JP2003313483A - 水性印刷インキとこれを用いたフィルム、積層フィルム及び積層フィルムの製造方法 - Google Patents

水性印刷インキとこれを用いたフィルム、積層フィルム及び積層フィルムの製造方法

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JP2003313483A JP2002375731A JP2002375731A JP2003313483A JP 2003313483 A JP2003313483 A JP 2003313483A JP 2002375731 A JP2002375731 A JP 2002375731A JP 2002375731 A JP2002375731 A JP 2002375731A JP 2003313483 A JP2003313483 A JP 2003313483A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種の基材フィルムと良好な密着性を有し、
ダイレクトラミネート強力に優れた水性印刷インキと、
この水性印刷インキを用いたフィルム、前記フィルムの
印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムとその製造
方法を提供する。 【解決手段】 特定塑性のポリオレフィン樹脂と、顔料
または染料の少なくとも一方とを水性媒体中に含有して
水性印刷インキとする。特定組成のポリオレフイン樹脂
は、水性媒体に平均粒子径が0.5μm以下の状態で分
散している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性印刷インキと
これを用いたフィルム、積層フィルム及び積層フィルム
の製造方法に関する。さらに詳しくは、基材フィルムへ
の印刷に適した水性印刷インキとこれを用いたフィル
ム、前記フィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層
フィルムとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種食品や薬品等を入れるた
めの包装容器は、ポリエチレンテレフタレート(以下、
「PET」と略称する。)、ナイロン6(以下、「Ny
6」と略称する。)、ポリプロピレン(以下、「PP」
と略称する。)等の熱可塑性フィルムを基材フィルムと
して、この基材フィルムを成形加工することにより作製
されている。これらの基材フィルムからなる包装容器に
より製品を包装して販売する際には、その商品名などを
包装容器に印刷する必要がある。凹凸を有する成形品へ
の印刷は困難であることから、通常は、印刷はフィルム
の段階で施され、その後、真空成形などによる成形加工
が施される。近年では、包装容器の多様化、高機能化に
伴って、各種の基材フィルムにインキを印刷した後、印
刷面にラミネート加工を施した積層フィルムからなる包
装容器が用いられている。
【0003】ラミネート加工には、基材フィルムにイン
キを印刷した後、印刷面にアンカーコート剤を塗布して
このアンカーコート層を接着層として溶融樹脂を積層す
る方法(以下、「押出しラミネート法」と称す。)や、
前記のアンカーコート層を接着層としてこのアンカーコ
ート層の上に各種のフィルムを貼り合せる方法(以下、
「ドライラミネート法」と称す。)や、アンカーコート
剤を使用せずに基材フィルムの印刷面に直接に溶融樹脂
を積層する方法(以下、「ダイレクトラミネート法」と
称す。)等がある。中でも、ダイレクトラミネート法が
経済的、省資源的、環境的に有利である。
【0004】ダイレクトラミネート法を行う際のダイレ
クトラミネート強力(ラミネート強度)は、インキに用
いられるバインダー樹脂によって決まる。インキには、
溶媒として有機溶剤を用いた油性インキと、溶媒として
水性媒体を用いた水性インキとがあるが、環境保護、省
資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善などの
立場から有機溶剤の使用が制限される傾向にあり、水性
インキの使用が望まれている。
【0005】水性インキに使用されるバインダー樹脂と
しては、ウレタン樹脂や塩素化ポリオレフィン樹脂が挙
げられる。しかし、ウレタン樹脂を用いた水性インキ
は、上記した各種の基材フィルムとの密着性は良好であ
るものの、ダイレクトラミネート強力に劣るという問題
がある。また、塩素化ポリオレフィン樹脂を用いた水性
インキは、PPフィルムとの密着性は良好であるもの
の、PETフィルムやNy6フィルムへの密着性は不十
分であり、使用できる基材フィルムが限られるという問
題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点を
解決し、各種の基材フィルムに良好な密着性を有し、ダ
イレクトラミネート強力に優れた水性印刷インキの提供
と、この水性印刷インキを用いたフィルム、前記フィル
ムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムとその
製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った
ものである。すなわち本発明は、ポリオレフィン樹脂
と、顔料または染料の少なくとも一方とを水性媒体中に
含有する水性印刷インキであって、前記ポリオレフィン
樹脂は、不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン
系炭化水素と特定の化合物とから構成される共重合体で
あり、前記特定の化合物は下記式(I)〜(IV)のい
ずれかで示される少なくとも1種の化合物であり、前記
共重合体における不飽和カルボン酸またはその無水物の
配合割合は質量比で0.01質量%以上5質量%未満で
あり、エチレン系炭化水素と特定の化合物との配合割合
は、質量比で、(エチレン系炭化水素)/(特定の化合
物)=55/45〜99/1(質量%)の範囲であり、
前記水性媒体に分散しているポリオレフィン樹脂の数平
均粒子径が0.5μm以下であることを特徴とする水性
印刷インキを要旨とする。
【0008】
【化3】
【0009】この構成によると、特定組成のポリオレフ
ィン樹脂をバインダーに用いることで、幅広い基材フィ
ルムに良好な密着性を有し、かつダイレクトラミネート
強力にも優れた水性印刷インキが得られる。
【0010】また、本発明の水性印刷インキを用いて基
材フィルムの少なくとも片面に印刷したフィルムあるい
は前記フィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フ
ィルムは、機械的強力や加工性に優れており、しかも基
材フィルムとインキとの密着性に優れているため、包装
容器の材料として好適に使用できる。
【0011】また、本発明の積層フィルムの製造方法に
よると、本発明の積層フィルムを容易に実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における水性印刷インキは、特定のポリオレフィ
ン樹脂と、顔料または染料の少なくとも一方を水性媒体
中に含有し、これらのポリオレフィン樹脂、顔料、染料
は水性媒体中に均一に分散もしくは溶解されており、特
にポリオレフィン樹脂は数平均粒子径が0.5μm以下
と微細な状態で分散している必要がある。なお、ポリオ
レフィン樹脂が数平均粒子径が0.5μm以下と微細な
状態で分散している状態には、ポリオレフィン樹脂が溶
解しているものも含まれる。また、水性媒体とは、水を
主成分とする液体からなる媒体であり、後述する水溶性
の有機溶剤を含有していてもよい。
【0013】このように特定のポリオレフィン樹脂をバ
インダー樹脂として用いることで、水性媒体を用いても
ポリオレフィン樹脂を微細な状態で良好に水性化(液状
化)することができ、このポリオレフィン樹脂水性分散
体に顔料等が均一に分散もしくは溶解されていること
で、各種の基材フィルムとの密着性を有し、ダイレクト
ラミネート強力に優れた水性印刷インキを実現できる。
【0014】本発明で使用するポリオレフィン樹脂は、
不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水
素と特定の化合物とから構成される共重合体を主体とす
る必要がある。不飽和カルボン酸またはその無水物は、
樹脂に親水性を付与するものであり、エチレン系炭化水
素は、ポリオレフィン樹脂としての性質を発現するもの
であり、特定の化合物は、不飽和カルボン酸またはその
無水物だけでは十分に得られない親水性を補うためのも
のである。なお、ここでいう特定の化合物とは下記式
(I)〜(IV)のいずれかで示される少なくとも1種
の化合物である。
【0015】
【化4】
【0016】前記共重合体における不飽和カルボン酸ま
たはその無水物の配合割合は、質量比で0.01質量%
以上5質量%未満である必要がある。不飽和カルボン酸
またはその無水物の配合割合が0.01質量%未満であ
ると、ポリオレフィン樹脂を水性化することが困難にな
って良好な水性分散体が得られず、結果的に水性印刷イ
ンキが得られなくなる。一方、不飽和カルボン酸または
その無水物の配合割合が5質量%を超えると、ポリオレ
フィン樹脂の水性化は容易になるが、カルボキシル基量
が増すためにポリオレフィン樹脂の極性が高くなり、得
られた水性印刷インキは極性の低い基材フィルムとの密
着性に劣るものとなる。従って、不飽和カルボン酸また
はその無水物の配合割合は、0.1質量%以上5質量%
未満であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%
未満であることがさらに好ましく、1質量%以上4質量
%以下であるのが最適である。
【0017】前記共重合体におけるエチレン系炭化水素
と特定の化合物との配合割合は、質量比で、(エチレン
系炭化水素)/(特定の化合物)=55/45〜99/
1(質量%)の範囲である必要がある。ポリオレフィン
樹脂の主体となるエチレン系炭化水素は、ポリオレフィ
ン樹脂としての性質を発現するものであり、様々な熱可
塑性フィルムとの良好な密着性を付与するものである。
従って、このエチレン系炭化水素の配合割合が55質量
%よりも少なくなると、ポリオレフィン樹脂としての性
