JP2003320592A - 液晶性ポリマーフィルムの製造方法 - Google Patents

液晶性ポリマーフィルムの製造方法

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JP2003320592A
JP2003320592A JP2002131170A JP2002131170A JP2003320592A JP 2003320592 A JP2003320592 A JP 2003320592A JP 2002131170 A JP2002131170 A JP 2002131170A JP 2002131170 A JP2002131170 A JP 2002131170A JP 2003320592 A JP2003320592 A JP 2003320592A
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polymer film
liquid crystalline
crystalline polymer
temperature
film
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JP2002131170A
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Kenichi Tsudaka
健一 津高
Atsuo Yoshikawa
淳夫 吉川
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶性ポリマーフィルムの耐熱性を向上させ
るための熱処理に必要なエネルギーの効率化を図り、短
時間に所望の耐熱性を有する液晶性ポリマーフィルムを
得ることができる方法を提供する。 【解決手段】 本発明の液晶性ポリマーフィルムの製造
方法は、光学的異方性の溶融相を形成し得る液晶性ポリ
マーからなるフィルムにアルカリ金属塩を接触させた状
態で熱処理を施すことからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的異方性の溶
融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを液晶
性ポリマーと略称することがある)からなるフィルム(以
下、これを液晶性ポリマーフィルムと略称することがあ
る)とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子・電気工業分野においては、
機器の小型化・軽量化に対する強い要求があり、電気的
特性や機械的特性等に優れた絶縁用フィルムの需要が増
大しつつある。現状の絶縁用フィルムとしては、ポリイ
ミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等
が多用されているが、高周波領域での電気的特性が不十
分であるばかりでなく、特に吸湿性が高いことに起因し
て電気的特性が一層悪化することや大きな寸法変化を生
じることが問題となっている。
【0003】これに対して、液晶性ポリマーフィルム
は、低吸水性であること、優れた電気的特性や低寸法変
化率、高耐熱性、化学的安定性等を示すことから、絶縁
用フィルムとして有用である。しかし、液晶性ポリマー
は、同ポリマーからフィルムを製造する際に、高い温度
で成形する必要があり、このため多大のエネルギーを消
費するなどの問題を伴う。 液晶性ポリマーの中には比
較的低い成形温度を採用し得るものもあるが、それから
得られたフィルムの耐熱性は低いものとなる。
【0004】そこで、液晶性ポリマーフィルムの耐熱性
を向上させる方法として、該フィルムを成形した後に熱
処理することが提案されている。しかしながら、これま
で提案されているフィルムの熱処理は、耐熱性を十分に
向上させるためには、長い処理時間を要し、製造コスト
やエネルギー効率の面で十分とは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、液晶
性ポリマーフィルムの耐熱性を向上させるための熱処理
に必要なエネルギーの効率化を図り、短時間に所望の耐
熱性を有する液晶性ポリマーフィルムを得ることができ
る方法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、液晶性ポ
リマーフィルムの耐熱性を短時間で向上させる方法につ
いて鋭意研究した結果、アルカリ金属塩を接触させた状
態で、液晶性ポリマーフィルムに熱処理を施すことによ
り、所望の耐熱性を付与するために必要な熱処理時間を
著しく短縮できることを見出し、さらに検討した結果、
本発明を完成させるに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、液
晶性ポリマーフィルムにアルカリ金属塩を接触させた状
態で熱処理を施すことからなる液晶性ポリマーフィルム
の製造方法を提供する。
【0008】以上の本発明によれば、短時間で耐熱性が
向上された液晶性ポリマーフィルムが得られる。また、
短時間で耐熱性が改善されるので、エネルギーの効率化
が図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる液晶性ポリマ
