JP2003325176A - 生体物質導入用の複合微粒子、及びその製法 - Google Patents

生体物質導入用の複合微粒子、及びその製法

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JP2003325176A JP2002135559A JP2002135559A JP2003325176A JP 2003325176 A JP2003325176 A JP 2003325176A JP 2002135559 A JP2002135559 A JP 2002135559A JP 2002135559 A JP2002135559 A JP 2002135559A JP 2003325176 A JP2003325176 A JP 2003325176A
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Hideo Tsunoda
英男 角田
Tomoo Maeda
智雄 前田
Hiroshi Horikawa
洋 堀川
Rie Hashimoto
りえ 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、従来の高速微粒子を用いる遺伝子
などの生体物質の導入法(いわゆるパーティクルガン法
あるいは微粒子銃法)において、その導入効率を大幅に
改善することを目的とするものである。 【解決手段】 本発明は、遺伝子などの生体物質を細胞
に導入するために使用する磁性微粒子において、芯物質
に高密度金属又は高密度金属化合物を用い、当該芯物質
の周囲に磁性を有する金属あるいは金属化合物を配置さ
せていることを特徴とする、複合構造を有する複合微粒
子、その製造方法、及びそれを用いた生体物質を細胞に
導入する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーティクルガン
や微粒子銃などを用いて、細胞に遺伝子などの生体物質
を導入する方法、及びそれに用いる複合微粒子に関す
る。本発明の複合微粒子は、芯物質として高密度の物質
を使用し、当該芯物質の周囲に磁性を有する金属又は金
属化合物を配置している複合構造を有していることを特
徴とし、磁性を有する金属又は金属化合物を有している
ことから、磁性により本発明の複合微粒子が導入された
細胞を容易に分離・濃縮することができると共に、芯物
質として高密度の物質を使用していることから、細胞に
複合微粒子が導入されるに十分な衝撃力を得ることがで
き、高効率で細胞に目的の生体物質を導入することがで
きる。即ち、本発明は、パーティクルガンや微粒子銃な
どを用いて、細胞に遺伝子などの生体物質を導入するた
めの複合微粒子、及びそれを用いた生体物質を細胞に導
入する方法、並びにその方法により得られた遺伝子が導
入された細胞、好ましくは花粉、その花粉から得られる
植物、及び、当該植物を成育させて得られた作物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】遺伝子組換え体を作出するための方法は
種々開発されているが、Agrobacterium法は適用できる
種に制限があり、その他の方法では再分化系が確立して
いる植物にのみ利用可能である。このような宿主の制限
や組織培養の必要性を回避する手段として、遺伝子を導
入した花粉を直接受粉して形質転換種子を得る方法が提
案されている(D.Hess,1987)。
【0003】Leede-Plegt.L.M.ら(1995)は、タバ
コの成熟花粉にパーティクルガンで遺伝子を導入し、そ
の花粉を直接受粉してできた30万個の種子の中から2
個の形質転換種子を得ることに始めて成功した。このよ
うなパーティクルガンで細胞に遺伝子を導入する際に
は、金やタングステンなどの微粒子が担体として使用さ
れていたので、遺伝子が導入された細胞を選抜するため
には抗生物質等の化学物質を使用してスクリーニングを
しなければならなかった。このような化学物質によるス
クリーニングは細胞にストレスを与えるため、スクリー
ニング過程における遺伝子導入細胞の損失が大きいとい
う欠点があった。
【0004】一方、医学の分野において、磁性微粒子に
薬剤をコートして血管注射し、磁石で患部に薬剤を誘導
・集積する方法が報告されている(Akimoto,et al.,198
3)。また、本発明者は、磁気に反応する金属微粒子を
遺伝子導入の担体として使用し、遺伝子導入細胞を磁力
