JP2003313617A - 硫化反応の制御方法 - Google Patents
硫化反応の制御方法Info
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Abstract
化させる反応の制御方法、特に亜鉛を選択的に除去する
方法において、酸化還元電位(ORP)やpHを簡易に
調整し、硫化反応を容易かつ適切に制御する方法を提供
する。 【解決手段】 常圧に対し0.1MPa以下加圧された
容器内において、気相中へ硫化水素を吹き込み、気相中
の硫化水素濃度を調整することで、これに平衡する溶液
中の硫化水素濃度を調整し、溶液の酸化還元電位(OR
P)を制御する。亜鉛を選択的に除去する場合には、気
相中の硫化水素濃度を2体積%以上とし、溶液のpHを
1.5〜4.0に制御する。この場合、硫化反応を60
℃以下で行うことが好ましい。
Description
亜鉛に代表される重金属を、硫化水素により硫化させる
反応の制御方法に関する。特に、溶液から亜鉛を選択的
に除去する硫化反応の制御方法に関する。
いて、硫化水素を用いて、溶液中に存在する重金属成分
を硫化反応により硫化物として固定する方法は、主要な
重金属成分の固定方法として広く用いられている。たと
えば、硫化水素ガスを使用する場合も含めて、ニッケル
やコバルトを含む硫酸液からニッケル、コバルトを硫化
物として回収する技術が、特開昭47−2555号公
報、特開平6−116660号公報に開示されている。
なお、これらの公報は亜鉛の挙動について触れていな
い。
制御は一般的に難しいとされてきた。回収対象となる重
金属に応じて硫化反応を適切に生じさせるためには、酸
化還元電位(ORP)およびpHを調整する必要があ
る。しかし、硫化反応が、微細な硫化物殿物を発生させ
る反応であるため、反応生成物が電極等の制御機器の表
面を被覆し、ORPやpHの正確な測定が困難である。
また、その制御のために硫化水素ガスを溶液中に吹き込
むが、反応生成物が硫化水素ガスの吹込み配管を閉塞さ
せてしまい、硫化水素の流量制御を安定して行うことも
困難といえる。
るために、工業的には反応溶液の抜き取りサンプリング
を行ってから、系外でORPやpHの測定を実施した
り、窒素ガスなどの不活性ガスを配管内に常に一定流量
吹き込むなどの対策がとられてきた。
な時間によるタイムラグが生じるため、微妙な反応制御
を行う場合には不適であり、後者の場合、常に不活性ガ
スを吹き込むことにより反応コストを上昇させるという
問題があった。さらに、これらの方法を採用するために
は、サンプリング設備や不活性ガス吹込み設備が別に必
要となるという問題もあった。
は、特に、コバルト、ニッケル、鉄、マンガンなどの金
属を含む溶液から、まず不純物としての亜鉛を選択的に
除去する場合に必要とされる。硫化水素ガスを使用する
脱亜鉛工程は、特開昭63−45130号公報に開示さ
れている。
除去する場合、MnS、CoS、NiS、FeSがそれ
ぞれ個々の水溶液から生成する酸性限度値には、ZnS
が沈殿する酸性限度値とかなりの相違があり(たとえ
ば、ZnSではHCl:0.02N、CoSおよびNi
SではHCl:0.001N)、ZnSがpHの低い領
域で優先的に容易に分離されるように考えられるが、Z
nSにはMnS、CoS、NiS、FeSを誘発沈殿さ
せる性質があり、反応液中から亜鉛だけを選択的に分離
することは困難である。そのため、特開昭63−451
30号では、炭酸カルシウムなどを添加することによ
り、反応によって生成する酸を中和し、溶液のpHを硫
化亜鉛が沈殿するのに適した値に保つ亜鉛の除去方法が
開示されている。
しpHを調整しながら硫化水素を吹き込むことから、局
所的にpH調整剤とニッケルやコバルトが反応して水酸
化物が生じてしまう結果、上記に示した問題のほか、ニ
ッケルなどの所望金属の損失を助長するという問題があ
った。
は、溶液中に存在する重金属を硫化水素により硫化させ
る反応の制御方法において、上記問題点を解決し、硫化
反応を容易にかつ繊細に制御できる方法を提供する。
めの硫化反応を制御する方法を提供する。
制御方法は、溶液中に存在する重金属を硫化水素により
硫化させる反応において、溶液中に溶存する硫化水素に
平衡する気相中の硫化水素濃度を調整することにより硫
化反応を制御することを特徴とする。
加圧された容器内において、気相中に硫化水素を供給し
て、気相中の硫化水素量濃度を調整することにより、こ
れと平衡する溶液中に溶存する硫化水素量および反応溶
