JP2003321726A - 予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法 - Google Patents

予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法

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JP2003321726A
JP2003321726A JP2002129254A JP2002129254A JP2003321726A JP 2003321726 A JP2003321726 A JP 2003321726A JP 2002129254 A JP2002129254 A JP 2002129254A JP 2002129254 A JP2002129254 A JP 2002129254A JP 2003321726 A JP2003321726 A JP 2003321726A
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strength steel
press
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Takeshi Shiozaki
毅 塩崎
Yoshimasa Funakawa
義正 船川
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JFE Steel Corp
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JFE Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予歪部の疲労特性に優れ、高加工性を有する
高張力鋼板ならびにその製造方法および加工方法を提供
すること。 【解決手段】 重量%で、C:0.02〜0.1%、
Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.0
6%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.
006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03
〜0.2%、B:0.0001〜0.001%を含み、
残部が実質的にFeからなり、金属組織が実質的にフェ
ライト単相であり、以下の(1)式を満たす範囲でTi
およびMoを含む炭化物が分散析出している。 (Mo/96)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≧0.25‥‥(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用部材の素
材に適した予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張力鋼
板ならびにその製造方法および加工方法に関する。
【0002】
【従来技術】自動車用部材はプレス成形により得られる
複雑な形状のものが多く、高強度でありながら加工性が
優れた材料が必要である。また、このようなプレス成形
による予歪を受けた部分の疲労特性が高いことも必要で
ある。
【0003】しかし、これまでに疲労特性を改善するこ
とを目的として種々の技術が提案されてきているが、従
来のこの種の技術は、自動車用部材のプレス成形といっ
た予歪を受けた材料を対象としてはいない。
【0004】すなわち、従来、パーライト、ベイナイ
ト、およびマルテンサイトなどを極力低減し、実質的に
フェライト単相となる金属組織で疲労強度の改善を試み
た技術として、特開平4−2727号公報に開示された
ものが知られており、また、フェライト−パーライト混
合組織鋼板の疲労強度の改善を目指した技術として、特
開平5−17939号公報に開示されたものが知られて
いるが、これらの技術は、プレス成型といった予歪を受
けた材料の疲労特性改善を対象とはしておらず、実用部
品としての要求を満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
では、実用部品として要求される予歪部の疲労特性の改
善に対応できていないという問題を有している。
【0006】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、自動車用部材のプレス成形のような加工の際
の予歪部の疲労特性に優れ、高加工性を有する引っ張り
強度が590MPa以上の高張力鋼板ならびにその製造
方法および加工方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討を行った結果、以下の知見を得
た。 (i)微細炭化物で強化した実質的にフェライト単相組
織で、Bを添加することにより、素材の引張強度に応じ
て優れた疲労特性を示す。 (ii)転位密度が低い組織とし、微細析出物で強化する
と、強度−伸びバランスが向上する。 (iii)炭化物をMoを含む複合炭化物とすると、炭化
物が微細に析出する。
【0008】本発明はこれらの知見に基づいて完成され
たものであり、以下の(1)〜(8)を提供する。
【0009】(1)重量%で、C:0.02〜0.1
%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦
0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N
≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:
0.03〜0.2%、B:0.0001〜0.001%
を含み、残部が実質的にFeからなり、金属組織が実質
的にフェライト単相であり、以下の(1)式を満たす範
囲でTiおよびMoを含む炭化物が分散析出しているこ
とを特徴とする予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張
力鋼板。 (Mo/96)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≧0.25‥‥(1) ただし、上記(1)式中、Ti、Moは炭化物中の各成
分の重量%を示す。
【0010】(2)上記(1)において、C、Ti、M
oを以下の(2)式を満足するように含有することを特
徴とする予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張力鋼
板。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5 …( 2) ただし、上記(2)式中、C、Ti、Moは鋼中の各成
分の重量%を表す。
