JP2003313563A - 金属水銀蒸気を含むガスからの水銀除去方法 - Google Patents
金属水銀蒸気を含むガスからの水銀除去方法Info
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Abstract
る金属水銀蒸気または石炭の燃焼排ガス中に含まれる金
属水銀蒸気からの水銀除去方法を提供する。 【解決手段】 石炭のガス化で生成する燃料ガス中に存
在する金属水銀蒸気または石炭の燃焼排ガス中に含まれ
る金属水銀蒸気から、比較的入手し易い硫化水素を利用
して、また、金属水銀蒸気の除去が必要とされる石炭の
ガス化で生成する燃料ガス中にも硫化水素存在する場合
は、その硫化水素を利用して、多孔質固体上に金属水銀
蒸気を硫化水銀として固定化して水銀を除去する。
Description
り得られる燃料ガス中に存在する金属水銀蒸気または石
炭の燃焼排ガス中に含まれる金属水銀蒸気からの水銀除
去方法に関する。
大きく二つに分けられる。一つは、金属硫化物、硫黄あ
るいはヨウ素を担持した活性炭、金を担持した多孔体等
の吸着・固定剤を用いて除去する方法である。除去原理
は、硫黄担持活性炭の場合、硫黄と金属水銀蒸気が反応
して硫化水銀が生成し除去されると推測される。また、
ヨウ素担持活性炭の場合もヨウ化水銀として除去される
と予測される。
せてアマルガムをつくり除去されるとされている。しか
し、金属硫化物その他の場合は、その原理は不明であ
る。もう一つの方法は、排ガスに塩化水素を注入して金
属水銀を揮発性の低い塩化水銀(HgCl2 )に変換
し、後流に位置する電気集塵機で捕捉する方法である。
法のうち吸着剤として有望とされている硫黄担持活性炭
の場合は適用範囲が120〜180℃と幅が狭く、かつ
温度に敏感である欠点があるとされている。更に、長時
間、反応系に存在すると硫黄が昇華してしまう可能性が
ある。また、金に関しては繰り返し再生使用に問題があ
るとされている。もう一つの、塩化水銀に変換する方法
については塩化銀が猛毒物質であることから取り扱いが
難しいといえる。
成する燃料ガス中に存在する金属水銀蒸気または石炭の
燃焼排ガス中に含まれる金属水銀蒸気から、比較的入手
し易い硫化水素を利用して、また、金属水銀蒸気の除去
が必要とされる石炭のガス化で生成する燃料ガス中にも
硫化水素存在する場合は、その硫化水素を利用して、多
孔質固体上に金属水銀蒸気を硫化水銀として固定化し除
去する水銀除去方法を提供することである。
蒸気を多孔質固体上に固定化除去する方法について鋭意
研究した。即ち、各種雰囲気ガス中に存在する金属水銀
蒸気を多孔質固体を用いて除去する検討を進めた。この
検討において、硫化水素が金属水銀蒸気を除去する必要
のある石炭のガス化で生成した燃料ガス中にも存在する
ことから、無機水銀蒸気を除去する場合に硫化水素を共
存させて検討した。
合、金属水銀蒸気が硫化水銀となって固体上に固定化で
きるとの知見を得て、それに基づいて本発明を完成する
に至った。即ち、本発明は金属水銀蒸気を含むガスに硫
化水素を注入し、このガスを多孔質固体相を通過させる
ことを特徴とする金属水銀蒸気に含まれる水銀除去方法
である。尚、金属水銀蒸気を含むガス中に硫化水素が十
分に共存する場合は、この硫化水素が利用できることか
ら、硫化水素の量を減じることができ、場合によって
は、硫化水素の注入は必要ないこともある。
で接触すると、次式(1)に示すように、分解して多孔
質固体上に硫黄を生成する。更に、硫化水素を注入する
ガスに亜硫酸ガスもしくは酸素が存在すると、次式
(2)、(3)に示すような、反応で多孔質固体上に硫
黄が生成する。このようにして生成した硫黄は金属水銀
蒸気と次式(4)に従って硫化水銀を生成する。硫化水
銀は3種知られているが2価の硫化水銀は2種であり、
不安定な方の昇華温度は446℃とされており、この黒
色硫化水銀が生成されると、かなり高温での金属水銀蒸
気の除去の可能性もある。
反応であるが、(4)式の反応と連続で進行するため平
