JP2003332021A - スパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents
スパークプラグ及びその製造方法Info
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Abstract
mm以下の小さな金具を持つスパークプラグであって、
耐衝撃性に強く、強い衝撃が加えられた後も気密性を維
持できるものを提供する。 【解決手段】 主体金具5と絶縁碍子1との間に滑石
(タルク)を充填した緩衝材充填部分9を設ける。その
緩衝材充填部分9の軸方向長さLと厚さMとを、0.5
≦L≦10.0、0.5≦M≦1.3、(単位はmm)
とする。
Description
置として用いられるスパークプラグに関し、特に主体金
具が小型であって狭い場所に装着できるスパークプラグ
に関する。
外周面と主体金具の内周面とにより囲まれた円筒形状の
空間に滑石(タルク)の粉末からなる緩衝材を充填しス
パークプラグの耐衝撃性を高めたものがあった。また、
このような緩衝材(滑石)を持たず熱加締めにより絶縁
碍子を主体金具で直接固定するものもあった。そして、
これらのスパークプラグはねじ径が14mm(M14)
または12mm(M12)のもので、プラグレンチと嵌
合する六角形状をした締付部の平行する2面の対面距離
(二面幅)は20.8mmまたは16mmのものが一般
的であった。
エンジン制御技術の向上及び多バルブ化に伴いエンジン
回りに装着される部品の点数が増加している。特に、直
噴エンジンの拡大はシリンダヘッド上でスパークプラグ
に許容される容積を小さなものとしている。このため、
主体金具の締付部の二面幅も、従来の16mmのものか
ら14mm以下に小さくしたものが要求されるようにな
ってきた。
くしたものでは、必然的に主体金具の肉厚が薄くなり、
主体金具のボリュームも減少して強度が落ちることか
ら、緩衝材(滑石)を持たないタイプのスパークプラグ
では耐衝撃性に弱く、衝撃を加えた後の気密性の低下が
著しくなるという問題点があった。また、締付部の肉厚
も薄くなるので、加締め成形時に締付部に掛かる荷重に
より締付部が膨らみ、二面幅が公差内に入らずレンチと
の嵌合不良をきたすことがあるという問題点があった。
図3を参照し説明する。絶縁碍子1を主体金具5に「加
締め」により固定するには、主体金具5の座部5Fの下
方と締付部5A及び加締め部5Cの上方に加締め金型を
当てて挟み、上方の加締め金型を強く下方に加圧するこ
とにより湾曲部5Dを0.5mmから0.8mm程度座
屈させ、絶縁碍子1をパッキン部材6を介して主体金具
5の内周段部5Eに強く押しつけて加締め固定してき
た。このとき、加締め金型による強い圧力により湾曲部
5Dだけではなく、締付部5Aも塑性変形をし僅かに膨
らむ。従来の二面幅Wが16mm以上のスパークプラグ
では締付部5Aの肉厚Pが充分厚いため締付部5Aの強
度が十分であり、この膨らみは問題にならなかった。
スパークプラグでは、締付部5Aの肉厚Pが薄いため締
付部5Aの膨らみが著しくなり、二面幅Wを公差内に入
れるのが困難になるという問題点が生じた。二面幅Wを
公差内に入れないとレンチとの嵌合不良が発生する。一
方、締付部5Aの膨らみを小さくするため湾曲部5Dの
肉厚を薄くして座屈に要する圧力の低減を図ると、製品
の湾曲部5Dの強度が不足し、スパークプラグをエンジ
ンに取り付ける際の締め付けトルクに耐えられないとい
う問題点を生ずる。また、緩衝材である滑石9の占める
部分の厚さMを薄くして締付部5Aの肉厚Pを稼ごうと
すると、滑石9の緩衝材としての効果が弱まり、耐衝撃
性が弱くなるという問題点を生ずる。
