JP2003321790A - 中空金属部材の製造方法および電鋳装置 - Google Patents

中空金属部材の製造方法および電鋳装置

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JP2003321790A
JP2003321790A JP2002113339A JP2002113339A JP2003321790A JP 2003321790 A JP2003321790 A JP 2003321790A JP 2002113339 A JP2002113339 A JP 2002113339A JP 2002113339 A JP2002113339 A JP 2002113339A JP 2003321790 A JP2003321790 A JP 2003321790A
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Akira Kenjo
晃 見城
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芯線に電着した電着(電解析出)金属の厚さ
の均一化、外径の均一化を図り、高い精度の真円度と同
筒,同軸度を実現することができる中空金属部材の製造
方法および電鋳装置を提供する。 【解決手段】 電着金属収納網籠14の両端に電源13
の陽極をそれぞれ電気的に接続し、かつ芯線15の両端
に電源13の陰極をそれぞれ電気的に接続し、さらに電
着金属収納網籠14と芯線15とを、電解槽11におい
て、互いに平行にかつ水平状態で対向させ、芯線15を
回転させながら電鋳処理を行うことにより、それぞれが
長物である電着金属収納網籠14と芯線15とにおける
電界状態を一端から他端にかけて均一にすることによ
り、芯線15に対して電着する金属が、全域かつ全長に
わたって均一に電着することが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電鋳によって細管
を有する金属部材を製造する中空金属部材の製造方法、
およびその製造方法の実施に適用される電鋳装置に係
り、特に光ファイバと光ファイバとの接続部、あるいは
光ファイバと光デバイスとの接続部に用いられる金属製
のフェルールの製造技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信において重要な部品であるフェル
ールは、図7に例示するような形状をなすものであっ
て、長さLが10mm程度、外径Dが1.25〜2.5
mmであり、内径dが光ファイバの規格(外径0.12
5mm)に対応して0.126mmに規定されている中
空形状のものである。
【0003】従来、フェルールは、ジルコニア製のもの
が主流であったが、製造工程が複雑であって、寸法精度
のよいものを効率的に製造することができず、このた
め、近年、電鋳により金属製のフェルールを製造するこ
とが提案されている。
【0004】電鋳によりパイプ状の金属部材を製造する
製造方法の基本的技術の一例としては、特開平11−1
93485号公報に記載された細孔チューブの製造方法
を挙げることができる。
【0005】図8は細管を有する金属部材を製造する中
空金属部材の製造するための従来の電鋳装置を説明する
ための概略図であり、1は電解液2で満たされている電
解槽、3は電源、4は、電源3の陽極に接続され、かつ
電着する金属材料が収納されている網籠状かつ筒形状を
なす電着(電解析出)金属収納網籠、5は被電着材であ
る芯線6が複数本架設されているホルダ、7はホルダ5
に固定された回転軸、8は回転軸7を回転駆動するモー
タ部であって、回転軸7,ホルダ5を介して各芯線6に
電源3の陰極が電気的に接続されている。
【0006】前記電着金属収納網籠4と各芯線6は、そ
れぞれ下端部が電解槽1の底面に向くように挿入される
ようにして電解液2に浸漬されており、電鋳処理は、電
源3をオンにして、電着金属収納網籠4と各芯線6を通
電状態にし、ホルダ5を回転させながら行われる。
【0007】そして、従来技術では、芯線6に所定の厚
さまで電着金属が形成された後、電着金属から芯線6を
除去することで、芯線6を除去した部位に芯線6の外径
と同じ内径を有する長孔を具備した金属部材が得られ、
それを適当な長さに切断することにより、例えば図7に
示すようなフェルールとなる中空金属部材にしようとす
るものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電鋳技術は、理論的には実施可能であるが、実際上、高
寸法精度の中空金属部材が得られなかった。前記従来の
電鋳により、長い芯線を用いて中空金属部材を製造する