質が十分に得られず、ダイレクトラミネート強力が低下
する。エチレン系炭化水素の配合割合が99質量%を超
えるとポリオレフィン樹脂の水性化が困難になって水性
印刷インキを得ることが困難になるだけでなく、基材フ
ィルムとの密着性が低下する。従って、エチレン系炭化
水素と特定の化合物との配合割合は、質量比で、(エチ
レン系炭化水素)/(特定の化合物)=60/40〜9
7/3(質量%)であることが好ましく、65/35〜
95/5(質量%)であることがより好ましく、75/
25〜88/12(質量%)であることが特に好まし
い。
【0018】ポリオレフィン樹脂を構成する不飽和カル
ボン酸またはその無水物は、分子内(モノマー単位内)
に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を
有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無
水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和
ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げ
られる。また、フィルム飽和カルボン酸は塩、酸無水物
で合っても良い。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸であることが好ましく、特に
アクリル酸、無水マレイン酸、メタクリル酸であること
が好ましい。これらは単独で使用されても良く、また複
数組み合わせて使用しても良い。また不飽和カルボン酸
はポリオレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、そ
の形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重
合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
【0019】本発明のポリオレフィン樹脂を構成するエ
チレン系炭化水素としては、エチレン、プロピレン、イ
ソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン
等の炭素数2〜6のオレフィン類が挙げられ、これらの
混合物を用いてもよい。この中で、エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のオレ
フィンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0020】ポリオレフィン樹脂を構成する特定の化合
物は、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和化合物で
あり、上記式(I)〜(IV)のいずれかで示される少
なくとも1種の化合物である必要がある。このような構
造の特定の化合物を用いることで、ポリオレフィン樹脂
に親水性が付与されて、上記のように親水性を有する不
飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合が5質量%
未満であっても、乳化剤や保護コロイド作用を有する化
合物などの不揮発性水性化助剤を添加することなしにポ
リオレフィン樹脂を微細に水性化することができる。
【0021】上記式(I)で表される化合物としては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸
エステル類などが挙げられる。上記式(II)で表される
化合物としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエ
チル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類が
挙げられる。上記式(III)で表される化合物として
は、(メタ)アクリル酸アミド類が挙げられる。式(I
V)で表される化合物としては、メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテ
ル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエ
ステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等で
ケン化して得られるビニルアルコールなどが挙げられ
る。上記式(I)〜(IV)で表される化合物は単独で
使用しても良く、混合物として用いても良い。本発明に
おいては、これらの中でも式(I)で表される(メタ)
アクリル酸エステル類が好ましく、(メタ)アクリル酸
メチルあるいは(メタ)アクリル酸エチルが特に好まし
い。
【0022】本発明におけるポリオレフィン樹脂として
は、不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭
化水素と特定の化合物とから構成される共重合体が、エ
チレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重
合体またはエチレン−メタアクリル酸エステル−無水マ
レイン酸三元共重合体、より具体的には、エチレン−ア
クリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、
エチレン−メタアクリル酸メチル−無水マレイン酸三元
共重合体、エチレン−メタアクリル酸エチル−無水マレ
イン酸三元共重合体であることが好ましい。なお、(メ
タ)アクリル酸エステル単位は、後述する樹脂の水性化
の際にエステル結合のごく一部が加水分解してアクリル
酸単位に変化することがあるが、そのような場合には、
これらの変化を加味した各構成成分の比率が規定の範囲
にあればよい。
【0023】本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、分
子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメ
ルトフローレート(以下、「MFR」と記載する。)が
0.1〜500g/10分の範囲であることが好まし
い。MFRが0.1/10分未満であると、樹脂の水性
化が困難となって水性印刷インキを得ることが困難とな
るだけでなく、基材フィルムとの密着性やダイレクトラ
ミネート強力に劣るものとなる。MFRが500g/1
0分を超えると、水性印刷インキを基材フィルムに印刷
した際にインキの被膜が硬くてもろくなり、フィルムの
機械的強力や加工性が低下する。従って、本発明におけ
るポリオレフィン樹脂の190℃、2160g荷重にお
けるMFRは、1〜500g/10分の範囲にあること
が好ましく、0.1〜250g/10分の範囲にあるこ
とがより好ましく、2〜250g/10分の範囲にある
ことがさらに好ましく、2〜100g/10分の範囲に
あるのが最適である。
【0024】また、本発明に用いられるポリオレフィン
樹脂には、その他のモノマーが、この樹脂全体の20質
量%以下で共重合されていても良い。その他のモノマー
としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニ
ルエーテルなどの炭素数3〜30のアルキルビニルエー
テル類、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲ
ン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、
二硫化硫黄等が挙げられる。
【0025】本発明で使用する顔料または染料は特に限
定されるものではなく、一般的に使用されているものを
インキの種類によって適宜選択すれば良い。顔料として
は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、硫化カドミ
ウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、
クレー、タルク、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラックなど
の無機顔料、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオイン
ジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラ
キノン系、ベンゾイミダゾール系、ペリレン系、ペリノ
ン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン
系、アントラピリジン系、ジオキサジン系などの有機顔
料が挙げられる。また、染料としては直接染料や反応染
料、酸性染料、カチオン染料、バット染料、媒染染料な
どが挙げられる。上記の顔料または染料は単独もしくは
2種類以上が含有されていても差し支えない。
【0026】水性印刷インキへの顔料などの添加量は、
上記のポリオレフィン樹脂の固形分100質量部に対し
て、5〜400質量部であることが好ましい。顔料など
の添加量が5質量部未満であると、印刷性が低下し、4
00質量部を超えると、フィルムとの密着性が低下す
る。従って、顔料などの添加量は、10〜300質量部
の範囲であることがより好ましく、20〜200質量部
の範囲であることが特に好ましい。
【0027】本発明の水性印刷インキは、上記のポリオ
レフィン樹脂と、顔料または染料の少なくとも一方が水
性媒体中に均一に分散もしくは溶解されてなる。顔料ま
たは染料は、水性媒体中に均一に分散もしくは溶解して
いれば良いが、ポリオレフィン樹脂は、数平均粒子径が
0.5μm以下の状態で均一に分散もしくは溶解してい
る必要がある。ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が
0.5μmを超えると、水性印刷インキの保存安定性が
低下するとともに、印刷性が低下する。従って、ポリオ
レフィン樹脂の数平均粒子径は、0.3μm以下である
ことが好ましく、0.2μm以下であることがより好ま
しく、0.1μm未満であるのが特に好ましい。同様の
理由から、ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径は0.
