチドフィルタ15−1から出力さ
れた信号は、遅延回路21−1及びダウンサンプラ22
−1に出力される。ダウンサンプラ22−1は入力され
た信号を、ダウンサンプラ14−1乃至14−Jのサン
プリング周波数の1/Nc倍のサンプリング周波数でダ
ウンサンプリングし、処理後の信号をトランスバーサル
フィルタ回路23−1を介して加算器24に出力する。
の詳細構成について説明する。サブ信号処理回路16−
1は、それぞれ所定の遅延時間Tcを有して縦続接続さ
れた複数(Nc−1)個の遅延回路21−1乃至21−
(Nc−1)と、複数Nc個のダウンサンプラ22−1
乃至22−Ncと、複数Nc個のトランスバーサルフィ
ルタ回路23−1乃至23−Ncと、加算器24とを備
えて構成される。マッチドフィルタ15−1から出力さ
れた信号は、遅延回路21−1及びダウンサンプラ22
−1に出力される。ダウンサンプラ22−1は入力され
た信号を、ダウンサンプラ14−1乃至14−Jのサン
プリング周波数の1/Nc倍のサンプリング周波数でダ
ウンサンプリングし、処理後の信号をトランスバーサル
フィルタ回路23−1を介して加算器24に出力する。
【0086】トランスバーサルフィルタ回路23−1乃
至23−Ncは、重み係数の演算のために、複数の時間
遅延のサブ信号に分割された信号データDy1乃至Dy
Ncを時空間適応制御型コントローラ20に出力し、か
つ、入力された各信号に、時空間適応制御型コントロー
ラ20によって演算された重み係数のデータDw1乃至
DwNcをそれぞれ乗算する。トランスバーサルフィル
タ回路23−1乃至23−Ncの詳細構成は、図7のT
DMA用時間領域信号処理部5−1のトランスバーサル
フィルタ回路と同様である。
至23−Ncは、重み係数の演算のために、複数の時間
遅延のサブ信号に分割された信号データDy1乃至Dy
Ncを時空間適応制御型コントローラ20に出力し、か
つ、入力された各信号に、時空間適応制御型コントロー
ラ20によって演算された重み係数のデータDw1乃至
DwNcをそれぞれ乗算する。トランスバーサルフィル
タ回路23−1乃至23−Ncの詳細構成は、図7のT
DMA用時間領域信号処理部5−1のトランスバーサル
フィルタ回路と同様である。
【0087】また、遅延回路21−1から出力された信
号は、遅延回路21−2とダウンサンプラ22−2に入
力され、ダウンサンプラ22−2は入力された信号を、
ダウンサンプラ14−1乃至14−Jのサンプリング周
波数の1/Nc倍のサンプリング周波数でダウンサンプ
リングし、処理後の信号をトランスバーサルフィルタ回
路23−2を介して加算器24に出力する。以下同様
に、遅延回路21−nc(nc=2,3,…,Nc−
1)から出力された信号は、遅延回路21−(nc+
1)とダウンサンプラ22−(nc+1)に入力され、
ダウンサンプラ22−(nc+1)は入力された信号
を、ダウンサンプラ14−1乃至14−Jのサンプリン
グ周波数の1/Nc倍のサンプリング周波数でダウンサ
ンプリングし、処理後の信号をトランスバーサルフィル
タ回路23−(nc+1)を介して加算器24に出力す
る。さらに、加算器24は入力される複数Nc個の信号
を加算して加算結果の信号を加算器17に出力する。
号は、遅延回路21−2とダウンサンプラ22−2に入
力され、ダウンサンプラ22−2は入力された信号を、
ダウンサンプラ14−1乃至14−Jのサンプリング周
波数の1/Nc倍のサンプリング周波数でダウンサンプ
リングし、処理後の信号をトランスバーサルフィルタ回
路23−2を介して加算器24に出力する。以下同様
に、遅延回路21−nc(nc=2,3,…,Nc−
1)から出力された信号は、遅延回路21−(nc+
1)とダウンサンプラ22−(nc+1)に入力され、
ダウンサンプラ22−(nc+1)は入力された信号
を、ダウンサンプラ14−1乃至14−Jのサンプリン
グ周波数の1/Nc倍のサンプリング周波数でダウンサ
ンプリングし、処理後の信号をトランスバーサルフィル
タ回路23−(nc+1)を介して加算器24に出力す
る。さらに、加算器24は入力される複数Nc個の信号
を加算して加算結果の信号を加算器17に出力する。
【0088】サブ信号処理回路16−2乃至16−Jに
ついても、その内部は、サブ信号処理回路16−1と同
様に構成される。加算器17は、サブ信号処理回路16
−1乃至16−Jから出力される複数J個の適応制御さ
れた信号を加算して、加算結果の信号を出力信号y
O(t)として出力する。時間領域信号処理部5は、サ
ブ信号処理回路16−1乃至16−J内の複数J×Nc
個の各トランスバーサルフィルタ回路23−1乃至23
−Ncから出力された信号データDy1乃至DyNc
を、受信信号ベクトルYを表す信号に合成して時空間適
応制御型コントローラ20に出力する。また、時間領域
信号処理部5は、時空間適応制御型コントローラ20か
ら入力された重み係数ベクトルWを表す信号を重み係数
データDw1乃至DwNcに分解して、複数J×Nc個
の各トランスバーサルフィルタ回路23−2乃至23−
Ncにおいてそこに入力された信号と乗算する。
ついても、その内部は、サブ信号処理回路16−1と同
様に構成される。加算器17は、サブ信号処理回路16
−1乃至16−Jから出力される複数J個の適応制御さ
れた信号を加算して、加算結果の信号を出力信号y
O(t)として出力する。時間領域信号処理部5は、サ
ブ信号処理回路16−1乃至16−J内の複数J×Nc
個の各トランスバーサルフィルタ回路23−1乃至23
−Ncから出力された信号データDy1乃至DyNc
を、受信信号ベクトルYを表す信号に合成して時空間適
応制御型コントローラ20に出力する。また、時間領域
信号処理部5は、時空間適応制御型コントローラ20か
ら入力された重み係数ベクトルWを表す信号を重み係数
データDw1乃至DwNcに分解して、複数J×Nc個
の各トランスバーサルフィルタ回路23−2乃至23−
Ncにおいてそこに入力された信号と乗算する。
【0089】以上のように構成されたアレーアンテナの
制御装置においては、時空間適応制御型コントローラ2
0は、時間領域信号処理部5から出力される受信信号ベ
クトルYと出力信号yO(n)とに基づいて、キュムラ
ントに基づく逆フィルタ基準を目的関数として用いた所
定の適応制御アルゴリズムを用いて、目的関数が最大化
されるように複数J×Nc×M個の乗算器26−1乃至
26−Mのための各重み係数を演算し、各乗算器26−
1乃至26−Mにフィードバックして設定する。
制御装置においては、時空間適応制御型コントローラ2
0は、時間領域信号処理部5から出力される受信信号ベ
クトルYと出力信号yO(n)とに基づいて、キュムラ
ントに基づく逆フィルタ基準を目的関数として用いた所
定の適応制御アルゴリズムを用いて、目的関数が最大化
されるように複数J×Nc×M個の乗算器26−1乃至
26−Mのための各重み係数を演算し、各乗算器26−
1乃至26−Mにフィードバックして設定する。
【0090】時空間適応制御型コントローラ20は、さ
らに、アレーアンテナ装置100の指向性を制御するた
めのリアクタンス値信号を出力する。ここで、時空間適
応制御型コントローラ20は、例えばコンピュータなど
のディジタル計算機で構成され、各可変リアクタンス素
子12−1乃至12−6のリアクタンス値を順次所定の
シフト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に係る出力信
号yO(n)に基づいた目的関数の勾配ベクトルを計算
し、計算された勾配ベクトルに基づいて目的関数の値が
最大となるように最急勾配法によって各リアクタンス値
を計算して設定することにより、上記アレーアンテナの
主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌル
を向けるためのブラインド時空間適応制御処理を実行す
ることを特徴とする。
らに、アレーアンテナ装置100の指向性を制御するた
めのリアクタンス値信号を出力する。ここで、時空間適
応制御型コントローラ20は、例えばコンピュータなど
のディジタル計算機で構成され、各可変リアクタンス素
子12−1乃至12−6のリアクタンス値を順次所定の
シフト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に係る出力信
号yO(n)に基づいた目的関数の勾配ベクトルを計算
し、計算された勾配ベクトルに基づいて目的関数の値が
最大となるように最急勾配法によって各リアクタンス値
を計算して設定することにより、上記アレーアンテナの
主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌル
を向けるためのブラインド時空間適応制御処理を実行す
ることを特徴とする。
【0091】次いで、本発明の第2及び第3の実施形態
に係るアレーアンテナの制御方法であるブラインド時空
間適応制御処理(ブラインド時空間適応型フィルタリン
グ;ブラインドSTAF)の原理について説明する。初
めに、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリ
アクタンス値が予め設定されているときの受信信号ベク
トルY及び出力信号yO(n)を定式化する。
に係るアレーアンテナの制御方法であるブラインド時空
間適応制御処理(ブラインド時空間適応型フィルタリン
グ;ブラインドSTAF)の原理について説明する。初
めに、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリ
アクタンス値が予め設定されているときの受信信号ベク
トルY及び出力信号yO(n)を定式化する。
【0092】マルチパス波が存在するとき、エスパアン
テナに基づく適応処理は時空間適応型フィルタリングに
なる。ブラインドSTAFの場合の受信信号ベクトルY
は、特願2001−59981号の明細書に詳述され
た、ブラインドでないSTAFの場合の信号ベクトルと
同様である。後続の説明の便宜上、第2及び第3の実施
形態のための関連付けられた受信信号ベクトルをそれぞ
れ次に簡単に定式化する。
テナに基づく適応処理は時空間適応型フィルタリングに
なる。ブラインドSTAFの場合の受信信号ベクトルY
は、特願2001−59981号の明細書に詳述され
た、ブラインドでないSTAFの場合の信号ベクトルと
同様である。後続の説明の便宜上、第2及び第3の実施
形態のための関連付けられた受信信号ベクトルをそれぞ
れ次に簡単に定式化する。
【0093】第2の実施形態(TDMAの場合)におい
て、p番目のユーザ端末の信号に係る情報シンボルの波
形信号ρp(t)は2乗された余弦パルスであることが
多く、すべてのユーザ端末の波形信号は同一である。δ
はサンプリング周期を示し、η=T/δ(ηは1以上の
整数)をオーバーサンプリング係数とする。数3によっ
て与えられた受信信号y(t)をt=mT−iδ,m∈
(−∞,+∞)でサンプリングすると、次式が得られ
る。
て、p番目のユーザ端末の信号に係る情報シンボルの波
形信号ρp(t)は2乗された余弦パルスであることが
多く、すべてのユーザ端末の波形信号は同一である。δ
はサンプリング周期を示し、η=T/δ(ηは1以上の
整数)をオーバーサンプリング係数とする。数3によっ
て与えられた受信信号y(t)をt=mT−iδ,m∈
(−∞,+∞)でサンプリングすると、次式が得られ
る。
【0094】
【数37】
i=0,…,η−1
【0095】仮定A1に記載されたユーザ端末の信号の
周期的な定常状態を利用すると、オーバーサンプリング
成分をスタックすることによって定式化される、拡張さ
れたマルチチャンネルモデルの信号ベクトルは、次式を
満たす。