場合の問題として、電鋳処理により得られた製造物にお
いて、その電着金属における真円度、および中空部分の
外周に対する同軸精度が良好なものが得られないという
ことにある。この問題は、特に芯線に電着した電着金属
における層厚が不均一であると、外径が不均一となり、
これにより充分な真円度と、同筒,同軸度が得らないこ
とによる。これは後加工によっても簡単には解消するこ
とができない。
【0009】特にフェルールには、高い精度の真円度
と、同筒,同軸度とが要求されるため、電着金属におけ
る厚さ不均一の問題を解決することは、生産性を上げ、
歩留まりを向上させる意味からも重要なことである。当
然であるが、このことは複数本の芯線に対して同時に電
鋳処理を行う場合には、芯線のそれぞれに対して要求さ
れることになる。
【0010】図8に示した構成の電鋳装置によって、電
鋳処理を行うと極端な場合、図9(a)〜(c)に示す
ように、芯線6に電着した電着金属9の外観が、長手方
向および周方向において異なる形状を呈することがあ
る。これらは全て、電鋳処理において電着金属9の厚さ
が不均一に形成されたことによって生じたものである。
【0011】前記のような電着金属における外径の不均
一性の問題については、特開2001−207286号
公報に記載があるように、電着する金属材料が収納され
ている網状筒形状をなす電着金属収納網籠4の形状に依
存するとの考えもあるが、実際、この解決手段を講じて
も、図9に示すような電着金属の厚さの不均一が生じて
しまい、この手段も充分な解決対策であるとはいえな
い。
【0012】そこで本発明は、従来の課題を考察し、芯
線に電着する電着金属の厚さの均一化、外径の均一化を
図り、高精度の真円度を得るようにして、高精度の同軸
度を実現することができる中空金属部材の製造方法およ
び電鋳装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、被電着材である導電性を
有する芯線を電源の陰極に接続し、電着する金属あるい
は電着する金属を収納した電着金属収納網籠を電源の陽
極に接続し、前記電着する金属あるいは前記電着金属収
納網籠と前記芯線とを電解液が収納された電解槽に浸漬
し、通電状態にて前記芯線を前記電解液内で回転させて
電鋳処理を行うことにより、芯線の表面に電着金属を形
成し、所定厚さになった電着金属から芯線部分を除去し
て中空の金属部材を製造する中空金属部材の製造方法に
おいて、前記電着する金属あるいは前記電着金属収納網
籠と前記芯線とを互いに対向状態かつ水平状態に保持
し、前記芯線の少なくとも両端に前記電源の陰極を接続
し、前記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠の
少なくとも両端に前記電源の陽極を接続して、前記芯線
を回転させながら電鋳処理を行い、前記芯線の表面に電
着金属を形成することを特徴とし、この方法によって、
電鋳処理の際に、芯線と電着金属収納網籠との全域に電
源の各極がそれぞれ均一に電気的に接続されるため、金
属の芯線への着電のための電気的雰囲気が芯線と電着金
属収納網籠との全域において均一になり、よって、芯線
に対して金属が均一厚さで電着するため、外径が均一に
なって高精度の真円度が得られ、したがって、芯線部分
を除去することで高精度の同軸度を呈する中空金属部材
を得ることが可能になる。
【0014】請求項2に記載の発明は、被電着材である
導電性を有する芯線を電源の陰極に接続し、電着する金
属あるいは電着する金属を収納した電着金属収納網籠を
電源の陽極に接続し、前記電着する金属あるいは前記電
着金属収納網籠と前記芯線とを電解液が収納された電解
槽に浸漬し、通電状態にて前記芯線を前記電解液内で回
転させて電鋳処理を行うことにより、芯線の表面に電着
金属を形成し、所定厚さになった電着金属から芯線部分
を除去して中空の金属部材を製造する中空金属部材の製
造方法において、複数の電解槽を並設し、各電解槽にお
いて、前記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠
と前記芯線とを互いに対向状態かつ水平状態に保持し、
前記芯線の少なくとも両端に前記電源の陰極を接続し、
前記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠の少な
くとも両端に前記電源の陽極を接続して、前記芯線を回
転させながら電鋳処理を行い、前記芯線の表面に電着金
属を形成し、前記電解槽に順次移動させて徐々に前記芯
線の表面における電着金属を厚くし、電着金属を所定厚
さにすることを特徴とし、この方法によって、電鋳処理
の際に、芯線と電着金属収納網籠との全域に電源の各極
