JP2003320026A - 円筒状白血球除去器及び白血球除去システム - Google Patents

円筒状白血球除去器及び白血球除去システム

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JP2003320026A JP2002129227A JP2002129227A JP2003320026A JP 2003320026 A JP2003320026 A JP 2003320026A JP 2002129227 A JP2002129227 A JP 2002129227A JP 2002129227 A JP2002129227 A JP 2002129227A JP 2003320026 A JP2003320026 A JP 2003320026A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1−10Lの大量の血液を処理できる流れ性の
改良され、フィルターライフタイムが長い白血球除去
器、白血球除去装置、及び白血球除去方法を提供する。 【解決手段】円筒状フィルターの外周面から内周面に向
かって血液濾過及び/又は吸着を行う白血球除去器にお
いて、円筒状フィルターはメインフィルターとその外周
側に配されるプレフィルターからなり、プレフィルター
は、平均均繊維直径が5μm以上15μm未満、充填密
度が0.05g/cm3以上0.20g/cm3未満の第
1プレフィルターと、さらに外周側に平均繊維直径15
μm以上50μm未満、充填密度0.20g/cm3
上0.65g/cm3未満の第2プレフィルターを少な
くとも含むことを特徴とする円筒状白血球除去器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液中の白血球を
除去する白血球除去器、白血球除去装置及び白血球除去
方法に関する。より詳細には、1〜10Lの大量血液中
の白血球を除去するために適する円筒状白血球除去器、
該円筒状白血球除去器を備えた白血球除去装置、及び該
円筒状白血球除去装置を用いる白血球除去方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】比較的少量の血液を処理する輸血用製剤
の分野においては、製剤からの白血球の除去を目的とし
て、不織布を平板上に積層した輸血用白血球除去器が開
発され広く実用化されてきた。これら輸血用白血球除去
器は、血液の微小凝集物を除去する目的でメインフィル
ターの上流側にプレフィルターを用いている。これらプ
レフィルターは、フィルターの入口側から出口側に向か
って平均繊維直径を逐次的或いは連続的に小さくすると
同時に、フィルターの空孔率を粗から密にすることで目
詰まりを防止してライフタイムを長くし、落差による処
理時間を短縮する試みがなされている。ところが、この
用途のフィルターは、構造上血液入口側の断面積が小さ
いため、1L以上の大量の血液を処理する場合、フィル
ターのライフタイムを長くすることに限界があり、体外
循環に用いられることもなかった。
【0003】一方、大量の血液から白血球を除去する試
みがなされており、特開平4 −240456号公報で
は、血液の入口側より出口側に向かい勾配付き細孔構造
を有し、且つ入口が出口側に比し粗い繊維からなる白血
球除去フィルター集成装置が開示されているいる。とこ
ろが、この装置は、15psi未満の差圧で約1〜6リ
ットル/分の流量で血液の白血球含量を低減させる能力
を持つが、全繊維表面積が約2平方メートル以上と大型
であった。しかも、本発明者らの知見によると、100
ml/min以下の低流速で流すと、流れ抵抗が少なく
偏った流れとなりやすいため、濾材全体を均一に使用す
ることができず、十分に機能を発揮できない可能性があ
った。このように、大量の血液処理に適したライフタイ
ムの長い白血球除去器として、これまでに満足すべきも
のは知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の従来技術の問題点を解決することにあり、特に、1〜
10Lの血液より100ml/min以下の低流速で白
血球を除去し、かつ小型であってもライフタイムの長い
白血球除去器を提供することにある。さらに、本発明
は、これを用いた白血球除去装置および白血球除去方法
を提供することも課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意研究した結果、円筒状フィルター
の外周面から内周面に向かって血液を流す白血球除去器
において、円筒状のメインフィルターの外周部に2層以
上の特定の層を含むプレフィルターを配すると、ライフ
タイムが長くなることを知見した。具体的には、血液を
流す方向から見て、少なくともメインフィルターの外周
部2層のプレフィルターの繊維径が太→細、充填密度が
密→粗となるように配すると、製剤用の白血球除去器と
は違って意外なことにライフタイムが長くなることがわ
