JP2003326658A - 熱収縮性ポリエステルフィルムの製造方法及び熱収縮性ポリエステルフィルム - Google Patents

熱収縮性ポリエステルフィルムの製造方法及び熱収縮性ポリエステルフィルム

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JP2003326658A
JP2003326658A JP2002141860A JP2002141860A JP2003326658A JP 2003326658 A JP2003326658 A JP 2003326658A JP 2002141860 A JP2002141860 A JP 2002141860A JP 2002141860 A JP2002141860 A JP 2002141860A JP 2003326658 A JP2003326658 A JP 2003326658A
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film
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heat shrinkage
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Shuichi Kinoshita
周一 木下
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CI Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被装着体に装着する際に、密着不足、収縮む
ら、しわ、波打ち、折れ曲がり、フィルム裂けなどが生
じることのない熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造
方法、及び熱収縮性ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 ポリエステル系樹脂に、該ポリエステル
系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を混合分散した中心層
と、共重合ポリエステル系樹脂の両表面層とから形成さ
れた複層フィルムを、共押出成形により製膜した後、少
なくとも一軸に延伸配向することにより中心層の内部に
微細なボイドを多数形成し、かつ、フィルムの一方向の
80℃における熱収縮率が40%以上、それと直交する
方向の80℃における熱収縮率が6%以下、フィルムの
一方向の100℃における熱収縮率が65%以上、それ
と直交する方向の100℃における熱収縮率が8%以下
の熱収縮特性を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱収縮性ポリエス
テルフィルム、さらに詳しくは、被装着体に装着する際
に、密着不足、収縮むら、しわ、波打ち、折れ曲がり、
フィルム裂けなどが生じることのない新規な熱収縮性ポ
リエステルフィルムの製造方法、及び新規な熱収縮性ポ
リエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱収縮性フィルムは、熱風、熱水、熱放
射線などによって加熱すると収縮する性質があるため、
包装材、ラベル、キャップシール、電気絶縁材などとし
て広い分野で使用されている。この熱収縮性フィルムの
素材としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオ
レフィン、共重合ポリエステルなどが用いられている
が、ポリ塩化ビニル系フィルムは、使用後焼却処理する
と有毒ガスが発生し、環境汚染の原因となるため、次第
にその使用が制限される傾向があり、ポリスチレン系フ
ィルムは、貯蔵中に常温収縮して使用時における収縮が
不十分になるという欠点があり、またポリオレフィン系
フィルムは、熱収縮性が低いという欠点があるため、最
近はポリエステル系フィルムが注目されるようになって
きている。このポリエステル系フィルムの中で最も汎用
的に使用されているポリエチレンテレフタレートフィル
ムは、優れた透明性、耐溶剤性、耐候性を有し、抗張力
が高く、しかも焼却時に有毒ガスの発生がないという長
所を有しているが、被装着体に装着する際に、収縮む
ら、しわ、波打ち、折れ曲がり、フィルム裂けなどが生
じ易いという欠点も有している。
【0003】この欠点を克服するために、テレフタル酸
を主体とするジカルボン酸成分と、エチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールからなる混合ジオール
成分とから構成された共重合ポリエステルを用いる方法
(特開平4−344222号公報)、テレフタル酸を主
体とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール、シ
クロヘキサンジメタノールからなる混合ジオール成分と
から構成された共重合ポリエステルと、テレフタル酸を
主体とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール、
ジエチレングリコールからなる混合ジオール成分とから
構成された共重合ポリエステルとの混合物からフィルム
を成形する方法(特開平5−138737号公報)、テ
レフタル酸を主体とするジカルボン酸成分と、エチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノールからなる混合
ジオール成分とから構成された共重合ポリエステルと、