がそれぞれ均一に電気的に接続されるため、金属の芯線
への着電のための電気的雰囲気が芯線と電着金属収納網
籠との全域において均一になり、よって、芯線に対して
金属が均一厚さで電着するため、外径が均一になり、さ
らに芯線に対して電着金属を徐々にその厚さが増すよう
に電着させることにより、電着金属の外周形状がきわめ
て円滑で荒れのない綺麗な状態になるため、さらに高精
度の真円度,同筒度が得られ、よって高精度の同軸度を
呈する中空金属部材を得ることが可能になる。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項2記載の
中空金属部材の製造方法において、各電解槽の電鋳処理
において、前記電着する金属あるいは前記電着金属収納
網籠と前記芯線との少なくともいずれか一方に加える電
流あるいは電圧の少なくとも一方を低電流あるいは低電
圧から徐々に変化させることを特徴とし、この方法によ
って、各電解槽における電鋳条件をコントロールするこ
とによって、各種状態の電鋳処理を各槽において行うこ
とができ、金属の電着形成状態を良好なものにすること
ができる。
【0016】請求項4に記載の発明は、被電着材である
導電性を有する芯線を電源の陰極に接続し、電着する金
属あるいは電着する金属を収納した電着金属収納網籠を
電源の陽極に接続し、前記電着する金属あるいは前記電
着金属収納網籠と前記芯線とを電解液が収納された電解
槽に浸漬し、通電状態にて前記芯線を前記電解液内で回
転させて電鋳処理を行うことにより、芯線の表面に電着
金属を形成する電鋳装置において、前記電着する金属あ
るいは前記電着金属収納網籠と前記芯線とを、前記電解
槽において互いに対向状態かつ水平状態になるように設
置し、さらに前記芯線の少なくとも両端に前記電源の陰
極を接続し、前記電着する金属あるいは前記電着金属収
納網籠の少なくとも両端に前記電源の陽極を接続したこ
とを特徴とし、この装置によって、前記中空金属部材の
製造方法を良好に実施することができる。
【0017】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の電鋳装置において、複数の電解槽を並設し、前記芯線
を各電解槽へ順次移動させる移動手段を設け、各電解槽
において、前記電着する金属あるいは前記電着金属収納
網籠と前記芯線とを互いに対向状態かつ水平状態に保持
し、かつ芯線を回転させながら電鋳処理を行い、芯線の
表面における電着金属を徐々に厚くする電着を行うこと
を特徴とし、この装置によって、請求項2または3記載
の中空金属部材の製造方法を良好に実施することができ
る。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の電鋳装置において、複数本の芯線を前記電着する金属
あるいは前記電着金属収納網籠に対して対向状態かつ水
平状態に保持する芯線保持手段を備え、この芯線保持手
段を移動手段により各電解槽へ移動させることを特徴と
し、この構成によって、芯線を複数同時に電鋳処理する
ことができ、本発明における中空金属部材の生産性を高
めることができる。
【0019】請求項7に記載の発明は、請求項5または
6記載の電鋳装置において、各電解槽の電鋳処理におい
て、前記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠と
前記芯線とに加える電流あるいは電圧の少なくとも一方
の値を変化させる電流/電圧制御手段を備えたことを特
徴とし、この構成によって、請求項3または2記載の中
空金属部材の製造方法を良好に実施することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0021】本発明者は、電鋳による電着(電解析出)
金属における外径の不均一性の問題を長年にわたり鋭意
研究し、実証テストなどを繰り返した結果、電鋳による
芯線の電着金属における厚さの不均一の発生原因として
各種の要因が考えられるが、特に芯線と電着金属収納網
籠(あるいは電着金属単体にて使用される場合があり、
以下の説明において、電着金属収納網籠とは電着金属単
体をも含む概念とする)とに対する電源の印加方法、芯
線に対する金属の電着状態が、金属の不均一な電着を引
き起こすことに考えが至った。
【0022】図8に示すような従来の電鋳装置により芯
線6に対して電鋳処理を行う場合、図10に示す説明図
のように、電着金属収納網籠4と芯線6とは、電解槽の
底部に対して垂直方向に互いに平行になるように設置さ
れ、この状態にて電着金属収納網籠4の一端のみに電源
の陽極を接続し、かつ芯線6の一端のみに電源の陰極を
接続し、通電することによって電鋳処理を行うため、次
