JPH06298714A - 新規な有機金属錯体とその配位子 - Google Patents
新規な有機金属錯体とその配位子Info
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- JPH06298714A JPH06298714A JP9309593A JP9309593A JPH06298714A JP H06298714 A JPH06298714 A JP H06298714A JP 9309593 A JP9309593 A JP 9309593A JP 9309593 A JP9309593 A JP 9309593A JP H06298714 A JPH06298714 A JP H06298714A
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Abstract
トイミン誘導体と、このケトイミン配位子が金属に配位
した有機金属錯体。 【化1】 式中、R1 およびR2 はそれぞれ炭素数1〜8の直鎖も
しくは分岐状アルキル基またはフッソ化アルキル基、R
3 は水素または炭素数1〜4の直鎖アルキル基、R4 は
炭素数1〜5のアルキレン基である。 【効果】 配位子の金属への配位サイトが多いため、多
量体を形成しにくく、空気中の湿気や炭酸ガスの吸収が
起こりにくい安定な錯体が得られる。高揮発性を長期間
保持されるので、MOCVD法による成膜原料として有
用。
Description
誘導体と、これを配位子とする有機金属錯体とに関す
る。本発明の有機金属錯体は、MOCVD (有機金属化
学蒸着) 法による成膜の原料化合物として有用である。
として利用したCVD法 (即ち、MOCVD法) は、半
導体の製造に広く用いられている。また、中心金属が周
期表の第IIA族金属 (アルカリ土類金属、例えば、Ca、
Sr、Ba) またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン
化物である有機金属錯体は、電子セラミックス材料、特
にチタン酸バリウムBaTiO3、チタン酸ストロンチウムSr
TiO3等に代表される高/強誘電体材料、ならびにYBa2Cu
3O7-a 等の超伝導酸化物材料の成膜における原料化合物
として使用され、注目されている。
性は、(1) 高い揮発性を有し、(2)基板状の分解サイト
に達するまでは、熱、酸化等に対して必要な安定性を持
ち、(3) 分解後に所望の化合物 (金属酸化物) を基板上
に形成することが可能であることである。
有機金属錯体は、中心金属が空のd軌道を有することか
ら、配位数が8〜10原子と多くなる。そのため、多量体
を形成しやすく、揮発性に富む化合物は少ない。揮発性
を有する化合物としては、アセチルアセトン (Hacac)、
ヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfac) 等の配位子を
有するβ−ジカルボニル化合物 (β−ジケトン) 系の錯
体や、シクロペンタジエニル基 (Cp) を有するシクロペ
ンタジエニド系錯体等が知られており、このうちいくつ
かは既にMOCVD材料として使用されている。
2 錯体[Htmhd; 2,2,6,6−テトラメチル−3,5 −ヘプタ
ンジオン] では、空気中の湿気やCO2 の吸収により錯
体に付加した結晶水の除去、炭酸イオンの除去が困難で
あり、またCVD法による成膜の際に使用温度付近での
熱安定性が乏しい。高い揮発性を有するフッ素含有のBa
(fod)2錯体 [Hfod; 1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−
7,7 −ジメチル−4,6−オクタンジオン] は、成膜の際
に目的とする酸化物と共に熱的に非常に安定なフッ化物
が生成してしまい、フッ化物の膜への混入が、電気的特
性などの膜に必要とされる特性を阻害する場合がある。
は、一般に蒸気圧が低く、耐酸化安定性に欠けることか