は、主体金具の締付部の二面幅が小さいものであっても
耐衝撃性に強く、強い衝撃が加えられた後も気密性を維
持でき、さらに耐衝撃性をさらに強くすると共に、締付
部の膨らみを抑えて二面幅を公差内に収めることが容易
なるスパークプラグを提供することを目的とする。請求
項2記載の発明は、上記のスパークプラグの製造方法を
提供することを目的とする。
め、本発明のうち請求項1記載の発明は、中心貫通孔を
有する絶縁碍子と、前記中心貫通孔に保持された中心電
極と、前記絶縁碍子を加締めにより保持する主体金具
と、その主体金具に電気的に導通されて前記中心電極と
の間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備え、
前記中心電極の軸線方向に火花放電ギャップの形成され
る側を前方側これと反対方向を後方側として、前記主体
金具の前端側外周面には取付ねじ部が形成されるととも
に、その取付ねじ部よりも後方側において前記主体金具
の外周面には、前記取付ねじ部を内燃機関側の取付ねじ
孔にねじ込むための締付部が形成されたスパークプラグ
において、前記締付部の平行する2面の対面距離(二面
幅W)が14mm以下であり(W≦14.0)、前記主
体金具によって加締められる部分であって絶縁碍子の外
周面と主体金具の内周面とにより囲まれた円筒形状の空
間に緩衝材が充填された緩衝材充填部分を備え、前記緩
衝材充填部分の軸方向長さ(L)と厚さ(M)とが、単
位をmmとして、0.5≦L≦10.0、かつ、0.5
≦M≦1.3、の関係を満たすとともに、前記主体金具
の締付部と、前記取付ねじ部と前記締付部との間に前記
取付ねじ部よりも径大に形成された座部とを連絡する湾
曲部を加熱した状態で、該湾曲部を軸方向の加締めによ
り座屈させる熱加締めにより主体金具と絶縁碍子とが一
体とされたことを特徴とする。ここで、緩衝材として
は、たとえば、滑石(タルク)の粉末が用いられる。
充填部分に充填された緩衝材が主体金具に加わる衝撃を
やわらげ、二面幅が14mm以下であっても主体金具と
絶縁碍子との「加締め」が緩むことを防止することがで
きる。また、緩衝材充填部分が第2のパッキンとして作
用し、たとえ主体金具と絶縁碍子との加締めが多少緩み
主体金具と絶縁碍子とのパッキン部の圧力が低下して燃
焼ガスが漏洩したとしても、燃焼ガスがスパークプラグ
を吹き抜けることがない。
0.5mm未満であると緩衝材としての効果が余り期待
できない。また、軸方向長さLが10mmを超えると加
締め作業前に緩衝材充填部分に緩衝材を充分に詰め込む
ことができず、結果的に緩衝材の充填密度が小さくなっ
て緩衝効果が薄くなる。一方、緩衝材充填部分の厚さM
が0.5mm未満であると緩衝材としての効果が期待で
きない。また、緩衝材充填部分の厚さMが1.3mmを
越すと主体金具の締付部の肉厚が薄くなり、主体金具の
強度不足をもたらす。
ると、「加締め」つまり湾曲部の座屈のために要する荷
重は冷間加締めに比べて小さくて良い。このため、加締
め時に締付部に掛かる荷重も小さくなり、薄い肉厚の締
付部であっても締付部の膨らみが抑制され二面幅を公差
内に収めることが容易になる。また、加締め作業終了後
に加熱された湾曲部が冷却する際に湾曲部が軸方向にも
収縮するため、加締めによるパッキン部の圧力がさらに
強くなりスパークプラグの気密性が高まる。
成されたか冷間加締めにより形成されたかはスパークプ
ラグを半割にして解析することにより容易に分かる。熱
加締めにより形成されたスパークプラグでは、座屈した
湾曲部が半径方向の外方と内方の両方に膨らんだよう
に、つまり、湾曲部の厚さが厚くなるように変形してい
る。これに対して、冷間加締めにより形成されたスパー
クプラグでは、座屈した湾曲部が半径方向の外方か内方