テレフタル酸とアジピン酸からなる混合ジカルボン酸成
分と、エチレングリコールを主体とするジオール成分と
から構成された共重合ポリエステルとの混合物からフィ
ルムを成形する方法(特開平5−254015号公
報)、テレフタル酸を主体とするジカルボン酸成分と、
エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールから
なる混合ジオール成分とから構成された共重合ポリエス
テルと、テレフタル酸を主体とするジカルボン酸成分
と、2−メチル−1,5−ペンタジオール又は3−メチ
ル−1,5−ペンタジオール及びエチレングリコールを
主体とするジオール成分とから構成された共重合ポリエ
ステルとの混合物からフィルムを成形する方法(特開平
9−71668号公報)などが開示されているが、その
効果が十分ではなかった。
【0004】また、このような熱収縮性ポリエステルフ
ィルムはPETボトルのラベル用にも使用されている。
PETボトルはリサイクルする場合に、これらのラベル
と分別する必要がある。ボトル本体とラベルを分別する
方法の一つとして、ラベルを装着したままボトルを粉砕
し、それを風で吹き飛ばして見かけ比重の差によって分
別する方法がある。この分別方法では、ラベル用フィル
ムはPETボトル本体の見かけ比重に比べ、差が大きく
ないと分別が困難である。そのため、フィルム内部にボ
イドを多数含有させ見かけ比重を下げる方法が、例えば
特開2002−36356等に開示されている。しか
し、これらの熱収縮性ポリエステルフィルムは被装着体
に装着する際に、収縮むら、しわ、波打ち、折れ曲が
り、フィルム裂けなどが生じ易いという欠点を有してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの、被装着体に
装着する際に、密着不足、収縮むら、しわ、波打ち、折
れ曲がり、フィルム裂けなどが生じることのない熱収縮
性ポリエステル系フィルムの製造方法、及び熱収縮性ポ
リエステルフィルムを提供することを目的としてなされ
たものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の好
ましい特長を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムを
開発すべく鋭意研究を重ねた結果、テレフタル酸を主体
とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール、1,
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチ
レングリコール、シクロヘキサンジメタノールから選ば
れた少なくとも1種のジオール成分とからなるポリエス
テル系樹脂に、そのポリエステル系樹脂に非相溶の熱可
塑性樹脂を混合分散せしめた中心層と、テレフタル酸を
主体とするジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
シクロヘキサンジメタノールから選ばれた少なくとも1
種とエチレングリコールのジオール成分とからなる共重
合ポリエステル系樹脂の両外側層とから形成された複層
フィルムを、共押出成形により製膜した後、少なくとも
一軸に延伸配向することにより中心層の内部に微細なボ
イドを多数形成せしめ、特定の熱収縮率を有するフィル
ムにすることにより、その目的を達成し得ることを見出
し、本発明を完成するに到った。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の熱収縮性ポリエステルフ
ィルム製造方法は、テレフタル酸を主体とするジカルボ
ン酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールから選ばれた少なくと
も1種のジオール成分とからなるポリエステル系樹脂
に、該ポリエステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を混
合分散した中心層と、テレフタル酸を主体とするジカル
ボン酸成分と、1,4−ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジ
メタノールから選ばれた少なくとも1種とエチレングリ
コールのジオール成分とからなる共重合ポリエステル系
樹脂の両表面層とから形成された複層フィルムを、共押
出成形により製膜した後、少なくとも一軸に延伸配向す
ることにより中心層の内部に微細なボイドを多数形成
し、かつ、フィルムの一方向の80℃における熱収縮率
が40%以上、それと直交する方向の80℃における熱
収縮率が6%以下、フィルムの一方向の100℃におけ
る熱収縮率が65%以上、それと直交する方向の100
℃における熱収縮率が8%以下の熱収縮特性を有するこ
とを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の熱収縮性ポリエステルフィ
ルムは、テレフタル酸を主体とするジカルボン酸成分
と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロ
ヘキサンジメタノールから選ばれた少なくとも1種のジ
オール成分とからなるポリエステル系樹脂に、該ポリエ
ステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を混合分散した中
心層と、テレフタル酸を主体とするジカルボン酸成分
と、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ルから選ばれた少なくとも1種とエチレングリコールの
