JP2003321417A - トリス(ジイソブチリルメタナート)ランタノイドとその製法およびそれを用いた化学気相成長法によるランタノイド置換チタン酸ビスマス強誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents

トリス(ジイソブチリルメタナート)ランタノイドとその製法およびそれを用いた化学気相成長法によるランタノイド置換チタン酸ビスマス強誘電体薄膜の製造方法

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JP2003321417A JP2002163569A JP2002163569A JP2003321417A JP 2003321417 A JP2003321417 A JP 2003321417A JP 2002163569 A JP2002163569 A JP 2002163569A JP 2002163569 A JP2002163569 A JP 2002163569A JP 2003321417 A JP2003321417 A JP 2003321417A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】溶液気化方式で原料を供給するCVDでBi
3.25La0.75Ti12(以下BLTと表
す)膜を製造する方法において、La源としてLa(d
pm)〔トリス(ジピバロイルメタナート)ランタノ
イド〕より熱分解堆積しやすく、基板温度が500℃と
低くても強誘電性の膜が得られるLa原料化合物を特定
し、その製法とBLT膜の製法を提供する。 【解決手段】La源としてLa(dibm)〔トリス
(ジイソブチリルメタナート)ランタノイド〕を用い、
Bi(dpm)−La(dibm)−Ti(OiP
r)(dpm)の組合わせの酢酸n−ブチル溶液
を、240℃で気化供給し、酸素雰囲気下で、基板温度
500℃、CVD室圧1TorrでCVDすると、良好
なBLT膜ができる。La(dibm)は、融点11
0℃で溶解度は大きく、0.1Torr/195℃の蒸
気圧を持ち、その酢酸n−ブチル溶液は3ケ月のポット
ライフを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学気相成長法
(以下CVD法と表す)に用いられるトリス(β−ジケ
トナート)ランタノイドとその製法およびそれを用いる
ランタノイド置換チタン酸ビスマス強誘電体薄膜の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高集積の不揮発性メモリーに(Bi
4−x,Ln)Ti12(0<x<1)(以下B
LnTと表す、LnはランタノイドすなわちLaからL
uまでの元素を表す)や(Bi4−x,Ln)(Ti
3−y,V)O12(0<x<1、0<y<0.2)
(以下BLnTVと表す)の強誘電体薄膜が検討されて
いる。LnがLaであるBi3.25La0.75Ti
12(以下BLTと表す)はB.H.Park e
tal,Nature,Vol.401,p682(1
4.Oct.1999)によって発明された。Laの代
わりにNdを使い、さらにTiの一部をVで置換すると
低温でより優れた強誘電特性を示すことが、渡辺、野
口、宮山、船窪ら、第62回応用物理学会講演予稿集p
387(2001.9)で発表されている。
【0003】これらの薄膜を量産性よく製造する方法と
して、CVD法が検討されている。その原料供給方式に
は、Bi,Ln,Tiの各化合物をそのまま気化して供
給する方式と、溶液にして気化供給する方式があるが、
後者のほうが量産に向いている。前者の方法としては、
渡辺ら、第48回応用物理学会講演予稿集p561(2
001.3)は、BiMe、La(dpm)、Ti
(OiPr)、VO(OEt)をバブリングでその
まま気化供給し、O共存下で540℃の低温CVDを
行い、(Bi3.25La0.75)(Ti2.97
0.03)O12の強誘電体薄膜を作ったことを発表し
ている。La(dpm)だけは固体なので、昇華供給
であった。さらに、渡辺ら、第49回応用物理学会講演