かった。そして、100ml/min以下の低流速であ
っても、白血球を効率よく除去できることを見出して本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)円筒状フィル
ターの外周面から内周面に向かって血液濾過及び/又は
吸着を行う白血球除去器において、円筒状フィルターは
メインフィルターとその外周側に配されるプレフィルタ
ーからなり、プレフィルターは、平均繊維直径が5μm
以上15μm未満、充填密度が0.05g/cm3以上
0.20g/cm3未満の第1プレフィルターと、さら
に外周側に平均繊維直径15μm以上50μm未満、充
填密度0.20g/cm3以上0.65g/cm3未満の
第2プレフィルターを少なくとも含むことを特徴とする
円筒状白血球除去器、(2)第2プレフィルター層に対
する第1プレフィルター層の積層厚み比率が0.75以
上3.0未満であることを特徴とする(1)に記載の円
筒状白血球除去器、(3)第1プレフィルターの最小曲
率半径が12mm以上20mm未満であることを特徴と
する(1)または(2)に記載の円筒状白血球除去器、
(4)第1プレフィルター層の厚みが2mm以上である
こと特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の円筒
状白血球除去器、(5)プレフィルター及びメインフィ
ルターが不織布であることを特徴とする(1)〜(4)
のいずれかに記載の円筒状白血球除去器、(6)血液を
一定あるいは可変流速で送液する血液送液手段、抗凝固
剤を血液回路に注入する抗凝固剤注入手段、血液中の白
血球を除去する白血球除去手段、白血球除去手段の入口
側と出口側の圧力を測定する圧力測定手段を少なくとも
含み、これらを回路で接続してなる体外循環用の白血球
除去装置であって、白血球除去手段が(1)〜(5)の
いずれかに記載の円筒状白血球除去器であることを特徴
とする白血球除去装置、(7)請求項6に記載の白血球
除去装置によって血液から白血球を除去する方法、
(8)血液流速に対して1%以上20%未満の流速で抗
凝固剤を注入することを特徴とする(7)記載の白血球
除去方法、(9)20ml/min以上100ml/m
in以下の流速で血液を送液することを特徴とする
(7)または(8)記載の白血球除去方法、および(1
0) 白血球除去手段の入口側と出口側の圧力差が9.
33kPa以上16.0kPa未満に達したとき、血液の送
液速度を当初の10%以上50%未満に減速することを
特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の白血球除
去方法、(11) 抗凝固剤注入手段から注入される抗
凝固剤が、ヘパリン及び/または蛋白分解酵素阻害剤で
あることを特徴とする(7)〜(10)のいずれかに記
載の白血球除去方法、に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の円筒状白血球除去器とは、円筒状のメイン
フィルターの外周側にプレフィルターを配した円筒状フ
ィルターを容器に内蔵するもので、円筒の両端面がシー
ルされており、外周面側が血液の入口に、内周面側が血
液の出口に通じ、更に血液の入口と出口は円筒によって
隔てられるようにポッティングされている白血球除去器
をいう。円筒状フィルターの外側及び内側は支持網等に
より形状保持されていても有効に用いられる。円筒状フ
ィルターを充填する入口と出口を有する容器の形状は、
円筒状、多角柱状等適宜用いられるが、容器をコンパク
トにする上で円筒状が特に好ましく用いられる。
【0008】円筒状フィルターは、メインフィルターの
外周側直近に少なくとも2層以上のプレフィルターを有
している必要がある。プレフィルターが1層の場合は、
メインフィルターへの流れに偏りが見られるため好まし
くない。また、3層以上のプレフィルターを有しても有
用に用いることができるが、少なくともメインフィルタ
ー直近のプレフィルターがメインフィルターへの流れ制
御上非常に重要であり、フィルター全体のライフタイム
を延長する上で重要である。
【0009】メインフィルターに最も近い位置に配置す
る第1プレフィルター層は、平均繊維直径5μm以上1
5μm未満であり、且つその充填密度が0.05g/c
3以上0.20g/cm3未満で充填されている必要が
ある。平均繊維直径が5μm未満の場合、メインフィル
ターと同様に白血球を除去するが、クロッティングしや
すく、ライフタイムが短縮するため好ましくない。一方
15μm以上の場合、ポンプ等で発生する微小凝集物を
除去しにくくなるため好ましくない。同様の理由から、
より好ましくは、平均繊維径が7μm以上15μm未
満、最も好ましくは9μm以上15μm未満である。
【0010】これら第1プレフィルター層の充填密度を
規定することは非常に重要である。第1プレフィルター
層の充填密度は0.05g/cm3以上0.20g/c
3未満で充填されている必要がある。充填密度が0.
