JP2974659B1 - アレーアンテナの制御装置 - Google Patents

アレーアンテナの制御装置

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JP2974659B1
JP2974659B1 JP10190208A JP19020898A JP2974659B1 JP 2974659 B1 JP2974659 B1 JP 2974659B1 JP 10190208 A JP10190208 A JP 10190208A JP 19020898 A JP19020898 A JP 19020898A JP 2974659 B1 JP2974659 B1 JP 2974659B1
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  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
  • Noise Elimination (AREA)
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Abstract

【要約】 【課題】 マルチパス伝搬路における信号相関係数の絶
対値を高くすることができ、構成が簡単であって実用化
することができる。 【解決手段】 複数N個のアンテナ素子からなるアレー
アンテナを制御するためのアレーアンテナの制御装置で
ある。分析フィルタバンク6−1乃至6−Nは、複数N
個の受信信号をそれぞれ複数M個の所定のサブバンドに
帯域分割した後ダウンサンプリングレートM/2でダウ
ンサンプリングする。荷重係数加算回路7−1乃至7−
Mは、分析フィルタバンク6−1乃至6−Nからの複数
N個の信号を所定の荷重係数で乗算した後加算して出力
する。合成フィルタバンク9は、荷重係数加算回路7−
1乃至7−Mからの信号をアップサンプリングレートM
/2でアップサンプリングした後、各2個のサブバンド
毎に帯域合成した後加算して受信信号として出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の配置形状で
近接して並置された所定の複数のアンテナ素子からなる
アレーアンテナを制御するためのアレーアンテナの制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】陸上移動通信システムでは、移動局が送
信する信号は、環境によって反射、散乱した後で基地局
に到達するため、マルチパスフェージングが生じる(例
えば、従来技術文献1「W.C.Lee,“Mobile Communicati
on Engineering”,McGraw-Hill,1982」参照。)。マル
チメディア通信システムに対する需要が高まるにつれ、
移動通信システムは高速デジタル通信システムへと発展
している。この場合は、通信チャンネルが周波数選択性
となることが予想され、符号間干渉(Inter-Symbol Int
erference;ISI)が重要な問題となる。移動通信シ
ステムにはこの他に、セルラーシステムにおける周波数
の再使用に起因する同一チャンネル干渉(Co-Channel I
nterference;CCI)という極めて重要な問題があ
る。アダプティブ(適応型)アレーアンテナは、単独で
又は時間領域の等化技術又はダイバーシティ技術ととも
に、ISI及びCCIの両方を抑圧し通信性能を大幅に
向上させる有望な装置であり、これによって通信容量も
また増大する(例えば、従来技術文献2「Y.Ogawa,M.Oh
miya,and K.Itoh,“An LMS adaptive array for multip
ath fading reduction”,IEEE Trans.Aerosp.Electron.
Syst.,vol.AES-23,no.1,pp.17-23,Jan.1987」、従来技
術文献3「S.Anderson,M.Millnert,M.Viberg,andB.Wahl
berg,“An adaptive array for mobile communication
systems”,IEEE Trans.Veh.Technol.,vol.VT-40,pp.230
-236,1991」、従来技術文献4「Y.Zhang,“Multipath f
ading equalization by an adaptive array”,in Proc.
Int.Symp.Antennas Propagat.,Sapporo,pp.149-152,Au
g.1992」及び従来技術文献5「A.F.Naguib,A.Paulraj,a
nd T.Kailath,“Capacity improvements with base-sta
tionantenna arrays in cellular CDMA”,IEEE Trans.V
eh. Technol.,vol.VT-43,no.3,pp.691-698,Aug.1994」
参照。)。
【0003】陸上移動通信環境において基地局でアダプ
ティブアレーアンテナを使用する場合には、チャンネル
が周波数選択性であるときに、等化装置がしばしば同時
に必要とされる(例えば、従来技術文献6「Y.Ogawa,Y.
Nagashima,and J.Itoh,“Anadaptive antenna system f
or high-speed digital mobile communications”,IEIC
E Trans.Commun.,vol.E75-B,no.5,pp.413-421,May 199
2」、従来技術文献7「N.Ishii and R.Kohno,“Spatial
and temporal equalization based on an adaptive ta
pped-delay-line array antenna”,IEICE Trans.Commu
n.,vol.E78-B,no.8,pp.1162-1169,Aug.1995」及び従来
技術文献8「Y.Doi,T.Ohgane,and E.Ogawa,“ISI and C
CI canceller combining the adaptive array antennas
and theViterbi equalizer in a digital mobile radi
o”,in Proc.IEEE VTC,pp.81-85,April 1996」参
照。)。
【0004】アダプティブアレーアンテナと等化装置か
らなるこのような方法はしばしば、時間空間信号処理と
呼ばれ、移動通信システムではISI及びCCI両方の
影響を軽減する主要な方法である。時間空間信号処理
は、最適なアレーアンテナの特性を提供することができ
る。
【0005】今までのところ、広帯域信号処理には処理
速度の低減(例えば、従来技術文献14「T.Sekiguchi
and Y.Karasawa,“Multidimentional signal processin
g for antenna arrays”,Tech.Rep.of IEICE,CAS97-89,
Jan.1988」参照。)と迅速な収束の達成(例えば、従来
技術文献15「J.M.Khalab and M.K.Ibrahim,“Novelmu
ltirate adaptive beamforming technique”,Electron.
Lett.,vol.30.no.15,pp.1194-1195,1994」及び従来技術
文献16「A.Gilloire and M.Vetterli,“Adaptive fil
tering in sub-bands”,IEEE Signal Proc.Mag.,pp.291
-294,1998」参照。)を目的とするサブバンドアダプテ
ィブアレーアンテナ信号処理方式が提案されている(例
えば、従来技術文献12「F.Lorenzelli et.al.,“Broa
dband array processing using subband techniques”,
in Proc.IEEE Int’l Conf.Acoust.,Speech,Signal Pro
cess.,pp.2876-2879,1976」従来技術文献13「R.T.Com
