JP2003257584A - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ

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JP2003257584A
JP2003257584A JP2002357706A JP2002357706A JP2003257584A JP 2003257584 A JP2003257584 A JP 2003257584A JP 2002357706 A JP2002357706 A JP 2002357706A JP 2002357706 A JP2002357706 A JP 2002357706A JP 2003257584 A JP2003257584 A JP 2003257584A
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insulator
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caulking
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JP2002357706A
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Akira Suzuki
彰 鈴木
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加締めにより主体金具を絶縁体に組み付けた
スパークプラグにおいて、スパークプラグが細径化した
場合においても、主体金具を絶縁体に十分な締め付け力
にて固定することができ、ひいては気密性や耐振動性を
向上させる。 【解決手段】 主体金具1の後端部が、絶縁体2に向け
て屈曲形態にて加締められた加締め部1dとされる。ま
た、主体金具1の絶縁体挿通孔40の内径が8〜12m
mとされる。そして、主体金具1の軸線O方向の、絶縁
体挿通孔40の内周面から加締め部1dの内周面に移行
する位置1iにおいて、軸線Oと直交する平面A−Aに
よる主体金具1の断面積Sと、主体金具1を構成する鋼
材の炭素含有量とが、 条件A:15≦S<29mmであって、炭素含有量
0.20〜0.50質量%;及び、 条件B:29≦S<35mmであって、炭素含有量
0.15〜0.50質量%、 のいずれかを充足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の点火に使
用されるスパークプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】スパークプラグの主体金具は絶縁体に対
し加締め固定により取り付けられている。具体的には、
筒状に形成された主体金具の内側に絶縁体を挿入し、そ
の状態で主体金具の後端部周縁(加締め予定部)に対
し、金型を用いて圧縮荷重を加える。これにより、加締
め予定部は、絶縁体の外周面に形成されたフランジ状の
突出部に向けて屈曲して加締め部となり、絶縁体が固定
される。主体金具は炭素鋼等の鋼材にて構成されるのが
一般的である。
【0003】主体金具に対して絶縁体を加締め部によっ
て締め付け固定する方法は、具体的には以下のようにな
される。すなわち、図2の工程(a)に示すように、加
締め予定部1d’は、加締め金型110,111により
軸線方向に圧縮されると、半径方向内向きにつぶれるよ
うに塑性変形する。加締め予定部1d’とフランジ状の
突出部2eとの間には通常、パッキン60,62やタル
ク等の充填材61(充填材が省略され、単一の太いパッ
キンが配置されるだけの構造もある)が配置される。加
締め予定部1d’の圧縮変形量が大きくなると、これら
パッキン60,62あるいは充填材61、及びフランジ
状の突出部2e(以下、これらを総称して被締め付け部
という)にも荷重が及ぶようになり、これらの圧縮変形
も生じながら、さらに加締め予定部1d’の塑性変形が
進行する。そして、図2工程(b)に示すように、加締
