JP2003329659A - ガスセンサおよびガス濃度検出装置 - Google Patents

ガスセンサおよびガス濃度検出装置

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JP2003329659A JP2003041958A JP2003041958A JP2003329659A JP 2003329659 A JP2003329659 A JP 2003329659A JP 2003041958 A JP2003041958 A JP 2003041958A JP 2003041958 A JP2003041958 A JP 2003041958A JP 2003329659 A JP2003329659 A JP 2003329659A
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波素子などの検出用振動素子を用いてガ
スの性質を測定するガスセンサでは、超音波素子の配置
されたケース内を充填する樹脂の熱膨張などの影響で、
検出誤差が生じる。 【解決手段】 ガスセンサ10の素子ケース42の内周
面を、鉛直方向に対して約11度の角度を有するテーパ
面100として形成し、収容部43のこのテーパ面10
0と保護フィルム48とにより囲まれた部分を、発泡ウ
レタンである充填材49で充填した。この結果、高温時
に発泡ウレタンが熱膨張すると、テーパ面100により
上方への分力を受け、膨張による体積変化の影響が保護
フィルム48方向に及びにくくなる。従って保護フィル
ム48の変形を伴う素子部分44の突出が抑制され、反
射部33までの伝播距離Lの変化ΔLも抑制されて検出
精度が低下することはない。また、超音波素子51の駆
動後の減衰振動である残響も短くなる。テーパ面100
の下部を曲面に形成しても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスセンサの構造
に関し、詳しくは、所定の流路に存在する気体の性質を
検出するガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から検出用素子を用いて、流路に存
在する気体の性質として、例えば特定成分の濃度や温
度、あるいは湿度などを測定するガスセンサが知られて
いる。こうしたガスセンサでは、検出用素子からの信号
を電気的に処理して、気体の性質に対応した電気信号と
して出力する。ガスセンサの一例として、自動車など内
燃機関を搭載した輸送機器に設けられ、超音波の伝搬速
度の変化を利用してガソリンや軽油などの濃度を検出す
る超音波式のガスセンサを取り上げる。こうしたガスセ
ンサは、例えば自動車に搭載されたキャニスタから内燃
機関の吸気管に接続されたパージラインの途中に設けら
れ、センサに形成された所定体積の流路に、ガソリンな
どが含まれる蒸発燃料ガスが通過するよう構成される。
ガソリン蒸気の濃度が変化すると、媒質中を通過する超
音波の速度が変化するので、この変化を超音波の受信器
で検出し、信号を処理して、ガソリン濃度に対応した信
号として出力するのである。通常は、送信器から出力さ
れた超音波が所定距離を伝搬して受信器に到達するまで
の時間を検出して、ガソリン濃度を求めている。
【0003】こうしたガスセンサを初めとし、気体の性
質の変化を大きな電気信号に直接変換できる素子は少な
く、検出用素子から出力される電気信号は微弱なことが
多い。このため、検出用素子にわずかな力が働いても出
力が変化してしまうことがあり、これを回避するため
に、従来の検出用素子では、素子本体を、樹脂などでモ
ールドして固定することが行なわれている。例えば、上
述した超音波式のガスセンサでは、超音波を送信あるい
は受信する素子を専用の収納ケースに収めた後、樹脂、
例えばウレタン樹脂などを収納ケースに充填し、検出用
素子を埋設・固定するのが一般的である(例えば、下記
特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−206099号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
たガスセンサでは、モールドした樹脂の熱膨張などによ
り、超音波を検出する検出用振動素子に応力が加わって
検出精度を低下させたり、場合によっては、樹脂の熱膨
張により検出用振動素子が変位し、検出精度に影響を与
えるという問題があった。例えば、上述した超音波を用
いたガスセンサでは、超音波を送信または受信する素子
を検出対象であるガスから隔離するために、収納ケース
の開口部にフィルムなどの薄膜を設け、薄膜上に素子を
取り付けた上で、収納ケース内を樹脂で充填することが
ある。かかる構造を採用すると、高温時に検出用振動素
子の収納ケース内部の充填材が熱膨張し、内部には応力
が発生する。この結果、膨張した充填材に押し出される
ようにして、薄膜の変形を伴いつつ、検出用振動素子の
部分が収納ケースの開口部から突出する現象が見られ
た。検出用振動素子の部分が突出すると、超音波の伝搬
距離も変化し、検出精度に影響を与えてしまう。
【0005】特に、検出用振動素子が超音波の送信と受
信の両方を兼用する場合には、検出用振動素子の周辺、
例えば検出用素子のケースの側面などで超音波が反射す
ることにより、ノイズが発生するといった問題も指摘さ
れていた。検出用振動素子から、検出用の流路以外の方
向に伝搬した超音波は、媒質の密度の差が大きい境界面
などで反射して戻ってくることがあり、これがノイズと
して観測されてしまう。ノイズが多くまた長時間に亘っ
て発生すると、超音波の検出精度に影響を与えてしまう
ことも考えられた。
【0006】本発明は、上記した問題点を解決するため
になされたものであり、ケース内の検出用振動素子が充
填材で埋設された構造のガスセンサにおいて、温度変化