5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下がよ
り好ましく、0.2μm以下がさらに好ましく、0.1
μm以下が最も好ましい。また、重量平均粒子径を数平
均粒子径で除した値である粒子の分散度、(重量平均粒
子径)/(数平均粒子径)は、水性印刷インキの保存安
定性や印刷性の点から1〜3の範囲であることが好まし
く、1〜2.5の範囲であることがより好ましく、1〜
2の範囲であることが特に好ましい。なお、粒度分布に
ついては、特に限定されない。
【0028】本発明の水性印刷インキには、水性分散体
の安定化を図るために塩基性化合物を配合することが好
ましい。塩基性化合物を配合することで、ポリオレフィ
ン樹脂のカルボキシル基が中和され、中和によって生成
したカルボキシルアニオン間の電気的反発力によって微
粒子間の凝集を防ぐことができ、乳化剤や保護コロイド
作用を有する化合物などの不揮発性水性化助剤を用いな
くても、ポリオレフィン樹脂を数平均粒子径が0.5μ
m以下の状態で安定に維持することができる。
【0029】水性印刷インキに含まれる塩基性化合物の
添加量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対
して0.5〜3.0倍当量であることが好ましい。塩基
性化合物の添加量が0.5倍当量未満であると塩基性化
合物の添加効果が認められず、塩基性化合物の添加量が
3.0倍当量を超えると被膜形成時の乾燥時間が長くな
ったり、水分散液が着色する場合がある。従って、塩基
性化合物の添加量は0.8〜2.5倍当量がより好まし
く、1.0〜2.0倍当量が特に好ましい。
【0030】なお、ポリオレフィン樹脂を構成する不飽
和カルボン酸またはその無水物において、無水マレイン
酸単位等の不飽和カルボン酸無水物単位は、樹脂の乾燥
状態では隣接したカルボキシル基が脱水環化した酸無水
物構造を形成している。しかし、塩基性化合物を含有す
る水性媒体中では、その一部又は全部が開環してカルボ
ン酸あるいはその塩の構造を取りやすくなる。従って、
本発明においては、樹脂のカルボキシル基量を基準とし
て塩基性化合物の量を規定する場合には、樹脂中の酸無
水物基はすべて開環してカルボキシル基をなしていると
仮定して算出する。
【0031】塩基性化合物はポリオレフィン樹脂中のカ
ルボキシル基を中和できるものであれば良いが、インキ
の耐水性を考慮すると、印刷時に揮発するLiOH、K
OH、NaOH等の金属水酸化物のほか、アンモニア、
有機アミン化合物などが好ましく、中でも有機アミン化
合物がポリオレフィン樹脂の水性化を容易に行える点か
ら特に好ましい。有機アミン化合物は、沸点が30〜2
50℃の範囲であることが好ましく、50〜200℃の
範囲にあることがより好ましい。有機アミン化合物の沸
点が30℃未満であると、ポリオレフィン樹脂を水性化
する際に揮発する割合が多くなり、ポリオレフィン樹脂
の水性化が完全に進行しない場合がある。有機アミン化
合物の沸点が250℃を超えると、樹脂被膜から乾燥に
よって有機アミン化合物を飛散させることが困難にな
り、印刷したインキの耐水性が悪化する場合がある。
【0032】有機アミン化合物の具体例としては、トリ
エチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ア
ミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノ
ールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピル
アミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシ
プロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、
sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノ
プロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3
−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリ
ン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を
挙げることができる。
【0033】本発明の水性印刷インキには、ポリオレフ
ィン樹脂の水性化を促進する目的と、ポリオレフィン樹
脂の数平均粒子径や重量平均粒子径などの分散粒子径を
小さくする目的で、水性化の際に有機溶剤を添加するこ
とが好ましい。水性化の際に用いる有機溶剤の添加量は
水性分散体100質量部に対して1〜40質量部である
ことが好ましい。有機溶剤の添加量が20質量部を超え
る場合には、有機溶剤の一部または全てを系外へ除去
(ストリッピング)により有機溶剤の含有量を低減させ
ることが望ましいが、有機溶剤の添加量が40質量部を
超えると、ストリッピングの時間が長くなる等の問題を
生じる。また、有機溶剤の添加量が40質量部を超える
と、実質的に水性媒体とはみなせなくなり環境保護の面
から好ましくない。また、使用する有機溶剤によっては
水性分散体の保存安定性が低下してしまう場合がある。
また、有機溶剤の添加量が1質量部未満であると、樹脂
の水性化が困難になったり、樹脂を水性化するために系
内の温度を上げる必要があり、樹脂の主鎖が分解して分
子量が低下する恐れがある。従って、水性媒体中の有機
溶剤量は2〜30質量部の範囲にあることがより好まし
く、3〜20質量部の範囲であることが特に好ましい。
【0034】また、本発明で使用する有機溶剤は、保存
安定性の良好なポリオレフィン樹脂水性分散体を得ると
いう点から、ポーリング(Pauling)の電気陰性
度が3.0以上の原子、具体的には酸素、窒素、フッ
素、塩素などの原子を分子内に1個以上有していること
が好ましい。中でも、20℃における水に対する溶解性
が5g/L以上であるものが好ましく、溶解性が10g
/L以上のものであるとさらに好適に使用できる。
【0035】本発明において使用される有機溶剤として
は、ポリオレフィン樹脂の水性化促進に効果が高く、し
かも水性媒体中から有機溶剤を除去し易いという点か
ら、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレング
リコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ
プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエー
テルが好ましく、低温乾燥性の点からエタノール、n−
プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。これ
らの有機溶剤は2種以上を混合して使用しても良い。
【0036】本発明の水性印刷インキには、ダイレクト
ラミネート強力を向上させるために、ポリオレフィン樹
脂以外の他の樹脂をさらに添加しても良い。ポリオレフ
ィン樹脂以外の他の樹脂の添加量は、ポリオレフィン樹
脂の固形分100質量部に対して0.1〜80質量部の
範囲であることが好ましい。他の樹脂の添加量が80質
量部を超えるとインキの密着性が低下してしまう恐れが
あるため、他の樹脂の添加量は1〜50質量部の範囲で
あることがより好ましく、1〜30質量部の範囲である
ことが特に好ましい。
【0037】ポリオレフィン樹脂以外に添加できる他の
樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、塩素化オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ロジン
系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂系樹脂、上記した特
定のポリオレフィン樹脂以外のポリオレフィン樹脂など
が挙げられる。
【0038】さらに、本発明の水性印刷インキには、必
要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料
分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤を添加することも可
能である。また、水性印刷インキの保存安定性を損なわ