ジオール成分とからなる共重合ポリエステル系樹脂の両
表面層とから形成された複層フィルムを、少なくとも一
軸に延伸配向することにより中心層の内部に微細なボイ
ドを多数形成され、かつ、フィルムの一方向の80℃に
おける熱収縮率が40%以上、それと直交する方向の8
0℃における熱収縮率が6%以下、フィルムの一方向の
100℃における熱収縮率が65%以上、それと直交す
る方向の100℃における熱収縮率が8%以下の熱収縮
特性を有することを特徴とするものである。
【0009】両表面層に使用される共重合ポリエステル
系樹脂としては、50モル%以上70モル%未満のエチ
レンテレフタレート成分を含み、かつ、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種の
ジオール成分を含む必要があるが、ジカルボン酸成分と
してテレフタル酸以外に、アジピン酸、アゼライン酸な
どの脂肪族ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、イ
ソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸及びそ
れらのエステル形成性誘導体、ジオール成分として、エ
チレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペン
チルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサ
ンジメタノール以外の脂肪族ジオール、芳香族ジオー
ル、脂環式ジオールなどの成分を少量、通常5重量%以
下の割合で含むこともできる。また、中心層に使用され
るポリエステル系樹脂としては、前記の共重合ポリエス
テル系樹脂や70モル%以上のエチレンテレフタレート
成分を含んだ共重合ポリエステル系樹脂も使用できる
が、コストや微細なボイドを形成できることから95〜
100モル%のエチレンテレフタレート成分を含んだポ
リエステル系樹脂が好ましい。
【0010】更に、本発明の熱収縮性ポリエステルフィ
ルムとしては、両表面層のそれぞれの厚みが3〜15μ
m、全フィルム厚みが20〜75μmであることが好ま
しく、中心層は、共重合ポリエステル系樹脂に非相溶の
熱可塑性樹脂を3〜17重量%混合分散し、少なくとも
一軸に延伸配向することにより中心層の内部に微細なボ
イドを多数形成せしめ、全フィルムの見かけ比重が1.
02以下とすることが好ましい。
【0011】本発明の熱収縮性ポリエステルフィルム製
造方法は、共押出成形により、共重合ポリエステル系樹
脂に非相溶の熱可塑性樹脂を混合分散せしめた中心層
と、共重合ポリエステル系樹脂からなる両外側層とから
なる複層フィルムを製膜して複層フィルムを得た後、少
なくとも一軸に延伸配向することにより中心層の内部に
微細なボイドを多数形成せしめることが必要である。中
心層の内部に微細なボイドを多数形成せしめることによ
り、フィルムの低比重化を達成できる。中心層の内部に
微細なボイドを多数形成せしめるために混合分散せしめ
る共重合ポリエステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂と
しては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、
ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスル
フォン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。これらの共重合ポリエステル系樹脂に非相
溶の熱可塑性樹脂の中で、ポリオレフィン系樹脂は微細
なボイドを多数形成せしめ得ること、製膜したフィルム
において、製品にできなかった部分を原料として再使用
し易いこと等の理由から好適である。
【0012】また、中心層の両外側にテレフタル酸を主
体とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジ
エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールの少
なくとも1種のジオール成分とからなるポリエステルか
らなる層を設けることが必要である。この両外側層がな
いと、製膜、加工する際に中心層に混合分散せしめた共
重合ポリエステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂が脱落
したり、フィルム表面性を悪化させたりする。
【0013】フィルムの熱収縮特性として、フィルムの
一方向の80℃における熱収縮率を40%以上、それと
直交する方向の80℃における熱収縮率を6%以下、フ
ィルムの一方向の100℃における熱収縮率を65%以
上、それと直交する方向の100℃における熱収縮率を
8%以下にすることが必要である。この熱収縮率を有す
ることにより、被装着体に装着した時に、収縮むら、し
わ、波打ち、折れ曲がり、フィルム裂けなどが生じず、
好ましい仕上がりを得ることができる。
【0014】更に、両表面層を形成する共重合ポリエス
テル系樹脂として50モル%以上70モル%未満のエチ
レンテレフタレート成分を含み、かつ、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種の
ジオール成分を含むことが好適である。70モル%以上
のポリエチレンテレフタレート成分を含むと、被装着体
に装着させるために熱風をあてて熱収縮させる際に、急
に熱収縮してしまって収縮むら、しわ、波打ち、折れ曲