などに伴う検出精度の低下やノイズの発生などを抑制す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決する本発明のガスセンサ
は、所定の流路に存在する気体の性質を検出するガスセ
ンサであって、前記気体の性質を気体内を伝搬する疎密
波の変化を利用して検出する検出用振動素子と、該検出
用振動素子を収納する筒状の素子ケースとを備え、該素
子ケースの内周面を、前記検出用振動素子が配置された
一端部側ほど内径を小さく形成すると共に、前記検出用
振動素子は、前記素子ケース内に充填した充填材により
埋設されたことを特徴とする。
【0008】かかるガスセンサでは、検出用振動素子が
素子ケース内に充填した充填材に埋設されているが、素
子ケースの内周面を、前記検出用振動素子が配置された
一端部側ほど内径を小さく形成しているので、充填材が
膨張しても、充填材は、内周面において内径が大きい側
への分力を受け、もっぱら内径が大きい側に膨張するよ
う変形する。この結果、内径が小さい側、即ち検出用振
動素子の側への体積変化に対する影響は小さくなり、充
填材が膨張しても、検出用振動素子の位置の変位あるい
は検出用振動素子にかかる応力が抑制される。即ち、充
填材の膨張により素子ケース内に発生する応力も、検出
用振動素子の側では低減されるので、応力により検出用
振動素子の挙動が変化して、検出の精度を低下させると
いう現象も緩和される。
【0009】筒状の素子ケースの内周面を、検出用振動
素子が配置された一端部側ほど内径を小さく形成するに
は、内周面の少なくとも一部を、一端部側に向けて内径
が絞られたテーパ面とするか、内周面の少なくとも一部
を、一端部側ほど内径が小さくなる曲面として形成する
ことができる。前者の場合、テーパ面の角度は、軸方向
に対して、7ないし15度の範囲とすることができる。
更に好ましくは、10ないし12度の範囲としても良
い。これらの角度範囲では、充填材が膨張した場合の検
出用振動素子の変位が十分に小さくされ、また疎密波の
非所望の伝搬によるノイズなども十分に抑制される。他
方、後者の場合、曲面は、素子ケースの軸方向断面にお
いて、円、楕円、放物線、双曲線の一部とすることがで
きる。内周面が曲面の場合には、伝搬してきた疎密波が
内周面で反射すると、反射波の方向は同方向とならない
から、特異な反射波などが生じることがない。なお、内
周面を曲面にする場合、素子ケースの軸方向断面におい
て、自由曲線としても差し支えない。内周面は、素子ケ
ースの軸中心に対して線対称に形成しても良いが、非対
称とすることも差し支えない。非対象にすれば、素子ケ
ースの軸中心に検出用振動素子が置かれている場合で
も、周囲に向かって伝搬した疎密波の反射波が軸中心に
おいて重なり合うことがない。
【0010】ここで、素子ケースは、略円筒形の収容部
と、収容部の一端部と反対側の他端部に連設され流路に
該素子ケースを取り付けるフランジ部とから構成するこ
とができる。こうした構造を採用すると、素子ケースの
取り付けをフランジ部で行なうことができ、検出用振動
素子の位置を素子ケースの取り付け位置から遠ざけるこ
とができ、好適である。検出用振動素子と素子ケースの
取り付け位置とが近接していると、疎密波が、素子ケー
スとこれが取り付けられた他の部材との間で伝搬しやす
く、慮外の反射などにより、種々のノイズが生じ易いか
らである。
【0011】収容部とフランジ部とが分かれている場合
には、テーパ面は、収容部に対応する内周面に形成すれ
ば足りる。もとよりフランジまでテーパ面に形成しても
差し支えない。なお、テーパ面は直線である必要はな
く、素子ケースの内径が、検出用振動素子の側で小さく
なるようになっていれば、緩やかな曲面であっても差し
支えない。
【0012】素子ケースの内周面をテーパ面としたと
き、収容部の外周面は、内周面と平行に形成しても良い
が、内周面と非平行とすることもできる。この場合は、
収容部の肉厚を収容部とフランジ部との連設箇所から収
容部の一端部に向けて、漸増する形状に形成すれば、収
容部とフランジ部との連設箇所では、素子ケースの肉厚
を収容部の一端部より薄くでき、収容部の一端部付近で
の十分な強度と、収容部全体の変形可能性とを、実現す
ることができる。
【0013】素子ケースの一端部端面には、検出用振動
素子とガスの存在する流路とを隔てるフィルムの外周部
を固定することができる。フィルムは、素子ケースの内
部を、流路に存在するガスから保護するために役立つ
が、上述したように、素子ケースに設けられた収容部一
端部の肉厚が厚く形成されている場合には、特にフィル
ムの固定が容易になると言う利点も得られる。
【0014】検出用振動素子は、気体の性質を気体内を
伝搬する疎密波の変化を利用して検出するものであり、
こうした疎密波としては、音波または超音波を用いるこ
とができる。このとき、検出用振動素子は、音波または
超音波を発生および/または受信する振動素子、例えば
圧電素子などを採用することができる。
【0015】本発明のガスセンサは、揮発性の燃料を用
いて燃焼する熱機関を搭載した機器に搭載し、該揮発性
の燃料の濃度を検出するガス濃度検出装置に用いること
ができる。このとき、検出用の流路は、熱機関への燃料
通路の一部に設けられた流路とすればよい。また、ガス
センサの検出用振動素子に演算回路を接続し、この演算
回路で、検出用振動素子の振動による疎密波が、前記検
出用の流路を通過する速度を検出することで、該検出用
の流路内の前記燃料の濃度を演算するものとすればよ
い。このガス濃度検出装置は、検出用の流路に存在する
揮発性のガス、例えばガソリンや軽油などの蒸気の濃度
を、超音波などの疎密波の伝搬速度の変化により検出す
ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例とし