めの圧縮ストロークが最終的な値に到達すれば除荷さ
れ、加締め加工が終了する(加締め予定部1d’は加締
め部1dとなる)。加締め部1dは除荷に伴い若干スプ
リングバックを起こすが、加締め部1dが塑性変形して
いるため、被締め付け部は弾性変形した状態で加締め部
1dにより拘束され、これが締め付け力となって絶縁体
2が主体金具1に対し固定されることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、エンジンのヘッ
ド周りの複雑化やバルブの大口径化に伴い、スパークプ
ラグの細径化及び長大化への指向が著しくなりつつあ
る。しかし、スパークプラグが細径化すれば、主体金具
も小径で肉薄のものを採用しなければならない。上記説
明した原理からも明らかなように、主体金具に対して絶
縁体を締め付ける力は、加締め部1dからの反作用によ
りなされる。主体金具が小径・肉薄化すれば加締め部1
dの軸断面積が減少することになるため、加締め部1d
の軸断面における応力を従来と同じレベルにすると、加
締め時の圧縮ストロークを小さくせざるを得ない。従っ
て、軸断面積が減少する分だけ総締め付け力は小さくな
り、主体金具と絶縁体との間の気密性が損なわれること
につながる。特に、高速高負荷運転時のように、スパー
クプラグに激しい振動が加わる場合は、スパークプラグ
の使用中に加締めが緩み、気密性がより損なわれやす
い。
【0005】他方、総締め付け力を同じに保とうとする
と、加締め部1dの軸断面積が減る分だけ応力レベルが
高くなり、加締め部1dが強度的に耐え切れなくなっ
て、結局気密性を確保できなくなることにつながる。
【0006】本発明の課題は、加締めにより主体金具を
絶縁体に組み付けたスパークプラグにおいて、スパーク
プラグが細径化した場合においても、主体金具を絶縁体
に十分な締め付け力にて固定することができ、ひいては
気密性や耐振動性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明の
スパークプラグは、軸状の中心電極と、その外周に配置
され、中央に突出部を有する軸状の絶縁体と、両端が開
放する筒状に形成され、絶縁体の外周側に配置される筒
状の主体金具と、中心電極と対向して火花放電ギャップ
を形成する接地電極とを備え、主体金具は絶縁体の突出
部が挿通された絶縁体挿通孔が軸線方向に形成されてお
り、軸線方向において、火花放電ギャップに近い側を前
方側として、該主体金具の後端部が、絶縁体に向けて屈
曲形態にて加締められた加締め部とされてなり、さら
に、上記の課題を解決するために、主体金具の軸線方向
の、絶縁体挿通孔の内周面から加締め部の内周面に移行
する位置において、主体金具の絶縁体挿通孔の内径が8
〜12mmとされ、軸線と直交する平面による主体金具
の断面積Sと、主体金具を構成する鋼材の炭素含有量と
が、 条件A:15≦S<29mmであって、炭素含有量
0.20〜0.50質量%;及び、 条件B:29≦S<35mmであって、炭素含有量
0.15〜0.50質量%、 のいずれかを充足することを特徴とする。
【0008】スパークプラグに使用する主体金具は、通
常、軸線方向において、火花放電ギャップの形成される
側を前方側としたとき、加締め部の前方側に隣接して、
スパークプラグを内燃機関のプラグ取付孔に取り付ける
際に、レンチ等の工具を係合させるための工具係合部
(いわゆる六角部)が形成される。従来、スパークプラ
グの工具係合部は、その対辺寸法が16mm以上確保で
きるものが主流であり、加締め部軸断面積は40mm
以上確保できていた。しかしながら、前述の細径化によ
り、工具係合部についても、寸法縮小の要求が高まりつ
つある。これは、個別の点火コイルをスパークプラグの
上部に直接取り付けるダイレクトイグニッション方式の
採用により、シリンダヘッドの上方空間に余裕がなくな
っていることや、あるいは前記したバルブ占有面積の拡
大によりプラグホールが小径化している等の事情によ
る。そして、こうした要因により、工具係合部の対辺寸