周期的な定常状態を利用すると、オーバーサンプリング
成分をスタックすることによって定式化される、拡張さ
れたマルチチャンネルモデルの信号ベクトルは、次式を
満たす。
【0096】
【数38】
【0097】ここで、以下の表記を用いている。
【0098】
【数39】hp(d)=[gp(dT),gp(dT−
δ),…,gp(dT−(η−1)δ)]T
δ),…,gp(dT−(η−1)δ)]T
【数40】ωa(m)=[ω(mT),ω(mT−
δ),…ω(mT−(η−1)δ)]T
δ),…ω(mT−(η−1)δ)]T
【0099】オーバーサンプリング係数η(y(m)の
次元)は、オーバーサンプリングに基づくチャンネルの
数と呼ばれる。オーバーサンプリングによって拡張され
たチャンネルは、関連付けられたシステムのシンボルレ
ベルの自由度を同等(equivalently)に増大させる。こ
のことは、ブラインド処理にとって重大であり、かつ適
応処理の性能を高めるためにも非常に重要である(従来
技術文献7を参照)。オーバーサンプリング係数ηの限
界は、従来技術文献8「A. J. van der Veen,“Resolut
ion limits of blind multi-user multi-channel ident
ification schemes - the band limited case”, Proce
eding of ICASSP '96, Vol. 5, pp. 2722-2725, Atlant
a, Georgia, U.S.A. 1996年5月」で議論されてい
る。
次元)は、オーバーサンプリングに基づくチャンネルの
数と呼ばれる。オーバーサンプリングによって拡張され
たチャンネルは、関連付けられたシステムのシンボルレ
ベルの自由度を同等(equivalently)に増大させる。こ
のことは、ブラインド処理にとって重大であり、かつ適
応処理の性能を高めるためにも非常に重要である(従来
技術文献7を参照)。オーバーサンプリング係数ηの限
界は、従来技術文献8「A. J. van der Veen,“Resolut
ion limits of blind multi-user multi-channel ident
ification schemes - the band limited case”, Proce
eding of ICASSP '96, Vol. 5, pp. 2722-2725, Atlant
a, Georgia, U.S.A. 1996年5月」で議論されてい
る。
【0100】M個のシンボルの周期の間の連続的なサン
プルに対して、次の受信信号ベクトルが定式化される。
プルに対して、次の受信信号ベクトルが定式化される。
【0101】
【数41】
【0102】ここで、次の表記を用いた。
【0103】
【数42】
【数43】Sp(m)=[sp(m),sp(m−1)
…,sp(m−M−Dp+1)]T
…,sp(m−M−Dp+1)]T
【数44】ωb(m)=[ωaT(m),ωaT(m−
1),…,ωaT(m−M+1)]T
1),…,ωaT(m−M+1)]T
【0104】数41のパラメータmを離散的パラメータ
nで読み替えた受信信号ベクトルY T(m)=Y
T(n)に基づいて、時間領域の適応型フィルタリング
に係る出力信号yO(n)は、次式によって与えられ
る。
nで読み替えた受信信号ベクトルY T(m)=Y
T(n)に基づいて、時間領域の適応型フィルタリング
に係る出力信号yO(n)は、次式によって与えられ
る。
【0105】
【数45】yO(n)=WTYT(n)
【0106】ここで、Wは図6の重み係数データDw1
乃至DwJ(又は図7の重み係数W j,m,1≦j≦
J,1≦m≦M)が表すすべての重み係数を成分として
含む重み係数ベクトルである。
乃至DwJ(又は図7の重み係数W j,m,1≦j≦
J,1≦m≦M)が表すすべての重み係数を成分として
含む重み係数ベクトルである。
【0107】次に、第3の実施形態(CDMAの場合)
では、p番目のユーザ端末の情報シンボルのシグニチャ
ー波形信号ρp(t)は次のように表すことが可能であ
る。
では、p番目のユーザ端末の情報シンボルのシグニチャ
ー波形信号ρp(t)は次のように表すことが可能であ
る。
【0108】
【数46】
0≦t≦T
【0109】ここで、{cp(j)},j=0,…,N
c−1はp番目のユーザ端末の信号に割り当てられた拡
散コードであり、時間期間Tは、チップ間隔Tcと、シ
ンボル当たりのチップ数Ncとの積に等しく(T=Nc
×Tc)、ψ(t)は区間[0,Tc]内で定義される
正規化されたチップ波形信号である。拡散シーケンスは
周期的である場合も非周期的である場合もあり、採用さ
れる基準に依存する。本実施形態では、周期的である場
合について考察する。
c−1はp番目のユーザ端末の信号に割り当てられた拡
散コードであり、時間期間Tは、チップ間隔Tcと、シ
ンボル当たりのチップ数Ncとの積に等しく(T=Nc
×Tc)、ψ(t)は区間[0,Tc]内で定義される
正規化されたチップ波形信号である。拡散シーケンスは
周期的である場合も非周期的である場合もあり、採用さ
れる基準に依存する。本実施形態では、周期的である場
合について考察する。
【0110】簡単化のために、ψ(kTc−lTc)=
δk,lを仮定すると、p番目のユーザ端末の離散的な
波形信号は次式のようになることが容易に分かる。
δk,lを仮定すると、p番目のユーザ端末の離散的な
波形信号は次式のようになることが容易に分かる。
【0111】
【数47】
【0112】サンプリング周期をδ=Tc/ηとする
(η≧1はオーバーサンプリング係数)。受信信号y
(t)をt=lTc−iδ,i=0,…,η−1でサン
プリングすると、数3の離散形式を次式のように得るこ
とができる。
(η≧1はオーバーサンプリング係数)。受信信号y
(t)をt=lTc−iδ,i=0,…,η−1でサン
プリングすると、数3の離散形式を次式のように得るこ
とができる。
【0113】
【数48】
【0114】数38の定式化と同様に、y(lTc−i
δ),i=1,…,η−1を信号ベクトルとしてスタッ
クする。
δ),i=1,…,η−1を信号ベクトルとしてスタッ
クする。
【0115】
【数49】yb(lTc)=[y(lTc),…,y
(lTc−(η−1)δ)]T
(lTc−(η−1)δ)]T
【0116】p0番目のユーザ端末のシグニチャー波形
信号に係るマッチドフィルタを用いて逆拡散された後の
出力信号ベクトルは、次式で表すことができる。
信号に係るマッチドフィルタを用いて逆拡散された後の
出力信号ベクトルは、次式で表すことができる。
【0117】
【数50】
【0118】lTc=kT−ijTc,1≦j≦μ,0
≦ij≦Nc−1を、逆拡散マッチドフィルタ出力にお
けるμ個のピークの指数とすると、シンボルレベルの信
号ベクトルは次のように定義される。
≦ij≦Nc−1を、逆拡散マッチドフィルタ出力にお
けるμ個のピークの指数とすると、シンボルレベルの信
号ベクトルは次のように定義される。
【0119】
【数51】yd(kT)=[ycT(kT−i1T
c),…,ycT(kT−iμTc)]T
c),…,ycT(kT−iμTc)]T
【0120】M個のシンボルの周期の間の連続するサン
プルに関しては、下記の受信信号ベクトルを定式化する
ことができる。
プルに関しては、下記の受信信号ベクトルを定式化する
ことができる。
【0121】
【数52】YC(k)=[ydT(kT),…,ydT
(kT−(M−1)T)]T
(kT−(M−1)T)]T
【0122】数52の受信信号ベクトルYCの定式化に
ついての詳細は、特願2001−59981号の明細書
の記述が参照される。与えられたリアクタンスセットの
下では、時間領域の適応型フィルタリングが、TDMA
の場合と同様に次式によって実行される。ここで、パラ
メータkを離散パラメータnで読み替えている。
ついての詳細は、特願2001−59981号の明細書
の記述が参照される。与えられたリアクタンスセットの
下では、時間領域の適応型フィルタリングが、TDMA
の場合と同様に次式によって実行される。ここで、パラ
メータkを離散パラメータnで読み替えている。
【0123】
【数53】yO(n)=WTYC(n)
【0124】ここでWは、図8が示す重み係数データD
w(各重み係数データDwは、複数の重み係数wを含
む。)を成分として有する関連付けられた重み係数ベク
トルである。
w(各重み係数データDwは、複数の重み係数wを含
む。)を成分として有する関連付けられた重み係数ベク
トルである。
【0125】注目すべき点は、仮定A3によって、数4
1及び数52によって与えられるシンボルレベルのベク
トル信号シーケンスが定常状態にあって、このことは、
非励振素子のリアクタンスが観測の時間間隔において一
定に維持されなければならないこと、すなわち関連付け
られたパターン形状は上記時間間隔において変化されず
に保持されることを意味している。この条件は、次の時
空間結合処理において必要となる。
1及び数52によって与えられるシンボルレベルのベク
トル信号シーケンスが定常状態にあって、このことは、
非励振素子のリアクタンスが観測の時間間隔において一
定に維持されなければならないこと、すなわち関連付け
られたパターン形状は上記時間間隔において変化されず
に保持されることを意味している。この条件は、次の時
空間結合処理において必要となる。
【0126】以上に定式化された信号環境に基づいて、
与えられたリアクタンス値のセット下でのブラインド時
間領域適応制御処理を定式化する。
与えられたリアクタンス値のセット下でのブラインド時
間領域適応制御処理を定式化する。
【0127】ところで、特願2002−81074号の
明細書に記載されたように、フェーズドアレーアンテナ
(リニアアレーアンテナ等)の各アンテナ素子で受信さ
れた信号を成分とするアレーアンテナ信号ベクトルx
(t)に対して、各重み係数を成分として含む重み係数
ベクトルcを用いた適応ビーム形成は次のように実行さ
れる。
明細書に記載されたように、フェーズドアレーアンテナ
(リニアアレーアンテナ等)の各アンテナ素子で受信さ
れた信号を成分とするアレーアンテナ信号ベクトルx
(t)に対して、各重み係数を成分として含む重み係数
ベクトルcを用いた適応ビーム形成は次のように実行さ
れる。
【0128】
【数54】z(t)=cTx(t)
【0129】上記明細書に開示された超指数的ブライン
ドビーム形成アルゴリズムは、各反復において、重み付
けベクトルを次のように更新する。
ドビーム形成アルゴリズムは、各反復において、重み付
けベクトルを次のように更新する。
【0130】
【数55】
【数56】d(k−1)=cum(z
(k−1)(t);z(k−1)(t);z
(k−1)*(t);x*(t))
(k−1)(t);z(k−1)(t);z
(k−1)*(t);x*(t))
【数57】
z(k−1)(t)=(c(k−1))Tx(t)
【0131】ここで、
【数58】R=E[x(t)xH(t)]はアンテナア
レー信号ベクトルx(t)の自己相関行列であり、ま
た、キュムラントベクトルd(k−1)は次式を意味す
る。
レー信号ベクトルx(t)の自己相関行列であり、ま
た、キュムラントベクトルd(k−1)は次式を意味す
る。
【0132】
【数59】cum(z(k−1)(t);z(k−1)
(t);z(k−1)*(t);x*(t))=E(|
z(t)|2z(t)x*(t))−2E(|z(t)
|2)E(z(t)x*(t))
(t);z(k−1)*(t);x*(t))=E(|
z(t)|2z(t)x*(t))−2E(|z(t)
|2)E(z(t)x*(t))
【0133】数55乃至数57は、従来技術文献9「O.
