JP2003319733A - 観賞用水槽 - Google Patents

観賞用水槽

Info

Publication number
JP2003319733A
JP2003319733A JP2002131857A JP2002131857A JP2003319733A JP 2003319733 A JP2003319733 A JP 2003319733A JP 2002131857 A JP2002131857 A JP 2002131857A JP 2002131857 A JP2002131857 A JP 2002131857A JP 2003319733 A JP2003319733 A JP 2003319733A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
transparent wall
water tank
antireflection film
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002131857A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshikazu Kondo
藤 慶 和 近
Kiyoshi Oishi
石 清 大
Yoshiro Toda
田 義 朗 戸
Kazuhiro Fukuda
田 和 浩 福
Akira Nishiwaki
脇 彰 西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2002131857A priority Critical patent/JP2003319733A/ja
Publication of JP2003319733A publication Critical patent/JP2003319733A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明にかかる水槽は、該水槽を構成す
る透明壁のうち、少なくとも観察者側に配置される透明
壁の両面が反射防止機能を有することを特徴としてい
る。 【効果】 本発明によれば、水槽を構成する透明壁の表
面反射および裏面反射を効率的に防止できるため、水槽
内外の明暗を問わず水槽中の観賞物が鮮やかに見える水
槽および観賞用水槽を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、魚類等の飼育繁殖を目的
とした水槽に関する。より詳しくは、水槽内の魚類等の
観賞物を外部から明瞭に観察できるようにした観賞用水
槽に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】魚類等の飼育繁殖を目的とした水
槽については、観賞用または食用の魚類等を外部から明
瞭に観察できるようにするため、観察窓や水槽の透明壁
などの水槽自体についての改良のほか、設置するエアー
ポンプや清掃用品などのメンテナンスに関する用具につ
いても種々の改良がなされてきている。
【0003】たとえば、ガラスやアクリル樹脂などの透
明性樹脂からなる水槽の透明壁の外表面に反射防止機能
を有する薄膜を塗布したり、反射防止機能を有するフィ
ルムを貼着したりすることにより、外光の透明壁外表面
での反射(以下、表面反射ともいう。)を防止し、水槽
内の観賞物を鮮やかに見ようとする工夫は、一般的に知
られているところである。
【0004】しかしながら、水槽の透明壁の外表面のみ
にこのような反射防止機能を付与した場合には、透明壁
の外表面での反射はある程度防止できるものの、透明壁
内部と透明壁の内表面(水槽の内側)との境界における
反射(以下、裏面反射ともいう。)は残存していること
から、反射防止機能が充分でなく、たとえば、水槽内部
が外部と比較して暗い場合には、外光の裏面反射によ
り、水槽内の観賞物が見えにくいという問題点があっ
た。
【0005】本発明者らは、このような状況に鑑みて鋭
意検討した結果、水槽を構成する透明壁の両面に特定の
反射防止機能を付与することにより、水槽内外の明暗を
問わず、水槽内の観賞物を鮮やかに見ることができるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】本発明は、水槽内外の明暗を問わず水槽
内の観賞物が鮮やかに見える水槽、より詳しくはそのよ
うな観賞用水槽を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明にかかる水槽は、該水槽を構成す
る透明壁のうち、少なくとも観察者側に配置される透明
壁の両面が反射防止機能を有することを特徴としてい
る。また、本発明にかかる観賞用水槽は、前記透明壁の
両面に、反射防止膜が形成されていることを特徴として
いる。
【0008】本発明では、前記透明壁の両面に、反射防
止膜を有する反射防止フィルムが貼着されていることが
好ましい。また、前記反射防止膜は、透明壁を挟んだ外
表面と内表面とでそれぞれ異なるものであることが好ま
しい。本発明にかかる観賞用水槽では、前記透明壁の外
表面に形成された反射防止膜は、屈折率の異なる複数の
薄膜の積層膜からなり、前記透明壁の内表面に形成され
た反射防止膜は、屈折率1.34〜1.50の薄膜の単
層膜からなることが好ましい。
【0009】前記反射防止フィルムは、大気圧または大
気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に放電する
ことにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、透明樹脂
フィルムを前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことに
よって、前記透明樹脂フィルム表面にプラズマ状態の反
応性ガスを接触させ薄膜層を形成させたものであること
が好ましい。
【0010】本発明では、大気圧または大気圧近傍の圧
力下において、対向する電極間に放電することにより、
反応性ガスをプラズマ状態とし、前記透明壁を前記プラ
ズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記透明壁
表面にプラズマ状態の反応性ガスを接触させ、薄膜層を
形成させて、前記透明壁の両面に反射防止膜を設けるこ
とが好ましい。
【0011】さらに、本発明では、前記対向する電極間
に、100kHzを越えた高周波電圧で、かつ、1W/
cm2以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプ
ラズマ状態とすることが好ましい。前記高周波電圧は、
連続したサイン波であることが好ましい。本発明では、
前記透明壁に、前記プラズマ状態の反応性ガスを吹き付
けることにより、前記透明壁の両面に反射防止膜を設け
てもよい。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明は、水槽を構成する透明壁の両面に反射
防止機能を付与したことを特徴とする水槽または観賞用
水槽であり、少なくとも観察者側に配置される透明壁の
両面が反射防止機能を有することが好ましい。このよう
に構成することにより、水槽の透明壁に対する表面反射
のみならず、裏面反射をも防止することができ、水槽内
外の明暗を問わず、水槽内の観賞物を鮮やかに見ること
ができる。
【0013】このような透明壁両面への反射防止機能の