のいずれか一方に変形している。あえて物の発明として
記載した所以である。
心貫通孔を有する絶縁碍子と、前記中心貫通孔に保持さ
れた中心電極と、前記絶縁碍子を加締めにより保持する
主体金具と、その主体金具に電気的に導通されて前記中
心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極と
を備え、前記中心電極の軸線方向に火花放電ギャップの
形成される側を前方側これと反対方向を後方側として、
前記主体金具の前端側外周面には取付ねじ部が形成され
るとともに、その取付ねじ部よりも後方側において前記
主体金具の外周面には、前記取付ねじ部を内燃機関側の
取付ねじ孔にねじ込むための締付部が形成されたスパー
クプラグの製造方法であって、前記主体金具の締付部の
平行する2面の対面距離(二面幅W)が14mm以下で
あり(W≦14.0)、前記主体金具によって加締めら
れる部分であって絶縁碍子の外周面と主体金具の内周面
とにより囲まれた円筒形状の空間に緩衝材が充填された
緩衝材充填部分を、前記緩衝材充填部分の軸方向長さ
(L)と厚さ(M)とが、単位をmmとして、0.5≦
L≦10.0、かつ、0.5≦M≦1.3、に形成する
工程と、前記締付部と、前記取付ねじ部と前記締付部と
の間に前記取付ねじ部よりも径大に形成された座部とを
軸方向に狭圧して押圧しながら通電して前記締付部と前
記座部とを連絡する湾曲部を加熱させながら座屈せしめ
る工程と、を備えることを特徴とすることができる。
る荷重が小さくてすむ。このため、請求項2に記載の発
明と同様な作用効果を奏する。
を参照し説明する。図1は本発明に係るスパークプラグ
20の部分断面図である。周知のように、アルミナ等か
らなる絶縁碍子1は、その上部に沿面距離を稼ぐための
コルゲーション部1Aを、下部に内燃機関の燃焼室に曝
される脚長部1Bを備え、その軸中心には中心貫通孔1
Cを備えている。中心貫通孔1Cの下端(先端)には、
インコネル等のニッケル合金からなる中心電極2が保持
され、中心電極2は絶縁碍子1の下端面から下方に突出
している。中心電極2は実際にはインコネル単体で構成
されるものではなく、その中心に芯材として銅(Cu)
が封入され熱伝導度の改善を図っているが、図面が複雑
になるので図示していない。中心電極2は中心貫通孔1
Cの内部に設けられた導電性ガラスシール層12、13
および抵抗体3を経由して上方の端子4に電気的に接続
されている。端子4には図示しない高耐圧ケーブルが接
続され高電圧が印加される。上記絶縁碍子1は主体金具
5に囲まれ支持されている。
ークプラグレンチと嵌合する本発明の締付部たる六角形
部5Aと、シリンダヘッドに螺合するねじ部5Bと、座
部5Fとを備えている。六角形部5Aの周面は、その形
状を説明する図5(A)に示すように、六角ナットの周
面形状(HEX.)に形成されている。主体金具5はそ
の加締め部5Cにより絶縁碍子1に加締められ、主体金
具5と絶縁碍子1が一体にされる。主体金具5の六角形
部5Aと座部5Fとを連絡する湾曲部5Dは、加締めに
よる主体金具5の軸方向の変形を吸収する部分である。
加締めによる密閉を完全なものとするため、主体金具5
の内周段部5Eと絶縁碍子1との間に板状のパッキン部
材6を介在して燃焼室に曝される脚長部1Bと絶縁碍子
1の上部とのシールを完全にしている。また、加締め部
5Cと絶縁碍子1との間にワイヤ状のシール部材7,8
を介在し、シール部材7,8の間に緩衝材である滑石
(タルク)9の粉末を充填して弾性的にシールをし主体
金具5と絶縁碍子1との固定を完全にしている。また、
ねじ部5Bの上端にはガスケット10が嵌挿されてい
る。主体金具5の下端にニッケル合金からなる接地電極