Shalvi et al., "Super-exponential methods for bli
nd deconvolution", IEEE Transactions on Informatio
n Theory, Vol. 39, No. 2, pp.504-519, 1993年3
月」に提示されている超指数的ブラインド分解(デコン
ボリューション)反復式から拡張されたものであること
を注意する。超指数的ブラインド適応ビーム形成アルゴ
リズム(特願2002−81074号の明細書を参照)
は、反復回数に対してべき乗のべき乗の速さで(すなわ
ち超指数的に)収束するものであり、次の3つのステッ
プを含む。
Shalvi et al., "Super-exponential methods for bli
nd deconvolution", IEEE Transactions on Informatio
n Theory, Vol. 39, No. 2, pp.504-519, 1993年3
月」に提示されている超指数的ブラインド分解(デコン
ボリューション)反復式から拡張されたものであること
を注意する。超指数的ブラインド適応ビーム形成アルゴ
リズム(特願2002−81074号の明細書を参照)
は、反復回数に対してべき乗のべき乗の速さで(すなわ
ち超指数的に)収束するものであり、次の3つのステッ
プを含む。
【0134】ステップ1:反復回数k=1を設定し、収
束精度ε(=10−6)と、重み係数ベクトルの初期値
c(0)を与えられたものとする。 ステップ2:数55乃至数57を実行し、重み係数ベク
トルc(k)を得る。 ステップ3:出力信号z(k)(t)の目的関数値J
(z(k)(t))を計算し、
束精度ε(=10−6)と、重み係数ベクトルの初期値
c(0)を与えられたものとする。 ステップ2:数55乃至数57を実行し、重み係数ベク
トルc(k)を得る。 ステップ3:出力信号z(k)(t)の目的関数値J
(z(k)(t))を計算し、
【数60】│J(z(k)(t))−J(z(k−1)
(t))│<εであれば実行を停止し、そうでなけれ
ば、反復回数kを1だけインクリメントしてステップ2
に進む。
(t))│<εであれば実行を停止し、そうでなけれ
ば、反復回数kを1だけインクリメントしてステップ2
に進む。
【0135】目的関数はステップ3の条件が満たされた
時点で最大になる。この最大化は、特願2002−81
074号の明細書の定理4において証明されている。
時点で最大になる。この最大化は、特願2002−81
074号の明細書の定理4において証明されている。
【0136】数41及び数52の受信信号ベクトルの下
付き文字(T及びC)を省略すると、数45及び53の
適応型フィルタリングは同じ形式を有する。仮定A2に
より、受信信号ベクトル41又は数52は、特願200
2−81074号の明細書に提示されたアンテナアレー
信号ベクトルと同じ形式を有する。このことは、フェー
ズドアレーアンテナのための超指数的ブラインド適応ビ
ーム形成アルゴリズムを、TDMA及びCDMAのため
の、エスパアンテナに基づく時間領域適応型フィルタリ
ングに直接適用可能であることを意味している。ブライ
ンド時空間適応制御処理に係る以下の議論は、第2の実
施形態(TDMA)と第3の実施形態(CDMA)とに
共通である。与えられたリアクタンスセットの下では、
時間領域適応型フィルタリングの目的関数(IFC関
数)は次のようになる。
付き文字(T及びC)を省略すると、数45及び53の
適応型フィルタリングは同じ形式を有する。仮定A2に
より、受信信号ベクトル41又は数52は、特願200
2−81074号の明細書に提示されたアンテナアレー
信号ベクトルと同じ形式を有する。このことは、フェー
ズドアレーアンテナのための超指数的ブラインド適応ビ
ーム形成アルゴリズムを、TDMA及びCDMAのため
の、エスパアンテナに基づく時間領域適応型フィルタリ
ングに直接適用可能であることを意味している。ブライ
ンド時空間適応制御処理に係る以下の議論は、第2の実
施形態(TDMA)と第3の実施形態(CDMA)とに
共通である。与えられたリアクタンスセットの下では、
時間領域適応型フィルタリングの目的関数(IFC関
数)は次のようになる。
【0137】
【数61】
【0138】ここで、Cd4{yO (n)}及びEd
{|yO (n)|2}は数27及び数28で定義されて
いる。また、数58より、次の受信信号ベクトルYの離
散化された自己相関行列Rdを用いる。
{|yO (n)|2}は数27及び数28で定義されて
いる。また、数58より、次の受信信号ベクトルYの離
散化された自己相関行列Rdを用いる。
【0139】
【数62】
【0140】ここで、ml=Nt×l,l=1,…,M
tであり、Mtは連続するデータブロックの数を示す。
Ntは、ブロックサイズを示し、項Cd
4{yO (n)}及びEd{|yO (n)|2}がそれ
ぞれキュムラントC4{yO(n)}及び分散E{|y
O(n)|2}に対するよい期待値になるように選択さ
れる。ブラインド時間領域適応型フィルタリングは、次
の2つのステップで実現される。
tであり、Mtは連続するデータブロックの数を示す。
Ntは、ブロックサイズを示し、項Cd
4{yO (n)}及びEd{|yO (n)|2}がそれ
ぞれキュムラントC4{yO(n)}及び分散E{|y
O(n)|2}に対するよい期待値になるように選択さ
れる。ブラインド時間領域適応型フィルタリングは、次
の2つのステップで実現される。
【0141】初期化:収束精度ε’(=10−5)を与
えられたものとし、与えられた重み係数ベクトルの初期
値W(0)を時間領域信号処理部5に出力して設定し、
処理の反復回数kを0に設定し、
えられたものとし、与えられた重み係数ベクトルの初期
値W(0)を時間領域信号処理部5に出力して設定し、
処理の反復回数kを0に設定し、
【数63】Jmax=J(yO (0)(n))を設定す
る。
る。
【0142】ステップ1:次式を実行する。
【0143】
【数64】
【数65】
【数66】yO (k)(n)=(W(k))TY(n)
【0144】ステップ2:
【数67】
J(yO (k+1)(n))−Jmax≧ε’
であれば、
【数68】Jmax=J(yO (k+1)(n))
及び
【数69】k=k+1
とし、ステップ1に進む。そうでなければ、処理を停止
する。アルゴリズムが収束し、ステップ2の条件が満た
されるとき、目的関数J(yO (k)(n))はほぼ最
大化される。以上の方法によって重み係数を計算する
と、最適な重み係数に向かって超指数的に(べき乗のべ
き乗の速さで)収束する。
する。アルゴリズムが収束し、ステップ2の条件が満た
されるとき、目的関数J(yO (k)(n))はほぼ最
大化される。以上の方法によって重み係数を計算する
と、最適な重み係数に向かって超指数的に(べき乗のべ
き乗の速さで)収束する。
【0145】上述されたリアクタンス値が予め与えられ
ていたときの時間領域適応制御処理に基づいて、重み係
数ベクトルWを計算するとともにリアクタンス値Xも計
算することができるブラインド時空間適応制御処理を以
下に説明する。
ていたときの時間領域適応制御処理に基づいて、重み係
数ベクトルWを計算するとともにリアクタンス値Xも計
算することができるブラインド時空間適応制御処理を以
下に説明する。
【0146】時間良識の処理と空間領域の処理とが結合
された時空間適応型フィルタリングの場合、最大化され
るべき目的関数(IFC関数)は、リアクタンスと重み
係数ベクトルの両方に関する結合関数(joint functio
n)であり、与えられたリアクタンス値が表記されてい
ることを除いて、下記のように数61によって与えられ
るものと同様の形式を有する。
された時空間適応型フィルタリングの場合、最大化され
るべき目的関数(IFC関数)は、リアクタンスと重み
係数ベクトルの両方に関する結合関数(joint functio
n)であり、与えられたリアクタンス値が表記されてい
ることを除いて、下記のように数61によって与えられ
るものと同様の形式を有する。
【0147】
【数70】
【0148】上述されたように、適応型フィルタリング
のためのデータは定常状態になければならず(従来技術
文献10「S.Haykin, "Adaptive Filter Theory", thir
d edition, Prentice-Hall, 1996」を参照)、定常的な
データは、与えられたリアクタンスセット又は与えられ
たパターンの下で取得される。与えられた固定リアクタ
ンスセットが異なれば、異なる定常データブロックが取
得される可能性もある。特願2001−59981号の
明細書に開示されたSTAFは、定常的なデータブロッ
クに対してのみ動作するので、提案されるブラインドS
TAFは、与えられたリアクタンスのセットの下で、定
常的なデータブロック内でのブラインド時間領域適応型
フィルタリングを実行するとともに、リアクタンスを更
新するために、いくつかの定常的なデータブロックを用
いてブラインド空間フィルタリング(ビーム形成)を実
行する。
のためのデータは定常状態になければならず(従来技術
文献10「S.Haykin, "Adaptive Filter Theory", thir
d edition, Prentice-Hall, 1996」を参照)、定常的な
データは、与えられたリアクタンスセット又は与えられ
たパターンの下で取得される。与えられた固定リアクタ
ンスセットが異なれば、異なる定常データブロックが取
得される可能性もある。特願2001−59981号の
明細書に開示されたSTAFは、定常的なデータブロッ
クに対してのみ動作するので、提案されるブラインドS
TAFは、与えられたリアクタンスのセットの下で、定
常的なデータブロック内でのブラインド時間領域適応型
フィルタリングを実行するとともに、リアクタンスを更
新するために、いくつかの定常的なデータブロックを用
いてブラインド空間フィルタリング(ビーム形成)を実
行する。
【0149】時間領域適応型フィルタリングは与えられ
たリアクタンスセット下で実行されるので、ゆえに、時
間領域適応型フィルタの重み係数ベクトルはリアクタン
スの関数である。すなわち、次のように表記できる。
たリアクタンスセット下で実行されるので、ゆえに、時
間領域適応型フィルタの重み係数ベクトルはリアクタン
スの関数である。すなわち、次のように表記できる。
【0150】
【数71】W=W(X)=W(X1,…,X6)
【0151】これは、数70を次式のように表示できる
ことを意味する。
ことを意味する。
【0152】
【数72】
【0153】また、上述された手順から、最適化された
重み係数ベクトルWoptは、次式のように目的関数を
時間領域重み係数ベクトルに関して最適化することによ
って取得されることが分かる。
重み係数ベクトルWoptは、次式のように目的関数を
時間領域重み係数ベクトルに関して最適化することによ
って取得されることが分かる。
【0154】
【数73】
【0155】従って、リアクタンスベクトルの更新は、
第1の実施形態に係るブラインド適応制御処理で提示さ
れたものと同様の方法で次のように定式化される。
第1の実施形態に係るブラインド適応制御処理で提示さ
れたものと同様の方法で次のように定式化される。
【0156】
【数74】X(u+1)=X(u)+α∇XJd(Wo
pt(X),X)|X=X(u)
pt(X),X)|X=X(u)
【数75】
【数76】
i=1,…,6
【0157】ここで、αは更新のステップサイズパラメ
ータであり、Δは正又は負の定数であるリアクタンスの
摂動のステップサイズパラメータであり、eiは6×6
の単位行列のi番目の列ベクトルを示す。e0は、すべ
て0の成分を有する6×1ベクトルを示し、∇XJd
(Wopt(X),X)はリアクタンスベクトルに関す
る目的関数の勾配ベクトルを示す。ブラインド時空間適
応制御処理に係るリアクタンスベクトルX及び時間領域
重み係数ベクトルWは、以下のステップの手順によって
交互に更新される。すなわち、第1のステップとして、
リアクタンスベクトルの初期値及び重み係数ベクトルの
初期値に基づいて、数64乃至数66を用いて更新され
た重み係数ベクトルを計算する。また、リアクタンスに
関する目的関数の勾配を計算するために、摂動されたリ
アクタンスベクトルに基づいて、数64乃至数66を用
いて更新された重み係数ベクトルと、それに対応する目
的関数値とを計算する。次いで、第2のステップで、摂
動されたリアクタンスベクトルに対応する目的関数値に
基づいて数76及び数75から目的関数の勾配を計算し
て、さらに数74を用いて更新されたリアクタンスベク
トルを計算し、上記リアクタンスベクトルに基づく目的
関数値を計算する。第3のステップとして、計算された
目的関数値が、目的関数値の最大値JJmaxよりも所
定のしきい値だけ大きいときは、この計算された目的関
数値を最大値JJmaxとして設定して、更新されたリ
アクタンスベクトルに基づいて重み係数ベクトル及び対
応する目的関数値を計算する第1のステップを繰り返
し、そうでないときは処理を終了する。
ータであり、Δは正又は負の定数であるリアクタンスの
摂動のステップサイズパラメータであり、eiは6×6
の単位行列のi番目の列ベクトルを示す。e0は、すべ
て0の成分を有する6×1ベクトルを示し、∇XJd
(Wopt(X),X)はリアクタンスベクトルに関す
る目的関数の勾配ベクトルを示す。ブラインド時空間適
応制御処理に係るリアクタンスベクトルX及び時間領域
重み係数ベクトルWは、以下のステップの手順によって
交互に更新される。すなわち、第1のステップとして、
リアクタンスベクトルの初期値及び重み係数ベクトルの
初期値に基づいて、数64乃至数66を用いて更新され
た重み係数ベクトルを計算する。また、リアクタンスに
関する目的関数の勾配を計算するために、摂動されたリ
アクタンスベクトルに基づいて、数64乃至数66を用
いて更新された重み係数ベクトルと、それに対応する目
的関数値とを計算する。次いで、第2のステップで、摂
動されたリアクタンスベクトルに対応する目的関数値に
基づいて数76及び数75から目的関数の勾配を計算し
て、さらに数74を用いて更新されたリアクタンスベク
トルを計算し、上記リアクタンスベクトルに基づく目的
関数値を計算する。第3のステップとして、計算された
目的関数値が、目的関数値の最大値JJmaxよりも所
定のしきい値だけ大きいときは、この計算された目的関
数値を最大値JJmaxとして設定して、更新されたリ
アクタンスベクトルに基づいて重み係数ベクトル及び対
応する目的関数値を計算する第1のステップを繰り返
し、そうでないときは処理を終了する。
【0158】図9を参照すると、本発明の第2及び第3
の実施形態に係るブラインド時空間適応制御処理のフロ
ーチャートが示されている。ステップS41で、ループ
の反復回数uを0に設定し、ステップS2で、初期化ス
