JP2003326356A - 超音波鋳造方法 - Google Patents

超音波鋳造方法

Info

Publication number
JP2003326356A
JP2003326356A JP2002134913A JP2002134913A JP2003326356A JP 2003326356 A JP2003326356 A JP 2003326356A JP 2002134913 A JP2002134913 A JP 2002134913A JP 2002134913 A JP2002134913 A JP 2002134913A JP 2003326356 A JP2003326356 A JP 2003326356A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten metal
additive
cavity
magnesium alloy
casting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002134913A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Furukawa
雄一 古川
Yoshiki Tsunekawa
好樹 恒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Gauken
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Gauken
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Gauken filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2002134913A priority Critical patent/JP2003326356A/ja
Publication of JP2003326356A publication Critical patent/JP2003326356A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術では鋳造できないものを鋳造可能と
する新たな鋳造方法を提供する。 【解決手段】 上型20に超音波振動を加えながら溶湯
から引き上げることによってキャビティ内面22に溶湯
42(カルシウムを含むマグネシウム合金の溶湯等)を
付着させる。次いで、キャビティ内面22に付着した溶
湯42に粉末状の添加物52(アルミニウム粉末等)を
接触させる。これによりキャビティ内面22に添加物5
2を取込む。上型20に超音波振動を加えながら、取込
まれた添加物52を溶融させるとともに溶湯42と混合
する。このようにして、溶融した添加物52と溶湯42
との混合溶湯をキャビティ内面22上で調製する。その
後、上型20を下型と型合わせして、その型合わせによ
り形成された鋳造空間に混合溶湯を閉じ込め、冷却して
固体化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、従来の鋳造技術
では鋳造困難な材料を使って鋳造することを可能とする
技術に関する。
【0002】
【従来の技術】 難燃性マグネシウム合金はカルシウム
を多く含んでおり、溶湯の粘性が高くて流動性が低い。
したがって鋳造型に充填しづらい。キャビティの形状に
よってはキャビティを充填することができない。すなわ
ち、難燃性マグネシウム合金で鋳造する場合には、鋳造
品の形状が制約され、鋳造品の形状によっては鋳造する
ことができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 上記に例示したよう
に、鋳造型内のキャビティに溶湯を圧送して鋳造する従
来の技術では鋳造不能な場合がある。本発明は、従来技
術では鋳造できないものを鋳造可能とする新たな鋳造方
法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段と作用】 本発明者らは超
音波鋳造方法を発明した。その技術の詳細は特開200
0−238041号公報に記載されている。超音波鋳造
方法では、超音波を利用して鋳造型のキャビティ内面に
溶湯を付着させるために、鋳造型内のキャビティに溶湯
を圧送することができない材料でも鋳造することが可能
となる。例えば、カルシウムを多く含んでいるために流
動性が低く、キャビティの形状によってはキャビティに
圧送することができない難燃性マグネシウム合金を使っ
た鋳造が可能となる。しかしながら、それだけではまだ
問題があることを発見した。
【0005】マグネシウム合金は、軽くて剛性が高いこ
とを特徴とする。その高い剛性を得るために、マグネシ
ウム合金に塑性加工を施すと加工硬化現象が得られるこ
とを利用することができる。軽くて剛性が高いマグネシ