【0011】(3)重量%で、C:0.02〜0.1
%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦
0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N
≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:
0.03〜0.2%、B:0.0001〜0.001%
を含み、さらにNb≦0.08%およびV≦0.15%
のうち1種以上を含み、残部が実質的にFeからなり、
金属組織が実質的にフェライト単相であり、以下の
(3)式を満たす範囲でTi、Mo、ならびにVおよび
Nbの1種以上を含む炭化物が分散析出していることを
特徴とする予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張力鋼
板。 (Mo/96)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V /51)}≧0.25‥‥(3) ただし、上記(3)式中、Ti、Mo、Nb、Vは炭化
物中の各成分の重量%を示す。
【0012】(4)上記(3)において、C、Ti、N
b、V、Moを以下の(4)式を満足するように含有す
ることを特徴とする予歪部の疲労特性に優れた高加工性
高張力鋼板。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Nb/93)+(V/51)+ (Mo/96)}≦1.5 …(4) ただし、上記(3)式中、C、Ti、Nb、V、Moは
鋼中の各成分の重量%を表す。
【0013】(5)上記(1)から(4)のいずれかの
高張力鋼板を製造するに際し、鋼をスラブとした後、直
ちにあるいは1200℃以上に加熱し、熱間圧延を仕上
圧延終了温度800℃以上、巻取温度570℃以上の条
件で行うことを特徴とする予歪部の疲労特性に優れた高
成形性高張力鋼板の製造方法。
【0014】(6)上記(1)から(4)のいずれかの
高張力鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前記
部材にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品に
加工する第2の工程とを有する高張力鋼板の加工方法。
【0015】(7)上記(6)において、プレス成形品
は、自動車用部品、特に自動車用足廻り部材である高張
力鋼板の加工方法。
【0016】(8)上記(1)から(4)のいずれかに
記載の高張力鋼板により製造された自動車用部品。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、化学成分
組成、金属組織、および製造方法に分けて具体的に説明
する。
【0018】[化学成分等]本発明の高張力鋼板は、重
量%で、C:0.02〜0.1%、Si≦0.3%、M
n:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.00
5%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:
0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、B:
0.0001〜0.001%を含み、残部が実質的にF
eからなる。また、これに加えてNb≦0.08%およ
びV≦0.15%のうち1種以上を含んでいてもよい。
以下、これら各成分について説明する。
【0019】C:Cは炭化物を形成し、鋼を強化するの
に重要である。しかし、0.02%未満では、鋼の強化
が不十分であり、0.1%を超えて添加するとパーライ
トが形成されることと析出物が粗大化することから疲労
特性にとって不利となる。このため、C含有量を0.0
2〜0.1%とした。
【0020】Si:Siは固溶強化には有効な元素であ
るが、0.3%を超えて添加すると、フェライトからの
C析出が促進されて粒界に粗大な鉄炭化物が析出しやす
くなり、疲労特性にとって不利となる。このため、Si
含有量を0.3%以下とした。
【0021】Mn:Mnは固溶強化により鋼を強化する
観点からは0.5%以上が好ましいが、2.0%を超え
て添加すると偏析し、かつ硬質相が形成され、加工性を
劣化させる。このため、Mnの含有量を0.5〜2.0
%とした。
【0022】P:Pは固溶強化に有効であるが、0.0
6%を超えて添加すると偏析して加工性を低下させるた
め、0.06%以下とした。
【0023】S:Sは少ないほど好ましく、0.005
%を超えると加工性が低下するため、0.005%以下
とした。
【0024】Al:Alは脱酸剤として添加される。し
かし、0.06%を超えると加工性が低下するため、
0.06%以下とした。
【0025】N:Nは少ないほど好ましく、0.006
%を超えると粗大な窒化物が増え、加工性が低下するた
め、0.006%以下とした。
【0026】Mo:Moは本発明において重要な元素で
あり、0.05%以上含有させることでパーライト変態
を抑制しつつ、Tiとの微細な複合炭化物、または、N
bおよびVの1種以上を含む場合にはTiに加えNbお
よびVの1種以上を含む微細な複合炭化物を形成し、優
れた疲労特性を実現することができる。しかし、0.5
%を超えて添加すると硬質相が形成され加工性が低下す
る。このため、Mo含有量を0.05〜0.5%とし
た。
【0027】Ti:Tiは本発明において重要な元素で
ある。Moと複合炭化物を形成することで、優れた疲労
特性を実現する。しかし、0.03%未満では、疲労特
性を向上させる効果が不十分であり、0.2%を超える
と加工性が劣化する。このため、Tiの含有量を0.0
3〜0.2%とした。
【0028】B:Bは本発明において重要な元素であ
る。予歪付与による粒界の劣化を抑制し、優れた疲労強
度を得ることができる。しかし、0.0001%未満で
はその効果が得られず、0.001%を超えると加工性
を劣化させる。このため、W含有量を0.0001〜
0.001%とした。
【0029】Nb:Nbは組織の細粒化に有効であり、
かつTiおよびMoとともに析出して複合炭化物を形成
し、優れた疲労特性を実現するため、必要に応じて添加
する。しかし、Nb量が0.08%を超えると加工性が
劣化するため、Nbを含有させる場合には0.08%以
下とする。なお、Nbの組織の細粒化効果を得る観点か
らは0.005%以上が好ましい。
【0030】V:Vは組織の微細化に有効であり、かつ
TiおよびMoとともに析出して複合炭化物を形成し、
優れた疲労特性を実現するため、必要に応じて添加す
る。しかし、V量が0.15%を超えると加工性が劣化
するため、Vを含有させる場合には0.15%以下とし
た。なお、Vの組織の細粒化効果を得る観点からは0.