05g/cm3未満の場合、微小凝集物を補足する能力
は低下し好ましくない。一方0.20g/cm3以上の
場合、メインフィルターへの血液の分散が抑制されるた
め流れ性制御が不十分となり好ましくない。以上の理由
より、より好ましくは、充填密度が0.05g/cm3
以上0.18g/cm3未満、最も好ましくは0.07
g/cm3以上0.15g/cm3未満である。
【0011】また、第1プレフィルターは、円筒の最小
曲率半径が12mm以上20mm未満であることが好ま
しい。これら第1プレフィルターの最小曲率半径が12
mm以上20mm未満の場合、プレフィルター内部での
流路の拡大と縮小、すなわち、流路を有する平板状のフ
ィルター素材が、ある曲率をもって湾曲させられた結
果、外周側で生じる流路の拡大と内周側で生じる流路の
縮小が、連続的に発生し血液を均一にメインフィルター
最表面に到達させることができるため好ましい。これに
よりメインフィルターの均一な利用が実現でき、ライフ
タイムの延長上有効に働く。最小曲率半径が12mm未
満の場合、メインフィルターの最外層面積が小さくなっ
て白血球除去性能が低下するため好ましくない。反対
に、最小曲率半径が20mm以上の場合、プレフィルタ
ー内部での流路の拡大と縮小の差が小さくなってメイン
フィルターへの均一な流れを達成できないため好ましく
ない。以上より、第1プレフィルターの最小曲率半径
は、より好ましくは13mm以上18mm未満、最も好
ましくは14mm以上18mm未満である。
【0012】さらに、第一プレフィルターは、層の厚み
が2mm以上であることが好ましい。2mm以上あれ
ば、一層高いフィルターのライフタイム延長効果がある
ことが分かった。従って、2mm以上は、特に多量の血
液処理に適している。
【0013】本発明者らの検討によると、前記の第1プ
レフィルターの外側に特性が異なる第2プレフィルター
を配置して、プレフィルターが少なくともこの2層以上
を含むことが非常に重要であった。より具体的には、第
2プレフィルターの平均繊維直径および充填密度は、い
ずれも第1プレフィルターに比し大きいことが必要であ
り、この点が従来の血液製剤用白血球除去器における知
見と大きく異なっている。すなわち、第1プレフィルタ
ー層の外側に配置する第2プレフィルター層は、平均繊
維直径が15μm以上50μm未満、充填密度が0.2
0g/cm3以上0.65g/cm3未満であることが必
要である。これは、血液が第2プレフィルター側から第
1プレフィルターに入る場合、充填密度及び平均繊維直
径の不連続的な変化が流れ性を制御する上で非常に重要
に作用しているものと推定されるが、その結果として、
白血球除去器のライフタイムを飛躍的に延長できる。
【0014】第2プレフィルターの充填密度は、入口側
での流れ抵抗を上昇させ、血液をメインフィルターの全
面に均一に流すために重要である。特に、100ml/
min以下の低流速で血液を流す場合、第2プレフィル
ターの充填密度が低いと、入口付近で最も流れが不均一
となって血液の滞留等を招き、ライフタイムを延長する
効果が低い。充填密度が0.20g/cm3未満の場
合、血液の流れ抵抗が低くなり、入口付近での片流れ
と、円筒長方向の高低差による重力の影響により、第1
プレフィルターへの血液の均一な分散が抑制されるため
流れ性制御が不十分となり好ましくない。反対に、0.