pton,Jr.,“The relationship between tapped delay-l
ine and FFT processing in adaptive arrays”,IEEE T
rans.Antennas Propagat.,vol.AP-36,no.1,Jan.1988」
参照。)。ここで、従来技術文献13では、コンプトン
が時間空間領域及び周波数・空間領域での信号処理の等
価を示している。サブバンド信号分解の下では、信号処
理速度の大幅な低減が可能であり(例えば、従来技術文
献14参照。)、ハードウェアの実現にとって有利であ
る。LMSアルゴリズムを使用する場合、サブバンドア
ダプティブアレーアンテナ処理は、サブバンド信号のエ
ネルギーが少ないことから、適応ステップサイズを小さ
くすることができ、収束が高速化する(例えば、従来技
術文献15参照。)。実際のところ、サブバンドアダプ
ティブアレーアンテナの場合、各サブバンドでのアレー
アンテナ信号処理が狭帯域で実行されるため、各チャン
ネルのタップ付き遅延線に多くのウエイトを必要とする
時間空間信号処理を使用する場合よりも収束が著しく速
い。
【0006】従来技術を要約すれば、例えば、上記従来
技術文献13においては、FFTを使用した周波数空間
信号処理を広帯域信号のアレー処理に適用することにつ
いて開示しており、その特性は、時間空間処理とほぼ同
様のものが得られている。この文献では、帯域内の周波
数特性の補正のためにDFTフィルタバンクを用いてい
る(以下、第1の従来例という。)。
【0007】また、上記従来技術文献15においては、
QMFフィルタバンクを使用したサブバンドアレーアン
テナ装置(以下、第2の従来例という。)についての検
討について開示されており、通常のアダプティブアレー
アンテナ装置よりも荷重係数の計算値の収束が速くなる
ことを示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】陸上移動通信における
マルチパスフェージング軽減のために、フィルタバンク
を活用した実施が容易なサブバンドアダプティブアレー
アンテナ処理装置を形成することができる。サブバンド
アダプティブアレーアンテナは、周波数空間信号処理の
関係では、サブバンドで最適な特性を提供し、これによ
りアレーアンテナ信号処理以前のマルチパス波間の信号
相関を高めている。各サブバンドにおいては、フィルタ
バンクの分析フィルタが適正に設計されていれば、マル
チパス波のサブバンド成分間の信号相関を高めることが
できる。サブバンド技術による信号相関の増大は、それ
が到来信号の認識を何ら必要としないという意味でブラ
インド(盲目)である。コヒーレンスが増大すると、希
望信号と干渉信号の両方に関連したマルチパスフェージ
ングの影響が大幅に低減できることから、アレーアンテ
ナ信号処理が急速に収束して、アレーアンテナ自由度
(DOF)がより効果的となる。
【0009】時間空間信号処理を用いたアレーアンテナ
の制御装置では、その構成がきわめて複雑となり、実用
化が難しいという問題点があった(例えば、従来技術文
献10「J-W.Liang and A. Paulraj,“Two stage CCI/I
SI reduction with space-time processing in TDMA ce
llular networks,”in Proc. 30th Annual AsilomarCon
f. on Signals, Systems, and Computers, Pacific Gro
ve, CA, Nov. 1996」及び従来技術文献11「A. J. Pau
lraj and C. B. Papadias, “Space-time processing f
or wireless communications,” IEEE Signal Processi
ng Magazine,pp. 49-83, Nov. 1997」参照。)。また、
第1及び第2の従来例では、マルチパス伝搬路における
信号相関係数の絶対値が比較的低く、広帯域信号を伝送
することが難しいという問題点があった。
【0010】本発明の目的は以上の問題点を解決し、従
来例と比較して、マルチパス伝搬路における信号相関係
数の絶対値を高くすることができ、しかも構成が簡単で
あって実用化することができるアレーアンテナの制御装
置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアレーアン
テナの制御装置は、所定の配置形状で近接して並置され
た所定の複数N個のアンテナ素子からなるアレーアンテ
ナを制御するためのアレーアンテナの制御装置におい
て、上記アレーアンテナの各アンテナ素子でそれぞれ受
信された複数N個の受信信号を複数N個のディジタル受
信信号にA/D変換して出力する変換手段と、上記複数
N個のアンテナ素子に対応して複数N個設けられ、上記
変換手段から出力される複数N個のディジタル受信信号
をそれぞれ複数M個の所定のサブバンドに帯域分割した
後所定のダウンサンプリングレートでダウンサンプリン
グして出力する分析フィルタ手段と、上記複数M個のサ
ブバンドに対応して複数M個設けられ、上記分析フィル
タ手段から出力される複数N個の信号をそれぞれ所定の
各N個の荷重係数で乗算した後加算して出力する荷重係
数加算手段と、上記複数M個の荷重係数加算手段から出
力される各信号をそれぞれ所定のアップサンプリングレ
ートでアップサンプリングした後、各2個のサブバンド
毎に帯域通過ろ波しかつ帯域合成した後加算して受信信
号として出力する合成フィルタ手段と、上記複数M個の
荷重係数加算手段から出力される各N個の信号と、上記
複数N個の分析フィルタ手段から出力される各M個の信
号と、所定の参照信号とに基づいて、上記参照信号と上
記荷重係数加算手段からの対応する各M個の信号との誤
差が最小となるように、上記各(M×N)個の荷重係数
を決定して制御設定する荷重係数制御手段とを備え、上
記各分析フィルタ手段と上記合成フィルタ手段との組み
合わせは、近似的な完全再構成条件を満たすQMFフィ
ルタバンクであり、上記各分析フィルタ手段は、互いに
異なる通過帯域を有する複数M個の第1の帯域通過フィ
ルタと、M/2のダウンサンプリングレートを有する複
数M個のダウンサンプラとを備え、上記各分析フィルタ
手段によって帯域ろ波される全帯域をより低い第1の帯
域とより高い第2の帯域とに2分割したときに、上記第
1の帯域の各サブバンドをそれぞれ上記第2の帯域の各
サブバンドに周波数の順序で対応させ、上記合成フィル
タ手段は、上記複数M個の荷重係数加算手段から出力さ
れる各信号をそれぞれM/2のアップサンプリングレー
トでアップサンプリングして出力する複数M個のアップ
サンプラと、上記第1の帯域の各サブバンドをそれぞれ
上記第2の帯域の各サブバンドに周波数の順序で対応さ
せたときの、対応する各2個のサブバンド毎の上記アッ
プサンプラからの信号をそれぞれ帯域通過ろ波しかつ帯
域合成する複数M/2個の第2の帯域通過フィルタと、
上記複数M個の第2の帯域通過フィルタからの複数M/
2個の信号を加算する加算器とを備えたことを特徴とす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る実施形態について説明する。
【0013】図1及び図2は、本発明に係る一実施形態
であるアレーアンテナの制御装置の構成を示すブロック
図である。本実施形態のアレーアンテナの制御装置は、
図7に示す改善されたQMFフィルタバンク300を用
いて構成したことを特徴とする。本実施形態では、陸上
移動通信におけるマルチパスフェージング軽減のため
に、フィルタバンクを活用した実施が容易なサブバンド
アダプティブアレーアンテナ処理装置を開示している。
まず、マルチパス波の存在下におけるアダプティブアレ
ーアンテナの特性について説明する。
【0014】2波のマルチパス波を有する希望信号と、
2波のマルチパス波を有するCCI信号が、N個のアン
テナ素子1−1乃至1−Nを備えたアレーアンテナ10
0に到来する簡単なケースを仮定する。アレーアンテナ
100で受信された受信信号のベクトルは、次式で表さ
れる。
【0015】
【数1】x(t)=A(ΘD)sD(t)+A(ΘI)sI
(t)+n(t)