001%以上が好ましい。
【0031】(C/12)/{(Ti/48)+(Mo
/96)}:これは、鋼中のCと(Ti+Mo)との原
子数比を表すものであり、この値が0.5〜1.5とな
るようにC、Ti、Moの含有量を調整することによ
り、TiとMoを含む炭化物が微細に析出しやすくな
る。したがって、(C/12)/{(Ti/48)+
(Mo/96)}が0.5〜1.5であることが好まし
い。より良好な疲労特性を得るためには、0.8〜1.
3を満たすことが望ましい。
【0032】(C/12)/{(Ti/48)+(Nb
/93)+(V/51)+(Mo/96)}:Nbおよ
びVのうち1種以上を添加する場合には、鋼中のCと
(Ti+Nb+V+Mo)との原子数比が0.5〜1.
5となるようにC、Ti、Nb、V、Moの含有量を調
整することにより、炭化物が微細に析出しやすくなる。
したがって、(C/12)/{(Ti/48)+(Nb
/93)+(V/51)+(Mo/96)}が0.1〜
1.5であることが好ましい。より良好な疲労特性を得
るためには、0.8〜1.3を満たすことが望ましい。
【0033】なお、Cr:0.15%以下、Cu:0.
15%以下、Ni:0.15%以下の1種類以上を含ん
でいても特性上問題はない。
【0034】[金属組織]本発明に係る高張力鋼板は、
実質的にフェライト単相組織であり、(Mo/96)/
{(Ti/48)+(Mo/96)}≧0.25を満た
す範囲でTiおよびMoを含む炭化物が分散析出してい
る。また、NbおよびVの1種以上を含む場合には、
(Mo/96)/{(Ti/48)+(Mo/96)+
(Nb/93)+(V/51)}≧0.25を満たす範
囲でTi、Mo、ならびにNbおよびVの1種以上を含
む炭化物が分散析出している。
【0035】・実質的にフェライト単相組織:マトリッ
クスを実質的にフェライト単相組織としたのは、素材の
引張強度に応じて良好な疲労特性を得るためである。た
だし、マトリックスは必ずしも完全にフェライト単相組
織でなくともよく、実質的にフェライト単相組織、好ま
しくは面積比率で95%以上フェライトであれば良好な
疲労特性を実現することができる。
【0036】・(Mo/96)/{(Ti/48)+
(Mo/96)}≧0.25を満たす範囲でTiとMo
とを含む炭化物:TiとMoとを含む炭化物は微細とな
るため疲労特性にとって有利である。従来は、析出物と
してTiCを用いることが主流であったが、Tiは析出
物形成傾向が強いためMoを含まない場合、粗大化しや
すく、疲労特性に対する効果が低くなる。これに対して
TiとMoとを含む複合炭化物は粗大化せずに微細に析
出するため良好な疲労特性を得ることができる。炭化物
が安定的に微細に存在できるためには、炭化物の組成が
影響し、炭化物の組成が(Mo/96)/{(Ti/4
8)+(Mo/96)}≧0.25となると、炭化物の
粗大化を抑制する効果が高くなり、所望の微細析出物を
得ることができる。
【0037】(Mo/96)/{(Ti/48)+(M
o/96)+(Nb/93)+(V/51)}≧0.2
5を満たす範囲でTi、Mo、ならびにNbおよびVの
1種以上を含む炭化物:さらに、NbおよびVの1種以
上を添加する場合には、炭化物の組成が(Mo/96)
/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
+(V/51)}≧0.25となると、同様に、炭化物
の粗大化を抑制する効果が高くなり、所望の微細析出物
を得ることができる。
【0038】[製造方法]本発明では、上記高張力鋼板
を製造するに際し、鋼をスラブとした後、直ちにあるい
は1200℃以上に加熱し、熱間圧延を仕上圧延終了温
度800℃以上、巻取温度570℃以上の条件で行う。
以下、これら条件について説明する。
【0039】・鋼をスラブとした後、直ちにあるいは1
200℃以上に加熱し、熱間圧延:鋼をスラブとした
後、直ちにあるいは1200℃以上で加熱して熱間圧延
するのは、Ti、Mo、Nb、Vを固溶させた状態で熱
間圧延するためである。
【0040】・仕上圧延終了温度800℃以上:仕上圧
延終了温度は疲労特性にとって重要である。800℃未
満では、表層が粗大粒となり疲労特性にとって不利とな
る。このため、仕上圧延終了温度は800℃以上とし
た。
【0041】・巻取温度570℃以上:フェライト組織
を得るため、巻取温度を570℃以上とした。なお、パ
ーライトの生成を抑制するためには巻取温度は700℃
以下とするのが望ましい。
【0042】本発明の高張力熱延鋼板には、表面に溶融
亜鉛系めっき皮膜を形成し、溶融亜鉛系めっき鋼板とし