テップとして、反復制御数ε及びε’と、ステップサイ
ズパラメータα及びΔと、リアクタンスベクトルの初期
値X(0)=[X1(0),…,X6(0)]Tを与え
られたものとし、リアクタンスベクトルX(0)を表す
リアクタンス値信号の初期値X(0)を可変リアクタン
ス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。ステ
ップS3で、目的関数の最大値Jmaxを0に設定す
る。
の実施形態に係るブラインド時空間適応制御処理のフロ
ーチャートが示されている。ステップS41で、ループ
の反復回数uを0に設定し、ステップS2で、初期化ス
テップとして、反復制御数ε及びε’と、ステップサイ
ズパラメータα及びΔと、リアクタンスベクトルの初期
値X(0)=[X1(0),…,X6(0)]Tを与え
られたものとし、リアクタンスベクトルX(0)を表す
リアクタンス値信号の初期値X(0)を可変リアクタン
ス素子12−1乃至12−6に出力して設定する。ステ
ップS3で、目的関数の最大値Jmaxを0に設定す
る。
【0159】次いで、ステップS44乃至S46では、
目的関数の勾配を計算するために、リアクタンスベクト
ルX(0)及び摂動されたリアクタンスベクトルX
(0)±Δ・ei(i=1,…,6)に基づく最適な重
み係数ベクトルWと、それに対応する目的関数値とを計
算する。本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、リ
アクタンス値を正に摂動させたときの勾配と負に摂動さ
せたときの勾配とを用いて次のリアクタンス値を計算
し、各リアクタンス値のうちで目的関数値をより大きく
するほうを、更新されたリアクタンス値に決定するため
に、ステップS45及びS46で正と負に摂動された目
的関数値をそれぞれ計算し、次いで、数74乃至数76
の代わりに次式を用いて目的関数の勾配を計算する。
目的関数の勾配を計算するために、リアクタンスベクト
ルX(0)及び摂動されたリアクタンスベクトルX
(0)±Δ・ei(i=1,…,6)に基づく最適な重
み係数ベクトルWと、それに対応する目的関数値とを計
算する。本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、リ
アクタンス値を正に摂動させたときの勾配と負に摂動さ
せたときの勾配とを用いて次のリアクタンス値を計算
し、各リアクタンス値のうちで目的関数値をより大きく
するほうを、更新されたリアクタンス値に決定するため
に、ステップS45及びS46で正と負に摂動された目
的関数値をそれぞれ計算し、次いで、数74乃至数76
の代わりに次式を用いて目的関数の勾配を計算する。
【0160】
【数77】X+Δ(u+1)=X(u)+α∇X,+Δ
Jd(Wopt(X),X)|X=X(u)
Jd(Wopt(X),X)|X=X(u)
【数78】
【数79】
i=1,…,6
【数80】X−Δ(u+1)=X(u)+α∇X,−Δ
Jd(Wopt(X),X)|X=X(u)
Jd(Wopt(X),X)|X=X(u)
【数81】
【数82】
i=1,…,6
【0161】ステップS44の目的関数値Jd(Wop
t(X(u)),X(u))計算処理では、リアクタン
スベクトルの初期値X(0)に基づく最適な重み係数ベ
クトルWopt(X(0))と、それに対応する目的関
数値Jd(Wopt(X(0)),X(0))とを計算
する。図10に示されたステップS44のサブルーチン
を参照すると、ステップS61で反復回数kを0に設定
し、ステップS62で、重み係数ベクトルの初期値W
(0)を時間領域信号処理部5に出力して設定する。次
いで、ステップS63において、出力信号yO(n)に
基づき数72を用いて目的関数値Jd(W(0),X
(0))を計算し、目的関数の最大値Jmaxの初期値
に設定する。ステップS64において、受信信号ベクト
ルY(n)及び出力信号yO(n)=yO (k)(n)
に基づいて、数62、数65及び数64を用いて重み係
数ベクトルW(k+1)を計算する。重み係数ベクトル
W(k+1)を計算するための自己相関行列Rdは、最
初の反復のみで計算されてもよい(数62)。ステップ
S65において、重み係数ベクトルW(k+1)を表す
重み係数データ信号を時間領域信号処理部5に出力して
設定する。ステップS66において、出力信号y
O(n)に基づき数72を用いて目的関数値Jd(W
(X(k+1)),X(0))を計算する。ステップS
67以降は決定ステップである。本実施形態では、図3
のステップS8及びS10と同様、ある反復でステップ
S52の条件が満たされたのちに、収束を保証するため
に、連続した8回の反復で所定の収束条件が満たされる
ことを条件として課している。まず、ステップS67に
おいて、目的関数値Jd(W(k+1),X(0))に
ついて次式が成り立つか否かが判断される。
t(X(u)),X(u))計算処理では、リアクタン
スベクトルの初期値X(0)に基づく最適な重み係数ベ
クトルWopt(X(0))と、それに対応する目的関
数値Jd(Wopt(X(0)),X(0))とを計算
する。図10に示されたステップS44のサブルーチン
を参照すると、ステップS61で反復回数kを0に設定
し、ステップS62で、重み係数ベクトルの初期値W
(0)を時間領域信号処理部5に出力して設定する。次
いで、ステップS63において、出力信号yO(n)に
基づき数72を用いて目的関数値Jd(W(0),X
(0))を計算し、目的関数の最大値Jmaxの初期値
に設定する。ステップS64において、受信信号ベクト
ルY(n)及び出力信号yO(n)=yO (k)(n)
に基づいて、数62、数65及び数64を用いて重み係
数ベクトルW(k+1)を計算する。重み係数ベクトル
W(k+1)を計算するための自己相関行列Rdは、最
初の反復のみで計算されてもよい(数62)。ステップ
S65において、重み係数ベクトルW(k+1)を表す
重み係数データ信号を時間領域信号処理部5に出力して
設定する。ステップS66において、出力信号y
O(n)に基づき数72を用いて目的関数値Jd(W
(X(k+1)),X(0))を計算する。ステップS
67以降は決定ステップである。本実施形態では、図3
のステップS8及びS10と同様、ある反復でステップ
S52の条件が満たされたのちに、収束を保証するため
に、連続した8回の反復で所定の収束条件が満たされる
ことを条件として課している。まず、ステップS67に
おいて、目的関数値Jd(W(k+1),X(0))に
ついて次式が成り立つか否かが判断される。
【0162】
【数83】
Jd(W(k+1),X(0))−Jmax≧ε’
【0163】上式が成り立つときは、ステップS70で
目的関数値Jd(W(k+1),X(0))をその最大
値Jmaxとして設定し、ステップS71で反復回数k
を1だけインクリメントしてステップS64に戻る。ス
テップS67がNOであるときは、連続した8回の反復
m(k−7≦m≦k)に対して次式が成り立つか否かが
判断される。
目的関数値Jd(W(k+1),X(0))をその最大
値Jmaxとして設定し、ステップS71で反復回数k
を1だけインクリメントしてステップS64に戻る。ス
テップS67がNOであるときは、連続した8回の反復
m(k−7≦m≦k)に対して次式が成り立つか否かが
判断される。
【0164】
【数84】Jd(W(m),X(0))−Jmax<
ε’
ε’
【0165】上式が成り立たないときは、ステップS7
0及びS71を実行してステップS64に戻る。上式が
成り立つときは、ステップS69で、重み係数ベクトル
W(k+1)を最適な重み係数ベクトルWopt(X
(u))と設定して図9のフローにリターンする。
0及びS71を実行してステップS64に戻る。上式が
成り立つときは、ステップS69で、重み係数ベクトル
W(k+1)を最適な重み係数ベクトルWopt(X
(u))と設定して図9のフローにリターンする。
【0166】ステップS45の目的関数値Jd(Wop
t(X(u)+Δ・ei),X(u)+Δ・ei)計算
処理では、摂動されたリアクタンスベクトルX(u)+
Δ・ei(i=1,…,6)に基づく最適な重み係数ベ
クトルWopt(X(u)+Δ・ei)と、それに対応
する目的関数値Jd(Wopt(X(u)+Δ・
ei),X(u)+Δ・ei)とを計算する。図11に
示されたステップS45のサブルーチンを参照すると、
ステップS81において、各可変リアクタンス素子を表
すパラメータiを1に設定し、ステップS82で反復回
数kを0に設定し、ステップS83で、重み係数ベクト
ルの初期値W(0)を時間領域信号処理部5に出力して
設定する。次いで、ステップS84において、出力信号
yO(n)に基づき数72を用いて目的関数値Jd(W
(0),X(u))を計算し、目的関数の最大値Jma
xの初期値に設定する。ステップS85において、i番
目の成分のみ+Δだけ摂動されたリアクタンスベクトル
X(u)+Δ・eiを表すリアクタンス値信号を、可変
リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定
する。ステップS86で、受信信号ベクトルY(n)及
び出力信号yO(n)=y O (k)(n)に基づいて、
数62、数65及び数64を用いて重み係数ベクトルW
(k+1)を計算する。重み係数ベクトルW(k+1)
を計算するための自己相関行列Rdは、最初の反復のみ
で計算されてもよい(数62)。ステップS87におい
て、重み係数ベクトルW(k+1)を表す重み係数デー
タ信号を時間領域信号処理部5に出力して設定する。ス
テップS88において、出力信号yO(n)に基づき数
72を用いて目的関数値Jd(W(X(k+1),X
(u)+Δ・ei)を計算する。ステップS89以降は
決定ステップである。ステップS44と同様、収束を保
証するために、連続した8回の反復で所定の収束条件が
満たされることを条件として課している。まず、ステッ
プS89において、目的関数値Jd(W(k+1),X
(u)+Δ・ei)について次式が成り立つか否かが判
断される。
t(X(u)+Δ・ei),X(u)+Δ・ei)計算
処理では、摂動されたリアクタンスベクトルX(u)+
Δ・ei(i=1,…,6)に基づく最適な重み係数ベ
クトルWopt(X(u)+Δ・ei)と、それに対応
する目的関数値Jd(Wopt(X(u)+Δ・
ei),X(u)+Δ・ei)とを計算する。図11に
示されたステップS45のサブルーチンを参照すると、
ステップS81において、各可変リアクタンス素子を表
すパラメータiを1に設定し、ステップS82で反復回
数kを0に設定し、ステップS83で、重み係数ベクト
ルの初期値W(0)を時間領域信号処理部5に出力して
設定する。次いで、ステップS84において、出力信号
yO(n)に基づき数72を用いて目的関数値Jd(W
(0),X(u))を計算し、目的関数の最大値Jma
xの初期値に設定する。ステップS85において、i番
目の成分のみ+Δだけ摂動されたリアクタンスベクトル
X(u)+Δ・eiを表すリアクタンス値信号を、可変
リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定
する。ステップS86で、受信信号ベクトルY(n)及
び出力信号yO(n)=y O (k)(n)に基づいて、
数62、数65及び数64を用いて重み係数ベクトルW
(k+1)を計算する。重み係数ベクトルW(k+1)
を計算するための自己相関行列Rdは、最初の反復のみ
で計算されてもよい(数62)。ステップS87におい
て、重み係数ベクトルW(k+1)を表す重み係数デー
タ信号を時間領域信号処理部5に出力して設定する。ス
テップS88において、出力信号yO(n)に基づき数
72を用いて目的関数値Jd(W(X(k+1),X
(u)+Δ・ei)を計算する。ステップS89以降は
決定ステップである。ステップS44と同様、収束を保
証するために、連続した8回の反復で所定の収束条件が
満たされることを条件として課している。まず、ステッ
プS89において、目的関数値Jd(W(k+1),X
(u)+Δ・ei)について次式が成り立つか否かが判
断される。
【0167】
【数85】Jd(W(k+1),X(u)+Δ・ei)
−Jmax≧ε’
−Jmax≧ε’
【0168】上式が成り立つときは、ステップS91で
目的関数値Jd(W(k+1),X(u)+Δ・ei)
をその最大値Jmaxとして設定し、ステップS92で
反復回数kを1だけインクリメントしてステップS85
に戻る。ステップS89がNOであるときは、連続した
8回の反復m(k−7≦m≦k)に対して次式が成り立
つか否かが判断される。
目的関数値Jd(W(k+1),X(u)+Δ・ei)
をその最大値Jmaxとして設定し、ステップS92で
反復回数kを1だけインクリメントしてステップS85
に戻る。ステップS89がNOであるときは、連続した
8回の反復m(k−7≦m≦k)に対して次式が成り立
つか否かが判断される。
【0169】
【数86】Jd(W(m),X(u)+Δ・ei)−J
max<ε’
max<ε’
【0170】上式が成り立たないときは、ステップS9
1及びS92を実行してステップS85に戻る。上式が
成り立つときは、ステップS93で、重み係数ベクトル
W(k+1)を最適な重み係数ベクトルWopt(X
(u)+Δ・ei)として設定し、次いで、ステップS
94において、すべての摂動されたリアクタンス値X
(u)+Δ・ei(i=1,…,6)について目的関数
値が計算されたと判断されたときは、図9のフローにリ
ターンする。そうでないときは、ステップS95でパラ
メータiを1だけインクリメントして、ステップS82
にもどる。
1及びS92を実行してステップS85に戻る。上式が
成り立つときは、ステップS93で、重み係数ベクトル
W(k+1)を最適な重み係数ベクトルWopt(X
(u)+Δ・ei)として設定し、次いで、ステップS
94において、すべての摂動されたリアクタンス値X
(u)+Δ・ei(i=1,…,6)について目的関数
値が計算されたと判断されたときは、図9のフローにリ
ターンする。そうでないときは、ステップS95でパラ
メータiを1だけインクリメントして、ステップS82
にもどる。
【0171】ステップS46の目的関数値Jd(Wop
t(X(u)−Δ・ei),X(u)−Δ・ei)計算
処理では、摂動されたリアクタンスベクトルX(u)−
Δ・ei(i=1,…,6)に基づく最適な重み係数ベ
クトルWopt(X(u)−Δ・ei)と、それに対応
する目的関数値Jd(Wopt(X(u)−Δ・
ei),X(u)−Δ・ei)とを計算する。図12に
そのサブルーチンが示されているが、リアクタンス値を
摂動させる量が+Δの代わりに−Δであることを除いて
ステップS45と同様なので、説明は省略する。
t(X(u)−Δ・ei),X(u)−Δ・ei)計算
処理では、摂動されたリアクタンスベクトルX(u)−
Δ・ei(i=1,…,6)に基づく最適な重み係数ベ