ら、CVD材料には不適と考えられる。
体を形成しにくく、高い揮発性を示し、かつ熱的に安定
であって、しかもCVD法による成膜の際に良好な分解
特性を示す、MOCVDに適した新規な有機金属錯体と
その配位子となる新規有機化合物を提供することであ
る。
トンと第一級ヒドロキシアミンまたはアルコキシアミン
との反応で合成した新規なβ−ケトイミン誘導体を配位
子とする有機金属錯体により上記目的を達成することが
できることを見出した。即ち、この配位子は金属への配
位サイトが多いため、錯体の蒸気圧 (揮発性) の低下お
よび不安定化の原因となる分子間の会合 (多量体化) 、
湿度やCO2 の吸収による錯体の変質を抑えることで、
安定した気化特性を示し、取扱安定性に優れている上、
CVD法による成膜時には良好な分解特性を示す。従っ
て、MOCVD法の材料として最適であることが判明し
た。
下記一般式 (I)で示される3座配位性β−ケトイミン誘
導体およびその酸付加塩を要旨とする。
〜8の直鎖もしくは分岐状アルキル基またはフッソ化ア
ルキル基であり、R3 は水素または炭素数1〜4の直鎖
アルキル基であり、R4 は炭素数1〜5のアルキレン基
である。このβ−ケトイミン化合物は、上に示したよう
にエナミン/イミン型の互変異性体の平衡状態混合物と
して存在する。
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、te
rt−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチ
ル、トリフロオロメチルがある。R3 基は好ましくは水
素またはメチルもしくはエチル基である。R4 のアルキ
レン基は直鎖でも分岐鎖でもよく、その例には、メチレ
ン、エチレン、トリメチレン、イソプロピレン、ブチレ
ン、イソブチレンなどがある。
トイミン誘導体からなる配位子が金属に配位した金属錯
体を要旨とする。中心金属としては任意の金属が可能で
あり、また金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物であ
ってもよい。
アルカリ土類金属がある。中心金属がアルカリ土類金属
である場合には、β−ケトイミン誘導体2分子が中心金
属に配位した6配位型の錯体となる。
の有機金属錯体は、MOCVD法によるBaTiO3、SrTiO3
等の高/強誘電体材料や、YBa2Cu3O7-a 等の酸化物型超
伝導材料の成膜において、アルカリ土類金属の供給原料
として有用である。中心金属がその他の金属である場合
も、同様にMOCVD法の原料として使用できる。
について詳しく説明する。以下の説明において、アルキ
レン基R4 は直鎖アルキレン基 (CH2)n (nは1〜5の整
数)として示す。また、R1 〜R3 はいずれも上記と
同じ意味である。
体は、β−ジカルボニル化合物と第一級ヒドロキシアミ
ンもしくはアルコキシアミンとの縮合反応により合成さ
れる。この縮合反応の反応式および反応メカニズムを次
に示す。
Jr., et al., J. Am. Chem. Soc.,87 (1965), 2117 に
記載のβ−ジカルボニル化合物と第一級アミンとの縮合
反応の反応操作に準じて行うことができる。
第一級ヒドロキシまたはアルコキシアミンとを、溶媒中
または無溶媒で、適当な脱水剤 (例、無水硫酸カルシウ
ム)の存在下に加熱して脱水縮合させる。溶媒として
は、ベンゼン、トルエン等の通常の炭化水素系溶媒を使
用することができる。
反応成分 (第一級ヒドロキシまたはアルコキシアミン)
をやや過剰に使用することが好ましい。反応温度は、脱
水縮合が行われるように選択すればよいが、通常は50〜
150 ℃の範囲内であろう。反応生成物の精製は、蒸留、
クロマトグラフィー、或いは酸付加塩の状態での再結晶
など、常法により行うことができる。本発明のβ−ケト
イミン誘導体の別の合成方法として、P.J. McCarthy, e
t al., J. Am. Chem. Soc., 77 (1955), 5820-4 に記載