ない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を添加
することも可能である。
【0039】また、水性印刷インキの耐溶剤性などの性
能、特に耐アルコール性をさらに向上させるために、架
橋剤を配合しても良い。架橋剤の配合割合は、ポリオレ
フィン樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部の
範囲であることが好ましく、0.1〜20質量部の範囲
であることがより好ましい。架橋剤の添加量が0.1質
量部未満であると架橋剤の添加効果が小さく、架橋剤の
添加量が30質量部を超えるとフィルムとの密着性やダ
イレクトラミネート強力が低下する傾向になる。
【0040】架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋
剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個
有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用い
ることができ、例えば、イソシアネート化合物、メラミ
ン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミ
ド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩
化合物、シランカップリング剤等が好ましい。これらの
架橋剤は単独で使用しても良く、あるいは2種類以上を
併用しても良い。
【0041】上記のように構成された本発明の水性印刷
インキは、溶媒として水性媒体を使用しているため、環
境面や危険物規制などの点からも好適に使用できる。ま
た、各種の基材と密着性の良い特定のポリオレフィン樹
脂をバインダー樹脂として用いているため、紙、合成
紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板な
どへの印刷に使用できるが、基材フィルムとして熱可塑
性樹脂フィルムを用いた場合には、基材との密着性に加
えてさらにダイレクトラミネート強力も得られるため、
特に好適に使用できる。また、本発明の水性印刷インキ
には、不揮発性水性化助剤が実質的に含まれていないた
め、さらに加えて耐水性、加工性、衛生性などにも優れ
たものとなる。ここで、「水性化助剤」とは、ポリオレ
フィン樹脂を水性分散体とする際に水性化促進や水性分
散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことで
あり、「不揮発性」とは、常圧で高沸点(例えば、30
0℃以上の沸点)であるか沸点を有さないことを指す。
【0042】本発明においては、基材フィルムの少なく
とも片面に本発明の水性印刷インキを印刷したフィルム
のままで包装材料として使用しても良いが、このフィル
ムの印刷面にさらにラミネート層を設けて積層フィルム
としたものが包装材料としてより好適に使用できる。
【0043】基材フィルムとして熱可塑性樹脂フィルム
あるいは熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面にシリ
カ、アルミナ等の蒸着を施した熱可塑性樹脂フィルムを
用い、この基材フィルムの少なくとも片面に本発明の水
性印刷インキを印刷してなるフィルムは、基材フィルム
とインキとの密着性が良いものである。また、このフィ
ルムの印刷面は、ダイレクトラミネート強力にも優れて
いるため、印刷面にラミネート層を形成した積層フィル
ムとすることもできる。
【0044】本発明のフィルムまたは積層フィルムに使
用する基材フィルムとしては、Ny6、ナイロン66、
ナイロン46等のポリアミド樹脂、PET、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポ
リトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹
脂、ポリ乳酸などのポリヒドロキシカルボン酸、ポリ
(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネー
ト)などの脂肪族ポリエステル樹脂に代表される生分解
性樹脂、PP、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれら
の混合物などの熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれら
の積層体が挙げられるが、中でも、PET、Ny6、P
P、ポリエチレンからなるフィルムが好適に使用でき
る。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸
フィルムでも良く、その製法も限定されるものではな
い。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるもので
はないが、通常は1〜500μmの範囲であれば良い。
【0045】基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処
理などの表面処理を施していることが好ましい。
【0046】ラミネート加工の方法としては、従来より
行われている押出しラミネート法や、ドライラミネート
法や、ダイレクトラミネート法が適用できるが、経済性
や環境面などから、中でもダイレクトラミネート法が好
ましく、特に、基材フィルムとしてポリエステル、ポリ
アミド、ポリプロピレンのうちのいずれかからなるフィ
ルムを用い、溶融したポリエチレン樹脂あるいはポリプ
ロピレン樹脂にてラミネート層を形成した積層フィルム
が特に好ましい。
【0047】ここで、ポリエチレン樹脂は、エチレン成
分が主成分であればよく、プロピレン、1−ブテン、2
−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−
1−ペンテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの2
元以上の多元共重合体であってもよい。さらに、無水マ
レイン酸等で酸変性してあるポリエチレン樹脂でもよ
く、高温での酸化処理を施したポリエチレン樹脂でも良
い。
【0048】また、ポリプロピレン樹脂の立体構造は特
に限定されないが、例えば、アイソタクチックまたはシ
ンジオタクチックおよび種々の程度の立体規則性を有す
るポリプロピレン樹脂単独重合体や、主成分であるプロ
ピレンと、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘ
キセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等の
α−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。こ
れらの共重合体は、2元以上の多元共重合体であっても
よく、ランダム共重合体、ブロック共重合体であっても
良い。さらに、無水マレイン酸等で酸変性してあるポリ
プロピレン樹脂でも良く、高温での酸化処理を施したポ
リプロピレン樹脂でも良い。これらは単独で使用しても
良く、あるいは複数を混合して用いても良い。
【0049】また、上記説明では、基材フィルムの印刷
面に直接に水性印刷インキを印刷した例を挙げて説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、基材フ
ィルムの少なくとも片面に易接着層を設け、この易接着
層に本発明の水性印刷インキを印刷したフィルムとして
も良い。易接着層とは、基材フィルムや印刷インキとの
優れた接着性を有している層のことであり、このような
易接着層を設けることで、ダイレクトラミネート強力の
向上が図れる。易接着層の厚みは0.01〜10μmの
範囲であることが好ましい。易接着層の厚みが0.01
μm未満であると、ダイレクトラミネート強力の向上効
果が小さく、易接着層の厚みが10μmを超えると、性
能面では特に問題はないが、均一なコートが困難になる
傾向にある。従って、本発明においては、易接着層の厚
みが0.03〜5μmの範囲であることがより好まし
い。
【0050】易接着層を構成する材料は特に限定されな
いが、ダイレクトラミネート強力の向上を図る点から、
本発明の水性印刷インキのバインダー樹脂である特定の