のような問題があることを見出した。
【0023】´ 電着金属収納網籠4と芯線6とは長
いものであるため、電流/電圧(電界)が一端から他端
まで均一に印加されないこと、 ´ 電着金属収納網籠4と芯線6間の距離が長いと、
電着金属収納網籠4から電気的に析出された電着する金
属が、´の現象と共に、重力の影響も考えられるが、
矢印にて例示するように不均一な状態で移動し、これも
均一に電着されない要因になること、 ´ 同一電解槽1にて長時間かけて前記のような状態
で処理を続けるため、各種の調整およびコントロールは
行っていても、電鋳環境に微妙な変化が生じているこ
と、 などである。
【0024】そこで、さらなる考察を続け、各種実験を
繰り返した結果、次のような電鋳装置を用いる中空金属
部材の製造方法を採用することによって、フェルールに
要求される寸法精度に充分対応できる精度の細孔を有す
る中空金属部材を製造することができたのである。
【0025】 それぞれ長い電着金属収納網籠と芯線
との少なくとも両端に、それぞれに対応した電極を接続
すること、 電着金属収納網籠と芯線とを、電解槽において、互
いに平行にかつ水平状態で対向させること、 芯線を複数の電解槽を移動させ、各電解槽にて電鋳
処理を行い、電着金属を芯線に対して徐々に厚くなるよ
うに形成すること、 の少なくともいずれかひとつを採用することによって、
高精度の任意の金属製中空筒体を製造することができ
た。
【0026】次に、本発明の実施形態を図面を参照して
説明する。
【0027】図1は本実施形態を説明するための電鋳装
置における側面を一部断面して示す構成図であり、11
は電解液12で満たされている電解槽、13は電源、1
4は、電源13の陽極に両端および略中央部が接続さ
れ、かつ電着する金属材料が収納されている網籠状でか
つ筒形状あるいは四角形状をなす電着金属収納網籠、1
5は被電着材である芯線(ステンレスなどの金属製線
材,非金属素材,表面に無電解金属メッキを施した樹脂
製線材あるいは繊維製線材などを使用することができ
る)、16は、芯線15の両端がそれぞれ嵌着され、芯
線15を架設するチャッキング部材、17は、電解槽1
1の上部を覆うように配設され、複数のチャッキング部
材16部分を垂下部17aで回動可能に支持することに
よって、複数本(図では4本を例示している)の芯線1
5を保持することが可能な芯線保持用の治具であるホル
ダであって、ホルダ17は、後述する移動手段によっ
て、芯線15を電解槽11の電解液12に浸漬させるた
めに下降し、かつ芯線15を電解槽11の外に出すため
に上昇するように駆動され、さらに芯線15を電解槽1
1内で往復移動(図1では紙面方向)して電解液12を
攪拌することができるように駆動される。
【0028】さらに、18はチャッキング部材16に連
結して芯線15を周方向へ回転駆動する駆動力を伝達す
る回転軸、19は回転軸18に固定された駆動歯車、2
0は駆動歯車19を回転駆動するスクリュー歯車、21
はスクリュー歯車20をベルト22を介して駆動するモ
ータである。
【0029】前記チャッキング部材16の一方(図1で
は左側)と、回転軸18との外側端部(図1では右端)
にはキャップ電極23が設けられている。キャップ電極
23は、図2に示すように、電極接続部材24に複数個
設けられ、電源13の陰極が共通電極部25を介して後
述するように電気的に接続されている。
【0030】図3は本実施形態の電鋳装置における製造
ラインの平面状態を示す説明図、図4は図3の製造ライ
ンの正面状態を示す説明図であり、複数の電解槽11が
並列に並べて設けられた電着部26におけるライン上流
(図3,図4の左側)には、芯線15に対して処理前の
洗浄を行う複数の槽からなる前洗浄部27が設けられ、
ライン下流には、芯線15に対して処理後の洗浄を行う
複数の槽からなる後洗浄部28が設けられている。
【0031】さらに29は、電着部26,前洗浄部2
7,後洗浄部28の各槽に対して、前記ホルダ17を上
下動して芯線15を内部に入れたり、出したりするため
の上下動手段と、ホルダ17を各槽へ移動させる槽間移
動手段と、芯線15が浸漬している状態で電解液12を
攪拌させるためにホルダ17を往復動(図4では左右
動)させる横移動手段とからなる移動手段、30は移動
手段29の移動駆動をコントロールする移動制御手段、
31は各電解槽11において電着金属収納網籠14と芯
線15に対する電源13からの電流あるいは電圧の少な
くとも一方の値を可変制御するコンピュータなどからな
る電流/電圧制御手段である。なお、この可変制御は、
電着金属収納網籠14と芯線15との少なくともいずれ
か一方に対して行われるようにすればよい。
【0032】このようにホルダ17が、前記のように各