たものも含む。本発明の高張力熱延鋼板は良好な加工性
を有することから、溶融亜鉛系めっき皮膜を形成しても
良好な加工性を維持することができる。ここで、溶融亜
鉛系めっきとは、亜鉛および亜鉛を主体とした溶融めっ
きであり、亜鉛の他にAl、Cr等の合金元素を含んだ
ものを含む。このような溶融亜鉛系めっきを施した本発
明の高張力熱延鋼板は、めっきままでもめっき後合金化
処理を行ってもかまわない。めっき前焼鈍温度について
は、450℃未満ではめっきがつかず、750℃超えで
は強度低下が生じやすい。そのため、焼鈍温度は450
℃以上、750℃以下が好ましい。
【0043】なお、本発明の熱延鋼板は、黒皮ままでも
酸洗材でもその特性に差違はない。調質圧延についても
通常行われているものであれば特に規定はない。また、
上記溶融亜鉛めっきは酸洗後でも黒皮ままでも問題はな
い。亜鉛めっきについては電気めっきも可能である。化
成処理についても特に問題はない。鋳造後直ちにもしく
は補熱を目的とした加熱を施した後にそのまま熱間圧延
を行う直送圧延を行っても本発明の効果に影響はない。
さらに、粗圧延後に仕上圧延前で、圧延材を加熱して
も、粗圧延後、圧延材を接合して行う連続圧延を行って
も、さらには圧延材の加熱と連続圧延を同時に行っても
本発明の効果は損なわれない。
【0044】本発明の高張力鋼板は、加工性に優れ、疲
労特性に優れているのでこれをプレス成形した場合、そ
の特質が活かされ、自動車用部材、特にサスペンション
アーム等の足廻り部材のようなプレス成形部材を良好な
品質で製造することができる。以下に具体的に、本発明
に係る高張力鋼板の加工方法、換言すればプレス成形品
の製造方法について説明する。
【0045】図1は、本発明に係る高張力鋼板の加工方
法の作業フローの一例を示すフローチャートである。こ
の作業フローは、通常、本発明に係る鋼板を製造するこ
とまたはその製造された鋼板を例えばコイルにして目的
場所に搬送することを前工程としており、まず、本発明
に係る高張力鋼板を準備することから始まる(S0、S
1)。この鋼板に対してプレス加工を施す前に、鋼板に
対して前処理的な加工を施すこともあれば(S2)、裁
断機により所定の寸法や形状に加工することもある(S
3)。前者のS2の工程では、例えば鋼板の幅方向の所
定箇所に切り込みや穿孔を行い、引き続くプレス加工を
終えた段階またはそのプレス加工の過程で、所定の寸法
および形状のプレス成形品または被プレス加工部材とし
て切り離すことができるようにしておく。後者のS3の
工程では、最終的なプレス成形品の寸法、形状等を予め
考慮して、所定の寸法および形状の鋼板部材に加工(し
たがって裁断)するようにしておく。その後、S2およ
びS3の工程を経由した部材には、プレス加工が施さ
れ、最終的に目的とする寸法・形状の所望のプレス成形
品が製造される(S4)。このプレス加工は、通常は多
段階で行われ、3段階以上7段階以下であることが多
い。
【0046】S4の工程は、S2およびS3の工程を経
由した部材に対してさらに所定の寸法や形状に裁断する
工程を含む場合もある。この場合の「裁断」という作業
は、例えば、少なくともプレス加工の過程で、S2およ
びS3の工程を経由した部材の端部のような最終的なプ
レス成形品には不要部分を切り離す作業であっても構わ
ないし、また、S2の工程で設けられた鋼板の幅方向の
切り込みや穿孔に沿って被プレス加工部材を切り離す作
業であっても構わない。
【0047】なお、図1中、N1ないしN3は、鋼板、
部材、プレス成形品を、機械的にあるいは作業員による
搬送作業である場合がある。
【0048】こうして製造されるプレス成形品は、必要
に応じて次工程に送られる。次工程としては、例えば、
プレス成形品にさらに機械加工を施し、寸法や形状を調
整する工程、プレス成形品を所定場所に搬送し、格納す
る工程、プレス成形品に表面処理を施す工程、プレス成
形品を用いて自動車のような目的物を組み立てる組立工
程がある。
【0049】図2は、図1に示した作業を実際に行う装
置と鋼板、部材、プレス成形品の流れとの関係を示すブ
ロック図である。この図においては、本発明に係る高張
力鋼板はコイル状で準備されており、プレス加工機によ
りプレス成形品が製造される。プレス加工機は多段プレ
スを行う機種のものであるが、本件発明はこれに限定さ
れない。
【0050】プレス加工機の前段に、裁断機その他の前
処理機械を設置する場合(図2の(a))もあれば、設
置しない場合(図2の(b))もある。裁断機が設置さ
れる場合には、コイルから供給される長尺の本発明に係
る鋼板から、必要な寸法または形状の部材を裁断し、こ