てのガスセンサの分解斜視図である。このガスセンサ1
0は、超音波の伝搬速度がガス濃度により変化すること
を利用してガソリン蒸気の濃度を検出するセンサであ
る。このガスセンサは、例えば内燃機関を動力源とする
車両に搭載されたキャニスタから吸気通路にガソリンを
パージする通路に配置されて、パージされるガソリン濃
度を検出する目的などに用いられる。
【0017】(A)ガスセンサ10の全体構成:図1に
示したように、このガスセンサ10は、大きくは、濃度
を検出しようとするガスが通過する流路を形成する流路
形成部材20と、この流路形成部材20に一体に作り込
まれた収納部22に収納される検出用素子本体40、流
路を通過するガスの温度を検出するサーミスタ60、検
出用素子本体40の上部に配置される電子回路基板7
0、収納部22にはめ込まれる金属製のケース80から
構成されている。検出用素子本体40は、収納部22に
設けられた取り付け用凹部24に超音波溶着により固定
されており、サーミスタ60は、取り付け用の挿入孔2
5に挿入・固定されている。後述するように、検出用素
子本体40やサーミスタ60は、電気的な信号をやり取
りするための端子を有し、この端子は、電子回路基板7
0の対応する取り付け穴に挿入され、はんだ付けにより
固定される。ガスセンサ10は、これら検出用素子本体
40やサーミスタ60を収納部22に固定した後、電子
回路基板70を取り付け、更にケース80を収納部22
にはめ込み、その上で、全体を樹脂、例えばウレタン樹
脂によりモールドして製造されている。
【0018】(B)流路形成部材20の構成:ガスセン
サ10の流路形成部材20は、ガラスフィラ入りの合成
樹脂を成形したものであり、その弾性率は、ガスセンサ
として適切な値に調整されている。この流路形成部材2
0は、図1に示したように、上部に検出用素子本体40
を収納する収納部22を備え、その下部に、検出用のガ
スが流通する流路を有する。主な流路としては、ガスセ
ンサ10にガソリン蒸気が含まれるガスを導入する導入
路27,このガスにおけるガソリン濃度を超音波により
検出するための測定室28,測定室28に対してガスを
バイパスするバイパス流路29が形成されている。測定
室28は、検出用素子本体40のほぼ直下に、バイパス
流路29は、サーミスタ60のほぼ直下に、それぞれ設
けられている。
【0019】こうした流路構造を詳しく説明するため
に、ガスセンサ10の垂直断面を図2に示す。図2は、
ガスセンサ10を、導入路27および検出用素子本体4
0の軸線を含む平面で切断した断面図である。なお、図
2では、ガスセンサ10は最終的には樹脂、例えばウレ
タン樹脂が充填されてモールドされているが、図示の簡
明さを図って、全体をモールドする樹脂は描いていな
い。図2に示したように、流路形成部材20の内部は、
流路に着目すれば、導入路27、測定室28、バイパス
流路29に分かれている。導入路27はバイパス流路2
9に直角に連通しており、更に導入孔32を介して測定
室28とも連通している。バイパス流路29の下方は出
口34が形成されており、導入路27から導入されたガ
ソリン蒸気を含むガスは、出口34から排出され、この
実施例では、内燃機関の吸気通路に図示しないホースに
より接続されている。バイパス流路29の出口34と反
対側の端部は、サーミスタ60が取り付けられる挿入孔
25として形成される。従って、サーミスタ60は、導
入路27から流入したガスの温度に所定の関係を持っ
て、これを検出することになる。
【0020】測定室28は、上部が検出用素子本体40
が取り付けられる凹部24に連通しており、その下方に
は、超音波を反射するための反射部33が形成されてい
る。検出用素子本体40から反射部33まで超音波が伝
搬する距離を、伝搬距離Lとよぶ。伝搬距離Lと反射部
33の働きについては、後述する。反射部33は、測定
室28の底部からは、所定距離(本実施例では数ミリ)
持ち上げられた構造となっており、この反射部33の周
囲の空隙は、そのまま測定室28の底部に連通する排出
流路35を介してバイパス流路29につながっている。
このため、導入路27から導入孔32を通って流入した
ガスは、測定室28の内部に充満し、所定の割合で、排
出流路35からバイパス流路29に出ていく。なお、排
出流路35は、測定室28の底部に設けられていること
から、測定室28内の水蒸気やガソリン蒸気などが結露
して液化した場合、これらの水滴・油滴を排出するドレ
インとしても働く。反射部33の周囲の溝に溜まった液
体が排出されやすいように、反射部33の周辺外形は、
排出流路35に向けて傾斜されている。
【0021】流路形成部材20の上部に形成された収納
部22には、上述したように、測定室28に連通する開
口を有する取り付け用凹部24や、サーミスタ取り付け
用の挿入孔25などが形成されているが、この収納部2
2に相当する場所には、図3に示した金属板36がイン
サート成型されている。この金属板36は、図示するよ
うに、収納部22の底面形状にほぼ倣う形状をしてお
り、取り付け用凹部24に対応する凹部37や、挿入孔
25に対応する開口部38などを有する。この金属板3
6は、その一隅に切り起こし部83を備える。この切り
起こし部83は、インサート成型された後、図1に示し
たように、収納部22の内側に立設された状態となり、
電子回路基板70を取り付ける際、基板上の取付孔72
に挿入される。取付孔72には、接地ラインに接続され
たランドが用意されており、切り起こし部83は、この
ランドにはんだ付けされる。
【0022】収納部22の内側の4つの隅部のうち、切
り起こし部83に隣接する1カ所には、電子回路基板7
0を載置する支持台を兼ねて、端子用凸部22aが設け
られている(図4参照)。この外側には、電気信号をや
りとりするためのコネクタ31が形成されており、コネ
クタ31を形成する端子は、収納部22の外壁をこの部