がり、フィルム裂けなどが生じて、好ましい仕上がりを
得難くなる。
【0015】本発明の熱収縮性ポリエステルフィルム製
造方法が対象とするフィルムの全フィルム厚みは、20
〜75μmであることが好適である。75μmを越える
と経済的でなく、20μm未満は、製膜することが困難
になるため好ましくない。両表面層のフィルム厚みは3
〜15μmであることが好適である。3μm未満では、
製膜、加工する際に中心層に混合分散せしめた共重合ポ
リエステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂が脱落した
り、フィルム表面性を悪化させたりすることを防止する
効果が失われてしまう。15μmを越えると中心層の厚
みが薄くなるため、フィルム全体としての低比重化の効
果が失われてしまう。
【0016】このような熱収縮性ポリエステルフィルム
はPETボトルのラベル用にも使用されている。PET
ボトルはリサイクルする場合に、これらのラベルと分別
する必要がある。ボトル本体とラベルを分別する方法の
一つとして、ラベルを装着したままボトルを粉砕し、そ
れを風で吹き飛ばして見かけ比重の差によって分別する
方法がある。その場合にフィルムの見かけ比重が1.0
2以下であることが好適である。フィルムの見かけ比重
を1.02以下にせしめるためには、中心層に、共重合
ポリエステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を3〜17
重量%混合分散せしめ、少なくとも一軸に延伸配向する
ことにより中心層の内部に微細なボイドを多数形成せし
める必要がある。ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂
の量を3重量%未満にすると見かけ比重を1.02以下
にし難く、17重量%を越えるとできたフィルムの強度
が不足して、被装着体に装着する際に、しわ、波打ち、
折れ曲がり、フィルム裂けなどが生じ易い。
【0017】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
製造方法では、必要に応じ他の熱可塑性樹脂、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、潤滑剤、可塑剤、
充填剤、などを含有させることができる。又、特定の性
能を付与するために、コロナ処理、プラズマ処理、火炎
処理などの表面処理、紫外線、α線、β線、γβ線、電
子線などの照射、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステルな
どの樹脂被覆処理、金属蒸着などを施すこともできる。
【0018】
【実施例】次に、本発明の内容を実施例によって、更に
詳細に説明する。なお、実施例中の各物性は以下の方法
で評価したものである。
【0019】(1)熱収縮率 縦横各100mmの大きさにサンプリングしたフィルム
を80℃又は100℃の温水中に10秒間浸漬した後温
水中から取出して、0.5mm目盛のスケールで縦横各
々の寸法変化を測定し、次に述べる式に従って求めた。 熱収縮率(%)={100(mm)−浸漬後の長さ(m
m)}/100(mm)×100
【0020】(2)極限粘度 フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒中、
30℃でウデローデ型粘度計を用いて測定した。
【0021】(3)フィルム厚み 顕微鏡にて、鋭利な刃で切った試料フィルム断面を40
0倍の倍率で写真撮影し、写真上のフィルム厚みをJI
S1級金尺にて測定し、顕微鏡拡大倍率(400)で除
して求めた。
【0022】(4)見掛け比重 3cm×3cmの正方形に切り出した試料フィルムを
ミラージュ貿易(株)発売の ELECTRONIC
DENSIMETER(電子比重計)ED−120Tに
セットして求めた。
【0023】(実施例1)ポリエチレンテレフタレート
(三菱レイヨン社製、「ダイヤナイト」)68重量%と
ポリメチルペンテン(三井化学社製、「TPX」)30
重量%及びポリエチレングリコール(分散剤)2重量%
を混合分散せしめた原料を、真空ベント式二軸押出機に
供給し、270℃で溶融した後、水中に吐出し、ペレタ
イザーでカッテイングしてマスターバッチペレットを製
造した。次に該マスターバッチペレット35重量%と、
ポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱レイヨン社製、
「ダイヤナイト」)65重量%とを、ブレンダーで混合
分散せしめ、共押出製膜設備の主真空ベント式二軸押出
機に供給し、270℃で溶融する。一方、ジカルボン酸
成分としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分
としてエチレングリコール65モル%及びシクロヘキサ
ンジメタノール35モル%からなる極限粘度0.78d
l/gの共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカ
ル社製、「EASTERコポリエステル」)を、共押出
製膜設備の副真空ベント式二軸押出機に供給し、260
℃で溶融する。両方の溶融樹脂を、共押出製膜設備のダ
イス直前に設置した溶融樹脂合流装置に導いて、主押出
機側溶融樹脂が中心側に、副押出機側溶融樹脂が両表面
側になるように重ねあわせてTダイから、25℃のキャ
ストロール上に押出して未延伸シートを得た。次いで、
未延伸シートを縦延伸機に供給して81℃で1.1倍に
延伸した後、85℃に加熱したテンターに導いて、4.