衡の制約は受けない。硫化水銀に変換されるメカニズム
は、図1の予備実験から推測される硫化水銀の生成に示
すように、触媒作用によって硫化水素から硫黄が生成
し、生成した硫黄が硫化水銀に変換されたと考えられて
いる。
明の請求項1に係る金属水銀蒸気を含むガスからの水銀
除去方法は、石炭のガス化によって生成する燃料ガス中
に含まれる金属水銀蒸気からの水銀の除去において、必
要量の硫化水素を金属水銀含有ガスに吹き込み、多孔質
固体上に金属水銀蒸気を硫化水銀として固定化し除去す
る構成とした。
含むガスからの水銀除去方法は、石炭のガス化によって
生成する燃料ガス中に含まれる金属水銀蒸気からの水銀
の除去において、生成する燃料ガス中に硫化水素が含ま
れる場合は、該硫化水素を利用して、多孔質固体上に金
属水銀蒸気を硫化水銀として固定化し除去する構成とし
た。
含むガスからの水銀除去方法は、石炭の燃焼排ガス又は
ゴミ燃焼炉排ガス中に含まれる金属水銀蒸気からの水銀
の除去において、燃焼排ガス中に亜硫酸ガスが存在して
も、必要量の硫化水素を吹き込み、多孔質固体上に金属
水銀を硫化水銀として固定化し除去する構成とした。
含むガスからの水銀除去方法は、請求項1乃至請求項3
記載の金属水銀の除去に用いる前記多孔質固体は、硫化
水素の分解活性のある、Fe、Al、Ti、Cu、N
i、Co、Zn、Mo、Zi等の硫化物、酸化物とし
た。
料ガス中には金属水銀蒸気を硫化するのに必要な硫化水
素が元々含まれていることから、硫化水素の分解能を有
する多孔質固体を400℃以下で用いることにより、金
属水銀蒸気を除去できる。しかし、多孔質固体の硫化水
素分解能が高いと、生成した硫黄が多孔質固体から直ち
に蒸発気化するため、多孔質固体上に硫化水銀が固定化
されない恐れがある。そこで、除去温度としては200
℃程度以下が望ましい。
によって除去温度を適切に設定することになる。硫化水
素分解活性の高い多孔質固体は、分解活性の低い多孔質
固体に比べて低温で使用することになる。本発明で使用
する多孔質固体は硫化水素分解活性を有するものであれ
ば、その材質は問わないが、Fe、Al、Ti、Cu、
Ni、Co、Zn、Mo、Zi等の硫化物、酸化物を用
いることができる。
スのように排ガス中に亜硫酸ガスと金属水銀蒸気が共存
する系では、徴量の硫化水素を注入後、クラウス反応
{前記、式(2)式の反応}あるいは前記(3)式の反
応に対して触媒作用を有する多孔質固体に接触させて、
金属水銀蒸気を多孔質固体上に硫化水銀として固定化・
除去する。この系でも硫黄が生成するため、200℃程
度以下の温度が望ましい。多孔質固体としては前記の
(2)もしくは(3)式の反応に対して触媒活性を有す
るものであれば、材質は問わない。
出に関しては、石炭のガス化による生成燃料ガスについ
ては、脱水銀後に脱硫化水素装置が備えられるため問題
ない。また、硫化水素を含まないガスに関しては、脱水
銀用の多孔質固体が上記(2)、(3)および次式
(5)に対する触媒として作用し消費されることと、注
入される硫化水素量(実機では数ppm)が少ないこと
から問題とはならない。
を明らかにする。実施例1 本発明の実用的な実施には充填層式反応器を用いるが、
基礎的実施として反応ガスが流通する熱天秤装置を用い
た。この装置では多孔質試料を任意の温度に設定でき、
試料重量の変化が測定できる。しかし、試料の重量変化
は、反応ガスの吸着、あるいは種類によっては多孔質固
体が硫化されたため、硫化水銀の蓄積量は評価できなか
った。そこで、試料を3時間処理した後、試料中の水銀
量を環境庁低質調査方法に基づいて、還元気化冷原子吸
光光度法で分析した。
燃料ガス中に含まれる金属水銀蒸気の除去を想定して、
10ppmHg、30%CO、20%H2、8.1%H2
O、200ppmH2S、N2(バランスガス)混合ガス
を反応ガスとして反応管に注入した。反応管中には多孔
質固体として100mgの多孔質酸化鉄(Fe2O3)、
多孔質硫化鉄(FeS)あるいはアルミナ(Al2O3)
を設置した。多孔質固体は、平均粒径0.7mmの破砕