分で貫通している。コネクタ31には、入り口側で3本
の端子が用意されており、3本の端子の両側の2本が、
外部からこのガスセンサ10に電源を供給する電源ライ
ン(グランドと直流電圧Vcc)、中心がガスセンサ1
0からの信号出力線SGNLとなっている。このコネク
タ31の端子は、収納部22側では、図4に示すよう
に、4本(31aないし31d)となっている。これ
は、グランド(接地)ライン用の端子31cが途中で二
股に分かれた形状をしているからである。二股に分かれ
た端子のひとつ31dは、上方に延出されており、ケー
ス80を組み付けるとき、このケース80の対応する位
置に用意された挿入孔85に挿入される。挿入後、端子
31dは、ケース80にはんだ付けまたはロウ付けされ
る。この結果、ケース80全体が接地ラインに電気的に
結合されていることになる。収納部22の隅部のうち、
残りの2カ所には、電子回路基板70を載置する目的
で、図示しない支持台が形成されている。
【0023】(C)検出用素子本体40の構造:検出用
素子本体40の構造を、図5の断面図に示した。この検
出用素子本体40は、図1に示したように、組立後は円
盤形状となるが、これはフランジ部41を有する合成樹
脂製の素子ケース42の内部に、後述する圧電素子など
を収納したのち、樹脂、例えばウレタン樹脂を内部に充
填しているからである。素子ケース42のフランジ部4
1は、収納部22に設けられた取り付け用凹部24より
大径に形成されており、フランジ部41の下部の収容部
43は、凹部24より小径に形成されている。この素子
ケース42単体の状態では、収容部43の下面は開口さ
れており、その端面45の外側縁部には、段差部46が
形成されている。製造時には、この段差部46の内側
に、耐ガソリン性を有する材料を用いた円形の保護フィ
ルム48が接着される。
【0024】保護フィルム48の中心には、円柱形状の
音響整合板50が接着・固定されており、この音響整合
板50の上面には圧電素子51が接着・固定されてい
る。音響整合板50は、圧電素子51の振動を、保護フ
ィルム48を介して効率よく、空気中に(本実施例では
測定室28へ)送出するために設けられている。音波や
超音波は、媒質の密度の差が存在する場所で反射し易い
ので、圧電素子51を直接保護フィルム48に接着する
のではなく、音響整合板50を介して接合することによ
り、圧電素子51の振動を効率よく超音波として測定室
28内に送出することができる。本実施例では、音響整
合板50として、多数の小さなガラス玉をエポキシ系樹
脂で固めたものを用いた。また、これらの音響整合板5
0と圧電素子51とを取り囲むように、筒体52が配置
されている。この筒体52は、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム52aに銅箔52cを接着層52bを介し
て貼り合わされたものであり、銅箔52c側を内側にし
て円筒形に巻き、端面を重ねて貼り合わせたものであ
る。この筒体52の内径は、音響整合板50の外形と略
一致しているので、筒体52は、音響整合板50の外周
に密着している。両者は接着されていない。図5のよう
に、音響整合板50,圧電素子51,筒体52から構成
されている部分を素子部分44と呼ぶものとする。
【0025】圧電素子51は、ピエゾなどの電歪素子を
扁平な円柱形に形成したものであり、軸方向上下面に形
成された電極に電圧を印加した際、軸方向にのみ歪曲が
生じるように、格子の方向を整えて切り出されている。
圧電素子51は、後述するように、超音波を測定室28
内に送出する送信器として働くが、同時に本実施例では
超音波振動を受信して電気信号を出力する受信器として
も機能する。もとより、送信用の素子と受信用の素子と
を別々に設けて、ガスセンサを作ることも可能である。
圧電素子51としては、圧電セラミックスや水晶などの
結晶体などを適宜用いることができる。電極は、特に図
示しないが、圧電素子51の上下面に蒸着などの手法に
より形成しても良いし、金属の薄板を貼り付けて構成し
ても良い。
【0026】この圧電素子51の外径は、音響整合板5
0の外径より小さくされている。従って、これを囲繞す
る筒体52の内面と、圧電素子51の側面との間には、
間隙が形成されることになる。筒体52と音響整合板5
0および圧電素子51との関係を図6に示した。図6
は、音響整合板50,圧電素子51,筒体52の関係を
示す分解斜視図である。図示するように、筒体52に
は、12個の開口53が設けられている。この開口53
は、圧電素子51の軸方向に沿って上方に偏位した位置
に設けられている。従って、組立後には、筒体52の開
口53は、音響整合板50の外周ではなく、圧電素子5
1の外周に対応した位置に存在することになる。なお、
図6では、理解の便を図って、筒体52を形成する各層
52a,52b,52cについては、一体に描いてあ
る。
【0027】素子ケース42は、図5に示したように、
断面が略逆「L」字形状をしており、その内周面は、鉛
直面に対して所定の角度を有するテーパ面100とされ
ており、かつ収容部43の端面45側になるほど、その
内径が小さくなるように形成されている。このテーパ面
100が、鉛直方向に対してなす角度は、本実施例では
11度である。従って、収容部43の外壁に相当する部
分は、下部、即ち保護フィルム48に近づくにつれて厚
みを増す。この結果、素子ケース42の収容部43は、
フランジ部41との付け根の付近で外壁の厚みが薄く、
可撓性に富み、その下端では、保護フィルム48を貼付
する充分な面積を用意している。この素子ケース42
は、ほぼ円筒形に形成されているものの、端子55a,
55bが埋設されている箇所だけ、内側に突出した形状
を有する。この突出部56a,56bに埋設された端子
55a,55bは、「L」字形状に曲っており、その上
下端は、素子ケース42から露出している。この下端に