8倍に横延伸した後、82℃で熱処理して巻取機でロー
ル状に巻取った。得られたフィルムの全厚さは50μ
m、両表面層の厚さは各々7μmであった。また、80
℃における横方向の熱収縮率は45%、縦方向の熱収縮
率は2%、100℃における横方向の熱収縮率は72
%、縦方向の熱収縮率は5%であった。また、見かけ比
重が0.82であった。このフィルムをグラビア印刷機
にかけて、文字及び図柄を印刷した上で、円筒状のシュ
リンクラベル(直径70mm、長さ160mm)に加工
し、容量500mlのPETボトル(高さ210mm、
1辺60mmの角型)100個に嵌合し、長さ3m、入
口温度90℃、出口温度95℃のスチームトンネル中を
通過時間5秒で通過させることによりPETボトルに密
着させた。シュリンクラベルの装着状態を目視で評価し
た結果を表1に示すが、PETボトル100個中、密着
不足、収縮むら、しわ、波打ち、折れ曲がり、フィルム
裂けが1個もなく、装着状態は極めて良好であった。そ
の後、シュリンクラベルを装着したままのPETボトル
を粉砕機にかけて細片に粉砕し、風飛分級機でPETボ
トルの樹脂片とシュリンクラベルの樹脂片を分別するテ
スト評価を行った。その結果、PETボトルの樹脂片と
シュリンクラベルの樹脂片を各々100%分別できた。
【0024】(比較例1)実施例1と同じ樹脂を用い
て、同じ未延伸シートを得た。この未延伸シートを縦延
伸機に供給して81℃で1.18倍に延伸した後、92
℃に加熱したテンターに導いて、4.82倍に横延伸し
た後、92℃で熱処理して巻取機でロール状に巻取っ
た。得られたフィルムの全厚さは50μm、両表面層の
厚さは各々7μmであった。80℃における横方向の熱
収縮率は37%、縦方向の熱収縮率は2%、100℃に
おける横方向の熱収縮率は62%、縦方向の熱収縮率は
4%であった。また、見かけ比重が0.84であった。
このフィルムをグラビア印刷機にかけて、文字及び図柄
を印刷した上で、円筒状のシュリンクラベル(直径70
mm、長さ160mm)に加工し、容量500mlのP
ETボトル(高さ210mm、1辺60mmの角型)1
00個に嵌合し、長さ3m、入口温度90℃、出口温度
95℃のスチームトンネル中を通過時間5秒で通過させ
ることによりPETボトルに密着させた。シュリンクラ
ベルの装着状態を目視で評価した結果を表1に示すが、
PETボトル100個中、密着不足が12個発生し、結
果は不良であった。
【0025】(比較例2)実施例1と同じ樹脂を用い
て、同じ未延伸シートを得た。この未延伸シートを縦延
伸機に供給して81℃で1.8倍に延伸した後、85℃
に加熱したテンターに導いて、4.8倍に横延伸した
後、82℃で熱処理して巻取機でロール状に巻取った。
得られたフィルムの全厚さは50μm、両表面層の厚さ
は各々7μmであった。80℃における横方向の熱収縮
率は43%、縦方向の熱収縮率は9%、100℃におけ
る横方向の熱収縮率は69%、縦方向の熱収縮率は14
%であった。また、見かけ比重が0.80であった。こ
のフィルムをグラビア印刷機にかけて、文字及び図柄を
印刷した上で、円筒状のシュリンクラベル(直径70m
m、長さ160mm)に加工し、容量500mlのPE
Tボトル(高さ210mm、1辺60mmの角型)10
0個に嵌合し、長さ3m、入口温度90℃、出口温度9
5℃のスチームトンネル中を通過時間5秒で通過させる
ことによりPETボトルに密着させた。シュリンクラベ
ルの装着状態を目視で評価した結果を表1に示すが、P
ETボトル100個中、収縮むら5個、しわ入り3個が
発生し、結果は不良であった。
【0026】(比較例3)両表面層にジカルボン酸成分
としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分とし
てエチレングリコール76モル%及びシクロヘキサンジ
メタノール24モル%からなる極限粘度0.78dl/
gの共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカル社
製、「EASTERコポリエステル」)を用いた以外
は、実施例1と全く同じにして未延伸シートを得た。こ
の未延伸シートを縦延伸機に供給して81℃で1.1倍
に延伸した後、85℃に加熱したテンターに導いて、
4.8倍に横延伸した後、82℃で熱処理して巻取機で
ロール状に巻取った。得られたフィルムの全厚さは50