槽に対して移動可能であるため、図1,図2に示すよう
に、キャップ電極23が設けられている電極接続部材2
4における共通電極部25に対して電源13の陰極を電
気的に接続させるために、共通電極部25をホルダ17
の端部に設けられた摺動電極部32にリード線33にて
接続し、この摺動電極部32をばね付き電極部34を介
して電源13に電気的に接続するようにし、ホルダ17
の移動時においても、ばね付き電極部34が摺動電極部
32から外れずに通電が可能になるようにしている。ま
た、ばね付き電極部34は、電鋳処理時(電解析出時)
の化学応力などをなくすための引張り応力強度を保つた
めの機能を果たすものである。
【0033】前記構成の本実施形態では、図1に示すよ
うに、電着金属収納網籠14の少なくとも両端に電源1
3の陽極をそれぞれ電気的に接続し(機構的に可能であ
れば芯線15においても両端以外の中央部などに陰極を
電気的に接続することも考えられる)、かつ芯線15の
両端に電源13の陰極をそれぞれ電気的に接続(機構的
に可能であれば芯線15においても両端以外の中央部な
どに陰極を電気的に接続することも考えられる)したた
め、それぞれが長物である電着金属収納網籠14と芯線
15とにおける電界状態を一端から他端にかけて均一に
することができ、よって、電鋳処理による芯線15に対
する電着状態が長手方向に対して均一になり、電着物の
全長にわたって外径を等しくすることができた。
【0034】さらに、図1に示すように、電着金属収納
網籠14と芯線15とを、電解槽11において、互いに
平行にかつ水平状態で対向させ、芯線15を回転させな
がら電鋳処理を行ったことによって、析出された電着す
る金属が、従来のこの種の装置に比較して、全域かつ長
手方向に対して均一に電着することができた。
【0035】なお、電解槽11における電着金属収納網
籠14と芯線15との位置関係は、電着金属収納網籠1
4を芯線15より上方に位置させるようにしてもよい。
【0036】また、各種条件で電鋳を行い電鋳物におけ
る真円度の程度を測定した結果、電着金属収納網籠14
と芯線15との関係において、次のような構成にするこ
とが、さらに好ましいことが判明した。
【0037】すなわち、図5に示す電着金属収納網籠と
芯線の説明図のように、金網からなる電着金属収納網籠
14の長手方向において、両端部の径d1と中央の径d2
との比d2/d1が約1.3になり、電着金属収納網籠1
4と芯線15間の距離(極間)Xが約55〜65mmと
なるように設定することによって好結果が得られた。さ
らに実際の電鋳処理においては、超音波による距離測定
を行い、距離Xを常に観測して、一定の範囲内にあるよ
うに位置制御を行うことによって真円度を向上させるこ
とができる。
【0038】また図3,図4に示すように、移動制御手
段30による移動手段29に対する駆動制御によって、
芯線15を複数の電解槽11を順次移動させ、かつ電圧
/電流制御手段31によって、電着金属収納網籠14と
芯線15に加わる電流あるいは電圧の値を可変制御して
低電流/低電圧設定の電解槽から電鋳処理を開始して、
電着金属を芯線15に対して徐々に厚くなるように形成
することによって、電着金属の外周電着状態およびその
形状がきわめて円滑で荒れのない綺麗な状態にすること
ができ、このことによっても、電着状態を長手方向に対
して均一させることができた。
【0039】なお、電流あるいは電圧の値を可変制御す
る際、電流密度が小さい低電流/低電圧の場合には、図
5に示す距離(極間)Xを狭くし、電流密度が大きくな
るに従って距離Xを広くするように極間制御を行うこと
が望ましい。
【0040】本実施形態では、図6に示す電解槽におけ
る電解液の攪拌の状態の説明図のように、芯線15は、
電解液12に浸漬した状態で次の電解槽11へ移動する
までの間、回転駆動を受け、かつ横往復動(左右往復)
駆動される。この芯線15の動作により電解液12の攪
拌を行っている。この電解液12の攪拌は、芯線15の
周囲を新鮮な電解液12にして電鋳処理環境を良好にす
るために重要であって、前記のように電着金属収納網籠
14と芯線15とにおける電流の状態を均一にすること
と相俟って電着の均一化を推進する重要な点である。
【0041】また図6において、35は電解液12を新
鮮なものと循環入れ替え可能にするための電解液循環系
の一部であるパイプ部を示す。電解液12の攪拌につい
ては、諸手段を講じることができ、例えば電着金属収納
網籠14を電解槽12内で往復動させるようにすること
も考えられる。
【0042】このように本実施形態では、図3,図4に
おける製造ラインにて電鋳処理を行い、所定厚さになっ
た電着金属に対して後洗浄処理を施した後に、電着金属