【0016】ここで、A(ΘD)=[a(θD1),a
(θD2)]は希望信号に対する2つの電波指向ベクトル
の集合であり、sD(t)=[sD1(t),s
D2(t)]Tは受信された希望信号の複素包絡線を示す
ベクトルである。同様に、A(ΘI)=[a(θI1),
a(θI2)]及びsI(t)=[sI1(t),s
I2(t)]TはCCI信号に対するそれらを表してい
る。希望信号とCCI信号は、独立した信号であるもの
とする。n(t)は雑音ベクトルである。雑音ベクトル
の要素は、平均値が0であり、独立で同一の確率分布に
従う(i.i.d.:independent identically distri
butedの略である。)ガウスランダム性を有する要素
と、共分散行列σ2Iとを含み、ここで、IはN×N個
の単位行列である。
【0017】一般性を失うことなく、sD1(t)は、直
接波であるSOI(Signal Of Interest:所望信号)で
あると仮定する。マルチパス波であるsD2(t)は、S
OIとコヒーレントである成分と、SOIに対して直交
する成分との2成分に分離することができる(例えば、
従来技術文献17「J.Yang and A.Swindlehurst,“Maxi
mum SINR beamforming for correlated sources”,in P
roc.ICASSP’95,Detroit,pp.1916-1919,May 1995」参
照。)。
【0018】
【数2】sD2(t)=sD (t)+ρD *ξDD1(t)
【0019】ここで、E[sD (t)sD1(t)]=
0であり、ρDは2波間の信号相関係数であり、次式で
定義される。
【0020】
【数3】ρD=E[sD1(t)sD2 *(t)]/σD1σD2
【0021】σD 2≡σD1 2とσD2 2はそれぞれ希望信号の
2波の電力である。ξD=σD2/σD1は、2波の信号レ
ベルの比の値である。E[・]は統計学的平均値を表
し、(・)*は複素共役を表す。sD(t)の共分散行列
は、次式で定義される。
【0022】
【数4】
【0023】ここで、(・)Hは複素共役転置を表す。
従って、次式を得る。
【0024】
【数5】
【0025】数5の右辺の第1項は、次式に示される一
般化したSOI信号ベクトルの共分散行列である。一般
化したSOI信号では、SOI信号sD1(t)のほか、
遅延波sD2(t)に含まれる相関成分も含む。
【0026】
【数6】shD(t)=[a(θD1)+ρD *ξD
(θD2)]sD1(t) ここで、 ahD=a(θD1)+ρD *ξDa(θD2
【0027】ここで、ahDは、処理対象成分の一般化さ
れた指向ベクトルである。ahDの第2項は、直交成分s
D (t)によって生じる干渉波成分であり、直交成分
D (t)は、|ρD|が1に近づくにつれて漸近的に
消滅する。
【0028】参照信号(又は基準信号)r(t)をSO
IsD1(t)の理想的なレプリカと仮定すると、受信さ
れた信号ベクトルx(t)と参照信号r(t)の間の相
関ベクトルrDは、次式で表される。
【0029】
【数7】rD =E[x(t)r*(t)] =E[x(t)SD1 *(t)] =σD 2ahD
【0030】数7は、数6において与えられるように、
処理対象成分の一般化された指向ベクトルに一致する。
従って、LMSアルゴリズムの定常状態最適ウエイトベ
クトルは、次式で与えられる(例えば、従来技術文献1
8「I.J.Gupta,“Effect ofjammer power on the perfo
rmance of adaptive arrays”,IEEE Trans.AntennasPro
pagat.,vol.AP-32,no.9,Sept.1984」参照。)。
【0031】
【数8】w=RXX -1D=(1−σD1 2ahD Hxx -1
hD)RN -1ahD ここで、
【数9】RXX=E[x(t)xH(t)]=RN+σDah
DahD H
【数10】RN=(1−|ρD2)σD2 2a(θD2)aH
(θD2)+RININ=RII+E[n(t)nH(t)]=RII+σN 2
【0032】ここで、行列RNは合計の干渉波成分の等
価的共分散行列である。また、行列RIIは数14で定義
される。逆行列の公式を使用すると、次式を得る。
【0033】
【数11】 RN -1=RIN -1−εRIN -1a(θD2)aH(θD2)RIN -1 ここで、
【数12】ε=(1−|ρD2)/{1+(1−|ρD2)
σD2 2H(θD2)RIN -1a(θD2)}
【0034】上記数12は、|ρD|の増加に伴って単
調に減少する。上記数8と数11を使用することによっ
て、干渉波と雑音成分との和に対する出力信号の比(以
下、出力SINRという。)次式で表される。
【0035】
【数13】 SINR =E{|WHshD(t)ahD2}/E{wHNw} =(σD 2|ahD HN -1ahD2)/(ahD HN -1NN -1ahD) =σD 2ahD HN -1ahD =σD 2ahD HIN -1ahD−εσD 2|ahD HIN -1a(θD2)|2
【0036】従って、出力SINRに与えるs
D (t)の影響は、|ρD|の増加に伴って単調に減少
する。CCI信号に対して、全ての成分の抑圧すべきで
あるので、固有値分解の方法を用いて考えることが適当
である。
【0037】
【数14】RII=A(ΘI)E[sI(t)sI H(t)]
H(ΘI
【0038】ここで、λIi(i=1,2)は行列RII
固有値であり、uIiはそれに関連する固有ベクトルであ
る。2つの固有値は、次式で与えられる(例えば、従来
技術文献19「J.E.Hudson,“Adaptive Array Principl
es”,Peter Peregrinus,1989」参照。)。
【0039】
【数15】 λI1,2 =(N/2)[σI1 2+σI2 2+2σI1σI2Re(ρIβI *)] ×[1±√{1−(4σI1 2σI2 2(1−|βI2)(1−|ρI2)) /(σI1 2+σI2 2+2σI1σI2Re(ρIβI *))}]
【0040】ここで、σI1 2とσI2 2はそれぞれCCI信
号の2波の電力である。ρIは2波間の信号時間相関係
数であり、βIは2波の到来方向(DOA)における空
間相関係数であって、次式のように定義される。
【0041】
【数16】βI=(1/N)aH(θI1)a(θI2
【0042】ここで、|ρI|及び|βI|の一方又は両
方が1になると、λI2が0になり、また2波が単一波と
しての特性を有する。従って、一般に、アレーアンテナ
は信号相関の低い2波を効果的に抑圧するために、2つ
の自由度を必要とするが、2波の統計的及び/又は空間
的相関が高い場合は1つの自由度がアレーアンテナにあ
ればよい。
【0043】次いで、フィルタバンクを使用することに
よる信号相関の強化について説明する。上述したよう
に、マルチパス波の存在下におけるアダプティブアレー
アンテナの特性について検討し、希望信号のマルチパス
波間の信号相関が増大すると、符号間干渉の影響が軽減
される。CCI信号のマルチパス波間の信号相関が極め
て高い場合は、マルチパス波を1つの等価波として処理
することができるため、マルチパス波をアレーアンテナ
の1つの自由度により抑圧することができる。
【0044】以下では、サブバンド信号処理によるマル
チパス波の信号相関の強化について説明する。まず、フ
ィルタバンクを使用するサブバンド信号処理の概念につ
いて簡単に説明し、次に理想フィルタでサブバンドを分
割することによる信号相関を強化する基本原理について
述べる。また、DFTフィルタバンク及びQMFフィル
タバンクを基礎とする実際的なフィルタバンクの特性に
ついて検討し、信号相関強化の特性を比較する。
【0045】ここで、まず、フィルタバンクを使用する
サブバンド信号処理について説明する。フィルタバンク
は、複数のサンプリング演算子によって、並びにときど
き複数の遅延素子によって接続された一連のフィルタで
ある。
【0046】図3は、比較例1の理想フィルタバンク2
00の構成を示すブロック図である。理想フィルタバン
ク200は、理想的なフィルタバンクであって、M分配
器210と、分析フィルタバンク201と、合成フィル
タバンク202と、加算器215を備える。ここで、分