法は、従来16mm以上確保できていたのが、例えば1
4mmないしそれ以下の寸法への縮小を余儀なくされて
いる。本発明において、条件A及び条件Bに定めた加締
め部軸断面積の範囲は、工具係合部の対辺寸法が例えば
14mm以下に細径化された主体金具の採用を考慮して
定められたものである。また、主体金具の絶縁体挿通孔
の内径範囲(8〜12mm)も、該主体金具の細径化を
考慮して定められたものである。なお、主体金具の絶縁
体挿通孔の内径は、絶縁体の突出部が挿通される位置で
の内径を意味するものとする。
【0009】そして、本発明の主旨は、このように縮小
された加締め部軸断面積を有する主体金具を、該断面積
に応じて炭素含有量を増大させた鋼材にて構成すること
により、増加した締め付け応力を十分に支えることがで
きる強度を、加締め部に付与することにある。その結
果、主体金具が細径化されているにもかかわらず、絶縁
体に十分な締め付け力にて固定することができ、ひいて
は気密性や耐振動性を向上させることができる。
【0010】具体的には、主体金具の外径寸法を、加締
め部軸断面積Sの範囲により、条件Aと条件Bとの2水
準に分類する。条件Aにおいて採用するのは、加締め部
軸断面積Sが15≦S<29mmの範囲である。この
場合は、主体金具を構成する鋼材の炭素含有量を0.2
0〜0.50質量%の範囲に選定する。他方、条件Bに
おいて採用するのは、加締め部軸断面積Sが29≦S<
35mmの範囲である。この場合は、主体金具を構成
する鋼材の炭素含有量を0.15〜0.50質量%の範
囲に選定する。
【0011】いずれの場合も、鋼材の炭素含有量が下限
値を下回った場合、加締め部の強度が不足して締め付け
応力を十分に支え切れなくなり、気密性や耐振動性の不
足を招くことにつながる。他方、鋼材の炭素含有量が上
限値を上回ると、冷間鍛造(圧造)加工を用いて製造さ
れるスパークプラグ用の主体金具の場合、鋼材の変形抵
抗が高くなりすぎ、加工能率の低下や加工工具の寿命低
下といった不具合につながり、製造コストの増大を引き
起こす。細径でかつ軸長の長い主体金具の場合、こうし
た傾向は特に顕著である。
【0012】なお、加締め部軸断面積Sの範囲がより小
さい条件Aでは、気密性確保のため、条件Bよりも大き
な応力が必要となることから、鋼材の炭素含有量の下限
値を大きく設定している。そして、該条件Aにおいて
も、加締め部軸断面積Sが15mm未満となる小径の
主体金具では、気密性確保が困難となるため、断面積S
を最低でも15mm以上は確保している。これは、主
体金具の絶縁体挿通孔の内径下限値(8mm)について
も同様である。
【0013】上記の加締め部は冷間加締め部とすること
ができる。冷間加締めは加締め用の設備が簡略であり、
加締めのサイクルタイムも短くて済むので能率的であ
る。
【0014】次に、炭素鋼等で構成されるスパークプラ
グ用の主体金具は、従来のほとんどの品種が、防食皮膜
を施す形で使用されている。防食皮膜としては、安価で
かつ防食性に優れた亜鉛メッキが用いられてきた。しか
し、本発明のように炭素量を増加させた鋼材で主体金具
を構成する場合、亜鉛メッキを用いると、次のような問
題が発生することがある。
【0015】電解亜鉛メッキにおいては、鉄の表面にそ
れよりも卑な亜鉛を析出させる必要があるため、メッキ
電位が比較的高めに設定され、メッキ中に水素が発生し
やすい傾向がある。この水素は下地である鋼材中に溶け
込むが、高強度の鋼材は、この水素を吸収して脆化す
る、いわゆる水素脆化を生じやすいことが知られてい
る。また、水素脆化の発生には、引張による拘束応力の
存在が重要な役割を果たすことも明らかにされている。
主体金具の加締め部は、締め付け応力を支えるために常
に引張応力がかかった状態に置かれるので、この意味で
も水素脆化を生じやすいといえる。
【0016】いずれにしろ、水素脆化により加締めが緩
むと、主体金具の気密性や耐振動性が低下することにつ
ながる。また、水素脆化による破壊は、脆化発生の条件
(つまり、一定以上の水素の吸収と拘束応力の付加)が
揃って直ちに起こるわけではなく、ある潜伏期間をおい