は、リード線54a,54bがはんだ付けされる。端子
55a,55bの上端は、電子回路基板70の対応する
取り付け孔に挿入され、その場所に用意されたランドに
はんだ付けされる。こうして圧電素子51のリード線5
4a,54bの取付を終えてから、素子ケース42の内
部には、ウレタン樹脂などの樹脂が充填される。この樹
脂を充填材49とよぶ。
【0028】素子ケース42は、フランジ部41の下面
略中央に、溶着用の突起59を円周状に備えている。こ
の突起59は、超音波溶着時に溶融して、フランジ部4
1を、収納部22の取り付け用凹部24にしっかりと固
着する。
【0029】(D)電子回路基板70とその回路および
ガス濃度検出の手法:次に、電子回路基板70の構造
と、その取付について説明する。電子回路基板70は、
ガラスエポキシ基板に予めエッチング等により回路パタ
ーンを形成したものであり、部品の取付位置にランドや
スルーホールが設けられている。また、既に説明したよ
うに、検出用素子本体40やサーミスタ60、あるいは
コネクタ31の端子31a〜31c、切り起こし部83
などが取付られる部位には、それぞれの端子形状に合わ
せた大きさの取付孔が設けられ、その周囲をランドパタ
ーンが取り巻いている。従って、完成した電子回路基板
70は、所定の位置に、信号処理用の各種部品、例えば
信号処理用の集積回路(IC)や、抵抗器,コンデンサ
などが取り付けられており、これを、検出用素子本体4
0やサーミスタ60の取付が完了した収納部22に装着
し、はんだ付けを行なうことで、電気的な回路構成は完
了する。ガスセンサ10の製造としては、最終的には樹
脂モールドが行なわれる。
【0030】こうして完成したガスセンサ10の電気的
な構成を、図7のブロック図に示す。図示するように、
この電子回路基板70は、マイクロプロセッサ91を中
心に構成されており、マイクロプロセッサ91に接続さ
れた各回路素子、即ち、デジタル−アナログコンバータ
(D/Aコンバータ)92、ドライバ93、増幅器96
が接続されたコンパレータ97等を備える。サーミスタ
60は、直接マイクロプロセッサ91のアナログ入力ポ
ートPAPに接続されている。また、ドライバ93と増
幅器96は、検出用素子本体40に接続されている。
【0031】ドライバ93はマイクロプロセッサ91か
らの指令を受けると、複数個の矩形波を出力する。ドラ
イバ93が出力するこの矩形波の信号を受けると、圧電
素子51は振動し、送信器として機能して、超音波を測
定室28内に送出する。
【0032】測定室28内に送出された超音波は、比較
的高い指向性を保ったまま直進し、測定室28底部の反
射部33に反射して戻ってくる。戻ってきた超音波が保
護フィルム48に到達すると、保護フィルム48および
音響整合板50を介して、圧電素子51にその振動は伝
わり、圧電素子51は今度は受信器として機能して、振
動に応じた電気信号を出力する。この様子を、図8に示
した。図において、区間P1は、ドライバ93からの信
号を受けて、圧電素子51が送信器として機能している
期間を、区間P2は、反射部33で反射した超音波によ
り振動が圧電素子51に伝わり、圧電素子51が受信器
として機能している期間を、それぞれ示している。
【0033】受信器として機能した際の圧電素子51の
信号は、増幅器96に入力されて、増幅される。この増
幅器96の出力は、コンパレータ97に入力されてお
り、ここで予め用意された閾値Vref と比較され
る。閾値Vref は、ノイズなどの影響により増幅器
96が出力する誤信号を弁別できるレベルである。誤信
号としては、ノイズなどによるものの他、検出用素子本
体40自身が持っている残響などの影響によるものがあ
る。圧電素子51は、音響整合板50に接着され、かつ
ウレタン樹脂などの樹脂で充填されているとはいえ、あ
る程度、自由端振動が可能なこともあり、ドライバ93
から出力される駆動信号が失われた後も、所定期間に亘
って減衰振動することがある。また、圧電素子51から
その周辺に伝搬する超音波振動もわずかながらあり、こ
れが素子ケース42などの境界面で反射して戻ってくる
振動も存在する。これらが残響となる。
【0034】コンパレータ97は、増幅器96からの信
号を閾値Vref と比較することにより、圧電素子5
1が受信した振動の大きさが所定以上になったときにそ
の出力を反転する。このコンパレータ97の出力をマイ
クロプロセッサ91により監視し、圧電素子51からの
最初の超音波の出力タイミング(図8タイミングt1)
から、コンパレータ97の出力が反転するまで(図8タ
イミングt2)の時間Δtを計測することにより、超音
波が測定室28内の反射部33までの伝搬距離Lを往復
するのに要した時間を知ることができる。超音波が、あ
る媒質中を伝搬する速度Cは、次式(1)に従うことが
知られている。
【0035】
【数1】
【0036】この式(1)は、複数の成分が混在してい
るガスについて成り立つ一般式であり、変数nは、第n
成分についてであることを示すサフィックスである。従
って、Cpnは測定室28内に存在するガスの第n成分
の定圧比熱、Cvnは測定室28のガスの第n成分の定
積比熱、Mnは第n成分の分子量、Xnは第n成分の濃
度比を表している。また、Rは気体定数、Tは測定室2
8内のガスの温度、である。
【0037】伝搬速度Cは、測定室28内のガスの温度
Tと濃度比Xnにより定まることになる。超音波の伝搬
速度Cは、圧電素子51から反射部33までの伝搬距離
Lを用いて、C=2×L/Δt …(2)と表
せるから、Δtを計測すれば、濃度比Xn、即ち、ガソ
リン濃度を求めることができる。なお、本実施例では、
ガソリン蒸気の濃度を検出したが、濃度が既知の場合に
は、温度Tや伝搬距離Lを求めるセンサとして用いるこ
とも可能である。
【0038】マイクロプロセッサ91は、上記の式に従