μm、両表面層の厚さは各々7μmであった。また、8
0℃における横方向の熱収縮率は51%、縦方向の熱収
縮率は3%、100℃における横方向の熱収縮率は78
%、縦方向の熱収縮率は6%であった。また、見かけ比
重が0.82であった。このフィルムをグラビア印刷機
にかけて、文字及び図柄を印刷した上で、円筒状のシュ
リンクラベル(直径70mm、長さ160mm)に加工
し、容量500mlのPETボトル(高さ210mm、
1辺60mmの角型)100個に嵌合し、長さ3m、入
口温度90℃、出口温度95℃のスチームトンネル中を
通過時間5秒で通過させることによりPETボトルに密
着させた。シュリンクラベルの装着状態を目視で評価し
た結果を表1に示すが、PETボトル100個中、収縮
むらが6個、波打ちが4個、折れ曲がりが2個発生し、
装着状態は極めて不良であった。
【0027】(比較例4)ポリエチレンテレフタレート
(三菱レイヨン社製、「ダイヤナイト」)68重量%と
ポリメチルペンテン(三井化学社製、「TPX」)30
重量%及びポリエチレングリコール2重量%を混合分散
せしめた原料を、真空ベント式二軸押出機に供給し、2
70℃で溶融した後、水中に吐出し、ペレタイザーでカ
ッテイングしてマスターバッチペレットを製造した。該
マスターバッチペレット6重量%と、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂(三菱レイヨン社製、「ダイヤナイ
ト」)94重量%とを、ブレンダーで混合分散せしめ、
共押出製膜設備の主真空ベント式二軸押出機に供給し、
270℃で溶融する以外は、実施例1と全く同じにして
未延伸シートを得た。この未延伸シートを縦延伸機に供
給して81℃で1.1倍に延伸した後、85℃に加熱し
たテンターに導いて、4.8倍に横延伸した後、82℃
で熱処理して巻取機でロール状に巻取った。得られたフ
ィルムの全厚さは50μm、両表面層の厚さは各々7μ
mであった。また、80℃における横方向の熱収縮率は
46%、縦方向の熱収縮率は3%、100℃における横
方向の熱収縮率は74%、縦方向の熱収縮率は6%であ
った。また、見かけ比重が1.27であった。このフィ
ルムをグラビア印刷機にかけて、文字及び図柄を印刷し
た上で、円筒状のシュリンクラベル(直径70mm、長
さ160mm)に加工し、容量500mlのPETボト
ル(高さ210mm、1辺60mmの角型)100個に
嵌合し、長さ3m、入口温度90℃、出口温度95℃の
スチームトンネル中を通過時間5秒で通過させることに
よりPETボトルに密着させた。シュリンクラベルの装
着状態を目視で評価した結果を表1に示すが、PETボ
トル100個中、密着不足、収縮むら、しわ、波打ち、
折れ曲がり、フィルム裂けが1個もなく、装着状態は極
めて良好であった。その後、シュリンクラベルを装着し
たままのPETボトルを粉砕機にかけて細片に粉砕し、
風飛分級機でPETボトルの樹脂片とシュリンクラベル
の樹脂片を分別するテスト評価を行った。その結果、P
ETボトルの樹脂片とシュリンクラベルの樹脂片がを各
々70%と30%及び30%と70%の2つの固まりに
しか分別できなかった。
【0028】(実施例2)両表面層に、ジカルボン酸成
分としてテレフタル酸100モル%と、ジオール成分と
してエチレングリコール65モル%及びシクロヘキサン
ジメタノール35モル%からなる極限粘度0.78dl
/gの共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカル
社製、「EASTERコポリエステル」)90重量%
と、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸75モル%と
イソフタル酸25モル%及びジオール成分として1,4
ブタンジオール100モル%からなる極限粘度0.76
dl/gの共重合ポリエステル樹脂(ウインテックボリ
マ社製、「ジュラネックス600KP」)10重量%を
混合して用いた以外は、実施例1と全く同じにして未延
伸シートを得た。この未延伸シートを縦延伸機に供給し
て80℃で1.1倍に延伸した後、84℃に加熱したテ
ンターに導いて、4.8倍に横延伸した後、82℃で熱
処理して巻取機でロール状に巻取った。得られたフィル
ムの全厚さは40μm、両表面層の厚さは各々5μmで
あった。また、80℃における横方向の熱収縮率は43
%、縦方向の熱収縮率は2%、100℃における横方向