のβ−ジケトンとエチレンジアミンとの縮合反応の反応
操作に準じて、β−ジカルボニル化合物と第一級ヒドロ
キシまたはアルコキシアミンとを縮合反応させることが
できる。
ル) 中でβ−ジカルボニル化合物と第一級アミンとを加
熱下に反応させた後、過剰の酢酸(II)銅を溶解した有機
溶媒溶液を加えて、加熱下に反応させ、β−ケトイミン
誘導体の銅錯体をいったん生成させる。この銅錯体を溶
媒留去などの手段で回収した後、有機溶媒 (例、エーテ
ル溶媒) にとかして溶液とし、得られた溶液を無機酸水
溶液 (例、希塩酸) で抽出して溶液から銅を除去する。
銅が除去された溶液を中和 (例、炭酸水素ナトリウム
で) し、脱水後に溶媒を留去すると、目的とするβ−ケ
トイミンが得られる。
公報No. 0369297 (1990)に記載の方法に準じてβ−ケト
イミンを合成することもできる。この方法では、適当な
極性溶媒 (例、THF) 中でβ−ジカルボニル化合物に
ほぼ等モル量の水素化カリウムを反応させ、次いで適当
な保護用シラン化合物 (例、t−ブチルジメチルクロロ
シラン) を作用させることによって、カルボニル基の1
個をシリル基で保護されたヒドロキシル基に転化させる
と同時に、このカルボニル基と隣接するα−炭素原子間
に二重結合を導入する。次いで、塩化カリウムを除去し
た後、第一級ヒドロキシまたはアルコキシアミンを加熱
下に反応させ、反応生成物から上記と同様に銅錯体を経
由して目的物のβ−ケトイミンを回収する。
応させてその酸付加塩に転化させることもできる。使用
する酸は、有機酸および無機酸のいずれも可能である。
とエステル間のクライゼン縮合により容易に合成するこ
とができる。このクライゼン縮合は、例えば C.R. Haus
er,et al, Org. Synth., III, 291 (1955) に記載の方
法に準じて実施できる。このクライゼン縮合によるβ−
ジカルボニル化合物の合成経路の1例を次に示す。ここ
に示すように、ケトンとナトリウムアミドとを反応さ
せ、次いでエステルをさらに反応させることにより、β
−ジカルボニル化合物を得ることができる。この反応は
一般に冷却下に行われる。
誘導体を、金属、例えばアルカリ土類金属もしくは遷移
金属、またはその水素化物、酸化物、水酸化物、アルコ
キシド、もしくはハロゲン化物などの化合物と反応させ
ると、本発明の有機金属錯体が形成される。
は、金属1原子にβ−ケトイミン誘導体2分子が配位し
た6配位型錯体が生成する。この有機金属錯体の構造式
の1例 (β−ケトイミンがn=2、R3 =CH3 である場
合) を次に示す。
Sr, Ba, Raなどの任意のアルカリ土類金属が可能である
が、好ましいのはCa, Sr, およびBaである。中心金属は
アルカリ土類金属に限定されるものではなく、遷移金属
であってもよい。本発明のβ−ケトイミン誘導体が配位
しうる遷移金属の代表例には、銅、ニッケル、コバル
ト、イットリウム、ランタン、ルテニウム、インジウ
ム、ジルコニウムなどが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
反応させることができ、それにより上記錯体を合成でき
る。また、例えば、適当な極性溶媒 (例、THF=テト
ラヒドロフラン) 中に金属またはその化合物を分散ない
し溶解させ、これに適当な溶媒に溶解させたβ−ケトイ
ミン誘導体の溶液を滴下することによっても錯体形成を
行うことができる。金属が単体金属または水素化物であ
る場合には、反応により水素が発生するので、これを系
外に除去しながら反応を行うことが好ましい。反応終了
後、溶媒を留去し、残留する粗製の錯体を適当な手段で
精製する。本発明の有機金属錯体は揮発性であるので、
精製は昇華により容易に行うことができる。
明の有機金属錯体は高純度を要求されるので、以上に説
明したβ−ケトイミン誘導体とその原料化合物ならびに
有機金属錯体の合成において、使用する出発原料、溶