ーの具体例としては、以下に例示する(1)から(4)
に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知
のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロ
ピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。
ただし、高分子液晶を形成するためには、種々の原料化
合物の組合せには適当な範囲があることは言うまでもな
い。
【0010】(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化
合物(代表例は表1参照)
【0011】
【表1】
【0012】(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸
(代表例は表2参照)
【0013】
【表2】
【0014】(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表
例は表3参照)
【0015】
【表3】
【0016】(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシ
アミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参
照)
【0017】
【表4】
【0018】これらの原料化合物から得られる液晶性ポ
リマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重
合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0019】
【表5】
【0020】これらの液晶性ポリマーは、加工性の点で
200〜400℃、特に250〜350℃の範囲内に光
学的異方性の溶融相への転移温度を有するものが好まし
い。また、液晶ポリマーは、フィルムとしての物性を損
なわない範囲で、例えば、ポリアリレート、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリアミド等の液晶ポリマーとは
異なる熱可塑性樹脂;滑剤、酸化防止剤、充填材等が配
合されていてもよい。
【0021】以上の液晶性ポリマーからなるフィルム
は、Tダイ法、インフレーション法、あるいはこれらの
方法を組み合わせた方法等公知の製造方法によって製造
することができる。液晶性ポリマーフィルムの厚さは5
00μm以下が好ましく、10〜250μmがより好ま
しい。
【0022】本発明では、液晶性ポリマーフィルムにア
ルカリ金属塩を接触させた状態で熱処理を施す。熱処理
は、液晶性ポリマーフィルム単独に対して行うこともで
きるし、液晶性ポリマーフィルムを支持体と接触させた
状態で行うこともできる。ここで、支持体としては、例
えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等の金属;
ガラス等の無機物質;ポリイミド等の高耐熱性樹脂な
ど、液晶性ポリマーよりも高い融点を有するものから構
成されるものが使用される。支持体の形状としては、フ
ィルム状、シート状、板状、不織布状などの平面状であ
ることが好ましい。また、支持体は、表面に微小な凹凸
を有していてもよい。さらに支持体は、液晶性ポリマー
フィルムと接触する面に、シリコーン樹脂、ワックス、
フッ素樹脂、ポリイミド等の剥離剤からなる離型層を有
していてもよい。熱処理に際し、液晶性ポリマーと支持
体は接触していればよく、両者を単に重ね合わせるだけ
でもよいし、熱プレス、熱ローラー等によって両者を圧
着させてもよい。支持体は、必要に応じ、熱処理後に、
剥離、溶解除去等の公知の手段によって除去することが
できる。
【0023】熱処理の温度〔T(℃)〕は、液晶ポリマ
ーフィルムの物性に悪影響を及ぼさない範囲であれば格
別の制限はないが、好適な範囲は以下のとおりである。 (i)液晶性ポリマーフィルムを単独でアルカリ金属塩
と接触させて熱処理する場合 熱処理前の液晶性ポリマーフィルムの熱変形開始温度を
Tdef(℃)としたとき、 Tdef−30≦T≦Tdef+60 の範囲内であることが
好ましく、 Tdef−20≦T≦Tdef+35 の範囲内であることが
より好ましい。 (ii)液晶性ポリマーフィルムを支持体と接触させた状
態でアルカリ金属塩と接触させて熱処理する場合 熱処理前の液晶性ポリマーフィルムの融点をTm(℃)
としたとき、 Tm−50≦T≦Tm+30 の範囲内であることが好
ましく、 Tm−35≦T≦Tm+15 の範囲内であることがよ
り好ましい。 熱処理温度を上記の範囲とすることにより、変形が少な
く、耐熱性が向上した液晶ポリマーフィルムを短時間で
得ることができる。
【0024】液晶性ポリマーフィルムの熱変形開始温度
および/または融点は、上記の熱処理中に高まってい
く。したがって、液晶性ポリマーフィルムの熱処理に必
要なエネルギーの効率化を図り、所望の耐熱性を有する
液晶性ポリマーフィルムを短時間に得るために、熱処理
中に発現される液晶性ポリマーフィルムの熱変形温度お
よび/または融点の上昇に合わせて、熱処理温度を順次
高めてもよい。
【0025】熱処理方法としては、例えば、オーブン、