により選別し、遺伝子導入細胞に対してストレスを加え
ることなく遺伝子導入細胞のみを選択的にスクリーニン
グする方法を見出してきた(特許第2642025号、
特開2000−232879号)。しかし、この方法は
スクリーニングは簡便でかつ容易であったが、遺伝子な
どの導入効率が十分ではなく、より効率的に遺伝子を導
入する方法の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は花粉が本来具
備している遺伝子のベクターとしての機能を利用するこ
とができる遺伝子導入法を提供するものであり、これに
より培養をすることなく簡便かつ高効率での遺伝子組換
え植物の創製を可能とするものである。したがって、本
発明は、簡便かつ高効率な分子育種法を提供するもので
ある。より詳細には、本発明は、上記した従来の高速微
粒子を用いる遺伝子などの生体物質の導入法(いわゆる
パーティクルガン法あるいは微粒子銃法)において、導
入効率を大幅に改善することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、マグネタ
イトやニッケルなどの磁性微粒子に遺伝子を付着させた
微粒子を用いて、細胞に遺伝子を導入する方法を開発し
てきた。この方法によれば、細胞を磁気的に選択・濃縮
することが可能で、遺伝子導入効率と遺伝子組み換え効
率が大幅に向上することが示されてきたが(特許第26
42025号、特開2000−232879号)、遺伝
子の導入効率は十分ではなかった。本発明者らは、導入
効率の向上させる方法についてさらに検討してきたとこ
ろ、導入効率が低い原因としてマグネタイトやニッケル
などの磁性微粒子は密度が低く、遺伝子導入の際の細胞
に与える衝撃力が十分ではないことが挙げられることを
見出した。通常使用されている磁性体としては、磁気に
よる移動速度が大きいことから強磁性物質、例えばマグ
ネタイトなどの鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性元素
やその化合物からなる微粒子が挙げられる。これらの強
磁性物質の密度は3〜9g/cm程度であり、高密
度の強磁性物質を使用することができず、高速微粒子に
よる細胞貫通の際の物理的衝撃力が弱く、これが微粒子
導入効率が低いことの原因のひとつであることがわかっ
た。しかしながら、金(密度:19.3)やタングステ
ン(密度:19.2)などの高密度の物質は一般に磁性
が無く、強磁性であり、かつ高密度の微粒子を得ること
は困難であった。本発明は、上記した従来の問題に鑑み
てなされたもので、本発明者らは、高い密度を有する物
質を芯物質とし、その周囲に磁性を有する物質を配置し
てなる複合微粒子を用いることにより高い密度と磁性を
合わせて持った微粒子とすることができ、当該複合微粒
子を用いることにより、効率よく遺伝子を導入すること
ができ、かつ遺伝子などが導入された細胞を磁気的に選
択・濃縮することが可能となることを見出した。
【0007】即ち、本発明は、遺伝子などの生体物質を
細胞に導入するために使用する磁性微粒子において、芯
物質に高密度金属又は高密度金属化合物を用い、当該芯
物質の周囲に磁性を有する金属あるいは金属化合物を配
置させていることを特徴とする複合微粒子に関する。ま
た、本発明は、高密度金属又は高密度金属化合物の微粒
子の周囲を磁性を有する物質で処理してなる複合微粒子
の製造方法、より詳細には高密度金属又は高密度金属化
合物からなる芯物質を溶媒中に分散させて、当該溶媒中
に磁性を有する金属若しくは金属化合物又はその前駆体
化合物を添加して、芯物質の周囲に磁性を有する金属若
しくは金属化合物又はその前駆体化合物を固定化し、磁
性を有する金属又は金属化合物の前駆体化合物を用いた
場合にはさらに化学処理して磁性を有する金属若又は金
属化合物に変換することからなる前記した複合微粒子を
製造する方法に関する。さらに、本発明は、前記した複
合微粒子に生体物質を固定化させてなる生体物質が固定
化された複合微粒子を用いて、細胞に生体物質を導入す
る方法、より詳細には、前記した複合微粒子に生体物質
を固定化させてなる生体物質が固定化された複合微粒子
を用いて、パーティクルガンや微粒子銃などにより当該
複合微粒子を標的となる細胞に撃ち込み、磁気により当
該複合微粒子が導入された細胞を選択的に分離・濃縮す
ることからなる、細胞に遺伝子などの生体物質を導入す
る方法に関する。