の部材がプレス加工機においてプレス加工され、所定の
プレス成形品となる。鋼板の幅方向に切り欠きや穿孔を
施す前処理機械が設置される場合には、プレス加工機に
おいてその切り欠きや穿孔に沿って裁断が行われても構
わない。前処理機械を設置しない場合には、プレス加工
機において鋼板がプレス加工される過程で、裁断が行わ
れ、最終的に所定の寸法、形状を有するプレス成形品が
製造される。なお、図2における「裁断」の意味は、図
1における裁断と同じである。
【0051】こうして製造されるプレス成形品は、その
原材料として加工性に優れ、特に伸びフランジ性に優れ
ている本発明に係る高張力鋼板を使用しているので、プ
レス時の断面形状が複雑であっても、良好な品質で製造
することができ、軽量なものとなる。このような特長
は、プレス成形品が自動車用部材、特にサスペンション
アーム等の足廻り部材である場合に特に有用である。
【0052】
【実施例】表1に示す化学成分を有する鋼片を、125
0℃に加熱し、仕上げ熱間圧延を850〜910℃で、
板厚3.2mmに仕上げた。その後、600℃を超える
巻取温度で、冷却速度と巻取温度を変化させて、種々の
組織の鋼板を製造した。得られた鋼板を酸洗後、鋼板か
ら作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)によって
観察した。また、析出物中のTi、Mo、Nb、Vの組
成は、TEMに装着されたエネルギー分散型X線分光装
置(EDX)による分析から決定した。
【0053】また、得られた鋼板から直径100mmの
絞り加工試験片を採取し、直径50mmのポンチでカッ
プ絞りを行い。そのカップを輪切りにしてパイプ状の疲
労試験片を採取した。その試験片に図3に示すような両
振り引張の負荷をかけ、疲労特性を調査した。疲労特性
は、繰り返し数10回における疲労強度により評価し
た。疲労強度は負荷荷重振幅の1/2を試験片の幅と板
厚で割った公称応力とした。引張試験はJIS5号引張
試験片により行い、穴広げ試験は日本鉄鋼連盟規格に沿
って行った。
【0054】表1に、成分比、組織、炭化物の組成比、
引張強度TS、疲労強度、伸びEl、穴広げ率λを併記
する。なお、表1の成分比とは、(C/12)/{(T
i/48)+(Mo/96)}の値または(C/12)
/{(Ti/48)+(Nb/93)+(V/51)+
(Mo/96)}の値を指し、炭化物組成比とは、(M
o/96)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(N
b/93)+(V+51)}を指す。また、組織の欄の
Fはフェライトを表し、Pはパーライトを表す。
【0055】表1から、本発明例であるNo.1〜3は
良好な加工性および疲労特性が得られていることがわか
る。これに対して、比較例のNo.4はフェライト+パ
ーライト組織であり、Bが含まれていないため、疲労強
度が大幅に低下した。No.5は、Bが含まれていない
ため疲労強度が低く、炭化物にMoを含まないため炭化
物が粗大化し加工性も劣る。No.6もフェライト+パ
ーライトの組織であり、Bが含まれていないため疲労強
度が低く、Tiが添加されていないために炭化物の微細
化がなされず、強度と加工性のバランスが悪い。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
優れた予歪部の疲労特性を有し、加工性に優れた高張力
鋼板を得ることができ、自動車等の輸送機に使用される
加工の厳しい部材に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高張力鋼板の加工方法の作業フロ
ーの一例を示すフローチャート。
【図2】図1に示した作業を実際に行う装置と鋼板、部
材、プレス成形品の流れとの関係を示すブロック図。
【図3】疲労特性の評価方法を説明するための図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA16 AA19 AA21 AA22 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 BA01 CA03 CC03 CC04 CE02 4K037 EA01 EA02 EA05 EA15 EA17 EA18 EA19 EA23 EA25 EA27 EA31 EA32 EB05 EB08 FA03 FC03 FC04 FC05 FE02 FE03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.02〜0.1%、S