クトルWopt(X(u)−Δ・ei)と、それに対応
する目的関数値Jd(Wopt(X(u)−Δ・
ei),X(u)−Δ・ei)とを計算する。図12に
そのサブルーチンが示されているが、リアクタンス値を
摂動させる量が+Δの代わりに−Δであることを除いて
ステップS45と同様なので、説明は省略する。
【0172】図9のステップS47において、数78、
数79、数81及び数82を用いて、目的関数の勾配∇
X,+ΔJd(Wopt(X),X)|X=X(u)及
び∇ X,+ΔJd(Wopt(X),X)|
X=X(u)をそれぞれ計算する。ステップS48にお
いて、数77を用いてリアクタンスベクトルX+Δ(u
+1)を計算し、これを表すリアクタンス値信号を可変
リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定
し、出力信号yO(n)に基づき数72を用いて目的関
数値Jd(X+Δ(u+1))を計算する。ステップS
49でも同様に、数80を用いてリアクタンスベクトル
X−Δ(u+1)を計算し、これを表すリアクタンス値
信号を可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出
力して設定し、出力信号yO(n)に基づき数72を用
いて目的関数値Jd(X−Δ(u+1))を計算する。
次いで、ステップS50において、目的関数値Jd(X
+Δ(u+1))及びJd(X−Δ(u+1))のうち
の大きい値に対応するリアクタンスベクトルを、リアク
タンスベクトルX(u+1)として選択する。次のステ
ップS51の目的関数値Jd(Wopt(X(u+
1)),X(u+1))計算処理では、リアクタンスベ
クトルX(u+1)に基づく最適な重み係数ベクトルW
opt(X(u+1))と、それに対応する目的関数値
Jd(Wopt(X(u+1)),X(u+1))とを
計算する。ステップS51は、ステップS44と同様に
実行される。
数79、数81及び数82を用いて、目的関数の勾配∇
X,+ΔJd(Wopt(X),X)|X=X(u)及
び∇ X,+ΔJd(Wopt(X),X)|
X=X(u)をそれぞれ計算する。ステップS48にお
いて、数77を用いてリアクタンスベクトルX+Δ(u
+1)を計算し、これを表すリアクタンス値信号を可変
リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力して設定
し、出力信号yO(n)に基づき数72を用いて目的関
数値Jd(X+Δ(u+1))を計算する。ステップS
49でも同様に、数80を用いてリアクタンスベクトル
X−Δ(u+1)を計算し、これを表すリアクタンス値
信号を可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出
力して設定し、出力信号yO(n)に基づき数72を用
いて目的関数値Jd(X−Δ(u+1))を計算する。
次いで、ステップS50において、目的関数値Jd(X
+Δ(u+1))及びJd(X−Δ(u+1))のうち
の大きい値に対応するリアクタンスベクトルを、リアク
タンスベクトルX(u+1)として選択する。次のステ
ップS51の目的関数値Jd(Wopt(X(u+
1)),X(u+1))計算処理では、リアクタンスベ
クトルX(u+1)に基づく最適な重み係数ベクトルW
opt(X(u+1))と、それに対応する目的関数値
Jd(Wopt(X(u+1)),X(u+1))とを
計算する。ステップS51は、ステップS44と同様に
実行される。
【0173】ステップS52以降は、図3のステップS
8以降の決定ステップと同様に、収束を保証するため
に、連続した8回の反復で所定の収束条件が満たされる
ことを条件として課し、さらに、収束条件が満たされな
いときは、ステップサイズパラメータα及びΔを変化さ
せて処理を繰り返す。まず、ステップS32において、
目的関数値Jd(X(u+1))について次式が成り立
つか否かが判断される。
8以降の決定ステップと同様に、収束を保証するため
に、連続した8回の反復で所定の収束条件が満たされる
ことを条件として課し、さらに、収束条件が満たされな
いときは、ステップサイズパラメータα及びΔを変化さ
せて処理を繰り返す。まず、ステップS32において、
目的関数値Jd(X(u+1))について次式が成り立
つか否かが判断される。
【0174】
【数87】Jd(Wopt(X(u+1)),X(u+
1))−JJmax≧ε
1))−JJmax≧ε
【0175】この不等式が成り立つときは、ステップS
56で目的関数値Jd(Wopt(X(u+1)),X
(u+1))を新しい最大値JJmaxとして設定し、
ステップS57で、ループの反復回数uを1だけインク
リメントしてステップS45に戻る。ステップS52の
不等式が満たされないときは、ステップS53におい
て、目的関数値Jd(Wopt(X(u+1)),X
(u+1))が、その最大値JJmaxよりも小さいか
否かが判断される。YESのときは、ステップS58で
ステップサイズパラメータα及びΔにそれぞれ0.61
8を乗算し、次いで、ステップS59で、ループの反復
回数uを1だけインクリメントしてステップS45に戻
る。ステップS53がNOであるときは、連続した8回
の反復v(u−7≦v≦u)に対して次式が成り立つか
否かが判断される。
56で目的関数値Jd(Wopt(X(u+1)),X
(u+1))を新しい最大値JJmaxとして設定し、
ステップS57で、ループの反復回数uを1だけインク
リメントしてステップS45に戻る。ステップS52の
不等式が満たされないときは、ステップS53におい
て、目的関数値Jd(Wopt(X(u+1)),X
(u+1))が、その最大値JJmaxよりも小さいか
否かが判断される。YESのときは、ステップS58で
ステップサイズパラメータα及びΔにそれぞれ0.61
8を乗算し、次いで、ステップS59で、ループの反復
回数uを1だけインクリメントしてステップS45に戻
る。ステップS53がNOであるときは、連続した8回
の反復v(u−7≦v≦u)に対して次式が成り立つか
否かが判断される。
【0176】
【数88】Jd(Wopt(X(v)),X(v))−
JJmax<ε
JJmax<ε
【0177】上式が成り立たないときは、ステップS5
6及びS57を実行してステップS45に戻る。上式が
成り立つときは、リアクタンスベクトルX(u+1)を
表すリアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−
1乃至12−6に出力して設定し、処理を終了する。
6及びS57を実行してステップS45に戻る。上式が
成り立つときは、リアクタンスベクトルX(u+1)を
表すリアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−
1乃至12−6に出力して設定し、処理を終了する。
【0178】ブラインド時空間適応制御処理は、リアク
タンスを更新するための外側のループと、時間領域フィ
ルタの重み係数を更新するための内側のループとの入れ
子構造を有するアルゴリズムであるということと、内側
のループの時間領域の重み係数ベクトルに係る反復に対
しては、収束の理由によって同一の重み係数ベクトルの
初期値W(0)を選択することが望ましいということが
注意されるべきである。このブラインド時空間適応制御
処理を実行することによって、参照信号を必要とせず
に、アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けか
つ干渉波の方向にヌルを向けるようにビーム形成するこ
とができ、かつ、マルチパス波を抑圧するように時間領
域の信号処理を実行することができる。
タンスを更新するための外側のループと、時間領域フィ
ルタの重み係数を更新するための内側のループとの入れ
子構造を有するアルゴリズムであるということと、内側
のループの時間領域の重み係数ベクトルに係る反復に対
しては、収束の理由によって同一の重み係数ベクトルの
初期値W(0)を選択することが望ましいということが
注意されるべきである。このブラインド時空間適応制御
処理を実行することによって、参照信号を必要とせず
に、アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けか
つ干渉波の方向にヌルを向けるようにビーム形成するこ
とができ、かつ、マルチパス波を抑圧するように時間領
域の信号処理を実行することができる。
【0179】
【実施例】次に、提案されたエスパアンテナを用いるブ
ラインド適応制御処理及びブラインド時空間適応制御処
理のそれぞれの有効性を明らかにするために、いくつか
のシミュレーション結果を提示する。
ラインド適応制御処理及びブラインド時空間適応制御処
理のそれぞれの有効性を明らかにするために、いくつか
のシミュレーション結果を提示する。
【0180】周知の通り、数19における受信信号y
(n)がソースのシーケンスであれば、m=2につい
て、数19の目的関数(IFC関数)はソースの正規化
された尖度を表す(従来技術文献11「Z. Ding et a
l., "Stationary points of a Kurtosis maximization
algorithm for blind signal separation and antenna
beamforming", IEEE Transactions on Signal Processi
ng, Vol. 48, No. 6, pp. 1587-1596, 2000年6
月」)。すべての信号成分が同じ尖度であるとき、適応
型システムの出力の目的関数を最大にすることは、適応
型システムの出力を最強の信号にして、それと同時に他
の弱い信号を抑圧する。
(n)がソースのシーケンスであれば、m=2につい
て、数19の目的関数(IFC関数)はソースの正規化
された尖度を表す(従来技術文献11「Z. Ding et a
l., "Stationary points of a Kurtosis maximization
algorithm for blind signal separation and antenna
beamforming", IEEE Transactions on Signal Processi
ng, Vol. 48, No. 6, pp. 1587-1596, 2000年6
月」)。すべての信号成分が同じ尖度であるとき、適応
型システムの出力の目的関数を最大にすることは、適応
型システムの出力を最強の信号にして、それと同時に他
の弱い信号を抑圧する。
【0181】一方で、ガウス分布された雑音の2次より
も高次のキュムラントはゼロであるが、これは高次のキ
ュムラントの重要な性質である(従来技術文献5を参
照)。この性質により、ガウス雑音及び単一ソースの場
合では、逆フィルタ基準(IFC)下でのブラインド適
応ビーム形成は不定である、すなわち、ビームは存在し
ない、又はビームが存在したとしてもビームの方向はソ
ースに向かわない。マルチパス波を有する単一のソース
が利用可能であれば、ブラインド時空間適応制御処理で
も同様の状況が発生する。実際には、雑音はガウス雑音
と考えられることが多い。以下のシミュレーションで
は、雑音はガウス分布されていることが仮定され、シミ
ュレーションは、複数ソース下のブラインド空間適応ビ
ーム形成について、及びマルチパス波を有する複数ソー
ス下のブラインド時空間適応制御処理について実行され
た。
も高次のキュムラントはゼロであるが、これは高次のキ
ュムラントの重要な性質である(従来技術文献5を参
照)。この性質により、ガウス雑音及び単一ソースの場
合では、逆フィルタ基準(IFC)下でのブラインド適
応ビーム形成は不定である、すなわち、ビームは存在し
ない、又はビームが存在したとしてもビームの方向はソ
ースに向かわない。マルチパス波を有する単一のソース
が利用可能であれば、ブラインド時空間適応制御処理で
も同様の状況が発生する。実際には、雑音はガウス雑音
と考えられることが多い。以下のシミュレーションで
は、雑音はガウス分布されていることが仮定され、シミ
ュレーションは、複数ソース下のブラインド空間適応ビ
ーム形成について、及びマルチパス波を有する複数ソー
ス下のブラインド時空間適応制御処理について実行され
た。
【0182】まず、第1の実施形態に係るブラインド適
応制御処理のシミュレーション結果について述べる。Q
PSK変調される3つのユーザ端末信号が存在する場合
を仮定する。QPSK信号の正規化された尖度は−1で
ある。3個のユーザ端末の信号の到来方向(DOA)は
それぞれ、12.3゜,100.2゜,−133.7゜
である。これらのSNRはそれぞれ、10dB,7dB
及び6dBである。ブラインド反復処理では、リアクタ
ンスベクトルの初期値をX(0)=[0,…,0]Tと
し、リアクタンスの更新のステップサイズパラメータを
Δ=30Ω、更新のステップサイズパラメータをα=4
00、及び収束制御の精度をε=10− 6,ε’=10
−5と選択する。高い収束のために、反復処理におい
て、可変の反復ステップ及びリアクタンスステップを使
用する。図3のフローチャートに示されたように、目的
関数が増大するとき、ステップサイズパラメータα及び
Δは0.618の増分でそれぞれ増加される。しかしな
がら、目的関数が減少するとき、ステップサイズパラメ
ータα及びΔは0.618をそれぞれ乗算される。ルー
プの反復においては、あるu=u0に対して、
応制御処理のシミュレーション結果について述べる。Q
PSK変調される3つのユーザ端末信号が存在する場合
を仮定する。QPSK信号の正規化された尖度は−1で
ある。3個のユーザ端末の信号の到来方向(DOA)は
それぞれ、12.3゜,100.2゜,−133.7゜
である。これらのSNRはそれぞれ、10dB,7dB
及び6dBである。ブラインド反復処理では、リアクタ
ンスベクトルの初期値をX(0)=[0,…,0]Tと
し、リアクタンスの更新のステップサイズパラメータを
Δ=30Ω、更新のステップサイズパラメータをα=4
00、及び収束制御の精度をε=10− 6,ε’=10
−5と選択する。高い収束のために、反復処理におい
て、可変の反復ステップ及びリアクタンスステップを使
用する。図3のフローチャートに示されたように、目的
関数が増大するとき、ステップサイズパラメータα及び
Δは0.618の増分でそれぞれ増加される。しかしな
がら、目的関数が減少するとき、ステップサイズパラメ
ータα及びΔは0.618をそれぞれ乗算される。ルー
プの反復においては、あるu=u0に対して、
【数89】J(X(u))−Jmax<ε
が発生し、8個の連続的な反復において
【数90】J(X(u))−Jmax≧ε
u=u0+1,…,u0+8
が満たされないことが保証されるとき、収束が決定され
る。
る。
【0183】利用可能なブロック数は、Mt=50×1
4+1に設定している。1つのブロックは、与えられた