析フィルタバンク201は、それぞれ伝達関数H(m-1)
(z)を有するM個の帯域通過フィルタ(BPF)21
1−m(m=1,2,…,M)と、それぞれダウンサン
プリングレートMを有するM個のダウンサンプラ212
−m(m=1,2,…,M)とを備え、M分配器210
によりM分配されたM個の入力信号x(n)がそれぞれ
帯域通過フィルタ211−mに入力され、帯域ろ波され
た後、帯域分割されたサブバンド毎に、ダウンサンプラ
212−mによってダウンサンプリングされ、合成フィ
ルタバンク202に伝送される。一方、合成フィルタバ
ンク202は、それぞれアップサンプリングレートMを
有するM個のアップサンプラ213−m(m=1,2,
…,M)と、それぞれ伝達関数F(m-1)(z)を有する
M個の帯域通過フィルタ(BPF)214−m(m=
1,2,…,M)とを備え、分析フィルタバンク201
からのM個の信号がそれぞれ、帯域分割されたサブバン
ド毎に、M個のアップサンプラ213−mに入力されて
アップサンプリングされた後、帯域分割されたサブバン
ド毎にM個の帯域通過フィルタ214−mにより帯域ろ
波される。そして、帯域ろ波されたM個の信号は,加算
器215により加算されて、加算結果が出力信号y
(n)となる。
【0047】図3において、出力信号y(n)のz変換
は、次式で表される。
【0048】
【数17】
【0049】ここで、X(z)はx(n)のz変換であ
り、次式を得る。
【0050】
【数18】
【数19】
【0051】また、Mはサブバンドの数、すなわち帯域
分割数である。デシメーションレートは同一であるもの
とする。このようなフィルタバンクは、最大にデシメー
ションされたフィルタバンクと呼ばれる。数17の右辺
の第1項は非エイリアジング成分であり、最後の項はエ
イリアジング成分である。フィルタバンクの完全再構成
(PR)を実現するためには、次式が成立する必要があ
る。
【0052】
【数20】T(z)=z−n0
【数21】A(z)=0,k=1,2,…,M−1
【0053】ここで、n0>0は任意の整数である。完
全再構成条件のもとでは、フィルタバンクの出力は、歪
みなしのフィルタバンクの入力信号の遅延されたバージ
ョンであり、すなわち次式で表される。
【数22】y(n)=x(n−n0) 理想フィルタで構成されるフィルタバンクを使用する場
合、すなわち、
【数23】 H(k)(f) =F(k)(f) =1;−B/2+(k−1)B/M≦f<−B/2+kB/Mのとき =0;その他のとき である場合は、明らかにこのフィルタバンクは完全再構
成条件を満足している。
【0054】理想フィルタバンク200は実現不可能で
あるが、その式が簡単であるため、以下では、まずこれ
を使用してサブバンド分割によるコヒーレンス性の強化
の基本原理について説明する。帯域制限された確率信号
s(t)について考える。解析の便宜上、次式のp
(f)で示される電力スペクトル密度関数(PSDF)
は帯域幅Bの中では一様であるものとする。
【0055】
【数24】p(f) =1;−B/2≦f≦B/2のとき =0;その他のとき
【0056】次式のr(τ)で示される関連する自己相
関関数は、p(f)のフーリエ変換によって与えられ
る。
【0057】
【数25】r(τ) =E{s(t)s*(t−τ)} =(sin(πBτ))/(πτ)
【0058】ここで、次式のように、p(f)をM個の
サブバンドに分割する。
【0059】
【数26】
【数27】 p(k)(f) =1;−B/2+kB/M≦f<−B/2+(k+1)B/Mのとき =0;その他のとき
【0060】このとき、k番目のサブバンド信号s(k)
(t)の自己相関関数は、次式で表される。
【0061】
【数28】r(k)(τ) =E{s(k)(t)s(k)*(t−τ)} ={sin(πBτ/M)/πτ}×exp{(jπB
τ/M)(2k−M−1)}
【0062】従って、受信信号s(t)とその遅延され
たレプリカs(t−τ)の信号相関係数は、次式で表さ
れる。
【0063】
【数29】ρ(τ)=αr(τ)/r(0)=α{si
n(πBτ)}/(πBτ)
【0064】ここでは、α(|α|=1)は、電波伝搬
によって生じた位相差を示すパラメータである。同様
に、k番目のサブバンド信号に対して、次式で表され
る。
【0065】
【数30】ρ(k)(τ) =αr(k)(τ)/r(k)(0) =α{sin(πBτ/M)}/(πBτ/M)×ex
p{j(2k−M−1)πBτ/M}
【0066】上記数29と数30とを比較すると、サブ
バンド信号の信号相関は、時間軸においてM倍に広がる
ことが解る。|ρ(k)(τ)|はkとともに変化しない
ため、異なるサブバンドの信号相関は均等に強化され
る。例えば、τ=1/Bのときは、ρ(1/B)=0で
あるが、これは2つの信号が相関しないことを意味して
いる。信号がM個のサブバンドに分割されるとき、 |ρ(k)(1/B)|={sin(π/M)}/(π/
M) となり、これはM=16で0.9936に等しい。従っ
て、相関しない2つの波は複数のサブバンドにおいてほ
ぼコヒーレントとなる。Bτ=1における、|ρ
(k)(τ)|とMとの関係を図5に実線で示す。
【0067】上述のように、理想フィルタに基づくフィ
ルタバンクについて考察した。しかしながら、実現可能
なシステムの場合、FIRフィルタの伝達関数は矩形パ
ルスの形状を有していない。最も実用的に使用されてい
るフィルタバンクは、DFT及びQMFフィルタバンク
を基礎として完全再構成又は準完全再構成を実現してい
る(例えば、従来技術文献9及び従来技術文献21「T.
Q.Nguyen,“Near-perfect-reconstruction pseudo-QMF
banks”,IEEE Trans.Signal Proc.,vol.SP-42,pp.65-7
6,1994」参照。)。
【0068】以下では、DFTフィルタバンク300を
使用する場合の信号相関強化の特性について解析する。
図4において、DFTフィルタバンク300は、分析フ
ィルタバンク301と合成フィルタバンク302とを備
え、分析フィルタバンク301は、互いに縦続接続され
た(M−1)個の遅延回路310−1乃至310−(M
−1)と、M個のダウンサンプラ311−1乃至311
−Mと、DFT回路312とを備えて構成される一方、
合成フィルタバンク302は、IDFT回路313と、
M個のアップサンプラ314−1乃至314−Mと、互
いに縦続接続された(M−1)個の遅延回路315−1
乃至315−(M−1)とを備えて構成される。
【0069】データシーケンスx(n)の離散的フーリ
エ変換(DFT)は次式のように定義される。
【0070】
【数31】
【0071】ここで、W=exp(−j2π/M)であ
る。DFTのk番目のサブバンド出力は、次式で表され
る。
【0072】
【数32】
【0073】ここで、0≦k≦M−1である。但し、x
(n)はデータシーケンスであり、Tsはサンプリング
間隔である。ここでは、シンボルレートでのサンプリン
グを仮定しており、Ts=1/Bである。k番目のサブ
バンドのDFT分析のインパルス応答、及び合成フィル
タのインパルス応答は、以下のように表すことができ
る。
【0074】
【数33】 hk(n)=exp{−j2π(M−1−n)k/M} fk(n)=exp(j2πnk/M), ここで、0≦n≦M−1,0≦k≦M−1
【0075】従って、フィルタの伝達関数は、次式で表
される。
【0076】
【数34】
【0077】また、k番目の分析フィルタの周波数応答
は、次式で表される。
【0078】
【数35】 H(k)(f) M−1 = Σ exp(−j2πnf)exp{−j2π(M−1−n)k/M} n=0 ={sin(πM(f−k/M))/sin(π(f−k/M))} ×exp{−jπ(M−1)(f−k/M)}
【0079】但し、fは信号帯域幅Bに関する正規化周
波数を示す。上記数35及び、次式の
【数36】p(k)(f)=|H(k)(f)|2p(f) から、k番目のサブバンドフィルタ出力信号の自己相関
関数及び信号相関係数が以下のように得られる。
【0080】
【数37】 及び、
【数38】ρ(k)(τ)=αr(k)(τ)/r(k)(0)
【0081】異なるサブバンドkに対する信号相関係数
を図6に示す。図6から明らかなように、τ/Tsが整