熱ロール、熱プレス、赤外線照射、オイル等の熱媒体中
への浸漬等の公知の方法によって実施可能であるが、均
一な熱処理を容易に行うことができること、操作が簡便
であること、また、使用する装置が安価であることなど
から、オーブンを使用して行うことが好ましい。
【0026】本発明で使用されるアルカリ金属塩として
は、アルカリ金属とハロゲンの塩、アルカリ金属と無機
酸の塩、アルカリ金属とカルボン酸の塩などが好適に使
用される。アルカリ金属とハロゲンの塩としては、例え
ば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、ヨ
ウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、臭
化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、塩化ルビ
ジウム、塩化セシウム等が挙げられる。アルカリ金属と
無機酸の塩としては、例えば、リン酸水素ニカリウム、
リン酸三カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウ
ム、硝酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、スズ酸ナトリ
ウム、タングステン酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウ
ム、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。また、ア
ルカリ金属とカルボン酸の塩としては、モノカルボン酸
またはジカルボン酸とアルカリ金属の塩が好ましく、例
えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、フタル酸水素カ
リウム、フタル酸ニカリウム、酒石酸ナトリウム、ステ
アリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ポリアクリ
ル酸ナトリウム、イソブチレン−無水マレイン酸共重合
体の水酸化ナトリウムによる中和物などが挙げられる。
【0027】アルカリ金属塩は、適切な溶媒に溶解させ
て溶液とし、液晶性ポリマーフィルムの表面に塗布する
ことによって、液晶性フィルムに接触させることができ
る。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノー
ル、2−プロパノール等のアルコール;これらの混合物
などが使用可能であるが、水が好ましい。溶媒の使用量
は、特に制限されるものではないが、アルカリ金属塩の
濃度が0.01〜0.1モル/リットルとなる範囲の量
であることが好ましい。アルカリ金属塩の溶液を液晶性
ポリマーフィルムの表面に塗布する方法は、特に限定さ
れるものではないが、ディップ法やスプレー法を採用す
ることができる。また、支持体として不織布、織布等の
布帛を使用する場合には、アルカリ金属塩の溶液を、支
持体としての布帛に予め含浸させておく方法も採用し得
る。なお、熱処理に先立ち、溶媒は可能な限り除去して
おくことが好ましい。また、液晶性ポリマーフィルムの
熱処理温度において、アルカリ金属塩の蒸気圧が充分に
高い場合には、アルカリ金属塩を気体の状態として液晶
性ポリマーフィルムの表面に接触させることもできる。
【0028】アルカリ金属塩の使用量には、格別の制限
はないが、溶液として塗布する場合、液晶ポリマーフィ
ルム表面への付着量として、0.05〜100g/m2
の範囲内であることが好ましく、0.5〜30g/m2
の範囲内であることがより好ましい。
【0029】また、液晶性ポリマーフィルムの熱処理に
際し、アルカリ金属塩とともに、界面活性剤を共存させ
ることもできる。界面活性剤は、通常、アルカリ金属塩
とともに溶媒に溶解させた上で使用される。界面活性剤
を共存させることにより、アルカリ金属塩の溶液を液晶
性ポリマーフィルムの表面に均一に塗布することが容易
になるので好ましい。
【0030】界面活性剤としては、カチオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の
公知のものを使用することができるが、例えば、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン系
界面活性剤が好ましい。界面活性剤の使用量は、通常、
アルカリ金属塩1モルに対し、0.0001〜0.1モ
ル、好ましくは、0.001〜0.01モルとなる範囲
の量である。
【0031】さらに、熱処理効果を高めるためには、液
晶性ポリマーフィルムを不活性ガス雰囲気下で熱処理す
ることが好ましい。ここでいう不活性ガス雰囲気下と
は、ニ酸化炭素、窒素、アルゴン等の不活性ガス中、あ
るいは減圧下を意味し、酸素等の活性ガスが1.0体積
%以下であることを言い、0.1体積%以下がより好ま
しい。
【0032】本発明方法によって得られた液晶ポリマー
フィルムは、熱処理後は、その表面にアルカリ金属塩お
よび場合により界面活性剤が付着していることがある。
本発明方法によって得られた液晶ポリマーフィルムは、
所望により、水洗等の公知の手段により、表面に付着し
たアルカリ金属塩や界面活性剤を除去して、各種の用途