初期値リアクタンスベクトルX(0)下での目的関数値
Jd(X(0))の評価のためである。12個のブロッ
クは、それぞれ負のリアクタンスステップサイズ及び正
のリアクタンスステップサイズを使用する数29乃至数
34による2つの数値(numerical)勾配ベクトルの評
価のためである。上記2つの数値勾配ベクトルに基づい
て、リアクタンスベクトルが数29及び数32を用いる
2つの方法で更新され、2つの異なる更新されたリアク
タンスベクトルが取得される。2つのブロックは、2つ
の更新結果のリアクタンスベクトルに関する目的関数値
の評価のためであり、これらから、次の反復のために、
より高い方の目的関数値を有する1つの更新されたリア
クタンスベクトルが選択される。
4+1に設定している。1つのブロックは、与えられた
初期値リアクタンスベクトルX(0)下での目的関数値
Jd(X(0))の評価のためである。12個のブロッ
クは、それぞれ負のリアクタンスステップサイズ及び正
のリアクタンスステップサイズを使用する数29乃至数
34による2つの数値(numerical)勾配ベクトルの評
価のためである。上記2つの数値勾配ベクトルに基づい
て、リアクタンスベクトルが数29及び数32を用いる
2つの方法で更新され、2つの異なる更新されたリアク
タンスベクトルが取得される。2つのブロックは、2つ
の更新結果のリアクタンスベクトルに関する目的関数値
の評価のためであり、これらから、次の反復のために、
より高い方の目的関数値を有する1つの更新されたリア
クタンスベクトルが選択される。
【0184】図3のフローチャートに基づいてブライン
ド適応制御処理を実行する。図13に、反復回数に関す
る目的関数値が、ブロックサイズNt=500,100
0,3000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きのそれぞれに対してプロットされ、図14乃至図16
に、ブロックサイズNt=500,1000,3000
を用いてブラインド適応制御処理されたときの、収束後
の関連付けられた各ビームパターンがそれぞれプロット
されている。図13より、目的関数値は、収束前にいく
ぶんかの小さな変動は存在するにしても、QPSK信号
の正規化された尖度の絶対値(これは1に等しい。)に
向かって高速に増大することが分かる。図14乃至図1
6より、ビームパターンのそれぞれは、最強のユーザ端
末に向かう主ビームと、2つのより弱いユーザ端末に向
かう2つのヌル(ノッチ)とを有することが分かる。さ
らに、より大きなブロックサイズが選択されるほど、ヌ
ル(ノッチ)はより深くなる。図17は、ブラインドビ
ーム形成が適用される前におけるエスパアンテナの出力
信号の信号配置位相図(コンステレーション)を示し、
図18乃至図20は、ブラインドビーム形成が適用され
た後におけるエスパアンテナの出力信号の信号配置位相
図を、ブロックサイズNt=500,1000,300
0のそれぞれに対して示している。これらの位相図は、
提案されたブラインドビーム形成アルゴリズムが有効で
あることを支持している。
ド適応制御処理を実行する。図13に、反復回数に関す
る目的関数値が、ブロックサイズNt=500,100
0,3000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きのそれぞれに対してプロットされ、図14乃至図16
に、ブロックサイズNt=500,1000,3000
を用いてブラインド適応制御処理されたときの、収束後
の関連付けられた各ビームパターンがそれぞれプロット
されている。図13より、目的関数値は、収束前にいく
ぶんかの小さな変動は存在するにしても、QPSK信号
の正規化された尖度の絶対値(これは1に等しい。)に
向かって高速に増大することが分かる。図14乃至図1
6より、ビームパターンのそれぞれは、最強のユーザ端
末に向かう主ビームと、2つのより弱いユーザ端末に向
かう2つのヌル(ノッチ)とを有することが分かる。さ
らに、より大きなブロックサイズが選択されるほど、ヌ
ル(ノッチ)はより深くなる。図17は、ブラインドビ
ーム形成が適用される前におけるエスパアンテナの出力
信号の信号配置位相図(コンステレーション)を示し、
図18乃至図20は、ブラインドビーム形成が適用され
た後におけるエスパアンテナの出力信号の信号配置位相
図を、ブロックサイズNt=500,1000,300
0のそれぞれに対して示している。これらの位相図は、
提案されたブラインドビーム形成アルゴリズムが有効で
あることを支持している。
【0185】次に本発明の第2の実施形態に係るブライ
ンド時空間適応制御処理のシミュレーション結果につい
て述べる。このシミュレーションでは、第1の実施形態
のシミュレーションで用いた3個のユーザ端末の信号
が、それぞれ6つのマルチパス波を含むものとする。3
個のユーザ端末の最強の到来波のSNR及び角度はそれ
ぞれ、10dB,7dB及び6dBと、12.3゜,1
00.7゜,−130.2゜である。3個のユーザ端末
の信号経路に係るすべてのパラメータ(DOA、伝搬遅
延、及び伝搬損失)は、表2乃至表4に明記されてい
る。
ンド時空間適応制御処理のシミュレーション結果につい
て述べる。このシミュレーションでは、第1の実施形態
のシミュレーションで用いた3個のユーザ端末の信号
が、それぞれ6つのマルチパス波を含むものとする。3
個のユーザ端末の最強の到来波のSNR及び角度はそれ
ぞれ、10dB,7dB及び6dBと、12.3゜,1
00.7゜,−130.2゜である。3個のユーザ端末
の信号経路に係るすべてのパラメータ(DOA、伝搬遅
延、及び伝搬損失)は、表2乃至表4に明記されてい
る。
【0186】
【表2】
第1のユーザ端末の信号のパラメータ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
到来波の番号 角度(度) 遅延τ(シンボル) 伝搬損失ξ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 12.3 0 −0.90117−0.43347i
2 29.1 0.08 0.29659−0.70724i
3 6.1 0.18 0.61599+0.34222i
4 1.6 0.66 0.61599−0.045629i
5 4.8 0.82 0.21674−0.38784i
6 17.8 2.02 0.3194+0.022814i
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【表3】
第2のユーザ端末の信号のパラメータ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
到来波の番号 角度(度) 遅延τ(シンボル) 伝搬損失ξ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 100.7 0 −0.97073+0.24018i
2 100.9 0.03 0.4003+0.4003i
3 105.1 0.26 −0.39029−0.29022i
4 87 0.28 0.1301−0.39029i
5 107.3 1.81 0.25019+0.20015i
6 108.7 3.7 −0.18014+0.18014i
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【表4】
第3のユーザ端末の信号のパラメータ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
到来波の番号 角度(度) 遅延τ(シンボル) 伝搬損失ξ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 −130.2 0 0.76515+0.64385i
2 −141.7 0.03 0.13064−0.80248i
3 −127.3 0.52 0.64385−0.24261i
4 −133.9 0.94 0.18662+0.65318i
5 −145.5 0.94 −0.25194+0.55987i
6 −137.1 3.59 −0.51321−0.31726i
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0187】シミュレーションでは、TDMAの変調方
式を採用し、提示されたブラインド時空間適応制御処理
のアルゴリズムとη=2のオーバーサンプリング係数を
用いた。
式を採用し、提示されたブラインド時空間適応制御処理
のアルゴリズムとη=2のオーバーサンプリング係数を
用いた。
【0188】外側のループ反復処理(すなわち、リアク
タンスの更新に係る反復)では、リアクタンスベクトル
の初期値をX(0)=[0,…,0]Tとし、リアクタ
ンスの摂動のステップサイズパラメータをΔ=20Ω、
更新のステップサイズパラメータをα=200と選択す
る。内側のループ反復処理では、時間領域重み係数ベク
トルの初期値は、すべての内側のループにおいて、W
(0)=[1,0,…,0]Tと選択される。収束制御
精度を、ε=10−6,ε’=10−5に選択する。収
束を目的として、リアクタンスベクトルXを変化させた
結果、目的関数値が増大するときは、ステップサイズパ
ラメータα及びΔを変化しないように保持し、目的関数
値が減少するときは減少するように保持する。ステップ
サイズパラメータα及びΔの減分は、0.618の乗数
を用いて実行される。また、次式の条件
タンスの更新に係る反復)では、リアクタンスベクトル
の初期値をX(0)=[0,…,0]Tとし、リアクタ
ンスの摂動のステップサイズパラメータをΔ=20Ω、
更新のステップサイズパラメータをα=200と選択す
る。内側のループ反復処理では、時間領域重み係数ベク
トルの初期値は、すべての内側のループにおいて、W
(0)=[1,0,…,0]Tと選択される。収束制御
精度を、ε=10−6,ε’=10−5に選択する。収
束を目的として、リアクタンスベクトルXを変化させた
結果、目的関数値が増大するときは、ステップサイズパ
ラメータα及びΔを変化しないように保持し、目的関数
値が減少するときは減少するように保持する。ステップ
サイズパラメータα及びΔの減分は、0.618の乗数
を用いて実行される。また、次式の条件
【数91】Jd(Wopt(X(u+1),X(u+
1))−JJmax≧εu=u0+1,…,u0+8 (u0は目的関数が収縮(shrink)するときの反復回
数)が満たされなければ、ステップサイズパラメータα
及びΔの8回の連続的な縮小が許容される。利用可能な
ブロック数は、Mt=50×14+1に設定し、ブロッ
クサイズは、Nt=750を設定している。1つのブロ
ックは、与えられた初期値ベクトルX(0)及び重み係
数ベクトルW(0)下で、Jd(Wopt(X(0),
X(0))を評価するためである。12個のブロック
は、それぞれ負のリアクタンスステップサイズ及び正の
リアクタンスステップサイズを使用する数77乃至数8
2による2つの数値勾配ベクトルを評価するためであ
る。上記2つの数値勾配ベクトルに基づいて、リアクタ
ンスベクトルが数77及び数80を用いた2つの方法で
更新され、2つの更新されたリアクタンスベクトルが取
得される。2個のブロックは、2つの更新されたリアク
タンスベクトルの結果に関する目的関数値を評価するた
めであり、これから、次の反復のために、より高い目的
関数値を有する1つの更新されたリアクタンスベクトル
が選択される。
1))−JJmax≧εu=u0+1,…,u0+8 (u0は目的関数が収縮(shrink)するときの反復回
数)が満たされなければ、ステップサイズパラメータα
及びΔの8回の連続的な縮小が許容される。利用可能な
ブロック数は、Mt=50×14+1に設定し、ブロッ
クサイズは、Nt=750を設定している。1つのブロ
ックは、与えられた初期値ベクトルX(0)及び重み係
数ベクトルW(0)下で、Jd(Wopt(X(0),
X(0))を評価するためである。12個のブロック
は、それぞれ負のリアクタンスステップサイズ及び正の
リアクタンスステップサイズを使用する数77乃至数8
2による2つの数値勾配ベクトルを評価するためであ
る。上記2つの数値勾配ベクトルに基づいて、リアクタ
ンスベクトルが数77及び数80を用いた2つの方法で
更新され、2つの更新されたリアクタンスベクトルが取
得される。2個のブロックは、2つの更新されたリアク
タンスベクトルの結果に関する目的関数値を評価するた
めであり、これから、次の反復のために、より高い目的
関数値を有する1つの更新されたリアクタンスベクトル
が選択される。
【0189】図9乃至図12のフローチャートを参照し
て説明された手順に基づいてブラインド時空間適応制御
処理を実行する。図21は、M=8及び12に等しいF
IRフィルタバンクの長さ(図7を参照)について反復
回数に関する目的関数値を示し、図22及び図23は、
FIRフィルタバンクの長さM=8及び12にそれぞれ
対応する収束後の各ビームパターンを示している。再
び、図22及び図23に係る各目的関数値値は、数回の
反復に対してわずかに減衰する(decay a lit)ことが
あるが、QPSK信号の尖度の絶対値に向かって急速に
増大する。図22及び図23より、各パターンは、最強
のユーザ端末に向かう主ビームと、2つのより弱いユー
ザ端末に向かう2つのヌル(ノッチ)とから構成され、
FIRフィルタバンクの長さが長いほど、他の2つのよ
り弱いユーザ端末に向いたヌル(ノッチ)はより深くな
るということを観察することができる。図24及び図2
5は、M=8及びM=12のそれぞれについてブライン
ド時空間適応制御処理が適用された後のエスパ出力信号
の信号配置位相図を示し、エスパアンテナを用いる、提
案されたブラインド時空間適応制御処理のアルゴリズム
が有効であることを支持している。
て説明された手順に基づいてブラインド時空間適応制御
処理を実行する。図21は、M=8及び12に等しいF
IRフィルタバンクの長さ(図7を参照)について反復
回数に関する目的関数値を示し、図22及び図23は、
FIRフィルタバンクの長さM=8及び12にそれぞれ
対応する収束後の各ビームパターンを示している。再
び、図22及び図23に係る各目的関数値値は、数回の
反復に対してわずかに減衰する(decay a lit)ことが
あるが、QPSK信号の尖度の絶対値に向かって急速に
増大する。図22及び図23より、各パターンは、最強
のユーザ端末に向かう主ビームと、2つのより弱いユー
ザ端末に向かう2つのヌル(ノッチ)とから構成され、
FIRフィルタバンクの長さが長いほど、他の2つのよ
り弱いユーザ端末に向いたヌル(ノッチ)はより深くな
るということを観察することができる。図24及び図2
5は、M=8及びM=12のそれぞれについてブライン
ド時空間適応制御処理が適用された後のエスパ出力信号
の信号配置位相図を示し、エスパアンテナを用いる、提