11が溶接により接合されている。接地電極11は直角
に折り曲げられ、その先端部の平面が中心電極2の先端
に対向するように形成されている。
大して示すスパークプラグ20の部分断面図、図3は図
2のA−A線断面図である。絶縁碍子1の外周面と主体
金具5の六角形部5Aの内周面とにより囲まれ上下をシ
ール部材7,8で画された円筒状の空間に緩衝材である
滑石(タルク)9の粉末が充填され、緩衝材充填部分9
を構成している。そして、図4に示すように、主体金具
5の座部5Fの下端面に加締め下金型42を当接させ、
六角形部5Aの上端面及び加締め部5Cに加締め上金型
41を当接させて、上下の金型41,42により主体金
具5を挟圧して数トンの荷重で押圧する。
め部5Cが上金型41に沿って変形し、板厚の薄い湾曲
部5Dが軸方向に0.8mm程度塑性変形により座屈す
る。この軸方向の座屈により、絶縁碍子1の外周段部1
Dがシール部材8、滑石(タルク)9、シール部材7を
介して加締め部5Cにより強く図面下方向に押し付けら
れる。この結果、絶縁碍子1が主体金具5の内周段部5
Eにパッキン部材6を介して強く押し付けられて、燃焼
室に曝される脚長部1Bと絶縁碍子1の上部との気密を
完全にしている。ここで、滑石(タルク)9の粉末に掛
かる強い圧力により主体金具5の六角形部5Aが僅かに
弾性的に半径方向外方に膨らむ。この六角形部5Aの弾
性的な膨らみによる半径方向内方へのバネのような圧力
が滑石(タルク)9を経由して絶縁碍子1の外周段部1
Dを下に押し付ける力になる。この力が絶縁碍子1を主
体金具1の内周段部5Eにパッキン部材6を介して弾性
的に押し付けることになり、パッキン部材6のシールが
より弾性的になり、耐衝撃性に優れたスパークプラグに
なる。
クプラグの加締め工程を示す部分断面図である。滑石
(タルク)9を持たないスパークプラグではその絶縁碍
子1の外周段部1Dが軸方向に長く形成さ
れ、外周段部1Dの上端に直接あるいはシール材
を介して主体金具5の加締め部5Cが当接するようにな
っている。そして、主体金具5の座部5Fの下端面に加
締め下金型42を当接させ、六角形部5Aの上端面及び
加締め部5Cに加締め上金型41を当接させて、上下の
金型41,42により主体金具5を挟圧して数トンの荷
重で押圧する。この状態で、上下の金型41、42間に
100A近い電流を0.5秒から1秒間流す。電流は上
金型41から主体金具5の六角形部5A、湾曲部5D、
座部5Fを経由して下金型42に流れる。このとき、湾
曲部5Dの肉厚が最も薄く抵抗値が高いため、湾曲部5
Dのみが強く加熱され赤熱する。このため湾曲部5Dが
軟化し湾曲部5Dの座屈に要する荷重が減少する。それ
故、加締めに要する荷重が小さくてすむ。そして、加締
め作業終了後に加熱された湾曲部5Dが冷却に伴い軸方
向にも収縮するため、加締めによるパッキン部材6への
圧力がさらに強くなり、スパークプラグの気密性が高ま
る。
ークプラグの熱加締めについて説明したが、図2に示す
ような緩衝材充填部分9を有するスパークプラグにおい
ても加締め金型41、42から通電し、熱加締めを行う
ことができる。熱加締めを行うことにより湾曲部5Dの
座屈に要する荷重が30%以上減少するため、加締め作
業に伴う六角形部5Aの膨らみを抑制することが期待で
きる。また、熱加締め後の冷却に伴う湾曲部5Dの収縮
によりスパークプラグの気密性が高まることが期待でき
る。そこで、緩衝材充填部分9を有するスパークプラグ
で冷間で加締めを行ったもの(以下プラグAと称す
る)、緩衝材充填部分9を有するスパークプラグで熱加
締めを行ったもの(以下プラグBと称する)、それに、
緩衝材充填部分9を持たないスパークプラグで熱加締め
を行ったもの(以下プラグCと称する)、を多数本用意