付与は、水槽を構成するすべての透明壁について行われ
ることが好ましいが、水槽の観賞方向が予め定まってい
る用途に使用する場合には、すべての透明壁の両面に反
射防止機能を付与せずとも、観察者が観賞する側に存在
する特定の透明壁についてのみ、そのような機能を付与
すれば足りる。
【0014】前記反射防止機能を水槽の透明壁の両面に
付与するためには、該透明壁両面に反射防止膜を形成す
ることが好ましい。この反射防止膜は、ガラスやアクリ
ル樹脂などからなる水槽の透明壁に直接または必要に応
じてハードコート層などの他の層を介して形成してもよ
く、また、該透明壁の両面に、反射防止膜を有する反射
防止フィルムを貼着することで、反射防止膜を透明壁の
両面に間接的に設けてもよい。
【0015】前記水槽の透明壁は、上述したように各種
ガラス材料や透明プラスチック材料からなり、このよう
な材料としては、水槽を構成するものとして汎用されて
いるものが挙げられるが、光透過率が好ましくは85%
以上であり、ヘイズが好ましくは5%以下、屈折率が好
ましくは1.40〜1.65であるものが望ましい。ま
た、前記反射防止フィルムは、透明樹脂フィルムの片面
に反射防止膜を備えたものであり、透明樹脂フィルムを
挟んだもう一方の面には、取り扱いの便宜のために透明
性と耐水性を有する粘着層を設けてもよい。前記粘着層
は、具体的にはたとえばアクリル系接着剤などを透明樹
脂フィルムの片面に公知の方法で塗設することにより設
けることができ、塗布厚は適宜調整できる。
【0016】前記透明樹脂フィルムとしては、ポリエス
テル樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルムなどを
用いることができ、特に限定はされないが、光透過率、
ヘイズ、屈折率などが前記透明壁と同等であることが好
ましい。さらに、膜厚10μm〜1000μmのフィル
ムが好ましく用いられる。このように反射防止フィルム
を用いる場合には、既存の反射防止機能を有さない水槽
に対しても、安価かつ容易に反射防止機能を付与できる
という利点を有する。
【0017】さらに、本発明では、前記反射防止膜は、
透明壁を挟んだ外表面と内表面とでそれぞれ異なる構成
であることが好ましい。具体的には、前記透明壁の外表
面に形成される反射防止膜は、屈折率の異なる複数の薄
膜の積層膜からなることが好ましく、低屈折率層、中屈
折率層、および高屈折率層の少なくとも2種を適宜積層
したものであることがより好ましい。
【0018】このような積層膜からなる反射防止膜は、
各種の屈折率および膜厚を有する光学干渉膜を、光学設
計に基づいて組み合わせ、前記透明壁上に直接または必
要に応じてハードコート層などを介して積層して多層膜
とするか、あるいは、反射防止フィルムとして透明壁に
貼着する場合には、前記透明樹脂フィルム上に直接また
は必要に応じてハードコート層などを介して積層して多
層膜とすることにより形成される。
【0019】具体的には、光の波長λに対して、光学膜
厚(屈折率n×膜厚d)がある値(たとえばλ/4やλ
/2)になるように設定した光学干渉膜を複数積層する
ことにより、反射防止膜とすることができる。屈折率と
膜厚は、分光反射率の測定により計算して算出し得る
が、屈折率の高低はそこに含まれる金属などによってほ
ぼ決まり、たとえばTiは高く、Snはそれより低く、
Siはさらに低い。このような組み合わせによって屈折
率を設定することができる。このように積層膜とするこ
とにより、単層膜からなる反射防止膜よりも低反射の波
長領域を広げることができる。
【0020】高屈折率層に用いられる材料は、好ましく
は屈折率が1.6以上、より好ましくは屈折率が1.9
〜2.6であることが望ましい。具体的には、酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、硫化亜鉛などを
主成分とすることが好ましく、これらのうちでは酸化チ
タンを主成分とすることがより好ましい。中屈折率層に
用いられる材料は、屈折率が、透明壁または透明樹脂フ
ィルムの材料あるいはハードコート層よりも高く、高屈
折率層よりも低いことが好ましく、具体的には屈折率が
1.5〜1.8の範囲にあることが好ましい。具体的に
は、酸化チタンと酸化ケイ素との混合物、酸化錫、酸化
アルミニウムなどを主成分とすることが好ましく、透明
壁または透明樹脂フィルムの材料、高屈折率層の材料な
どとの関係で選択できるが、これらのうちでは酸化錫を
主成分とすることが好ましい。
【0021】低屈折率層に用いられる材料は、屈折率が
1.3〜1.5の範囲にあることが好ましい。具体的に
は、酸化ケイ素を主成分とすることが好ましい。前記積
層膜からなる反射防止膜の構成として、具体的には透明
壁(または透明樹脂フィルム)表面から順に高屈折率
層、低屈折率層が積層された2層膜、たとえば、TiO
2 層とSiO2 層との積層膜が好ましく挙げられる。よ
り具体的には、高屈折率層としてTiO2 層が形成さ
れ、その上に低屈折率層としてSiO 2 層が形成された
2層積層膜などが好ましい。
【0022】また、透明壁(または透明樹脂フィルム)
表面から順に第1の高屈折率層、第1の低屈折率層、第
2の高屈折率層、第2の低屈折率層が積層された4層膜
(第1および第2の低屈折率層、第1および第2の高屈
折率層はそれぞれ同一のものであっても、異なるもので
あってもよい)、具体的にはたとえば、前記2層積層膜
上に、さらにTiO2 層およびSiO2 層がこの順序で
形成された4層積層膜などが好ましく挙げられる。
【0023】さらに、屈折率の異なる3層を透明壁(ま
たは透明樹脂フィルム)表面から順に、中屈折率層、高
屈折率層、低屈折率層の順で積層した3層膜も好ましく
挙げられる。具体的にはたとえば、中屈折率層として、
SnO2層が形成された上に、TiO2 層およびSiO
2 層がこの順序で形成された3層積層膜が好ましく挙げ
られる。
【0024】一方、水槽を構成する透明壁の内表面(水
槽の内側)、またはこの内表面に貼着される反射防止フ
ィルム上に形成される反射防止膜は、屈折率1.34〜
1.50、好ましくは屈折率1.42〜1.50の薄膜
の単層膜からなることが望ましい。具体的には、酸化ケ
イ素(SiO2)を主成分とする膜が、上記の屈折率の
範囲を満たす点から好ましく挙げられる。
【0025】このように水槽の透明壁を挟んだ外表面上
と内表面上とに形成された各反射防止膜、あるいはこの
外表面と内表面とに貼着する各反射防止フィルム上に形
成された各反射防止膜の構成をそれぞれ異なるものとす
ることにより、水槽の外部が内部よりも明るい場合であ
っても、その光が透明壁外表面で反射することを防ぎ、
水槽内の照明光を効率よく水槽外に出すことができるた
め、より鮮やかに観賞物を見ることができる。
【0026】なお、透明壁(または透明樹脂フィルム)
と反射防止膜との密着性を向上するため、必要に応じ
て、反射防止膜を形成する前に透明壁(または透明樹脂
フィルム)上にハードコート層を設けてもよい。前記ハ
ードコート層としては、紫外線などの活性線により硬化
させた活性線硬化樹脂層が好ましく挙げられる。具体的
には、エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させ
て形成した樹脂層であることが好ましい。ここで、活性
線硬化樹脂層とは、紫外線や電子線のような活性線照射
により架橋反応などを経て硬化する活性線硬化性樹脂を
主たる成分とする層をいう。前記活性線硬化性樹脂とし