65g/cm3以上の場合、流れ抵抗が大きく、血液に
ストレスを与え、且つ目詰まりの増加リスクが増大する
ため好ましくない。従って、第2プレフィルターの充填
密度は、0.20g/cm3以上0.65g/cm3未満
であることが必要である。同様の観点より、第2プレフ
ィルターの充填密度の範囲は、より好ましくは0.20
g/cm3以上0.62g/cm3未満、最も好ましくは
0.21g/cm3以上0.60g/cm3未満である。
【0015】第2プレフィルターの平均繊維直径は、平
均繊維直径15μm以上50μm未満のとき、上記記載
の充填密度と合せて、比較的大きな凝集物或いはフィブ
リン等のクロットによるフィルター前面の閉塞を抑制す
るうえで非常に重要である。即ち、平均繊維直径が15
μm未満の場合、第1プレフィルターとの差異がなく、
プレフィルターの構造変化による影響が少なくなり、第
1プレフィルターの効果を発揮できなくなるため好まし
くない。さらに、フィブリン等のクロッティングが発生
した場合、ライフタイムを短縮する可能性も高まり好ま
しくない。一方、50μm以上の場合、ポンプ等で発生
する中程度の凝集物を除去しにくくなるため好ましくな
い。同様の理由より、第2プレフィルターの平均繊維直
径の範囲は、より好ましくは17μm以上45μm未
満、最も好ましくは20μm以上40μm未満である。
【0016】プレフィルターについて本発明者らがさら
に検討したところ、各々のプレフィルターの特性だけで
はなく、特に、第1プレフィルターと第2プレフィルタ
ーの積層厚みの比率がライフタイムを向上させる上で非
常に重要であることが解った。ここで、プレフィルター
の積層厚み比率とは、第1プレフィルターの厚みを第2
プレフィルターの厚みで除した値であり、積層厚み比率
が0.75以上3.0未満であるときプレフィルターの
上述の機能を最大限に発揮できることを見出した。積層
厚み比率が0.75未満の場合、第1プレフィルターの
濾過長が相対的に短くなるので、高密度の第2プレフィ
ルターで血液の受ける濾過ストレスを第1プレフィルタ
ーが十分に緩和できず、メインフィルターのライフタイ
ムの延長効果が減少するため好ましくない。反対に、積
層厚み比率が3.0以上の場合、第2プレフィルターで
の均一化された血液流れが低密度な第1プレフィルター
中で重力の影響を受け流れの偏りを生じ、メインフィル
ターが均一に用いられなくなるため好ましくない。更
に、厚み比率が3.0以上の場合、プレフィルター量が
非常に多くなり容器サイズが増大化するため好ましくな
い。以上の観点より、積層厚み比率の好ましい範囲は
0.80以上2.7未満、最も好ましい範囲は1.0以
上2.0未満である。
【0017】本発明のプレフィルターとしては、不織
布、織布、繊維隗等の繊維状フィルターが有用に用いら
れる。材料の経済性、充填性、及び充填密度を容易に制
御できる点から、好ましくは不織布か織布であり、最も
好ましくは不織布である。
【0018】プレフィルターの材質は、特に限定され
ず、セルロース及び/またはその誘導体等の天然高分
子、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等のポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
アミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポ
リアクリロニトリル等の高分子材料を例示できる。好ま
しくは、成形性の観点より、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等であ
る。最も制御性良く製造できる点より、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエ
ステルが最も好ましい。なお、上記プレフィルターは、
親水性や抗血栓性を高める目的からコーティング、放射
線グラフト等の手法で表面修飾しても有用に用いられ
る。
【0019】本発明に用いられるメインフィルターとし
ては、多孔質体、平膜、不織布、織布等が例示できる。
中でも、白血球を除去できる観点より、不織布、織布、
多孔質体が好ましく用いられ、最も好ましくは不織布が
あげられる。
【0020】メインフィルターの材質は、白血球、活性
化白血球、感染白血球、炎症性白血球等の白血球成分を
吸着あるいはろ過により除去できるものであれば特に限
定されるものではない。具体的には、セルロース及び/
またはその誘導体等の天然高分子、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、
ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル等
の高分子材料を例示できる。なかでも、成形性の観点よ
り、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等のポリオレフィン等が好ましく用いられる。最も
制御性良く製造できる点より、最も好ましくは、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
のポリエステルである。なお、上記メインフィルターも
プレフィルターと同様に、水不溶性の低分子あるいは、
親水性及び/または疎水性のポリマー等をコーティン
グ、放射線グラフト等の手法で表面修飾しても有用に用
いられる。更に、プレフィルターとメインフィルターは
同じ材質であっても、異なる材質であっても有用に用い
られる。
【0021】一方、メインフィルターの充填密度は、
0.05g/cm3以上0.50g/cm3未満が有用に
用いられる。密度が0.05g/cm3未満では白血球
除去効率が低く好ましくない。一方、密度が0.50g
/cm3以上の場合、白血球除去によりフィルターのラ
イフタイムが短いため好ましくない。以上の観点で、好
ましいメインフィルターの充填密度は、0.09g/c
3以上0.40g/cm3未満、最も好ましくは、0.