媒、およびその他の材料はいずれも十分に精製したもの
を使用することが好ましい。
有機金属錯体の合成の例示する実施例を示す。
略記; C8H14O2, 分子量142.22) の合成
スコに、ナトリウムアミド(NaNH2)78.0g(2.0モル) を
粉体ロートを通じて導入し、ベンゾフェノンおよび金属
ナトリウムにより精製した無水THF400 mlを添加し
た。反応系を氷浴により冷却しながら、THF100 ml中
のピナコリン (メチル・t−ブチルケトン) 100.0 g
(1.0モル) の溶液を1滴づつ20分かけて滴下した。次い
で、滴下終了から10分後に、THF100 ml中の酢酸エチ
ル167.0 g(2.0モル) の溶液を40分かけて滴下し、滴下
終了後に2時間穏やかに加熱還流した。反応溶液はゼラ
チン状となり、室温に達した後、水200 mlをゆっくりと
滴下した。溶液は赤色を呈し、この溶液に3N塩酸をゆ
っくりと滴下して中和すると、溶液は微黄色に変わっ
た。リトマス試験紙により中性を確認した後、有機層を
ジエチルエーテル1.5 l で抽出した。水溶液層をさらに
200 mlづつのジエチルエーテルで3回抽出した。抽出液
を合わせ、ロータリーエバポレーターにより溶媒を減圧
留去し、残留する油状物を真空ポンプにより減圧蒸留し
て精製して、目的物であるHdmhd を得た。収率72%、無
色〜微黄色の油状液体。沸点57℃/20 torr。1H-NMR (CD
Cl3);δ1.166 (s, 9H), 2.082 (s, 3H), 5.617 (s, 1
H) 。
3−ヘキサノン (以下Hdmhmiと略記; C9H17NO2, 分子量
159.26) の合成 蒸留精製した合成例1のHdmhd 14.2g(0.1モル) 、水素
化カルシウムにより脱水精製したメタノールアミン7.06
g(0.15 モル) および乾燥硫酸カルシウム40gを混合
し、100 ℃で5時間加熱還流した。反応終了後、ジエチ
ルエーテル20 mlを添加し、濾過した。濾液から溶媒お
よび未反応のアミンを留去した後、残留する油状物を真
空ポンプにより減圧下で蒸留精製し、目的とするHdmhmi
を得た。収率85%、沸点 100〜110 ℃/3 torr 。
−3−ヘキサノン (以下Hdmheiと略記; C10H19NO2,
分子量185.30) の合成 第一級アミン反応成分として、水素化カルシウムにより
脱水精製したエタノールアミン9.17g(0.15 モル) を使
用した以外は実施例1と同様の操作で、淡黄色油状液体
の目的物Hdmheiを合成した。収率95%、沸点 115〜120
℃/2.3 torr 。
−3−ヘキサノン (以下Hdmmeiと略記; C11H21NO2, 分
子量190.24) の合成 第一級アミン反応成分として、水素化カルシウムにより
脱水精製した2−メトキシエチルアミン10.8g(0.15 モ
ル) を使用した以外は実施例1と同様の操作により、淡
黄色油状液体の目的物Hdmmeiを合成した。収率96%、沸
点 121〜128 ℃/1.8 torr 。 1H-NMR (CDCl3);δ 1.135
(s,9H), 1.243 (t,1H), 1.979 (s,3H),3.376 (s,3H),
3.398-3.544 (m,4H), 5.149(s,1H)。
−3−ヘキサノン (以下Hdmmpiと略記; C12H23NO2,
分子量213.36) の合成 第一級アミン反応成分として、水素化カルシウムにより
脱水精製した3−メトキシプロピルアミン13.4g(0.15
モル) を使用した以外は実施例1と同様の操作により、
黄色油状液体の目的物Hdmmpiを合成した。収率96%、沸
点 128〜133.5℃/1.6 torr 。 1H-NMR (CDCl3);δ 1.09
9 (s,9H), 1.2046 (t,1H), 1.809 (tt,2H), 1.937 (s,3
H), 3.295 (s,3H), 3.312 (dt,2H), 3.410 (t,2H), 5.0
95 (s,1H)。