ては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表
的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活
性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性
樹脂としては、たとえば、紫外線硬化型アクリルウレタ
ン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹
脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線
硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬
化型エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらの
樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。
【0027】このような活性線硬化性樹脂と溶媒からな
る組成物を、透明壁(または透明樹脂フィルム)上に公
知の方法で塗設し、活性線を照射して硬化することでハ
ードコート層を形成することができる。なお、その膜厚
は適宜調整することができる。次に、前記反射防止膜を
透明壁または透明樹脂フィルム(以下、これらをまとめ
て単に基材ともいう。)上に形成する方法について説明
する。
【0028】前記反射防止膜を構成する高屈折率層、中
屈折率層、低屈折率層は、いわゆるプラズマCVDで基
材上あるいは他の屈折率層上に製膜することが好まし
い。プラズマCVDとは、原料を気化させ反応性ガスと
し、不活性ガスなどのキャリアガスと混合した後、該反
応性ガスをプラズマ状態にし、基材上に薄膜を形成する
方法である。ここで、プラズマを発生させるための空間
は、減圧であってもよいが、大気圧または大気圧近傍の
方が、生産効率がよく、得られる薄膜の光学的特性およ
び物理的特性に優れるため好ましい。なお、ここで、大
気圧近傍とは、20kPa〜200kPaの圧力を表す
が、本発明の効果を好ましく得るためには90〜110
kPa、特に93kPa〜104kPaが好ましい。
【0029】本発明にかかる反射防止膜を構成する薄膜
を、大気圧または大気圧近傍下でのプラズマCVD(以
下、大気圧プラズマCVDともいう。)により形成する
場合には、公知の方法を用いてもよいが、緻密で、膜厚
均一性の高い高機能性薄膜を生産効率高く得られる点か
ら、好ましくは、大気圧または大気圧近傍の圧力下にお
いて、対向する電極間に、100kHzを越えた高周波
電圧で、かつ、1W/cm2以上の電力を供給して放電
させ、反応性ガスをプラズマ状態とし、基材もしくはす
でに他の屈折率層を有する基材を該プラズマ状態の反応
性ガスに晒すことによって薄膜層を形成する方法を用い
ることが望ましい。なお、この場合、相対する電極間に
印加する高周波電圧の周波数は、好ましくは200kH
z以上、さらに好ましくは800kHz以上であり、1
50MHz以下であることが望ましい。また、相対する
電極間に供給する電力は、好ましくは1.2W/cm2
以上であり、好ましくは50W/cm2以下、さらに好
ましくは20W/cm2以下であることが望ましい。な
お、ここで相対する電極における電圧の印加面積(/c
2)は、放電が起こる範囲の面積のことを指す。相対
する電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波
であっても、連続したサイン波であってもよいが、効果
を高く得るためには、連続したサイン波であることが好
ましい。
【0030】図1に、本発明に適用することができるプ
ラズマ放電処理装置の一例を示す。この装置は、特に長
尺状の基材、たとえば反射防止フィルムの基材である透
明樹脂フィルム表面などに反射防止膜を形成するのに適
している。図1中、回転電極110とそれに対向して配
置された複数の対向電極111とを有する装置内に、図
示されていない元巻きロールまたは前工程から搬送され
て来る基材(以下、基材上にすでに他の屈折率層を有す
る場合も含む)Fがガイドロール120、ニップロール
122を経て回転電極110に導かれて移送される。該
基材Fは回転電極110に接した状態で回転電極110
の回転と同期しながら移送され、大気圧もしくはその近
傍の圧力下にある放電部150に混合ガス発生装置13
1で調製された混合ガスGが給気管130から供給さ
れ、対向電極111に対向している基材面に薄膜が形成
される。それぞれの対向電極111の間に図1では省略
されているが、混合ガスGを導入する給気管130は複
数設けられており、基材Fの幅手で均一な濃度、流量で
混合ガスGを供給できるようになっていることが望まし
い。回転電極110と対向電極111には、プラズマ放
電を発生させるための電圧を印加できる電源180が電
圧供給手段181、182を介して接続されている。ま
た、回転電極110、対向電極111、放電部150は
プラズマ放電処理容器190で覆われ、外界と遮断され
ている。処理に使用された排ガスG′ は処理室の下部
にあるガス排気口140から排出される。あるいは図で
は省略されているが、対向電極111の間に設けられた
ガス排気口から排気することもできる。プラズマ放電処
理された基材Fはニップロール123およびガイドロー
ル121を経て次工程または図示してない巻き取りロー
ルへ搬送される。プラズマ放電処理容器の出入り部分の
ニップロール122および123のところには外界との
仕切板124および125が設けられており、外界から
ニップロール122と共に基材Fに同伴して来る空気を
遮断し、また出口においても、内部に空気が侵入するの
を防止することが望ましい。プラズマ放電処理容器19
0内は圧力を高くすることが好ましく、外に対して+
0.1kPa以上、さらには0.3〜10kPa圧力を
高くすることが好ましい。なお、図示してないが、必要
に応じて、回転電極110および対向電極111は温度
調節のための温度制御された媒体を循環するようになっ
ている。
【0031】この同伴される空気は、プラズマ放電処理
容器190内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑
えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることが
より好ましい。前記ニップロール122により、それを
達成することが可能である。電源180より対向電極1
11に印加される電圧の値は適宜決定されるが、たとえ
ば、電圧が0.5〜10kV程度で、電源周波数は10
0kHzを越えて150MHz以下に調整される。ここ
で電圧の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続
サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれる
ON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを
採用しても良いが連続モードの方がより緻密で良質な薄
膜が得られる。相対する電極間に電圧を印加する電源と
しては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源
(200kHz)、パール工業製高周波電源(800k