10g/cm3以上0.30g/cm3未満である。繊維
をメインフィルターに用いた場合、平均繊維径は1.0
μm以上4.5μm未満がもっとも有用に用いられる。
また、本発明のプレフィルターを最大限に発揮できる好
ましい平均繊維直径は、1.5μm以上4.0μm未
満、最も好ましくは、2.0μm以上3.5μm未満で
ある。
【0022】本発明において、血液とは、少なくとも赤
血球及び白血球を含有する液体で、例示すると全血液及
びこれに抗凝固剤を加えた血液等が挙げられる。血液
は、炎症あるいは刺激等により活性化されていても良好
に用いられる。本発明の白血球除去器は、赤血球を15
0×104コ/μL以上含有している場合、特に有用に
用いられる。
【0023】また、血液に添加する抗凝固剤は、ヘパリ
ンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナト
リウム等のヘパリン、あるいは、メシル酸ナファモスタ
ットやメシル酸ガベキサート等の蛋白分解酵素阻害剤、
及びACD−A、ACD−B、CPD等のクエン酸系抗
凝固剤等何れに於いても用いることができる。体外循環
において、血液凝固が発生してメインフィルターのライ
フタイム低下させやすい場合、ヘパリンや低分子量ヘパ
リン、あるいは、メシル酸ナファモスタットやメシル酸
ガベキサート等の蛋白分解酵素阻害剤が最も有用に用い
られる。更にこれら抗凝固剤は、生理食塩水、ブトウ糖
液等の抗凝固作用及び血液成分を変性させない緩衝液で
希釈して用いた場合、より有用に用いられる。
【0024】本発明は、前記の白血球除去器を用いた白
血球除去システム(装置)及び白血球除去方法にも関す
る。本発明の白血球除去装置は、血液を一定あるいは可
変流速で送液する血液送液手段、抗凝固剤を血液回路に
注入する抗凝固剤注入手段、前記の白血球除去器、白血
球除去器の入口側と出口側の圧力を測定する圧力測定手
段を少なくとも含み、これらを回路で接続して体外循環
回路を形成してなる白血球除去装置である。
【0025】本発明の、血液を一定或いは可変流速で送
液する手段とは、送液手段であればよく、例えば、ポン
プ等を用いたあらゆる公知の手段を用いることができ
る。ポンプは、構造としてはチューブローラーポンプ、
フィンガーポンプ等が有用に用いられるが、特に本発明
では数十ml/min〜10L/minの流速範囲で精
度よく送液できるものが好ましい。
【0026】本発明は、前記の白血球除去器を用いた白
血球除去方法にも関するが、本発明の白血球除去方法で
は、血液送液手段による血液の送液速度が20ml/m
in以上100ml/min以下であることが好まし
い。血液の送液速度が20ml/min未満の場合、白
血球除去器内での血液の滞留が起こりやすくなるためあ
まり好ましくない。一方、100ml/minより早い
場合、白血球除去効率が低下するため好ましくない。以
上の観点より、血液の送液速度のより好まし範囲は20
ml/min以上80ml/min以下、最も好ましく
は20ml/min以上70ml/min以下である。
【0027】これらの血液送液手段は、白血球除去器の
血液の入口側圧力と出口側圧力の差が9.33kPa以
上16.0kPa未満の設定値に達した時に、自動的に
減速する流速制御手段を備えていることが好ましい。よ
り好ましくは、入口側圧力と出口側圧力の差が10.0
kPa以上15.0kPa未満、最も好ましくは11.