ウム合金製品を製造するために用いられる鋳造品は、そ
の鋳造の後に塑性加工しやすいことが必要とされる。マ
グネシウムまたはマグネシウム合金(以下、これらを併
せてマグネシウム合金ということもある。)の溶湯に、
アルミニウムまたは亜鉛の溶湯を添加した溶湯を利用し
て鋳造すると、マグネシウム合金の鋳造品が塑性加工し
やすくなることが知られている。
【0006】そこで、鋳造型に超音波振動を加えなが
ら、マグネシウム合金の溶湯にアルミニウムまたは亜鉛
の溶湯を添加した溶湯(混合溶湯)から引き上げること
によって、この混合溶湯をキャビティ内面に付着させ、
それを冷却して固体化する技術を試みた。それでも良質
な鋳造品は得られなかった。本発明者らの研究によっ
て、マグネシウム合金の溶湯にアルミニウムまたは亜鉛
の溶湯を添加する際に十分に混合することが困難であ
り、それが原因となって鋳造品に問題が残ることを突き
止めた。
【0007】本発明は、その研究に基づいて発明された
ものであり、先に挙げた例でいえば、鋳造型に超音波振
動を加えながらマグネシウム合金の溶湯から引き上げ、
次いで、鋳造型のキャビティ内面に付着したマグネシウ
ム合金の溶湯(付着溶湯)をアルミニウムまたは亜鉛等
の添加物(溶融していてもよく固体状態でもよい)に接
触させるようにした。その後、鋳造型を型合わせしてキ
ャビティを形成し、そのキャビティに充填された溶湯お
よび溶融した添加物を冷却して固体化することにより鋳
造品を製造するようにした。このとき、キャビティ内面
に付着した溶湯を固体状態の添加物に接触させた場合に
は、取込まれた添加物をいったん溶融させてから、溶融
した添加物を付着溶湯とともに固体化することにした。
【0008】この方法によると種々のことが可能とな
る。第一に、超音波振動を利用してキャビティ内面に溶
湯を付着させることから、溶湯の種類(流動性等の性
質)の制約を受けにくい。このため多種類の溶湯を利用
することができる。また、キャビティ内面に付着した溶
湯(付着溶湯)に添加物を接触させて取込むときに、溶
湯の材料、添加物の材料、超音波のパワーやその印加時
間等を適切に選択あるいは設定することによって、付着
溶湯と添加物の混合状態を調整することができる。例え
ば、それらを均一に混合することが必要なら均一に混合
して固体化することができ、多層に分離した状態で固体
化することが必要なら多層に分離した状態を維持しなが
ら鋳造することができる。ここで、「キャビティ内面に
付着した溶湯に添加物を接触させて取込む」とは、その
付着溶湯の内部まで添加物が取込まれた状態と、主とし
て付着溶湯の表面に添加物が存在(偏在)している状態
との双方を含む意味である。
【0009】本鋳造方法によって、従来の鋳造技術では
実現できない様々な鋳造が可能となる。例えば、鋳造型
(キャビティ内面)に付着して引き上げられる溶湯がカ
ルシウムを含有するマグネシウム合金の溶湯である場合
にも、種々の形状のキャビティにその溶湯を行き渡らせ
て良好な鋳造品を得ることができる。本鋳造方法は、流
動性が低いために従来の鋳造方法では製造可能な形状が
限定されるような組成の溶湯、例えばカルシウムを比較
的多く含む(典型的には、そのマグネシウム合金全体に
対してカルシウム0.5〜15質量%、好ましくは1〜
10質量%を含有する)難燃性マグネシウム合金の溶湯
の鋳造に対して特に好ましく採用される。
【0010】かかる鋳造方法を適用してカルシウムを含
有するマグネシウム合金の鋳造を行うにあたり、好まし
く採用される添加物としては、そのマグネシウム合金の
冷却後における塑性加工性を改善する金属が挙げられ
る。このような金属を取込ませて、典型的には超音波振
動を加えることにより、あらかじめキャビティ内面に付
着していた溶湯(付着溶湯)とその添加物をキャビティ
内面上にて十分に混合することができる。鋳造型を型合
わせしてキャビティを形成し、そのキャビティに充填さ
れた混合物(溶湯と、取込前または取込後に溶融した添
加物との混合物)を冷却・固体化することにより、塑性
加工性に優れた鋳造品(したがって、塑性加工により加
工硬化させて剛性の高いマグネシウム合金製品を製造す
るために適した鋳造品)が得られる。鋳造品に含ませる
添加物の割合は、その鋳造品に含まれるカルシウムの質
量の0.1〜5倍(より好ましくは0.5〜3倍)とな
る割合とすることが好ましい。かかる組成範囲となる量
の添加物を取込ませて混合することにより、特に塑性加
工性(加工硬化性)に優れた鋳造品が得られる。
【0011】マグネシウム合金の塑性加工性を改善し得
る金属の例としては、アルミニウム、亜鉛、リチウム等
(好ましくはアルミニウム)が挙げられる。これらの金
属(添加物)は、粉末(添加物粉末)等の固体状態で付
着溶湯に接触させてもよく、溶湯(添加物溶湯)の状態
で付着溶湯に接触させてもよい。固体状態の添加物を接
触させる(キャビティ内面に取込ませる)場合には、そ