数の場合にのみ、この曲線が平坦であることがわかる。
他の場合には、信号相関係数はk=0で最大値を有し、
また、k=M/2において、特に、τ/Tsの小数部が
0.5の場合に当該信号相関係数は非常に小さくなる。
【0082】Bτ=1、k=0のときの2波間の相関係
数を、図5において点線で示している。M=16のと
き、|ρ(k)(τ)|は約0.935である。図5及び
図6から明らかなように、DFTフィルタバンク300
が提供する信号相関の強化はかなり弱いことがわかる。
【0083】効果的なサブバンド信号処理の実現には、
完全再構成又は近似完全再構成(Near Perfect Reconst
ruction:NPR)のQMF(Quadrature mirror filte
r;直交ミラーフィルタ)フィルタバンク、又はより実
際的には疑似QMFフィルタバンクが多く使用される
(例えば、従来技術文献9、従来技術文献20「R.D.Ko
ipillai and P.P.Vaidyanathan,“New results of cosi
ne-modulated FIR filterbanks satisfying perfect re
construction”,in Proc.IEEE Int.Conf.ASSP,Toronto,
pp.1789-1792,May 1991」及び従来技術文献21参
照。)。
【0084】次いで、QMFフィルタバンクによるサブ
バンド分割について説明する。QMFフィルタバンクま
たは擬似QMFフィルタバンクの構造は、図3に示す理
想フィルタバンク200の構造と同様であるが、個々の
フィルタ特性は、実現不可能な理想フィルタと異なり、
有限個タップの有限長インパルス応答フィルタ(以下、
FIRフィルタという。)で構成できる。近似完全再構
成(NPR)疑似QMF分析のインパルス応答h
k’(n)及び合成フィルタのインパルス応答f
k’(n)はそれぞれ、基本フィルタh(n)の実線形
位相インパルス応答の余弦波で変調されたバージョンで
あり、次式のように表される。
【0085】
【数39】 hk’(n) =2h(n)cos{(2k’+1)(π/2M’)(n−(N−1)/2) +(−1)k’(π/4)} fk’(n) =2h(n)cos{(2k’+1)(π/2M’)(n−(N−1)/2) −(−1)k’π/4) ここで、0≦n≦N−1,0≦k≦M’−1
【0086】ここで、NはFIRタップ数である。ここ
で、h(n)のz変換は、 H(z)=Σn=0 N-1h(n)z-n であり、hk’(n)のz変換は、次式で表される。
【0087】
【数40】 H(k’)(z) =ak’k’H(zW(k+1/2))+ak’ *k’ *H(zW-(k’+1/2)) =H(k’,1)(z)+H(k’,2)(z) ここで、 W=exp(−jπ/M’), ak’=exp(jθk’), ck’=W(k’+1/2)((N-1)/2), 及び θk’=(−1)k’(π/4)
【0088】ミラー効果のため、QMFサブバンドフィ
ルタを直接使用しても異なるサブバンドに対してサブバ
ンド信号相関係数が均等に強化されない。この問題点を
解決するため、本発明に係る実施形態では、各サブバン
ド分析フィルタを2つのサブバンドフィルタ、H(k,1)
(z)及びH(k,2)(z)に分割する。従って、我々が
改善されたQMFサブバンド処理方法において、分析フ
ィルタバンクは2M’個のサブバンド符号化(SBC)
フィルタバンクとなる一方、合成フィルタバンクはM’
個のQMFバンクとなる。
【0089】表記法を簡単化しかつ統一するために、次
式のように、サブバンドインデックス(k’,i)をk
と表す。
【0090】
【数41】k =k’ ;i=1のとき =k’+M’;i=2のとき
【0091】このとき、次式を得る。
【0092】
【数42】 H(k)(z) =akkH(zW(k+1/2));0≦k<M/2のとき =ak-M/2 *k-M/2 *H(zW-(k+(1-M)/2);M/2≦k<Mのとき F(k)(z) =ak *kH(zW(k+1/2))+akk *H(zW-(k+1/2)); 0≦k<M/2のとき 並びに、
【数43】 hk(n) =2h(n)exp{(2k+1)(π/M)(n−(N−1)/2) +(−1)k(π/4)};0≦k<M/2のとき =2h(n)exp{−(2k−M+1)(π/M)(n−(N−1)/2) −(−1)(k-M/2)(π/4)};M/2≦k<Mのとき fk(n) =2h(n)cos{(2k+1)(π/M)(n−(N−1)/2) −(−1)k(π/4)};0≦k<M/2のとき
【0093】合成フィルタに対して、ただ(M/2)個
のフィルタを必要とするために、合成フィルタでは、0
≦k<(M/2)となる。k番目のサブバンド(k≧M
/2)は、(k−M/2)番目のサブバンドの同一の合
成フィルタを使用する。
【0094】図7に、本発明に係る実施形態である改善
されたQMFフィルタバンク300の構成を示す。図7
において、改善されたQMFフィルタバンク300は、
M分配器5aと、分析フィルタバンク6と、合成フィル
タバンク9と、加算器210とを備える。ここで、分析
フィルタバンク6は、それぞれ数42で表された伝達関
数を有するM個の帯域通過フィルタ(BPF)61−1
乃至61−Mと、それぞれダウンサンプリングレートM
/2を有するM個のダウンサンプラ62−1乃至62−
Mとを備える。ここで、帯域通過フィルタ(BPF)6
1−1,61−3,…,61−(M−3),61−(M
−1)の伝達関数は、H(0)(z),H(1)(z),…,
(M/2-2)(z),H(M/2-1)(z)に設定され、帯域通
過フィルタ(BPF)61−2,61−4,…,61−
(M−2),61−Mの伝達関数は、H(M/2)(z),
(M/2+1)(z),…,H(M-2)(z),H(M-1)(z)
に設定される。
【0095】ここで、M分配器5aによりM分配された
M個の入力信号x(n)がそれぞれ帯域通過フィルタ6
1−1乃至61−Mに入力され、帯域ろ波された後、帯
域分割されたサブバンド毎に、ダウンサンプラ62−1
乃至62−Mによってダウンサンプリングされ、合成フ
ィルタバンク9に伝送される。一方、合成フィルタバン
ク9は、それぞれアップサンプリングレートM/2を有
するM個のアップサンプラ91−1乃至91−Mと、そ
れぞれ数42で表された伝達関数を有するM/2個の帯
域通過フィルタ(BPF)92−1乃至92−(M/
2)とを備え、分析フィルタバンク6からのM個の信号
がそれぞれ、帯域分割されたサブバンド毎に、M個のア
ップサンプラ91−1乃至91−Mに入力されてアップ
サンプリングされた後、帯域分割されたサブバンドの2
つ毎にM/2個の帯域通過フィルタ92−1乃至92−
(M/2)により帯域ろ波される。そして、帯域ろ波さ
れたM/2個の信号は,加算器10により加算されて、
加算結果が出力信号y(n)となる。ここで、帯域通過
フィルタ(BPF)92−1乃至92−(M/2)の伝
達関数は、F(0)(z),F(1)(z),F(2)(z),
…,F(M/2-2)(z),F(M/2-1)(z)に設定される。
各帯域通過フィルタ(BPF)92−1乃至92−(M
/2)はそれぞれ、入力される2つの信号に基づいて、
数42の第3式に従って,帯域ろ波して帯域ろ波後の1
つの信号を加算器10に出力する。
【0096】図7の改善されたQMFフィルタバンク3
00では、数37と同様に、こうした2種類のサブバン
ドフィルタの出力の自己相関関数が以下のように得られ
る。
【0097】
【数44】
【0098】ここで、参照信号r(k+M/2)(0≦k<M
/2)は参照信号r(k)の複素共役であるので、上記数
44から明らかなように、k番目の2つのサブサブバン
ドフィルタ出力における2個のマルチパス波成分間の信
号相関係数は次式によって計算されることがわかる。
【0099】
【数45】ρ(k)(τ)=αr(k)(τ)/r(k)(0)
【0100】図8は、改善されたQMFフィルタバンク
300における異なるサブバンドkの信号相関係数を示
している。FIR係数は従来技術文献21に基づいて計
算しており、M=4、8、16、32に対するタップ数
はそれぞれ48、64、128、256である。図8か
ら明らかなように、k=M/2−1及びk=M/2の2