予稿集p528(2002.3)は、BiMe、Nd
(tmod)、Ti(OiPr)、VO(OEt)
をバブリングでそのまま気化供給し、O共存下で6
30℃のCVDを行い、(Bi3.6Nd0.4)(T
2.90.1)O12の強誘電体薄膜を作ったこと
を開示している。Nd(tmod){トリス(2,
2,6,6−テトラメチル−3,5−オクタンジオナー
ト)ネオジム}は特開平9−228049で開示されて
いる化合物であり、その融点は134〜136℃であ
る。
【0004】後者の溶液気化法に用いられるLn源とし
ては、従来トリス(ジピバロイルメタナート)ランタノ
イド(以下Ln(dpm)と表す)が検討されてき
た。しかしこの化合物は、融点が高く、La(dpm)
では260℃であり、気化器での固体析出の可能性が
あり、また、溶解度の点で使用可能な有機溶媒が限られ
ているという欠点があった。La(tmod)の融点
は約200℃であり、Nd(tmod)ほど低い化合
物ではなかった。よってランタノイド、特にLaでは、
より低い融点の化合物で、かつ低温でCVD成膜できる
化合物が望まれていた。
【0005】日本国特許第2799763号では、ジピ
バロイルメタネート化合物に代わるIIA,IIIA,
IVA,IB族の多くの金属元素のトリス(2,6−ジ
メチル−3,5−ヘプタンジオネート)すなわちトリス
(ジイソブチリルメタネート)とトリス(2,2,6−
トリメチル−3,5−ヘプタンジオネート)が挙げられ
ている。その特徴は、キャリヤーガスを導入して、気化
同伴させて供給する場合、これらの化合物の気化温度と
分解温度がはっきり離れており、不活性ガスに同伴され
る錯体量が従来品よりも多いため高速成膜が可能で、成
膜された金属膜の特性も優れていることである。本発明
のトリス(ジイソブチリルメタナート)ランタノイド
[トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナ
ート)ランタノイド、Ln(C15、以下
Ln(dibm)と表す]は、該特許のクレームに含
まれるが、合成・同定はされていない。さらに、本発明
化合物のLa(dibm)、Nd(dibm)の融
点がそれぞれ110℃、130℃と低く、有機溶媒に非
常によく溶け、溶液気化法で使用し、La(dp
m)、Nd(dpm)より低温でLa、Nd
の堆積ができるということは、なんら示唆されて
いなかった。
【0006】より低い温度でBLnT薄膜やBLnTV
薄膜が成膜できれば、プロセス上、また表面平滑性など
の膜特性が優れるので有利である。600℃以下、好ま
しくはAl配線が可能な450℃程度の基板温度で薄膜
をつくることが望まれていたが、まだ溶液気化法で原料
を供給して、600℃以下で成膜した例はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、溶液気
化の原料として、Bi(dpm)−La(dpm)
−Ti(OiPr)(dpm)の組合わせを用い、
溶媒として酢酸n−ブチルを用いてBLTの成膜をした
ところ、基板温度600℃以下では、膜にLa
入りにくく、大過剰のLa(dpm)を供給しなけれ
ばならず、問題であることがわかった。その原因はLa
(dpm)からのLa堆積温度がBi(dp
m)やTi(OiPr)(dpm)の堆積温度に
比べて高いためと推定された。さらにLa(dpm)
は酢酸n−ブチルに対する溶解度が0.4mol/Lと
小さく、融点も260℃と高いため、溶媒の先飛びや配
管の加熱不足が原因の固体析出を起こしやすいことがわ
かった。
【0008】本発明の目的は、上記問題を解決するため
に、そのLa堆積温度がLa(dpm)より低
く、各種溶媒に対する十分な溶解度をもち、さらに融点
が低いLa化合物を見つけ、600℃以下で、BLT薄
膜の製造方法を提供することである。さらに同様な目的
でNdなどのLn化合物を見つけ、低温でのBLnTV
薄膜の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、La(d
ibm)やNd(dibm)を使えばBLnT薄膜
やBLnTV薄膜を600℃以下の低温で成膜できるこ