し種々のテストを行った。
細は次のようである。主体金具5のねじ部5Bの径は1
2mmつまりM12のものを用いた。六角形部5Aの二
面幅Wは公称14mm公差+0.0mm、−0.27m
mである。六角形部5Aの肉厚Pは1.0mmである。
緩衝材充填部分9の軸方向長さLは7.0mm、厚さM
は1.0mmとした。
及び加熱試験後の加熱気密性について調べた。衝撃試験
は、JIS B 8031、の6.4、耐衝撃試験の規
定に基づいて行った。この衝撃試験は質量2.3kgの
ブロックにスパークプラグを取り付け、ブロックをばね
で付勢した状態で毎分400回の割合で金床に打ち付け
てスパークプラグに衝撃を与えるテストである。JIS
の規定では10分間衝撃を加えることになっているが、
本テストではさらに加重して30分間衝撃を加えること
とした。加熱試験は衝撃試験と同時にバーナーでスパー
クプラグの発火部を約800℃に、座温を約300℃に
加熱することにより行った。上記の耐衝撃及び加熱試験
後のスパークプラグについて、加熱気密試験を行った。
加熱気密試験は、プラグを所定温度の雰囲気中に30分
間保った後、その発火部に15kgf/cm2 の空気圧
を加えて、各温度におけるプラグ内部からの空気の漏れ
量を測定した。その結果を表1に示す。
cのものを、△印は毎分の漏洩量が0〜10ccのもの
を、ラ印は毎分の漏洩量が10cc以上のものを示して
いる。プラグA、B、C各5本の試料について試験し
た。表1から明らかなように、雰囲気温度が高いほど漏
洩量が多くなっている。これは雰囲気温度が高くなると
主体金具5が熱膨張し軸方向にも伸びるため、パッキン
部材6に掛かる圧力が減少するためであると考えられ
る。
ト結果を比較すると明らかなように、プラグAはプラグ
Cに比べて顕著に耐衝撃性に優れている。緩衝材充填部
分9を有さないプラグCでは、激しい衝撃性試験の後の
気密試験では気密性の減少が著しく、常温においても半
数以上がラ印であった。これに対して緩衝材充填部分9
を備えるプラグAでは、50℃まではすべて○印であ
り、100℃でも半数以上が○印であり充分実用に耐え
る。このテスト結果は請求項1の発明の効果を支持する
ものである。
ト結果を比較すると、熱加締めを行ったプラグBは冷間
加締めを行ったプラグAに比べて、さらに耐衝撃性に優
れている。プラグAではすべて○印になるのは50℃ま
でであるのに対して、プラグBでは150℃まですべて
○印である。さらに、200℃まで△印で収まり優れた
耐衝撃性を示している。このテスト結果は請求項2及び
3の発明の効果を支持するものである。
らみについて検証する。加締めによる湾曲部5Dの座屈
量が0.8mmとなる加締め金型41、42を用いて製
作された2種類のスパークプラグの二面幅Wについて精
密測定した。一方の種類のスパークプラグは緩衝材充填
部分9を有し冷間加締めされたプラグAであり、他方は
緩衝材充填部分9を有し熱加締めされたプラグBであ
る。二面幅Wは公称14mmであり、加締め作業前の素
材の二面幅Wは13.70mmである。プラグAとプラ
グBとの各10本での二面幅Wの測定値を表2に示す。
単位はmmである。
たプラグAでは二面幅Wの膨らみは平均で0.262m
mであり、二面幅Wのばらつきも大きい。No8の試料
のように0.001mmであるが公差を外れるものも出
ている。これに対して熱加締めをしたプラグBでは二面
幅Wの膨らみは平均で0.089mmと小さく、二面幅
Wのばらつきも小さい。このため、加締め前の素材の二
面幅Wをあと0.1mm大きくしても公差内に十分入り
そうである。このように、湾曲部5Dに通電加熱し軟化
させて座屈することにより、六角形部5Aの膨らみを大
きく抑制することができる。この結果は請求項2及び3