つのサブサブバンドを除いて全体のサブバンドにわたっ
て|ρ(k)(τ)|は平坦であることがわかる。従っ
て、QMFフィルタバンクに基づくサブバンド信号処理
の後は、異なるサブバンドに対しても信号相関がほぼ等
しく強化される。
【0101】改善されたQMFフィルタバンクにおい
て、Bτ=1、k=0の場合の信号相関係数を図5にお
いて点線で示す。図5から明らかなように、QMFに基
づく改善されたフィルタバンクが、理想FIRフィルタ
の場合に極めて近い信号相関強化の特性を有することが
わかる。
【0102】次いで、サブバンドアダプティブアレーア
ンテナについて説明する。上述したように、マルチパス
波間の信号相関の増加、及びフィルタバンクを活用した
サブバンド信号処理による信号相関の強化に伴ってアレ
ーアンテナの特性が向上することについて説明した。従
って、サブバンド信号処理方法をアダプティブアレーア
ンテナに適用すれば、マルチパスフェージング環境にお
けるアレーアンテナ特性の向上を可能にするサブバンド
アダプティブアレーアンテナが形成される。以下では、
サブバンドアダプティブアレーアンテナの動作について
説明する。
【0103】ここでは、改善された擬似QMFフィルタ
バンクを有するLMSアダプティブアレーアンテナにつ
いて考える。アレーアンテナ100のアンテナ素子1−
1乃至1−Nの各出力と参照信号はそれぞれM個のサブ
バンドに分割され、各サブバンドでの各荷重係数は、サ
ブバンド参照信号に収束するように、合成されたサブバ
ンド出力を制御する。システムは参照信号をほぼ完全に
再構成するように設計されているため、アレーアンテナ
は参照信号に収束した後に近似完全再構成(NPR)と
なることが保証されている。従って、k番目のサブバン
ドにおける定常状態の最適な荷重係数ベクトルは次式に
よって与えられる。
【0104】
【数46】 w(k)=RXX (k)-1D (k);k=1,2,…,M ここで、
【数47】RXX (k)=E[x(k)H(t)x(k)(t)]
【数48】rD (k)=E[x(k)(t)r(k)*(t)]
【0105】上述の考察から、各サブバンドではマルチ
パス波が極めて高い信号相関を有しており、またサブバ
ンド数Mの増加に伴って漸近的に単一波としての特性を
有する。従って、上記数46によって表される荷重係数
を各サブバンド信号に対して荷重した後に合成すること
により、マルチパスフェージングの影響が軽減される。
つまり、希望信号の場合、マルチパス波は等化によって
最大比で合成され、またマルチパス波を有するCCI信
号は信号アレーの自由度によって抑圧される。
【0106】上述の考察に基づいて、また,上記数13
からk番目のサブバンドにおける出力SINRを次式の
ように得ることができる。
【0107】
【数49】 SINR(k) =PS (k)/PIN (k) =(σD (k)2|ahD (k)HN (k)-1ahD (k)2)/(ahD (k)HN (k)-1ahD (k)
【0108】ここで、P(k)S、P(k)INはそれぞ
れ、k番目のサブバンドにおける処理対象の出力信号電
力及び干渉信号出力電力である。従って、アレーアンテ
ナの出力SINRSUBは以下のようになる。
【0109】
【数50】
【0110】さらに、図1及び図2を参照してアレーア
ンテナの制御装置の構成及び動作について説明する。ア
レーアンテナ100は、例えば1直線上に例えば半波長
の間隔で配置された複数N個のアンテナ素子1−1乃至
1−Nを備えて構成される。なお、アレーアンテナ10
0においては、複数N個のアンテナ素子1−1乃至1−
Nは2次元の所定の配置形状で互いに所定の間隔で近接
して配置されてもよい。
【0111】相手方の送信局からの送信信号は、複数N
個のアンテナ素子1−1乃至1−Nが並置される直線に
対して垂直な直線に対して定義される入射角(到来角:
DOA)θで入力してアレーアンテナ100で受信され
る。各アンテナ素子1−1乃至1−Nで受信された受信
信号はそれぞれダウンコンバータ2−1乃至2−Nに入
力される。ダウンコンバータ2−1乃至2−Nはそれぞ
れ、入力される受信信号を所定の中間周波数の信号(以
下、IF信号という。)に低域変換して、IF/IQ変
換器3−1乃至3−Nに出力する。次いで、IF/IQ
変換器3−1乃至3−Nはそれぞれ、互いに直交する2
つの局部発振信号を用いて、入力されるIF信号を、互
いに直交するI信号とQ信号とに変換してA/D変換器
4−1乃至4−Nに出力する。図1及び図2の信号にお
いて、IF/IQ変換器3−1乃至3−N及び参照信号
発生器14よりも以降の信号はすべて互いに直交するI
信号とQ信号で処理している。さらに、A/D変換器4
−1乃至4−Nはそれぞれ、入力されるI信号とQ信号
をA/D変換してディジタルI信号とディジタルQ信号
とに変換してM分配器5−1乃至5−Nに出力する。各
M分配器5−1乃至5−Nは、入力された信号をM分配
して分析フィルタバンク6−1乃至6−Nの各帯域通過
フィルタ(BPF)61−1乃至61−Mに出力する。
各分析フィルタバンク6−1乃至6−Nは、互いに同様
にかつ図7と同様に構成され、入力されたM個の信号を
サブバンド毎に帯域ろ波した後ダウンサンプリングして
図2の荷重係数加算回路7−1乃至7−M及び荷重係数
制御回路11−1乃至11−Mに出力する。
【0112】一方、参照信号発生器14は、送信局から
送信される同期パターンと同一の同期パターンを含む参
照信号r(t)を互いに直交するI信号とQ信号の形式
で発生してM分配器15に出力する。M分配器15は、
入力された信号をM分配して分析フィルタバンク16の
各帯域通過フィルタ(BPF)63−1乃至63−Mに
出力する。分析フィルタバンク16は、M個の帯域通過
フィルタ(BPF)63−1乃至63−MとM個のダウ
ンサンプラ64−1乃至64−Mとを備えて、図7と同
様に構成され、入力されたM個の信号をサブバンド毎に
帯域ろ波した後ダウンサンプリングして図2の荷重係数
制御回路11−1乃至11−Mに出力する。
【0113】荷重係数加算回路7−1乃至7−Mは各サ
ブバンド毎に設けられ、互いに同様に構成され、対応す
るサブバンドにおける分析フィルタのろ波後のN個の信
号を荷重係数制御回路11−1乃至11−Mによって決
定された荷重係数w1(m)乃至wN(m)(M=1,
2,3,…,M)で乗算する乗算器71−1乃至71−
Nと、乗算器71−1乃至71−Nからの出力信号を加
算する加算器72とを備えて構成される。各荷重係数加
算回路7−1乃至7−Mの加算器72からの出力信号は
それぞれ、(N+1)分配器8−1乃至8−Mに入力さ
れて(N+1)分配された後、合成フィルタバンク9の
各アップサンプラ91−1乃至91−M及び荷重係数制
御回路11−1乃至11−Mに出力される。
【0114】合成フィルタバンク9は、M個のアップサ
ンプラ91−1乃至91−Mと、M/2個の帯域通過フ
ィルタ92−1乃至92−(M/2)とを備えて、図7
と同様に構成され、入力されるM個の信号をアップサン
プリングした後、上述の帯域ろ波を行なって加算器10
に出力する。加算器10は入力されるM/2個の信号を
加算合成して受信信号y(t)として出力する。
【0115】一方、M個の荷重係数制御回路11−1乃
至11−Mはサブバンド毎に互いに同様に構成され、入
力される参照信号r(m)(M=1,2,3,…,M;以
下同様である。)と(M+1)分配された信号sa(m)
との差を加算器111で演算した後、素子に対応して設
けられる荷重係数制御器113−1乃至113−Nに入
力され、荷重係数制御器113−1乃至113−Nは、
この入力信号と、さらには、分析フィルタバンク6−1
乃至6−Mから出力されるサブバンド信号x1 (m),x2
(m),…,xN (m)とに基づいて、例えば公知のLMSア
ルゴリズムを用いて、上記差の2乗平均が最小となるよ
うに、乗算器71−1乃至71−Nの荷重係数w
1(m)乃至wN(m)を制御設定する。本実施形態で
は、LMSアルゴリズムを用いて荷重係数を計算してい
るが、本発明はこれに限らず、例えば、公知のCMA
(Constant Modulus Algorithm)アルゴリズムなどを用
いてもよい。
【0116】以上の実施形態において、各分析フィルタ
バンク6−1乃至6−Nと合成フィルタバンク9との組