物である。反応温度を150℃とし、3時間反応ガスを
流通後、試料を取り出し、水銀量を測定した。その結
果、試料中のHgは下記のとおりであった。
回折装置を用いて、水銀の存在状態が硫化水銀(等軸)
であることを確認した。以上の結果から、実施例に用い
た3種の多孔質固体はいずれも石炭のガス化によって生
成する燃料ガス中の金属水銀蒸気の除去剤として有望で
あることが確認できた。
スとして10ppmHg、200ppmH2S、50p
pmSO2、2%O2、8.1%H2O、N2(バランスガ
ス)を用いた。多孔質固体としてアルミナ(Al
2O3)、チタニア(TiO2)、活性炭を用い、150
℃で金属水銀蒸気の除去を検討した。その結果、多孔質
固体に硫化水銀として固定化された水銀量は下記のよう
になった。
度100℃でも検討した結果下記の量の水銀が同定化さ
れた。
る排ガス中の金属水銀蒸気も硫化水素の注入と適切な多
孔質固体の選定により、水銀が除去できることを明らか
にした。更に、前述のように硫黄の生成・気化と金属水
銀蒸気との反応が競合することから最適水銀除去温度が
存在することが示唆された。
スSO2がほとんど存在しない場合も想定されることか
ら、反応ガスとして10ppmHg、200ppmH
g、2%O2、8.1%H2O、N2(バランスガス)を用
いて検討した。多孔質固体としては、多孔質チタニア
(TiO2)、多孔質酸化鉄(Fe2O3)、多孔質硫化
鉄(FeS)を用いた。反応温度はチタニアの場合10
0℃、他の鉄系固体は150℃に設定した。その結果、
水銀の固定量は下記のようになった。
属水銀蒸気を含む排ガスに注入し、適切な多孔質固体を
用いることにより金属水銀蒸気を効率的に多孔質固体に
固定化・除去できることを実証した。
有ガスは、石炭ガス化燃料ガス、石炭の燃焼排ガス、ゴ
ミ焼却炉排ガスなどであるが、これに限ることなく金属
水銀含有ガスに対して広く応用できる。そして、硫化水
銀の固定化されたものは、特定の処理場(北海道などに
既存)で処理される。
含むガスからの水銀除去方法は、硫黄担侍活性炭を製造
する必要がなく、硫黄の寿命の問題もない、比較的入手
し易い硫化水素を利用して、石炭のガス化で生成する燃
料ガス中に存在する金属水銀蒸気または石炭の燃焼排ガ
ス中に含まれる金属水銀蒸気から、水銀を除去すること
ができる。また、生成する燃料ガス中に硫化水素が含ま
れる場合は、該硫化水素を利用して金属水銀蒸気を含む
ガスから金属水銀を除去することができる。そして、石
炭利用などに伴う水銀の大気中への排出や、ごみ焼却炉
からの水銀の排出が大きな問題となりつつあるが、この
問題に適正に対応できるものである。
成図。
Claims (4)
- 【請求項1】 石炭のガス化によって生成する燃料ガス
中に含まれる金属水銀蒸気からの水銀の除去において、
必要量の硫化水素を金属水銀含有ガスに吹き込み、多孔
質固体上に金属水銀蒸気を硫化水銀として固定化し除去
する金属水銀蒸気を含むガスからの金属水銀の除去方
法。 - 【請求項2】 石炭のガス化によって生成する燃料ガス
中に含まれる金属水銀蒸気からの水銀の除去において、
生成する燃料ガス中に硫化水素が含まれる場合は、該硫
化水素を利用して、多孔質固体上に金属水銀蒸気を硫化
水銀として固定化し除去する金属水銀蒸気を含むガスか
らの金属水銀の除去方法。 - 【請求項3】 石炭の燃焼排ガスまたはゴミ燃焼炉排ガ
ス中に含まれる金属水銀蒸気からの水銀の除去におい
て、燃焼排ガス中に亜硫酸ガスが存在しても、必要量の
硫化水素を吹き込み、多孔質固体上に金属水銀を硫化水
銀として固定化し除去する金属水銀蒸気を含むガスから
の金属水銀の除去方法。 - 【請求項4】 前記多孔質固体は硫化水素の分解活性の
ある、Fe、Al、Ti、Cu、Ni、Co、Zn、M
o、Zi等の硫化物、酸化物であることを特徴とする請
求項1乃至請求項3記載の金属水銀蒸気を含むガスから
の金属水銀の除去方法。
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