に使用することができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定さ
れるものではない。なお、以下の実施例および比較例に
おいて、フィルムの熱変形開始温度および融点は、以下
の方法により測定した。 熱変形開始温度 熱機械分析装置(島津製作所社製)を使用し、巾5m
m、長さ20mmのフィルムに1gの荷重をかけ、5℃
/分の速度で昇温して温度(℃)〜寸法変化率(%)曲
線を作成した。この曲線において、昇温に伴って寸法変
化率が急激に増加する温度を求め、これを熱変形開始温
度とした。 融点 示差走査型熱量計(島津製作所社製)を用いてフィルム
の熱挙動を観測した。すなわち、フィルムを5℃/分の
速度で昇温した時に現れる吸熱ピークを求め、これを融
点とした。
【0034】参考例 6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位27モル%、p−
ヒドロキシ安息香酸単位73モル%からなるサーモトロ
ピック液晶性ポリエステルを単軸押出機を用いて280
から300℃で加熱溶融し、直径40mm、スリット間
隔0.5mmのインフレーションダイより、せん断速度
550sec-1で押出し、厚さ50μmのフィルムを得
た。得られたフィルムの熱変形開始温度は260℃であ
り、融点は280℃であった。
【0035】実施例1〜3 表6に示すアルカリ金属とハロゲンの塩またはアルカリ
金属とカルボン酸の塩(濃度:0.06モル/リット
ル)およびノニオン系界面活性剤〔ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル:レオポールO2(商品
名);濃度:0.0002モル/リットル〕を含有する
水溶液に、参考例1で得られたフィルムを室温で1分間
浸漬し、得られたフィルムを130℃のオーブンで10
分間乾燥した。乾燥後のフィルムの熱変形開始温度は2
60℃であった。重量増加から算出したアルカリ金属の
塩およびノニオン系界面活性剤の付着量はいずれの実施
例においてもフィルム表面に対して約13g/m2であ
った。引き続き、乾燥後のフィルムを130℃のオーブ
ンに投入し、オーブン内の雰囲気を酸素濃度が1体積%
以下になるように窒素で置換した。その後、オーブン内
の温度を20分間で250℃に昇温し、同温度で22分
間保持した。オーブン内の温度を10分間で200℃に
降温し、次いで室温まで冷却した後、フィルムをオーブ
ンから取り出し、十分に水洗して室温で乾燥させた。得
られたフィルムの熱変形開始温度および融点を測定し
た。結果を表6に示す。
【0036】比較例1 参考例1で得られたフィルムを直接130℃のオーブン
に入れ、同温度で10分間保持した後、オーブン内の雰
囲気を、酸素濃度が1体積%以下になるように窒素で置
換した。その後、オーブン内の温度を20分間で250
℃に昇温し、同温度で22分間保持した。オーブン内の
温度を10分間で200℃に降温し、次いで室温まで冷
却した後、フィルムをオーブンから取り出し、熱変形開
始温度および融点を測定した。結果を表6に示す。
【0037】
【表6】
【0038】以上の表6から明らかなように、実施例1
〜3の場合、比較例1に比べて短時間で熱変形開始温度
および融点が上昇しており、耐熱性が向上していること
が理解できる。
【0039】実施例4〜6 表7に示すアルカリ金属とハロゲンの塩またはアルカリ
金属とカルボン酸の塩(濃度:0.06モル/リット
ル)およびノニオン系界面活性剤〔ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル:レオポールO2(商品
名);濃度:0.0002モル/リットル〕を含有する
水溶液に、参考例1で得られたフィルムを室温で1分間
浸漬し、得られたフィルムを130℃のオーブンで10
分間乾燥した。重量増加から算出したアルカリ金属の塩
およびノニオン系界面活性剤の付着量はいずれの実施例
においてもフィルム表面に対して約13g/m2であっ
た。引き続き、乾燥後のフィルムを130℃のオーブン
に投入し、オーブン内の雰囲気を酸素濃度が1体積%以
下になるように窒素で置換した。その後、オーブン内の
温度を20分間で250℃に昇温し、同温度で22分間
保持し、次いで2分間で270℃に昇温し、同温度で2
0分間保持した。オーブン内の温度を10分間で260
℃に降温し、次いで室温まで冷却した後、フィルムをオ
ーブンから取り出し、十分に水洗して室温で乾燥させ
た。得られたフィルムの熱変形開始温度および融点を測
定した。結果を表7に示す。
【0040】比較例2 参考例1で得られたフィルムを直接130℃のオーブン
に入れ、同温度で10分間保持した後、オーブン内の雰
囲気を、酸素濃度が1体積%以下になるように窒素で置
換した。その後、オーブン内の温度を20分間で250
℃に昇温し、同温度で22分間保持し、次いで2分間で
270℃に昇温し、同温度で20分間保持した。オーブ
ン内の温度を10分間で260℃に降温し、次いで室温
まで冷却した後、フィルムをオーブンから取り出し、熱
変形開始温度および融点を測定した。結果を表7に示
す。
【0041】
【表7】
【0042】以上の表7から明らかなように、実施例4
〜6の場合、比較例2に比べて短時間で熱変形開始温度