の添加物をキャビティ内面上にて溶融させた後に、その
溶融した添加物と付着溶湯とをキャビティに充填して冷
却・固体化することが好ましい。
【0012】キャビティ内面に添加物を取込んだ後、そ
の添加物が付着溶湯に混合されるまで超音波振動を加
え、次いで固体化することができる。固体状態(典型的
には粉末状)の添加物を取込ませる場合には、その添加
物がキャビティ内面上にて溶融されるとともに付着溶湯
に混合されるまで超音波振動を加えた後、溶融した添加
物と付着溶湯の混合物(混合溶湯)を冷却して固体化す
る。かかる態様により製造される鋳造品の好適例として
は、マグネシウム合金(例えば、カルシウムを含有する
マグネシウム合金)と、この合金に添加されたアルミニ
ウムおよび/または亜鉛が概ね均一に混ざった鋳造品が
挙げられる。
【0013】あるいは、キャビティ内面に添加物を取込
んだ後、その添加物の溶融物が付着溶湯の表面に層をな
している状態で溶湯および添加物を固体化してもよい。
固体状態(典型的には粉末状)の添加物を取込ませる場
合には、その添加物を付着溶湯の表面上にて溶融させた
後に固体化する。このような態様により製造される鋳造
品の好適例としては、マグネシウム合金(例えば、カル
シウムを含有するマグネシウム合金)の表面に鉄または
鉄合金の層が形成された鋳造品が挙げられる。
【0014】本発明の鋳造方法において最初にキャビテ
ィ内面に付着させる溶湯としては、上述のようなカルシ
ウムを含有するマグネシウム合金(典型的には難燃性マ
グネシウム合金)のほか、実質的にカルシウムを含有し
ないマグネシウム合金(典型例としてはAZ91D)、
アルミニウム合金(典型例としてはADC12)等の種
々の金属を用いることができる。また、添加物は上述し
たアルミニウムおよび亜鉛に限定されず、種々の金属材
料、無機材料、有機材料を用いることができる。これら
のうち、キャビティ内面上において付着溶湯とともに溶
融状態となり得る添加物が好ましく用いられる。
【0015】
【発明の実施の形態】 この発明は、また、下記の形態
で実施することを特徴とする。
【0016】(形態1)キャビティ内面に添加物を取込
む工程は、鋳造型に超音波振動を加えながら行う。これ
により、付着溶湯と添加物との界面が活性化されて、付
着溶湯の表面に添加物が付着しやすくなる。したがって
キャビティ内面への添加物の取込みが促進される。ま
た、この超音波加振によって付着溶湯と添加物の攪拌混
合および/または化学反応が促進される。このことによ
って、キャビティ内面上において目的とする材質を短時
間で調製することが可能となる。
【0017】(形態2)キャビティ内面に付着した溶湯
を、固体状(典型的には粉末状)の添加物に接触させ
て、その添加物をキャビティ内面に取込む。このように
添加物を固体状態で取込むことにより、取込み前の添加
物を溶融状態に維持しておくためのエネルギーを節約す
ることができる。固体状態の添加物を取込んだ後、この
添加物を一旦溶融させてから、型合わせにより形成され
たキャビティにおいて付着溶湯とともに冷却・固体化す
る。固体状態で取込んだ添加物を一旦溶融させることに
より、付着溶湯と添加物をより均一に混合することがで
きる。この混合物を冷却して固体化することで均一性に
優れた鋳造品が得られる。また、溶融した添加物が溶湯
表面に層をなしている状態で固体化する場合にも、付着
溶湯から形成された層と、付着溶湯の表面で溶融して層
をなしていた添加物から形成された層との界面の密着性
(接合強度)に優れた鋳造品が得られる。
【0018】(形態3)キャビティ内面に付着した溶湯
を、溶融状態にある添加物に接触させて取込む。かかる
溶融状態の添加物の取込みは、例えば、溶湯から引き上
げるときに加える超音波のパワーよりも大きなパワーで
鋳造型を超音波加振しながら、その鋳造型のキャビティ
内面にある付着溶湯を溶融状態にある添加物に接触させ
ることにより行うことができる。このように状融状態の
添加物を取込むことにより、溶融した添加物と付着溶湯
とを速やかに混合することができる。あるいは、溶融し
た添加物の層を付着溶湯の表面に速やかに形成すること
ができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の鋳造方法を適用して鋳造品を
作製する実施例につき説明する。それらの実施例で使用
した鋳造装置の概略構成を図1に示す。図示するよう
に、超音波加振器10は、一体化された振動子12およ
びホーン14と、振動子12に接続された超音波発振源
16とを備える。ホーン14は上型20に固定されてお
り、これにより振動子12、ホーン14および上型20
は一体的に上下動可能に設けられている。
【0020】この鋳造装置はさらに、製造目的たる鋳造
品の主構成材料である金属の溶湯42を保持する溶湯槽
40と、粉末(固体)状態の添加物52を保持する添加
物槽50とを備える。油圧ピストン等を用いて、振動子