    i≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06
    %、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.0
    06%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜
    0.2%、B:0.0001〜0.001%を含み、残
    部が実質的にFeからなり、金属組織が実質的にフェラ
    イト単相であり、以下の(1)式を満たす範囲でTiお
    よびMoを含む炭化物が分散析出していることを特徴と
    する予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張力鋼板。 (Mo/96)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≧0.25‥‥(1) ただし、上記(1)式中、Ti、Moは炭化物中の各成
    分の重量%を示す。
  2. 【請求項2】 C、Ti、Moを以下の(2)式を満足
    するように含有することを特徴とする請求項1に記載の
    予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張力鋼板。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5 …( 2) ただし、上記(2)式中、C、Ti、Moは鋼中の各成
    分の重量%を表す。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.02〜0.1%、S
    i≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06
    %、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.0
    06%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜
    0.2%、B:0.0001〜0.001%を含み、さ
    らにNb≦0.08%およびV≦0.15%のうち1種
    以上を含み、残部が実質的にFeからなり、金属組織が
    実質的にフェライト単相であり、以下の(3)式を満た
    す範囲でTi、Mo、ならびにVおよびNbの1種以上
    を含む炭化物が分散析出していることを特徴とする予歪
    部の疲労特性に優れた高加工性高張力鋼板。 (Mo/96)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V /51)}≧0.25‥‥(3) ただし、上記(3)式中、Ti、Mo、Nb、Vは炭化
    物中の各成分の重量%を示す。
  4. 【請求項4】 C、Ti、Nb、V、Moを以下の
    (4)式を満足するように含有することを特徴とする請
    求項3に記載の予歪部の疲労特性に優れた高加工性高張
    力鋼板。 0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Nb/93)+(V/51)+ (Mo/96)}≦1.5 …(4) ただし、上記(3)式中、C、Ti、Nb、V、Moは
    鋼中の各成分の重量%を表す。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかの高張
    力鋼板を製造するに際し、鋼をスラブとした後、直ちに
    あるいは1200℃以上に加熱し、熱間圧延を仕上圧延
    終了温度800℃以上、巻取温度570℃以上の条件で
    行うことを特徴とする予歪部の疲労特性に優れた高成形
    性高張力鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の高張力鋼板からなる部材を準備する第1の工程と、前
    記部材にプレス成形を施して所望の形状のプレス成形品
    に加工する第2の工程とを有する高張力鋼板の加工方
    法。
  7. 【請求項7】 前記プレス成形品は、自動車用部品であ
    る請求項6に記載の高張力鋼板の加工方法。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の高張力鋼板により製造された自動車用部品。
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