ポリオレフィン樹脂が含有されていることが好ましく、
中でも、エチレン、アクリル酸メチルあるいはアクリル
酸エチル、無水マレイン酸からなる三元共重合体が最も
好ましい。
【0051】次に、本発明の水性印刷インキの製造方法
について説明する。本発明で使用する特定のポリオレフ
ィン樹脂の合成法は特に限定されないが、後述のように
ポリオレフィン樹脂を水性分散体とするためには、ポリ
オレフィン樹脂の合成時には乳化剤や保護コロイドなど
の不揮発性水性化助剤を用いない方が好ましい。このよ
うなポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂を構成
するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧ラジカル
共重合することで得られる。なお、不飽和カルボン酸あ
るいはその無水物は、グラフト共重合(グラフト変性)
されていても良い。
【0052】このポリオレフィン樹脂と、顔料または染
料の少なくとも一方を水性媒体に分散させて水性印刷イ
ンキを得るための方法は特に限定されないが、例えば、
特定組成のポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、有機溶
剤を含む水性媒体を密閉可能な容器中で加熱、攪拌して
ポリオレフィン樹脂水性分散体を作製し、このポリオレ
フィン樹脂水性分散体に顔料または染料の少なくとも一
方と他の添加剤とを混合・攪拌する方法を採用すること
ができる。この方法によれば、不揮発性水性化助剤を実
質的に添加しなくとも、ポリオレフィン樹脂を数平均粒
子径が0.5μm以下の状態で良好に分散したポリオレ
フィン樹脂水性分散体を容易に得ることができ、このポ
リオレフィン樹脂水性分散体に顔料などを分散させるこ
とで、保存安定性に優れた本発明の水性印刷インキを得
ることができる。
【0053】なお、ポリオレフィン樹脂水性分散体に顔
料などを混合・攪拌する際には、必要に応じてさらにジ
ェット粉砕処理を行ってもよい。ここでいうジェット粉
砕処理とは、水性分散体のような流体を、高圧下でノズ
ルやスリットのような細孔より噴出させ、樹脂粒子同士
や樹脂粒子と衝突板等とを衝突させて、機械的なエネル
ギーによって樹脂粒子をさらに細粒化することであり、
そのための装置の具体例としては、A.P.V.A.G
AULIN社製ホモジナイザー、みずほ工業社製マイク
ロフルイタイザーM−110E/H等が挙げられる。
【0054】上記のようにして作製された本発明の水性
印刷インキは、ポリオレフィン樹脂と顔料などが水性媒
体中に分散又は溶解され、均一な液状に調製されてい
る。ここで、水性印刷インキが均一な液状であるとは、
目視で水性印刷インキを観察したときに、水性印刷イン
キ中に沈殿や相分離あるいは皮張りといった固形分濃度
が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状
態をいう。
【0055】水性印刷インキの固形分濃度の調整方法と
しては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒
体を留去したり、水やアルコール類(エタノール、イソ
プロパノールなど)により希釈したりする方法が挙げら
れる。
【0056】本発明の水性印刷インキを基材フィルムに
印刷する方法は特に限定されるものではないが、フレキ
ソ印刷方式やグラビア印刷方式などが採用できる。この
ような印刷方式により印刷が施されたフィルムの印刷面
にラミネートを形成して積層フィルムとする場合には、
ラミネート層を押出しラミネート法、ドライラミネート
法、ダイレクトラミネート法により形成する。例えば、
押出しラミネート法では、基材フィルムに水性印刷イン
キを印刷した後、印刷面にイミン系、イソシアネート
系、チタネート系などのアンカーコート剤を塗布して、
溶融ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を積層する
ことで積層フィルムが得られる。ドライラミネート法で
は、基材フィルムの印刷面にウレタン樹脂などの接着剤
を塗布して、熱可塑性フィルムを貼り合せることで積層
フィルムが得られる。さらに、ダイレクトラミネート法
では、基材フィルムに水性印刷インキを印刷した後、印
刷面に直接に溶融したポリエチレン樹脂やポリプロピレ
ン樹脂を積層する、あるいは、印刷面にポリエチレンま
たはポリプロピレンからなるフィルムを積層してラミネ
ート層を形成することで、積層フィルムが得られる。
【0057】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにのみ限定されるものではな
い。なお、各種の物性については以下の方法によって測
定又は評価した。
【0058】(1)MFR(g/10分):JIS−6
730に記載の方法に準じて190℃、2160g荷重
の条件下で測定した。
【0059】(2)融点(℃):示差走査型熱量計(パ
ーキンエルマー社製;DSC−7型)を用いて、試料質
量を5mg、昇温速度を20℃/分として測定し、得ら
れた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とし
た。
【0060】(3)ポリオレフィン樹脂の組成:オルト
ジクロロベンゼン(d4)中で、120℃、300MH
zの条件下にて1H−NMR分析器(バリアン社製)を
用いて測定した。
【0061】(4)水性化収率(%):水性化後の水性
分散体を300メッシュのステンレス製フィルター(線
径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2M
Pa)した際に、フィルター上に残存する樹脂質量を測
定し、仕込み樹脂質量より収率を算出した。
【0062】(5)エステル基残存率(%):水性化後
のポリオレフィン水性分散体を150℃で乾燥した後、
オルトジクロロベンゼン(d4)中で、120℃、30
0MHzの条件下にて1H−NMR分析器(バリアン社
製)を用いて、水性化前のアクリル酸エステルのエステ
ル基量を100としてエステル基の残存率(%)を求め
た。
【0063】(6)ポリオレフィン樹脂水性分散体の固
形分濃度(質量%):ポリオレフィン水性分散体を適量
秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒
量に達するまで加熱し、ポリオレフィン樹脂固形分濃度
を求めた。
【0064】(7)ポリオレフィン樹脂水性分散体の粘
度(mPa・s):DVL−BII型デジタル粘度計
(トキメック社製、B型粘度計)を用い、温度20℃に
おける水性分散体の回転粘度を測定した。
【0065】(8)ポリオレフィン樹脂粒子の粒子径
(μm)および分散度:マイクロトラック粒度分布計U
PA150(日機装社製、MODEL No.934
0)を用い、数平均粒子径(mn)、重量平均粒子径
(mw)を求め、合わせて粒子の分散度(mw/mn)
を求めた。
【0066】(9)水性分散体の外観:水性分散体の色
調を目視観察により評価した。
【0067】(10)ポットライフ:ポリオレフィン樹
脂水性分散体を室温で90日放置したときの外観を、次
の3段階で評価した。
【0068】 ○:外観に変化がなかった △:増粘がみられた ×:固化、凝集や沈殿物の発生が見られた
【0069】(11)耐水性評価:厚み12μmの2軸
延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPE
T12)のコロナ処理面に水性印刷インキをグラビア校
正機で印刷し、150℃で乾燥した後、得られたフィル
ムを室温で1日放置した。その後、水で濡らした布でフ
ィルムの印刷面を数回擦り、印刷面の状態を目視で観察
して下記のように評価した。
【0070】 ○:外観に変化がなかった △:印刷したインキがくもった ×:印刷したインキが完全に溶解した
【0071】(12)耐アルコール性評価:厚み12μ
mの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレ
ットPET12)のコロナ処理面に水性印刷インキをグ
ラビア校正機で印刷し、150℃で乾燥した後、得られ
たフィルムを室温で1日放置した。その後、イソプロパ
ノールで濡らした布でフィルムの印刷面を数回擦り、印
刷面の状態を目視で観察して下記のように評価した。