う演算を高速に行ない、求めたガソリン濃度に対応した
信号をD/Aコンバータ92を介して出力する。この信
号SGNLがコネクタ31の端子31bを介して外部に
出力される。実施例では、この信号SGNLは、内燃機
関の燃料噴射量を制御しているコンピュータに出力さ
れ、ここで、キャニスタからのガソリンのパージ量を勘
案して、燃料噴射量を補正するといった処理に用いられ
る。
【0039】(E)第1実施例の作用・効果:以上説明
した第1実施例では、素子ケース42の内周面に所定の
角度を設け、内周面100をテーパ面100としてい
る。素子ケース42をかかる形状にしたことにより、高
温時においてもガスセンサ10の検出精度の低下やノイ
ズの発生が抑制されている。この理由を図9ないし図1
2に拠って説明する。図9,図10は、充填材が膨張し
た場合の検出用素子本体40の状態を模式的に示す説明
図である。なお、これらの図では、理解の便を図って、
部品のいくつかについては端面のみを示すものとし、断
面を示すハッチングは図示を省略した。また、筒体52
を形成する各層52a,52b,52cについては一体
に描いてある。更に、端子55a,55bと突出部56
a,56bは、簡略化のため図示を省略した。
【0040】本実施例の検出用素子本体40と比較する
ために、素子ケース42の内周を垂直に形成した検出用
素子本体40aの構造を、図9に示した。図にみられる
ように、内周面を垂直としテーパ面としていない素子ケ
ース42aを用いた検出用素子本体40では、その温度
が上昇して充填材49が熱膨張すると、充填材49は、
専ら上下方向に自身を押し出すようにして容積を増大さ
せる。図9に示した検出用素子本体40aでは、素子ケ
ース42aの内周面は垂直であり、収容部43aが円環
状なので、充填材49が膨張した際、径方向の容積変化
はほとんど生じないからである。このため、検出用素子
本体40aの内部では、素子部分44は、保護フィルム
48方向に強い力(内部応力)SFを受け、素子部分4
4が保護フィルム48の変形を伴いつつ、測定室28側
に突出することになる。この結果、圧電素子51の上面
と端子55a,55bとの距離が広がり、リード線54
a,54bの断線を引き起こすおそれが生じる。また、
保護フィルム48の変形を伴いつつ素子部分44が測定
室28側に突出するので、反射部33までの伝搬距離L
も、突出量ΔLだけ短くなってしまう。この結果、測定
室28内のガス濃度を計測するための超音波の伝搬速度
Cを求める既述した式(2)に誤差が生じることにな
り、ガス濃度の検出精度も低下してしまう。また、素子
ケース42aの内部では、特に径方向の容積変化が規制
されていることから、径方向に強い応力が発生し、これ
が圧電素子51に作用して、ドライバ93により駆動が
終了した後、長時間に亘って圧電素子51の振動が減衰
しない、いわゆる残響なども発生しやすくなる。この残
響が長引くと、反射部33で反射した超音波の検出にお
いて大きなノイズとなってしまうこともあり、検出用素
子本体40aとしての検出精度は更に低下してしまう。
【0041】これに対して、本実施例では、図10に示
したように、素子ケース42の内周面は、鉛直方向に対
して所定の角度で傾いたテーパ面100とされている。
このため、充填材49が熱膨張すると、素子ケース42
の内周のテーパ面100では、充填材49は、上方(フ
ランジ部41方向)への分力DFをテーパ面100から
受けることになり、膨張した充填材49は、専ら上方向
に体積変化を起こす。この結果、保護フィルム48の変
形も小さくなり、当然圧電素子51を含む素子部分44
も測定室28側に突出することがない。従って、リード
線54a,54bの断線の恐れも解消される。更に、保
護フィルム48が変形しないことから、反射部33まで
の伝搬距離Lが、温度上昇によって大きく変化するとい
うこともない。このため、保護フィルム48の耐久性も
向上する。加えて、充填材49の膨張により発生した径
方向の内部応力SFは緩和され、残響の発生も抑制され
る。
【0042】本実施例に示したテーパ面100を形成す
ることによる効果を、具体的な数値として示す。図11
は、図9に示した突出量ΔLを計測した実験結果を示す
説明図である。図11に示したように、実験は、(1)
素子ケース42aの内周面を鉛直(角度0)とした検出
用素子本体40a、(2)素子ケース42の内周面を鉛
直方向に対して11度のテーパ面100とした検出用素
子本体40、(3)素子ケースの内周面を鉛直方向に対
して15度のテーパ面100とした図示しない検出用素
子本体、の三種類の検出用素子本体を複数個ずつ形成
し、これらに、−40[℃]〜125[℃]の熱サイク
ルを6回加え、その後、突出量ΔL計測したものであ
る。図11では、複数個のサンプルの計測値の平均値を
示した。突出量ΔLは、保護フィルム48先端が、熱サ
イクルを加える以前と比べてどれだけ突出したかを測定
した値である。実験から、素子ケース42の内周面のテ
ーパの角度を11度±4度程度の範囲にすることによ
り、素子部分44の突出量ΔLがほぼ0となり、充填材
49の熱膨張による保護フィルム48の突出が、大幅に
抑制されることが分かる。
【0043】一方、素子ケース42の内周面を所定角度
のテーパ面100とすることにより、素子ケース42に
反射して戻ってくる超音波振動、つまり残響も減らすこ
とができる。図12に示したように、実験は、(1)素
子ケース42aの内周面を鉛直(角度0)とした検出用
素子本体40a、(2)素子ケース42の内周面を鉛直
方向に対して11度のテーパ面100とした検出用素子
本体40、(3)素子ケースの内周面を鉛直方向に対し
て15度のテーパ面100とした図示しない検出用素子
本体、の三種類の検出用素子本体を複数個ずつ形成し、
その環境温度を85[℃]まで上昇した場合の残響を計
測した。図12(A)に実験結果を示した。測定した残