み合わせは、近似的な完全再構成条件を満たすQMFフ
ィルタバンクである。ここで、各分析フィルタバンク6
−1乃至6−Nは、互いに異なる通過帯域を有する複数
M個の第1の帯域通過フィルタ61−1乃至61−M
と、M/2のダウンサンプリングレートを有する複数M
個のダウンサンプラ62−1乃至62−Mとを備える。
各分析フィルタバンク6−1乃至6−Mによって帯域ろ
波される全帯域をより低い第1の帯域とより高い第2の
帯域とに2分割したときに、上記第1の帯域の各サブバ
ンドをそれぞれ上記第2の帯域の各サブバンドに周波数
の昇順で対応させる。すなわち、帯域通過フィルタ61
−1のサブバンドと帯域通過フィルタ61−2のサブバ
ンドを対応させ、帯域通過フィルタ61−3のサブバン
ドと帯域通過フィルタ61−4のサブバンドを対応さ
せ、以下同様にして、帯域通過フィルタ61−(M−
1)のサブバンドと帯域通過フィルタ61−Mのサブバ
ンドを対応させる。合成フィルタバンク9は、(a)複
数M個の荷重係数加算回路7−1乃至7−Mから出力さ
れる各信号をそれぞれM/2のアップサンプリングレー
トでアップサンプリングして出力する複数M個のアップ
サンプラ91−1乃至91−Mと、(b)上述のよう
に、第1の帯域の各サブバンドをそれぞれ上記第2の帯
域の各サブバンドに周波数の昇順で対応させたときの、
対応する各2個のサブバンド毎の上記アップサンプラか
らの信号をそれぞれ帯域通過ろ波しかつ帯域合成する複
数M/2個の第2の帯域通過フィルタ91−1乃至91
−M(ここで、図7に示すように、アップサンプラ91
−1と91−2の出力が帯域通過フィルタ92−1に入
力され、アップサンプラ91−3と91−4の出力が帯
域通過フィルタ92−2に入力され、以下同様にして、
アップサンプラ91−(M−1)と91−Mの出力が帯
域通過フィルタ92−(M/2)に入力される。)と、
(c)上記複数M個の第2の帯域通過フィルタ92−1
乃至92−(M/2)からの複数M/2個の信号を加算
する加算器10とを備えて構成される。
【0117】
【実施例】本発明者は、上述の解析及び装置動作を評価
するため、コンピュータによるシミュレーションを行な
った。シミュレーションは、等間隔のリニア3素子のL
MSアダプティブアレーアンテナを対象にして行う。素
子間間隔は半波長である。希望信号及び干渉信号は両方
共、QPSK変調によって変調されているものとする。
ロールオフ比は0.5である。
【0118】まず最初に2波を有する希望信号のみが存
在するケースについて考察する。ここで、σD1 2=σD2 2
=10dB、σN 2=0dBである。図9は、出力SIN
Rとサブバンド数Mとの関係を示している。以下の各図
では、M=1はサブバンドの分解なしに信号を処理する
ケースを表わしている。これらの図では、直接波のDO
A(到来角)は、ブロードサイド方向から0゜である。
遅延波のDOAがそれぞれ40゜及び2゜である2つの
ケースについて示す。2波間の遅延時間はTsである。
【0119】図9から明らかなように、両方のケース共
に出力SINRがサブバンド数Mに伴って増加すること
が確認される。θD2=40゜のとき、直接波と遅延波が
十分離れており、アレーアンテナDOFが非相関遅延波
の抑圧に十分であるため、サブバンド信号処理を行なわ
なくてもアレーアンテナ出力SINRは非常に高い。従
って、サブバンド信号処理による向上は顕著ではない。
【0120】しかしながらθD2=2゜の場合は、通常の
アレーアンテナを用いるときに、出力SINRが非常に
低い(1.7dB)。2信号のDOAが非常に接近して
いるため、アレーアンテナの分解限界によって出力SI
NRの減衰が生じる。サブバンド数Mが増加すると、ア
レーアンテナ出力SINRの特性が急速に向上する。こ
れは、サブバンド信号処理の等化能力を確認するもので
ある。
【0121】上記のケースにさらに2つのマルチパス波
を追加し、図10にその出力SINRを示す。新たなマ
ルチパス波は同じ入力信号レベルを有し、そのDOAは
それぞれ20°、60°であり、直接波に関する遅延時
間は2Ts及び3Tsである。この場合、サブバンド信号
処理を行なわなければ、すべてのマルチパス波は互いに
相関せず、アレーアンテナは3つの遅延波を抑圧しよう
とする。3素子のアレーアンテナは2つのDOFを有し
ている。従って、アレーアンテナDOFでは不充分であ
り、アレーアンテナは良好な特性を発揮することができ
ない。図10から明らかなように、この出力SINRが
ほぼ0dBであることがわかる。
【0122】これに対して、サブバンド信号処理を行う
場合は、4波を一つの等価波として漸近的に処理され、
サブバンド数Mの増加に伴って出力SINRが急速に増
加する。サブバンド数Mが4以上の時、ビットエラーレ
ート(BER)が10-5より低く、また、出力SINR
は13dBを超過する。
【0123】図11は、図9で考察したケースに2つの
CCI信号を加えた場合の出力SINRを示している。
σI1 2=σI2 2=20dB、またDOAをそれぞれ20
゜、60゜と仮定する。両者間の遅延時間はTsとす
る。サブバンド信号処理を行わない場合、アレーアンテ
ナは希望信号の遅延波と2つの非相関CCI波を抑圧す
る。図10のケースと同様に、アレーアンテナDOFは
十分でなく、出力SINRは−1.6dBと悪い。サブ
バンド信号処理を行う場合は、希望信号2波が等価の単
一信号として処理され、CCI信号2波が他の等価波と
して処理される。従って、アレーアンテナDOFは十分
であり、出力SINRは、M=4で7.1dBに、M=
8で12dBに増加する。図12は、それに対応するB
ER特性を示している。BER特性は、Mの増加に伴っ
て急速に減少する。
【0124】以上説明したように、本発明に係る実施形
態では、マルチパスフェージングを軽減するサブバンド
アダプティブアレーアンテナを提案し、詳細な分析を行
ってきた。準最適な周波数空間信号処理を提供するサブ
バンドアダプティブアレーアンテナは、移動通信におけ
るマルチパスフェージング問題を軽減し、同一チャンネ
ル干渉(CCI)信号を抑圧する強力な方法である。サ
ブバンドの観点からパラレルの狭帯域信号処理を行なう
こうした方法は、他の時間空間信号処理方式の場合より
も速い収束性のあることは、従来技術文献15で確認さ
れている。従って、本実施形態によれば、従来例と比較
して、マルチパス伝搬路における信号相関係数の絶対値
を高くすることができ、これにより、マルチパスフェー
ジングを軽減し、同一チャンネル干渉(CCI)信号を
抑圧することができる。さらに、合成フィルタバンク9
の帯域通過フィルタの個数を半減することができ、構成
が簡単であって実用化することができるアレーアンテナ
の制御装置を提供することができる。
【0125】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るアレー
アンテナの制御装置によれば、所定の配置形状で近接し
て並置された所定の複数N個のアンテナ素子からなるア
レーアンテナを制御するためのアレーアンテナの制御装
置において、上記アレーアンテナの各アンテナ素子でそ
れぞれ受信された複数N個の受信信号を複数N個のディ
ジタル受信信号にA/D変換して出力する変換手段と、
上記複数N個のアンテナ素子に対応して複数N個設けら
れ、上記変換手段から出力される複数N個のディジタル
受信信号をそれぞれ複数M個の所定のサブバンドに帯域
分割した後所定のダウンサンプリングレートでダウンサ
ンプリングして出力する分析フィルタ手段と、上記複数
M個のサブバンドに対応して複数M個設けられ、上記分
析フィルタ手段から出力される複数N個の信号をそれぞ
れ所定の各N個の荷重係数で乗算した後加算して出力す
る荷重係数加算手段と、上記複数M個の荷重係数加算手
段から出力される各信号をそれぞれ所定のアップサンプ
リングレートでアップサンプリングした後、各2個のサ
ブバンド毎に帯域通過ろ波しかつ帯域合成した後加算し
て受信信号として出力する合成フィルタ手段と、上記複
数M個の荷重係数加算手段から出力される各N個の信号
と、上記複数N個の分析フィルタ手段から出力される各
M個の信号と、所定の参照信号とに基づいて、上記参照
信号と上記荷重係数加算手段からの対応する各M個の信