12、ホーン14とともに上型20を上下に移動させる
ことにより、上型20を溶湯42に沈めたり引き上げた
りすることができる。また、添加物槽50に収容された
添加物52に上型20の下面を押付けたり引き上げたり
することができる。
【0021】<第一実施例>本実施例は、図1に示す構
成の鋳造装置を用いて、難燃性マグネシウム合金にアル
ミニウムを添加した材料からなる鋳造品を製造した例で
ある。ここで、溶湯42としては、マグネシウム合金A
Z91(Mg−Al−Zn系合金)100質量部に対し
て6質量部のカルシウムを含有する難燃性マグネシウム
合金を用いた。また、添加物52としてはアルミニウム
粉末を用いた。
【0022】図2に示すように、溶湯槽40内には所定
温度に維持された難燃性マグネシウム合金の溶湯42が
保持されている。この溶湯42に、超音波振動を加えな
がら上型20を沈めた。引き続き超音波振動を加えなが
ら上型20を溶湯42から引き上げた。これにより、図
3に示すように、上型20の下面に形成されたキャビテ
ィ内面22に溶湯42の一部が付着して(吸引されて)
引き上げられた。
【0023】上型20の超音波振動を維持しながら、図
4に示すように、添加物槽50内に上型20を降下させ
た。そして、キャビティ内面22にある溶湯(付着溶
湯)42を添加物52に接触させて、キャビティ内面2
2に所定量の添加物52を取込ませた。このとき取込ま
せる添加物(アルミニウム)の質量は、キャビティ内面
22に付着した溶湯42(難燃性マグネシウム合金)に
含まれるカルシウムの質量の1.5倍とした。図5に示
すように、添加物52から上型20を引き上げ、引き続
き上型20に超音波振動を加えることにより、キャビテ
ィ内面22に取込まれた添加物52を溶融させるととも
に溶湯42と混合させた。このようにして、図6に示す
ように、キャビティ内面22上で、混合溶湯44(溶融
した添加物52と付着溶湯42との混合物)を調製し
た。
【0024】図7に示すように、キャビティ内面22に
混合溶湯44が取込まれた上型20を下型30に押付け
た(型合わせした)。これにより、上型20と下型30
との間に画定されたキャビティC(鋳造空間)に混合溶
湯44を閉じ込め(充填し)、この状態で混合溶湯44
を冷却して固体化した。このとき、上型20の超音波振
動は、混合溶湯44が固体化しはじめるまで(固体化の
初期まで)継続して行い、その後は停止させた。
【0025】固体化の終了後、図8に示すように型を開
き、上型20に再び超音波振動を加えながら、混合溶湯
44が固体化して形成された鋳造品46を上型20から
取り外した。このようにして、難燃性マグネシウム合金
にアルミニウム(添加物)が概ね均一に混合された鋳造
品46を製造した。得られた鋳造品は、成形不良等のな
い良質なものであった。また、この鋳造品を別のプレス
装置ににセットして塑性加工(ここではプレス成形)を
施したところ、加工硬化現象が起こり、さらに剛性の向
上した鋳造品(鋳造硬化品)とすることができた。
【0026】本実施例により、流動性の低い難燃性マグ
ネシウム合金の溶湯から良質な鋳造品が得られた。この
鋳造品は、難燃性マグネシウム合金と添加物(アルミニ
ウム)とが十分に混合された溶湯(混合溶湯)を冷却固
化させて形成されたものであることから、塑性加工を施
すことにより効果的に剛性を向上させることができた。
このように溶湯(ここでは難燃性マグネシウム合金)お
よび添加物粉末(ここではアルミニウム粉末)をキャビ
ティ内面に順次吸引させ、このキャビティ内面上で添加
物粉末を溶融させることによって、添加物と溶湯とが高
度に均一化された混合溶湯を調製することができる。こ
の混合溶湯をキャビティに充填して固体化することによ
り、均一性の高い(塑性加工による剛性向上に適した)
鋳造品を得ることができる。その鋳造品の均一性は、あ
らかじめ添加物が混合された溶湯(例えば、難燃性マグ
ネシウム合金にアルミニウムを添加した溶湯)に上型を
沈めて引き上げる場合と比較して、同等あるいはむしろ
向上したものとなり得る。
【0027】本実施例のように、キャビティ内面の下側
が開放された状態で(型合わせの前に)上型に超音波振
動を加えることにより、キャビティ内面に取込まれた混
合溶湯に含まれるガスが抜けやすくなる。これにより、
気泡の少ない(よくガス抜きされた)混合溶湯をキャビ
ティ(鋳造空間)に供給することができるので鋳造品の
品質が向上する。混合溶湯をキャビティに閉じ込めた
後、その固体化の初期まで超音波加振を継続することに
よって、金属結晶の緻密度が向上する(結晶粒の粒径が
微細化する)こと、ガスが抜けやすくなること等によっ
て、鋳造品の品質をさらに向上させることができる。こ
のように、超音波振動条件(超音波のパワーや振動させ
るタイミング)を調節することによって、鋳造品を構成
する結晶粒の状態を制御することができる。
【0028】なお、上記実施例では固体化の初期まで超