ミノ] −2−ペンタノン(以下Htfmi と略記; C8H12F3NO
2, 分子量211.20) の合成 市販の 1,1,1−トリフルオロ−2,4 −ペンタンジオン(H
tfa と略記、東京化成製) 10g(65 mmol) を無水メタノ
ール100 ml中に溶解し、この溶液に2−メトキシエチル
アミン4.06g(54 mmol) をゆっくり加え、3時間加熱還
流した。反応終了後、過剰の酢酸銅 (II) を溶解したメ
タノール溶液を添加し、1時間加熱還流した後、ロータ
リーエバポレーターにより溶媒を留去し、残渣として黄
緑色の銅錯体[Cu(tfmi)2] を回収した。この銅錯体をジ
エチルエーテルに溶解し、得られたエーテル溶液をエー
テル層の色が消えるまで6N塩酸水溶液で抽出して、銅
をエーテル層から除去した。抽出後のエーテル溶液を炭
酸水素ナトリウムで中和し、無水硫酸ナトリウムで脱水
した後、溶媒を留去し、目的物のHtfmi を淡黄色油状で
得た。収率48%。1H-NMR (CDCl3); δ 1.217 (t,1H),
2.013 (s,3H), 3.350(s,3H), 3.382-3.490 (m,4H), 5.6
35 (s,1H) 。
−テトラメチル−3,5 −ヘプタンジオン(Htmhdと略記、
東京化成製) 10g(54 mmol) を、アミンとしてエタノー
ルアミン3.30g(54 mmol) を使用し、上記と同様の操作
で反応させると、 2,2,6,6−テトラメチル−5−[(2−
ヒドロキシエチル) イミノ] −3−ヘプタノン (以下Ht
mhi と略記; C13H25NO2,分子量227.36、R1 =R2 = C
(CH3)3、R3 = H) が得られる。
mmol) を2−メトキシエチルアミン4.06g(54 mmol) と
同様に反応させると、 2,2,6,6−テトラメチル−5−
[(2−メトキシエチル) イミノ] −3−ヘプタノン (以
下Htmmi と略記; C14H27NO2,分子量241.39、R1 =R2
= C(CH3)3、R3 = CH3) が得られる。
チル) イミノ] −2−ペンタノン (以下Hhfmi と略記;
C8H9F6NO2,分子量265.17) の合成 予め窒素置換しておいた反応容器中に、水素化カリウム
(2.0g, 50 mmol)を粉体ロートを通して導入し、ベンゾ
フェノンおよび金属ナトリウムにより精製した無水TH
F100 mlを添加した。反応容器を−78℃に冷却した後、
市販の 1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4 −ペンタン
ジオン(Hhfacと略記、東京化成製) 10g(48 mmol) を滴
下ロートよりゆっくり添加し、室温に戻した後、攪拌し
ながら10時間放置した。次いで、無水THF50 ml 中の
t−ブチルジメチルクロロシラン7.5 g(50 mmol) を溶
液を30分間かけて滴下した後、18時間加熱還流した。副
生した塩化カリウムを窒素気流中で濾去した後、濾液に
2−メトキシエチルアミン4.06g(54 mmol) をゆっくり
加え、2時間加熱還流した。
たメタノール溶液を添加し、1時間加熱還流した後、ロ
ータリーエバポレーターにより溶媒を留去し、残渣とし
て黄緑色の銅錯体[Cu(hfmi)2] を回収した。この銅錯体
をジエチルエーテルに溶解し、得られたエーテル溶液を
エーテル層の色が消えるまで6N塩酸水溶液で抽出し
て、銅をエーテル層から除去した。抽出後のエーテル溶
液を炭酸水素ナトリウムで中和し、無水硫酸ナトリウム
で脱水した後、溶媒を留去し、目的物のHhfmi を淡黄色
油状で得た。収率41%。1H-NMR (CDCl3); δ 1.257 (t,
1H), 3.395 (s,3H), 3.421-3.568 (m,4H), 5.962 (s,1
H) 。
誘導体の構造を、上記構造式(I) におけるR1 〜R4 基
に関して次の表にまとめて示す。
−3−ヘキサノンとストロンチウムとの錯体 [Sr(dmme