と、さらに融点は約110℃と室温では固体であるが、
有機溶媒によく溶け安定であること、200〜250℃
の気化温度で分解することなく気化し、その溶液の気化
特性も優れていることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0010】本発明は、融点が低く、有機溶媒に非常に
よく溶け、溶液気化法で低温成膜が可能なLn(dib
m)である。
【0011】本発明は、トリス(ジイソブチリルメタナ
ート)ランタンまたはトリス(ジイソブチリルメタナー
ト)ネオジムである。
【0012】本発明は、水−アルコール溶媒中で硝酸ラ
ンタノイドとジイソブチリルメタンとアンモニア水を反
応させ、得られた粗結晶を水洗・乾燥した後、蒸発回収
するトリス(ジイソブチリルメタナート)ランタノイド
の製法である。
【0013】本発明は、溶液気化により原料を供給し、
化学気相成長法でランタノイド置換チタン酸ビスマス強
誘電体薄膜を製造する方法において、ランタノイド源と
してトリス(ジイソブチリルメタナート)ランタノイド
を用いることを特徴とするランタノイド置換チタン酸ビ
スマス強誘電体薄膜の製造方法である。
【0014】本発明は、基板温度が450〜600℃で
あることを特徴とする上記記載のランタノイド置換チタ
ン酸ビスマス強誘電体薄膜の製造方法である。
【0015】本発明は、ビスマス源としてトリス(ジピ
バロイルメタナート)ビスマスまたはトリフェニルビス
マス、チタン源としてジ(イソプロポキシ)ビス(ジピ
バロイルメタナート)チタンまたはジ(イソプロポキ
シ)ビス(ジイソブチリルメタナート)チタンと酸化剤
を用いることを特徴とする上記記載のランタノイド置換
チタン酸ビスマス強誘電体薄膜の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】Ln(dibm)の製法は、
R.C.Young,A.Arch,Inorg.Sy
nth.Vol.2,121(1946)に記載され
た、金属塩の水溶液にβ−ジケトンを直接に加えて水に
不溶な金属キレートを析出させて得る製法を基に、改良
を加えた方法である。以下La(dibm)を例にし
て説明する。
【0017】硝酸ランタンと1〜1.1当量のdibm
Hを水−アルコール溶媒中に溶かし、pH7〜8となる
までアンモニア水を加えるとLa(dibm)の粗結
晶が得られる。これをデカンテーションによって分離し
た後、溶媒、未反応dibmHを常圧〜減圧で留去す
る。精製は再結晶でも可能であるが、0.01〜1To
rrでの真空蒸留が好ましい。こうすることにより溶液
気化用原料として最適な、パーティクルや不揮発分を含
まない、完全な揮発成分のみのLa(dibm)が得
られる。
【0018】以下に実施例1で得られたLa(dib
m)の同定とCVDに必要な物性の測定結果を記す。 (1)組成分析 ICP発光分光分析の結果 La分析値 22.7% (理論値23.0%) (2)不純物分析 ICP発光分光分析の結果(単位ppm) K<1,Na 5,Mg<1,Ca<1,Fe<2,C
u<2,Zn<1,であり、高純度であった。また、全
Cl分析の結果、Clは<2ppmであった。
【0019】(3)EI−MS 測定条件 装置:JEOL AX505W、イオン化法:EI、導
入法:直接導入法、イオン化エネルギー:70eV、 測定結果を図1に示した。主なm/zと強度(%)とそ
のイオン種を以下に列挙した。 m/z=604(26%)La(dibm) 分子イオン 561(13%)La(dibm)(MeHCCOCHCO) 449(100%)La(dibm)
【0020】(4)H−NMR 測定条件 装置:BRUKER AC300P(300MHz)、
溶媒:ベンゼン−d、方法:1D、 測定結果を図2に示した。δ(ppm)と(帰属)を
以下に列挙する。 1.03+1.18+1.20(36H,CH(C
) 2.51(6H,C(CH) 5.31+5.52(3H,C
【0021】(5)FT−IR 測定条件 装置:SHIMADZU FT−IR8600、 方法:トルエン溶液をKBr板にキャスト後トルエンを