00kPa以上14.0kPa未満の設定値で血液の送
液を減速できることである。
【0028】上記圧力差が発生した場合、流速制御手段
によって血液の送液速度を10%以上50%未満に減速
することで白血球除去器のライフタイムを延長すること
が可能である。減速率が10%未満の場合、圧力の減少
が少なくライフタイム延長効果が低いため好ましくな
い。一方、50%以上では、急激な流速の減少のため、
処理速度が遅くなり、白血球除去器として効率的でな
い。従って、好ましい送液速度の減速率は10%以上4
0%未満で、最も好ましくは15%以上30%未満であ
る。
【0029】本発明のシステムで用いる抗凝固剤注入手
段は、抗凝固剤液を血液流速の1%以上20%未満の流
速で血液回路に注入する送液手段である。抗凝固剤は、
直接或いは、希釈し有用に注入できる。この場合、血液
流速に対し1%未満であると血液と混合しにくく、白血
球除去器のライフタイムを短縮するので好ましくない。
一方20%以上の場合、血液が希釈されすぎるため実用
上好ましくない。以上の観点より、好ましい抗凝固剤液
の血液流速との注入比率は3%以上18%未満、最も好
ましくは5%以上18%未満である。抗凝固剤注入手段
は、通常用いられる定量ポンプに代表される、ローラー
チューブポンプ、フィンガーポンプ、輸液ポンプ、シリ
ンジポンプ等を用いたあらゆる手段を用いることができ
る。具体的には、高精度で微量注入ができるチューブロ
ーラーポンプ、フィンガーポンプ等が有用に用いられ
る。
【0030】本発明のシステムで用いる圧力測定手段と
は、白血球除去器の入口側と出口側の回路内圧力を測定
できるものであれば何でもよく、特に限定しない。例え
ば、水銀マノメーター、ディジタルマノメーター等の圧
力測定手段は取り扱いが簡便であり、これらを細管を介
して血液回路に接すれば有用に用いられる。
【0031】本発明の白血球除去装置は、少なくとも、
上記の血液送液手段、抗凝固剤注入手段、白血球除去手
段、圧力測定手段を、白血球除去器へ血液を導入する血
液回路および白血球除去器から血液を導出する血液回路
を用いて連続的に液密に接続し、体外循環用の回路を形
成したものである。回路構成としては、例えば、採血部
を有する血液導入側回路の途中に血液送液手段と抗凝固
剤注入手段を取りつけ、これを白血球除去器の血液入口
側に接続する。一方、白血球除去器の血液出口側には、
返血部を有する血液導出側回路を取りつけ、さらに、白
血球除去器の入口側および出口側近傍に圧力測定手段を
取りつければ、体外循環に好ましく用いることができ
る。なお、前記血液回路には、血液チャンバー、加温バ
ック、血液の採血手段、血液の返血手段等を適宜組み込
んで用いることができるが、本発明はこれらを特に限定
するものではない。
【0032】
【実施例】以下に、本発明の実験例および実施例を示す
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1〜12】平均繊維直径2.7μmのポリエス
テルの繊維よりなる不織布(90g/m2目付)を幅1
50mm、長さ760mmに切断し、直径3.4mmの
ポリエチレン製の円筒状メッシュの周囲に巻いた。次い
で平均繊維直径12μmのポリエステル繊維からなる不
織布(30g/m2目付)を第1プレフィルターとし、幅
150mmで巻いた。更に平均繊維直径33μmのポリ
エステル繊維からなる不織布(50g/m2目付)を第
2プレフィルターとし、幅150mmで巻いた。外側に
ポリエチレン製のメッシュを150mm巻いた。この円
筒直径は39mmであった。円筒断面の厚みと巻いた不
織布の重量より充填密度を求めた。この円筒の両端をウ