から芯線15を引き抜いたり、化学的に除去したり、あ
るいは芯線部分を所定の径になるように機械加工するこ
とにより、細孔を有する金属部材を製造することができ
る。
【0043】また製造ラインの設置構造に関しては、図
示したように各槽を一直線に並設する他、各槽をコ字状
あるいはL字状になるように設置することも考えられ
る。
【0044】そして、この芯線部分の除去処理の際に、
前記のように芯線15の全域,全長において金属を均一
厚さで電着することができ、電着物の外径が均一になっ
ているため、芯線15部分を除去した金属部材は、高い
精度の真円度と同筒,同軸度を呈する中空金属部材とな
る。さらに、芯線に対して電着金属を徐々にその厚さが
増すように電着させることができるため、電着金属の外
周形状がきわめて円滑で荒れのない綺麗な状態になり、
さらに高い精度の真円度と同筒,同軸度を呈する中空金
属部材を提供することができる。
【0045】このため、特にフェルールのように高精度
の真円度と同筒,同軸度が要求される製品の製造に適用
して好結果を得ることができ、例えば真円度および同
筒,同軸度を±1〜3μm程度にすることができた。
【0046】また図3,図4に示す製造ラインにより、
各電解槽11において電着金属収納網籠14と芯線15
に加わる電流/電圧値をコンピュータ制御などによって
可変制御して電鋳を行うことにより、従来のように1つ
の電解槽で所定厚さの電着金属になるまで電鋳処理を続
ける製造法と比較して、電解条件を各電解槽11ごとに
可変にすることができるため、例えば使用されないで空
いている電解槽11を適宜選択して使用し、そこから次
の電解槽11へ順次移動させながら電鋳処理を行うこと
により、任意の電鋳物を製造することも可能になるた
め、従来の製造法と比べて製造効率,製造コストの面で
も有利になる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電鋳処理により芯線に対して金属を均一厚さで電着する
ことができ、芯線に電着した金属における外径が全域か
つ全長にわたって均一になり、高精度の真円度が得ら
れ、このため、芯線部分を除去した後の金属部材におい
て、高精度の同筒,同軸度を呈する中空金属部材にする
ことができ、特にフェルールのように高い精度の真円度
と同筒,同軸度とが要求される製品に適用することがで
きる中空金属部材の製造方法および電鋳装置が実現す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための電鋳装置に
おける側面を一部断面して示す構成図
【図2】本実施形態における電極接続部材を示す正面図
【図3】本実施形態の電鋳装置におけるライン構成の平
面状態を示す説明図
【図4】図3に示す本実施形態におけるライン構成の正
面状態を示す説明図
【図5】本実施形態における電着金属収納網籠と芯線と
の関連構成を示す説明図
【図6】本実施形態における電解槽における電解液攪拌
の説明図
【図7】一般的なフェルールの形状,寸法を説明するた
めの断面図
【図8】細管を有する金属部材を製造するための従来の
電鋳装置の構成の説明図
【図9】従来の電鋳により製造された金属部材における
問題を説明するための外観斜視図
【図10】従来の電鋳における問題を説明するための説
明図
【符号の説明】
11 電解槽 12 電解液 13 電源 14 電着金属収納網籠 15 芯線 16 チャッキング部材 17 ホルダ 18 回転軸 21 モータ 23 キャップ電極 26 電着部 27 前洗浄部 28 後洗浄部 29 移動手段 30 移動制御手段 31 電流/電圧制御手段

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被電着材である導電性を有する芯線を電
    源の陰極に接続し、電着する金属あるいは電着する金属
    を収納した電着金属収納網籠を電源の陽極に接続し、前
    記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠と前記芯
    線とを電解液が収納された電解槽に浸漬し、通電状態に
    て前記芯線を前記電解液内で回転させて電鋳処理を行う
    ことにより、芯線の表面に電着金属を形成し、所定厚さ
    になった電着金属から芯線部分を除去して中空の金属部
    材を製造する中空金属部材の製造方法において、 前記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠と前記
    芯線とを互いに対向状態かつ水平状態に保持し、前記芯
    線の少なくとも両端に前記電源の陰極を接続し、前記電