蒸発除去した。 分解能:4.0cm−1、 測定結果を図3に示した。 スペクトル(cm−1) 2963,2921,2870,1593,1531,
1504,1427,1383,1360,1331,
1313,1232,1155,1092,1057,
959,918,789,760,430,
【0022】以上の結果からLa(dibm)と同定
した。
【0023】(6)性状と融点 淡橙色固体 融点110℃
【0024】(7)蒸気圧 195℃/0.1Torr
【0025】(8)TG−DTA 測定条件 昇温速度10.0deg/min 測定はAr1気圧とAr2Torrの2条件で行った。
Ar200sccm、1気圧、試料12.19mgの結
果を図4に示す。Ar50sccm、2Torr、試料
16.55mgの結果を図5に示す。図4、5よりLa
(dibm)は250℃で熱分解している様子はな
い。しかし図4よりLa(dibm)は350℃付近
から熱分解していることがわかる。また、図5より30
0℃での気化率が99.56%で100%ではないが、
試料皿には何も残っていなかったことから、完全に気化
したと考えられる。
【0026】(9)溶解度 溶媒1Lに室温で溶解する質量(単位g)を表1に示
す。
【0027】
【表1】
【0028】比較にLa(dpm)の酢酸n−ブチル
中への溶解度は300g、トルエン、ヘキサンにはまっ
たく溶けないことから、La(dibm)がかなりよ
くこれらの溶媒に溶けることがわかる。溶媒種の選択範
囲が非常に広くなった。
【0029】La(dibm)のCVDで基板へのL
の堆積が確認される下限の基板温度を実施例3
で調べた結果、約400℃であった。この温度は比較例
1の結果、La(dpm)の約500℃に比べ、約1
00℃ほど低かった。これは、dibm基の方がdpm
基より、低温で酸化分解するためと考えられる。すなわ
ちLa(dibm)の方がPLZT膜を低温で形成可
能なことを表している。なお温度の絶対値は、CVDの
圧力や酸化ガスの種類により異なるが、両者の傾向は変
わらない。
【0030】本発明のBLTやBLnTV膜形成用の1
成分であるBi化合物は、Bi(dpm)またはBi
Phである。またTi化合物は、Ti(OiPr)
(dpm)あるいはTi(OiPr)(dibm)
である。またV化合物は、V(dpm)が使える。
【0031】原料溶液の供給方法は、Bi、Ln、T
i、V化合物の個々の溶液を、それぞれのソースシリン
ダーから計量、気化器直前で混合され、一つの気化器で
気化された後、CVD室に供給する方法と、Bi、L
n、Ti、V化合物を1つの溶液に含んだ原料を用い、
その溶液を気化器で気化後、CVD室に供給する方法が
ある。前者は、溶液のポットライフが一溶液法に比べ長
く、気化器を一つにする装置上の利点もある。後者は、
供給装置が最も簡素化され、しかも溶液の組成均一性や
得られた膜組成の均一性が優れている。
【0032】本発明では、BLnTやBLnTV成膜の
基板温度が450〜600℃である。Bi、Ln、T
i、V源を低温堆積可能な化合物を使うことにより、こ
のような低温でも良好な強誘電性を示す膜が得られる。
酸化ガスとしては、O、O、NO、NOなどが
使える。CVD室の圧力は、0.001〜10Torr
である。
【0033】
【実施例1】La(dibm)の製造 攪拌子を備えた300ml三つ口フラスコにメタノール
100mlとdibmH12.5g(80.0mmo
l)を仕込み、次いで硝酸ランタン六水和物10.4g
(24.2mmol)をイオン交換水15.9gで溶解
した溶液を攪拌下添加た。次いで28%アンモニア水
5.0gをイオン交換水10.0gで希釈したものを滴
下ロートより添加すると、液中に白色の粗製La(di
bm)が析出しはじめ、液温もわずかに上昇し、反応
溶液はpH7.5となった。これをそのまま室温で2時
間攪拌した後、粗製La(dibm)の結晶をデカン
テーションで分離して分離・回収した。回収した結晶を
釜温度100〜110℃、圧力1〜2Torrで溶媒や
末反応dibmHを留去し、粗製La(dibm)
得た。この粗製La(dibm)を、加熱温度240
℃、圧力0.1〜0.2Torrで蒸留し、精製品8.