の熱収縮率は68%、縦方向の熱収縮率は4%であっ
た。また、見かけ比重が0.80であった。このフィル
ムをグラビア印刷機にかけて、文字及び図柄を印刷した
上で、円筒状のシュリンクラベル(直径70mm、長さ
160mm)に加工し、容量500mlのPETボトル
(高さ210mm、1辺60mmの角型)100個に嵌
合し、長さ3m、入口温度90℃、出口温度95℃のス
チームトンネル中を通過時間5秒で通過させることによ
りPETボトルに密着させた。シュリンクラベルの装着
状態を目視で評価した結果を表1に示すが、PETボト
ル100個中、密着不足、収縮むら、しわ、波打ち、折
れ曲がり、フィルム裂けが1個もなく、装着状態は極め
て良好であった。その後、シュリンクラベルを装着した
ままのPETボトルを粉砕機にかけて細片に粉砕し、風
飛分級機でPETボトルの樹脂片とシュリンクラベルの
樹脂片を分別するテスト評価を行った。その結果、PE
Tボトルの樹脂片とシュリンクラベルの樹脂片を各々1
00%分別できた。
【0029】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られた熱収縮
性ポリエステル系フィルムは、被装着体に加熱装着する
際に、密着不足、収縮むら、しわ、波打ち、折れ曲が
り、フィルム裂けなどが生じることがない。従って、包
装材、ラベル、キャップシール、電気絶縁材など広い分
野のシュリンクラベルの材料として、好適に用いること
ができる。その上、本発明の製造方法により得られた熱
収縮性ポリエステル系フィルムを用いたシュリンクラベ
ルを装着したままのPETボトルを粉砕機にかけて細片
に粉砕し、PETボトルの樹脂とシュリンクラベルの樹
脂片を分別して回収再使用する際に、効率良く分別する
ことが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 Fターム(参考) 4F100 AK01A AK42A AK42B AK42C AL01A AL01B AL01C AL05A BA03 BA07 BA10B BA10C DJ02A EJ373 GB15 JA03 JA13 JB16A JK03 JL13 YY00A YY00B YY00C 4F210 AA24 AE01 AG01 AG03 AG20 QC06 QW05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸を主体とするジカルボン酸
    成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオー
    ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
    シクロヘキサンジメタノールから選ばれた少なくとも1
    種のジオール成分とからなるポリエステル系樹脂に、該
    ポリエステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を混合分散
    した中心層と、テレフタル酸を主体とするジカルボン酸
    成分と、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
    ール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ
    ールから選ばれた少なくとも1種とエチレングリコール
    のジオール成分とからなる共重合ポリエステル系樹脂の
    両表面層とから形成された複層フィルムを、共押出成形
    により製膜した後、少なくとも一軸に延伸配向すること
    により中心層の内部に微細なボイドを多数形成し、か
    つ、フィルムの一方向の80℃における熱収縮率が40
    %以上、それと直交する方向の80℃における熱収縮率
    が6%以下、フィルムの一方向の100℃における熱収
    縮率が65%以上、それと直交する方向の100℃にお
    ける熱収縮率が8%以下の熱収縮特性を有することを特
    徴とする熱収縮性ポリエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 両表面層を形成する共重合ポリエステル
    系樹脂として50モル%以上70モル%未満のエチレン
    テレフタレート成分を含み、かつ、1,4−ブタンジオ