て破壊に至ることが知られており、遅れ割れあるいは遅
れ破壊と称されることもある。
【0017】本発明のスパークプラグは、上記の通り炭
素含有量を増加することによって強度を向上させた鋼材
を用いるが、このような鋼材は水素脆化の感受性が特に
高く、加締め部への水素脆化発生防止に配慮を要する。
また、遅れ破壊の潜伏期間は、拘束応力のレベルが高い
ほど短くなる。従って、加締め部の軸断面積縮小をカバ
ーするため、圧縮ストロークの大きい加締めにより締め
付け応力レベルを高めたスパークプラグでは、遅れ破壊
をより生じやすくなる。また、冷間加締めを採用する場
合は、加工歪による応力集中部で加締め部の水素脆化が
起こりやすく、圧縮ストロークの大きい加締めを採用す
る場合は、その加工歪の蓄積量も大きくなる。
【0018】そして、本発明のスパークプラグの主体金
具に対し、亜鉛メッキを適用する場合は、メッキ中に過
度に水素が発生しないよう、メッキ条件等に相当の注意
を払う必要がある。しかし、メッキの操業条件の幅を縮
小することは、当然、条件管理が困難になり、コスト高
を招くことにつながる。
【0019】そこで、本発明においては、主体金具に形
成する防食皮膜として、従来の亜鉛メッキに代え、ニッ
ケルメッキ層を採用することが望ましい。ニッケルは亜
鉛と異なり鉄よりも貴であるから、電解ニッケルメッキ
の電位をそれほど高くしなくとも、ニッケル金属の析出
を問題なく行なうことができる。従って、メッキ中にも
ともと水素が発生しにくく、水素脆化の問題を本質的に
生じにくい利点がある。
【0020】なお、本明細書の特許請求の範囲において
各要件に付与した符号は、添付の図面の対応部分に付さ
れた符号を援用して用いたものであるが、あくまで発明
の理解を容易にするために付与したものであり、特許請
求の範囲における各構成要件の概念をなんら限定するも
のではない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明の一実
施例たるスパークプラグ100を示すものである。スパ
ークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部21が
突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込まれた絶
縁体2、先端に形成された貴金属放電部31を突出させ
た状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及び
主体金具1に一端が溶接等により結合されるとともに、
他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3の
放電部31と対向するように配置された接地電極4等を
備えている。また、接地電極4には上記貴金属放電部3
1に対向する貴金属放電部32が形成されており、それ
ら貴金属放電部31と貴金属放電部32との間に火花放
電ギャップgが形成されている。
【0022】絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化
アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、そ
の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込む
ための貫通孔6を有している。貫通孔6の一方の端部側
に端子金具13が挿入・固定され、同じく他方の端部側
に中心電極3が挿入・固定されている。また、該貫通孔
6内において端子金具13と中心電極3との間に抵抗体
15が配置されている。この抵抗体15の両端部は、導
電性ガラスシール層16,17を介して中心電極3と端
子金具13とにそれぞれ電気的に接続されている。ま
た、中央にはフランジ状の突出部2eが形成されてい
る。
【0023】主体金具1は、炭素鋼により円筒状に形成
されており、スパークプラグ100のハウジングを構成
するとともに、その外周面には、プラグ100を図示し