および融点が上昇しており、耐熱性が向上していること
が理解できる。
【0043】実施例7〜14 表8に示すアルカリ金属とハロゲンの塩またはアルカリ
金属とカルボン酸の塩(濃度:0.06モル/リット
ル)およびノニオン系界面活性剤〔ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル:レオポールO2(商品
名);濃度:0.0002モル/リットル〕を含有する
水溶液に、参考例1で得られたフィルムを室温で1分間
浸漬し、得られたフィルムを130℃のオーブンで10
分間乾燥した。重量増加から算出したアルカリ金属の塩
およびノニオン系界面活性剤の付着量はいずれの実施例
においてもフィルム表面に対して約13g/m2であっ
た。引き続き、乾燥後のフィルムを130℃のオーブン
に投入し、オーブン内の雰囲気を酸素濃度が1体積%以
下になるように窒素で置換した。その後、オーブン内の
温度を20分間で250℃に昇温し、同温度で22分間
保持し、次いで2分間で270℃に昇温し、同温度で2
0分間保持し、さらに2分間で290℃に昇温し、同温
度で20分間保持した。オーブン内の温度を10分間で
260℃に降温し、次いで室温まで冷却した後、フィル
ムをオーブンから取り出し、十分に水洗して室温で乾燥
させた。得られたフィルムの熱変形開始温度および融点
を測定した。結果を表8に示す。
【0044】比較例3 参考例1で得られたフィルムを直接130℃のオーブン
に入れ、同温度で10分間保持した後、オーブン内の雰
囲気を、酸素濃度が1体積%以下になるように窒素で置
換した。その後、オーブン内の温度を20分間で250
℃に昇温し、同温度で22分間保持し、次いで2分間で
270℃に昇温し、同温度で20分間保持し、さらに2
分間で290℃に昇温し、同温度で20分間保持した。
オーブン内の温度を10分間で260℃に降温し、次い
で室温まで冷却した後、フィルムをオーブンから取り出
し、熱変形開始温度および融点を測定した。結果を表8
に示す。
【0045】比較例4 参考例1で得られたフィルムを、ノニオン系界面活性剤
〔ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル:レオ
ポールO2(商品名);濃度:0.0002モル/リッ
トル〕を含有する水溶液に室温で1分間浸漬し、得られ
たフィルムを130℃のオーブンで10分間乾燥した。
重量増加から算出したノニオン系界面活性剤の付着量
は、フィルム表面に対して約13g/m2であった。引
き続き、乾燥後のフィルムを130℃のオーブンに投入
し、オーブン内の雰囲気を酸素濃度が1体積%以下にな
るように窒素で置換した。その後、オーブン内の温度を
20分間で250℃に昇温し、同温度で22分間保持
し、次いで2分間で270℃に昇温し、同温度で20分
間保持し、さらに2分間で290℃に昇温し、同温度で
20分間保持した。オーブン内の温度を10分間で26
0℃に降温し、次いで室温まで冷却した後、フィルムを
オーブンから取り出し、十分に水洗して室温で乾燥させ
た。得られたフィルムの熱変形開始温度および融点を測
定した。結果を表8に示す。
【0046】
【表8】
【0047】以上の表8から明らかなように、実施例7
〜11の場合、比較例3および4に比べて短時間で熱変
形開始温度および融点が上昇し、耐熱性が向上している
ことが理解できる。
【0048】比較例5 比較例3において、290℃で保持する時間を延長し、
得られるフィルムの熱変形開始温度および融点を測定し
た。290℃で保持する時間を比較例3からさらに55
分延長した場合、すなわち290℃で75分間保持した
場合に、得られるフィルムの熱変形開始温度が315℃
に、また融点が322℃に達した。
【0049】参考例2 参考例1で得られたフィルムと厚さ50μmの電解銅箔
を290℃で熱プレスによって圧着し、金属箔と液晶性
ポリマーフィルムからなる2層構造の積層フィルムを得
た。
【0050】実施例15 参考例2で得られた積層フィルムの液晶性ポリマー表面
に、塩化ナトリウム〔濃度:0.06モル/リットル〕
およびノニオン系界面活性剤〔ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル;レオポールO2(商品名、竹本
油脂社製);濃度:0.0002モル/リットル〕を含
有する水溶液を塗布し、得られた積層フィルムを130
℃のオーブンで10分間乾燥した。重量増加から算出し
た、塩化ナトリウムおよびノニオン系界面活性剤の付着
量は、フィルム表面に対して0.07g/m2であっ
た。乾燥後の積層フィルムの一部をとり、塩化第二鉄水
溶液を用いて銅箔を溶解して除去した後、残った液晶性
ポリマーフィルムを十分に水洗し、室温で乾燥させて熱
変形開始温度および融点を測定したところ、262℃と
282℃であった。上記で調製した、乾燥後の積層フィ
ルムを130℃のオーブンに入れ、オーブン内の雰囲気
を、酸素濃度が1体積%となるように窒素で置換した。
その後オーブン内の温度を20分間で250℃に昇温
し、同温度で22分間保持し、次いで2分間で270℃
に昇温し、同温度で20分間保持し、さらに2分間で2
90℃に昇温し、同温度で20分間保持した。オーブン
内の温度を10分間で280℃まで降温し、次いで室温