【0072】 ○:外観に変化がなかった △:印刷したインキがくもった ×:印刷したインキが完全に溶解した
【0073】(13)水性化後のMFR(MFR):ポ
リオレフィン水性分散体をガラスシャーレに取り、10
0℃で6時間乾燥した。得られたポリオレフィン樹脂の
MFRを、190℃、2160g荷重の条件下でJIS
−6730に記載の方法に準じて測定した。
【0074】(14)密着性評価:基材フィルムのコロ
ナ処理面にグラビア校正機で水性印刷インキを印刷し、
150℃で乾燥した後、印刷面に粘着テープ(ニチバン
社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥
離した。印刷面の状態を目視で観察して、以下のように
評価した。
【0075】 ○:全く剥がれがなかった △:一部に剥がれが生じた ×:全て剥がれた なお、基材フィルムには、厚み12μmの2軸延伸PE
Tフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET1
2)、厚み15μmの2軸延伸Ny6フィルム(ユニチ
カ社製、エンブレム)、厚み20μmの延伸PPフィル
ム(東セロ社製、OP U−1)を用いた。
【0076】(15)ダイレクトラミネート強力(mN
/15mm):基材フィルムとして2軸延伸PETフィ
ルムを用い、この基材フィルムのコロナ処理面に調整し
た水性塗料をグラビア校正機で印刷して、乾燥した。次
いで、フィルムの印刷面上にエキストルーダー(田辺プ
ラスチック機械社製、VE−40)を用いて300℃の
溶融したポリエチレン樹脂(住友化学社製、スミカセン
L211、MFR:12(g/10分))を厚み30μ
mとなるように積層して積層フィルムを作製した。この
積層フィルムから試験片を15mm幅で切り出し、1日
後、引張り試験機(インテスコ社製、インテスコ精密万
能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200m
m/分、引張り角度180度でラミネート層と印刷面と
の間の剥離強度を測定することで、ダイレクトラミネー
ト強力(mN/15mm)を評価した。
【0077】以下の実施例、比較例において使用したポ
リオレフィン樹脂の組成や物性を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】実施例1 水性印刷インキを製造するに際し、まず、ポリオレフィ
ン樹脂水性分散体E−1の作製を行った。容積が1リッ
トルで、密閉可能に構成されたヒーター付きの耐圧性ガ
ラス容器を備えた撹拌機を用いて、このガラス容器に、
ポリオレフィン樹脂(A)(ボンダインHX−829
0、住友化学工業社製)60.0gと、有機溶剤として
イソプロパノール(以下、「IPA」と略称する。)6
0.0gと、塩基性化合物としてトリエチルアミン(以
下、「TEA」と略称する。)3.0gと、蒸留水17
7.0gを仕込んだ。なお、TEA3.0gは、樹脂中
の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当
量に相当する。
【0080】そして、撹拌翼の回転速度を300rpm
として撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱
は認められず、浮遊状態となっていることが確認され
た。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの
電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145
℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につ
けて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約
25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス
製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過
(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフ
ィン樹脂水性分散体E−1を得た。なお、エステル基残
存率は100%であり、室温で90日間放置した後でも
変化せず100%であった。
【0081】このポリオレフィン樹脂水性分散体E−1
の固形分100質量部に対して、水100質量部と、顔
料として酸化チタン(石原産業社製、タイペークCR−
50)を100質量部と、ガラスビーズ250質量部と
を添加し、ペイントシェーカーで1時間振とう分散させ
た後、ガラスビーズを取り除いて水性印刷インキJ−1
を得た。
【0082】得られた水性印刷インキJ−1を各種基材
フィルムに印刷して乾燥した後、耐水性、密着性、ダイ
レクトラミネート強力、耐アルコール性の評価を行っ
た。まず、基材フィルムとして厚み12μmの2軸延伸
PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレットPET1
2)のコロナ処理面に水性印刷インキをグラビア校正機
で印刷して乾燥した後、室温で1日放置し、得られたフ
ィルムの耐水性および耐アルコール性を評価した。
【0083】また、基材フィルムとして厚み12μmの
2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレット
PET12)、厚み15μmの2軸延伸Ny6フィルム
(ユニチカ社製、エンブレム)、厚み20μmの延伸P
Pフィルム(東セロ社製、OP U−1)とを用い、そ
れぞれの基材フィルムのコロナ処理面にグラビア校正機
で水性印刷インキを印刷して乾燥した後、基材フィルム
と水性印刷インキとの密着性を評価した。
【0084】また、基材フィルムとして厚み12μmの
2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、エンブレット
PET12)を用い、この基材フィルムのコロナ処理面
に水性印刷インキをグラビア校正機で印刷して、乾燥し
た。次いで、印刷面に260℃で溶融したMFRが12
(g/10分)のポリエチレン樹脂(住友化学社製、ス
ミカセンL211)を厚み30μmとなるように積層し
て積層フィルムを作製し、積層フィルムのダイレクトラ
ミネート強力を評価した。
【0085】得られた測定結果等を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】実施例2 ポリオレフィン樹脂として本発明の構成であるポリオレ
フィン樹脂(B)(ボンダインHX−8210、住友化
学社製)を用いた。そしてそれ以外は実施例1と同様に
して、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。な
お、水性化後の樹脂組成を分析したところ、アクリル酸
エチル単位の1%が加水分解されてアクリル酸に変化し
ていた。すなわちエステル基残存率は99%であった。
【0088】このポリオレフィン樹脂水性分散体E−2
を用いた以外は実施例1と同様にして、水性印刷インキ
J−2を作製し、各種物性の評価を行った。得られた測
定結果等を表2に示す。
【0089】実施例3 ポリオレフィン樹脂として本発明の構成であるポリオレ
フィン樹脂(C)(ボンダインTX−8030、住友化
学社製)を用い、有機溶剤の添加量を28質量%とし
た。そしてそれ以外は実施例1と同様にして、ポリオレ
フィン樹脂水性分散体E−3を得た。
【0090】このポリオレフィン樹脂水性分散体E−3
を用いた以外は実施例1と同様にして水性印刷インキJ
−3を作製し、各種物性の評価を行った。得られた測定
結果等を表2に示す。
【0091】実施例4 実施例1で作製した水性分散体E−1を250gと、蒸
留水85gとを1Lの2口丸底フラスコに仕込み、メカ
ニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置してフラ
スコをオイルバスで加熱していき、水性媒体を留去し
た。約90gの水性媒体を留去したところで加熱を終了
し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分
を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.