ないエンジンブロックに取り付けるための取付ねじ部7
が形成されている。絶縁体2の軸線O方向において、火
花放電ギャップgの位置する側を前方側として、取付ね
じ部7の後方側に隣接してフランジ状のガスシール部1
gが形成され、その更に後方側に、主体金具1を取り付
ける際に、スパナやレンチ等の工具を係合させる工具係
合部1eが形成されている。そして、工具係合部1eと
ガスシール部1gとの間には、肉厚がそれらのいずれよ
りも小さい薄肉部1hが形成されてなる。
【0024】工具係合部1eは、図2に示すように、軸
線Oと平行な工具係合面1pが、互いに平行なものを1
対として、周方向に複数組形成されたものである。正六
角形状の断面に形成する場合にはこのような工具係合面
1pを3組有することになる。また、2組の正六角形を
軸線Oの周りに30゜ずらせて重ね合わせることによ
り、平行な工具係合面1pの対を12組形成してもよ
い。正六角形状の断面外形線の対辺間距離にて工具係合
部1eの対辺寸法Σを表すと、いずれの場合においても
工具係合部1eの上記対辺寸法Σは14mm以下であ
る。
【0025】絶縁体のフランジ状の突出部2eが挿通さ
れる主体金具1の絶縁体挿通孔40は、内径が8〜12
mmとされる。また、主体金具1の軸線O方向の、絶縁
体挿通孔40の内周面から加締め部1dの内周面に移行
する位置1iにおいて、軸線Oと直交する平面(A−
A)による主体金具1の断面積(加締め部軸断面積)を
Sとしたとき、該加締め部軸断面積Sと、主体金具1を
構成する鋼材の炭素含有量とが、次の関係のいずれかに
なるよう、鋼材の材質が選定される: 条件A:15≦S<29mmであって、炭素含有量
0.20〜0.50質量%; 条件B:29≦S<35mmであって、炭素含有量
0.15〜0.50質量%。
【0026】また、主体金具1の後方側開口部内面と、
絶縁体2の外面との間には、フランジ状の突出部2eの
後方側周縁と係合するリング状の線パッキン62が配置
され、そのさらに後方側にはタルク等の充填層61を介
してリング状のパッキン60が配置されている。そし
て、絶縁体2を主体金具1に向けて前方側に押し込み、
その状態で主体金具1の開口縁をパッキン60に向けて
内側に加締めることにより加締め部1dが形成され、主
体金具1が絶縁体2に対して固定されている。なお、主
体金具1の取付ねじ部7の基端部には、ガスシール部1
gの前端面に当接する形で、図示しないガスケットがは
め込まれる。
【0027】また、主体金具1の外面全体には防食のた
めのニッケルメッキ層41で覆われている。ニッケルメ
ッキ層41は、公知の電解メッキ法により形成されるも
のであり、厚さ(工具係合部1eの工具係合面にて測定
する)は、例えば3〜15μm程度とされる。この厚さ
が3μm未満では耐食性を十分に確保できなくなる場合
があり、逆に15μmを超える膜厚は耐食性確保という
観点においては過剰スペックであり、またメッキ時間も
長くなって製造能率が低下するので、コストアップにつ
ながる。また、後述の加締め加工により絶縁体2を組み
付ける際に、加締め変形を生ずる部位において、メッキ
剥離等を生じ易くなる問題もある。
【0028】以下、上記スパークプラグ100の本発明
の製造方法について述べる。まず、ニッケルメッキ層4
1を公知の電解メッキ処理により主体金具1に形成す
る。この主体金具1に対して、貫通孔6に中心電極3及
び導電性シール層16,17、抵抗体15並びに端子金
具13を予め組み付けた絶縁体2を、絶縁体挿通孔40
の後方側開口部から挿入し、絶縁体2の係合部2hと主
体金具1の係合部1cとを線パッキン(図示略)を介し
て結合させた状態とする(なお、これらの部材について
は図1を参照)。次に、主体金具1の挿入開口部からそ
の内側に線パッキン62を配置し、充填材を充填してさ
らに線パッキン60を配置する。その後、これらの線パ
ッキン60,62及び充填材を介して主体金具1の加締
め予定部を絶縁体2に対して加締めることにより充填層
61を形成するとともに主体金具1と絶縁体2とを組み
付ける。この加締め加工は、本実施形態では冷間加締め