    ール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
    ル、シクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種のジ
    オール成分を含むことを特徴とする請求項1記載の熱収
    縮性ポリエステルフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 両表面層のそれぞれの厚みが3〜15μ
    m、全フィルム厚みが20〜75μmであることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステルフ
    ィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 中心層に、ポリエステル系樹脂に非相溶
    の熱可塑性樹脂を3〜17重量%混合分散し、少なくと
    も一軸に延伸配向することにより中心層の内部に微細な
    ボイドを多数形成せしめ、全フィルムの見かけ比重が
    1.02以下であることを特徴とする請求項1記載の熱
    収縮性ポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 テレフタル酸を主体とするジカルボン酸
    成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオー
    ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
    シクロヘキサンジメタノールから選ばれた少なくとも1
    種のジオール成分とからなるポリエステル系樹脂に、該
    ポリエステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を混合分散
    した中心層と、テレフタル酸を主体とするジカルボン酸
    成分と、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
    ール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ
    ールから選ばれた少なくとも1種とエチレングリコール
    のジオール成分とからなる共重合ポリエステル系樹脂の
    両表面層とから形成された複層フィルムを、少なくとも
    一軸に延伸配向することにより中心層の内部に微細なボ
    イドを多数形成され、かつ、フィルムの一方向の80℃
    における熱収縮率が40%以上、それと直交する方向の
    80℃における熱収縮率が6%以下、フィルムの一方向
    の100℃における熱収縮率が65%以上、それと直交
    する方向の100℃における熱収縮率が8%以下の熱収
    縮特性を有することを特徴とする熱収縮性ポリエステル
    フィルム。
  6. 【請求項6】 両表面層を形成する共重合ポリエステル
    系樹脂として50モル%以上70モル%未満のエチレン
    テレフタレート成分を含み、かつ、1,4−ブタンジオ
    ール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
    ル、シクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種のジ
    オール成分を含むことを特徴とする請求項5記載の熱収
    縮性ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 両表面層のそれぞれの厚みが3〜15μ
    m、全フィルム厚みが20〜75μmであることを特徴
    とする請求項5又は6記載の熱収縮性ポリエステルフィ
    ルム。
  8. 【請求項8】 中心層に、ポリエステル系樹脂に非相溶
    の熱可塑性樹脂を3〜17重量%混合分散し、少なくと
    も一軸に延伸配向することにより中心層の内部に微細な
    ボイドを多数形成せしめ、全フィルムの見かけ比重が
    1.02以下であることを特徴とする請求項5記載の熱
    収縮性ポリエステルフィルム。
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