案されたブラインド時空間適応制御処理のアルゴリズム
が有効であることを支持している。
【0190】数19によって示される目的関数(IFC
関数)が、リアクタンス及び時間領域適応型フィルタリ
ング重み係数ベクトルの非線形関数であることは正し
い。しかしながらこれは、出力信号の尖度を表す。目的
関数が最大化されるとき、すべての干渉が抑圧されるこ
とは明らかである。また、干渉は目的関数の値に大きく
影響する。これは、目的関数が明確な最大ポイントを保
有することを含意している。何回ものシミュレーション
を行った経験から、われわれは、ステップ及びブロック
サイズを適正に選択すれば、良好な収束結果が得られる
ことを発見した。さらに、図13及び図21に示された
ように速い収束が期待される。
関数)が、リアクタンス及び時間領域適応型フィルタリ
ング重み係数ベクトルの非線形関数であることは正し
い。しかしながらこれは、出力信号の尖度を表す。目的
関数が最大化されるとき、すべての干渉が抑圧されるこ
とは明らかである。また、干渉は目的関数の値に大きく
影響する。これは、目的関数が明確な最大ポイントを保
有することを含意している。何回ものシミュレーション
を行った経験から、われわれは、ステップ及びブロック
サイズを適正に選択すれば、良好な収束結果が得られる
ことを発見した。さらに、図13及び図21に示された
ように速い収束が期待される。
【0191】以上説明したように、本発明に係る第1の
実施形態のアレーアンテナの制御方法(ブラインド適応
制御処理)によれば、参照信号を必要とせずに、アレー
アンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の
方向にヌルを向けるようにビーム形成することができ
る。また、本発明に係る第2及び第3の実施形態のアレ
ーアンテナの制御方法(ブラインド時空間適応制御処
理)によれば、参照信号を必要とせずに、アレーアンテ
ナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向に
ヌルを向けるようにビーム形成することができ、かつ、
マルチパス波を抑圧するように時間領域の信号処理を実
行することができる。また、これらの方法では、受信側
端末装置において、送信局で発生されるものと同一の参
照信号を発生させたり、送信される参照信号と受信側で
発生される参照信号とを同期させたりすることを必要と
しないので、制御回路が簡単になる。
実施形態のアレーアンテナの制御方法(ブラインド適応
制御処理)によれば、参照信号を必要とせずに、アレー
アンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の
方向にヌルを向けるようにビーム形成することができ
る。また、本発明に係る第2及び第3の実施形態のアレ
ーアンテナの制御方法(ブラインド時空間適応制御処
理)によれば、参照信号を必要とせずに、アレーアンテ
ナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向に
ヌルを向けるようにビーム形成することができ、かつ、
マルチパス波を抑圧するように時間領域の信号処理を実
行することができる。また、これらの方法では、受信側
端末装置において、送信局で発生されるものと同一の参
照信号を発生させたり、送信される参照信号と受信側で
発生される参照信号とを同期させたりすることを必要と
しないので、制御回路が簡単になる。
【0192】われわれは、逆フィルタ基準に基づき、エ
スパアンテナを用いるブラインド適応制御処理(ブライ
ンド空間適応ビーム形成アルゴリズム)及びブラインド
時空間適応制御処理(ブラインド時空間適応型フィルタ
リングアルゴリズム)を提案した。データブロックにつ
いてより大きなブロックサイズが用いられるとき、それ
らの性能は改善される。より大きなブロックサイズの使
用は、実際のシステムの性能要件に依存する。シミュレ
ーション結果は、提案された2つのアルゴリズムが有効
であることを示している。
スパアンテナを用いるブラインド適応制御処理(ブライ
ンド空間適応ビーム形成アルゴリズム)及びブラインド
時空間適応制御処理(ブラインド時空間適応型フィルタ
リングアルゴリズム)を提案した。データブロックにつ
いてより大きなブロックサイズが用いられるとき、それ
らの性能は改善される。より大きなブロックサイズの使
用は、実際のシステムの性能要件に依存する。シミュレ
ーション結果は、提案された2つのアルゴリズムが有効
であることを示している。
【0193】エスパアンテナは、複数の非励振素子を備
えた一種の単一ポートアンテナである。エスパアンテナ
を使用すると、時空間適応型フィルタリング(STA
F)をより軽減した複雑さとより低いコストで実現する
ことができる。しかしながら、従来のSTAFの実現に
は長い学習シーケンス信号が必要であり、このことは、
実際にそれの適用を大幅に制限していた。本発明におい
て、われわれは、高次の統計量(すなわち、キュムラン
ト)を用い、かつ、学習シーケンス信号を必要としない
空間ビーム形成及び時空間適応型フィルタリングのため
の、逆フィルタ基準に基づくブラインド・エスパアンテ
ナを提案した。ブラインド空間ビーム形成は、逆フィル
タ基準に基づいて提案され、ブラインドSTAFは、逆
フィルタ基準と、高次のキュムラントに基づく超指数的
適応型ビーム形成アルゴリズムとに従って提示される。
えた一種の単一ポートアンテナである。エスパアンテナ
を使用すると、時空間適応型フィルタリング(STA
F)をより軽減した複雑さとより低いコストで実現する
ことができる。しかしながら、従来のSTAFの実現に
は長い学習シーケンス信号が必要であり、このことは、
実際にそれの適用を大幅に制限していた。本発明におい
て、われわれは、高次の統計量(すなわち、キュムラン
ト)を用い、かつ、学習シーケンス信号を必要としない
空間ビーム形成及び時空間適応型フィルタリングのため
の、逆フィルタ基準に基づくブラインド・エスパアンテ
ナを提案した。ブラインド空間ビーム形成は、逆フィル
タ基準に基づいて提案され、ブラインドSTAFは、逆
フィルタ基準と、高次のキュムラントに基づく超指数的
適応型ビーム形成アルゴリズムとに従って提示される。
【0194】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係るアレ
ーアンテナの制御方法によれば、エスパアンテナの各可
変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定のシフ
ト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に対する所定の目
的関数の勾配ベクトルを計算し、計算された勾配ベクト
ルに基づいて上記目的関数の値が最大となるように、上
記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ
干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス
素子のリアクタンス値を計算して設定する。従って、参
照信号を必要とせずに、アレーアンテナの主ビームを所
望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるよう
にビーム形成することができる。
ーアンテナの制御方法によれば、エスパアンテナの各可
変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所定のシフ
ト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に対する所定の目
的関数の勾配ベクトルを計算し、計算された勾配ベクト
ルに基づいて上記目的関数の値が最大となるように、上
記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ
干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス
素子のリアクタンス値を計算して設定する。従って、参
照信号を必要とせずに、アレーアンテナの主ビームを所
望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるよう
にビーム形成することができる。
【0195】エスパアンテナにおいて受信された無線信
号を複数の時間領域のサブ信号に分割し、上記分割した
複数のサブ信号に対してそれぞれ所定の重み係数を乗算
した後加算することにより時間領域の信号処理を実行し
て出力信号として出力するステップを含み、上記重み係
数は、エスパンテナの各可変リアクタンス素子のリアク
タンス値が変化されるたびに、上記各サブ信号と上記出
力信号に基づいて、所定の目的関数が最大化されるよう
に演算され、上記各可変リアクタンス素子のリアクタン
ス値を順次所定のシフト量だけ摂動させ、各リアクタン
ス値に対する上記目的関数の勾配ベクトルを計算し、計
算された勾配ベクトルに基づいて上記目的関数の値が最
大となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望
波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための
各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設
定する。従って、参照信号を必要とせずに、アレーアン
テナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向
にヌルを向けるようにビーム形成することができ、か
つ、マルチパス波を抑圧するように時間領域の信号処理
を実行することができる。時間領域の信号処理では、計
算される重み係数は、最適な重み係数に向かって超指数
的に(べき乗のべき乗の速さで)収束する。
号を複数の時間領域のサブ信号に分割し、上記分割した
複数のサブ信号に対してそれぞれ所定の重み係数を乗算
した後加算することにより時間領域の信号処理を実行し
て出力信号として出力するステップを含み、上記重み係
数は、エスパンテナの各可変リアクタンス素子のリアク
タンス値が変化されるたびに、上記各サブ信号と上記出
力信号に基づいて、所定の目的関数が最大化されるよう
に演算され、上記各可変リアクタンス素子のリアクタン
ス値を順次所定のシフト量だけ摂動させ、各リアクタン
ス値に対する上記目的関数の勾配ベクトルを計算し、計
算された勾配ベクトルに基づいて上記目的関数の値が最
大となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所望
波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための
各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設
定する。従って、参照信号を必要とせずに、アレーアン
テナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向
にヌルを向けるようにビーム形成することができ、か
つ、マルチパス波を抑圧するように時間領域の信号処理
を実行することができる。時間領域の信号処理では、計
算される重み係数は、最適な重み係数に向かって超指数
的に(べき乗のべき乗の速さで)収束する。
【0196】また、これらの方法では、受信側端末装置
において、送信局で発生されるものと同一の参照信号を
発生させたり、送信される参照信号と受信側で発生され
る参照信号とを同期させたりすることを必要としないの
で、制御回路が簡単になる。
において、送信局で発生されるものと同一の参照信号を
発生させたり、送信される参照信号と受信側で発生され
る参照信号とを同期させたりすることを必要としないの
で、制御回路が簡単になる。
【図1】 本発明に係る第1の実施形態のアレーアンテ
ナの制御装置の構成を示すブロック図である。
ナの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のアレーアンテナ装置100の断面図で
ある。
ある。
【図3】 図1の適応制御型コントローラ10によって
実行されるブラインド適応制御処理を説明するフローチ
ャートである。
実行されるブラインド適応制御処理を説明するフローチ
ャートである。
【図4】 図3の目的関数の勾配計算処理S4に係るサ
ブルーチンを示すフローチャートである。
ブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】 本発明に係る第2の実施形態のアレーアンテ
ナの制御装置の構成を示すブロック図である。
ナの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 図5の時間領域信号処理部5の第1の実施形
態であって、TDMA用時間領域信号処理部5−1の構
成を示すブロック図である。
態であって、TDMA用時間領域信号処理部5−1の構
成を示すブロック図である。
【図7】 図6のトランスバーサルフィルタ回路23−
1の構成を示すブロック図である。
1の構成を示すブロック図である。
【図8】 本発明に係る第3の実施形態のアレーアンテ
ナの制御装置の構成の一部であって、図5の時間領域信
号処理部5の第2の実施形態に係るCDMA用時間領域
信号処理部5−2の構成を示すブロック図である。
ナの制御装置の構成の一部であって、図5の時間領域信
号処理部5の第2の実施形態に係るCDMA用時間領域
信号処理部5−2の構成を示すブロック図である。
【図9】 図5の時空間適応制御型コントローラ20に
よって実行されるブラインド時空間適応制御処理を説明
するフローチャートである。
よって実行されるブラインド時空間適応制御処理を説明
するフローチャートである。
【図10】 図9の目的関数値Jd(Wopt(X
(u)),X(u))計算処理S44(S51)に係る
サブルーチンを示すフローチャートである。
(u)),X(u))計算処理S44(S51)に係る
サブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】 図9の目的関数値Jd(Wopt(X
(u)+Δ・ei),X(u)+Δ・ei)計算処理S
45に係るサブルーチンを示すフローチャートである。
(u)+Δ・ei),X(u)+Δ・ei)計算処理S
45に係るサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】 図9の目的関数値Jd(Wopt(X
(u)−Δ・ei),X(u)−Δ・ei)計算処理S
46に係るサブルーチンを示すフローチャートである。
(u)−Δ・ei),X(u)−Δ・ei)計算処理S
46に係るサブルーチンを示すフローチャートである。
【図13】 第1の実施形態に係る目的関数値Jの収束