により行なう。
【0029】上記加締め加工は、具体的には図2のよう
にして行なうことができる。まず、図2の工程(a)に
示すように、加締めベース110のセット孔110aに
主体金具1の先端部を挿入し、主体金具1に形成された
フランジ状のガスシール部1gをその開口周縁に支持さ
せる。なお、図1における主体金具1の加締め部1d
は、加締め前の状態では円筒状形態であり、これを加締
め予定部1d’と称する。次いで、主体金具1に対し上
方から加締め金型111を装着する。加締め金型111
の加締め予定部1d’に当接する部分には、加工後の加
締め部1d(図1)に対応した凹状形態の加締め作用面
111pが形成されている。この状態で、加締め金型1
11に対し、加締めベース110に接近させる向きの軸
線方向圧縮力を加えると、加締め予定部1d’は、加締
め作用面111pに沿って半径方向内向きに屈曲しなが
ら圧縮され、工程(b)に示すように、主体金具1と絶
縁体2とが加締め固定される。また、圧縮力の付加に伴
い、ガスシール部1gと工具係合部1eとの間に形成さ
れた薄肉部1hが外向きに撓み変形し、加締めによる充
填層61の圧縮ストロークを稼いでシール性を高める働
きをなす。
【0030】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために行った
実験結果について説明する。 (実施例1)試験用として、図3及び図4に示すスパーク
プラグ200及び300を作製した。これらのスパーク
プラグ200,300は、貴金属放電部31及び32が
省略されている点を除いて、図1のスパークプラグ10
0と類似の構成を有するものである。図3及び図4にお
いては、図1のスパークプラグ100と概念的に共通す
る部分に同一の符号を付与している(ただし、符号は代
表的な部位を選んで付与してある)。また、加締め部1
dは冷間加締めにより形成している。
【0031】両スパークプラグ200,300の特徴は
以下の通りである。 スパークプラグ200(図3) 加締め部軸断面積S:29〜35mm; 絶縁体挿通孔40の内径:11.2mm; 冷間加締め条件:加圧力 3〜4ton スパークプラグ300(図4) 加締め部軸断面積S:13〜29mm; 絶縁体挿通孔40の内径:10mm; 冷間加締め条件:加圧力 約2〜3ton
【0032】また、いずれのスパークプラグにおいて
も、主体金具1を構成する炭素鋼材中の炭素含有量を、
0.05〜0.50質量%の種々の値にて選定した。そ
して、それらスパークプラグ200,300に対し、以
下の条件で加熱気密試験を行い、加締め部1d(充填材
61の充填部)からの空気漏洩量を測定した。 (試験条件) 雰囲気温度:200℃ 振動条件:ISO15565に記載の振動条件 振動周波数:50〜500Hz スイープ率:1オクターブ/分 加速度:30GN 振動方向:スパークプラグの軸線O方向と直交する向き 振動時間:16時間 (測定条件) 空気圧力:2MPa 試験温度:150℃
【0033】そして、この測定条件において空気漏洩が
認められなかったものを良好(○)、漏洩量が10cc
未満であったものを可(△)、漏洩量が10cc以上と
なったものを不可(×)として判定した。スパークプラ
グ200及び300についての試験結果を表1に示す。
いずれも、試験品数n=3として、その結果を個別に示
している。
【0034】
【表1】
【0035】スパークプラグ200については条件Bを
充足する炭素量において、スパークプラグ300につい
ては条件Aを充足する炭素量において、いずれも150
℃において空気漏洩が認められず、気密性が確保されて
いることがわかる。
【0036】(実施例2)主体金具の冷間圧造成形性
と、絶縁体挿通孔の内径との関係を調べるために、図5
及び図6に示すような冷間圧造した状態での主体金具1
A,1Bを、0.1〜0.55質量%の種々の炭素含有
量を有する炭素鋼を用いて作製した。ただし、両主体金
具1A,1Bは、工具係合部となる部分1e’の肉厚を
1.35mm、取付ねじ部となる部分7’の肉厚を1.