響時間とは、図12(B)に示したように、ドライバ9
3による圧電素子51の駆動が終了してから、圧電素子
51自身の振動が所定値以下に減衰するまでの時間Rで
ある。
【0044】図12に示したように、三種類の検出用素
子本体の中で、素子ケース42の内周面を鉛直方向に対
して11度のテーパ面100としたときに、残響時間R
は最も短くなった。その理由はいくつか考えられるが、
一つには、充填材49の熱膨張による応力SFが、テー
パ面100により上方に逃がされて、圧電素子51に大
きな応力がかからないためと考えられる。圧電素子のよ
うに、電気的なエネルギにより格子間の距離が変わって
機械的な変位を結果する素子では、力が素子自体に加わ
り、内部に歪みが残ると、外部からの電気的な信号が失
われた後も、様々な力が素子内部に残り、これが振動の
減衰を妨げる可能性がある。また、もう一つには、圧電
素子51から測定室28側以外の方向に伝搬する超音波
USがある程度存在し、これが素子ケース42などに反
射して戻ってくることによっても残響は増加するが、1
1度のテーパ面100としたとき、超音波USの反射の
影響が小さくなると考えられる。
【0045】以上説明したように、本実施例の検出用素
子本体40では、保護フィルム48の変形を伴う素子部
分44の測定室28側への突出が抑制され、更に圧電素
子51の振動後の残響も低減される。この結果、充填材
49が膨張するような条件下(例えば高温時)でも、ガ
スセンサ10としての測定精度の低下を抑制することが
できる。従って、これを内燃機関の燃料(ガソリンや軽
油など)の蒸気の濃度検出に用いれば、温度変化の大き
い内燃機関の近傍でも、燃料ガスの濃度を精度良く検出
することができる。このガスセンサ10を用いて構成さ
れたガス濃度検出装置は、キャニスタなどからパージさ
れるガソリンなどの濃度の検出に用いても良いし、吸気
管からシリンダに吸い込まれる混合気におけるガス濃度
の検出に適用することも可能である。
【0046】(F)第2実施例:次に本発明の第2の実
施例について説明する。第2実施例のガスセンサは、図
13に示すように、収容部243が、第1実施例の収容
部43とは、その内周面200の形状のみ異なるもので
あり、他の構成は同一である。収容部243の内周面2
00は、図示するように、その軸方向断面形状が、保護
フィルム48の側ほど内側にせり出してくるように湾曲
されている。実施例では、収容部243の断面内周側
は、その上部は傾斜11度のテーパ面となっており、下
部1/3程度(図示、符号SN部分)がテーパ面を接面
とする円弧となっている。
【0047】収容部243の内周面200を、図14に
拡大して示した。図示するように、圧電素子51あるい
は音響整合板50から、その横方向に伝搬してくる超音
波振動(図示、符号IS)は、収容部243の内周面2
00がその下部において断面円弧形状とされているの
で、内周面200で反射すると、様々な方向に広がって
いく。即ち、内周面200で反射した反射波(図示、符
号RS)が特定の方向に揃ってしまうことはほとんど生
じない。この結果、収容部243の内周面での反射など
による残響は、一層効率的に低減されることになる。
【0048】第2実施例における残響の実測例を図15
に示した。図示するように、第1実施例のガスセンサ1
0の検出用素子本体40が、外部からの励振用の信号
(A)が失われてから、残響の影響により素子の振動が
所定値を下回るまでに173μsecを要したのに対し
て(B)、同一条件でテストした第2実施例の検出用素
子本体240では、素子の振動が所定値を下回るまでの
時間は、160μsecであった(C)。いくつかのサ
ンプルによりテストした結果もほぼ同一で、約10ない
し20μsec程度、残響時間は短くなっていた。
【0049】第2実施例では、収容部243の内周面2
00の下部SNのみを円弧の一部としたが、内周面20
0全体を緩やかな円弧形状としてもよい。また、下部S
Nの断面形状を円弧の一部に代えて、楕円の一部、放物
線の一部、双曲線の一部、自由曲線等とすることも差し
支えない。楕円や放物線の一部とする場合には、それら
の曲線の焦点に圧電素子51や音響整合板50が位置し
ないようにすることも好適である。
【0050】以上本発明のいくつかの実施例について説
明したが、本発明はこうした実施例に限定されるもので
はなく、例えば、送信用の超音波素子と受信用のそれと
を分離した構成や、素子ケース42の外周壁を内周面1
00と同様にテーパを付けた構成など、本発明の要旨を
変更しない範囲内で、種々なる態様で実施できることは
勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のガスセンサ10の概略構成を示す分
解斜視図である。
【図2】 ガスセンサ10の構造を示す断面図である。
【図3】 流路形成部材20にインサート成形された金
属板36の形状を示す説明図である。
【図4】 コネクタ31に設けられた端子31aないし
31dの形状を示す斜視図である。
【図5】 検出用素子本体40の構造を示す断面図であ
る。
【図6】 音響整合板50,圧電素子51と筒体52の
構造を示す分解斜視図である。
【図7】 電子回路基板70の内部の電気的な構成を示
す説明図である。
【図8】 超音波を用いたガス濃度の検出の原理を説明
する説明図である。
【図9】 テーパなし素子ケース42のときの検出用素
子本体40の状態変化を示す説明図である。
【図10】 テーパあり素子ケース42のときの検出用
素子本体40の状態変化を示す説明図である。
【図11】 3種類のテーパ角100に対して素子部分
44の突出量ΔLを計測した実験結果を示す説明図であ
る。
【図12】 3種類のテーパ角100に対して残響を計
測した実験結果を示す説明図である。
【図13】 第2実施例の検出用素子本体240の概略
構成図である。