音波加振を行った後に加振を停止したが、固体化がさら
に進行するまで超音波加振を継続してもよい。また、上
型の型合わせの際における下型の温度が低くなると、得
られる鋳造品において、この下型近傍の結晶粒が微細化
される(組織が緻密化する)傾向にある。したがって、
この下型の温度によっても鋳造品の(特にその下型側表
面付近の)結晶粒の状態を制御することができる。
【0029】<第二実施例>上記第一実施例では、あら
かじめ調製された難燃性マグネシウム合金の溶湯を溶湯
槽内に用意し、この難燃性マグネシウム合金の溶湯に上
型を沈めて引き上げた。以下に説明する第二実施例は、
難燃性マグネシウム合金の溶湯をキャビティの内面で調
製した鋳造例である。
【0030】溶湯槽内にマグネシウム合金AZ91の溶
湯を用意し、この溶湯に上型を沈めて超音波振動を加え
ながら引き上げることによって、キャビティ内面にマグ
ネシウム合金AZ91の溶湯を付着させた。次いで、上
型の超音波振動を維持しつつ、この付着溶湯に添加物と
してのカルシウムを接触させてキャビティ内面に取込ん
だ。引き続き上型に超音波振動を加えて、取込まれたカ
ルシウムを超音波振動により付着溶湯(マグネシウム合
金AZ91の溶湯)と攪拌混合した。このようにして、
キャビティ内面上にて難燃性マグネシウム合金の溶湯を
調製した。以後の工程は上述した第一実施例と同様に行
うことにより、難燃性マグネシウム合金にアルミニウム
が混合された鋳造品が得られた。得られた鋳造品は、成
形不良等のない良質なものであった。また、第一実施例
と同様に、塑性加工によりその硬度をさらに向上させる
ことができた。
【0031】なお、本実施例のように上型のキャビティ
内面上にて難燃性マグネシウム合金の溶湯を調製した
後、その調製された難燃性マグネシウム合金の溶湯を、
上型と下型を型合わせして形成されたキャビティに充填
し、このキャビティ内で冷却固体化することにより、難
燃性マグネシウム合金の鋳造品を製造することができ
る。かかる鋳造方法によると、カルシウムを添加する前
のマグネシウム合金の溶湯(カルシウム添加後に比べて
流動性が高い)を上型のキャビティ内面に付着させた後
に、キャビティ内面に付着したマグネシウム合金に対し
てカルシウムを添加するので、難燃性マグネシウム合金
の溶湯をキャビティ内面に十分に行き渡らせやすい。こ
れにより、型合わせによって形成されたキャビティ(鋳
造空間)の隅々まで難燃性マグネシウム合金の溶湯を充
填することができるので、種々の形状の鋳造品を良好に
製造することができる。
【0032】<第三実施例>本実施例では、第一実施例
と同様の構成を有する鋳造装置を使用し、添加物として
アルミニウム粉末に代えて亜鉛粉末を用いた。また、付
着溶湯に取込ませる亜鉛粉末の質量は、難燃性マグネシ
ウム合金に含まれるカルシウムの質量の1.2倍とし
た。その他の点については第一実施例と同様にして鋳造
を行ったところ、成形不良等のない良質な鋳造品が得ら
れた。この鋳造品を別のプレス装置ににセットして塑性
加工(ここではプレス成形)を施したところ、加工硬化
現象が起こり、さらに剛性の向上した鋳造品(製品)と
することができた。
【0033】<第四実施例>本実施例は、第一実施例と
同様の構成を有する鋳造装置を使用して、添加物が表面
付近に偏在している鋳造品を製造した例である。ここ
で、溶湯としては第一実施例と同様に難燃性マグネシウ
ム合金を用いた。また、付着溶湯に接触させる添加物と
しては、第一実施例と同様のアルミニウム粉末と、鉄粉
末との二種類を用いた。鋳造品の製造にあたっては、こ
れら二種類の添加物を別々の添加物槽内に用意した。
【0034】まず、図2および図3に示すように、上型
20に超音波振動を加えながら、難燃性マグネシウム合
金の溶湯42に沈めて引き上げた。次に、図4〜図6に
示すように、上型20の超音波振動を維持しながら、キ
ャビティ内面22に付着した溶湯42を添加物52に接
触させて所定量(例えば、難燃性マグネシウム合金に含
まれるカルシウムの質量の1.5倍)の添加物52を取
込ませた。引き続き超音波振動を加えることにより、図
6に示すように、溶融した添加物52と溶湯(付着溶
湯)42との混合溶湯44を調製した。ここまでの工程
は第一実施例と同様にして行った。
【0035】図9に示すように、キャビティ内面22上
に混合溶湯44と有する上型20を、粉末状の添加物6
2(ここでは鉄粉末)を収容した添加物槽60に降下さ
せた。これにより混合溶湯44を添加物62に接触させ
た。上型20を引き上げ、ここで超音波のパワーやその
印加時間等を調節することにより、混合溶湯44の表面
に付着して引き上げられた添加物62を溶融させるとと
もに、図10に示すように、溶融した添加物62(鉄の
溶湯)が混合溶湯44の表面に層をなすようにした。こ
の状態で型合わせを行って、混合溶湯44およびその表
面に層をなしている溶融した添加物62をキャビティに
充填した。これを固体化して、図11に示すように、難