【0008】本発明の複合微粒子は、例えば、金などの
高密度の金属又は金属化合物を芯物質とし、その周囲が
磁性を有する金属あるいはその酸化物などにより構成さ
れる、複合された組成を持つ磁性微粒子である。より具
体的には、高密度の金を芯物質とし、磁性を有する鉄や
鉄酸化物の金−鉄、金−鉄酸化物微粒子を外皮とする複
合微粒子である。本発明の複合微粒子は、高密度の金属
又は金属化合物を芯物質からなる微粒子の周囲、例えば
表面を、磁性を有する金属若しくは金属化合物又はこれ
らの前駆体化合物で処理し、芯物質の周囲に磁性を有す
る金属又は金属化合物を固着して製造することができ
る。
【0009】芯物質となる微粒子は湿式の化学反応プロ
セスあるいは真空中のドライプロセスなどの手法で製造
され得る直径0.1μmから5μm、好ましくは0.5
から1μmの球状粒子を用いることができる。芯物質と
しては、密度が10g/cm 以上、好ましくは15
g/cm以上、通常は密度が10〜30g/cm
、好ましくは15〜25g/cmの範囲の物質
であって、周囲に磁性を有する物質を固着でき、かつパ
ーティクルガンなどによる衝撃に耐える特性を有するも
のであればよい。芯物質としては、入手の容易性や加工
のしやすから通常は金属、例えば金(密度、19.3g
/cm)、タングステン(密度、19.2g/cm
)、白金(密度、21.4g/cm)、レニウ
ム(密度、21.3g/cm)などが挙げられる。
【0010】芯物質の周囲に磁性を有する金属又は金属
化合物を固着させる方法としては、メッキや蒸着などの
化学吸着、物理吸着、化学的親和力、又は化学結合など
のいずれの方法でもよい。磁性を有する金属又は金属化
合物を芯物質に直接固着することができない場合には、
まず磁性を有する金属又は金属化合物の前駆体を固着さ
せ、次いで当該前駆体を酸化や還元などの処理により磁
性を有する金属又は金属化合物に変化させて製造しても
よい。これらの磁性を有する金属又は金属化合物は、芯
物質の周囲に固着させるのであるが、芯物質の周囲とし
ては芯物質の表面であってもよいし、芯物質の内部にそ
の一部又は全部が浸透した形態であってもよい。また、
芯物質の周囲全体に固着させてもよいし、部分的に固着
させていてもよいが、磁性により遺伝子が導入された細
胞を選別できるに十分な磁力を与えられる程度に固着さ
せておく必要がある。しかし、必要以上に多量の磁性を
有する金属又は金属化合物を固着させる必要は無い。磁
性を有する金属又は金属化合物としては、鉄、Fe
などの酸化鉄、ニッケル、ニッケル化合物、コバル
ト、これらの酸化物などが挙げられる。また、これらの
金属又は金属化合物は単独で使用することもできるが、
これらの金属又は金属化合物の2種以上を混合して使用
することもできるし、他の元素や化合物を混合して使用
することもできる。ニッケルは密度が8.9g/cm
であり強磁性体としては密度が大きく、好ましい磁
性体であるが、細胞毒性が見られる場合があり、これが
細胞の活性を低下させ遺伝子組み換えの発現効率を低下
させる原因となることもあるので、細胞の種類によって
は鉄又は鉄化合物が好ましい場合もある。
【0011】本発明の複合微粒子の製造法を、芯物質と
して金を使用し、磁性を有する金属又は金属化合物とし
て鉄又は酸化鉄を使用する場合を例としてさらに具体的
に説明する。芯物質に鉄又は鉄酸化物を真空蒸着法など
のドライプロセスで固着する方法もあるが、本発明者ら
は、種々の方法を検討してきた結果、芯物質として金を
使用する場合には、鉄又は酸化鉄の前駆体として、トリ
ブトキシ鉄〔Fe(OC〕などの鉄の金属ア
ルコキシドを用いる方法が極めて効率が良いことを見出
した。まず、芯物質となる金の微粒子を界面活性剤を加
えたオクタノールなどの溶媒中に入れ、超音波照射によ
り充分分散させた。次に、トリブトキシ鉄〔Fe(OC
〕をオクタノール、又はアルコールとアセト
ニトリルの混合溶媒などの溶液として添加し、1〜2時
間還流する。溶媒中にヒドロキシプロピルセルロースな
どの分散剤をさらに添加しておいてもよい。反応後、遠
心分離などにより微粒子を回収し、得られた微粒子を乾
燥して、空気中で加熱して酸化することにより、芯物質
の金の周囲に酸化鉄が固着された本発明の複合微粒子を
製造することができる。また、遠心分離などにより回収
された微粒子を乾燥し、水素還元を行って鉄に還元する
ことにより、芯物質の金の周囲に鉄が固着された本発明
の複合微粒子を製造することができる。このようにして