【図14】 第2実施例の収容部243の内周面200
形状を示す拡大図である。
【図15】 第2実施例における残響時間の測定の様子
を示す説明図である。
【符号の説明】
10…ガスセンサ 20…流路形成部材 22…収納部 24…凹部 25…挿入孔 27…導入路 28…測定室 29…バイパス流路 31…コネクタ 31a〜31d…端子 32…導入孔 33…反射部 34…出口 35…排出流路 36…金属板 37…凹部 38…開口部 40…検出用素子本体 41…フランジ部 42…素子ケース 43…収容部 44…素子部分 45…端面 46…段差部 48…フィルム 49…充填材 50…音響整合板 51…圧電素子 52…筒体 52a…フィルム 52b…接着層 52c…銅箔 53…開口 54a,54b…リード線 55a,55b…端子 56a,56b…突出部 59…突起 60…サーミスタ 70…電子回路基板 72…取付孔 80…ケース 83…切り起こし部 85…挿入孔 88…緩衝材 91…マイクロプロセッサ 92…D/Aコンバータ 93…ドライバ 96…増幅器 97…コンパレータ 100…テーパ面 200…内周面 240…検出用素子本体 243…収容部
フロントページの続き (72)発明者 小野田 守男 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 森田 剛史 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 石田 昇 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 2G047 AA01 BA03 BC02 BC15 CA01 EA04 EA10 GA01 GA09 2G064 AB05 AB13 AB23 BD18 BD23 DD23

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の流路に存在する気体の性質を検出
    するガスセンサであって、 前記気体の性質を気体内を伝搬する疎密波の変化を利用
    して検出する検出用振動素子と、該検出用振動素子を収
    納する筒状の素子ケースとを備え、 該素子ケースの内周面を、前記検出用振動素子が配置さ
    れた一端部側ほど内径を小さく形成すると共に、 前記検出用振動素子は、前記素子ケース内に充填した充
    填材に埋設されたガスセンサ。
  2. 【請求項2】 前記素子ケースの内周面の少なくとも一
    部は、前記端部側に向けて内径が絞られたテーパ面とさ
    れた請求項1記載のガスセンサ。
  3. 【請求項3】 前記テーパ面が有する角度は、7ないし
    15度の範囲である請求項2記載のガスセンサ。
  4. 【請求項4】 前記角度は、10ないし12度の範囲で
    ある請求項3記載のガスセンサ。
  5. 【請求項5】 前記素子ケースの内周面の少なくとも一
    部は、前記一端部側ほど内径が小さくなる曲面として形
    成された請求項1記載のガスセンサ。
  6. 【請求項6】 前記曲面は、前記素子ケースの軸方向断
    面において、円、楕円、放物線、双曲線の一部である請
    求項5記載のガスセンサ。
  7. 【請求項7】 前記素子ケースは、略円筒形の収容部
    と、該収容部の前記一端部と反対側の他端部に連設さ
    れ、前記流路に該素子ケースを取り付けるフランジ部と
    から構成された請求項1ないし請求項6のいずれか記載
    のガスセンサ。
  8. 【請求項8】 前記収容部に対応する内周面が、前記一
    端部側に向けて内径が絞られたテーパ面として形成され
    た請求項7記載のガスセンサ。
  9. 【請求項9】 請求項7記載のガスセンサであって、 前記素子ケースは、 前記収容部の外周面と前記内周面とが平行でなく、 前記収容部の肉厚が、前記収容部と前記フランジ部との
    連設箇所から前記収容部に向けて、漸増する形状に形成
    されたガスセンサ。
  10. 【請求項10】 前記素子ケースの前記一端部端面に
    は、前記検出用振動素子と、前記流路とを隔てるフィル
    ムの外周部が固定された請求項1ないし請求項9のいず
    れか記載のガスセンサ。
  11. 【請求項11】 前記充填材として合成樹脂を用い、前
    記素子ケースと前記フィルムとが形成する素子収納部
    を、該合成樹脂により充填した請求項10記載のガスセ
    ンサ。
  12. 【請求項12】 前記充填材は、ウレタン樹脂である請
    求項1ないし請求項11のいずれか記載のガスセンサ。
  13. 【請求項13】 前記疎密波は、音波または超音波であ
    り、前記検出用振動素子は、音波または超音波を発生お
    よび/または受信する振動素子である請求項1ないし請
    求項12のいずれか記載のガスセンサ。
  14. 【請求項14】 揮発性の燃料を用いて燃焼する熱機関
    を搭載した機器に搭載され、該揮発性の燃料の濃度を検
    出するガス濃度検出装置であって、 前記熱機関への燃料通路の一部に設けられた検出用の流
    路と、 該検出用の流路に臨んで設けられた請求項1ないし請求
    項13のいずれか記載のガスセンサと、 該ガスセンサの前記検出用振動素子に接続され、該検出
    用振動素子の振動による疎密波が、前記検出用の流路を
    通過する速度を検出することで、該流路内の前記燃料の
    濃度を演算する演算回路とを備えたガス濃度検出装置。
JP2003041958A 2002-03-06 2003-02-20 ガスセンサおよびガス濃度検出装置 Expired - Fee Related JP3861062B2 (ja)

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