の発明の効果を支持するものである。
けたときの加熱気密性について上記プラグA、プラグ
B、プラグCについて調べた。スパークプラグを過トル
クで締め付けると主体金具5のねじ部5Bが軸方向に伸
ばされ、内周段部5Eと絶縁碍子1とに挟まれたパッキ
ン部材6に掛かるパッキン圧が減少して気密性が低下す
ると考えられている。ねじ部5Bの規格がM12、二面
幅Wが14mmのスパークプラグの定格トルクは25N
−m(ニュートン−メートル)である。定格トルクはね
じ部5Bに何も塗布しないものとして規定されている
が、本テストでは条件をさらに過酷にするため、ねじ部
5Bに潤滑剤であるモリブデン(Mo)を含有する焼き
付き防止剤を塗布して各トルクで締め付けた。締め付け
トルクは25N−mから65N−mとした。そして、加
熱気密試験については、座温を200℃に加熱し、発火
部に15kgf/cm2 の空気圧を加えてプラグ内部か
らの空気の漏れ量を測定した。空気の漏れ量は、内周段
差5Eと絶縁碍子1との密着面であるパッキン部材6か
らの漏洩と、主体金具5と絶縁碍子1の間からの漏洩と
の2種類について調べた。その結果を表3及び表4に示
す。表3はパッキン部材6からの漏洩を、表4は主体金
具5と絶縁碍子1の間からの漏洩を示している。
クを示し単位はN−m(ニュートン−メートル)であ
る。縦軸はプラグA、B、Cであり各プラグについて3
本の試料について測定した。記号○△×の意味は表1と
同じであり、○印は毎分の漏洩量が0ccのものを、△
印は毎分の漏洩量が0〜10ccのものを、ラ印は毎分
の漏洩量が10cc以上のものを示している。
9を持たないプラグCに比べて、緩衝材充填部分9を有
するプラグAは、過トルク締め付け時の加熱気密性に顕
著に優れている。これは前にも述べたように、主体金具
5の六角形部5Aの半径方向外方への弾性的変形による
バネ力が滑石(タルク)9の粉末の圧力に変換されて絶
縁碍子1の外周段部1Dを図2で下方向に弾性的に押し
ており、ねじ部5Bが過トルクにより多少伸びたとして
もこれに追随して絶縁碍子1が下がり、パッキン部材6
での気密性が保たれるためであると考えている。このテ
スト結果は請求項1の発明の効果を支持するものであ
る。
結果を比較すると、熱加締めしたプラグBの方が、過ト
ルク締め付け時の加熱気密性に優れている。これは熱加
締めに要する荷重は冷間加締めに比べて30%以上低い
ため、表2でも述べたように、熱加締めしたプラグBの
方が六角形部5Aの塑性変形量が小さい。このためプラ
グBの方が六角形部5Aの弾性変形量が大きくなるため
ではないかと考えている。この実験結果は請求項2及び
3の発明の効果を支持するものである。
充填部分9を持たないプラグCでは加熱気密性にほとん
ど変化が見られないのに対して、緩衝材充填部分9を有
するプラグA、Bでは加熱気密性の明らかな向上が見ら
れる。これは緩衝材充填部分9を持たない図4に示すよ
うなプラグCでは、パッキン部材6を漏洩した空気はそ
のまま主体金具5と絶縁碍子1との間を通り抜けてしま
う。これに対して緩衝材充填部分9を有する図2に示す
ようなプラグA、Bでは緩衝材充填部分9が第2のパッ
キンとして作用し、パッキン部材6を漏洩した空気は緩
衝材充填部分9に固く充填された滑石(タルク)に阻止
されて主体金具5と絶縁碍子1との間を通り抜けること
ができないからである。この実験結果は請求項1の発明
の効果を支持するものである。ところで、上記実施例で
は、本発明の締付部として、図5(A)に示したよう
に、六角ナットの周面形状(HEX.)に形成された六
角形部5Aを例に挙げて説明したが、締付部として図5
(B)に示すように、周面が12ポイントナットの周面
形状(Bi−HEX.)に形成されたものを用いること