    着する金属あるいは前記電着金属収納網籠の少なくとも
    両端に前記電源の陽極を接続して、前記芯線を回転させ
    ながら電鋳処理を行い、前記芯線の表面に電着金属を形
    成することを特徴とする中空金属部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 被電着材である導電性を有する芯線を電
    源の陰極に接続し、電着する金属あるいは電着する金属
    を収納した電着金属収納網籠を電源の陽極に接続し、前
    記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠と前記芯
    線とを電解液が収納された電解槽に浸漬し、通電状態に
    て前記芯線を前記電解液内で回転させて電鋳処理を行う
    ことにより、芯線の表面に電着金属を形成し、所定厚さ
    になった電着金属から芯線部分を除去して中空の金属部
    材を製造する中空金属部材の製造方法において、 複数の電解槽を並設し、各電解槽において、前記電着す
    る金属あるいは前記電着金属収納網籠と前記芯線とを互
    いに対向状態かつ水平状態に保持し、前記芯線の少なく
    とも両端に前記電源の陰極を接続し、前記電着する金属
    あるいは前記電着金属収納網籠の少なくとも両端に前記
    電源の陽極を接続して、前記芯線を回転させながら電鋳
    処理を行い、前記芯線の表面に電着金属を形成し、前記
    電解槽に順次移動させて徐々に前記芯線の表面における
    電着金属を厚くし、電着金属を所定厚さにすることを特
    徴とする中空金属部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 各電解槽の電鋳処理において、前記電着
    する金属あるいは前記電着金属収納網籠と前記芯線との
    少なくともいずれか一方に加える電流あるいは電圧の少
    なくとも一方を低電流あるいは低電圧から徐々に変化さ
    せることを特徴とする請求項2記載の中空金属部材の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 被電着材である導電性を有する芯線を電
    源の陰極に接続し、電着する金属あるいは電着する金属
    を収納した電着金属収納網籠を電源の陽極に接続し、前
    記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠と前記芯
    線とを電解液が収納された電解槽に浸漬し、通電状態に
    て前記芯線を前記電解液内で回転させて電鋳処理を行う
    ことにより、芯線の表面に電着金属を形成する電鋳装置
    において、 前記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠と前記
    芯線とを、前記電解槽において互いに対向状態かつ水平
    状態になるように設置し、さらに前記芯線の少なくとも
    両端に前記電源の陰極を接続し、前記電着する金属ある
    いは前記電着金属収納網籠の少なくとも両端に前記電源
    の陽極を接続したことを特徴とする電鋳装置。
  5. 【請求項5】 複数の電解槽を並設し、前記芯線を各電
    解槽へ順次移動させる移動手段を設け、各電解槽におい
    て、前記電着する金属あるいは前記電着金属収納網籠と
    前記芯線とを互いに対向状態かつ水平状態に保持し、か
    つ芯線を回転させながら電鋳処理を行い、芯線の表面に
    おける電着金属を徐々に厚くする電着を行うことを特徴
    とする請求項4記載の電鋳装置。
  6. 【請求項6】 複数本の芯線を前記電着する金属あるい
    は前記電着金属収納網籠に対して対向状態かつ水平状態
    に保持する芯線保持手段を備え、この芯線保持手段を移
    動手段により各電解槽へ移動させることを特徴とする請
    求項5記載の電鋳装置。
  7. 【請求項7】 各電解槽の電鋳処理において、前記電着
    する金属あるいは前記電着金属収納網籠と前記芯線とに
    加える電流あるいは電圧の少なくとも一方の値を変化さ
    せる電流/電圧制御手段を備えたことを特徴とする請求
    項5または6記載の電鋳装置。
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JP2019203167A (ja) * 2018-05-23 2019-11-28 テクノパートナーズジャパン株式会社 針管製造装置
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