Hz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、
パール工業製高周波電源(150MHz)などが使用で
きる。
【0032】放電部150の電極間隙は、電極の母材に
設置した固体誘電体(図示してない)の厚さ、印加電圧
や周波数、プラズマを利用する目的などを考慮して決定
される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の
固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘
電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、
何れの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜2
0mmが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5mmで
あり、特に好ましくは1mm±0.5mmの範囲であ
る。
【0033】プラズマ放電処理容器190にはパイレッ
クス(R)ガラス製あるいはプラスチック製の処理容器
などが好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば
金属製を用いることも可能である。たとえば、アルミま
たは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂な
どを張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス
溶射を行い絶縁性をとってもよい。
【0034】また、本発明に使用する放電用の電極にお
いて、電極の少なくとも基材と接する側の表面がJIS
B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rm
ax)が10μm以下になるように調整することが好ま
しいが、さらに好ましくは、表面粗さの最大値が8μm
以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整するこ
とが望ましい。
【0035】前記電極の表面は固体誘電体で被覆されて
いることが望ましく、特に金属などの導電性母材に対し
固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電
体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレ
ンテレフタレートなどのプラスチック、ガラス、酸化ケ
イ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸
化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)な
どの金属酸化物、チタン酸バリウムなどの複酸化物など
を挙げることができる。特に好ましくは、セラミックス
を溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被
覆処理誘電体であることが望ましい。ここで、金属など
の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミ
ニウム、鉄などの金属などを挙げることができるが、加
工の観点からステンレスが好ましい。また、ライニング
材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リ
ン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩
ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラスなど
が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラス
が加工し易いので、さらに好ましく用いられる。
【0036】さらに前記電極は、その裏面側(内側)か
ら、必要に応じて、加熱あるいは冷却することができる
ようになっている。電極がベルトの場合には、その裏面
より気体で冷却することもできるが、ロールを用いた回
転電極では内部に媒体を供給して電極表面の温度および
基材の温度を制御することが好ましい。媒体としては、
蒸留水、油などの絶縁性材料が好ましく用いられる。ま
た、プラズマ放電処理の際、基材の温度によって得られ
る薄膜の物性や組成は変化することがあるため適宜制御
することが好ましい。基材の温度は処理条件によって異
なるが、室温〜200℃が好ましく、より好ましくは室
温〜120℃である。上記の温度範囲に調整するため、
必要に応じて電極、基材は冷却手段で冷却あるいは加熱
しながら放電プラズマ処理される。さらに、プラズマ放
電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度
ムラができるだけ生じないようにロールを用いた回転電
極の内部の温度を制御することが望まれる。温度ムラは
±10℃以内であることが好ましく、さらに好ましくは
±5℃以内であり、より好ましくは±1℃以内であり、
最も好ましくは±0.1℃以内である。
【0037】図2に、本発明に適用することができるプ
ラズマ放電処理装置の別の一例を示す。図2のプラズマ
放電処理装置は、図1の回転電極110では搬送できな
いような屈曲性に乏しい基材、たとえばガラスやアクリ
ル樹脂製の基材、曲面や角部の存在する異形物への大気
圧プラズマCVD処理に適する。特に、図1の相対する
電極間に載置できない形状のもの、たとえば、立体的に
構成された後の水槽の透明壁などに薄膜層を形成する場
合に、プラズマ状態にした反応性ガスを透明壁表面に吹
き付けて薄膜層を形成するためのものである。
【0038】図2中、100は基材、204a,bおよ
び206は誘電体、203a,bおよび207は金属な
どの導電性母材、208は電源である。図2の装置にお
いては、金属などの導電性母材203a,bに、誘電
体、好ましくは前記セラミック被覆処理誘電体204
a,bを被覆した板状の印加電極202a,bと、金属
などの導電性母材207に、誘電体、好ましくは前記セ
ラミック被覆処理誘電体206を被覆したアース電極2
05との間に設けられた放電空間に、上部から反応性ガ
スおよび不活性ガスを導入し、電源208により高周波
電圧を印加することにより、前記反応性ガスをプラズマ
状態とし、該プラズマ状態の反応性ガスを基材100表
面に吹き付けながら基材100を適宜移動させることに
より、基材100表面に均一な薄膜層を形成することが
できる。なお、図2では、アース電極205を設けた例
を示したが、アース電極205自体を設けてなくてもよ
い。また、電源208としては前述したものを用いるこ
とができる。
【0039】このような大気圧プラズマCVD処理を行
う際に、使用する混合ガスは、基材上に設ける薄膜層の
種類によって異なるが、該混合ガスは、基本的には、キ
ャリアガスとなる不活性ガスと、薄膜層を形成するため
の反応性ガスとが混合されたものである。反応性ガス
は、混合ガス全量に対し、好ましくは0.01〜10体
積%、より好ましくは0.1〜5体積%の量で含有させ
ることが望ましい。このようにすることにより、0.1
〜1000nmの膜厚の薄膜層が得られる。
【0040】不活性ガスとしては、周期表の第18属元
素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプ
トン、キセノン、ラドンなどが挙げられるが、本発明に
記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴンが好ま
しく用いられる。使用される反応性ガスは、反射防止膜
の各薄膜層によって異なるため、用いられる化合物もそ
れに応じて異なるが、積層膜からなる反射防止膜を構成
する酸化ケイ素を主成分とする低屈折率層を形成するた
め、あるいは単層膜からなる反射防止膜を形成するため
に反応性ガスとして用いるケイ素化合物としては、有機
ケイ素化合物、ケイ素水素化合物、ハロゲン化ケイ素化
合物などを挙げることができる。
【0041】前記有機ケイ素化合物としては、たとえば
テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソ
プロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシ
シラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシ
シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキ
シシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エ
チルトリエトキシシランなどが挙げられ、前記ケイ素水
素化合物としては、たとえばテトラ水素化シラン、ヘキ
サ水素化ジシランなどが挙げられる。
【0042】これらは何れも好ましく用いることがで
き、またこれらの反応性ガスを2種以上同時に混合して
使用することもできる。なお、単層膜からなる反射防止
膜を形成する場合には、これらのうちではテトラエトキ
シシランが好ましい。また、酸化チタンを主成分とする
高屈折率層を形成するために反応性ガスとして用いるチ
タン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化
合物、ハロゲン化チタンなどが挙げられる。
【0043】前記有機チタン化合物としては、たとえば
トリエチルチタン、トリメチルチタン、トリイソプロピ
ルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テ
トライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、トリエ
トキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキ
シチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタ
ン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチ
タン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロ
ポキシチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチル
チタンジアセトアセトナート、エチルチタントリアセト
アセトナートなどが挙げられ、前記チタン水素化合物と
しては、たとえばモノチタン水素化合物、ジチタン水素
化合物などが挙げられ、前記ハロゲン化チタンとして
は、たとえば三塩化チタン、四塩化チタンなどが挙げら
れる。
【0044】これらは、何れも好ましく用いることがで
き、また、これらの反応性ガスを2種以上同時に混合し
て使用することもできる。また、酸化錫を主成分とする
中屈折率層を形成するために反応性ガスとして用いる錫
化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲ
ン化錫などが好ましく挙げられる。
【0045】前記有機錫化合物としては、たとえばテト
ラエチル錫、テトラメチル錫、ジブチル錫ジアセテー
ト、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキ
シ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、
トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル
錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジ
メトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジ
ブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセト
アセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチ
ル錫ジアセトアセトナートなどが挙げられ、前記ハロゲ
ン化錫としては、たとえば二塩化錫、四塩化錫などが挙
げられる。
【0046】これらは何れも好ましく用いることがで
き、これらの反応性ガスを2種以上同時に混合して使用
してもよい。上記の有機ケイ素化合物、有機チタン化合
物、有機錫化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化
合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガス
の発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金
属アルコキシドが好ましく用いられる。また、上記の有
機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機錫化合物を放
電空間である電極間に導入するには、常温常圧で、気
体、液体、固体何れの状態であっても構わない。気体の
場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体
の場合は、加熱、減圧、超音波照射などの手段により気
化させて使用される。このように有機ケイ素化合物、有
機チタン化合物、有機錫化合物を加熱により気化して用
いる場合には、金属テトラエトキシド、金属テトライソ
プロポキシドなどの常温で液体であって、沸点が200
℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好
適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によっ
て希釈して使用しても良く、この場合、希ガスでバブリ
ングして反応性ガスとして使用すればよい。溶媒として
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒およびこれらの混
合溶媒が使用できる。
【0047】なお、これらの各薄膜層の形成に用いられ
る混合ガス中に反応性ガスとして、酸素、オゾン、過酸
化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、一酸化
窒素、水素、窒素から選択される成分を含有させてもよ
い。前記成分を混合ガス中に存在させると、薄膜形成反
応が促進され、薄膜の硬度を著しく向上させ、緻密で良
質な薄膜を形成することができる。特に、酸素または水
素を添加することが好ましい。
【0048】混合ガス中に占める上記金属化合物ガスの
量、または上記金属化合物ガスと、必要に応じて酸素、
オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化
窒素、一酸化窒素、水素、窒素から選択される成分とを
用いる場合にはそれらの合計量は、混合ガス全量に対し
て0.01〜10体積%の量であることが好ましく、よ
り好ましくは0.1〜5体積%の量であることが望まし
い。
【0049】このようにして大気圧プラズマCVD法に
より形成された薄膜中には炭素として好ましくは0.1
〜5.0質量%、より好ましくは0.2〜3.0質量%
の炭素含有率の有機化合物を含有することが望ましい。
炭素含有率を上記の範囲とすることによって、膜強度に
優れ、クラックが入りにくく、層間密着性の良い、優れ
た薄膜を得ることができる。すなわち、大気圧プラズマ
CVD処理によって形成された薄膜は有機物(炭素原
子)を含んでおり、これによって膜が柔軟性を有するた
め、密着性に優れる。一方、炭素の比率が多くなりすぎ
ると経時で屈折率が変動しやすくなる傾向がある。前記
炭素含有率は、XPS表面分析装置を用いて測定するこ
とができる。
【0050】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0051】
【実施例1】基材としてソーダガラス製の分光計評価用
セル(透明壁厚み3mm)を用いて、図2に示したプラ
ズマ放電処理装置を用いて、下記の条件で下記の混合ガ
スを使用し、大気圧プラズマCVDにより、該基材の外
表面上に、基材側から順に高屈折率層(酸化チタン層:
屈折率2.3、膜厚13nm)、低屈折率層(酸化ケイ
素層:屈折率1.44、膜厚35nm)、高屈折率層
(酸化チタン層:屈折率層2.3、膜厚122nm)、
低屈折率層(酸化ケイ素層:屈折率1.44、膜厚89
nm)の4層を積層し、積層膜からなる反射防止膜を形
成した。
【0052】さらに、該基材の内表面(水と接触する側
の透明壁の面)上にも、同様の大気圧プラズマCVD処
理を行い、低屈折率層(酸化ケイ素層:屈折率1.4
4、膜厚60nm)を設け、単層膜からなる反射防止膜
を形成した。これらの反射防止膜について、XPS表面
分析装置(VGサイエンティフィックス社製 ESCA
LAB−200R)を用いて、下記の条件で炭素含有率
を測定した。なお、積層膜からなる反射防止膜の場合に
は、各層を形成した段階で炭素含有率を測定した。酸化
ケイ素層および酸化チタン層の炭素含有率は、それぞれ
1.2質量%であった。また、単層膜(酸化ケイ素層)
からなる反射防止膜の炭素含有率も1.2質量%であっ
た。
【0053】<大気圧プラズマ放電処理条件>ステンレ
ス製母材にセラミック溶射によりアルミナを1mm被覆
し、その上にテトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈
した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封
孔処理を行い、表面を平滑にしてRmaxを5μmとし
た誘電体(比誘電率10)を有する電極を用い、これを
アース(接地)した。一方、印加電極としては、中空の
角型ステンレスパイプに対し、上記と同様の誘電体を同
条件にて被覆したものを用いた。プラズマ発生に用いる
電源としては、日本電子(株)製高周波電源JRF-100
00を使用し、周波数13.56MHzの電圧で、かつ2
0W/cm2の電力を供給した。
【0054】 <使用した混合ガスの組成> 4層積層膜用混合ガス(透明壁外表面用)低屈折率層(酸化ケイ素層)形成用混合ガス 不活性ガス :アルゴン 98.25体積% 反応性ガス1:水素 1.5 体積% 反応性ガス2:テトラメトキシシラン蒸気(アルゴンにてバブリング) 0.25体積%高屈折率層(酸化チタン層)形成用混合ガス 不活性ガス :アルゴン 98.9体積% 反応性ガス1:水素 0.8体積% 反応性ガス2:テトライソプロポキシチタン蒸気(150℃に加熱した該液体 にアルゴンガスをバブリング) 0.3体積% 単層膜用混合ガス(透明壁内表面用)低屈折率層(酸化ケイ素層)形成用混合ガス 不活性ガス :アルゴン 98.25体積% 反応性ガス1:水素 1.5 体積% 反応性ガス2:テトラメトキシシラン蒸気(アルゴンにてバブリング) 0.25体積% <炭素含有率の測定>炭素含有率は、XPS表面分析装
置を用いてその値を測定した。XPS表面分析装置とし
ては、特に限定なくいかなる機種も使用することができ
るが、本実施例においてはVGサイエンティフィックス
社製 ESCALAB−200Rを用いた。測定をおこ
なう前に、汚染による影響を除くために、薄膜の膜厚の
10〜20%の厚さに相当する表面層を、Arイオンエ
ッチングを用いて除去した。X線アノードにはMgを用
い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電
流40mA)、エネルギー分解能を清浄なAg3d5/
2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eV
となるように設定し、測定した。
【0055】まず、結合エネルギー0eVから1100
eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定
し、いかなる元素が検出されるかを求めた。次に、検出
されたエッチングイオン種を除く全ての元素について、
データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強
度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこ
ない、各元素のスペクトルを測定した。得られたスペク
トルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いに
よる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするため
に、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON
DATA PROCESSING SYSTEM (V
er.2.3)上に転送した後、同ソフトで処理をおこ
ない、炭素含有率の値を原子数濃度(atomic c
oncentration)として求めた。
【0056】定量処理をおこなう前に、各元素について
Count Scaleのキャリブレーションをおこな
い、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量
処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強
度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理に
は、Shirley法を用いた。Shirley法につ
いては、D.A.Shirley,Phys.Re
v.,B5,4709(1972)を参考にすることが
できる。
【0057】
【比較例1】基材としてソーダガラス製の分光計評価用
セル(透明壁厚み3mm)を用いて、該基材の内表面
(水と接触する側の透明壁の面)上に反射防止膜を設け
ないほかは実施例1と同様にして、該基材の外表面上に
実施例1と同じ4層の積層膜からなる反射防止膜を形成
した。
【0058】
【比較例2】対照としてソーダガラス製の分光計評価用
セル(透明壁厚み3mm)を採用した。
【0059】
【試験例】観賞性の評価 上記実施例1および比較例1〜2で得られたセルを水槽