i)2と略記] の合成 ベンゾフェノンと金属ナトリウムとにより精製した無水
THF30 ml 中に、水素化ストロンチウム (SrH2、添川
化学製) 2.78g(31 mmol) を添加し、攪拌して懸濁液を
調製した。この懸濁液中に、実施例3で得た Hdmmei 18
g(93 mmol) を無水THF20 ml に溶解した溶液を1滴
づつ攪拌しながら滴下した。滴下するにつれて反応系か
ら水素ガスが継続して発生した。ガスの発生終了後、さ
らに室温で1時間攪拌した。次いで、真空ポンプにより
室温で溶媒を減圧留去した後、加熱して未反応のHdmmei
も減圧蒸留により除去した (75〜80℃/0.35 torr)。残
渣を蒸留により精製すると、目的物のSr(dmmei) が得ら
れた (84℃/0.35 torr) 。なお、以上の操作はすべて窒
素雰囲気中で行った。
10℃/minでのTG-DTA曲線) を図1に示す。この図から分
かるように、200 ℃までの温度でほぼ完全に気化した。 1H-NMR (C6D6);δ 1.37 (s,9H), 1.55 (s,3H), 2.84
(m,2H), 2.95 (m,2H), 2.99 (s,3H), 5.27 (s,1H) 。
チウム金属 (添川化学製) 3.5 g(40 mmol) に、実施例
3で得た Hdmmei 26.7g(140 mmol)を加え、乾燥窒素気
流下、室温で3時間反応させた。その後、徐々に加温し
て60〜80℃に8時間保持し、ストロンチウム金属を反応
・溶解させた。次いで、無水ベンゼン50mlを加え、不溶
物をG4ガラスフィルターで濾過して分離した後、濾液
を減圧濃縮した後、加熱して未反応のHdmmeiを減圧留去
した (75〜80℃/0.35 torr)。残渣を蒸留により精製す
ると、目的物のSr(dmmei) 0.75gが得られた (84℃/0.3
5torr) 、収率40.3%。このものは、実施例7の生成物
と同一物質であった。
イミン誘導体を、実施例7または8と同様の方法で水素
化ストロンチウムまたはストロンチウム金属と反応させ
ると、それぞれ対応する有機ストロンチウム錯体を合成
することができる。
化バリウム(BaH2)または水素化カルシウム(CaH2)を、実
施例1〜6のいずれかで合成したβ−ケトイミン誘導体
と実施例7に記載の方法で反応させか、或いはストロン
チウムに代えてバリウムまたはカルシウム金属をこれら
β−ケトイミン誘導体と実施例8に記載の方法で反応さ
せると、それぞれ対応する有機バリウムまたはカルシウ
ム錯体を得ることができる。
導体とこれが金属に配位した新規な有機金属錯体が提供
される。このβ−ケトイミン誘導体は3座配位子であっ
て、金属への配位サイトが多いため、錯体を形成した時
に、錯体の蒸気圧低下および不安定化の原因となる分子
間の会合が起こりにくく、かつ空気中の湿気や炭酸ガス
の吸収が起こりにくい。その結果、錯体が安定化し、そ
の高揮発性を長期間保持することができる。従って、本
発明の有機金属錯体は、MOCVD法による成膜原料と
して有用であり、BaTiO3、SrTiO3等の高/強誘電体材
料、YBa2Cu3O7-a 等の超伝導酸化物材料をはじめとする
各種電子セラミックス薄膜材料の製造に利用することが
できる。
特性 (TG-DTA曲線) を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記一般式で示される3座配位性β−ケ
トイミン誘導体およびその酸付加塩。 【化1】 式中、R1 およびR2 はそれぞれ炭素数1〜8の直鎖も
しくは分岐状アルキル基またはフッソ化アルキル基であ
り、R3 は水素または炭素数1〜4の直鎖アルキル基で
あり、R4 は炭素数1〜5のアルキレン基である。 - 【請求項2】 請求項1記載のβ−ケトイミン誘導体か
らなる配位子が金属に配位した有機金属錯体。
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