もできる。
項1記載の発明は、緩衝材充填部分を備えるものである
から、二面幅が14mm以下の小さな主体金具を持つス
パークプラグであっても、高温での使用に耐え、耐衝撃
性に優れるという優れた効果がある。請求項2及び3記
載の発明は、上記効果をさらに高めると共に、締付部の
膨らみを抑制することができるという優れた効果があ
る。
る。
分断面図である。
締め工程を示す部分断面図である。
平面説明図であり、図5(B)は、六角形部5Aの周面
を12ポイントナットの周面形状に形成した場合の平面
説明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、前記中
心貫通孔に保持された中心電極と、前記絶縁碍子を加締
めにより保持する主体金具と、その主体金具に電気的に
導通されて前記中心電極との間に火花放電ギャップを形
成する接地電極とを備え、前記中心電極の軸線方向に火
花放電ギャップの形成される側を前方側これと反対方向
を後方側として、前記主体金具の前端側外周面には取付
ねじ部が形成されるとともに、その取付ねじ部よりも後
方側において前記主体金具の外周面には、前記取付ねじ
部を内燃機関側の取付ねじ孔にねじ込むための締付部が
形成されたスパークプラグにおいて、 前記締付部の平行する2面の対面距離(二面幅W)が1
4mm以下であり(W≦14.0)、 前記主体金具によって加締められる部分であって絶縁碍
子の外周面と主体金具の内周面とにより囲まれた円筒形
状の空間に緩衝材が充填された緩衝材充填部分を備え、 前記緩衝材充填部分の軸方向長さ(L)と厚さ(M)と
が、単位をmmとして、0.5≦L≦10.0、かつ、
0.5≦M≦1.3、の関係を満たすと共に、前記主体
金具の締付部と、前記取付ねじ部と前記締付部との間に
前記取付ねじ部よりも径大に形成された座部とを連絡す
る湾曲部を加熱した状態で、該湾曲部を軸方向の加締め
により座屈させる熱加締めにより主体金具と絶縁碍子と
が一体とされたことを特徴とするスパークプラグ。 - 【請求項2】 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、前記中
心貫通孔に保持された中心電極と、前記絶縁碍子を加締
めにより保持する主体金具と、その主体金具に電気的に
導通されて前記中心電極との間に火花放電ギャップを形
成する接地電極とを備え、前記中心電極の軸線方向に火
花放電ギャップの形成される側を前方側これと反対方向
を後方側として、前記主体金具の前端側外周面には取付
ねじ部が形成されるとともに、その取付ねじ部よりも後
方側において前記主体金具の外周面には、前記取付ねじ
部を内燃機関側の取付ねじ孔にねじ込むための締付部が
形成されたスパークプラグの製造方法であって、前記主
体金具の締付部の平行する2面の対面距離(二面幅W)
が14mm以下であり(W≦14.0)、前記主体金具
によって加締められる部分であって絶縁碍子の外周面と
主体金具の内周面とにより囲まれた円筒形状の空間に緩
衝材が充填された緩衝材充填部分を、前記緩衝材充填部
分の軸方向長さ(L)と厚さ(M)とが、単位をmmと
して、0.5≦L≦10.0、かつ、0.5≦M≦1.
3、に形成する工程と、 前記締付部と、前記取付ねじ部と前記締付部との間に前
記取付ねじ部よりも径大に形成された座部とを軸方向に
狭圧して押圧しながら通電して前記締付部と前記座部と
を連絡する湾曲部を加熱させながら座屈せしめる工程
と、 を備えることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
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