得られた本発明の複合微粒子は、光学顕微鏡や走査型電
子顕微鏡により粒状を観察し、またレーザー回折式粒度
分布測定装置により粒度分布を測定し、本発明の複合微
粒子の形状や粒度を確認することができる。
【0012】このようにして得られた本発明の金−鉄複
合微粒子(密度:14.2)に、β−グルクロニダーゼ
(GUS)遺伝子を持っているプラスミドDNA(pB
I221(米国、クローンテック社製))をコーテイン
ングして、遺伝子の導入と発現実験をタバコ培養細胞を
対象として行った。尚、対照実験としてマグネタイト微
粒子(密度:5.2)を用いて同じ条件で実験を実施し
た。この結果、遺伝子の導入・発現後に回収された細胞
数は、本発明の複合微粒子の場合には3.2×10
あったが、従来のマグネタイト微粒子の場合には1.2
×10であり、本発明の複合微粒子を用いた方が約2
7倍も効率が高いことが示された。この結果から、密度
がより高くかつ磁性を有する本発明の複合微粒子の方が
遺伝子導入・発現プロセスにおいて効率が高いことが示
された。
【0013】本発明の複合微粒子は、密度が大きく細胞
貫通の際の十分な物理的衝撃力を有し、かつ磁性を有す
るために遺伝子などが導入された細胞を磁気的に選択・
濃縮することが可能となる。本発明の複合微粒子は、前
記した磁性を有する金属又は金属化合物を固着した複合
微粒子をそのまま使用してもよいが、複合微粒子の表面
をさらに高分子材料などでコーティングして使用するこ
ともできる。本発明の複合微粒子に種々の生体物質を固
定化させて、細胞内にこれを導入することができる。本
発明の複合微粒子に固定化させられる生体物質として
は、動物、植物、原生動物、微生物等の生理活性物質、
細胞内器官、生物微粒子等が挙げられ、例えば、遺伝
子、酵素、抗体、蛋白質、フェロモン、アロモン、ミト
コンドリア、ウィルス等が挙げられるが、遺伝子を固定
化して細胞に遺伝子を導入するための複合微粒子として
の使用が好ましい。固定化され細胞に導入される遺伝子
としては種々のものが使用可能であり、例えばGUS
(β−gluculonidase)遺伝子、除草剤biaraph
os耐性を有するbar遺伝子などの除草剤耐性遺伝子
などが挙げられる。遺伝子はそのまま固定化してもよい
が、好ましくは目的の遺伝子をベクターに組み込んだプ
ラスミドとして固定化するほうがよい。本発明の方法で
は、遺伝子が導入された細胞は磁気によりスクリーニン
グすることができるので、抗生物質耐性などの遺伝子を
組み込む必要はないが、これらの遺伝子が組み込まれた
プラスミドであってもよい。例えば、GUS(β−gluc
ulonidase)遺伝子を有するプラスミドpBI221
や、除草剤biaraphos耐性を有するpARK2
2(bar遺伝子)を用いることができる。
【0014】本発明の複合微粒子に遺伝子などの生体物
質を固定化させる方法としては、例えば、本発明の複合
微粒子を含有する懸濁液と生体物質の緩衝溶液とを混合
することにより、コーティングして固定化することがで
きる。本発明の複合微粒子の表面に生体物質が吸着や化
学的親和力などにより固定化されていればよい。本発明
において遺伝子などの生体物質が導入される細胞として
は、動物細胞、植物細胞、微生物などのいずれでもよい
が、植物の育種としては花粉などの植物細胞が好まし
い。本発明の生体物質が固定化された複合微粒子は、こ
れを高速で、例えば初速が毎秒50〜400m程度で、
好ましく真空又は減圧下で、生体物質が導入される細胞
に撃ち込むことにより、細胞に複合微粒子に固定化され
た生体物質を導入することができる。この方法は「パー
ティクルガン法」あるいは「微粒子銃法」と称される方
法であり、例えば、特許第3135969号明細書や米
国特許第5100792号明細書などに記載されてい
る。
【0015】本発明の方法により、本発明の生体物質が
固定化された複合微粒子が導入された細胞は磁気により
選択的に濃縮又は分離することができる。この濃縮又は
分離は、例えば、次のようにして行うことができる。例
えば、細胞を分散させた溶液を試験管等の容器に移し、
その側壁に磁石を密着させることにより、本発明の生体
物質が固定化された複合微粒子が導入された細胞を選択
的に磁化し、磁化されない溶液部分をピペット等で除く
ことにより複合微粒子が導入された細胞のみを簡便に分
離・濃縮することができる。本発明の方法は、植物細
胞、特に花粉に遺伝子を導入する方法として有用であ
り、遺伝子が導入された成熟花粉は、培養することなく