液のORPを制御する。
場合には、上記条件において、溶液のpHを1.5〜
4.0とし、気相中の硫化水素濃度を2体積%以上、好
ましくは5体積%以下とすることにより、溶液中に存在
する亜鉛を1mg/l(リットル)以下まで硫化除去で
きるようにする。
ケルイオンやコバルトイオンに対して選択的に硫化して
除去する場合に、その選択性を高めるため、反応容器の
中で溶液と平衡する気相中の硫化水素の濃度を調整しつ
つ、反応温度を60℃以下に保持することを特徴とす
る。これにより、安定して亜鉛のみを硫化除去できる。
は、反応容器の中で溶液と平衡する気相中の硫化水素の
濃度を調整することにより、溶液中に溶存する硫化水素
量を調整し、反応溶液のORPを制御することにより、
煩雑なサンプリングによるORPやpHの制御および不
活性ガスによる閉塞防止策を施すことなく硫化反応の制
御を可能とする非常に簡単な一連の湿式工程を提供す
る。
われる硫化水素を用いた硫化反応において、気相の硫化
水素濃度と反応溶液中のORPが線形の関係を持つこと
に基づいている。
素濃度が、それと平衡する気相の硫化水素濃度と線形の
関係を持ち、さらに反応溶液中に溶存する硫化水素濃度
も反応溶液中のORPと線形の関係を有することによ
る。
のORPを調整することにより制御が可能である。よっ
て、本発明に従い、気相中の硫化水素濃度を調整するこ
とにより、ORPを制御して、溶液中の硫化反応の制御
が可能となる。
からの脱亜鉛反応の場合、不純物として亜鉛を含むニッ
ケル溶液のpHを1.5〜4.0とし、硫化水素を気相
中に吹き込むことで、ORPを−100〜−250mV
(Ag/AgCl電極電位)に制御して、亜鉛の除去を
可能とする。
であると、溶液中の硫黄イオン濃度が低下して硫化反応
が進みにくくなる。また、pHが4.0を超えると重金
属の水酸化物が沈殿する場合がある。
からニッケルやコバルトを回収させるために反応させる
場合には、溶液のpHを0.5〜3.0とし、硫化水素
を気相中に吹き込むことで、ORPを−130〜−30
0mV(Ag/AgCl電極電位)に制御して、ニッケ
ルやコバルトを回収する。
なるように、溶液中の硫化水素量を制御することになる
が、この溶液中の硫化水素量は、気相の硫化水素分圧に
より決定すればよい。
平衡する気相中の硫化水素の分圧により決定されるた
め、本発明の方法においては、硫化水素を液中に配管を
用いて吹き込む必要はなく、気相に吹き込むだけで十分
である。したがって、反応生成物によって、溶液中に硫
化水素を吹き込むために配管が閉塞するという問題も解
決される。
ンを含む溶液から、まず亜鉛を選択的に硫化固定して除
去する際に、ニッケルやコバルトも硫化されてしまう場
合がある。
に影響するため、高温で反応を行うと硫化反応が促進さ
れる。同一の硫化反応が起こる系においては、硫化の目
標とする被硫化成分すなわち亜鉛と、意図的に溶液中に
残留させようとする成分すなわちニッケルやコバルトに
ついて、ともに反応が促進し、沈殿してしまうため、両
者の選択性が失われてしまう。そのまま、さらに反応が
進むと、硫化反応により生成される硫酸がいったん沈殿
させた硫化物を再溶解させ、硫化固定率を悪化させるこ
とになる。
やかであるため、60℃以下の反応条件で反応を行わせ
ることにより、硫化成分の選択性を損なわずに亜鉛の分
離を行うことが可能となる。
を落とすことにより、反応速度を低下させ、上記の選択
性を有したまま分離を行うことは可能であるとも考えら
れる。しかし、この方法による添加速度の調整では、工
業的に可能と考えられる反応速度まで達成しがたく、仮
に実施した場合でも選択硫化による分離終点の判定が困
難である。
述べるが、かかる実施例によっては本発明の範囲は限定
されない。実施例においては、硫化による脱亜鉛反応を
例に説明するが、特に選択的に脱亜鉛反応を行わせる場
合を除き、同様の制御がコバルト、ニッケル、鉄、マン
ガンなどの重金属の硫化反応にも適用できる。
g/lのニッケルを含む硫酸塩溶解液を使用した。この
溶液中の不純物としての亜鉛は、60mg/lであっ
た。30リットルの反応容器を2槽連続につなぎ、この
溶液に対して硫化による脱亜鉛反応を実施した。
で連続的に添加し、容器の加圧を0.02MPa、温度
を40〜50℃に保持し、攪拌しつつ、硫化水素を気相
中に吹き込みながら反応させ、試料1〜7を採取し、分
析を行った。
初期pHは3.67、初期ORPは266mVであっ
た。その試験結果を表1に示す。