号との誤差が最小となるように、上記各(M×N)個の
荷重係数を決定して制御設定する荷重係数制御手段とを
備え、上記各分析フィルタ手段と上記合成フィルタ手段
との組み合わせは、近似的な完全再構成条件を満たすQ
MFフィルタバンクであり、上記各分析フィルタ手段
は、互いに異なる通過帯域を有する複数M個の第1の帯
域通過フィルタと、M/2のダウンサンプリングレート
を有する複数M個のダウンサンプラとを備え、上記各分
析フィルタ手段によって帯域ろ波される全帯域をより低
い第1の帯域とより高い第2の帯域とに2分割したとき
に、上記第1の帯域の各サブバンドをそれぞれ上記第2
の帯域の各サブバンドに周波数の順序で対応させ、上記
合成フィルタ手段は、上記複数M個の荷重係数加算手段
から出力される各信号をそれぞれM/2のアップサンプ
リングレートでアップサンプリングして出力する複数M
個のアップサンプラと、上記第1の帯域の各サブバンド
をそれぞれ上記第2の帯域の各サブバンドに周波数の順
序で対応させたときの、対応する各2個のサブバンド毎
の上記アップサンプラからの信号をそれぞれ帯域通過ろ
波しかつ帯域合成する複数M/2個の第2の帯域通過フ
ィルタと、上記複数M個の第2の帯域通過フィルタから
の複数M/2個の信号を加算する加算器とを備える。
【0126】従って、本発明によれば、従来例と比較し
て、マルチパス伝搬路における信号相関係数の絶対値を
高くすることができ、これにより、マルチパスフェージ
ングを軽減し、同一チャンネル干渉(CCI)信号を抑
圧することができる。さらに、合成フィルタバンク9の
帯域通過フィルタの個数を半減することができ、構成が
簡単であって実用化することができるアレーアンテナの
制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態であるアレーアンテ
ナの制御装置の第1の部分の構成を示すブロック図であ
る。
【図2】 本発明に係る一実施形態であるアレーアンテ
ナの制御装置の第2の部分の構成を示すブロック図であ
る。
【図3】 比較例1の理想フィルタバンク200の構成
を示すブロック図である。
【図4】 比較例2のDFTフィルタバンク300の構
成を示すブロック図である。
【図5】 実施形態及び比較例2並びに理想状態におけ
る遅延時間がTsのときのサブバンド数Mに対する信号
相関係数の絶対値を示すグラフである。
【図6】 比較例2におけるサブバンドkに対する信号
相関係数の絶対値を示すグラフである。
【図7】 本実施形態に係る改善されたQMFフィルタ
バンク300の構成を示すブロック図である。
【図8】 図7のQMFフィルタバンク300の実験結
果であって、サブバンドkに対する信号相関係数の絶対
値を示すグラフである。
【図9】 図7のQMFフィルタバンク300の実験結
果であって、サブバンド数Mに対する出力SINRの第
1の例を示すグラフである。
【図10】 図7のQMFフィルタバンク300の実験
結果であって、サブバンド数Mに対する出力SINRの
第2の例を示すグラフである。
【図11】 図7のQMFフィルタバンク300の実験
結果であって、サブバンド数Mに対する出力SINRの
第3の例を示すグラフである。
【図12】 図7のQMFフィルタバンク300の実験
結果であって、サブバンド数Mに対するビットエラーレ
ートを示すグラフである。
【符号の説明】
1−1乃至1−N…アンテナ素子、 2−1乃至2−N…ダウンコンバータ、 3−1乃至3−N…IF/IQ変換器、 4−1乃至4−N…A/D変換器、 5−1乃至5−N,5a…M分配器、 6−1乃至6−N…分析フィルタバンク、 7−1乃至7−M…荷重係数加算回路、 8−1乃至8−M…(N+1)分配器、 9…合成フィルタバンク、 10…加算器、 11−1乃至11−M…荷重係数制御回路、 14…参照信号発生器、 15…M分配器、 16…分析フィルタバンク、 61−1乃至61−M,63−1乃至63−M…帯域通
過フィルタ(BPF)、 62−1乃至62−M,64−1乃至64−M…ダウン
サンプラ、 71−1乃至71−N…乗算器、 72…加算器、 91−1乃至91−M…アップサンプラ、 92−1乃至92−(M/2)…帯域通過フィルタ(B
PF)、 111…加算器、 112…N分配器、 113−1乃至113−N…荷重係数制御器、 100…アレーアンテナ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 電子情報通信学会、1997年通信ソサイ エティ大会、講演論文集1、B−1− 59、「帯域分割/合成型CMAアダプテ ィブアレー」、1997年9月 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01Q 3/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の配置形状で近接して並置された所
    定の複数N個のアンテナ素子からなるアレーアンテナを
    制御するためのアレーアンテナの制御装置において、 上記アレーアンテナの各アンテナ素子でそれぞれ受信さ
    れた複数N個の受信信号を複数N個のディジタル受信信
    号にA/D変換して出力する変換手段と、 上記複数N個のアンテナ素子に対応して複数N個設けら
    れ、上記変換手段から出力される複数N個のディジタル
    受信信号をそれぞれ複数M個の所定のサブバンドに帯域
    分割した後所定のダウンサンプリングレートでダウンサ
    ンプリングして出力する分析フィルタ手段と、 上記複数M個のサブバンドに対応して複数M個設けら
    れ、上記分析フィルタ手段から出力される複数N個の信
    号をそれぞれ所定の各N個の荷重係数で乗算した後加算
    して出力する荷重係数加算手段と、 上記複数M個の荷重係数加算手段から出力される各信号
    をそれぞれ所定のアップサンプリングレートでアップサ
    ンプリングした後、各2個のサブバンド毎に帯域通過ろ
    波しかつ帯域合成した後加算して受信信号として出力す
    る合成フィルタ手段と、 上記複数M個の荷重係数加算手段から出力される各N個
    の信号と、上記複数N個の分析フィルタ手段から出力さ
    れる各M個の信号と、所定の参照信号とに基づいて、上
    記参照信号と上記荷重係数加算手段からの対応する各M
    個の信号との誤差が最小となるように、上記各(M×
    N)個の荷重係数を決定して制御設定する荷重係数制御
    手段とを備え、 上記各分析フィルタ手段と上記合成フィルタ手段との組
    み合わせは、近似的な完全再構成条件を満たすQMFフ
    ィルタバンクであり、 上記各分析フィルタ手段は、互いに異なる通過帯域を有
    する複数M個の第1の帯域通過フィルタと、M/2のダ
    ウンサンプリングレートを有する複数M個のダウンサン
    プラとを備え、 上記各分析フィルタ手段によって帯域ろ波される全帯域
    をより低い第1の帯域とより高い第2の帯域とに2分割
    したときに、上記第1の帯域の各サブバンドをそれぞれ
    上記第2の帯域の各サブバンドに周波数の順序で対応さ
    せ、 上記合成フィルタ手段は、 上記複数M個の荷重係数加算手段から出力される各信号
    をそれぞれM/2のアップサンプリングレートでアップ
    サンプリングして出力する複数M個のアップサンプラ
    と、 上記第1の帯域の各サブバンドをそれぞれ上記第2の帯
    域の各サブバンドに周波数の順序で対応させたときの、
    対応する各2個のサブバンド毎の上記アップサンプラか
    らの信号をそれぞれ帯域通過ろ波しかつ帯域合成する複
    数M/2個の第2の帯域通過フィルタと、 上記複数M個の第2の帯域通過フィルタからの複数M/
    2個の信号を加算する加算器とを備えたことを特徴とす
    るアレーアンテナの制御装置。
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電子情報通信学会、1997年通信ソサイエティ大会、講演論文集1、B−1−59、「帯域分割/合成型CMAアダプティブアレー」、1997年9月

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