育種可能であり、本発明の方法は簡便かつ効率的な植物
の育種方法を提供するものである。また、本発明の方法
は、植物の育種のみならず、本発明の複合微粒子を用い
ることにより各種の細胞へ遺伝子を導入する方法、遺伝
子組換え体の育成の効率的な方法、生理活性物質を細胞
へ導入する方法、抗癌剤などの薬剤を細胞を導入する方
法などの各種の方法に応用することができる。
【0016】
【実施例】次に実施例により本発明をより詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0017】実施例1 芯物質として直径0.91μmの金の微粒子を用い、界
面活性剤を添加したオクタノールの入ったガラス製の四
つ口フラスコに分散させ、超音波照射により充分分散さ
せた。次に、フラスコ容器に窒素ガスを吹き込みなが
ら、撹拌速度450rpmとして、トリブトキシ鉄〔F
e(OC〕の分散剤としてヒドロキシプロピ
ルセルロースを含有するオクタノール溶液を添加した。
水を加えたオクタノール/アセトニトリル溶液を連続的
に添加し、アルコキシド濃度と水濃度比を1:6とし、
アセトニトリル50%濃度となるように調整しながら、
還流温度50〜60℃で反応を行った。約1時間で反応
は終了した。反応終了後、遠心分離により回収した微粒
子は、所定の時間真空乾燥させ、300℃で約2時間、
加熱処理を行った。得られた複合微粒子の走査型電子顕
微鏡写真を、図1に図面に変わる写真で示す。また、X
線回折の結果から、γ−Feのピークが認めら
れ、得られた複合微粒子の外皮の部分は酸化鉄であるこ
とが解った。得られた複合微粒子の外径をレーザー回折
式粒度分布測定装置により測定した。結果を図2に示
す。この結果、鉄酸化物で覆われた複合微粒子の平均の
外径は1.1μmであった。従って、この場合の複合微
粒子の密度は13.2であった。
【0018】実施例2 実施例1と同じ方法により、0.91μmの金微粒子を
芯物質とする乾燥微粒子を製造した。得られた微粒子
を、反応温度450〜500℃で還元した。この場合、
外皮は鉄にまで還元され、得られた複合微粒子の平均外
径は1.1μmであり、密度は14.2であった。
【0019】実施例3 実施例2で製造した外径1.1μmの複合微粒子(密
度:14.2)を用いて、遺伝子を付着させ、特許第3
135969号に記載の微粒子発射装置を用いて遺伝子
の導入と発現実験をタバコ培養細胞を対象として行っ
た。尚、対照実験としてマグネタイト微粒子(密度:
5.2)を用いて同じ条件で実験を実施した。β−グル
クロニダーゼ(GUS)遺伝子を持っているプラスミド
DNA(pBI 221:米国、クローンテック社製)
をこの複合微粒子の表面にコーティングした。そのエタ
ノール懸濁液をプラスチック製弾丸の先端に滴下し、乾
燥させた(200ngDNA/50μg微粒子)。次
に、微粒子銃先端から、タバコ培養細胞を載せてあるフ
ィルターまでの距離を約5cmとして、ヘリウムガスに
よる弾丸の加速圧力を30Kg/cmとし、約100
mmHgの減圧下で微粒子を撃ちこんだ。24時間の培
養後、X−Gluc(5−ブロモ−4−クロロ−3−イ
ンドリルグルクロナイド(5−bromo−4−chloro−3−in
dolyl−glucronide ))を含む緩衝液で8時間〜24時
間、タバコ培養細胞を処理した。この後、微粒子を撃ち
こんだタバコ培養細胞を小型の容器に移し、磁石により
磁力選抜を行い磁性の微粒子を含む細胞のみ回収し、顕
微鏡で青色の色素形成の有無を観察し、色素を持った細
胞の数を計測した。
【0020】この結果、遺伝子の導入・発現後に回収さ
れた細胞数はマグネタイトの場合1.2×10、複合
微粒子の場合は3.2×10であり、後者の方が約2
7倍効率が高いことが示された。この結果から、密度が
より高く磁性を有する複合微粒子の方が遺伝子導入・発
現プロセスにおいて効率が高いことが示された。
【0021】
【発明の効果】本発明は、パーティクルガンや微粒子銃
などを用いて、細胞に遺伝子などの生体物質を導入する
方法、及びそれに用いる複合微粒子を提供するものであ
る。本発明の複合微粒子は、芯物質として高密度の物質
を使用し、当該芯物質の周囲に磁性を有する金属又は金
属化合物を配置している複合構造を有していることか
ら、磁性により本発明の複合微粒子が導入された細胞を
容易に分離・濃縮することができると共に、芯物質とし
て高密度の物質を使用していることから、細胞に複合微