燃性マグネシウム合金にアルミニウムが添加された材料
を主体とする基体64を有し、その基体64の表面に鉄
を主体とする添加物層66が形成された鋳造品を製造し
た。得られた鋳造品は、成形不良等のない良質なもので
あった。
【0036】以上、本発明の具体例を詳細に説明した
が、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定する
ものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上
に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれ
る。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、
単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性
を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせ
に限定されるものではない。また、本明細書または図面
に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであ
り、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的
有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の鋳造方法に用いられる鋳造装置の概
略構成の一例を示す説明図である。
【図2】 上型を溶湯に沈めた状態を例示する説明図で
ある。
【図3】 上型を溶湯から引き上げた状態を例示する説
明図である。
【図4】 キャビティ内面に付着した溶湯を添加物に接
触させた状態を例示する説明図である。
【図5】 キャビティ内面に添加物が取込まれた状態を
例示する説明図である。
【図6】 溶融した添加物と付着溶湯が混合した状態を
例示する説明図である。
【図7】 キャビティ内面に取込まれた溶湯と添加物を
鋳造空間に閉じ込めた状態を例示する説明図である。
【図8】 鋳造品を離型する状態を例示する説明図であ
る。
【図9】 混合溶湯を添加物に接触させた状態を例示す
る説明図である。
【図10】 混合溶湯の表面に溶融した添加物の層が形
成された状態を例示する説明図である。
【図11】 得られた鋳造品を例示する模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
10:超音波加振器 20:上型(鋳造型) 22:キャビティ内面 30:下型 42:溶湯 44:混合溶湯 46:鋳造品 52,62:添加物 64:基体 66:添加物層 C :キャビティ(鋳造空間)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 恒川 好樹 愛知県名古屋市天白区久方1丁目12番地1 豊田工業大学内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造型に超音波振動を加えながら溶湯か
    ら引き上げることによってキャビティ内面に溶湯を付着
    させる工程、 キャビティ内面に付着した溶湯に添加物を接触させてそ
    の添加物を取込む工程、 その鋳造型を型合わせする工程、および、 型合わせにより形成されたキャビティに充填された溶湯
    と溶融した添加物とを冷却して固体化する工程を具備す
    る超音波鋳造方法。
  2. 【請求項2】 前記溶湯が、カルシウムを含有するマグ
    ネシウム合金の溶湯であることを特徴とする請求項1に
    記載の超音波鋳造方法。
  3. 【請求項3】 前記添加物が、冷却後のマグネシウム合
    金の塑性加工性を改善する金属の溶湯または粉末である
    ことを特徴とする請求項2に記載の超音波鋳造方法。
  4. 【請求項4】 前記添加物が、アルミニウムまたは亜鉛
    の溶湯または粉末であることを特徴とする請求項2に記
    載の超音波鋳造方法。
  5. 【請求項5】 前記添加物が溶湯に混合されるまで超音
    波振動を加え、次いで固体化することを特徴とする請求
    項1から4のいずれか一項に記載の超音波鋳造方法。
  6. 【請求項6】 溶融した添加物が溶湯表面に層をなして
    いる状態で固体化することを特徴とする請求項1から4
    のいずれか一項に記載の超音波鋳造方法。