に見立てて、観賞のし易さを、以下の方法で反射率を測
定することにより評価した。各セルの反射率を、分光光
度計(日立製作所製、U-4000型)を用い、5度正反射
の条件にて測定した。測定に際しては、セルの背面(測
定対象の透明壁と対向する側の透明壁の外表面)の影響
を除外するため、セルの背面を黒色に塗布した後、セル
内に水を満たして、550nm付近における反射率の測
定を行った。その結果を表1に示す。
【0060】下記表1の結果より、実施例1のセルは、
比較例1および2と比較して、表面反射とともに裏面反
射をも効果的に抑制し、反射率を低減していることが分
かる。したがって、本発明によれば水槽内の観賞物をよ
り鮮やかに見ることができる。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、水槽を構成する透明壁
の表面反射および裏面反射を効率的に防止できるため、
水槽内外の明暗を問わず水槽中の観賞物が鮮やかに見え
る水槽および観賞用水槽を提供できる。また、透明壁に
反射防止フィルムを貼着する場合には、既存の水槽に安
価かつ容易に反射防止機能を付与することができる。
【0063】さらに、本発明によれば、緻密で、耐水
性、耐擦傷性に優れた反射防止膜が形成されるため、水
槽および観賞用水槽の反射防止効果が長期間維持され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に適用することができるプラズ
マ放電処理装置の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明に適用することができるプラズ
マ放電処理装置の別の一例を示す図である。
【符号の説明】
F,100 …基材 G …混合ガス G′ …排ガス 110 …回転電極 111 …対向電極 120,121 …ガイドロール 122,123 …ニップロール 124,125 …仕切り板 130 …給気管 131 …混合ガス発生装置 140 …ガス排気口 150 …放電部 180 …電源 181,182 …電圧供給手段 190 …プラズマ放電処理容器 202a,b …印加電極 203a,b,207 …金属などの導電性母材 204a,b,206 …誘電体 205 …アース電極 208 …高周波電源 210 …ガス導入部 211 …反応性ガス通路 212a,b…不活性ガス通路 213a,b…保温制御システム 214a,b…反応性ガス通路壁 215a,b…不活性ガス通路壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸 田 義 朗 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 福 田 和 浩 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 西 脇 彰 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 2B104 CA03 CB22 CB34 CB41

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水槽を構成する透明壁のうち、少なくとも
    観察者側に配置される透明壁の両面が反射防止機能を有
    することを特徴とする水槽。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の透明壁の両面に、反射防
    止膜が形成されていることを特徴とする観賞用水槽。
  3. 【請求項3】前記透明壁の両面に、反射防止膜を有する
    反射防止フィルムが貼着されていることを特徴とする請
    求項2に記載の観賞用水槽。
  4. 【請求項4】前記反射防止膜が、透明壁を挟んだ外表面
    と内表面とでそれぞれ異なるものであることを特徴とす
    る請求項2または3に記載の観賞用水槽。
  5. 【請求項5】前記透明壁の外表面に形成された反射防止
    膜が、屈折率の異なる複数の薄膜の積層膜からなり、前
    記透明壁の内表面に形成された反射防止膜が、屈折率
    1.34〜1.50の薄膜の単層膜からなることを特徴
    とする請求項2〜4のいずれかに記載の観賞用水槽。
  6. 【請求項6】前記反射防止フィルムが、大気圧または大
    気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に放電する
    ことにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、透明樹脂
    フィルムを前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことに
    よって、前記透明樹脂フィルム表面にプラズマ状態の反
    応性ガスを接触させ薄膜層を形成させたものであること
    を特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の観賞用水
    槽。
  7. 【請求項7】大気圧または大気圧近傍の圧力下におい
    て、対向する電極間に放電することにより、反応性ガス
    をプラズマ状態とし、前記透明壁を前記プラズマ状態の
    反応性ガスに晒すことによって、前記透明壁表面にプラ
    ズマ状態の反応性ガスを接触させ、薄膜層を形成させ
    て、前記透明壁の両面に反射防止膜を設けたことを特徴
    とする請求項2、4、5のいずれかに記載の観賞用水
    槽。
  8. 【請求項8】 前記対向する電極間に、100kHzを
    越えた高周波電圧で、かつ、1W/cm2以上の電力を
    供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態とするこ
    とを特徴とする請求項6または7に記載の観賞用水槽。
  9. 【請求項9】 前記高周波電圧が連続したサイン波であ
    ることを特徴とする請求項8に記載の観賞用水槽。
  10. 【請求項10】前記透明壁に、前記プラズマ状態の反応
    性ガスを吹き付けることにより、前記透明壁の両面に反
    射防止膜を設けたことを特徴とする請求項7〜9のいず
    れかに記載の観賞用水槽。
JP2002131857A 2002-05-07 2002-05-07 観賞用水槽 Pending JP2003319733A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002131857A JP2003319733A (ja) 2002-05-07 2002-05-07 観賞用水槽

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002131857A JP2003319733A (ja) 2002-05-07 2002-05-07 観賞用水槽

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003319733A true JP2003319733A (ja) 2003-11-11

Family

ID=29544302

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002131857A Pending JP2003319733A (ja) 2002-05-07 2002-05-07 観賞用水槽