粒子が導入されるに十分な衝撃力を得ることができ、高
効率で細胞に目的の生体物質を導入することができる。
本発明の方法によれば、磁気により遺伝子などの生体物
質が導入された細胞を簡便かつ容易に分離・濃縮するこ
とができ、細胞として花粉を用い、生体物質として遺伝
子を用いる場合には、簡便に形質転換された植物体を得
ることができ、本発明は簡便で且つ効率的な植物の育種
手段を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の複合微粒子の走査型電子顕微
鏡写真を、図面に変わる写真で示したものである。
【図2】図2は、本発明の複合微粒子の外径をレーザー
回折式粒度分布測定装置により測定した結果を粒度分布
として示したグラフである。縦軸は相対頻度(%)を示
し、横軸は粒径(μm)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 智雄 北海道札幌市北区北23条西5丁目1番25号 201 (72)発明者 堀川 洋 北海道帯広市西21条南5丁目26−9 (72)発明者 橋本 りえ 北海道帯広市空港南町204号26号 ユニブ コープ レジデンスA214 Fターム(参考) 2B030 CA14 CA17 4B024 AA08 AA20 CA04 DA01 EA10 GA11 4B029 AA21 AA23

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体物質を細胞に導入するために使用す
    る磁性微粒子において、芯物質に高密度金属又は高密度
    金属化合物を用い、当該芯物質の周囲に磁性を有する金
    属あるいは金属化合物を配置させていることを特徴とす
    る複合微粒子。
  2. 【請求項2】 高密度金属又は高密度金属化合物の密度
    が、10以上である請求項1に記載の複合微粒子。
  3. 【請求項3】 磁性を有する金属あるいは金属化合物
    が、芯物質の高密度金属又は金属化合物の表面に配置さ
    れている請求項1又は2に記載の複合微粒子。
  4. 【請求項4】 芯物質の高密度金属又は金属化合物が、
    金又は白金である請求項1〜3のいずれかに記載の複合
    微粒子。
  5. 【請求項5】 磁性を有する金属あるいは金属化合物
    が、鉄、ニッケル、コバルト又はこれらの酸化物である
    請求項1〜4のいずれかに記載の複合微粒子。
  6. 【請求項6】 芯物質が金で、その表面に鉄あるいは鉄
    酸化物からなる磁性物質を配置してなる請求項1〜5の
    いずれかに記載の複合微粒子
  7. 【請求項7】 高密度金属又は高密度金属化合物からな
    る芯物質を溶媒中に分散させて、当該溶媒中に磁性を有
    する金属若しくは金属化合物又はその前駆体化合物を添
    加して、芯物質の周囲に磁性を有する金属若しくは金属
    化合物又はその前駆体化合物を固定化し、磁性を有する
    金属又は金属化合物の前駆体化合物を用いた場合にはさ
    らに化学処理して磁性を有する金属若又は金属化合物に
    変換することからなる請求項1〜6のいずれかに記載の
    複合微粒子を製造する方法。
  8. 【請求項8】 磁性を有する金属又は金属化合物の前駆
    体化合物が、金属アルコキシドである請求項7に記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 化学処理が、酸化反応又は還元反応であ
    る請求項7又は8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかに記載の複合
    微粒子に生体物質を固定化させてなる生体物質が固定化
    された複合微粒子を用いて、細胞に生体物質を導入する
    方法。
  11. 【請求項11】 生体物質が、遺伝子である請求項10
    に記載の方法。
  12. 【請求項12】 細胞が、植物細胞である請求項10又
    は11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 細胞が、花粉である請求項12に記載
    の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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