JP2002134913A 2002-05-10 2002-05-10 超音波鋳造方法 Pending JP2003326356A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002134913A JP2003326356A (ja) 2002-05-10 2002-05-10 超音波鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002134913A JP2003326356A (ja) 2002-05-10 2002-05-10 超音波鋳造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003326356A true JP2003326356A (ja) 2003-11-18

Family

ID=29697375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002134913A Pending JP2003326356A (ja) 2002-05-10 2002-05-10 超音波鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003326356A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006003899A1 (ja) * 2004-06-30 2006-01-12 Sumitomo Electric Industries, Ltd. マグネシウム合金材の製造方法
US9327347B2 (en) 2008-03-05 2016-05-03 Southwire Company, Llc Niobium as a protective barrier in molten metals
US9382598B2 (en) 2010-04-09 2016-07-05 Southwire Company, Llc Ultrasonic device with integrated gas delivery system
US9481031B2 (en) 2015-02-09 2016-11-01 Hans Tech, Llc Ultrasonic grain refining
US9528167B2 (en) 2013-11-18 2016-12-27 Southwire Company, Llc Ultrasonic probes with gas outlets for degassing of molten metals
US9617617B2 (en) 2010-04-09 2017-04-11 Southwire Company, Llc Ultrasonic degassing of molten metals
US10022786B2 (en) 2015-09-10 2018-07-17 Southwire Company Ultrasonic grain refining
US10233515B1 (en) 2015-08-14 2019-03-19 Southwire Company, Llc Metal treatment station for use with ultrasonic degassing system
CN113523184A (zh) * 2021-06-08 2021-10-22 上海航天精密机械研究所 一种镁合金砂型铸造方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006003899A1 (ja) * 2004-06-30 2006-01-12 Sumitomo Electric Industries, Ltd. マグネシウム合金材の製造方法
JPWO2006003899A1 (ja) * 2004-06-30 2008-04-17 住友電気工業株式会社 マグネシウム合金材の製造方法
US7841380B2 (en) 2004-06-30 2010-11-30 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Producing method for magnesium alloy material
JP4678373B2 (ja) * 2004-06-30 2011-04-27 住友電気工業株式会社 マグネシウム合金材の製造方法
US9943904B2 (en) 2004-06-30 2018-04-17 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Producing method for magnesium alloy material
US9327347B2 (en) 2008-03-05 2016-05-03 Southwire Company, Llc Niobium as a protective barrier in molten metals
US9617617B2 (en) 2010-04-09 2017-04-11 Southwire Company, Llc Ultrasonic degassing of molten metals