まで冷却した後、積層フィルムをオーブンから取り出
し、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔を溶解して除去し
た。残った液晶性ポリマーフィルムを十分に水洗し、室
温で乾燥させた。得られたフィルムの熱変形開始温度お
よび融点を測定したところ、それぞれ312℃と320
℃であった。
【0051】比較例6 参考例2で得られた積層フィルムを直接130℃のオー
ブンに入れ、同温度で10分間保持した後、オーブン内
の雰囲気を、酸素濃度が1体積%となるように窒素で置
換した。その後オーブン内の温度を20分間で250℃
に昇温し、同温度で22分間保持し、次いで2分間で2
70℃に昇温し、同温度で20分間保持し、さらに2分
間で290℃に昇温し、同温度で20分間保持した。オ
ーブン内の温度を10分間で280℃まで降温し、次い
で室温まで冷却した後、積層フィルムをオーブンから取
り出し、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔を溶解して除去
した。残った液晶性ポリマーフィルムを十分に水洗し、
室温で乾燥させた。得られたフィルムの熱変形開始温度
および融点を測定したところ、それぞれ288℃と30
1℃であった。
【0052】実施例15の場合、比較例6に比べて短時
間で熱変形開始温度および融点が上昇しており、耐熱性
が向上していることが理解できる。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、液晶性
ポリマーフィルムの耐熱性を向上させるための熱処理に
必要なエネルギーの効率化を図り、短時間に所望の耐熱
性を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:00 C08L 67:00 Fターム(参考) 4F073 AA12 BA23 BB01 EA01 EA55 4F201 AA24 AA29E AC03 AG01 AH33 AR06 BA07 BC01 BC13 BC15 BN37 BR02 BR07 BR31 BR50

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的異方性の溶融相を形成し得る液晶
    性ポリマーからなるフィルム(以下、液晶性ポリマーフ
    ィルムと略称する)に、アルカリ金属塩を接触させた状
    態で熱処理を施すことからなる液晶性ポリマーフィルム
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 液晶性ポリマーフィルムを単独でアルカ
    リ金属塩と接触させた状態で、以下の範囲の温度T
    (℃)において熱処理する請求項1記載の液晶性ポリマ
    ーフィルムの製造方法。熱処理前の液晶性ポリマーフィ
    ルムの熱変形開始温度をTdef(℃)としたとき、 Tdef−30≦T≦Tdef+60
  3. 【請求項3】 液晶性ポリマーフィルムを支持体と接触
    させた状態でアルカリ金属塩と接触させ、以下の範囲の
    温度T(℃)において熱処理する請求項1記載の液晶性
    ポリマーフィルムの製造方法。熱処理前の液晶性ポリマ
    ーフィルムの融点をTm(℃)としたとき、 Tm−50≦T≦Tm+30
  4. 【請求項4】 アルカリ金属塩の水溶液を用い、界面活
    性剤を共存させて熱処理を行う請求項1から3のいずれ
    か1項に記載の液晶性ポリマーフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属塩および界面活性剤の溶液
    をフィルムの表面に塗布させて熱処理を行う請求項1か
    ら4のいずれか1項に記載の液晶性ポリマーフィルムの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 界面活性剤が非イオン系界面活性剤であ
    る請求項4または5に記載の液晶性ポリマーフィルムの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 熱処理中におけるフィルムの熱変形開始
    温度の上昇に伴い、熱処理温度を順次高くする請求項1
    から6のいずれか1項に記載の液晶性ポリマーフィルム
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 不活性ガス雰囲気下で熱処理を行う請求
    項1から7のいずれか1項に記載の液晶性ポリマーフィ
    ルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 不活性ガス雰囲気が純度99.9%以上
    の加熱窒素である請求項8に記載の液晶性ポリマーフィ
    ルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 光学的異方性の溶融相を形成し得る液
    晶性ポリマーからなるフィルムであって、アルカリ金属
    塩と接触した状態で、熱処理されてなる液晶性ポリマー
    フィルム。
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