75mm、金具の全長を43mmにそろえてある。ま
た、冷間圧造加工は、金型を用いた周知の冷間鍛造加工
として行い、くぼみ、ひけ等の成型不良を生じないもの
を鍛造可能(○)、成型不良を生じるものを鍛造不能
(×)として判定した。以上の結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】炭素含有量が0.5質量%を超えると、絶
縁体挿通孔の内径が12mm以下である主体金具1Aで
は成形が困難となることがわかる。
【0039】(実施例3)主体金具の素材となる炭素鋼
材として、炭素含有量を0.05〜0.50質量%の種
々の値にて選定した。そして、図3に示すスパークプラ
グ200に用いたものと同じ主体金具を各組成毎に20
000個製造し、防食皮膜として、そのうちの1000
0個に厚さ5μmの電解ニッケルメッキ層を形成する一
方、残りの10000個には厚さ5μmの電解亜鉛メッ
キ層を形成した。そして、この主体金具を用いて図7に
示すように、薄肉部1hの挫屈変形量が図3の2.5倍
となるよう、過剰な圧縮ストロークにより冷間加締めを
行い、スパークプラグ400を製造した。このスパーク
プラグ400を、常温の条件で48時間まで保持し、主
体金具の外観を目視により観察するとともに、加締め部
1dあるいは薄肉部1hに遅れ破壊によるヘアクラック
が認められたものの総本数を累計・記録した。以上の結
果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】本試験は、加締め条件を過酷にした一種の
加速試験であるが、炭素含有量が0.15質量%以上の
鋼材を用いた場合、防食皮膜としてニッケルメッキ層を
採用することにより、Znメッキ層を採用する場合と比
較して、水素脆化の感受性が明らかに低減されているこ
とがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例たるスパークプラグを種々の
断面により示す説明図。
【図2】加締め工程の説明図。
【図3】実施例1に用いた第一のスパークプラグの縦部
分断面図。
【図4】実施例1に用いた第二のスパークプラグの縦部
分断面図。
【図5】実施例2に用いた第一の主体金具を示す縦半断
面図
【図6】実施例2に用いた第二の主体金具を示す縦半断
面図
【図7】実施例3に用いたスパークプラグを、実施例1
の第一のスパークプラグと比較して示す縦部分断面図。
【符号の説明】
100,200,300,400 スパークプラグ 1 主体金具 1d 加締め部 1e 工具係合部 1h 薄肉部 2 絶縁体 3 中心電極 4 接地電極 g 火花放電ギャップ 7 取付ねじ部 40 絶縁体挿通孔

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸状の中心電極(3)と、その外周に配
    置され、中央に突出部(2e)を有する軸状の絶縁体
    (2)と、両端が開放する筒状に形成され、前記絶縁体
    (2)の外周側に配置される筒状の主体金具(1)と、
    前記中心電極(3)と対向して火花放電ギャップ(g)
    を形成する接地電極(4)とを備え、 前記主体金具(1)は前記絶縁体(2)の前記突出部
    (2e)が挿通された絶縁体挿通孔(40)が軸線
    (O)方向に形成されており、前記軸線(O)方向にお
    いて、前記火花放電ギャップ(g)に近い側を前方側と
    して、該主体金具(1)の後端部が、前記絶縁体(2)
    に向けて屈曲形態にて加締められた加締め部(1d)と
    されてなり、さらに、 前記主体金具(1)の軸線(O)方向の、前記絶縁体挿
    通孔(40)の内周面から前記加締め部(1d)の内周
    面に移行する位置(1i)において、前記主体金具
    (1)の前記絶縁体挿通孔(40)の内径が8〜12m
    mとされ、前記軸線(O)と直交する平面による前記主
    体金具(1)の断面積Sと、前記主体金具(1)を構成
    する鋼材の炭素含有量とが、 条件A:15≦S<29mmであって、炭素含有量
    0.20〜0.50質量%;及び、 条件B:29≦S<35mmであって、炭素含有量
    0.15〜0.50質量%、 のいずれかを充足することを特徴とするスパークプラ
    グ。
  2. 【請求項2】 前記主体金具(1)に防食皮膜としてニ
    ッケルメッキ層が形成されてなる請求項1に記載のスパ
    ークプラグ。
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