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003319733A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010073881A1 (ja) 2008-12-25 2010-07-01 シャープ株式会社 貯液槽、液中観察器具及び光学フィルム
USRE43694E1 (en) 2000-04-28 2012-10-02 Sharp Kabushiki Kaisha Stamping tool, casting mold and methods for structuring a surface of a work piece
WO2013132963A1 (ja) * 2012-03-09 2013-09-12 日本電気硝子株式会社 展示物又は表示物用カバー部材

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
USRE43694E1 (en) 2000-04-28 2012-10-02 Sharp Kabushiki Kaisha Stamping tool, casting mold and methods for structuring a surface of a work piece
USRE46606E1 (en) 2000-04-28 2017-11-14 Sharp Kabushiki Kaisha Stamping tool, casting mold and methods for structuring a surface of a work piece
USRE44830E1 (en) 2000-04-28 2014-04-08 Sharp Kabushiki Kaisha Stamping tool, casting mold and methods for structuring a surface of a work piece
CN101938899B (zh) * 2008-12-25 2013-04-10 夏普株式会社 贮液槽、液中观察器具及光学膜
US20120019921A1 (en) * 2008-12-25 2012-01-26 Nobuaki Yamada Liquid Tank, Viewing Device For Under-Liquid Observation, And Optical Film
EP2305026A4 (en) * 2008-12-25 2011-06-08 Sharp Kk LIQUID TANK, TOOL FOR OBSERVATION IN LIQUID AND OPTICAL FILM
WO2010073881A1 (ja) 2008-12-25 2010-07-01 シャープ株式会社 貯液槽、液中観察器具及び光学フィルム
US8465160B2 (en) * 2008-12-25 2013-06-18 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid tank, viewing device for under-liquid observation, and optical film
EP2315057A1 (en) 2008-12-25 2011-04-27 Sharp Kabushiki Kaisha Viewing device for under-liquid observation, and optical film
EP2305026A1 (en) * 2008-12-25 2011-04-06 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid storage tank, in-liquid observation tool, and optical film
WO2013132963A1 (ja) * 2012-03-09 2013-09-12 日本電気硝子株式会社 展示物又は表示物用カバー部材
CN103308961A (zh) * 2012-03-09 2013-09-18 日本电气硝子株式会社 展示物或显示物用覆盖部件
JPWO2013132963A1 (ja) * 2012-03-09 2015-07-30 日本電気硝子株式会社 展示物又は表示物用カバー部材
US9995852B2 (en) 2012-03-09 2018-06-12 Nippon Electric Glass Co., Ltd. Cover member for exhibit item or display

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5115522B2 (ja) 薄膜形成方法
US8748003B2 (en) Gas barrier laminate and production method of the same
JP2004068143A (ja) 薄膜形成方法並びに該薄膜形成方法により薄膜が形成された基材
JPWO2002048428A1 (ja) 薄膜形成方法、薄膜を有する物品、光学フィルム、誘電体被覆電極およびプラズマ放電処理装置
US6903512B2 (en) Half mirror film producing method and optical element comprising a half mirror film
JP2007113043A (ja) ガスバリア性薄膜積層体、ガスバリア性樹脂基材とそれを用いた有機エレクトロルミネッセンスデバイス
JP2007038445A (ja) ガスバリア性薄膜積層体、ガスバリア性樹脂基材及び有機エレクトロルミネッセンスデバイス
JP2007017668A (ja) 光学フィルム
JP4883085B2 (ja) 薄膜形成装置、及び、薄膜形成方法
JP2005272957A (ja) 表面処理方法及び該表面処理方法により表面処理された基材
JP2003319733A (ja) 観賞用水槽
JP4023142B2 (ja) 反射防止材料およびその製造方法
JP2004011014A (ja) 金属原子含有膜、金属原子含有膜材料及び金属原子含有膜の形成方法
JP4539059B2 (ja) 透明導電膜積層体の製造方法
JP2004107690A (ja) 光学薄膜の形成方法、反射防止フィルムの製造方法及び反射防止フィルム
JP3835261B2 (ja) 機能性薄膜の形成方法、機能性薄膜積層体、光学フィルム及び画像表示素子
JP4314777B2 (ja) 透明導電膜積層体の製造方法
JP2004084027A (ja) 機能体及びその形成方法
US20140255288A1 (en) Gas barrier laminate and production method of the same
JP2003201568A (ja) プラズマ放電処理装置及びプラズマ放電処理方法
JP4066647B2 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP3890590B2 (ja) 放電処理装置及び放電処理方法
JP2004059953A (ja) 防汚膜、防汚性反射防止膜及びそれを用いた画像表示装置
JP4432429B2 (ja) ディスプレイ用レンチキュラーレンズの製造方法
JP2003328125A (ja) 光学フィルム及びその製造方法