レタンで閉塞し、天井部と底部にそれぞれ血液の入口と
出口を有する内径41mmの円筒状ポリカーボネート容
器に、円筒の外周面が容器の血液入口に、内周面が血液
の出口にそれぞれ通じるように納め、白血球除去器とし
た。実施例2〜8は第1、第2プレフィルターの仕様を
それぞれ変更したものである。実施例9〜10は、第2
プレフィルターの外側に更に第3プレフィルターを追加
したものである。実施例8〜12は、同じ繊維径、充填
密度で第1、第2プレフィルターの厚み比率を変化させ
たものである。また、実施例2〜12は、実施例1と同
様の操作で、表1に示す平均繊維直径のポリエステルか
らなる不織布を表1の充填密度で巻き、その他は実施例
1と同様にして白血球除去器としたものである。
【0033】
【比較例1〜9】比較例1では、プレフィルターを用い
ずに白血球除去器を作成し、比較例2〜5では、第2プ
レフィルターを用いずに白血球除去器を作成した。ま
た、比較例6〜9は第1、第2プレフィルターの仕様を
それぞれ変更したものである。詳細を表2に示す。
【0034】
【実験例1】実施例1〜12及び比較例1〜9で作成の
白血球除去器を生理食塩液1Lで流速100ml/mi
nでプライミングした。牛新鮮血にヘパリンを5000
U/Lで加え、室温にて4〜8時間放置し、試験用ヘパ
リン加牛血液を得た。なお、試験用ヘパリン加牛血は、
放置することでヘパリンの効力が減少するため、非常に
活性化を起こしやすく凝固系が活性化しやすい。このよ
うな理由から、白血球除去器のライフタイムを測定する
上で非常に過酷であり、評価に最適な血液である。試験
用ヘパリン加牛血液をローラーポンプにて、血液流速5
0ml/minで、実施例1〜10及び比較例1〜10
記載の白血球除去器に流した。白血球除去器の血液の入
口側と出口側の圧力を測定し、その差圧が13.33k
Paを超えた時点の血液の処理量をライフタイムと設定
した。結果を表1及び表2に示す。その結果、実施例で
は、3L処理時の白血球除去率はすべて90%以上であ
った。比較例では、13.33kPa到達時点の白血球
除去率を求め、全てにおいて90%以上であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【実験例2】上記、実施例1の白血球除去器に抗凝固剤
をヘパリンに代えて、ACD−A(ACD−A:血液=
1:9)とした以外は同様の実験を実施した。結果、1
0Lまで、差圧が13.33kPa以下で血液を処理する
ことが可能であった。
【0038】
【実施例13】血液チャンバー、抗凝固剤フィード用ロ
ーラーポンプ、血液用ローラーポンプ、実施例1記載の
白血球除去器、血液チャンバーを血液回路チューブで接
続した。更に、白血球除去器の血液の入口側及び出口側
の圧力を測定する圧力計を接続した白血球除去装置を作
成した。抗凝固剤フィード用ローラーポンプの流速を血
液ポンプの流速に12%まで一定比率で可変できるよう
に設定した。更に、入口側及び出口側の圧力差を検出
し、差圧が13.33kPa以上となった場合、血液流
速を20%に減速する様に設定した。試験用ヘパリン加
牛血液に対し、メシル酸ナファモスタット加生理食塩液
(濃度:0.1g/10ml)を血液流速の12%(流
速6ml/min)で白血球除去器前の血液回路にフィ
ードした以外、実験例1と全く同様の操作を行った。結
果、実験例1に比し約500mlの処理量の延長が認め
られた。更に、13.33kPaに上昇後、血液流速を
20%減速し、40ml/min、32ml/min、
25.6ml/min、20.48ml/minと順次
減速し、20.48ml/minにて、差圧が、13.