US9382598B2 (en) 2010-04-09 2016-07-05 Southwire Company, Llc Ultrasonic device with integrated gas delivery system
US10640846B2 (en) 2010-04-09 2020-05-05 Southwire Company, Llc Ultrasonic degassing of molten metals
US9528167B2 (en) 2013-11-18 2016-12-27 Southwire Company, Llc Ultrasonic probes with gas outlets for degassing of molten metals
US10316387B2 (en) 2013-11-18 2019-06-11 Southwire Company, Llc Ultrasonic probes with gas outlets for degassing of molten metals
US9481031B2 (en) 2015-02-09 2016-11-01 Hans Tech, Llc Ultrasonic grain refining
US10441999B2 (en) 2015-02-09 2019-10-15 Hans Tech, Llc Ultrasonic grain refining
US10233515B1 (en) 2015-08-14 2019-03-19 Southwire Company, Llc Metal treatment station for use with ultrasonic degassing system
US10022786B2 (en) 2015-09-10 2018-07-17 Southwire Company Ultrasonic grain refining
US10639707B2 (en) 2015-09-10 2020-05-05 Southwire Company, Llc Ultrasonic grain refining and degassing procedures and systems for metal casting
CN113523184A (zh) * 2021-06-08 2021-10-22 上海航天精密机械研究所 一种镁合金砂型铸造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4836244B2 (ja) 鋳造方法
JP5068835B2 (ja) 鋳造装置及び鋳造方法
JP5068836B2 (ja) 鋳造装置及び鋳造方法
JP4594336B2 (ja) 凝固方法
CN106238699A (zh) 通过挤压铸造或半固态金属成形和后热处理使用原位成形的增强相制作铝或镁基复合材料发动机缸体或其他零件的方法
JP2011045909A (ja) 微細結晶組織を有するAl−Si系合金、その製造方法、その製造装置及びその鋳物の製造方法
JP2003326356A (ja) 超音波鋳造方法
TW200533436A (en) Process for producing cast item
CN101234420A (zh) 超声波压缩成型铸造法及其专用设备
JP2005219121A (ja) 固液共存状態金属材料製造装置
TWI299009B (en) Injection-molded article
KR200320003Y1 (ko) 반용융 성형용 빌렛의 제조장치
US20040055727A1 (en) Method and apparatus for manufacturing billets for thixocasting
CN1480275A (zh) 一种钢铁材料半固态熔体的制备方法及装置
KR102042715B1 (ko) 최적화된 공정변수를 이용한 고품질 반응고 슬러리 제조방법
JP2001303150A (ja) 鋳造用金属粒子およびその製造方法並びに金属射出成形法
JP6132642B2 (ja) 半凝固金属スラリーの作製方法
JP2004098111A (ja) 半凝固金属及び微細球状化された組織を有する金属素材の製造方法
CN103381471A (zh) 近共晶铝硅合金半固态浆料或坯料的制备方法
JP3167854B2 (ja) アルミニウム合金の加圧鋳造方法および加圧鋳造装置
JP2004322202A (ja) 固液共存状態金属材料の成形装置
JP2004230394A (ja) レオキャスト鋳造法
JPH10128516A (ja) 半溶融金属の成形方法
JP4050093B2 (ja) 超音波成形方法
JP3339333B2 (ja) 溶融金属の成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070710

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071127