035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)
し、濾液の固形分濃度を測定したところ、20.5質量
%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、
固形分濃度が20.0質量%になるように調整した水性
分散体をE−4とした。
【0092】このポリオレフィン樹脂水性分散体E−4
を用いた以外は実施例1と同様にして水性印刷インキJ
−4を作製し、各種物性の評価を行った。得られた測定
結果等を表2に示す。
【0093】実施例5 実施例1で作製したポリオレフィン樹脂水性分散体E−
1の固形分100質量部に対して、顔料としてカーボン
ブラックを含有する水性分散体(ライオン社製、ライオ
ンペーストW−376R)の固形分を100質量部を混
合し、プロペラ攪拌機で30分間攪拌して水性印刷イン
キJ−5を作製し、各種物性の評価を行った。
【0094】得られた測定結果等を表2に示す。
【0095】実施例1〜5は、本発明の構成であるポリ
オレフィン樹脂水性分散体を用いて水性印刷インキを作
製したため、耐水性に優れ、基材フィルムの種類にかか
わらず基材フィルムとの密着性に優れ、ダイレクトラミ
ネート強力の良いものが得られた。なお、実施例2は、
他の実施例のものに比べて若干ダイレクトラミネート強
力に劣るものであったが、実使用上は問題のないもので
あった。
【0096】比較例1 水性印刷インキを製造するに際し、まず、ポリオレフィ
ン樹脂水性分散体E−5の作製を行った。容積が1リッ
トルで、密閉可能に構成されたヒーター付きの耐圧性ガ
ラス容器を備えた撹拌機を用いて、このガラス容器に、
本発明の構成とは異なるポリオレフィン樹脂(D)(プ
リマコール5980I、アクリル酸20質量%共重合
体、ダウ・ケミカル社製)45.0gと、塩基性化合物
としてTEA15.2gと、蒸留水239.8gとを仕
込んだ。なお、TEA15.2gは、樹脂中の無水マレ
イン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量に相当す
る。
【0097】そして、撹拌翼の回転速度を300rpm
として撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱
は認められず、浮遊状態となっていることが確認され
た。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの
電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保っ
てさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて回転速度
300rpmのまま攪拌しつつ、室温(約25℃)まで
冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター
(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.
2MPa)し、得られた微白色の水性分散体をE−5と
した。なお、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかっ
た。
【0098】この水性分散体E−5を用いた以外は実施
例1と同様にして水性印刷インキH−1を作製し、各種
物性の評価を行った。得られた測定結果等を表2に示
す。
【0099】比較例1は、本発明の構成の範囲外である
ポリオレフィン樹脂を配合した水性分散体を用いて水性
印刷インキを作製したため、得られた水性印刷インキは
顔料の混合安定性に劣るものとなった。また、この水性
印刷インキは、基材フィルムとの密着性やダイレクトラ
ミネート強力に劣るものであった。
【0100】比較例2、3 本発明の水性印刷インキを構成するためのポリオレフィ
ン樹脂に代えて、比較例2ではウレタン系エマルジョン
(旭電化工業社製、アデカボンタイターHUX−38
0)を用い、比較例3では塩素化オレフィン系エマルジ
ョン(日本製紙社製、E−723)を用いた。そして、
それ以外は実施例1と同様にして、水性印刷インキH−
2、H−3をそれぞれ作製し、各種物性の評価を行っ
た。得られた測定結果等を表2に示すが、これらのイン
キはダイレクトラミネート強力に劣るものであった。
【0101】実施例6 実施例1で作製したポリオレフィン樹脂水性分散体E−
1の固形分100質量部に対して、水100質量部と、
顔料として酸化チタン(石原産業社製、タイペークCR
−50)を100質量部と、他の樹脂としてポリエステ
ル樹脂エマルション(ユニチカ社製、KA−5034)
を固形分として20質量部と、ガラスビーズ250質量
部とを添加し、ペイントシェーカーで1時間振とう分散
させた後、ガラスビーズを取り除いて水性印刷インキJ
−6を作製した。そしてそれ以外は実施例1と同様にし
て、各種物性の評価を行った。
【0102】得られた測定結果等を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】実施例7 他の樹脂としてウレタン系エマルション(旭電化工業社
製、アデカボンタイターHUX−380)を用いた。そ
してそれ以外は実施例6と同様にして水性印刷インキJ
−7を作製し、各種物性の評価を行った。
【0105】得られた測定結果等を表3に示す。
【0106】実施例8 他の樹脂として塩素化オレフィン系エマルション(日本
製紙社製、E−723)を用いた。そしてそれ以外は実
施例6と同様にして水性印刷インキJ−8を作製し、各
種物性の評価を行った。
【0107】得られた測定結果等を表3に示す。
【0108】実施例9 他の樹脂としてロジン系エマルション(荒川化学工業社
製、スーパーエステルE−720)を用いた。そしてそ
れ以外は実施例6と同様にして水性印刷インキJ−9を
作製し、各種物性の評価を行った。
【0109】得られた測定結果等を表3に示す。
【0110】実施例10 他の樹脂としてテルペン系エマルション(荒川化学工業
社製、タノマルE−100)を用いた。そしてそれ以外
は実施例6と同様にして水性印刷インキJ−10を作製
し、各種物性の評価を行った。
【0111】得られた測定結果等を表3に示す。
【0112】実施例11 他の樹脂として比較例1で作製した水性分散体E−5を
用いた。そしてそれ以外は実施例6と同様にして水性印
刷インキJ−11を作製し、各種物性の評価を行った。
【0113】得られた測定結果等を表3に示す。
【0114】実施例6〜11は、いずれも本発明の構成
であるポリオレフィン樹脂水性分散体を用いていたた
め、耐水性や基材フィルムとの密着性に優れたものであ
った。また、本発明の構成であるポリオレフィン樹脂水
性分散体にさらに加えて他の樹脂が本発明の好適な範囲
で配合されていたため、他の樹脂が配合されていない以
外は同様の構成である実施例1に比べてダイレクトラミ
ネート強力がさらに向上ていた。
【0115】実施例12 実施例1で作製したポリオレフィン樹脂水性分散体E−
1の固形分100質量部に対して、水100質量部と、
顔料として酸化チタン(石原産業社製、タイペークCR
−50)を100質量部と、架橋剤としてメラミン樹脂
(三井サイテック社製、サイメル327)を固形分とし
て10質量部と、ガラスビーズ250質量部とを添加
し、ペイントシェーカーで1時間振とう分散させた後、
ガラスビーズを取り除いて水性印刷インキJ−12を得
た。そしてそれ以外は実施例1と同様にして各種物性の
測定を行った。
【0116】得られた測定結果等を表4に示す。
【0117】
【表4】
【0118】実施例13 架橋剤としてエポキシ化合物(ナガセ化成工業社製、デ
ナコールEX−313)を用いた。そしてそれ以外は実
施例12と同様にして水性印刷インキJ−13を作製
し、各種物性の評価を行った。
【0119】得られた測定結果等を表4に示す。
【0120】実施例14 架橋剤としてオキサゾリン基含有化合物(日本触媒社
製、エポクロスWS−700)を用いた。そしてそれ以
外は実施例12と同様にして水性印刷インキJ−14を
作製し、各種物性の評価を行った。
【0121】得られた測定結果等を表4に示す。
【0122】実施例15 架橋剤としてイソシアネート化合物(第一工業製薬社
製、エラストロン BN−11)を用いた。そしてそれ
以外は実施例12と同様にして水性印刷インキJ−15
を作製し、各種物性の評価を行った。
【0123】得られた測定結果等を表4に示す。
【0124】実施例16 架橋剤としてカルボジイミド化合物(日清紡社製、カル
ボジライト E−02)を用いた。そしてそれ以外は実
施例12と同様にして水性印刷インキJ−16を作製
し、各種物性の評価を行った。
【0125】得られた測定結果等を表4に示す。
【0126】実施例12〜16は、本発明の構成である
ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いていたため、耐水
性や基材フィルムとの密着性やダイレクトラミネート強
力に優れたものであった。また、前記ポリオレフィン樹
脂水性分散体にさらに加えて架橋剤が配合されていたた
め、架橋剤が配合されていない実施例1〜11に比べて
インキの耐アルコール性が向上していた。
【0127】実施例17、18 基材フィルムとして厚み12μmの2軸延伸PETフィ
ルム(ユニチカ社製、エンブレットPET12)を用
い、この基材フィルムのコロナ処理面に実施例1で作製
したポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を乾燥後の膜
厚が2μmとなるようにマイヤーバーで塗布して乾燥
し、易接着層を形成した。次いで、易接着層上に実施例
1及び5で作製した水性印刷インキJ−1及びJ−5を
グラビア校正機で印刷して乾燥した。その後、上記(1
5)と同様にポリエチレン樹脂を積層してラミネート層
を形成し、積層フィルムを得た。そして(15)の測定
方法に従い、ダイレクトラミネート強力の評価を行っ
た。
【0128】得られた積層フィルムの物性などを表5に
示す。
【0129】
【表5】
【0130】実施例19、20 易接着層の厚みを0.1μmとした。そしてそれ以外は
実施例17、18と同様にして積層フィルムを作製し、
ダイレクトラミネート強力の評価を行った。
【0131】得られた積層フィルムの物性などを表5に
示す。
【0132】実施例17〜20は、基材フィルムの印刷
面に易接着層を形成したため、易接着層を形成せずに印
刷した実施例1、5に比べダイレクトラミネート強力が
著しく向上していた。
【0133】
【発明の効果】本発明によれば、特定のポリオレフィン
樹脂と、顔料あるいは染料の少なくとも一方を水性媒体
中に均一に分散させたインキとすることで、各種の基材
フィルムとの密着性やダイレクトラミネート強力に優れ
た水性印刷インキが得られる。
【0134】また、この水性印刷インキを基材フィルム
の少なくとも一方の面に印刷したフィルムあるいは前記
フィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルム
は、本発明の水性印刷インキを用いているため基材フィ
ルムとインキとの密着性が良いものが得られる。また、
基材フィルムとして機械的強力や加工性に優れた各種の
熱可塑性フィルムを用いることができるため、包装容器
などの用途に好適に使用できる。なお、基材フィルムに
易接着層を設け、この易接着層の上に水性印刷インキに
て印刷したフィルムおよび積層フィルムについても同様
の効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 昌文 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4F100 AH02A AH03A AK02A AK03A AK04D AK07A AK07D AK25A AK41A AK51A AK70C AK80A AL06A AR00C AT00B BA03 BA04 BA07 BA10A BA10D HB31A JA06A JB05A JL11C YY00A 4J004 AA07 AB03 CA04 CA06 4J039 AB08 AD01 AD04 AD09 AD14 AE04 AE06 CA06 FA02 4J040 DA001 JA09 JB09

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂と、顔料または染料
    の少なくとも一方とを水性媒体中に含有する水性印刷イ
    ンキであって、前記ポリオレフィン樹脂は、不飽和カル
    ボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水素と特定の
    化合物とから構成される共重合体であり、前記特定の化
    合物は下記式(I)〜(IV)のいずれかで示される少
    なくとも1種の化合物であり、前記共重合体における不
    飽和カルボン酸またはその無水物の配合割合は質量比で
    0.01質量%以上5質量%未満であり、エチレン系炭
    化水素と特定の化合物との配合割合は、質量比で、(エ
    チレン系炭化水素)/(特定の化合物)=55/45〜
    99/1(質量%)の範囲であり、前記水性媒体に分散
    しているポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が0.5μ
    m以下であることを特徴とする水性印刷インキ。 【化1】
  2. 【請求項2】 塩基性化合物を含むことを特徴とする請
    求項1記載の水性印刷インキ。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン樹脂の190℃、216
    0g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜100
    0g/10分であることを特徴とする請求項1または2
    記載の水性印刷インキ。
  4. 【請求項4】 不飽和カルボン酸またはその無水物成分
    が、無水マレイン酸、アクリル酸またはメタクリル酸か
    ら選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項1から3までのいずれか1項記載の水性印刷インキ。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン樹脂が、エチレン−アク
    リル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体またはエ
    チレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共
    重合体であることを特徴とする請求項1から4までのい
    ずれか1項記載の水性印刷インキ。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン樹脂以外の他の樹脂をさ
    らに含み、前記他の樹脂はポリオレフィン樹脂100質
    量部に対して0.1〜80質量部配合されていることを
    特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の水
    性印刷インキ。
  7. 【請求項7】 ポリオレフィン樹脂以外の他の樹脂が、
    ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素化オレ
    フィン系樹脂、アクリル系樹脂、ロジン系樹脂、テルペ
    ン系樹脂、石油樹脂系樹脂、請求項1記載のポリオレフ
    ィン樹脂以外のポリオレフィン樹脂のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項6記載の水性印刷インキ。
  8. 【請求項8】 請求項1から7までのいずれか1項記載
    の水性印刷インキを基材フィルムの少なくとも片面に印
    刷したことを特徴とするフィルム。
  9. 【請求項9】 基材フィルムの少なくとも片面に厚み
    0.01〜10μmの易接着層を設け、前記易接着層に
    請求項1から7までのいずれか1項記載の水性印刷イン
    キを印刷したことを特徴とするフィルム。
  10. 【請求項10】 易接着層に、不飽和カルボン酸または
    その無水物とエチレン系炭化水素と特定の化合物とから
    構成される共重合体であり、前記特定の化合物は下記式
    (I)〜(IV)のいずれかで示される少なくとも1種
    の化合物であり、前記共重合体における不飽和カルボン
    酸またはその無水物の配合割合は質量比で0.01質量
    %以上5質量%未満であり、エチレン系炭化水素と特定
    の化合物との配合割合は、質量比で、(エチレン系炭化
    水素)/(特定の化合物)=55/45〜99/1(質
    量%)の範囲であるポリオレフィン樹脂が含有されてい
    ることを特徴とする請求項9記載のフィルム。 【化2】
  11. 【請求項11】 請求項8から10までのいずれか1項
    記載のフィルムの印刷面にラミネート層を設けたことを
    特徴とする積層フィルム。
  12. 【請求項12】 基材フィルムが、ポリエステル、ポリ
    アミド、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかであ
    ることを特徴とする請求項8から10までのいずれか1
    項記載のフィルム。
  13. 【請求項13】 基材フィルムが、ポリエステル、ポリ
    アミド、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかであ
    ることを特徴とする請求項11記載の積層フィルム。
  14. 【請求項14】 ラミネート層がポリエチレンまたはポ
    リプロピレンであることを特徴とする請求項11記載の
    積層フィルム。
  15. 【請求項15】 基材フィルムの少なくとも片面に請求
    項1〜7までのいずれか1項記載の水性印刷インキを印
    刷して乾燥し、前記印刷面に溶融したポリエチレンまた
    はポリプロピレンを積層することでラミネート層を形成
    することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
  16. 【請求項16】 基材フィルムの少なくとも片面に請求
    項1〜7までのいずれか1項記載の水性印刷インキを印
    刷して乾燥し、前記印刷面にポリエチレンまたはポリプ
    ロピレンからなるフィルムを積層してラミネート層を形
    成することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
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