4gを得た。収率57.9%であった。
【0034】
【実施例2】Nd(dibm)の製造 攪拌子を備えた300ml三つ口フラスコにメタノール
70mlとdibmH10.0g(64.0mmol)
を仕込み、次いで硝酸ネオジム5.2水和物8.0g
(20.3mmol)をイオン交換水15.7gで溶解
した紫色溶液を撹拌下添加した。次いで28%アンモニ
ア水4.2gをイオン交換水10.7gで希釈したもの
を滴下ロートより添加すると、液温がわずかに上昇し、
反応溶液はpH7.0となった。これをそのまま室温で
2時間撹拌した後、1時間静置すると朱色のゼリー状粗
製Nd(dibm)が沈殿し、上澄液は無色透明液と
なった。次いでデカンテーションで分離・回収したゼリ
ー状結晶を釜温度100〜110℃、圧力1〜2Tor
rで溶媒や未反応dibmHを留去し、粗製Nd(di
bm)を得た。この粗製Nd(dibm)を、加熱
温度220℃、圧力0.1〜0.2Torrで蒸留し、
精製品8.1gを得た。収率65.3%であった。
【0035】得られたNd(dibm)の分析と物性
をLa(dibm)と同様に測定し、その結果を以下
に記した。 Nd分析値:24.0% (理論値23.6%) 不純物分析値(ppm):K 3,Mg 2,Fe
9,Cu<2,Zn<1,Cl<2, 性状:赤紫色固体、融点130℃ 蒸気圧:190℃/0.1Torr TG−DTA:Ar200sccm、1気圧、試料1
6.6mg、 測定結果を図6に示す。Nd(dibm)は350℃
付近から熱分解していることがわかる。 溶解度:溶媒1Lに室温で溶解する質量(単位g)を表
2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【実施例3】La(dibm)のCVDによるLa
膜の成膜 La(dibm)の酢酸ブチル溶液(濃度0.1mo
l/1)0.1ml/minを250℃の気化器に送
り、予熱したArガス200sccmとともに蒸発さ
せ、CVD室に送った。これに予熱したOガス100
sccmをCVD室入り口で混合し、反応圧力1Tor
r、400〜500℃の加熱されたSi基板上に導き、
熱分解堆積させた。20分後、基板を取り出し膜厚測定
すると、400℃で約15nmのLa膜が形成さ
れていた。500℃では約55nmであった。
【0038】
【比較例1】La(dpm)のCVDによるLa
膜の成膜 実施例3において、La(dibm)をLa(dp
m)に代えた他は、実施例3と同様にした。400℃
では、La膜は形成されていなかった。500℃
では約20nmであった。
【0039】
【実施例4】La(dibm)溶液を用いたBLT膜
の製造 Bi(dpm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.1m
ol/1)を0.32ml/minで送り、Ti(Oi
Pr)(dpm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.
1mol/l)を0.1ml/minで送り、La(d
ibm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.1mol/
l)を0.3ml/minで送り、この3液を気化器直
前で混合し、240℃の気化器で、予熱したArガス3
00sccmとともに気化させ、CVD室に送った。こ
れと予熱したOガス700sccmとをCVD室入り
口で混合し、反応圧1Torr、500℃に加熱された
Pt(111)/SiO/Si基板上に導き、熱分解
堆積させた。20分後基板を取り出し膜厚測定すると2
00nmの膜が形成されていた。この膜はXRDよりペ
ロブスカイト相のBLTで、組成分析の結果、Bi:L
a:Ti=3.2:0.8:3.0であった。
【0040】
【比較例2】La(dpm)溶液を用いたBLT膜の
製造 実施例4において、La(dibm)をLa(dp
m)に代えた他は、実施例4と同様にして、成膜し
た。しかし膜組成分析の結果、Bi:La:Ti=3.