溶液のORPに依存し、ORPが−100mV(Ag/
AgCl電極電位)以下で、亜鉛を1mg/l以下ま
で、ほぼ完全に除去できることがわかる。
め、ORPと溶液中の硫化水素量の関係を調査した。そ
の結果を図1に示す。
液中の硫化水素量と線形の関係を持つため、溶液中の硫
化水素量を制御することで、反応溶液のORPを制御で
きることがわかる。本実施例の場合、ほぼ完全に脱亜鉛
が可能な領域である−100mV以下までORPを下げ
るためには、約40mg/lの硫化水素が反応溶液に溶
存していることが必要である。
を得るために、平衡する気相中の硫化水素分圧を調査し
た。その結果を図2に示す。
溶存量と、これと平衡する気相中の硫化水素濃度も線形
の関係を有することがわかる。本実施例においては、反
応を進めるにあたり必要な気相中の硫化水素濃度は、図
2に示すとおり約2体積%である。また、硫化水素濃度
が4体積%に達すると、溶液中の硫化水素濃度は80m
g/lになる。この場合の反応溶液のORPは、図1に
示すとおり−150mVとなる。
硫化水素濃度を調整することにより、硫化反応を制御す
ることが可能である。
積%以上とすることにより、溶液中の硫化水素溶存量を
40mg/l以上とすることができる。溶液中の硫化水
素溶存量を40mg/l以上とすることによって、反応
溶液のORPを−100mV以下とすることができ、こ
れにより溶液中の亜鉛濃度を1mg/l以下とすること
が可能となる。
込み配管の閉塞は一切観察されなかった。
て、約3g/lのニッケルを含む硫酸塩溶解液を使用し
た。この溶液中の不純物としての亜鉛は、80mg/l
であり、pHを2.50、ORPを−100〜−200
mVに調整した。5m3 の加圧型反応槽を使用して、こ
の溶液に対して硫化による脱亜鉛反応を実施した。
50リットル/分)となる速度で連続的に添加し、容器
の加圧を0.05MPaに保持し、攪拌しつつ、硫化水
素を溶液1m3 あたり0.05m3 (0.75m3 /
時)の添加速度で気相中に吹き込みながら反応させた。
2水準の60℃および80℃に保ち、その効果の確認を
行った。その試験結果を図3に示す。
は、亜鉛が吹き込む硫化水素量にあわせて沈殿除去する
ことがわかる。一方、80℃の反応においては、亜鉛は
いったん始液濃度である80mg/lから低下し、その
後亜鉛と共存するニッケルの過剰な硫化による酸生成に
より再溶解され、その硫化反応の選択性を失うことが理
解される。
の結果を表2に示す。
らかにニッケルおよびコバルトの共沈が増え、選択性が
失われている。なお、硫黄の品位が化学量論組成と比較
して多いのは、硫化水素が容器内の酸素と接触し酸化さ
れ、それにより生成された単体硫黄を多く含むためであ
る。
相中の硫化水素濃度を調整することにより、溶液に溶存
する硫化水素濃度および反応溶液のORPを制御するこ
とができ、不要な設備を要さず、簡単な反応制御によ
り、容易に亜鉛等の重金属の硫化反応を制御することが
可能となる。
が可能となり、本発明によりあらかじめ亜鉛を分離除去
した後、さらに本発明によりニッケルやコバルトなどの
重金属を硫化物として回収でき、当該処理のコストを大
幅に抑制することが可能となることから、本発明は工業
的にきわめて有用である。
ラフである。
関係を示すグラフである。
の、気相中への硫化水素吹込み量(累積)と溶液中の亜
鉛濃度の関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 常圧に対し0.1MPa以下加圧された
容器内において、気相中に硫化水素を供給し、溶液中に
溶存する硫化水素に平衡する気相中の硫化水素濃度を調
整することにより、重金属の硫化を制御することを特徴
とする硫化反応の制御方法。 - 【請求項2】 気相中の硫化水素濃度を2体積%以上と
し、溶液のpHを1.5〜4.0に制御し、溶液中の亜
鉛を硫化除去することを特徴とする請求項1に記載の硫
化反応の制御方法。 - 【請求項3】 硫化反応を60℃以下で行うことにより
溶液中の亜鉛を選択的に硫化除去する請求項2に記載の
硫化反応の制御方法。
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- 2003-02-21 JP JP2003044927A patent/JP3945418B2/ja not_active Expired - Lifetime
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