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図14】 第1の実施形態においてブロックサイズN
t=500を用いてブラインド適応制御処理されたとき
の収束後のビームパターンを示す図である。
t=500を用いてブラインド適応制御処理されたとき
の収束後のビームパターンを示す図である。
【図15】 第1の実施形態においてブロックサイズN
t=1000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きの収束後のビームパターンを示す図である。
t=1000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きの収束後のビームパターンを示す図である。
【図16】 第1の実施形態においてブロックサイズN
t=3000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きの収束後のビームパターンを示す図である。
t=3000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きの収束後のビームパターンを示す図である。
【図17】 ブラインド適応制御処理される前の受信信
号y(n)を示す信号配置位相図である。
号y(n)を示す信号配置位相図である。
【図18】 第1の実施形態においてブロックサイズN
t=500を用いてブラインド適応制御処理されたとき
の受信信号y(n)を示す信号配置位相図である。
t=500を用いてブラインド適応制御処理されたとき
の受信信号y(n)を示す信号配置位相図である。
【図19】 第1の実施形態においてブロックサイズN
t=1000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きの受信信号y(n)を示す信号配置位相図である。
t=1000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きの受信信号y(n)を示す信号配置位相図である。
【図20】 第1の実施形態においてブロックサイズN
t=3000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きの受信信号y(n)を示す信号配置位相図である。
t=3000を用いてブラインド適応制御処理されたと
きの受信信号y(n)を示す信号配置位相図である。
【図21】 第2の実施形態に係る目的関数値Jの収束
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図22】 第2の実施形態においてFIRフィルタバ
ンクの長さM=8を用いてブラインド時空間適応制御処
理されたときの収束後のビームパターンを示す図であ
る。
ンクの長さM=8を用いてブラインド時空間適応制御処
理されたときの収束後のビームパターンを示す図であ
る。
【図23】 第2の実施形態においてFIRフィルタバ
ンクの長さM=12を用いてブラインド時空間適応制御
処理されたときの収束後のビームパターンを示す図であ
る。
ンクの長さM=12を用いてブラインド時空間適応制御
処理されたときの収束後のビームパターンを示す図であ
る。
【図24】 第2の実施形態においてFIRフィルタバ
ンクの長さM=8を用いてブラインド時空間適応制御処
理されたときの出力信号yO(n)を示す信号配置位相
図である。
ンクの長さM=8を用いてブラインド時空間適応制御処
理されたときの出力信号yO(n)を示す信号配置位相
図である。
【図25】 第2の実施形態においてFIRフィルタバ
ンクの長さM=12を用いてブラインド時空間適応制御
処理されたときの出力信号yO(n)を示す信号配置位
相図である。
ンクの長さM=12を用いてブラインド時空間適応制御
処理されたときの出力信号yO(n)を示す信号配置位
相図である。
A0…励振素子、
A1乃至A6…非励振素子、
1…低雑音増幅器、
2…ダウンコンバータ、
3…A/D変換器、
5…時間領域信号処理部、
5−1…TDMA用時間領域信号処理部、
5−2…CDMA用時間領域信号処理部、
9…同軸ケーブル、
10…適応制御型コントローラ、
11…接地導体、
12−1乃至12−6…可変リアクタンス素子、
13−1乃至13−(J−1)…シフトレジスタ、
14−1乃至14−J,22−1乃至22−Nc…ダウ
ンサンプラ、 15−1乃至15−J…マッチドフィルタ、 16−1乃至16−J…サブ信号処理回路、 17,24,27…加算器、 20…時空間適応制御型コントローラ、 23−1乃至23−J,23−1乃至23−Nc…トラ
ンスバーサルフィルタ回路、 21−1乃至21−(Nc−1),25−1乃至25−
(M−1)…遅延回路、 26−1乃至26−M…乗算器、 100…アレーアンテナ装置。
ンサンプラ、 15−1乃至15−J…マッチドフィルタ、 16−1乃至16−J…サブ信号処理回路、 17,24,27…加算器、 20…時空間適応制御型コントローラ、 23−1乃至23−J,23−1乃至23−Nc…トラ
ンスバーサルフィルタ回路、 21−1乃至21−(Nc−1),25−1乃至25−
(M−1)…遅延回路、 26−1乃至26−M…乗算器、 100…アレーアンテナ装置。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
H04B 7/10 H04B 7/10 A
(72)発明者 祁 忠勇
台湾30013新竹市光復路二段101號 国立清
華大学内
Fターム(参考) 5J020 BA02 BC02 BC08 DA03 DA04
DA10
5J021 AA08 AB02 CA06 DB01 EA04
FA09 FA14 FA16 FA23 FA32
GA06 HA10 JA07
5K059 CC04 DD33 DD37
Claims (3)
- 【請求項1】 無線信号を受信するための放射素子と、
上記放射素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数
の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続
された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可
変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させること
により、上記複数の非励振素子をそれぞれ導波器又は反
射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化
させるアレーアンテナの制御方法において、 上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所
定のシフト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に対する
所定の目的関数の勾配ベクトルを計算し、計算された勾
配ベクトルに基づいて上記目的関数の値が最大となるよ
うに、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に
向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リア
クタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステ
ップを含み、 2以上の自然数であるm個の第1の変数と、m個の第2
の変数とを有する2m次のキュムラントにおいて、第1
の変数としてm個の同一の当該アレーアンテナの受信信
号を含み、第2の変数としてm個の同一の上記受信信号
の複素共役の信号を含む受信信号のキュムラントを計算
し、上記受信信号のパワーを計算し、上記計算された受
信信号のパワーのm乗に対する上記受信信号のキュムラ
ントの比の値を計算することによって上記目的関数は演
算されることを特徴とするアレーアンテナの制御方法。 - 【請求項2】 無線信号を受信するための放射素子と、
上記放射素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数
の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続
された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可
変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させること
により、上記複数の非励振素子をそれぞれ導波器又は反
射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化
させるアレーアンテナの制御方法において、 上記アレーアンテナにおいて受信された無線信号を複数
の時間領域のサブ信号に分割し、上記分割した複数のサ
ブ信号に対してそれぞれ所定の重み係数を乗算した後加
算することにより時間領域の信号処理を実行して出力信
号として出力するステップを含み、上記重み係数は、上
記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値が変化され
るたびに、上記各サブ信号と上記出力信号に基づいて、
所定の目的関数が最大化されるように演算され、 上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を順次所
定のシフト量だけ摂動させ、各リアクタンス値に対する
上記目的関数の勾配ベクトルを計算し、計算された勾配
ベクトルに基づいて上記目的関数の値が最大となるよう
に、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向
けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアク
タンス素子のリアクタンス値を計算して設定するステッ
プを含み、 2以上の自然数であるm個の第1の変数と、m個の第2
の変数とを有する2m次のキュムラントにおいて、第1
の変数としてm個の同一の上記出力信号を含み、第2の
変数としてm個の同一の上記出力信号の複素共役の信号
を含む出力信号のキュムラントを計算し、上記出力信号
のパワーを計算し、上記計算された出力信号のパワーの
m乗に対する上記出力信号のキュムラントの比の値を計
算することによって上記目的関数は演算されることを特
徴とするアレーアンテナの制御方法。 - 【請求項3】 上記各サブ信号を成分とする受信信号ベ
クトルYの自己相関行列Rを計算する第1のステップ
と、 複数N個の上記サブ信号に対して、複数N個の所定の重
み係数をそれぞれ乗算した後、乗算結果の各信号を加算
した結果の出力信号yを出力する第2のステップと、 m個の第1の変数と、(m−1)個の第2の変数と、1
個の第3の変数とを有する2m次のキュムラントにおい
て、第1の変数としてm個の同一の上記出力信号yを含
み、第2の変数として(m−1)個の同一の上記出力信
号の複素共役の信号y*を含み、第3の変数として上記
受信信号ベクトルYの複素共役ベクトルY*を含むキュ
ムラントベクトルdを計算する第3のステップと、 上記計算された受信信号ベクトルYの自己相関行列R
と、上記計算されたキュムラントベクトルdとに基づい
て、次式 【数1】 を用いて、上記各重み係数を成分とする重み係数ベクト
ルWを計算して設定する第4のステップと、 上記第2乃至第4のステップを繰り返すことによって、
所望波以外の信号を抑圧するように上記時間領域の信号
処理を実行する第5のステップと、 所定の反復で出力された出力信号yに基づいて計算され
た目的関数の値と、上記所定の反復の前回の反復で出力
された出力信号yに基づいて計算された目的関数の値と
の差が所定のしきい値よりも小さいときに上記第5のス
テップの処理を停止する第6のステップとを実行するこ
とによって上記重み係数は演算されることを特徴とする
請求項2記載のアレーアンテナの制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002136984A JP2003332819A (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | アレーアンテナの制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002136984A JP2003332819A (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | アレーアンテナの制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003332819A true JP2003332819A (ja) | 2003-11-21 |
Family
ID=29698866
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002136984A Pending JP2003332819A (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | アレーアンテナの制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003332819A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007060045A (ja) * | 2005-08-22 | 2007-03-08 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | アレーアンテナ装置の制御方法 |
CN112424998A (zh) * | 2018-07-13 | 2021-02-26 | 诺基亚技术有限公司 | 控制辐射元件 |
-
2002
- 2002-05-13 JP JP2002136984A patent/JP2003332819A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007060045A (ja) * | 2005-08-22 | 2007-03-08 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | アレーアンテナ装置の制御方法 |
JP4708918B2 (ja) * | 2005-08-22 | 2011-06-22 | 株式会社豊田中央研究所 | アレーアンテナ装置の制御方法 |
CN112424998A (zh) * | 2018-07-13 | 2021-02-26 | 诺基亚技术有限公司 | 控制辐射元件 |
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