8:0.2:3.0とLaが少なく、良好なペロブスカ
イト相は形成されなかった。
【0041】
【実施例5】Nd(dibm)溶液を用いた(Bi
3.6Nd0.4)(Ti2.90.1)O12膜の
製造 Bi(dpm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.1m
ol/l)を0.36ml/minで送り、Nd(di
bm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.1mol/
l)を0.04ml/minで送り、Ti(OiPr)
(dpm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.1mo
l/l)を0.30ml/minで送り、V(dpm)
の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.01mol/l)を
0.10ml/minで送り、この4液を気化器直前で
混合し、240℃の気化器で、予熱したArガス300
sccmとともに気化させ、CVD室に送った。これと
予熱したOガス700sccmとをCVD室入り口で
混合し、反応圧1Torr、500℃に加熱されたPt
(111)/SiO/Si基板上に導き、熱分解堆積
させた。20分後基板を取り出し膜厚測定すると200
nmの膜が形成されていた。この膜は、XRDよりBi
Ti12と同様にC軸配向膜であった。この膜を
溶解し、組成分析した結果、Bi:Nd:Ti:V=
3.6:0.4:2.9:0.1であった。
【0042】
【実施例6】La(dibm)の酢酸n−ブチル溶液
のポットライフ La(dibm)3.0g(5mmol)をメスフラ
スコに入れ、脱酸素した水分15ppmの酢酸n−ブチ
ルで50mlとし、気相部を乾燥Arとし、密封した。
この溶液を室温に保ち、3ケ月後に色、濁りの生成を観
察したが、淡黄色の完全透明状態が保たれていた。この
3ケ月後の溶液をフラスコにとり、室温真空下で溶媒を
蒸発除去し、次いで、240℃で真空蒸留したところ、
全量が蒸発回収され、フラスコ内壁に薄い茶色の膜がわ
ずかに残った程度であった。気化特性は全く変化してい
ず、正常であることがわかった。よって3ケ月のポット
ライフがあると言える。
【0043】
【発明の効果】溶液気化方式のCVD法でBLTやBL
nTV薄膜を成膜する場合、Ln源としてLa(dib
m)やNd(dibm)を用いることにより、基板
温度450〜600℃の低温で成膜できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】La(dibm)のEI−MSによる測定結
果を示す図である。
【図2】La(dibm)H−NMRによる測定
結果を示す図である。
【図3】La(dibm)のFT−IRによる測定結
果を示す図である。
【図4】La(dibm)の1気圧でのTG−DTA
による測定結果を示す図である。
【図5】La(dibm)の10TorrでのTG−
DTAによる測定結果を示す図である。
【図6】Nd(dibm)の1気圧でのTG−DTA
による測定結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AA03 AB78 AB91 AC90 AD11 AD17 BB14 BB31 BC51 BE14 BE90 4H048 AA01 AA02 AA03 AB78 AB91 VA20 VA70 VB10 4K030 AA11 BA01 BA04 BA42 BA46 CA04 FA10 LA01 LA15 5F058 BA20 BC03 BF04 BF27 BF29

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリス(ジイソブチリルメタナート)ラン
    タノイド。
  2. 【請求項2】トリス(ジイソブチリルメタナート)ラン
    タンまたはトリス(ジイソブチリルメタナート)ネオジ
    ム。
  3. 【請求項3】水−アルコール溶媒中で硝酸ランタノイド
    とジイソブチリルメタンとアンモニア水を反応させ、得
    られた粗結晶を水洗・乾燥した後、蒸発回収する請求項
    1または請求項2記載のトリス(ジイソブチリルメタナ
    ート)ランタノイドの製法。
  4. 【請求項4】溶液気化により原料を供給し、化学気相成
    長法でランタノイド置換チタン酸ビスマス強誘電体薄膜
    を製造する方法において、ランタノイド源として請求項
    1または請求項2記載のトリス(ジイソブチリルメタナ
    ート)ランタノイドを用いることを特徴とするランタノ
    イド置換チタン酸ビスマス強誘電体薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】基板温度が450〜600℃であることを
    特徴とする請求項4記載のランタノイド置換チタン酸ビ
    スマス強誘電体薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】ビスマス源としてトリス(ジピバロイルメ
    タナート)ビスマスまたはトリフェニルビスマス、チタ
    ン源としてジ(イソプロポキシ)ビス(ジピバロイルメ
    タナート)チタンまたはジ(イソプロポキシ)ビス(ジ
    イソブチリルメタナート)チタンと酸化剤を用いること
    を特徴とする請求項4および請求項5記載のランタノイ
    ド置換チタン酸ビスマス強誘電体薄膜の製造方法。
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