33kPaを超えた時点での延長処理量を求めたところ
800mlの処理血液量延長を認めた。
【0039】
【比較例10】メシル酸ナファモスタット加生理食塩液
(濃度:0.1g/10ml)を血液流速の0.9%
(流速6ml/min)で白血球除去器前の血液回路に
フィードした以外、実施例11と同一の操作を行ったと
ころ、最初に差圧が13.33kPaに到達する延長処
理量は実験例1に比し、50mlの延長であった。
【0040】
【比較例11】メシル酸ナファモスタット加生理食塩液
(濃度:0.1g/10ml)を血液流速の21%(流
速6ml/min)で白血球除去器前の血液回路にフィ
ードした以外、実施例11同一の操作を行ったところ、
最初に差圧が13.33kPaに到達する延長処理量は
実験例1に比し、250mlの延長のみであった。
【0041】
【比較例12】実施例9で最初に差圧が13.33kP
aに到達した後、血液流速の減速率を50%と設定し、
血液流速を25ml/min、12.5ml/minと
減速し、12.5ml/minで差圧が13.33kP
aを越えた時点での延長処理量は、300mlであっ
た。
【0042】
【比較例13】実施例11で最初に差圧が13.33k
Paに到達した後、血液流速の減速率を9%と設定し、
血液流速を45.5ml/min、41.4ml/mi
n、37.67ml/min、34.28ml/mi
n、31.2ml/min、28.4ml/min、2
5.8ml/min、23.51ml/min、21.
4ml/min、19.5ml/minと減速し、1
9.5ml/minで差圧が13.33kPaを越えた
時点での延長処理量は、250mlであった。
【0043】
【発明の効果】本発明の白血球除去器によれば、100
ml/min以下という低流速で血液を処理しても、1
−10Lの大量の血液を処理することができた。また、
本発明の白血球除去器は小型であってライフタイムが長
いので体外循環用白血球除去器として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 29/10 510F 510G 530A Fターム(参考) 4C077 AA30 BB02 BB03 EE01 KK05 KK11 LL13 NN02 PP12 PP13 PP15 4D019 AA03 BA12 BA13 BB02 BB03 BB10 BC13 BC20 BD01 BD02 CA03 DA03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状フィルターの外周面から内周面に
    向かって血液濾過及び/又は吸着を行う白血球除去器に
    おいて、円筒状フィルターはメインフィルターとその外
    周側に配されるプレフィルターからなり、プレフィルタ
    ーは、平均繊維直径が5μm以上15μm未満、充填密
    度が0.05g/cm3以上0.20g/cm3未満の第
    1プレフィルターと、さらに外周側に平均繊維直径15
    μm以上50μm未満、充填密度0.20g/cm3
    上0.65g/cm3未満の第2プレフィルターを少な
    くとも含むことを特徴とする円筒状白血球除去器。
  2. 【請求項2】 第2プレフィルター層に対する第1プレ
    フィルター層の積層厚み比率が0.75以上3.0未満
    であることを特徴とする請求項1に記載の円筒状白血球
    除去器。
  3. 【請求項3】 第1プレフィルターの最小曲率半径が1
    2mm以上20mm未満であることを特徴とする請求項
    1または2に記載の円筒状白血球除去器。
  4. 【請求項4】 第1プレフィルター層の厚みが2mm以
    上であること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の円筒状白血球除去器。
  5. 【請求項5】 プレフィルター及びメインフィルターが
    不織布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の円筒状白血球除去器。
  6. 【請求項6】 血液を一定あるいは可変流速で送液する
    血液送液手段、抗凝固剤を血液回路に注入する抗凝固剤
    注入手段、血液中の白血球を除去する白血球除去手段、
    白血球除去手段の入口側と出口側の圧力を測定する圧力
    測定手段を少なくとも含み、これらを回路で接続してな
    る体外循環用の白血球除去装置であって、白血球除去手
    段が請求項1〜5のいずれかに記載の円筒状白血球除去
    器であることを特徴とする白血球除去装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の白血球除去装置によっ
    て血液から白血球を除去する方法。
  8. 【請求項8】 血液流速に対して1%以上20%未満の
    流速で抗凝固剤を注入することを特徴とする請求項7記
    載の白血球除去方法。
  9. 【請求項9】 20ml/min以上100ml/mi
    n以下の流速で血液を送液することを特徴とする請求項
    7または8記載の白血球除去方法。
  10. 【請求項10】 白血球除去手段の入口側と出口側の圧
    力差が9.33kPa以上16.0kPa未満に達したと
    き、血液の送液速度を当初の10%以上50%未満に減
    速することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載
    の白血球除去方法。
  11. 【請求項11】 抗凝固剤注入手段から注入される抗凝
    固剤が、ヘパリン及び/または蛋白分解酵素阻害剤であ
    ることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の
    白血球除去方法。
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